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特許7361205使用中の血流を可能にする弁形成医療デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】使用中の血流を可能にする弁形成医療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20231005BHJP
【FI】
A61M25/10 540
A61M25/10 520
A61M25/10 510
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022512293
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 US2019047817
(87)【国際公開番号】W WO2021040675
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-08-19
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,タイソン
(72)【発明者】
【氏名】ルース,コーリー
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0116439(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0144742(US,A1)
【文献】特表2018-536474(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0030503(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁形成術のための医療デバイスであって、
内側部材近位領域および内側部材遠位領域を備えた内側部材であって、前記内側部材遠位領域は拡張部材を備えた、内側部材と、
外側部材近位領域および外側部材遠位領域を備えた外側部材であって、前記外側部材遠位領域は、円周方向に互いから分離された複数の個別の部材を備えた、外側部材と、を備え、
前記外側部材近位領域が管状部材を備え、前記外側部材遠位領域が前記複数の個別の部材間に接続部材を備え、前記複数の個別の部材は、前記複数の個別の部材の隣接する個別の部材間に間隙が設けられるように接続され、前記内側部材遠位領域が、前記外側部材遠位領域に対して長手方向に移動可能であり、
前記医療デバイスが、展開構成と、輪郭が小さくされた折り畳み構成とを備え、前記展開構成において、前記複数の個別の部材の隣接する個別の部材間の前記間隙が存在し、
前記展開構成において、前記拡張部材は、テーパが付けられた近位領域、定径中間領域、およびテーパが付けられた遠位領域を規定し、
前記展開構成において、前記複数の個別の部材が、前記定径中間領域の少なくとも一部の膨張に伴って膨張する一定輪郭のセクションを備える、医療デバイス。
【請求項2】
前記間隙が、隣接する個別の部材の、長手方向の長さおよび半径方向の距離全体にわたって延びる、請求項記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記複数の個別の部材は、前記折り畳み構成および前記展開構成において一定の断面輪郭を維持する、請求項に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記拡張部材は、前記折り畳み構成および前記展開構成において一定の断面輪郭を維持する、請求項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
弁形成術のための医療デバイスであって、
内側部材近位領域および内側部材遠位領域を備えた内側部材であって、前記内側部材遠位領域は拡張部材を備えた、内側部材と、
外側部材近位領域および外側部材遠位領域を備えた外側部材であって、前記外側部材遠位領域は、円周方向に互いから分離された複数の個別の部材を備えた、外側部材と、を備え、
前記外側部材近位領域が管状部材を備え、前記外側部材遠位領域が前記複数の個別の部材間に接続部材を備え、前記複数の個別の部材は、前記複数の個別の部材の隣接する個別の部材間に間隙が設けられるように接続され、前記内側部材遠位領域が、前記外側部材遠位領域に対して長手方向に移動可能であり、
前記医療デバイスが、展開構成と、輪郭が小さくされた折り畳み構成とを備え、
