(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】バッテリーパックを用いて係合可能なワイヤーロープ診断装置
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20231006BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
(21)【出願番号】P 2022525701
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 KR2021010587
(87)【国際公開番号】W WO2022039434
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0103904
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520353684
【氏名又は名称】エヌキア カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NKIA CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B-10th Fl, Uspace1, 660, Daewangpangyo-ro, Bundang-gu, Seongnam-si, Gueonggi-do, 13494, Republic of KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ソン ス
(72)【発明者】
【氏名】イ、イン ファン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ギ フン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ウン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジョン ファン
【審査官】目黒 大地
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-015656(JP,A)
【文献】特開2010-204113(JP,A)
【文献】国際公開第2014/016978(WO,A1)
【文献】特開2017-166885(JP,A)
【文献】国際公開第2015/166533(WO,A1)
【文献】特開2013-029414(JP,A)
【文献】米国特許第05321356(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/72-27/9093
G01M 13/00-13/045
G01M 99/00
G01R 33/00-33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部にワイヤーロープが挿通可能な貫通孔を有
し、第1のホルダー胴体部と第2のホルダー胴体部とからなる本体部と、
前記本体部に電力を伝達する
バッテリーパックと、
円筒状に中央が穿孔されて前記ワイヤーロープを挿通させて前記ワイヤーロープの漏れ磁束を測定するように前記本体部の内部に位置するセンサー部と、
を備える
構成において、
前記バッテリーパックが、前記第1のホルダー胴体部と前記第2のホルダー胴体部の組み合わせ体の両側にそれぞれ配置されると共に、両側の前記バッテリーパックがそれぞれ前記第1のホルダー胴体部と前記第2のホルダー胴体部の両方に係合することにより前記組み合わせ体が固定される
ことを特徴とするワイヤーロープ診断装置。
【請求項2】
前記第1のホルダー胴体部及び前記第2のホルダー胴体部
には、両側の前記バッテリーパックとともに固定できる固定用スクリューが締め付け可能な係合部と、
前記第1のホルダー胴体部及び第2のホルダー胴体部の下側にそれぞれ配置して、前記本体部及び前記バッテリーパックを固定して支持する第1の据え置き基台部及び第2の据え置き基台部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーロープ診断装置。
【請求項3】
前記第1のホルダー胴体部及び第2のホルダー胴体部は、
前記本体部の外側に配置される第1の上カバー及び第2の上カバーと、
前記バッテリーパックにより前記第1の上カバー及び第2の上カバーとそれぞれ組み合わせられる第1の下カバー及び第2の下カバーと、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のワイヤーロープ診断装置。
【請求項4】
前記本体部は、
主プリント回路基板(PCB)と、
副プリント回路基板(PCB)と、
