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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 15/00 20060101AFI20231005BHJP
   F03G 7/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H02J15/00 E
F03G7/00 B
F03G7/00 H
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021571550
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2020051813
(87)【国際公開番号】W WO2020249267
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】1908340.1
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521524092
【氏名又は名称】ライヒェンシュタイン,スティーブン
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】ライヒェンシュタイン,スティーブン
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-188628(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0094557(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0313380(US,A1)
【文献】特開2004-068798(JP,A)
【文献】特開2012-239370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 15/00
F03G 1/00-7/10
F17C 1/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵装置を備えるエネルギー貯蔵システムであって、
該エネルギー貯蔵装置は、加圧流体を貯蔵するように構成される圧力容器と、1つ以上の弾性要素と、を備え、
前記弾性要素は、撚られて及び/又は編組されることで前記弾性要素を形成する弾性材料の複数のフィラメントを備え、前記弾性要素は、前記圧力容器内に又は前記圧力容器の周囲に配置され、
前記エネルギー貯蔵装置は、前記圧力容器内に加圧流体を貯蔵することで、前記弾性要素が伸張又は圧縮して作用するように構成され
前記弾性要素のうちの1つ以上が、弾性材料の編組フィラメントを巻回する及び/又は織ることによって形成される球を備え、前記球が前記圧力容器内に配置される、エネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
前記システムは、流体を加圧して、加圧流体を前記圧力容器に供給するように構成される圧縮機を更に備える、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
前記エネルギー貯蔵システムは、前記エネルギー貯蔵装置と流体連通する油圧モータを更に備え、
前記エネルギー貯蔵システムは、前記圧力容器内の加圧流体を前記圧力容器から前記油圧モータを通じて選択的に放出することで、前記エネルギー貯蔵システムからエネルギーを抽出するように構成される、請求項1又は2に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
加圧流体の導入に起因する前記圧力容器の拡張が前記弾性要素を伸張させて作用するように、前記弾性要素のうちの1つ以上が前記圧力容器の外側の周りに配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
前記弾性要素は、前記圧力容器の長手方向軸に対して垂直な方向を主要成分を有する方向として、この方向で前記圧力容器の周囲に延在する、請求項に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵装置は、前記圧力容器内のピストンの位置の変化に伴って前記圧力容器の作動容積が変化する、前記圧力容器内に移動可能に配置されるピストンを更に備え、前記圧力容器の前記作動容積を増大させるため前記ピストンの位置を変化させることで、前記弾性要素が伸張又は圧縮して作用するように前記弾性要素のうちの1つ以上が配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
前記弾性要素のうちの1つ以上が長尺であり、この長尺な弾性要素の第1の端部が前記ピストンに結合され、前記長尺な弾性要素の第2の端部が前記圧力容器の壁に結合される、請求項に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
前記弾性材料が400MPaを超える引張強度を有する、請求項1からのいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
前記弾性材料が天然又は合成のスパイダーシルクを含む、請求項1からのいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
