(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】電動工具、電動工具システム、電動工具に用いられるアダプタ、及びアダプタ付き電池パック
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20231006BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231006BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20231006BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
B25F5/00 H
B25F5/00 C
B25F5/00 G
H01M10/48 P
H01M50/20
H02J7/00 301A
(21)【出願番号】P 2019180744
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 雄大
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅道
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 昌彰
(72)【発明者】
【氏名】田中 尚武
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0082920(US,A1)
【文献】国際公開第2010/092885(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00 - 5/02
H01M 50/20
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具本体と、
前記工具本体に接続される第1端子、及び電池パックに接続される第2端子を有し、前記第2端子に接続された前記電池パックからの電力を用いて、前記第1端子に接続された前記工具本体へ給電するアダプタと、
を備え、
前記アダプタは、
集塵装置に接続される第3端子を更に備え、
前記第2端子に接続された前記電池パックからの電力を用いて、前記第3端子に接続された前記集塵装置へ給電
し、
前記集塵装置は、前記工具本体が取り付けられる嵌合部を有し、
前記アダプタでは、前記第1端子が前記工具本体に接続された状態において前記工具本体が前記嵌合部に取り付けられると、前記集塵装置に対する前記第3端子の接続が完了する位置に、前記第3端子が配置されている、
電動工具。
【請求項2】
前記アダプタは、
前記工具本体、前記集塵装置、及び前記電池パック以外の機器が接続される第4端子を、更に有し、
前記第2端子に接続された前記電池パックからの電力を用いて、前記第4端子に接続された前記機器へ給電する、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記工具本体は、工具側端子と、前記工具本体の動作を制御する工具側制御部と、を有し、
前記電池パックは、電池側端子と、電池と、前記電池からの電力を制御する電池側制御部と、を有し、
前記工具側端子は、前記第1端子及び前記電池側端子のいずれかに選択的に接続され、
前記電池側端子は、前記第2端子及び前記工具側端子のいずれかに選択的に接続され、
前記アダプタは、前記第1端子及び前記第2端子に電気的に接続されるアダプタ制御部を有し、
前記アダプタ制御部は、
前記第1端子に前記工具側端子が接続されると、前記工具本体に前記電池パックが接続されていると前記工具側制御部に認識させ、
前記第2端子に前記電池側端子が接続されると、前記電池パックに前記工具本体が接続されていると前記電池側制御部に認識させる、
請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動工具と、
前記電池パックと、
を備える、
電動工具システム。
【請求項5】
工具本体に接続される第1端子、及び電池パックに接続される第2端子を有し、前記第2端子に接続された前記電池パックからの電力を用いて、前記第1端子に接続された前記工具本体へ給電するアダプタであって、
前記アダプタは、
集塵装置に接続される第3端子を更に備え、
前記第2端子に接続された前記電池パックからの電力を用いて、前記第3端子に接続された前記集塵装置へ給電し、
前記集塵装置は、前記工具本体が取り付けられる嵌合部を有し、
前記アダプタでは、前記第1端子が前記工具本体に接続された状態において前記工具本体が前記嵌合部に取り付けられると、前記集塵装置に対する前記第3端子の接続が完了する位置に、前記第3端子が配置されている、
アダプタ。
【請求項6】
工具本体に接続される第1端子、及び電池パックに接続される第2端子を有し、前記第2端子に接続された前記電池パックからの電力を用いて、前記第1端子に接続された前記工具本体へ給電するアダプタと、
前記電池パックと、
を備え、
前記アダプタは、
集塵装置に接続される第3端子を更に備え、
前記第2端子に接続された前記電池パックからの電力を用いて、前記第3端子に接続された前記集塵装置へ給電し、
前記集塵装置は、前記工具本体が取り付けられる嵌合部を有し、
前記アダプタでは、前記第1端子が前記工具本体に接続された状態において前記工具本体が前記嵌合部に取り付けられると、前記集塵装置に対する前記第3端子の接続が完了する位置に、前記第3端子が配置されている、
アダプタ付き電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動工具、電動工具システム、電動工具に用いられるアダプタ、及びアダプタ付き電池パックに関する。より詳細には、集塵装置が接続可能な電動工具、電動工具システム、電動工具に用いられるアダプタ、及びアダプタ付き電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電動工具を開示する。