前記第1の下カバーと前記主プリント回路基板(PCB)との間及び第2の下カバーと前記副プリント回路基板(PCB)との間の隙間に介挿されるシールラバーと、
をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のワイヤーロープ診断装置。
【請求項5】
前記本体部は、
前記バッテリーパックに組み込まれているバッテリーセルの電極端子同士を電気的に接続するために前記バッテリーパックが係合される方向に形成された突起状のバッテリーターミナルをさらに備え、
前記バッテリーパックは、
前記バッテリーターミナルに触れて電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーロープ診断装置。
【請求項6】
前記バッテリーパックは、
内部に円筒状を呈する鋼製の多数のバッテリーセルを備えることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーロープ診断装置。
【請求項7】
前記センサー部は、
ワイヤーロープの軸方向上の設定区間を含むように主磁束路を形成する磁石部と、
前記磁石部により前記ワイヤーロープが磁化されれば、前記ワイヤーロープの損傷部から生じる漏れ磁束を検出するホールセンサー部と、
前記磁石部及び前記ホールセンサーを固定する一つ以上のヨークと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーロープ診断装置。
【請求項8】
前記磁石部は、
前記一つ以上のヨークの内部面に前記ワイヤーロープの円周方向に対して一方の側に一列に並べられる複数の磁石を有する第1の磁石部と、
前記一つ以上のヨークの内部面に前記ワイヤーロープの円周方向に対して他方の側に一列に並べられる複数の磁石を有する第2の磁石部と、
を備えることを特徴とする請求項7に記載のワイヤーロープ診断装置。
【請求項9】
前記ホールセンサー部は、
前記第1の磁石部及び第2の磁石部との間の途中の位置に形成されてワイヤーロープに生じた漏れ磁束を検出する複数のホールセンサーを備えることを特徴とする請求項8に記載のワイヤーロープ診断装置。
【請求項10】
前記一つ以上のヨークは、
前記磁石部及び前記ホールセンサー部がワイヤーロープの横方向と平行に円筒状に並べられるように前記磁石部が前記設定区間を間に挟んで前記ワイヤーロープに触れずに前記ワイヤーロープを円周方向にそれぞれ1/2周だけ囲繞するように断面がU字状を呈する第1のヨーク及び第2のヨークを備えることを特徴とする請求項7に記載のワイヤーロープ診断装置。
【請求項11】
前記一つ以上のヨークは、
前記磁石部及び前記ホールセンサー部がワイヤーロープの横方向と平行に円筒状に並べられるように前記磁石部が前記設定区間を間に挟んで前記ワイヤーロープに触れずに前記ワイヤーロープの周りを円周方向に囲繞して軸方向を眺めるように一字状を呈する偶数個のヨークを備えることを特徴とする請求項7に記載のワイヤーロープ診断装置。
【請求項12】
前記センサー部は、
前記ホールセンサー部と前記一つ以上のヨークとの間に位置するフレキシブルプリント回路基板(FPCB)をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のワイヤーロープ診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパックを用いて係合や係脱を行い易くしたワイヤーロープ診断装置に係り、さらに詳しくは、対象物を持ち上げられる巻き揚げ装置などに用いられるワイヤーロープの診断のための装置をモジュール化させてバッテリーパックを用いて係合または係脱可能なようにするワイヤーロープ診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤーロープは、炭素鋼素材を引き抜いた数多くの素線を寄せ集めて撚り合わせてストランドにして、このストランドを芯の周りに一定のピッチにて巻き付けて作製した構造物であり、クレーンやエレベーターなどの巻き揚げ装置に主として用いられる。
【0003】
このようなワイヤーロープは、荷重が極めて高い対象物を支持するため、安全管理が非常に重要であり、このようなワイヤーロープが損傷されて途切れてしまう場合に大事故につながる虞があるため、ワイヤーロープの状態を診断できる装置が望まれるのが現状である。
【0004】
既存には、寸法を測定したり目視で危険の度合いを判断したりするなどマニュアル検査方式に頼っていたが故に、安全診断者が危険に晒されたり、個人的な経験により誤探知を発生させたりする可能性を排除することができず、しかも、操業の中断、過剰なコストの支払いなどの問題に加えて、施設物の破壊、さらには、怪我及び死亡事故が起こり得るリスクが生じていた。
【0005】
