(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20231006BHJP
【FI】
H02M3/28 H
(21)【出願番号】P 2018116893
(22)【出願日】2018-06-20
【審査請求日】2021-06-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【氏名又は名称】柏野 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】指田 和之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健一
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 和彦
【合議体】
【審判長】林 毅
【審判官】脇岡 剛
【審判官】山崎 慎一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-100849号公報(JP,A)
【文献】特開2001-343402号公報(JP,A)
【文献】特開2013-231601号公報(JP,A)
【文献】特開2017-158407号公報(JP,A)
【文献】特開2013-130571号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00- 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁トランスの二次巻線側に生起された電力を整流する整流部と、
前記整流部を介して整流された電力を平滑化する平滑コンデンサと、
第1ロゴスキーコイルと、前記第1ロゴスキーコイルからの出力信号を積分する第1積分回路とを有し、前記整流部から出力される
リプル成分を含む第1の電流値を計測する第1の電流センサと、
第2ロゴスキーコイルと、前記第2ロゴスキーコイルからの出力信号を積分する第2積分回路とを有し、前記平滑コンデンサに流れる
前記リプル成分である第2の電流値を計測する第2の電流センサと、
前記第1の電流値から、前記第2の電流値を差し引くことで、スイッチング電源装置から出力される直流電流である出力電流値を算出する演算部と、
を備えることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記第1の電流センサは、
前記第1積分回路を構成するコンデンサに蓄えられた電荷を放電するためのリセット回路を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記第1ロゴスキーコイル及び前記第2ロゴスキーコイルは、多層基板の内層に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、DC/DCコンバータなどのスイッチング電源装置では、出力電流を検出するために電流検出手段を備えている。例えば、特許文献1には、電流検出手段としてシャント抵抗を設け、そのシャント抵抗の両端に表れる電位差に基づいて出力電流を検出する方法が記載されている。また、特許文献2には、電流検出手段としてカレントトランスを設け、そのカレントトランスで検出される電流変化から出力電流を検出する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-018827号公報
【文献】特開2005-304116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電流検出手段として、シャント抵抗を用いた場合には、そのシャント抵抗にて電力損失が発生してしまう。また、電流検出手段として、カレントトランスを用いた場合には、交流電流しか検出することができず、直流電流を検出することができない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、電力損失を発生させることなく、直流電流を検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、絶縁トランスの二次巻線側に生起された電力を整流する整流部と、前記整流部を介して整流された電力を平滑化する平滑コンデンサと、前記整流部から出力される第1の電流値を計測する第1の電流センサと、前記平滑コンデンサに流れる第2の電流値を計測する第2の電流センサと、前記第1の電流値から、前記第2の電流値を差し引くことで、前記平滑コンデンサから出力される出力電流値を算出する演算部と、を備えることを特徴とするスイッチング電源装置である。
【0007】
本発明の一態様は、上述のスイッチング電源装置であって、前記第1の電流センサ及び前記第2の電流センサは、ロゴスキーコイルと、前記ロゴスキーコイルからの出力信号を積分する積分回路と、を備える。
【0008】
本発明の一態様は、上述のスイッチング電源装置であって、前記第1の電流センサは、前記積分回路を構成するコンデンサに蓄えられた電荷を放電するためのリセット回路を更に備える。
【0009】
