(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】コントローラ支持具
(51)【国際特許分類】
G06F 3/039 20130101AFI20231006BHJP
A63F 13/24 20140101ALI20231006BHJP
A63F 13/98 20140101ALI20231006BHJP
【FI】
G06F3/039
A63F13/24
A63F13/98
(21)【出願番号】P 2023103711
(22)【出願日】2023-06-23
【審査請求日】2023-06-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307007269
【氏名又は名称】豊田 学
(74)【代理人】
【識別番号】100188075
【氏名又は名称】石黒 修
(72)【発明者】
【氏名】豊田 学
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第200947919(CN,Y)
【文献】米国特許出願公開第2013/0078855(US,A1)
【文献】特許第6503536(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/039
A63F 13/00 - 13/98
F16B 11/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動きに応じて対象体の動作を制御できるコントローラを保持する保持部と前記保持部を支持する支持部とを有するコントローラ支持具において、
前記保持部に設けられる強磁性体の金属球体部と、
前記支持部の上端に設けられる磁石部と、
前記金属球体部と前記磁石部との間に設けられるスペーサ部とを備え、
前記スペーサ部は前記金属球体部の外周面に沿って当接する球体接触面を介して前記金属球体部と接触しており、
前記磁石部はネオジム磁石であり、
前記保持部に前記コントローラに対するカウンターウェイト部が設けられていることを特徴とするコントローラ支持具。
【請求項2】
請求項1に記載のコントローラ支持具において、
前記スペーサ部は、
金属製であることを特徴とするコントローラ支持具。
【請求項3】
請求項
1に記載のコントローラ支持具において、
前記
スペーサ部は、樹脂製であることを特徴とするコントローラ支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コントローラを支持するコントローラ支持具、特に動きに応じて対象体の動作を制御できるコントローラを支持するコントローラ支持具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コントローラを保持する保持部と、保持部を支持する支持部とを有するコントローラ支持具が周知となっている。
近年、コントローラ側に多彩な機能が搭載されることによる代償としてコントローラの体格、重量が増している。
このような大型化したコントローラを長時間保持して操作し続けることは困難であるため、使用者の負担を軽減するようにコントローラを支持するコントローラ支持具が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1におけるコントローラ支持具は、所謂両グリップ型ゲームコントローラを支持するものであり、コントローラを保持する保持部と、保持部を支持する支持部と、支持部がボールジョイントのボールスタッド部と接続されている構成が示されている。
【0004】
より具体的には、特許文献1におけるコントローラ支持具は、コントローラがボールジョイントのボール部を回動中心として回動することで、コントローラの操作を実現できる構成となっている。
【0005】
しかし、特許文献1におけるコントローラ支持具では、コントローラの動きに応じて対象体(この場合、ゲーム内のキャラクタ等)の動作を制御する際に、ボールジョイントのボールハウジング部の内周面とボール部の外周面の摺動によりそれぞれが徐々に摩耗して行く虞がある。
【0006】
特に、両グリップ型ゲームコントローラであると力を込めやすくなっているため、操作が激しくなり、摺動面での摩耗が加速されやすい。
このため、経時的にコントローラの動きに対する抵抗感がなくなり、止めるべきポイントで動きを止めることができなくなる、微妙な位置調整ができなくなる、自重により意図しない動きをしてしまう等の問題が生じてくる。
このような問題は、コントローラの体格、重量が大きくなり慣性モーメントが肥大化している昨今において、より顕著になっている。
【0007】
また、コントローラの体格、重量が大きくなっているため、どうしても保持部における重量分布に偏りが生じてしまい、重量の重い部分に保持部が傾いてしまう場面が多くなってしまう。
