(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20231006BHJP
【FI】
H04R1/02 102A
(21)【出願番号】P 2022545946
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(86)【国際出願番号】 JP2021036915
(87)【国際公開番号】W WO2022180913
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2021028197
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】河越 祥平
(72)【発明者】
【氏名】玉井 克志
【審査官】上田 雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-135294(JP,A)
【文献】特開2018-178675(JP,A)
【文献】特開2010-232924(JP,A)
【文献】特開昭63-228900(JP,A)
【文献】米国特許第6427019(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁部に取り付けられる電気機器であって、
振動するアクチュエータと、
前記電気機器が前記壁部に取り付けられている状態において、前記壁部の裏側から表側に向かう方向を所定方向の前方とした場合に、前記所定方向における前記アクチュエータの後方に位置し、前記アクチュエータの振動を吸収する吸収部材
と、
前記電気機器が前記壁部に取り付けられている状態において、前記所定方向における前記アクチュエータの後方に位置し、前記壁部に取り付けられる取付部材とを備え、
前記吸収部材は、前記取付部材の前記アクチュエータとは反対側に設けられる第1部材を有する、
電気機器。
【請求項2】
前記アクチュエータが固定される本体部材と、前記取付部材の前記アクチュエータとは反対側に設けられかつ前記本体部材に連結される支持部材とをさらに備え、
前記第1部材は、前記取付部材と前記支持部材との間に設けられる、
請求項
1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記本体部材は、前記アクチュエータと前記取付部材との間に設けられ、
前記吸収部材は、前記取付部材と前記本体部材との間に設けられる第2部材を有する、
請求項
2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記第1部材は、前記取付部材と前記支持部材とに接触し、
前記第2部材は、前記取付部材と前記本体部材とに接触する、
請求項
3に記載の電気機器。
【請求項5】
前記壁部は、前記取付部材と係合可能なソケット部を有し、
前記取付部材は、前記ソケット部に係合されて前記壁部に取り付けられる、
請求項
1から
4のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記電気機器が前記壁部に取り付けられている状態において、前記所定方向の前後に振動する、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項7】
外部の電源と前記アクチュエータとを電気的に接続するための電線が接続される端子をさらに備え、
前記端子は、前記アクチュエータの振動方向に直交する方向から前記電線に接続される、
請求項1から
6のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項8】
前記電気機器は、スピーカである、
請求項1から
7のいずれか1項に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気機器に関し、特に、建物の壁部に取り付けられる電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スピーカ等の電気機器が知られている。この種の従来技術の一例として、特許文献1には、バッフル板との間に吸振部材を介在させてバッフル板に取り付けられるスピーカユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のスピーカユニットのようにアクチュエータを有する電気機器を建物の壁部に取り付けると、アクチュエータの振動が壁部に伝わって壁部が振動し、騒音が発生し得る。そこで、壁部の振動を抑制するために、壁部に吸音材を設置することが一般的である。しかしながら、吸音材を設置するためには相応の費用が必要であったり、新築時またはリフォーム時でなければ吸音材を設置できないといった時期的な制限があり、吸音材を設置することは容易ではなく、壁部が振動することを抑制することは容易ではない。
【0005】
