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特許7361110可動式スプレーノズルを備えたコーティング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】可動式スプレーノズルを備えたコーティング装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 13/04 20060101AFI20231005BHJP
   B05B 3/00 20060101ALI20231005BHJP
   B05B 1/20 20060101ALN20231005BHJP
   A61K 9/28 20060101ALN20231005BHJP
   A23L 5/00 20160101ALN20231005BHJP
【FI】
B05B13/04
B05B3/00
B05B1/20 102
A61K9/28
A23L5/00 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021525379
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 ES2019070425
(87)【国際公開番号】W WO2020016465
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】18382536.3
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521025636
【氏名又は名称】ロマコ テクファム エセ エレ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クワドラード フェルナンデス ペドロ
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-516166(JP,A)
【文献】特開2003-062500(JP,A)
【文献】特表2003-533349(JP,A)
【文献】国際公開第2010/047237(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/009102(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0256305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-3/18
7/00-9/08
13/00-13/06
17/00-17/08
B05C 1/00-3/20
B05D 1/00-7/26
B01J 2/00-2/30
A61J 3/06
A23G 3/26
A23L 5/00
A61K 9/28-9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動式スプレーノズルを備えたコーティング装置(100)であって、
穿孔されたドラム(3)であって、前記ドラム(3)の回転中に被覆される多量の物品(4)を攪拌することが意図され、それが自由表面を画定する前記ドラム(3)を収容するコーティング容器(2)、及び前記物品(4)を、それらが前記ドラム(3)によって攪拌されている間に被覆しようとする製品のためのスプレーノズル(21)のセットの位置決めグループ(1)とを含み、
前記位置決めグループ(1)は、
前記ドラム(3)の内側に本質的に軸方向に配置され得て、内側シャフト(6)を収容するコントロールカラム(5)と、第1の軸(11)の周りで一緒に連結される第1の部分(7a)と第2の部分(7b)を有する少なくとも1つの関節アーム(7)とを備え、
前記第1の部分(7a)は前記コントロールカラム(5)と連動して回転し、ノズルセット(21)のキャリア(20)は第2の軸(12)の周りで前記関節アーム(7)の前記第2の部分(7b)に関節方法で接合され、両方の第1及び第2の軸(11、12)は、互いに、かつ前記コントロールカラム(5)に平行であり、
前記コントロールカラム(5)及び前記関節アーム(7)に収容された滑車手段及び対応する引っ張り手段に基づくトランスミッションシステム(30)であって、前記コントロールカラム(5)と前記内側シャフト(6)との間の相対角度位置に基づいて、前記関節アーム(7)の収縮又は伸長と、前記関節アーム(7)の前記第2の部分(7b)に対する前記ノズルセット(21)のキャリア(2)の回転とを同時に生じるトランスミッションシステム(30)と、
