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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20231006BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020071353
(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021166649
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 倫也
(72)【発明者】
【氏名】續木 清貴
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 康晃
【審査官】手塚 毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-042857(JP,A)
【文献】特開2015-177823(JP,A)
【文献】特開2002-248231(JP,A)
【文献】特開2019-088519(JP,A)
【文献】特許第7153360(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが複数種の装飾図柄を含む複数の装飾図柄群から選択された装飾図柄の組み合わせにより当否抽選結果が報知される遊技機であって、
前記装飾図柄は、種類を区別するための主要素部および当該主要素部に対応付けられる副要素部を有し、
二つの前記装飾図柄群のそれぞれから選択された二つの前記装飾図柄の種類が同じとなるリーチが成立した場合に、当該リーチを構成する二つの前記装飾図柄の副要素部同士が合わさって特定画像が形成されるか否かが、遊技者に有利な結末に至るかどうかの分岐である特定演出を実行することが可能であり、
前記特定演出が前記特定画像が形成される結末に至った場合には、前記特定画像の変化態様に応じて当否抽選結果が当たりとなる蓋然性が示唆される事後演出が実行され、
前記事後演出においては、前記リーチを構成する前記装飾図柄の前記主要素部は表示されるものの前記副要素部は表示されないことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
当否抽選結果を示す装飾図柄が複数の要素(例えば、数字やキャラクタ)を含むものとされた遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-165857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、装飾図柄を用いて遊技の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、それぞれが複数種の装飾図柄を含む複数の装飾図柄群から選択された装飾図柄の組み合わせにより当否抽選結果が報知される遊技機であって、前記装飾図柄は、種類を区別するための主要素部および当該主要素部に対応付けられる副要素部を有し、二以上の前記装飾図柄群のそれぞれから選択された二以上の前記装飾図柄の副要素部同士が合わさって特定画像が形成されるか否かが、当否抽選結果が当たりとなる可能性が残るかどうかの分岐である特定演出を実行することが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、装飾図柄を用いて遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】遊技機の全体図である。
図2】(a)は表示領域に表示される装飾図柄および保留図柄を示した図であり、(b)は装飾図柄の種類(装飾図柄群)を示した図である。
図3】三つの装飾図柄群が変動した状態から特定演出に至るまでの流れを説明するための図である。
図4図3の続きであって、特定演出の結末からその後の展開を説明するための図である。
図5図4の続きであって、事後演出(ステップアップ)の態様を説明するための図である。
図6】特定演出や事後演出に関する第一具体例を説明するための図である。
図7】特定演出や事後演出に関する第二具体例を説明するための図である。
図8】特定演出や事後演出に関する第四具体例を説明するための図(その一)である。
図9】特定演出や事後演出に関する第四具体例を説明するための図(その二)である。
図10】特定演出や事後演出に関する第四具体例を説明するための図(その三)である。
図11】特定演出や事後演出に関する第五具体例を説明するための図である。
図12】通常態様の変動開始態様を説明するための図である。
図13】特殊態様の変動開始態様を説明するための図である。
図14】前回の当否抽選結果がリーチはずれである場合に、特殊態様の変動開始態様が発生したケースを示した図である。
図15】参考例の変動開始態様を示した図である(図14との比較)。
図16】変動開始態様に関する第四具体例を説明するための図である。
図17】変動開始態様に関する第五具体例(リーチアクション演出)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明の一実施形態にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明において、特に明示することなく「画像」というときは、動画および静止画の両方を含むものとする。また、以下で説明する各領域等には、遊技球が検出可能なセンサ(図示せず)が設けられており、当該センサにより各領域に遊技球が進入(入賞)したかどうかが検出される。例えば「○○領域に遊技球が進入(入賞)」とは、厳密には当該○○領域に設けられたセンサが遊技球を検出したことをいうものとする。
【0009】
遊技機1の筐体には遊技球を発射するための発射装置908が設けられている。発射装置908を操作することで、上皿909aに貯留された遊技球が発射される。いわゆる賞球は上皿909aに払い出され、上皿909aから溢れた遊技球は下皿909bに送られる。
【0010】