【0003】
特許文献1記載の電動工具は、工具本体と、工具本体に取り外し可能に取り付けられるアタッチメントと、を備えている。
【0004】
工具本体は、電池パックを工具本体に接続するための電源接続部と、アタッチメントを工具本体に接続するためのアタッチメント接続部と、を備えている。アタッチメントは、アタッチメントを工具本体に接続するための本体接続部を備えている。アタッチメントは、例えば集塵装置である。集塵装置の動作部としての吸引装置は、工具本体から供給される電力により動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている電動工具では、集塵装置は、アタッチメント接続部を備えた工具本体から給電されている。そのため、この電動工具では、集塵装置を、専用の接続部(アタッチメント接続部)を備えていない工具本体とともに用いることはできない。
【0007】
本開示は、工具本体が集塵装置用の接続部を備えていなくても、集塵装置を動作させることが可能な電動工具、電動工具システム、電動工具に用いられるアダプタ、及びアダプタ付き電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る電動工具は、工具本体と、アダプタと、を備える。前記アダプタは、前記工具本体に接続される第1端子、及び電池パックに接続される第2端子を有する。前記アダプタは、前記第2端子に接続された前記電池パックからの電力を用いて、前記第1端子に接続された前記工具本体へ給電する。前記アダプタは、集塵装置に接続される第3端子を更に備える。前記アダプタは、前記第2端子に接続された前記電池パックからの電力を用いて、前記第3端子に接続された前記集塵装置へ給電する。前記集塵装置は、前記工具本体が取り付けられる嵌合部を有する。前記アダプタでは、前記第1端子が前記工具本体に接続された状態において前記工具本体が前記嵌合部に取り付けられると、前記集塵装置に対する前記第3端子の接続が完了する位置に、前記第3端子が配置されている。
【0009】
本開示の一態様に係る電動工具システムは、前記電動工具と、前記電池パックと、を備える。
【0010】
本開示の一態様に係るアダプタは、工具本体に接続される第1端子、及び電池パックに接続される第2端子を有し、前記第2端子に接続された前記電池パックからの電力を用いて、前記第1端子に接続された前記工具本体へ給電するアダプタである。前記アダプタは、集塵装置に接続される第3端子を更に備える。前記アダプタは、前記第2端子に接続された前記電池パックからの電力を用いて、前記第3端子に接続された前記集塵装置へ給電する。前記集塵装置は、前記工具本体が取り付けられる嵌合部を有する。前記アダプタでは、前記第1端子が前記工具本体に接続された状態において前記工具本体が前記嵌合部に取り付けられると、前記集塵装置に対する前記第3端子の接続が完了する位置に、前記第3端子が配置されている。
【0011】
本開示の一態様に係るアダプタ付き電池パックは、工具本体に接続される第1端子、及び電池パックに接続される第2端子を有し、前記第2端子に接続された前記電池パックからの電力を用いて、前記第1端子に接続された前記工具本体へ給電するアダプタと、前記電池パックと、を備える。前記アダプタは、集塵装置に接続される第3端子を更に備える。前記アダプタは、前記第2端子に接続された前記電池パックからの電力を用いて、前記第3端子に接続された前記集塵装置へ給電する。前記集塵装置は、前記工具本体が取り付けられる嵌合部を有する。前記アダプタでは、前記第1端子が前記工具本体に接続された状態において前記工具本体が前記嵌合部に取り付けられると、前記集塵装置に対する前記第3端子の接続が完了する位置に、前記第3端子が配置されている。
【発明の効果】
【0012】
本開示は、工具本体が集塵装置用の接続部を備えていなくても、集塵装置を動作させることが可能となるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電動工具システムの概略を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の電動工具システムを示す側面図である。
【
図3】
図3は、同上の電動工具システムに用いられる集塵装置を示す断面図である。
【
図4】
図4は、同上の集塵装置を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の集塵装置に備えられる集塵容器を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、同上の電動工具システムに用いられる電池パック及びアダプタを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、変形例に係る電動工具システムに用いられるアダプタの概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態に係る電動工具システムについて、添付の図面を参照して説明する。ただし、下記の各実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の各実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の各実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0015】
(1)実施形態
(1.1)概要
本実施形態の電動工具システムは、
図1に示すように、電動工具1と、電池パック4と、を備える。電動工具1は、工具本体2と、アダプタ3と、集塵装置5と、を備える。