したがって、このような検査方式を自動化させ、ひいては、診断装置を簡素化させてなお一層効率よくかつ手軽に管理可能なようにする必要があるという声が高まりつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した問題を解決するために本発明が解決しようとする技術的課題は、ワイヤーロープ診断装置をモジュール化させて二つの構造物を両側のバッテリーパックにて支持可能な構造を形成することにより、非破壊方式によりワイヤーロープの安全を診断し、バッテリーを完全に取り外せるようにすることで、たとえ、たとえ、バッテリーを取り替える場合であっても、ユーザーが手軽に着脱可能なようにし、診断装置それ自体の係合もまた、バッテリーパックにて保持して設置のしやすさ及びセンシング能を極大化させるところにある。
【0007】
本発明において解決しようとする技術的課題は、上述した技術的課題に何ら制限されるものではなく、未言及の他の技術的課題は、次の記載から本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって明らかに理解できる筈である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した技術的課題を解決するための手段としてのワイヤーロープ診断装置は、中心部にワイヤーロープが挿通可能な貫通孔を有する本体部と、前記本体部に電力を伝達し、前記本体部の両側に係合されて前記本体部を固定するバッテリーパックと、円筒状に中央が穿孔されて前記ワイヤーロープを挿通させて前記ワイヤーロープの漏れ磁束を測定するように前記本体部の内部に位置するセンサー部と、を備える。
【0009】
前記本体部は、第1のホルダー胴体部と、第2のホルダー胴体部と、前記第1のホルダー胴体部及び前記第2のホルダー胴体部を前記バッテリーパックとともに固定できる固定用スクリューが締め付け可能な係合部と、前記第1のホルダー胴体部及び第2のホルダー胴体部の下側にそれぞれ配置して、前記本体部及び前記バッテリーパックを固定して支持する第1の据え置き基台部及び第2の据え置き基台部と、を備える。
【0010】
前記第1のホルダー胴体部及び第2のホルダー胴体部は、前記本体部の外側に配置される第1の上カバー及び第2の上カバーと、前記バッテリーパックにより前記第1の上カバー及び第2の上カバーとそれぞれ組み合わせられる第1の下カバー及び第2の下カバーと、を備える。
【0011】
前記本体部は、主プリント回路基板(PCB)と、副プリント回路基板(PCB)と、前記第1の下カバーと前記主プリント回路基板(PCB)との間及び第2の下カバーと前記副プリント回路基板(PCB)との間の隙間に介挿されるシールラバーと、をさらに備える。
【0012】
前記本体部は、前記バッテリーパックに組み込まれているバッテリーセルの電極端子同士を電気的に接続するために前記バッテリーパックが係合される方向に形成された突起状のバッテリーターミナルをさらに備え、前記バッテリーパックは、前記バッテリーターミナルに触れて電気的に接続される。
【0013】
前記バッテリーパックは、内部に円筒状を呈する鋼製の多数のバッテリーセルを備える。
【0014】
前記センサー部は、ワイヤーロープの軸方向上の設定区間を含むように主磁束路を形成する磁石部と、前記磁石部により前記ワイヤーロープが磁化されれば、前記ワイヤーロープの損傷部から生じる漏れ磁束を検出するホールセンサー部と、前記磁石部及び前記ホールセンサーを固定する一つ以上のヨークと、を備える。
【0015】
前記磁石部は、前記一つ以上のヨークの内部面に前記ワイヤーロープの円周方向に対して一方の側に一列に並べられる複数の磁石を有する第1の磁石部と、前記一つ以上のヨークの内部面に前記ワイヤーロープの円周方向に対して他方の側に一列に並べられる複数の磁石を有する第2の磁石部と、を備える。
【0016】
前記ホールセンサー部は、前記第1の磁石部及び第2の磁石部との間の途中の位置に形成されてワイヤーロープに生じた漏れ磁束を検出する複数のホールセンサーを備える。
【0017】
前記一つ以上のヨークは、前記磁石部及び前記ホールセンサー部がワイヤーロープの横方向と平行に円筒状に並べられるように前記磁石部が前記設定区間を間に挟んで前記ワイヤーロープに触れずに前記ワイヤーロープを円周方向にそれぞれ1/2周だけ囲繞するように断面がU字状を呈する第1のヨーク及び第2のヨークと、を備える。
【0018】
前記一つ以上のヨークは、記磁石部及び前記ホールセンサー部がワイヤーロープの横方向と平行に円筒状に並べられるように前記磁石部が前記設定区間を間に挟んで前記ワイヤーロープに触れずに前記ワイヤーロープの周りを円周方向に囲繞して軸方向を眺めるように一字状を呈する偶数個のヨークを備える。
【0019】
