(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】サーマルバリアコーティングを有する構成要素を手入れするための方法
(51)【国際特許分類】
B24C 3/32 20060101AFI20231005BHJP
B24C 1/04 20060101ALI20231005BHJP
B24C 11/00 20060101ALI20231005BHJP
B24C 7/00 20060101ALI20231005BHJP
F01D 5/28 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B24C3/32 Z
B24C1/04 F
B24C11/00 B
B24C7/00 Z
F01D5/28
(21)【出願番号】P 2021514514
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(86)【国際出願番号】 US2018051833
(87)【国際公開番号】W WO2020060550
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】599078705
【氏名又は名称】シーメンス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】シェル,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】シリエティ,マハムード ケー.
(72)【発明者】
【氏名】デ カルデナス,ラファエル エー.
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-156444(JP,A)
【文献】特開2006-130621(JP,A)
【文献】特開2014-092112(JP,A)
【文献】特開2014-159641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 3/32
B24C 1/04
B24C 11/00
B24C 7/00
F01D 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンを構成する構成要素であって、サーマルバリアコーティング(TBC)を有する構成要素を手入れする方法であって、
所定の運転期間の間運転された前記ガスタービンから前記構成要素を取り外すこと、
取り外した前記構成要素をスポンジブラストシステムへ提供すること、
前記TBCを研磨するための研磨媒体を含浸させたスポンジベースを含む前記スポンジブラストシステムを用いて前記構成要素の
前記TBCを手入れすること、
前記構成要素の前記TBCの手入れされた厚さを測定すること、
前記構成要素が燃焼ガスに曝される環境へ前記構成要素を戻すことを可能にする所定の最小値を超えている手入れされた厚さを有する前記構成要素を、前記ガスタービンに戻すこと、
を含む、
方法。
【請求項2】
前記スポンジブラストシステムにおけるスポンジブラスト処理のための供給圧力を選択することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記TBCの開始厚さを測定することをさらに含み、前記開始厚さが所定の閾値よりも大きいことを確認する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記開始厚さを前記手入れされた厚さと比較することをさらに含み、前記TBCの除去された厚さを決定する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記除去された厚さは、0.001インチ(0.025mm)未満である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
大気プラズマ溶射コーティングを適用することをさらに含み、前記TBCの表面の均一性を改善する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ガスタービンを構成する構成要素であって、サーマルバリアコーティング(TBC)を有する構成要素を手入れする方法であって、
所定の運転期間の間運転された前記ガスタービンから前記構成要素を取り外すこと、
取り外した前記構成要素の前記TBCの第1の厚さを測定すること、
前記第1の厚さを、
前記構成要素を手入れするための所定の閾値と比較すること、
前記構成要素を手入れするための前記所定の閾値より大きい前記第1の厚さを有する前記構成要素を、
前記TBCを研磨するための研磨媒体を含浸させたスポンジベースを含むスポンジブラストシステムへ提供すること、
前記スポンジブラストシステムにおけるスポンジブラスト処理の運転パラメータを選択すること、
前記スポンジブラストシステムを用いて前記構成要素のTBCを手入れすること、
手入れされた前記構成要素の前記TBCの第2の厚さを測定すること、
前記第2の厚さに基づいて、手入れ中に除去された前記TBCの量を決定すること、および、
