(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-04
(45)【発行日】2023-10-13
(54)【発明の名称】販売促進支援システム及び販売促進支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231005BHJP
G06Q 30/06 20230101ALI20231005BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2023031392
(22)【出願日】2023-03-01
【審査請求日】2023-04-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596127554
【氏名又は名称】株式会社日立社会情報サービス
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 静
(72)【発明者】
【氏名】小西 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】照屋 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】中屋 文江
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-117576(JP,A)
【文献】特開2021-064261(JP,A)
【文献】特開2002-032645(JP,A)
【文献】特開2008-108053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一品を調理するための調理法であるレシピを記憶している記憶部と、
未来における食品の予測在庫量を食品ごとに予測し、前記予測在庫量が所定の基準を満たす程度に大きい販売促進商品を予測する販売促進商品予測部と、
前記販売促進商品、前記レシピ、所定のカテゴリを含む献立用パラメータに基づいて、前記カテゴリごとに一品候補を抽出する一品抽出部と、
前記カテゴリごとの前記一品候補を組み合わせたカテゴリパターンについて献立候補を作成する献立作成部と、を有
し、
前記レシピには、食材と前記カテゴリとの関係が特定されており、
前記一品抽出部は、前記販売促進商品から食材を特定し、該特定された食材に基づいて前記レシピを検索し該当するカテゴリを抽出し、前記販売促進商品が対象とするカテゴリで見出すことができない場合、同じカテゴリであって、該同じカテゴリから前記レシピを検索して推奨する一品を抽出する
ことを特徴とする販売促進支援システム。
【請求項2】
前記所定のカテゴリは、主食、主菜、副菜、汁物、その他である
ことを特徴とする請求項1に記載の販売促進支援システム。
【請求項3】
前記献立用パラメータには、消費者の好みの献立ジャンルを有しており、
前記一品抽出部は、
一品を抽出する際に用いる前記レシピについて、前記献立ジャンルと売上影響データ
の所定のキーから
レシピタグを抽出し、前記記憶部に記憶されている前記レシピが有するレシピタグに基づいて、該当するレシピを抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の販売促進支援システム。
【請求項4】
前記販売促進支援システムは、情報端末から前記消費者の好みの献立ジャンル、使いたい食材の情報を入手する
ことを特徴とする請求項3に記載の販売促進支援システム。
【請求項5】
前記一品抽出部は、
一品を抽出する際に用いる前記レシピについて、前記入手した献立ジャンルと前記売上影響データ
の所定のキーから、前記記憶部に記憶されている前記レシピが有するレシピタグに基づいて、該当する前記レシピを抽出するとともに、前記使いたい食材の前記レシピを抽出する
ことを特徴とする請求項4に記載の販売促進支援システム。
【請求項6】
前記献立作成部は、前記献立候補を抽出する際に、前記献立ジャンルから、前記一品抽出部で抽出された一品を、一つ以上抽出する
ことを特徴とする請求項3に記載の販売促進支援システム。
【請求項7】
前記献立作成部は、前記カテゴリごとの前記一品を抽出する際に、前記記憶部に記憶されている前記レシピが有するレシピタグに基づいて、該当する前記一品を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の販売促進支援システム。
【請求項8】
前記販売促進商品予測部は、気象条件データ
の天気、売上影響データ