前記コーティング容器(2)の外側から、それぞれ前記コントロールカラム(5)及び前記内側シャフト(6)の回転を作動し、それによってユーザの利便性に合わせて角度位置を変化させ、それに伴い、前記関節アーム(7)の伸長の程度及び前記ノズルセット(21)のキャリア(20)の向きを変化させる第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータ(5a、6a)と、を備えること、
を特徴とする、コーティング装置(100)。
【請求項2】
請求項1に記載のコーティング装置(100)であって、
前記トランスミッションシステム(30)が、
前記内側シャフト(6)に固定又は一体化される第1の滑車手段(31)と、
前記第2の軸(12)の周りを自由に回転し、前記ノズルセット(21)の前記キャリア(20)に固定又は一体化される第2の滑車手段(32)と、
前記第1の軸(11)の周りを自由に回転し、第1の引っ張り手段(35)によって前記第1の滑車手段(31)に接続される第3の滑車手段(33)と、
前記関節アーム(7)の前記第1の部分(7a)に固定又は一体化され、第2の引っ張り手段(36)によって前記第2の滑車手段(32)に接続される第4の滑車手段(34)と、
前記第1及び第2の滑車手段(31、32)の1回転がそれぞれ前記第3及び第4の滑車手段(33、34)の2回転以上に対応するように、又は前記第3及び第4の滑車手段(33、34)の1回転がそれぞれ前記第1及び第2の滑車手段(31、32)の2回以上に対応するように構成される前記滑車手段と、
を備えることを特徴とする、コーティング装置(100)。
【請求項3】
請求項2に記載のコーティング装置(100)であって、
前記滑車手段は、前記第1及び第2の滑車手段(31、32)の1回転がそれぞれ前記第3及び第4の滑車手段(33、34)の2回転に対応するように構成されることを特徴とする、コーティング装置(100)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のコーティング装置(100)であって、
前記コントロールカラム(5)は2つの関節アーム(7)を備え、前記ノズルセット(21)のキャリア(20)が前記関節アーム(7)のそれぞれ前記第2の部分(7b)に連結されて、2つの前記第2の部分(7b)の間に延びるように接合されることを特徴とする、コーティング装置(100)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のコーティング装置(100)であって、
前記ノズルセット(21)のキャリア(20)は、噴霧される前記製品のコレクタチューブ又は分配器(22)を、前記ノズルセット(21)のキャリア(20)と前記第2の部分(7b)、又は前記関節アーム(7)若しくは複数の関節アーム(7)の各第2の部分(7b)との間で前記第2の軸(12)と軸方向に整列させて含むことを特徴とする、コーティング装置(100)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のコーティング装置(100)であって、
前記位置決めグループ(1)は、前記スプレーノズル(21)に噴霧される前記製品を供給するための手段を含み、これは前記コーティング容器(2)の外側と前記スプレーノズル(21)との間の前記コントロールカラム(5)を介した油圧接続回路(8)を含むこと、
を特徴とするコーティング装置(100)。
【請求項7】
請求項6に記載のコーティング装置(100)であって、
前記油圧接続回路(8)は、前記コントロールカラム(5)と前記ノズルセット(21)のキャリア(20)との間の第3の関節接合アーム(9)の内側に部分的に収容されることを特徴とする、コーティング装置(100)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のコーティング装置(100)であって、
前記スプレーノズル(21)は、前記ノズルセット(21)の支持体(20)と前記少なくとも1つの関節アーム(7)との間の前記第2の軸(12)に平行に延びるガイド部材(23)に取り外し可能な方法で結合されること、
を特徴とするコーティング装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の製品(product)で被覆される多量の物品(article)を攪拌することを意図した回転ドラムを含むタイプのコーティング装置であって、多量の物品はその製品をドラムの内側に配置されたノズルを通して噴霧することによって被覆されるタイプのコーティング装置に関する。これらの装置は、例えば、医薬製品又は菓子製品などの粒状物品の被覆に使用される。
【背景技術】
【0002】