発射された遊技球が到達する遊技領域902は、その手前に位置する透明板を通じて視認される。遊技機1は手前側に遊技領域902が形成される遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0011】
遊技領域902には、始動領域904(第一始動領域904a、第二始動領域904b)、大入賞領域906、アウト口907などが設けられている。各種演出を実行する表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0012】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0013】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、大入賞領域906等の入賞領域に進入すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0014】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否抽選手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の進入を契機として乱数源から数値(当否抽選情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。以下、第一始動領域904aへの遊技球の進入を契機とした当否抽選を特図1抽選と、第二始動領域904bへの遊技球の進入を契機とした当否抽選を特図2抽選と称することもある。
【0015】
本実施形態では、当該数値が取得された順に当否抽選結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否抽選結果の報知が完了していない当否抽選情報が存在する場合には、新たに取得された当否抽選情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄70として表示される。つまり、保留図柄70は、対応する当否抽選結果の報知が完了していない当否抽選情報の存在を示す。
【0016】
本実施形態では、保留図柄70として、当否抽選結果を報知する報知演出(装飾図柄10(装飾図柄群10g)の変動開始から、当否抽選結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう)は開始されているものの、当否抽選結果の報知は完了していない当否抽選情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否抽選結果を報知する報知演出が開始されていない当否抽選情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄72が表示される(図2(a)参照)。本実施形態では、変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態は同じである。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。また、変動中保留図柄71が表示されない構成としてもよい。なお、変動前保留図柄72に対応する当否抽選結果の報知が完了する順番(いわゆる保留「消化順」)は、右に位置するものほど早い。
【0017】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特図1および特図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大四つの変動前保留図柄72が表示されることがある(図2(a)参照)。
【0018】
本実施形態では、記憶手段に第一変動前保留情報(特図1保留)と第二変動前保留情報(特図2保留)の両方が記憶されているときには、第二変動前保留情報に対応する当否抽選結果(特図2抽選の結果)の報知が優先的に実行される(「特図2保留優先消化」である)。
【0019】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される装飾図柄10(図2(a)参照)の組み合わせによって当否抽選結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の装飾図柄10を含む装飾図柄群10g(左装飾図柄群10gL、中装飾図柄群10gC、右装飾図柄群10gR)が変動を開始し、最終的に各装飾図柄群10gから一の装飾図柄10が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各装飾図柄群10gから選択されて停止した装飾図柄10(左装飾図柄群10gLから選択された左装飾図柄10L、中装飾図柄群10gCから選択された中装飾図柄10C、右装飾図柄群10gRから選択された右装飾図柄10R)の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ種類の装飾図柄10の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。
【0020】
2)装飾図柄の具体的態様
装飾図柄10は、主要素部11および当該主要素部11に対応付けられる副要素部12を有する(図2(b)参照)。主要素部11は、種類を区別するための部分である。本実施形態では「数字」を含む部分である。主要素部11である数字が同じ(なお、数字の形態、色等が異なることは許容される)であれば、同じ種類の装飾図柄10となる。つまり、大当たりとなる場合には、同じ数字の三つ揃いとなる。「装飾図柄10が表示される」とは、少なくとも主要素部11が表示された状態にあることをいう。
【0021】
副要素部12は、主要素部11に付随する部分であって、何らかの対象物を表す画像である。副要素部12が表す対象はどのようなものであってもよい。本実施形態では「果物」を表す画像とされる。図面においては、各種装飾図柄10が有する副要素部12を「A」~「G」で表す。すなわち、主要素部11が「1」である装飾図柄10は「A」の副要素部12を有し、主要素部11が「2」である装飾図柄10は「B」の副要素部12を有し、・・・主要素部11が「7」である装飾図柄10は「G」の副要素部12を有するものとする。