前記内側部材近位領域が管状部材を備え、前記内側部材遠位領域が膨張可能な部材を備え、前記膨張可能な部材が、テーパが付けられた近位領域、一定輪郭の中間領域、およびテーパが付けられた遠位領域を規定する膨張輪郭を有し、前記内側部材が、前記テーパが付けられた遠位領域から延びる遠位端を備え、
前記外側部材近位領域が、前記内側部材近位領域の一部の周りに円周方向に配置された管状部材を備え、前記外側部材遠位領域が、前記複数の個別の部材間に接続部材を備え、前記複数の個別の部材が膨張可能であり、
前記展開構成において、前記複数の個別の部材が、前記一定輪郭の中間領域の少なくとも一部の膨張に伴って膨張する一定輪郭のセクションを備え、前記複数の個別の部材は、前記複数の個別の部材の隣接する個別の部材間に間隙が設けられるように接続される、医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁形成医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]従来の弁形成デバイスは、狭窄弁を開くための拡張可能なセクションを備える。弁を開き、その表面全体に適切な力特性を与えるために、これらのデバイスは、典型的には、使用中に血流を遮断しなければならない。例えば、カテーテルの遠位端でバルーンが膨張されることがある。バルーンが膨張されると、血管系内腔の断面がバルーンによって遮断され、これにより処置中の血流を防ぐ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施形態によれば、特に使用中に流体流れを可能にする通路または空間を有する拡張可能なセクションを有する医療デバイスを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0002]本明細書に記載された例示的実施形態は、特に使用中に流体流れを可能にする通路または空間を有する拡張可能なセクションを有する医療デバイスを含む。デバイスは、1つまたは複数の外部部材に取り囲まれた拡張(拡張可能な)部材を有する遠位先端を備えていてもよい。拡張部材または外部部材は、拡張するか、膨張するか、または開くことができる。拡張されるか、膨張されるか、または開かれると、外部部材の外面が半径方向外側に移動し、間隙が外部部材間で利用可能となり、デバイスの長手方向に流体を通すことができる。
【0005】
[0003]例示的実施形態では、デバイスは、弁形成術に使用される医療デバイスである。
弁形成デバイスは、カテーテルおよび遠位先端を備え、縮小構成および拡張構成を有する。拡張構成では、遠位先端は、血流を依然として起こしながら、拡張されて狭窄弁を開くことができる。遠位先端は、本明細書に記載された例示的な構成の1つまたは複数の特徴を任意の組み合わせで備えていてもよい。弁形成デバイスは、内側部材と、複数の外部部材を有する外側部材とを備えていてもよい。内側部材、外側部材、外部部材のうちの任意の1つまたは複数、およびそれらの任意の組み合わせは、外部部材の外面がデバイスの長手方向軸から半径方向外側に移動するように拡張されてもよい。拡張されたとき、外部部材は、使用中に血液が流れることを可能にする間隙、空間、トンネル、または他の通路を備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】[0004]本発明の実施形態による例示的な弁形成デバイスを示す図である。
図1B】本発明の実施形態による例示的な弁形成デバイスを示す図である。
図1C】本発明の実施形態による例示的な弁形成デバイスを示す図である。
図2A】[0005]本発明の実施形態による例示的な弁形成デバイスを示す図である。
図2B】本発明の実施形態による例示的な弁形成デバイスを示す図である。
図2C】本発明の実施形態による例示的な弁形成デバイスを示す図である。
図3A】[0006]本発明の実施形態による例示的な弁形成デバイスを示す図である。
図3B】本発明の実施形態による例示的な弁形成デバイスを示す図である。
図3C図3Cは、本発明の実施形態による例示的な弁形成デバイスを示す図である。
図3D】本発明の実施形態による例示的な弁形成デバイスを示す図である。