コーティング装置は、製薬部門で広く使用され、1つ又は複数の製品の外層を粒状物品又はカプセルの形態の物品に塗布する。
【0003】
これらの装置は、本質的に容器を含み、その内側で被覆される多量の物品を含むドラムが回転する。装置は一般に、物品を被覆するのに用いられる製品のための一連のスプレーノズルを備える。このスプレー動作は、ドラムが多量の物品を回転させて攪拌するのと同時に実行されて、物品の均一な被覆を確実にする。また、従来の方法において、ドラムは穿孔され、コーティング装置はドラムを通過する強制空気回路を含み、噴霧される製品が被覆される物品に塗布された後に、その噴霧された製品を乾燥するのに役立つ。
【0004】
ノズルと被覆される物品の自由表面との間の距離が、適切な被覆を確実にするための重要な要因であることが判明する。しかしながら、この距離は、最適な被覆を実現するのに関与する唯一のパラメータではない。噴霧される製品のビームの方向などの別の要因が重要な役割を果たし、特に、被覆される多量の物品の自由表面に対して本質的に垂直な方向にビームを向けるために重要である。
【0005】
固定ノズルを備えた装置は、これらの要件に適合させることができず、したがって非常に特定の物品のバッチにのみ適切に用いられ得る。
【0006】
例えば、被覆される物品のバッチが小さいほど、ドラムの内側で攪拌される物品の自由表面とスプレーノズルとの間の距離が大きくなり、本質的に大きなバッチに適した固定ノズルを備える装置が小さなバッチに使用されるのを妨げ、またその逆も同様である。
【0007】
同様に、物品の単一バッチに対して、その自由表面とノズルとの間に異なる距離が必要とされる場合があり、例えば、物品を被覆するために使用される製品の特性が変化する場合である。
【0008】
同様に、ノズルと製品の自由表面との間の距離以外に、固定ノズルを備えた装置の性能に影響を与える別のパラメータは、ノズルの向きである。バッチの容積の変化は、ドラム内の多量の物品の自然な配置をドラムの回転中に変化させ、その結果、多量の物品の自由表面の距離が変化するのみでなく、その自由表面の向きも変化する。したがって、ノズルの向きは、ドラムの内側での多量の物品の自由表面の新しい向きに応じて調整されなければならない。
【0009】
更に被覆を最大限に最適化するのに寄与する別のパラメータは、ドラムの回転速度、その交換など、本質的に、固定された噴霧点に関して、多量の物品の自由表面の距離及び/又は向きの変化を引き起こし得る任意のパラメータであり得る。
【0010】
本発明の第1の目的は、可動噴霧ノズルを備えたコーティング装置であり、可動噴霧ノズルは異なる空間位置をとることができ、またその向きを変化させて、物品のバッチ及び/又はその被覆に使用される製品に適合させることもできる。
【0011】
ドラムの内側でノズルを移動するための適切な位置決めグループを設計する際に克服すべき1つの障害は、その作動が、ドラムを収容する容器の外側から行われることが好ましいということである。これは、容器の外側のアクチュエータとノズルの可動支持体との間のトランスミッションが容器の壁を通過する必要があることを意味し、このために容器のカバーの一部が通常使用され、それを動かして、ドラムの内側に物品を導入可能なアクセス開口部の覆いを外し、又は閉じることができる。これは、容器の密閉性を妥協してはならない装置の繊細な部分である。したがって、複合の密閉クロージャ、例えば、レール又は溝の上をスライドする可動部品を備えたスライダは避けなければならない。
【0012】
特許文献1は、一連のノズルの位置決めグループを含むコーティング装置を説明する。この位置決めグループは、ノズルを垂直方向に動かすことのみできる1自由度のみを有して、ノズルをドラムの底部に近づけ、又は遠ざけるように動かす。この位置決めグループは、ノズルを別の方向に動かすように準備されていないという事実に加えて、ドラムの内側における多量の物品の自由表面の方向に応じてノズルを方向付けるようにも準備されていない。
【0013】
特許文献2は、前述の装置の代替物を説明し、関節アームがドラムに導入された管の固定支持体に回転結合される。ノズルを装備するこのアームの一方の自由端部は、回転シャフトの一体式ガイドに沿って可動式に接合される。このシャフトの回転を作動することにより、ガイドを一方の方向又は他方の方向に回転させて、関節アームを収縮又は伸長し、同時に本質的にノズルを同じ向きに維持することができる。実際には、ノズルの向きを過度に変えることなく、ノズルをドラムの壁に近づけ、又は遠ざけるように動かすことが可能である。この提案は、特許文献1で説明される解決策をいくつかの局面で改善するが、装置が多用途性であるために所望される最小の自由度をノズルに提供することは依然として不可能であり、これは、その可能な配置のすべてにおいて、前述のように、物品の自由表面の向きがその性質及び容積、ドラムの回転速度などに応じて変化し、その結果、各場合でノズルの最適な向きが変化するときに、ノズルは同じ向きを有するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2003-62500号
