(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】廃瀝青膜製品などの瀝青廃棄製品のリサイクルプロセス
(51)【国際特許分類】
B09B 3/30 20220101AFI20231005BHJP
C10C 3/10 20060101ALI20231005BHJP
B02C 18/14 20060101ALI20231005BHJP
B03C 1/00 20060101ALI20231005BHJP
B03C 1/24 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B09B3/30
C10C3/10
B02C18/14 A
B03C1/00 B
B03C1/24 101
(21)【出願番号】P 2022521756
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2020083766
(87)【国際公開番号】W WO2021105451
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2019/083184
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522127726
【氏名又は名称】インパーベル
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【氏名又は名称】梅田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】モレルス,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ドルマル,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,キャロライン
(72)【発明者】
【氏名】スナイダーズ,コエン
(72)【発明者】
【氏名】コグノー,パトリック
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0263625(US,A1)
【文献】国際公開第2008/103035(WO,A1)
【文献】特開2016-098532(JP,A)
【文献】特表2022-551078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B1/00-5/00
C08J11/00
B10C3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃瀝青製品を収集し、前記廃瀝青製品を一連のn個の廃瀝青製品バッチにソートするステップと、
前記一連のn個の廃瀝青製品バッチの各バッチ、またはn個の廃瀝青製品バッチの混合物を粉砕し、それにより微粉砕バッチを形成する少なくとも1つの粉砕ステップと、
少なくとも
円筒状のステータ(2)と前記ステータ(2)内に回転可能に収容されるロータ(15)とからなり、前記ロータ(15)の外壁に仕切られた微粉化チャンバ(20)が設けられ、前記微粉化チャンバが、前記ステータ(2)上に取り付けられたカウンターエレメントに配設された凹部によって形成されたリサイクルユニット(1,1’)に
おいて、前記微粉砕バッチを前記微粉化チャンバ(20)内に導入し、前記微粉化チャンバ(20)内で前記微粉砕バッチを、前記ロータ(15)の回転により生成されて前記微粉砕バッチに作用する遠心力によって駆動して旋回させ、それにより前記微粉化チャンバ(20)内にせん断力
を生じさせて、前記微粉砕バッチを加熱
しかつ溶融
させ、それにより生じた溶融物を収集するステップと、
前記溶融物を、160~200℃の滞留温度で、所定の容量に対して25~75重量%のレベルで新しいキャリアを含む前記所定の容量を有する混合タンク(14)に供給するステップであって、前記混合タンク(14)が、混合ブレード(48)を有する水平または垂直スクリュー(47)で連続的に攪拌され、前記溶融物が、前記混合タンク(14)に、前記溶融物の容積が前記所定の容積に対して25~75%になるまで供給され
て、180℃で
500~45000cPSの所定の粘度を
そのポンパビリティーに対して有するリサイクル瀝青を提供する、ステップと、
を含み、
前記少なくとも1つの粉砕ステップは、
前記一連のn個の廃瀝青製品の各バッチを、前記各バッチのサイズを小さくするためのナイフシュレッダー(5)で、平均粒径分布が20~50cmの第1細断バッチ(shredded batch)に縮小する第1粉砕ステップと、
前記各第1細断バッチを、ロータ造粒機(7)で、平均粒径分布が5~25cmの第1破砕バッチ(crushed batch)に縮小する第2粉砕ステップと、
前記各第1破砕バッチを、ロータ造粒機(8,9)で、平均粒径分布が20~50mmの第1粉砕バッチ(ground batch)に縮小する第3粉砕ステップと、を含む、
瀝青製品のリサイクルプロセス。
【請求項2】
前記リサイクルユニットに供給する前に、前記微粉砕バッチを振動ふるい上で搬送し、粒径d
100が8mm未満の粉塵および粒子が実質的に枯渇した微粉砕バッチを収集する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記リサイクルユニットに供給される前に、前記微粉砕バッチは、フーコー電流を前記微粉砕混合物に印加することにより金属片と非金属片とを分離し、金属片が実質的に枯渇した微粉砕混合物を収集するステップを経る、請求項1または請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記リサイクル瀝
青(recycled bitume
n)を、バッチでポンピングすることによりさらに取り出し、バッグフィルターで濾過する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記微粉砕
バッチは、110~260℃の温度で溶融される、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1ステータに収容された第1ロータと、第1ロータの外壁によって仕切られたチャンバとを含むリサイクルユニットにおいて、少なくとも瀝青層および任意選択で少なくとも1つの補強層を有する例えば瀝青廃棄膜製品などの瀝青廃棄製品のリサイクルプロセスに関し、また、リサイクルプラントおよび瀝青製品に関する。
【背景技術】
【0002】
瀝青(bitumen)は、原油を処理する様々な種類のプロセスによって得られる非常に複雑な材料である。原油の原産地や適用プロセスによって、粘度、浸透性、シェルフ寿命、軟化点という点で異なる特性を有する数種類の瀝青が得られる。例えば、ベネズエラ、中東、またはメキシコから来る原油で製造される瀝青は、瀝青の製造に適用されるプロセスの種類によっても異なる物性を有する。
【0003】
一般的に、瀝青は原油の精製中に製造される。原油の精製は2つのステップを含む。第1ステップでは、主に液化石油ガス、ガソリン、灯油を製造するための第1分留カラムにおいて常圧蒸留を実現する。第2ステップでは、ガスオイル(軽油)および留出物を生成するための第2カラムにおいて真空下での蒸留を実現する。第2カラムの出力部で回収された底部留分(bottom fraction)を、瀝青から潤滑油を分離するために、脱アスファルトプロセスまたは蒸留によって処理することができる。この脱アスファルトプロセスは、溶剤を用いて原油の残りの成分を物理的に分離することに相当する。実際、このステップは、原油の残りの成分の異なる溶解度に基づいている。この分離ステップを実現するために使用する溶剤(ブタンまたはプロパン)の種類によって、その得られる瀝青は異なる物性を有する。反対に、得られた底部留分を蒸留すると、原油を分解して、一方では瀝青を得、他方では潤滑油を得る。
【0004】
これらの理由から、瀝青は、原油の原産地やその製造に適用されるプロセスによって異なる特性を持つであろう。
【0005】
第1および第2蒸留ステップを含む上記のプロセスにより瀝青を製造する場合、それはゾルに対応する結晶構造を有する。真空下で分留されたカラムの底部留分として回収された、ゾル構造を有する瀝青は、酸化プロセスを適用するか、またはエアブローを行うことにより、ゲル構造に変換することができる。後者は、加熱された瀝青に空気を通し、瀝青の適切な粘度を上げることで構成される。このプロセスにより、使用時の柔軟性が維持された瀝青が周囲温度で生成される。瀝青をエアブローで処理すると、粘度が変化し、上記の平衡状態が異なる。より正確には、飽和油とアスファルテンの比率の合計が芳香族油と樹脂の比率よりも大きくなる。したがって、コロイド構造は、瀝青中のアスファルテンの量が、ゾル構造中のアスファルテンの初期定量に対して2倍になるゲル構造である。
【0006】
瀝青はまた、ポリマーと混合して改質瀝青を形成することにより改質することもできる。このプロセスにおいて、瀝青は、ゾル構造を有する瀝青であることが好ましい。ポリマーを瀝青に添加すると、ポリマーの量が、瀝青が保持されたポリマーマトリックスの形成に対応する位相反転を得るのに十分である場合に、位相反転が生じる。反転相が起こると、ニュートン液体の挙動を持つ瀝青は粘弾性流体の特性を持つ。
