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特許7361245部品実装装置および部品実装装置におけるパーツフィーダの挿入防止方法
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  • 特許-部品実装装置および部品実装装置におけるパーツフィーダの挿入防止方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品実装装置におけるパーツフィーダの挿入防止方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20231006BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
H05K13/02 B
H05K13/04 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019001862
(22)【出願日】2019-01-09
(65)【公開番号】P2020113595
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】友保 和彦
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-014380(JP,A)
【文献】特開2005-347351(JP,A)
【文献】特開2011-159703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を供給するパーツフィーダが挿入により装着される複数のスロットを有したフィーダベースと、
前記複数のスロットそれぞれに対応して設けられ、前記スロットに前記パーツフィーダが挿入されるのを阻止する阻止位置と、前記スロットに前記パーツフィーダが挿入されるのを許容する許容位置との間で位置の切り替えが自在な複数の切替え部材と、
前記複数の切替え部材それぞれの位置の切り替えを個別に制御する切替え制御部と、
前記切替え部材に設けられたランプと、を備えた部品実装装置。
【請求項2】
前記切替え制御部は、前記パーツフィーダの装着が必要となった前記スロットのみを前記パーツフィーダの挿入が可能な状態にする請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記複数の切替え部材はそれぞれ、対応する前記スロットに挿入される前記パーツフィーダと干渉する位置に張り出すことで前記阻止位置に位置し、前記スロットに挿入される前記パーツフィーダと干渉しない位置に退避することで前記許容位置に位置する請求項1または2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記ランプは、前記複数の切替え部材それぞれが前記阻止位置に位置した状態であるか前記許容位置に位置した状態であるかを点灯状態で示す請求項1から3のいずれかに記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記スロットに装着された前記パーツフィーダが供給する部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドを備え、
前記フィーダベースは、前記装着ヘッドを移動させるヘッド移動機構を備える基台に着脱自在に連結されるフィーダ台車に取り付けられている請求項1~4のいずれかに記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記切替え部材は揺動軸を介して揺動する、請求項1~のいずれかに記載の部品実装装置。
【請求項7】
部品を供給するパーツフィーダが挿入により装着される複数のスロットを有したフィーダベースと、
前記複数のスロットそれぞれに対応して設けられ、前記スロットに前記パーツフィーダが挿入されるのを阻止する阻止位置と、前記スロットに前記パーツフィーダが挿入されるのを許容する許容位置との間で位置の切り替えが自在な複数の切替え部材と、
前記複数の切替え部材それぞれの位置の切り替えを個別に制御する切替え制御部と、
前記切替え部材に設けられたランプと、を備えた部品実装装置におけるパーツフィーダの挿入防止方法であって、
前記複数の切替え部材はそれぞれ、対応する前記スロットに挿入される前記パーツフィーダと干渉する位置に張り出すことで前記パーツフィーダの挿入を防止する部品実装装置におけるパーツフィーダの挿入防止方法。
【請求項8】
