IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-照明器具及び照明システム 図1
  • 特許-照明器具及び照明システム 図2
  • 特許-照明器具及び照明システム 図3
  • 特許-照明器具及び照明システム 図4
  • 特許-照明器具及び照明システム 図5
  • 特許-照明器具及び照明システム 図6
  • 特許-照明器具及び照明システム 図7
  • 特許-照明器具及び照明システム 図8
  • 特許-照明器具及び照明システム 図9
  • 特許-照明器具及び照明システム 図10A
  • 特許-照明器具及び照明システム 図10B
  • 特許-照明器具及び照明システム 図11
  • 特許-照明器具及び照明システム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】照明器具及び照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/175 20200101AFI20231006BHJP
   F21V 9/30 20180101ALI20231006BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20231006BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20231006BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20231006BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231006BHJP
【FI】
H05B47/175
F21V9/30
F21S8/02 400
F21S8/04
F21V23/00 110
F21Y115:10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020072421
(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公開番号】P2021170445
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松林 容子
(72)【発明者】
【氏名】船本 万里
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-237356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/175
F21V 9/30
F21S 8/02
F21S 8/04
F21V 23/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射する光の光量及び光色を調整可能な照明器具であって、
CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.380,0.330)、(x,y)=(0.510,0.360)、(x,y)=(0.470,0.440)及び(x,y)=(0.350,0.420)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有し、固定の光色の第1光を発する第1光源と、
CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.200,0.175)、(x,y)=(0.275,0.270)、(x,y)=(0.220,0.360)及び(x,y)=(0.155,0.275)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有し、固定の光色の第2光を発する第2光源と、
JIS Z8110-1995で定義される白色の基本色名領域円の内側の光色を有し、固定の光色の第3光を発する第3光源と、
前記照明器具が照射する光の光量及び光色を調整するための調光信号を取得し、前記調光信号に基づいて、前記第1光源前記第2光源及び前記第3光源それぞれの光量を調整する光源制御部とを備える
照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具である第1照明器具と、
前記調光信号を生成する信号生成部とを備え、
前記光源制御部は、前記信号生成部から前記調光信号を取得する
照明システム。
【請求項3】
照射する光の光量及び光色を調整可能な第1照明器具と、
信号生成部とを備え、
前記第1照明器具は、
CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.405,0.262)、(x,y)=(0.634,0.319)、(x,y)=(0.460,0.510)及び(x,y)=(0.330,0.482)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有し、固定の光色の第1光を発する第1光源と、
CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.181,0.032)、(x,y)=(0.315,0.200)、(x,y)=(0.180,0.430)及び(x,y)=(0.069,0.283)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有し、固定の光色の第2光を発する第2光源と、
JIS Z8110-1995で定義される白色の基本色名領域円の内側の光色を有し、固定の光色の第3光を発する第3光源と、
前記第1照明器具が照射する光の光量及び光色を調整するための調光信号を前記信号生成部から取得し、前記調光信号に基づいて、前記第1光源、前記第2光源及び前記第3光源それぞれの光量を調整する光源制御部とを備え、
前記信号生成部は、
CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.380,0.330)、(x,y)=(0.510,0.360)、(x,y)=(0.470,0.440)及び(x,y)=(0.350,0.420)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有する光、又は、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.200,0.175)、(x,y)=(0.275,0.270)、(x,y)=(0.220,0.360)及び(x,y)=(0.155,0.275)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有する光を前記第1照明器具に照射させる前記調光信号を生成する
照明システム。
【請求項4】
白色光を照射する第2照明器具をさらに備え、
前記第1照明器具は、前記第2照明器具が光を照射する範囲の外側に光を照射する
請求項2又は3に記載の照明システム。
【請求項5】
照射する光の光量及び光色を調整可能な第1照明器具であって、
CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.380,0.330)、(x,y)=(0.510,0.360)、(x,y)=(0.470,0.440)及び(x,y)=(0.350,0.420)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有し、固定の光色の第1光を発する第1光源と、
CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.200,0.175)、(x,y)=(0.275,0.270)、(x,y)=(0.220,0.360)及び(x,y)=(0.155,0.275)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有し、固定の光色の第2光を発する第2光源と、
前記第1照明器具が照射する光の光量及び光色を調整するための調光信号を取得し、前記調光信号に基づいて、前記第1光源及び前記第2光源それぞれの光量を調整する光源制御部とを備える第1照明器具と、
前記調光信号を生成する信号生成部と、
白色光を照射する第2照明器具とを備え、
前記光源制御部は、前記信号生成部から前記調光信号を取得し、
前記第1照明器具は、前記第2照明器具が光を照射する範囲の外側に光を照射する
照明システム。
【請求項6】
前記第2照明器具は、作業者が作業を行う作業領域に光を照射する
請求項4又は5に記載の照明システム。
【請求項7】
前記第2照明器具は、光量が調整可能な照明器具であり、
前記信号生成部は、前記第2照明器具が照射する光の光量を示す情報である光量情報を取得し、取得した前記光量情報に基づいて、前記第2照明器具が照射する光の光量と正に相関した光量の光を前記第1照明器具に照射させる前記調光信号を生成する
請求項4から6のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項8】
