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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20231006BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20231006BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20231006BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20231006BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231006BHJP
【FI】
F21S8/02 410
F21V5/00 320
F21V3/00 320
F21V5/04 650
F21V5/00 510
F21Y115:10 500
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019046794
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2020149872
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 征史
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-010657(JP,A)
【文献】特開2016-225311(JP,A)
【文献】特開2018-139201(JP,A)
【文献】特開2016-219378(JP,A)
【文献】特開2017-157490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/02
F21V 5/00
F21V 3/00
F21V 5/04
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
少なくとも軸方向一端が開口した筒状に形成され、前記光源を収容する器具本体と、
軸方向両端が開口した筒状に形成され、前記器具本体に固定される枠体と、
前記枠体に固定され、前記枠体の開口を覆う透光性パネルと、
を備え、
前記透光性パネルは、
前記光源の光を透過するパネル本体と、前記パネル本体の周縁に立設して前記枠体の筒内に延び、前記枠体に固定される壁部とを含み、
前記壁部は、前記パネル本体よりも前記光源の光に対する反射率が高い材料で構成されているか、または前記壁部は、前記パネル本体よりも前記光源の光に対する反射率が高い反射層を有する、照明器具。
【請求項2】
前記パネル本体および前記壁部は、一体成形されている、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記パネル本体は、前記光源側に膨らんだ形状を有する、請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記パネル本体の前記光源側を向いた面には、前記光源の光を広げる光拡散用の凹凸が形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記器具本体には、前記光源の光を広げるレンズが設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関し、より詳しくは透光性パネルを備えた天井埋め込み型の照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源を収容する筒状の器具本体と、器具本体に固定され内面が反射面として機能する筒状の反射部材とを備え、器具の大部分が天井に形成された埋め込み孔に挿入された状態で天井に取り付けられる照明器具が広く知られている。このような照明器具は、一般的にダウンライトと呼ばれる。また、光が出射する装置の開口部分を覆うように配置され、器具の内側に凹んだ透光性パネルを備える天井埋め込み型の照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-213052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、透光性パネルを備える照明器具において、器具を真下から見上げたときに眩しさを感じ難くするため、最大輝度を低く抑えることが求められている。一方で、器具から出射される光量を増やして光の取り出し効率を高めることも求められている。