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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】フィルター清掃装置及びショーケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20231006BHJP
   A47L 9/20 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
A47F3/04 Q
A47L9/20 E
A47F3/04 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019067170
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020162920
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100130074
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 繁元
(72)【発明者】
【氏名】横山 広
(72)【発明者】
【氏名】町田 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】森 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】林 孝彦
(72)【発明者】
【氏名】小出 剛之
(72)【発明者】
【氏名】黒川 和将
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-263412(JP,A)
【文献】特開2014-012248(JP,A)
【文献】特開2019-039573(JP,A)
【文献】特開平06-147729(JP,A)
【文献】特開2016-014492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/04
A47L 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を捕捉するフィルター体と、
前記フィルター体に沿って往復可動し、前記フィルター体に付着した塵埃を除去するブラシまたはブレードを備えた除塵体と、
前記フィルター体の一方の端部近傍に設置されると共に、回転軸を備え、回転して前記除塵体に当接し、該除塵体に付着した塵埃を移送する回転清掃体と、
前記回転清掃体の近傍に設置されると共に、前記回転清掃体によって移送される塵埃を収容する開口を備えたダストボックスと、前記ダストボックスの開口を形成する壁体と、を有し、前記除塵体のブラシ又はブレードが前記回転清掃体の回転軸と同一又は該回転軸を越える位置まで可動するものであって、前記除塵体は前記壁体と当接することを特徴とするフィルター清掃装置。
【請求項2】
塵埃を捕捉するフィルター体と、
前記フィルター体に沿って往復可動し、前記フィルター体に付着した塵埃を除去する除塵体と、
前記フィルター体の一方の端部近傍に設置されると共に、回転軸を備え、回転して前記除塵体に当接し、該除塵体に付着した塵埃を移送する回転清掃体と、
前記除塵体と前記回転清掃体を可動させる1つのモータを備えた可動機構と、
前記回転清掃体の近傍に設置されると共に、前記回転清掃体によって移送される塵埃を収容する開口を備えたダストボックスと、を有し、前記回転清掃体の回転速度は、相対的に前記除塵体の移動速度よりも速くなるように設定されていることを特徴とするフィルター清掃装置。
【請求項3】
ダストボックスの開口近傍に備えられると共に、回転清掃体に当接して塵埃を除去しダストボックス内に回収させる除去体と、前記ダストボックスの開口を形成する蓋体とを有し、前記蓋体は、前記ダストボックスに回動可能に軸支されている共に、前記除去体は、前記蓋体に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルター清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルターを清掃する清掃体を備えたフィルター清掃装置と、このフィルター清掃装置を備えたショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ショーケース等の内部に設置され、フィルターに付着している塵埃等を除去するフィルター清掃装置が知られている(特許文献1及び2)。
【0003】
特許文献1に記載のフィルター清掃装置は、フィルターの前面にガイドレールを平行に設け、このガイドレール間に掃除具を摺動自在に取り付けて、掃除具の刷毛端をフィルター面に当接し、下方に塵埃受け皿を備える構成としている。
【0004】