のイベントを入力とし過去の販売状況
の販売数を出力として機械学習又は深層学習にて学習し、該学習の結果と現在の情報を用いて、前記販売促進商品を予測する
ことを特徴とする請求項1に記載の販売促進支援システム。
【請求項9】
一品を調理するための調理法であるレシピを記憶している記憶部と、処理部とを有するシステムの販売促進支援方法であって、
前記処理部は、
未来における食品の予測在庫量を食品ごとに予測し、前記予測在庫量が所定の基準を満たす程度に大きい販売促進商品を予測し、
前記販売促進商品、前記レシピ、所定のカテゴリを含む献立用パラメータに基づいて、前記カテゴリごとに一品候補を抽出し、
前記カテゴリごとの前記一品候補を組み合わせたカテゴリパターンについて献立候補を作成する
際に、
前記レシピには、食材と前記カテゴリとの関係が特定されており、
前記処理部は、前記販売促進商品から食材を特定し、該特定された食材に基づいて前記レシピを検索し該当するカテゴリを抽出し、前記販売促進商品が対象とするカテゴリで見出すことができない場合、同じカテゴリであって、該同じカテゴリから前記レシピを検索して推奨する一品を抽出することを特徴とする販売促進支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は販売促進支援システム及び販売促進支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品ロスは大きな社会問題であり、スーパーマーケットなど小売り業界は、食品ロスの改善を進めている。特許文献1では、所定の時間において、在庫数量が所定の数より多い食材について、当該食材の値引き販売による販売促進を行うとともに、当該食材を使用したレシピをタッチディスプレイ部に表示させ、タッチディスプレイ部に対する顧客の操作に応じて、レシピを描画した印刷物を印刷デバイスから出力させるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムは、店舗内にて販売される食材の販売促進活動の開始時刻を予め設定しておき、ある食材の販売促進活動の開始時刻が到来すると、その食材を用いた料理のレシピデータを店舗内備え付けの電子棚札から提示するようにしたシステムである。これにより、販売促進を意図する食材を顧客に強く印象付け、その購買意欲を最大限に引き出すことができる。また、販売促進活動とは、店舗内において販売される特定商品の価格を値下げすると共に、その商品の購買意欲を引き出すための好適な情報を顧客へ提供する一連の催しを意味するとしている。しかしながら、消費者の購買意欲を引き出すには、価格の値下げは大切であるが、必ずしも十分でないという課題があった。
【0005】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、消費者の購買意欲を適切に引き出すことができる販売促進支援システム及び販売促進支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の販売促進支援システムは、一品を調理するための調理法であるレシピを記憶している記憶部と、未来における食品の予測在庫量を食品ごとに予測し、前記予測在庫量が所定の基準を満たす程度に大きい販売促進商品を予測する販売促進商品予測部と、前記販売促進商品、前記レシピ、所定のカテゴリを含む献立用パラメータに基づいて、前記カテゴリごとに一品候補を抽出する一品抽出部と、前記カテゴリごとの前記一品候補を組み合わせたカテゴリパターンについて献立候補を作成する献立作成部と、を有し、前記レシピには、食材と前記カテゴリとの関係が特定されており、前記一品抽出部は、前記販売促進商品から食材を特定し、該特定された食材に基づいて前記レシピを検索し該当するカテゴリを抽出し、前記販売促進商品が対象とするカテゴリで見出すことができない場合、同じカテゴリであって、該同じカテゴリから前記レシピを検索して推奨する一品を抽出することを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、消費者の購買意欲を適切に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る販売促進支援システムを示す図である。
【
図2】実施形態に係る販売促進支援システムの販売促進支援処理の概要を示す図である。
【
図6】販売促進商品予測処理を示すフローチャートである。
【
図9】献立案の作成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る販売促進支援システム100を示す図である。販売促進支援システム100は、スーパー等のお店側で販売促進したい商品を予測し、その商品が使われた一品を抽出し、一品を組み合わせた献立を提案する。このとき、献立は、ユーザ(消費者)の趣向に合わせて提案することが特徴である。
【0010】
最初に、本実施形態で使用する用語を説明する。
商品とは、スーパー等のお店における食品の(肉類、野菜類、加工品、日配品、総菜など)販売単位である。
レシピとは、一品を調理するための調理法である。レシピの材料の一部が商品であり、1レシピに複数商品が入ることも、1商品も入らないこともある。
一品とは、お皿一つにのる料理であり、レシピ(調理法)もしくは商品が1対1で対応、もしくは商品の対応なしの場合もある。
カテゴリとは、一品が属する分類であり、主食・主菜・副菜・汁物・その他(乳製品、さらに果物)がある。
献立とは、カテゴリを組み合わせることによって成立する一回の食事のことである。すなわち一品が「部分」で、献立が「全体」という関係になる。
【0011】
<全体構成>
販売促進支援システム100は、処理部10、記憶部20、入力部30、出力部40、通信部50を有する。処理部10には、販売促進商品予測部11、一品抽出部12、献立作成部13、気象データ取得部14、交通データ取得部15、ユーザデータ取得部16、レシピデータ取得部17等を有する。
【0012】
記憶部20には、各種過去のデータを有する過去情報21、各種現在のデータを有する現在情報22、レシピ関連情報23、カテゴリ構成データ24(
図3参照)、販売促進商品予測部11が予測する販売促進商品データ25、一品抽出部12が抽出する一品データ26、献立作成部13が作成する献立データ27を記憶している。
【0013】
過去情報21には、現在時刻より過去の商品データ211、在庫データ212、売上データ213、過去気象データ214、売上影響データ215等を有する。現在情報22には、現在時刻の商品データ221、在庫データ222、売上データ223、予報気象データ224、売上影響データ225、趣向データ226等を有する。
【0014】
レシピ関連情報23は、レシピタグデータ231、レシピデータ232、レシピ連携用商品データ233等を有する。
【0015】
販売促進支援システム100は、ネットワークNWを介して、お店内外にあるデジタルサイネージ用のディスプレイ110、120に接続されている。また、販売促進支援システム100は、ユーザの情報端末200(例えば、スマートフォン)と情報を送受信することができる。
【0016】
ユーザ(消費者)の家事に関する悩みの1位は料理であり、中でも「献立」を考えるのが大変なことが知られている。販売促進支援システム100は、この「献立」の悩みを助けるサイトを準備している。ユーザは、情報端末200から、本サイトにアクセスすると、現在時点でのおすすめの献立の情報を得ることができる。詳細については
図5で後記する。
【0017】
(データ説明)
商品データ211、221は、商品の持つ詳細データであり、キーは商品名称(ID)、食品区分、販売場所、価格、重さ、製造元、販売元等である。
在庫データ212、222は、商品ごとの購入在庫状況であり、在庫の商品の消費・賞味期限、在庫場所等である。
売上データ213、223は、商品の販売状況であり、日時、個数、購入者等である。
過去気象データ214、予報気象データ224は、日付、時間とその時の気象情報であり、気象庁のオープンデータを利用する。
【0018】
売上影響データ225は、交通情報(国交省のオープンデータ)、立地、季節、曜日、イベントなどのスーパー個別で入力しておく情報等である。各スーパーマーケットにより、情報量や情報項目は異なる。
【0019】
趣向データ226は、客層(お年寄り、ファミリー、学生、一人暮らし、ビーガン、ハラルなど宗教上、アレルギーなど)、客層からくる好まれる食のジャンル、規定カテゴリパターン、スーパーマーケットにヒアリングして設定するデータである。
【0020】
レシピタグデータ231は、レシピに対し、趣向データを分類するためのタグを、複数有する。例えば、和食、中華、お年寄り向け、ひなまつり、冬、パーティなど分類別に多数軸で付与する。主キーは、レシピ名(レシピID)である。
レシピデータ232は、一品を調理するためのレシピデータであり、外部レシピ提供会社との連携やスーパー所有の既存のDBを利用する。キーは、食材等である。
【0021】