本開示の目的は、最大輝度の上昇を抑えつつ、器具から出射される光量を増やすことが可能な照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様である照明器具は、光源と、少なくとも軸方向一端が開口した筒状に形成され、前記光源を収容する器具本体と、軸方向両端が開口した筒状に形成され、前記器具本体に固定される枠体と、前記枠体に固定され、前記枠体の開口を覆う透光性パネルとを備える。前記透光性パネルは、前記光源の光を透過するパネル本体と、前記パネル本体の周縁に立設して前記枠体の筒内に延び、前記枠体に固定される壁部とを含み、前記壁部は前記パネル本体よりも前記光源の光に対する反射率が高い。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様である照明器具によれば、最大輝度の上昇を抑えつつ、器具から出射される光量を増やすことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の一例である照明器具の斜視図である。
図2】実施形態の一例である照明器具の分解斜視図である。
図3図1中のAA線断面図である。
図4】実施形態の一例である透光性パネルの斜視図である。
図5図3中のB部拡大図である。
図6】実施形態の他の一例である透光性パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る照明器具の実施形態の一例について詳細に説明する。図1は実施形態の一例である照明器具10の斜視図、図2は照明器具10の分解斜視図である。図3は、図1中のAA線断面図である。
【0009】
図1図3に例示するように、照明器具10は、光源を含む発光モジュール11と、軸方向一端が開口した筒状に形成され、発光モジュール11を収容する器具本体20と、軸方向両端が開口した筒状に形成され、器具本体20に固定される枠体30とを備える。さらに、照明器具10は、枠体30に固定されて枠体30の開口を覆う透光性パネル40を備える。本実施形態では、器具本体20の筒内に第1反射部材26が配置され、枠体30が第2反射部材50を介して器具本体20に固定されている。
【0010】
照明器具10は、透光性パネル40で覆われた枠体30の開口Pを鉛直下方に向けた状態で天井の埋め込み孔に挿入される天井埋め込み型の照明器具である。照明器具10は、一般的にダウンライトと呼ばれる。本明細書では、説明の便宜上、照明器具10を天井に取り付けた状態で、照明器具10の鉛直上方側を「上」、鉛直下方側を「下」とする。
【0011】
照明器具10は、例えば水平な天井に取り付けられるが、水平方向および鉛直方向に対して傾斜した天井に取り付けることも可能である。照明器具10が取り付けられる天井は、建築空間の上方を区画する部位であればよく、例えば玄関ポーチ、テラスなどの天井であってもよい。なお、本開示に係る照明器具は、ダクトレール等に取り付けられてもよく、天井埋め込み以外の形態で天井などに取り付けられてもよい。
【0012】
照明器具10には、一般的に、器具を天井に固定するための複数の取付バネ(図示せず)が固定される。照明器具10は、取付バネが天井裏空間において天井の埋め込み孔の周囲に当接することで天井に固定される。本実施形態では、枠体30のベース部31の3箇所に取付バネの固定部33が形成されている。
【0013】
照明器具10は、上から順に、器具本体20、第2反射部材50、透光性パネル40、および枠体30が配置された構造を有する。光源の光は、器具本体20および第2反射部材50の内部を通り、透光性パネル40を透過して枠体30の一方の開口Pから装置外に出射される。照明器具10の最大輝度を低減するため、透光性パネル40は光源の光を拡散透過させることが好ましい。
【0014】
器具本体20は、軸方向一端(下端)が開口した筒状部を有する。器具本体20の筒状部は、略円筒状に形成された側壁部21と、側壁部21の軸方向他端(上端)に形成された天面部22とを含み、有底略円筒状を呈する。また、器具本体20は、天面部22に立設する放熱フィン23を有する。図1に示す例では、放射状に複数の放熱フィン23が形成されている。器具本体20は、一般的にアルミニウム、または鉄を主成分とする金属で構成される。なお、器具本体20の形状は図1等に例示する形状に限定されず、例えば筒状部の軸方向に垂直な断面が矩形形状であってもよく、放熱フィンを有さない形状であってもよい。
【0015】