前記切替え部材が前記阻止位置にある状態では、当該切替え部材に設けられた前記ランプが外部から視認できる状態で点灯する請求項に記載の部品実装装置におけるパーツフィーダの挿入防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィーダベースに装着されたパーツフィーダが供給する部品を装着ヘッドによりピックアップして基板に装着する部品実装装置および部品実装装置におけるパーツフィーダの挿入防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置は、フィーダベースに装着されたパーツフィーダにより部品を供給し、その部品を装着ヘッドがピックアップして基板に装着する構成となっている。フィーダベースはパーツフィーダが装着される複数のスロットを有しており、パーツフィーダはスロットに係合部を挿抜することでフィーダベースへの着脱ができるようになっている(例えば、下記の特許文献1参照)。このような部品実装装置では、生産基板の機種切り替え等において、スロットにパーツフィーダを装着する必要が生じる場合がある。スロットにパーツフィーダを装着する必要が生じた場合には、部品実装装置は、パーツフィーダが装着される必要のあるスロットの固有の識別番号(フィーダベース上でのスロット番号)をディスプレイ装置に表示すること等によって、作業者にパーツフィーダの装着を指示する。そして、ディスプレイ装置を介してパーツフィーダの装着の指示を受けた作業者は、表示された位置のスロットにパーツフィーダを装着する(例えば、下記の特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-149776号公報
【文献】特開平10-65399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、パーツフィーダをスロットに装着する作業は作業者が手作業で行うものであるうえ、スロットは通常、フィーダベース上に密集して並んで配置されているため、作業者はパーツフィーダを装着する際、そのパーツフィーダを装着すべきスロットを見誤り、正しくないスロットにパーツフィーダを装着してしまうおそれがあるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、作業者がフィーダベース上の誤った位置にパーツフィーダを装着してしまうミスを防止できる部品実装装置および部品実装装置におけるパーツフィーダの挿入防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装装置は、部品を供給するパーツフィーダが挿入により装着される複数のスロットを有したフィーダベースと、前記複数のスロットそれぞれに対応して設けられ、前記スロットに前記パーツフィーダが挿入されるのを阻止する阻止位置と、前記スロットに前記パーツフィーダが挿入されるのを許容する許容位置との間で位置の切り替えが自在な複数の切替え部材と、前記複数の切替え部材それぞれの位置の切り替えを個別に制御する切替え制御部と、前記切替え部材に設けられたランプと、を備えた。
本発明の部品実装装置におけるパーツフィーダの挿入防止方法は、部品を供給するパーツフィーダが挿入により装着される複数のスロットを有したフィーダベースと、前記複数のスロットそれぞれに対応して設けられ、前記スロットに前記パーツフィーダが挿入されるのを阻止する阻止位置と、前記スロットに前記パーツフィーダが挿入されるのを許容する許容位置との間で位置の切り替えが自在な複数の切替え部材と、前記複数の切替え部材それぞれの位置の切り替えを個別に制御する切替え制御部と、前記切替え部材に設けられたランプと、を備えた部品実装装置におけるパーツフィーダの挿入防止方法であって、前記複数の切替え部材はそれぞれ、対応する前記スロットに挿入される前記パーツフィーダと干渉する位置に張り出すことで前記パーツフィーダの挿入を防止する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業者がフィーダベース上の誤った位置にパーツフィーダを装着してしまうミスを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1における部品実装装置の要部側面図
図2】本発明の実施の形態1における部品実装装置の部品供給部が備えるフィーダベースをテープフィーダとともに示す斜視図
図3】本発明の実施の形態1における部品実装装置の部品供給部が備えるフィーダベースの斜視図
図4】本発明の実施の形態1における部品実装装置の部品供給部が備えるフィーダベースの平面図
図5】(a)(b)本発明の実施の形態1における部品実装装置の部品供給部が備えるフィーダベースの一部の斜視図
図6】(a)(b)本発明の実施の形態1における部品実装装置の部品供給部が備えるフィーダベースの一部の側断面図
図7】(a)(b)本発明の実施の形態2における部品実装装置の部品供給部が備えるフィーダベースの一部の斜視図