このため、摺動面の片減りを起こしてしまう問題も生じ得る。
上記問題は、特に腕力の弱い、子供、高齢者がコントローラの操作を行う場合に顕著である。
【0008】
さらに、コントローラの動作に対する抵抗感がなくなった場合、ボール部、ボールハウジング部のみを個別に交換して対応することができず、一般的にボールジョイント全体を交換する必要があり手間、コストがかかってしまう問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、コントローラの動きに対する抵抗感が減衰しないコントローラ支持具を提供することにある。
【0011】
本開示のコントローラ支持具は、動きに応じて対象体の動作を制御できるコントローラを保持する保持部と、保持部を支持する支持部を有する。
ここで、保持部には強磁性体の金属球体部が設けられている。
また、支持部の上端には、磁石部が設けられている。
そして、金属球体部と磁石部との間にはスペーサ部が設けられている。
ここで、スペーサ部は金属球体部の外周面に沿って当接する球体接触面を介して金属球体部と接触している。
また、磁石部はネオジム磁石である。
そして、保持部に前記コントローラに対するカウンターウェイト部が設けられている。
【0012】
これにより、金属球体部はスペーサ部を隔てて磁石部に磁力により常時吸引されており、スペーサ部は磁石部と金属球体部に狭持されているため、金属球体部との間の摺動抵抗が常時確保されている。
このため、コントローラ支持具において、コントローラの動きに対する抵抗感が減衰することはない。
また、スペーサ部は、金属球体部の外周面に沿って当接する球体接触面を介して金属球体部と接触している。
これにより、スペーサ部と金属球体部との間での接触面積が増えるため、スペーサ部に対する磁石部と金属球体部による狭持力を分散でき、スペーサ部と金属球体部との間での摺動による摩耗の発生を抑制できる。
また、磁石部はネオジム磁石となっている。
ここで、ネオジム磁石は、入手性が比較的容易であり、磁力の経時的な減衰も少なくなっている。
さらに、保持部にコントローラに対するカウンターウェイト部が設けられている。
これにより、保持部におけるコントローラによる過度の傾きを抑制することができ、摺動面の片減りの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】コントローラ支持具の正面図である(実施例)。
【
図2】コントローラ支持具の伸長状態を表す正面図である(実施例)。
【
図3】コントローラ支持具の使用状態を表す正面図である(実施例)。
【
図4】コントローラ支持具の要部斜視図である(実施例)。
【
図5】保持部と支持部とを分離したコントローラ支持具の要部斜視図である(実施例)。
【
図6】軸線を含む面でのスペーサ部の部分断面図である(実施例)。
【
図7】未使用時におけるコントローラ支持具の正面図である(実施例)。
【
図8】コントローラ支持具の正面図である(変形例)。
【
図9】脚部を閉じたコントローラ支持具の正面図である(変形例)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示を実施するための形態を実施例に基づいて説明する。
なお、以下の実施例は具体的な一例を開示するものであり、本開示が以下の実施例に限定されないことは言うまでもない。
【実施例】
【0015】
[実施例の構成]
実施例のコントローラ支持具1の構成を
図1から
図7を用いて説明する。
コントローラ支持具1は、動きに応じて対象体の動作を制御できるコントローラ2を保持する保持部3と、保持部3を支持する支持部5を有する。
なお、コントローラ2は所謂両グリップ型のゲームコントローラであり、対象体はゲーム内のキャラクター等となっている。
【0016】
また、保持部3には強磁性体の金属球体部7が設けられている。
より具体的には、保持部3のコントローラ2を保持する側と反対側である下側に金属球体部7が配されている。
ここで、強磁性体とは、磁力により吸引されるものであり、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム等が該当する。
なお、金属球体部7は鉄製となっている。
【0017】
また、保持部3を支持する支持部5の上端には、磁石部9が設けられている。
ここで、磁石部9は、永久磁石であるネオジム磁石となっている。
なお、磁石部9は、支持部5のアルミ製のロッド12の上端に固定される磁石体との磁力によりロッド12に対して磁石部9は固定されている。
【0018】
なお、コントローラ支持具1は、ロック機構13を操作し、ロッド12を引き出すことで