【0016】
アダプタ3は、第1端子31及び第2端子32を有する。第1端子31は、工具本体2に接続される。第2端子32は、電池パック4に接続される。アダプタ3は、第2端子32に接続された電池パック4からの電力を用いて、第1端子31に接続された工具本体2へ給電する。
【0017】
アダプタ3は、第3端子33を更に備える。第3端子33は、集塵装置5に接続される。第3端子33は、第1端子31及び第2端子32に工具本体2及び電池パック4がそれぞれ接続された状態で、集塵装置5に接続され得る。アダプタ3は、第2端子32に接続された電池パック4からの電力を用いて、第3端子33に接続された集塵装置5へ給電する。
【0018】
本実施形態の電動工具1によれば、工具本体2が集塵装置5用の接続部を備えていなくても、電池パック4からの電力をアダプタ3を経由して集塵装置5へ供給させることで、集塵装置5を動作させることが可能となる、という利点がある。なお、集塵装置5は、電動工具1の構成要素に含まれなくてもよい。
【0019】
(1.2)構成
本実施形態の電動工具1及び電動工具システムについて、
図1~
図6を参照して、より詳細に説明する。なお、
図1では、電気的な接続を実線で示し、物理的な接続(或いは空間的なつながり)を点線で示してある。
【0020】
上述のように、電動工具システムは、電動工具1と電池パック4とを備えている。電動工具1は、工具本体2と、アダプタ3と、集塵装置5と、を備えている。
【0021】
以下では、電動工具1(及び電動工具システム)の方向を、
図2に図示されている上下及び前後の矢印の方向で規定して説明する。なお、左方向は、
図2の紙面垂直方向において奥側から手前側に向く方向であり、右方向は、
図2の紙面垂直方向において手前側から奥側に向く方向とする。これらの矢印は、単に説明を補助する目的で記載しているに過ぎず、実体を伴わない。また、これらの方向は、電動工具1の使用方向を限定する趣旨ではない。
【0022】
(1.2.1)工具本体
工具本体2は、先端工具29を駆動して加工対象物を加工するよう構成される。加工対象物は、例えばコンクリート又は木材等である。より詳細には、工具本体2は、例えばハンマドリルであり、先端工具29による回転切削によって加工対象物に孔を形成したり、先端工具29によって加工対象物に打撃を加えて加工対象物を破砕したりする。なお、ここでは、回転切削とは、先端工具29を回転させながら加工対象物を切削することを意味する。
【0023】
図1に示すように、工具本体2は、スピンドル21と、チャック部22と、モータ23と、伝達機構24と、工具側端子25と、トリガスイッチ(操作部)26と、工具側制御部27と、を備えている。また、
図2に示すように、工具本体2は、ハウジング20を備えている。
【0024】
ハウジング20は、工具本体2の外郭を構成する。
図2に示すように、ハウジング20は、主胴部201と、把持部202と、電源装着部203と、連結部204と、を有する。
【0025】
主胴部201は、前後方向に延びた筒状である。主胴部201の内部には、スピンドル21と、伝達機構24と、モータ23とが、前方からこの順で収容されている。
【0026】
把持部202は、作業者によって把持される部分である。把持部202は、上下方向に延びた筒状である。把持部202は、主胴部201の下面中央部から下方に延びている。把持部202には、トリガスイッチ26が設けられている。
【0027】
電源装着部203は、把持部202の下端に設けられている。電源装着部203には、電池パック4の筐体40が、着脱可能に機械的に装着される。電源装着部203の下面には、筐体40を電源装着部203に装着させるための第1取付構造が設けられている。また、後述のように、電源装着部203には、アダプタ3のハウジング30が、着脱可能に機械的に装着される。電源装着部203の下面には、工具側端子25が設けられている。
【0028】
工具側端子25は、電池パック4が電源装着部203(第1取付構造)に装着された状態で、電池パック4に設けられた電池側端子41(後述)と電気的に接続可能である。この接続により、電池パック4の電力が工具本体2に供給可能となる。また、工具側端子25は、アダプタ3が電源装着部203に装着された状態で、アダプタ3に設けられた第1端子31(後述)と電気的に接続可能である。この接続により、アダプタ3に接続された電池パック4の電力が、アダプタ3を介して工具本体2に供給可能となる。
【0029】
工具側端子25は、電池パック4から電力を受け取るための受電用端子と、電池パック4との間で通信信号を送受信するための通信用端子と、を含む。通信信号で送信される情報の例は、工具本体2の識別情報、工具本体2の型番、工具本体2の定格電流等を含む。
【0030】
連結部204は、上下方向に延びた筒状である。連結部204は、主胴部201の下面前端部と電源装着部203の上面前端部とをつないでいる。連結部204には、ホルダが設けられていてもよい。ホルダには、例えば、特殊な形状の先端工具29をチャック部22に装着するために用いられるアダプタが、取り外し可能に収納され得る。
【0031】
スピンドル21は、先端工具29を保持する部分である。スピンドル21は、その中心軸が前後方向に沿うように、主胴部201の内部の前部に配置されている。スピンドル21の先端部には、チャック部22が設けられている。チャック部22は、スピンドル21が先端工具29を保持する状態をロックし、及びそのロックを解除する部分である。
【0032】
モータ23は、スピンドル21に保持された先端工具29を駆動させるための駆動源である。モータ23は、電池パック4からの電力によって駆動される。
【0033】