加圧流体を貯蔵するように構成される圧力容器と、1つ以上の弾性要素と、を備え、前記弾性要素が、撚られて及び/又は編組されることで前記弾性要素を形成する弾性材料の複数のフィラメントを備え、前記弾性要素は前記圧力容器内に又は前記圧力容器の周囲に配置され、前記弾性要素のうちの1つ以上が、弾性材料の編組フィラメントを巻回する及び/又は織ることによって形成される球を備え、前記球が前記圧力容器内に配置され、前記圧力容器内に加圧流体を貯蔵することで、前記弾性要素が伸張又は圧縮して作用するように構成される、エネルギー貯蔵装置を設けるステップと、
加圧流体を前記圧力容器内へ導入するステップと、を含むエネルギー貯蔵方法。
【請求項11】
前記方法は、前記エネルギー貯蔵装置をエネルギーが供給されるようになっている場所に輸送するステップを更に含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵方法。
【請求項12】
前記方法は、前記圧力容器を油圧モータに作動可能に結合するステップと、前記油圧モータを通じて前記加圧流体を放出することで、貯蔵されたエネルギーを機械的エネルギー又は電気的エネルギーに変換するステップと、を更に含む、請求項1又は1に記載のエネルギー貯蔵方法。
【請求項13】
加圧流体を貯蔵するように構成される圧力容器と、1つ以上の弾性要素と、を備え、前記弾性要素が、撚られて及び/又は編組されることで前記弾性要素を形成する弾性材料の複数のフィラメントを備え、前記弾性要素は前記圧力容器内に又は前記圧力容器の周囲に配置され、前記弾性要素のうちの1つ以上が、弾性材料の編組フィラメントを巻回する及び/又は織ることによって形成される球を備え、前記球が前記圧力容器内に配置され、前記加圧流体が前記圧力容器内に存在することで前記弾性要素が伸張状態又は圧縮状態におかれるように構成される、エネルギー貯蔵装置を設けるステップと、
機械的エネルギー又は電気的エネルギーを生成するために前記加圧流体を前記圧力容器から油圧モータを通じて放出するステップと、を含むエネルギー供給方法。
【請求項14】
前記加圧流体が、前記圧力容器から所定の流量以下で放出され、前記流量が、前記流体の大部分が前記圧力容器から放出される間に前記圧力容器内の前記流体の圧力が実質的に一定のままであるような流量である、請求項1又は1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エネルギー貯蔵システムに関し、限定的ではないが、特に、改良されたエネルギー貯蔵密度をもたらすエネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギー及び風力エネルギー等の再生可能エネルギー源を使用すると、特定の時間に生成されるエネルギーの量がそのときに使用されるエネルギーの量とは異なることがよくある。これにより、エネルギー供給グリッドでエネルギーの余剰又は不足が生じる可能性がある。したがって、エネルギーグリッドに余剰がある場合には過剰なエネルギーを貯蔵し、エネルギー需要がエネルギー生成速度を超える場合には貯蔵されたエネルギーをエネルギーグリッドに戻すことが望ましい。
【0003】
更に、状況によっては、エネルギー供給グリッドに接続されない場所でエネルギーを貯蔵及び/又は供給することが望ましい場合がある。したがって、エネルギーを貯蔵するための装置又はシステムを輸送できるとともに、発電施設又は電力供給グリッドから離れた場所に設置でき、それにより、その離れた場所でエネルギー貯蔵システム又は装置にエネルギーを貯蔵及び/又はエネルギー貯蔵システム又は装置からエネルギーを回収できるようにすることが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様によれば、エネルギー貯蔵装置を備えるエネルギー貯蔵システムであって、該エネルギー貯蔵装置は、加圧流体を貯蔵するように構成される圧力容器と、1つ以上の弾性要素と、を備え、前記弾性要素は、撚られて及び/又は編組されることで前記弾性要素を形成する弾性材料の複数のフィラメントを備え、前記弾性要素は、前記圧力容器内に又は前記圧力容器の周囲に配置され、前記エネルギー貯蔵装置は、前記圧力容器内に加圧流体を貯蔵することで、前記弾性要素を伸張する又は圧縮するように作用するように構成される、エネルギー貯蔵システムが提供される。
【0005】
エネルギー貯蔵システムは、流体を加圧して、加圧流体を圧力容器に供給する、例えば選択的に供給するように構成される圧縮機を更に備えてもよい。
【0006】
エネルギー貯蔵システムは、エネルギー貯蔵装置と流体連通する油圧モータを備える。或いは、圧縮機は、組み合わされた油圧圧縮機/モータであってもよい。エネルギー貯蔵システムは、エネルギーを例えば機械的動力としてエネルギー貯蔵システムから抽出するために、圧力容器内の加圧流体を油圧モータを通じて、例えばバルブの動作を介して圧力容器から選択的に放出できるように構成されてもよい。エネルギー貯蔵システムは、抽出されたエネルギーを電気的エネルギーに変換するように構成される発電機を更に備えてもよい。
【0007】
弾性要素のうちの1つ以上は、弾性材料の撚られた又は編組されたフィラメントを巻回する、コイル状にする、及び/又は、織ることによって形成される球を備えてもよい。球は、圧力容器内に配置されてもよい。
【0008】
これに加えて又は代えて、加圧流体の導入に起因する圧力容器の拡張が弾性要素を伸張させるべく作用するように、弾性要素のうちの1つ以上が圧力容器の外側の周りに配置され、例えば圧力容器の外側の周囲に巻回されてもよい。弾性要素は、圧力容器の長手方向軸に対して垂直である方向を主要成分の方向として、この方向で圧力容器の周囲に延在してもよい。例えば、圧力容器は、略プリズム形状、例えば略円筒状であってもよく、長手方向軸を規定してもよい。弾性要素は、円筒形状の周方向に主成分を有する方向で圧力容器の外側の周囲に延在してもよい。