【0007】
ポリマーと瀝青には特定の化学的相互作用がある。ポリマーは連続相(ポリマーマトリックス)を形成し、瀝青は分散相を形成する。位相反転が起こると、瀝青はポリマーマトリックスに保持され、瀝青およびポリマーを含む組成物に適切な粘弾性特性と安定性を与える。このような改質瀝青は、例えば、屋根に防水膜を施す際の有利な基準である適切な柔軟性を有する防水膜の製造に使用することができる。位相反転現象は、組成物中のポリマーと瀝青の比率に依存する。
【0008】
今日、屋根膜を形成するための改質瀝青の2つの主要なカテゴリが存在する。瀝青はSBS(スチレン-ブタジエン-スチレン)で改質されてSBS改質瀝青を形成するか、瀝青はAPP(アタクチックポリプロピレン)で改質されてAPP改質瀝青を形成する。
【0009】
改質瀝青は、その改質ポリマーのカテゴリによって異なる特性を有するが、また、瀝青組成物に添加された添加物によっても異なる特性を有する。瀝青の2つの主要なカテゴリに戻ると、SBSまたはAPPによる瀝青の改質により、製造業者は、プラスチック(APP)またはゴム特性(SBS)のいずれかを提供して、より長持ちし、より耐久性のある製品を作成できる。瀝青を改質することで、広い温度範囲に耐えることができ、優れた耐候性を得ることができる。
【0010】
例えば、APP改質瀝青は約130°~150°Cで溶け始め、ほぼ自由に流れる液体として働く液体ワックス状の物質に溶け込み、そして、ほぼ自由に流れる液体を表面全体にわたって拭き取り、単純なトーチアプリケーションが可能である。SBS改質瀝青は、APPに使われるプラスチックに比べて柔軟性が高い粘性溶融物(sticky melt)である。
【0011】
時々、SBS改質瀝青屋根膜は、スレートグリッターやグラベル、砂、およびそれらの混合物を備える。
【0012】
別の種類の瀝青も存在し、防水膜用の瀝青は、粗トール油ピッチや改質トール油ピッチなどの植物油で製造される。
【0013】
その結果、瀝青の原産地、ポリマーの性質または油残留物(oil residue)の性質、瀝青の製造方法および瀝青の後続処理により、性質の異なる幅広い瀝青膜が生成され、リサイクルが必要な生産廃棄物を含む多様な組成物が生成される。
【0014】
現在、陸屋根(フラット屋根)の大部分は瀝青の防水膜または水密膜で覆われており、ロール状に現場に運ばれている。瀝青膜は、通常、トーチまたは熱風溶接により屋根に塗布されるか、または粘着剤(self-adhesive)、接着剤(glue)若しくは機械的固定手段により防水膜または水密膜の冷間塗布(cold application)に使用される。
【0015】
防水性又は水密性の瀝青膜を製造する際には、少なくとも1つの補強材を供給し、両側が瀝青で覆われ、最終的には鉱物顆粒、フレーク、砂および/または薄い箔で表面が覆われる。
【0016】
補強材は、ポリエステル不織布、ガラスグリッドまたはフリース、組み合わせ補強材(ガラスとポリエステル)、金属箔(銅、アルミニウム等)およびその組み合わせからなる群より選択される材料の、通常は平らで薄い補強構造物によって作成できる。
【0017】
瀝青製品のリサイクルユニットは、特許文献1から知られている。既知のユニットでは、加熱手段を備えたリサイクルユニットにリサイクル対象材料を導入する。したがって、リサイクル対象材料は、ユニットのロータとの摩擦と熱の影響で溶ける。ロータの回転により、リサイクル対象材料に存在する補強材が分解され、こうして得られた製品がリサイクル可能になる。既知のユニットは、ステータの壁に配置されたチャンバを備え、このチャンバの幅が入力部から減少し、それにより、材料をロータに向かって押し付ける漏斗効果を引き起こす。
【0018】
しかしながら、この既知のリサイクルユニットおよび方法は、繊維を含む少なくとも1つの補強層を備えた膜などの瀝青製品のリサイクルに完全には適していない。この繊維は、リサイクル法により製品に残留する繊維の塊を完全に破壊することは困難であり、この製品が、新膜の製造に原料として使用されることを妨げる。さらに、ステータの非円筒形の構造は、ステータを製造する際に非常に複雑な技術を必要とする。
【0019】
特許文献2には、略円筒状のステータに取り付けられたカウンターエレメントに配置された凹部によって形成された微粉化チャンバを含む別のリサイクルユニットが開示されている。微粉化チャンバは、チャンバの容積および/または形状を調整するように構成された調整手段を備え、ロータの外壁を掻き取るために構成された少なくとも1つのスクレーパが微粉化チャンバの下流に取り付けられ、スクレーパは、第1ロータの長さの一部に延び、少なくとも第1ステップおよび第2ステップを有する階段状のプロファイルを有し、第1ステップは、リサイクルユニットの出力部の近くに位置し、第1ロータの外壁に最も近い位置に配置される。
【0020】
ピース(片)を微粉化することにより、膜片に存在する補強材の分解に成功する。これにより、ピースに含まれる瀝青バインダーを溶かすことができるので、より容易に回収でき、特に原材料としての使用が増加するリサイクル材料を得ることができる。スクレーパがあるため、ロータの壁を掃除することができ、リサイクルされた瀝青をグラインダーから確実に引き出すことができる。スクレーパの階段状のプロファイルにより、出力部を介して排出される、十分に粉砕された材料と、排出されずに処理され続ける、不十分に粉砕された材料とを区別することができる。
【0021】
このリサイクルプロセスとユニットは、非常にクリーンな廃棄物で、瀝青製品の供給源が限られているため、非常に簡単なリサイクルプロセスが必要な生産廃棄物のリサイクルに効率的であることが証明されている。
【0022】
最近、サーキュラーエコノミー(循環経済)の観点では、クリーンな生産廃棄物だけでなく、汚染・劣化し、老朽化した瀝青および補強部品が含まれた使用済み屋根の製品に至るまで、瀝青製品を含む廃棄物をリサイクルする需要がますます高まっている。さらに、広く使用できるリサイクル瀝青製品を得る必要がある。
【0023】
しかし、リサイクルプロセスを効率的に実装するには、多くの制約がある。これは、プロセスがスムーズで、適切に最適化され、リサイクル対象の製品の幅広い多様性と構成を管理するのに十分な堅牢性を備えている必要があることを意味する。
【0024】
実際、特許文献2によれば、より複雑な廃棄物はリサイクルユニットでは処理できない。屋根の廃棄物を収集する場合、それらは、瀝青層(老朽化)が劣化し、補強層が劣化することもある使用済み製品である。これらの使用済み製品には、金属元素などの多くの汚染製品や、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)や酸化瀝青などのエラストマー製品が含まれている。さらに、この本明細書に記載のリサイクルユニットは、多種多様な廃瀝青製品を管理するのに十分な堅牢性を備えておらず、非常に頻繁に修理する必要がある。例えば、製品が汚染されると、微粉化チャンバ内の圧力が上昇し、複数の接合部が劣化することにより、瀝青製品の漏れを生じ、このため、ロータ要素のころ軸受の周りに汚れや埃が溜まり、リサイクルユニットの振動が発生する。特に、高価の摩耗部品であるころ軸受のメンテナンスや交換のためにリサイクルユニットを頻繁に停止する必要がある。頻繁に停止するため、リサイクルユニットは瀝青製品のリサイクルを効率的に行うことができない。
【0025】
もちろん、サーキュラーエコノミーの観点では、環境への影響を低減するという意図が明らかにインセンティブである一方で、産業的に実現可能である必要もある。これは、プロセスが安定して堅牢でありながら、産業プラントに十分な収益性を提供することを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【文献】米国特許第4,185,784号明細書
【文献】欧州特許第1534434号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は、これらの欠点の少なくとも一部を解決するために、多くの異なる組成及び汚染を有する解体作業現場から収集された、瀝青膜生産廃棄物、瀝青膜切断廃棄物、屋根廃棄物を含むがこれらに限定されない、瀝青製品および任意選択で補強層を含む多種多様な廃棄製品のリサイクルプロセスを提供する。これは、産業プレーヤーにとって十分な収益性を確保すると同時に、メンテナンスの手間と少なくともメンテナンスの頻度を削減し、多種多様な新しい瀝青の最終製品で使用できるリサイクル瀝青製品を提供するように、効率的で最適化されている。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記問題を解決するために、本発明による、任意選択で補強層を含む瀝青製品のリサイクルプロセスは、
廃瀝青製品、好ましくは廃瀝青製品、好ましくは瀝青層および補強層を含む廃瀝青膜製品を収集し、前記廃瀝青製品を一連のn個の廃瀝青製品バッチにソートするステップと、
前記一連のn個の廃瀝青製品バッチの各バッチ、またはn個の廃瀝青製品バッチの混合物を粉砕し、それにより微粉砕バッチを形成する少なくとも1つの粉砕ステップと、