そこで、本開示は、壁部が振動することを容易に抑制できる電気機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電気機器は、建物の壁部に取り付けられる電気機器であって、振動するアクチュエータと、前記電気機器が前記壁部に取り付けられている状態において、前記壁部の裏側から表側に向かう方向を所定方向の前方とした場合に、前記所定方向における前記アクチュエータの後方に位置し、前記アクチュエータの振動を吸収する吸収部材とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電気機器は、壁部が振動することを容易に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態における電気機器が建物の壁部に取り付けられている状態を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の電気機器を所定方向の前方側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の電気機器を所定方向の後方側から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1の電気機器の端子および電線を示す図である。
【
図8】
図8は、
図1の電気機器と比較例における電気機器との比較結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0010】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。
【0011】
また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0012】
本明細書および図面において、X軸、Y軸およびZ軸は、三次元直交座標系の三軸を表しており、X軸およびY軸は、相互に直交しかついずれもZ軸に直交する軸である。Z軸プラス方向は、電気機器が取り付けられている壁部の裏側から表側に向かう方向と一致する方向である。
【0013】
(実施の形態)
図1は、実施の形態における電気機器10が建物の壁部1に取り付けられている状態を示す図である。
【0014】
図1に示すように、電気機器10は、建物の壁部1に取り付けられる電気機器である。この実施の形態では、電気機器10は、壁部1に埋め込まれる埋め込み型のスピーカであり、壁部1は、建物の内部の部屋2の天井を構成する壁部である。この実施の形態では、壁部1は、取付部材18(後述)と係合可能なソケット部3(
図5および
図6参照)を有しており、電気機器10は、ソケット部3に係合されることによって壁部1に取り付けられる。
【0015】
図2は、
図1の電気機器10を所定方向の前方側から見た斜視図である。具体的には、
図2は、壁部1に取り付けられている電気機器10を所定方向の前方側から見た斜視図である。なお、図面が煩雑になることを避けるため、
図2では、壁部1の図示を省略している。
図3は、
図1の電気機器10を所定方向の後方側から見た斜視図である。具体的には、
図3は、壁部1に取り付けられている電気機器10を所定方向の後方側から見た斜視図である。なお、図面が煩雑になることを避けるため、
図3では、壁部1の図示を省略している。
図4は、
図1の電気機器10の一部の分解斜視図である。
図5は、
図3のV-V線端面図である。
図6は、
図3のVI-VI線端面図である。
【0016】
所定方向は、壁部1の裏側から表側に向かう方向を前方とする方向である。以下の説明では、所定方向をZ軸方向とし、所定方向の前方をZ軸プラス方向とし、所定方向の後方をZ軸マイナス方向として説明する場合がある。また、以下の説明では、ある部材のZ軸プラス方向側の面を前面とし、ある部材のZ軸マイナス方向側の面を背面と呼ぶ場合がある。
【0017】
図2から
図6に示すように、電気機器10は、アクチュエータ12と、振動板14と、本体部材16と、取付部材18と、吸収部材20と、支持部材22と、複数の締結部材24と、カバー部材26と、複数の端子28と、複数の吸収部材29とを備えている。この実施の形態では、電気機器10はアクチュエータ12が振動することによってZ軸プラス方向に音を放出し、電気機器10が音を放出する方向が前方となる。
【0018】
アクチュエータ12は、外部の電源(図示せず)から供給される電力に基づいて、振動する。この実施の形態では、アクチュエータ12は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、所定方向(Z軸方向)の前後に振動する。所定方向は、上述したように、壁部1の裏側から表側に向かう方向を前方とする方向である。この実施の形態では、壁部1の裏側は壁部1の部屋2とは反対側であり、壁部1の表側は壁部1の部屋2側であり、所定方向は、壁部1の表側の主面に直交する方向であり、壁部1が広がっている方向(XY平面と平行な方向)に直交する方向である。アクチュエータ12は、磁気回路30と、ボイスコイル体32とを有している。
【0019】
磁気回路30は、マグネット34と、プレート36と、ヨーク38とを有しており、磁束を発生させる。
【0020】
マグネット34は、着磁された永久磁石である。マグネット34は、円環状である。電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、マグネット34の軸方向は、Z軸方向と一致しており、マグネット34は、Z軸方向を厚み方向とする板状である。
【0021】