【0009】
圧縮機及び圧力容器は、圧縮機によって加圧流体を圧力容器内へ導入することにより圧力容器の周囲、例えば外周が例えば所定の膨張によって拡張し、それにより、弾性要素を伸張させるように構成されてもよい。
【0010】
エネルギー貯蔵装置は、圧力容器内に移動可能に配置されるピストンを更に備えてもよく、それにより、圧力容器の作動容積、例えば、圧縮機から加圧流体を受けることができる圧力容器の容積は、圧力容器内のピストンの位置が変化するにつれて変化する。例えば、作動容積は、圧力容器の入口と流体連通するピストンの一方側に配置される圧力容器の容積、例えば、ピストンと入口との間の容積であってもよい。
【0011】
弾性要素のうちの1つ以上は、圧力容器の作動容積を増大させるようにピストンの位置を変化させることが弾性要素を伸張させる又は圧縮させるべく作用するように配置されてもよい。例えば、弾性要素のうちの1つ以上が長尺であってもよい。例えば、圧力容器の作動容積を増大させるようにピストンの位置を変化させることが長尺な弾性要素を伸張させるべく作用するように、長尺な弾性要素の第1の端部がピストンに結合されてもよく、長尺な弾性要素の第2の端部が圧力容器の壁に結合されてもよい。例えば、長尺な弾性要素の第2の端部は、圧力容器の入口に隣接する圧力容器の壁に結合されてもよい。
【0012】
弾性材料は、400MPa以上の、例えば400MPaにほぼ等しい引張強度、例えば最大抗張力を有してもよい。弾性材料が天然又は合成のスパイダーシルクを含んでもよい。
【0013】
本開示の他の態様によれば、エネルギー貯蔵システムが提供され、エネルギー貯蔵システムは、エネルギー貯蔵システム内の流体を加圧するように構成される圧縮機と、圧縮機と流体連通するエネルギー貯蔵装置であって、圧縮機から加圧流体を受ける、例えば選択的に受けるように配置される圧力容器と、1つ以上の弾性要素と、を備え、該弾性要素は、編組されることで該弾性要素を形成する弾性材料の複数のフィラメントを備え、弾性要素が圧力容器内に又は圧力容器の周囲に配置され、圧力容器内への加圧流体の導入が弾性要素を圧縮下又は伸張下におくようにエネルギー貯蔵システムが構成される、エネルギー貯蔵装置を備える。
【0014】
フィラメントは、弾性材料のストランド又はファイバを備えてもよい。弾性材料は、ポリマー又は金属材料等の天然材料又は合成材料であってもよい。弾性要素を形成するために弾性材料の2つ、3つ又は4つ以上のフィラメントが撚られ又は編組されてもよい。更に、撚られた又は編組されたフィラメントは、弾性要素を形成するべく、それ自体が編組され、織られ、コイル状にされ及び/又は巻回されてもよい。
【0015】
本開示の他の態様によれば、エネルギー回収システムが提供され、該エネルギー回収システムはエネルギー貯蔵装置を備え、エネルギー貯蔵装置は、加圧流体を収容するように構成される圧力容器と、1つ以上の弾性要素と、を備え、該弾性要素は、撚られる及び/又は編組されることで該弾性要素を形成する弾性材料の複数のフィラメントを備え、弾性要素が圧力容器内に又は圧力容器の周囲に配置され、圧力容器内への加圧流体の貯蔵が弾性要素を圧縮下又は伸張下におくようにエネルギー貯蔵システムが構成される。
【0016】
本開示の他の態様によれば、前述のエネルギー貯蔵システムのためのエネルギー貯蔵装置が提供され、エネルギー貯蔵装置は、圧力容器と、1つ以上の弾性要素と、を備え、該弾性要素が、撚られる又は編組されることで該弾性要素を形成する弾性材料の複数のフィラメントを備え、加圧流体が圧力容器内へ導入されるときに1つ以上の弾性要素が伸張され又は圧縮されるように弾性要素が圧力容器内に又は圧力容器の周囲に配置される。
【0017】
本開示の他の態様によれば、エネルギー貯蔵方法が提供され、該方法は、加圧流体を貯蔵するように構成される圧力容器と、1つ以上の弾性要素と、を備え、該弾性要素は、撚られる及び/又は編組されることで該弾性要素を形成する弾性材料の複数のフィラメントを備え、弾性要素が圧力容器内に又は圧力容器の周囲に配置され、圧力容器内に加圧流体を貯蔵することが弾性要素を伸張させる又は圧縮させるべく作用するように構成されるエネルギー貯蔵装置を設けるステップと、加圧流体を圧力容器内へ導入し、それにより、ポテンシャルエネルギー、例えば水力ポテンシャルエネルギー及び弾性ポテンシャルエネルギーをエネルギー貯蔵装置に貯蔵するステップと、を含む。
【0018】
例えば、圧力容器は、加圧流体を供給するために圧縮機に動作可能に結合されてもよく、また、圧縮機は、加圧流体を圧力容器に供給するように動作されてもよい。
【0019】
方法は、エネルギー貯蔵装置を、エネルギーが供給されるようになっている場所に輸送するステップを更に含んでもよい。方法は、例えばエネルギーが供給されるようになっている場所で、圧力容器を油圧モータに動作可能に結合するステップを含んでもよい。方法は、貯蔵されたエネルギーを機械的エネルギー又は電気的エネルギーに変換するために、油圧モータを通じて加圧流体を放出するステップを更に含んでもよい。
【0020】
本開示の他の態様によれば、例えばエネルギー供給システム内にエネルギー貯蔵装置を設けるステップを含むエネルギー供給方法が提供される。例えば、エネルギー貯蔵装置を設けるステップは、エネルギー貯蔵装置をエネルギー供給システムに動作可能に結合することを含んでもよい。エネルギー貯蔵装置は、加圧流体を収容する圧力容器と、1つ以上の弾性要素と、を備え、該弾性要素は、撚られる及び/又は編組されることで該弾性要素を形成する弾性材料の複数のフィラメントを備え、弾性要素が圧力容器内に又は圧力容器の周囲に配置され、加圧流体が圧力容器内に存在していることによって弾性要素が伸張状態又は圧縮状態におかれるように構成されるエネルギー貯蔵装置を設けるステップと、機械的エネルギー又は電気的エネルギーを生成するために加圧流体を圧力容器から油圧モータを通じて放出するステップを含む。例えば、油圧モータは、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するように構成された発電機に動作可能に結合されてもよい。