図2に示すように支持部5の全長を伸ばすことができ、使用時における高さを調節することができる。
【0019】
また、支持部5は、
図3に示すように使用時においては、支持部5の下端のエラストマー製の球体部15をコントローラ支持具1全体の回動中心として、操作することになる。
なお、球体部15は、エラストマー製であるため、床面が平滑であってもすべることなく、その位置が固定される。
【0020】
そして、コントローラ支持具1は、金属球体部7と磁石部9との間にスペーサ部16が設けられている。
ここで、スペーサ部16は、アルミ製となっており、磁石部9の上端に図示しない粘着テープで固定されている。
【0021】
より具体的には、スペーサ部16は、
図6に示すように、ロッド12の軸線αを含む平面での断面図のような構成になっている。
ここで、スペーサ部16は、金属球体部7の外周面に沿って当接する球体接触面18を介して金属球体部7と接触している。
【0022】
また、コントローラ支持具1は、
図4、5に示すように、保持部3にコントローラ2に対するカウンターウェイト部20が設けられている。
ここで、カウンターウェイト部20とは、コントローラ2による保持部3の過度の傾きを抑制するためのものであり、カウンターウェイト部20とコントローラ2との間に金属球体部7が位置するように保持部3に配されている。
【0023】
なお、コントローラ支持具1は、
図7に示すように未使用時には支持部5から保持部3を取り外すことができる。さらに、保持部3を取り外した支持部5は、ロック機構13を操作しロッド12を縮めた状態で保管することができる。
【0024】
[実施例の効果]
実施例のコントローラ支持具1は、動きに応じて対象体の動作を制御できるコントローラ2を保持する保持部3と、保持部3を支持する支持部5を有する。
ここで、保持部3には強磁性体の金属球体部7が設けられている。
また、支持部5の上端には、磁石部9が設けられている。
そして、金属球体部7と磁石部9との間にはスペーサ部16が設けられている。
【0025】
これにより、金属球体部7はスペーサ部16を隔てて磁石部9に磁力により常時吸引されており、スペーサ部16は磁石部9と金属球体部7に狭持されているため、金属球体部7との間の摺動抵抗が常時確保されている。
このため、コントローラ支持具1において、コントローラ2の動作に対する抵抗感は減衰することはない。
【0026】
また、スペーサ部16の厚みを変更することで、スペーサ部16と金属球体部7との間の摺動抵抗を変更することが可能である。
より具体的には、スペーサ部16の厚みを厚くすることで磁石部9と金属球体部7との間の離間距離が広がることにより、スペーサ部16に対する磁石部9と金属球体部7による狭持力が減少し、スペーサ部16と金属球体部7との間の摺動抵抗を小さくすることができる。
これにより、スペーサ部16を変更することで、容易にスペーサ部16と金属球体部7との間の摺動抵抗を調節でき、自分好みの摺動抵抗を簡便に実現できる。
【0027】
なお、万一、スペーサ部16と金属球体部7との間で極端な摩耗が生じたとしても、金属球体部7と磁石部9との間の離間距離が狭まることで、スペーサ部16に対する磁石部9と金属球体部7による狭持力が増加し、スペーサ部16と金属球体部7との間の摺動抵抗は増加することになる。
すなわち、このような場合であってもコントローラ支持具1において、コントローラ2の動きに対する抵抗感は減衰することはない。
【0028】
また、コントローラ支持具1において、スペーサ部16は、金属球体部7の外周面に沿って当接する球体接触面18を介して金属球体部7と接触している。
これにより、スペーサ部16と金属球体部7との間での接触面積が増えるため、スペーサ部16に対する磁石部9と金属球体部7による狭持力を分散でき、スペーサ部16と金属球体部7との間での摺動による摩耗の発生を抑制できる。
なお、球体接触面18の面積を変更することにより、スペーサ部16と金属球体部7との間の摺動抵抗を変更することも容易である。
【0029】
また、コントローラ支持具1において、磁石部9はネオジム磁石となっている。
ここで、ネオジム磁石は、入手性が比較的容易であり、磁力の経時的な減衰も少なくなっている。
しかし、ネオジム磁石はさびに弱いため、通常施されているニッケルメッキ等のコーティングに剥がれが生じるとさびが発生し性能の大幅な低下を招いてしまう問題がある。
【0030】
そこで、コントローラ支持具1では、金属球体部7と磁石部9とはスペーサ部16を隔てて配置されているため、直接的に磁石部9が可働する金属球体部7と接触する構成となっていないため、磁石部9のコーティング剥がれの発生の心配はない。
このため、スペーサ部16の存在により磁石部9の耐久性が向上している。
【0031】
また、コントローラ支持具1においてスペーサ部16は、アルミ製となっている。
