IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-照明装置 図1
  • 特許-照明装置 図2
  • 特許-照明装置 図3
  • 特許-照明装置 図4
  • 特許-照明装置 図5
  • 特許-照明装置 図6
  • 特許-照明装置 図7
  • 特許-照明装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231006BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20231006BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231006BHJP
【FI】
F21S2/00 435
F21S2/00 443
G02F1/13357
F21Y115:10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019050882
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020155251
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 忠史
(72)【発明者】
【氏名】阿南 真一
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-245010(JP,A)
【文献】特開2008-300355(JP,A)
【文献】特開2017-041330(JP,A)
【文献】実開昭52-107588(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0215356(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G02F 1/1335
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面に光取り出し構造として複数の凹形状のプリズムが形成された導光体と、
前記導光体の端面から光を前記導光体に入射させる光源と、
前記第1主面の複数の前記プリズム間を含む部分から光学的な微小厚みの空気層を介して光学的に離れて配置された鏡面反射板とを備え、
前記第1主面において前記プリズムとは異なる部分と前記鏡面反射板との距離の最大値が前記プリズムの最も小さい開口幅の1/10以下であり、
前記第1主面において、複数の前記プリズムは、複数の有底の孔形状であり、前記第1主面において、前記プリズムの開口周縁部には、前記開口を囲むように隆起部が形成され、前記鏡面反射板の凹形状に前記隆起部の先端部がはまり込んで、前記導光体の前記第1主面側に前記鏡面反射板が固定される
照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から導光板(導光体)を用いて照明する照明装置において、導光板の第1主面に凹形状のプリズムを形成し、導光板の端面から光源によって光を導光板に入射させる構造が知られている。この構造では、導光板の第1主面と反対側の第2主面から制御光を出射する。
【0003】
特許文献1には、エッジライト型のバックライト装置(照明装置)が記載されている。バックライト装置は、光源からの光を導光する導光板(導光体)と、導光板からの光を反射する反射シートとを含む。導光板は、光源からの光が導入された場合に、その光を第2主面から出射する。導光板の第1主面には溝形状のプリズムが形成されており、第1主面に対向して反射シートが配置されている。特許文献1には、反射シートは、樹脂製のフィルム基材の表面に金属薄膜を蒸着させてなり光を鏡面反射させることができると記載されている。
【0004】
特許文献2には、反射型液晶表示装置の前面側に配置したフロントライトに用いられる中間導光体が記載されている。中間導光体は、端面から光源の光が入射された場合に、第2主面から光を出射する。中間導光体の第1主面には、くさび状の溝が互いに平行に形成されたプリズム面が形成される。中間導光体の第1主面には、全面にわたって高反射率の金属薄膜からなる反射膜が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2016/017492号
【文献】特開2004-151346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、導光体の第1主面に凹形状のプリズムを形成し、第1主面と反対側の第2主面から制御光を出射するだけの構造では、プリズムから出射される漏れ光が多くなる。この漏れ光はプリズムによって制御した光ではないので、漏れ光が出射される分、プリズムとは反対側から出射され制御光として利用できる光の割合が減少する。
