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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】接触感応式操作面を備えた操作装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/038 20130101AFI20231005BHJP
【FI】
G06F3/038 350D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022581023
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2021066817
(87)【国際公開番号】W WO2022002665
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】102020003923.5
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】シュタール,フォルカー
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-204811(JP,A)
【文献】特開2008-192012(JP,A)
【文献】特開平08-076927(JP,A)
【文献】特開2011-081447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/03-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触感応式操作面(3)及び制御装置(5)を備えた操作装置(1)であって、前記操作面(3)は、ユーザの指が接触した前記操作面(3)の領域を検出し、前記接触した領域に関する情報を前記制御装置(5)に伝送するように構成されており、前記制御装置(5)は、前記接触した領域に関する前記情報から前記操作面(3)上の起動ポイントを決定し、前記起動ポイントが前記操作面(3)の所定のフィールドにあるとき、前記フィールドに割り当てられた機能を実施するように構成されている、操作装置(1)であって、
前記制御装置(5)は、前記操作面(3)の前記接触した領域の経過について決定された移動速度が所定の限界値を超えるときにのみ、前記起動ポイントを、指先を画定する、前記操作面(3)の表面上で前記指の移動方向に向かって前方にある境界線の前記領域上又は前記領域内に決定し、そうでない場合は、前記起動ポイントを、ある時点に前記指が接触した前記操作面(3)の全ての領域の平面重心から決定するように構成されていることを特徴とする、操作装置(1)。
【請求項2】
前記制御装置(5)は、前記起動ポイントを、前記接触した領域において前記操作面(3)の前記境界線上又は前記境界線の領域内で検出された信号値の、最大信号値の位置又は平面重心から決定するように構成されている、請求項1に記載の操作装置(1)。
【請求項3】
検出領域が前記操作面(3)上に向けられているカメラユニット(7)を有しており、前記制御装置(5)は、前記指の前記移動方向を前記カメラユニット(7)のデータから算出するように形成されている、請求項1又は2に記載の操作装置(1)。
【請求項4】
前記制御装置(5)は、前記指の前記移動方向を、前記操作面(3)上で前記接触した領域の経路から決定するように構成されている、請求項1又は2に記載の操作装置(1)。
【請求項5】
前記制御装置(5)によって前記操作面(3)の縁部からの前記指の接触が検知されるとき、前記制御装置(5)は、前記起動ポイントを、前記指先を画定する前記境界線の位置又は前記領域に関連付けるように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の操作装置(1)。
【請求項6】
前記接触した領域の面積が前記操作面(3)の縁部から前記操作面(3)の内側の方向への経路において時間とともに増大するとき、前記制御装置(5)は、前記起動ポイントを、前記指先を画定する前記境界線の位置又は前記領域に関連付けるように構成されている、請求項5に記載の操作装置(1)。
【請求項7】
前記制御装置(5)は、前記操作面(3)のそれぞれの位置が、前記操作面(3)の前記それぞれの位置での信号値の高さの所定の閾値を超えるときのみ、接触したと評価するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の操作装置(1)。
【請求項8】