また、特許文献2に記載のフィルター清掃装置は、凝縮器と外装グリルとの間に配置されるフィルターと、外装グリルとフィルターの間に左右方向スライド可能に配置され、スライド時に撓んだ状態でフィルターに当たる複数のブラシ毛を有してこれらのブラシ毛によりフィルターに付着した塵埃を除去する清掃ブラシと、フィルターの少なくとも左右方向の一端側に設けられ、スライドする清掃ブラシのブラシ毛が当たることによりこのブラシ毛に付着している塵埃を掻き落とすための掻き落とし部と、掻き落とされた塵埃を捕集する捕集装置と、を有する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭59-61824号公報
【文献】特許第6415657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のフィルター清掃装置は、掃除具の刷毛端に付着した塵埃が塵埃受け皿に落ちることなく、フィルターに再付着するという課題を有していた。
【0007】
一方、特許文献2に記載のフィルター清掃装置は、掻き落とし部によって塵埃がフィルターに再付着する課題を軽減できるが、掻き落とし部に一部残された塵埃が清掃ブラシを介して、フィルターに再付着する課題や、清掃ブラシの内部にまで入り込んだ塵埃は掻き落とし部では除去できず、清掃効率の低下に繋がっていた。さらに、掻き落とし部を捕集装置内部に配置する構成としていることから、捕集装置に収容できる塵埃の集塵容量を十分に確保するためには捕集装置を大型にする必要があった。また、捕集装置が塵埃で飽和状態となった場合には、塵埃がブラシ毛及びフィルターに再付着するという課題を有していた。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、フィルター体に付着した塵埃を除塵体で除去出来ると共に、除塵体に付着した塵埃を確実に回転清掃体で除去及びダストボックスに移送させ、一旦フィルター体から除去した塵埃が除塵体及びフィルター体に再付着することを防ぐことができ、塵埃を収容するダストボックスの集塵容量を十分に確保することができるフィルター清掃装置と、このフィルター清掃装置を備えたショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、請求項1のフィルター清掃装置の発明は、塵埃を捕捉するフィルター体と、前記フィルター体に沿って往復可動し、前記フィルター体に付着した塵埃を除去するブラシまたはブレードを備えた除塵体と、前記フィルター体の一方の端部近傍に設置されると共に、回転軸を備え、回転して前記除塵体に当接し、該除塵体に付着した塵埃を移送する回転清掃体と、前記回転清掃体の近傍に設置されると共に、前記回転清掃体によって移送される塵埃を収容する開口を備えたダストボックスと、前記ダストボックスの開口を形成する壁体と、を有し、前記除塵体のブラシ又はブレードが前記回転清掃体の回転軸と同一又は該回転軸を越える位置まで可動するものであって、前記除塵体は前記壁体と当接することを特徴としている。
【0010】
請求項1の発明では、フィルター体に付着している塵埃を、除塵体と回転清掃体とを介してダストボックスに移送することができるので、塵埃が除塵体及びフィルター体に再付着するのを防ぐことができる。また、除塵体に回転清掃体を当接させることで、除塵体に付着したな塵埃を確実に除去し、フィルター体への再付着を防止できると共に、清掃効率を維持することができる。また、除塵体が回転清掃体と当接する面積が増えると共に、除塵体が回転清掃体の回転軸に最も近づくことで、より塵埃を掻き出す力が強くなり、除塵効果を向上させることができる。また、除塵体が回転軸を越える位置まで可動した場合は、除塵体の復路側の塵埃を掻き落とすことができるため、より除塵体に付着した塵埃を除去することができる。
【0011】
請求項2の発明は、塵埃を捕捉するフィルター体と、前記フィルター体に沿って往復可動し、前記フィルター体に付着した塵埃を除去する除塵体と、前記フィルター体の一方の端部近傍に設置されると共に、回転軸を備え、回転して前記除塵体に当接し、該除塵体に付着した塵埃を移送する回転清掃体と、前記除塵体と前記回転清掃体を可動させる1つのモータを備えた可動機構と、前記回転清掃体の近傍に設置されると共に、前記回転清掃体によって移送される塵埃を収容する開口を備えたダストボックスと、を有し、前記回転清掃体の回転速度は、相対的に前記除塵体の移動速度よりも速くなるように設定されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2のフィルター清掃装置の発明において、ダストボックスの開口近傍に備えられると共に、回転清掃体に当接して塵埃を除去しダストボックス内に回収させる除去体と、前記ダストボックスの開口を形成する蓋体とを有し、前記蓋体は、前記ダストボックスに回動可能に軸支されている共に、前記除去体は、前記蓋体に固定されていることを特徴としている。したがって、除去体が回転清掃体に当接して塵埃を確実にダストボックスの内部に収容することができると共に、回転清掃体から除塵体へと塵埃が再付着するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1及び2のフィルター清掃装置の発明は、回転清掃体によって除塵体から塵埃を確実に除去すると共に、塵埃が除塵体及びフィルター体に再付着するのを防ぐことができる。また、請求項1の発明は、除塵体が回転清掃体と当接する面積が増えると共に、除塵体が回転清掃体の回転軸に最も近づくことで、より塵埃を掻き出す力が強くなり、除塵効果を向上させることができる。また、請求項の発明は、除去体が回転清掃体に当接して塵埃を確実にダストボックスの内部に収容することができると共に、回転清掃体から除塵体へと塵埃が再付着するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るショーケースの斜視図
