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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】入力回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 3/353 20060101AFI20231006BHJP
   H03K 19/0175 20060101ALI20231006BHJP
   H03K 5/08 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
H03K3/353 E
H03K19/0175 240
H03K5/08 J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019015006
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020123870
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】椎名 美臣
(72)【発明者】
【氏名】東 文傑
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-214960(JP,A)
【文献】特開2008-211707(JP,A)
【文献】特開2011-103607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 99/00
H03K3/00-H03K3/86
H03K5/00-H03K5/26
H03K17/00-H03K17/70
H03K19/00-H03K19/096
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子に入力された信号に応じた出力信号を出力端子から出力する入力回路であって、
ゲートが前記入力端子に接続され、ソースが第二電源端子に接続された第一入力トランジスタと、
ゲートが前記入力端子に接続され、ソースが前記第二電源端子に接続され、ドレイン電圧に基づく電圧が前記出力信号として前記出力端子から出力される第二入力トランジスタと、
ドレインが前記第一入力トランジスタのドレインに接続され、ソースが第一電源端子に接続され、前記出力信号によってオンオフが制御されるトランジスタと、
一端が前記第二電源端子に接続された電流源と、
一端が前記電流源の他端に接続され、制御端子が前記第一入力トランジスタのドレインに接続された第一スイッチと、
入力端子が前記第一スイッチの他端に接続され、出力端子が前記第二入力トランジスタのドレインに接続され、制御端子が前記電流源の他端に接続されたカレントミラーと、を備え、
前記第二入力トランジスタの電流駆動力は、前記出力信号によって切替えられ、
前記入力回路の閾値は、前記第二入力トランジスタと前記電流源の電流駆動力に基づくことを特徴とする入力回路。
【請求項2】
一端が前記第一電源端子に接続され、他端が前記トランジスタ及び前記カレントミラーに接続され、制御端子が前記入力端子に接続された第二スイッチを備え、
前記第二スイッチは、前記入力端子に入力された信号によって前記第一入力トランジスタ及び前記第二入力トランジスタがオンしているときにオフする
ことを特徴とする請求項1に記載の入力回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の入力回路の回路図である。従来の入力回路は、入力端子510と、出力端子511と、NMOSトランジスタ502と、PMOSトランジスタ503、504と、インバータ521と、を備えている。
【0003】
トランジスタ502は、ゲートが入力端子510と接続され、ドレインがトランジスタ503のドレインとインバータ521の入力に接続され、ソースが第二の電源端子に接続されている。PMOSトランジスタ503は、ゲートが入力端子510に接続され、ソースが第一の電源端子に接続されている。トランジスタ504は、ゲートがインバータ521の出力と出力端子511に接続され、ソースが第一の電源端子に接続され、ドレインがインバータ521の入力に接続されている。
【0004】
入力回路は、入力端子510にLレベルの信号が入力されると、出力端子511からLレベルの信号を出力する。トランジスタ504は、オンしてインバータ521の入力をHレベルにする。入力される信号がLレベルから上昇するとき、トランジスタ502の電流駆動力と、トランジスタ503とトランジスタ504の電流駆動力との大小関係に基づいて、インバータ521の出力信号がLレベルからHレベルに遷移する。
【0005】
また、入力される信号がHレベルから低下するとき、トランジスタ502の電流駆動力と、トランジスタ503の電流駆動力との大小関係に基づいて、インバータ521の出力信号がHレベルからLレベルに遷移する。
【0006】
従って、入力回路は、出力信号がLレベルからHレベルに遷移する際の閾値は、出力信号がHレベルからLレベルに遷移する際の閾値よりも高い。