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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】発電ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02N 11/00 20060101AFI20231006BHJP
【FI】
H02N11/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020046111
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021151006
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128141
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】福本 正
(72)【発明者】
【氏名】吉川 聡雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 岳仁
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-171071(JP,A)
【文献】特開2017-168802(JP,A)
【文献】特開2015-144212(JP,A)
【文献】特開2016-092015(JP,A)
【文献】特開2011-014737(JP,A)
【文献】特開2009-176919(JP,A)
【文献】再公表特許第2017/110589(JP,A1)
【文献】再公表特許第2017/163507(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
H10N 10/17
H10N 10/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の第一シート基材に、熱電変換層、並びに、第一電極及び第二電極が設けられる少なくとも二つの熱電変換モジュールと、
シート状の第二シート基材に、前記熱電変換モジュールを電気的に接続可能な導電層が設けられる少なくとも一つの接続モジュールと、
前記接続モジュールと隣接する二つの前記熱電変換モジュールとが電気的に接続されるように、一方の前記熱電変換モジュールの前記第一電極、及び他方の前記熱電変換モジュールの前記第二電極の双方に前記導電層を着脱自在に取り付ける少なくとも二つの取付部と、
を備え、
前記熱電変換モジュール及び前記接続モジュールは、交互に重なり合い、
前記熱電変換モジュールそれぞれは、前記第一電極及び前記第二電極それぞれが同一側に配置される姿勢となることを特徴とする、
発電ユニット。
【請求項2】
前記熱電変換モジュール及び前記接続モジュールの少なくとも一方は、前記第一電極及び前記第二電極と前記導電層との接続部分、又はその近傍で、折り返す折返し部を有することを特徴とする、
請求項1に記載の発電ユニット。
【請求項3】
前記第一シート基材は、印刷可能な材料で構成され、
前記熱電変換層は、熱電変換材料が含まれる溶液により前記第一シート基材に印刷された熱電変換側印刷部により構成され、
前記第一電極は、第一導電性材料が含まれる溶液により前記熱電変換側印刷部に重ねて前記第一シート基材に印刷された第一電極側印刷部により構成され、
前記第二電極は、前記第一導電性材料、又は、前記第一導電性材料とは異なる第二導電性材料が含まれる溶液により前記熱電変換側印刷部に重ねて、前記第一電極側印刷部とは別の位置において前記第一シート基材に印刷された第二電極側印刷部により構成され、
前記第二シート基材は、印刷可能な材料で構成され、
前記導電層は、前記第一導電性材料、又は、前記第二導電性材料、又は、前記第一導電性材料及び前記第二導電性材料とは異なる第三導電性材料が含まれる溶液により前記第二シート基材に印刷された導電側印刷部により構成され、
前記取付部は、前記導電側印刷部が、隣接する一方側の前記熱電変換モジュールの前記第一電極側印刷部、及び、隣接する他方側の前記熱電変換モジュールの前記第二電極側印刷部に重なり合うように、前記接続モジュールを隣接する前記熱電変換モジュールに取り付けることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の発電ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱を電力に変換する発電ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