前記操作面(3)は、接触感応式画面として構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の操作装置(1)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の操作装置(1)を備えるステアリングホイール(10)であって、前記ステアリングホイール(10)のステアリングホイールリム内に配置されたタッチセンサユニット(12)を備える、ステアリングホイール(10)において、前記タッチセンサユニット(12)は、前記操作面(3)の表面上で、前記操作装置(1)に対する前記ステアリングホイール(10)での手の接触位置に基づいて、前記指の前記移動方向を決定し、前記制御装置(5)に前記決定した移動方向を伝送するように構成されている、ステアリングホイール(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触感応式操作面及び制御装置を備えた操作装置並びにこのような操作装置を備えたステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
接触感応式操作面は、先行技術から公知である。したがって、例えば、特許文献1は、ユーザ入力が接触感応式表面で検出され、入力のための複雑な接触パターンが検知され、かつアクションが接触パターンに基づいて実施される方法に関する。この場合、接触パターンは、時間パターン、多形パターン、指などによるマルチタッチジェスチャ、キーボード上の位置に沿った1つ以上の接触の移動、強度又はタップ開度が変動する一連の接触、からなる1つのパターンである。更に、アクションは、以下の、システムアクションの実施、特徴のテキストへの追加、中断しながら実施されるインタラクションを排除するためのフィルタリング、のうちの1つである。
【0003】
更に、特許文献2は、バイモーダルなタッチスクリーンインタラクションに関し、タッチスクリーン表面に接触する指の面積が算出され、サイズ、形状又は方向に基づいて、指によるインタラクションが指先端インタラクション又は指表面インタラクションであるかどうか特定され、このような特定に基づいて、異なる2つのモードのうちの1つが算出され、一方のモードは、指表面インタラクションに関連付けられ、他方のモードは、指先端インタラクションに関連付けられる。
【0004】
特許文献3は、更に、自動車又は自動車に含まれるユニットの機能を制御するための方法に関し、その方法では、手及び/又は指及び/又は親指の移動又はジェスチャがステアリングホイール付近に配置されたセンサユニットを使用して検出され、その移動又はジェスチャがあらかじめ設定された移動又はジェスチャと相関するとき、この相関は、少なくとも1つのバーチャルな、リアルだが存在しない操作エレメントの操作として評価される。この場合、少なくとも1つのバーチャルな操作エレメントは、ステアリングホイールで設定され、ステアリングホイール上に設置されたセンサユニット及び評価ユニットを使用して、移動又はジェスチャがステアリングホイールと関連付けて、しかもステアリングホイールであらかじめ設定された少なくとも1つの領域内のセンサユニットが手及び/又は指及び/又は親指の移動又はジェスチャを検出し、かつ評価ユニットに転送するようにして評価され、評価ユニットは、ステアリングホイールに対して実施されて検出された移動又はジェスチャを、少なくとも1つのあらかじめ設定されて保存されたパターンと比較し、評価ユニットは、少なくとも1つのあらかじめ設定されたパターンと一致する場合に、あらかじめ設定された切替え手順を作動させる。
【0005】
更に、特許文献4は、2次元表示画面上の視覚的ポインタ表示の移動の選択的制御のために電気出力信号を供給するための容量式タッチパッドに関し、容量式タッチパッドは、第1の2次元行/列アレイに配列されている複数のN個の個別容量セルであって、第1のアレイは、N個の行/列インターフェースを有し、第1のアレイは、一般に、表示移動を制御するための出力信号を生成するために、人間の指接触面と協働するように設計されている平面領域を占有し、それぞれの個別測定セルは、人間の指先端との位置関係に応じて変化する一義的な出力信号を有する、複数のN個の個別容量セルと、第2の2次元行/列アレイに配列されている複数のN個の個別抵抗ノードであって、第2のアレイは、N個の行/列インターフェースを第1のアレイのN個の行/列インターフェースに対応する配列で有する、複数のN個の個別抵抗ノードと、測定セルのそれぞれの一義的な出力信号が第2のアレイの抵抗ノードに対応して設置されている回路装置と、重心信号を第1のアレイの平面領域上での人間の指接触面の位置の関数として算出するために、第2のアレイと接続されている第1の演算装置と、第1の演算装置と接続されており、表示移動制御信号を重心信号の関数として提供する第1の出力装置と、を備える。
【0006】