【0021】
加圧流体は、圧力容器から所定の流量以下、例えば予め決定された流量で放出され、該流量は、流体の大部分が圧力容器から放出される間に圧力容器内の流体の圧力が実質的に一定のままである、例えば約10%又は20%未満だけ変化するような流量である。
【0022】
圧力容器から出る加圧流体の流量を制御するために、例えば流量を予め決定された流量以下に維持するために、予め決定された流量をもたらすべく、圧力容器の出口にあるバルブが開かれてもよい。
【0023】
本明細書における不必要な労力の重複及び記載の繰り返しを回避するために、本発明の1つ又は幾つかの態様又は実施形態のみに関連して特定の特徴を説明する。しかしながら、技術的に可能である場合、本発明の任意の態様又は実施形態に関連して記載される特徴が、本発明の他の任意の態様又は実施形態と共に使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0024】
ここで、本発明をより理解し、本発明をどのように実施することができるかをより明確に説明するため、例として、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の構成に係るエネルギー貯蔵システムの概略図である。
図2】本開示に係るエネルギー貯蔵方法を示すフローチャートである。
図3】本開示の構成に係るエネルギー供給システムの概略図である。
図4】本開示に係るエネルギー供給方法を示すフローチャートである。
図5図1及び図3に示すシステムに使用されるエネルギー貯蔵装置の概略断面図である。
図6図1及び図3に示すシステムに使用される他のエネルギー貯蔵装置の概略断面図である。
図7図1及び図3に示すシステムに使用される他のエネルギー貯蔵装置の概略図である。
図8図1及び図3に示すシステムに使用される他のエネルギー貯蔵装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を参照して、本開示に係るエネルギー貯蔵システム2は、エネルギー貯蔵装置100を備える。以下に説明するように、エネルギー貯蔵装置100は、エネルギー貯蔵装置100内に貯蔵される加圧流体によってエネルギーを貯蔵するように構成される。
【0027】
エネルギー貯蔵システム2は、作動流体の供給源4及び圧縮機6を更に備える。作動流体は、油圧油等の実質的に非圧縮性の流体である。圧縮機の入口6aは作動流体の供給源4に流体的に結合され、また、圧縮機の出口6bはエネルギー貯蔵装置100に流体的に結合可能である。圧縮機6は、作動流体の供給源4から作動流体を引き出して、作動流体を加圧するとともに、加圧された作動流体が貯蔵されるエネルギー貯蔵装置100に送出するように構成される。
【0028】
図1に示す構成で、圧縮機6は、圧縮機のローターの回転によって作動流体を加圧するように作動する、半径流圧縮機、斜流圧縮機又は軸流圧縮機等の回転圧縮機である。他の構成では、圧縮機6として、エネルギー貯蔵装置100内に貯蔵するために、作動流体の供給源4からの流体を圧縮するのに適した往復動圧縮機又は任意の他の形態の圧縮機を備えてもよい。
【0029】
モータ7は、作動流体を加圧するために、圧縮機6を回転可能に駆動するためのシャフト8によって圧縮機6に動作可能に結合される。図1に示す構成では、モータ7が電気モータである。しかしながら、他の構成では、モータ7は、圧縮機6を駆動するための内燃機関又は他の任意のモータ7であってもよい。
【0030】
エネルギー貯蔵システム2は、モータ7のためのエネルギー源9を更に備える。エネルギー源9は、電力供給グリッドに対する接続部を備えてもよい。これに加えて又は代えて、エネルギー源9は、太陽電池又は風力タービン等の再生エネルギー源を備えてもよい。モータ7が内燃機関である構成では、エネルギー源9が燃料タンクを備えてもよい。
【0031】
図2を参照して、エネルギー貯蔵システム2は、エネルギー貯蔵方法200にしたがって動作される。方法200は、エネルギー貯蔵装置100がエネルギー貯蔵システム2内に設けられる第1のステップ202を含む。特に、エネルギー貯蔵装置100は、圧縮機6の出口6bに動作可能に結合される。
【0032】
方法200は、加圧流体がエネルギー貯蔵装置100内に導入される第2のステップ204を更に含み、これにより、エネルギー貯蔵装置内に、エネルギーを例えば水力ポテンシャルエネルギーや弾性ポテンシャルエネルギーとして貯蔵する。以下、エネルギー貯蔵装置によるエネルギーの貯蔵について詳細に説明する。
【0033】
第2のステップ204では、モータ7が、エネルギー源9からのエネルギーを使用して圧縮機6を駆動する。圧縮機6は、作動流体の供給源4から作動流体を引き出して、作動流体を加圧するとともに、加圧された作動流体をエネルギー貯蔵装置100に供給する。
【0034】
加圧作動流体がエネルギー貯蔵装置100内に貯蔵された後、エネルギー貯蔵装置100は、エネルギー貯蔵システム2から取り外されて、図3に示すように、エネルギー供給システム300内に設置される。以下に説明するように、エネルギー供給システム300は、エネルギー貯蔵装置100から蓄積されたエネルギーを抽出し、抽出されたエネルギーを、エネルギー供給システム300又はエネルギー供給グリッドに対してローカルなエネルギー消費装置に供給するように動作可能である。
