(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】顔ケア装置およびベッドのヘッドボード
(51)【国際特許分類】
A61H 33/12 20060101AFI20231006BHJP
A45D 44/22 20060101ALI20231006BHJP
A47C 19/22 20060101ALI20231006BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20231006BHJP
【FI】
A61H33/12 P
A45D44/22 F
A45D44/22 E
A47C19/22 Z
G06T7/00 660A
(21)【出願番号】P 2019160689
(22)【出願日】2019-09-03
【審査請求日】2021-09-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】金子 翔太
(72)【発明者】
【氏名】坂本 竜平
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-159064(JP,A)
【文献】特開2014-228182(JP,A)
【文献】特開2017-109656(JP,A)
【文献】特開2010-227191(JP,A)
【文献】特開2005-214518(JP,A)
【文献】特開2001-221470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/12
A45D 44/22
A47C 19/22
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔をスキンケアするケア手段を出力するケア部と、
顔を撮影する撮影部と、
前記撮影部により撮影された画像を参照して顔に関する情報を含む顔情報を検出する検出部から前記顔情報を取得し、前記顔情報に応じて前記ケア部を制御する制御部とを備える顔ケア装置であって、
前記ケア部は前記ケア手段を出力する出力部を含み、
前記検出部は前記画像を参照して前記出力部と顔との距離を検出し、
前記顔情報は前記距離に関する情報を含み、
前記制御部は前記距離に関する情報に応じて前記出力部を制御する
顔ケア装置。
【請求項2】
前記制御部は前記距離が長くなるほど前記出力部の出力が大きくなるように前記出力部を制御する
請求項1に記載の顔ケア装置。
【請求項3】
顔をスキンケアするケア手段を出力するケア部と、
顔を撮影する撮影部と、
前記撮影部により撮影された画像を参照して顔に関する情報を含む顔情報を検出する検出部から前記顔情報を取得し、前記顔情報に応じて前記ケア部を制御する制御部とを備える顔ケア装置であって、
前記ケア部は
前記ケア手段を出力する出力部、および、前記出力部の出力方向を調節する調節部を含み、
前記検出部は前記画像を参照して前記出力部の出力方向と顔との位置関係を検出し、
前記顔情報は前記位置関係に関する情報を含み、
前記制御部は前記位置関係に関する情報に応じて前記調節部を制御する
顔ケア装置。
【請求項4】
前記制御部は前記出力部の出力方向が顔を向くように前記調節部を制御する
請求項3に記載の顔ケア装置。
【請求項5】
前記ケア部はベッドのヘッドボードに組み込みできるように構成される
請求項1~4のいずれか一項に記載の顔ケア装置。
【請求項6】
請求項5に記載の顔ケア装置を含む
ベッドのヘッドボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔をスキンケアする顔ケア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顔ケア装置は顔をスキンケアするために流体や光を出力する。例えば、顔ケア装置により顔にミストが供給される場合、顔にうるおいが与えられる等の効果が得られる。特許文献1は、従来の顔ケア装置の一例を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顔ケア装置から出力される流体や光が顔に適切に供給されない場合には、スキンケアの効果が低下するおそれがある。
本発明の目的は顔を適切にスキンケアできる顔ケア装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に関する顔ケア装置の一形態は、顔をスキンケアするケア手段を出力するケア部と、顔を撮影する撮影部と、前記撮影部により撮影された画像を参照して顔に関する情報を含む顔情報を検出する検出部から前記顔情報を取得し、前記顔情報に応じて前記ケア部を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明に関する顔ケア装置によれば、顔を適切にスキンケアできる顔ケア装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態の顔ケア装置が設けられる構成の一例。
