(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】受信方法および受信装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/431 20110101AFI20231006BHJP
H04N 21/434 20110101ALI20231006BHJP
H04N 21/2362 20110101ALI20231006BHJP
H04H 40/18 20080101ALI20231006BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20231006BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20231006BHJP
G09G 5/02 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
H04N21/431
H04N21/434
H04N21/2362
H04H40/18
G09G5/00 555D
G09G5/00 550H
G09G5/00 530M
G09G5/10 Z
G09G5/02 B
(21)【出願番号】P 2022045302
(22)【出願日】2022-03-22
(62)【分割の表示】P 2020118513の分割
【原出願日】2015-11-09
【審査請求日】2022-03-22
(32)【優先日】2014-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】西 孝啓
(72)【発明者】
【氏名】遠間 正真
【審査官】松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/005189(WO,A1)
【文献】特開2011-030028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G5/00-5/36
5/377-5/42
H04H20/00-20/46
20/51-20/86
20/91-40/27
40/90-60/98
H04N7/10
7/14-7/173
7/20-7/56
21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像と、前記第1の画像の画像信号特性を示す第1の画像信号特性情報とを受信し、
第2の画像と、前記第2の画像の画像信号特性を示す第2の画像信号特性情報とを受信し、
前記第1および第2の画像信号特性情報が異なる場合には、前記第1の画像を前記第2の画像の画像信号特性を有する第3の画像に変換し、
同一の前記画像信号特性を有する前記第2および第3の画像を同時に表示
し、
前記第1の画像および前記第1の画像信号特性情報の受信では、
通信ネットワークを介した通信によって送信された前記第1の画像および前記第1の画像信号特性情報を受信し、
前記第2の画像および前記第2の画像信号特性情報の受信では、
放送によって送信された前記第2の画像および前記第2の画像信号特性情報を受信する、
受信方法。
【請求項2】
第1の画像と、前記第1の画像の画像信号特性を示す第1の画像信号特性情報とを受信する第1の受信部と、
第2の画像と、前記第2の画像の画像信号特性を示す第2の画像信号特性情報とを受信する第2の受信部と、
前記第1および第2の画像信号特性情報が異なる場合には、前記第1の画像を前記第2の画像の画像信号特性を有する第3の画像に変換する変換部と、
同一の前記画像信号特性を有する前記第2および第3の画像を同時に表示する表示部とを備え
、
前記第1の受信部は、
通信ネットワークを介した通信によって送信された前記第1の画像および前記第1の画像信号特性情報を受信し、
前記第2の受信部は、
放送によって送信された前記第2の画像および前記第2の画像信号特性情報を受信する、
受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を送信する送信方法、または、その画像を受信する受信方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像の輝度のダイナミックレンジをSDR(Standard Dynamic Range)からHDR(High Dynamic Range)に広げることが検討されている(例えば、非特許文献1参照)。また、放送局では、通常の放送(基幹放送)によって映像を送信するだけでなく、データ放送によっても文字またはグラフィックなどを送信している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】White Paper Blu-ray(登録商標) Disc Read-Only Format(Ultra HD Blu-ray)Audio Visual Application Format Specifications for BD-ROM Version 3.0 July 2015,Blu-ray Disc Association
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1のHDRの画像およびSDRの画像が放送などによって送信される場合には、受信装置はそれらの画像を適切に表示することができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、画像を適切に表示することができる送信方法などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る受信方法は、第1の画像と、前記第1の画像の画像信号特性を示す第1の画像信号特性情報とを受信し、第2の画像と、前記第2の画像の画像信号特性を示す第2の画像信号特性情報とを受信し、前記第1および第2の画像信号特性情報が異なる場合には、前記第1の画像を前記第2の画像の画像信号特性を有する第3の画像に変換し、同一の前記画像信号特性を有する前記第2および第3の画像を同時に表示し、前記第1の画像および前記第1の画像信号特性情報の受信では、通信ネットワークを介した通信によって送信された前記第1の画像および前記第1の画像信号特性情報を受信し、前記第2の画像および前記第2の画像信号特性情報の受信では、放送によって送信された前記第2の画像および前記第2の画像信号特性情報を受信する。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の送信方法は、画像を適切に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態における送受信システムの構成の一例と、受信装置に表示される画面の一例とを示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態における受信装置がHDRの主映像とSDRの副映像とを同時に表示する例を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、実施の形態における送信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3B】