図8】(a)(b)本発明の実施の形態2における部品実装装置の部品供給部が備えるフィーダベースの一部の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における部品実装装置1を示している。部品実装装置1は基板KBに部品BHを実装する装置であり、基台11、基板搬送部12、部品供給部13、ヘッド移動機構14、装着ヘッド15および部品カメラ16を備えている。
【0010】
図1において、基板搬送部12は、基台11上を作業者OPから見て左右方向(図1の紙面に垂直な方向。X軸方向とする)に延びた一対のコンベア12aを有している。基板搬送部12はこれら一対のコンベア12aを同時に作動させることで、基板KBをX軸方向に搬送する。
【0011】
図1において、部品供給部13はフィーダ台車21と、フィーダ台車21に取り付けられたパーツフィーダとしてのテープフィーダ22を有して構成されている。テープフィーダ22は、部品BHが封入されたキャリアテープ23を搬送して部品取出し口22Kに部品BHを供給する。キャリアテープ23はリール24に巻き付けられており、そのリール24はフィーダ台車21に取り付けられている。フィーダ台車21にはテープフィーダ22とリール24をそれぞれ複数ずつ取り付けることができる。
【0012】
図2および図3において、フィーダ台車21は平板状のフィーダベース31を有している。フィーダベース31の上面には、Y軸方向に延びた形状のスロット形成ブロック32が、Y軸方向(前後方向)およびX軸方向(左右方向)に複数ずつ並んで設けられている(図4も参照)。
【0013】
スロット形成ブロック32はY軸方向に細長い部材であり、フィーダベース31の上面に等間隔に固定されている。隣り合うスロット形成ブロック32は、その間をフィーダベース31上でY軸方向に延びる溝状のスロット33を形成している。すなわち、フィーダベース31上には、X軸方向に隣接するスロット形成ブロック32とその間の空間によって、複数のスロット33がX軸方向に並んで形成されている。
【0014】
図2および図3において、フィーダベース31の前端部には位置決め壁34が形成されている。位置決め壁34には、後方に開口した複数の位置決め穴34Hが各スロット33に対応した位置に設けられている。フィーダベース31の前端(すなわち位置決め壁34の後方)にはシューター壁35が設けられている。シューター壁35は位置決め壁34よりも高さが高く、位置決め壁34とシューター壁35の間の空間はテープ排出路36となっている。フィーダベース31の後部には、係止ロッド37がX軸方向に延びて設けられている。
【0015】
図2において、テープフィーダ22はY軸方向およびX軸方向に広がった形状の本体部41を有している。本体部41にはキャリアテープ23の通路であるテープ通路42が後方から前方に延びて設けられている(図1も参照)。本体部41の後端部には、テープ通路42に繋がるテープ入口43が形成されている。本体部41の下面には、本体部41の長手方向に沿って延びた細長いレール状の係合部44が設けられている。
【0016】
図2において、本体部41の前上部にはスプロケット45が設けられている。スプロケット45は外周に多数の送りピンを有しており、図示しないスプロケット駆動モータによって間欠的に回転駆動される。
【0017】
スプロケット45の上方には、本体部41の上面の一部を上方から覆うテープ押さえ部材46が取り付けられている。テープ押さえ部材46とテープ押さえ部材46が覆う本体部41の上面との間の空間はテープ通路42の一部を構成している。テープ押さえ部材46には前述の部品取出し口22Kが設けられている。
【0018】
図2において、本体部41の前端部には前方に突出して延びた突起47が取り付けられている。テープフィーダ22の本体部41の下面後部には固定フック48が設けられている(図1も参照)。
【0019】
テープフィーダ22をフィーダベース31に装着するときは、本体部41の下面の係合部44を、フィーダベース31が備える複数のスロット33のうちのひとつに挿入する。詳細には、係合部44の前端部をそのスロット33の後端部のスロット入口33Kから挿入した後、テープフィーダ22の全体を前方に向けてスライドさせる。
【0020】
テープフィーダ22を前方に向けてスライドさせていくと、テープフィーダ22の前端部が位置決め壁34の後面に当接する。このとき、本体部41の前端部に設けられた突起47が、位置決め壁34の位置決め穴34Hに後方から嵌入する。これによりテープフィーダ22がフィーダベース31に対して位置決めされる。テープフィーダ22がフィーダベース31に対して位置決めされるとき、固定フック48がフィーダベース31の係止ロッド37に引っ掛かり、テープフィーダ22はフィーダベース31に固定される。
【0021】
