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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】呼吸作動式吸入器
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20231005BHJP
   A61M 11/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
A61M11/00 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021530195
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2019085538
(87)【国際公開番号】W WO2020127190
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】62/781,063
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】19156040.8
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】フォン ホレン ダーク アーネスト
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-511401(JP,A)
【文献】特表平06-500242(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0020798(US,A1)
【文献】国際公開第2018/204217(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸作動式吸入器と共に使用されるように適応するアクセサリにおいて、
前記呼吸作動式吸入器は、吸気口、薬物を送達するための排出口、及び前記吸気口と前記排出口との間の流れに応じて、前記薬物の投与量の送達を作動させるトリガ機構を有し、
前記アクセサリは、前記吸気口に適用するための圧力補助ユニットを有し、
前記圧力補助ユニットは、ある量の空気を保持するための補助チャンバ、及び前記トリガ機構を作動させるのに十分な流量で、空気を前記補助チャンバから前記吸気口に放出するためのユーザによって作動するラッチ付きの機械的放出システムを有する、
アクセサリ。
【請求項2】
前記圧力補助ユニットは、放出されていない構成であるとき、前記圧力補助ユニットを通る又はその周りを通る、前記吸気口への流れを可能にするように適応する、請求項1に記載のアクセサリ。
【請求項3】
前記機械的放出システムは、機械的に置き直されるように適応する、請求項1又は2に記載のアクセサリ。
【請求項4】
送達される薬物の投与量を捕らえるために前記排出口に適用するための捕捉システムをさらに有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のアクセサリ。
【請求項5】
前記捕捉システムは、導管を有する、請求項4に記載のアクセサリ。
【請求項6】
前記捕捉システムは、保持チャンバを有する、請求項4に記載のアクセサリ。
【請求項7】
前記保持チャンバは、前記呼吸作動式吸入器の排出口に適用するための入力部、ユーザに薬物を送達するための出力部、及び前記出力部と直列する一方向弁を有する、請求項6に記載のアクセサリ。
【請求項8】
前記出力部に結合されるフェイスマスクをさらに有する、請求項7に記載のアクセサリ。
【請求項9】
前記補助チャンバは、第1の容積を持ち、前記保持チャンバは、より大きな第2の容積を持つ、請求項6乃至8の何れか一項に記載のアクセサリ。
【請求項10】
前記保持チャンバは、圧力除去構成要素を有する、請求項6乃至9の何れか一項に記載のアクセサリ。
【請求項11】
前記圧力除去構成要素は、流量警報を提供する、請求項10に記載のアクセサリ。
【請求項12】
前記補助チャンバは、一方向弁を持つ蛇腹を有し、前記機械的放出システムは、放出されると、前記蛇腹を圧縮し、それにより空気を前記補助チャンバから放出するように適応する圧縮ばねを有する、請求項1乃至11の何れか一項に記載のアクセサリ。
【請求項13】
前記一方向弁は、前記アクセサリを通り前記吸気口への流れを可能にするように構成される、請求項12に記載のアクセサリ。
【請求項14】
吸気口、薬物を送達するための排出口、及び前記吸気口と前記排出口との間の流れに応じて、前記薬物の投与量の送達を作動させるためのトリガ機構を有する呼吸作動式吸入器、並びに
請求項1乃至13の何れか一項に記載のアクセサリ
を有する吸入器システム。