【0035】
エネルギー供給システム300は、エネルギー貯蔵システム2の場所から、例えば、エネルギー貯蔵システムの圧縮機6、モータ7及びエネルギー源9のうちの1つ以上から離れていてもよい。エネルギー供給システム300の1つ以上の構成要素は、貯蔵されたエネルギーを供給することが望ましい場所に設けられる。したがって、エネルギー貯蔵装置100は、エネルギー貯蔵システム2の場所からエネルギー供給システム300の場所へ輸送される。
【0036】
或いは、エネルギー供給システム300は、エネルギー貯蔵システム2と同じ場所に配置される。エネルギー貯蔵システム2及びエネルギー供給システム300を同じ場所に配置することで、エネルギー貯蔵装置100を使用して、エネルギー供給グリッドにエネルギーを貯蔵したりエネルギー供給グリッドからエネルギーを放出し、例えば、エネルギー供給グリッドからのエネルギーの供給及び需要の変動のバランスをとることができ有利である。
【0037】
図3に示すように、エネルギー供給システム300はエネルギー貯蔵装置100を備える。エネルギー供給システム300は、油圧モータ302と、油圧モータ302に挿通された作動流体を貯蔵するためのリザーバ304とを更に備える。図示したように、油圧モータの入口302aは、エネルギー貯蔵装置100に結合可能であり、また、油圧モータの出口302bはリザーバに結合される。
【0038】
油圧モータ302は、加圧された作動流体が油圧モータ302を通過してエネルギー貯蔵装置100からリザーバ304に送られる際、例えば加圧された作動流体が油圧モータ302を通過する際の加圧された作動流体の圧力降下によって、加圧された作動流体からエネルギーを抽出できるとともに、エネルギーを油圧モータに接続される出力リンケージ308、例えばシャフトの運動エネルギーに変換ができる任意の機械を備えてもよい。
【0039】
例えば、油圧モータ302は、加圧された作動流体からエネルギーを抽出して、油圧モータ302の出力シャフトを回転可能に駆動させる油圧ギアモータ又は油圧ベーンモータを備えてもよい。他の構成では、油圧モータ302を、モータ出力リンケージの振動運動をもたらすように又は出力リンケージ308の直線運動、例えば往復運動をもたらすように構成してもよい。
【0040】
エネルギー供給システム300は、油圧モータ302に対して例えば出力リンケージ308によって動作可能に結合される発電機306を更に備える。発電機306は、エネルギー供給システム300によって給電される電気的負荷310に電気的に接続される。
【0041】
他の構成では、エネルギー供給システム300は、ポンプ、ドリル、製造機械、或いは、他の任意の家庭用又は産業用の機械等の機械的負荷に対して、機械的動力を直接供給するものであってもよい。機械的負荷は、回転運動、振動運動又は往復運動を実行するシャフト又はリンケージによって駆動されるように構成することもできる。そのような構成では、発電機306を省略することができ、また、機械的負荷が油圧モータ302によって直接駆動されてもよい。
【0042】
エネルギー供給システム300は、例えばエネルギー貯蔵装置100と油圧モータ302の入口との間に配置されるバルブ312を備える。このバルブ312は、加圧作動流体がエネルギー貯蔵装置100から油圧モータ302に供給される速度を制御するように構成される。これにより、バルブ312は、油圧モータによって出力される機械的動力を制御することができ、また選択的に、発電機306により生成された電力を制御して、電気的負荷310に供給することができる。
【0043】
エネルギー供給システム300は、所望の出力が電気的負荷310又は機械的負荷に供給されるように、バルブ312の動作を制御するように構成されるコントローラ320を更に備える。コントローラ320は、電気的負荷310又は機械的負荷の出力需要を決定するように構成され、また、出力需要にしたがってバルブ312の動作を制御することもできる。例えば、コントローラ320は、電気的負荷310の全体にわたる電圧を決定するように構成され、また、電圧を所定の上限電圧及び/又は下限電圧内に維持するようにバルブの動作を制御することもできる。或いは、コントローラ320は、機械的負荷に機械的動力を供給するリンケージの速度、例えば、回転速度を決定するように構成され、また、バルブ312の動作を制御して、速度を所定の上限速度及び/又は下限速度内に維持することもできる。
【0044】
図4を参照して、エネルギー供給システム300は、エネルギー供給方法400にしたがって動作され得る。方法400は、エネルギー貯蔵装置100が例えばエネルギー貯蔵システム2の場所からエネルギー供給システム300の場所まで輸送される第1のステップ402を含む。方法400は、エネルギー貯蔵装置100が例えばエネルギー供給システム300内に設けられる第2のステップ404を含む。例えば、エネルギー貯蔵装置100は、油圧モータ302の入口302aに動作可能に結合される。エネルギー貯蔵装置100は、バルブ312を介して油圧モータ302に動作可能に結合される。
【0045】
方法400は、加圧された作動流体が、エネルギー貯蔵装置100から例えばバルブ312を開くことで油圧モータ302を通じて放出される、第3のステップ406を更に含む。前述のように、油圧モータ302を通じて加圧作動流体を放出すると、機械的負荷に供給される機械的動力又はエネルギー供給システム300の電気的負荷310のための発電機306を介して電気的エネルギーが生成される。
【0046】