【0007】
一方、特許文献1では、導光体のプリズムが形成された第1主面に対向して反射シートが配置されており、この反射シートにより導光体からの光を反射して第1主面とは反対側に光を反射させると記載されている。しかしながら、導光体の側面に単に反射シートを配置しただけでは、導光体と反射シートとの間に、光学的にかなり大きい隙間が形成される可能性がある。導光体と反射シートとの間の隙間が大き過ぎると、プリズムから出射された光が反射シートに反射されてもその光がプリズムに入らないことで第1主面とは反対側の第2主面から、制御されない漏れ光が出射される可能性がある。この場合には、第2主面から出射され制御光として利用可能な光を多くする面から改良の余地がある。
【0008】
また、特許文献2では、中間導光体のプリズム面である第1主面の全面に高反射率の金属薄膜からなる反射膜が形成されることで、第1主面とは反対側へ反射させる光量を増加させると記載されている。しかしながら、この場合には、第1主面に反射膜が光学的に密着された状態となる可能性がある。この場合には、導光体の内部を通って反射膜に光が向かう場合に、誘電体としての導光体と空気との界面での極めて高い反射率での全反射ではなく、導光体と金属膜との界面での反射となるので、損失が大きくなり、反射率が低くなる。このため、導光体の第1主面とは反対側の第2主面から出射され制御光として利用可能な光を多くする面から改良の余地がある。
【0009】
本開示の目的は、導光体の第1主面とは反対側の第2主面から出射され制御光として利用可能な光を多くできる照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る照明装置は、第1主面に光取り出し構造として凹形状のプリズムが形成された導光体と、導光体の端面から光を導光体に入射させる光源と、第1主面から光学的な微小厚みの空気層を介して光学的に離れて配置された鏡面反射板とを備え、第1主面においてプリズムとは異なる部分と鏡面反射板との距離の最大値がプリズムの最も小さい開口幅の1/10以下である。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る照明装置によれば、導光体の第1主面側に鏡面反射板が配置されない場合に、漏れ光となる光を、導光体の第1主面とは反対側の第2主面から出射される制御光として利用できる。また、導光体の第1主面に鏡面反射板が光学的に密着している場合に比べて導光体から出射される制御光として利用可能な光を多くできる。また、導光体の第1主面においてプリズムとは異なる部分と鏡面反射板との距離がプリズムの最も小さい開口幅の1/10を超える場合と異なり、漏れ光がほとんど生じない。これによっても、第2主面から出射され制御光として利用可能な光を多くできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は、実施形態の照明装置を示す図であり、(b)は導光板と鏡面反射板との隙間を誇張して示す(a)のA部拡大図である。
図2図1において導光板の内部で導光された光が鏡面反射板で反射され外側に出射される状態を示す図である。
図3】比較例の第1例の照明装置(第1比較例)において、導光板の内部で光が導光され外側に出射される状態を示す図である。
図4】比較例の第2例の照明装置(第2比較例)において、導光板の内部で導光された光が鏡面反射板で反射され外側に出射される状態を示す図である。
図5】実施例1~3及び比較例1~3を用いて、照明装置の配光曲線のシミュレーション結果を示す図である。
図6】実施形態の別例において、一部を省略して示している図1に対応する図である。
図7】実施形態の別例の照明装置の製造方法において、導光板の第1主面側に第1主面から所定距離、光学的に離れるように鏡面反射板を配置する工程を示す図である。
図8】実施形態の別例において、一部を省略して示している図1に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る照明装置の実施形態について詳細に説明する。実施形態の説明で参照する図面は模式的に記載されたものであるから、各構成要素の寸法比率などは以下の説明を参酌して判断されるべきである。以下の説明において、具体的な形状、材料、数量等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、照明装置の仕様に合わせて適宜変更することができる。また、以下で説明する複数の実施形態の各構成要素を選択的に組み合わせることは当初から想定されている。以下では、すべての図面において同様の要素には同一の符号を付して説明する。