図1において、フィーダ台車21は複数のキャスター21Cを備えており、作業者OPはフィーダ台車21を床面FL上で移動させることができる。フィーダ台車21を床面FL上で移動させて基台11に結合させると、フィーダ台車21に装着された複数のテープフィーダ22が一括して基台11に連結される。
【0022】
フィーダベース31に装着された各テープフィーダ22は、対応するリール24から引き出されてテープ入口43に挿入されたキャリアテープ23を前方に向けて搬送する。このときテープフィーダ22は、キャリアテープ23に設けられた送り孔(図示せず)にスプロケット45の送りピンを係合させて間欠回転することで、キャリアテープ23を前方に向けてピッチ送りする。これによりキャリアテープ23に封入された部品BHが順次部品取出し口22Kに位置し、部品取出し口22Kに部品BHが供給される。部品取出し口22Kに部品BHを供給してテープ押さえ部材46を通過したキャリアテープ23は、本体部41の前端部からテープ排出路36を通って排出される(図1)。
【0023】
図1において、ヘッド移動機構14は例えば直交座標ロボットから構成されており、装着ヘッド15を水平面内で移動させる。装着ヘッド15には複数のノズル15aがそれぞれ下向きに取り付けられている。各ノズル15aは装着ヘッド15に対して上下方向(Z軸方向とする)への移動とZ軸回りの回転が可能である。装着ヘッド15は、テープフィーダ22が部品取出し口22Kに供給した部品BHにノズル15aの下端部を上方から近接させて吸引することで部品BHを吸着し、ピックアップする。
【0024】
図1において、部品カメラ16は撮像視野を上方に向けた姿勢で基台11に取り付けられている。部品カメラ16は、ノズル15aがピックアップした部品BHを撮像する。
【0025】
部品実装装置1の各部の動作制御は部品実装装置1が備える制御装置50(図1)が行う。制御装置50は、どのテープフィーダ22から部品BHをピックアップして基板KB上のどの位置にどのタイミングで装着するかを定めた実装プログラムを予め記憶している。制御装置50は実装プログラムに基づいて各部を動作させることで、基板KBへの部品BHの実装作業(部品実装作業)を行う。制御装置50にはディスプレイ装置51が接続されており、制御装置50はディスプレイ装置51を通じて作業者OPに指示を出し、これに応じて作業者OPが行った対応を把握しながら作業を継続実行する。
【0026】
制御装置50は、部品実装作業を行うときには先ず、基板搬送部12を作動させて上流工程側から送られてきた基板KBを搬入し、所定の作業位置に基板KBを位置決めする。基板KBが作業位置に位置決めされたら、各テープフィーダ22を作動させて各テープフィーダ22の部品取出し口22Kに部品BHを供給させるとともに、装着ヘッド15を作動させて、テープフィーダ22によって供給された部品BHをノズル15aにピックアップさせる。
【0027】
装着ヘッド15に部品BHをピックアップさせたら、装着ヘッド15を部品カメラ16の上方へ移動させる。そして、制御装置50は、部品カメラ16にノズル15aが保持した部品BHを撮像させる。制御装置50は、部品カメラ16で撮像した画像より部品BHの位置を検出し、その検出結果を利用してヘッド移動機構14を制御する。これによりノズル15aに保持された部品BHは基板KBの目標位置に位置決めされる。部品BHが基板KBの目標位置に位置決めされたら、装着ヘッド15を昇降させて、部品BHを基板KBに装着する。
【0028】
制御装置50は、このような基板KBへの部品BHの実装動作を繰り返し行ってその基板KBへの部品BHの実装作業が終了したら、基板搬送部12を作動させて、基板KBを下流工程側に搬出する。これにより基板KBの1枚当たりの部品実装動作が終了する。
【0029】
このような構成の部品実装装置1において、本実施の形態1では、作業者OPがフィーダベース31上の誤った位置にテープフィーダ22を装着してしまうミスを防止できる構成を有しており、以下にその説明を行う。
【0030】
図3および図4に示すように、フィーダベース31上には複数のブロック部材60が設けられている。これら複数のブロック部材60は、複数のスロット33それぞれに対応して設けられており、各ブロック部材60は対応するスロット33のスロット入口33Kの近傍位置に設けられている。各ブロック部材60は、図5(a),(b)および図6(a),(b)に示すように、断面がほぼ四分円形状でX軸方向に延びた柱体形状を有しており、四分円の頂角付近がフィーダベース31内をX軸方向に延びて設けられた揺動軸61によって枢支されている。
【0031】
図3および図4において、フィーダベース31には複数のブロック部材60それぞれを個別に作動させる複数のシリンダ62が設けられている。各シリンダ62はピストンロッド62Rの先端部を前方に向けており、対応するブロック部材60の後方に位置している。図5(a),(b)および図6(a),(b)に示すように、各シリンダ62はシリンダチューブの後端のトラニオン部62Tがフィーダベース31に枢結されている。各シリンダ62のピストンロッド62Rの先端部はブロック部材60に枢結されている。