伝達機構24は、モータ23の回転出力をスピンドル21に伝達する機構である。伝達機構24は、主胴部201の内部において、モータ23とスピンドル21との間に配置されている。伝達機構24は、回転機構241と、打撃機構242とを有する。回転機構241は、モータ23の回転出力に応じてスピンドル21を回転させることで、先端工具29を回転駆動させる。打撃機構242は、モータ23の回転出力を往復運動に変換し、その往復運動によってスピンドル21を後ろ側から打撃することで、先端工具29を打撃駆動させる。打撃駆動とは、先端工具29を、加工対象物に打撃を与えるように駆動させることである。
【0034】
工具側制御部27は、例えば基板に設けられた複数の電子部品から構成される。基板は、例えば把持部202内に配置される。基板は、電源装着部203内に配置されてもよい。工具側制御部27は、工具側端子25に接続されている。工具側制御部27には、工具側端子25に接続された電池パック4から、工具側端子25の受電用端子を介して、動作用の電力が供給される。工具側制御部27は、トリガスイッチ26からの操作量信号からトリガスイッチ26の操作量を判断し、その操作量に応じてモータ23の回転速度を制御する。また、工具側制御部27は、工具側端子25の通信用端子を介して、電池パック4との間で通信信号を送受信する。
【0035】
(1.2.2)電池パック
電池パック4は、工具本体2及び集塵装置5に、動作用の電力を供給する。
【0036】
図1に示すように、電池パック4は、電池側端子41と、電池42と、電池側制御部43と、を備えている。また、
図2に示すように、電池パック4は、電池側端子41、電池42及び電池側制御部43が収容される筐体40を備えている。
【0037】
電池パック4の筐体40は、工具本体2の電源装着部203に機械的に装着可能に形成されている。筐体40の上面には、筐体40を電源装着部203に装着するための第2取付構造が設けられている。筐体40の第2取付構造と電源装着部203の第1取付構造とが、例えば互いに嵌まり合うことで、筐体40が電源装着部203に取り付けられる。また、後述のように、筐体40には、アダプタ3のハウジング30が機械的に装着可能である。筐体40の上面には、電池側端子41が設けられている。
【0038】
電池側端子41は、筐体40(第2取付構造)を電源装着部203(第1取付構造)に装着した状態で、工具本体2の工具側端子25に電気的に接続される。また、電池側端子41は、筐体40をアダプタ3に装着した状態で、アダプタ3の第2端子32(後述)に電気的に接続される。
【0039】
電池側端子41は、工具本体2へ電力を供給するための給電用端子と、工具本体2との間で通信信号を送受信するための通信用端子と、を含む。通信信号で送信される情報の例は、電池パック4の識別情報、電池42の定格電圧、電池42の残容量等を含む。
【0040】
電池42は、一又は複数の充電可能な二次電池を備える。二次電池は、例えばリチウムイオン電池である。リチウムイオン電池の定格電圧は、3.6Vである。例えば、電池42が、4つのリチウムイオン電池の直列回路を含む場合、電池パック4の定格電圧は14.4Vである。電池42が、5つのリチウムイオン電池の直列回路を含む場合、電池パック4の定格電圧は18.0Vである。
【0041】
電池側制御部43は、電池側端子41及び電池42に接続されている。電池側制御部43は、例えば基板に設けられた複数の電子部品から構成される。基板は、筐体40内に配置される。電池側制御部43は、電池42の動作を制御するための充放電回路を構成する。充放電回路は、電池42からの電力を電池側端子41から出力させる機能(放電機能)と、外部電源からの電力により電池42を充電させる機能(充電機能)と、を有している。また、電池側制御部43は、電池側端子41の通信用端子を介して、工具本体2との間で通信信号を送受信する。
【0042】
(1.2.3)集塵装置
集塵装置5は、工具本体2に着脱可能に装着される。集塵装置5は、工具本体2にアダプタ3及び電池パック4を取り付けた状態で、工具本体2に装着可能である。集塵装置5は、先端工具29が加工対象物に対して回転切削又は打撃を行うことで加工対象物から発生した粉塵を収集するための装置である。
【0043】
図1に示すように、集塵装置5は、集塵モータ51と、吸引ファン52と、装置側端子53と、集塵容器54と、粉塵移送部55と、粉塵吸引部56と、を備えている。また、
図2~
図4に示すように、集塵装置5は、ハウジング50を備えている。
【0044】
ハウジング50は、集塵装置5の外郭を構成する。
図3に示すように、ハウジング50には、集塵モータ51及び吸引ファン52が収容される。また、ハウジング50には、集塵容器54が取り外し可能に収容される。
【0045】
図3、
図4に示すように、ハウジング50は、嵌合凹部(嵌合部)501と、モータ収容部502と、容器収容凹部503と、を有している。
【0046】
嵌合凹部501は、工具本体2が着脱可能に取り付けられる部分である。嵌合凹部501は、ハウジング50の後部において、上下方向に沿って設けられている。嵌合凹部501には、工具本体2にアダプタ3及び電池パック4が連結された状態で、工具本体2の連結部204、及びアダプタ3の前部が嵌め込まれる。嵌合凹部501の底面(すなわちハウジング50の後部)に、装置側端子53が設けられている。
【0047】
装置側端子53は、ハウジング50の嵌合凹部501の底面において、後方に露出している。装置側端子53は、集塵モータ51と電気的に接続されている。装置側端子53は、嵌合凹部501に、アダプタ3が取り付けられた工具本体2が装着された状態で、アダプタ3の第3端子33(後述)と電気的に接続される。
【0048】
モータ収容部502は、集塵モータ51を収容する部分(壁で仕切られた空間)である。ここでは、モータ収容部502には、吸引ファン52も収容されている。モータ収容部502は、ハウジング50において、前下側に設けられている。モータ収容部502は、ハウジング50の側面に設けられた所定の排気口によって、外部の空間と繋がっている。