基準点として、接触している指接触面のこのような平面重心、又は他の方法で計算した広範囲に及ぶ指接触面の中心にある基準点を使用する場合、ユーザは、自身の指を、スワイプ移動の場合、操作面を横切って、並びに所定のフィールドを横切って基準点まで、すなわち、重心がフィールドの領域にくるまで、スライドさせる必要があり、これによって、フィールドに割り当てられた機能の作動が遅延して認識される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第2011 0148770 A1号明細書
【文献】米国特許第2007/0 097 096 A1号明細書
【文献】独国特許第10 2013 020 795 A1号明細書
【文献】独国特許第699 30 774 T2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、特に車両内での使用のために、接触感応式操作装置を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、独立請求項の特徴から明らかとなる。有利な発展形態及び実施形態は、従属請求項の主題である。
【0010】
本発明の第1の態様は、接触感応式操作面及び制御装置を備える操作装置であって、操作面は、ユーザの指が接触した操作面の領域を検出し、接触した領域に関する情報を制御装置に伝送するように構成されており、制御装置は、接触した領域に関する情報から操作面上の起動ポイントを算出し、起動ポイントが操作面の所定のフィールド内にあるときには、フィールドに割り当てられた機能を実施するように構成され、制御装置は、起動ポイントを、指先又は指先端を画定する、操作面の表面上で指の移動方向に向かって前方にある境界線の領域上で特定するように形成されていることを特徴とする、操作装置に関する。
【0011】
接触感応式操作面は、タッチパッド又はタッチディスプレイの一部である。タッチディスプレイの場合、制御装置は、画面の下側に配置されているため、画面の外側から、タッチディスプレイの制御装置と一緒にユニット装置として認識することができる。接触感応式操作面は、特に、マトリックス抵抗式センサセルを有するが、好ましくは、マトリックス容量式センサセルを有する。人間の指が容量式センサセルのごく近くに接近した場合、それぞれの容量が変化することによって、指の接近が検知される。画面のこれらの、特に、容量式センサセルのそれぞれは、各センサセルで接触が検知されているか、かつ特に、更に好ましくは、どのような信号値が各センサセルに印加しているかについても、少なくとも1つの情報を制御装置に提供する。このような信号値は、特に、各センサセルの指領域の距離に応じて接触の強度を表示する。
【0012】
起動ポイントは、指による接触によって触れられる、操作面上の場所又は領域である。操作面上の起動ポイントは、制御装置によって実施される、例えば、シンボルの表示によってフィールドが示される機能と連動していることが可能である。
【0013】
シンボルの表示は、操作面自体の上での静的絵表示を使用して、接触感応式画面上でのアイコン表示によって、又はタッチパッドとして形成されている操作面の場合は、割り当てられた画面によって切り替えられる。
【0014】
機能は、起動ポイント、すなわち、操作面上で指の移動方向に向かって前方にある指先の境界線又は境界線領域が所定の時間、シンボルによって可視化されたフィールドの所定の領域内に残ると直ちに作動する。所定の時間のカウントは、指先の境界線又は境界線領域が所定のフィールドに最初に到達したときから開始する。 起動ポイント上でも、起動ポイントが時間的に変化すると、スワイプジェスチャを生成することができる。例えば、操作面の表面上で変化する起動ポイントによってスライダを操作することができる。
【0015】
制御装置は、接触している指の指先、及び特に境界線が操作面に対して、及び特に接触した全ての領域に対して、操作面上でどの方向に向かっているのかを、指の移動方向から決定する。基本的な前提として、指が、適切な使用時、表面操作面上で純粋に垂直方向には動かず、表面操作面に沿った移動方向を有する、すなわち、スワイプ移動することが想定される。指の移動のこの接線成分が移動方向の概念の中に考慮されている。この移動方向から、操作面に対する指の遠位端の場所が算出される。それにより、ユーザの接触入力では、接触している指の位置又は境界線の領域は、操作面に対して検知される。
【0016】
この場合、指先は指先端を含み、特に、指の近位端にある指根の反対側の端部でユーザの指の遠位端を意味する。更に、指先は、特に、指の爪の反対側に該当する。
【0017】