【請求項15】
前記呼吸作動式吸入器が、定量噴霧式吸入器である、請求項14に記載の吸入器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸作動式吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)及び喘息のような閉塞性気道疾患に対する薬物の摂取には、吸入器がよく知られている。様々な種類の吸入器が存在し、各々の種類は、夫々に利点及び欠点を有する。
【0003】
例えば、標準的な加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)は、ユーザ又は介護者により押し下げられ、薬物の投与量を直接ユーザに放出するキャニスタを使用し、送出される投与量を一時的に保存するために、出力弁を備える保持チャンバを使用するというオプションがある。
【0004】
吸入器の技術は、ユーザのニーズに対処するために発展し続けている。ユーザによる吸入に基づいて、十分な流量が達成されるとき、吸入器が自動的に作動して薬物を投与することを可能にする、新しい組み込み機構が開発されてきた。呼吸作動式(又は稼働式)吸入器(BAI)は、薬物の投与量の送達を作動させる(トリガする)ために、ユーザの吸入により作り出される空気流に依存している。これは、装置を作動させるのに十分な空気流を生じさせる、及び一回の呼吸の吸気で薬物を吸入すること可能にすることをユーザに要求する。
【0005】
呼吸作動は、例えば、ドライパウダー吸入器(DPI)のために開発されてきた。DPIの典型的な動作は、DPIは、加圧されていないので、ユーザが前記投与量を集めるのに必要な流れを達成し、空気の乱流を使用して、粒子をばらばらにすることを含む。DPIの投与量の摂取は、完全に使用者の呼吸努力に依存する。
【0006】
呼吸作動は、加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)にも用いられる。このシステムにおいて、既定の流量がトリガ機構を稼働させ、弁が開くことを可能にして、次いで、pMDIの投与量の内容物が加圧下で投与される。
【0007】
ある人口区分にとって、ユーザによる1回の吸入呼吸に合わせて吸入器を作動させ、薬物を気道内に堆積させることを可能にすることは難しい。例えば保持チャンバのような吸入器のアクセサリは、通常、1回又は複数回の呼吸を含む安静呼吸(tidal breathing)を介して、ユーザが投与量を吸い込むことを可能にするために開発されていた。
【0008】
上に説明されるように、BAIは、薬物の投与量を投与するために、最低限の一定空気流又は呼吸動作を必要とし、故に、これはユーザの吸入努力に依存する。前記動作又は投薬量の放出を調整するために、電子トリガを使用することも提案されていた。呼吸が、例えば弁を作動させるのに使用されてもよいし、或いは、呼吸が、例えば熱線風速計を用いて、流れの検知に基づいて検出されてもよい。
【0009】
BAIは、働くために使用者の吸入を必要とするので、これは、特定のユーザ人口(小児科及び高齢者)に対するこの種類の吸入器の使用を除外する。残念なことに、BAIは、(機械的であろうと電子的であろうと)前記トリガを稼働させるのに十分な流量を達成することが困難なユーザ、又は数回の呼吸にわたり投与量を吸入することを可能にする、(マスクの有無にかかわらず)いわゆる弁付き保持チャンバ(VHC)の使用に依存している個人には適していない。
【0010】
米国特許出願公開第2018/0056022号に開示されるように、空気のバーストを提供するため、ドライパウダー吸入器に手動作動システムを設けることが知られている。ユーザによる吸入のための乱流気相に投与量を供給するために、空気は、穿孔機構を稼働させるのに使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ユーザの吸入努力を使用することなく、投与量の送達を可能にするBAI設計に対する必要性が依然として存在する。吸入器の機能性を再設計することなく、この目的を達成することが望ましく、従って、依然として、薬物送達の流量ベースの作動に依存している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、請求項により規定される。
【0013】
本発明のある態様による例に従って、呼吸作動式吸入器と共に使用するためのアクセサリが提供され、前記呼吸作動式吸入器は、吸気口、薬物を送達するための排出口、及び前記吸気口と前記排出口との間の流れに応じて、薬物の投与量の送達を作動させるためのトリガ機構を有し、前記アクセサリは、前記吸気口に適用するための圧力補助ユニットを有し、前記圧力補助ユニットは、ある量の空気を保持するための補助チャンバ、及び前記トリガ機構を作動させるのに十分な流量で、空気を前記補助チャンバから前記吸気口に放出するための機械的放出システムを有する。
