IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシーの特許一覧

特許7361197非空気圧タイヤで使用するための温度安定性ポリマーブレンド
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】非空気圧タイヤで使用するための温度安定性ポリマーブレンド
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/06 20060101AFI20231005BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20231005BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20231005BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20231005BHJP
   B60C 7/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C08L67/06
C08L63/00 A
C08J3/20 D CFD
B60C1/00 Z
B60C7/00 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022502465
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2020033386
(87)【国際公開番号】W WO2021021274
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】62/879,600
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリーベル、ジャレッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョンジェ
(72)【発明者】
【氏名】チザム、ブレット ジェイ.
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/093212(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/093747(WO,A1)
【文献】特開2012-140532(JP,A)
【文献】特開2001-247752(JP,A)
【文献】特開2013-221037(JP,A)
【文献】特開2019-001362(JP,A)
【文献】特開2001-240663(JP,A)
【文献】特開2003-012906(JP,A)
【文献】国際公開第2015/160592(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
B60C1/00-16/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0~100℃のTg及び225~290の溶融温度を有する熱可塑性ポリエステルエラストマー(a)と、
橋化合物(b)と、
を含む、温度安定性ポリマーブレンドであって
(a)及び(b)の総量は100部であり、(b)は0.5~15部の量で存在し、(a)は8~99.5部の量で存在し、
(a)及び(b)の総重量に基づき、5重量%以下の、200℃以上のTg、及び/又は、300℃以上の溶融温度を有する高温熱可塑性ポリマーが前記ブレンドに存在し、
前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(a)が、ポリエステル部分中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み、
前記架橋化合物(b)が、
架橋剤のシロキサン部分として、アルコキシシラン、ポリシロキサン、若しくはハロゲン化シランのうちの1つを有する化合物から選択される、少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合を含有するシロキサン化合物;
少なくとも1つの硫黄原子を含有するシロキサン化合物;又は
エポキシ化植物油、ポリエポキシド化合物、若しくはこれらの組み合わせ、
であり、
前記温度安定性とは、前記ブレンドが、-40~190℃の温度範囲にわたり、その弾性率の少なくとも90%を維持する能力を意味し、前記弾性率とは、50%弾性率又は100%弾性率の少なくとも一方を意味する、
温度安定性ポリマーブレンド。
【請求項2】
(a)が、ポリアルキレン-テレフタレート-ポリアルキレンエーテルグリコールコポリマー、又はポリアルキレンナフタレート-ポリアルキレンエーテルグリコールコポリマーを含む、請求項1に記載の温度安定性ポリマーブレンド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の温度安定性ポリマーブレンドから作製される構成要素を含む、非空気圧タイヤ。
【請求項4】
前記構成要素が、少なくとも1つの細長いスポークである、又は相互接続したウェブである、請求項3に記載の非空気圧タイヤ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の温度安定性ポリマーブレンドの調製プロセスであって、
前記熱可塑性ポリエステルエラストマー(a)と前記架橋化合物(b)とを、200~280℃の温度で加熱ブレンドすることによってブレンドを作製することを含み、
前記ブレンドすることが押出機で行われる、プロセス。
【請求項6】
265℃以下の温度で、前記温度安定性ポリマーブレンドのペレットから非空気圧タイヤ用のスポークを射出成形することを更に含む、請求項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、非空気圧タイヤで使用するのに好適なポリマーブレンド、ポリマーブレンドの調製プロセス、並びに、ポリマーブレンドを組み込む非空気圧タイヤ、及び非空気圧タイヤの構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の(空気入り)タイヤは空気で膨張するが、非空気圧タイヤは、車両の重量を支える、又は、道路表面からの衝撃を吸収するために、空気の膨張に依存しないという点で、エアレスであると考えることができる。非空気圧タイヤは、保守の少なさ、及び、パンクリスクの喪失に関して利点をもたらす。非空気圧タイヤに対して、様々な設計が提案されており、これらのうちの一種では、インナーリムのような構造に(直接又は間接的に)接続し、外側バンド又はリング、及び、比較的薄層のゴムで覆われたスポークのネットワークを用いる。このような設計では、スポークは、車両の重量の支持をもたらす機能を有し、その構造及び構成は、非空気圧タイヤ全体の設計に決定的に重要である。
【発明の概要】
【0003】
非空気圧タイヤで使用するのに好適なポリマーブレンド、ポリマーブレンドの調製プロセス、並びに、ポリマーブレンドを組み込む非空気圧タイヤ、及び非空気圧タイヤの構成要素を本明細書で開示する。
【0004】
第1の実施形態では、温度安定性ポリマーブレンドを提供する。第1の実施形態によれば、ポリマーブレンドは、(a)(i)約50~約100℃、好ましくは約50~約80℃のTg、又は、(ii)約200~約290、好ましくは約210~約250℃の溶融温度のうち少なくとも1つを有する、熱可塑性ポリエステルエラストマー、好ましくはポリエーテル-ポリエステルブロックコポリマーと、(b)架橋化合物、好ましくは、(i)少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合若しくは少なくとも1つの硫黄原子を含有するシロキサン化合物、又は(ii)エポキシド化合物のいずれかと、を含み、(a)及び(b)の総量は100部であり、(b)は、約0.5~約15部、好ましくは約1~約10部の量で存在し、(a)は、約85~約99.5部、好ましくは約90~約99部の量で存在する。
【0005】
第2の実施形態では、温度安定性ポリマーブレンドの調製プロセスを提供する。第2の実施形態によれば、プロセスは、(a)熱可塑性ポリエステルエラストマー(好ましくはポリエーテル-ポリエステルブロックコポリマー)と、(b)架橋化合物(好ましくは、(i)少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合若しくは少なくとも1つの硫黄原子を含有するシロキサン化合物、又は(ii)エポキシド化合物のいずれか)と、を、約200~約280℃、好ましくは約220~約260℃の温度で加熱ブレンドすることによってブレンドを作製することを含み、ブレンドすることは押出機、好ましくは、二軸押出機で行われ、(a)及び(b)の総量は100部であり、(b)は、約0.5~約15部、好ましくは約1~約10部の量で存在し、(a)は、約85~約99.5部、好ましくは約90~約99部の量で存在し、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、(i)約50~約100℃、好ましくは約50~約80℃のTg、又は、(ii)約200~約290、好ましくは約210~約250℃の溶融温度のうち少なくとも1つを有する。
【0006】
第3の実施形態では、第1の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドから作製した構成要素を有する非空気圧タイヤを開示する。
【0007】
第4の実施形態では、(第2の実施形態のプロセスの実施形態に従った)射出成形プロセスにより作製した非空気圧タイヤスポーク、及び、1つ以上のそのようなスポークを含む非空気圧タイヤを開示する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
非空気圧タイヤで使用するのに好適なポリマーブレンド、ポリマーブレンドの調製プロセス、並びに、ポリマーブレンドを組み込む非空気圧タイヤ、及び非空気圧タイヤの構成要素を本明細書で開示する。
【0009】
第1の実施形態では、温度安定性ポリマーブレンドを提供する。第1の実施形態によれば、ポリマーブレンドは、(a)(i)約50~約100℃、好ましくは約50~約80℃のTg、又は、(ii)約200~約290、好ましくは約210~約250℃の溶融温度のうち少なくとも1つを有する、熱可塑性ポリエステルエラストマー、好ましくはポリエーテル-ポリエステルブロックコポリマーと、(b)架橋化合物、好ましくは、(i)少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合若しくは少なくとも1つの硫黄原子を含有するシロキサン化合物、又は(ii)エポキシド化合物のいずれかと、を含み、(a)及び(b)の総量は100部であり、(b)は、約0.5~約15部、好ましくは約1~約10部の量で存在し、(a)は、約85~約99.5部、好ましくは約90~約99部の量で存在する。
【0010】
第2の実施形態では、温度安定性ポリマーブレンドの調製プロセスを提供する。第2の実施形態によれば、プロセスは、(a)熱可塑性ポリエステルエラストマー(好ましくはポリエーテル-ポリエステルブロックコポリマー)と、(b)架橋化合物(好ましくは、(i)少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合若しくは少なくとも1つの硫黄原子を含有するシロキサン化合物、又は(ii)エポキシド化合物のいずれか)と、を、約200~約280℃、好ましくは約220~約260℃の温度で加熱ブレンドすることによってブレンドを作製することを含み、ブレンドすることは押出機、好ましくは、二軸押出機で行われ、(a)及び(b)の総量は100部であり、(b)は、約0.5~約15部、好ましくは約1~約10部の量で存在し、(a)は、約85~約99.5部、好ましくは約90~約99部の量で存在し、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、(i)約50~約100℃、好ましくは約50~約80℃のTg、又は、(ii)約200~約290、好ましくは約210~約250℃の溶融温度のうち少なくとも1つを有する。
【0011】
第3の実施形態では、第1の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドから作製した構成要素を有する非空気圧タイヤを開示する。
【0012】
第4の実施形態では、(第2の実施形態のプロセスの実施形態に従った)射出成形プロセスにより作製した非空気圧タイヤスポーク、及び、1つ以上のそのようなスポークを含む非空気圧タイヤを開示する。
温度安定性ポリマーブレンド
【0013】
上述のとおり、本明細書で開示する第1の実施形態は、温度安定性ポリマーブレンドに関する。以下でより詳細に論じるように、ポリマーブレンドの温度安定性の態様とは、商業用車両(例えば、トラクター-トレーラー又はバス)の操作中に、非空気圧タイヤが遭遇する可能性があるような、広範囲の温度にわたり、ブレンドがその強度を維持する能力を意味する。実施形態の全てに関して本明細書で使用する場合、語句「温度安定性」とは、ブレンドが、-40~190℃の温度範囲にわたり、その弾性率の少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、又はそれ以上)を維持する能力を意味し、弾性率とは、50%弾性率、又は100%弾性率のうち少なくとも1つ、好ましくは両方における、MPaの測定値を意味する。広範囲の温度にまたがりその強度を維持することに加えて、ポリマーブレンドはまた、好ましくは、特定の範囲内で弾性率を有し、射出成形により加工可能である。これら両方は、以下でより詳細に記載するとおりである。