レシピ連携用商品データ233は、スーパーの取扱商品がレシピのどの食材と合致するか/一品と合致するかの関連を示すデータである。例えば、商品「豚肩ロース薄切り200gパック」「国産豚小間切れ」のとき、レシピ食材の「豚肉」「豚薄切り肉」である。商品「たまご10個」「赤玉4個」のとき、レシピ食材の「卵」、「卵黄」、「卵白」である。商品「ほうれん草の胡麻和え100g」「ほうれん草の胡麻和え150g」のとき、レシピ料理の「ほうれん草のおひたし」「ほうれん草の胡麻和え」である。
【0022】
(処理部の概要)
処理部10の各部について説明する。
販売促進商品予測部11は、未来(所定時間後)における食品の予測在庫量を食品ごとに予測し、予測在庫量が所定の基準を満たす程度に大きい販売促進商品を予測する。販売促進商品予測部11は、販売促進商品予測処理S10(
図2参照)を実行する。
【0023】
一品抽出部12は、販売促進商品、レシピ、所定のカテゴリを含む献立用パラメータに基づいて、カテゴリごとに一品候補を抽出する。所定のカテゴリとは、主食・主菜・副菜・汁物・その他(乳製品、さらに果物)である。一品抽出部12は、一品抽出処理S20(
図2参照)を実行する。
【0024】
献立作成部13は、カテゴリごと(詳細は
図3参照)の一品候補を組み合わせたカテゴリパターンについて献立候補を作成する。献立作成部13は、献立作成処理S30(
図2参照)を実行する。
【0025】
気象データ取得部14は、気象庁が持つ気象DB140から気象データを取得し、過去気象データ214、及び、予報気象データ224に格納する。
【0026】
交通データ取得部15は、国交省が持つ交通DB150から交通情報を取得し、売上影響データ215、225に格納する。
【0027】
ユーザデータ取得部16は、ユーザ(消費者)が有する情報端末200(例えば、スマートフォン)から、消費者の好みの献立ジャンル、使いたい食材の情報を入手し、趣向データ226に格納する。
【0028】
レシピデータ取得部17は、外部レシピ提供会社のレシピDB170からレシピデータを取得し、レシピデータ232に格納する。
【0029】
図1において、処理部10は、中央演算処理装置(CPU)であり、RAMやHDD等に格納される各種プログラムを実行する。記憶部20は、HDDであり、販売促進支援システム100が処理を実行するための各種データを保存する。入力部30は、キーボードやマウス等のコンピュータに指示を入力するための装置であり、プログラム起動等の指示を入力する。出力部40は、ディスプレイ等であり、販売促進支援システム100による処理の実行状況や実行結果等を表示する。通信部50は、ネットワークNWを介して、他の装置と各種データやコマンドを交換する。
【0030】
<販売促進商品予測処理>
図2は、実施形態に係る販売促進支援システム100の販売促進支援処理S100の概要を示す図である。販売促進支援処理S100は、販売促進商品予測処理S10、一品抽出処理S20、献立作成処理S30を含んで構成される。
【0031】
販売促進商品予測処理S10は、未来における食品の予測在庫量を食品ごとに予測し、予測在庫量が所定の基準を満たす程度に大きい販売促進商品を予測する。この際に、気象データ(過去気象データ214)、売上影響データ(売上影響データ215)を用いて過去の販売状況を機械学習や深層学習にて学習し、該学習の結果と現在の情報(例えば、予報気象データ224、売上影響データ225)を用いて、販売促進商品を予測してもよい。気象データの天気、売上影響データのイベント等は説明変数であり、販売状況の販売数等は目的変数となる。複数の説明変数を用いて重回帰分析等をするとよい。
図2においては、N個の商品を予測している。
【0032】
一品抽出処理S20は、販売促進商品、レシピ、所定のカテゴリを含む献立用パラメータに基づいて、カテゴリごとに一品候補を抽出する。一品候補を抽出する際に、売上に影響するデータや購買者の趣向データを考慮する。
図2においては、M個の一品候補を抽出している。
【0033】
献立作成処理S30は、カテゴリごとの一品候補を組み合わせたカテゴリパターンについて献立候補を作成する。献立候補を作成する際に、売上に影響するデータや購買者の趣向データをもとに各カテゴリから最適な献立を作成する。
図2においては、L個の献立候補を作成している。
【0034】
図3は、カテゴリと献立との関係を示す図である。