図2】本発明に係るショーケースの一部分解斜視図
図3(a)】本発明に係るフィルター清掃装置の斜視図
図3(b)】本発明に係るフィルター清掃装置の一部断面図
図4(a)】フィルター清掃装置の清掃時の状態を示す図3(a)の一部A-A断面図(初期位置)
図4(b)】フィルター清掃装置の清掃時の状態を示す図3(a)の一部A-A断面図(往路位置)
図4(c)】フィルター清掃装置の清掃時の状態を示す図3(a)の一部A-A断面図(除塵体が回転清掃体の回転軸と同一高さの位置)
図4(d)】フィルター清掃装置の清掃時の状態を示す図3(a)の一部A-A断面図(終端位置)
図4(e)】フィルター清掃装置の清掃時の状態を示す図3(a)の一部A-A断面図(復路位置)
図5】ダストボックスを取り出した状態を示す斜視図
図6】ダストボックスの蓋体を開けた状態を示す斜視図
図7】カバーパネルとフィルター清掃装置が一体となったユニットを背面側から視た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明に係るショーケースを示す斜視図であり、図2は、本発明に係るショーケースの一部分解斜視図である。これらの図を用いて本発明に係るショーケースについて以下に説明する。
【0024】
本発明に係るショーケース1は、箱型形状のケーシング2と、ケーシング2の下部に設けられ、ケーシング2内に供給する冷気を生成する冷媒回路などを収容した架台3とを備えている。ケーシング2は、食品などを陳列する陳列棚4と、冷媒回路で生成された冷気が吹き出される吹き出し口(図示せず)と、吹き出し口から吹き出された冷気が陳列棚4を通過後に吸い込まれる吸い込み口(図示せず)と、陳列棚4を照らすLEDランプ(図示せず)とを備えている。尚、吸い込み口から吸い込まれた冷気は冷媒回路に戻され、再び吹き出し口から吹き出される。また、陳列棚4の最上部には、ナイトカバー4aが設置されている。このナイトカバー4aは、夜間に陳列棚4の全体を覆うように拡げてショーケース1内の温度を一定に保ち電気料金を節約することを目的としている。尚、本実施例では陳列棚が解放されたオープンショーケースとしたが、扉式の卓上ショーケースやアイランドタイプのショーケースなど、冷蔵又は冷凍機能を有する陳列ケースであれば形状を問わず本発明に含まれる。
【0025】
架台3の前面には着脱可能なカバーパネル5が取り付けられており、架台3内には冷媒回路を構成する圧縮機(図示せず)、凝縮器6、蒸発器(図示せず)と、冷媒回路や蛍光灯などの制御を行う基板を収容した電装ボックス(図示せず)とが配置されている。尚、凝縮器6と対向するカバーパネル5の所定箇所には、凝縮器6へ空気を供給するための複数の通気孔7が形成されている。また、凝縮器6の後方には通気孔7を介して空気を凝縮器6に供給する送風ファン(図示せず)が配置されている。
【0026】
カバーパネル5の通気孔7と、この通気孔7の下流側に配置されている凝縮器6との間には、フィルター清掃装置10が配置されている。また、カバーパネル5は、開口部5aをカバーパネル5の前面側に備えており、フィルター清掃装置10を構成するダストボックス8は、開口部5aから取り出すことができる構成としている。具体的には指先を挿入して前方に引き出し可能な取っ手部8aと、ダストボックス8をカバーパネル5に固定するロック機構8b、8bとを備えている。ロック機構8b、8bは、つまみ部8c、8cを左右にスライドさせることによって、開錠及び施錠がなされる。
【0027】
図3(a)は、本発明に係るフィルター清掃装置を示す斜視図であり、図3(b)は、フィルター清掃装置を示す断面図である。これらの図を用いて本発明に係るフィルター清掃装置について以下に説明する。
【0028】
フィルター清掃装置10は、塵埃を捕捉するフィルター体9と、フィルター体9に沿って往復可動し、フィルター体9に付着した塵埃を除去する除塵体11と、フィルター体9の一方の端部近傍に設置されると共に、回転軸12aを備え、回転して除塵体11に当接し、除塵体11に付着した塵埃を移送する回転清掃体12と、回転清掃体12の近傍に設置されると共に、回転清掃体12によって移送される塵埃を収容する開口を備えたダストボックス8とを備えている。
【0029】