プレート36は、円環状であり、マグネット34と同軸上に設けられている。電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、プレート36は、Z軸方向を厚み方向とする板状であり、マグネット34の前面に設けられている。たとえば、プレート36は、鉄等の強磁性体で形成されている。
【0022】
ヨーク38は、中央部40と、鍔状部42とを有している。中央部40は、円柱状であり、マグネット34の内方(円環形状の内側)およびプレート36の内方に挿通されており、マグネット34と同軸上に設けられている。中央部40とプレート36との間には、磁気ギャップが形成されている。鍔状部42は、円環状であり、マグネット34と同軸上に設けられている。電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、鍔状部42は、中央部40の後端部からZ軸方向に直交する方向に突出しており、鍔状部42の前面には、マグネット34が設けられている。たとえば、ヨーク38は、鉄等の強磁性体で形成されている。
【0023】
ボイスコイル体32は、ボビン44と、コイル46とを有している。ボビン44は、円筒状であり、ボビン44の内方には、中央部40が挿通されている。コイル46は、ボビン44の外周面に巻回されている。電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、ボビン44の後端部は、コイル46とともに磁気回路30によって形成されている磁気ギャップ内に設けられている。また、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、ボビン44の前端部は、振動板14に接続されている。ボイスコイル体32は、コイル46に音声信号が入力されると、磁気回路30が発生させる磁束との作用によって、マグネット34の軸方向に振動する。つまり、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、ボイスコイル体32は、Z軸方向の前後に振動する。たとえば、音声信号は、スマートフォン等の外部の通信端末(図示せず)等から無線通信によって電気機器10に送信される。ボイスコイル体32は、ダンパ(図示せず)を介して、スピーカフレーム47に連結されていてもよい。スピーカフレーム47は、取付金具62が設けられる部材である。
【0024】
振動板14は、アクチュエータ12の振動によって振動する。振動板14は、環状部48と、センターキャップ50とを有している。環状部48は、円環状であり、環状部48の内周部は、ボビン44に固定され、環状部48の外周部は、本体部材16の取付金具62および第2フレーム部材56等を介して第1外郭部材58に固定されている。電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、環状部48は、前方に向かって漸次広がる形状を有している。振動板14は、ボイスコイル体32が振動することによって振動し、前方に向かって音を出力する。センターキャップ50は、環状部48の中央部に取り付けられており、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、ボイスコイル体32の前方を覆っている。
【0025】
本体部材16は、アクチュエータ12が固定される本体部材であり、アクチュエータ12と取付部材18との間に位置するように設けられている。本体部材16は、アクチュエータ12を収容している筐体である。本体部材16は、固定部材52と、第1フレーム部材54と、第2フレーム部材56と、第1外郭部材58と、カバー部材60と、取付金具62と、第2外郭部材64とを有している。
【0026】
本体部材16の固定部材52は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向を厚み方向とする板状であり、ヨーク38の背面に設けられている。固定部材52は、本体部材16の第1フレーム部材54に固定されている。固定部材52は、磁気回路30の制振を目的としたクッションである。磁気回路30は、ヨーク38とマグネット34とプレート36とを有し、これらが互いに固定されている。磁気回路30は、スピーカフレーム47に固定されている。取付金具62は、スピーカフレーム47に設けられている。取付金具62が第1外郭部材58に取り付けられることによって、スピーカフレーム47が第1外郭部材58に固定される。
【0027】
本体部材16の第1フレーム部材54は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向を軸方向とする有底筒状であり、アクチュエータ12の側方およびアクチュエータ12の後方に設けられている。本体部材16の第2フレーム部材56は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向を軸方向とする筒状であり、本体部材16の第1フレーム部材54と同軸上に設けられ、第1フレーム部材54の前部に固定されている。
【0028】
本体部材16の第1外郭部材58は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向を軸方向とする筒状であり、本体部材16の第1フレーム部材54と同軸上に設けられ、第1フレーム部材54の側方および第2フレーム部材56の側方を覆っている。