図3には、カテゴリ構成データ24と献立例62を示す。カテゴリ構成データ24には、どのカテゴリの組合せで献立を作成するかが予め定義されており、「規定カテゴリ」と称する。図中〇は一品が一つ選択されることを示す。例えば、献立1は、主食のみで構成されている。献立2は、主食と主菜と副菜で構成されている。献立3は、主食と副菜と汁物で構成されている。
【0035】
献立例62は、献立2の例であり、主食である「ごはん」と主菜である「豚ひき肉」「ミニトマト」等と副菜である「カボチャサラダ」で構成されている。この場合、販売促進商品として「豚ひき肉」、「ミニトマト」、「カボチャサラダ」がある。
【0036】
図4は、データ構成の例を示す図である。
図4には、趣向データ71、売上影響データ72、レシピ関連データ73を示す。各データ構成は、データ種類、テーブル(テーブル名)、主キー、項目1、項目2、項目3、・・・等から構成される。★は、検索時にキーとして利用される。
【0037】
趣向データ71では、例えば、テーブルが「客層」の場合、主キーの「客層」を入力すると、食のジャンルID、規定カテゴリID、レシピタグ等が抽出される。また、テーブルが「規定カテゴリ」の場合、主キーの「規定カテゴリID」を入力すると、主食の有無、主菜の有無、副菜の有無当が抽出される。
【0038】
売上影響データ72では、例えば、テーブルが「イベント」の場合、主キーの「日時」を入力すると、客層、レシピタグ、商品分野等が抽出される。テーブルが「交通情報」の場合、主キーの「時間帯」を入力すると、時間帯交通量、商品分野が抽出される。
【0039】
レシピ関連データ73では、例えば、テーブルが「レシピ」の場合、項目1の「食材」を入力すると、レシピタグ、献立ジャンル、カテゴリ等が抽出される。テーブルが「レシピ連携用」の場合、項目1の「商品名」を入力すると、食材、食品分野等が抽出される。
【0040】
図5は、情報端末200の入力画面を示す図である。ユーザは、お店のサイトで、献立表示のページにはいる。そして、「あなたのお好み」のチェックボックスにチェックし、「使いたい食材」の入力欄に食材を入力して検索すると、ユーザにおすすめの献立メニューを得ることができる。
図5の例では、ユーザは、「肉派」「こってり」にチェックしており、キャベツを使用したいと思っている。なお、ユーザの好みのデータの入力方法には、各種考えられるが、例えば、お店で導入しているLine(登録商標)アプリケーションを活用してもよい。
【0041】
(各処理の詳細)
図6は、販売促進商品予測処理S10を示すフローチャートである。適宜
図1、
図2を参照して説明する。販売促進商品予測部11は、過去蓄積している売上、在庫、商品データ、気象情報、売上影響データを入力(取得)し(ステップS11)、現在の商品、売上、在庫データを入力(取得)する(ステップS12)。なお、データの入力は自動的に入力(取得)しても、お店の方が随時入力してもよい。
【0042】
また、販売促進商品予測部11は、予測用外部パラメータを入力(取得)し、現在の日時情報から検索した現在の気象情報、売上影響データ(商品分野)を入力(取得)する(ステップS13)。予測用外部パラメータには、出力商品数、特別販売推進商品、優先度を高くする情報(例えば、消費、賞味残り期限日数)がある。
【0043】
販売促進商品予測部11は、販売促進商品を予測する(ステップS14)。予測方法を説明すると、売上影響データは、売上に影響するだろうイベントなどの情報から、こんな商品が売れるという範囲指定まではヒントとして、スーパーが知っている範囲でスーパー側が補足情報として入力される。ステップS14においては、インプット情報を元に、この時間帯からすると、どんなものが売れ残りそうかを予測する。
【0044】
例えば、(1)夕方から雨が降りだし気温が低下した気象情報と、夜はサラリーマン層が多くお惣菜が売れやすいとの売上影響データとに基づいて、ステップS14の処理では、いつもは売れるお刺身盛(一人前)は、今日は売れ残りそうと予測する。
(2)近隣学校の運動会前日なので、お弁当食材が売れやすいとの売上影響データに基づきステップS14の処理では、この時間でこの在庫量で、この販売スピードだと、鶏モモ肉(唐揚げに利用想定)が売れ残りそうと予測する。
【0045】
そして、販売促進商品予測部11は、予測した販売促進商品を出力する(ステップS15)。すなわち、
図2において、商品1、商品2、・・・、商品N個が出力される。
【0046】
図7は、一品抽出処理S20を示すフローチャートである。適宜
図1、