【0014】
(照明装置の構造)
図1(a)は、実施形態の照明装置10を示す図であり、図1(b)は導光板12と鏡面反射板24との隙間を誇張して示す図1(a)のA部拡大図である。図2は、図1において導光板12の内部で導光された光が鏡面反射板24で反射され外側に出射される状態を示す図である。図1に示すように、照明装置10は、導光板12と、器具本体(図示せず)と、光源22と、鏡面反射板24とを含んで構成される。導光板12は、6つの面を有し、所定厚みを有する矩形の薄板状の部材である。導光板12は、導光体に相当する。導光板12は、内部に入射された光を導光させて出射する。導光板12は、例えばポリカーボネート、アクリル等の透光性を有する樹脂材料により形成される。導光板12の6つの面は、入射端面13と、入射端面13に対し略垂直な2つの面であり、厚み方向(図1の左右方向)における両側面の第1主面14及び第2主面15とを有する。第2主面15は、第1主面14の反対側に配置される。照明装置10は、例えば入射端面13を上にして天井に取り付けられる照明用として利用したり、入射端面13を下にして床面に設置される照明用として利用できる。また、照明装置10は、液晶表示装置用バックライトやフロントライトに用いることもできる。
【0015】
入射端面13は、光源22からの光が入射する平面である。第1主面14には、光取り出し構造として、複数の凹形状のプリズム17が形成される。後述するように第1主面14の側には、鏡面反射板24が配置される。第2主面15は、制御光としての光が出射される光出射面である。入射端面13と反対側の出射端面16からも、光が出射される。出射端面16は、第1主面14に対し傾斜した平面としてもよい。なお、出射端面16は、カバーで塞ぐ等により光が出射されない反入射側の平面としてもよい。
【0016】
器具本体は、導光板12の入射端面13側端部を内側に差し込んだ状態で導光板12を固定するとともに、内部に光源22及び電源回路(図示せず)が取り付けられるケース状の部材である。
【0017】
光源22は、導光板12の入射端面13の近傍に対向するように器具本体に固定される。光源22は、例えば、基板と、基板において入射端面13と対向する面の、長手方向(図1の紙面の表裏方向)の複数位置に取り付けられた複数のLED素子とを有する。
【0018】
複数のLED素子は、入射端面13から光を導光板12の内部に入射させる。LED素子は、例えばSMD(Surface Mount Device)型である。SMD型のLED素子とは、樹脂成形されたキャビティの中にLEDチップ(発光素子)が実装され、そのキャビティ内に蛍光体含有樹脂が封入されたパッケージ型のLED素子である。LED素子は、電源部に、半導体スイッチ等のスイッチ部(図示せず)を介して接続され、そのスイッチ部のオンオフ状態が制御部(図示せず)により制御される。これにより、LED素子は、点灯及び消灯の切換が行われる。なお、LED素子は、制御部により制御されて調光調色が行われてもよい。
【0019】
光源22は、このような構成に限定されるものではなく、基板上にLEDチップが直接的に実装されたCOB(Chip On Board)型の発光モジュールが用いられてもよい。また、光源は、LED素子に限定されるものではなく、例えば、半導体レーザ等の半導体発光素子、または、有機EL(Electro Luminescence)や無機EL等のEL素子等としてもよい。
【0020】
(プリズムの構成)
複数のプリズム17は、第1主面14の面方向に沿い互いに直交する第1方向(図1図2の上下方向)及び第2方向(図1図2の紙面の表裏方向)に分散して配置される。図1図2では第1方向をXで示し、第2方向をYで示し、X,Yに直交する厚み方向をZで示している。プリズム17は、例えば導光板12の内部に窪むように形成された断面円形の円錐面の凹部である。複数のプリズム17は、形状及び大きさが略同じである。各プリズム17は、断面楕円形の楕円錐面の凹部、四角錐状の凹部等としてもよい。
【0021】
(鏡面反射板の構成)
鏡面反射板24は、導光板の第1主面14に対向して配置される薄板部材である。鏡面反射板24の少なくとも第1主面14側の側面24aは、凹凸がない滑らかな面である鏡面である。例えば、鏡面反射板24は、金属薄膜等の金属板を含んで形成される。例えば鏡面反射板24は、アルミニウム箔であり、第1主面14側の側面24aは、アルミニウム箔の圧延時に圧延ローラが押し付けられて平滑化されて鏡面となる。鏡面反射板24は、樹脂製のフィルム基材の表面に金属薄膜を蒸着させてなり、第1主面14側の側面24aを鏡面としてもよい。鏡面反射板24は、厚みが大きい金属板としてもよい。