【0022】
3)特定演出・事後演出
本実施形態にかかる遊技機1は、装飾図柄10を利用した特定演出を実行することが可能である。特定演出は、「リーチ」の成立時に発生しうる演出である。リーチは、三つの装飾図柄群10g(図3(a)参照)のうち、二つの装飾図柄群10gから選択されて停止した装飾図柄10の種類が同じになる状態をいう(図3(b)参照)。なお、ここでいう「停止」には、完全には停止していないものの停止したかのようにみえる「疑似停止」状態(例えば、わずかに揺れている状態)を含むものとする。本実施形態では、左装飾図柄群10gLから選択されて停止した左装飾図柄10Lと、右装飾図柄群10gRから選択されて停止した右装飾図柄10Rが同じとなることがリーチとして設定されている(以下、当該左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rをリーチ図柄と称することもある)。つまり、リーチは、中装飾図柄群10gCから選択される中装飾図柄10Cがリーチを構成する左装飾図柄10Lおよび右装飾図柄10Rと同じ種類の図柄となれば大当たりとなる状態である。
【0023】
特定演出は、リーチ成立後、リーチを構成する同じ種類の装飾図柄10の副要素部12同士が合わさるか否かが分岐となる演出である(図3(c)参照)。特定演出は、リーチ成立を契機として開始されるリーチ演出の一部であるということができる。特定演出の結末として遊技者に有利な結末である有利結末と、有利結末に至らない場合の結末である不利結末が設定されており、副要素部12同士が合わさって特定画像20が形成されることが有利結末(図4(a-1)参照)として、特定画像20が形成されないことが不利結末(図4(a-2)参照)として設定されている。本実施形態における有利結末は、副要素部12同士が合わさった結果、副要素部12と同じもの(遊技者が同一視できるもの)を表す特定画像20が形成されるものである。例えば、「りんご」を表す副要素部12(図面においては「B」で表す)同士が合わさり(合成され)、「りんご」を表す特定画像20が形成されることが有利結末として設定されている。ただし、副要素部12同士が合わさった結果、副要素部12と異なるものを表す特定画像20が形成されるような態様の有利結末としてもよい。例えば、「りんご」を表す副要素部12同士が合わさり、「より大きな色の異なるりんご」を表す特定画像20が形成されることが有利結末として設定された構成としてもよい。
【0024】
特定演出が不利結末に至った場合(図4(a-2)参照)、すなわち特定画像20が形成されなかった場合、当否抽選結果がはずれであることが確定する。すなわち、特定演出の失敗結末は、リーチが成立したものの当否抽選結果が大当たりに至らないことが確定するという遊技者にとって残念な結末である。リーチ成立を契機として開始されたリーチ演出が不利結末によって終了するとみることもできる。特定演出が不利結末に至った場合、中装飾図柄群10gCから選択される中装飾図柄10Cがリーチを構成する左装飾図柄10Lおよび右装飾図柄10Rと異なる種類の図柄となり、はずれであることが報知される(図4(b-2)参照)。
【0025】
特定演出が有利結末に至った場合、すなわち特定画像20が形成された場合には、当否抽選結果が大当たりである可能性は残る。本実施形態では、有利結末に至った場合、事後演出が実行される(図4(b-1)参照)。事後演出はリーチ演出の一部であるということができる。つまり、特定演出が不利結末に至らなければ、リーチ演出は継続し、「事後演出」と称されるパートに移行する(事後演出に発展する)ということになる。
【0026】
このように、事後演出はリーチ演出の一部であるため、事後演出が実行されている間は、リーチを構成する装飾図柄10の種類が示すための表示がなされる。当該表示は、主要素部11(数字)によるものであって、副要素部12は表示されない(図4(b-1)参照)。つまり、副要素部12は特定演出にて特定画像20に変化する(特定画像20生成のために副要素部12が「消費」された)という結末に至ったため、装飾図柄10が元の状態には戻らないようにして演出の継続性(流れ)が保たれるようにする。そのため、事後演出においては主要素部11(数字)により、リーチ図柄となっている装飾図柄10の種類が示される。
【0027】
なお、本実施形態では、大当たり当選を報知した装飾図柄10の種類により遊技者が享受する利益が異なるように設定されている。つまり、主要素部11(数字)は、大当たり当選時の遊技者の利益に関係するものであって遊技者が注目するものであるため、事後演出中も表示される。上記利益は、遊技者が得られる出玉に関係するものであればよい。大当たり遊技で獲得できる出玉の期待値、大当たり遊技終了後の遊技状態等が利益に関係する要素として例示できる。
【0028】
事後演出は、特定画像20を用いた演出である。上記の通り、特定演出にて特定画像20が形成されることが有利結末として設定されており、有利結末に至ることが事後演出の発生条件とされているのであるから、事後演出にて特定画像20を用いることは演出の流れに沿うものであるといえる。
【0029】
事後演出は、特定画像20が変化する場合がある演出である。当該特定画像20の変化態様が、当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)を示唆する。本実施形態における事後演出は、特定画像20を最初の画像とし、段階的に画像が変化していくことがあるステップアップ演出である。すなわち、第一段階(ステップ1)の画像として第一画像21(当該第一画像21が特定画像20そのものである)(図4(b-1)、図5(a)参照)が設定され、以下同様に第二段階(ステップ2)の画像として第二画像22(図5(b)参照)、第三段階(ステップ3)の画像として第三画像23(図5(c)参照)、第四段階(ステップ4)の画像として第四画像24(図5(d)参照)が設定される。最終的に到達する段階が高くなるほど、大当たり信頼度が高くなる。本実施形態では、特定画像20が次第に大きくなることがステップアップとして設定されているが、特定画像20の形態(特定画像20が表す対象)、位置等がステップアップにより変化する構成としてもよい。ステップアップの基準となる画像(第一画像21)が特定画像20であればよい。