図3Bは、実施の形態における送信装置の構成の他の例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態における受信装置が基幹放送の映像とデータ放送の映像などとを同時に表示する例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態における送信装置の構成の他の例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施の形態における送信装置の構成の他の例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施の形態におけるHDRのEOTFおよびSDRのEOTFを示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態における受信装置が基幹放送の字幕を他の映像と同時に表示する例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態における受信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施の形態における受信装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態における受信装置によって表示される画像の遷移の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態における受信装置の構成の他の例を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、実施の形態における受信装置の処理動作の他の例を示すフローチャートである。
【
図14A】
図14Aは、本発明の一態様に係る送信方法を示すフローチャートである。
【
図14B】
図14Bは、本発明の一態様に係る送信装置の構成を示すブロック図である。
【
図15A】
図15Aは、本発明の一態様に係る受信方法を示すフローチャートである。
【
図15B】
図15Bは、本発明の一態様に係る受信装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した非特許文献1に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0011】
非特許文献1では、グラフィックがSDRで作成されていることを前提としており、そのグラフィックが重畳される映像がHDR映像である場合に、グラフィックのダイナミックレンジをSDRからHDRに変換して、そのグラフィックをHDRで表示している。
【0012】
現在は、グラフィックが重畳される映像は、HDR映像よりもSDR映像の方が多い。したがって、SDRで作成されたグラフィックを提供し、グラフィックが重畳される映像がHDR映像の場合にのみ、そのグラフィックのダイナミックレンジをSDRからHDRに変換することが合理的である。
【0013】
しかしながら、今後、HDR映像が普及すると、グラフィックがSDRで表示されるケースよりも、グラフィックのダイナミックレンジがHDRに変換されて、そのグラフィックがHDRで表示されるケースの方が多くなる可能性がある。一般に、SDRで作成されたグラフィックをHDRのグラフィックに変換して、そのグラフィックをHDRで表示するよりも、HDRで作成されたグラフィックをHDRで表示する方が、グラフィックの作成者が意図した通りの表示がなされるという点で好ましい。
【0014】
そのため、将来的にはHDR映像の普及に伴ってグラフィックについても予めHDRで作成されて提供される可能性がある。
【0015】
本願の発明者は、上記可能性への気付きをきっかけに詳細な検討を行い、後述の実施の形態で説明されている、SDRで作成されたグラフィックの提供とHDRで作成されたグラフィックの提供とが混在するという従来では想定されていなかった環境における様々な課題とその解決手段に想到したものである。
【0016】
このような様々な解決するために、本発明の一態様に係る送信方法は、データ放送用の画像と、当該画像の画像信号特性としてOETF(Opto-Electrical Transfer Function)またはEOTF(Electro-Optical Transfer Function)を示す画像信号特性情報とを取得し、前記データ放送用の画像および前記画像信号特性情報を含むデータ放送信号を、データ放送によって送信する。
【0017】
これにより、データ放送用の画像(例えばグラフィック)のダイナミックレンジがSDRであってもHDRであっても、それに応じたOETFまたはEOTFを示す画像信号特性情報を含むデータ放送信号がデータ放送によって送信される。つまり、SDRで作成されたグラフィックのデータ放送による提供と、HDRで作成されたグラフィックのデータ放送による提供とが混在する環境であっても、それに応じたOETFまたはEOTFがそのグラフィックと共にデータ放送によって送信される。したがって、このような環境であっても、テレビなどの受信装置は、そのOETFまたはEOTFを用いることにより、データ放送用のグラフィックなどの画像を適切なダイナミックレンジで表示することができる。
【0018】
また、前記画像信号特性情報の取得では、前記画像が文字またはグラフィックである場合、前記OETFまたは前記EOTFの代わりに、前記画像に含まれる各コード値に対するオフセットまたはスケールファクタを示す前記画像信号特性情報を取得してもよい。
【0019】
これにより、受信装置は、データ放送用の画像の例えばダイナミックレンジなどの画像信号特性を、そのオフセットまたはスケールファクタによって容易に変換することができる。
【0020】
また、前記データ放送以外の放送である基幹放送用の映像を取得し、前記データ放送用の画像および前記基幹放送用の映像のそれぞれの画像信号特性が異なる場合には、少なくとも一方の前記画像信号特性を変換することによって、それぞれの前記画像信号特性を同一にし、前記基幹放送用の映像と、同一にされた前記画像信号特性を示す画像信号特性情報とを含む基幹放送信号を、前記基幹放送によって送信し、前記データ放送信号に含まれる前記画像信号特性情報は、同一にされた前記画像信号特性として前記OETFまたは前記EOTFを示してもよい。
【0021】
これにより、データ放送用の画像と基幹放送用の映像とのそれぞれの画像信号特性、つまりOETFまたはEOTFが統一され、その統一された画像信号特性を示す画像信号特性情報が基幹放送によってもデータ放送によっても送信される。したがって、受信装置は、データ放送用の画像と基幹放送用の映像とのそれぞれに対するOETFまたはEOTFを切り替えることなく、つまり表示処理を切り替えることなく、それらの画像および映像を同時に表示することができる。その結果、受信装置の実装を簡単にすることができる。また、統一された画像信号特性を示す画像信号特性情報が基幹放送によってもデータ放送によっても送信されるため、受信装置における基幹放送の受信処理とデータ放送の受信処理との間で、画像信号特性に関する連携が不要となる。その結果、受信装置の実装を簡単にすることができる。
【0022】
例えば、前記基幹放送用の映像は、主映像、副映像、または前記主映像に対応する字幕でもよい。また、例えば、前記画像信号特性情報は、前記OETFまたは前記EOTFと、ダイナミックレンジ、色域、およびホワイトポイントのうちの少なくとも1つとを前記画像信号特性として示してもよい。
【0023】