【
図3】制御部が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【
図4】使用者に対するケアを実施する前の状態を示す一例。
【
図5】使用者に対するケアを実施中の状態を示す一例。
【
図6】使用者に対するケアを実施する前の状態を示す一例。
【
図7】使用者に対するケアを実施中の状態を示す一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(顔ケア装置が取り得る形態の一例)
本発明に関する顔ケア装置は、顔をスキンケアするケア手段を出力するケア部と、顔を撮影する撮影部と、前記撮影部により撮影された画像を参照して顔に関する情報を含む顔情報を検出する検出部から前記顔情報を取得し、前記顔情報に応じて前記ケア部を制御する制御部とを備える。
上記顔ケア装置によれば、顔情報に応じてケア部が制御されるため、ケア手段が顔に適切に供給される。
【0009】
前記顔ケア装置の一例によれば、前記ケア部は前記ケア手段を出力する出力部、および、前記出力部の出力方向を調節する調節部を含み、前記制御部は前記顔情報に応じて前記出力部および前記調節部の少なくとも一方を制御する。
上記顔ケア装置によれば、出力部の出力の大きさ、および、出力部の出力方向の少なくとも一方が調整されるため、ケア手段が顔に適切に供給される。
【0010】
前記顔ケア装置の一例によれば、前記検出部は前記画像を参照して前記出力部と顔との距離を検出し、前記顔情報は前記距離に関する情報を含み、前記制御部は前記距離に関する情報に応じて少なくとも前記出力部を制御する。
上記顔ケア装置によれば、顔ケア装置の使用中に顔と顔ケア装置との距離が変化した場合でもケア手段が顔に適切に供給される。
【0011】
前記顔ケア装置の一例によれば、前記制御部は前記距離が長くなるほど前記出力部の出力が大きくなるように前記出力部を制御する。
上記顔ケア装置によれば、顔が顔ケア装置から離れた場合でも顔に供給されるケア手段の量が減少しにくい。
【0012】
前記顔ケア装置の一例によれば、前記検出部は前記画像を参照して前記出力部の出力方向と顔との位置関係を検出し、前記顔情報は前記位置関係に関する情報を含み、前記制御部は前記位置関係に関する情報に応じて少なくとも前記調節部を制御する。
上記顔ケア装置によれば、顔ケア装置の使用中に顔ケア装置に対する顔の向きが変化した場合でもケア手段が顔に適切に供給される。
【0013】
前記顔ケア装置の一例によれば、前記制御部は前記出力部の出力方向が顔を向くように前記調節部を制御する。
上記顔ケア装置によれば、顔が顔ケア装置とは異なる方向を向いた場合でも顔に供給されるケア手段の量が減少しにくい。
【0014】
前記顔ケア装置の一例によれば、前記検出部は前記画像を参照して肌の状態を検出し、前記顔情報は前記肌の状態に関する情報を含み、前記制御部は前記肌の状態に関する情報に応じて前記出力部および前記調節部の少なくとも一方を制御する。
上記顔ケア装置によれば、ケア手段の供給により肌の状態が改善されやすくなる。
【0015】
前記顔ケア装置の一例によれば、前記検出部は使用者の睡眠に関する情報を含む睡眠情報を検出し、前記制御部は前記検出部から前記睡眠情報を取得し、前記睡眠情報に応じて前記ケア部を制御する。
覚醒時と睡眠時とでは使用者の挙動が異なる。上記顔ケア装置によれば、使用者の睡眠に関する状態に応じてケア部が制御されるため、ケア手段が顔に適切に供給される。
【0016】
前記顔ケア装置の一例によれば、前記制御部は使用者が睡眠中であることが前記検出部により検出されるとき、前記ケア部を動作させる。
上記顔ケア装置によれば、睡眠時にスキンケアされるため、使用者は覚醒後のスキンケアを省略できる、または、簡単に済ませることができる。
【0017】
前記顔ケア装置の一例によれば、前記ケア部はベッドのヘッドボードに組み込みできるように構成される。
上記顔ケア装置によれば、ベッドで睡眠する使用者に対してケア手段が適切に供給される。
【0018】
(実施の形態)
図1および
図2を参照して、顔ケア装置10の構成について説明する。
顔ケア装置10は、使用者100(
図4参照)の顔ケアを行うために用いられる。顔ケアは、スキンケアおよび治療を含む。顔のスキンケアとは、ケア手段により顔を構成する皮膚の状態の改善を含む。顔の治療とは、例えば顔に生じた傷および傷回りの炎症反応の抑制を含む。図示される顔ケア装置10は、使用者100の顔のスキンケアを行うように構成される。