工場等から出される排熱を利用するため、熱を電力に変換する熱電変換素子が注目されている。熱電変換素子として、例えば、絶縁材でn型熱電半導体とp型熱電半導体を挟み込んで、p型熱電半導体、絶縁材、n型熱電半導体、絶縁材の順で、周期的に積層させて、それらを熱圧着した積層構造と、p型熱電半導体とn型熱電半導体を電気的に直列接続する接続電極と、を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-121815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記熱電変換素子では、積層構造においてp型熱電半導体、絶縁材、n型熱電半導体を熱圧着するため、p型熱電半導体、絶縁材、n型熱電半導体は、分離することができない。結果、上記熱電変換素子の一部に不具合が生じた場合、不具合部分のみを交換することはできない。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、一部に不具合が生じても、その不具合部分のみを交換することができる発電ユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の発電ユニットは、シート状の第一シート基材に、熱電変換層、並びに、第一電極及び第二電極が設けられる少なくとも二つの熱電変換モジュールと、シート状の第二シート基材に、前記熱電変換モジュールを電気的に接続可能な導電層が設けられる少なくとも一つの接続モジュールと、前記接続モジュールと隣接する二つの前記熱電変換モジュールとが電気的に接続されるように、一方の前記熱電変換モジュールの前記第一電極、及び他方の前記熱電変換モジュールの前記第二電極の双方に前記導電層を着脱自在に取り付ける少なくとも二つの取付部と、を備え、前記熱電変換モジュール及び前記接続モジュールは、交互に重なり合い、前記熱電変換モジュールそれぞれは、前記第一電極及び前記第二電極それぞれが同一側に配置される姿勢となることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の発電ユニットにおいて、前記熱電変換モジュール及び前記接続モジュールの少なくとも一方は、前記第一電極及び前記第二電極と前記導電層との接続部分、又はその近傍で、折り返す折返し部を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の発電ユニットにおいて、前記折返し部は、前記熱電変換モジュール、又は前記接続モジュールを挟み込む挟み込み領域を有し、前記挟み込み領域には、前記接続部分が含まれることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の発電ユニットにおいて、前記折返し部は、前記シート厚方向に開閉するように変形可能に構成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の発電ユニットにおいて、前記導電層は、前記第一シート基材の前記熱電変換層が設けられる面とは反対側の面に対向することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の発電ユニットにおいて、前記第一シート基材は、印刷可能な材料で構成され、前記熱電変換層は、熱電変換材料が含まれる溶液により前記第一シート基材に印刷された熱電変換側印刷部により構成され、前記第一電極は、第一導電性材料が含まれる溶液により前記熱電変換側印刷部に重ねて前記第一シート基材に印刷された第一電極側印刷部により構成され、前記第二電極は、前記第一導電性材料、又は、前記第一導電性材料とは異なる第二導電性材料が含まれる溶液により前記熱電変換側印刷部に重ねて、前記第一電極側印刷部とは別の位置において前記第一シート基材に印刷された第二電極側印刷部により構成され、前記第二シート基材は、印刷可能な材料で構成され、前記導電層は、前記第一導電性材料、又は、前記第二導電性材料、又は、前記第一導電性材料及び前記第二導電性材料とは異なる第三導電性材料が含まれる溶液により前記第二シート基材に印刷された導電側印刷部により構成され、前記取付部は、前記導電側印刷部が、隣接する一方側の前記熱電変換モジュールの前記第一電極側印刷部、及び、隣接する他方側の前記熱電変換モジュールの前記第二電極側印刷部に重なり合うように、前記接続モジュールを隣接する前記熱電変換モジュールに取り付けることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の発電ユニットにおいて、前記第一シート基材及び前記第二シート基材の少なくとも一方は、紙で構成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の発電ユニット製造方法は、折り曲げ可能であると