前記信号生成部は、前記第2照明器具が照射する光の相関色温度を示す情報である光色情報を取得し、取得した前記光色情報に基づいて、前記第2照明器具が照射する白色光の相関色温度が5000K以上である場合には、寒色系の光色の光を前記第1照明器具に照射させる前記調光信号を生成し、前記第2照明器具が照射する白色光の相関色温度が5000K未満である場合には、暖色系の光色の光を前記第1照明器具に照射させる前記調光信号を生成する
請求項から7のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項9】
照射する光の光量及び光色を調整可能な第1照明器具であって、
CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.380,0.330)、(x,y)=(0.510,0.360)、(x,y)=(0.470,0.440)及び(x,y)=(0.350,0.420)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有し、固定の光色の第1光を発する第1光源と、
CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.200,0.175)、(x,y)=(0.275,0.270)、(x,y)=(0.220,0.360)及び(x,y)=(0.155,0.275)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有し、固定の光色の第2光を発する第2光源と、
前記第1照明器具が照射する光の光量及び光色を調整するための調光信号を取得し、前記調光信号に基づいて、前記第1光源及び前記第2光源それぞれの光量を調整する光源制御部とを備える第1照明器具と、
前記調光信号を生成する信号生成部とを備え、
前記光源制御部は、前記信号生成部から前記調光信号を取得し、
前記信号生成部は、空調機器の設定温度、気温、季節及び時間帯のうち少なくとも1つを示す情報である環境情報を取得し、取得した前記環境情報に基づいて決定した光色の光を前記第1照明器具に照射させる前記調光信号を生成する
明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具等が照射する光の光色に応じて、人が感じる温度が変化する、つまり、人が温冷感を感じることが知られている。例えば、人は、寒色系の光色を見ると冷たさ(冷感)を感じ、暖色系の光色を見ると温かさ(温感)を感じる。
【0003】
このことを利用して、例えば、特許文献1では、人の快適性を維持又は向上させるために、湿度及び温度に基づいて、光源の光色を制御する照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-230907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の照明装置のように従来の照明器具では、光色を相関色温度の規定範囲で変化させており、温冷感、特に冷感を感じさせる効果が十分ではない場合がある。
【0006】
そこで、本発明では、効果的に人に温冷感を感じさせることができる照明器具等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る照明器具は、照射する光の光量及び光色を調整可能な照明器具であって、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.380,0.330)、(x,y)=(0.510,0.360)、(x,y)=(0.470,0.440)及び(x,y)=(0.350,0.420)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有し、固定の光色の第1光を発する第1光源と、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.200,0.175)、(x,y)=(0.275,0.270)、(x,y)=(0.220,0.360)及び(x,y)=(0.155,0.275)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有し、固定の光色の第2光を発する第2光源と、前記照明器具が照射する光の光量及び光色を調整するための調光信号を取得し、前記調光信号に基づいて、前記第1光源及び前記第2光源それぞれの光量を調整する光源制御部とを備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る照明システムは、上記照明器具である第1照明器具と、前記調光信号を生成する信号生成部とを備え、前記光源制御部は、前記信号生成部から前記調光信号を取得する。
【0009】
また、本発明の一態様に係る照明システムは、照射する光の光量及び光色を調整可能な第1照明器具と、信号生成部とを備え、前記第1照明器具は、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.405,0.262)、(x,y)=(0.634,0.319)、(x,y)=(0.460,0.510)及び(x,y)=(0.330,0.482)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有し、固定の光色の第1光を発する第1光源と、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.181,0.032)、(x,y)=(0.315,0.200)、(x,y)=(0.180,0.430)及び(x,y)=(0.069,0.283)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有し、固定の光色の第2光を発する第2光源と、JIS Z8110-1995で定義される白色の基本色名領域円の内側の光色を有し、固定の光色の第3光を発する第3光源と、前記第1照明器具が照射する光の光量及び光色を調整するための調光信号を前記信号生成部から取得し、前記調光信号に基づいて、前記第1光源、前記第2光源及び前記第3光源それぞれの光量を調整する光源制御部とを備え、前記信号生成部は、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.380,0.330)、(x,y)=(0.510,0.360)、(x,y)=(0.470,0.440)及び(x,y)=(0.350,0.420)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有する光、又は、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.200,0.175)、(x,y)=(0.275,0.270)、(x,y)=(0.220,0.360)及び(x,y)=(0.155,0.275)の4点を頂点とする四角形の領域に位置する色度座標の光色を有する光を前記第1照明器具に照射させる前記調光信号を生成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る照明器具等によれば、効果的に人に温冷感を感じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態に係る照明システムの構成を模式的に示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る照明システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態に係る第1照明器具の第1光源、第2光源及び第3光源が発する光の光色を説明するためのCIE1931色空間のxy色度図である。
図4図4は、実施の形態に係る第1照明器具の第1光源、第2光源及び第3光源の断面を示す模式図である。
図5図5は、実施の形態に係る第1照明器具の調色範囲の一例を示すCIE1931色空間のxy色度図である。
図6図6は、実施の形態に係る第1照明器具の第2光源が発する第2光の発光スペクトルの例を示す図である。
図7図7は、実施の形態に係る信号生成部の動作例1のフローチャートである。
図8図8は、実施の形態に係る信号生成部の動作例2のフローチャートである。
図9図9は、実施の形態に係る信号生成部の動作例3のフローチャートである。
図10A図10Aは、室温と快適感との関係性の例を説明するための図である。
図10B図10Bは、室温と快適感との関係性の例を説明するための図である。
図11図11は、実施の形態の変形例に係る照明システムの構成を示すブロック図である。
図12図12は、実施の形態の変形例に係る第1光源及び第2光源が発する光の光色を説明するためのCIE1931色空間のxy色度図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、本発明を示すために適宜強調、省略、又は比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。
【0013】
(実施の形態)