【0030】
事後演出の後実行される演出(リーチ演出の展開)はどのようなものであってもよいから説明を省略する。リーチ演出により、最終的に当否抽選結果が示されることになる。なお、事後演出にて所定の段階までステップアップしなければリーチ演出が終了する(はずれが確定する)といった設定としてもよい。例えば、第二段階(ステップ2)まで進行すればリーチ演出は「発展」するが、第一段階(ステップ1)で留まった場合はずれが確定するという設定としてもよい。
【0031】
このように、本実施形態における特定演出は、装飾図柄10の副要素部12同士が合わさって特定画像20が形成されることが有利な事象として設定された斬新かつ面白みのあるものである。特に、本実施形態では、リーチを構成する装飾図柄10の副要素部12を利用して、リーチ演出が事後演出に発展するか否かを示すものであるため、リーチ図柄とその後のリーチ演出の展開が関係する演出形態となる。
【0032】
そして、特定画像20が形成されて事後演出に移行した場合には、当該特定画像20を用いて大当たり信頼度が示唆される。つまり、形成されることが事後演出に移行する条件となっている特定画像20が、そのまま事後演出における信頼度示唆に利用されるものであるため、演出の流れが円滑なものとなる。
【0033】
上記実施形態における特定演出や事後演出に関する事項を改良、変形、具体化等した具体例を以下に示す。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例にて説明する事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0034】
○第一具体例
副要素部12は特定画像20が分割されて各要素を表すものとする。特定画像20が「果物」であれば、当該果物が分割された一方が左装飾図柄10Lの副要素部12とされ、他方が右装飾図柄10Rの副要素部12とされるようにする。例えば、果物が「りんご」であれば、りんごの左半分が左装飾図柄10Lの副要素部12とされ、右半分が右装飾図柄10Rの副要素部12とされるといった構成とする(図6(a)参照)。そして、特定演出が有利結末となる場合には、分割部同士が合わさり(合体し)、特定画像20が完成する(図6(b-1)参照)一方、不利結末となる場合には特定画像20が完成しない(図6(b-2)参照)といった形態の演出とする。
【0035】
このようにすることで、主要素部11に付随する状態においては「未完成」の状態にあるものが、リーチ成立後完成するかどうかが、特定演出が有利結末となるか否かの条件となる分かりやすい演出の流れとなる。
【0036】
「副要素部12同士が合わさって特定画像20が形成される」とは、上記実施形態のように、副要素部12同士が合成するかのような態様であってもよいし、本例のように一部分である副要素部12同士が一体化するかのような態様であってもよい。また、副要素部12同士が結合されることで全く別の対象物が生成されたかのような演出としてもよい。
【0037】
○第二具体例
同じ種類の装飾図柄10であっても、副要素部12の表すものが異なる設定としてもよい。例えば、主要素部11が「5」である左装飾図柄10Lの副要素部12は「りんご」であり、同じく主要素部11が「5」である右装飾図柄10Rの副要素部12は「木」である設定とする。そして、「5」のリーチが成立した場合には、「りんご」と「木」が合わさり「りんごの木(りんごが成った木)」の特定画像20が形成されることが有利結末として設定された特定演出が発生するものとする(図7参照)。
【0038】
○第三具体例
複数種の装飾図柄10のそれぞれについて、異なる対象物を表した副要素部12が設定されていなくてもよい。例えば、全ての種類の装飾図柄10の副要素部12が同じであってもよい(例えば、全ての種類の装飾図柄10の副要素部12が「りんご」であってもよい)。このようにすれば、どの装飾図柄10でリーチが成立したとしても、特定演出にて用いられる副要素部12は同じであり、形成される特定画像20も同じであるという設定となる。特定演出に関し、画像の制御が容易になるという利点がある。ただし、上記実施形態のように、装飾図柄10の種類毎に異なる対象物を表した副要素部12が設定されることで、副要素部12自体が装飾図柄10の種類を区別するための視覚的要素として機能するという利点がある。
【0039】
○第四具体例
装飾図柄10は、主要素部11および副要素部12以外の要素として、主要素部11に付随する付随要素部13を有するものとする。付随要素部13が表す対象はどのようなものであってもよい。例えば、装飾図柄10の種類毎に、付随要素部13としてキャラクタ(キャラクタa~g)が対応づけられたものとする。主要素部11が「1」である装飾図柄10は「a」の付随要素部13を有し、主要素部11が「2」である装飾図柄10は「b」の付随要素部13を有し、・・・主要素部11が「7」である装飾図柄10は「g」の付随要素部13を有するものとする(図8参照)。
【0040】
リーチ成立後から特定演出が結末に至るまでの態様(図9参照)は上記実施形態と同様である。なお、特定演出においては、主要素部11と付随要素部13を含み、副要素部12を含まない装飾図柄10がリーチ図柄として表示されるようにするとよい(図9(b)(c)参照)。特定演出には、副要素部12が用いられ、主要素部11と付随要素部13は用いられていないからである。ただし、特定演出の段階にて付随要素部13が表示されないようにすることを否定するわけではない。
【0041】