【0014】
一般に、温度安定性ポリマーブレンドは、(a)熱可塑性ポリエステルエラストマーと、(b)架橋化合物を含み、これらそれぞれは、以下でより詳細に論じるとおりである。第1~第4の実施形態によれば、温度安定性ポリマーブレンドを調製するために使用する(a)及び(b)の量は、変化し得る。一般に、第1~第4の実施形態によれば、(a)及び(b)の総量が100部であると考えられるとき、(a)は、約85~約99.5部、又は85~99.5部、好ましくは約90~約99部、又は90~99部の量で存在し、(b)は、約0.5~約15部、又は0.5~15部、好ましくは約1~約10部、又は1~10部の量で存在する。第1~第4の実施形態の好ましい実施形態では、温度安定性ポリマーブレンドは、(a)及び(b)の総重量に基づき、5重量%以下(例えば、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.5重量%、又はそれ以下)の、200℃以上のTg、及び/又は300℃以上の溶融温度を有する高温熱可塑性ポリマーを含有し、好ましくは0重量%のこのような高温熱可塑性ポリマーを含有する。非限定例として、95部の(a)及び5部の(b)と組み合わせての、10部の高温熱可塑性ポリマーの使用は、(a)及び(b)の総重量に基づくと10重量%を構成し、5重量%を超える。
【0015】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、温度安定性ポリマーブレンド、及び/又は、これから作製した非空気圧タイヤスポーク、及び/又は、このようなスポークを含有する非空気圧タイヤは、ポリウレタンポリマーを含有しない。換言すれば、このような実施形態では、1重量%未満のポリウレタンポリマー(例えば、0.9重量%、0.8重量%、0.7重量%、0.6重量%、0.5重量%、0.4重量%、0.3重量%、0.2重量%、0.1重量%、又はそれ以下)、より好ましくは0重量%のポリウレタンポリマーが、温度テーブルポリマーブレンド、これから作製した非空気圧タイヤスポーク、及び/又はこのようなスポークを含有する非空気圧タイヤに存在する。
【0016】
第1~第4の実施形態の他の実施形態では、熱可塑性ポリエステルエラストマーの少なくとも一部が、本明細書で論じる熱可塑性ポリエステルエラストマーに類似するTg、及び/又は、本明細書で論じる熱可塑性ポリエステルエラストマーに類似する溶融温度を有する熱可塑性ポリウレタンにより置き換えられる。
【0017】
第1の実施形態のサブ実施形態として、ペレット版の温度安定性ポリマーブレンド、温度安定性ポリマーブレンドのロッド又はストランド、温度安定性ポリマーブレンドから作製した非空気圧タイヤの構成要素(例えばスポーク)、並びに、温度安定性ポリマーブレンドから作製した少なくとも1つの構成要素、好ましくは、タイヤの内側リムと外側バンド又はリングとを接続する、1つ以上のスポークを有する非空気圧タイヤを本明細書で開示する。
熱可塑性ポリエステルエラストマー
【0018】
上述のように、第1~第4の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドは、熱可塑性ポリエステルエラストマー(構成成分(a))を含む。熱可塑性ポリエステルエラストマーは一般に、熱可塑性ブロック及びエラストマーブロックの両方を含むコポリマーであると理解され、コポリマーに、エラストマーの性能効果(例えば、低温での柔軟性)、及び、熱可塑性プラスチックの性能効果(例えば、高温での強度の保持)をもたらす。第1~第4の実施形態に従ったブレンドで使用するための好適な熱可塑性ポリエステルエラストマーは、以下のうちの少なくとも1つを満たす:(i)約50~約100℃、又は、50~100℃(例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100℃)、好ましくは、約50~約80℃、又は50~80℃(例えば、50、52、54、55、56、58、60、62、64、65、66、68、70、72、74、75、76、78、又は80℃)のTg、及び、(ii)約200~約280℃、又は、200~280℃(例えば、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、又は280℃)、好ましくは、約210~約260℃、又は210~260℃(例えば、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、又は260℃)の溶融温度。第1~第4の好ましい実施形態では、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、上述した範囲又は量のうち1つ内でのTg及び溶融温度の両方を有する。第1~第4の実施形態の特に好ましい実施形態では、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、上述した好ましい範囲又は量内のTg及び溶融温度の両方を有する。Tg及び溶融温度の両方を、ISO11357などの標準的な方法に従い測定することができる。特に、熱可塑性ポリエステルエラストマー材料は、2つのTgを一般に有し、前述のTg値は、曲線での高いほうのTgを指すものと理解されなければならない。
【0019】
前述の性質を有する様々な熱可塑性ポリエステルエラストマーを、温度安定性ポリマーブレンドの調製において使用することができる。1種又は2種以上の熱可塑性ポリエステルエラストマーを使用することができる。好ましい実施形態では、熱可塑性ポリエステルエラストマーはポリエーテル-ポリエステルブロックコポリマーであり、特定のこのような実施形態では、熱可塑性ポリエステルエラストマーの少なくとも90重量%(例えば、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、又は100重量%)、少なくとも95重量%(例えば、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、又は100重量%)、少なくとも98重量%(例えば、98重量%、98.5重量%、99重量%、99.5重量%、又は100重量%)、少なくとも99重量%、又は更に、100重量%を、ポリエーテル-ポリエステルブロックコポリマーが占める。ポリエーテル-ポリエステルブロックコポリマーは、ジカルボン酸誘導体(例えば、テレフタレート又はナフタレート)と1つ以上のジオール(例えば、ブタンジオール、プロパンジオール)との反応により作製可能なポリエステルブロック(又はポリエステルセグメント)の形態の「ハード」部分を含み、ポリアルキレンエーテルグリコールをベースとすることができるポリエーテルブロック(又はポリエーテルセグメント)の形態の「ソフト」、又はエラストマー部分もまた含む。ポリエステルブロックとポリエーテルブロックの相対量は変化することができ、ポリエステルブロックからの総単位の重量%は、コポリマー全体の30~90重量%(例えば、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、又は90重量%)、好ましくはコポリマー全体の30~40重量%(例えば、30、32、34、35、36、38、又は40重量%)であり、ポリエーテルブロックからの総単位の重量%は、コポリマー全体の10~70重量%(例えば、10、20、30、40、50、60、又は70重量%)、好ましくはコポリマー全体の60~70重量%(例えば、60、62、64、65、66、68、又は70重量%)である。使用するのに好適な、例示的なポリエーテル-ポリエステルブロックコポリマーとしては、ポリアルキレン-テレフタレート-ポリアルキレンエーテルグリコールコポリマー、及びポリアルキレン-ナフタレート-ポリアルキレンエーテルグリコールコポリマーが挙げられ、ポリブチレンテレフタレート-ポリメチレンエーテルグリコールなどの、ポリアルキレンテレフタレート-ポリアルキレンエーテルグリコールコポリマーが好ましい。ポリエーテル-ポリエステルブロックコポリマーのポリアルキレンエーテルグリコール部分は、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリメチレンエーテルグリコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0020】
様々なポリエーテル-ポリエステルブロックコポリマーが市販されており、ポリマーブレンドにおける熱可塑性ポリエステルエラストマー(a)として使用するのに好適であり得、例えば、様々なグレードのHytrel(登録商標)(DuPont(商標)から入手可能)、Riteflex(登録商標)(Celanese Corporationから入手可能)、Arnitel(登録商標)(DSM Engineering Plasticsから入手可能)、Pelprene(登録商標)(Toyobo U.S.A.,Inc.から入手可能)が挙げられるがこれらに限定されない。前述の熱可塑性ポリエステルエラストマーの好適なグレードは、本明細書に記載する他の性質(例えば、Tg及び溶融温度)を用いて選択することができる。例えば、東洋紡製のPelprene(登録商標)ブランドの下では、高い可撓性及び高い溶融点を備える、超耐熱性S型又はP型が有用であり得る。
【0021】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、以下の性質のうちの少なくとも1つを有する:(a)20~70(例えば、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、若しくは70)、若しくは30~60(例えば、30、35、40、45、50、55、若しくは60)のショアD硬度(ISO 868により測定、15秒)、(b)平行方向で、70~130kN/m(例えば、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、若しくは130kN/m)若しくは75~125kN/m(例えば、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、若しくは125kN/m)、及び/若しくは垂直方向で、60~130kN/m(例えば、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、若しくは130kN/m)若しくは70~125kN/m(例えば、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、若しくは125kN/m)の引裂強度(ISO 150-34-1により測定)、(c)40~100kJ/m(例えば、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100kJ/m)、及び、50~90kJ/m(50、55、60、65、70、75、80、85、若しくは90kJ/m)を含む、23℃にて少なくとも40kJ/mのノッチ付き衝撃強さ(ISO 179/1eAにより測定)(d)20~100MPa(例えば、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100MPa)、若しくは20~90MPa(例えば、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、若しくは90MPa)の曲げ弾性率(ISO 178により測定)、(e)20~40MPa(例えば、20、25、30、35、若しくは40MPa)、若しくは22~38MPa(例えば、22、24、26、28、30、32、34、36、若しくは38MPa)、若しくは24~36MPa(例えば、24、26、28、30、32、34、若しくは36MPa)の破断時の応力(ISO 527により測定)、又は、(f)少なくとも600%、若しくは600~1000%(例えば、600、650、700、750、800、850、900、950、若しくは1000%)、若しくは650~950%(例えば、650、700、750、800、850、900、若しくは950%)、若しくは700~900%(例えば、700、750、800、850、若しくは900%)の破断時の公称歪み(ISO 527により測定)。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、前述の(a)~(c)のそれぞれが満たされる。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、前述の(a)~(c)のそれぞれが満たされ、(d)~(f)のうち少なくとも1つもまた満たされる。第1~第4の実施形態の更に他の実施形態では、(a)~(f)のそれぞれが満たされる。
架橋化合物
【0022】
上述のように、第1~第4の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドは、架橋化合物(構成成分(b))を含む。第1~第4の実施形態によれば、利用される特定の架橋化合物は変化し得る。第1~第4の実施形態の好ましい実施形態では、架橋化合物は、(i)少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合若しくは少なくとも1つの硫黄原子を含有するシロキサン化合物、又は(ii)エポキシド化合物のいずれかである。第1~第4の実施形態の特定の好ましい実施形態では、架橋化合物は、少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合若しくは少なくとも1つの硫黄原子を含有するシロキサン化合物からなる。第1~第4の実施形態の他の好ましい実施形態では、架橋化合物は、エポキシド化合物からなる。
【0023】