【文献】欧州特許第1200197号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
提案された装置は、前述の欠点を克服する。装置は、それ自体が周知の方法で、回転及び穿孔ドラムを収容するコーティング容器を含み、回転及び穿孔ドラムは、ドラムの回転中に被覆される多量の物品を攪拌することが意図され、それは自由表面を画定し、また物品がドラムによって攪拌されている間に、それに被覆しようとする製品のためのスプレーノズルのセットの位置決めグループを含む。
【0016】
本質的に、装置は、位置決めグループがドラムの内側で本質的に軸方向に配置することができるコントロールカラムを含み、これは内側シャフトを収容し、コントロールカラムは、第1の部分及び第2の部分が第1の軸の周りに一緒に連結される少なくとも1つの関節アームを備え、第1の部分はコントロールカラムと連動して回転し、また第2の軸の周りに関節方法で関節アームの第2の部分に接合されるノズルセットキャリアを含み、第1の軸と第2の軸の両方は互いに、及びコントロールカラムに平行であることを特徴とする。
【0017】
位置決めグループはまた、コントロールカラム及び関節アーム内の滑車手段及び対応する引っ張り手段に基づくトランスミッションシステムを含み、これは、関節アームの収縮又は伸長と関節アームの第2の部分に対するノズルセットキャリアの回転を、コントロールカラムと内側シャフトとの間の相対角度位置に基づいて同時に生成し、位置決めグループは更に、容器の外側から、コントロールカラムの回転と内側シャフトの回転をそれぞれ作動させるための第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータを含み、そして、それによって、その角度位置を簡便に変化させ、そうすることによって、関節アームの伸長の程度とノズルセットキャリアの向きを変化させる。
【0018】
有益なことに、ノズルセットの空間内での位置決めと向きは、コントロールカラム及びその内側シャフトの回転によって実現され得て、この動作は、容器の外側から非常に容易に行われる。
【0019】
同様に、位置決めグループは、ドラムの内側の伸縮アーム、ネジなどの直線運動を生成する機構の使用を回避し、その機構は通常、要素間の内外への挿抜を含み、粒子がその内側に配置されて、洗浄動作中に排除されず、除去されず、医薬製品の調製の分野で望ましくないクロスコンタミネーションを引き起こすリスクを負っている。
【0020】
このリスクは、本発明の装置では、ノズルの直線運動が回転運動の組み合わせの結果によるものであるために存在せず、回転運動は、例えば製薬部門において有効なシールで容易に保護され得る。
【0021】
一実施形態では、トランスミッションシステムは、内側シャフトに固定され、又は一体化された第1の滑車手段、第2の軸の周りを自由に回転し、ノズルセットキャリアに固定され、又は一体化された第2の滑車手段、第1の軸の周りを自由に回転し、第1の引っ張り手段によって第1の滑車手段に接続された第3の滑車手段、及び関節アームの第1の部分に固定され、又は一体化され、第2の引っ張り手段によって第2の滑車手段に接続された第4の滑車手段を含み、これらはすべて、第1及び第2の滑車手段の1回転が、第3及び第4の滑車手段の2回転以上に、それぞれ対応するように構成される。
【0022】
トランスミッションシステムは、コントロールカラムとその内側シャフトとの間の相対位置の変化によって作動されるという意味で、受動的であり、又は駆動される。
【0023】
好ましくは、第1の滑車手段と第3の滑車手段との間、及び第2の滑車手段と第4の滑車手段との間には、乗算又は減算関係がある。対象の実施形態では、滑車手段は、第1及び第2の滑車手段の1回転が、第3及び第4の滑車手段の2回転に、それぞれ対応するように構成される。
【0024】
本発明の変形例によると、コントロールカラムは2つの関節アームを備えており、その結果、ノズルセットキャリアは関節方法で接合され、関節アームのそれぞれの第2の部分の間に延在する。
【0025】
ノズルセットキャリアは、噴霧される製品のためのコレクタチューブ又は分配器を含み得て、好ましくは、キャリアと、それが関節方法で接合される関節アーム又は複数の関節アームの第2の部分又は各第2の部分との間に連結された第2の接合軸と軸方向に整列される。このようにして、その回転を作動するために必要な力の運動量が減少される。