特定演出が有利結末となった後実行される事後演出では、リーチ図柄となった装飾図柄10の付随要素部13に対応するキャラクタの画像が表示される。例えば、「メロン」(図面においては「C」で示す)の副要素部12を有する「3」の装飾図柄10によりリーチが成立し、特定演出にて「メロン」の特定画像20が形成される有利結末に至ったとする(図9(b)(c)参照)。その後、「メロン」の特定画像20を用いた事後演出が実行されることとなるが、当該メロンの内側にキャラクタc(「3」の装飾図柄10の付随要素部13に対応するキャラクタ)が表示される演出が実行される(図10参照)。なお、画像が表す対象を遊技者が同一視できる範囲で(同じキャラクタを表していると遊技者が把握できる範囲で)、装飾図柄10に付随する付随要素部13と、事後演出にて表示される当該付随要素部13に対応する画像の態様は異なっていてもよいものとする。
【0042】
上記実施形態のように事後演出がステップアップ演出であれば、段階がステップアップする度に、当該キャラクタcの態様が変化していく(図10には、キャラクタcが段階的に大きくなっていく変化を示す)ような構成とすることが考えられる。つまり、最終的なキャラクタcの態様が大当たり信頼度を示唆するものとする。
【0043】
本例のようにすることで、リーチ図柄となった装飾図柄10の副要素部12だけでなく、付随要素部13がその後の展開(事後演出)に関係することになるので分かりやすい演出の流れとなる。
【0044】
○第五具体例
事後演出をステップアップ演出とするのはあくまで一例である。特定画像20を用いた演出であればよい。例えば、特定画像20の態様がどのように変化するかによって大当たり信頼度が示唆される構成とする。候補の色として「青」「緑」「赤」が設定され、事後演出に移行したときに特定画像20の少なくとも一部が上記候補の色のいずれかとなる。当該色により、大当たり信頼度が異なる(例えば、「青」が最も低信頼度であり、「赤」が最も高信頼度である)設定とする(図11参照)。
【0045】
○第六具体例
上述した通り、特定演出(事後演出)は、リーチ成立時に発生しうるものである。そして、当該演出はリーチ図柄を利用したものであるから、リーチ図柄となりうる装飾図柄10(上記実施形態では左装飾図柄10Lと右装飾図柄10R)と、リーチ図柄とはならない装飾図柄10(上記実施形態では中装飾図柄10C)は、構成が異なるものとしてもよい。例えば、リーチ図柄となりうる装飾図柄10は、主要素部11および副要素部12(加えて付随要素部13)を有するものとする一方、リーチ図柄とはならない装飾図柄10は、主要素部11(に相当する部分)、すなわち数字の部分のみを有する構成としてもよい。あくまで、リーチ図柄となる装飾図柄10の副要素部12や付随要素部13を利用するのが上述した各種演出であるからである。
【0046】
4)変動開始態様
装飾図柄10(装飾図柄群10g)が変動を開始する際の態様として、通常態様とは異なる特殊態様が設定されている。本実施形態では、通常態様の変動開始態様が発生した場合よりも、特殊態様の変動開始態様が発生した場合の方が、当該変動(報知演出)に対応する当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)が高い。つまり、いわゆるチャンスアップとして特殊態様が設定されている。
【0047】
通常態様は、三つの装飾図柄群10gが同時に変動を開始するものである。前回の当否抽選結果(はずれ)を示す三つの装飾図柄10(以下、前回の当否抽選結果を示した組み合わせを構成する当該三つの装飾図柄10を初期図柄と称することもある)(図12(a)参照)がそのまま下方に変位するようにして各装飾図柄群10gの変動が開始される(図12(b)参照)。つまり、当該三つの装飾図柄10が表示領域911に表示された状態が変動開始の初期状態となる。
【0048】
特殊態様の変動開始態様について説明する。特殊態様でも、前回の当否抽選結果(はずれ)を示す三つの装飾図柄10(初期図柄)が表示領域911に表示された状態が変動開始の初期状態である。当該初期図柄のうち、左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rを「対象図柄10T」とする。つまり、変動開始時点で表示領域911に表示されている複数の装飾図柄10(前回の当否抽選結果を示す組み合わせを構成する装飾図柄10)のうちの一部を対象図柄10Tとする。初期図柄のうち、対象図柄10Tではない装飾図柄10を「非対象図柄10N」とする(図13(a)参照)。つまり、本実施形態では、前回の当否抽選結果を示す中装飾図柄10Cが非対象図柄10Nとなる。詳細を後述するように、左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rを対象図柄10Tとするのは、本実施形態では左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rが同じ種類となることがリーチとして設定されているから(左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rがリーチ図柄となり得る図柄であるから)である。
【0049】
特殊態様の変動開始態様は、対象図柄10Tの主要素部11が一時的に表示されない状態となるものである。本実施形態では、対象図柄10Tの副要素部12がズームアップ(拡大)されることで、対象図柄10Tの主要素部11がフレームアウトしたかのような表示が一時的になされるものである。より具体的には、対象図柄10Tにおける副要素部12の中央付近を中心として当該対象図柄10Tが手前に移動してくるかのような表示がなされる。これにより、副要素部12の全部または一部は表示領域911内に残る(表示領域911に表示された状態にある)が、主要素部11が表示領域911外まで移動する(表示領域911に表示されない状態となる)(図13(b)参照)。一般的には、主要素部11により装飾図柄10の種類が区別されるものであることに照らせば、特殊態様の変動開始態様が発生した状態は、装飾図柄10(対象図柄10T)の種類が瞬時には分からない蓋然性が高い状態であるといえる。
【0050】