前記構成要素が燃焼ガスに曝される環境へ前記構成要素を戻すことを可能にする所定の最小値を超えている前記第2の厚さを有する前記構成要素を、前記ガスタービンに戻すこと、
を含む、
方法。
【請求項8】
前記構成要素が、前記ガスタービンの、
ブレード、
トランジション、
バスケット、および
支持ハウジング、
のうちの1つを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の運転期間が、前記ガスタービンの定期的な保守点検に基づいて決定される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、高温構成要素を磨き直す方法に関しており、より具体的には、サーマルバリアコーティング(TBC)を含む高温構成要素を磨き直すための方法に関している。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンの効率を改善するため、ますます高温の運転温度が用いられている。より高い温度は、サーマルバリアコーティング(TBC)のより一般的な使用を含めた、材料の進歩を必要とした。高温の燃焼ガスに曝される構成要素は、高温からはもちろん燃焼ガス内の腐食性要素から構成要素を保護するために、TBCを含むことができる。典型的なTBCには、作業中に容易に損傷を受け得るセラミック材料が含まれる。加えて、TBCは、通常、運転中に十分なTBC厚さが維持されることを保証するために、定期的に交換される。
【0003】
構成要素を洗浄する方法は、高温環境での構成要素の動作の後に構成要素を提供することを含み、この構成要素はサーマルバリアコーティング(TBC)を含んでおり、本方法は、スポンジジェットブラスト処理を使用して構成要素のTBCを洗浄することを含み、また、手入れをされた厚さが、構成要素を高温環境へ戻すことを可能にする所定の最小値を超えていることを確認するために、TBCの手入れされた厚さを測定することを含む。
【0004】
別の構成において、構成要素を手入れする方法は、高温環境で動作した構成要素を提供することを含み、該構成要素はサーマルバリアコーティング(TBC)を含み、本方法は、第1の厚さが所定の閾値より大きいことを確認するために、TBCの第1の厚さを測定することを含み、また、スポンジジェットブラスト処理の運転パラメータを選択することを含む。この方法は、スポンジジェットブラスト処理を用いて、構成要素のTBCを手入れし(クリーニングし)、手入れ中に除去されたTBCの量を測定するとともに、該構成要素を高温環境へ戻すことを可能にする所定の最小値を超える厚さであることを確認するために、TBCの第2の厚さを測定することも含む。
【0005】
前述のことは、当業者が以下の詳細な説明をより良く理解できるように、本開示の技術的特徴をむしろ概説した。以下、開示の更なる特徴及び利点を、特許請求の範囲の請求項の主題を形成するものとして説明する。当業者は、本開示の同じ目的を実行するために、他の構造を変更または設計するための基礎として開示される概念および特定の実施形態を容易に使用することができることを認識するであろう。また、当業者は、そのような同等の構成が、その最も広い形態で開示内容の思想および範囲から、逸脱しないことを理解するであろう。
【0006】
また、以下の詳細な説明に着手する前に、特定の語及びフレーズに対する種々の定義は、この明細書の全体にわたって与えられること、及び、当業者であれば、そのような定義は、ほとんどではないとしても、多くの場合で、そのような定義された語及びフレーズの過去並びに将来の使用に適用されることが理解されるであろうこと、を理解されたい。用語によっては、多種多様な実施形態を含むことがあるが、特許請求の範囲の請求項は、これらの用語を特定の実施形態に明示的に限定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】サーマルバリアコーティング(TBC)を含む構成要素の補修または磨き直しプロセスを示すフローチャートである。
【
図2】構成要素上のTBCの手入れに使用するのに適したスポンジジェットシステムの概略図である。
【
図3】手入れされたタービンブレードとTBC厚さの変化の例を示すチャートである。
【
図4】手入れプロセス前のタービンブレードの一部分の画像である。
【
図5】手入れプロセス後のタービンブレードの一部分の画像である。
【
図6】TBCを含む構成要素の表面の概略断面図である。
【
図7】TBCを含む、ブレード、ベーン、バスケット、トランジション、及び、その他の構成要素、を含むガスタービンの断面図である。
【0008】