少なくとも円筒状のステータと前記ステータ内に回転可能に収容されるロータとからなり、前記ロータの外壁に仕切られた微粉化チャンバが設けられ、前記微粉化チャンバが、前記ステータ上に取り付けられたカウンターエレメントに配設された凹部により形成されたリサイクルユニットにおいて、前記微粉砕バッチを前記微粉化チャンバ内に導入し、前記微粉化チャンバ内で前記微粉砕バッチを、前記ロータの回転により生成されて前記微粉砕バッチに作用する遠心力によって駆動して旋回させ、それにより前記微粉化チャンバ内にせん断力を生じさせて、前記微粉砕バッチを加熱しかつ溶融させ、それにより生じた溶融物を収集するステップと、
前記プロセスでは、前記溶融物を、160~200℃、好ましくは170~190℃、より好ましくは約180℃の滞留温度で、所定の容量に対して25~75重量%、好ましくは30~60重量%のレベルで新しいキャリアを含む前記所定の容量を有する混合タンクに供給するステップであって、前記混合タンクが、混合ブレードを有する水平または垂直スクリューで連続的に攪拌され、前記溶融物が、前記混合タンクに、前記溶融物の容積が前記所定の容積に対して25~75%、好ましくは40~70重量%になるまで供給されて、180℃で500~45000cPSの所定の粘度をそのポンパビリティーに対して有するリサイクル瀝青を提供する、ステップをさらに含むことを特徴とする。
【0029】
本発明の意味の範囲内で、各粉砕ステップは、粉砕の結果として粉々になった素材を提供する。各ピースには、ここでは粒径と呼ばれるピースのサイズを特徴とする寸法がある。したがって、この特許出願全体にわたって、ピース、パーティクル(粒子)、またはグレインを交換可能に使用することができる。
【0030】
本発明の目的において、用語「平均粒径分布」とは、測定されたパーティクル(粒子)またはグレインの50%がより小さいか又は等しい割合でpmで表される直径を表す。
【0031】
本発明は、瀝青膜の多種多様な生産廃棄物をリサイクルできると同時に、堅牢でかつ効率的なプロセスにおいて、使用済みの瀝青膜だけでなく、水密膜残留物をもリサイクルできることを実際に実現した。ここで、生産CO2排出量(foot print)を、バージン瀝青(バージンビチューメン)の生産に対して削減し、それによって生産プロセスに導入できるリサイクル瀝青を提供すること、例えば、瀝青の25%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上などの高割合の瀝青膜がリサイクル瀝青である一方で、必要に応じて大幅に少ない量を使用することも可能である。実際に、本発明のプロセスにより得られたリサイクル瀝青製品を、最終的な瀝青製品に使用する前に、他のキャリア物質で希釈することができる場合もある。
【0032】
このように、本発明によるプロセスは、溶融物を新しいキャリアにおいて希釈させるステップを含み、ここでは、溶融物をバケツに貯蔵したり、さらに再加熱するために冷却したりする必要はない。
【0033】
この希釈ステップにより、リサイクル瀝青を、その純度に応じて、ポンプしてライン状に濾過でき、または即座に使用することもでき、あるいは、温度を実質的に一定に保ち、ポンプ可能な形に保つために、加熱手段を有する貯蔵タンクに貯蔵することができる。
【0034】
本発明により、即座に使用するために、リサイクル瀝青を加熱および攪拌された貯蔵タンクに貯蔵するが、更なる精製工程を強制的に行う必要はない。
【0035】
さらに、リサイクル瀝青は、廃棄物から発生するポリマーの一部を既に含んでおり、これは、瀝青製品が長期にわたって貯蔵されることを妨げず、更なるプロセスを妨げないとともに、リサイクル瀝青を使用した場合に更なるプロセスにおいて位相反転を実現するために必要なポリマーの消費を削減する。
【0036】
さらに、希釈ステップによる粘度は、ポンプと濾過をスムーズに行えるように、且つ、防水膜や水密膜などの瀝青製品の後続の製造ステップで他の新しいキャリアと混合しても問題が起こらないように最適化されている。
【0037】
さらに、既存の使用済み瀝青膜にポリマーが存在するにもかかわらず、ポリマーの存在は、瀝青膜の製造に瀝青製品(溶融物)が再利用されることを妨げないことが示されており、それどころか、すでに廃棄物の中に既にかなりの部分が存在するため、製造プロセス中のポリマー消費を有利に低減することが可能であることが示されている。実際、一般に、防水膜の製造に改質瀝青を使用する際には、その瀝青にポリマーを添加して位相反転を引き起こす。APP改質瀝青の場合、瀝青の量に対するポリマーのレベルは、通常12~25重量%である。SBS改質瀝青の場合、瀝青の量に対するポリマーのレベルは、2~20重量%で、通常は4~12重量%である。
【0038】
本発明のプロセスによれば、既にある量のポリマーを含有するリサイクル瀝青を製造することができるので、位相反転に達するために添加する量が減少し、通常の必要量の50%未満まで大幅に減少する場合がある。本発明のプロセスによる溶融物を得る場合、この溶融物は、位相反転に達するのに必要な量よりもさらに多くのポリマーを含有でき、これは問題とならず、さらには、改質瀝青を調製する際に最も高価な物質が瀝青ではなくポリマーであるため、有利であることに留意すべきである。したがって、リサイクル瀝青に担持されるポリマーの量が、ポリマーと瀝青との間に必要な最終比率よりも高い場合でも、ポリマーと瀝青(または瀝青+キャリア)との間の比率を下げるために、当該ポリマーを新規のキャリアまたは別のキャリアとの混合物中で希釈する。
【0039】
既存の屋根製品をリサイクルすることにより、膜の製造に使用されるポリマーは、瀝青の位相反転において再びその役割を果たすことができる。最後に、本発明のプロセスにより得られる瀝青の品質は、最終製品の総瀝青重量に対して50重量%以上または75重量%以上、さらには100重量%の高いレベルで瀝青膜に再導入できるほど十分に高い。
【0040】
したがって、本発明によるプロセスによれば、瀝青膜の製造プロセスで再使用できるリサイクル瀝青廃棄物を効率的に製造する方法を提供することができる。
【0041】
さらに、本発明によるプロセスは非常に堅牢である。リサイクルユニットに入る上流の粉砕およびソートステップは、原産地、年齢、不純物の違いにかかわらず、瀝青廃棄物のリサイクルを継続的に行い、新しいキャリアの生産に関しては、よりポジティブなバランスを保ち、メンテナンスを減らしてリサイクルユニットの再起動(再熱)ステップを行うことにより、よりポジティブなバランスを保つことができる。
【0042】
有利には、本発明によれば、前記少なくとも1つの粉砕ステップは、
前記一連のn個の廃瀝青製品の各バッチを、前記各バッチのサイズを小さくするためのナイフシュレッダーで、平均粒径分布が20~50cm、好ましくは20~40cmの第1細断バッチ(shredded batch)に縮小する第1粉砕ステップと、
前記各第1細断バッチを、ロータ造粒機(rotor granulator)で、平均粒径分布が5~25cm、好ましくは8~20cmの第1破砕バッチ(crushed batch)に縮小する第2粉砕ステップと、
前記各第1破砕バッチを、ロータ造粒機で、平均粒径分布が20~50mm、好ましくは25~40mm、より好ましくは27~35mmの第1粉砕バッチ(ground batch)に縮小する第3粉砕ステップと、を含む。
【0043】
本発明によれば、前記少なくとも1つの粉砕ステップは、一連の3つの特定の粉砕ステップを含み、ここで、リサイクルユニットに、平均粒径分布20~50mm、好ましくは25~40mm、より好ましくは27~35mmを有する微粉砕バッチを供給し、これは、高い供給速度で連続的に供給され、一定の頻度でリサイクル瀝青を効率的に連続して生成できるようにする。
【0044】
本発明によるプロセスでは、粒径が小さすぎないように、粒径が大きすぎないようにバランスよく提供することにより、瀝青を回収するための粒子に最適なせん断応力を付与し、リサイクルユニット内の適正温度を確保することができる。
【0045】
実際、リサイクルユニット内のせん断応力が高すぎると、異常な摩耗が発生し、瀝青の品質を低下させるホットスポットが発生する可能性があり、リサイクルユニットに供給される粒子が小さすぎると、不十分なせん断応力がリサイクルユニット内の温度に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0046】
本発明によれば、リサイクルユニットに入る粒子の適切なサイズを選択することが可能になり、温度を容易に制御でき、多くの加熱の追加を必要とせず、それによってプロセスでのCO2排出量を大幅に削減できるようになった。
【0047】
さらに、一連のn個の廃瀝青製品バッチにて廃瀝青製品をソートするためのソートステップを提供することと、その後の粉砕ステップを選択することとの組み合わせ効果により、リサイクルユニット内の温度をより容易に制御できるだけでなく、既存の屋根の非常に多様なものをリサイクルすることができ、生産廃棄物や切断廃棄物をリサイクルすることができる。つまり、プロセスでは、一方の側で廃棄物が多様化しているが、かなり汚れていることも管理できる。
【0048】
好ましくは、前記リサイクルユニットに供給する前に、前記微粉砕バッチを振動ふるい上で搬送し、粒径d100が8mm未満の粉塵および粒子が実質的に枯渇した微粉砕バッチを収集することにより、前記リサイクルユニットに、高い供給速度で継続的に粉塵が枯渇した微細粒分を供給するためにさらに寄与し、一定の頻度でリサイクル瀝青を効率的に生産できるようにする。