第1~第4の実施形態によれば、架橋化合物が、少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合若しくは少なくとも1つの硫黄原子を含有するシロキサン化合物を含む(又は、これからなる)場合、様々な化合物を利用することができる。少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合を含有する例示的なシロキサン化合物としては、式RSi(R3-nを有する化合物が挙げられ、式中、Rは、2~20個の炭素原子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個)、好ましくは2~10個の炭素原子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個)を有するヒドロカルビル基であり、少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合がRの中に存在し、nは、0、1、又は2から選択される整数であり、各Rは、ハロゲン(例えば、塩素、臭素、ヨウ素、又はフッ素)、C~C20のアルコキシ(例えば、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、又はC20)、好ましくはC~C10のアルコキシ(例えば、C、C、C、C、C、C、C、C、C、又はC10)、より好ましくはC~Cのアルコキシ(例えば、C、C、C、C、C、又はC)、最も好ましくはC又はCのアルコキシから独立して選択される。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、Rは、ビニル基、アリル基、又は、2~20個の炭素原子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個)、好ましくは、2~10個の炭素原子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個)を有する、別の一価の不飽和(即ち、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合、又は少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する)ヒドロカルビル基である。好適なR基は、シロキサン化合物をマイケル受容体として機能させる部分を含むものとしてもまた記載することができる。
【0024】
第1~第4の実施形態によれば、架橋化合物が、少なくとも1つの硫黄原子(例えば、1、2、又は4つの硫黄原子)を有するシロキサン化合物を含む(又は、これからなる)場合、様々な化合物を利用することができる。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、少なくとも1つの硫黄原子を有するシロキサン化合物は、モノスルフィド系アルコキシ含有化合物、ジスルフィド系アルコキシ含有化合物、又は、テトラスルフィド系アルコキシ含有化合物のうち少なくとも1つを含む。ジスルフィド系アルコキシ含有化合物、及びテトラスルフィド系アルコキシ含有化合物としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィド、及びビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドなどの、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィドが挙げられる。ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィドの具体的な非限定例としては、以下に限定されないが、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリ-t-ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2’-ビス(ジメチルメトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3’-ビス(ジフェニルシクロヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(エチル-ジ-sec-ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(プロピルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、12,12’-ビス(トリイソプロポキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(ジメトキシフェニルシリル-2-メチルプロピル)ジスルフィド及びそれらの混合物が挙げられる。ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィド化合物の非限定例としては、以下に限定されないが、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスフィド(bis (2-triethoxysilylethyl) tetrasufide)、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-ベンゾチアゾールテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド及びそれらの混合物が挙げられる。
【0025】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、架橋化合物が、少なくとも1つの硫黄原子を有するシロキサン化合物を含む(又は、これからなる)場合、メルカプトシラン化合物、ブロック化メルカプトシラン(blocked mercaptosilane)化合物、又はこれらの組み合わせが利用される。本明細書に記載する第1~第4の実施形態に従った架橋化合物として使用するのに好適なメルカプトシラン化合物としては、一般式HS-R-Si(X)(R 3-m)を有するものが挙げられ、式中、各Xは、ハロゲン又はアルコキシ基(アルコキシ基の場合、式ORのアルコキシ基(式中、RはC~C(例えば、C、C、C、C、C、又はC)脂肪族、脂環式、又は芳香族基である。)から独立して選択され、Rは、C~Cアルキレン(例えば、C、C、C、又はC)から選択され、各Rは、C~C30アルキル(例えば、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、若しくはC30)、C~C30アルカリル(例えば、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、若しくはC30)、C~C30(例えば、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、若しくはC30)、C~C30脂環式(例えば、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、若しくはC30)、又はC~C20芳香族(例えば、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、若しくはC20)から独立して選択され、mは1~4の整数(例えば、1、2、3、又は4)である。Xがハロゲンであるとき、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素からなる群から選択され、好ましくは塩素であってよい。本明細書に開示する第1~第4の実施形態のうち特定の実施形態では、二官能性シランカップリング剤は上記式を有し、Rは、C~Cアルキレン(例えば、C、C、又はC)から選択され、Xはアルコキシ基であり(炭素部分はC~C、例えば、C、C、C、C、C、又はC)、nは3である。本明細書に開示する第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、様々な(即ち、2つ以上の)メルカプトシラン化合物の混合物を使用することができる。好ましいメルカプトシランとしては、1-メルカプトメチルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロキシシラン(2-mercaptoethyltriproxysilane)、18-メルカプトオクタデシルジエトキシクロロシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられる。本明細書に記載する第1~第4の実施形態に従った架橋化合物として使用するのに好適な、ブロック化メルカプトシランとしては、メルカプト水素原子を置換して、硫黄原子のポリマーとの反応を「ブロックする」、ブロック基Bを伴う、一般式B-S-R-Si-Xを有するものが挙げられる。本明細書に開示される第1~第4の実施形態のうち特定の実施形態では、二官能性シランカップリング剤が上記一般式を有するブロック化メルカプトシランのとき、Bは、一重結合を介して硫黄に直接結合した不飽和ヘテロ原子又は炭素の形態であり得るブロック基であり、Rは、C~C直鎖又は分枝鎖アルキル鎖(即ち、C、C、C、C、C、又はC)から選択され、各Xは、C~Cアルキル(即ち、C、C、C、C、C、又はC)、C~Cアルコキシ(即ち、C、C、C、C、C、又はC)、ハロゲン(例えば、塩素、臭素、ヨウ素、又はフッ素)、ハロゲン含有C~Cアルキル(即ち、C、C、C、C、C、又はC)、及び、ハロゲン含有C~Cアルコキシ(即ち、C、C、C、C、C、又はC)からなる群から独立して選択される。本明細書にて開示される第1~第4の実施形態に従った架橋化合物として使用するのに好適な、ブロック化メルカプトシランとしては、米国特許第6,127,468号、同第6,204,339号、同第6,528,673号、同第6,635,700号、同第6,649,684号、同第6,683,135号、及び同第7,256,231号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。具体的なブロック化メルカプトシラン化合物としては、2-トリエトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-トリメトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジメトキシ-シリル)-1-エチルチオアセテート、3-トリメトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、トリエトキシシリルメチル-チオアセテート、トリメトキシシリルメチルチオアセテート、トリイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、メチルジエトキシシリルメチルチオアセテート、メチルジメトキシシリルメチルチオアセテート、メチルジイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルエトキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルメトキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、2-トリイソプロポキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジエトキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジイソプロポキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルエトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルメトキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルイソプロポキシシリル)-1-エチルチオアセテート、3-トリエトキシシリル-1-プロピル-チオアセテート、3-トリイソプロポキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-メチルジエトキシシリル-1-プロピル-チオアセテート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-メチルジイソプロポキシシリル-1-プロピルチオアセテート、1-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-4-チオアセチルシクロヘキサン、1-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-3-チオアセチルシクロヘキサン、2-トリエトキシシリル-5-チオアセチルノルボルネン、2-トリエトキシシリル-4-チオアセチルノルボルネン、2-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-5-チオアセチルノルボルネン、2-(2-トリエトキシ-シリル-1-エチル)-4-チオアセチルノルボルネン、1-(1-オキソ-2-チア-5-トリエトキシシリルフェニル)安息香酸、6-トリエトキシシリル-1-ヘキシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-5-ヘキシルチオアセテート、8-トリエトキシシリル-1-オクチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-7-オクチルチオアセテート、6-トリエトキシシリル-1-ヘキシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-5-オクチルチオアセテート、8-トリメトキシシリル-1-オクチルチオアセテート、1-トリメトキシシリル-7-オクチルチオアセテート、10-トリエトキシシリル-1-デシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-9-デシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-2-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-メチル-2-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-メチル-3-ブチルチオアセテート、3-トリメトキシシリル-1-プロピルチオオクタノエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピル-1-プロピルチオパルミテート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオオクタノエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオベンゾエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオ-2-エチルヘキサノエート、3-メチルジアセトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-トリアセトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、2-メチルジアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-トリアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、1-メチルジアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、1-トリアセトキシシリル-1-エチル-チオアセテート、トリス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)トリチオホスフェート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)メチルジチオホスホネート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)エチルジチオホスホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジメチルチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジエチルチオ-ホスフィネート、トリス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)テトラチオホスフェート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1
プロピル)メチルトリチオホスホネート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)エチルトリチオホスホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジメチルジチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジエチルジチオホスフィネート、トリス-(3-メチルジメトキシシリル-1-プロピル)トリチオホスフェート、ビス-(3-メチル-ジメトキシシリル-1-プロピル)メチルジチオホスホネート、ビス-(3-メチルジメトキシシリル-1-プロピル)-エチルジチオホスホネート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルジメチルチオホスフィネート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルジエチルチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルメチル-チオサルフェート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルメタンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピル-エタンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルベンゼンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルトルエンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルナフタレンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルキシレンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルメチルチオサルフェート、トリエトキシシリルメチルメタンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルエタンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルベンゼンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルトルエンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルナフタレンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルキシレンチオスルホネート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられる。
【0026】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、架橋化合物が、シロキサン化合物を含む(又は、これからなる)場合、ポリシロキサン化合物を使用する。一般に、ポリシロキサン化合物は、複数のシロキサン部分、即ち-[Si-O]-を含有する化合物として理解することができる。したがって、「ポリシロキサン部分」に言及することは、xが少なくとも2の整数であることを意味する。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、xは、2~50の整数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)、好ましくは、2~20の整数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20)、又は、4~8(例えば、4、5、6、7、又は8)である。好適なポリシロキサン化合物は、直鎖構造と、環式(ケージを含む)構造の両方を含む。
【0027】
第1~第4の実施形態によれば、架橋化合物が、エポキシド化合物を含む(又は、これからなる)場合、様々な化合物を利用することができる。好適なエポキシド化合物の非限定例としては、エポキシ化植物油、及びポリエポキシド化合物が挙げられる。より具体的には、好適なエポキシ化植物油としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化ヒマワリ油、エポキシ化ベニバナ油、エポキシ化オリーブ油、エポキシ化キャノーラ油、エポキシ化トウモロコシ油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化ゴマ油、エポキシ化カシューナッツ油、エポキシ化マカダミアナッツ油、エポキシ化綿実油、エポキシ化ホホバ油、エポキシ化パーム油、エポキシ化ココナッツ油、エポキシ化パーム油、エポキシ化きり油、エポキシ化、エポキシ化ピーナッツ油が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、ラードなどの動物由来の油のエポキシ化形態を利用することができる。好ましくは、エポキシド化合物がエポキシ化植物油である場合、エポキシ化大豆油又はエポキシ化亜麻仁油を使用し、これらそれぞれは一般に、様々な供給元から入手可能である。
【0028】
一般に、ポリエポキシド化合物は、2つ以上のエポキシ官能基を組み込むコポリマー及びターポリマーを含むものとして理解することができる。2つ以上のエポキシ官能基を含むポリエポキシド化合物はまた、エポキシ含有モノマーの複数の重合を含むものとして説明することができる。より具体的には、好適なポリエポキシドコポリマーは、グリシジル又はフェニルグリシジルなどのエポキシモノマー、及び、イソシアネート又はアルデヒドなどの第2のモノマーを含む。好適なポリエポキシドターポリマーは、グリシジル又はフェニルグリシジルなどのエポキシモノマー、並びに、イソシアネート、アルデヒド、芳香族アミン、(メタ)アクリレート、又はクレゾールなどの、第2及び第3のモノマーを含む。遅延架橋剤として使用するのに好適な、好適なポリエポキシド化合物の非限定例としては、ポリ(エチレン-co-メチルアクリレート-co-グリシジルメタクリレート)、ポリ(エチレン-co-グリシジルメタクリレート)、ポリ[(o-クレシルグリシジルエーテル)-co-ホルムアルデヒド]、ポリ[(フェニルグリシジルエーテル)-co-ホルムアルデヒド]、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、トリグリシジルイソシアヌレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、遅延架橋剤がポリエポキシド化合物である場合、遅延架橋剤は、1種以上のエポキシ樹脂、より具体的には、グリシジルエポキシ樹脂、非グリシジルエポキシ樹脂、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、遅延架橋剤は、グリシジルエポキシ樹脂を含み、そのような特定の実施形態では、遅延架橋剤は、グリシジルエポキシ樹脂からなる。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、遅延架橋剤は、非グリシジルエポキシ樹脂を含む。特定のそのような実施形態では、遅延架橋剤は、非グリシジルエポキシ樹脂からなる。グリシジルエポキシ樹脂の例示的な種類としては、グリシドキシエーテル(例えば、ビスフェノールAとノボラックエポキシ樹脂のグリシジルエーテル)、グリシドキシエステル、及びグリシドキシアミンが挙げられる。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、遅延架橋剤は、グリシドキシエーテル樹脂を含み、特定のそのような実施形態では、遅延架橋剤は、グリシドキシエーテル樹脂からなる。非グリシジルエポキシ樹脂の例示的な種類としては、脂肪族エポキシ樹脂、及び脂環式樹脂が挙げられる。理論に束縛されるものではないが、シロキサン架橋化合物は、エラストマー鎖内に存在する不飽和を介して、熱可塑性ポリエステルエラストマーと反応すると考えられる。非限定例として、シロキサン化合物中の不飽和炭素-炭素結合、又は、シロキサン化合物中の硫黄原子により、シロキサン化合物が、熱可塑性ポリエステルエラストマーのエラストマー鎖の不飽和部分にまたがり付加することができる。そのような付加は、ラジカル発生剤又はラジカル反応開始剤(以下でより詳細に論じる)の存在下で生じ得、好ましくは、温度安定性ポリマーブレンドからの形状の射出成形まで、少なくとも部分的に遅延することができる。更に、架橋剤がシロキサン化合物を含む場合、触媒を任意選択的に使用して、熱可塑性ポリエステルエラストマーに付加されたシロキサン化合物を介した架橋ネットワークの形成を補助することができる。あるいは、架橋化合物がエポキシド化合物を含む場合、1つ又は複数のエポキシ基は、熱可塑性ポリエステルエラストマーのカルボン酸末端と反応し、官能性エラストマーを生成し、この官能性エラストマーは、温度安定性ポリマーブレンドからの形状の成形中又は後(好ましくは、形状の成形後)の(架橋による)硬化を可能にする。以下でより詳細に記載するように、架橋化合物がエポキシド化合物を含む場合、触媒を任意選択的に使用し、温度安定性ポリマーブレンドの架橋又は硬化形態の形成を補助することができる。
ラジカル発生剤
【0030】