また、本発明の一態様に係る受信方法は、第1の画像と、前記第1の画像の画像信号特性を示す第1の画像信号特性情報とを受信し、第2の画像と、前記第2の画像の画像信号特性を示す第2の画像信号特性情報とを受信し、前記第1および第2の画像信号特性情報が異なる場合には、前記第1および第2の画像のうちの少なくとも一方の画像信号特性を変換することによって、前記第1および第2の画像の画像信号特性を同一にし、同一の前記画像信号特性を有する前記第1および第2の画像を同時に表示する。例えば、前記第1および第2の画像信号特性情報は、OETF(Opto-Electrical Transfer Function)、EOTF(Electro-Optical Transfer Function)、ダイナミックレンジ、色域、およびホワイトポイントのうちの少なくとも1つを前記画像信号特性として示す。
【0024】
これにより、第1の画像の画像信号特性が例えばSDRのOETFまたはEOTFであって、第2の画像の画像信号特性が例えばHDRのOETFまたはEOTFである場合には、それぞれ共に同一のOETFまたはEOTFの第1および第2の画像が同時に表示される。これにより、第1および第2の画像の見易さを向上することができる。
【0025】
また、前記受信方法では、さらに、前記第1および第2の画像が同時に表示されているときに、受信される前記第1および第2の画像信号特性情報のうちの第2の画像信号特性情報によって示される画像信号特性だけが切り替わった場合には、前記第2の画像の切り替わり後の画像信号特性を変換することによって、または、前記第2の画像の切り替わり前の画像信号特性に対して行われている変換を停止することによって、前記第1および第2の画像の画像信号特性を同一にし、前記第2の画像の画像信号特性の変換または変換の停止が行われた後に、同一の前記画像信号特性を有する前記第1および第2の画像を同時に表示してもよい。
【0026】
これにより、第2の画像の画像信号特性だけが切り替わった場合でも、その切り替わり前後で、表示されている第1および第2の画像の画像信号特性を同一に維持することができる。したがって、その切り替わりによる視覚的な違和感を抑えることができる。
【0027】
また、前記第1の画像および前記第1の画像信号特性情報の受信では、データ放送によって送信された前記第1の画像および前記第1の画像信号特性情報を受信し、前記第2の画像および前記第2の画像信号特性情報の受信では、データ放送以外の放送である基幹放送によって送信された前記第2の画像および前記第2の画像信号特性情報を受信してもよい。
【0028】
これにより、例えば、データ放送の第1の画像がSDRで表示されている状態で、その第1の画像と同時に表示されている基幹放送の第2の画像の画像信号特性がSDRからHDRに切り替わっても、その第2の画像はSDRで表示され続ける。したがって、その切り替わりによる視覚的な違和感を抑えることができる。
【0029】
また、前記第1の画像および前記第1の画像信号特性情報の受信では、通信ネットワークを介した通信によって送信された前記第1の画像および前記第1の画像信号特性情報を受信し、前記第2の画像および前記第2の画像信号特性情報の受信では、放送によって送信された前記第2の画像および前記第2の画像信号特性情報を受信してもよい。
【0030】
これにより、例えば、通信の第1の画像がSDRで表示されている状態で、その第1の画像と同時に表示されている放送の第2の画像の画像信号特性がSDRからHDRに切り替わっても、その第2の画像はSDRで表示され続ける。したがって、その切り替わりによる視覚的な違和感を抑えることができる。
【0031】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0032】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0033】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0034】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における送受信システムの構成の一例と、受信装置に表示される画面の一例とを示す図である。
【0035】
送受信システムは、放送局にある送信装置100と、例えば家などに配置されているテレビなどの受信装置200とを含む。
【0036】
送信装置100は、衛星などを含む放送網を通じた放送によって放送コンテンツを受信装置200に送信する。さらに、送信装置100は、インターネットなどの通信ネットワークを通じた通信によって通信コンテンツを受信装置200に送信する。放送コンテンツおよび通信コンテンツは、画像または音声を含む。画像は、例えば、映像、字幕、文字またはグラフィックである。また、放送には、互いに異なる基幹放送とデータ放送とがある。
【0037】
受信装置200は、放送コンテンツおよび通信コンテンツを受信して再生する。この再生によって、受信装置200は、それらのコンテンツに含まれる複数の画像を、ディスプレイなどの表示装置の画面上に同時に表示する。
【0038】
例えば、受信装置200は、基幹放送の主映像および副映像である映像1および映像2と、データ放送の映像3と、データ放送の文字またはグラフィックと、通信の映像4と、通信の文字またはグラフィックとを同時に表示する。なお、主映像および副映像はそれぞれ、ピクチャ・イン・ピクチャにおいて同時に表示される映像である。
【0039】
なお、送信されるコンテンツに含まれる画像には、従来の標準ダイナミックレンジ(SDR)の輝度を有する画像と、そのダイナミックレンジを数倍から100倍に拡大したハイダイナミックレンジ(HDR)の輝度を有する画像とがある。
【0040】
本実施の形態は、HDRの映像とSDRの映像を受信装置200の画面上に同時に表示するため方法および装置に関する。
【0041】
図2は、受信装置200がHDRの主映像とSDRの副映像とを同時に表示する例を示す図である。
【0042】
本実施の形態における送信装置100は、画像信号特性の一つであるダイナミックレンジが互いに異なる複数の画像を重畳して放送信号として送出する場合、それらの画像のOETF(光-電変換特性)あるいはEOTF(電-光変換特性)を含む画像信号特性を統一する。そして、送信装置100は、重畳した複数の画像と、それらの画像のOETF/EOTFを含む画像信号特性情報を送出する。なお、本実施の形態において、OETFおよびEOTF、あるいは、OETFまたはEOTFを、OETF/EOTFと表記する。
【0043】
これにより、受信装置200は、
図2に示すように、HDRの主映像とSDRの副映像とを同時に表示する際に、画面領域毎に画像信号特性に応じて表示処理を切り替える必要がなくなる。具体的には、各画像に適用されるOETF/EOTFを切り替える必要がなくなる。その結果、受信装置200の実装を簡単化することができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、画像に対応する画像信号特性および画像信号特性情報をそれぞれ、画像が映像であるか否かに関わらず、映像信号特性および映像信号特性情報と称する。また、映像信号特性情報は、画像の信号の特性(つまり映像信号特性)を表わす情報であって、その特性は、OETF/EOTF、ダイナミックレンジ、色域、ホワイトポイントなどのうちの少なくとも1つである。
【0045】
本実施の形態では、主映像および副映像のそれぞれの映像信号特性を、(1)主映像に合わせる、または、(2)HDRに統一するなどによって、それらの映像信号特性が統一されれば、(1)および(2)の何れを行ってもよい。
【0046】
1番組など一定期間内においては、映像信号特性を、HDRあるいはSDRのいずれか一方の映像信号特性に固定する運用とすることで、受信装置200での表示処理の切換え頻度を低減でき、切換えによる映像の乱れを抑制することができる。