本発明の一態様は、上述のスイッチング電源装置であって、前記ロゴスキーコイルは、多層基板の内層に形成されている。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、電力損失を発生させることなく、直流電流を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】発明の一実施形態に係るスイッチング電源装置1の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る積分回路82の一例を示す回路図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る減算回路12における出力電流値Ioの算出方法を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るスイッチング電源装置1の動作の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係るスイッチング電源装置を、図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るスイッチング電源装置1の概略構成の一例を示す図である。スイッチング電源装置1は、例えば、降圧型のスイッチングレギュレータであり、直流電源2が出力する電圧Vinを降圧して、出力電圧Voを負荷部Rに供給する。負荷部Rは、スイッチング電源装置1が接続され、スイッチング電源装置1の出力電圧Voが供給される装置や回路などである。なお、本実施形態では、スイッチング電源装置1がフライバック式のDCDCコンバータである場合について説明する。
【0014】
図1に示すように、スイッチング電源装置1は、直流電源2、絶縁トランス3、スイッチング素子4、スナバ回路5、整流部6、平滑コンデンサ7、第1の電流センサ8、第2の電流センサ9、制御部10、及び演算部11を備えている。
【0015】
直流電源2は、例えば、バッテリなどの直流電力を供給する供給源であり、絶縁トランス3の一次側に電圧Vinの直流電力を供給する。
【0016】
絶縁トランス3は、一次側コイル3a及び二次側コイル3bを備える。
一次側コイル3aは、一端が直流電源2の正極端子に接続され、他端がスイッチング素子4に接続されている。
二次側コイル3bは、一端が整流部6に接続され、他端が平滑コンデンサ7の他端に接続されている。
【0017】
スイッチング素子4は、直流電源2と一次側コイル3aとの間に接続されている。例えば、スイッチング素子4は、nMOSFET(n型MOS電界効果トランジスタ)であって、ドレイン端子が一次側コイル3aの他端に接続され、ソース端子が直流電源2の負極端子に接続され、ゲート端子が制御部10から出力される制御信号S1の信号線に、それぞれ接続されている。ここで、制御信号S1は、スイッチング素子4を制御するパルス信号である。
【0018】
スナバ回路5は、スイッチング素子4がオフ状態のときに、スイッチング素子4のドレイン端子及びソース端子の間に印加されるサージ電圧を抑制する。
具体的な構成としては、スナバ回路5は、抵抗51、コンデンサ52、及びダイオード53を備える。
【0019】
抵抗51は、一端が直流電源2の正極端子に接続され、他端がダイオード53のカソードに接続される。
コンデンサ52は、抵抗51に並列に接続されており、一端が直流電源2の正極端子に接続され、他端がダイオード53のカソードに接続される。
ダイオード53のアノードは、一次側コイル3aの他端とスイッチング素子4のドレイン端子との間に接続されている。
【0020】
整流部6は、絶縁トランス3の二次巻線側に生起された電力を整流する。具体的には、整流部6は、ダイオードであって、アノードが二次側コイル3bの一端に接続され、カソードが平滑コンデンサ7の一端に接続されている。
【0021】
平滑コンデンサ7は、整流部6の出力側に並列接続され、整流部6を介して整流された電力を平滑化する。具体的には、平滑コンデンサ7は、整流部6から出力される電圧や電流を平滑化する。この平滑化された出力電圧Voや出力電流Ioは、負荷部Rに出力される。
【0022】
第1の電流センサ8は、整流部6から出力される第1の電流値Iinを計測する。
以下に、第1の電流センサ8の構成について、
図2を用いて説明する。
【0023】
第1の電流センサ8は、ロゴスキーコイル81及び積分回路82を備える。
【0024】
ロゴスキーコイル81は、整流部6のカソードと、その整流部6のカソード及び平滑コンデンサ7の一端の接続点Nとの間の接続線に配置され、当該接続線を流れる電流を検出する。例えば、このロゴスキーコイル81は、当該接続線が形成された多層基板の内層に形成されている。
【0025】
積分回路82は、リセット機能を有し、ロゴスキーコイル81から出力される出力信号を積分する。ここで、
図2を参照して、積分回路82の具体的な構成について説明する。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態に係る積分回路82の一例を示す回路図である。
図2に示すように、積分回路82は、抵抗121、オペアンプ122、コンデンサ123、及びリセットスイッチ124を備えている。なお、リセットスイッチ124は、本発明の「リセット回路」の一例である。
【0027】
抵抗121は、ロゴスキーコイル81の一端とオペアンプ122の反転入力端子との間に接続されている。また、コンデンサ123は、オペアンプ122の反転入力端子と、オペアンプ122の出力端子との間に接続されている。
【0028】