一方、特殊態様の変動開始態様が発生したときであっても、非対象図柄10Nは、主要素部11が表示領域911に表示された状態にある(図13(b)参照)。したがって、非対象図柄10Nである装飾図柄10の種類は瞬時に分かる状態にある。なお、特殊態様の変動開始態様において、非対象図柄10Nの副要素部12はどのようにされてもよい。表示領域911に表示されるものとしてもよいし、一時的に消去されるといった制御とされるものとしてもよい。また、上記3)の第六具体例にて説明した通り、非対象図柄10N(中装飾図柄10C)は、主要素部11のみを有する構成としてもよいところ、このような構成とするのであれば特殊態様の変動開始態様が発生したときに当該主要素部11が表示された状態にあるようにする。
【0051】
このような特殊態様の表示がなされた後、対象図柄10Tがズームアウト(縮小)するような表示がなされた上で、通常通りの装飾図柄10の変動状態(各装飾図柄群10gが変動した状態(図2(a)に示したような状態))に移行する。
【0052】
特殊態様の変動開始態様が上記のような態様とされる理由は次の通りである。上述した通り、左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rが同じ種類の図柄となることがリーチとして設定されている。前回の当否抽選結果(前回の報知演出)が「リーチはずれ」(リーチが成立したものの最終的にははずれであったケース)であった場合、当該当否抽選結果を示す組み合わせは、左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rが同じ種類であり、中装飾図柄10Cがそれとは異なる種類である組み合わせとなる。当該組み合わせ(以下、「リーチはずれ組み合わせ」と称することもある)を初期状態として、特殊態様の変動開始態様が発生する場合があるということである。
【0053】
前回の当否抽選結果を示す組み合わせがリーチはずれ組み合わせであった場合、初期図柄に特殊な変化を発生させると、今回の当否抽選結果に対応する報知演出(「リーチはずれ組み合わせ」の次変動。すなわち特殊態様の変動開始態様が発生する変動。以下、対象報知演出(対象変動)と称することもある)にて、リーチが成立したのではないかと遊技者が勘違いしてしまうおそれがある。例えば、図15に参考例として示すように、(上述した特殊態様の変動開始態様と同様に)初期図柄をズームアップさせる等の特殊な表示を行うと、リーチを構成する装飾図柄10がズームアップされた状態となる(図15(b)参照)ため、対象報知演出にてリーチが成立したと遊技者が勘違いしてしまうおそれが高い。
【0054】
これに対し、図16に示す本実施形態における特殊態様の変動開始態様では、対象図柄10Tである左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rの主要素部11が表示されない状態(図14(b)参照)となる。つまり、前回の当否抽選結果を示す組み合わせがリーチはずれ組み合わせ(図14(a)参照)であったとしても、初期図柄のうちリーチを構成していた左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rの主要素部11(数字)は表示されない状態となる(図14(b)参照)のであるから、対象報知演出にてリーチが成立したと遊技者が勘違いしてしまうおそれが低減される。
【0055】
特に、本実施形態における特殊態様の変動開始態様のように、初期図柄をズームアップさせる態様とする場合には、当該図柄によりリーチが成立したと遊技者が勘違いしてしまうおそれが高いため、その際に対象図柄10Tである左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rの主要素部11が表示されないようにして、当該おそれを低減する意義があるといえる。
【0056】
一方、本実施形態における特殊態様の変動開始態様では、対象図柄10Tである左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rの副要素部12の少なくとも一部は表示された状態にある。すなわち、対象図柄10Tの主要素部11は表示されないものの、副要素部12の少なくとも一部は表示された状態にある。対象図柄10Tの全体が表示されないと何が起こっているか分からない(特殊な変動態様であることすら分からない)おそれがあるため、リーチであると勘違いしてしまう主要素部11以外の箇所(副要素部12の少なくとも一部)は表示されるようにするとよい。
【0057】
また、本実施形態における特殊態様の変動開始態様では、非対象図柄10Nである中装飾図柄10Cの主要素部11は表示された状態にある。つまり、表示される装飾図柄10(初期図柄)の全部の主要素部11が表示されない状態となるわけではないから、装飾図柄10が全く表示されない状態となったと遊技者が勘違いしてしまう(何が起こっているか分からなくなる)おそれを低減することができる。
【0058】
上記実施形態における変動開始態様(特殊態様)に関する事項を改良、変形、具体化等した具体例を以下に示す。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例にて説明する事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0059】
○第一具体例
上記実施形態では、初期図柄の一部である対象図柄10T(左装飾図柄10Lと右装飾図柄10R)がズームアップされた結果、当該対象図柄10Tの主要素部11が表示されない状態となることを説明したが、対象図柄10Tの主要素部11が表示されない状態となるまでの経緯は種々考えられる。例えば、突発的に対象図柄10Tの主要素部11が消えるという態様としてもよい。また、主要素部11を隠す別画像が表示されるという態様としてもよい。
【0060】
○第二具体例