【0029】
本体部材16のカバー部材60は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、アクチュエータ12の前方に設けられており、本体部材16の第1外郭部材58の開口部に取り付けられている。カバー部材60は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向にカバー部材60を貫通している複数の貫通孔(図示せず)を有している。アクチュエータ12の振動によって出力された音は、当該複数の貫通孔から電気機器10の外部に放出される。
【0030】
本体部材16の取付金具62は、振動板14を本体部材16の第1外郭部材58に取り付けるための金具である。
【0031】
本体部材16の第2外郭部材64は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向を軸方向とする有底筒状であり、本体部材16の第1フレーム部材54と同軸上に設けられ、前方に開口しており、本体部材16の第1外郭部材58の後部に固定されている。第2外郭部材64は、第1板状部66と、複数の螺合部67と、第1周壁部68と、第2板状部70と、第2周壁部72とを有している。
【0032】
第1板状部66は、アクチュエータ12と第2部材84との間に設けられている。第1板状部66は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向を厚み方向とする板状であり、Z軸方向から見たとき中央に貫通孔73を有する円環状であり、アクチュエータ12の後方かつ第2部材84の前方に設けられている。つまり、第1板状部66は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向から見たとき、アクチュエータ12および第2部材84と重なっている。
【0033】
複数の螺合部67は、第1板状部66に設けられており、複数の締結部材24が螺合されている。第1周壁部68は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、第1板状部66の外周部から前方に突出しており、筒状である。第2板状部70は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、第1周壁部68の前端部からZ軸方向に直交する方向の外方に突出しており、Z軸方向から見たとき環状である。第2板状部70は、複数の端子28が挿通される複数の貫通孔74を有している。電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、第2周壁部72は、第2板状部70の外周部から前方に突出しており、Z軸方向から見たときに環状となる筒状であり、第2周壁部72の前端部は、本体部材16の第1外郭部材58に接続されている。
【0034】
たとえば、本体部材16の固定部材52、第1フレーム部材54、第2フレーム部材56、第1外郭部材58、カバー部材60、および第2外郭部材64は、樹脂等によって形成される。
【0035】
取付部材18は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向におけるアクチュエータ12の後方に位置しており、壁部1に取り付けられている。取付部材18と支持部材22との間には、第1部材82が設けられており、取付部材18は、少なくともアクチュエータ12が振動していない状態において、支持部材22と接触していない。また、取付部材18と本体部材16のうちの第1板状部66との間には、第2部材84が設けられており、取付部材18は、少なくともアクチュエータ12が振動していない状態において、本体部材16と接触していない。たとえば、取付部材18は、樹脂等によって形成される。取付部材18は、板状部76と、第1突出部77と、第2突出部78と、周壁部79と、複数の係合部80とを有している。
【0036】
板状部76は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向を厚み方向とする板状であり、アクチュエータ12および第1板状部66の後方に位置している。つまり、板状部76は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向から見たとき、アクチュエータ12および第1板状部66と重なっている。板状部76は、複数の締結部材24が挿通されている複数の貫通孔81を有している。複数の貫通孔81は、複数の締結部材24と接触していない。
【0037】
第1突出部77は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、板状部76の中央部から後方に突出している。第1突出部77は、第1部材82の貫通孔86に挿通されている。
【0038】
第2突出部78は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、板状部76の中央部から前方に突出している。第2突出部78は、本体部材16の貫通孔73および第2部材84の貫通孔88に挿通されている。第2突出部78は、本体部材16の貫通孔73と接触していない。