器具本体20の筒内には、光源を含む発光モジュール11が配置されている。また、器具本体20の筒内には、発光モジュール11を保持するホルダ25、発光モジュール11から出射される光(光源の光)を反射させる第1反射部材26、およびレンズ27が設けられていてもよい。本実施形態では、レンズ27が第1反射部材26に、第1反射部材26がホルダ25にそれぞれ固定されている。ホルダ25は、例えば天面部22の内面にネジ止めされている。
【0016】
発光モジュール11は、例えば光源と、光源が実装される基板とを有する。光源を構成する発光素子は特に限定されないが、好ましくはLED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子である。発光素子は、蛍光体を含む封止層で封止されてもよい。発光モジュール11は、光源の熱を拡散させる放熱板を有していてもよい。発光モジュール11は、例えばホルダ25によって基板または放熱板が天面部22の内面に接触した状態で配置される。
【0017】
第1反射部材26は、軸方向両端が開口した筒状体であって、発光モジュール11側の上端よりも透光性パネル40側の下端で直径が大きくなっている。第1反射部材26は、下端に向かって拡径した末広がりの形状を有する。光源の光は、第1反射部材26の筒内を通って透光性パネル40の方向に進む。第1反射部材26の内周面は、光源の光を反射させる反射面として機能する。第1反射部材26は、例えば樹脂製部材であって、その内周面には、白色顔料等のフィラーを含有する塗膜、蒸着、メッキ、スパッタリング等により成膜される金属層、無機化合物層などの光の反射率を高める被膜が形成されていてもよい。
【0018】
レンズ27は、光源の光を制御する光学部材であって、例えば略真円形状の光出射面を有する。図3に示す例では、光源側に向いたレンズ27の光入射面の周縁部に、凸部(フレネル)が環状に形成されている。また、レンズ27は第1反射部材26の筒内に挿入された状態で、第1反射部材26に固定されている。第1反射部材26には爪部が、レンズ27には当該爪部が嵌合する凹部または孔がそれぞれ形成されていてもよい。レンズ27は、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート等の透明性の高い樹脂、またはガラスで構成される。
【0019】
レンズ27は、光源の光を広げる機能を有することが好ましい。レンズ27を用いて光を器具本体20の径方向外側に広げることで、照明器具10の直下に出射される光量を減少させて最大輝度を低減できる。光源の光は、レンズ27に直接、または第1反射部材26の内周面で反射してレンズ27に入射し、器具本体20の径方向外側に広がってレンズ27から出射される。上記凸部により光を反射させることで第1反射部材26に当たる光を減らし、また第2反射部材50に当たる光が多くなり過ぎない角度で光を発散させることにより、最大輝度を低減しつつ、照明器具10から出射される光量を増やすことができる。
【0020】
レンズ27は、例えば光入射面の中央部が窪んだ形状を有する。レンズ27の光入射面、或いは光出射面を凹形状とすることで、光源の光を広げることができ、最大輝度の低減を図ることができる。なお、光源の光を広げることが可能であれば、レンズ27の形状は図3に例示するものに限定されない。レンズ27には、例えばフレネルレンズなど、従来公知のレンズを適用できる。
【0021】
器具本体20の側壁部21には、発光モジュール11に電力を供給するケーブル(図示せず)を通すためのケーブル挿通孔24が形成されている。照明器具10は、一般的に、発光モジュール11に電力を供給する電源ユニット(図示せず)を備える。電源ユニットにつながるケーブルは、ケーブル挿通孔24から器具本体20内に引き込まれ、発光モジュール11に接続される。
【0022】
第2反射部材50は、軸方向両端が開口した筒状体であって、器具本体20の下端に固定される。本実施形態では、リング状のジョイント28およびネジ29を用いて、器具本体20と第2反射部材50が連結されている。第2反射部材50の上部には、複数のボス部52が設けられ、器具本体20およびジョイント28には、ボス部52と重なる位置にネジ29を通す貫通孔が形成されている。ジョイント28は第2反射部材50の上端部に嵌め付けられ、器具本体20と第2反射部材50はジョイント28を介してネジ止めされる。
【0023】
第2反射部材50は、器具本体20側の上端よりも枠体30側の下端で直径が大きく、下端に向かって拡径した末広がりの形状を有する。第2反射部材50の上端の直径は器具本体20の下端の直径と略同じであり、第2反射部材50の下端の直径は枠体30の上端の直径と略同じである。即ち、枠体30の直径は器具本体20の直径よりも大きい。また、第2反射部材50の下端部には、径方向外側に突出した鍔部51が形成されている。本実施形態では、鍔部51およびネジ53を用いて、枠体30と第2反射部材50が連結されている。