以下、本実施の形態に係る照明器具及び照明システムについて説明する。
【0014】
[照明システムの構成]
まず、図1及び図2を用いて、本実施の形態に係る照明システムの構成について説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る照明システム1の構成を模式的に示す図である。図2は、本実施の形態に係る照明システム1の構成を示すブロック図である。
【0016】
照明システム1は、第1照明器具10と第2照明器具20と照明制御装置30と操作器40とを備える。照明制御装置30には、第1照明器具10が照射する光の光量及び光色を調整するための調光信号の一例である第1調光信号を生成する信号生成部31が備えられている。本明細書において、第1照明器具10は、照明器具の一例である。図示は省略されているが、第1照明器具10、第2照明器具20、照明制御装置30及び操作器40とは、それぞれ、バッテリ等の内部電源又は外部電源から動作用の電力が供給される。照明システム1は、例えば、オフィス、工場、商業施設、ホテル又は飲食店等の屋内空間に設置される。
【0017】
第1照明器具10は、照射する光量及び光色を調整可能な照明器具である。第1照明器具10は、人に温冷感を感じさせることができる光色の光を照射する。第1照明器具10は、主に屋内空間の壁面及び/又は天井に光を照射する照明器具である。第1照明器具10は、例えば、空間演出用の照明器具であり、屋内空間の空間演出に用いられる。具体的に、第1照明器具10は、例えば、コファー照明、コーニス照明、コーブ照明又はフロアスタンド照明等の照明器具である。図示されている例では、第1照明器具10は、天井に設置されているが、壁に設置されていてもよく、床面から立設していてもよい。図1において、照明システム1が備える第1照明器具10の数は、2つであるが、照明システム1が備える第1照明器具10の数は、2つである必要はなく、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0018】
第2照明器具20は、白色光を照射する照明器具である。第2照明器具20は、主に屋内空間の床面に光を照射する照明器具である。第2照明器具20は、例えば、作業用の照明器具であり、屋内空間に存在する作業者の作業(例えば、読み、書き、視作業、手作業、電子機器操作及び食事等)に必要な光を照射する。具体的に、第2照明器具20は、例えば、ダウンライト、シーリングライト又はベースライト等の照明器具である。図1において、照明システム1が備える第2照明器具20の数は、3つであるが、照明システム1が備える第2照明器具20の数は、3つである必要はなく、1つ又は2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
【0019】
第2照明器具20は、複数の光源を備え、複数の光源がそれぞれの光量を調整されることにより、調光及び調色が可能な照明器具であってもよい。第2照明器具20が照射する白色光は、例えば、相関色温度2700Kから7200Kの間で調色される。また、第2照明器具20が照射する白色光は、相関色温度2700Kから6500Kの間で調色されてもよい。
【0020】
ここで、第1照明器具10及び第2照明器具20が光を照射する範囲について説明する。
【0021】
第2照明器具20は、作業者が作業を行う作業領域Aに光を照射する。第2照明器具20が光を照射する範囲の中心(光軸が向かう方向)は、例えば、屋内空間の床面又は作業用デスク等の水平面に位置する。
【0022】
第1照明器具10は、第2照明器具20が光を照射する範囲の外側に光を照射する。第1照明器具10が光を照射する範囲は、第2照明器具20が光を照射する範囲に、一部(例えば、第1照明器具10が光を照射する範囲の半分以下)が重なっていてもよく、重なっていなくてもよい。第1照明器具10が光を照射する範囲の中心は、例えば、第2照明器具20が光を照射する範囲の外側に位置する。また、第1照明器具10が光を照射する範囲の中心は、例えば、屋内空間の壁面、棚又はパーティション等の鉛直面に位置する。第1照明器具10は、例えば、作業領域Aには光を照射しない。また、図示されるように、第1照明器具10が複数設置される場合、複数の第1照明器具10それぞれが光を照射する範囲は、第2照明器具20が光を照射する範囲を挟むように位置してもよい。
【0023】
このように、作業領域Aに第2照明器具20が、白色光を照射し、第2照明器具20の照射範囲の外側に第1照明器具10が、後述する人に温冷感を感じさせる光色の光を照射する。人に温冷感を感じさせる光色の光のような有彩色の光の中で作業する場合、作業者は不快に感じる場合があり、作業者の作業効率が低下する。照明システム1が設置される屋内空間においては、作業者は、人に温冷感を感じさせる光色の光のような有彩色の光の中で作業しなくてよく、作業用の白色光の照射される作業領域Aの中で作業できる。よって、照明システム1は、作業者の作業性を低下させることなく、屋内空間の印象をコントロールし、効果的に人に温冷感を感じさせることができる。
【0024】
照明制御装置30は、第1照明器具10が照射する光の光量及び光色を調整するための第1調光信号を生成する制御装置である。具体的には、照明制御装置30の信号生成部31が、第1調光信号を生成する。照明制御装置30は、各種センサ等からの情報又は操作器40からの操作情報に基づいて、第1調光信号を生成する。照明制御装置30は、生成した第1調光信号を第1照明器具10に送信する。照明制御装置30は、例えば、第1照明器具10と一体で、屋内空間に設置されている。照明制御装置30は、第1照明器具10とは別の場所に、独立して設置されていてもよい。また、照明システム1が複数の第1照明器具10を備える場合、照明制御装置30は、それぞれの第1照明器具10と一体で備えられていてもよい。また、照明制御装置30は、少なくとも1つの第1照明器具10と一体で少なくとも1つ備えられ、少なくとも1つの照明制御装置30が複数の第1照明器具10に第1調光信号を送信してもよい。
【0025】
操作器40は、ユーザの操作を受け付け、受け付けられた操作に応じて第1照明器具10及び第2照明器具20を動作させるためのリモートコントローラである。操作器40は、第1照明器具10及び第2照明器具20を動作させるための、第1照明器具10及び第2照明器具20の点灯、消灯、調光又は調色等に関する情報である操作情報を送信する。操作器40は、ユーザからの操作を受け付け、受け付けた操作に基づいて、操作情報を生成する。操作器40は、操作情報を信号生成部31へ送信する。操作器40は、例えば、壁付コントローラである。また、操作器40は、操作用リモコン又は壁スイッチ等であってもよい。操作器40は、スマートフォン又はタブレット端末などの汎用の携帯端末にアプリケーションプログラムがインストールされることによって実現されてもよい。
【0026】
次に、照明システム1の第1照明器具10及び照明制御装置30について、詳細に説明する。
【0027】
[第1照明器具]
図2に示されるように、第1照明器具10は、第1光源11と第2光源12と第3光源13と光源制御部15とを備える。
【0028】
まず、第1光源11、第2光源12及び第3光源13が発する光の光色について説明する。図3は、本実施の形態に係る第1照明器具10の第1光源11、第2光源12及び第3光源13が発する光の光色を説明するためのCIE1931色空間のxy色度図である。
【0029】
第1光源11、第2光源12及び第3光源13は、それぞれ、異なる光色の光を発する光源である。なお、第1照明器具10は、第3光源13を備えていなくてもよい。
【0030】
第1光源11は、固定の光色の第1光を発する。図3に示されるように、第1光は、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.380,0.330)、(x,y)=(0.510,0.360)、(x,y)=(0.470,0.440)及び(x,y)=(0.350,0.420)の4点を頂点とする四角形の領域C1に位置する色度座標の光色を有する。第1光の光色は、暖色系の光色である。第1光が領域C1に位置する色度座標の光色を有することにより、第1光源11の発光効率と、第1光によって人に温感を感じさせる効果とを高めることができる。
【0031】
第2光源12は、固定の光色の第2光を発する。図3に示されるように、第2光は、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.200,0.175)、(x,y)=(0.275,0.270)、(x,y)=(0.220,0.360)及び(x,y)=(0.155,0.275)の4点を頂点とする四角形の領域C2に位置する色度座標の光色を有する。第2光の光色は、寒色系の光色である。第2光が領域C2に位置する色度座標の光色を有することにより、第2光源12の発光効率と、第2光によって人に冷感を感じさせる効果とを高めることができる。
【0032】