【0039】
周壁部79は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、板状部76の外周部から前方に突出している部分を有しており、当該部分の内周面は、第1周壁部68と対向している。また、周壁部79は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、板状部76の外周部から後方に突出している部分を有しており、当該部分の内周面は、支持部材22と対向している。
【0040】
複数の係合部80のそれぞれは、壁部1と着脱可能に係合する。具体的には、複数の係合部80のそれぞれは、周壁部79の外周面において凹んでおり、ソケット部3の突出部4に引っ掛けられることによってソケット部3と係合し、壁部1に取り付けられる。ソケット部3は、壁部1に含まれる。つまり、突出部4は、壁部1に含まれる。
【0041】
吸収部材20は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向におけるアクチュエータ12の後方に位置し、アクチュエータ12の振動を吸収する。つまり、吸収部材20は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向から見たとき、アクチュエータ12と重なっている。吸収部材20は、第1部材82と、第2部材84とを有している。
【0042】
第1部材82は、取付部材18のアクチュエータ12とは反対側に設けられており、取付部材18と支持部材22との間に設けられている。つまり、第1部材82は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、取付部材18およびアクチュエータ12の後方かつ支持部材22の前方に位置し、Z軸方向から見たとき取付部材18、アクチュエータ12、および支持部材22と重なっている。第1部材82は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向を厚み方向とする板状であり、Z軸方向から見たとき中央部に貫通孔86を有する円環状である。第1部材82のアクチュエータ12側の主面は、板状部76に接触しており、第1部材82のアクチュエータ12とは反対側の主面は、支持部材22に接触している。第1部材82は、取付部材18および支持部材22に覆われており、電気機器10の内部に収容されている。第1部材82は、取付部材18および支持部材22よりも大きい弾性(柔軟性)を有している。たとえば、第1部材82は、軟質ウレタン、ウレタンフォームまたはゴム等によって形成される。
【0043】
第2部材84は、取付部材18のアクチュエータ12側に設けられており、取付部材18と本体部材16との間に設けられている。つまり、第2部材84は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、取付部材18の前方かつアクチュエータ12および本体部材16の後方に位置し、Z軸方向から見たとき取付部材18、アクチュエータ12、および本体部材16と重なっている。第2部材84は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向を厚み方向とする板状であり、Z軸方向から見たとき中央部に貫通孔88を有する円環状である。第2部材84のアクチュエータ12側の主面は、第1板状部66に接触しており、第2部材84のアクチュエータ12とは反対側の主面は、板状部76に接触している。第2部材84は、取付部材18および本体部材16に覆われており、電気機器10の内部に収容されている。第2部材84は、取付部材18および本体部材16の第2外郭部材64よりも大きい弾性(柔軟性)を有している。たとえば、第2部材84は、軟質ウレタン、ウレタンフォームまたはゴム等によって形成される。
【0044】
支持部材22は、取付部材18のアクチュエータ12とは反対側に設けられている。つまり、支持部材22は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、取付部材18およびアクチュエータ12の後方に位置し、Z軸方向から見たとき取付部材18およびアクチュエータ12と重なっている。支持部材22は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向を厚み方向とする板状であり、Z軸方向から見たとき中央部に貫通孔90を有する円環状である。
【0045】
支持部材22は、本体部材16に連結されている。上述したように、本体部材16は、第2外郭部材64を有しており、第2外郭部材64は、複数の螺合部67を有している。具体的には、支持部材22は、複数の締結部材24が挿通される複数の貫通孔92を有しており、支持部材22の各貫通孔92および取付部材18の各貫通孔81に挿通された各締結部材24が本体部材16の各螺合部67に螺合されることによって、支持部材22は、本体部材16と分離しないように本体部材16に連結される。支持部材22は、第1部材82とは接触するが、取付部材18とは接触しない。たとえば、支持部材22は、金属等によって形成される。
【0046】
カバー部材26は、支持部材22のアクチュエータ12とは反対側に設けられており、支持部材22を覆っている。