【0019】
顔ケア装置10のコンピューティングの形式はスタンドアローン型、または、ネットワークコンピューティングを利用するネットワーク型から選択される。図示される例では、顔ケア装置10は、スタンドアローン型である。顔ケア装置10の設置方式は独立式または組込式から選択される。独立式の顔ケア装置10は、顔ケア装置単独で任意の場所に設置できるように構成される。組込式の顔ケア装置10は、他の設置物に組み込まれる。他の設置物は例えば家電、家具、または、建造物の構造体である。建築物の構造体は、例えば壁または天井を含む。組込式の顔ケア装置10は他の設置物に対して着脱できる構成を取り得る。図示される例では、顔ケア装置10は、使用者100が体を横たえる身体支持部B10を備えるベッドのヘッドボードB20に組み込まれる。ヘッドボードB20は、複数のスリットB30を備える。スリットB30は、ヘッドボードB20の身体支持部B10側の面である第1面B21に設けられる。スリットB30は、第1スリットB31、および、第1スリットB31よりも開口する面積の小さい第2スリットB32を含む。顔ケア装置10は、外部電源からの電力および内部に設けられる蓄電部の電力の少なくとも一方により動作する。蓄電部は、例えば2次電池により構成される。顔ケア装置10の電源のオンオフは、例えば電源ボタンの操作により選択される。電源ボタンは使用者100が操作できる部位に設けられる。電源ボタンがオン操作された場合、顔ケア装置の電源がオンになる。電源ボタンがオフ操作された場合、顔ケア装置の電源がオフになる。
【0020】
顔ケア装置10を構成する主な要素は、ケア部20、撮影部50、および、制御部60である。ケア部20は、使用者100のスキンケアをするケア手段を出力する。撮影部50は、少なくとも使用者100の顔を撮影する。制御部60は、撮影部50により撮影された画像から得られた顔情報に応じて、ケア部20を制御する。ケア部20、撮影部50、および、制御部60の少なくとも1つは、ハウジング10A内に収容される。
【0021】
ケア部20は、出力部30および調節部40を含む。出力部30は、ケア手段を出力する。ケア手段は流体、光、および、超音波の少なくとも1つを含む。出力部30は、光を出力する光出力部31、流体を出力する流体出力部32、および、超音波を出力する超音波出力部の少なくとも1つを含む。図示される例では、出力部30は、光出力部31および流体出力部32を含む。光出力部31は、例えば所定の波長の光を出力する発光ダイオードである。所定の波長は、例えば主波長が流体出力部32の出力する流体に吸収されにくい700nm~900nmである赤外光である。流体出力部32は、例えば流体を保存するタンク、流体をミスト状に生成するミスト生成部、および、ミストを噴霧するためのノズルを含む。ミスト生成部は、ヒータおよびボイラにより構成される。顔ケア装置10は、流体出力部32から発生する流体を帯電させる放電装置をさらに含んでいてもよい。放電装置は、負の高電圧を印加し、コロナ放電を発生させることによりマイナスイオンを生成し、流体にマイナスイオンを付与する。
【0022】
調節部40は、出力部30の位置および出力部30によるケア手段の出力方向を調節する。光の出力方向は、例えば光源の光軸の向きにより決められる。出力部30に光出力部31が含まれる場合、調節部40は光軸の向きを調節する。流体の出力方向は例えば、ノズルの向き、ファンの向き、スリットの向きにより決められる。出力部30に流体出力部32が含まれる場合、調節部40はこれらの向きの少なくとも1つを調節する。超音波の出力方向は例えば振動子の向きにより決められる。出力部30に超音波出力部が含まれる場合、調節部40は振動子の向きを調節する。
【0023】
撮影部50は、赤外線カメラおよび可視光カメラの少なくとも一方を含む。撮影部50は、使用者100の顔の画像を撮影する。画像は、静止画および動画を含む。撮影部50は、例えば所定時間ごとに画像を撮影する。所定時間の一例は、60秒である。好ましくは、赤外線カメラおよび可視光カメラは、それぞれ所定の間隔を空けて複数のレンズを備えるように構成される。
【0024】
制御部60は、制御プログラムを実行する演算処理装置により構成される。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)およびMPU(Micro Processing Unit)の少なくとも一方により構成される。制御部60は、出力部30および調節部40の少なくとも一方を制御する。
【0025】