【0047】
図3Aは、本実施の形態における送信装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0048】
送信装置100は、変換部101および105と、合成部102と、送出部103と、制御部104とを備える。
【0049】
制御部104は、主映像の映像信号特性情報である主映像信号特性情報と、副映像の映像信号特性情報である副映像信号特性情報とを取得する。そして、制御部104は、主映像信号特性情報および副映像信号特性情報に基づいて、主映像の映像信号特性を、副映像の映像信号特性に変換するための制御信号を変換部101に出力する。あるいは、逆に、制御部104は、主映像信号特性情報および副映像信号特性情報に基づいて、副映像の映像信号特性を、主映像の映像信号特性に変換するための制御信号を変換部105に出力する。または、制御部104は、主映像信号特性情報および副映像信号特性情報に基づいて、主映像および副映像のそれぞれの映像信号特性を共にHDRに変換するための、あるいは共にSDRに変換するための制御信号を変換部101または105に出力する。
【0050】
さらに、制御部104は、主映像および副映像のそれぞれに対して統一された映像信号特性、すなわち、それぞれに対して共通の映像信号特性を示す映像信号特性情報を、送出部103に出力する。
【0051】
変換部101は、主映像を取得し、制御部104から出力される制御信号に基づいて、その主映像の映像信号特性を変換する。同様に、変換部105は、副映像を取得し、制御部104から出力される制御信号に基づいて、その副映像の映像信号特性を変換する。
【0052】
合成部102は、変換部101および104から出力される主映像および副映像を合成(または重畳)して送出部103に出力する。
【0053】
送出部103は、合成された主映像および副映像と、制御部104から出力される統一された映像信号特性情報とを含む信号を基幹放送信号として、放送(具体的には基幹放送)によって送信する。なお、送出部103は送信部である。
【0054】
本実施の形態における送受信システムは、
図3Bに示すように、送信装置100の代わりに他の構成を有する送信装置を備えてもよい。
【0055】
図3Bは、本実施の形態における送信装置の構成の他の例を示すブロック図である。
【0056】
送信装置100Aは、上述の送信装置100と同様の機能を有し、合成部102aと、送出部103と、制御部104aと、変換部105とを備える。
【0057】
制御部104aは、主映像信号特性情報と副映像信号特性情報とを取得する。そして、制御部104は、主映像信号特性情報および副映像信号特性情報に基づいて、副映像の映像信号特性を、主映像の映像信号特性に変換するための制御信号を変換部105に出力する。
【0058】
変換部105は、副映像を取得し、制御部104aから出力される制御信号に基づいて、その副映像の映像信号特性を変換する。
【0059】
合成部102aは、主映像を取得し、その主映像と、変換部105から出力される副映像とを合成(または重畳)して送出部103に出力する。
【0060】
送出部103は、合成された主映像および副映像と、主映像信号特性情報とを含む信号を基幹放送信号として、放送(具体的には基幹放送)によって送信する。この主映像信号特性情報は、主映像および副映像のそれぞれに対して統一された映像信号特性、すなわち、それぞれに対して共通の映像信号特性を示す映像信号特性情報である。
【0061】
このような送信装置100および100Aでは、変換部101または105は、主映像または副映像の信号を、制御信号に応じてSDR信号からHDR信号に変換したり、HDR信号からSDR信号に変換したりする。
【0062】
図4は、受信装置200が基幹放送の映像とデータ放送の映像などとを同時に表示する例を示す図である。
【0063】
受信装置200は、例えば、基幹放送の主映像および副映像である映像1および映像2と、データ放送の映像3と、データ放送の文字またはグラフィックとを同時に表示する。
【0064】
ここで、基幹放送の主映像と、基幹放送の副映像、あるいはデータ放送の画像(映像、文字またはグラフィック)との間で、ダイナミックレンジなどの映像信号特性が異なる場合がある。
【0065】
このような場合、本実施の形態における送受信システムは、送信装置100または100Aの代わりに、
図5に示すように、基幹放送の主映像以外の各画像の映像信号特性を、基幹放送の主映像の映像信号特性に統一する送信装置を備えてもよい。これにより、受信装置200は放送種別毎に映像信号特性情報を切り替える必要がなくなり、受信装置200の実装を簡単化することができる。
【0066】
図5は、本実施の形態における送信装置の構成の他の例を示すブロック図である。
【0067】
送信装置100Bは、送出部(送信部)111および116と、制御部112、114および117と、変換部113、115および118とを備える。
【0068】
制御部112は、主映像信号特性情報と副映像信号特性情報とを取得する。そして、制御部112は、主映像信号特性情報および副映像信号特性情報に基づいて、副映像の映像信号特性を、主映像の映像信号特性に変換するための制御信号を変換部113に出力する。
【0069】
変換部113は、副映像を取得し、制御部112から出力される制御信号に基づいて、その副映像の映像信号特性を変換する。
【0070】
送出部111は、主映像と、主映像信号特性情報と、変換部113から出力される副映像とを取得し、それらを含む信号を基幹放送信号として基幹放送によって送信する。
【0071】
制御部114は、データ放送の映像の映像信号特性情報であるデータ放送映像信号特性情報と、主映像信号特性情報とを取得する。そして、制御部112は、データ放送映像信号特性情報および主映像信号特性情報に基づいて、データ放送の映像の映像信号特性を、主映像の映像信号特性に変換するための制御信号を変換部115に出力する。
【0072】
変換部115は、データ放送の映像であるデータ放送映像を取得し、制御部114から出力される制御信号に基づいて、そのデータ放送映像の映像信号特性を変換する。
【0073】
制御部117は、データ放送の文字またはグラフィックの映像信号特性情報であるデータ放送グラフィック信号特性情報と、主映像信号特性情報とを取得する。そして、制御部117は、データ放送グラフィック信号特性情報および主映像信号特性情報に基づいて、データ放送の文字またはグラフィックの映像信号特性を、主映像の映像信号特性に変換するための制御信号を変換部118に出力する。
【0074】
変換部118は、データ放送の文字またはグラフィックであるデータ放送グラフィックを取得し、制御部117から出力される制御信号に基づいて、そのデータ放送グラフィックの映像信号特性を変換する。
【0075】
送出部116は、主映像信号特性情報と、変換部115から出力されるデータ放送映像と、変換部118から出力されるデータ放送グラフィックとを取得し、それらを含む信号をデータ放送信号としてデータ放送によって送信する。
【0076】
このように本実施の形態における送信装置100Bは、基幹放送信号およびデータ放送信号のそれぞれに、映像信号特性情報を含める。これにより、受信装置200における基幹放送信号の受信処理とデータ放送信号の受信処理との間で、映像信号特性に関する連携が不要となり、受信装置200の実装を簡単化することができる。
【0077】