共に、印刷可能な材料により構成されるシート状の第一シート基材に、熱電変換層、並びに、第一電極及び第二電極が設けられる少なくとも二つの熱電変換モジュールを製造する熱電変換モジュール製造工程と、折り曲げ可能であると共に、印刷可能な材料により構成されるシート状の第二シート基材に、前記熱電変換モジュールを電気的に接続可能な導電層が設けられた少なくとも一つの接続モジュールを製造する接続モジュール製造工程と、前記接続モジュールと隣接する二つの前記熱電変換モジュールとが電気的に接続されるように、着脱自在な取付部により、一方の前記熱電変換モジュールの前記第一電極、及び他方の前記熱電変換モジュールの前記第二電極の双方に前記導電層を取り付ける取付工程と、前記熱電変換モジュールと前記接続モジュールが交互に重なり合うように前記熱電変換モジュール及び前記接続モジュールのいずれかを折り曲げる折り曲げ工程と、を備え、前記熱電変換モジュール製造工程は、熱電変換材料が含まれる溶液により前記第一シート基材に印刷して熱電変換層となる熱電変換側印刷部を形成する熱電変換層印刷工程と、第一導電性材料が含まれる溶液により前記熱電変換側印刷部に重ねて前記第一シート基材に印刷して前記第一電極となる第一電極側印刷部を形成する第一電極印刷工程と、前記第一導電性材料、又は、前記第一導電性材料とは異なる第二導電性材料が含まれる溶液により前記熱電変換側印刷部に重ねて、前記第一シート基材の前記第一電極側印刷部とは別の位置に印刷して前記第二電極となる第二電極側印刷部を形成する第二電極印刷工程と、を有し、前記接続モジュール製造工程は、前記第一導電性材料、又は、前記第二導電性材料、又は、前記第一導電性材料及び前記第二導電性材料とは異なる第三導電性材料が含まれる溶液により前記第二シート基材に印刷して、前記導電層となる導電側印刷部を形成する導電層印刷工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の発電ユニットによれば、一部に不具合が生じても、その不具合部分のみを容易に交換することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)は、本発明の実施形態における発電ユニットの斜視図である。(B)は、(A)のF―F矢視断面図である。
図2】本発明の実施形態における発電ユニットの構造を説明するための説明図である。
図3】(A)は、本発明の実施形態における熱電変換モジュールの平面図である。(B)は、(A)のG―G矢視断面図である。(C)は、本発明の実施形態における接続モジュールの平面図である。(D)は、(C)のH―H矢視断面図である。
図4】本発明の実施形態における発電ユニットの製造工程のフローチャート図である。
図5】(A)~(C)は、折り曲げることにより本発明の実施形態における発電ユニットを作成する様子を示す図である。
図6】(A),(B)は、本発明の実施形態における発電ユニットの変形例の構造を説明するための説明図である。
図7】本発明の実施形態における発電ユニットの変形例の断面図である。
図8】本発明の実施形態における発電ユニットを内蔵する筐体を地面に挿入した様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0017】
<全体構成>
図1図3を参照して、本発明の実施形態における発電ユニット1について以下説明する。本発明の実施形態における発電ユニット1は、図1(A),(B)及び図2に示すように、2つの熱電変換モジュール2と、接続モジュール3と、取付部4と、を有する。そして、本実施形態における発電ユニット1では、図1(A),(B)に示すように、2つの熱電変換モジュール2の間に接続モジュール3が挟まれるように、熱電変換モジュール2と接続モジュール3が交互に重ねられる。つまり、本実施形態における発電ユニット1では、熱電変換モジュール2、接続モジュール3、熱電変換モジュール2が順に重ねられる。そして、本実施形態における発電ユニット1は、図1(A),(B)に示すように、蛇腹状に構成される。
【0018】
なお、本実施形態における発電ユニット1は、0.05mm~0.3mm程度の厚みの薄いシートを重ねて構成されたものを想定している。そして、図1(B)、図2図3(B),(D)図5図6、及び図7に示す本実施形態における発電ユニット1は、本実施形態における発電ユニット1の構造を説明するために、シートの厚みを誇張して描いてある。
【0019】
<熱電変換モジュール>
熱電変換モジュール2は、熱を電力に変換するものであり、図3(A),(B)に示すように、第一シート基材20と、熱電変換層21と、第一電極22及び第二電極23から成る電極と、を備える。第一シート基材20は、シート状の基材である。第一シート基材20は、印刷可能な材料で構成される。また、第一シート基材20は、折り曲げ可能であるフレキシブルな材質で構成される。また、第一シート基材20は、図3(A)に示すように、例えば、帯状に形成される。本実施形態において第一シート基材20は、帯状の紙で構成される。