顔ケア装置10は、検出部70および記憶部80をさらに含む。検出部70は、少なくとも撮影部50により撮影された画像を参照して、顔に関する情報を含む顔情報を検出する。検出部70は、演算処理装置である。顔情報は、出力部30と使用者100の顔との距離に関する情報、出力部30の出力方向と使用者100の顔との位置関係に関する情報、使用者100の顔の肌の状態に関する情報の少なくとも1つを含む。肌の状態に関する情報は、使用者100の顔の血流量および肌のシミのレベルの少なくとも1つを含む。肌の状態に関する情報は、使用者100の顔の水分量および肌のシワのレベルを含んでいてもよい。検出部70は、使用者100の睡眠に関する情報を含む睡眠情報をさらに検出する。睡眠情報は、例えば使用者100が睡眠中か覚醒中かに関する情報を含む。
【0026】
記憶部80は、顔ケア装置10に関する種々の情報を記憶する。記憶部80は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリの少なくとも一方により構成される。記憶部80は、例えば制御部60および検出部70が使用するプログラム、撮影部50が撮影した画像、顔情報、および、睡眠情報を記憶する。
【0027】
距離に関する情報および位置関係に関する情報の検出方法について説明する。検出部70は、撮影部50に設けられる複数のレンズで撮影した複数の画像から、使用者100の顔の領域を特定する。具体的には、検出部70は得られた複数の画像を数値化し、記憶部80に記憶された第1判断基準に基づいて、画像の中で第1判断基準に適合する領域を顔の領域として特定する。第1判断基準は、顔の特徴を数値化したものである。顔の特徴は、顔の大きさ、顔の形状、および、顔の特徴部間の距離の少なくとも1つを含む。顔の特徴部は、顔を構成する眉、目、耳、鼻の少なくとも1つを含む。検出部70は、複数の撮影部50のレンズの位置と特定された顔の領域とから、出力部30と顔との距離(以下「検出距離」という)および出力部30の出力方向と顔との位置関係を演算する。検出距離は、顔を構成する特徴部との距離である。顔との位置関係は、例えば顔の特徴部との位置関係である。
【0028】
肌の状態に関する情報の検出方法について説明する。検出部70は、赤外線カメラおよび可視光カメラで撮影した画像において特定される顔の領域から、肌の状態に関する情報を検出する。具体的には、検出部70は、赤外線カメラおよび可視光カメラにより撮影された画像において顔の領域を数値化し、記憶部80に記憶された第2判断基準に基づいて、肌の状態に関する情報を検出する。第2判断基準は、顔の領域における温度分布および顔の領域における光の反射に関する情報を含む。第2判断基準は、試験等により、予め設定される。一例では、赤外線カメラによる画像において、温度分布における温度の高さおよび赤外光の反射の両方が第2判断基準の所定値以上であるときに、血流量が多い状態であると判定する。赤外線カメラによる画像において、温度分布における温度の高さまたは光の反射の一方のみが所定値以上であるときに、血流量が通常状態であると判定する。赤外線カメラによる画像において、温度分布における温度の高さおよび光の反射の両方が所定値未満であるときに、血流量が少ない状態であると判定する。
【0029】
検出部70は、可視光カメラによる画像において顔の領域を数値化し、第2判断基準に基づいてシミのレベルが高い状態であるか否かを判定する。検出部70は、可視光の反射が所定値以上であるときに、シミのレベルが低い状態である情報を検出する。検出部70は、可視光の反射が所定値未満であるときに、シミのレベルが高い状態であると判定する。
【0030】
睡眠に関する情報を含む睡眠情報の検出方法について説明する。検出部70は、使用者100の顔の領域の位置を特定する。一例では、所定時間の間顔の領域が所定距離以上移動していないとき、使用者100が睡眠中であることを検出する。所定距離は、試験等により予め設定される。別の例では、顔の領域の目の部分において、虹彩が検出できないとき、使用者100が睡眠中であることを検出してもよい。
【0031】
制御部60は、ケア部20を制御するケア部制御を実行する。ケア部制御では顔情報および睡眠情報に応じてケア部20を制御する。ケア部制御は、出力部30および調節部40の制御を含む。顔情報は、例えば第1顔情報、第2顔情報、および、第3顔情報を含む。第1顔情報は、検出距離に関する情報を含む。第2顔情報は、出力部30の出力方向と顔との位置関係に関する情報を含む。第3顔情報は、肌の状態に関する情報を含む。睡眠情報は、例えば使用者100が睡眠中であるか覚醒中であるかを示す情報を含む。
【0032】