上述のとおり、架橋剤がシロキサン化合物を含む第1~第4の実施形態では、ラジカル発生剤を好ましくは使用し、シロキサン化合物と、熱可塑性ポリエステルエラストマーの不飽和との間の反応を促進する。したがって、このような実施形態では、温度安定性ポリマーブレンドは、ラジカル発生剤を更に含む。一般に、ラジカル発生剤は、フリーラジカルを発生させることができ、故に、シロキサン化合物の反応性を増加させることができる、任意の化合物であることができる。非限定例として、フリーラジカルは、硫黄含有シロキサンを使用する場合、シロキサンの不飽和部分(例えばビニル)から、又は、硫黄原子上で形成することができる。第1~第4の実施形態によれば、様々な化合物をラジカル発生剤として使用することができる。ラジカル発生剤として使用するのに好適な化合物の非限定例としては、ペルオキシド化合物、アゾ化合物、ジ及びトリスルフィド化合物、過硫酸塩化合物、過ホウ酸塩化合物、並びに、過炭酸塩(percarbonate)化合物が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なペルオキシド化合物としては、過酸化水素、加えて、ベンゾイルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジイソノナノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、コハク酸ペルオキシド、メチルベンゾイルペルオキシド、アセチルベンゾイルペルオキシド、メチルシクロヘキシルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、tert-ブチルペルアセテート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-アミルヒドロペルオキシド、ジ-tert-ヘキシルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルヒドロペルオキシド、テトラリンヒドロペルオキシド、フェニルシクロヘキサンヒドロペルオキシド、1,1-ビス(tert-アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、及び、2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシンなどの、アシル、アロイル、アルキル、又はアリール過酸化物が挙げられる。例示的なアゾ化合物としては、アゾビス-アルキル-ニトリルなどの、アゾビス-ニトリル(例えば、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、及び、2,2’-アゾビス(2-メチルブタンニトリル))が挙げられる。ジ-及びテトラスルフィド化合物は、硫黄を生成するのに有用であり得、それによりラジカルを生成することができる。例示的なジ及びテトラスルフィド化合物としては、具体的には、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィド、及びビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドを含む、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィドが挙げられる。ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィドの具体的な非限定例としては、以下に限定されないが、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリ-t-ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2’-ビス(ジメチルメトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3’-ビス(ジフェニルシクロヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(エチル-ジ-sec-ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(プロピルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、12,12’-ビス(トリイソプロポキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(ジメトキシフェニルシリル-2-メチルプロピル)ジスルフィド及びそれらの混合物が挙げられる。ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドの非限定例としては、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-ベンゾチアゾールテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
例示的な過硫酸塩化合物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウムが挙げられる。例示的な過ホウ酸塩としては、過ホウ酸アルカリ金属、及び過ホウ酸アンモニウムが挙げられる。例示的な過炭酸塩としては、アルキル過炭酸塩(例えば、tert-ブチル過炭酸塩、イソブチル過炭酸塩、イソプロピル過炭酸塩)、アルカリ金属過炭酸塩(例えば、過炭酸ナトリウム)が挙げられる。
触媒
【0032】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、温度安定性ポリマーブレンドは触媒を、追加で含む(即ち、更に含む)。触媒を使用することは、ブレンドを、非空気圧タイヤの構成要素として使用する場合などに、温度安定性ポリマーブレンドの架橋又は硬化を実現するのにおいて有益であり得る。第1~第4の好ましい実施形態では、触媒を利用する場合、触媒は、(例えば、温度安定性ポリマーブレンドのペレット化形態からの、形状の射出成形の後で)架橋を遅延させるために選択することができる。当業者が理解するように、好適な触媒の選択は、架橋化合物の選択により一般的に導かれる。
【0033】
第1~第4の実施形態では、架橋剤が、シロキサン化合物を含む(又は、これからなる)場合、触媒は求核性であるのが好ましい。より好ましい実施形態では、求核性触媒は、穏やかな求核性触媒である。例示的な求核性触媒としては、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、及びヒンダードアミンが挙げられるが、これらに限定されない。四級アンモニウム塩又は四級ホスホニウム塩の「塩」部分は、フッ化物(fluoride)、臭化物(bromide)、塩化物(chloride)、又はヨウ化物(iodide)を含んでよく、ヨウ化物が好ましい。より具体的には、例示的な四級アンモニウム塩としては、セチルトリブチルアンモニウムフルオリド、セチルトリメチルアンモニウムフルオリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラ-ブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムペルクロリエート(tetra-butyl ammonium perchloriate)、テトラエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、Qベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ジデジルジメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、メチルトリブチルアンモニウムクロリド、メチルトリブチルアンモニウムクロリド、メチルトリカプリリルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムブロミド、フェニルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムヒロドキシド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムヒロドキシド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムヒロドキシド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムヒロドキシド、トリブチルメチルアンモニウムクロリド、及び、トリエチルベンジルアンモニウムクロリドが挙げられる。より具体的には、例示的な四級ホスホニウム塩としては、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ブチルトリフェニルホスホニウムクロリド、エチルトリフェニルホスホニウムアセテート、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、及び、テトラフェニルホスホニウムブロミドが挙げられる。例示的なヒンダードアミンとしては、tert-アルキルアミン、ジ(tert-アルキル)アミン、及びトリ(tert-アルキル)アミンが挙げられ、窒素が任意選択的に、複素環式環(例えば、ピロリジン又はピペリジン)に存在することができる。ヒンダードアミンのより具体的な例は、tert-ブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、ジ-tert-ブチル-シクロプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピル-エチルアミン、tert-ペンチルアミン、2,2,4,4-テトラメチルピロリジン(窒素原子がアルキル基で置換されている。)、及び、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(窒素原子がアルキル基で置換されている。)である。
【0034】
第1~第4の実施形態では、上述のように、架橋剤が、シロキサン化合物を含み(又は、これからなり)、求核性触媒が利用される場合、触媒が、温度安定性ポリマーブレンドの他の成分と組み合わせられるタイミングは変化し得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、架橋化合物がシロキサン化合物である場合、求核性触媒は、温度安定性ポリマーブレンドの調製時に、熱可塑性ポリエステルエラストマー及び架橋化合物と混合される。第1~第4の実施形態の他の好ましい実施形態では、架橋化合物がシロキサン化合物である場合、求核性触媒は、温度安定性ポリマーブレンドの形成後、例えば、温度安定性ポリマーブレンドからの形状の射出成形の前に、添加される。求核性触媒が温度安定性ポリマーブレンドの形成後に添加される特定の実施形態では、ブレンドはペレットの形態であり、触媒はペレットに、温度安定性ポリマーブレンドからの形状の射出成形の前に添加される。このような実施形態によれば、触媒は、射出成形装置への添加の前に、ブレンドのペレットに添加して予混合することができるか、又は、射出成形装置の一部を形成するミキサ又はホッパに、ブレンドのペレットと共に添加することができる。
【0035】
第1~第4の実施形態では、架橋剤が、エポキシ化合物を含む(又は、これからなる)場合、触媒は、アミン化合物、又はカルボン酸化合物であるのが好ましい。様々な種類のアミン化合物が、架橋化合物のエポキシ形態とともに、触媒として使用するのに好適となり得、例えば、脂肪族アミン、脂環式アミン、及び芳香族アミンが挙げられ、ここで、脂肪族アミンが好ましく、二級脂肪族アミンがより好ましい。より具体的には、好適な脂肪族アミンとしては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、N-N-ジメチルプロピレンジアミン、N-N-ジエチルプロピレンジアミン、エチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミンなどの化合物、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。好適な脂環式アミンとしては、N-アミノエチルピペラジン、ピペリジン、メンタンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,4-ビス(4-アミノシクロヘキシルメチル)シクロヘキシルアミン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、4,4’-ビス(4-シクロヘキシルメチル)ジシクロヘキシルアミン、2,2-ビス(4-アミノ-3-メチルシクロへキシル)プロパン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン)、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンビス(メチルアミン)(ノルボルナンジアミン)、3,3,5-トリメチル-N-(プロパン-2-イル)-5-[(プロパン-2-イルアミノ)メチル]シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミンなどの化合物、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。好適な芳香族アミンとしては、m-キシリレンジアミン、pーキシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ベンジルジメチルアミン、トリス-2,4,6-ジメチルアミノメチルフェノール、ジアミノジフェニルスルホンなどの化合物、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。様々な種類のカルボン酸化合物が、架橋化合物のエポキシ形態と共に、触媒として使用するのに好適となり得、例えば、カルボン酸塩及びカルボン酸無水物が挙げられ、カルボン酸塩が好ましい。より具体的には、好適なカルボン酸塩としては、「塩」が、バリウム、カドミウム、カルシウム、セリウム、銅、鉄、ランタン、鉛、マンガン、亜鉛、ジルコニウム、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどの金属から選択され(亜鉛、ナトリウム、及びカリウムが好ましい。)、カルボン酸部分が、C~C24カルボン酸(Cの数は、COOH部分中の炭素を含む、カルボン酸内の炭素原子の総数を指し、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、及びC20を含む)から選択される(C~C18(例えば、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、又はC18)が好ましく、C12~C18(例えば、C12、C13、C14、C15、C16、C17、又はC18)がより好ましい。)、化合物が挙げられる。より具体的には、好適なカルボン酸無水物としては、直鎖ポリマー無水物(例えば、ポリセバシン及びポリアゼライン無水物)、脂環式無水物(例えば、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジード無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、及び、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物)、単純な脂環式無水物(例えば、コハク酸無水物、置換コハク酸無水物、クエン酸無水物、マレイン酸無水物及びマレイン酸無水物の特殊な付加物、ドデシルコハク酸無水物、マレイン酸無水物ビニル及びマレイン酸無水物のスチレンコポリマー)、多環脂環式無水物及び芳香族無水物(例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、及びナジクメチル(nadicmethyl)無水物)を含む、対称性及び非対称性カルボン酸無水物の両方が挙げられる。