【0047】
複数の端子28のそれぞれは、外部の電源とアクチュエータ12とを電気的に接続する電線5が接続される端子である。電線5は、電気機器10の一部ではなく、壁部1側に設けられており、外部の電源から電気機器10に電力を供給するための電線である。複数の端子28は、アクチュエータ12のコイル46と電気的に接続されており、これによって、電線5からの電力がアクチュエータ12のコイル46に供給される。複数の端子28のそれぞれは、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、貫通孔74から後方に突出しており、Z軸方向から見たときアクチュエータ12と重なっていない。なお、複数の端子28のそれぞれは、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向から見たときアクチュエータ12と重なっていてもよい。複数の端子28のそれぞれは、アクチュエータ12の振動方向と直交する方向から電線5に接続されている。つまり、この実施の形態では、複数の端子28のそれぞれは、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向と直交する方向から電線5に接続されている。
【0048】
図7は、
図1の電気機器10の端子28および電線5を示す端面図である。
図7に示すように、端子28は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向と直交する方向から電線5に接続されている。したがって、アクチュエータ12が振動することによって端子28が前後に振動した場合、端子28を電線5に対して摺動させやすくできる。これによって、端子28の振動つまりアクチュエータ12の振動を電線5に伝わりにくくでき、アクチュエータ12の振動が電線5を介して壁部1に伝わることを抑制できる。
【0049】
複数の吸収部材29は、第2板状部70に取り付けられている。複数の吸収部材29は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、壁部1とは接触していない。たとえば、複数の吸収部材29は、電気機器10が部屋の天井ではなく側壁を構成する壁部1に取り付けられて当該壁部1に対して傾いた場合等に、当該壁部1に接触して電気機器10が当該壁部1に対して傾くことを抑制するための部材である。複数の吸収部材29が当該壁部1に接触することによって、本体部材16の第2外郭部材64等が当該壁部1に接触することを抑制できる。
【0050】
以上のような電気機器10では、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、アクチュエータ12が振動すると、アクチュエータ12が固定されている本体部材16も前後に振動し得る。また、本体部材16が振動することによって、本体部材16に連結されている支持部材22も前後に振動し得る。
【0051】
ここで、電気機器10では、本体部材16に連結されている支持部材22が、第1部材82を介して取付部材18の上に置かれ、アクチュエータ12および本体部材16等は、取付部材18にぶら下がるようなかたちで取付部材18に支持されている。つまり、取付部材18には、アクチュエータ12および本体部材16等の重量が加わっている。したがって、第1部材82がなければ、支持部材22と取付部材18とが直接的に接触することとなってしまい、アクチュエータ12の振動が本体部材16および支持部材22等を介して取付部材18に伝わり易くなる。
【0052】
電気機器10では、支持部材22と取付部材18との間には第1部材82が設けられているので、支持部材22の振動が第1部材82によって吸収され、支持部材22の振動が取付部材18に伝わることを抑制できる。このように、第1部材82によって、アクチュエータ12の振動が取付部材18に伝わることを抑制できる。つまり、アクチュエータ12の振動が取付部材18を介して壁部1に伝わることを抑制でき、壁部1が振動することを抑制できる。
【0053】
また、第2部材84がなくても本体部材16と取付部材18とが直接的に接触するわけではないが、電気機器10では、本体部材16と取付部材18との間には第2部材84が設けられているので、本体部材16の振動が第2部材84によって吸収され、本体部材16の振動が取付部材18に伝わることを抑制できる。このように、第2部材84によって、アクチュエータ12の振動が取付部材18に伝わることをさらに抑制できる。つまり、アクチュエータ12の振動が取付部材18を介して壁部1に伝わることを抑制でき、壁部1が振動することをさらに抑制できる。
【0054】
なお、取付部材18は、電気機器10のうち第1部材82および第2部材84以外とは直接的に接触していない。つまり、本体部材16および支持部材22等は、吸収部材20のみを介して取付部材18に支持されているので、これらの振動を、取付部材18に伝わる前に吸収部材20によって吸収させることができる。
【0055】
図8は、
図1の電気機器10と比較例における電気機器との比較結果を示すグラフである。比較例における電気機器は、電気機器10における吸収部材20がないものと同様の構成を有している。
【0056】