【0049】
好ましくは、本発明によれば、前記リサイクルユニットに供給される前に、前記微粉砕バッチは、フーコー電流を前記微粉砕バッチに印加することにより金属片と非金属片とを分離し、金属片が実質的に枯渇した微粉砕バッチを収集するステップを経る。
【0050】
好ましい実施形態において、前記一連のn個の廃瀝青製品バッチの前記微粉砕バッチは、少なくとも1つのタンクに貯蔵される。
【0051】
本発明によるプロセスの変形実施形態において、各一連のn個の廃瀝青製品バッチを、前記微粉砕バッチの形態でタンク内に貯蔵し、それによって各廃瀝青製品をその第3粉砕バッチの下に格納するn個の瀝青製品のタンクを提供する。
【0052】
有利には、本発明によるプロセスにおいて、少なくとも1つの粉砕バッチをリサイクルユニットに導入する前記ステップは、x個の粉砕バッチの混合物を導入するステップであり、ここで、xは、1からnまでの整数で、好ましくは1、2または3である。
【0053】
本発明によれば、このプロセスは、非常に均質な廃棄物または多様な廃棄物を処理できることが実際に観察されている。収集された廃棄物によって、次のような様々な状況が考えられる。
a)単一タイプの膜製品を有する純粋な生産廃棄物が収集される(例えば、生産ラインに問題があり、屋根膜にデフォルトが存在するため)。
b)単一タイプの建設現場から純粋な瀝青廃棄物が収集される(例えば、大規模なプロジェクトの後)。
c)収集物は、解体現場からの残留物で汚染された、解体現場からリサイクル現場の廃膜製品に持ち込まれ、膜が老化して劣化する。
d)収集物は、a)、b)および/またはc)からの廃膜製品と同時にリサイクル現場に持ち込まれる。
【0054】
実際には、廃膜製品は、n個のバッチにソートされ、例えば、SBS改質膜はAPP改質膜から分離され、それぞれが生産廃棄物、建設現場からのカフ廃棄物、解体現場からの廃膜製品などの廃棄物の種類別にソートされ、別々に粉砕されてタンクに保管される。次に、リサイクルユニットに入る前に、各原産地の廃膜製品の特定の比率で混合物が調製される。
【0055】
製品のソースの入手可能性に応じた混合物のいくつかの例を表1に示す。
【0056】
【0057】
本発明によるプロセスにおいて、解体現場の廃膜製品の量を制御し、10~100%を超えない比率を有することが実際に好ましい。一方、場合によっては、リサイクル瀝青で作られる膜によっては、リサイクルユニットに導入される混合物中の複数のバッチ間の比率を適合させることが望ましい場合がある。
【0058】
好ましい実施形態において、リサイクル瀝青フラクション(留分)(recycled bitumen fraction)を、バッチでポンピングすることによりさらに取り出し、好ましくは170~190℃の温度で、任意選択で、貯蔵タンクに貯蔵する前または後に、バッグフィルターで濾過する。
【0059】
本発明のプロセスによる1つの有利な実施形態において、前記微粉砕バッチは、110~260℃の温度で溶融される。
【0060】
本発明のプロセスによるさらに別の好ましい実施形態において、リサイクルユニットの駆動軸に沿って溢れ出る前記溶融物は、ステータと、リサイクルユニットのロータとモータとを結合するために設けられたカップリングエレメントとの間に設けられた空間を通って流れることによって容器内に集められる。
【0061】
好ましくは、本発明によれば、駆動軸に沿って溢れ出る前記溶融物は、ステータと回転軸の端部との間に設けられた空間を通って、モータに接続された側とは反対側に流れることによって容器内に集められる。
【0062】
ステータとカップリングエレメントとの間、および/またはステータと回転軸の端部との間に設けられた空間を構築することにより、締め付けが低下した場合、または、高圧点を発生させるリサイクルユニットの内部でより過酷な状況が発生した場合に、溶融物が駆動軸に沿ってオーバーフローしたときに、容器内で逃げることができる。これにより、ころ軸受の劣化を回避し、高価で広範囲なメンテナンス作業を行う必要がなくなり、本発明によるプロセスがより堅牢になり、2つの通常のメンテナンス作業の間でより長い時間追跡できるようになる。驚いたことに、リサイクルユニット内に非常に高い強度と非常に高いせん断応力が加えられているにもかかわらず、ロータとステータのカップルとモータを廃棄し、ステータ内部のロータの回転を歪めることなく駆動軸を長くすることができることが確かに観察された。
【0063】
本発明のプロセスによる他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0064】
また、本発明は、
(i)廃瀝青製品バッチまたはn個の廃瀝青製品バッチの混合物を粉砕することにより、微粉砕バッチを形成するために設けられる少なくとも1つの粉砕手段と、
(ii)前記微粉砕バッチを受け入れるために設けられる供給手段と、第1ロータの外壁によって仕切られたチャンバを備えた第1ステータに収容された第1ロータとを含み、前記チャンバが、略円筒状の前記ステータ上に取り付けられた少なくとも一つのカウンターエレメントに配設された凹部により形成された微粉化チャンバであり、前記微粉化チャンバが、チャンバの容積および/または形状を調整するように構成された調整手段を含み、前記ロータの外壁を掻き取るために構成された少なくとも1つのスクレーパが、前記微粉化チャンバの下流に取り付けられ、リサイクルユニットが、前記微粉化チャンバを通過した溶融物を排出するために設けられる少なくとも出力部を含む、少なくとも1つのリサイクルユニットと、
(iii)1つのリサイクルユニットの1つの出力部と流体連絡する混合タンクであって、リサイクルユニットの出口の下方に位置し、所定の容量を有し、混合タンクに収容されたリサイクル瀝青フラクションを攪拌するために設けられる混合ブレード付きの少なくとも第1水平スクリューを含み、前記リサイクル瀝青フラクションが、瀝青の全重量に対して25~75%、好ましくは30~60重量%の新しいキャリアの一部と、前記瀝青の全重量に対して25~75%、好ましくは40~70重量%のリサイクル瀝青の一部とを含み、前記リサイクル瀝青が、そのポンパビリティーに対して180℃で500~45000cPSの所定の粘度を有する、混合タンクと、
を備える、廃瀝青製品、好ましくは廃瀝青製品、好ましくは補強材を含む廃瀝青膜製品をリサイクルするためのリサイクルプラントに関する。
【0065】
有利には、本発明によるリサイクルプラントにおいて、前記混合タンクは、第1ゾーンおよび第2ゾーンを備え、前記第1ゾーンは、前記第2ゾーンの上に位置し、前記第2ゾーンは底部ゾーンであり、前記混合タンクは、前記底部ゾーン内に搬送バッフル付き第2水平スクリューを有し、前記混合ブレードを有する少なくとも第1水平スクリューは、前記第1ゾーン内に設けられ、前記搬送バッフル付き第2水平スクリューは、前記底部ゾーンに蓄積され堆積した空の残留物(empty residues)および瀝青製品に提供され、前記第1ゾーンに位置する前記瀝青製品を攪拌するために、混合ブレードを有する前記少なくとも第1水平スクリューを設け、各第1ゾーンおよび第2ゾーンは、バルブを有する出口を備え、最終的にポンプに接続される。
【0066】
本発明によるリサイクルプラントの好ましい実施形態において、少なくともバッグフィルターが混合タンクの第1ゾーンの出口に接続されている。
【0067】
本発明によるリサイクルプラントの別の好ましい実施形態において、前記少なくとも1つの粉砕手段は、
(i)前記一連のn個の廃瀝青製品バッチの少なくとも1つのバッチを、平均粒径分布が20cm~50cm、好ましくは20~40cmの第1細断バッチ(shredded batch)に粉砕するために設けられ、第1入口および第1出口を有する、ナイフシュレッダーなどの第1粉砕手段と、
(ii)少なくとも1つの第1細断バッチを、平均粒径分布が5~25cm、好ましくは8~20cmの第1破砕バッチに粉砕するために設けられ、第2入口および第2出口を有し、前記第2入口が、少なくとも搬送手段により前記第1出口に接続されている、ロータ造粒機などの第2粉砕手段と、
(iii)少なくとも1つの第1破砕バッチを、平均粒径分布が20~50mm、好ましくは25~40m、より好ましくは27~35mmの第1粉砕バッチに粉砕するために設けられ、第3入口および第3出口を有し、前記第3入口が、少なくとも搬送手段により前記第2出口に接続されている、ロータ造粒機などの第3粉砕手段と、を備える。
【0068】
好ましくは、本発明によるリサイクルプラントは、微粉砕バッチを搬送およびふるい分けるために、かつ、粒径d1ooが8mm未満、好ましくは7mm未満、より好ましくは6mm未満の粉塵および粒子が実質的に枯渇している微粉砕バッチを提供するために設けられる振動ふるいをさらに含む。
【0069】
有利なことに、リサイクルプラントは、前記微粉砕バッチにフーコー電流を印加することにより非金属片と金属片とを分離するために、かつ、金属片が実質的に枯渇している微粉砕バッチを生成するために設けられるセパレータをさらに含む。
【0070】
好ましい実施形態において、凹部により形成された前記微粉化チャンバは、ステータに取り付けられた2つのカウンターエレメント間のクリートブロック(cleat block)に配置される。