図4】[0007]本発明の実施形態による例示的な弁形成デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0008]以下の詳細な説明は、本発明の原理を限定するのではなく、例示するものである。この説明は、当業者が本発明を製造し、使用することを明確に可能ならしめるものであり、本発明を実施するための最良の形態と現在考えられるものを含む、本発明の複数の実施形態、適応例、変形例、代替例、および使用を述べるものである。図面は、本発明の例示的実施形態を図式的かつ概略的に表したものであり、本発明を限定するものではなく、また、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことを理解すべきである。
【0008】
[0009]拡張中に血流を維持しながら狭窄弁を開くための複数の拡張可能な部材を場合により備えた弁形成デバイスが記述される。このデバイスは、膨張可能または拡張可能な複数の外部部材を備えていてもよい。デバイスは、外部部材をさらに半径方向に拡張する、または円周方向に分離する内側部材をさらに備えていてもよいが、必須ではない。
【0009】
[0010]本発明の実施形態は、弁形成術での使用という点から本明細書で説明され図示され得るが、本発明の実施形態はそのように限定されるものではなく、デバイスに沿った流体流路を維持しながら、場合によりデバイスの外面を拡張する必要がある他の医療処置にもさらに適用可能であることを理解すべきである。
【0010】
[0011]図1A図1Cは、内側部材104および外側部材106を有する例示的な弁形成デバイス102を示す。内側部材104は、外側部材106内で、外側部材106に対して移動可能であり、外側部材106を半径方向に拡張するように構成されてもよい。外側部材106は、拡張および分離する複数の個別の部材114を備える。
【0011】
[0012]外側部材106は、近位端112および遠位端114を備えていてもよい。近位端112は、体外から遠位端を保持し制御するための任意のデバイスであってもよい。したがって、近位端112は、血管系を介して遠位端を狭窄弁まで押し、処置が完了すると遠位端を身体から取り除くように構成されている。例示的実施形態では、近位端112は、カテーテルなどの管状部材であってもよい。ワイヤ、ガイドワイヤ、チューブ、ロッドなど、他の近位端が使用されてもよい。遠位端114は、デバイスを長手方向に通過する流体流れを維持しながら、血管系を通るナビゲーションのためのデバイスの半径方向外側のプロファイルを縮小させるために折り畳まれ、患者の血管系内で拡張するように構成されてもよい。
【0012】
[0013]例示的実施形態では、外側部材106の遠位端114は、複数の個別の部材118と、接続デバイス116とを備えていてもよい。接続デバイス116は、近位端112とは別個の近位端112の延長部であってもよく、または個別の部材118間の1つもしくは複数の統合されたもしくは別個の接続部材であってもよい。例えば、接続デバイス116は、隣接する個別の部材118を結合するカテーテル、チューブ、リング、またはバンド(換言すれば、帯状部材)であってもよい。接続デバイス116は、拡張可能または折り畳み可能であってもよい。例えば、接続デバイス116は、弾性または可撓性であってもよい。例示的実施形態では、接続デバイス116は、リングまたはチューブであり、個別の部材114は、接続デバイス116の外面に取り付けられている。接続デバイス116は、個別の部材118を互いに向ける、近接させる、または接触させる折り畳み構成(換言すれば、形態)へと畳まれ得るように可撓性であってもよい。接続デバイス116は、接続デバイス116を広げることによって拡張可能であってもよく、それによって個別の部材および接続デバイスの半径方向外側のプロファイル(換言すれば、輪郭)を増大させる。接続デバイス116は、弾性または別様に拡張可能である、例えば膨張可能であることもできる。個別の部材118または接続デバイス116は、内側部材104によって拡張されていないときに外側部材106が折り畳み構成であるように、付勢構成を含んでいてもよい。
【0013】
[0014]内側部材104は、近位端108および遠位端110を備えていてもよい。外部部材の近位端112と同様の近位端108は、体外から遠位端をナビゲートまたは制御するように構成されてもよい。近位端108は、血管系を介して遠位端110を狭窄弁まで押し、処置が完了すると遠位端を身体から取り除くように構成されてもよい。例示的実施形態では、近位端110は、カテーテルなどの管状部材であってもよい。ワイヤ、ガイドワイヤ、チューブ、ロッドなど、他の近位端が使用されてもよい。遠位端110は、外部部材106の遠位端114を拡張するように構成されてもよい。
【0014】