【0024】
第2反射部材50は、例えば金属製部材であって、その内周面には、白色顔料等のフィラーを含有する塗膜、蒸着、メッキ、スパッタリング等により成膜される金属層、無機化合物層などの光の反射率を高める被膜が形成されていてもよい。或いは、第2反射部材50の内周面は鏡面仕上げされていてもよい。第2反射部材50の内周面は、光源の光を反射させる反射面として機能する。レンズ27から出射された光は、第2反射部材50の筒内を通って透光性パネル40に直接、または第2反射部材50の内周面で反射して透光性パネル40に入射する。
【0025】
枠体30は、上述のように、軸方向両端が開口した筒状体であって、第2反射部材50を介して器具本体20に固定されている。枠体30は照明器具10の下端部に配置され、光源の光は枠体30の開口Pから装置外に出射される。枠体30は、略円筒状のベース部31と、ベース部31の下端部から径方向外側に張り出したフランジ部32とを有する。ベース部31には、複数のボス部(図示せず)が形成されており、ベース部31の上端面に配置される第2反射部材50の鍔部51がネジ止めされる。フランジ部32は、開口Pを囲むようにリング状に形成され、照明器具10の上部が埋め込み孔から天井裏空間に挿入された状態で埋め込み孔の周縁の天井面に沿って配置される。
【0026】
透光性パネル40は、枠体30に固定され、枠体30の開口Pの全体を覆う。透光性パネル40が開口Pの全体を覆っているので、光源の光は必ず透光性パネル40を透過して装置外に出射される。透光性パネル40は、例えば光を拡散して透過させる機能を有する。透光性パネル40は、略平坦なパネルであってもよいが、光拡散性等の観点から、照明器具10を下から見たときに、照明器具10の内側に、即ち光源側に凹んだ形状を有することが好ましい。
【0027】
本実施形態では、透光性パネル40が照明器具10の内側に大きく凹んでおり、透光性パネル40の上端は枠体30の上端を超えて第2反射部材50の筒内に位置している。また、第1反射部材26およびレンズ27の下端も、側壁部21の下端を超えて第2反射部材50の筒内に位置している。透光性パネル40と第2反射部材50の間、および透光性パネル40とレンズ27の間には、所定の空間が存在する。
【0028】
以下、図4および図5をさらに参照しながら、特に、透光性パネル40および枠体30に対する透光性パネル40の取り付け構造について詳説する。図4は実施形態の一例である透光性パネル40の斜視図、図5図3中のB部拡大図である。
【0029】
図3図5に例示するように、透光性パネル40は、光源の光を透過するパネル本体41と、パネル本体41の周縁に立設して枠体30の筒内に延び、枠体30に固定される壁部42とを有する。詳しくは後述するが、壁部42は、パネル本体41よりも光源の光に対する反射率が高くなるように構成されている。パネル本体41は平坦であってもよいが、好ましくは光源側に膨らんだ形状を有する。なお、照明器具10を下から見た場合、パネル本体41は光源側に凹んでいるといえる(特に図2参照)。
【0030】
透光性パネル40は、枠体30の筒内に挿入された状態で枠体30に固定されている。枠体30の開口Pおよび透光性パネル40は、照明器具10の底面視(下から見た場合)において真円形状を有する。透光性パネル40は、開口Pに隙間なく嵌り、開口Pの全体を覆っている。透光性パネル40は、ガラス製であってもよいが、成形性、軽量性等の観点から、樹脂製であることが好ましい。
【0031】
パネル本体41は、光源側に凸となるように全体が膨らみ、ドーム状に形成されている。パネル本体41は、第2反射部材50の内周面およびレンズ27の光出射面に接触しない範囲で、枠体30の上端を超えて第2反射部材50の筒内に膨出している。パネル本体41は、例えば大部分または全体が上方に凸となるように湾曲している。パネル本体41は、最も膨らんだ部分である頂部が照明器具10の中心軸αと一致するように配置されることが好ましい。また、本実施形態では、中心軸α上に発光モジュール11が配置され、中心軸αと、器具本体20、第2反射部材50、および枠体30の各中心軸が略一致した状態で各部材が配置されている。
【0032】
パネル本体41は、光の透過率が高い樹脂で構成されることが好ましい。パネル本体41を構成する樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエステル、シリコーン樹脂などが挙げられる。パネル本体41は、例えば光源の光を拡散透過する乳白色のパネルである。パネル本体41を構成する樹脂中には、樹脂粒子等の光拡散フィラーが分散していてもよい。