【0014】
補助チャンバと関連付けられる機械的放出システムを使用することにより、呼吸作動式吸入器を作動させるのに必要な流れが保証される。特に、一致した流量は、手動動作でユーザにより達成される。このように、ユーザ自身の吸入に基づいて前記必要な流れを生じさせることができないにもかかわらず、ユーザが投与量の送達を作動させることができるように、呼吸作動式吸入器が修正される必要はない。
【0015】
圧力補助ユニットは、好ましくは、放出されていない構成のとき、この圧力補助ユニットを通り又はその周囲を通り、吸気口への流れを可能にするように構成される。このように、適切な呼吸能力を持つユーザは、前記機械的放出システムを作動させることなく、通常の方法で呼吸作動式吸入器を使用することができる。代わりに、前記排出口から吸入することにより、圧力補助ユニットを通る、又はその周りを通る流れが生じ、投与量の送達を作動させるが、補助機能が使用される必要はない。
【0016】
機械的放出システムは、例えば、機械的に置き直されるように適応する。従って、各投与量に対し、次の投与量のために、同じ空気流が確実に生じるように、機械的放出システムが置き直される。この空気流は、補助チャンバの容積、及び機械的放出システムが作動するときにその容積が排出される程度に依存する。
【0017】
アクセサリは、好ましくは、送達される薬物の投与量を捕らえるために、排出口に適用するための捕獲システムをさらに有する。
【0018】
この捕獲システムは、機械的放出機構を稼働させるのと同時に、ユーザが息を吸う必要がないことを意味する。代わりに、送達される投与量が捕獲システムに保存される。次いで、ユーザは、複数回の呼吸にわたりその投与量を摂取することができ、ユーザにとってシステムの動作をより容易にする。
【0019】
ある例において、捕獲システムは導管を有する。
【0020】
好ましい例において、前記捕獲システムは保持チャンバを有する。
【0021】
保持チャンバは、例えば、加圧式定量噴霧式吸入器の排出口に適用するための入力部、ユーザに薬物を送達するための出力部、及び前記出力部と直列する一方向弁を有する。一方向弁は、複数回にわたる吸入サイクルにより、前記保持チャンバの内容物が吸い込まれることを可能にする。
【0022】
フェイスマスクが、例えば、前記出力部に結合されてもよい。
【0023】
補助チャンバは、好ましくは、第1の容積を有し、保持チャンバは、より大きな第2の容積を有する。
【0024】
この配置は、保持チャンバの出力部と直列する一方向弁を介する薬物の損失を制限する。特に、補助チャンバから放出される空気が保持チャンバの内部空間よりも大きな容積を持つ場合、投与量の一部が一方向弁を介して損失し、それにより、吸入のためにユーザが入手可能な投与量が減少する。
【0025】
保持チャンバは、圧力除去構成要素を有してもよい。加圧された投与量が、補助チャンバから放出される容積と共に、保持チャンバ内に投与されるとき、圧力除去構成要素が保持チャンバ内の過剰圧力を下げる。
【0026】
特に、圧力除去構成要素が、一方向弁が開くレベルよりも下に圧力を維持するので、保持チャンバの出力部における一方向弁は閉じられたままである。従って、一方向弁は、(一方向弁の、保持チャンバとは反対側である側の)ユーザの吸入の陰圧によってのみ開かれる。
【0027】
従って、圧力除去構成要素は、十分な容積が保持チャンバに送達されたことを示すためのインジケータとして機能することができる。圧力除去構成要素は、例えば、流れに敏感であり、可聴音を出すので、圧力除去構成要素は、補助チャンバから十分な容積が与えられたことを示すインジケータとしても機能することができる。投与量が保持チャンバの出力部にある一方向弁を介して出るのを防ぐのを補助するために、少量の過剰圧力が、圧力除去構成要素を介して放散される。これは、保持チャンバへの薬剤の送達が上手く完了したことをユーザが知るのを助ける。
【0028】
圧力除去構成要素は、流量警告を与えることもできる。流量警告は、第2の機能であり、これは吸入流が速すぎることをユーザに知らせるのに使用される。
【0029】
補助チャンバは、一方向弁を持つ蛇腹を有してもよく、機械的放出システムは、圧縮ばねを有し、この圧縮ばねは、解放されると、蛇腹を圧縮し、それにより、補助チャンバから空気を排出するように適応する。
【0030】
蛇腹と共に機械式ばね補助形式の機構の使用は、規定の空気量を持つ一致した流量を保証する。例えば、弁を手で絞ることは、流量は絞る動作で得られる力に依存するので、作動させるのに十分な流量が生じない可能性がある。
【0031】