[0015]例示的実施形態では、内側部材104の遠位端110は、折り畳み可能/拡張可能であってもよく、または静的(static)プロファイルを有していてもよい。遠位端110は、外側部材106の遠位端114に対して移動されてもよい。内側部材104の遠位端110は、外部部材の遠位端114内で半径方向に位置決め可能であってもよい。外部部材の遠位端内に入ると、内部部材の遠位端は、外部部材の遠位端を拡張するように構成されてもよい。例えば、内部部材104の遠位端110のプロファイルは、内部部材の遠位端を、外側部材の遠位端に向かう位置、または遠位端内の位置に並進させることによって、外側部材を拡張するように、テーパが付けられていてもよい。内部部材104はさらに、外部部材の遠位端114内に配置されると、内部部材104が拡大されて個別の部材118を拡張できるように、膨張可能であってもよい。
【0015】
[0016]図示され説明されているように、個別の部材118および内側部材104の遠位端110は、中実または中空であり、一定の、または動的な(dynamic)断面プロファイルであってもよい。例えば、これらは、可撓性の、中実のロッドまたは円柱形状の構成要素であってもよい。これらは、可撓性の、中空のロッドまたは円筒形状の構成要素であることもできる。これらは、膨張可能な構成要素であることもできる。これらの部材は、様々な断面寸法および形状を有していてもよい。遠位端または近位端は、所望の長手方向プロファイルを規定するようにテーパが付けられていてもよい。断面プロファイルは、円形、卵形、くさび形、または他の幾何形状であってもよい。
【0016】
[0017]ここで、特定の例示的実施形態に関して例示的な特徴が提供される。本明細書に記載された特徴のいずれかは、本明細書に記載された実施形態または特徴のいずれかと任意の組み合わせで使用することができる。
【0017】
[0018]図2A図2Cは、拡張可能な外側部材206および一定プロファイルの内側部材208を有する例示的実施形態を示す。
[0019]図示されているように、外側部材206は、近位端212および遠位端214を備える。近位端212は、カテーテルなどの管状部材である。カテーテルは、1つまたは複数のルーメンを備えていてもよい。例えば、カテーテルは、内側部材の近位端208が配置され得るルーメンを備えていてもよい。カテーテルは、処置の必要に応じて、1つまたは複数の他のルーメンをさらに備えていてもよい。例えば、ガイドワイヤルーメンは、外側部材内または内側部材内のいずれかで使用されてもよく、膨張ルーメン、フラッシングルーメン、薬物送達ルーメン、および他の従来のカテーテル機能も、内側部材または外側部材のいずれかに備えられてもよい。
【0018】
[0020]外側部材206の遠位端214は、接続デバイス216によって接続された複数の個別の部材218を備えていてもよい。接続デバイス216は、個別の部材218間に、隣接する部材を一緒に取り付ける1つまたは複数のバンド(帯状部材)を備える。接続デバイス216は、接続デバイスを畳むことによる折り畳み構成と、個別の部材間で接続デバイスを広げることによる拡張構成とを有するように可撓性であってもよい。代替的に、またはそれに加えて、接続デバイス216は、力の適用時に接続デバイス216の長さまたは個別の部材218間の距離が変化または増加できるように弾性であってもよい。個別の部材は、デバイスが折り畳み構成にあるときに、円周方向に連続した外周を形成するための断面プロファイルを有していてもよい。個別の部材の断面プロファイルは、パイ(pie)形状であってもよい。個別の部材の外面は、円周方向に湾曲し、個別の部材の内面よりも長い円周方向の長さを有していてもよい。個別の部材の側方に面した側面は、拡張構成においてデバイスを通過する利用可能な流体流れを増加させるように成形されてもよい。また、側方の側面は、折り畳み構成において接続デバイス216を収容するように輪郭が付けられてもよい。例えば、個別の部材の側方の側面間または内面において個別の部材に沿った半径方向遠位の度での弧長は、個別の部材の外面における度での弧長よりも小さくてもよい。個別の部材218の遠位端面はさらに、内側部材204の遠位端210の近位領域と近似する、または嵌合するように輪郭が付けられてもよい。例えば、外側部材206の遠位端214の遠位領域の内面は、内側部材204の遠位端210の近位領域のテーパに対応するように、遠位方向に向かって外向きのテーパを有していてもよい。
【0019】