【0036】
第1~第4の実施形態では、上述のように、架橋剤が、エポキシ化合物を含み(又は、これからなり)、触媒が利用される場合、触媒が、温度安定性ポリマーブレンドの他の成分と組み合わせられるタイミングは変化し得る。第1~第4の実施形態の好ましい実施形態では、架橋化合物がエポキシ化合物である場合、触媒は、温度安定性ポリマーブレンドの形成後、例えば、温度安定性ポリマーブレンドからの形状の射出成形の前に添加される。触媒が温度安定性ポリマーブレンドの形成後に添加される特定の実施形態では、ブレンドはペレットの形態であり、温度安定性ポリマーブレンドから形状を射出成形する前に触媒をペレットに添加する。このような実施形態によれば、触媒は、射出成形装置への添加の前に、ブレンドのペレットと予混合することができるか、又は、射出成形装置の一部を形成するミキサ又はホッパに、ブレンドのペレットと共に添加することができる。
温度安定性ポリマーブレンドの性質
【0037】
第1~第4の実施形態によれば、温度安定性ポリマーブレンドの性質は変化し得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、温度安定性ポリマーブレンドは、以下のうち少なくとも1つを満たす:(a)少なくとも10MPa(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50MPa、若しくはそれ以上)、好ましくは少なくとも11MPa(例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50MPa、若しくはそれ以上)、若しくは、少なくとも12MPa(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50MPa、若しくはそれ以上)の最大応力(破断時の応力又はTbとも呼ばれる。)、(b)少なくとも90%(例えば、90%、95%、100%、105%、110%、120%、130%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、若しくはそれ以上)、好ましくは少なくとも100%(例えば、90%、95%、100%、105%、110%、120%、130%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、若しくはそれ以上)の破断点伸び(Ebとも呼ばれる。)、(c)少なくとも10MPa(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20MPa、若しくはそれ以上)、好ましくは少なくとも11MPa(例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20MPa、若しくはそれ以上)、若しくは少なくとも12MPa(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20MPa、若しくはそれ以上)のM50、(d)少なくとも10MPa(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25MPa、若しくはそれ以上)、好ましくは少なくとも11MPa(例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25MPa、若しくはそれ以上)、若しくは、少なくとも12MPa(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25MPa、若しくはそれ以上)のM100、又は、(e)少なくとも8MPa%(例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90MPa%、若しくはそれ以上)、好ましくは少なくとも9MPa%(例えば、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90MPa%、若しくはそれ以上)、若しくは、少なくとも10MPa(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90MPa%、若しくはそれ以上)の靱性(mm/mm単位でx軸での引張破断点における曲線下面積の積分として測定)。Eb及びTbの測定値は、タイヤ構成要素に組み込まれたときに特に関係する、ゴム組成物の耐引裂性の指標を提供する。略語M50は、50%伸びの際の引張応力のために使用され、略語M100は、100%伸びの際の引張応力のために使用される。これらの値は、50%の弾性率及び100%の弾性率と称されることもあるが、それらは真の弾性率測定値を表していない。靱性とは、材料が破砕に耐える、又は抵抗する能力を意味する。前述の性質(即ち、Eb、Tb、M50、M100、靱性)は、ASTM D-412で説明されている標準的な手順を用いて測定することができる。試料に一定速度(20%毎秒)でひずみを与え、得られた力を、伸長(ひずみ)の関数として記録する。性質は、23℃(室温)における試験で測定する。試料は、高温(約105℃~155℃)にて、8~16時間硬化させることができる。硬化後、室温試験を実行する前に、室温試験用の試料を、室温で少なくとも24時間実験室内に据えることによって調整してよい。
【0038】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、温度安定性ポリマーブレンドは、以下のうち少なくとも1つを示す:(a)1:150以上(例えば、1:150、1:140、1:130、1:120、1:110、1:100、1:90、1:80、1:70;1:60;1:50;1:40、1:30、1:20、1:10、1:5、若しくはそれ以上)、好ましくは1:100以上(例えば、1:100、1:90、1:80、1:70;1:60;1:50;1:40、1:30、1:20、1:10、1:5、若しくはそれ以上)、より好ましくは、1:20以上(例えば、1:20、1:19、1:18、1:17、1:16、1:15、1:14、1:13、1:12、1:11、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、若しくはそれ以上)である、175℃での対数貯蔵弾性率G’の-40℃での対数貯蔵弾性率G’に対する比、又は、(b)少なくとも1億サイクルに対してその引張強度の少なくとも95%(例えば、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、若しくはそれ以上)を維持するひずみ制御サイクル疲労特性(この特性は、25℃における10Hzの周波数における、正(15%)の張力と負(15%)の圧縮との間でのサイクル負荷により測定可能であり、引張強度は、ひずみを維持するために必要な力(ニュートン)である。)。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、175℃での対数貯蔵弾性率G’の-40℃での対数貯蔵弾性率G’に対する比は、1:150~1:10又は1:150~1:5、好ましくは1:100~1:5、より好ましくは1:20~1:5である。特に、前述の比は、その比が、示した温度範囲にわたり、対数貯蔵弾性率G’においてブレンドに変化がないことを示す、1:1の比に近づくことで、より好ましくなると理解することができるため、「以上」と記載される。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、上述の条件によれば、ひずみ制御サイクル疲労特性は、95~99%、95~98%、95~97%、96~99%、96~98%、又は96~97%にて維持される。第1~第4の好ましい実施形態では、(a)及び(b)の両方が満たされ、好ましくは、(a)の好ましい範囲を含み、より好ましくは、(a)のより好ましい範囲を含む。対数貯蔵弾性率G’の比は、ASTM D5279-13に従い測定することができる。ひずみ制御サイクル疲労特性は、ASTM E606/E606M-12のガイダンスを使用して測定することができる。
温度安定性ポリマーブレンドの調製プロセス
【0039】
上述のように、本明細書で開示する第2の実施形態は、温度安定性ポリマーブレンドの調製プロセスに関する。一般に、第2の実施形態のプロセスは、約200~約280℃、又は200~約280℃(例えば、200、210、220、230、240、250、260、270、又は280℃)、好ましくは、約220~約260℃(例えば、220、225、230、235、240、245、250、255、又は260℃)の温度で、(a)熱可塑性ポリエステルエラストマーと、(b)架橋化合物(それぞれ、上述したとおりのもの)と、を加熱ブレンドし、ブレンドを作製することを含む。第2の実施形態のプロセスによれば、ブレンドすることは押出機、好ましくは、二軸押出機で行われる。第2の実施形態のプロセスに更によれば、(a)及び(b)の総量は100部であり、(b)は、約0.5~約15部、又は0.5~15部(例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10部)、好ましくは、約1~約10部、又は1~10部(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10部)の量で存在し、(a)は、約85~約99.5部、又は85~99.5部(例えば、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は99.5部)、好ましくは、約90~約99部、又は90~99部(例えば、90、90.5、91、91.5、92、92.5、93、93.5、94、94.5、95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、又は99部)の量で存在する。第2の実施形態のプロセスに更によれば、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、(i)約50~約100℃、若しくは、50~100℃(例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100℃)、好ましくは、約50~約80℃、若しくは50~80℃(例えば、50、52、54、55、56、58、60、62、64、65、66、68、70、72、74、75、76、78、若しくは80℃)のTg、又は、(ii)約200~約290℃、若しくは200~290℃(例えば、200、210、220、230、240、250、260、270、280、若しくは290℃)、好ましくは、約210~約250℃、若しくは210~250℃(例えば、210、215、220、225、230、235、240、245、若しくは250℃)の溶融温度のうち少なくとも1つを有する。第2の実施形態のプロセスの特定の実施形態では、(i)及び(ii)のそれぞれが満たされる、即ち、熱可塑性ポリマーエラストマーが、共に前述の範囲に収まる、又は、共に前述の好ましい範囲に収まる、Tg及び溶融温度の両方を有する。
【0040】
上述のとおり、本明細書で開示する第1の実施形態は、温度安定性ポリマーブレンドに関する。第1の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドは、一般に本明細書で論じられる第2の実施形態に従ったプロセスにより調製することができるか、又は、第2の実施形態のプロセスとは異なるプロセスにより調製することができる。言い換えれば、第1の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドは、第2の実施形態のプロセスにより調製されるブレンドに限定されると考えられるべきではない。
【0041】
第2の実施形態プロセスの特定の実施形態では、熱可塑性ポリエステルエラストマー及び架橋化合物は、加熱ブレンドの前に予混合される。特定のそのような実施形態では、予混合は、押出機への添加の前に、ペレット化状態又は他の固体状態の熱可塑性ポリエステルエラストマー及び架橋化合物を予混合することを含む。第2の実施形態プロセスの他の実施形態では、熱可塑性ポリエステルエラストマー及び架橋化合物は、加熱ブレンドの前に予混合されない。特定のそのような実施形態では、熱可塑性ポリエステルエラストマー及び架橋化合物は、任意の加熱の適用前に、射出成形装置の一部を形成するミキサ又はホッパに添加される。
【0042】
第2の実施形態プロセスの特定の実施形態では、熱可塑性ポリエステルエラストマー及び架橋化合物が加熱ブレンドされたら、ブレンドが押し出され、好ましくは、温度安定性ポリマーブレンドのペレットを作製する。ペレタイザを取り付けた、又は別の方法で、ペレタイザを用いて構成した押出機が、ペレットの調製において有用であることができる。第2の実施形態のプロセスの他の実施形態では、ブレンドは、非ペレット化形態(例えばストランド又はロッド)に押し出される。