前記センサー部は、前記ホールセンサー部と前記一つ以上のヨークとの間に位置するフレキシブルプリント回路基板(FPCB)をさらに備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ワイヤーロープ診断装置をモジュール化させて二つの構造物を両側のバッテリーパックにて支持可能な構造を形成することにより、非破壊方式によりワイヤーロープの安全を診断し、バッテリーを完全に取り外せるようにすることで、たとえ、バッテリーを取り替える場合であっても、ユーザーが手軽に着脱可能なようにし、診断装置それ自体の係合もまた、バッテリーパックにて保持して設置のしやすさ及びセンシング能を極大化させることができる。
【0021】
本発明の効果は、上述した効果に何ら制限されるものではなく、未言及の他の効果は、次の記載から当業者にとって明らかに理解できる筈である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置の斜視図。
【
図2】本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置のバッテリーパックが係脱された様子を示す例示図。
【
図3】本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置のバッテリーパックの分解斜視図。
【
図4】本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置のバッテリーセルが本体部に取り付けられた様子を示す例示図。
【
図5】本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置の平面図。
【
図6】本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置の本体部の斜視図。
【
図7】本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置の本体部の下端を示す例示図。
【
図8】本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置の本体部の分解斜視図。
【
図9】本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置のセンサー部の一部の例を示す斜視図。
【
図10】本発明本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置のセンサー部の斜視図。
【
図11】本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置のセンサー部の平面図。
【
図12】本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置のセンサー部の別の例を示す斜視図である。。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以上の本発明の目的、他の目的、特徴及び利点は、添付図面と結び付けて述べられる以下の好適な実施形態を通して容易に理解できる筈である。しかしながら、本発明は、ここで説明される実施形態に何ら限定されるものではなく、他の形態に具体化可能である。むしろ、ここで紹介される実施形態は、開示された内容を完全かつ徹底的なものにするために、かつ、当業者に本発明の思想が十分に伝えられるようにするために提供されるものである。
【0024】
この明細書において、「第1の」、「第2の」などの言い回しが構成要素を記述するために用いられた場合、これらの構成要素がこれらの言い回しによって何等限定されてはいけない。これらの言い回しは、単にある構成要素を他の構成要素から区別する目的でしか使えない。ここに説明されかつ例示される実施形態は、それらの相補的な実施形態をも含む。
【0025】
明細書の全般に亘って、ある部分が他の部分と「連結」されているとか、「接続」されているとか、と言及された場合、前記ある部分が前記他の部分に直接的に連結されたり接続されたりすると理解されるべきであるものの、他の部分を介して間接的に連結されたり接続されたりする場合をも含む。なお、ある部分がある構成要素を「備える」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するわけではなく、他の構成要素をさらに備えていてもよいことを意味する。
【0026】
以下、添付図面に基づき、本発明において実施しようとする具体的な技術の内容について詳しく説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置の斜視図である。
【0028】