上記実施形態では、リーチ図柄となりうる左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rが対象図柄10Tとされることを説明したが、左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rの一方が対象図柄10Tとされ、他方は対象図柄10Tとされない(非対象図柄10Nとされる)設定としてもよい。対象報知演出にてリーチが成立したと勘違いしてしまうのは、左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rというリーチ図柄となりうる図柄の両方の主要素部11が表示されるからであって、少なくとも一方の主要素部11が表示されなければリーチが成立したと勘違いしてしまうおそれは低いとするのであれば、左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rの一方が対象図柄10Tとされ、他方は対象図柄10Tとされない設定としてもよい。ただし、本例のような構成は、左装飾図柄10Lと右装飾図柄10Rの他方(非対象図柄10N)と、中装飾図柄10Cの種類が一致することで、リーチが成立したと勘違いしてしまうおそれがあるともいえる。
【0061】
なお、初期図柄の全部を対象図柄10Tとしてもよいが、上述した通り、この場合には表示されている全ての主要素部11が表示されなくなるから、何が起こっているのか遊技者が分からなくおそれが高いという問題がある。
【0062】
○第三具体例
前回の当否抽選結果が「リーチはずれ」である場合(前回の当否抽選結果を示す装飾図柄10の組み合わせが「リーチはずれ組み合わせ」である場合、すなわち図14(a)のような状況となった場合)に限り、対象報知演出にて特殊態様の変動開始態様が発生しうる設定とする。初期図柄が「リーチはずれ組み合わせ」である場合に、対象報知演出にてリーチが成立したと遊技者が勘違いしてしまうおそれがあるのであるから、前回の当否抽選結果が「リーチはずれ」である場合に限り、上記勘違いを防止するために特殊態様の変動開始態様が発生しうる設定とする。上記実施形態のように、特殊態様を「チャンスアップ」とするのであれば、前回の当否抽選結果が「リーチはずれ」である場合に限り当該チャンスアップが発生するという遊技性となる。
【0063】
○第四具体例
上記第三具体例をより具体化した例である。上記実施形態にて説明した特殊態様の変動開始態様を第一特殊態様(図16(a2)参照)とし、それとは異なる特殊態様として第二特殊態様(図16(b2)参照)が設定されているとする。第一特殊態様と第二特殊態様は、対象図柄10Tがズームアップされることは共通するものの、主要素部11が表示されない状態となるか否かで相違するものとする。第一特殊態様は主要素部11が表示されない状態となるものの、第二特殊態様は主要素部11が表示される状態であるとする。つまり、主要素部11が表示されない状態となるまでズームアップされるかどうかで相違するようにする。
【0064】
上記第三具体例のようにすると、前回の当否抽選結果が「リーチはずれ」である場合にしかチャンスアップ演出としての特殊態様を発生させることができなくなる。本例のようにすれば、前回の当否抽選結果が「リーチはずれ」である場合(図16(a1)参照)には第一特殊態様とする(図16(a2)参照)ものの、前回の当否抽選結果が「リーチはずれ」でなければ(図16(b1)参照)第二特殊態様とすればよい(図16(b2)参照)ことになり、前回の当否抽選結果の内容によらずチャンスアップ演出としての特殊態様を発生させることができる。第一特殊態様が発生するか第二特殊態様が発生するかは、前回の当否抽選結果が「リーチはずれ」であるか否かによって決まるため、大当たり信頼度に差がない設定とすることが好ましい。
【0065】
○第五具体例
リーチ成立時に、表示されている装飾図柄10の少なくとも一部が所定のアクションを起こす演出(以下、リーチアクション演出と称する)が発生しうるものとする(図17参照)。当該アクションは、特殊態様の変動開始態様と同系統のアクションであるとする。上記実施形態に即して言えば、装飾図柄10がズームアップすることがリーチアクション演出として発生しうる(図17(c)参照)。このような構成である場合、特殊態様の変動開始態様をリーチ成立時のアクション(リーチアクション演出)と勘違いしてしまうおそれが高くなる。したがって、上記実施形態のように、特殊態様の変動開始態様では対象図柄10Tの主要素部11が表示されないようにしてリーチアクション演出と勘違いするおそれを低減する必要がある。
【0066】
なお、リーチアクション演出は、特殊態様の変動開始態様と同じようなアクション(上記実施形態に即して言えばズームアップ)を起こすものであるものの、装飾図柄10の主要素部11は表示されたままとすることが好ましい(図17(c)参照)。つまり、リーチアクション演出(図17(c)参照)と特殊態様の変動開始態様(図14(b)参照)との間に、対象の装飾図柄10(ズームアップされる装飾図柄10)について主要素部11が表示されるか否かの違いが存在する設定とする。このようにすることで、リーチアクション演出と特殊態様の変動開始態様の違いがより明確になる。
【0067】
○第六具体例
上記実施形態における特殊態様は、変動開始時における態様であることを説明したが、報知演出の途中で発生しうるようにしてもよい。すなわち、報知演出の途中(変動開始直後ではなく、変動が開始されてから所定時間経過後)で、表示される装飾図柄10の少なくとも一部が対象図柄10Tとされ、当該対象図柄10Tの主要部が一時的に表示されないようにする。
【0068】
5)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0069】
上記実施形態にかかる遊技機1はぱちんこ遊技機であるが、遊技者にとっての有利さの度合が異なる複数の遊技状態が設定された構成であれば、回胴式遊技機等、その他の遊技機にも適用可能である。
【0070】
6)上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0071】
・手段1-1