前述の構成では、エネルギー貯蔵システム2及びエネルギー供給システム300が別個のシステムであり、この場合、エネルギー貯蔵装置100のみがそれらの間で共通である。しかしながら、他の構成では、エネルギー貯蔵システム2及びエネルギー供給システム300の1つ以上の構成要素が両方のシステムで共通であってもよい。例えば、エネルギー貯蔵システム2の圧縮機6は、上記図1及び図2を参照して説明した油圧圧縮機として或いは上記図3及び図4を参照して説明した油圧モータとして動作できる油圧圧縮機/モータである。同様に、エネルギー貯蔵システム2のモータ7は、圧縮機6を駆動するためのモータとして又は図3及び図4を参照して説明した発電機として動作できるモータ/発電機である。
【0047】
エネルギーが貯蔵される場所からエネルギーが供給される他の場所へエネルギー貯蔵装置100が輸送される場合、エネルギー貯蔵システム及びエネルギー供給システムの両方に共通の構成要素がエネルギー貯蔵装置100と一緒に輸送される。
【0048】
幾つかの構成では、単一のシステムが、エネルギー貯蔵システム2及びエネルギー供給システム300の両方の機能を果たすように構成されてもよい。そのようなシステムは、組み合わされた油圧圧縮機/モータ及び組み合わされたモータ/発電機を備える。或いは、そのようなシステムは、油圧圧縮機及び油圧モータの両方及び/又はモータ及び発電機の両方を備える。そのような構成では、エネルギー供給方法の第1のステップ402を省略してもよい。
【0049】
ここで、図5図6図7及び図8を参照して、本開示に係るエネルギー貯蔵装置500,600,700,800の異なる構成について説明する。図5図6図7及び図8に示されるエネルギー貯蔵装置500,600,700,800のいずれも、前述したエネルギー貯蔵システム2内及びエネルギー供給システム300内のエネルギー貯蔵装置100として使用することができる。
【0050】
エネルギー貯蔵装置500,600,700,800の夫々は、圧力容器510,610,710,810を備える。各圧力容器510,610,710,810は、該圧力容器内に貯蔵された加圧流体を収容するための1つ以上の壁512,612,712,812と入口514,614,714,814とを有する。入口514,614,714,814を通じて作動流体が圧力容器510,610,710,810に出入りされる。圧力容器は、略プリズム形状、例えば略円筒状であってもよく、長手方向軸を規定してもよい。入口514,614,714,814は、圧力容器510,610,710,810の一方の長手方向端部に配置されてもよい。
【0051】
1つ以上の構成では、圧力容器510,610,710,810が約50リットルの容積を有する。50リットルの容積は、エネルギー貯蔵容量とエネルギー貯蔵装置の携帯性との間のバランスをもたらし得る。他の構成では、圧力容器510,610,710,810が、他の任意の望ましい容積を有してもよい。更に、任意の所望のサイズの圧力容器を有する複数、例えば、任意の数のエネルギー貯蔵装置500,600,700,800が、所望のエネルギー貯蔵容量を提供するため、例えば、互いに直列及び/又は並列に一緒に動作可能に、流体的に接続される。
【0052】
圧力容器510,610,710,810は、圧力容器510,610,710,810内及び/又はその周囲に配置される1つ以上の弾性要素520,620,720,820を更に備える。弾性要素520,620,720,820は、撚られ及び/又は編組され、更には選択的にコイル状にされ、巻回され及び/又は織られることで、弾性要素520,620,720,820を形成する弾性材料の複数のフィラメントを備える。
【0053】
エネルギー貯蔵装置500,600,700,800は、圧力容器510,610,710,810内に加圧流体を貯蔵することで、対応する弾性要素520,620,720,820を伸張させる又は圧縮させるように構成される。
【0054】
図5に示す構成では、弾性要素が、圧力容器510内に配置される弾性材料の球520を備える。任意の所望の数の弾性球520が、圧力容器510内部に配置される。例えば、弾性球520を、弾性球が圧力容器の内容積の約10%を占めるように圧力容器内に配置することができる。
【0055】
弾性球520及び圧力容器510の壁512は、加圧された作動流体が圧力容器510内に貯蔵される際に、球520が圧縮されるように構成される。例えば、エネルギー貯蔵装置500を製造する際に、圧縮機6の出口圧力で圧力容器内に貯蔵される作動流体が球520を圧縮させるように、壁512の材料及び壁厚並びに弾性球520の材料及び構造が選択される。
【0056】
それにより、エネルギーを、弾性球520の圧縮に関連する弾性ポテンシャルエネルギーとして、エネルギー貯蔵装置500によって貯蔵することができる。したがって、エネルギー貯蔵装置500は、同じ圧力に加圧された作動流体を収容して弾性球520を収容しない同じサイズの圧力容器よりも大量のエネルギーを貯蔵するように構成される。
【0057】
弾性球520は、弾性球520を形成するためにコイル状にされ、巻回され、及び/又は、織られた、ロープを形成するべく一緒に撚られ又は編組された材料の複数のフィラメントを備える。
【0058】
弾性材料のロープを形成するために、任意の所望の数のフィラメントが一緒に撚られ又は編組されてもよい。例えば、ロープを形成するべく3つ又は3つを超える材料のフィラメントが撚られ又は編組されてもよい。更に、球を形成するために、任意の所望の数のロープが一緒にコイル状にされ、巻回され、及び/又は、織られてもよい。例えば、球を形成するために1本のロープがコイル状にされてもよい。或いは、より大きなサイズの球を形成するために、第1のロープが最初にコイル状にされ、更なるロープが第1のロープの周囲でコイル状にされてもよい。所望のサイズの球を形成するために、任意の数の更なるロープが球の周囲で例えば連続的にコイル状にされてもよい。1つの構成では、各ロープを形成するために1800本の材料のファイバが一緒に撚られ又は編組され、また、弾性球520の夫々を形成するため、15本のロープが一緒に織られてコイル状にされる。