【0022】
鏡面反射板24は、第1主面14のプリズム17とは異なる部分の一部である複数位置に配置された粘着層18に接着されることで、導光板12の第1主面14側に固定される。この状態で、鏡面反射板24は、第1主面14のプリズム17とは異なる部分から、光学的な微小厚みの空気層19(図1(b))を介して光学的に離れて配置される。粘着層18は、固定手段に相当する。空気層19の厚みは、例えば、数μmから数10μmのオーダである。空気層19は、光学的な微小厚みを有する面からは、数nmのオーダより大きい厚みが必要である。これにより、第1主面14には鏡面反射板24が光学的に密着されていないことが必要である。
【0023】
さらに、第1主面14においてプリズム17とは異なる部分と鏡面反射板24との距離d1(図1(b))の最大値は、プリズム17の最も小さい開口幅W(図1(b))の1/10以下である。例えばプリズム17が円錐面または楕円錐面の凹部である場合に、プリズム17の最も小さい開口幅Wは、プリズム17の開口の内径または短径である。また、プリズム17が四角錐状の凹部である場合に、プリズム17の最も小さい開口幅Wは、プリズム17の開口の対向する2辺の最小間隔である。本例の場合には、導光板12の第1主面14側に鏡面反射板24が粘着層18で固定される。この状態で、第1主面14と鏡面反射板24との距離dの最大値がプリズム17の最も小さい開口幅の1/10以下であるように、鏡面反射板24が第1主面14から光学的に離れて配置される。
【0024】
このように鏡面反射板24が導光板12の第1主面14側に配置されることで、図2に示すように、導光板12の内部に入射された光が、鏡面反射板24で反射されて、第2主面15及び第1主面14において全反射で折り返した後等で、第2主面15から制御光として出射される。
【0025】
具体的には、導光板12の内部において全反射で反射されながら導光された光は、図2の矢印A1のようにプリズム17の入射端面13側の面を透過し、矢印A2のように鏡面反射板24で反射される場合がある。このとき、この光は、プリズム17の入射端面13とは反対側の面から導光板12に再入射される。このようにプリズム17を通って鏡面反射板24で反射される光の反射前の方向(矢印A1方向)と反射後の方向(矢印A2方向)とは、第1主面14と鏡面反射板24との距離が近いことで、反射点を通るYZ平面に対しほぼ対称になりやすい。このため、鏡面反射板24で反射された光は、出射面である第2主面15で全反射して、入射端面13から遠い側へ送られやすい。そして、第2主面15で反射した光は、矢印A3、A4のように、第1主面14でプリズム17とは異なる位置から反射された結果、第2主面15から制御光として出射される。なお、後述の比較例を示す図3の矢印B1で示す場合のように、図2の矢印A1のようにプリズム17の入射端面13側の面を光が透過するときに、一部の光をこの面で反射させ、第2主面15から制御光として出射させることもできる。
【0026】
(照明装置の効果)
上記の照明装置10によれば、導光体のプリズムが形成された第1主面側に鏡面反射板が配置されない場合に、漏れ光となる光を、導光板12の第1主面14とは反対側の第2主面15から出射される制御光として利用できる。また、導光体の第1主面に鏡面反射板が光学的に密着している場合に比べて導光板12の第2主面15から出射される制御光として利用可能な光を多くできる。また、導光体の第1主面においてプリズムとは異なる部分と鏡面反射板との距離がプリズムの最も小さい開口幅の1/10を超える場合と異なり、漏れ光がほとんど生じない。これによっても、第2主面15から出射され制御光として利用可能な光を多くできる。
【0027】
また、図1の実施形態のように固定手段として粘着層18を用いることにより、プリズム17の大きさにより、第1主面14のプリズム17とは異なる部分と鏡面反射板24との距離の最大値が、プリズム17の最も小さい開口幅の1/10以下となる構造を実現できる。
【0028】
(比較例の第1例)
図3は、比較例の第1例の照明装置(第1比較例)において、導光板12の内部で光が導光され外側に出射される状態を示す図である。図3の比較例の場合には、導光板12のプリズム17が形成される第1主面14の側には鏡面反射板24(図1図2)が配置されない。この場合には、導光板12の内部で全反射されながら導光され、プリズム17の入射端面13側の面に達した光は、図3の矢印B1のように一部がプリズム17の入射端面13側の面で反射され、第2主面15から制御光として出射される。一方、プリズム17の入射端面13側の面に達した残りの光は、図3の矢印B2のように、漏れ光である抜け光として、この面を透過して出射されてしまう。例えば、プリズム17の入射端面13側の面に達した光の50%が制御光として第2主面15から出射され、残りの50%が抜け光として第1主面14側から出射される。これにより、導光板12の第2主面15から出射され制御光として利用可能な光が少なくなる。