【0026】
位置決めグループは、噴霧される製品をノズルに供給するための手段を含み、その手段は好ましくは、容器の外側とノズルとの間にコントロールカラムを通る油圧接続回路を含み、したがって、ドラムへのアクセスの部分において容器との間のより密閉されたクロージャはもはや必要ない。
【0027】
一実施形態では、油圧接続回路は、コントロールカラムとノズルセットキャリアとの間の第3の関節接合アームの内側に部分的に収容される。
【0028】
ノズルの交換を容易にして、その数又は分布を変更するため、ノズルは、ノズルセットと少なくとも1つの関節アームとの間の第2の接合軸に平行に延びるガイド部材に取り外し可能な方法で結合されることが想定される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明による装置の全体図である。
図2図1による装置の位置決めグループの斜視図を示す。
図3図2の位置決めグループの断面図である。
図4図3の破線でマークされた部分の詳細の図である。
図4】第3の滑車手段から関節アームの第2の部分に回転を伝達し、次に第4の滑車手段を関節アームの第1の部分に固定するための主要構成要素と相関的な取付け位置の図である。
図5a】コントロールカラムと内側シャフトとの間の相対角度位置が変化したときの、位置決めグループのトランスミッションシステムの機能を表す一連の動きを示す。
図5b】コントロールカラムと内側シャフトとの間の相対角度位置が変化したときの、位置決めグループのトランスミッションシステムの機能を表す一連の動きを示す。
図5c】コントロールカラムと内側シャフトとの間の相対角度位置が変化したときの、位置決めグループのトランスミッションシステムの機能を表す一連の動きを示す。
図6a】コントロールカラムと内側シャフトが一緒に回転されるときの、位置決めグループのトランスミッションシステムの機能を表す一連の動きを示す。
図6b】コントロールカラムと内側シャフトが一緒に回転されるときの、位置決めグループのトランスミッションシステムの機能を表す一連の動きを示す。
図7a】被覆される2つの異なる量の物品の要件に適合して、本発明による装置内でノズルセットがとることができる2つの異なる位置を示す概略図である。
図7b】被覆される2つの異なる量の物品の要件に適合して、本発明による装置内でノズルセットがとることができる2つの異なる位置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明を例示する装置100を示す。装置100は、既知の方法で、被覆される物品がその中に配置される回転ドラム3を収容する容器2を含む。図には示されていないが、ドラム3は穿孔ドラムであり、ドラム3の回転中に適切な方法で物品を攪拌するための一連のフラップを有し得る。
【0031】
装置100は、物品を被覆する必要がある製品を噴霧するためのノズルセット21を備える。装置100の作業サイクルは、ノズル21がドラム3に導入され、同時にドラム3が回転して被覆される物品を攪拌し、その結果、ノズル21によって噴霧された製品が物品の表面に塗布される段階を含む。ドラム3の回転及びノズル21の正しい配置は、物品の表面への製品の塗布を均一にするのに役立つ。
【0032】
ドラム3は、その基部の1つで開口し、そこを通って被覆される物品が導入され、被覆された物品は装置100の作業サイクルが終了するとそこを通って引き抜かれる。従来の方法では、図1の装置100は、ドラム3の開口部の覆いを外し、又は閉じるために、のぞき穴10aを備えたカバー10を含む。図1の例では、その取り扱いを容易にするために、このカバー10は、容器2の本体に蝶着されるのではなく、ドラム3に対して軸方向に従う容器2の取り外し可能なカバーであり、カバー10の重量と、この場合では更にノズルセット21の位置決めグループ1の重量とを支えるのに適したガイドシステム14及びスライダ13から吊り下げられており、位置決めグループ1の機能は、以下で更に詳細に説明されるように、行われる作業に応じてノズル21を最適な方法で配置し、配向することができることである。
【0033】
図2は、前述の位置決めグループ1を示す。この位置決めグループは、カバー10が容器2を閉じるように配置されたときにドラム3の内側に本質的に軸方向に配置されるコントロールカラム5を含み、コントロールカラム5はノズル21のキャリア20がその間に延在する第1及び第2の関節アーム7と、第3の関節アーム9を備え、関節アーム9は中央にあり、サービス用であり、ノズル21を制御するために必要とされるすべてのサービスを収容するのに適する。特に、各関節アーム7は、第1の軸11の周りに一緒に連結される第1の部分7a及び第2の部分7bを有し、第1の部分7aはコントロールカラム5に一体化され、ノズルセット21のキャリア20は、第2の軸12の周りで関節アーム7の第2の部分7bに関節方法で接合され、第1及び第2の軸11、12の両方は、互いに、かつコントロールカラム5に平行する。