【0020】
熱電変換層21は、図3(B)に示すように、第一シート基材20の一方側の平面20Aに設けられる。本実施形態において熱電変換層21は、熱電変換材料が含まれる熱電変換溶液により第一シート基材20に印刷された熱電変換側印刷部21Aにより構成される。熱電変換溶液がインクとして用いられて第一シート基材20に印刷された場合、第一シート基材20を構成する紙の構造によっては、熱電変換溶液は、第一シート基材20の平面20Aを通じて第一シート基材20の内部に吸収されて、熱電変換側印刷部21Aが構成される。このようなものも本発明に含まれる。
【0021】
熱電変換材料は、有機系のものと無機系のものが挙げられる。有機系の熱電変換材料として、例えば、PEDOT-PSSS(3,4-エチレンジオキシチオフェン:ポリ(4-スチレンスルホン酸塩))、P3HT(3-ヘキシルチオフェン)、ポニフェニレンビニレン等の導電性ポリマーや、カーボンナノチューブなどの炭素材料などが挙げられる。また、無機系の熱電変換材料として、例えば、金属酸化物系、テルル化合物系、シリコン化合物系、アンチモン化合物系などが挙げられる。
【0022】
第一電極22及び第二電極23から成る電極は、第一シート基材20の一方側の平面20Aに設けられる。そして、第一電極22及び第二電極23は、第一シート基材20の長手方向(離間方向)に所定距離だけ離間して配置される。本実施形態における第一電極22及び第二電極23は、それぞれ第一シート基材20の長手方向の端部、又はその近傍に設けられる。本実施形態において第一電極22は、図2に示すように、第一導電性材料が含まれる導電性溶液により第一シート基材20に印刷された熱電変換側印刷部21Aに重ねて第一シート基材20に印刷された第一電極側印刷部22Aにより構成される。本実施形態では、第一シート基材20は、紙で構成されるため、導電性溶液は、第一シート基材20の平面20Aを通じて第一シート基材20の内部にも吸収されて、第一電極側印刷部22Aが構成される。
【0023】
また、本実施形態において第二電極23は、図3(B)に示すように、第一導電性材料、又は、第一導電性材料とは異なる第二導電性材料が含まれる導電性溶液により第一シート基材20に印刷された熱電変換側印刷部21Aに重ねて、第一電極側印刷部22Aとは別の位置において第一シート基材20に印刷された第二電極側印刷部23Aにより構成される。本実施形態では、第一シート基材20は、紙で構成されるため、導電性溶液は、第一シート基材20の平面20Aを通じて第一シート基材20の内部にも吸収されて、第二電極側印刷部23Aが構成される。
【0024】
なお、第一導電性材料、及び、第二導電性材料として、例えば、白金(Pt)、銅(Au)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、炭素(C)、インジウム(In)のうち少なくとも1つ含んだものが一例として想定されるが、これに限るものではなく、その他の公知の導電性の材質であってもよい。そして、導電性溶液として、例えば、銀ナノワイヤー分散液が挙げられる。
【0025】
また、熱電変換モジュール2は、図2に示すように、折返し部25を有する。本実施形態において折返し部25は、接続モジュール3の一方面3B側(下方面側:後述する導電層31が設けられる側とは反対側)から、接続モジュール3の端部3Cの脇を経由して(通って)、他方面3A側(上方面側)に回り込むように、折り返される。また、折返し部25は、接続モジュール3との接続部分、又はその近傍に設けられ、より具体的には第一シート基材20における第一電極側印刷部22Aと、熱電変換側印刷部21Aとの境界K1、又はその近傍に設けられる。
【0026】
以上のような折返し部25は、接続モジュール3を挟み込む挟み込み領域250を有する。挟み込み領域250では、接続モジュール3の導電層31(導電側印刷部31A)が設けられる側において、第一電極側接続部32と(第一電極接続側印刷部32A)と、第一電極22(第一電極側印刷部22A)とが、第二シート基材30のシート厚方向Aにおいて対向すると共に、接触する。つまり、挟み込み領域250には、接続モジュール3の導電層31(導電側印刷部31A)が設けられる側に形成される、熱電変換モジュール2と接続モジュール3との電気的な接続部分が含まれる。
【0027】