【0071】
別の好ましい実施形態において、リサイクルユニットは、第1ロータの外壁によって仕切られた第2微粉化チャンバまたはキャビティを備え、前記キャビティが、2つのカウンターエレメント間のクリートブロックに設けられた凹部に形成され、前記カウンターエレメントと2つのクリートブロックが、互いに固体化され、チャンバの容積よび/または形状を調整するために、かつ、クリートブロックをカウンターエレメントに沿って移動させるために構成された調整手段を備える支持エレメントに接続されている。
【0072】
有利には、本発明によれば、ロータの外壁は、リサイクルされた製品を駆動し、それを微粉化チャンバに向けて案内するための溝付きプロファイルを有し、それによりユニットの効率を向上させることができる。
【0073】
好ましくは、本発明によるリサイクルプラントにおいて、前記少なくとも1つのスクレーパは、第1ロータの長さの少なくとも一部にわたって延在し、少なくとも第1および第2ステップを有するステッププロファイルを有し、前記第1ステップは、リサイクルユニットの出力部に近くに配置され、第1ロータの外壁に最も近い位置に配置される。
【0074】
さらに好ましい実施形態において、カウンターエレメントは、ロータの外壁に対する距離を調整可能にするために第1支持エレメントに取り付けられた第1ナイフブレードと、ロータの外壁に対する距離を調整可能にするために第2支持エレメントに取り付けられた第2ナイフブレードとを備え、前記第1および第2支持エレメントは、ロータの外壁に対して共に第1および第2支持エレメントの両方の距離を調整可能な固化エレメントに固定的に接続されている。
【0075】
第1および第2ナイフブレードは、好ましくはチャンバ内の下流で構成され、補強材を分解し、その分解を増加させるとともに、鉱物カバーとして、瀝青膜の表面に提供されるフレークおよび顆粒を粉砕する。
【0076】
本発明によるさらに好ましい実施形態において、ロータは、ロータにタイトコネクションによって接続された回転軸を駆動するモータによって作動し、前記モータは、カップリングエレメントによって回転軸に結合され、前記回転軸は、タイトコネクションとカップリングエレメントとの間に配設されたころ軸受ブロックを通過し、前記タイトコネクションところ軸受ブロックとは、6~20cm、好ましくは7.5cm~15cmの距離dで分離されている。
【0077】
本発明によれば、機械工学において一般的に適用されるものとは対照的に、タイトコネクションところ軸受ブロックとの間にかなりの空間を提供することにより、本発明によるリサイクルプラントの効率を高めることができることが実際に実現された。オフ期間を短縮し、それによって二つのメンテナンス間のプラントの動作寿命を大幅に延ばすことができる。
【0078】
タイトコネクションところ軸受ブロックとの間に空間を設けると、回転軸に沿ってロータからオーバーフローした高温の瀝青が下向きに流れ、これにより、ころ軸受が汚れたり、リサイクルされた瀝青によって汚染されたりするのを防ぐことができ、この場合、後者は寿命に対して非常に悪影響を及ぼす。
【0079】
本発明による更に有利な実施形態において、ロータは、一方の端が回転軸を駆動するモータに接続され、他方の端がロータに対してタイトコネクションによって前記回転軸の終端に接続されており、前記回転軸の終端が、タイトコネクションと回転軸の端部との間に配設されたころ軸受ブロックを通過し、前記タイトコネクションと前記ころ軸受ブロックは、6~20cm、好ましくは7.5~15cmの距離eで分離されている。
【0080】
有利な実施形態において、前記タイトコネクションは、前記回転軸の周りに配置された金属リングを取り囲むOリングコードを備え、前記Oリングコードは、2つのフランジ間に画定される前記回転軸の長さにわたって延びる。
【0081】
さらに好ましい実施形態において、前記タイトコネクションにおいて、少なくとも1つの前記2つのフランジは、例えば締付クランプを用いて、回転軸に平行な方向に沿って移動するように設けられる1つの可動フランジを備える。
【0082】
本発明による好ましい実施形態によれば、微粉化チャンバの下流において、デフレクタをリサイクルユニットの出力開口部に配設し、前記デフレクタをロータの外壁の一部に沿って配置することにより、リサイクルされた材料をロータに長時間接触させ、リサイクルされた材料で後者を潤滑する。さらに、微粉化チャンバの下流にデフレクタが存在し、このデフレクタがロータに対する材料の保持を可能にすることで、鉱物被覆の研磨中に発生した可能性のある火花が、リサイクルされた材料内で消えてしまうというさらなる利点を有する。
【0083】
好ましくは、カウンターエレメントおよび/またはステータを、耐摩耗性物質、特に炭化タングステンで処理する。これにより、ステータと円筒体が製造された材料は、摩耗に対してより強く、鉱物被覆の衝撃からそれらをよりよく保護する。
【0084】
好ましくは、リサイクルプラントは、ロータの垂直中心軸に対してオフセットされた同一軸に沿って配設された入力開口部および出力開口部を備える。したがって、ロータの実際の回転によって材料に吸引効果が生じる。これにより、リサイクルユニット内の材料の通過が容易になる。
【0085】
本発明のさらに好ましい実施形態において、リサイクルプラントは、交換可能な微粉化チャンバを備えた第2ステータに収容された第2ロータを備えた第2リサイクルユニットを含み、第2ステータおよび第2ロータは、第1ステータおよび第1ロータの下流に取り付けられる。2つのロータが直列に配置されているため、粉砕を2つのステップで行うことができる。したがって、第2ステータの微粉化チャンバのサイズが第1ステータの微小化チャンバのサイズよりも小さい場合、フレークおよび顆粒の粉砕は、連続した粒度分析フェーズ(granulometric phases)で行われる。
【0086】
本発明によるプラントの別の実施形態は、中央入力部および他の側方入力部を有する第1および第2ステータを含み、中央入力部を有するステータは、ロータの一方の端に位置する出力部を有し、各ロータは、前記スクレーパの1つに関連付けられており、ロータの端部に出力部を有するステータに位置するロータに関連するスクレーパは、前記端部においてスクレーピングが行われるように配置され、ステータが横入力部を有するロータに関連するスクレーパは、関連付けられているロータの中心に配置される。したがって、2つのロータと2つのステータの容量が最大限に使用される。
【0087】
好ましくは、スクレーパの少なくとも1つは、スクレーパがロータに沿ってスクレープする第1位置と、スクレーパが閉じられる第2位置との間でスクレーパをピボットさせるように構成されたピボットに取り付けられる。
【0088】
本発明によるプロセスのさらに有利な実施形態において、ロータの少なくとも一端には、リサイクルされる材料が循環する方向とは逆方向に向けられたアルキメデススクリューが装備されている。
【0089】
好ましくは、本発明によるリサイクルプラントは、
瀝青層および任意選択で補強層を含む一連の廃瀝青製品を貯蔵するための第1貯蔵ゾーンと、
一連の廃瀝青製品を混合して廃瀝青製品の第1混合物を提供するために設けられる第1混合ゾーンと、を備える。
【0090】
有利には、本発明によるリサイクルプラントは、所定の容積を有するリサイクルユニットの出口の下方に位置しており、収容された瀝青製品を攪拌するために設けられる、混合ブレードを有する少なくとも第1水平スクリューを備える、混合タンクをさらに含む。
【0091】
本発明によるリサイクルプラントの好ましい変形例において、前記混合タンクは、第1ゾーンおよび第2ゾーンを備え、前記第1ゾーンは、前記第2ゾーンの上に位置し、前記第2ゾーンは底部ゾーンであり、前記混合タンクは、前記底部ゾーン内に搬送バッフル付き第2水平スクリューを有し、前記混合ブレードを有する少なくとも第1水平スクリューは、前記第1ゾーン内に設けられ、前記搬送バッフル付き第2水平スクリューは、前記底部ゾーンに蓄積され堆積した空の残留物(empty residues)および瀝青製品に提供され、前記第1ゾーンに位置する前記瀝青製品を攪拌するために、ブレードを有する前記少なくとも第1水平スクリューを設け、各第1ゾーンおよび第2ゾーンは、バルブを有する出口を備え、最終的にポンプに接続される。
【0092】
好ましくは、別の変形例において、リサイクルプラントはまた、混合タンクの第1ゾーンの出口に接続された少なくともバッグフィルターを備える。
【0093】
本発明によるリサイクルプラントの他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0094】
また、本発明は、180℃で平行平板レオメータによって測定されるように、500cPS~45000cPSの所定の粘度をそのポンパビリティーに対して有するフラックスリサイクル瀝青(Fluxed recycled bitumen)であって、
前記リサイクル瀝青が、800℃での焼成時の残留物重量含有量により測定された前記リサイクル瀝青の重量に対して、0.5~30重量%、好ましくは1~20重量%、より好ましくは2~15重量%、さらに好ましくは5~10重量%の含有量で、リサイクル瀝青と、繊維、フィラー、フレーク、スレートなどの無機残留物との重量に対して、70~99.5重量%、好ましくは80~99重量%、より好ましくは85~95重量%、さらに好ましくは90~95重量%の含有量の有機相を含有し、