補助チャンバの一方向弁は、例えばアクセサリを介した吸気口への流れを可能にするように適応する。上述したように、これは、吸入器を通常の呼吸作動式吸入器として使用することを可能にする。
【0032】
本発明は、吸入器システムも提供し、このシステムは、
吸気口、薬物を送達するための排出口、及び前記吸気口と前記排出口との間の流れに応じて、薬物の投与量の送達を作動させるためのトリガ機構、並びに
上に規定されるようなアクセサリ
を有する。
【0033】
アクセサリは、少なくとも補助チャンバを有するが、好ましくは、ユーザが薬物の投与量を保存し、この薬物の投与量が複数回の呼吸にわたり吸入されることを可能にするように、前記捕獲システムも含む。
【0034】
呼吸作動式吸入器は、例えば加圧式定量噴霧式吸入器のような定量噴霧式吸入器である。
【0035】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明をより良く理解するため、及び本発明がどのように実施されるかをより明確に示すために、単なる例として、添付の図面を参照する。
図1図1は、従来の加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)を概略的に示す。
図2図2は、呼吸作動を提供するための、図1の設計に対する既知の修正を概略的に示す。
図3図3は、後続の図面で使用するための呼吸作動式吸入器の簡略化された表現を示す。
図4図4は、図3の呼吸作動式吸入器の従来の使用を示す。
図5図5は、本発明の一例による図2の吸入器の変形例を示す。
図6図6は、図5の吸入器の通常の呼吸作動式吸入器としての使用を示す。
図7図7は、図5の吸入器のアクセサリにより薬物の投与量の送達がどのように作動するかを示す。
図8図8は、保持チャンバ形式の捕獲システムの追加の使用を示す。
図9図9は、放出機構が作動するときの図8の吸入器システムにおける流れを示す。
図10図10は、ユーザが図9の保持チャンバ内にある薬物を先に吸引することを示す。
図11図11は、アクセサリがどのように機械的に置き直されるかを示す。
図12図12に、アクセサリの代替設計を示す。
図13図13は、セット・トゥ・ファイア構成におけるアクセサリの別の設計を示す。
図14図14は、ファイヤ後の図13の設計を示す。
図15図15は、図13の装置の置き直しを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、図面を参照して説明される。詳細な説明及び特定の例は、機器、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、単に例示を目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本発明の機器、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様並びに利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からより良く理解される。図面は単に概略的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。同じ参照番号は、同じ又は類似の部分を示すために、全図面を通して使用されることも理解されたい。
【0038】
本発明は、呼吸作動式吸入器の吸気口に適用するためのアクセサリを提供する。呼吸作動式吸入器は、ある量の空気を保持するための補助チャンバ、及び前記呼吸作動式吸入器の投与量トリガ機構を作動させるのに十分な流量で、空気を前記補助チャンバから前記吸気口に放出するための機械式解放システムを有する。このように、ユーザは、吸入器を稼働させるのに適した吸入を生じさせる能力を持っていなくても、呼吸作動式吸入器を使用することができる。
【0039】
図1は、薬物製剤14を含むキャニスタ12を有する従来の加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)10を概略的に示す。キャニスタ12は、底部13、この底部とは反対側の端部にある排出口に計量弁16を持つ缶を有する。キャニスタ12は、このキャニスタ12を収容するような寸法である開口端を持つ第1の管状部18、及び吸気開口を画定するマウスピースの形態の第2の管状部20を持つハウジング内に置かれる。第1の管状部18の上方開口端は、吸引開口、すなわち吸気口19を画定する。
【0040】
噴霧開口22は、吸入器が作動するとき、計量された薬剤の投与量を送達する。
【0041】
使用時、ユーザは、前記マウスピース20を自分の口に入れ、次いで、マウスピースを介して息を吸うのと同時に、キャニスタ12の底部13を下方に押し下げる。この押し下げる力は、キャニスタ12を下方に移動させる働きをして、この移動は、計量される薬物製剤の投与量をキャニスタ内の薬物製剤14から分離させ、次いでこの投与量を放出する。