例えば、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.302,0.692)と等エネルギー白色点(x,y)=(0.333,0.333)とを通る直線を境界として、x軸正方向側の色度座標の光色は、暖色系の光色である。また、例えば、当該直線を境界として、x軸負方向側の色度座標の光色は、寒色系の光色である。
【0033】
第3光源13は、固定の光色の第3光を発する。図3に示されるように、第3光は、JIS Z8110-1995で定義される白色の基本色名領域円C3の内側の光色を有する。JIS Z8110-1995で定義される白色の基本色名領域円C3は、CIE1931色空間のxy色度図において、楕円式:中心座標(0.333,0.333)、長半径a=0.070、短半径b=0.025、長軸のx軸に対する傾きθ(deg)=59、によって規定される領域である。第1照明器具10が、白色の第3光を発する第3光源13を備えることにより、第1照明器具10が照射する光の光色を調整しやすくなる。
【0034】
また、第2光源12が発することができる第2光の最大光量は、第1光源11が発することができる第1光の最大光量よりも大きくてもよい。例えば、供給可能な電流量又は後述する第2発光素子121の数等を多くすることにより、第2光源12が発することができる第2光の最大光量を大きくする。これにより、第1照明器具10は、人に快適に感じさせるための光量が、暖色系の光色の光よりも多く必要となる寒色系の光色を有する第2光を、大きな光量で照射することができる。
【0035】
第1照明器具10は、第1光源11、第2光源12及び第3光源13のうち、複数の光源が発光する場合には、発光した光源の光が混合されて生成した光を照射する。
【0036】
次に、第1光源11、第2光源12及び第3光源13の構成の詳細について説明する。図4は、本実施の形態に係る第1照明器具10の第1光源11、第2光源12及び第3光源13の断面を示す模式図である。
【0037】
図4に示されるように、第1光源11は、第1発光素子111、第1蛍光部材112及び封止部材200を有する。第1光源11は、COB(Chip On Board)型の発光モジュールであり、第1発光素子111が、基板300上に実装され、第1蛍光部材112が中に分散した封止部材200によって封止されている。第1光源11が発する第1光は、第1発光素子111及び第1蛍光部材112が発する光の混合光である。また、図示はされていないが、第1発光素子111には、電力を供給するための金属配線等が設けられている。
【0038】
第2光源12は、第2発光素子121、第2蛍光部材122及び封止部材200を有する。第2光源12が発する第2光は、第2発光素子121及び第2蛍光部材122が発する光の混合光である。また、第3光源13は、第3発光素子131、第3蛍光部材132及び封止部材200を有する。第3光源13が発する第3光は、第3発光素子131及び第3蛍光部材132が発する光の混合光である。第2光源12及び第3光源13は、第1光源11と同様の構造を有しているため、詳細な説明は省略する。第2光源12及び第3光源13は、第1光源11とは別回路によって電力が供給される。
【0039】
また、第1光源11、第2光源12及び第3光源13は、SMD(Surface Mount Device)型の発光モジュールであってもよい。また、第1光源11、第2光源12及び第3光源13は、リモートフォスファー型の発光モジュールであってもよい。第1光源11、第2光源12及び第3光源13の数は、使用目的に応じて適宜調整すればよい。
【0040】
第1発光素子111、第2発光素子121及び第3発光素子131は、例えば、青色LED(Light Emitting Diode)又は紫色LEDである。青色LEDは、430nmから460nmの波長域に主たる発光ピークを有する青色光を放射する。紫色LEDは、380nmから430nmの波長域に主たる発光ピークを有する紫色光を放射する。青色LED及び紫色LEDとしては、例えば、窒化ガリウム系のLEDが挙げられる。第1発光素子111、第2発光素子121及び第3発光素子131は、同じ波長の発光ピークを有するLEDであってもよく、異なる波長の発光ピークを有するLEDであってもよい。電流電圧特性を同じにし、電源回路設計が容易になる観点からは、例えば、第1発光素子111、第2発光素子121及び第3発光素子131は、同じ発光ピーク波長を有する種類のLEDである。なお、第1発光素子111、第2発光素子121及び第3発光素子131を総称して単に「発光素子」と記載する場合がある。
【0041】
第1蛍光部材112は、第1発光素子111の光の少なくとも一部によって励起され、第1発光素子111の光よりも長い波長の光を放射する。第1蛍光部材112は、例えば、赤色蛍光体及び黄色蛍光体の少なくとも一方を含む。第1蛍光部材112に含まれる蛍光体の種類は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
【0042】
第2蛍光部材122は、第2発光素子121の光の少なくとも一部によって励起され、第2発光素子121の光よりも長い波長の光を放射する。第2蛍光部材122は、例えば、青色蛍光体及び緑色蛍光体の少なくとも一方を含む。第2蛍光部材122に含まれる蛍光体の種類は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
【0043】
第3蛍光部材は、第3発光素子131の光の少なくとも一部によって励起され、第3発光素子131の光よりも長い波長の光を放射する。第3蛍光部材132は、例えば、赤色蛍光体、黄色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体の少なくとも1つを含む。なお、第1蛍光部材112、第2蛍光部材122及び第3蛍光部材132を総称して単に「蛍光部材」と記載する場合がある。
【0044】
赤色蛍光体は、青色LED又は紫色LEDの光によって励起され、600nmから650nmの波長域に主たる発光ピークを有する赤色光を放射する。赤色蛍光体としては、例えば、Ca-α-SiAlON:Eu2+、CaAlSiN:Eu2+、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+、SrSi:Eu2+、Sr(Si,Al)(N,O):Eu2+、CaS:Eu2+及びLaS:Eu2+等が挙げられる。
【0045】
黄色蛍光体は、青色LED又は紫色LEDの光によって励起され、540nmから600nmの波長域に主たる発光ピークを有する黄色光を放射する。黄色蛍光体としては、例えば、(Y,Gd)Al12:Ce3+、YAl12:Ce3+,Pr3+、(Tb,Gd)Al12:Ce3+、(Sr,Ba)SiO:Eu2+、(Sr,Ca)SiO:Eu2+、CaSi:Eu2+、Ca-α-SiAlON:Eu2+、YSiC:Ce3+及びCaGa:Eu2+等が挙げられる。
【0046】
青色蛍光体は、青色LED又は紫色LEDの光によって励起され、440nmから480nmの波長域に主たる発光ピークを有する青色光を放射する。青色蛍光体としては、例えば、(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Eu2+、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu2+、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Eu2+、(Ba,Sr,Ca)Si12:Eu2+及び(Ba,Sr,Ca)Si:Eu2+等が挙げられる。
【0047】
緑色蛍光体は、青色LED又は紫色LEDの光によって励起され、480nmから540nmの波長域に主たる発光ピークを有する緑色光を放射する。緑色蛍光体としては、例えば、YAl12:Ce3+、TbAl12:Ce3+、BaYSiAl12:Ce3+、CaScSiO1:Ce3+、(Ba,Sr)SiO:Eu2+、CaSc:Ce3+、BaSiO1:Eu2+、β-SiAlON:Eu2+及びSrGa:Eu2+等が挙げられる。
【0048】
なお、上記の各色の蛍光体の例示は一例であり、一般に、蛍光体は特性のばらつきが大きく、上記で色ごとに分類して例示された組成式の蛍光体が、分類された色とは異なる色の光を放射する場合もある。
【0049】
第1蛍光部材112、第2蛍光部材122及び第3蛍光部材132それぞれに含まれる蛍光体の種類、蛍光体が複数種類含まれる場合の配合比率及び封止部材200中への蛍光体の配合量は、目的とする第1光、第2光及び第3光それぞれの光色となるように調整される。
【0050】
封止部材200は、第1発光素子111、第2発光素子121及び第3発光素子131をそれぞれ個別に封止する透光性樹脂材料である。透光性樹脂材料としては、第1発光素子111、第2発光素子121、第3発光素子131、第1蛍光部材112、第2蛍光部材122及び第3蛍光部材132が発する光を透過する材料であれば、特に限定されない。透光性樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はユリア樹脂等が用いられる。なお、図2においては、第1光源11と第2光源12と第3光源13とは、同じ種類の封止部材200を有しているが、第1光源11と第2光源12と第3光源13とは、別の種類の封止部材を有していてもよい。