【0049】
集塵モータ51は、集塵装置5の駆動源である。集塵モータ51は、ハウジング50のモータ収容部502内に配置されている(
図3参照)。集塵モータ51の回転軸部は、左右方向に延びている。集塵モータ51の回転軸部の先端部には、吸引ファン52が固定されている。集塵モータ51は、装置側端子53と電気的に接続されており、装置側端子53から供給される電力によって回転駆動される。集塵モータ51が回転駆動することで吸引ファン52が回転され、この回転によって集塵装置5の吸引力が発生する。
【0050】
容器収容凹部503は、集塵容器54を収容するための凹部である。容器収容凹部503は、前後方向において、嵌合凹部501とモータ収容部502との間に位置している。容器収容凹部503は、ハウジング50の下面に形成されている。容器収容凹部503は、ハウジング50の上方に向かって窪んでいる。容器収容凹部503は、左右方向に沿った方向(
図3の紙面垂直方向)から見て、例えば台形状である。
【0051】
容器収容凹部503の上面には、流入口5031が設けられている。流入口5031は、集塵装置5が吸引した空気を容器収容凹部503の内部に流入させるための開口である。流入口5031は、粉塵移送部55の固定筒部552につながっている。
【0052】
容器収容凹部503の前面には、流出口5032が設けられている。流出口5032は、容器収容凹部503に流入した空気を容器収容凹部503の外部に排気するための開口である。流出口5032は、モータ収容部502とつながっている。
【0053】
集塵容器54が容器収容凹部503に収容された状態では、集塵容器54の下部は、ハウジング50の外部に露出するとともにハウジング50の外郭の一部を構成する(
図3参照)。集塵装置5では、集塵容器54は、ハウジング50の外部から容器収容凹部503に対して出し入れ可能(すなわち着脱可能)である。
【0054】
集塵容器54は、集塵装置5が吸引した粉塵を回収する(すなわち溜める)容器である。集塵容器54は、ハウジング50の容器収容凹部503の内部に配置される(
図3参照)。集塵容器54は、上述のようにハウジング50に対して外部から着脱可能である。集塵容器54は、容器収容凹部503と同形同大の形状(すなわち左右方向から見て台形状の箱状)であり、容器収容凹部503の内部に嵌り合って収容される。
【0055】
図5に示すように、集塵容器54は、容器本体541と、集塵フィルタ546と、を有する。
【0056】
容器本体541は、左右方向から見て台形状の箱状である。容器本体541には、流入口5411及び流出口5412が設けられている。流入口5411は、集塵装置5が吸引した空気を集塵容器54の内部に流入させるための開口である。流入口5411は、容器本体541の上面に設けられている。集塵容器54がハウジング50に取り付けられた状態で、集塵容器54の流入口5411は、容器収容凹部503の流入口5031と対向する。流出口5412は、集塵容器54に流入した空気を集塵容器54の外部に排気するための開口である。流出口5412は、容器本体541の前面に設けられている。集塵容器54がハウジング50に取り付けられた状態で、集塵容器54の流出口5412は、容器収容凹部503の流出口5032と対向する。集塵フィルタ542は、容器本体541の内部において流出口5412を塞ぐように配置されている。
【0057】
この集塵容器54では、流入口5411から流入した空気は、集塵容器54の集塵フィルタ542を通過して流出口5412から容器本体541の外部に排気される。また、流入口5411から容器本体541に流入した空気に含まれる粉塵は、集塵フィルタ542で空気から分離されて、容器本体541の内部に溜まる。
【0058】
粉塵移送部55は、集塵装置5が吸引した含塵空気をハウジング50の容器収容凹部503まで移送する部分である。
【0059】
図3に示すように、粉塵移送部55は、可動筒部551と、固定筒部552と、ホース553と、を備えている。
【0060】
可動筒部551は、筒状である。可動筒部551は、先端工具29の長軸方向(前後方向)に延びている。可動筒部551は、その後端が、ハウジング50の上部の前面に設けられた開口内に収容されており、ハウジング50の前面から前方へ突出するようにハウジング50に設けられている。可動筒部551は、ハウジング50に対して前後方向に移動可能に支持されている。可動筒部551は、後方へ移動するとハウジング50内に収容され(
図2参照)、前方へ移動するとハウジング50から前方へ突出する(
図3参照)ように、構成されている。可動筒部551の前後方向の移動は、ハウジング50の内壁に設けられたガイド機構によってガイドされている。可動筒部551の前端の開口には、粉塵吸引部56の後述の吸引筒部562が設けられている。
【0061】
固定筒部552は、ハウジング50内に配置されている。固定筒部552は、屈曲した筒状である。固定筒部552は、前方に開口する入口と、下方に開口する出口とを有している。固定筒部552の出口(開口)は、ハウジング50の容器収容凹部503の上面の流入口5031に連結されている。
【0062】
ホース553は、蛇腹状のホースである。ホース553は、前後方向に延びており、前後方向に伸縮可能である。ホース553は、その前側部分が、可動筒部551内に収容されている。ホース553の前端の開口は、可動筒部551の前端の開口の内部に配置された連結筒部563(後述)に連結されている。ホース553の後端の開口は、固定筒部552の入口(開口)に連結されている。
【0063】
粉塵吸引部56は、粉塵を吸引する部分である。粉塵吸引部56は、吸引部本体561と、吸引筒部562と、連結筒部563と、ゴムカバー564と、を備えている。