前記有機相の含有量が、100重量%に対する差の計算によって決定され、
前記リサイクル瀝青が、800℃での焼成時の前記リサイクル瀝青の重量に対して、1~40重量%、好ましくは5~38重量%、より好ましくは7~35重量%、さらに好ましくは9~32重量%、よりさらに好ましくは11~29の灰残留物をさらに示し、
前記無機残留物が、粒径1mm以下の粒子の95%を有する粒径分布を有する、フラックスリサイクル瀝青(Fluxed recycled bitumen)に関する。
【0095】
本発明の意味において、用語「粘度」とは、粘度が、一方が回転する2つの平行ディスクからなる平行板レオメータ(Anton Paar-Physica MCR101)によって180℃で測定されたことを意味する。平行ディスクの直径は10mmで、ディスク間のギャップは、せん断速度を1から60s-lの範囲でスイープするよりも速い回転速度で1.3mmである。
【0096】
好ましい実施形態において、フラックスリサイクル瀝青は、成形サンプル中の内面と上面との間の平均値として0.2cm~0.4cmの間からなる60℃の浸透性(penetrability)を示す。浸透性は、標準ASTM D5(2006年バージョン)に基づいて、硬度計(Penetrometer)PNR12によって測定され、標準針が、荷重、時間、および温度の既知の条件下で材料のサンプルを垂直に貫通する距離をmm単位で測定する。針と荷重の重量は100gで、浸透試験の持続時間は25℃と60℃の温度で5秒である。測定は5回行われ、2つの極値な値が削除され、残りの3つの測定の平均が計算される。サンプルは5cm×5cm×5cmの型に流し込まれ、サンプルの厚さは3.5cm以上である必要がある。
【0097】
有利なことに、フラックスリサイクル瀝青は、以下の方法によるビーズ焼鈍試験(bead anneal test)によって測定されるように、45/65℃~55/80℃の軟化点を示す。より具体的には、本発明によるリサイクル瀝青は、ビード焼鈍試験によって測定されるように、2~12%の繊維含有量を有する。
【0098】
本発明の意味において、用語「密度」とは、スケールL420Pによって、浸透立方体(5×5×5cm)サンプルについて、H2Oの内外で測定された密度を意味する。
【0099】
本発明によるリサイクル瀝青製品の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0100】
本発明はまた、リサイクル瀝青相の重量に対して含有量10~100重量%の、本発明によるフラックスリサイクル瀝青と、前記リサイクル瀝青相の重量に対して含有量0~90重量%の新しい瀝青化合物と、前記リサイクル瀝青相の重量に対して含有量0~5重量%の、ポリマー、可塑剤などの添加物と、を含む、リサイクル瀝青相に関する。
【0101】
また、本発明は、瀝青相および補強層を含み、前記瀝青相が、前記瀝青相の重量に対して含有量4~90重量%、好ましくは10~85重量%の、本発明によるフラックスリサイクル瀝青と、前記瀝青相の重量に対して含有量2~90重量%の新しい瀝青化合物と、前記瀝青相の重量に対して含有量0~50重量%の添加物と、前記瀝青相の重量に対して含有量5~30重量%、好ましくは10~25重量%の新しいポリマーと、を含有し、前記リサイクル瀝青と新しい瀝青が、前記瀝青相の重量に対して30~95重量%の総瀝青含有量を形成する、瀝青膜に関する。
【0102】
好ましい実施形態において、本発明による瀝青膜は、鉱物層、接着剤層、ポリマーフィルム層、およびそれらの組み合わせなどの少なくとも1つの仕上げ層をさらに含む。
【0103】
本発明はまた、床材用途、屋根材用途、壁用途または道路用途などの屋内または屋外の瀝青製品に対する、上記のフラックスリサイクル瀝青の用途に関する。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【
図1】本発明によるプロセスの概略フローチャート図である。
【
図2】本発明によるリサイクルプラントを示す図である。
【
図3】第1および第2ロータ/ステータアセンブリを有するリサイクルユニットの概略図である。
【
図4】
図5の線Z-Zに沿って第1および第2ロータ/ステータアセンブリを有するリサイクルユニットの部分断面図である。
【
図5】
図2に示す第2リサイクルユニット1’のロータの垂直軸19に沿った断面図である。
【
図7】混合タンクの詳細を示す、本発明によるリサイクルプラントの部分断面図である。
【
図8】リサイクルユニットの下に位置する混合タンクの断面図である。
【
図9】リサイクルユニットの下に位置する混合タンクの上から見た図である。
【0105】
図面では、同じ参照番号が同じ要素またはアナログ要素に割り当てられている。
【発明を実施するための形態】
【0106】
図1に示すように、このプロセスは、瀝青層および任意選択で補強層(A)を含む廃瀝青製品、好ましくは廃瀝青製品、好ましくは廃瀝青膜製品を収集する第1ステップを含む。この例で使用される収集された廃瀝青は、APP改質瀝青廃棄製品のみを含み、a)純粋な生産廃瀝青製品および/またはb)廃瀝青製品の切断および/またはc)老朽化および/または劣化した屋根膜を含むことができる。
【0107】
収集された廃瀝青製品は、nバッチ、例えばバッチ(b1)、バッチ(bx)、バッチ(bn)にソートされる。場合によっては、互いに近い廃棄製品を一緒に処理することができる場合でも、各バッチはプラントで別々に処理される。さらに、場合によっては、サンプルを分析して、収集された廃瀝青製品がソートされるバッチの性質と数(b1、bx、bn)を決定する。
【0108】
ソートステップと任意選択の分析ステップの結果は、一連のnバッチの廃瀝青製品(bi、bx、bn)である。
【0109】
したがって、バッチは、収集された廃瀝青製品の性質に応じて、互いに異なる組成(化学組成、年齢、汚染の程度)を有するか、またはそうでない場合がある。
【0110】
また、収集された廃瀝青製品、好ましくは収集された廃瀝青製品Aが検査され、単一のバッチb1にソートされるのに十分な均質性があると見なされる場合もある。
【0111】
リサイクルする各バッチを、第1粉砕ステップにかけ、ナイフシュレッダーで、20~50cmの範囲で平均粒径分布(d50)にサイズ縮小して第1細断バッチBを形成する。したがって、リサイクルされるn個のバッチ(b1,....,bx,....,bn)に基づいて、中間でn個の第1細断バッチ(Bi、bo;Bx,...,Bn)を形成する。n個の第1細断バッチ(B1,...,Bx,...,Bn)を、搬送手段10によって第2粉砕ステップに搬送する。各n個の第1細断バッチ(B1,...,Bx,....,bn)を、n個の第1破砕バッチ(C1,...,Cx,....,Cn)に縮小し、ここで、粒子は、5~25cm、好ましくは8~20cmの平均粒径分布を有する。
【0112】
n個の第1破砕バッチ(C1,...,Cx,....,Cn)を、搬送手段11によって第3粉砕ステップに搬送する。各n個の第1破砕バッチ(es)(C1,...,Cx,....,Cn)を、第1粉砕バッチ(D1,...,Dx,D,Da)にサイズ縮小し、ここで、平均粒径分布は20~50mm、通常は25~40mm、より具体的には27~35mmである。
【0113】
次に、各第1粉砕バッチ(D1,...,Dx,....,Dn)を振動ふるい12上で独立して搬送し、ここで、d1ooが8mm未満、好ましくは7mm未満、より好ましくは6mm未満の粉塵および粒子が除去され、したがって、n個の第1粉砕バッチ(Di,...,Dx,....,Dn)からそれぞれn個の第2粉砕バッチ(E1,...,Ex,....,En)を得る。次いで、各n個の第2粉砕バッチ(Ei,...,Ex,....,En)をフーコー電流が印加されるフーコーケージに通過させ、各第2バッチ(Ei,...,Ex,....,En)から金属元素を除去する。好ましくは、一方で鉄金属汚染物質(Fe,Ni,Cu,..)を吸引収集し、他方で非鉄金属汚染物質(Al、Mg)を反発収集する。残りの粒子は、金属汚染がなくなった第2粉砕バッチである第3粉砕バッチ(F1,...,Fx,....,Fn)を形成する。次に、各第3粉砕バッチ(F1,...,Fx,...,Fn)は、貯蔵タンクまたはサイロ60に貯蔵される。好ましくは、貯蔵タンクまたはサイロに貯蔵された混合物を分析し(サイロへの配置前又は後)、瀝青の化学組成、物生、および含有ポリマーのレベルに関するデータを収集する。
【0114】
分析に基づいて、またリサイクル製品に期待される特徴に基づいて、オペレータは、サイロから所定量を取り出し、ミキサー61に、(B1,...,Bx,....,Bn)の中から選択される複数の第3粉砕バッチの混合物を用意し、リサイクルユニット1に導入して供給する。溶融した製品は、容器14内のリサイクルユニットの端部で収集される。
【0115】
リサイクルユニット1に供給し、容器14内で溶融形態でリサイクル製品を得るために、サイロまたは貯蔵タンク61に第3粉砕バッチの所定の比率の混合物として貯蔵する前に、所定の比率に基づいてバッチを共に混合した。