【0051】
基板300は、第1光源11、第2光源12及び第3光源13を実装する基板である。基板300は、例えば、メタルベース基板、樹脂基板、又はセラミック基板である。
【0052】
光源制御部15は、外部から、具体的には信号生成部31からの第1調光信号を受け取ることで第1調光信号を取得し、第1調光信号に基づいて、第1光源11、第2光源12及び第3光源13のそれぞれの光量を調整する。これにより、第1照明器具10が照射する光は、調光及び調色される。
【0053】
光源制御部15は、例えば、電源回路により第1光源11、第2光源12及び第3光源13に独立して電力を供給し、個別に電流量を変化させることで、第1光、第2光及び第3光のそれぞれの光量を調整する。また、光源制御部15の制御には、点灯及び消灯が含まれる。光源制御部15は、具体的には、調光スイッチ、電源回路、電流制御回路、及び、調光回路等から構成される。光源制御部15は、さらに、メモリとプロセッサとを含んでいてもよい。また、光源制御部15は、遠隔操作で制御するための通信回路等を含んでいてもよい。
【0054】
なお、光源制御部15は、各種センサからの情報又は操作情報を受け取り、受け取った情報に基づいて、第1調光信号を生成することで、第1調光信号を取得してもよい。
【0055】
[照明制御装置]
次に、照明制御装置30について説明する。図2に示されるように、照明制御装置30は、信号生成部31と、通信部32と、時計回路33と、温度センサ34と、光センサ35とを備える。なお、通信部32、時計回路33、温度センサ34及び光センサ35の少なくとも1つは、照明制御装置30に備えられていなくてもよい。
【0056】
信号生成部31は、第1照明器具10が照射する光の光量及び光色を調整するための第1調光信号を生成する。信号生成部31は、例えば、第1照明器具10の光源制御部15と直接接続されており、生成した第1調光信号を光源制御部15に送信する。なお、第1照明器具10と照明制御装置30とが、離れて設けられている場合には、信号生成部31は、通信部32を用いて、有線又は無線の通信により、光源制御部15に第1調光信号を送信してもよい。
【0057】
また、信号生成部31は、第2照明器具20が照射する光の光量及び光色を調整するための第2調光信号を生成してもよい。この場合、信号生成部31は、例えば、通信部32を用いて、有線又は無線の通信により、第2照明器具20に第2調光信号を送信する。
【0058】
信号生成部31は、例えば、通信部32を用いて操作器40から操作情報を取得し、取得した操作情報に基づいて、操作器40がユーザから受け付けた操作で第1照明器具10を動作させる第1調光信号を生成する。また、信号生成部31は、取得した操作情報に基づいて、操作器40がユーザから受け付けた操作で第2照明器具20を動作させる第2調光信号を生成してもよい。
【0059】
また、信号生成部31は、例えば、空調機器50の設定温度、気温、季節及び時間帯のうち少なくとも1つを示す情報である環境情報を取得する。信号生成部31は、取得した環境情報に基づいて決定した光色(例えば、寒色系又は暖色系の光色)の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する。
【0060】
また、信号生成部31は、例えば、第2照明器具20が照射する光の相関色温度を示す情報である光色情報を取得する。信号生成部31は、取得した光色情報に基づいて決定した光色(例えば、寒色系又は暖色系の光色)の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する。
【0061】
また、信号生成部31は、例えば、第2照明器具20が照射する光の光量を示す情報である光量情報を取得する。信号生成部31は、取得した光量情報に基づいて決定した光量の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する。
【0062】
また、信号生成部31には、環境情報、光色情報及び光量情報のそれぞれと第1照明器具10に照射させる光の光色及び/又は光量とを対応付けた情報テーブルが記憶されている。信号生成部31は、例えば、情報テーブルを参照して、第1照明器具10に照射させる光の光色及び/又は光量を決定する。
【0063】
信号生成部31は、CPU(Central Processing Unit)並びにRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリ等により構成される。信号生成部31は、プログラムを記憶するメモリとマイクロプロセッサとを内蔵するマイコンであってもよく、アナログ回路及びデジタル回路を含むハードウェアであってもよい。
【0064】
通信部32は、信号生成部31が操作情報、環境情報、光色情報及び光量情報等を受け取るための通信回路である。例えば、通信部32は、操作情報、光色情報及び光量情報を操作器40から受け取る。また、例えば、通信部32は、環境情報として、空調機器50の設定温度を示す情報を空調機器50から受け取る。通信部32は、受け取った情報を信号生成部31に送信する。また、通信部32は、第1調光信号及び第2調光信号をそれぞれ第1照明器具10及び第2照明器具20に送信してもよい。通信部32によって行われる通信は、有線通信であってもよいし無線通信であってもよい。通信部32が行う通信の通信規格は特に限定されない。通信部32は、有線用又は無線用の通信インターフェイス等により構成される。
【0065】
時計回路33は、時間及び日時を計数し、計数された時間及び日時に基づいた季節又は時間帯を示す環境情報を出力する。
【0066】
温度センサ34は、例えば、照明システム1が設置された屋内空間の気温を検出する温度計である。温度センサ34は、温度計測素子及び回路等によって実現されてもよい。温度センサ34は、検出した気温を示す環境情報を出力する。
【0067】
光センサ35は、例えば、第2照明器具20が照射する光の光量及び光色を測定する色彩照度計である。光センサ35は、光電変換素子及び回路等によって実現されてもよい。光センサ35は、検出した第2照明器具20が照射する光の、光量を示す光量情報及び相関色温度を示す光色情報をそれぞれ出力する。
【0068】
なお、時計回路33、温度センサ34及び光センサ35は、照明制御装置30に備えられていなくてもよい。時計回路33、温度センサ34及び光センサ35は、例えば、個別の装置として、照明制御装置30とは別に設けられ、時計回路33、温度センサ34及び光センサ35からの各種情報が、通信部32を介して信号生成部31に送信されてもよい。
【0069】
[動作]
次に、本実施の形態に係る照明システム1の動作について説明する。
【0070】
まず、第1照明器具10の動作について説明する。
【0071】
第1照明器具10は、電力が供給されると、光源制御部15による制御に基づいて第1光源11、第2光源12及び第3光源13が発光する。
【0072】
光源制御部15は、第1調光信号に基づいて、第1光源11、第2光源12及び第3光源13への電流量を個別に調整し、第1光源11、第2光源12及び第3光源13それぞれの光量を変化させることで、第1照明器具10が照射する光を調光及び調色する。なお、光源制御部15は、目的の光色によって、電力を供給させない光源があってもよい。これにより、第1照明器具10から第1光、第2光及び第3光のうち少なくとも1つを含む光が照射される。
【0073】
図5は、本実施の形態に係る第1照明器具10の調色範囲の一例を示すCIE1931色空間のxy色度図である。図5において、第1光源11が色度座標L11の光色の第1光を発し、第2光源12が色度座標L12の光色の第2光を発し、第3光源13が色度座標L13の光色の第3光を発する場合が示されている。図5に示されるように、第1照明器具10が照射する光は、例えば、色度座標L11、L12及びL13の3点を結ぶ線で囲まれた領域L1の範囲で調色される。
【0074】
また、例えば、第2照明器具20等の一般的な白色光の範囲で調色可能な照明器具は、図5に示される破線L2の線上の色度座標で光色を変化させる。例えば、第2照明器具20は、作業用の照明器具であるため、色みが強い場合には作業者に違和感を感じさせる。そのため、作業者に違和感を感じさせないように、例えば、第2照明器具20は、相関色温度2700Kから7200Kの間で変化させる。しかし、このような範囲での光色の変化の場合、効果的に人に冷感を感じさせることが困難である。
【0075】
一方、第1照明器具10は、照射する光の光色を、高色温度側の色温度の規定範囲外の色度座標L12まで、変化させることが可能である。よって、第1照明器具10は、効果的に人に冷感を感じさせることができる。
【0076】
色度座標L12の光色のように、領域C2に位置する色度座標の光色が、効果的に人に冷感を感じさせることができる理由について、さらに説明する。
【0077】