【0032】
各シリンダ62は制御装置50に制御されて作動し、ピストンロッド62RをY軸方向に押し引きする。シリンダ62がピストンロッド62Rを押し引きすると、ピストンロッド62Rに連結されたブロック部材60は揺動軸61まわりに揺動し、「阻止位置」(図5(a)および図6(a))と、「許容位置」(図5(b)および図6(b))との間で位置を切り替える。ここで、「阻止位置」は、ブロック部材60がフィーダベース31の上側に突出してそのスロット33における挿入経路33S内に張り出す位置であり、「許容位置」は、ブロック部材60がフィーダベース31内に没して挿入経路33Sから退避する位置である。また、「挿入経路33S」とは、テープフィーダ22の係合部44がスロット33内をスライドするときの係合部44の通り道をいう。
【0033】
ブロック部材60は、阻止位置に位置した状態では、スロット入口33Kから挿入されるテープフィーダ22の係合部44と干渉し、その係合部44のスロット33への挿入を阻止する。一方、ブロック部材60は、許容位置に位置した状態では、スロット入口33Kから挿入されるテープフィーダ22の係合部44と干渉せず、その係合部44のスロット33への挿入を許容する。
【0034】
このように本実施の形態1において、複数のスロット33それぞれに対応して設けられた複数のブロック部材60は、対応するスロット33にテープフィーダ22が挿入されるのを阻止する阻止位置と、対応するスロット33にテープフィーダ22が挿入されるのを許容する許容位置との間で位置の切り替えが自在な複数の切替え部材となっている。また、制御装置50は、複数のブロック部材60それぞれの位置の切り替えを個別に制御する切替え制御部となっている。
【0035】
図5(a),(b)および図6(a),(b)において、各ブロック部材60が阻止位置に位置した状態で後方を向く面は、テープフィーダ22の係合部44がスロット入口33Kから挿入されるとき、係合部44の先頭(前端)部が当接する当接面71である。当接面71には、制御装置50に制御されて点灯するランプLPが設けられている。この実施形態1では、ランプLPは異なる2色を選択的に点灯でき、ブロック部材60が阻止位置に位置しているときには一の色(例えば赤色)を点灯するように制御され、ブロック部材60が許容位置に位置しているときには他の一の色(例えば緑色)を点灯するように制御される。
【0036】
当接面71はブロック部材60が「阻止位置」に位置した状態でも「許容位置」に位置した状態でも外部から視認できる。このためランプLPは、スロット33にテープフィーダ22が装着されている状態を除き、常時外部から視認できる。
【0037】
制御装置50は、スロット33にテープフィーダ22が装着されていない場合、そのスロット33に対応するブロック部材60を阻止位置に位置させる。そして、生産基板の機種の切り替え等において、特定のスロット33にテープフィーダ22を装着させる必要が生じたことを検知した場合には、その特定のスロット33に対応するフィーダベース31上での位置を示すスロット番号をディスプレイ装置51に表示させるとともに、その特定のスロット33に対応するブロック部材60の位置を、阻止位置から許容位置に切り替える。
【0038】
例えば、制御装置50は、図2および図4に示すように、フィーダベース31上の右から2番目のスロット33にテープフィーダ22が装着される必要が生じたこと検知した場合には、そのフィーダベース31上の右から2番目のスロット33のスロット番号をディスプレイ装置51に表示させるとともに、そのスロット33に対応するブロック部材60を阻止位置から許容位置に切り替える。
【0039】
特定のスロット33に対応するブロック部材60が阻止位置から許容位置に位置が切り替えられると、その特定のスロット33へのテープフィーダ22の挿入のみが許容された状態となる。このため作業者OPは、特定のスロット33以外のスロット33にはテープフィーダ22を装着できず、特定のスロット33にのみテープフィーダ22を挿入することが可能となる。
【0040】
このように本実施の形態1において、制御装置50は、複数のブロック部材60の位置の切り替えを個別に制御し、テープフィーダ22の装着が必要となった特定のスロット33のみをテープフィーダ22の挿入が可能な状態にする。この状態では、作業者OPは、テープフィーダ22が装着されるべき正しい位置のスロット33以外のスロット33にテープフィーダ22を装着することはできず、結果としてテープフィーダ22は誤りのない正しい位置のスロット33に装着される。
【0041】