図2を参照して説明する。一品抽出部12は、売れ残り(販売促進)商品の販売促進商品予測部11から出力群を入力(取得)し(ステップS21)、現在の気象情報、売上影響データ、献立用パラメータを入力(取得)する(ステップS22)。ここで、献立用パラメータには、規定カテゴリパターン、出力献立数、献立ジャンルがある。献立ジャンルには、例えば、和風、洋風、お年寄り向け、量重視などがあり、レシピデータ、趣向データ内に存在する。
【0047】
一品抽出部12は、エンドユーザ(ユーザ)からのカスタマイズがあるか否かを判定し(ステップS23)、カスタマイズがある場合(ステップS23,Yes)、アプリケーションからの入力を受け、献立ジャンルの上書き、使いたい食材の追加をし(ステップS23A)、ステップS24に進む。一方、カスタマイズがない場合(ステップS23,No)、ステップS24に進む。なお、ステップS23において、カスタマイズがあるか否かは、
図5における情報端末200からのアクセスであり、入力があるか否かで判定する。
【0048】
ステップS24において、ステップS25及びステップS26の繰り返し処理をする。ステップS25において、一品抽出部12は、レシピ連携用DB(レシピ連携用商品データ233)から食材を検索する。ステップS26において、食材、現在の気象情報、売上影響データ、献立用パラメータをもとに、レシピタグ、献立ジャンル、カテゴリを利用しレシピを検索する。具体的には、献立ジャンルのワードから、同じワードを使ってレシピタグを検索する。レシピタグの中には、献立ジャンル、イベント、カレンダー(時期、季節)・・・を示すデータがある。
【0049】
そして、一品抽出部12は、全カテゴリがあるか否かを判定し(ステップS27)、全カテゴリがない場合(ステップS27,No)、すなわち、販売促進商品が対象とするカテゴリで見出すことができない場合、同じカテゴリであって、献立用パラメータに基づいて推奨する一品を抽出(選択)し(ステップS29)、ステップS28に進む。一方、一品抽出部12は、全カテゴリがある場合(ステップS27,Yes)、ステップS28に進む。
【0050】
ステップ28において、一品抽出部12は、カテゴリごとに一品、レシピ、関連商品を出力する。すなわち、
図2において、一品主食、一品主菜、一品副菜、・・・、一品M個が出力される。
【0051】
図8は、献立作成処理S30を示すフローチャートである。適宜
図1、
図2を参照して説明する。献立作成部13は、一品抽出部12から出力された一品群を入力(取得)し(ステップS31)、売れ残り(販売促進)商品の販売促進商品予測部11から出力された商品群を入力(取得)する(ステップS32)。
【0052】
献立作成部13は、エンドユーザ(ユーザ)からのカスタマイズがあるか否かを判定し(ステップS33)、カスタマイズがある場合(ステップS33,Yes)、アプリケーションからの入力を受け、献立ジャンルの上書き、使いたい食材の追加をし(ステップS33A)、ステップS34に進む。一方、カスタマイズがない場合(ステップS33,No)、ステップS34に進む。なお、ステップS33において、カスタマイズがあるか否かは、
図5における情報端末200からの入力があるか否かで判定する。
【0053】
ステップ34において、献立作成部13は、現在の気象情報、売上影響データ、献立用パラメータを入力(取得)する。ここで、献立用パラメータには、前記したように、規定カテゴリパターン、出力献立数、献立ジャンルがある。献立ジャンルには、例えば、和風、洋風、お年寄り向け、量重視などがあり、レシピデータ、趣向データ内に存在する。
【0054】
そして、献立作成部13は、献立案を作成し(ステップS35、詳細は
図9参照)、商品がすべて入っているか、現在の気象情報、売上影響データとのレシピタグのマッチングが成立しているか、規定カテゴリがそろっているか、指定した献立数があるかを判定する(ステップS36)。判定を満たさない場合(ステップS36,No)、ステップS35に戻り、判定を満たす場合(ステップS36,Yes)、ステップS37に進む。
【0055】
ステップS35において作成される献立例を説明すると、販売促進商品を、牛肉、玉ねぎ、豆腐とする。
図3の献立1、献立2、献立3は、例えば、
・献立1:主食のみ
牛丼[主食](「牛丼」、「牛肉薄切り500g」、「玉ねぎ」)
・献立2:主食・主菜・副菜
ごはん[主食]、肉豆腐[主菜](牛肉薄切り等)、オニオンサラダ[副菜](玉ねぎ等)
・献立3:主食・副菜・汁物
ビーフピラフ[主食](牛肉、玉ねぎ等)、豆腐のサラダ[副菜](豆腐)、コンソメスープ[汁物](玉ねぎ)
である。
【0056】