本発明の任意の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その出願において、以下の説明に記載されるまたは以下の図面に図示される、構成の詳細および構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態で実施することが可能であり、様々な方法で実行ないし実施することができる。また、本明細書に使用されている表現及び用語は、説明の目的のためのものであり、限定とみなすべきではないことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、システム及び方法に関連する種々の技術を、図面を参照して説明する。ここで、同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を表す。以下に議論される図面、および本願における本開示内容の原理を記述するために使用される様々な実施形態は、単に説明のためのものであり、開示の範囲を制限する何らかの方法で解釈されるべきではない。本開示の原理は適切に調整された任意の装置において実施され得ることを、当業者は理解するであろう。あるシステム要素によって実行されるとして記載される機能性は、複数の要素によって実行されてもよいことを理解されたい。同様に、例えば、1つの要素は、複数の要素によって実行されるものとして記載される機能性を実行するように構成されてもよい。本出願の多数の革新的教示を、例示的に非限定的な実施形態を参照して説明する。
【0010】
また、本明細書で使用される言葉またはフレーズは、いくつかの例において明示的に限定されない限り、広く解釈されるべきであることを理解すべきである。例えば、「含む(including)」、「有する(having)」、および「から成る(comprising)」という用語、ならびにそれらの派生物は、限定なしに含有を意味する。単数形「1つ(a、an)」および「その(the)」は、文脈が明確に指示しない限り、複数形も含むことを意図する。さらに、本明細書で使用される「および/または(and/or)」という用語は、関連する列挙された項目の1つまたは複数の可能な組み合わせのいずれかおよびすべてを指し、包含する。「または(or)」という用語は、文脈が明確に指示しない限り、および/またはの意味を包含する。「関連する(associated with)」および「それに関連する(associated withtherewith)」という語句、ならびにそれらの派生物は、以下を意味し得る、すなわち、含む(include)、内に含まれる(be included within)、相互接続する(interconnect with)、収容する(contain)、内に収容される(be contained within)、に接続する又はと接続する(connect to or with)、に連結するまたはと連結する(connect toor with)、と通信可能である(be communicable with)、と協働する(cooperate with)、インターリーブする(interleave)、並置する(juxtapose)、に近接している(be proximate to)、に結合されたまたはと結合された(be bound to or with)、有する(have)、の特性を有する(have a property of)、等を意味し得る。
【0011】
また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、本明細書では、様々な要素、情報、機能、または作用を指すために使用され得るが、これらの要素、情報、機能、または作用は、これらの用語によって制限されてはならない。むしろ、これらの序数詞は、異なる要素、情報、機能又は動作を互いに区別するために使用される。例えば、第1の要素、情報、機能、または動作は、第2の要素、情報、機能、または動作と称されてもよく、同様に、第2の要素、情報、機能、または動作は、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素、情報、機能、または動作と称されてもよい。
【0012】
加えて、「隣接する」という用語は、構成要素が、さらなる構成要素に比較的近いが、接触していないことを意味してもよい。または、他の文脈が明確に示されない限り、構成要素がさらなる部分に接触していることを意味してもよい。さらに、「基づいて」という用語は、特に明示的に記載されない限り、少なくとも部分的に、「基づく」ことを意図している。用語「約」または「実質的に」または同様の用語は、その程度に対する通常の産業界の製造公差内にある値の変動をカバーすることを意図している。利用可能な業界標準がない場合、20%の変動は、別途記載がない限り、これらの用語の意味に入るであろう。
【0013】
ガスタービン10、特に発電用の大型ガスタービン(
図7)には、非常に高温で作動する燃焼部やタービン部を含む。構成要素を高温から、また燃焼ガス中の要素との接触による腐食から保護するために、多くの構成要素は、サーマルバリアコーティング15(本明細書では「TBC」と称する)を含む。
図6に概略的に縮尺通りではなく示されているように、TBC15は、構成要素の露出した表面に塗布された、材料の薄い層である。しばしば、TBC15は、TBC15によって保護される基板25または構成要素の表面に直接塗布されるボンドコート層20に、塗布される。ボンドコート20は、基板25に所望の接合を提供するが、TBC15の十分な接合も提供するように、選択される。いくつかの構成では、