図1を参照すると、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置1000は、中心部にワイヤーロープが挿通可能な貫通孔を有する本体部1100と、本体部に電力を伝達するために本体部の両側に係合されて本体部を固定するバッテリーパック1210,1220と、円筒状に中央が穿孔されてワイヤーロープを挿通させて漏れ磁束を測定するように本体部1100の内部に位置するセンサー部1300(図示せず)と、を備え、本体部1100の各部は、両側にバッテリーパック1210,1220をはめ込み、本体部1100の係合部1130とバッテリーパック1210,1220のねじ穴とを位置合わせして固定用スクリューを締め付けることにより固定することができる。
【0029】
図2は、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置のバッテリーパックが係脱された様子を示す例示図である。
【0030】
図2を参照すると、本体部1100の第1のホルダー胴体部1110及び第1の据え置き基台部1140の組み合わせ体、第2のホルダー胴体部1120及び第2の据え置き基台部1150の組み合わせ体が図中の上下方向から中心部にワイヤーロープが挿通されるように係合されて本体部1100が組み立てられれば、第1のバッテリーパック1210及び第2のバッテリーパック1220が図中の左右方向から中心部である本体部1100の左右方向に係着される。
【0031】
また、ワイヤーロープ診断装置1000は、本体部1100の固定用スクリューが外されて第1のバッテリーパック1210及び第2のバッテリーパック1220が係脱されれば、本体部1100の内部にセンサー部1300が組み込まれていることを確かめることができる。
【0032】
図3は、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置のバッテリーパックの分解斜視図である。
【0033】
図3を参照すると、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置1000は、本体部1100を中心として両側にそれぞれ第1のバッテリーパック1210及び第2のバッテリーパック1220が取り付けられる。
【0034】
ここで、第1のバッテリーパック1210を分解すれば、第1のバッテリー外側カバー1211及び第1のバッテリー内側カバー1213が向かい合うように係合され、これらの第1のバッテリー外側カバー1211及び第1のバッテリー内側カバー1213の間には、第1のバッテリーセル1212が介装される。
【0035】
ここで、第1のバッテリーセル1212は、円筒状を呈する鋼製のセルが多数連設されてもよい。
【0036】
同様に、ここで、第2のバッテリーパック1220を分解すれば、第2のバッテリー外側カバー1221及び第2のバッテリー内側カバー1223が向かい合うように係合され、これらの第2のバッテリー外側カバー1221及び第2のバッテリー内側カバー1223の間には、第2のバッテリーセル1222が介装される。
【0037】
ここで、第2のバッテリーセル1222は、円筒状を呈する鋼製のセルが多数連設されてもよい。
【0038】
図4は、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置のバッテリーセルが本体部に取り付けられた様子を示す例示図である。
【0039】
図4を参照すると、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置1000のバッテリーパック1210,1220が取り付けられた状態で、バッテリーセル1212、1222が本体部1100に触れた個所を詳しく見ると、本体部1100に組み込まれているバッテリーターミナル1160と、第1のバッテリーパック1210及び第2のバッテリーパック1220にそれぞれ組み込まれているバッテリーセル1212,1222と、が触れ合ってつながり合う。
【0040】
ここで、バッテリーターミナル1160は、第1のバッテリーパック1210及び第2のバッテリーパック1220にそれぞれ組み込まれているバッテリーセル1212,1222の電極端子同士をつなぎ合うために、本体部1100においてバッテリーパック1210,1220が取り付けられる面の上端部に突起状に位置する。
【0041】
バッテリーセル1212,1222から印加された電力は、バッテリーターミナル1160を介して主プリント回路基板(PCB)1114、副プリント回路基板(PCB)1124とフレキシブルプリント回路基板(FPCB)1340をはじめとするセンサー部1300に伝達される。
【0042】
図5は、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置の平面図である。
【0043】