オペアンプ122は、抵抗121及びコンデンサ123が接続されることにより、積分回路として機能する。オペアンプ122は、反転入力端子に抵抗121を介してロゴスキーコイル81の一端が接続され、非反転入力にロゴスキーコイル81の他端が接続されている。オペアンプ122は、ロゴスキーコイル81からの出力信号を入力信号(IN)とし、ロゴスキーコイル81の出力を積分した出力信号(OUT)を出力する。
【0029】
リセットスイッチ124は、コンデンサ123と並列に、オペアンプ122の反転入力端子と、オペアンプ122の出力端子との間に接続されている。リセットスイッチ124は、積分回路82の出力電位をリセットするスイッチであり、制御部10が出力するリセット信号S2(パルス信号)により導通状態に制御される。なお、リセットスイッチ124は、積分回路82をリセットする際に、導通状態(オン状態)に制御される。すなわち、リセットスイッチ124は、積分回路82を構成するコンデンサ123に蓄えられた電荷を放電することで、積分回路82をリセットするリセット回路である。
【0030】
積分回路82は、制御部10によりスイッチング素子4がオン状態からオフ状態に制御されると、第1の電流値Iinの電流波形を示す第1の出力信号を演算部11に出力する。
【0031】
第2の電流センサ9は、平滑コンデンサ7に流れる第2の電流値Irを計測する。この第2の電流値Irとは、リップル電流の電流値である。以下に、第2の電流センサ9の具体的な構成について説明する。
【0032】
第2の電流センサ9は、ロゴスキーコイル91及び積分回路92を備える。
【0033】
ロゴスキーコイル91は、平滑コンデンサ7に流れるリップル電流値である第2の電流値Irを検出する。ロゴスキーコイル91は、例えば、接続点Nと平滑コンデンサ7の一端との間の接続線に配置され、当該接続線を流れる電流を検出する。このロゴスキーコイル91は、例えば、接続点Nと平滑コンデンサ7の一端との間の接続線が形成された多層基板の内層に形成されている。
【0034】
積分回路92は、
図2に示すようなリセット機能を有してもよいし、当該リセット機能を有していなくてもよい。積分回路92は、ロゴスキーコイル91から出力される出力信号を積分することで、第2の電流値Irの電流波形を得る。そして、積分回路92は、この第2の電流値Irの電流波形を第2の出力信号として演算部11に出力する。
【0035】
制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、演算部11が演算した出力電流値Ioに基づいて、各種制御を行う。また、制御部10は、スイッチング素子4のスイッチングを制御するとともに、積分回路82のリセット機能を制御する。制御部10は、例えば、制御信号S1によるパルス信号で、スイッチング素子4の導通状態を制御する。また、制御部10は、積分回路82にリセット信号S2を出力することで、積分回路82をリセット(初期化)する。
【0036】
演算部11は、第1の電流値Iinから、第2の電流値Irを差し引くことで、スイッチング電源装置1から出力される直流電流である出力電流値Ioを算出する。以下に、本発明の一実施形態に係る演算部11の具体的な構成について、説明する。
【0037】
演算部11は、減算回路12、増幅回路13、A/D変換演算処理部14を備える。
【0038】
減算回路12は、第1の電流センサ8により計測された第1の電流値Iinから、第2の電流センサ9で計測されたリップル電流値である第2の電流値Irを差し引くことで、スイッチング電源装置1から出力される直流電流である出力電流値Ioを算出する。
以下に、出力電流値Ioの算出方法について、
図3を用いて具体的に説明する。
【0039】
制御部10がスイッチング素子4のスイッチング制御を開始した場合において、スイッチング素子4がオン状態になると、一次側コイル3aに電流が流れ、絶縁トランス3にエネルギーが蓄えられる。そして、スイッチング素子4がオフ状態になると、絶縁トランス3に蓄えられたエネルギーが絶縁トランス3の二次側コイル3bから出力される。この際、二次側コイル3bから出力される電流は整流部6によって整流される。したがって、第1の電流センサ8により計測される第1の電流値Iinの電流波形W1は、スイッチング素子4がオン状態からオフ状態に移行したときに0から立ち上がり、スイッチング素子4がオフ状態からオン状態に移行したときに0に立ち下がる波形となる(例えば、
図3(a))。なお、第1の電流値Iinは、リプル電流の成分を含んでいるため脈流電流の電流値となる。
【0040】
また、整流部6の後段には整流部6を介して流れてきた電流を平滑する平滑コンデンサ7が設けられている。そのため、整流部6を介して流れてきた電流のうち、リプル電流の成分のみが第2の電流値Irとして平滑コンデンサ7に流れ、その他の成分(直流成分)が出力電流値Ioとして負荷Rに出力されることになる。したがって、第2の電流センサ9で計測される第2の電流値Irの電流波形W2は、第1の電流値Iinに含まれるリプル電流の成分の波形であって、0を基準とした交流波形となる(例えば、
図3(b))。
【0041】
ここで、第1の電流値Iinは、出力電流値Io及び第2の電流値Irから成るため、減算回路12は、電流波形W1から電流波形W2を減算することで、出力電流値Ioの電流波形W3を算出することができる。すなわち、減算回路12は、電流波形W1から電流波形W2を減算することで、第1の電流値Iinからリプル電流の成分を除去し、直流電流の成分である出力電流値Ioの電流波形W3を取得することができる。なお、出力電流値Ioの電流波形W3を取得することは、出力電流値Ioの値を取得することと同義である。