それぞれが複数種の装飾図柄を含む複数の装飾図柄群から選択された装飾図柄の組み合わせにより当否抽選結果が報知される遊技機であって、前記装飾図柄は、種類を区別するための主要素部および当該主要素部に対応付けられる副要素部を有し、二以上の前記装飾図柄群のそれぞれから選択された二以上の前記装飾図柄の副要素部同士が合わさって特定画像が形成されるか否かが、遊技者に有利な結末に至るかどうかの分岐である特定演出を実行することが可能であることを特徴とする遊技機。
上記遊技機は、装飾図柄を利用した面白みのある演出を実行することが可能である。
【0072】
・手段1-2
二つの前記装飾図柄群のそれぞれから選択された二つの前記装飾図柄の種類が同じとなるリーチが成立した場合に、前記特定演出が発生することを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このようにすることで、リーチが成立したことと、特定演出の発生(リーチを構成する装飾図柄の副要素部を用いた演出の発生)とが関係する一連の演出とすることができる。
【0073】
・手段1-3
前記特定演出は、前記特定画像が形成されない結末に至る場合は当否抽選結果がはずれとなり、前記特定画像が形成される結末に至る場合は事後演出に移行して当否抽選結果が当たりとなる可能性があることを特徴とする手段1-2に記載の遊技機。
このように、特定画像が形成されるか否かを、事後演出に移行するか否かに用いることもできる。
【0074】
・手段1-4
前記事後演出においては、リーチを構成する前記装飾図柄の種類を示す表示として、前記主要素部は表示されるものの前記副要素部は表示されないことを特徴とする手段1-3に記載の遊技機。
事後演出に移行したということは、副要素部が合わさって特定画像が形成された(副要素部が「消費」された)ということである。したがって、装飾図柄が元の状態には戻らない(副要素部を含まない)ようにして演出の継続性(流れ)が保たれるようにするとよい。このようにしても、リーチを構成する装飾図柄の種類を遊技者は把握することができる。
【0075】
・手段1-5
前記事後演出では前記特定画像が変化する場合があり、当該特定画像の変化態様に応じて当否抽選結果が当たりとなる蓋然性が示唆されることを特徴とする手段1-3または手段1-4に記載の遊技機。
特定画像を大当たり信頼度の示唆に利用することもできる。
【0076】
・手段1-6
前記装飾図柄は、前記主要素部に付随する付随要素部を有し、前記事後演出は、リーチを構成する前記装飾図柄の前記付随要素部に対応する画像が表示される演出であることを特徴とする手段1-3から手段1-5のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、リーチを構成する装飾図柄の副要素部だけでなく、付随要素部がその後の展開(事後演出)に関係することになる分かりやすい演出の流れとなる。
【0077】
・手段2-1
表示領域を有する表示装置と、それぞれが複数種の装飾図柄を含む複数の装飾図柄群が前記表示領域にて変動を開始してから、各装飾図柄群から選択されて停止表示された装飾図柄の組み合わせにより当否抽選結果を報知するまでの演出である報知演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記装飾図柄は、種類を区別するための主要素部を有し、複数の前記装飾図柄群が変動を開始する際の変動開始態様として、通常態様とは異なる特殊態様が設定されており、前記特殊態様の変動開始態様は、前記表示領域に表示される少なくとも一部の前記装飾図柄である対象図柄の前記主要素部が一時的に表示されない状態とされるものであることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、特殊態様の変動開始態様は、対象図柄の主要素部が一時的に表示されない状態となるものであるから、リーチ成立と判断してしまう等の遊技者の勘違いが生じてしまうおそれを低減することが可能である。
【0078】
・手段2-2
前記装飾図柄は、変動表示される際に前記主要素部に付随する副要素部を有し、前記特殊態様の変動開始態様は、前記対象図柄の前記主要素部が表示されない状態で、当該対象図柄の前記副要素部の少なくとも一部は表示された状態にあるものであることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
対象図柄の主要素部は表示されないものの、副要素部の少なくとも一部は表示された状態にあるから、何が起こっているのか分からない(装飾図柄の変動開始であることすら分からない)状況になってしまうおそれが低減される。
【0079】
・手段2-3
前記特殊態様の変動開始態様は、前記対象図柄の前記副要素部がズームアップされることで、当該対象図柄の前記主要素部が前記表示領域からフレームアウトしたかのような表示がなされるものであることを特徴とする手段2-2に記載の遊技機。
上記のようにすることで、自然な流れで主要素部が非表示となる状況に移行させることができる。
【0080】
・手段2-4
前記特殊態様の変動開始態様は、前回の報知演出にてリーチが構成された上で当否抽選結果がはずれとなった場合に発生するものであり、当該リーチを構成していた装飾図柄の少なくともいずれかが前記対象図柄とされることを特徴とする手段2-1から手段2-3のいずれかに記載の遊技機。
前回の報知演出にてリーチが構成されてはずれとなった場合(リーチはずれとなった場合)に、リーチ成立と遊技者が勘違いしてしまうおそれが高くなるから、リーチを構成していた装飾図柄の少なくともいずれかが対象図柄とされて、変動開始時に一時的に主要素部が表示されないようにするとよい。
【符号の説明】
【0081】
1 遊技機
10 装飾図柄(10L左装飾図柄 10C中装飾図柄 10R右装飾図柄)
10g 装飾図柄群(10gL左装飾図柄群 10gC中装飾図柄群 10gR右装飾図柄群)
11 主要素部
12 副要素部
13 付随要素部
10T 対象図柄
10N 非対象図柄
20 特定画像
91 表示装置
911 表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17