指接触によって選択された起動ポイントを、先行技術と同様に操作面上で接触した全ての領域の平面の重心に関連付けて算出するのではなく、指先の境界線の位置又は領域上の位置に応じて算出することにより、より迅速に機能を作動させることができる。加えて、指によって覆われているため、所望しないフィールド又はシンボルは、「不意に」は選択されない。本発明によれば、制御装置は、接触した操作面の領域の推移について算出された移動速度が所定の限界値を超えるときにのみ、起動ポイントを、指先を画定する、指の境界線の位置又は領域に関連付けるように、そうでない場合は、起動ポイントを、ある時点に指が接触した操作面の全ての領域の平面重心から算出するように形成されている。
【0018】
移動速度は、ユーザによる接触が成立している間に、例えば、カメラユニットによって検出することができる。あるいは、このために好ましくは、上記の実施形態と同様、移動速度は、操作面に接触した領域の時間経過から導き出すことができる。この実施形態では、有利には、ユーザが意図的に自身の指先端の領域内で、シンボルによって可視化されたフィールドを選択するという仮定が想定されるのは、ユーザが十分に決断している、すなわち最低速度で、活動領域を含むこのフィールドに向かって自分の指先端で移動する場合に限る。これに対応して、最低速度を上回る、より速い移動速度では、ユーザは、例えば、メニューをスクロールしており、その場合、迅速なシステム応答にとって、移動方向にある指の境界線によってシンボルに接触すると直ちに、1つ以上のシンボルを選択することが有利である。これに対して、ユーザが極めて低速で自身の指を操作面に触れる場合には、指表面重心による接触時にシンボルを選択することが動作信頼性の面で有利である。
【0019】
したがって、本発明の有利な効果は、接触感応式操作面上の覆われた領域が不意にのみアクティブになるのではなく、基本的にユーザの指先を画定する境界線によって触れた場合にのみ、フィールドがアクティブになることである。特に、自動車分野に由来する用途、例えば、ユーザの指が操作面の縁部を超えて操作面の中央のフィールドの方向に移動するステアリングホイールの接触感応式操作面内では、したがって、指先端又は指先のスワイプ移動時に意識的に選択された、対応するシンボルによって視覚化されたフィールドのみがアクティブになる。
【0020】
有利な実施形態によれば、制御装置は、起動ポイントを、接触した領域で操作面によって検出された信号値の境界線上又は境界線の領域内で、最大信号値の位置から又は平面重心から決定するように構成されている。
【0021】
特に、接触感応式操作面がマトリックス状配置のセンサセルを有することによって、各センサセルが更に、それぞれの信号値を算出するように構成されている場合には、センサセルのそれぞれで接触の有無に関する二値情報があるだけでなく、それぞれのセンサセルの接触強度に関する指標もある。強度は、指部分の操作面との間隔に左右される信号値の大きさによって決定される。
【0022】
例えば、指部分の間隔及び接触面の形状は、ユーザが操作面を押す強さによって異なる。
【0023】
これによって、有利には、接触感応式操作面の表面のソフトな、かつ恐らく意図されたものではない接触は、制御装置によって、推定された接触として区分されない結果に至る。この実施形態によれば、接触している指の境界線又は指先端の領域内で信号値が検出された場合、一方では、最大信号値の位置によって、この境界線又は境界線の領域内で接触したセンサセルを起動ポイントとして特定することができ、これによって、信号値に著しい差異がある場合、所定のフィールドの目標を定めた選択が提供される。指先を画定する、移動方向に向かって前方にある境界線の領域上又は領域内のセンサ信号の平面重心を特定することによって、境界線上又は領域内の信号値が同様に高い場合、他にある信号値を若干超えた信号値の過大評価を防止する。先行技術から公知の方法により決定された、このような平面重心は、センサセルの位置ベクトルの算術平均(正確には正規化積分)の幾何学的解釈として理解することができる。
【0024】
有利な実施形態によれば、操作装置は、検出領域が操作面上に向けられているカメラユニットを有しており、制御装置は、指の移動方向をカメラユニットのデータから算出するように構成されている。
【0025】
カメラユニットは、画像から空間情報を取得するために、特に、ステレオカメラを有する。カメラユニットの検出領域は、好ましくは、画像認識を使用して、指の移動方向が検知され、同時に指先又は指先端の位置も手根に対して検知されるように構成されている。これは、有利には、指の移動方向、及び特に、指の向きも、操作面の表面に沿って検出するための信頼すべき方法である。
【0026】
更なる追加的又は代替的実施形態によれば、制御装置は、指の移動方向を操作面で接触した領域の時間経過から算出するように構成されている。
【0027】