図8に示すように、吸収部材20が有る電気機器10と、吸収部材20が無い比較例における電気機器とを用いて、建物の壁部1の振動の測定を行った。
【0057】
電気機器10については、電気機器10を壁部1に取り付けた状態で、スマートフォンから無線通信で電気機器10に音声信号を送信し、音量を最大にしてアクチュエータ12を振動させた。当該音声信号は、20Hzから1500Hzの範囲で周波数が変化するスイープ信号である。Z軸プラス方向に直交する方向において、電気機器10の中心から10cmの位置における壁部1の振動を測定した。
【0058】
比較例における電気機器についても同様に、当該電気機器を壁部1に取り付けた状態で、スマートフォンから無線通信で当該電気機器に音声信号を送信し、音量を最大にして当該電気機器のアクチュエータ12を振動させた。当該音声信号も、20Hzから1500Hzの範囲で周波数が変化するスイープ信号である。Z軸プラス方向に直交する方向において、当該電気機器の中心から10cmの位置における壁部1の振動を測定した。
【0059】
電気機器10を用いた場合では、比較例における電気機器を用いた場合と比較して、100Hzから1000Hzの間の周波数の音の振幅の最大値が、3.08μm(0.00308mm)から2.41μm(0.00241mm)に減少しており、約22%減少した。また、電気機器10を用いた場合では、比較例における電気機器を用いた場合と比較して、100Hzから1000Hzの間の周波数の音の振幅の平均値が、約29%減少した。このように、吸収部材20を設けることによって、壁部1の振動が抑制された。
【0060】
以上、実施の形態における電気機器10について説明した。
【0061】
本実施の形態における電気機器10は、建物の壁部1に取り付けられる電気機器であって、振動するアクチュエータ12と、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、壁部1の裏側から表側に向かうZ軸プラス方向をZ軸方向の前方とした場合に、Z軸方向におけるアクチュエータ12の後方に位置し、アクチュエータ12の振動を吸収する吸収部材20とを備える。
【0062】
これによれば、吸収部材20は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、壁部1の裏側から表側に向かうZ軸プラス方向をZ軸方向の前方とした場合に、Z軸方向におけるアクチュエータ12の後方に位置しているので、電気機器10がZ軸方向に直交する方向に大きくなることを抑制しつつ、アクチュエータ12の振動が壁部1に伝わることを抑制できる。これによって、壁部1に吸音材等を設けることなく、壁部1が振動することを容易に抑制できる。
【0063】
また、本実施の形態における電気機器10において、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向におけるアクチュエータ12の後方に位置し、壁部1に取り付けられる取付部材18をさらに備え、吸収部材20は、取付部材18のアクチュエータ12とは反対側に設けられる第1部材82を有する。
【0064】
これによれば、第1部材82によって、アクチュエータ12の振動が取付部材18に伝わることを抑制できる。このように、電気機器10のうち壁部1に取り付けられている取付部材18が振動することを抑制することによって、壁部1が振動することをさらに容易に抑制できる。
【0065】
また、本実施の形態における電気機器10において、アクチュエータ12が固定される本体部材16と、取付部材18のアクチュエータ12とは反対側に設けられかつ本体部材16に連結される支持部材22とをさらに備え、第1部材82は、取付部材18と支持部材22との間に設けられる。
【0066】
これによれば、アクチュエータ12が振動した場合、アクチュエータ12の振動が本体部材16を介して支持部材22に伝わり、支持部材22が振動し得るが、第1部材82によって、支持部材22の振動が取付部材18に伝わることを抑制できる。これによって、壁部1が振動することをさらに容易に抑制できる。
【0067】
また、本実施の形態における電気機器10において、本体部材16は、アクチュエータ12と取付部材18との間に設けられ、吸収部材20は、取付部材18と本体部材16との間に設けられる第2部材84を有する。
【0068】
これによれば、アクチュエータ12が振動した場合、アクチュエータ12の振動が本体部材16に伝わり、本体部材16が振動し得るが、第2部材84によって、本体部材16の振動が取付部材18に伝わることを抑制できる。これによって、壁部1が振動することをさらに容易に抑制できる。
【0069】
また、本実施の形態における電気機器10において、第1部材82は、取付部材18と支持部材22とに接触し、第2部材84は、取付部材18と本体部材16とに接触する。
【0070】
これによれば、取付部材18、支持部材22、および本体部材16が振動することを抑制できるので、壁部1が振動することをさらに容易に抑制できる。
【0071】
また、本実施の形態における電気機器10において、壁部1は、取付部材18と係合可能なソケット部3を有し、取付部材18は、ソケット部3に係合されて壁部1に取り付けられる。
【0072】
これによれば、電気機器10を容易に壁部1に取り付けることができる。