【0042】
この設計は、吸入開始のタイミングとキャニスタ12が下方に押し下げられる瞬間との間における、ユーザの上手な調整を必要とする。
【0043】
当業者は、様々なオプションをよく知っているので、吸入器の設計の全ての詳細は示さない。
【0044】
呼吸作動を提供することは知られ、それにより、ユーザの吸入により生じる流れの検出に基づいて、薬物の投与量が送達される。
【0045】
図2は、呼吸作動を提供するための、図1の設計に対する既知の修正例を概略的に示す。マウスピース20における吸入により生じる空気流に応じて開く弁30が設けられる。この弁の動きは、例えばスイッチを物理的に操作する弁の動きに基づいて、前記空気流を検出する方法として検出され、次いで、前記投与量の放出は、この空気流の検出に応じて自動的に制御される。
【0046】
弁30は、偶発的な作動を防ぐために、十分な呼吸流が生成されるときにのみ、弁が開くようなしきい値を有する。これは、ユーザが、呼吸作動式吸入器を使用することが可能である一定の呼吸能力を必要とすることを意味する。
【0047】
本発明のシステムを説明するために、図3に示されるように、呼吸作動式吸入器が、簡略的に示される。弁30は、投与量を生成し、これがマウスピース20に流れることを可能にするために開くフラップ弁として簡略的に示される。
【0048】
図4は、図3の呼吸作動式吸入器の従来の使用を示す。ユーザはマウスピース20を介して息を吸う。結果生じる流れが矢印40で示される。この流れは弁30を開き、計量される投与量が送達されるように検出される。
【0049】
図5は、本発明のある例に従う修正例を示す。
【0050】
本発明は、ハウジングの上端にある吸気口19の上に取り付けられるアクセサリ50を提供する。このアクセサリは、ある量の空気を保持するための補助チャンバ52、及び呼吸作動式吸入器のトリガ機構を作動させるのに十分な流量で、空気を補助チャンバ52から吸気口19に放出するための、本例では圧縮ばね54形式の機械的放出システムを有する。補助チャンバ52及びばね54は一緒に圧力補助ユニットを構成すると考えられる。
【0051】
補助チャンバ52は、蛇腹57及び一方向弁56を有する。ばね54は、解放されると、蛇腹57を圧縮し、それにより空気を補助チャンバから排出すように適応する。
【0052】
示される例において、一方向弁56は、補助チャンバ52の頂部を画定し、底部は開いている。ばね54は、圧縮された状態に保持され、例えば、ユーザが解放トリガを作動させることにより解放されるとき、補助チャンバ52内の空気が吸気口19を介して押し出されるように、蛇腹を圧縮する。これは、弁30を開くのに十分な流れを作り出し、それにより、投薬量の送達を作動させる。
【0053】
蛇腹を用いた機械ばね機構を使用は、規定の空気量を持つ一致する流量を保証する。補助チャンバ52の容積及び(圧縮ばね54により加えられる力に依存する)流量は、弁30の開放を可能にするように設計される。
【0054】
一方向弁56は、アクセサリを通り吸気口への流れを可能にする。
【0055】
これは、吸入器を通常の呼吸作動式吸入器として使用することを可能にする。この吸入器の使用が図6に示される。
【0056】
ユーザによる吸入60は、補助チャンバが一杯の容積で非稼働状態のままであっても、アクセサリ50、特に一方向弁56を介して空気流62を引き込む。弁30は、空気流により開かれ、故に、この空気流が、投与量64の送達を作動させる。従って、呼吸作動式吸入器は、従来の方法で使用されることができる。
【0057】
図7は、アクセサリ50により薬物の投与量の送達がどのように作動するかを示す。ばね54を解放することにより、例えば、矢印72で表されるようにトリガ70を作動させることにより、ばね54が伸び、それにより、蛇腹を圧縮し、補助チャンバの容積(又はより正確にはその容積の変化)が、矢印74で示されるように、吸気口19に送られる。結果生じる空気の容積及び流量は、弁30を開き、矢印76で表されるように、投与量64の送達を作動させるのに十分である。
【0058】
トリガは、例えばラッチを有する。ばね54が圧縮され、エネルギーを蓄積するとき、ばねを圧縮された状態に保持するラッチをトグルで留める。ユーザは単に、ばねを解放するために、例えばトリガ70を押すことにより、ラッチを稼働させる(すなわち、ばねを圧縮された状態から解放する)だけを必要とする。
【0059】