また、折返し部25は、開閉するように変形可能である。つまり、熱電変換モジュール2は、接続モジュール3との接続部分を支点として、回動するように変形可能である。従って、折返し部25が開くように折返し部25を変形させると、折返し部25が成す角度は、段々大きくなり、折返し部25が閉じるように折返し部25を変形させると、折返し部25が成す角度は、段々小さくなる。
【0028】
また、本実施形態における発電ユニット1では、一方側(図2では上方側)の熱電変換モジュール2の第一電極22(第一電極側印刷部22A)と、他方側(図2では下方側)の熱電変換モジュール2の第二電極23(第二電極側印刷部23A)とが、外部回路に接続するための外部接続用電極となる。外部接続用電極を外部回路に接続すると、発電ユニット1で生じた起電力は、外部回路に印加される。
【0029】
また、図2に示すように、2つの熱電変換モジュール2は、第一シート基材20のシート厚方向Aに並ぶ。つまり、2つの熱電変換モジュール2は、シート厚方向Aから平面視した際、それぞれの第一シート基材20の平面20A,20Bが重なり合う姿勢で並ぶ。
【0030】
また、2つの熱電変換モジュール2は、それぞれの第一電極22同士、及び第二電極23同士が同一側に位置する姿勢で配置される。つまり、一方側の熱電変換モジュール2の第一電極22及び第二電極23が並ぶ方向を配列方向B(離間方向)と定義した場合、他方側の熱電変換モジュール2の第一電極22は、配列方向Bにおいて、一方側の熱電変換モジュール2の第一電極22と同一側に配置される。また、他方側の熱電変換モジュール2の第二電極23は、配列方向Bにおいて、一方側の熱電変換モジュール2の第二電極23と同一側に配置される。図2では、2つの熱電変換モジュール2の第一電極22同士は、配列方向Bの左側に配置され、第二電極23同士は、配列方向Bの右側に配置されている。そして、シート厚方向Aから2つの熱電変換モジュール2を平面視した際、2つの熱電変換モジュール2は、それぞれの第一電極22同士、及び第二電極23同士の少なくとも一部が重なるように配置される。
【0031】
<接続モジュール>
接続モジュール3は、図3(C),(D)に示すように、2つの熱電変換モジュール2の電極同士(第一電極22と第二電極23)を電気的に直列接続するものである。そして、接続モジュール3は、熱電変換モジュール2から分離可能に独立した、熱電変換モジュール2とは別のモジュールである。接続モジュール3は、熱電変換モジュール2と交互に重なり合う。そして、本実施形態では、接続モジュール3は、2つの熱電変換モジュール2の間に挟まれるように位置する。
【0032】
このような接続モジュール3は、第二シート基材30と、導電層31と、を有する。第二シート基材30は、シート状の基材である。第二シート基材30は、印刷可能な材料で構成される。また、第二シート基材30は、折り曲げ可能であるフレキシブルな材質で構成される。また、第二シート基材30は、図3(C)に示すように、例えば、帯状に形成される。本実施形態において第二シート基材30は、帯状の紙で構成される。
【0033】
導電層31は、図3(D)に示すように、第二シート基材30の一方側の平面30Aに設けられる。そして、導電層31は、一方側(上方側)の熱電変換モジュール2の第二電極23と他方側(下方側)の熱電変換モジュール2の第一電極22とを接続可能な長さを有する。本実施形態において一方側(上方側)の熱電変換モジュール2の第二電極23と、他方側(下方側)の熱電変換モジュール2の第一電極22とは、配列方向B(離間方向)において離間している。このため、導電層31は、図2に示すように、配列方向B(離間方向)に沿って延在する。具体的に導電層31は、第二シート基材30の一方側の平面30Aに沿って、第二シート基材30の長手方向の一端又はその近傍から、長手方向の他端又はその近傍までに延在する。
【0034】
そのような導電層31は、第一電極側接続部32と、第二電極側接続部33と、導電本体部34と、を有する。第一電極側接続部32は、一方側の熱電変換モジュール2の第一電極22(第一電極側印刷部22A)に接続される。第二電極側接続部33は、他方側の熱電変換モジュール2の第二電極23(第二電極側印刷部23A)に接続される。
【0035】
導電本体部34は、第一電極側接続部32と第二電極側接続部33の間において、第一電極側接続部32及び第二電極側接続部33の双方に連続すると共に、第一電極側接続部32と第二電極側接続部33を繋ぐ。そして、図2に示すように、発電ユニット1において、導電本体部34は、第二シート基材30のシート厚方向Aにおいて、第一シート基材20の平面20Aとは反対側の平面20Bに対向する。
【0036】