制御部60は、顔情報および睡眠情報の少なくとも一方を参照し、供給条件が満たされているか否かを判定する。供給条件は、顔へのケア手段の供給に適した状況であるか否かを判定できるように予め決められる。顔へのケア手段の供給に適した状況は、例えば出力部30から出力されるケア手段が顔に適切に供給される状況、および、肌の状態がスキンケアの効果が期待できる状態である状況の少なくとも一方を含む。供給条件が満たされる場合、顔へのケア手段の供給に適した状況である判定される。供給条件が満たされない場合、顔へのケア手段の供給に適した状況ではないと判定される。
【0033】
一例では、供給条件は第1供給条件、第2供給条件、第3供給条件、第3供給条件、および、第4供給条件を含む。第1供給条件は、第1顔情報を参照する条件である。一例では、第1顔情報に示される検出距離が所定距離以下である場合、第1供給条件が成立する。第2供給条件は、第2顔情報を参照する情報である。一例では、第2顔情報に含まれる位置関係が第1位置関係である場合、第2供給条件が成立する。第1位置関係とは、出力方向を規定する仮想線が顔と交差する関係である。第3供給条件は、第3顔情報を参照する条件である。一例では、第3顔情報に含まれる肌の状態が所定状態である場合、第3供給条件が成立する。所定状態は肌の血流量が少ない状態、肌の水分量が少ない状態、肌のシミが多い状態、および、肌のシワが多い状態の少なくとも1つを含む。第4供給条件は、睡眠情報を参照する条件である。一例では、使用者100が睡眠中であることを示す情報が睡眠情報に含まれる場合、第4供給条件が成立する。
【0034】
制御部60は、第1~第4供給条件の成否を基に供給条件の成否を判定する。第1例では、第1~第4供給条件の少なくとも1つが成立する場合、供給条件が成立すると判定される。第2例では、第1~第3供給条件の少なくとも1つが成立する場合、供給条件が成立すると判定される。第3例では、第1~第3供給条件の少なくとも1つ、および、第4供給条件が成立する場合、供給条件が成立すると判定される。第4例では、第4供給条件が成立する場合、供給条件が成立すると判定される。第5例では、第1~第4供給条件すべてが成立する場合、供給条件が成立すると判定される。一例では、第2顔情報に含まれる位置関係が第1位置関係でない場合、枕など障害物によって出力方向を規定する仮想線が顔と交差しない場合、第2供給条件が成立しないと判定される。一例では、肌の水分量が十分多い状態場合、第3供給条件が成立しないと判定される。
【0035】
制御部60は、顔情報および睡眠情報の少なくとも一方に応じて出力部30の出力の強さを制御する。出力の強さは、例えば単位時間あたりのケア手段の出力量である。一例では、出力の強さは次のように制御される。検出距離が第1範囲に含まれる場合、検出距離が長くなるほど出力の強さが強くなる。検出距離が第1範囲よりも長い第2範囲に含まれる場合、ケア手段が出力されない。位置関係が第2位置関係である場合、位置関係が第1位置関係の場合よりも出力の強さが強くなる。第2位置関係では、出力方向を規定する仮想線が顔からずれる。位置関係が第3位置関係である場合、ケア手段が出力されない。第3位値関係では、出力方向を規定する仮想線と顔とのずれが第2位置関係よりも大きい。肌の状態のレベルが低くなるほど出力の強さが強くなる。
【0036】
図3を参照して、制御部60が実行する制御の一例について説明する。
制御部60は、ステップS11において、検出部70から顔情報および睡眠情報を取得する。制御部60は、ステップS12において顔情報および睡眠情報を参照し、供給条件が成立したか否かを判定する。供給条件が成立したと判定したとき、制御部60は、ステップS13の処理を実行する。供給条件が成立していないと判定したとき、制御部60は、制御を終了する。
【0037】
制御部60は、ステップS13において、顔情報に応じて出力部30の位置関係を調節する。具体的には、制御部60は、出力部30の位置関係が第1位置関係に近くなるように、調節部40を制御する。制御部60は、ステップS14において、顔情報および睡眠情報に応じて出力部30の出力の強さを制御する。ステップS14の終了後、制御部60は、ステップS11の処理を再度実行する。制御部60は、ステップS11~S14の処理を繰り返し実行することで、使用者100に対する顔ケアを実行する。
【0038】
顔ケア装置10の作用および効果について、
図4~
図7を参照して説明する。
図4に示されるように、使用者100は、ベッドの身体支持部B10上で睡眠する。使用者100の顔は、撮影部50により撮影される。図示される例では、撮影部50は複数の第2スリットB32から撮影する。検出部70は、顔の画像を参照して顔情報および睡眠情報を検出する。図示される例では、使用者100の鼻を対象として、第2顔情報を検出する。供給条件が満たされると判定された場合、ケア部20の出力部30からケア手段が出力される。出力部30の出力方向は顔情報に応じて調節される。出力部30の出力の強さは、顔情報および睡眠情報の少なくとも一方に応じて調節される。出力部30から出力されるケア手段が顔に供給され、顔がスキンケアされる。