【0034】
これらの関節接合により、第3のサービスアーム9は、第1の軸11と整列される回転軸の周りで連結される第1及び第2の部分9a及び9bを更に含む。同様に、第3のアーム9の第2の部分9bは、ギャップ又は特定の遊びを有して、ノズル21のキャリア20に機械的に接続される。ある程度の動きの自由度を備えるこの接続では、柔軟な特性を有する構成要素、外部保護カバー、伸縮接続などが介入し得る。
【0035】
ノズル21の前述のキャリア20は、関節アーム7に連結され、関節アーム7は、折り畳み及び伸長する能力を有し、同時に、コントロールカラム5が回転されるときに回転することができる。これらの特性は、十分な自由度を位置決めグループに提供し、作業ニーズに応じて、ノズル21をドラム3の内側の最適な位置に、また最適な向きに配置する。
【0036】
そのような効果のために、コントロールカラム5は回転可能なコントロールカラムであり、その長手方向軸の周りを回転することができ、かつ内側同軸シャフト6を収容し、内側同軸シャフト6はまたコントロールカラム5とは独立して回転可能であり、位置決めグループは、トランスミッションシステム30を更に含み、これについては、図3及び図4を使用して以下で更に詳細に論じるが、コントロールカラム5及び関節アーム7に収容された滑車手段及び対応する引っ張り手段に基づいて、ステアリングカラム5と内側シャフト6との間の相対角度位置を変化させることによって関節アーム7の折り畳み又は延長を生成する。有用なことに、このトランスミッションシステム30は、ノズル21のキャリア20がその向きを矯正し、その結果、その向きは関節アームが折り畳み、又は伸長するときに変化しないことを更に保証する。
【0037】
図3及び図4に示すように、各関節アーム7について、トランスミッション機構30は第1の滑車手段31を含み、それは内側シャフト6に接合され、その周りを関節アーム7の第1の部分7aは、コントロールカラム5が内側シャフト6に対して回転するときに回転し、また第1の軸11の周りを自由に回転する第3の滑車手段33を含み、それは、関節アーム7の第1の部分7aの自由端部に配置され、第3の滑車手段33によって駆動される回転シャフト11aに堅固に結合され、滑車手段33に関節アーム7の第2の部分7bが堅固に接合され、第1及び第3の滑車手段31及び33は、第1の引っ張り手段35によって互いに関連する。
【0038】
各関節アーム7に関して、トランスミッション機構30は、第4の滑車手段34を更に含み、これは第3の滑車手段33と同軸であるが、関節アームの第1の部分7aに堅固に接合され、その周りを関節アーム7の第2の部分7bは、回転シャフト11aが第3の滑車手段33と一緒に回転するときに回転し、また第2の軸12の周りを自由に回転する第2の滑車手段32を含み、それは関節アーム7の第2の部分7bの自由端部に配置され、ノズル21のキャリア20に堅固に接合され、第4及び第2の滑車手段34及び32は、第2の引っ張り手段36によって互いに関連する。
【0039】
例の実施形態では、滑車手段は、第1及び第2の滑車手段31、32の1回転が、第3及び第4の滑車手段33、34の2回転に対応するように構成される。
【0040】
同様に、第1及び第2の引っ張り手段35及び36の張力を保証し、第1及び第2の引っ張り手段と第3及び第4の滑車手段33及び34との接触弧を増加させるために、偏向ホイール35a及び36aのそれぞれのグループは、それぞれ、調整可能な位置に配置されることが想定される。
【0041】
本発明を例示する実施形態では、トランスミッションシステム30は、第1、第2、第3及び第4の滑車手段31~34として歯車を有し、第1及び第2の引っ張り手段35及び36として歯状又は歯付きベルトを有する。代替的に、歯状ベルト及びピニオンホイールと一般に引っ張り力を伝達することができる任意のタイプの滑車手段及び引っ張り手段の代わりにチェーンを使用できる。この意味で、滑車手段と引っ張り手段との間に機械的干渉又は十分な摩擦がある限り、トランスミッションは起こり得る。また、本発明の本質を変えることなく、ケーブル又はバンドとその周囲にチャネルを有する、又はチャネルのないホイールの使用も想定される。
【0042】