図9は、献立案の作成処理(ステップS35)を示すフローチャートである。献立作成部13は、規定カテゴリパターン分(献立1、献立2、・・・)について、ステップS352、S353、S354を繰り返す(ステップS351)。ステップS352において、規定カテゴリ内のカテゴリ分について、ステップS353、S354を繰り返す。
【0057】
ステップS353において、献立作成部13は、カテゴリ内の一品から一つ選択し(ステップS353)、ここでは、ジャンルや趣向データが同じ一品がそろっている前提であるので、各カテゴリから一品を取ってきて献立化する。
【0058】
そして、ステップS354において、一品同士が、より献立として親和性が高そうなものを選択する。すなわち優先度の高いものから選択する。一般的に主菜が決まると、主食、副菜を選択しやすいが、(1)主菜がない場合、主食は「主菜不要」レシピタグがついた主食とする。(2)規定カテゴリ内の他カテゴリとは別商品の一品を優先して選択する。(3)指定レシピタグ以外のレシピタグの重複が多いものを優先的に選択するとよい。
【0059】
なお、指定レシピタグとは、例えば、ひな祭り、和食、ファミリーである。
指定レシピタグ以外のレシピタグとは、前記レシピタグが付いているレシピが持つレシピタグである。例えば、パーティ、春、3/3、こども、離乳食、温まる、等である。この指定レシピタグ以外のレシピタグに重複が多い場合は、献立として親和性が高いと判断できる。
【0060】
図8に戻り、ステップS37において、献立が成立し出力される。なお、ステップS36において、指定回数を繰り返しても献立が成立しなければ、一品抽出数を増やしてもよい。
【0061】
図10は、複数の献立の例を示す図である。
図10は、ユーザの「献立」の悩みを助ける献立となっている。
図10は、主菜と副菜と汁物の組合せの場合である。販売促進商品として、「鶏ひき肉」「はんぺん」「にら」があり、ユーザの好みの食材として「キャベツ」があった場合に、販売促進支援処理S100(
図2参照)が出力した献立として、献立A、献立Bがある。
【0062】
献立Aは、主菜として「鶏ひき肉」、「はんぺん」、「にら」の入ったにら入り豆腐ハンバーグと、副菜として「キャベツ」の入ったコールスロー、汁物としてかぶの葉とわかめの味噌汁が提案されている。
献立Bは、主菜として「鶏ひき肉」、「にら」の入った彩り野菜炒め、副菜として「キャベツ」の入った塩だれキャベツ、汁物として「はんぺん」の入ったふわふわだんごのスープが提案されている。
【0063】
図11は、献立と売り場との関係を示す図である。販売促進支援システム100は、ディスプレイ110、120に表示する際に、本日の献立に使用する食材の売り場の位置を示してもよい。こうすることにより、ユーザは、どの売り場に行けば食材を購入できるか容易に判断できる。
【0064】
ディスプレイ110は、スーパーの入り口にあるディスプレイであり、スーパーの買い物かごの横に設置されたものである。ユーザが献立に悩んでいる際に、献立を示すことにより、ユーザの悩みを早期に解決するとともに、スーパー側の販売促進商品の販売を促進することができる。
ディスプレイ120は、スーパー内の商品棚のところに設置したディスプレイである。ユーザが食材を手にとるところで、献立を示すことにより、ユーザの悩みを早期に解決するとともに、スーパー側の販売促進商品の販売を促進することができる。
【0065】
以上説明した本実施形態の販売促進支援システム100及び販売促進支援方法は、次の特徴を有する。
(1)本実施形態の販売促進支援システム100は、一品を調理するための調理法であるレシピを記憶している記憶部20と、未来における食品の予測在庫量を食品ごとに予測し、予測在庫量が所定の基準を満たす程度に大きい販売促進商品を予測する販売促進商品予測部11と、販売促進商品、レシピ、所定のカテゴリを含む献立用パラメータに基づいて、カテゴリごとに一品候補を抽出する一品抽出部12と、カテゴリごとの一品候補を組み合わせたカテゴリパターンについて献立候補を作成する献立作成部13と、を有する。これによれば、消費者の献立の悩みを解決するとともに、消費者の購買意欲を適切に引き出すことができる。
【0066】
(2)(1)において、所定のカテゴリは、主食、主菜、副菜、汁物、その他である(
図3参照)。これによれば、各カテゴリを組み合わせた献立を提供できる。
【0067】
(3)(1)において、献立用パラメータには、消費者の好みの献立ジャンルを有しており、一品抽出部12は、献立ジャンルと売上影響データから、記憶部20に記憶されているレシピが有するレシピタグに基づいて、該当するレシピを抽出する。これによれば、ユーザ(消費者)の趣向に合わせて提案することができる。