また、受信装置200が基幹放送信号とデータ放送信号とを一対で必ず受信および処理することができる場合には、送信装置100Bは、データ放送信号における映像信号特性情報を省略してもよい。この場合、本実施の形態における送信方法は、データ放送用の画像を取得し、前記データ放送以外の放送である基幹放送用の映像を取得し、前記データ放送用の画像および前記基幹放送用の映像のそれぞれの画像信号特性が異なる場合には、少なくとも一方の前記画像信号特性を変換することによって、それぞれの前記画像信号特性を同一にし、前記データ放送用の画像を含むデータ放送信号をデータ放送によって送信し、前記基幹放送用の映像と、同一にされた前記画像信号特性を示す画像信号特性情報とを含む基幹放送信号を、前記基幹放送によって送信する、送信方法である。
【0078】
本実施の形態における送受信システムは、
図6に示すように、送信装置100Bの代わりに他の構成を有する送信装置を備えてもよい。
【0079】
図6は、本実施の形態における送信装置の構成の他の例を示すブロック図である。
【0080】
送信装置100Cは、送出部(送信部)111および116aと、制御部112、114および117aと、変換部113および115とを備える。
【0081】
制御部117aは、データ放送の文字またはグラフィックの映像信号特性情報であるデータ放送グラフィック信号特性情報と、主映像信号特性情報とを取得する。そして、制御部117aは、データ放送グラフィック信号特性情報および主映像信号特性情報に基づいて、データ放送の文字またはグラフィックの映像信号特性を、主映像の映像信号特性に変換するための変換情報を送出部116aに出力する。変換情報は、具体的には、オフセットまたはスケールファクタなどである。
【0082】
送出部116aは、制御部117aから出力される変換情報と、主映像信号特性情報と、変換部115から出力されるデータ放送映像と、データ放送グラフィックとを取得し、それらを含む信号をデータ放送信号としてデータ放送によって送信する。
【0083】
この送信装置100Cでは、データ放送の文字またはグラフィックの映像信号特性の変換を行わずに、変換情報(オフセットやスケールファクタなど)を送信する。これにより、受信装置200では、データ放送の文字またはグラフィックの映像信号特性(例えばダイナミックレンジ)を、基幹放送の主映像の映像信号特性に合わせるための変換を容易に行うことができる。
【0084】
このように本実施の形態における送信方法では、データ放送用の画像と、当該画像の画像信号特性としてOETFまたはEOTFを示す画像信号特性情報とを取得する。そして、そのデータ放送用の画像および画像信号特性情報を含むデータ放送信号を、データ放送によって送信する。ここで、その画像信号特性情報の取得では、その画像が文字またはグラフィックである場合、OETFまたはEOTFの代わりに、その画像に含まれる各コード値に対するオフセットまたはスケールファクタを示す画像信号特性情報を取得してもよい。
【0085】
また、本実施の形態における送信方法では、さらに、そのデータ放送以外の放送である基幹放送用の映像を取得する。そして、そのデータ放送用の画像および基幹放送用の映像のそれぞれの画像信号特性が異なる場合には、少なくとも一方の前記画像信号特性を変換することによって、それぞれの前記画像信号特性を同一する。次に、その基幹放送用の映像と、同一にされた画像信号特性を示す画像信号特性情報とを含む基幹放送信号を、基幹放送によって送信する。ここで、そのデータ放送信号に含まれる画像信号特性情報は、同一にされた画像信号特性としてOETFまたはEOTFを示す。
【0086】
ここで、映像信号特性の変換について具体的に説明する。
【0087】
図7は、HDRのEOTFおよびSDRのEOTFを示す図である。
【0088】
上述の各変換部は、画像の映像信号特性の1つであるダイナミックレンジをSDRからHDRに変換する際には、その画像に含まれるSDRのEOTFにおけるコード値を、HDRのEOTFにおけるコード値に変換する。
図7は、ダイナミックレンジを、ピーク輝度が100nitであるSDRから、ピーク輝度が1000nitであるHDRに変換する場合の、コード値の変換例を示す。
【0089】
図7に示す例では、上記各変換部は、SDRの画像の輝度範囲(ダイナミックレンジ)が、HDRの画像の輝度範囲に変換されるように、SDRのEOTFにおけるコード値を、HDRのEOTFにおけるコード値に変換している。しかし、上記各変換部は、SDRの画像の輝度範囲が変換されないように、SDRのEOTFにおけるコード値を、HDRのEOTFにおけるコード値に変換してもよい。この場合、上記各変換部は、変換前のSDRのEOTFにおけるコード値に対応する輝度が、変換後のHDRのEOTFにおけるコード値に対応する輝度と同一となるように、SDRのEOTFにおけるコード値を変換する。つまり、上記各変換部は、SDRのEOTFにおける点を、HDRのEOTFの曲線に対して水平方向に射影することによって、SDRのEOTFにおけるコード値を変換する。
【0090】
このようなコード値の変換によって、画像の映像信号特性が変換される。また、このような変換によって、複数の画像の映像信号特性が統一される。その結果、受信装置200において、これらの画像に適用されるEOTF/OETF(映像信号特性情報)も統一される。その結果、受信装置200は、
図2に示すように、HDRの主映像とSDRの副映像とを同時に表示する際に、画面領域毎に画像信号特性に応じて表示処理を切り替える必要がなくなる。具体的には、各画像に適用されるOETF/EOTFを切り替える必要がなくなる。その結果、受信装置200の実装を簡単化することができる。
【0091】
ここで、HDRのピーク輝度は、絶対値であっても、あるいは、SDRのダイナミックレンジに対するスケーリング係数などの相対値であってもよい。また、そのピーク輝度を、データ放送における多重化レイヤの補助情報などに含めてもよい。
【0092】
多重化レイヤとしては、MPEG‐2 TS(Transport Stream)またはMPEG‐H MMT(MPEG Media Transport)などが用いられる。補助情報は、例えば、TSのセクションまたはMMTのメッセージ内の記述子などにより格納される。さらに、ダイナミックレンジの切り替えを番組単位で行う場合は、送信装置は、EIT(Event Information Table)などの番組情報において、番組がSDRおよびHDRのいずれであるかを示してもよい。
【0093】
ダイナミックレンジをHDRに変換する際のHDRのピーク輝度は、受信装置200において予め設定されているデフォルト値、またはそのデフォルト値を用いて得られる値でもよい。例えば、受信装置200は、放送または通信などによって送信されるデータに、HDRへの変換時のピーク輝度などを示す変換情報が含まれる場合には、そのピーク輝度にしたがってHDRへの変換を行う。一方、その変換情報が含まれていない場合には、受信装置200は、自らに設定されているデフォルト値、またはそのデフォルト値を用いて得られる値にしたがってHDRへの変換を行ってもよい。受信装置200は、HDRからSDRへのダイナミックレンジの変換も同様に行うことができる。
【0094】
HDRのEOTFとしては、HDRとSDRの両方に対して同一のコード値を適用可能なハイブリッド型のEOTFを用いることもできる。例えば、受信装置200は、ハイブリッド型のHDRである画像1に、SDRの画像2を重畳して、それらの画像をSDRとして出力する際には、画像1と画像2の画素値を共にSDRとみなして重畳できる。したがって、送信装置は、主映像、副映像、またはデータ放送の画像などのHDR属性として、ハイブリッド型であるかどうかを識別する情報を付与してもよい。