【0033】
壁部42は、枠体30に対する固定に利用される部分であって、パネル本体41が凸となる方向と同じ方向に延びている。壁部42は、パネル本体41の周縁の一部のみに形成されてもよいが、光の取り出し効率向上、光漏れ防止等の観点から、パネル本体41を囲むようにパネル本体41の周方向全長にわたって円筒状に形成されることが好ましい。図3に示す例では、壁部42が枠体30のベース部31の内周面と接するように配置され、当該内周面の全体を覆っている。
【0034】
本実施形態では、枠体30のベース部31が、内壁34、外壁35、およびそれらの間に形成された溝36を含む。図3に例示するように、ベース部31の内周面を形成する内壁34の少なくとも一部は、外周面を形成する外壁35よりも低い高さで形成される。ベース部31には、外壁35を3箇所で分断して形成された、取付バネの固定部33が存在する。内壁34は、枠体30の周方向全長にわたって形成される。また、内壁34と外壁35の間には、枠体30と第2反射部材50を連結するためのネジ53が締結されるボス部が形成されていてもよい。
【0035】
壁部42の上端部には、円筒状に形成された壁部42の径方向外側に向かって、即ちパネル本体41と反対方向に突出した爪部43が形成されている。図4に示す例では、壁部42の周方向に等間隔で複数の爪部43が形成されている。本実施形態では、爪部43がベース部31の上端、より詳しくは内壁34の外壁35よりも高さが低くなった部分に引っ掛かることで、透光性パネル40が枠体30に固定される。壁部42は、例えば内壁34の高さよりも高く、周方向に一定の高さで形成される。
【0036】
透光性パネル40は、壁部42が内壁34の内周面に当接し、爪部43が内壁34の上端に引っ掛かった状態で枠体30に固定される。透光性パネル40は、枠体30の下端から下方にとび出ないように枠体30および第2反射部材50の筒内に配置される。本実施形態では、係止リング37が内壁34、および爪部43が形成された壁部42を挟むように、内壁34の上部と壁部42の上部に跨って取り付けられている。係止リング37を用いることで、透光性パネル40を枠体30にしっかり固定できる。
【0037】
係止リング37は、内爪38と外爪39を有し、内爪38が壁部42の光源側に向いた面に引っ掛かるように、外爪39がベース部31の溝36に挿し込まれるように取り付けられる。係止リング37は、内爪38および外爪39が形成された部分において断面略U字形状を有する。また、係止リング37は、外壁35と略同じ高さに配置され、外壁35および係止リング37の上に第2反射部材50の鍔部51が配置される。鍔部51がベース部31にネジ止めされることで、係止リング37および爪部43が上から押え付けられ、透光性パネル40の固定状態が安定化する。
【0038】
壁部42の光源の光に対する反射率(以下、単に「反射率」という場合がある)は、上述のように、少なくともパネル本体41の反射率よりも高く、ベース部31の内周面の反射率より高くてもよい。壁部42の反射率を高くすることで、図5に示すように、壁部42に当たった光をパネル本体41の方向に効率良く反射させることが可能になり、照明器具10から出射される光量を増やすことができる。換言すると、壁部42は、パネル本体41よりも光源の光に対する透過率が低くなるように構成されることが好ましい。壁部42は、パネル本体41よりも高い全光線反射率を有する。また、壁部42は、パネル本体41よりも低い全光線透過率を有する。
【0039】
壁部42の全光線反射率は高いことが好ましく、例えば80%~95%である。壁部42は、光源の光を透過しなくてもよく、全光線透過率は0%であってもよい。パネル本体41の全光線透過率は高いことが好ましく、例えば50%~80%である。ここで、透光性パネル40の全光線透過率および全光線反射率は、JIS K7375(プラスチック-全光線透過率および全光線反射率の求め方)に基づいて測定される。
【0040】
壁部42は、一部分の反射率のみがパネル本体41の反射率より高くてもよい。壁部42は、例えば光源側に向いた面(以下、「第1面」とする)に、光源の光の反射率を高める反射層を有していてもよい。反射層の例としては、第1反射部材26の場合と同様に、白色顔料等のフィラーを含有する塗膜、蒸着、メッキ、スパッタリング等により成膜される金属層、無機化合物層などの被膜が挙げられる。壁部42は、少なくとも第1面の反射率が、パネル本体41の第1面の反射率よりも高いことが好ましい。