トランスミッション手段30の構成要素は、位置決めグループ1の内側に完全に収容され、ドラム3の内側の環境から保護される。この例では、第1の引っ張り手段35は、関節アーム7の第1の部分7aの内側を延び、第2の引っ張り手段36は、関節アーム7の第2の部分7bの内側を延びる。
【0043】
関節アーム7の第1の部分7aと第2の部分7bとの間の関節接合は、図4の詳細の拡大図に示され、その主要構成要素は、相関的な取付け位置で図4aに表される。可能な機械的代替の1つとして、本例において、回転シャフト11aには、円周方向の弧状にその中心に対して同心である2つのガイドスロット11bを備えるリングが設けられる。ことにより、回転シャフト11aに対して固定された関節アーム7の第2の部分7bと、これに関連する、ガイドスロット11aを介して接合されたハブ34aに固定された関節アーム7の第1の部分7a、回転シャフト11aの周りに取付けられる第3の滑車手段34との間の相対移動は、軸受け33aのセットによって可能となる。これは回転シャフト11aと関節アーム7の第2の部分7bとによって形成されたセットと、第3の滑車手段33、及び前述の関節アーム7の第1の部分7aに十分な長さを有する1組のボルトによって固定されたハブ34aによって形成されるアセンブリとの間の回転運動を可能とする。
【0044】
したがって、コントロールカラム5と内側シャフト6との間の相対位置は、関節アーム7の伸長の程度を決定し、コントロールカラム5と内側シャフト6の絶対位置は、ノズル21の向きを決定し得る。これを利用するために、装置100はアクチュエータを含み、レバー5a及び6aをそれぞれ作動させることによってコントロールカラム5及び内側シャフト6を個別に回転し、レバー5a及び6aは、例えば、ブラシレスタイプのモータを備えたそれぞれの電動スクリュータイプの作動によって作動される。
【0045】
位置決めグループ1の動作原理は、図5a~図5c、図6a及び図6bを使用して、以下に説明される。
【0046】
A)被覆される物品の層に対するノズルの向きを変更する。
向きの変更は、物品の量を変えると、ドラムの内側でその自由表面の向きが変化し、その結果、スプレービームの理想的な向きが変わるために必要である。
【0047】
図6a及び図6bのシーケンスに示されるように、レバー5a及び6aの電動アクチュエータが、同時であるかどうかにかかわらず、コントロールカラム5及び内側シャフト6の同量の回転を同じ方向に生成する場合、その相対位置は変化しない。コントロールカラム5及び内側シャフト6は、同じ絶対基準に対してそれらの位置を変え、関節アーム7の回転を引き起こすが、それらの伸長の程度は変化しない。この回転により、ノズル21の向きに変化が生じる。
【0048】
この動きA)は図6a及び図6bに表され、レバー5aとレバー6aの両方の反時計回りの方向への15°の回転を示し、それぞれ、コントロールカラム5及び内側シャフト6を作動させる。この回転により、スプレーノズル21も反時計回りの方向へ15°の回転を生じる。
【0049】
B)関節アームの伸展の程度を変更する。
関節アームの伸長の程度の変更もまた必要であり、これは物品の量を変えることによって、関節アームがドラムの中心に対して物品の層の自由表面から離れ、又は近づくように動き、ノズルの位置を、物品から理想的な距離にノズルを配置するように修正する必要があるためである。関節アームの伸長の程度により、スプレーノズルを物品に近づけ、又は遠ざけるように動かし得る。
【0050】
図5aから図5cのシーケンスに示されるように、レバー5a及び6aの電動アクチュエータが、同時であるかどうかにかかわらず、その相対位置に変動を生じる場合、コントロールカラム5及び内側シャフト6もまた、それらの相対位置を変化させ、関節アーム7の伸長の程度に変化を生じる。
【0051】
この動きB)は、図5a及び図5cに表され、レバー6aを不動に保ったままでの、レバー5aの反時計回りの方向への30°の回転が、内側シャフト6を静止状態に保ったままで、コントロールカラム5の回転を引き起こすことを示す。
【0052】
この場合、第1の滑車手段31は静止状態に保たれ、関節アームの第1の部分7aは、レバー5aと同じ量だけそれらの周りを回転する。
【0053】
一方では、関節アーム7の第1の部分7aの動きは、第1の引っ張り手段35に第3の滑車手段33を引っ張らせ、次に、回転シャフト11aを介して、関節アーム7の第2の部分7bを引っ張らせ、その結果、第1の部分7aを特定の角度「α」で反時計回りの方向に回転させることにより、第1の滑車手段31によって制御される第3の滑車手段33は、関節アーム7の第2の部分7bを時計回りの方向に、第1の部分7aに対して角度「2α」で回転させる。
【0054】