操作面で接触した領域の時間経過は、特に、接触したと分類される操作面のセンサセルにより時間履歴を使用して特定される。特に、ユーザの指が操作面との接触を縁部から操作面の中央の方向に向かって形成する場合、接触した操作面の領域の面積が生成され、時間の経過と共に拡大し、縁部から増大しながら内側に向かって広がる。有利には、この実施形態によれば、操作面の表面上で指の移動方向を検知するために、カメラユニットは必要ない。
【0028】
更なる有利な実施形態によれば、制御装置によって指の接触が操作面の縁部から検知される場合に限り、制御装置は、起動ポイントを、指先を画定する境界線の位置又は領域に関連付けるように構成されている。
【0029】
この実施形態は、更に、有利には、指の接触の接線的構築時、操作面の表面に沿って縁部から開始して操作面の中央に向かってユーザがその指先を移動すると、機能を作動するように所定のフィールドに指先で指示するケースを考慮している。できるだけ速いシステム応答を実現するために、機能は、指先の境界線又は境界線領域との所定のフィールドの到達によって、好ましくは、フィールドで保持された後に作動される。それとは反対に、ユーザが、その指を操作面の縁部から離れた領域に置いた場合、そのユーザは、直接又は必要に応じてそこから出発するスワイプ移動により、その指の中心で機能を起動させようとするため、この場合、起動ポイントが、例えば、好ましくは、指接触面全体によってもたらされるセンサ信号の平面重心の決定によって決定される。
【0030】
更なる有利な追加的又は代替的実施形態によれば、好ましくは、接触した領域の面積が時間の経過とともに操作面の縁部から操作面の中心の方向に増大する場合に限り、制御装置は、起動ポイントを、指先を画定する境界線の位置又は領域に関連付けるように構成されている。接触した領域の面積の増大は、例えば、接触平面の平面重心の決定によってなど、従来の方法による起動ポイントの決定が、意図しない誤作動を発生させる、頻繁な操作ケースである。例えば、ユーザが、自身の親指を、例えば、ステアリングホイールに配置された操作面上で、操作パネルの縁部から、選択されるフィールドに向かって、例えば、操作パネル中央にスライドする場合、指接触面は、シンボルに到達するまで連続して拡大する。それにより、平面重心の位置は、指先の位置又は境界線の領域とは著しく異なる。ユーザの希望がシンボルによって示されたフィールドの選択であるため、シンボル領域内、すなわちフィールド領域内に境界線が到達したときに作動する。有利な方法で、フィールドに割り当てられた機能は、ユーザの希望に応じて、できる限り早く作動する。同時に、指接触面の中央にある起動ポイントが起動することによって、例えば、平面重心に関連した、フィールドの意図しない選択が防止される。
【0031】
更なる有利な実施形態によれば、制御装置は、操作面のそれぞれの位置での信号値の大きさの所定の閾値を超えるときのみ、操作面のそれぞれの位置で接触したとして分類するように構成されている。これに関する信号値及び説明は、特に、容量式センサセルに関して、上記を参照されたい。
【0032】
好ましくは、操作面は、接触感応式画面として形成されている。画面上では、操作対象のフィールドは、アイコンとして示されたシンボルによっても表現される。
【0033】
本発明の更なる態様は、このような操作装置を備えたステアリングホイールであって、ステアリングホイールは、ステアリングホイールリムに配置されたタッチセンサユニットを備え、タッチセンサユニットは、操作面の表面上で、ステアリングホイールでの指の接触位置に基づいて、操作装置に対する指の移動方向を決定し、制御装置に決定した移動方向を伝送するように構成されている、ステアリングホイールに関する。
【0034】
タッチセンサユニットは、特に、上記ユーザに相当する車両の運転者が、ステアリングホイールに片方の手又は両方の手を置いているかどうかを検出するように構成されている。このようなタッチセンサユニットが、特に、運転者支援システムとして安全性向上のために使用される一方、本発明のこの更なる態様によれば、タッチセンサユニットからの情報は、ステアリングホイールでの手の位置を決定し、ひいてはこの事前知識により接触の構築における指の移動方向として結論付けられ、これらの情報を制御装置に伝送するために使用される。好ましくは、操作装置の操作面は、ステアリングホイールに配置されており、好ましくは、ステアリングホイールのスポークに、特に好ましくは、ステアリングホイールのスポークからステアリングホイールリムへの移行部の領域内でステアリングホイールのスポークの径方向外側にある端部に配置されている。
【0035】
提案されているステアリングホイールの利点及び好ましい発展形態は、提案されている操作装置との関連する上記の記述と類似したかつ合理的な変換によってもたらされる。
【0036】