図5を参照すると、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置1000を第1のバッテリーパック1210及び第2のバッテリーパック1220が取り付けられた状態でバッテリーターミナル1160の上端から見下ろすと、本体部1100の中央に円筒状に穿孔された貫通孔が存在し、第1のバッテリーパック1210及び第2のバッテリーパック1220の内部の第1のバッテリーセル1212及び第2のバッテリーセル1222が本体部1100のバッテリーターミナル1160に取り付けられていることを確かめることができ、このような貫通孔にワイヤーロープが挿通されてワイヤーロープの漏れ磁束を測定できるようにする。
【0044】
図6は、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置の本体部の斜視図である。
【0045】
図6を参照すると、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置1000の本体部1100は、センサー部1300を支持する第1のホルダー胴体部1110及び第2のホルダー胴体部1120を備える。
【0046】
また、本体部1100は、第1のバッテリーパック1210及び第2のバッテリーパック1220が係合される係合部1130と、前記本体部1100の下端を支持するための第1の据え置き基台部1140及び第2の据え置き基台部1150と、をさらに備える。
【0047】
ここで、第1のホルダー胴体部1110及び第1の据え置き基台部1140は上下に係合され、第2のホルダー胴体部1120及び第2の据え置き基台部1150は上下に係合され、これらの第1のホルダー胴体部1110及び第1の据え置き基台部1140と第2のホルダー胴体部1120及び第2の据え置き基台部1150が貫通孔にワイヤーロープが挿通されるように組み立てられ、第1のバッテリーパック1210及び第2のバッテリーパック1220が両側に配置されれば、係合部1130の部分に固定用スクリューを介して診断装置1000の全体を固定することができる。
【0048】
図7は、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置の本体部の下端を示す例示図である。
【0049】
図7を参照すると、第1の据え置き基台部1140及び第2の据え置き基台部1150の底面には、それぞれ第1のホルダー胴体部1110及び第2のホルダー胴体部1120が固定用スクリューにより固定されてもよい。
【0050】
ここで、第1の据え置き基台部1140及び第2の据え置き基台部1150の底面の摩擦を低減するためにゴム素材が付設されてもよい。
【0051】
図8は、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置の本体部の分解斜視図である。
【0052】
図8を参照すると、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置1000の本体部1100を分解すれば、中心部にセンサー部1300が存在し、第1のホルダー胴体部1110及び第2のホルダー胴体部1120がセンサー部1300の両側に配置される。
【0053】
ここで、第1のホルダー胴体部1110は、本体部の外側からセンサー部に向かって第1の上カバー1111、主プリント回路基板(PCB)1114、第1のシールラバー(Sealing Rubber)1113、第1の下カバー1112がこの順に並べられ、このような構成は、第1のバッテリーパック1210によりその一方の側を、第2のバッテリーパック1220によりその他方の側を係合して固定用スクリューにより固定することができる。
【0054】
同様に、第2のホルダー胴体部1120は、本体部の外側からセンサー部に向かって第2の上カバー1121、副プリント回路基板(PCB)1124、第2のシールラバー1123、第2の下カバー1122がこの順に並べられ、このような構成は、第1のバッテリーパック1210(図示せず)によりその一方の側を、第2のバッテリーパック1220(図示せず)によりその他方の側を係合して固定用スクリューにより固定することができる。
【0055】
また、下端には第1の据え置き基台部1140(図示せず)及び第2の据え置き基台部1150(図示せず)が取り付けられてもよい。
【0056】
ここで、第1のシールラバー1113及び第2のシールラバー1123は、それぞれ第1の上カバー1111と第1の下カバー1112、第2の上カバー1121と第2の下カバー1122の隅角部に付設されて内部を固定しかつ密閉する。
【0057】
図9は、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置のセンサー部の一部の例を示す斜視図である。
【0058】