フィルター体9は、フィルター9aと格子枠9bとから構成されている。また、除塵体11は、ブラシ11aを備えタイミングベルト19に固定されており、可動機構はモータ17と直結するギア18aと、ギア18aと嵌合するギア18bと、ギア18bの回転軸と連動して可動するタイミングベルト19との構成によって上下方向への移動がなされる。また、除塵体11は、カバーパネル5側に設置されているラック21と、ラック21に歯合するギア18dとからなる構成によって除塵体11の上下方向への移動を支えている。また、回転清掃体12の回転は、モータ17と直結するギア18aに、回転軸12aと直結するギア18cが嵌合する構成によってなされる。さらに、フィルター清掃装置10は、後述するようにダストボックス8の開口近傍に備えられると共に、回転清掃体12に当接して塵埃を除去しダストボックス内に回収させる除去体(図4参照)を備えている。尚、本実施例では垂直にフィルターが配置されているが、傾斜している場合、水平に配置されている場合など、様々な配置が想定できると共に、フィルター形状も平面形状に限定されるものではなく、湾曲形状や凹凸形状なども本発明に含まれる。
【0030】
図4(a)~(e)は、フィルター清掃装置の清掃時の状態を示す図3(a)の一部A-A断面図である。これらの図を用いて本発明に係るフィルター清掃装置の清掃時の状態について以下に説明する。
【0031】
図4(a)は、除塵体11が初期位置にある状態を示している。初期位置の面13は、フィルター体9の平面よりも凹んでおり、除塵体11のブラシ11aの先端が接触しないようにしている。これにより、ブラシ11aが屈曲するくせがつくのを防ぐことができる。尚、本実施例では、直線ブラシ11aを使用しているがブラシ11aに替えてブレードを使用してもよい。また、フィルター表面の塵埃をより掻きだす構造とするために、回転ブラシや回転ブレードとしてもよく、かかる構造も本発明に含まれる。そして、カバーパネル5に形成されている通気孔7から進入した塵埃13は、フィルター体9に捕捉されている。また、フィルター体9の一方の端部近傍には回転清掃体12が設置されており、回転清掃体12に当接するように、ダストボックス8の開口8d近傍には除去体14が設置されている。尚、図4では、除去体14は、ダストボックス8を構成する蓋体8eと一体化しているが、別体であってもよい。ダストボックス8の底面8fは、カバーパネル5側が最も低くなるように傾斜させている。これにより、ダストボックス8に回収される塵埃を自重でカバーパネル5側へ押し込むことができる。また、ダストボックス8は、壁体8gが形成されており、壁体8gによって、塵埃があふれるのを防いでいる。
【0032】
図4(b)は、除塵体11が往路位置にある状態を示している。除塵体11は往路では矢印Aで示すように下方向に移動する。除塵体11のブラシ11aの長さは、ブラシ11aの根元部からフィルター体9の表面までの距離よりも長くなるように設計されているため(図4(a)参照)、図4(b)に示すようにブラシ11aは移動方向とは反対の方向に屈曲しつつ、フィルター体9に当接している。これにより、塵埃13は、除塵体11に掻き取られつつ、下方向に押されて移動している。尚、ブラシ11aに替えてブレードを使用する場合には、ブレードの先端に突起が形成されているのが好ましい。
【0033】
また、回転清掃体12は、フィルター体9の表面から遠ざかる方向である矢印Bで示す方向に回転している。これにより、塵埃13がフィルター体9に再付着するのを防いでいる。尚、回転清掃体12の回転速度は、相対的に除塵体11の移動速度よりも速くなるように設定されているため、除塵体11に付着した塵埃13を確実に移送できる。また、除塵体11により押し出された塵埃13は、先んじて回転清掃体12に当接しダストボックス8に移送されるため、除塵体11に過度な負荷をかけることなく耐久性を向上させることができる。
【0034】
図4(c)は、除塵体11が往路において、破線で示すように回転清掃体12の回転軸12aと同一の高さとなる位置まで移動した状態を示している。この状態では、除塵体11と回転清掃体12の接触面積が最大となるので、除塵体11のブラシ11aの根元部の塵埃13を掻き出してダストボックス8へと移送させることができる。また、除去体14によって回転清掃体12に付着している塵埃を掻き取り、ダストボックス8へと移送させることができる。
【0035】
図4(d)は、除塵体11が往路終端位置まで移動した状態を示している。この状態では、除塵体11のブラシ11aがダストボックス8の内部で回転清掃体12に叩かれることとなり、ブラシ11aに付着している細かい塵埃13もダストボックス8の内部に収容することができる。また、ダストボックス8の開口8dを形成する壁体8gが除塵体11と当接して支えている状態となっているので、除塵体11が逃げることなく、確実にブラシ11aを回転清掃体12に当てることができる。また、ブラシ11aがフリーな状態となるので、復路時に反転する無理な屈曲を防いで耐久性を向上させることができる。さらに、回転清掃体12は、ブラシ11aの復路側のブラシ片に当接することとなり、復路側のブラシ片に付着している塵埃13を掻き出してダストボックス8の内部に移送することができる。
【0036】