【0029】
(比較例の第2例)
図4は、比較例の第2例の照明装置(第2比較例)において、導光板12の内部で導光された光が鏡面反射板24で反射され外側に出射される状態を示す図である。図4の比較例の場合には、導光板12のプリズム17が形成される第1主面14の側に、鏡面反射板24が配置される。一方、第1主面14と鏡面反射板24との距離d2は、プリズム17の最も小さい開口幅Wの1/10を超えている。この場合には、導光板12の内部で反射されながら導光され、プリズム17の入射端面13側の面に達した光が図4の矢印C1のように、この面を透過して鏡面反射板24で反射される。このとき、第1主面14と鏡面反射板24との距離d2が大きいので、プリズム17を透過し鏡面反射板24で反射した光は、第1主面14のプリズム17とは異なる位置から導光板12に再入射されやすい。このようにプリズム17とは異なる位置から導光板12に再入射された光は、矢印C1の光と非対称な方向(矢印C2方向)に向かって、第2主面15から制御されない漏れ光として出射される。この場合には、導光板12の第2主面15から出射され制御光として利用可能な光を多くする面から改良の余地がある。
【0030】
(配光曲線のシミュレーション結果)
図5は、実施例1~3及び比較例1~3を用いて、照明装置の配光曲線のシミュレーション結果を示す図である。図5では、(b)(c)(d)により実施例1,2,3を示し、(a)(e)(f)により比較例1,2,3を示している。図5のそれぞれの配光曲線において、上側が、第1主面14側であり、下側が第2主面15側である。それぞれの配光曲線では、左側の光源22から右側の導光板12に光が入射される。図5に示す各例では、プリズム17が円錐凹面であり、その開口の内径が500μmである。
【0031】
図5(a)に示す比較例1は、導光板12の第1主面14側に鏡面反射板が配置されない。比較例1は、図3の第1比較例に相当する。この場合には、図5(a)の配光曲線から、第1主面14側から漏れ光が出射されることが分かる。これにより、導光板12の第2主面15から出射され制御光として利用できる光が少なくなってしまう。
【0032】
図5(e)に示す比較例2は、導光板12の第1主面14から100μmの距離(反射板との隙間が100μm)離れた位置に鏡面反射板24が配置される。図5(f)に示す比較例3は、導光板12の第1主面14から200μmの距離(反射板との隙間が200μm)離れた位置に鏡面反射板24が配置される。比較例2,3では、第1主面14と鏡面反射板24との距離がプリズム17の内径の1/10を超えている。比較例2,3は、図4の第2比較例に相当する。
【0033】
このような比較例2,3(図5(e)(f))の場合には、図5(e)(f)の配光曲線から、第2主面15側から漏れ光が大きく出射されることが分かる。この場合も、図5(a)の比較例1と同様に、導光板12の第2主面15から出射される制御光として利用できる光が少なくなる。
【0034】
一方、図5(b)に示す実施例1は、導光板12の第1主面14から1μmの距離(反射板との隙間が1μm)離れた位置に鏡面反射板24が配置される。図5(c)に示す実施例2は、導光板12の第1主面14から10μmの距離(反射板との隙間が10μm)離れた位置に鏡面反射板24が配置される。図5(d)に示す実施例3は、導光板12の第1主面14から50μmの距離(反射板との隙間が50μm)離れた位置に鏡面反射板24が配置される。これにより、実施例1~3では、第1主面14と鏡面反射板24との距離がプリズム17の最も小さい開口幅である内径の1/10以下となる。実施例1~3は、図1図2の実施形態に相当する。
【0035】
このような実施例1~3の場合には、第1主面14からほとんど制御光のみが出射され、漏れ光がほとんど発生しなかった。これにより、実施形態により、導光板12の第2主面15から出射され制御光として利用可能な光を多くできることを確認できた。
【0036】
(別例の構成)