温度安定性ポリマーブレンドの使用
【0043】
温度安定性ポリマーブレンド(例えば、ペレット形態のもの)を射出成形して、ペレットから形状を調製することができる。射出成形は、約265℃以下、又は265℃以下(例えば、265、260、255、250、245、240、235、230、225、220、215、210、205、200、195、190、185、180℃、又はそれ以下)、より好ましくは、240℃以下(例えば、240、235、230、225、220、215、210、205、200、195、190、185、180℃、又はそれ以下)の温度で行うのが好ましい。特定のそのような実施形態では、射出成形は、180~265℃(例えば、265、260、255、250、245、240、235、230、225、220、215、210、205、200、195、190、185、又は180℃)、より好ましくは、200~240℃(例えば、240、238、236、235、234、232、230、228、226、225、224、222、220、218、216、215、214、212、210、208、206、205、204、202、又は200℃)の温度で行う。射出成形を行う温度を(例えば、上述した最大温度又は範囲までに)制御することは、熱可塑性ポリエステルエラストマーの分解の可能性を避ける点において有益であり得る。
【0044】
温度安定性ポリマーブレンドの好ましい使用は、非空気圧タイヤ用構成要素の(例えば、射出成形による)調製である。好ましくは、非空気圧タイヤの構成要素は、1つ以上のスポークである。本明細書で使用する場合、用語「スポーク」とは、細長いスポーク(米国特許第7,013,939号で開示及び説明されているものなど)と、相互接続したウェブ要素(米国特許第8,104,524号、及び同第8,176,957号で開示及び説明されているものなど)の両方を含むものとして理解されなければならない。しかし、一般に、本明細書で開示するスポークは必ずしも、非空気圧タイヤでの何らかの特定の形状又は構成に限られるものとみなされるべきではない。以下のことが、本明細書で完全に開示されることが理解されるべきである。第1の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドから作製したペレット。第1の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドから作製したロッド又はストランド。第1の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドから作製した非空気圧タイヤスポークであって、当該スポークが好ましくは、射出成形により作製される、非空気圧タイヤスポーク。好ましくはペレット形態の、第1の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドを射出成形することによる、非空気圧タイヤスポークの調製プロセス。本明細書で開示する第1の実施形態に従った温度安定性ポリマーブレンドの射出成形プロセスにより作製される1つ以上のスポークを組み込む非空気圧タイヤであって、当該ブレンドが好ましくは、射出成形の前にペレット形態となっている、非空気圧タイヤ。好ましくはペレット形態の、第1の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドを射出成形することによる、1つ以上のスポークの調製を含む、非空気圧タイヤの調製プロセス。本明細書で開示する第1の実施形態に従った温度安定性ポリマーブレンドの圧縮成形プロセスにより作製される1つ以上のスポークを組み込んだ非空気圧タイヤであって、当該ブレンドが好ましくは、圧縮成形の前にペレット形態となっている、非空気圧タイヤ。好ましくはペレット形態の、第1の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドを圧縮成形することによる、非空気圧タイヤスポークの調製プロセス。本明細書で開示する第1の実施形態に従った温度安定性ポリマーブレンドをブロー成形するプロセスにより作製される1つ以上のスポークを組み込む非空気圧タイヤであって、当該ブレンドが好ましくは、ブロー成形の前にペレット形態となっている、非空気圧タイヤ。好ましくはペレット形態の、第1の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドをブロー成形することによる、1つ以上のスポークの調製を含む、非空気圧タイヤの調製プロセス。第2の実施形態に従ったプロセスであって、当該プロセスにより作製したブレンドをブロー成形することを含む、プロセスにより作製した、1つ以上のスポークを組み込んだ非空気圧タイヤ。好ましくはペレット形態の、第1の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドをブロー成形することによる、非空気圧タイヤの調製プロセス。第2の実施形態に従ったプロセスであって、当該プロセスが、当該プロセスにより作製されたブレンドの3D印刷(又は、積層造形(additive manufacturing))を含む、プロセスにより作製した非空気圧タイヤスポークであって、当該ブレンドが好ましくは、印刷/造形の前にペレット形態となっている、非空気圧タイヤスポーク。第1の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドを3D印刷(又は、積層造形)することによる、非空気圧タイヤスポークの調製プロセスであって、当該ブレンドが好ましくは、印刷/造形の前にペレット形態となっている、非空気圧タイヤスポークの調製プロセス。本明細書で開示する第1の実施形態に従った温度安定性ポリマーブレンドの3D印刷(又は、積層造形)プロセスにより作製される1つ以上のスポークを組み込む非空気圧タイヤであって、当該ブレンドが好ましくは、印刷/造形の前にペレット形態となっている、非空気圧タイヤ。第1の実施形態の温度安定性ポリマーブレンドの3D印刷(又は、積層造形)により1つ以上のスポークを調製することを含む、非空気圧タイヤの調製プロセスであって、当該ブレンドが好ましくは、印刷/造形の前にペレット形態となっている、非空気圧タイヤの調製プロセス。第2の実施形態のプロセスにより作製される温度安定性ポリマーブレンドから作製される、ペレット。第2の実施形態のプロセスにより作製される温度安定性ポリマーブレンドから作製される、ストランド又はロッド。第2の実施形態に従ったプロセスであって、当該プロセスが、当該プロセスにより作製されたブレンドの射出成形を含む、プロセスにより作製した非空気圧タイヤスポーク。第2の実施形態に従ったプロセスであって、当該プロセスにより作製したブレンドを射出成形することを含む、プロセスにより作製した1つ以上のスポークを組み込んだ非空気圧タイヤ。第2の実施形態に従ったプロセスであって、当該プロセスが、当該プロセスにより作製されたブレンドの圧縮成形を含む、プロセスにより作製した非空気圧タイヤスポーク。第2の実施形態に従ったプロセスであって、当該プロセスにより作製したブレンドを圧縮成形することを含む、プロセスにより作製した1つ以上のスポークを組み込んだ非空気圧タイヤ。第2の実施形態に従ったプロセスであって、当該プロセスが、当該プロセスにより作製されたブレンドのブロー成形を含む、プロセスにより作製した非空気圧タイヤスポーク。第2の実施形態に従ったプロセスであって、当該プロセスにより作製したブレンドをブロー成形することを含む、プロセスにより作製した1つ以上のスポークを組み込んだ非空気圧タイヤ。第2の実施形態に従ったプロセスであって、当該プロセスが、当該プロセスにより作製されたブレンドの3D印刷(又は、積層造形)を含む、プロセスにより作製した非空気圧タイヤスポーク。第2の実施形態に従ったプロセスであって、当該プロセスにより作製したブレンドを3D印刷(又は、積層造形)することを含む、プロセスにより作製した1つ以上のスポークを組み込んだ非空気圧タイヤ。
【0045】
温度安定性ポリマーブレンドの架橋剤がエポキシ化合物であり、射出成形形状がブレンド(例えば、上述したプロセスに従ったもの)から作製される、第1~第4の実施形態では、射出成形形状を一定期間、熱処理に供することが有益であり得る。そのような熱処理を用いることは、形状の完全な硬化を実現するのに有用であり得る。任意の熱処理工程の必要性は、エポキシ架橋化合物と組み合わせて使用する触媒の種類などの、様々な因子に左右され得る。当業者が理解するように、異なる触媒は、エポキシ官能基と異なる温度、及び異なる相対速度で反応する。特定の実施形態では、射出成形形状の熱処理は、好ましくは、少なくとも約8時間、又は少なくとも8時間(例えば、8、12、16、18、又は24時間)の間、少なくとも約100℃、又は少なくとも100℃(例えば、100、105、110、115、120、125、130、135、140℃、又はそれ以上)の温度まで加熱することを含む。熱処理を利用する好ましい実施形態では、射出成形形状の熱処理は、好ましくは、約8~約16時間、又は8~16時間(例えば、8、10、12、14、16、18、20、22、又は24時間)の間、約100~約125℃、又は100~125℃(例えば、100、105、110、115、120、又は125℃)の温度まで加熱することを含む。
【0046】
本出願は、本明細書において開示されている組成物及び方法の実施形態が開示される数値範囲全体で実行できるため、明確な範囲限界が明細書内に言葉どおりに言及されていなくても、開示される数値範囲内の任意の範囲を支持する、いくつかの数値範囲限界を開示している。実質的に任意の複数又は単数の用語を本明細書で用いることに関して、当業者は、状況又は用途に適切となるように、複数から単数へ、又は単数から複数へ置き換えることができる。様々な単数又は複数の置き換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的に記述されている場合がある。
【0047】
一般的に、当業者は、本明細書及び特に添付の特許請求の範囲で使用された用語は、概して「オープン」な用語を意図していることを理解するだろう。例えば、用語「含む」は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「挙げられる」は、「挙げられるがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。更に、当業者は、前置きされた請求項の記載において特定の数が意図される場合、そのような意図は当該請求項中に明示的に記載されるものとし、そのような記載がない場合は、そのような意図も存在しないことを理解するだろう。例えば、理解を助けるものとして、以下の添付の特許請求の範囲には、請求項の記載を前置きするために、前置き語句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の使用を含む場合がある。しかしながら、かかる語句の使用は、同じ請求項が、前置き語句「1つ以上」又は「少なくとも1つ」、及び、「a」又は「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の記載の前置きが、そのように前置きされた請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、かかる記載を1つのみ含む発明に限定することを意味するものとして解釈されてはならず(例えば、「a」又は「an」は、典型的には、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)、請求項の記載の前置きに使用される定冠詞の使用についても同じことが言える。加えて、前置きされた請求項の記載において特定の数が明示的に記載される場合でも、当業者は、このような記載が、少なくとも記載される数を意味するものと典型的には解釈されるべきであることを理解している(例えば、他の修飾語句を持たない明らかな記載である「2つの記載」は、典型的には、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうち少なくとも1つ」に類似する慣例表現を用いる場合、一般に、このような構成は、当業者がその慣例表現を理解し得るという意味において意図される(例えば、「A、B、及びCのうち少なくとも1つを有するシステム」として、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを共に、A及びCを共に、B及びCを共に、並びに/又は、A、B、及びCを共になどを有するシステムが挙げられ得るが、これらに限定されない)。更に、当業者は、事実上、2つ以上の代替用語を示す任意の離接的単語又は語句は、明細書、請求項、又は図面を問わず、これらの用語のうちの1つ、これらの用語のうちのいずれか、又はこれらの用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきであることを、理解するであろう。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるであろう。特許、特許出願、及び非特許文献を含むがこれらに限定されない全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。組成物及び方法の様々な態様並びに実施形態を本明細書に開示してきたが、他の態様及び実施形態が、当業者には明らかであろう。本明細書で開示されている様々な態様及び実施形態は、例示目的であり、特許請求の範囲により示されている真の範囲及び趣旨を限定することを意図していない。
本開示は、以下の実施形態を含む。
<1> 温度安定性ポリマーブレンドであって、
a.