制御装置50は、ブロック部材60を阻止位置から許容位置に位置させるとき、そのブロック部材60のランプLPが点灯する色を一の色(ここでは赤色)から他の一の色(ここでは緑色)に切り替える。このため作業者OPは、スロット入口33KのランプLPが赤色に点灯しているスロット33ではなく、スロット入口33KのランプLPが緑色に点灯しているスロット33を探してそのスロット33にテープフィーダ22を挿入すればよく、これにより正しい位置のスロット33にテープフィーダ22を装着することができる。
【0042】
このように本実施の形態1において、複数のスロット33それぞれ(詳細には複数のブロック部材60それぞれ)に設けられた複数のランプLPは、複数のブロック部材60それぞれが阻止位置に位置した状態であるか許容位置に位置した状態であるかを点灯状態で示すものとなっている。このため作業者OPは、ランプLPの点灯状態(ランプLPが点灯する色)を頼りにスロット33にテープフィーダ22を挿入すればよく、この面からも正しい位置のスロット33にテープフィーダ22を装着することができる。
【0043】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2を示す。実施の形態2における部品実装装置1は、図7(a),(b)および図8(a),(b)に示すように、実施の形態1における複数のブロック部材60の代わりに、複数のスロット33それぞれに対応して配置された複数の板部材80を備えている。各板部材80は矩形の平板形状を有しており、横方向の一端側が、上下方向に延びてフィーダベース31に支持された回動軸81に取り付けられている。回動軸81はスロット33を形成する隣接した2つのスロット形成ブロック32のうちの一方の側に寄った位置に設けられており、その軸線81Jまわりに回動自在である。回動軸81の下端にはウォームホイール81Gが取り付けられている。
【0044】
図7(a),(b)および図8(a),(b)において、フィーダベース31には複数の板部材80それぞれに対応した複数のモータ82が設けられている。複数のモータ82それぞれの駆動軸にはウォーム82Gが取り付けられており、各ウォーム82Gは対応する板部材80の回動軸81の下端のウォームホイール81Gと噛合している。
【0045】
各モータ82は制御装置50に制御されて作動し、ウォーム82GをY軸回りに回転させる。モータ82がウォーム82Gを一の方向或いはその反対方向に回転させると、ウォーム82Gと噛合したウォームホイール81Gがウォーム82Gの回転方向に応じた方向に回動する。これにより回動軸81と一体になった板部材80が軸線81Jまわりにウォーム82Gの回転方向に対応した方向に揺動し、「阻止位置」(図7(a)および図8(a))と、「許容位置」(図7(b)および図8(b))との間で位置を切り替える。ここで、「阻止位置」は、フィーダベース31の上面に設けられたストッパ31Pに後方から当接し、テープフィーダ22の挿入経路33Sに対してほぼ直交した姿勢で挿入経路33S内に張り出す位置であり、「許容位置」は、挿入経路33Sと平行な姿勢になって挿入経路33Sから退避する位置である。
【0046】
板部材80は、阻止位置に位置した状態では、スロット入口33Kから挿入されるテープフィーダ22の係合部44と干渉し、その係合部44のスロット33への挿入を阻止する。一方、板部材80は、許容位置に位置した状態では、スロット入口33Kから挿入されるテープフィーダ22の係合部44と干渉せず、その係合部44のスロットへの挿入を許容する。
【0047】
このように本実施の形態2において、複数のスロット33それぞれに対応して設けられた複数の板部材80は、対応するスロット33にテープフィーダ22が挿入されるのを阻止する阻止位置と、対応するスロット33にテープフィーダ22が挿入されるのを許容する許容位置との間で位置の切り替えが自在な複数の切替え部材となっている。また、制御装置50は、複数の板部材80それぞれの位置の切り替えを個別に制御する切替え制御部となっている。
【0048】
図7(a),(b)および図8(a),(b)において、各板部材80が阻止位置に位置した状態で後方を向く面は、テープフィーダ22の係合部44がスロット入口33Kから挿入されるとき、係合部44の先頭(前端)部が当接する当接面91である。当接面91には、制御装置50に制御されて点灯するランプLPが設けられている。ここでは、ランプLPは、少なくとも板部材80が阻止位置に位置しているときに、一の色(例えば赤色)を点灯するように制御される。
【0049】
当接面91は板部材80が阻止位置に位置した状態では外部から視認できるが、「許容位置」に位置した状態では外部から視認できない。このためランプLPは、板部材80が「阻止位置」に位置した状態でのみ外部から視認できる。
【0050】