【0041】
本実施形態では、パネル本体41および壁部42が一体成形され、壁部42が透光性パネル40よりも光源の光に対する反射率が高い材料で構成されている。つまり、壁部42の第1面を含む全体が、パネル本体41よりも反射率が高くなるように構成されている。この場合、透光性パネル40は、反射率が異なる2種類の樹脂を用いた2色成形により製造できる。例えば、パネル本体41を構成する樹脂の反射率<壁部42を構成する樹脂の反射率となる2種類の樹脂を用いた射出成形により透光性パネル40を製造できる。
【0042】
パネル本体41と壁部42の各々を構成する樹脂には、アクリル樹脂とシリコーン樹脂のように種類の異なる樹脂が用いられてもよく、同種のアクリル樹脂において反射率が異なるものとなるように組成変更されてもよい。また、同じ樹脂を用いて、添加剤の有無、添加剤の種類、量などを変更することで、パネル本体41と壁部42の反射率を異なるものとしてもよい。或いは、それぞれ別々に成形された、反射率の低いパネル本体41と、反射率の高い壁部42を、接着剤等を用いて接合することにより、透光性パネル40が製造されてもよい。
【0043】
以上のように、上述の構成を備えた照明器具10によれば、最大輝度の上昇を抑えつつ、器具から出射される光量を増やすことが可能である。光を拡散透過する透光性パネル40を用いることにより、光源の光を中心軸αから離れる方向に拡散させることができ、照明器具10の直下に出射される光量を減少させて最大輝度を低減できる。また、レンズ27を用いて光を広げることで、さらに最大輝度の低減を図ることができる。
【0044】
図5に例示するように、レンズ27から出射される光源の光は、透光性パネル40のパネル本体41を透過して開口Pから出射されるが、光源の光の一部は壁部42に当たる場合がある。このとき、壁部42の反射率が高ければ、パネル本体40の方向に光を効率良く反射できる。壁部42は、反射率がパネル本体40の反射率よりも高く、光を効率良く反射できるので、開口Pから出射される光量を増やすことができる。
【0045】
壁部42の反射率が低いと、光源の光の一部は壁部42を透過して枠体30の内周面に当たるが、その場合、光が反射する面が多くなり、また枠体30の内周面で反射された光は壁部42を透過する際に拡散されるので、効率良く光を取り出すことができない。本実施形態では、反射率の高い壁部42が枠体30の内周面の全体を覆っているので、壁部42によって透光性パネル40の方向に光が反射され、枠体30の内周面に光が当たることが抑制される。
【0046】
なお、上述の実施形態は、本開示の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。例えば、上述の実施形態では、枠体30が第2反射部材50を介して器具本体20に固定されているが、枠体は器具本体に直接固定されていてもよい。また、照明器具はレンズを有していなくてもよい。
【0047】
図6に例示するように、パネル本体41の光源側を向いた第1面には、光源の光を広げる光拡散用の凹凸44(プリズム)が形成されていてもよい。凹凸44は、パネル本体41の最も膨らんだ頂部およびその近傍に形成されることが好ましい。換言すると、凹凸44は、照明器具10の中心軸αが通るパネル本体41の中心およびその近傍に形成されることが好ましい。パネル本体41に凹凸44を形成することで、パネル本体41に入射した光源の光をパネル本体41の周縁の方向に広げることができ、照明器具10の直下に出射される光量を減少させて最大輝度を低減できる。
【0048】
凹凸44は、不規則に形成されていてもよいが、好ましくは規則的に形成される。図6に示す凹凸44は、断面視略三角形状の凸部が規則的に形成されてなる。凹凸44を形成する凸部または凹部は、同心円状に複数形成されてもよい。凹凸44は、例えば中心軸αと略一致する頂点を含む断面視三角形状の凸部を含み、当該凸部を中心とした環状の凸部が同心円状に複数形成されている。
【符号の説明】
【0049】
10 照明器具、11 発光モジュール、20 器具本体、21 側壁部、22 天面部、23 放熱フィン、24 ケーブル挿通孔、25 ホルダ、26 第1反射部材、27 レンズ、28 ジョイント、29,53 ネジ、30 枠体、31 ベース部、32 フランジ部、33 固定部、34 内壁、35 外壁、36 溝、37 係止リング、38 内爪、39 外爪、40 透光性パネル、41 パネル本体、42 壁部、43 爪部、44 凹凸、50 第2反射部材、51 鍔部、52 ボス部
図1
図2
図3
図4
図5
図6