尚、除去体14の先端は、回転清掃体12の回転中心方向を向くように設置しているが、これに限定するものではなく、除去体14の先端が回転清掃体12の回転中心を向いていない場合でも塵埃の掻き出し効果を奏することはできる。例えば、除去体14の先端を回転清掃体12の回転方向に対して鋭角に当接させた場合は、塵埃の書き出し効果をより向上させることができ、鈍角に当接させた場合は、回転清掃体12に過度な負荷をかけることなく耐久性をより向上させることができる。
【0037】
図4(e)は、除塵体11が復路位置にある状態を示している。除塵体11は、復路では矢印Cで示すように上方向に移動する。除塵体11のブラシ11aは、回転清掃体12と当接した後、再びフィルター体9に当接しつつ上方向に移動する。この時、ブラシ11aは、移動方向とは反対の方向に屈曲している。尚、復路において、回転清掃体12は、回転させることもできるが、停止させておくこともできる。ここで、回転させた場合は、往路時の回転方向と同方向に回転させ、ブラシ11aの復路側に付着した塵埃を除去すると共にダストボックス8内に移送することができる。また、停止させた場合も回転ブラシ12はブラシ11aに対して相対的に掻き落とすように当接するため、塵埃を除去できる。
【0038】
また、本実施例での回転清掃体12は、ワンウェイクラッチ機構を備えており、往路時の回転方向にしか回転しないようにしているので、ダストボックス8の内部に収容されている塵埃13がフィルター体9側に移送されることはない。その他、除塵体11の往復可動と回転清掃体の回転を別のモータで制御(ダブルモータ)することにより、往路時の回転方向と同一方向に回転させることもできる。尚、除去体14は、ダストボックス8を構成する蓋体8eと一体化しているが、別体であってもよい。また、回転清掃体12は、塵埃13を移送させる効果からダストボックス8の開口8dよりも内側に一部が入っていることが好ましい。
【0039】
図5は、ダストボックス8をカバーパネル5の前面側から取り出した状態を示す斜視図である。ダストボックス8は、取っ手部8aに指先を挿入して前方に引き出すことにより、カバーパネル5の前面側に形成されている開口部5aから取り出すことができるので、塵埃の廃棄等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。尚、図5においては、ダストボックス8に回転清掃体12が搭載された状態で取り出す構成としているが、ダストボックス8のみを取り出す構成としてもよい。回転清掃体12を一緒に取り出すことによって、塵埃の廃棄時に回転清掃体12に付着している塵埃を取り除くメンテナンス清掃を容易に行うことができる。
【0040】
図6は、ダストボックス8の蓋体8eを開けた状態を示す斜視図である。蓋体8eは、図示しない回転軸によって回転可能に軸支されており、回転清掃体12から離れる方向に回転することによって、回転清掃体12と蓋体8eとの間に隙間が形成され、この隙間からダストボックス8の内部に収容されている塵埃を取り出して廃棄することができる。尚、蓋体8eの先端部の長手方向には櫛歯状の除去体14が形成されているが、櫛歯状に替えて、直線状やブラシ状の除去体を採用することもできる。また、回転清掃体12がフィルター清掃装置本体側に固定されている場合には、ダストボックス8を取り出す際に、回転清掃体12に付着している塵埃を除去体14によって掻き出しながら取り外す構成とすることができる。
【0041】
図7は、カバーパネル5とフィルター清掃装置10が一体となったフィルター清掃ユニット20を背面側から視た斜視図である。フィルター清掃ユニット20には、カバーパネル5とフィルター清掃装置10の他にマイコン15及び電源16が搭載されている。ショーケース1の架台3(図1参照)に対してカバーパネル5とフィルター清掃装置10が一体的に着脱可能な構成とすることによって、フィルター体9の裏側の清掃を容易に行うことができる。また、既存のショーケースに対して、フィルター清掃装置を搭載したカバーパネルを後付けできるため、新しくショーケースを買い替える必要なく、メンテナンス費用及び投資コストを抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係るフィルター清掃装置は、フィルターに付着している塵埃等を除去するために、ショーケースに設置されて利用される。
【符号の説明】
【0043】
1 ショーケース
2 ケーシング
3 架台
4 陳列棚
4a ナイトカバー
5 カバーパネル
5a 開口部
6 凝縮器
7 通気孔
8 ダストボックス
8a 取っ手部
8b ロック機構
8c つまみ部
8d 開口
8e 蓋体
8f 底面
8g 壁体
9 フィルター体
9a フィルター
9b 格子枠
10 フィルター清掃装置
11 除塵体
11a ブラシ
12 回転清掃体
12a 回転軸
13 塵埃
14 除去体
15 マイコン
16 電源
17 モータ
18a、18b、18c、18d ギア
19 タイミングベルト
20 フィルター清掃ユニット
21 ラック
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図4(d)】
図4(e)】
図5
図6
図7