具体的に導電層31は、第一導電性材料、又は、第二導電性材料、又は、第一導電性材料及び第二導電性材料とは異なる第三導電性材料が含まれる導電性溶液により第二シート基材30に印刷された導電側印刷部31Aにより構成される。導電性溶液がインクとして用いられて第二シート基材30に印刷された場合、第二シート基材30を構成する紙の構造によっては、導電性溶液は、第二シート基材30の平面30Aを通じて第二シート基材30の内部に吸収されて、導電側印刷部31Aが構成される。このようなものも本発明に含まれる。なお、導電側印刷部31Aのうち、第一電極側接続部32に対応するものを第一電極接続側印刷部32A、第二電極側接続部33に対応するものを第二電極接続側印刷部33Aと、導電本体部34に対応するものを導電本体側印刷部34Aと呼ぶこととする。
【0037】
第三導電性材料として、第一導電性材料、及び、第二導電性材料で説明したものと同様のものが挙げられる。
【0038】
また、発電ユニット1における接続モジュール3は、図2に示すように、折返し部35を有する。本実施形態において折返し部35は、熱電変換モジュール2の下方側2E(熱電変換層21が設けられる側とは反対側)から、熱電変換モジュール2の端部2Cの脇を経由して(通って)、熱電変換モジュール2の上方側2D(熱電変換層21が設けられる側)に回り込むように、折り返す。また、折返し部35は、熱電変換モジュール2との接続部分、又はその近傍に設けられ、より具体的には、第二シート基材30における第二電極接続側印刷部33Aと、導電本体側印刷部34Aとの境界K2、又はその近傍に設けられる。
【0039】
以上のような折返し部35は、熱電変換モジュール2を挟み込む挟み込み領域350を有する。挟み込み領域350では、熱電変換モジュール2の熱電変換層21(熱電変換側印刷部21A)が設けられる側において、第二電極側接続部33と(第二電極接続側印刷部33A)と、第二電極23(第二電極側印刷部23A)とが、第一シート基材20のシート厚方向Aにおいて対向すると共に、接触する。つまり、挟み込み領域350には、熱電変換モジュール2の熱電変換層21が設けられる側に形成される、熱電変換モジュール2と接続モジュール3との電気的な接続部分が含まれる。
【0040】
また、折返し部35は、開閉するように変形可能である。つまり、接続モジュール3は、熱電変換モジュール2との接続部分を支点として、回動するように変形可能である。従って、折返し部35が開くように折返し部35を変形させると、折返し部35が成す角度は、段々大きくなり、折返し部35が閉じるように折返し部35を変形させると、折返し部35が成す角度は、段々小さくなる。
【0041】
なお、折返し部35は、第一電極側接続部32が含まれる側が折り返されたものであってもよい。この場合、その折返し部35における第一電極側接続部32は、熱電変換モジュール2の第一電極22に対向し、接触する。また、その折返し部35は、第二シート基材30における第一電極接続側印刷部32Aと、導電本体側印刷部34Aとの境界、又はその近傍に設けられる。
【0042】
<取付部>
取付部4は、図1(B)及び図2に示すように、電気的に接続されるように、接続モジュール3を着脱自在に2つの熱電変換モジュール2に取り付ける。具体的に、取付部4は、一方側の熱電変換モジュール2の第一電極22、及び他方側の熱電変換モジュール2の第二電極23のそれぞれに導電層31(第一電極側接続部32、第二電極側接続部33)を着脱自在に取り付ける。そして、取付部4は、第一電極側接続部32に第一電極22を接触させた状態で、又は、第二電極側接続部33に第二電極23を接触させた状態を維持する。これにより、2つの熱電変換モジュール2は、接続モジュール3により直列接続された状態になる。
【0043】
取付部4として、例えば、接続モジュール3と熱電変換モジュール2とが相互に押し付けられた状態を維持可能であると共に、その状態を解除可能な拘束部材が挙げられる。拘束部材として、例えば、テープ等の粘着性部材、接続モジュール3及び熱電変換モジュール2の周囲に巻き付ける帯状の巻き付け部材、弾性力により接続モジュール3と熱電変換モジュール2とを相互に押し付ける弾性部材が挙げられるが、これに限定されるものではなく、接続モジュール3と熱電変換モジュール2とが相互に押し付けられた状態を維持可能であると共に、その状態を解除可能なものであれば、その他の部材であってもよい。また、取付部4として、例えば、接続モジュール3と熱電変換モジュール2とを着脱可能に電気的に連結する一対の連結部材が挙げられる。この場合、一対の連結部材の一方(第一連結部材片)が接続モジュール3の第一電極側接続部32及び第二電極側接続部33それぞれに設けられ、一対の連結部材の他方(第二連結部材片)が熱電変換モジュール2の第一電極22及び第二電極23それぞれに設けられる。連結態様として、例えば、嵌合による連結、引掛けによる連結、ネジ等による螺合による連結などが一例として挙げられるが、これら以外のものも本発明に含まれる。
【0044】