【0042】
実施例として、第1の電流値Iinとして
図3(a)に示す電流波形W1が得られ、第2の電流値Irとして
図3(b)に示す電流波形W2が得られた場合において、シミュレーションにより得られた出力電流値Ioの電流波形W4と、上述した本実施形態に係る減算回路12により算出した出力電流値Ioの電流波形W3とを、
図3(c)(d)にそれぞれ示す。
図3(c)(d)に示すように、本実施形態に係る減算回路12により算出された出力電流値Ioの電流波形W3(
図3(d))は、シミュレーション結果(
図3(c))と同様の結果となった。
【0043】
増幅回路13は、減算回路12で算出された出力電流値Ioの電流波形W3の信号を所定の増幅率で増幅してA/D変換演算処理部14に出力する。
【0044】
A/D変換演算処理部14は、増幅回路13からの出力信号であるアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号を制御部10に出力することで、出力電流値Ioのデジタル値を制御部10に与える。
【0045】
次に、本発明の一実施形態に係るスイッチング電源装置1の動作の流れについて、説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係るスイッチング電源装置1の動作の流れを示す図である。
【0046】
制御部10によりスイッチング素子4がスイッチング制御されることで二次側コイル3bに電圧が生起する。そして、二次側コイル3bに生起した電圧により発生する電流は、整流部6により整流され、平滑コンデンサ7で平滑された後、出力電流Ioとして負荷部Rに供給される。
【0047】
第1の電流センサ8は、整流部6により整流された直後の第1の電流値Iinを計測する。そして、第1の電流センサ8は、計測した第1の電流値Iinを演算部11に出力する(ステップS101)。
第2の電流センサ9は、平滑コンデンサ7に流れる第2の電流値Irを計測する。そして、第2の電流センサ9は、計測した第2の電流値Irを演算部11に出力する(ステップS102)。
【0048】
演算部11は、第1の電流センサ8で計測された第1の電流値Iinに対して、第2の電流センサ9で計測された第2の電流値Irを差し引くことで、平滑コンデンサ7から出力される出力電流Ioを算出する(ステップ103)。そして、演算部11は、算出した出力電流値Ioをデジタル信号に変換して、制御部10に出力する(ステップS106)。
【0049】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0050】
制御部10は、演算部11から取得した出力電流値Ioをスイッチング素子4のスイッチング制御に使用してもよい。例えば、制御部10は、演算部11から取得した出力電流値Ioに基づいて、制御信号S1を生成してもよい。
【0051】
また、制御部10は、演算部11から取得した出力電流値Ioを過電流検知に用いてもよい。例えば、制御部10は、演算部11から取得した出力電流値Ioが予め設定された閾値を超える場合には、スイッチング電源装置1から負荷部Rに出力される電流が過電流であると判定してもよい。制御部10は、当該過電流を検知した場合には、スイッチング素子4のスイッチング制御を停止して、負荷部Rへの出力を停止してもよい。
【0052】
また、スイッチング電源装置1は、演算部11によりデジタル変換された出力電流値Ioをモニター可能な表示装置を備えてもよい。例えば、この表示装置は、演算部11によりデジタル変換された出力電流値Ioをリアルタイムで表示画面に表示するとともに、不図示の格納部にその出力電流値Ioを時系列に格納してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、スイッチング電源装置1が降圧型のスイッチングレギュレータである場合の一例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、昇圧型のスイッチングレギュレータ、DC/DCコンバータであってもよい。
【0054】
また、上述の演算部11は、内部にコンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した演算部11の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0055】
以上、説明したように、スイッチング電源装置1は、第1の電流センサ8、第2の電流センサ9、及び演算部11を備える。この第1の電流センサ8は、整流部6から出力される第1の電流値Iinを計測する。第2の電流センサ9は、平滑コンデンサ7に流れるリップル電流値である第2の電流値を計測する。そして、演算部11は、第1の電流値から、第2の電流値を差し引くことで、スイッチング電源装置1から出力される出力電流値Ioを算出する。
【0056】
このような構成によれば、スイッチング電源装置1は、電力損失を発生させることなく、スイッチング電源装置1から出力される直流電流を検出することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 スイッチング電源装置
2 直流電源
3 絶縁トランス
4 スイッチング素子
6 整流部
7 平滑コンデンサ
8 第1の電流センサ
9 第2の電流センサ
10 制御部
11 演算部