例では、レバー5aと6aとの間の相対位置の60°の変動は、関節アーム7の第1の部分7aと第2の部分7bとの間に形成される角度に120°の変動を引き起こし、角度は、最初は30°であり、最終的には150°となる。
【0055】
他方では、同じ現象が、ノズル21のキャリア20と関節アームの第2の部分7bとの間で発生する。
【0056】
第4の滑車手段34は、関節アームの第1の部分7aに接合され、第2の引っ張り手段36によって、かつ関節アーム7の第2の部分7bが前述の第3の滑車手段33の周りを回転する効果によって、第2の滑車手段32を引っ張るが、それらの関係は1対2であるため、それらは第2の滑車手段32を、関節アーム7の第1の部分7aに対して時計回りの方向に絶対値「α」の角度で回転させ、しかし第1の部分7aは反時計回りの方向、つまり反対方向に同じ角度「α」で回転しているため、結果として、第2の滑車手段32は元の方向を維持する。
【0057】
これらの原理A)及びB)を行い、装置100は、被覆される物品の各バッチの必要性に基づいて、ノズル21を理想的な方法で配置して配向するように準備される。
【0058】
もちろん、ノズル21の向きを変え、同様に物品の層から遠ざける、又は層に近づける必要がある場合は、原理A)に従って、次に原理B)に従って、コントロールカラム5及び内側シャフト6の操作を進めることができ、また、逆の順序で、最初に原理B)に従い、次に原理A)に従って、コントロールカラム5及び内側シャフト6の操作を進めることができ、又は、ノズル21を理想的な空間位置と向きに配置するコントロールカラム5及び内側シャフト6の最終的又は絶対的な角度位置を事前に知って、両方の原理に同時に従い、コントロールカラム5及び内側シャフト6の操作を進めることができる。
【0059】
明らかに、角度位置及び/又はその位置に達するための操作は、自動化された方法で実行され得て、方法は制御ユニットに工場で事前にプログラムされ、又は図示していないが、ユーザが自身の経験に基づき制御ユニットにプログラムして記憶される。
【0060】
図7a及び図7bは、ノズル21の位置及び向きの両方の変更を示すことを目的とし、変更は本発明による装置100によって可能である。図7a及び図7bは、物品4の層が、物品の量に基づいてドラム3の内側でとる形態を示し、これは、異なる容積のバッチを意味する。物品の自由表面は、ドラム3の中心に対する向きと、距離でも変化し、各場合において、ノズル21は、理想的な向き(本質的に層の自由表面に垂直)及び適切な距離に配置される。
【0061】
これにより、例えば、本発明による装置100は、十分な汎用性であり、作業バッチにおいて非常に高い変動性で動作し、装置は、装置100の容量の100%を表すバッチが使用される場合と、同様に装置100の容量の10%のみを表すバッチを用いる場合で効率的であり、この比率は、正確に図7a及び図7bに示されるものである。
【0062】
例の装置100では、ノズル21に供給するために、位置決めグループ1は、容器2の外側とノズル21との間にコントロールカラム5を通して、この場合では図3に概略的に示されるように、第3の関節アーム9を通して、油圧接続回路8を含む供給手段が設けられる。そのような効果のために、可撓性ホースが使用され得て、これはこの第3の関節アーム9の形状に即座に適合させることができる。この場合、油圧接続回路は、ドラム3の外側に配置された使用される製品の供給源を、噴霧される製品のコレクタ又は分配器22に接続し、ノズルセット21のキャリア20と2つの関節アーム7の各第2の部分7bとの間で、第2の関節接合軸12と軸方向に整列させる。
【0063】
装置100の汎用性を高める目的で、この場合、ノズル21は、前述の第2の軸12に平行に延びるガイド部材23に取り外し可能な方法で結合され、その結果、それらは容易に交換可能であり、更にその数の増減が容易であり、その分布をガイド部材23全体にわたって変更することも容易である。ノズル21とコレクタ又は分配器22との間の最終的な接続は、既知の方法で、可撓性チューブ又はホース(図面には示されない)によって実行され得る。
【0064】
ノズルセット21のキャリア20はまた、装置100の動作中にドラム3の内側の物品の層までの距離を即時に測定することができる超音波タイプのセンサ24(図3を参照)を支持することができる。このようにして、装置100は、ノズル21と物品4の層との間の実際の距離を自動的に修正し、それを、ユーザによって決定された、又はプログラムによって選択された目標値に調整する手段を備える。
図1
図2
図3
図4
図4a
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7a
図7b