本実施形態において取付部4は、一方側の熱電変換モジュール2の第一電極22に導電層31を取り付けるものと、他方側の熱電変換モジュール2の第二電極23に導電層31を取り付けるものとがそれぞれ独立した部材として構成されている。一方で、図6(A)に示すように、一方側の熱電変換モジュール2の第一電極22に導電層31を取り付けるものと、他方側の熱電変換モジュール2の第二電極23に導電層31を取り付けるものとが繋がる1つの部材として構成されたものが想定される。この場合でも、取付部4としては、二つあると捉えるものとする。同様に、2つ以上の数のものが1つの部材として構成されたものがあっても、取付部4としては、それに対応する数あるものとして捉える。
【0045】
以上のように取付部4は、着脱自在であるため、発電ユニット1の一部、例えば、接続モジュール3が断線状態になった場合、接続モジュール3を取り外して、新しい接続モジュール3に交換することができる。また、熱電変換モジュール2の熱電変換層21又は電極に不具合が生じて起電力を生じることができない状態になった場合、熱電変換モジュール2を取り外して、新しい熱電変換モジュール2に交換することができる。つまり、本実施形態における発電ユニット1は、故障箇所があっても容易に交換することができる。
【0046】
<発電ユニットの製造工程>
図4及び図5を参照して、本実施形態における発電ユニット1の製造方法について、以下説明する。本実施形態における発電ユニット1は、図4に示すように、熱電変換モジュール製造工程と、接続モジュール製造工程と、取付工程と、折り曲げ工程と、を有する。
【0047】
熱電変換モジュール製造工程では、第一シート基材20に、熱電変換層21、並びに第一電極22及び第二電極23から成る電極が設けられる。本実施形態において熱電変換モジュール製造工程は、図4に示すように、熱電変換層印刷工程(ステップS100)と、第一電極印刷工程(ステップS101)と、第二電極印刷工程(ステップS102)と、を有する。
【0048】
熱電変換層印刷工程(ステップS100)では、熱電変換材料が含まれる溶液により第一シート基材20に印刷して熱電変換層21となる熱電変換側印刷部21Aを第一シート基材20に形成する。第一電極印刷工程(ステップS101)では、第一導電性材料が含まれる溶液により熱電変換側印刷部21Aに重ねて第一シート基材20に印刷して第一電極22となる第一電極側印刷部22Aを第一シート基材20に形成する。第二電極印刷工程(ステップS102)では、第一導電性材料、又は、第一導電性材料とは異なる第二導電性材料が含まれる溶液により熱電変換側印刷部21Aに重ねて、第一シート基材20の第一電極側印刷部22Aとは別の位置に印刷して第二電極23となる第二電極側印刷部23Aを第一シート基材20に形成する。なお、ステップS101及びステップS102は、どちらが先に行われてもよい。また、第一電極側印刷部22A、及び第二電極側印刷部23Aは、一回の印刷工程で、第一シート基材20に印刷されてもよい。この場合、ステップS101及びステップS102は、1つのステップとなる。
【0049】
接続モジュール製造工程(ステップS103)では、第二シート基材30に、熱電変換モジュール2と電気的に接続可能な導電層31が設けられる。そして、接続モジュール製造工程は、図4に示すように、導電層印刷工程を有する。導電層印刷工程(ステップS104)では、第一導電性材料、又は、第二導電性材料、又は、第一導電性材料及び第二導電性材料とは異なる第三導電性材料が含まれる溶液により第二シート基材30に印刷して、導電層31となる導電側印刷部31Aを第二シート基材30に形成する。
【0050】
取付工程(ステップS104)では、着脱自在な取付部4により、一方側の熱電変換モジュール2の第一電極22(第一電極側印刷部22A)に導電層31の一端を取り付けると共に、他方側の熱電変換モジュール2の第二電極23(第二電極側印刷部23A)に導電層31の他端を取り付ける。つまり、取付工程(ステップS104)では、図5(A)に示すように、取付部4により接続モジュール3を介して、2つの熱電変換モジュール2を直列接続する。このとき、一方側の熱電変換モジュール2Aと、接続モジュール3と、他方側の熱電変換モジュール2Bとは、それぞれの長手方向に沿って列状に延在する。
【0051】
ただし、この際、一方側の熱電変換モジュール2A及び他方側の熱電変換モジュール2Bにおける電極(第一電極22、第二電極23)と接続モジュール3の導電層31とは、第一シート基材20又は第二シート基材30のシート厚方向Aにおいて一部が対向しつつ、接触する。結果、図5(A)に示すように、一方側の熱電変換モジュール2A及び他方側の熱電変換モジュール2Bにおける熱電変換層21はシート厚方向Aの一方側(上方側)を向き、接続モジュール3の導電層31はシート厚方向Aの一方側(下方側)を向く。つまり、熱電変換モジュール2A,2Bにおける熱電変換層21が向く側と、接続モジュール3の導電層31が向く側とは、反対になる。