更なる利点、特徴、及び詳細は、以下の説明から、場合により図面を参照して、少なくとも1つの実施例において個々に説明される。同一の、類似のかつ/又は機能的に同一の部分には同じ参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施例による操作装置の図である。
図2】本発明の更なる実施例による操作装置を備えるステアリングホイールの図である。
図3】操作指を伴う操作パネルの図である。
図4】操作指を伴うスライダとしての操作パネルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図面における図示は概略的であり、寸法通りではない。
【0039】
図1では、接触感応式画面3として形成されている操作パネル及び制御装置5を備える操作装置1が示されている。制御装置5は、画面3と接続されており、画面3からデータを受信する。画面3は、ユーザが自身の指で接触する画面3の表面領域を検出するために使用される。更に、画面3は、接触した領域の検出に関する情報を制御装置5に伝送する。次いで、制御装置5は、接触した領域に関する情報から画面3上の起動ポイントを算出する。画面3上の起動ポイントに機能が割り当てられていない場合、機能は実施されない。これに対して、起動ポイントが所定のフィールド内又は画面3上にそれぞれ表示されたシンボルの領域内にある場合、シンボルに割り当てられた機能が制御装置5によって形成される。制御装置5は、接触している指先を画定する境界線の領域内で起動ポイントを特定する。この境界線は、画面3の表面上の指の移動方向において前方にある。この場合、制御装置5によって、信号値の平面重心が、指先の縁部領域内で算出され、この平面重心の場所の接触が構築された後に画面3の表面上で起動ポイントとして特定される。縁部領域は、境界線自体又は境界線からはみ出る領域によってあらかじめ設定された幅のみを含むことができる。 指の移動方向は、制御装置5によって、画面3で接触した領域の時間経過から決定される。移動方向は、図1では矢印によってシンボル化されている。しかし、制御装置5は、制御装置5によって指の接触が画面3の縁部から検知される場合にのみ、起動ポイントを、境界線の平面重心又は境界線の領域に関連付ける。これは、接触した領域の面積がその時間経過内に画面3の縁部から画面3の内部の方向に向かって増大する場合である。図1では、これは、ユーザの指が画面の外側から下縁部を越えて左上方へと、図示していないアイコンに向かってスワイプしている場合である。
【0040】
図2では、操作装置1を備えたステアリングホイール10が示されている。この場合、図1の例とは異なり、画面3及び制御装置5は、共通のユニット内に配置されている。画面3は、運転者の左手の親指が左画面縁部を越えて(ステアリングホイールが直進位置の場合)、画面3の表面に沿ってステアリングホイールの回転軸側へスワイプするように配置されている。ステアリングホイールリム内にタッチセンサユニット12が配置されており、タッチセンサユニット12は、画面3の表面上で、操作装置1に対するステアリングホイール10での手の接触位置に基づいて、指の移動方向を決定し、制御装置5に決定した移動方向を伝送するように構成されている。すなわち、画面3の領域内でステアリングホイールリム上にある運転者の左手を検知する際、運転者の指もステアリングホイールリムのこの縁部を越えて画面3の表面へ移動することが想定される。検出領域が画面3に向けられているカメラユニット7は、追加的に移動方向を検出する。両方のソースから、すなわち、タッチセンサユニット12及びカメラユニット7のデータに応じて、制御装置5によって画面3の縁部からの接触が検知される場合のみ、制御装置5は、起動ポイントを、指先を画定する境界線の領域上又は領域内の平面重心に関連付ける。
【0041】
図3及び図4に基づき、以下では、先行技術による実施形態と比較して本発明による操作装置の様態が示される。
【0042】
図3では、操作パネル20がアイコン22として形成されたシンボルA~Fと共に示されている。アイコン22は、指26での接触による起動ポイントがアイコン22A~Fのフィールドのいずれかにあるとき、機能が割り当てられている所定のフィールドを表している。見やすくするために、アイコンA~Fの1つにのみ、参照符号22が付されている。操作指26は、操作パネル20の縁部から開始してアイコンBの方向に向かって右から左へスワイプしている。縁部からの移動と共に、指の面的スライド移動によって、点線で示されたセンサ信号フィールド27が構成され、すなわち、この領域で、例えば、容量式接触平面又は容量式ディスプレイ上でセンサ信号が生成される。縁部からの移動方向に基づいて、操作装置は、ユーザが自身の指を、アクティブにさせるアイコン上に進ませ、本ケースでは、Bで示されたアイコン22に割り当てられた機能を起動させたいと考えていることを検知する。このようなユーザの希望に基づいて、指接触によってもたらされる起動ポイント28は、指の移動方向に向かって前方にある境界線の領域上又は領域内に決定される。