理論的には、次いで、ユーザにより投与量が直接吸入される。この場合、本発明は、呼吸作動式吸入器が、従来の加圧式定量噴霧式吸入器のように使用されることを可能にする。図1を参照して説明したキャニスタの押し下げは、バネ付勢機構の解放に置き換えられる。これは、ユーザにとってより簡単であり、呼吸作動式吸入器が、呼吸作動式装置又は機械的作動式装置の何れかとして使用されることを可能にする。
【0060】
しかしながら、吸入器の好ましい使用は、ユーザが呼吸作動をできないとき、送達される薬物の投与量を捕らえるための捕捉システムをマウスピースに設けることである。
【0061】
この捕捉システムは、機械的放出機構を稼働させるのと同時に、ユーザが息を吸う必要がないことを意味する。代わりに、送達される投与量は、捕捉システムに保存される。ユーザは、次いで、複数回の呼吸にわたりその投与量を摂取し、ユーザにとってシステムの動作をより容易にする。
【0062】
捕捉システムは、単に導管を有するだけでよい。しかしながら、図8に示される好ましい例は、保持チャンバ80形式の捕捉システムを利用する。
【0063】
保持チャンバ80は、加圧式定量噴霧式吸入器のマウスピース20に適用するための入力部82、ユーザに薬物を送達するための出力部84及び前記出力部と直列する一方向弁86を有する。一方向弁86は、保持チャンバの内容物が、複数の吸入サイクルにわたり、ユーザにより吸引されることを可能にする。出力部84は、例えばフェイスマスク88につながる。
【0064】
補助チャンバ52は、第1の最大容積V1を持ち、保持チャンバ80は、第2の容積V2を有し、ここでV2>V1である。この配置は、保持チャンバの出力部にある一方向弁86を介する薬物の損失を制限する。特に、空気が補助チャンバ52から放出され、保持チャンバ80に入り、その空気と共に薬物の投与量を運ぶとき、保持チャンバ80から出る移動する空気は、以前に保持チャンバ内にあったきれいな空気を有するので、薬物の投与量の一部が一方向弁86を介して失われることはない。
【0065】
補助チャンバ52からの空気が保持チャンバ80に向けて排出されるとき、圧力の上昇が存在する。一方向弁86のしきい値に依存して、この圧力は、ユーザがフェイスマスク88を介して息を吸うまで上昇したままでもよいし、或いはその圧力の一部が一方向弁86により解放されてもよい。
【0066】
図8は、追加の圧力除去構成要素90を示す。これは、加圧された投与量が、補助チャンバから放出される容積と共に、保持チャンバ内に与えられるとき、保持チャンバ内の過剰圧力を下げるために代わりに使用されてもよい。
【0067】
圧力除去構成要素は、投薬量の経路外に位置決められるので、圧力除去機能は、投薬量の一部の放出を作動させる可能性は低い。例えば、圧力除去構成要素は、示されるように、吸入器に接続する保持チャンバ80の端部に、故に一方向弁86の反対側の端部に取り付けられる。
【0068】
特に、保持チャンバの出力部における一方向弁86は、圧力除去構成要素90が、保持チャンバ80内の圧力を一方向弁86が開くレベルより下に維持するので、圧力除去構成要素90を介した圧力除去中は、閉じたままである。
【0069】
図9は、圧力除去機構が作動するときの吸入器システムにおける流れを示す。ばね54が伸び(及びそれにより蛇腹が圧縮され)、流れ92が吸入器のトリガ機構を作動させるので、投与量64が保持チャンバ80に送達される。何らかの薬物が、吸入器の内部容積内にもある。
【0070】
弁30は、単に如何なる可能なトリガ機構の概略図に過ぎず、これはアクセサリ50が接続される吸入器の一部であることに留意されたい。
【0071】
圧力除去構成要素90は、保持チャンバ80内の圧力の上昇を防ぎ、それにより一方向弁86を閉じた状態に維持する。しかしながら、圧力除去構成要素90は、送達される薬物の投与量の経路外であり、薬物の損失を生じさせない。
【0072】
圧力除去構成要素90は、単に開口又は穴を有する。この開口は、このとき、十分な流れがこの開口を通るとき、ホイッスル表示となるための音リードとして機能することができる。このように、圧力除去構成要素90は、保持チャンバへの薬物の送達が行われたことをユーザに知らせるために、可聴音を提供してもよい。補助チャンバが、保持チャンバに容積を押し込むとき、その流れの一部は、圧力除去構成要素を通り吸入流の反対方向に逃げ、それが瞬間的な可聴音を生成する。
【0073】
圧力除去構成要素は、圧力差に応じて開閉する受動弁を代わりに有してもよい。pMDIは、吸入器を通る双方向の流れを可能にするので、弁機能を制御するための圧力上昇が殆ど又は全くない。しかしながら、これが薬物は損なわれないことを保証するとき、抵抗の少ない一方向弁が使用されてもよい。音リード機能は、例えば5~10リットル/分の範囲の流量により稼働する。
【0074】