【0068】
(4)(3)において、販売促進支援システム100は、情報端末200から消費者の好みの献立ジャンル、使いたい食材の情報を入手する。これによれば、個々のユーザ(消費者)の趣向に合わせて提案することができる。
【0069】
(5)(4)において、一品抽出部12は、入手した献立ジャンルと売上影響データから、記憶部20に記憶されているレシピが有するレシピタグに基づいて、該当するレシピを抽出するとともに、使いたい食材のレシピを抽出する。これによれば、個々のユーザが使いたい食材に合わせて提案することができる。
【0070】
(6)一品抽出部12は、販売促進商品が対象とするカテゴリで見出すことができない場合、同じカテゴリであって、献立用パラメータに基づいて推奨する一品を抽出することができる(ステップS29参照)。
【0071】
(7)(3)において、献立作成部13は、献立候補を抽出する際に、献立ジャンルから、一品抽出部12で抽出された一品を、一つ以上抽出することができる(ステップS35参照)。)
【0072】
(8)(1)において、献立作成部13は、カテゴリごとの一品を抽出する際に、記憶部20に記憶されているレシピが有するレシピタグに基づいて、該当する一品を抽出することができる(ステップS35,S36参照)。
【0073】
(9)(1)において、販売促進商品予測部11は、気象条件データ、売上影響データを用いて過去の販売状況を機械学習や深層学習にて学習し、該学習の結果と現在の情報を用いて、販売促進商品を予測することができる(
図2参照)。
【0074】
(10)一品を調理するための調理法であるレシピを記憶している記憶部20と、処理部とを有するシステムの販売促進支援方法であって、処理部10は、未来における食品の予測在庫量を食品ごとに予測し、予測在庫量が所定の基準を満たす程度に大きい販売促進商品を予測し、販売促進商品、レシピ、所定のカテゴリを含む献立用パラメータに基づいて、カテゴリごとに一品候補を抽出し、カテゴリごとの一品候補を組み合わせたカテゴリパターンについて献立候補を作成する。これによれば、消費者の献立の悩みを解決するとともに、消費者の購買意欲を適切に引き出すことができる。
【符号の説明】
【0075】
10 処理部
11 販売促進商品予測部
12 一品抽出部
13 献立作成部
14 気象データ取得部
15 交通データ取得部
16 ユーザデータ取得部
17 レシピデータ取得部
20 記憶部
21 過去情報
22 現在情報
221 商品データ
222 在庫データ
223 売上データ
224 予報気象データ
225 売上影響データ
226 趣向データ
23 レシピ関連情報
231 レシピタグデータ
232 レシピデータ
233 レシピ連携用商品データ
24 カテゴリ構成データ
25 販売促進商品データ
26 一品データ
27 献立データ
30 入力部
40 出力部
50 通信部
62 献立例
71 趣向データ
72 売上影響データ
73 レシピ関連データ
100 販売促進支援システム
110 ディスプレイ
120 ディスプレイ
140 気象DB
150 交通DB
170 レシピDB
200 情報端末
211 商品データ
212 在庫データ
213 売上データ
214 過去気象データ
215 売上影響データ
221 商品データ
222 在庫データ
223 売上データ
224 予報気象データ
225 売上影響データ
226 趣向データ
S10 販売促進商品予測処理
S20 一品抽出処理
S30 献立作成処理
S100 販売促進支援処理
【要約】
【課題】消費者の購買意欲を適切に引き出すことができる販売促進支援システムを提供する。
【解決手段】販売促進支援システム100は、一品を調理するための調理法であるレシピを記憶している記憶部20と、未来における食品の予測在庫量を食品ごとに予測し、予測在庫量が所定の基準を満たす程度に大きい販売促進商品を予測する販売促進商品予測部11と、販売促進商品、レシピ、所定のカテゴリを含む献立用パラメータに基づいて、カテゴリごとに一品候補を抽出する一品抽出部12と、カテゴリごとの一品候補を組み合わせたカテゴリパターンについて献立候補を作成する献立作成部13と、を有する。献立用パラメータには、消費者の好みの献立ジャンルを有しており、一品抽出部12は、献立ジャンルと売上影響データから、記憶部20に記憶されているレシピが有するレシピタグに基づいて、該当するレシピを抽出する。
【選択図】
図1