【0064】
吸引部本体561は、上下方向に延び下端において後方に開口した筒状である。吸引部本体561の下端の開口は、粉塵移送部55の可動筒部551の前端部につながっている。
【0065】
連結筒部563は、前後方向に延びた短尺の筒状である。連結筒部563は、吸引部本体561の下端の開口よりも一回り小さな径を有し、吸引部本体561の下端の開口内に配置されている。連結筒部573の内部空間は、吸引部本体571の内部空間とつながっている。連結筒部563の外側面と、吸引部本体561の下端の開口との間の隙間は、閉塞されている。連結筒部563の後端には、ホース553の前端が連結される。
【0066】
吸引筒部562は、前後方向に延びた短尺の筒状である。吸引筒部562は、下面が開口している。吸引筒部562の下面の開口に、吸引部本体571の上端の開口が連結している。吸引筒部562の内部空間は、吸引部本体561の内部空間とつながっている。吸引筒部562の前端の開口は、粉塵を吸引する吸塵口560として機能する。吸引筒部562の後端の開口には、ゴムカバー564が取り付けられている。
【0067】
ゴムカバー564には、中心から径方向に沿って切れ目が設けられており(
図4参照)、先端工具29が貫通可能である。集塵装置5が工具本体2に装着された状態では、先端工具29の先端部分は、ゴムカバー564を貫通して吸塵口560から前方に突出する。吸引筒部562は、この先端工具29の突出部分の周囲を包囲する。
【0068】
この集塵装置5では、集塵モータ51の回転駆動により吸引ファン52が回転する。この回転によって、モータ収容部502の内部の空気がハウジング50の排気口から外部に排気される。これにより、モータ収容部502内の気圧が下がり、粉塵吸引部56の吸塵口560の周辺の空気が、吸塵口560から粉塵吸引部56、ホース553、固定筒部552、集塵容器54を経由してモータ収容部502に吸引される。この結果、先端工具29が加工対象物を加工したときに発生した粉塵が、上記の吸引される空気と一緒に集塵容器54まで移送される。そして、集塵容器54の集塵フィルタ542によって空気と粉塵とが分離され、粉塵が集塵容器54の内部に溜められる。
【0069】
また、
図3、
図4に示すように、この集塵装置5では、ハウジング50が、採光窓部504と露出窓部505とを有している。採光窓部504及び露出窓部505は、開口であってもよいし、透明(半透明を含む)な部材で閉塞されていてもよい。また、
図3、
図5に示すように、集塵容器54は、透光部544と、窓部545と、を有している。透光部544及び窓部545は、透明(半透明を含む)な部材で形成されている。集塵容器54が容器収容凹部503内に収容された状態で、採光窓部504と透光部544とが対向し(
図3参照)、露出窓部505と窓部545とが対向する。
【0070】
採光窓部504及び透光部544は、工具本体2の前面に照明部が設けられている場合に、この照明部からの光を集塵容器54内に取り入れるために設けられている。露出窓部505及び窓部545は、作業者が、集塵容器54の内部に溜まった粉塵の量(集塵量)を視認できるように設けられている。この集塵装置5では、工具本体2の照明部を点灯させると、照明部の光によって集塵容器54の内部を照らすことができる。そのため、暗い場所であっても、工具本体2の照明部を点灯させることで、作業者は、外部から露出窓部505及び窓部545を通して集塵容器54の内部の集塵量を確認することができる。
【0071】
(1.2.4)アダプタ
アダプタ3は、工具本体2、電池パック4、及び集塵装置5に着脱可能に装着される。アダプタ3は、電池パック4からの電力を用いて、工具本体2へ給電する装置である。また、アダプタ3は、電池パック4からの電力を用いて、集塵装置5へ給電する装置である。
【0072】
図1に示すように、アダプタ3は、第1端子31と、第2端子32と、第3端子33と、アダプタ制御部34と、を備えている。また、
図2、
図6に示すように、アダプタ3は、ハウジング30を備えている。
【0073】
図6に示すように、ハウジング30は、矩形の箱状に形成されている。
【0074】
ハウジング30は、その上面に、第3取付構造が設けられている。ハウジング30の第3取付構造は、電池パック4の筐体40の第2取付構造と略同一の構造である。そのため、ハウジング30の第3取付構造は、工具本体2の電源装着部203の第1取付構造に対して嵌合可能である。第3取付構造が第1取付構造に嵌め合わされることで、アダプタ3のハウジング30が工具本体2のハウジング20に装着される。
【0075】
ハウジング30の上面には、第1端子31が設けられている。第1端子31は、ハウジング30(第3取付構造)を電源装着部203(第1取付構造)に装着した状態で、工具本体2の工具側端子25に電気的に接続される。第1端子31は、工具本体2へ電力を供給するための給電用端子と、工具本体2との間で通信信号を送受信するための通信用端子と、を含む。
【0076】
ハウジング30は、その下面に、第4取付構造が設けられている。ハウジング30の第4取付構造は、工具本体2の電源装着部203の第1取付構造と略同一の構造である。そのため、ハウジング30の第4取付構造は、電池パック4の筐体40の第2取付構造に対して嵌合可能である。第4取付構造が第2取付構造に嵌め合わされることで、アダプタ3のハウジング30が電池パック4の筐体40に装着される。
【0077】
ハウジング30の下面には、第2端子32が設けられている。第2端子32は、ハウジング30(第4取付構造)を筐体40(第2取付構造)に装着した状態で、電池パック4の電池側端子41に電気的に接続される。第2端子32は、電池パック4から電力を受け取るための受電用端子と、電池パック4との間で通信信号を送受信するための通信用端子と、を含む。