[0021]図示されているように、内側部材204は、近位端208および遠位端210を備える。近位端208は、ロッドまたはワイヤである。例えば、従来のガイドワイヤと同様の様々な構成が用いられてもよい。遠位端210は、静的プロファイルの拡大セクションを備える。遠位端210は、中実または中空であってもよい。遠位端210は、長手方向に沿って屈曲または湾曲できるように可撓性であってもよい。遠位端210は、一定の外側プロファイルを維持し、外側部材の遠位端を拡張するときに崩れないような十分な強度を有するという点で、剛性であってもよい。
【0020】
[0022]内側部材204の近位端208は、外側部材206の近位端212の内径よりも小さな外径を有していてもよい。内側部材204の遠位端210の近位領域は、内側部材204の近位端208から遠位端の遠位領域に向かって外向きにテーパが付けられてもよい。遠位端210は、折り畳み構成または弛緩構成において、外側部材206の遠位端214の内径よりも大きい外径を有する、近位領域の遠位にある定径(換言すれば、一定の直径を有する)セクションを有していてもよい。内側部材204の遠位端210の定径セクションの長さは、個別の部材218の長さとほぼ同じ長さ、同じ長さ、またはより長くてもよい。内側部材204の遠位端210の遠位領域は、定径セクションからより小さい端部の直径まで、遠位方向に内向きにテーパが付けられてもよい。内側部材204の先端はさらに、ナビゲーション時にデバイスを補助するように構成されてもよい。したがって、遠位先端は、曲がりくねった血管通路をナビゲートするために、より小さな直径で可撓性であってもよい。
【0021】
[0023]デバイスは、内側部材が外側部材内に配置され、内側部材の遠位端210が遠位方向に外側部材206の遠位端214を越えて延びて遠位端214に当接している、折り畳まれた送達プロファイルを有していてもよい。折り畳み構成では、個別の部材218は、隣接する部材と接触していてもよく、接続デバイス216は、個別の部材218間の円周方向の空間内に畳まれているか、または収容されている。その後、デバイスは、血管系を通ってナビゲートされ、所望の展開部位に配置されてもよい。次いで、デバイスは、内側部材204の遠位端210を外側部材206の遠位端214に対して近位に長手方向に移動させることにより拡張され得る。遠位端210の外面が遠位端214の内面に対して並進すると、遠位端210の増大する直径が、外側部材の個別の部材218を半径方向外側に押して離間させる。個別の部材218が拡張すると、接続デバイス216は、広がるか、または伸張する。処置の後、内側部材210は、遠位方向に並進されて、遠位端210を外側部材206内から取り除き、外側部材206の個別の部材218が折り畳まれることを可能にしてもよい。
【0022】
[0024]例示的実施形態では、接続デバイスまたは他のアクチュエータが、展開後に個別の部材を折り畳むために使用されてもよい。例えば、1つまたは複数の接続デバイス、または別個のテザー(換言すれば、ひも)は、内側部材204と外側部材206との間に結合されてもよい。内側部材204の遠位端210が外側部材206の遠位端214から並進されると、アクチュエータは、個別の部材を引っ張って閉じてもよい。
【0023】
[0025]図3A図3Dは、拡張可能な個別の部材318を有する拡張可能な外側部材303と、拡張可能な遠位端310を有する内側部材308とを有する例示的実施形態を示す。
【0024】
[0026]図示されているように、外側部材303は、近位端312および遠位端314を有していてもよい。近位端は、遠位端まで延びる1つまたは複数のルーメンを有するカテーテルであってもよい。図示された実施形態では、カテーテルは、内側部材304の近位端の通過のためのルーメンと、個別の部材318への膨張用流体のための少なくとも1つのルーメンとの、少なくとも2つのルーメンを有する。遠位端314は、複数の個別の部材318を備える。個別の部材は、膨張可能であってもよい。個別の部材318は、膨張ルーメンを介した膨張用流体の注入により、1つの個別の部材、複数の個別の部材、または個別の部材のサブセットを充填するように流体連通していてもよい。個別の部材の任意の組み合わせは、同じもしくは異なる膨張方法を介して、または同じもしくは異なる膨張ルーメンを介して、結合され、別個に充填されてもよい。
【0025】