【0059】
材料の編組ロープから球を形成すると、材料のモノリシック体から形成される球と比較して、球の最大耐荷重が増大する。前述のエネルギー貯蔵システム2及びエネルギー供給システム300の使用において、エネルギー貯蔵装置500内の球520は、エネルギー貯蔵装置500の多くの充電サイクルにわたってエネルギーが貯蔵されてエネルギー貯蔵装置から放出されるにつれて交互に圧縮されて中立圧縮に戻される。
【0060】
球の最大耐荷重を増大させると、複数の充電サイクルに晒されたときのエネルギー貯蔵装置の信頼性が向上する。特に、編組ロープから球体を形成すると、疲労の少ないロープのフィラメント間で荷重を分散できるため、球体の疲労破壊に対する耐性が高まる。更に、球を形成する材料の疲労から生じる球の材料の亀裂又は破壊は、亀裂又は破壊が形成する特定のストランドに限定される。これにより、疲労亀裂が特定のストランドを超えて球を介して伝播することが防止され、それにより、寿命、例えば弾性球520の最大充電サイクル数が増大する。
【0061】
弾性球520は、高い引張強度、例えば高い最大抗張力を有する材料から形成されてもよい。例えば、弾性球520は、400MPa以上の最大抗張力を有する材料から形成されてもよい。例えば、弾性球520は、高張力鋼、アラミドのファイバ、又は、他の高張力ポリマー又は金属材料から形成されてもよい。1つの構成において、弾性球は、天然又は合成のスパイダーシルクのストランドから形成される。
【0062】
図6を参照して、幾つかの構成において、エネルギー貯蔵装置600は、圧力容器610内に配置されるピストン630を更に備える。ピストン630は、例えば、圧力容器の壁612に対して移動可能に、例えば摺動可能に取り付けられる。シールがピストン630と圧力容器の壁612との間に形成されて、それにより、ピストンの一方側に対する圧力容器の容積、例えば作動容積が圧力容器の入口と連通し、また、ピストンの他方側に対する圧力容器の残りの容積は、ピストンの存在に起因して入口614と連通しない。それにより、圧力容器の入口614から離れる及び入口614へ向かう圧力容器610内のピストン630の移動は、入口614と連通している圧力容器610の容積を増大及び減少させるように作用する。
【0063】
図6に示すように、エネルギー貯蔵装置600で、弾性要素は、ピストン630を圧力容器の壁612に結合する長尺なケーブル620を備える。特に、ケーブル620の第1の端部620aがピストンに結合され、第2の端部620bが圧力容器の壁612に結合される。弾性ケーブル620は、前述の弾性球520と同様の態様で形成されてもよい。例えば、弾性ケーブル620は、ロープを形成するために一緒に撚られる又は編組される弾性材料の3つ以上のストランドから形成されてもよい。幾つかの構成では、弾性ケーブル620を形成するために複数のロープが編組され又は織られてもよい。弾性ケーブル620は、前述の弾性球520と同じ材料から形成されてもよい。
【0064】
図示するように、弾性ケーブルは、入口614と連通する圧力容器610の容積を増大させるべく作用するピストン630の動きが弾性ケーブル620を伸張させるべく作用するように配置される。
【0065】
弾性ケーブル620は、圧縮機6からの加圧作動流体が圧力容器610内へ導入されるときにピストン630が入口614から離れるように移動されることによって加圧作動流体を貯蔵できる容積を増大させて弾性ケーブルを伸張させるように構成される。それにより、エネルギーは、弾性ケーブル620の伸長に関連する弾性ポテンシャルエネルギーとしてエネルギー貯蔵装置600によって貯蔵され、それにより、エネルギー貯蔵装置600は、同じ圧力の加圧流体を貯蔵するが弾性ケーブル620を備えない同じサイズの圧力容器よりも大量のエネルギーを貯蔵することができる。
【0066】
他の構成では、弾性ケーブル620が、これに加えて又は代えて、ピストン630が入口614から離れるように移動されるときに弾性要素620が圧縮されるように入口614に対してピストン630の反対側に配置される。
【0067】
図7は、弾性要素720が圧力容器710の周囲に設けられるエネルギー貯蔵装置700の構成を示す。図示するように、弾性要素は、圧力容器710の外面の周囲に巻き付けられるロープの形態を成す。ロープ720は、前述の球520及びケーブル620を形成するロープと同じ態様で形成されてもよく、また、前述の同じ材料から形成されてもよい。
【0068】
エネルギー貯蔵装置700は、圧縮機6からの加圧作動流体が圧力容器710内へ導入される際に、圧力容器の壁712が外側に拡張することで、圧力容器を包む弾性ロープ720を伸張させるように構成される。
【0069】
圧力容器の外側に弾性要素を配置することは、好適には、特定の容積を有する圧力容器内に貯蔵される作動流体の体積の増大を可能にし得る。更に、圧力容器の外側に配置された弾性要素は、作動流体に晒されておらず、検査、保守、及び、修理/交換のためにアクセスし易い場合がある。
【0070】
図7に示す構成では、弾性ロープ720が、圧力容器710の周期に巻回されて、圧力容器を包む弾性ロープのスパイラルを形成する。したがって、弾性ロープ720は、圧力容器の長手方向軸に対して垂直な方向を主要成分を有する方向とし、例えば圧力容器の周方向に延在する。他の構成では、弾性ロープを織って、圧力容器710を包むロープの織り構成を形成してもよい。それにより、エネルギーは、弾性ロープ720の伸長に関連する弾性ポテンシャルエネルギーとしてエネルギー貯蔵装置700により貯蔵される。したがって、エネルギー貯蔵装置700は、同じ圧力の加圧流体を貯蔵するが弾性ロープ720によって包まれていない同じサイズの圧力容器よりも大量のエネルギーを貯蔵できる。