図6に示すように、TBC15の結合を改善するために、ボンドコート20とTBC15との間に熱成長酸化物層30が形成される。ボンドコーティング20と酸化物層30のための材料の選択は、例え採用されるとしても、本発明にとって重要ではなく、基板25に使用される材料、基板25とTBC15との間の熱膨張係数の差、及び本発明にとって重要でない他の考慮事項などの、設計上の考慮に基づいて選択される。
【0014】
ほとんどの構造において、TBC15は、イットリア安定化ジルコニアのようなセラミック材料である。いくつかの構造において、TBC15は、イットリア安定化ジルコニア(例えば、8YSZ)を有するジルコニアベースのTBCまたはパイロクロアベースのセラミックを含み、この用途によく適している。TBC15の典型的な適用は、TBC15とTBC15が適用される材料層(ボンドコーティング20)との間に界面ライン35を生成する大気プラズマ溶射プロセス(APS)を利用する。もちろん、他のTBC15も必要に応じて採用することができる。
【0015】
ガスタービンエンジン10における所定の運転期間の後に、多くの構成要素は定期的な保守点検を必要とする。そのような構成要素の一例は、エンジン10のタービンセクションに(回転的に)配置された様々なタービンブレード40である。他の構成要素は、ベーン45、(静止)バスケット50、トランジション55、又はTBC15を含む任意の他の構成要素(
図7に示す)を含むことができる。当業者が理解するように、本明細書に記載されるプロセスは、TBC15を含むこれらの構成要素のいずれにも適用することができる。残りの説明は、ブレード40の修理/磨き直しに焦点を当てているが、本発明が構成要素としてブレード40だけに限定されるべきではないことは明らかである。
【0016】
図1は、タービンブレード40を所定の期間、高温の作動温度で作動させた後、補修するための/磨き直すための、基本プロセスを概説するフローチャートである。
図1を参照すると、プロセスの初期段階は、ブレー
ドを運転部から取り外すこと
60である。各ブレード40は、個別に補修されまたは磨き直される、したがって、個々のプロセスが必要に応じて適用されることを可能にするために、タービンロータから取り外されなければならない。
【0017】
各ブレード40は、次に、種々の非破壊検査(NDE)技術を用いて検査される。1つの検査は、各ブレード40上の様々な場所におけるTBC15の厚さ67の検査65である。このような検査65を行うために幾つかの異なる技術を用いることができるが、渦電流検査が好ましい。渦電流検査は、TBC15の厚さ67を測定するために取り付けられたTBC15とボンドコーティング20との間の界面ライン35を、容易に検出することができる。
図3は、12の異なる位置で検査された3つのブレード40のためのテーブル70を含む。データには、異なる場所での修理または磨き直しの結果としての、ミクロン単位のTBC層15に対する厚さ67の減損が含まれる。
【0018】
一旦、TBC15の厚さ67が測定されると、修理/磨き直しプロセスの後に、次回の計画された検査および修理までの継続的な動作のために、十分なTBC15が残ることを保証するために、分析75が実施される。例えば、1つの構成要素は、プロセスを実施することができる前に、12ミクロン以上の最小TBC厚さ67を必要とする場合がある。測定された厚さ67のいずれかが、最小厚さ67を下回る場合、ブレード40または他の構成要素を再び使用状態に戻す前に、TBC15を剥ぎ取り、再塗布しなければならない(ステップ140)。
図3の表に記載されたブレード40については、すべての測定箇所が最小TBC厚さ67を超えているため、ブレード40は修理/磨き直しプロセスに適している。
【0019】
修理/磨き直しプロセスにおける次のステップは、ブレード40、特にTBC15を含む領域をスポンジブラスト80することである。従来の修理では、TBC15の再適用を可能にするために、グリットブラストを用いてTBC15を完全に除去した。しかしながら、有意な試験および実験を通して、適切なパラメータが採用される場合、スポンジブラスト処理を使用して、TBC15を過剰に除去することなく、ブレード40または他の構成要素をクリーニングできることが分かった。修理/磨き直しプロセスは開始厚さを手入れされた厚さと比較することをさらに含み、TBCの除去された厚さを決定し、除去された厚さは、例えば0.001インチ(0.025mm)未満であってもよい。修理/磨き直しプロセスはAPSスプレー/コートの1つ且つ唯一のパスを適用することをさらに含んでもよい。
【0020】