【0095】
図8は、受信装置200が基幹放送の字幕を他の映像と同時に表示する例を示す図である。
【0096】
受信装置200は、例えば、基幹放送の主映像である映像1と、基幹放送の主映像の字幕である字幕1と、データ放送の映像3と、データ放送の文字またはグラフィックとを同時に表示する。なお、本実施の形態において、基幹放送用の映像は、主映像、副映像、またはその主映像に対応する字幕である。
【0097】
送信装置(上述の送信装置100,100A~Cのうちの何れかの装置)は、基幹放送における字幕を、主映像および副映像などの映像とは独立して送信する。送信装置は、字幕の映像信号特性を、その字幕が重畳される映像の映像信号特性に統一し、その字幕を送出する。
【0098】
字幕は、W3C(World Wide Web Consortium)のTTML(Timed Text Markup Language)などXML(Extensible Markup Language)ベースの言語で記述され、字幕の色または輝度値は、RGB値で表現される。したがって、XMLにおいて指定されるRGB値が、SDRあるいはHDRのどちらのOETF/EOTFに対応した値であるかを識別する情報をXML文書内に付与してもよく、あるいは、その情報を字幕全体の映像信号特性情報として送信してもよい。
【0099】
データ放送もHTML(HyperText Markup Language)などのアプリケーションにより構成される。データ放送の映像信号特性情報は、アプリケーション全体の映像信号特性として、SDRあるいはHDRのいずれかを示してもよい。また、データ放送の映像信号特性情報は、HTMLにより参照される動画、静止画、あるいは文字のそれぞれが、SDRあるいはHDRのいずれであるかを、HTMLのタグなどを用いて示してもよい。
【0100】
同時に表示される字幕を含む複数の画像の映像信号特性としては、ダイナミックレンジだけでなく、色域がある。特に、4Kなどの高解像度画像においては、従来のBT.709(Recommendation ITU-R BT.709)に加えて、BT.709よりも広い色域を表現可能なBT.2020(Recommendation ITU-R BT.2020)を用いることが想定される。受信装置200は、色域の異なる画像を同時に表示する際には、それらの色域をどちらか一方の色域に統一する必要がある。この場合も、送信装置(または受信装置200)は、ダイナミックレンジ(またはOETF/EOTF)と同様の基準により、統一後の色域を決定することができる。
【0101】
図9は、本実施の形態における受信装置200の構成の一例を示すブロック図である。
【0102】
受信装置200は、放送受信部201と、通信受信部202と、制御部203と、変換部204と、表示部205とを備える。
【0103】
放送受信部201は、基幹放送信号を受信し、基幹放送信号に含まれる映像を表示部205に出力する。このとき、放送受信部201は、その映像に対して、基幹放送信号に含まれる映像信号特性情報を適用することにより、その映像のデータ形式を表示部205によって処理され得る形式に変換してもよい。例えば、放送受信部201は、EOTFを適用することにより、その映像に含まれるコード値を輝度に変換する。放送受信部201は、このようなデータ形式が変換された映像を表示部205に出力する。さらに、放送受信部201は、基幹放送信号に含まれるその映像信号特性情報を基幹放送映像信号特性情報として制御部203に出力する。
【0104】
通信受信部202は、通信信号を受信し、通信信号に含まれる映像を通信映像として変換部204に出力し、通信信号に含まれる映像信号特性情報を通信映像信号特性情報として制御部203に出力する。なお、通信信号は、インターネットなどの通信ネットワークを介した通信によって送信される信号である。
【0105】
制御部203は、基幹放送映像信号特性情報と通信映像信号特性情報とを取得する。そして、制御部104は、基幹放送映像信号特性情報および通信映像信号特性情報に基づいて、通信映像の映像信号特性を、基幹放送の映像の映像信号特性に変換するための制御信号を変換部204に出力する。
【0106】
変換部204は、通信映像を通信受信部202から取得し、制御部203から出力される制御信号に基づいて、その通信映像の映像信号特性を変換する。さらに、変換部204は、放送受信部201から制御部203を介して基幹放送映像信号特性情報を取得し、その基幹放送映像信号特性情報を、変換された映像信号特性を有する通信映像に適用してもよい。この適用によって、変換部204は、通信映像のデータ形式を表示部205によって処理され得る形式に変換する。例えば、変換部204は、EOTFを適用することにより、通信映像に含まれるコード値を輝度に変換する。変換部204は、このようなデータ形式が変換された通信映像を表示部205に出力する。
【0107】
表示部205は、表示装置であって、放送受信部201から出力される基幹放送の映像と、変換部204から出力される通信映像とを同時に表示する。
【0108】
基幹放送およびデータ放送の映像信号特性は、上述の送信装置100などによって統一されていたとしても、それらの映像信号特性と通信の映像信号特性(例えば、OETF/EOTFまたはダイナミックレンジなど)とが一致しない場合がある。本実施の形態における受信装置200は、このような場合には、通信の映像信号特性が放送の映像信号特性に一致するように、通信映像の映像信号特性を変換して、その変換後の通信映像を表示する。これにより、通信映像の見易さを向上することができる。
【0109】
なお、何れの画像においても映像信号特性は統一されていればよく、データ放送の画像または通信の画像などを基準に、各画像の映像信号特性を統一してもよい。
【0110】
受信装置200は、表示部205に表示される選局情報または音量などのOSD(On Screen Display)の映像信号特性(明るさ、色合い、またはコントラストなど)を、基幹放送の映像信号特性に応じて変えてもよい。例えば、受信装置200は、基幹放送の映像のダイナミックレンジがHDRである場合には、選局情報または音量などのOSDのコントラストを強めて表示することで視認性を向上させることができる。
【0111】
図10は、本実施の形態における受信装置200の処理動作を示すフローチャートである。
【0112】
受信装置200の制御部203は、基幹放送映像信号特性情報と、通信映像信号特性情報とが同じか否かを判定する(ステップS101)。ここで、制御部203は、同じであると判定すると(ステップS101のYes)、通信映像の映像信号特性を変換しない制御信号を変換部204に出力する(ステップS102)。一方、制御部203は、同じでないと判定すると(ステップS101のNo)、通信映像の映像信号特性の変換を指示する制御信号を変換部204に出力する(ステップS103)。
【0113】