図6は、第1照明器具10の第2光源12が発する第2光の発光スペクトルの例を示す図である。図6には、第2光の発光スペクトルLpBが実線で示されている。図6に示されるように、第2光は、例えば、波長440nm及び530nm付近に発光ピークを有する。また、図6には、青色光を発する光源の発光スペクトルLBが破線で示されている。青色光を発する光源の光は、波長440nm付近にのみ発光ピークを有する。
【0078】
一般に、人の視感度は、波長560nm付近が最も高く、波長500nm以下の波長域では低くなることが知られている。例えば、色度座標L12の光色の光のように人に冷感を感じさせやすい光色の光は、白色光を発する光源と、青色光を発する光源とを用いることで、照射することもできる。しかしながら、青色光の発光ピークは波長440nm付近のみであるため、人の視感度を考慮に入れると光量が不足しやすい。つまり、青色光の光源は、発光効率が低い。一方、第2光は、530nm付近にも発光ピークを有するため、人の視感度が高い波長域の光を含む。そのため、第2光源12は、青色光を発する光源よりも、発光効率が高い。例えば、第2光源12は、青色光を発する光源に対して4倍の発光効率である。
【0079】
また、クルイトフの快適領域カーブとして知られているように、人は、高色温度の光のように寒色系の光色の光では、光量が小さいと陰鬱な不快感を感じ、低色温度の光のように暖色系の光色の光では、光量が小さい方が快適感を感じる。そのため、人の快適と感じる照度は、寒色系の光が照射される場合の方が、暖色系の光が照射される場合よりも高い。例えば、人の快適と感じる照度は、寒色系の光が照射される場合、暖色系の光が照射される場合の10倍である。そのため、人に快適に冷感を感じさせるためには、第2光のように寒色系の光を発する第2光源12は、発光効率が高いことが望ましい。
【0080】
このことから、第1照明器具10は、発光効率が高い第2光源12を用いて、人に冷感を感じさせやすい光色に調整できるため、より効果的に人に冷感を感じさせることができる。
【0081】
次に、照明制御装置30の動作、具体的には、照明制御装置30の信号生成部31の動作について説明する。
【0082】
照明システム1では、第1照明器具10、第2照明器具20、照明制御装置30及び操作器40に電力が供給された状態で、ユーザが操作器40を操作することで、第1照明器具10及び第2照明器具20それぞれの点灯、消灯、調光及び調色等が行われる。第1照明器具10及び第2照明器具20それぞれの調光及び調色は、各種センサ等からの情報に基づいて、照明制御装置30(信号生成部31)によって行われてもよい。ユーザは、例えば、操作器40で、第1照明器具10及び第2照明器具20それぞれの調光及び調色を行うか、照明制御装置30(信号生成部31)に第1照明器具10及び第2照明器具20それぞれの調光及び調色を行わせるかを選択することで切り替える。
【0083】
信号生成部31は、ユーザの操作に基づく操作情報、又は、各種センサ等からの環境情報、光色情報及び光量情報等に基づいて、第1調光信号を生成し、生成した第1調光信号を第1照明器具10に送信する。これにより、第1照明器具10の発光が制御され、例えば、第1照明器具10の点灯、消灯、調光及び調色等が行われる。また、信号生成部31は、ユーザの操作に基づく操作情報、又は、各種センサ等からの環境情報等に基づいて、第2調光信号を生成してもよい。これにより、第2照明器具20の発光が制御され、例えば、第2照明器具20の点灯、消灯、調光及び調色等が行われる。
【0084】
まず、信号生成部31の動作例1について説明する。図7は、信号生成部31の動作例1のフローチャートである。
【0085】
まず、信号生成部31は、第2照明器具20が照射する光の光量を示す情報である光量情報を光センサ35から取得する(ステップS11)。なお、信号生成部31は、通信部32を用いて、操作器40又は第2照明器具20から光量情報を取得してもよい。例えば、ユーザが操作器40により、第2照明器具20の光量を調整する場合、信号生成部31は、ユーザによる第2照明器具20の光量の設定の情報を光量情報として取得する。
【0086】
次に、信号生成部31は、取得した光量情報に基づいて、第2照明器具20が照射する光の光量と正に相関した光量の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する(ステップS12)。具体的には、信号生成部31は、取得した光量情報に基づいて、あらかじめ設定された相関の係数を用い、第2照明器具20が照射する光の光量と正に相関した光量を算出することで、第1照明器具10に照射させる光の光量を決定する。信号生成部31は、決定した光量の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する。相関の係数は、照明システム1が設置される環境及び人に温冷感を感じさせたい程度等に応じて設定される。
【0087】
次に、信号生成部31は、生成した第1調光信号を第1照明器具10の光源制御部15に送信する(ステップS13)。光源制御部15は、第1調光信号を取得し、取得した第1調光信号に基づいて、第1光源11、第2光源12及び第3光源13それぞれの光量を調整する。その結果、光量情報に基づいて、第1照明器具10が照射する光は、調光される。
【0088】
このように、第1照明器具10が照射する光の光量が、第2照明器具20が照射する光の光量と正に相関することで、第2照明器具20が照射する光の光量が変化した場合であっても、第1照明器具10が照射する光の光量が追随して変化する。そのため、第2照明器具20が照射する光の光量に対して、第1照明器具10が照射する光の光量が大きくなりすぎる、又は、小さくなりすぎることを避けることができ、適切な光量で人に温冷感を感じさせることができる。
【0089】
次に、信号生成部31の動作例2について説明する。図8は、信号生成部31の動作例2のフローチャートである。
【0090】
まず、信号生成部31は、第2照明器具20が照射する光の相関色温度を示す情報である光色情報を光センサ35から取得する(ステップS21)。なお、信号生成部31は、通信部32を用いて、操作器40又は第2照明器具20から光量情報を取得してもよい。例えば、ユーザが操作器40により、第2照明器具20の相関色温度を調整する場合、信号生成部31は、ユーザによる第2照明器具20の相関色温度の設定の情報を光色情報として取得する。
【0091】
次に、信号生成部31は、取得した光色情報に基づいて、第1照明器具10に照射させる光の光色を寒色系の光色とするか、暖色系の光色にするかを判定する。第2照明器具20が照射する光の相関色温度が5000K以上である場合(ステップS22でYes)、信号生成部31は、寒色系の光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する(ステップS23)。例えば、信号生成部31は、寒色系の光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号として、第2光源12のみを発光させる、又は、第2光源12の光量が最も大きくなるように発光させる第1調光信号を生成する。
【0092】
また、第2照明器具20が照射する光の相関色温度が5000K未満である場合(ステップS22でNo)、信号生成部31は、暖色系の光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する(ステップS24)。例えば、信号生成部31は、暖色系の光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号として、第1光源11のみを発光させる、又は、第1光源11の光量が最も大きくなるように発光させる第1調光信号を生成する。
【0093】
次に、信号生成部31は、生成した第1調光信号を第1照明器具10の光源制御部15に送信する(ステップS25)。光源制御部15は、第1調光信号を取得し、取得した第1調光信号に基づいて、第1光源11、第2光源12及び第3光源13それぞれの光量を調整する。その結果、光色情報に基づいて、第1照明器具10が照射する光は、調色される。
【0094】
これにより、第2照明器具20が、白色光の中でも、相関色温度が比較的高く、人に冷感を感じさせやすい光色の光を照射している場合には、第1照明器具10も、人に冷感を感じさせる寒色系の光を照射する。また、第2照明器具20が、白色光の中でも、相関色温度が比較的低く、人に温感を感じさせやすい光色を照射している場合には、第1照明器具10も、人に温感を感じさせる暖色系の光を照射する。そのため、第1照明器具10及び第2照明器具20の照射する光において、人に冷感を感じさせるか、温感を感じさせるかが一致する。よって、照明システム1は、さらに効果的に人に温冷感を感じさせることができる。
【0095】
なお、第1照明器具10に照射させる光の光色を暖色系の光色とするか、暖色系の光色にするかを判定する際の第2照明器具20が照射する光の相関色温度は、5000Kに限らず、環境等に応じて、5000Kとは異なる所定の値に設定されてもよい。
【0096】
次に、信号生成部31の動作例3について説明する。図9は、信号生成部31の動作例3のフローチャートである。
【0097】