図10は、ユーザが事前に保持チャンバ内にある薬物を吸入すること示す。フェイスマスク88に陰圧、すなわち吸入を加えることにより、一方向弁86が開き、保持チャンバ80の内容物が吸入されることができる。この間、保持チャンバを通る空気流102と同じく、アクセサリを通る空気流100も存在する。従って、吸入器の内部容積内にある如何なる薬物も保持チャンバ80を介して引き出される。ユーザは、複数回の呼吸の経過にわたり薬物の投与量を摂取することができる。
【0075】
この段階において、圧力除去構成要素90が流量警告を与えてもよい。流量警告は、吸入流が速すぎることをユーザに知らせるために使用される。特に、早すぎる又は激しすぎる呼吸は、薬物が患者の喉の奥に激突し、従って、薬物が肺に届くのを阻むことになる。
【0076】
機械的放出システムは、機械的に置き直される。従って、各投与量に対し、次の投与量のために、同じ空気流が確実に生成されるように、機械的放出システムが置き直される。
【0077】
図11は、機械的な置き直しを示す。アクセサリ50は、ばね54を再圧縮するために押し下げられる。次いで、ラッチ又は他の如何なる適切な留め具配置により、ばね54は、圧縮された状態で保持される。次いで、アクセサリは、ばねが圧縮された状態に保持したまま、持ち上げられて元の本来の位置に戻される。蛇腹が何らかの補助を提供し、伸びた状態に戻ってもよい。
【0078】
上の例において、アクセサリは、補助チャンバと直列する一方向弁56を持つ。しかしながら、図12に示されるように、一方向弁120は、代わりに並列でもよいので、アクセサリが使用されないとき、すなわち、前記システムが通常の呼吸作動システムとして使用されるとき、流れは、一方向弁を通過するのではなく、空洞52の周囲を通過することができる。
【0079】
上の例は蛇腹を使用しているが、ピストン配置が代わりに使用されてもよい。従って、解放されるとき、制御される空気のバーストを送出することができる如何なるラッチ付きシステムが使用されてもよい。
【0080】
図13から図15は、ピストン配置を示す。
【0081】
図13は、セット・トゥ・ファイア(set to fire)構成のピストン配置を示す。ピストン130は、制御シャフト132を持つ。(上の例のばね54と同等である)ばね134は、圧縮された状態であり、ばねは、制御シャフト132にあるノッチ138と係合するラッチ136により、この状態に保持される。ラッチは、ばね140(又は他の弾性/圧縮性部材)により、このセット・トゥ・ファイア状態に保持される。これは、ファイヤトリガ70を外側に突出させる。
【0082】
ピストン130の上の頂部層141は、ばね134のための台座を提供する。ピストンがファイヤされるとき、空気がこのピストンの背後の空間を満たすことができる。一方向弁131はピストンに組み込まれている。
【0083】
図14は、ファイヤ後の配置を示す。装置をファイヤするために、トリガ70が(矢印72で示すように)押される。これは、ラッチ136をノッチ138から解放するので、ピストン(及びシャフト)がばね134により下に押し出される。従って、補助チャンバ52内の空気は、矢印144で表されるように、吸入器の上部開口142を介して、下にある吸入器(図示せず)に押し出される。ピストンの移動中、空気は、頂部層141を介してピストン130の背後の空間を満たすことができる。
【0084】
図15は、置き直し動作を示す。ピストンが引き上げられ、ピストンがセット・トゥ・ファイア構成でラッチ留めされるまで、ばね134を圧縮する。この間、ピストン130にある一方向弁131を介して(及び上層141を介して)、空気が補助チャンバ52に流入することができる。
【0085】
これは、直列配置を示しているが、図12の蛇腹設計に示されるように、並列配置も可能である。
【0086】
開示される実施形態の変形は、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲を学ぶことにより、請求される発明を実施する際、当業者により理解及び実施されることができる。請求項において、「有する」という用語は、それ以外の要素又はステップを排除するものではなく、複数あることを述べていなくても、それが複数あることを排除するものではない。単一の処理器又は他のユニットが請求項に挙げられる幾つかの項目の機能を果たしてもよい。ある方法が互いに異なる従属請求項に挙げられているという単なる事実は、これらの方法の組み合わせが有利に使用されることができないことを示してはいない。「に適応する」という用語が請求項又は明細書に用いられる場合、「に適応する」という用語は、「ように構成される」と言う用語と同様であることを意味する。請求項における如何なる参照符号もその範囲を限定すると解釈されるべきではない。
図1
図2
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図15