【0071】
図8に示す構成では、弾性要素820が、圧力容器810の周囲に配置される弾性ロープの形態も成す。弾性ロープ820は、弾性ロープ720と同じ態様で形成されてもよく、また、同じ材料から形成されてもよい。図示するように、圧力容器810は第1及び第2のフランジ810a,810bを備える。フランジは、圧力容器810の長手方向軸に対して外向きに延在してもよい。フランジは、例えば圧力容器の長手方向で、互いに離間される。弾性ロープの第1の端部820aが第1のフランジ810aに結合されてもよく、また、弾性ロープの第2の端部820bが第2のフランジ810bに結合されてもよい。
【0072】
エネルギー貯蔵装置800は、圧縮機6からの加圧作動流体が圧力容器810内へ導入されるときに第1及び第2のフランジ810a,810b間の距離が増大することによって弾性ロープ820を伸張させるように圧力容器が拡張するように構成される。
【0073】
図8には、2つの弾性ロープ820を示す。しかしながら、他の構成では、任意の数の弾性ロープ820が、圧力容器の周囲に設けられ、例えば圧力容器810の周りで周方向に離間されてもよい。
【0074】
図5図6図7及び図8を参照して前述した構成では、エネルギー貯蔵装置500,600,700,800の夫々が単一形態の弾性要素を備える。しかしながら、他の構成では、エネルギー貯蔵装置が前述の弾性要素の任意の組み合わせを備えてもよい。言い換えると、エネルギー貯蔵装置は、弾性球520、ピストン630及び弾性ケーブル620及び/又は弾性ロープ720,820を備えてもよい。
【0075】
前述した夫々の構成の場合、圧力容器510,610,710内及び/又はその周囲における弾性要素520,620,720,820の存在に起因して、例えば前述したエネルギー供給方法400の最中に、エネルギー貯蔵装置の圧力容器内に貯蔵された作動流体が、弾性要素を備えない圧力容器からよりも大きな割合で、エネルギー貯蔵装置から放出され得る。図6に示す構成等の幾つかの構成では、実質的に全ての作動流体が圧力容器から放出され得る。例えば、作動流体の約90%又は90%以上が放出され得る。
【0076】
更に、圧力容器510,610,710内及び/又はその周囲における弾性要素520,620,720の存在に起因して、作動流体の圧力は、弾性要素が設けられなかった場合よりもあまり変化し得ない。これは、例えば、流体が放出されるにつれて弾性要素の伸張又は圧縮が緩和される際に弾性要素が加圧流体の圧力を維持するように作用するためである。したがって、エネルギー供給システム300のピーク出力の変動は、弾性要素の存在によって低減され得る。
【0077】
加圧流体がエネルギー貯蔵装置から放出されるとき、例えば、エネルギー供給方法400の最中に、加圧流体は、流体の大部分が圧力容器から放出される間に圧力容器内の流体の圧力が実質的に一定のままであるように、所定の流量以下で圧力容器から実現され得る。例えば、圧力容器内の作動流体の圧力は、約10%又は20%未満しか変化し得ない。
【0078】
エネルギー供給システム300のバルブ312は、圧力容器から出る加圧流体の流量を制御するべく、所定の流れ領域をもたらすように開放され得る。
【0079】
先に詳述した本開示の構成は、既存のエネルギー貯蔵装置及びシステムに勝る多くの利点をもたらす。特に、油圧モータを使用してエネルギー貯蔵装置からエネルギーを抽出すると、バルブのサイズと油圧モータの定格電力とに応じて、バッテリシステム等の既存のシステムよりも大きなピーク出力を提供できる。更に、油圧システムは、高出力で動作しているときに既存のエネルギー貯蔵システムよりも過熱の影響を受けにくく、輸送中に自己放電又は貯蔵エネルギーの損失を受けない。
【0080】
また、本開示の構成は、任意の数のエネルギー貯蔵装置又はシステムを互いに直列及び/又は並列に接続して所望の容量を提供できるため、既存のシステムに匹敵する改善されたエネルギー貯蔵密度及び改善されたスケーラビリティを提供する。更に、本発明は、再生可能供給源から生成されたエネルギーを貯蔵及び分配するための改良されたシステムを提供することによって再生可能エネルギーの使用を容易にする。
【0081】
更なる構成において、エネルギー貯蔵システム2及び/又はエネルギー供給システム300は、他の用途で電力を貯蔵及び/又は供給するために提供され得る。例えば、幾つかの構成において、本開示に係る複合エネルギー貯蔵及び供給システムは、自動車両を駆動するための電力を供給するために自動車両に設けられてもよい。機械的動力は、自動車両の駆動システムに直接に供給されてもよく、又は、自動車両を駆動するための電気モータに供給される電気的エネルギーに変換されてもよい。エネルギー供給及び貯蔵システムは、例えば車両のエネルギー貯蔵システム内に設けられるエネルギー貯蔵装置100内に貯蔵されるべき流体を加圧することによって、自動車両のブレイク中に回収されるエネルギーを貯蔵するように構成されてもよい。
【0082】
当業者であれば分かるように、1つ以上の典型的な例に関連して、本発明を一例として説明してきたが、本発明は開示された例に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定される発明の範囲から逸脱することなく別の例を構築できる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8