これにより、スペーサ部16が金属製であるため、摩耗しにくい構成となっている。
このため、スペーサ部16の耐久性が向上している。
【0032】
また、コントローラ支持具1において、保持部3にコントローラ2に対するカウンターウェイト部20が設けられている。
これにより、保持部3におけるコントローラ2による過度の傾きを抑制することができ、摺動面の片減りの発生を抑制することができる。
【0033】
また、コントローラ支持具1は、使用時におけるコントローラ2の高さを調節できる。
これにより、使用時におけるコントローラ2の高さが、高すぎたり、低すぎたりすることに起因して発生する保持部3の過度の傾きを防ぎ、摺動面の片減りの発生を抑制することができる。
また、無理な体勢による操作を行う必要がないため、操作時における使用者の姿勢の悪化を防ぐこともできる。
【0034】
さらに、コントローラ支持具1は、未使用時に支持部5から保持部3を取り外し、保持部3を取り外した支持部5は、ロック機構13を操作することでロッド12を縮めることができる。
これにより、未使用時の空間占有領域を少なくすることができるとともに、保持部3の自重による傾きに起因した摺動面の片減りも抑制できる。
【0035】
[変形例]
本発明はその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形例を考えることができる。
実施例において、スペーサ部16は、常磁性体のアルミ製であったが、他の常磁性体であるSUS304、SUS316等の金属であってもよく、反磁性体の銅等の金属であってもよい。
なお、スペーサ部16をアルミより硬度の高いSUS304、SUS316、銅とすることによりスペーサ部16の摺動面における摩耗をより抑制することができる。
【0036】
また、スペーサ部16を強磁性体の鉄等の金属としてもよい。この場合、コントローラ2の動きに対する抵抗感が大きくなり、コントローラ2の素早い動きではなくコントローラ2の正確な動きを主とする操作に適した構成とすることができる。
【0037】
さらに、スペーサ部16を樹脂製としてもよい。
この場合、所謂エンジニアリングプラスチックであるポリアセタール樹脂等の高硬度、耐摩耗性に優れた材質とすることがより好ましい。
【0038】
また、実施例において、コントローラ2は、所謂ゲームコントローラであったが、この態様に拘るものではない。
例えば、コントローラ2を遠隔操作用コントローラとしてもよい。
この場合、コントローラ2の動きの素早さより動きの正確性が必要な際には、スペーサ部16を強磁性体の金属とすることにより、より正確な動きに適した構成とすることができる。
【0039】
また、実施例において、コントローラ2は、両グリップ型ゲームコントローラであったが、所謂ガングリップ型コントローラであってもよい。
この場合、片腕での操作になるため、動きに対する抵抗感が失われると操作がより難しくなる場合がある。
【0040】
また、実施例において、磁石部9とスペーサ部16との固定は粘着テープであったが、接着剤での固定であってもよく、スペーサ部16にリテーナを設け、リテーナにより磁石部9に固定する構成であってもよい。
なお、スペーサ部16が強磁性体である場合、固定手段は特に必要ない。
【0041】
また、実施例において、床との接触はエラストマー製の球体部15であったが、
図8に示すように、コントローラ支持具21は展開式の脚部22を有し、脚部22が床と接触する構成であってもよい。
これにより、使用時における床等に対する安定性がより高くなっている。また、未使用時に支持部25を自立させることもできる。
【0042】
なお、コントローラ支持具21は、脚部22を折りたたむことで、
図9に示すように未使用時における空間占有領域を少なくすることができ、持ち運びにも便利な構成となっている。
【符号の説明】
【0043】
1 コントローラ支持具 2 コントローラ 3 保持部 5 支持部
7 金属球体部 9磁石部 16 スペーサ部
【要約】
【課題】コントローラの動きに対する抵抗感が減衰しないコントローラ支持具を提供する。
【解決手段】コントローラ支持具1は、動きに応じて対象体の動作を制御できるコントローラ2を保持する保持部3と、保持部3を支持する支持部5を有する。
ここで、保持部3には強磁性体の金属球体部7が設けられている。また、支持部5の上端には、磁石部9が設けられている。そして、金属球体部7と磁石部9との間にはスペーサ部16が設けられている。
これにより、金属球体部7はスペーサ部16を隔てて磁石部9に磁力により常時吸引されているため、スペーサ部16と金属球体部7との間の摺動抵抗が常時確保されている。
このため、コントローラ支持具1において、コントローラ2の動きに対する抵抗感は減衰することはない。
【選択図】
図2