【0116】
実行する混合物の選択は、以下に応じて多くの基準に基づいて決定できる:
-リサイクル製品の究極の用途
-瀝青のレベルと性質
-ポリマーのレベルと性質
-汚染物質のレベルと性質
-最終製品におけるリサイクル製品のレベル、..。
【0117】
図2に示すように、1つの廃瀝青製品バッチをリサイクルするためのリサイクルプラントが概略的に示され、任意選択で、補強材を含む廃瀝青膜製品は、ハウジング2’および供給手段3を有する少なくとも1つのリサイクルユニット1を備える。ハウジングは、モータ4によって駆動される第1ステータと第1ロータとを囲む。リサイクルプラントは、平均粒径分布が20~50cm、好ましくは20~40cmの第1細断バッチにおいて、廃瀝青製品バッチ6の各第1バッチを粉砕するために設けられるナイフシュレッダーなどの第1粉砕手段5をさらに備える。第1粉砕手段5は、廃瀝青製品6を受け入れる第1入口と、第1細断バッチを排出する第1出口とを有する。
【0118】
リサイクルプラントはまた、ロータ造粒機などの第2粉砕手段7を備え、これは、前記第1細断バッチに供給されるが、本実施形態はこれに限定されない。第2粉砕手段7は、前記第1細断バッチを、平均粒径分布が5~25cm、好ましくは8~20cmの第1破砕バッチに粉砕するために設けられる。第2粉砕手段7は、第1細断バッチを収容する第2入口と、第1破砕バッチを排出する第2出口とを有する。第2粉砕手段の第2入口は、少なくとも搬送手段10により第1粉砕手段5の第1出口に接続されている。
【0119】
用語「接続(連結)された」とは、本発明によれば、物質の流れが、要素Aから要素Bへの経路に沿っており、要素Aに直接または間接的に接続されるAと同一または異なるものであり、要素Aから要素Bに単純に流れ込む物理的手段によって、別の要素Aから要素Bに流れ込むことを意味する。要素AとBの間に追加要素として他の機器の内部を通過しても導入できる。
【0120】
リサイクルプラントは、前記第1破砕バッチを、平均粒径分布が20~50mm、好ましくは25~40mm、より好ましくは27~35mmの第1粉砕バッチに粉砕するために設けられるロータ造粒機などの第3粉砕手段8をさらに備える。第3粉砕手段8は、第3入口および第3出口を有する。第3入口は、少なくとも搬送手段11によって第2粉砕手段の第2出口に接続されている。
【0121】
また、本発明によるプラントは、第3粉砕手段8から発生する第1粉砕バッチを搬送およびふるいにかけるために、かつ、粒径d1ooが8mm未満、好ましくは7mm未満の粉塵および粒子が実質的に枯渇した第1粉砕バッチである第2粉砕バッチを与えるために設けられる振動ふるい12を備える。振動ふるい12は、前記第2粉砕バッチにフーコー電流を印加することにより非金属片と金属片とを分離するために、かつ、金属片が実質的に枯渇している前記第2粉砕バッチである微粉砕バッチを生成するために設けられるセパレータ9に、第2粉砕バッチを搬送する。
【0122】
第3粉砕バッチは、搬送手段13によってリサイクルユニット1の供給手段3にさらに搬送される。
【0123】
この実施形態において、リサイクル瀝青製品を収集する容器14は、出口が予想されるリサイクルユニット1の下方に設けられる。
【0124】
図3には、2つのリサイクルユニット1、1’が存在する場合の、本発明による第1実施形態の断面の詳細が示されている。
図1に示すように、各リサイクルユニット1、1’は、第1ステータ2に収容された第1ロータ15を備える。ステータ2は、その製造を容易にする実質的に円筒形状を有する。入力部16および出力部17は、ロータ15の中心垂直軸19に対してオフセットされた同一の垂直軸18に沿って配置されている。このオフセットは、ロータ15の回転により、入力部16に導入された第3粉砕バッチの断片に対する吸引効果を生み出す効果を有する。本発明の範囲内で、入力部16と出力部17とを互いに対してオフセットすることもできる。ステータ2は、第1ロータ15の外壁によって仕切られたチャンバ20を備えている。チャンバ20は、略円筒状のステータ2に取り付けられた2つのカウンターエレメント21、2Gの間に配置された凹部によって形成された微粉化チャンバ20であり、チャンバの容積および/または形状を調整するために構成された調整手段24を備える。繊維の良好な粉砕レベルと許容流量との間には良好な妥協点が見出されなければならない。ロータとカウンターエレメント21、21’との間の距離が短すぎると、リサイクル製品は、溶融物(すなわち、存在する場合は補強層から)中に広がる繊維の粒径が小さすぎ、リサイクルの流量が小さすぎる。ロータとカウンターエレメント21、21’との間の距離が長すぎる場合、リサイクル製品は長繊維を含んでいるが、出口に高い流量を示す。
【0125】
微粉化チャンバ20は、入力開口部16に導入された第3粉砕バッチの塊(mass)を一時的にそこに蓄積できるようにする。チャンバ20は、ロータ15の外壁によって仕切られているので、このチャンバ内に位置する瀝青塊は、ロータ15の回転によって回転駆動され、チャンバ20内で旋回する。したがって、導入された冷たい第3粉砕バッチは、より速く加熱され、より簡単に粉砕される。これは、ロータ15によって塊に加えられた遠心力により、塊がより速く加熱されるからである。
【0126】
したがって、チャンバ20内に存在する塊は、それを溶融するために混合および/または粉砕される。リサイクルユニット1が加熱手段を備えた場合、後者は前記塊を加熱するのに寄与する。入力開口部16と微粉化チャンバ20との間に延びる通路22は、微粉化チャンバ20へのアクセスを容易にするために十分に広く選択される。
【0127】
微粉化チャンバ20は、ステータ2内に調整可能かつ着脱可能に取り付けられる。そのため、微粉化チャンバ20は、2つの支持体23の間に取り付けられ、それぞれは、例えば、ネジ及びボルトにより形成される調整手段24を備えている。調整手段24は、チャンバの着脱を可能とするだけでなく、ロータ15の外壁に対してチャンバを近づけたり遠ざけたりすることによりチャンバの大きさを変化させることができる。
【0128】
チャンバ20の下流に位置するカウンターエレメント21の一端は、ナイフの刃先を形成し、このナイフの刃先は、チャンバ20内でさらに粉砕された第3粉砕バッチの断片を剪断するために、かつ、断片内に存在する場合に補強材を分解するために使用される。ナイフの刃は、瀝青膜の表面にある鉱物の被覆を剪断して粉砕するためにも使用される。
【0129】
デフレクタ25は、微粉化チャンバの下流に取り付けられている。デフレクタ25は、ステータ2に取り付けられ、ロータ11の外壁の一部に沿って出力開口部21に配置される。デフレクタ25は、好ましくは台形状であり、支持体23の下部、デフレクタ25の上部、ステータ2及びロータ15の間に形成された第1キャビティ26を画定する。これにより、チャンバ20を通過した瀝青塊は、バッファを形成するこの第1キャビティ26に一時的に蓄積できる。このバッファから、溶融した塊は、デフレクタ25によってロータ15に沿って搬送され、後者を潤滑する。
【0130】
スクレーパ27は、出力開口部21にもデフレクタ25の下流に取り付けられる。スクレーパ27とデフレクタ25は、出力開口部17の反対側に互いに離間するように配置される。これにより、デフレクタ25とスクレーパ27との間にコリドー(corridor)が作られ、このコリドーを通って処理済み材料が出力開口部17に到達する。スクレーパ27は、調整手段29を用いて支持体28に取り付けられる。スクレーパ27は、ロータ15の外壁を掻き取り、この壁に蓄積した瀝青材料を掻き取るために使用される。好ましくは、スクレーパ27は、ロータ15の長さの少なくとも一部にわたって延びる。
【0131】
この図示の実施形態において、2つのリサイクルユニット1が備えられ、第1および第2ステータ2およびロータ15は、好ましくは実質的に同一の構造を有することが好ましく、第2リサイクルユニット1’が第1リサイクルユニット1の下流に位置するように直列に配置される。これにより、第1リサイクルユニット1の出力部17は、第2リサイクルユニットGの入力部16に開放される。理解を容易にするために、第2メンバーの同一の要素は、第1メンバーに使用されたものと同じ参照符号を使用して示されている。
【0132】
瀝青製品または膜片をリサイクルするために、第1リサイクルユニット1の入力開口部16に第3粉砕バッチを導入する。ロータ15の矢印30で示される回転、および中心軸19に対する開口部16のオフセットは、導入された第3粉砕バッチのロータ15への吸引を引き起こす。これは、まず、回転中に開口部を通過するロータの外壁の開口部に蓄積される。加熱体を用いてステータ2およびロータ15を加熱すると、塊がより速く加熱され得る。その後、加熱された第3粉砕バッチは、ロータ15の回転により、微粉化チャンバ20に向けて駆動され、該当する場合は、第1ナイフブレード21に向けて駆動される。
【0133】
好ましくは、カウンターエレメント21および/またはステータ2を耐摩耗性物質、特に炭化タングステンで処理する。
【0134】