図5に示される例では、光出力部31および流体出力部32がそれぞれ第1スリットB31から光Lおよび流体Sを出力する。
【0039】
図6に示されるように、使用者100が睡眠中の状態では、使用者100の姿勢およびベッド上における使用者100の位置の少なくとも一方(以下「使用者100の姿勢等」という)が変化する。使用者100の姿勢等の変化にともない、検出距離および出力部30の出力方向と顔との位置関係の少なくとも一方が変化する。撮影部50は、睡眠中の使用者100の顔の画像を継続的に撮影する。検出部70は、使用者100の姿勢等の変化が反映された顔情報を検出する。
【0040】
図7に示されるように、出力部30は、使用者100の姿勢等の変化に応じて、ケア手段が顔に適切に供給されるように制御される。使用者100の姿勢等が変化した場合にも、それに応じてケア手段が顔に継続的に供給される。顔情報および睡眠情報の少なくとも一方を基に供給条件が満たされないと判定された場合には、出力部30からのケア手段の出力が停止される。これは例えば、ケア手段が浪費されることを抑制する効果、および、顔以外の部分にケア手段が供給されることを抑制する効果の少なくとも一方を奏することに寄与する。
【0041】
(変形例)
実施の形態に関する説明は本発明に関する顔ケア装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明は実施の形態以外に例えば以下に示される実施の形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0042】
・顔ケア装置10は、ネットワークコンピューティングを利用する構成を含む。ネットワークコンピューティングの形式は、例えばクライアントサーバ型またはクラウドコンピューティング型である。クライアントサーバ型の顔ケア装置10では、検出部70は、ネットワークを介してサーバと通信する。検出部70は、画像を参照して顔情報および睡眠情報の少なくとも1つを検出する、または、顔情報および睡眠情報の少なくとも一方をサーバから取得する。クラウドコンピューティング型の顔ケア装置10では、検出部70はネットワーク上のコンピュータと通信する。検出部70は、ネットワークを介して顔情報および睡眠情報の少なくとも一方を取得する。
【0043】
・睡眠に関する情報を含む睡眠情報について、撮影部50以外により検出してもよい。一例では、検出部70は、使用者100に取り付けられるセンサにより睡眠情報を検出する。センサは、例えば使用者100の脈波または使用者100の身体の加速度を検出する。一例では、センサは使用者100の手首に取り付けられることに適した構成を備える。センサの検出結果から、検出部70は、睡眠に関する情報を含む睡眠情報を検出する。
【0044】
・睡眠に関する情報を含む睡眠情報は、使用者100の睡眠の深さに関する情報をさらに含んでいてもよい。睡眠の深さに関する情報は、例えば使用者100の脈波の状態から検出される。制御部60は、睡眠の深さに関する情報に応じて、少なくとも出力部30を制御する。一例では制御部60は、使用者の睡眠が深い状態であるとき、出力部30の出力を増加させる。制御部60は、使用者の睡眠が浅い状態であるとき、出力部30の出力を低下させる。
【0045】
・検出部70は、1つの撮影部50のレンズから距離に関する情報を検出するように構成されていてもよい。撮影部50は、例えばTOF(Time of Flight)カメラにより構成される。
【0046】
・制御部60は、顔情報を参照した出力部30の制御において、ケア手段の出力量以外を制御するように構成されていてもよい。一例では、制御部60は、顔情報を参照した出力部30の制御において、出力部30が出力する時間を制御する。出力部30が出力する時間は、連続して出力部30がケア手段を出力する時間および出力部30が所定の間隔を空けてケア手段の出力および停止する時間の少なくとも一方を含む。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に関する顔ケア装置は、家庭用を始めとする種々の顔ケア装置に利用できる。
【符号の説明】
【0048】
10 :顔ケア装置
10A:ハウジング
20 :ケア部
30 :出力部
31 :光出力部
32 :流体出力部
40 :調節部
50 :撮影部
60 :制御部
70 :検出部
80 :記憶部
100:使用者
B10:身体支持部
B20:ヘッドボード
B21:第1面
B30:スリット
B31:第1スリット
B32:第2スリット
L :光
S :流体