まず、信号生成部31は、空調機器50の設定温度、気温(例えば、照明システム1が設置された空間の室温)、季節及び時間帯のうち少なくとも1つを示す情報である環境情報を時計回路33、温度センサ34及び空調機器50のうち少なくとも1つから取得する(ステップS31)。例えば、信号生成部31は、空調機器50の設定温度、気温、季節及び時間帯のいずれかを示す環境情報を取得する。なお、信号生成部31は、通信部32を用いて、屋内空間に設置された空調機器50から、空調機器50の設定温度を示す情報を環境情報として取得してもよい。また、信号生成部31は、通信部32を用いて、インターネット等の広域通信ネットワーク(図示省略)から環境情報を取得してもよい。
【0098】
次に、信号生成部31は、取得した環境情報に基づいて、第1照明器具10に照射させる光の光色を決定する(ステップS32)。信号生成部31は、例えば、情報テーブルを参照することで、取得した環境情報に基づいて、第1照明器具10に照射させる光の光色を決定する。そして、信号生成部31は、決定した光色を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する(ステップS33)。つまり、信号生成部31は、取得した光量情報に基づいて決定した光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する。
【0099】
次に、信号生成部31は、生成した第1調光信号を第1照明器具10の光源制御部15に送信する(ステップS34)。光源制御部15は、第1調光信号を取得し、取得した第1調光信号に基づいて、第1光源11、第2光源12及び第3光源13それぞれの光量を調整する。その結果、環境情報に基づいて、第1照明器具10が照射する光は、調色される。
【0100】
例えば、環境情報が空調機器50の設定温度又は気温を示す情報であり、空調機器50の設定温度又は気温が所定の値以上の場合、信号生成部31は、寒色系の光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する。例えば、信号生成部31は、寒色系の光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号として、第2光源12のみを発光させる、又は、第2光源12の光量が最も大きくなるように発光させる第1調光信号を生成する。また、空調機器50の設定温度又は気温が所定の値未満の場合、信号生成部31は、暖色系の光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する。例えば、信号生成部31は、暖色系の光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号として、第1光源11のみを発光させる、又は、第1光源11の光量が最も大きくなるように発光させる第1調光信号を生成する。また、信号生成部31は、空調機器50の設定温度又は気温が所定の値よりも大きくなるほど寒色系の色みの強い光色の光を生成してもよい。また、空調機器50の設定温度又は気温が所定の値よりも小さくなるほど暖色系の色みの強い光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成してもよい。
【0101】
これにより、空調機器50の設定温度又は気温が高い場合には、寒色系の光色の光が照射されることで、人に冷感を感じさせることができる。そのため、空調機器等を用いない又は空調機器の設定温度が高い場合でも人に快適さを感じさせることができるため、空調機器等の使用エネルギーを低減できる。また、空調機器50の設定温度又は気温が低い場合には、暖色系の光色の光が照射されることで、人に温感を感じさせることができる。その結果、空調機器等を用いない又は空調機器の設定温度が低い場合でも人に快適さを感じさせることができるため、空調機器等の使用エネルギーを低減できる。
【0102】
判定に用いられる所定の値は、環境又は季節等に応じて適宜設定される。図10A及び図10Bは、室温と快適感との関係性の例を説明するための図である。図10A及び図10Bでは、屋内空間に照射される光の光色が、室温と快適感との関係性にどのように影響するかを評価した結果の例が示されている。図10A及び図10Bでは、屋内空間に被験者を入れ、室温及び光色を変化させ、それぞれの室温及び光色で、被験者に快適感を評価させた結果を示している。快適感の評価レベルが、図10A及び図10Bの縦軸に示されており、-3の場合が最も不快な評価レベルであり、3の場合が最も快適な評価レベルである。また、図10A及び図10Bにおいて、横軸は屋内空間の室温である。また、図10A及び図10Bにおいて、実線は暖色系の光色の光を屋内空間に照射させた場合の結果であり、点線は寒色系の光色の光を屋内空間に照射させた場合の結果である。図10Aには、夏期に評価を行った結果が示されている。図10Bには、冬期に評価を行った結果が示されている。
【0103】
図10Aに示されるように、夏期の評価では、25度以下では暖色系の光色の光が照射された屋内空間の方が快適感の評価レベルが高く、25度以上では寒色系の光色の光が照射された屋内空間の方が快適感の評価レベルが高い。また、図10Bに示されるように、冬期の評価では、24度以下では暖色系の光色の光が照射された屋内空間の方が快適感の評価レベルが高く、24度以上では寒色系の光色の光が照射された屋内空間の方が快適感の評価レベルが高い。そのため、より人に快適さを感じさせる観点からは、判定に用いられる所定の値は、例えば、24度から25度の間に設定される。
【0104】
また、例えば、環境情報が季節を示す情報であり、季節が夏の場合、信号生成部31は、寒色系の光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する。また、季節が冬の場合、信号生成部31は、暖色系の光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する。また、季節が春又は秋の場合、信号生成部31は、色みが弱い光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する。例えば、信号生成部31は、色みが弱い光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号として、第3光源13のみを発光させる、又は、第3光源13の光量が最も大きくなるように発光させる第1調光信号を生成する。このような環境情報が季節を示す場合でも、環境情報が空調機器50の設定温度又は気温を示す場合と同様の効果を得ることができる。
【0105】
また、例えば、環境情報が時間帯を示す情報であり、時間帯が昼の場合、信号生成部31は、寒色系の光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する。また、時間帯が夜の場合、信号生成部31は、暖色系の光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成する。このような環境情報が時間帯を示す場合でも、環境情報が空調機器50の設定温度又は気温を示す場合と同様の効果を得ることができる。
【0106】
以上のように、信号生成部31は、取得した光量情報に基づいて決定した光色の光を第1照明器具10に照射させる第1調光信号を生成することで、ユーザが操作しなくても、環境に応じて人に快適に感じさせる光色の光を第1照明器具10が照射する。よって、照明システム1は、効果的に人に温冷感を感じさせることができる。
【0107】
なお、信号生成部31は、ステップS31からステップS34と同様の方法で、第2調光信号を生成し、生成した第2調光信号を、通信部32を用いて第2照明器具20に送信してもよい。これにより、第2照明器具20も、環境情報に基づいて決定した光色の光を照射する。これにより、照明システム1の設置された空間の雰囲気を統一することができる。
【0108】
また、信号生成部31は、環境情報に含まれる空調機器50の設定温度、気温、季節及び時間帯の少なくとも2つを示す情報を組み合わせた環境情報に基づいて、第1照明器具10に照射させる光の光色を決定してもよい。
【0109】
[効果等]
以上説明したように、第1照明器具10は、照射する光の光量及び光色を調整可能な照明器具であって、第1光源11と第2光源12と光源制御部15とを備える。第1光源11は、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.380,0.330)、(x,y)=(0.510,0.360)、(x,y)=(0.470,0.440)及び(x,y)=(0.350,0.420)の4点を頂点とする四角形の領域C1に位置する色度座標の光色を有し、固定の光色の第1光を発する。第2光源12は、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.200,0.175)、(x,y)=(0.275,0.270)、(x,y)=(0.220,0.360)及び(x,y)=(0.155,0.275)の4点を頂点とする四角形の領域C2に位置する色度座標の光色を有し、固定の光色の第2光を発する。光源制御部15は、第1照明器具10が照射する光の光量及び光色を調整するための第1調光信号を取得し、第1調光信号に基づいて、第1光源11及び第2光源12それぞれの光量を調整する。