図9を参照すると、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置1000のセンサー部1300は、ワイヤーロープの軸方向上の設定区間を含むように主磁束路を形成する磁石部1310と、磁石部1310により前記ワイヤーロープが磁化されれば、前記ワイヤーロープの損傷部から生じる漏れ磁束を検出するホールセンサー部1320と、磁石部1310及び前記ホールセンサー部1320を固定する一つ以上のヨーク1330(図示せず)と、ホールセンサー部1320と前記一つ以上のヨーク1330との間に設けられるフレキシブルプリント回路基板(FPCB)1340と、を備えていてもよい。
【0059】
ここで、磁石部1310は、一つ以上のヨーク1330の内部面に前記ワイヤーロープの円周方向に対して一方の側に一列に並べられる複数の磁石を有する第1の磁石部1311と、一つ以上のヨーク1330の内部面に前記ワイヤーロープの円周方向に対して他方の側に一列に並べられる複数の磁石を有する第2の磁石部1312と、を備える。
【0060】
ここで、第1の磁石部1311は、ヨーク1330上の右上端に一列に現れた円形孔に付設される一つ以上の磁石を有し、第2の磁石部1312は、ヨーク1330上の左下端に一列に現れた円形孔に付設される一つ以上の磁石を有する。
【0061】
ここで、ヨーク1330に取り付けられた第1の磁石部1311と第2の磁石部1312は、中央にホールセンサー部1320においてワイヤーロープの漏れ磁束分布を測定するようにするために磁場を生じさせてワイヤーロープの軸方向の上に第1の磁石部1311と第2の磁石部1312との間の設定区間を含むように主磁石路を形成する。
【0062】
ここで、ホールセンサー部1320は、第1の磁石部1311と第2の磁石部1312を有する磁石部1310によりワイヤーロープが磁化されれば、主磁石路においてワイヤーロープの漏れ磁束を検出する。
【0063】
ここで、ワイヤーロープに断線、縮径、腐食、キンク、折れ曲がりなどの損傷部が生じている場合には、このような損傷部から生じる漏れ磁束を検出する。
【0064】
このように、ホールセンサー部1320において検出された信号をリアルタイムにて分析して漏れ磁束データの波形を学習して、損傷部がどのような類型の障害であるかを分類して診断結果を生成する。
【0065】
ここで、診断結果の生成にあたっては、ディープラニングを用いてワイヤーロープの欠陥を判断してもよく、このような診断結果は、ユーザー端末にリアルタイムにて送信されてもよい。
【0066】
これを通して、ユーザーは、ワイヤーロープの安全診断結果をリアルタイムにて確かめることができて、事故の発生を予防することができる。
【0067】
一つ以上のヨーク1330は、
図9に示すように、磁石部1310及びホールセンサー部1320がワイヤーロープの横方向と平行に円筒状に並べられるように前記磁石部1310が前記設定区間を間に挟んで前記ワイヤーロープに触れずに前記ワイヤーロープを円周方向にそれぞれ1/2周りだけ囲繞するように断面がU字状を呈する第1のヨーク1331及び第1のヨークと同じ形状を呈する第2のヨーク1332(図示せず)を備えていてもよい。
【0068】
この場合、第1のヨーク1331及び第2のヨーク1332の第1の磁石部1311及び第2の磁石部1312にはそれぞれ複数のマグネットが一列に並べられ、ホールセンサー部1320には複数のホールセンサーが一列に並べられる。
【0069】
図10は、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置のセンサー部の斜視図であり、
図11は、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置のセンサー部の平面図である。
【0070】
図10を参照すると、
図2の第1のヨーク1331と同じ形状を呈する第2のヨーク1332が中心部に貫通孔を介してワイヤーロープを包み込むようにU字状の内壁を向かい合って並べられるように本体部1100の内部に形成される。
【0071】
図10に示すセンサー部を上から見下ろすと、
図11のように示され、
図11を参照すると、外部にヨーク1330が、内壁にフレキシブルプリント回路基板(FPCB)1340が配置される。
【0072】
図12は、本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置のセンサー部の他の例を示す斜視図である。
【0073】
一つ以上のヨーク1330は、
図11に示すように、磁石部1310及びホールセンサー1320がワイヤーロープの横方向と平行に円筒状に並べられるように前記磁石部1310が前記設定区間を間に挟んで前記ワイヤーロープに触れずに前記ワイヤーロープの周りを円周方向に囲繞して軸方向を眺めるように一字状を呈する偶数個の一字状ヨーク1333を複数備えていてもよい。