[0027]例示的実施形態では、複数の個別の部材は、単一の膨張用流体の注入によって同時に充填される。例えば、単一の膨張ルーメンは、複数の個別の部材を充填するために使用されてもよい。接続デバイス316は、隣接する個別の部材間に流体連通路を組み込んでもよい。単一の膨張ルーメンはさらに、個別の部材それぞれの遠位領域または遠位端に個別に結合し、個別の部材を並行して充填してもよい。個別の部材を同時にまたは並行して充填することは、各部材の膨張が正確に同時に起こることを必要としない。同時であることへの言及は、次の個別の部材が充填され始める前にそれぞれの前の個別の部材が充填されるか、または実質的に充填される、個別の部材の順次充填を単に区別することを意図している。したがって、同時充填は、他の部材のそれぞれも充填されているときに個別の部材それぞれの少なくとも一部が未だに充填されているように、個別の部材のすべての充填におけるいかなる重複をも包含する。
【0026】
[0028]個別の部材は、個別の部材間の開口貫流領域をデバイスの内部に向かって増大させると同時に、膨張された個別の部材の外周の外表面積を増加させるように、膨張構成を有していてもよい。したがって、個別の部材の膨張された断面は、外面の端部が内面の端部よりも大きくなるようなくさび形状またはパイ形状であってもよい。個別の部材は、円形、卵形、または梨形などの他の幾何学的な膨張された断面を有していてもよい。
【0027】
[0029]図示されているように、内側部材304は、近位端308および遠位端310を備える。近位端308は、1つまたは複数のルーメンを有するカテーテルであってもよい。図示されている実施例では、近位端308は、拡張可能なバルーンを構成する部材の遠位端310までの少なくとも1つの膨張ルーメンを有する。バルーンは、定径セクションを有する長手方向のプロファイルを有していてもよい。定径セクションは、展開部位で外側部材を均等に拡張するために、外側部材306の遠位端314とほぼ同じ長さ、同じ長さ、またはそれよりも長くてもよい。遠位端310のバルーンは、図2Aの構成と同様に、膨張構成において、一方または両方のテーパが付けられた端部を備えていてもよい。
【0028】
[0030]例示的実施形態では、外側スリーブ320が、複数の個別の部材を囲んで、均一な外面を形成してもよい。外側スリーブ320は、接続デバイス316として、またはそれに加えて使用されてもよい。接続デバイスと同様に、外側スリーブは、弾性的に拡張可能であってもよく、畳まれていてもよく、または柔軟に拡張可能であってもよく、膨張可能であってもよく、または別様に個別の部材の拡張に対応してもよい。外側スリーブは、個別の部材に接続されていてもよく、またはさもなければ、内側部材もしくは外側部材のいずれかに接続されていてもよい。外側スリーブは、内側部材が外側部材から後退されるか、または取り除かれた後に、外側部材の遠位端のプロファイルを小さくするための付勢構成要素としてさらに使用されてもよい。
【0029】
[0031]弁形成デバイス302は、折り畳み/収縮構成と、拡張/膨張構成とを備えていてもよい。デバイスは、内側部材304が外側部材306内に配置され、内側部材の遠位端310が外側部材の遠位端を越えて延びるか、または外側部材内に配置される、初期構成を有していてもよい。拡張可能な部材を備えた内側部材の遠位端を外側部材の端部の遠位に配置すると、内側部材310の膨張可能な部材および外側部材318が長手方向に互い違いにされるため、デバイスの全体的な送達プロファイルを小さくすることができる。所望の場所に到着すると、個別の部材318および/または内側部材304の遠位端310は、順次または同時に、膨張され得る。内側部材304は、外側部材306の遠位端314内に近位に並進され、個別の部材318をさらに拡張してもよい。内側部材304は、個別の部材318または内側部材の遠位端310のいずれかの膨張の前または後に、外側部材306内に配置されてもよい。
【0030】
[0032]図4は、内側部材および外側部材が単一のユニットに統合された弁形成デバイス402の例示的実施形態を示す。図示されているように、デバイスの近位端408は、カテーテルを構成する。カテーテルは、1つまたは複数のルーメン、例えば膨張ルーメン、ガイドワイヤルーメンなどを備えていてもよい。デバイス402の遠位端414は、複数の膨張可能な部材410、418を備える。第1の、または中央の膨張可能な部材410は、カテーテル408の遠位端にあり、カテーテルの中心軸と整列することができる。中央の膨張可能な部材410は、長手方向の長さを有し、内側部材の遠位端に関して上述したものと同様の特性を有していてもよい。中央の膨張可能な部材410の外面の周りには、複数の外部の膨張可能な部材418がある。複数の外部の膨張可能な部材418は、中央の膨張可能な部材410に、または近位端408、もしくはデバイス402の他の部分に結合されてもよい。中央の膨張可能な部材および複数の外部の膨張可能な部材は、平行に配置され、長手方向に整列し、中央部材の外面の周りに円周方向に離間されて配置される。複数の個別の部材418および中央部材410は、流体連通し、共通の膨張ルーメンを共有していてもよく、または別個に膨張されてもよい。例えば、複数の外部の膨張可能な部材は、流体連通し、同時に膨張してもよいが、中央部材は別個に膨張してもよい。