【0078】
ハウジング30の前面には、第3端子33が設けられている。第3端子33は、アダプタ3が取り付けられた工具本体2を集塵装置5に装着した状態で、集塵装置5の装置側端子53に電気的に接続され得る。第3端子33は、ハウジング30において、第1端子31が工具本体2に接続された状態において工具本体2が嵌合凹部501に取り付けられると、集塵装置5に対する第3端子33の接続が完了する位置に、配置されている。第3端子33は、集塵装置5へ電力を供給するための給電用端子を含む。
【0079】
アダプタ制御部34は、例えば基板に設けられた複数の電子部品から構成される。基板は、ハウジング30内に配置される。アダプタ制御部34は、第1端子31、第2端子32、及び第3端子33に接続されている。アダプタ制御部34には、第2端子32に接続された電池パック4から、第2端子32の受電用端子を介して、動作用の電力が供給される。
【0080】
アダプタ制御部34は、第1端子31の通信用端子を介して、工具本体2の工具側端子25の通信用端子から通信信号を受け取ると、第2端子32の通信用端子を介して、電池パック4の電池側端子41の通信用端子へ通信信号を転送する。また、アダプタ制御部34は、第2端子32の通信用端子を介して、電池パック4の電池側端子41の通信用端子から通信信号を受け取ると、第1端子31の通信用端子を介して、工具本体2の工具側端子25の通信用端子へ通信信号を転送する。
【0081】
例えば、工具本体2は、第1取付構造にアダプタ3又は電池パック4が取り付けられると、工具側端子25から識別信号を送信する。アダプタ制御部34は、第1端子31を介して識別信号を受信すると、この識別信号を第2端子32を介して電池パック4へ転送する。そのため、電池パック4は、工具本体2に直接取り付けられている場合は工具側端子25から直接、アダプタ3を介して工具本体2に取り付けられている場合は第2端子32から、識別信号を受信することとなる。また、電池パック4は、受信した識別信号に応じて、電池側端子41から返信信号を送信する。アダプタ制御部34は、第2端子32を介して返信信号を受信すると、この返信信号を第1端子31を介して工具本体2へ転送する。そのため、工具本体2は、電池パック4が直接取り付けられている場合は電池側端子41から直接、アダプタ3を介して電池パック4が取り付けられている場合は第1端子31から、返信信号を受信することとなる。
【0082】
すなわち、工具本体2の工具側制御部27は、アダプタ3を介して工具本体2に電池パック4が装着されている状態において工具側端子25から通信信号を送信すると、電池パック4が直接装着されている場合と同じ返信(通信信号)を受け取る。つまり、工具側制御部27は、工具本体2に直接電池パック4が装着されている場合であっても、工具本体2に電池パック4がアダプタ3を介して装着されている場合であっても、工具側端子25から送信した通信信号に対して、同一の返信を受け取ることとなる。要するに、アダプタ制御部34は、第1端子31に工具側端子25が接続されると、工具本体2に電池パック5が接続されていると工具側制御部27に認識させる、と言える。そのため、電池パック4が直接装着される(アダプタ3を介さずに電池パック4が装着される)ことを想定して製造された工具本体2に、不具合なく、アダプタ3を介して電池パック4を装着させることができる。
【0083】
また、電池パック4の電池側制御部43は、アダプタ3を介して電池パック4が工具本体2に装着されている状態において電池側端子41から通信信号を送信すると、工具本体2に直接装着されている場合と同じ返信(通信信号)を受け取る。つまり、電池側制御部43は、電池パック4が工具本体2に直接装着されている場合であっても、電池パック4がアダプタ3を介して工具本体2に装着されている場合であっても、電池側端子41から送信した通信信号に対して、同一の返信を受け取ることとなる。要するに、アダプタ制御部34は、第2端子32に電池側端子41が接続されると、電池パック4に工具本体2が接続されていると電池側制御部43に認識させる、と言える。そのため、工具本体2に直接装着される(アダプタ3を介さずに工具本体2に装着される)ことを想定して製造された電池パック4を、不具合なく、アダプタ3を介して工具本体2に装着させることができる。
【0084】
また、アダプタ制御部34は、工具本体2から、集塵装置5の集塵モータ51を駆動することを指示する通信信号(駆動指示信号)を受信すると、第3端子33から集塵装置5へ給電する。駆動指示信号は、専用の信号でなくてもよく、例えば、工具本体2から電池パック4に対して送信される、モータ23への電力供給を指示する信号が流用されてもよい。
【0085】
上述のように、本実施形態の電動工具1は、アダプタ3を備えていることで、工具本体2が集塵装置5用の接続部を備えていなくても、集塵装置5を動作させることが可能となる。
【0086】
(2)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。なお、以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0087】
一変形例において、
図7に示すように、アダプタ3は、第4端子35を更に有していてもよい。第4端子35は、機器(以下、「他機器」ともいう)が接続される端子である。他機器は、工具本体2、集塵装置5、及び電池パック4以外の機器(工具本体2でも集塵装置5でも電池パック4でもない機器)である。アダプタ3は、第2端子32に接続された電池パック4からの電力を用いて、第4端子35に接続された機器(他機器)へ給電する。第4端子35は、例えばUSB(Universal Serial Bus)端子である。第4端子35は、ハウジング30の任意の位置に設けられ得る。第4端子35は、例えば、ハウジング30の後面に設けられてもよい。第4端子35は、アダプタ3に工具本体2、電池パック4及び集塵装置5が装着された状態で外部に露出するハウジング30の面に設けられていることが好ましい。第4端子35は、