ナイフブレード21を通過した後、高温の塊は一時的にキャビティ26に蓄積され、さらに加熱されてその融点に到達し、次にロータ15の外壁に沿って搬送される。したがって、高温の塊は、ロータ15を潤滑する。次に、塊は、デフレクタ25とスクレーパ27との間のコリドーに到達し、重力の影響下で出力開口部17内に落下する。スクレーパ27は、ロータの外壁を掻き取る作業を行うことにより、高温瀝青の存在により粘着性を有する塊がロータ15に蓄積してその回転を妨げることを防止する。スクレーパ27とロータの外壁との間の距離は、ロータ15上に微量の瀝青塊が残り、その動きを滑らかにするために選択される。
【0135】
この図示の実施形態において、第1リサイクルユニット1のロータ15の中心垂直軸19は、第2リサイクルユニットGのロータ15の中心垂直軸19と位置合わせされる。
【0136】
図4に示す好ましい実施形態において、第1リサイクルユニット1のロータ15の中心垂直軸19は、第2リサイクルユニット1’のロータ15の中心垂直軸19とオフセットされる。
【0137】
図4に示すように、各リサイクルユニット1、1’は、
図1の実施形態について図示されたものと同一の要素を含む。ステータ2は、第1ロータ15の外壁によって仕切られたチャンバ20を備える。チャンバ20は、ステータ2に取り付けられた2つのカウンターエレメント21、21’の間のクリートブロック31に設けられた凹部によって形成される微粉化チャンバ20である。第2微粉化チャンバまたはキャビティ26は、第1ロータの外壁によって仕切られて設けられる。キャビティ26は、2つのカウンターエレメント21’,21”の間のクリートブロック31に設けられた凹部に形成される。2つのクリートブロックは互いに一体化され、チャンバの容積および/または形状を調整するために構成された調整手段24を備える支持エレメント23に接続される。調整手段24は、ホイール34(ハンドホイール)または電動ホイール34を用いて手動で操作することができる。カウンターエレメント21、21’および21”は、リサイクルプラントの構造部分であり、前方または後方に進んで調整を行う際に、クリートブロック31,31’を案内する。
【0138】
微粉化チャンバ20は、入力開口部16に導入された第3粉砕バッチの塊が一時的にそこに蓄積できるようにする。チャンバ20は、ロータ15の外壁によって仕切られているので、このチャンバ内に位置する瀝青塊は、ロータ15の回転によって回転駆動され、チャンバ20内で旋回する。
【0139】
スライド式トラップドア32は、モータ33によって手動で駆動することができる。
【0140】
図5に示すように、ロータ15は、ロータ15に対してタイトコネクション37によって接続された回転軸36を駆動するモータ35によって作動する。モータ35は、カップリングエレメント38によって回転軸36に結合される。さらに、回転軸36は、タイトコネクション37とカップリングエレメント38との間に配置されたころ軸受ブロック39を通過する。タイトコネクション37ところ軸受ブロック39は、6~20cm、好ましくは7.5~15cmの距離dで隔てられている。
【0141】
本発明によれば、機械工学において一般的に適用されるものとは異なり、タイトコネクション37ところ軸受ブロック39との間にかなりの空間を設けることで、本発明によるリサイクルプラントの効率を高めることができ、オフ期間を短縮し、それによって2つのメンテナンス間のプラントの動作寿命を大幅に延長できることが実際に実現された。
【0142】
ロータ15は、一方の端が回転軸36を駆動するモータ35に接続され、他方の端がロータ15に対してタイトコネクション37によって前記回転軸36の終端に接続されている。回転軸の終端は、モータ35に接続された側に対して、リサイクルユニット1、1’の反対側にあるころ軸受ブロック46を通過する。ころ軸受ブロック46は、タイトコネクション37と回転軸36の端部との間に配置されている。タイトコネクション37ところ軸受ブロック39は、6~20cm、好ましくは7.5~15cmの距離eで分離されている。
【0143】
距離dの空間または距離eの空間により、駆動軸(回転軸)36に沿って溢れ出る前記溶融物を、リサイクルユニットのロータとモータとを結びつけるために提供されたステータとカップリングエレメントとの間に設けられた空間、または、ステータ2と駆動軸(回転軸)36の端部との間の反対側を流れることにより、容器内に収集することができる。
【0144】
図6に示すように、タイトコネクション37ところ軸受ブロック39との間に設けられた距離dの空間は、回転軸36に沿ってロータ15から溢れ出た高温瀝青を下方に流すことができるので、ころ軸受40の汚れやリサイクル瀝青による汚染を防止することができ、後者は、その寿命に非常に悪影響を及ぼす。
【0145】
図6にも示すように、タイトコネクション37は、前記回転軸36の周りに位置する金属製のリング42を囲むとともに、2つのフランジ44、45の間に画定された前記回転軸36の長さにわたって延びるOリングコード41を備える。
【0146】
さらに好ましい実施形態において、前記タイトコネクションにおいて、少なくとも1つの前記2つのフランジ44、45は、前記2つのフランジ間の距離を例えば締付クランプ43により減少または増加させるために回転軸36に平行な方向に沿って移動するように設けられる1つの可動フランジ44を備える。
【0147】
図7に示すように、混合タンク14は、リサイクルユニット1、1’の下方に設けられている。リサイクルユニット1’の出口17の下方に位置する混合タンク14は、所定の容積を有し、前記混合タンク14内に収容された瀝青製品を攪拌するために設けられる、混合ブレード48を有する少なくとも第1水平スクリュー47を備える。混合タンク14は、160~200℃、好ましくは170~190℃、より好ましくは180℃前後の滞留温度を提供する加熱手段を備える。
【0148】
図7および
図8に示すように、混合タンク14は、第1ゾーン49および第2ゾーン50を備えている。第1ゾーン49は、底部ゾーン50である前記第2ゾーン50の上に位置する。前記底部ゾーン50の内側には、搬送バッフル52を有する第2水平スクリュー51が設けられている。混合ブレード48を有する少なくとも第1水平スクリュー47は、前記第1ゾーンの内側に設けられ、第1水平スクリューの数は、第1ゾーン49の水平断面の大きさに応じて、1個より多くなってもよい。この好ましい図示の実施形態において、混合ブレード48を有する水平スクリュー47の数は2個である。
【0149】
第2水平スクリュー51は、バッフル52を有する搬送手段として機能し、前記底部ゾーン50に位置する廃棄物を除去するために設けられている。クランク53は、リサイクルユニットの側面にあるトラップドアを開くことができる。スクリュー51を回転させることにより、廃棄物は混合タンクから排出される。この動作は、混合タンク14を排出した後に行われる。
【0150】
実施例
以下のリサイクル瀝青は、本発明によるプロセスから得られた。
【0151】
実施例1
生産施設からAPP廃瀝青膜製品10トンを収集した。収集された廃棄物は、単一のバッチにソートされた。バッチは、本発明によるプラントに導入されて、3回粉砕された。第1粉砕ステップでは、平均粒径分布(dso)を300mmに低減できた。第2粉砕ステップでは、平均粒径分布(dso)を150mmに低減でき、第3粉砕ステップでは、平均粒径分布(dso)を30mmに低減して瀝青フレークを形成できた。このバッチをリサイクルプラントで約200℃にて溶融し、収集された溶融物を形成した。
【0152】
リサイクル瀝青は、混合タンクの容積に対して、キャリアとして通常の瀝青70/100の50%を含む混合タンクに収集された。混合タンクの容量の他の50%がリサイクル瀝青で満たされ、充填中の継続的な攪拌の後、最終的なリサイクル瀝青製品を得た。
【0153】
収集された溶融物の特徴を表2に示した。
【0154】
【0155】
実施例2
粒子が6mm未満の微粒子で枯渇したことを除いて、実施例1を再現した。
【0156】
収集された溶融物の特徴を表3に示した。
【0157】
【0158】
実施例3
収集された廃瀝青膜製品が主に使用され、解体現場からAPP屋根膜を老化させたことを除いて、実施例1を再現した。収集された材料は、単一のバッチにソートされた。
【0159】
収集された溶融物の特徴を表4に示した。
【0160】
【0161】
実施例4
粒子が6mm未満の微粒子で枯渇したことを除いて、実施例3を再現した。
【0162】
収集された溶融物の特徴を表5に示した。
【0163】
【0164】
実施例5
生産施設からSBS廃瀝青膜製品10トンを収集した。収集された廃棄物は、単一のバッチにソートされた。バッチは、本発明によるプラントに導入されて、3回粉砕された。第1粉砕ステップでは、平均粒径分布(dso)を300mmに低減できた。第2粉砕ステップでは、平均粒径分布(dso)を150mmに低減でき、第3粉砕ステップでは、平均粒径分布(dso)を30mmに低減して瀝青フレークを形成できた。このバッチをリサイクルユニット内で約200℃にて溶融し、収集された溶融物を形成した。
【0165】
収集された溶融物の特徴を表6に示した。
【0166】
【0167】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、変形を適用できることを理解すべきである。