【0110】
これにより、第1照明器具10が第2光を発する第2光源12を有し、第2光の光色は、高色温度側の色温度の規定範囲外の色度座標である。そのため、第1照明器具10が照射する光の調光において、高色温度側の色温度の規定範囲外の色度座標の、人に冷感を感じさせやすい光色まで変化させることが可能である。よって、第1照明器具10は、効果的に人に温冷感を感じさせることができる。また、上述のように、第2光源12は、青色光をと白色光を混合させて領域C2に位置する色度座標の光色の光を調整する場合の青色光の光源の発光効率よりも、高い発光効率が高い。このことから、第1照明器具10は、発光効率が高い第2光源12を用いて、人に冷感を感じさせやすい光色に調整できるため、より効果的に人に温冷感を感じさせることができる。
【0111】
また、その結果、例えば、空調機器等によらず快適な空間を実現できるため、エネルギーの消費を抑制することができる。また、室内外の温度差が大きくなることを抑制して快適な空間を実現できるため、人の体温調節負荷を低減させることができる。
【0112】
また、照明システム1は、さらに、JIS Z8110-1995で定義される白色の基本色名領域円C3の内側の光色を有する第3光を発する第3光源13を備える。光源制御部15は、第1調光信号に基づいて、第1光源11、第2光源12及び第3光源13それぞれの光量を調整する。
【0113】
これにより、CIE1931色空間のxy色度図において、第1光と第2光との間の色度座標の光色を有する第3光を発する第3光源13が備えられるため、第1照明器具10が照射する光の光色を調整しやすくなる。
【0114】
また、照明システム1は、第1照明器具10と、第1調光信号を生成する信号生成部31とを備える。
【0115】
これにより、照明システム1は、効果的に人に冷感を感じさせることができる光を、第1照明器具10に照射させることができる。
【0116】
また、例えば、照明システム1は、白色光を照射する第2照明器具20をさらに備える。第1照明器具10は、第2照明器具20が光を照射する範囲の外側に光を照射する。
【0117】
これにより、照明システム1は、第2照明器具20の照射範囲に存在する人に、作業等に適した白色光を照射しつつ、周囲に照射される第1照明器具10の光により、効果的に温冷感を感じさせることができる。
【0118】
[変形例]
以下では、実施の形態の変形例について説明する。以下の実施の形態の変形例の説明において、実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0119】
図11は、本変形例に係る照明システム1aの構成を示すブロック図である。図11に示されるように、照明システム1aは、実施の形態に係る照明システム1における第1照明器具10及び信号生成部31を備える照明制御装置30の代わりに、第1照明器具10a及び信号生成部31aを備える照明制御装置30aを備える。
【0120】
第1照明器具10aは、実施の形態に係る第1照明器具10における第1光源11及び第2光源12の代わりに、第1光源11a及び第2光源12aを備える。第1光源11a及び第2光源12aは、第1光源11及び第2光源12と発する光の光色が異なる。
【0121】
図12は、第1照明器具10aの第1光源11a及び第2光源12aが発する光の光色を説明するためのCIE1931色空間のxy色度図である。
【0122】
図12に示されるように、第1光源11aが発する第1光は、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.405,0.262)、(x,y)=(0.634,0.319)、(x,y)=(0.460,0.510)及び(x,y)=(0.330,0.482)の4点を頂点とする四角形の領域C1aに位置する色度座標の光色を有する。
【0123】
また、第2光源12aが発する第2光は、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.181,0.032)、(x,y)=(0.315,0.200)、(x,y)=(0.180,0.430)及び(x,y)=(0.069,0.283)の4点を頂点とする四角形の領域C2aに位置する色度座標の光色を有する。
【0124】
また、CIE1931色空間のxy色度図において、第1光の色度座標と第3光の色度座標とを結ぶ直線は、領域C1を通る。これにより、第1照明器具10aは、領域C1に位置する色度座標の光色を有する光を照射できる。また、CIE1931色空間のxy色度図において、第2光の色度座標と第3光の色度座標とを結ぶ直線は、領域C2を通る。これにより、第1照明器具10aは、領域C2に位置する色度座標の光色を有する光を照射できる。
【0125】
第1光及び第2光の光色は、実施の形態の場合と同様に、第1光源11a及び第2光源12aが有する蛍光部材に含まれる蛍光体の種類、蛍光体が複数種類含まれる場合の配合比率及び封止部材200中への蛍光体の配合量によって調整される。
【0126】
信号生成部31aは、例えば、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.380,0.330)、(x,y)=(0.510,0.360)、(x,y)=(0.470,0.440)及び(x,y)=(0.350,0.420)の4点を頂点とする四角形の領域C1に位置する色度座標の光色を有する光、又は、CIE1931色空間のxy色度図において、(x,y)=(0.200,0.175)、(x,y)=(0.275,0.270)、(x,y)=(0.220,0.360)及び(x,y)=(0.155,0.275)の4点を頂点とする四角形の領域C2に位置する色度座標の光色を有する光を第1照明器具10aに照射させる第1調光信号を生成する。信号生成部31aは、例えば、第1光源11a及び第3光源13それぞれの光量を調整することで領域C1に位置する色度座標の光色を有する光を第1照明器具10aに照射させる第1調光信号を生成する。また、信号生成部31aは、例えば、第2光源12a及び第3光源13それぞれの光量を調整することで領域C2に位置する色度座標の光色を有する光を第1照明器具10aに照射させる第1調光信号を生成する。
【0127】
また、信号生成部31aは、上記の各動作例で示されるような動作等、実施の形態に係る信号生成部31と同様の動作を行う。
【0128】
以上のように、本変形例に係る照明システム1aでは、実施の形態に係る照明システム1と同様に、第1照明器具10aが、領域C1及び領域C2に位置する色度座標を有する光色の光を照射する。そのため、本変形例に係る照明システム1aは、効果的に人に温冷感を感じさせることができる。
【0129】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0130】
例えば、上記実施の形態では、照明システム1は、照明制御装置30及び操作器40を備えたが、これに限らない。照明制御装置30の各構成要素は、第1照明器具10、第2照明器具20又は操作器40に備えられていてもよい。例えば、信号生成部31は、第1照明器具10、第2照明器具20又は操作器40に備えられていてもよい。また、例えば、信号生成部31は、光源制御部15に含まれていてもよい。また、操作器40は、第1照明器具10、第2照明器具20又は照明制御装置30に含まれていてもよい。
【0131】
また、照明システム1は、第2照明器具20を備えない照明システムであってもよい。照明システム1は、例えば、第1照明器具10と少なくとも信号生成部31を備える照明制御装置30とで構成された1つの照明ユニットであってもよい。
【0132】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0133】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0134】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0135】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0136】
例えば、本発明は、上記実施の形態の照明システムとして実現されてもよいし、照明方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0137】
その他、各実施の形態及び変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0138】
1、1a 照明システム
10、10a 第1照明器具(照明器具)
11、11a 第1光源
12、12a 第2光源
13 第3光源
15 光源制御部
20 第2照明器具
31、31a 信号生成部
50 空調機器
A 作業領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12