図7ではアダプタ制御部34に接続されているが、これに限らず、第2端子32に接続されていてもよい。
【0088】
一変形例において、工具本体2は、複数の工具本体の候補から選択された一つの工具本体であってもよい。複数の工具本体の候補の各々は、アダプタ3を装着可能な電源装着部203を備えていればよい。
【0089】
一変形例において、電池パック4は、複数の電池パックの候補から選択された一つの電池パックであってもよい。複数の電池パックの候補の各々は、アダプタ3を装着可能であればよい。
【0090】
一変形例において、第3端子33は、ハウジング30の任意の位置に設けられて、例えばハーネスにより装置側端子53に接続されてもよい。
【0091】
一変形例において、嵌合凹部501は、工具本体2(或いはその一部)のみを収容可能な形状であってもよいし、工具本体2、アダプタ3及び電池パック4(或いはそれらの一部)を収容可能な形状であってもよい。
【0092】
一変形例において、工具側制御部27、アダプタ制御部34及び電池側制御部43の少なくとも1つは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムを含んでもよい。プロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成されてもよい。LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。
【0093】
(3)まとめ
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
【0094】
第1の態様の電動工具(1)は、工具本体(2)と、アダプタ(3)と、を備える。アダプタ(3)は、工具本体(2)に接続される第1端子(31)、及び電池パック(4)に接続される第2端子(32)を有する。アダプタ(3)は、第2端子(32)に接続された電池パック(4)からの電力を用いて、第1端子(31)に接続された工具本体(2)へ給電する。アダプタ(3)は、集塵装置(5)に接続される第3端子(33)を更に備える。アダプタ(3)は、第2端子(32)に接続された電池パック(4)からの電力を用いて、第3端子(33)に接続された集塵装置(5)へ給電する。
【0095】
この態様によれば、工具本体(2)が集塵装置(5)用の接続部を備えていなくても、集塵装置(5)を動作させることが可能となるという利点がある。
【0096】
第2の態様の電動工具(1)では、第1の態様において、集塵装置(5)は、工具本体(2)が取り付けられる嵌合部(501)を有する。アダプタ(3)では、第1端子(31)が工具本体(2)に接続された状態において工具本体(2)が嵌合部(501)に取り付けられると、集塵装置(5)に対する第3端子(33)の接続が完了する位置に、第3端子(33)が配置されている。
【0097】
この態様によれば、アダプタ(3)が接続された工具本体(2)を、嵌合部(501)に取り付けるだけで、アダプタ(3)と集塵装置(5)との接続を行うことが可能となる。
【0098】
第3の態様の電動工具(1)では、第1又は第2の態様において、アダプタ(3)は、第4端子を更に有する。第4端子には、工具本体(2)、集塵装置(5)及び電池パック(4)以外の機器(他機器)が接続される。アダプタ(3)は、第2端子(32)に接続された電池パック(4)からの電力を用いて、第4端子に接続された機器(他機器)へ給電する。
【0099】
この態様によれば、電池パック(4)の電力を用いて、他機器に電力を供給することが可能となる。
【0100】
第4の態様の電動工具(1)では、第1~第3のいずれか1つの態様において、工具本体(2)は、工具側端子(25)と、工具本体(2)の動作を制御する工具側制御部(27)と、を有する。電池パック(4)は、電池側端子(41)と、電池(42)と、電池(42)からの電力を制御する電池側制御部(43)と、を有する。工具側端子(25)は、第1端子(31)及び電池側端子(41)のいずれかに選択的に接続される。電池側端子(41)は、第2端子(32)及び工具側端子(25)のいずれかに選択的に接続される。アダプタ(3)は、第1端子(31)及び第2端子(32)に電気的に接続されるアダプタ制御部(34)を有する。アダプタ制御部(34)は、第1端子(31)に工具側端子(25)が接続されると、工具本体(2)に電池パック(4)が接続されていると工具側制御部(27)に認識させる。アダプタ制御部(34)は、第2端子(32)に電池側端子(41)が接続されると、電池パック(4)に工具本体(2)が接続されていると電池側制御部(43)に認識させる。
【0101】
この態様によれば、工具側制御部(27)及び電池側制御部(43)の制御内容を、アダプタ(3)を用いる場合と用いない場合とで同様の制御内容とすることができる。
【0102】
第5の態様の電動工具システムは、第1~第4のいずれか1つの電動工具(1)と、電池パック(4)と、を備える。
【0103】
第6の態様のアダプタは、第1~第4のいずれか1つの電動工具(1)に用いられるアダプタ(3)である。
【0104】
第7の態様のアダプタ付き電池パックは、第1~第4のいずれか1つの電動工具(1)に用いられるアダプタ(3)と、電池パック(4)と、を備える。
【符号の説明】
【0105】
1 電動工具
2 工具本体
25 工具側端子
27 工具側制御部
3 アダプタ
31 第1端子
32 第2端子
33 第3端子
35 第4端子
4 電池パック
41 電池側端子
43 電池側制御部
5 集塵装置
501 嵌合凹部(嵌合部)