【0031】
[0033]例示的実施形態では、弁形成デバイス402は、折り畳み構成と、拡張構成とを有する。折り畳み構成では、中央部材410および外部部材418は、収縮され、畳まれて/巻かれて、縮径送達構成を形成する。患者の所望の位置に配置されると、中央部材410および外部部材418は、一緒にまたは順次膨張される。
【0032】
[0034]弁形成デバイス402は、膨張可能/拡張可能な部材によって加えられる所望の量の膨張力を制限または制御するための力制限アセンブリをさらに備えていてもよい。例示的実施形態では、デバイスは、拡張可能な部材のうちの1つまたは複数の膨張圧力を制御するための圧力調整器を備えていてもよい。デバイスは、患者に所望の圧力を加えるようにばねまたは他の力調整器によってさらに制御されてもよい。
【0033】
[0035]本明細書に記載の弁形成デバイスは、動作中に部材の位置、作動、または相対位置を制御するために、近位端に作動デバイスまたは制御デバイスをさらに備えていてもよい。
【0034】
[0036]例示的実施形態は、内側部材および外側部材を異なる方法で統合してもよい。例えば、内側部材の遠位端および外側部材の遠位端は、共通の近位端を共有しながら、互いに対して分離して移動可能なままであってもよい。デバイスは、膨張可能な、拡張可能な、または剛性の遠位端(110、210、310、410)および個別の部材(118、218、318、418)の異なる組み合わせを含む、記載された特徴の様々な組み合わせをさらに包含してもよい。デバイスは、接続デバイス116、216、216、416の任意の組み合わせまたは属性をさらに含んでいてもよい。したがって、任意の特徴が追加、削除、細分化、複製、または別様に再構成もしくは再結合され、本明細書の範囲内に留まり得る。
【0035】
[0037]本開示は、以下の項目に関するものとみなされ得る。
1.弁形成術のための医療デバイスであって、
内側部材近位領域および内側部材遠位領域を備えた内側部材であって、内側部材遠位領域は拡張可能な部材を備えた、内側部材と、
外側部材近位領域および外側部材遠位領域を備えた外側部材であって、外側部材遠位領域は、円周方向に互いから分離された複数の個別の部材を備えた、外側部材と、を備える、医療デバイス。医療デバイスは、拡張可能な部材の拡張中に、血流を維持しながら狭窄弁を開くように構成されてもよい。
【0036】
2.外側部材近位領域が管状部材を備え、外側部材遠位領域が複数の個別の部材間に接続部材を備え、複数の個別の部材は、複数の個別の部材の隣接する個別の部材間に、間隙が設けられるように接続され、かつ/または内側部材遠位領域が、外側部材遠位領域に対して長手方向に移動可能である、項目1に記載のデバイス。
【0037】
間隙は、デバイスの長手方向に流体を通すように構成されてもよい。
3.デバイスが、展開構成と、プロファイルが小さくされた折り畳み構成とを備え、場合により、項目2に従属する場合、展開構成において、複数の個別の部材の隣接する個別の部材間の間隙が存在する、項目1または項目2に記載のデバイス。
【0038】
4.間隙が、隣接する個別の部材の、長手方向の長さおよび/または半径方向の距離全体にわたって延びる、項目1~3のいずれかに記載のデバイス。
5.複数の個別の部材が膨張可能である、項目1~4のいずれかに記載のデバイス。
【0039】
6.複数の個別の部材は、折り畳み構成および展開構成において一定の断面プロファイルを維持する、項目1~5のいずれかに記載のデバイス。
7.拡張可能な部材が膨張可能である、項目1~6のいずれかに記載のデバイス。
【0040】
8.拡張可能な部材は、折り畳み構成および展開構成において一定の断面プロファイルを維持する、項目1~7のいずれかに記載のデバイス。
9.展開構成において、拡張可能な部材は、テーパが付けられた近位領域、定径中間領域、およびテーパが付けられた遠位領域を規定する、項目1~8のいずれかに記載のデバイス。
【0041】
10.展開構成において、複数の個別の部材は、定径中間領域の少なくとも一部に沿って同一の広がりを有する一定プロファイルのセクションを備える、項目1~9のいずれかに記載のデバイス。