図6は、実施形態の別例において、一部を省略して示している図1に対応する図である。本例の場合には、第1主面14の一部である複数位置に形成された突起12aが、鏡面反射板24に形成された複数の穴26を貫通した状態で、穴26から突出した部分が、直径が大きくなるように熱かしめ等によってかしめられることで、突起12aの先端部にかしめ部12bが形成される。上記の突起12aの先端部が広がることにより穴26の開口周縁部に押し付けられて、導光板12に鏡面反射板24が固定される。このとき、かしめ部12bが、鏡面反射板24の外側面に接触して、鏡面反射板24を第1主面14に押し付けてもよい。突起12aは、導光板12に鏡面反射板24を固定する固定手段を形成する。この状態で、鏡面反射板24は、第1主面14のプリズム17及び突起12aとは異なる部分から、光学的な微小空気層を介して離れて配置される。
【0037】
本例の場合には、第1主面14と鏡面反射板24との距離の最大値がプリズム17の最も小さい開口幅Wの1/10以下であるように、第1主面14のプリズム17及び突起12aとは異なる部分から、鏡面反射板24が光学的に離れて配置される。本例において、その他の構成及び作用は、図1図2の構成と同様である。
【0038】
図7は、実施形態の別例の照明装置の製造方法において、導光板12の第1主面14側に第1主面14から所定距離、光学的に離れるように鏡面反射板24を配置する工程を示す図である。本例の場合には、鏡面反射板24として、金属薄膜、例えばアルミホイルのようなアルミニウム箔が用いられる。また、第1主面14には、レーザ加工によって複数のプリズム17が形成される。このとき、図7(a)に示すように、第1主面14においてプリズム17の開口周縁部には、加工時の熱によって円形状の隆起部14aが形成されやすい。この場合、図7(a)に示すように、第1主面14に単に接触するように鏡面反射板24を配置しただけでは、隆起部14aの影響で、第1主面14と鏡面反射板24との距離を全面にわたって、所定の距離である、プリズム17の最も小さい開口幅の1/10以下に規制することが難しい。また、導光板12の反りや凹凸によっても、第1主面14と鏡面反射板24との距離を全面にわたって所定の距離以下に規制することが難しい。このために、図7の別例の構成では、図7(b)に示すように、柔軟性を持つ材料としての、ゴム、樹脂等から形成されるローラ28によって鏡面反射板24を第1主面14にほぼ沿うように第1主面14に押し付ける。このとき、鏡面反射板24は、プリズム17の内側底部には押し込まない。これにより、鏡面反射板24の凹凸形状に隆起部14aの先端部がはまり込んで、導光板12の第1主面14側に鏡面反射板24が固定される。このような工程によって、第1主面14と鏡面反射板24との距離を全面にわたって所定の距離である、プリズム17の最も小さい開口幅の1/10以下に規制しやすくなる。本例において、その他の構成及び作用は、図1図2の構成と同様である。
【0039】
図8は、実施形態の別例において、一部を省略して示している図1に対応する図である。本例の場合には、導光板12の第1主面14側に、締結手段30で、金属板等から形成された平板状の押圧部材31が固定される。締結手段30は、導光板12の貫通穴を貫通したボルト33のネジ部を、押圧部材31のネジ孔34に結合し、締め付けることによって形成される。そして、導光板12と押圧部材31とで、鏡面反射板24とブロック状の柔軟性を有する柔軟性部材32とが挟まれる。柔軟性部材32は、例えばゴム、発泡ウレタン樹脂等により形成される。これにより、鏡面反射板24は、押圧部材31から、柔軟性部材32を介して、第1主面14に押圧される。このため、導光板12の第1主面14に鏡面反射板24を全面的に、ほぼ均等に押し付けることができる。この状態で、第1主面14と鏡面反射板24との距離の最大値が、プリズム17の最も小さい開口幅の1/10以下であるように、鏡面反射板24が第1主面14から光学的に離れて配置される。本例において、その他の構成及び作用は、図1図2の構成と同様である。
【0040】
なお、本開示の照明装置は、導光体を矩形の薄板状の部材である導光板とする構成に限定するものではない。例えば、導光板を円板状として、内周面の入射端面から光源の光を入射して下面から制御光を出射する天井取付型の照明装置を構成することもできる。また、導光体は、柱状またはブロック状とすることもできる。
【符号の説明】
【0041】
10 照明装置、12 導光板、12a 突起、12b かしめ部、13 入射端面、14 第1主面、14a 隆起部、15 第2主面、16 出射端面、17 プリズム、18 粘着層、19 空気層、22 光源、24 鏡面反射板、26 穴、28 ローラ、30 締結手段、31 押圧部材、32 柔軟性部材、33 ボルト、34 ネジ孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8