このように、本実施の形態における受信方法では、第1の画像と、その第1の画像の画像信号特性を示す第1の画像信号特性情報とを受信する。次に、第2の画像と、その第2の画像の画像信号特性を示す第2の画像信号特性情報とを受信する。そして、第1および第2の画像信号特性情報が異なる場合には、その第1および第2の画像のうちの少なくとも一方の画像信号特性を変換することによって、第1および第2の画像の画像信号特性を同一にする。さらに、同一の画像信号特性を有する第1および第2の画像を同時に表示する。ここで、第1および第2の画像信号特性情報は、OETF、EOTF、ダイナミックレンジ、色域、およびホワイトポイントのうちの少なくとも1つを画像信号特性として示す。ここで、上述の第1の画像および第1の画像信号特性情報の受信では、通信ネットワークを介した通信によって送信された第1の画像および第1の画像信号特性情報を受信する。上述の第2の画像および第2の画像信号特性情報の受信では、放送によって送信された第2の画像および第2の画像信号特性情報を受信する。または、その第1の画像および第1の画像信号特性情報の受信では、データ放送によって送信された第1の画像および第1の画像信号特性情報を受信してもよい。同様に、第2の画像および第2の画像信号特性情報の受信では、データ放送以外の放送である基幹放送によって送信された第2の画像および第2の画像信号特性情報を受信してもよい。
【0114】
図11は、本実施の形態における受信装置によって表示される画像の遷移の一例を示す図である。
【0115】
例えば、受信装置が複数の映像を同時に表示中に、一部の映像のダイナミックレンジがSDRからHDRに切り替わる、あるいは、HDRからSDRなどに切り替わることがある。特徴的な例として、受信装置がデータ放送の画像を表示中に、主映像の番組のダイナミックレンジが切り替わることが想定される。このとき、データ放送の画像を表示中に、主映像の輝度のダイナミックレンジが切り替わると、切り替えの前後で同一の映像の明るさが変化して視覚的に違和感を生じる。
【0116】
そこで、本実施の形態における送受信システムは、受信装置200の代わりに受信装置200Aを備えてもよい。この受信装置200Aは、データ放送の画像を表示しているときにはダイナミックレンジを固定にする。
【0117】
例えば、
図11の(a)に示すように、受信装置200Aがデータ放送の画像(具体的には、映像3、文字またはグラフィックなど)と基幹放送の主映像である番組1とを表示しているときに、
図11の(b)に示すように、主映像が番組1から番組2に切り替わる。ここで、番組1のダイナミックレンジはSDRであり、番組2のダイナミックレンジはHDRであり、データ放送の画像のダイナミックレンジは番組1の再生時からSDRである。
【0118】
本実施の形態における受信装置200Aは、主映像がSDRの番組1からHDRの番組2に切り替わった後でも、
図11の(b)に示すように、データ放送の画像をSDRで表示しているときには、主映像である番組2をSDRで表示する。つまり、受信装置200Aは、番組2の映像信号特性を、SDRの映像信号特性に変換し、その番組2に対してはSDRのEOTF/OETFを適用する。そして、
図11の(c)に示すように、受信装置200Aは、データ放送の画像の表示を終了した後に、番組2をHDRで表示する。つまり、受信装置200Aは、番組2の映像信号特性を変換せず、その番組2に対してHDRのEOTF/OETFを適用する。
【0119】
このように、本実施の形態における受信装置200Aは、複数の映像を表示中に、一部の映像の受信時におけるダイナミックレンジが切り替わる場合には、既に表示中の映像のダイナミックレンジの切り替わりが発生しないように、その映像をHDRあるいはSDRのどちらで表示するかを決定する。つまり、受信装置200Aは、既に表示中の映像の映像信号特性を変換するか、変換しないかを制御する。
【0120】
なお、受信装置200Aは、データ放送の画像を表示しているときに、表示されている基幹放送の主映像のダイナミックレンジの切り替わりが発生しないように、その主映像の映像信号特性の変換を制御する。しかし、受信装置200Aは、データ放送の画像と基幹放送の主映像とに対してのみ、そのような制御を行うことなく、どのような複数の画像に対しても、上述のような制御を行ってもよい。例えば、受信装置200Aは、通信映像と基幹放送の映像とに対して、上述のような制御を行ってもよい。
【0121】
図12は、本実施の形態における受信装置200Aの構成の一例を示すブロック図である。
【0122】
受信装置200Aは、放送受信部201と、通信受信部202と、制御部203aと、変換部204および206と、表示部205とを備える。
【0123】
放送受信部201は、基幹放送信号を受信し、基幹放送信号に含まれる映像を変換部206に出力する。さらに、放送受信部201は、基幹放送信号に含まれるその映像信号特性情報を基幹放送映像信号特性情報として制御部203aに出力する。
【0124】
通信受信部202は、通信信号を受信し、通信信号に含まれる映像を通信映像として変換部204に出力し、通信信号に含まれる映像信号特性情報を通信映像信号特性情報として制御部203aに出力する。
【0125】
制御部203aは、基幹放送映像信号特性情報と通信映像信号特性情報とを取得する。そして、制御部203aは、基幹放送映像信号特性情報および通信映像信号特性情報に基づいて、制御信号を変換部204および206に出力する。この制御信号は、基幹放送の映像および通信映像のそれぞれの映像信号特性を共にHDRに変換するための、あるいは共にSDRに変換するための信号である。つまり、制御部203aは、基幹放送の映像および通信映像の表示中に、何れか一方の映像の映像信号特性が切り替わった場合、つまり、両方の映像の映像信号特性が異なった場合には、その一方の映像の映像信号特性を変換するための制御信号を出力する。この変換によって、一方の映像の映像信号特性は、切り替わり前後で同一となり、両方の映像の映像信号特性が同一の状態に維持される。
【0126】
なお、上述の一方の映像の映像信号特性が変換されているときに、その映像信号特性が切り替わった場合には、制御部203aは、変換部204または206にその変換を停止させることによって、両方の映像の映像信号特性が同一の状態に維持してもよい。具体的には、通信映像の映像信号特性のSDRからHDRへの変換が変換部204によって行われていることによって、基幹放送の映像と通信映像とが共にHDRで表示されている。このような状況において、通信受信部202によって受信されているその映像信号特性がSDRからHDRに切り替わった場合には、制御部203aは、その変換部204による変換を停止させる。これにより、その映像信号特性の切り替わり前後で、基幹放送の映像と通信映像とを共にHDRで継続して表示させることができる。
【0127】
変換部204は、通信映像を通信受信部202から取得し、制御部203aから出力される制御信号に基づいて、その通信映像の映像信号特性を変換する。さらに、変換部204は、変換された映像信号特性に応じた映像信号特性情報を制御部203aから取得し、その映像信号特性情報を、変換された映像信号特性を有する通信映像に適用してもよい。この適用によって、変換部204は、通信映像のデータ形式を表示部205によって処理され得る形式に変換する。例えば、変換部204は、EOTFを適用することにより、通信映像に含まれるコード値を輝度に変換する。変換部204は、このようなデータ形式が変換された通信映像を表示部205に出力する。
【0128】
変換部206は、基幹放送の映像を放送受信部201から取得し、制御部203aから出力される制御信号に基づいて、その基幹放送の映像の映像信号特性を変換する。さらに、変換部206は、変換された映像信号特性に応じた映像信号特性情報を制御部203aから取得し、その映像信号特性情報を、変換された映像信号特性を有する基幹放送の映像に適用してもよい。この適用によって、変換部206は、基幹放送の映像のデータ形式を表示部205によって処理され得る形式に変換する。例えば、変換部206は、EOTFを適用することにより、基幹放送の映像に含まれるコード値を輝度に変換する。変換部206は、このようなデータ形式が変換された基幹放送の映像を表示部205に出力する。