【0073】
また、本実施の形態における電気機器10において、アクチュエータ12は、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向の前後に振動する。
【0074】
これによれば、アクチュエータ12の振動方向に吸収部材20が設けられているので、アクチュエータ12の振動を吸収しやすくなり、壁部1が振動することをさらに容易に抑制できる。
【0075】
また、本実施の形態における電気機器10において、外部の電源とアクチュエータ12とを電気的に接続するための電線5が接続される端子28をさらに備え、端子28は、アクチュエータ12の振動方向に直交する方向から電線5に接続される。
【0076】
これによれば、アクチュエータ12の振動が端子28を介して電線5に伝わることを抑制でき、電線5が振動することによる壁部1の振動を抑制できるので、壁部1が振動することをさらに容易に抑制できる。
【0077】
また、本実施の形態における電気機器10において、電気機器10は、スピーカである。
【0078】
これによれば、スピーカの振動が壁部1に伝わって壁部1が振動することを抑制できる。
【0079】
(他の実施の形態等)
以上、一つまたは複数の態様に係る電気機器について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【0080】
上述した実施の形態では、電気機器10が、埋め込み型のスピーカである場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、電気機器は、壁部に埋め込まれない吊り下げ型のスピーカであってもよいし、スピーカを備える照明装置であってもよい。また、電気機器は、ファンを有する送風機等の電気機器であってもよく、この場合、アクチュエータは、ファンを回転させるモータであってもよい。また、電気機器は、カメラ等であってもよく、この場合、アクチュエータは、カメラのレンズ等を駆動させるアクチュエータであってもよい。
【0081】
上述した実施の形態では、建物の壁部1が、建物の内部の部屋2の天井を構成する壁部である場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、建物の壁部は、建物の内部の部屋の床を構成する壁部、建物の内部の部屋の側壁を構成する壁部、または建物の外壁を構成する壁部等であってもよい。
【0082】
上述した実施の形態では、アクチュエータ12が、電気機器10が壁部1に取り付けられている状態において、Z軸方向の前後に振動する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、アクチュエータは、電気機器が壁部に取り付けられている状態において、Z軸方向と交差する方向に振動してもよい。
【0083】
上述した実施の形態では、吸収部材20が、第1部材82と第2部材84とを有している場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、吸収部材20は、第1部材82および第2部材84のうち、第1部材82のみを有していてもよいし、第2部材84のみを有していてもよい。具体的には、たとえば、電気機器10が床を構成する壁部1に取り付けられる場合、つまり電気機器10が上述した実施の形態とは反対向きに取り付けられる場合、吸収部材20は、第1部材82および第2部材84のうち、第2部材84のみを有していてもよい。また、たとえば、電気機器10が天井を構成する壁部1に取り付けられる場合であっても、第2部材84を両面テープ等で取付部材18と本体部材16の第2外郭部材64とに貼り付けることによって、吸収部材20が第1部材82および第2部材84のうち第2部材84のみを有している場合でもアクチュエータ12の振動吸収効果が得られる。
【0084】
上述した実施の形態では、取付部材18が、壁部1のソケット部3に係合されて壁部1に取り付けられている場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、取付部材は、壁部にネジ止めされて壁部に取り付けられてもよい。
【0085】
その他、上記各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示は、建物の壁部に取り付けられる電気機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 電気機器
12 アクチュエータ
14 振動板
16 本体部材
18 取付部材
20,29 吸収部材
22 支持部材
24 締結部材
26,60 カバー部材
28 端子
30 磁気回路
32 ボイスコイル体
34 マグネット
36 プレート
38 ヨーク
40 中央部
42 鍔状部
44 ボビン
46 コイル
48 環状部
50 センターキャップ
52 固定部材
54 第1フレーム部材
56 第2フレーム部材
58 第1外郭部材
62 取付金具
64 第2外郭部材
66 第1板状部
67 螺合部
68 第1周壁部
70 第2板状部
72 第2周壁部
73,74,81,86,88,90,92 貫通孔
76 板状部
77 第1突出部
78 第2突出部
79 周壁部
80 係合部
82 第1部材
84 第2部材