図2は、所望の媒体95を所望の速度で空気流100に供給する主供給ユニット90を含むスポンジブラスト装置85を図示する。空気は、別個の空気圧縮機又は他の供給源によって供給することができ、所望の作動圧力で空気を供給するように調節される。ユーザ105は、洗浄すべき表面に空気および媒体を導くノズルまたはガン110を操作する。ノズルまたはガン110は、所望の供給圧力を維持するために空気をさらに調節する。リサイクラー115を設けて、使用済み媒体95を回収し、使用済み媒体95を供給ユニット90に向け直して再利用することができる。リサイクラー115は、まだ使用可能な媒体95を、もはや使用できなくなるまで損傷または劣化した媒体95から、分離する。必要に応じてスポンジブラストシステム85を強化するために、追加の構成要素を採用してもよい。
【0021】
スポンジブラストプロセスでは、作動圧力の空気100がブラスト媒体95と混合され、空気100と媒体95の両方が供給圧力の下で構成要素に向けられる。作動圧力、媒体95および供給圧力の選択は、それぞれ、クリーニングプロセスの品質および除去されるTBC15の量に、影響を及ぼす。一構成では、作動圧力は35~55psiであり、約45psiプラスマイナス5psiがより好ましく、供給圧力は20~40psiであり、約30psiプラスマイナス5psiが好ましい。
【0022】
スポンジブラストプロセスのために多数の媒体95が利用可能であるが、特に好適に見出される一つの媒体95は、200~400の間に、より好ましくは300~350の間にグリットを有し、酸化アルミニウムを含浸させたスポンジベースである。より研磨性の高い媒体またはよりアグレッシブな媒体、またはよりアグレッシブでない媒体も使用できる。前述の200~400グリットの酸化アルミニウム媒体は、上述した圧力で良好に作動することに留意されたい。別の媒体を選択した場合は、前述の圧力も調整する必要があるかもしれない。
【0023】
図4は、スポンジブラストステップ80の前のタービンブレード40(
図1)を図示し、
図5は、スポンジブラストステップ80の後のタービンブレード40を図示する。スポンジブラストステップ80の後、TBC厚さ67が再び測定される120。
図3の表70は、この第2の測定120の結果を含み、プロセス中に除去されたTBC15の量を示す。ここでも、最小値よりも低い厚さ67を含む任意のブレード40が、TBC層15を剥離及び過去に行われたように再適用することによってさらに修復されるように、プロセスのこの段階で、第2の所定の最小厚さを設定することができる(
図1の分析ステップ125を参照)。本例では、この第2の所定の最小厚さよりも低い厚さ67を有するブレード40はなく、全てのブレード40がプロセスの次のステップに進むことができる。
【0024】
周知のように、多くのタービンブレード40及びベーン45、又は他の構成要素は、ブレード40又はベーン45を通る冷却空気の流れを可能にするためにそれらの表面に形成された内部通路及び開口を含む。スポンジブラストステップ80の間、幾つかの媒体95が表面開口部及び/又は内部通路内に詰まることが可能であり、且つ可能性が高い。これらの望ましくない残骸を除去するために、ブレード40は、所定の温度まで一定時間加熱される(ステップ130)。上述のように、好ましいスポンジブラスト媒体95は、スポンジベースに埋め込まれた酸化アルミニウムを含む。あらかじめ定義された温度は、残っているすべてが酸化アルミニウム材料であるように、スポンジ材料の完全な燃焼を保証するように選択される。酸化アルミニウムの粒径は十分に小さく、高圧空気、水、または望まれる別の流体で通路を洗い流すことによって除去することができる。一構造では、ブレード40及びベーン45は、華氏約1000度から華氏1200度(摂氏538度から摂氏649度)プラス又はマイナス20パーセントまで、約1時間加熱される。他の用途では、より高い温度またはより低い温度、およびより長いまたはより短い保持時間を必要とする。加えて、大部分の用途において、急速な加熱は熱応力を誘発し構成要素の損傷または歪みを引き起こし得るので、構成要素を徐々に加熱することが望ましい。
【0025】
次のステップでは、ブレード40または他の構成要素に大気プラズマスプレー(APS)コーティングプロセス135を施して、TBC15表面の均一性を改善する。このコーティングステップ135が完了すると、ブレード40、または他の構成要素を手入れして、あらゆる破片またはオーバースプレーを除去することができ、任意の内部通路を手入れすることができ、ブレード40または他の構成要素は、追加の分析、検査、または試験に供され、その後、運転部に戻すことができる。
【0026】
本開示の例示的な実施形態について詳細に説明したが、本明細書に開示される様々な変更、代替、変形、および改良を、開示の精神および範囲から逸脱することなく、その最も広範な形態で行うことができることは、当業者には理解されるであろう。
【0027】
本出願における説明のいずれも、いかなる特定の要素、ステップ、行為又は機能も、特許請求の範囲に含まれなければならない必須の要素であることを意味するものと読み取られるべきではない。特許される対象の範囲は、許可される請求項によってのみ規定される。さらに、これらの請求項のいずれも、正確に「ための手段」なる語句が分詞に続く場合を除き、手段プラス機能の請求項構成を呼び出すことを意図したものではない。