【0043】
起動ポイント28がBで示されたアイコン22のフィールド内に位置すると直ちに、アイコン22に割り当てられた機能が実施される。これにより、ユーザは、迅速なシステム応答を得る。
【0044】
これとは逆に、先行技術から公知の特定による起動ポイントの決定によれば、例えば、センサ信号フィールド27の重心の決定によって、ユーザの希望に反して、Cで示されたアイコン22に割り当てられた機能の作動がもたらされる起動ポイント24が導出されることとなる。センサフィールドの操作面上の決定された移動速度があらかじめ設定可能な限界値を超えた場合に限り、好ましくは、起動ポイントを前方にある境界線によってのみ選択する。しかし、ユーザが、例えば、指をセンサフィールド上に置いて、指をその位置の周辺、又は、場合によっては、次の位置までゆっくり移動させた場合、ユーザの希望に応じて、指による接触した領域の平面重心から起動ポイントを決定することが好ましい。
【0045】
図4では他の適用例として、接触感応式操作パネル20を備えた操作装置が示されており、この接触感応式操作パネル20の場合、列30によって示された段階を選択することにより、例えば、オーディオシステムの音量を調整可能であり、すなわち、指の起動ポイントが列30の領域内に位置すると直ちに、対応する音量に調整される。図4の上図では、操作指が右から操作パネル20に接近している。下図では、指が右縁部から出発して、操作パネル20の4番目の列30にスライドし、全面に渡って接触することによって、点線で示されたセンサ信号フィールド27が生成される状態が示されている。作動方法に基づけば、ユーザがこの4番目の列に割り当てられた音量を設定したいと考えていることは明らかであるため、指の移動方向への指接触によってもたらされる起動ポイント28は、指の移動方向に向かって前方にある境界線の領域上又は領域内に決定される。それにより、操作パネル上での指の移動距離は、起動ポイント28の変化と一致する。それに伴い、ユーザは、自身の指位置に自身の希望への明確な割当てを得て、これによって、容易な作動が保証されている。これとは逆に、これまでの実施例によれば、ユーザは、希望の音量を有効にするために、操作パネル上でどの程度指をスライドさせるべきか追跡することができないため、センサ平面27の平面重心から特定した起動ポイント24は、移動速度が限界値を超えている場合には適切でなかろう。特に、指が既に適切な進入速度で操作パネル20へとスライドしている場合、前方にある境界線により起動ポイントを決定することによって、自発的な、わかりやすい反応がユーザに伝えられる。限界速度を下回る低速又は準静的な移動があり、操作パネル20上で、起動ポイントが平面重心によって算出される、好適には、静的な指接触位置から出発するケースにおいて、指接触面領域に続く動きがある場合、その指の動きに関連して決定された起動ポイントが依然としてユーザによって理解され得るように、起動ポイントも平面重心を介して決定される。
【0046】
本発明による操作装置によって、例えば、特に、ユーザに対するそれらの空間的配置に基づいて、全面に渡って接触した指による操作を支援するステアリングホイール、ドアスイッチパネル又はインストルメントパネルに配置された操作面の操作の著しい改善が可能になる。操作面は、例えば、機械式スイッチに代わる、例えば、静的フィールド付きの接触感応式センサ付き容量式操作面である。更なる実施形態では、操作面は、割り当てられた画面が接触によって操作可能になるタッチパッド、又はタッチディスプレイである。
【0047】
本発明は、好ましい実施例によって詳細に例示され、かつ説明されたが、本発明は、開示された例によって制限されず、その他の変形形態は、本発明の保護範囲から逸脱することなく当業者によって誘導することができる。したがって、多数の変形形態の可能性が存在することが明らかである。例示的に言及された実施形態は、ただ単に例を示しており、この例は、いかなる場合も、例えば、本発明の保護範囲、利用可能性、又は構成を制限するものとして解釈すべきではないことも同様に明らかである。むしろ、上記の説明及び図の説明は、当業者に例示的な実施形態を具体的に実施させ、この場合、開示された発明思想を認識した当業者は、例えば、説明を更に進めた注釈のような、請求項及びその法的対応によって定義される保護範囲を逸脱することなく、例示的な実施形態において言及される個々の要素の機能又は構成体に関して、様々な変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4