【0129】
表示部205は、表示装置であって、変換部206から出力される基幹放送の映像と、変換部204から出力される通信映像とを同時に表示する。
【0130】
図13は、本実施の形態における受信装置200Aの処理動作を示すフローチャートである。
【0131】
まず、受信装置200Aの制御部203aは、表示されている複数の映像のうちの何れかの映像信号特性が切り替わったか否かを判定する(ステップS100)。ここで、切り替わったと判定すると(ステップS100のYes)、制御部203aは、切り替わり前後の映像信号特性が同じになるように、映像信号特性を変換する、あるいは変換しないことを指示する制御信号を変換部204または206に出力する。
【0132】
一方、切り替わっていないと判定すると(ステップS100のNo)、制御部203aは、基幹放送映像信号特性情報と通信映像信号特性情報とが同じか否かを判定する(ステップS101)。ここで、制御部203aは、同じであると判定すると(ステップS101のYes)、映像信号特性を変換しない制御信号を変換部204および206に出力する(ステップS102)。一方、制御部203aは、同じでないと判定すると(ステップS101のNo)、基幹放送の映像および通信映像のうちの少なくとも一方の映像の映像信号特性の変換を指示する制御信号を変換部204および変換部206に出力する(ステップS103)。
【0133】
このように、本実施の形態における受信方法では、第1および第2の画像が同時に表示されているときに、受信される第1および第2の画像信号特性情報のうちの第2の画像信号特性情報によって示される画像信号特性だけが切り替わった場合には、その第2の画像の切り替わり後の画像信号特性を変換することによって、または、その第2の画像の切り替わり前の画像信号特性に対して行われている変換を停止することによって、第1および第2の画像の画像信号特性を同一にする。そして、第2の画像の画像信号特性の変換または変換の停止が行われた後に、同一の画像信号特性を有する第1および第2の画像を同時に表示する。
【0134】
これにより、第2の画像の画像信号特性だけが切り替わった場合でも、その切り替わり前後で、表示されている第1および第2の画像の画像信号特性を同一に維持することができる。したがって、その切り替わりによる視覚的な違和感を抑えることができる。
【0135】
(まとめ)
図14Aは、本発明の一態様に係る送信方法を示すフローチャートである。
【0136】
本発明の一態様に係る送信方法は、ステップS11とステップS12とを含む。ステップS11では、データ放送用の画像と、当該画像の画像信号特性としてOETFまたはEOTFを示す画像信号特性情報とを取得する。ステップS12では、そのデータ放送用の画像および画像信号特性情報を含むデータ放送信号を、データ放送によって送信する。
【0137】
図14Bは、本発明の一態様に係る送信装置の構成を示すブロック図である。
【0138】
本発明の一態様に係る送信装置10は、取得部11と送信部12とを備える。取得部11は、データ放送用の画像と、当該画像の画像信号特性としてOETFまたはEOTFを示す画像信号特性情報とを取得する。送信部12は、そのデータ放送用の画像および画像信号特性情報を含むデータ放送信号を、データ放送によって送信する。
【0139】
これにより、データ放送用の画像(例えばグラフィック)のダイナミックレンジがSDRであってもHDRであっても、それに応じたOETFまたはEOTFを示す画像信号特性情報を含むデータ放送信号がデータ放送によって送信される。つまり、SDRで作成されたグラフィックのデータ放送による提供と、HDRで作成されたグラフィックのデータ放送による提供とが混在する環境であっても、それに応じたOETFまたはEOTFがそのグラフィックと共にデータ放送によって送信される。したがって、このような環境であっても、テレビなどの受信装置は、そのOETFまたはEOTFを用いることにより、データ放送用のグラフィックなどの画像を適切なダイナミックレンジで表示することができる。
【0140】
図15Aは、本発明の一態様に係る受信方法を示すフローチャートである。
【0141】
本発明の一態様に係る受信方法は、ステップS21~S24を含む。
【0142】
ステップS21では、第1の画像と、その第1の画像の画像信号特性を示す第1の画像信号特性情報とを受信する。ステップS22では、第2の画像と、その第2の画像の画像信号特性を示す第2の画像信号特性情報とを受信する。ステップS23では、第1および第2の画像信号特性情報が異なる場合には、その第1および第2の画像のうちの少なくとも一方の画像信号特性を変換することによって、その第1および第2の画像の画像信号特性を同一にする。ステップS24では、同一の画像信号特性を有する第1および第2の画像を同時に表示する。
【0143】
図15Bは、本発明の一態様に係る受信装置の構成を示すブロック図である。
【0144】
本発明の一態様に係る受信装置20は、第1の受信部21と、第2の受信部22と、変換部23と、表示部24とを備える。
【0145】
第1の受信部21は、第1の画像と、その第1の画像の画像信号特性を示す第1の画像信号特性情報とを受信する。第2の受信部22は、第2の画像と、その第2の画像の画像信号特性を示す第2の画像信号特性情報とを受信する。変換部23は、第1および第2の画像信号特性情報が異なる場合には、その第1および第2の画像のうちの少なくとも一方の画像信号特性を変換することによって、その第1および第2の画像の画像信号特性を同一にする。表示部24は、同一の画像信号特性を有する第1および第2の画像を同時に表示する。
【0146】
これにより、第1の画像の画像信号特性が例えばSDRのOETFまたはEOTFであって、第2の画像の画像信号特性が例えばHDRのOETFまたはEOTFである場合には、それぞれ共に同一のOETFまたはEOTFの第1および第2の画像が同時に表示される。これにより、第1および第2の画像の見易さを向上することができる。
【0147】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記実施の形態の送信装置または受信装置を実現するソフトウェアは、
図10、
図13、
図14Aまたは
図15Aに示すフローチャートに含まれる各ステップをコンピュータに実行させるプログラムである。
【0148】
以上、一つまたは複数の態様に係る送信装置および受信装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明は、画像を適切に表示することができるという効果を奏し、例えば、テレビの映像、字幕、文字、またはグラフィックなどの画像を放送または通信によって送信する送信装置と、それらの画像を受信して表示するテレビなどの受信装置とに利用可能である。
【符号の説明】
【0150】
10,100,100A~100C 送信装置
11 取得部
12 送信部
20,200,200A 受信装置
21 第1の受信部
22 第2の受信部
23,101,105,113,115,118,204,206 変換部
24,205 表示部
102,102a 合成部
103,111,116,116a 送出部(送信部)
104,104a,112,114,117,117a,203,203a 制御部
201 放送受信部
202 通信受信部