制御装置50は、スロット33にテープフィーダ22が装着されていない場合、そのスロット33に対応する板部材80は阻止位置に位置させる。そして、生産基板の機種切り替え等において、特定のスロット33にテープフィーダ22を装着させる必要が生じたことを検知した場合には、その特定のスロット33に対応するフィーダベース31上での位置を示すスロット番号をディスプレイ装置51に表示させるとともに、その特定のスロット33に対応する板部材80の位置を、阻止位置から許容位置に切り替える。
【0051】
特定のスロット33に対応する板部材80が阻止位置から許容位置に位置が切り替えられると、その特定のスロット33へのテープフィーダ22の挿入のみが許容された状態となる。このため作業者OPは、特定のスロット33以外のスロット33にはテープフィーダ22を装着できず、特定のスロット33にのみテープフィーダ22を挿入することが可能となる。
【0052】
このように本実施の形態2において、制御装置50は、複数の板部材80の位置の切り替えを個別に制御し、テープフィーダ22の装着が必要となった特定のスロット33のみをテープフィーダ22の挿入が可能な状態にする。この状態では、作業者OPは、テープフィーダ22が装着されるべき正しい位置のスロット33以外のスロット33にテープフィーダ22を装着することはできず、結果としてテープフィーダ22は誤りのない正しい位置のスロット33に装着される。
【0053】
制御装置50は、板部材80を阻止位置から許容位置に位置させると、その板部材80のランプLP(点灯した光)は外部から視認できる状態から視認できない状態となる。このため作業者OPは、スロット入口33KのランプLPが点灯しているスロット33ではなく、スロット入口33KのランプLPが点灯していないスロット33を探してそのスロット33にテープフィーダ22を挿入すればよく、これにより正しい位置のスロット33にテープフィーダ22を装着することができる。
【0054】
このように本実施の形態2において、複数のスロット33それぞれ(詳細には複数の板部材80それぞれ)に設けられた複数のランプLPは、複数の板部材80それぞれが阻止位置に位置した状態であるか許容位置に位置した状態であるかを点灯状態で示すものとなっている。このため作業者OPは、ランプLPの点灯状態(ランプLPが点灯する色)を頼りにスロット33にテープフィーダ22を挿入すればよく、この面からも正しい位置のスロット33にテープフィーダ22を装着することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態1,2における部品実装装置1は、複数のスロット33それぞれに対応して設けられ、スロット33にテープフィーダ22が挿入されるのを阻止する阻止位置と、スロット33にテープフィーダ22が挿入されるのを許容する許容位置との間で位置の切り替えが自在な複数の切替え部材(ブロック部材60または板部材80)を備えている。このため、これら複数の切替え部材の切り替え位置を制御装置50によって個別に制御することで、テープフィーダ22の装着が必要となったスロット33以外のスロット33へのテープフィーダ22の挿入を阻止することができ、作業者OPがフィーダベース31上の誤った位置(誤ったスロット33)にテープフィーダ22を装着してしまうミスを防止することができる。
【0056】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、部品BHを供給するパーツフィーダとしてテープフィーダ22を例示したが、パーツフィーダはテープフィーダ22に限られず、バルクフィーダやスティックフィーダ等であってもよい。また、複数のスロット33それぞれに対応して設けられる複数の切替え部材は、スロット33にパーツフィーダが挿入されるのを阻止する阻止位置と、スロット33にパーツフィーダが挿入されるのを許容する許容位置との間で位置の切り替えが自在なものであればよい。従って切替え部材は必ずしも上述したようなブロック部材60や板部材80に限定されず、種々の形態のものを採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
作業者がフィーダベース上の誤った位置にパーツフィーダを装着してしまうミスを防止できる部品実装装置および部品実装装置におけるパーツフィーダの挿入防止方法を提供する。
【符号の説明】
【0058】
1 部品実装装置
11 基台
14 ヘッド移動機構
15 装着ヘッド
21 フィーダ台車
22 テープフィーダ(パーツフィーダ)
31 フィーダベース
33 スロット
50 制御装置(切替え制御部)
60 ブロック部材(切替え部材)
80 板部材(切替え部材)
LP ランプ
BH 部品
KB 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8