i.約50~約100℃、好ましくは約50~約80℃のTg、又は
ii.約200~約290、好ましくは約210~約250℃の溶融温度
のうち少なくとも1つを有する、熱可塑性ポリエステルエラストマー、好ましくはポリエーテル-ポリエステルブロックコポリマーと、
b.架橋化合物、好ましくは、(i)少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合若しくは少なくとも1つの硫黄原子を含有するシロキサン化合物、又は(ii)エポキシド化合物のいずれかと、を含み、
(a)及び(b)の総量は100部であり、(b)は、約0.5~約15部、好ましくは約1~約10部の量で存在し、(a)は、約85~約99.5部、好ましくは約90~約99部の量で存在する、温度安定性ポリマーブレンド。
<2> 前記ポリマーブレンドが、
i.1:150以上、好ましくは、1:100以上、より好ましくは、1:20以上である、175℃での対数貯蔵弾性率G’の-40℃での対数貯蔵弾性率G’に対する比、又は、
ii.少なくとも1億サイクルに対して前記ポリマーブレンドの引張強度の少なくとも95%を維持するひずみ制御サイクル疲労特性
のうち少なくとも1つを示す、前記<1>に記載の温度安定性ポリマーブレンド。
<3> (a)及び(b)の総重量に基づき、5重量%以下、好ましくは0重量%の、200℃以上のTg、及び/又は、300℃以上の溶融温度を有する高温熱可塑性ポリマーが前記ブレンドに存在する、前記<1>又は<2>に記載の温度安定性ポリマーブレンド。
<4> (a)が、ポリアルキレン-テレフタレート-ポリアルキレンエーテルグリコールコポリマー、又はポリアルキレンナフタレート-ポリアルキレンエーテルグリコールコポリマー、好ましくは、ポリブチレンテレフタレート-ポリメチレンエーテルグリコールを含む、前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の温度安定性ポリマーブレンド。
<5> 前記熱可塑性ポリエステルエラストマーが、ポリエステル部分中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み、前記架橋化合物が、架橋剤のシロキサン部分として、アルコキシシラン、ポリシロキサン、又はハロゲン化シランのうちの1つを有する化合物から選択される、少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合を含有するシロキサン化合物である、前記<1>~<4>のいずれか一項に記載の温度安定性ポリマーブレンド。
<6> 前記熱可塑性ポリエステルエラストマーが、ポリエステル部分中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み、前記架橋化合物が、少なくとも1つの硫黄原子を含有するシロキサン化合物である、前記<1>~<4>のいずれか一項に記載の温度安定性ポリマーブレンド。
<7> 前記シロキサン化合物の前記少なくとも1つの炭素-炭素二重結合が、前記シロキサンのSiに結合したビニル基、又は、前記シロキサンのSiに結合したアリル基に存在する、前記<5>に記載の温度安定性ポリマーブレンド。
<8> 前記架橋化合物が、エポキシ化植物油、ポリエポキシド化合物、又はこれらの組み合わせである、前記<1>~<7>のいずれか一項に記載の温度安定性ポリマーブレンド。
<9> 前記架橋化合物がシロキサン化合物であり、求核性触媒、好ましくは、四級アンモニウム化合物又はヒンダードアミン化合物を更に含む、前記<1>~<7>のいずれか一項に記載の温度安定性ポリマーブレンド。
<10> 前記架橋化合物が、少なくとも1つの硫黄原子を有するシロキサン化合物であり、前記温度安定性ポリマーブレンドが、前記シロキサン化合物の前記硫黄と、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーの不飽和との間の反応を促進するためのラジカル発生剤を更に含み、前記ラジカル発生剤は、好ましくはペルオキシド化合物、アゾ化合物、過硫酸塩化合物、過ホウ酸塩化合物、及び過炭酸塩化合物から、最も好ましくはアゾビスニトリル化合物から選択される、前記<1>~<7>のいずれか一項に記載の温度安定性ポリマー。
<11> a.前記ブレンドが、50~100MPaの、25℃における弾性率E’を有すること、又は、
b.前記ブレンドが、275℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で、射出成形により加工可能であること、
のうちの少なくとも1つを満たす、前記<1>~<10>のいずれか一項に記載の温度安定性ポリマーブレンド。
<12> 前記<1>~<11>のいずれか一項に記載の温度安定性ポリマーブレンドから作製される構成要素を含む、非空気圧タイヤ。
<13> 前記構成要素が1つ以上のスポークである、前記<12>に記載の非空気圧タイヤ。
<14> 温度安定性ポリマーブレンドの調製プロセスであって、
(a)熱可塑性ポリエステルエラストマー、好ましくはポリエーテル-ポリエステルブロックコポリマーと、(b)架橋化合物、好ましくは、(i)少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合若しくは少なくとも1つの硫黄原子を含有するシロキサン化合物、又は(ii)エポキシド化合物のいずれかとを、約200~約280℃、好ましくは約220~約260℃の温度で加熱ブレンドすることによってブレンドを作製することを含み、
前記ブレンドすることが押出機、好ましくは、二軸押出機で行われ、
(a)及び(b)の総量は100部であり、(b)は、約0.5~約15部、好ましくは約1~約10部の量で存在し、(a)は、約85~約99.5部、好ましくは約90~約99部の量で存在し、
前記熱可塑性ポリエステルエラストマーが、
i.約50~約100℃、好ましくは約50~約80℃のTg、又は
ii.約200~約290、好ましくは約210~約250℃の溶融温度
のうち少なくとも1つを有する、プロセス。
<15> 前記熱可塑性ポリエステルエラストマー及び前記架橋化合物が、加熱ブレンドの前に予混合される、前記<14>に記載のプロセス。
<16> 前記ブレンドを押し出してペレットを作製することを更に含む、前記<14>又は<15>に記載のプロセス。
<17> 前記架橋剤が、少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合、又は少なくとも1つの硫黄原子を含有するシロキサン化合物を含む、前記<14>~<16>のいずれか一項に記載のプロセス。
<18> 求核性触媒、好ましくは四級アンモニウム化合物又はヒンダードアミン化合物を、射出成形の前に前記ペレットに添加することを更に含む、前記<17>に記載のプロセス。
<19> 前記架橋剤がエポキシ化合物を含む、前記<14>~<16>のいずれか一項に記載のプロセス。
<20> 触媒、好ましくはアミン化合物、カルボン酸化合物を添加することを更に含む、前記<19>に記載のプロセス。
<21> 約265℃以下、好ましくは約240℃以下の温度で、前記ペレットから形状を射出成形し、次いで、前記射出成形した形状を、少なくとも約8時間、少なくとも約100℃の温度で、好ましくは、約8~約16時間、約100~約125℃の温度で熱処理することを更に含む、前記<19>又は<20>に記載のプロセス。
<22> 約265℃以下、好ましくは、約240℃以下の温度で、前記温度安定性ポリマーブレンドのペレットから形状を射出成形することを更に含む、前記<14>~<20>のいずれか一項に記載のプロセス。
<23> 前記形状が、非空気圧タイヤ用のスポークである、前記<21>又は<22>に記載のプロセス。
<24> 前記<21>~<23>のいずれか一項に記載のプロセスにより作製される1つ以上のスポークを組み込んだ非空気圧タイヤ。