【0042】
11.デバイスが、展開構成と、プロファイルが小さくされた折り畳み構成とを備え、
内側部材近位領域が管状部材を備え、内側部材遠位領域が膨張可能な部材を備え、膨張可能な部材が、テーパが付けられた近位領域、一定プロファイルの中間領域、およびテーパが付けられた遠位領域を規定する膨張プロファイルを有し、内側部材が、テーパが付けられた遠位領域から延びる遠位端を備え、
外側部材近位領域が、内側部材近位領域の一部の周りに円周方向に配置された管状部材を備え、外側部材遠位領域が、複数の個別の部材間に接続部材を備え、複数の個別の部材が膨張可能であり、
展開構成において、複数の個別の部材が、一定プロファイルの中間領域の少なくとも一部に沿って同一の広がりを有する一定プロファイルのセクションを備え、複数の個別の部材は、複数の個別の部材の隣接する個別の部材間に、間隙が設けられるように接続される、項目1~10のいずれかに記載のデバイス。
【0043】
医療デバイスは、拡張可能な部材の拡張中に、血流を維持しながら狭窄弁を開くように構成されてもよく、かつ/または間隙は、デバイスの長手方向に流体を通すように構成されてもよい。
【0044】
12.弁形成術のための医療デバイスであって、
管状部材を規定する近位領域と、
内部の拡張可能な部材、および内部の拡張可能な部材の半径方向外側で内部の拡張可能な部材の周りに円周方向に離間されて配置された複数の外部の個別の部材を備え、複数の外部の個別の部材は膨張可能である、拡張可能な遠位領域と、を備える、医療デバイス。
【0045】
13.膨張構成と、プロファイルが小さくされた折り畳み構成とをさらに備え、膨張構成において、複数の外部の個別の部材の隣接する個別の部材間に間隙が維持され、内部の拡張可能な部材が膨張可能であるように、複数の外部の個別の部材が円周方向に配置される、項目12に記載の医療デバイス。
【0046】
14.近位領域と、内部の拡張可能な部材を備えた拡張可能な遠位領域と、複数の外部の個別の部材とが一体形成されている、項目12または項目13に記載の医療デバイス。
15.医療デバイスの近位領域の一部内に配置され、拡張可能な遠位領域の遠位に延びる拡張可能な医療デバイスをさらに備え、拡張可能な医療デバイスは、拡張可能な遠位領域に対して近位に移動し、内部の拡張可能な部材を拡張し、複数の外部の個別の部材を半径方向外側に移動させ、隣接する外部の個別の部材を円周方向に分離するように構成されたマンドレル端部を備える、項目12~14のいずれかに記載の医療デバイス。
【0047】
項目12から15のいずれかに記載の医療デバイスは、項目1から11または16から20のいずれかに記載の特徴を有していてもよい。
16.医療デバイスであって、
管状部材を備えた近位端と、
拡張可能なセクション、および拡張可能なセクションの半径方向外側にある2つ以上の外部部材を備えた遠位端と、を備え、
医療デバイスが、折り畳み構成および展開構成を有し、展開構成が、折り畳み構成と比較して増大した外側プロファイル直径を有し、長手方向の長さに沿って円周方向に分離されており接触しない2つ以上の外部部材を有する、医療デバイス。
【0048】
17.内側マンドレルデバイスおよび外部の拡張可能なデバイスをさらに備え、外部の拡張可能なデバイスは、管状部材および外部部材を備え、内側マンドレルデバイスは、外部の拡張可能なデバイスから分離されている、項目16に記載の医療デバイス。
【0049】
18.管状部材、拡張可能なセクション、および2つ以上の外部部材は、一体形成されている、項目15または項目16に記載の医療デバイス。
19.2つ以上の外部部材が膨張可能である、項目15~18のいずれかに記載の医療デバイス。
【0050】
20.展開構成において、拡張可能なセクションは、テーパが付けられた遠位領域、テーパが付けられた近位領域、および略定径中間領域を含む、項目15~19のいずれかに記載の医療デバイス。
項目16から20のいずれかに記載の医療デバイスは、項目1から15のいずれかに記載の特徴を有していてもよい。
【0051】
[0038]本発明の実施形態は添付の図面を参照して十分に説明したが、様々な変更および修正が当業者には明らかになることに留意されたい。そのような変更および修正は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の実施形態の範囲内に含まれるものとして理解されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4