【0074】
この場合、一字状ヨーク1333は、第1の磁石部1311及び第2の磁石部1312にはそれぞれ一つのマグネットが並べられ、ホールセンサー部1320には複数のホールセンサーが並べられて、このようなヨークがワイヤーロープの中心部を眺めるように貫通孔を取り囲むように現れる。
【0075】
このようなヨーク1330に取り付けられたセンサー部1300は、本体部1100の内部において一つ以上のヨークが合体されて中心部にワイヤーロープが挿通されるように貫通孔付き円筒状に係合される。
【0076】
このような磁石部1310に備えられているマグネット及びヨーク1330の構造は、第1のヨーク1331及び第2のヨーク1332または複数の一字状ヨーク1333に加えて、様々な形状に構成されてもよい。
【0077】
本発明の実施形態によるワイヤーロープ診断装置1000は、構造の多様化にも拘わらず、核心となる原理は、ヨーク1330に取り付けられた第1の磁石部1311及び第2の磁石部1312に備えられているマグネットにより生じた磁束を第1の磁石部1311及び第2の磁石部1312の間に位置するホールセンサーが測定することにより、漏れ磁束データの波形を分析してワイヤーロープの診断結果を導き出すということである。
【0078】
ここで、ホールセンサー部1330は、第1の磁石部1311及び第2の磁石部1312の間の途中の位置に形成されてワイヤーロープに生じた漏れ磁束を検出する複数のホールセンサーを備え、ここで、複数のホールセンサーと一つ以上のヨーク1330との間には、フレキシブルプリント回路基板(Flexible Printed Circuits Board;FPCB)が介装される。
【0079】
本発明に係るワイヤーロープ診断装置1000は、第1のホルダー胴体部1110及び第2のホルダー胴体部1120、第1の据え置き基台部1140及び第2の据え置き基台部1150が第1のバッテリーパック1210及び第2のバッテリーパック1220を介して組み合わせられてワイヤーロープを破壊することなくワイヤーロープの周りに取り付けられる非破壊センサーに関するものであり、センサー部1300の磁石部1310から生じた磁束路をホールセンサー部1320を用いて測定して、漏れ磁束の変化から安全診断結果を生成して診断結果をユーザー端末にリアルタイムにて送信することができる。
【0080】
ここで、ユーザー端末としては、好ましくは、携帯電話、スマートフォン、タブレットパソコン、ノート型パソコン、個人向けパソコン、デジタル放送用端末、個人向けの情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)、ポータブルマルチメディアプレーヤー(PMP:Portable Multimedia Player)などの端末が挙げられる。
【0081】
ここで、ワイヤーロープ診断装置1000及びユーザー端末の通信方式としては、好ましくは、ブルーテゥース、無線周波数識別(RFID:Radio Frequency Identification)、赤外線通信(Infrared Data Association)、超広帯域(UWB:Ultra Wideband)、ジグビー(ZigBee)、無線LAN(WLAN:Wireless LAN)、Wi-Fiなどの近距離方式を採用することができる。
【0082】
本発明は、図示の実施形態に基づいて説明されたが、これは単なる例示的なものに過ぎず、この技術分野における通常の知識を有する者であれば、これより種々の変形を行うことが可能であり、前記説明された実施形態の全部または一部が選択的に組み合わせられて構成されてもよいということが理解できる筈である。
【符号の説明】
【0083】
1000 診断装置
1100 本体部
1110 第1のホルダー胴体部
1111 第1の上カバー
1112 第1の下カバー
1113 第1のシールラバー
1114 主プリント回路基板(PCB)
1120 第2のホルダー胴体部
1121 第2の上カバー
1122 第2の下カバー
1123 第2のシールラバー
1124 副プリント回路基板(PCB)
1130 係合部
1140 第1の据え置き基台部
1150 第2の据え置き基台部
1160 バッテリーターミナル
1210 第1のバッテリーパック
1211 第1のバッテリー外側カバー
1212 第1のバッテリーセル
1213 第1のバッテリー内側カバー
1220 第2のバッテリーパック
1221 第2のバッテリー外側カバー
1222 第2のバッテリーセル
1223 第2のバッテリー内側カバー
1300 センサー部
1310 磁石部
1311 第1の磁石部
1312 第2の磁石部
1320 ホールセンサー部
1330 ヨーク
1331 第1のヨーク
1332 第2のヨーク
1333 一字状ヨーク
1340 フレキシブルプリント回路基板(FPCB)