【0052】
折り曲げ工程(ステップS105)では、熱電変換モジュール2及び/又は接続モジュール3を折り曲げて、2つの熱電変換モジュール2の間に接続モジュール3が挟まれるようにする。本実施形態では、図5(A)の矢印に示すように、熱電変換モジュール2Aの第二電極23側の端部2Cを折返し点として、接続モジュール3を熱電変換モジュール2Aの下方側(熱電変換層21が設けられる側とは反対側)に折り返す。これにより、接続モジュール3に折返し部35が形成される。また、折返し部35には、熱電変換モジュール2を挟み込む挟み込み領域350が形成される。結果、本実施形態における発電ユニット1は、図5(B)に示すように、熱電変換モジュール2Aと接続モジュール3とが重なり合う状態になる。
【0053】
さらに、図5(B)の矢印に示すように、接続モジュール3の第一電極側接続部32側の端部3Cを折返し点として、熱電変換モジュール2Bを接続モジュール3の下方側(導電層31が設けられる側とは反対側)に折り返す。これにより、熱電変換モジュール2Bに折返し部25が形成される。また、折返し部35には、接続モジュール3を挟み込む挟み込み領域250が形成される。結果、本実施形態における発電ユニット1は、図5(C)に示すように、熱電変換モジュール2A、接続モジュール3、熱電変換モジュール2Bが順に重なり合う状態になると共に、蛇腹状に構成される。
【0054】
<発電ユニットの変形例>
なお、図6(A)に示すように、発電ユニット1は、接続モジュール3に折返し部35がなく、代わりに2つの熱電変換モジュール2が折返し部25を有するものであってもよい。また、図6(B)に示すように、発電ユニット1は、2つの熱電変換モジュール2それぞれに折返し部25がなく、接続モジュール3が両端側において折返し部35を有するものであってもよい。また、発電ユニット1は、n個(図7では6個)の熱電変換モジュール2と、(n-1)個(図7では5個)の接続モジュール3と、2(n-1)個の取付部4と、を有するように構成されてもよい。この場合、n個の熱電変換モジュール2は、(n-1)個の接続モジュール3により直列接続される。
【0055】
<発電ユニットの使用例>
以上のように構成される発電ユニット1を、図8に示すように、例えば、筐体70に入れて、地面80に挿入すると、各熱電変換モジュール2の各第一電極22に近位な側を高温側の地中に位置させ、各第二電極23に近位な側を低音側の大気中に位置させることができる。この場合、各熱電変換モジュール2に生じる起電力の向きは同じとなる。そして、各熱電変換モジュール2は、接続モジュール3により直列接続されているため、発電ユニット1全体に生じる起電力は大きくなる。つまり、本実施形態における発電ユニット1によれば、各熱電変換モジュール2の数を増やせば、発電ユニット1の外部接続用電極を通じて発電ユニット1に繋いだ回路90の負荷91に、大きな電力を供給することができる。
【0056】
一方で、発電ユニット1は、各熱電変換モジュール2の数を増やしても蛇腹状に形成されるため、折り畳んで、発電ユニット1の大きさを小さくすることができるという利点がある。従って、各熱電変換モジュール2の数を増やしても、筐体70における発電ユニット1の専有体積の増加率を抑えることができる。
【0057】
以上のことは、別の環境において、発電ユニット1の各熱電変換モジュール2の各第一電極22に近位な側を高温側に位置させ、各第二電極23に近位な側を低音側に位置させても、同様である。また、発電ユニット1の各熱電変換モジュール2の各第二電極23に近位な側を高温側に位置させ、各第一電極22に近位な側を低音側に位置させても、同様である。
【0058】
尚、本発明の発電ユニットは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
1 発電ユニット
2,2A,2B 熱電変換モジュール
2C 端部
3 接続モジュール
3C 端部
4 取付部
20 第一シート基材
20A,20B,30A 平面
21 熱電変換層
21A 熱電変換側印刷部
22 第一電極
22A 第一電極側印刷部
23 第二電極
23A 第二電極側印刷部
25,35 折返し部
30 第二シート基材
31 導電層
31A 導電側印刷部
32 第一電極側接続部
32A 第一電極接続側印刷部
33 第二電極側接続部
33A 第二電極接続側印刷部
34 導電本体部
34A 導電本体側印刷部
250,350 挟み込み領域
A シート厚方向
B 配列方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8