即ち、入力回路は、ヒステリシス特性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平9-270678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の入力回路のヒステリシス特性は、トランジスタ504がオンしたとき、即ちゲート・ソース間に電源電圧(VDD-VSS)が掛かった時の電流駆動力によるため、電源電圧依存性を有する、という課題がある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みて為され、電源電圧依存性の無いヒステリシス特性を有する入力回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の入力回路は、入力端子に入力された信号に応じた出力信号を出力端子から出力する入力回路であって、ゲートが前記入力端子に接続され、ソースが第二電源端子に接続された第一入力トランジスタと、ゲートが前記入力端子に接続され、ソースが前記第二電源端子に接続され、ドレイン電圧に基づく電圧が前記出力端子から出力される第二入力トランジスタと、ドレインが前記第一入力トランジスタのドレインに接続され、ソースが第一電源端子に接続され、前記出力信号に基づく信号よってオンオフが制御されるトランジスタと、一端が前記第二電源端子に接続された電流源と、一端が前記電流源の他端に接続され、制御端子が前記第一入力トランジスタのドレインに接続された第一スイッチと、入力端子が前記第一スイッチの他端に接続され、出力端子が前記第二入力トランジスタのドレインに接続され、制御端子が前記電流源の他端に接続されたカレントミラーと、を備え、前記第二入力トランジスタの電流駆動力は、前記出力信号によって切替えられ、前記入力回路の閾値は、前記第二入力トランジスタと前記電流源の電流駆動力に基づくことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の入力回路によれば、閾値が入力トランジスタと電流源の電流駆動力によって決まるため、電源電圧依存性の無いヒステリシス特性を有する入力回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の入力回路を示す回路図である。
図2】本実施形態の入力回路の具体的な回路例を示す回路図である。
図3】本実施形態の入力回路の他の具体的な回路例を示す回路図である。
図4】本実施形態の入力回路の他の具体的な回路例を示す回路図である。
図5】従来の入力回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態の入力回路を示す回路図である。
【0014】
本実施形態の入力回路は、入力信号が入力される入力端子110と、出力信号を出力する出力端子111と、PMOSトランジスタ101と、第一入力トランジスタであるNMOSトランジスタ102と、第二入力トランジスタであるNMOSトランジスタ103と、バッファ104と、電流源105と、カレントミラー106と、スイッチ107と、を備えている。
【0015】
NMOSトランジスタ102は、ゲートが入力端子110に接続され、ドレインがスイッチ107の制御端子とPMOSトランジスタ101のドレインに接続され、ソースが第二の電源端子に接続されている。電流源105は、例えばデプレショントランジスタで構成され、一方の端子がカレントミラー106のゲートとスイッチ107の一方の端子に接続され、他方の端子が第二の電源端子に接続されている。スイッチ107の他方の端子は、カレントミラー106の入力端子に接続されている。NMOSトランジスタ103は、ゲートが入力端子110に接続され、ドレインがバッファ104の入力端子とカレントミラー106の出力端子に接続され、ソースが第二の電源端子に接続されている。バッファ104の出力端子は、出力端子111とNMOSトランジスタ103の制御端子とPMOSトランジスタ101のゲートに接続されている。PMOSトランジスタ101のソースは、第一の電源端子に接続されている。
【0016】
NMOSトランジスタ103は、制御端子に入力されるバッファ104の出力信号により電流駆動力が制御される。バッファ104は、例えば、インバータ221のみで構成される。スイッチ107は、制御端子の電圧がLレベルのときにオンし、Hレベルのときにオフする。
【0017】
入力信号がLレベルのとき、出力信号がLレベルであり、NMOSトランジスタ102のインピーダンスが高く、PMOSトランジスタ101のインピーダンスが低いので、スイッチ107は制御端子の電圧がHレベルなのでオフしている。従って、カレントミラー106はミラー動作を行わないように制御される。カレントミラー106は、ゲートが電流源105により第二の電源電圧VSSに短絡されるため、出力端子はHレベルになる。また、NMOSトランジスタ103のインピーダンスは高いので、バッファ104の入力はHレベルであり、出力、即ち出力端子111の電圧はLレベルとなっている。このとき、NMOSトランジスタ103は、バッファ104の出力、即ち制御信号がLレベルなので、電流駆動力は小さい値となるように制御されている。従って、入力回路は、出力信号がHレベルに遷移する際の閾値が高くなっている。
【0018】
本実施形態の入力回路は、入力信号がLレベルのとき、スイッチ107はオフし、NMOSトランジスタ102及びNMOSトランジスタ103のインピーダンスが高くなるため、夫々の電流経路は遮断されるので、消費電流化が低い、という効果もある。
【0019】
入力信号の電圧がLレベルからわずかに増加すると、NMOSトランジスタ103はインピーダンスが低くなる。NMOSトランジスタ103はバッファ104の出力信号によって電流駆動力が小さく制御されているので、バッファ104の入力はHレベルのままである。また同様に、NMOSトランジスタ102はインピーダンスが低くなる。ここで、PMOSトランジスタ101もインピーダンスが低いが、NMOSトランジスタ102より電流駆動力は小さく設定されているので、スイッチ107は、制御端子の電圧がLレベルとなりオンする。従って、カレントミラー106はミラー動作を行なうように制御される。このとき、バッファ104の入力は、NMOSトランジスタ103の電流駆動力とカレントミラー106が電流源105をミラーした電流値との大小関係に基づいて決定される。
【0020】
入力信号がHレベルになると、出力信号がHレベルであり、NMOSトランジスタ103の制御信号がHレベルなので、NMOSトランジスタ103の電流駆動力は大きい値となるように制御される。従って、入力回路は、NMOSトランジスタ103の電流駆動力と電流源105の電流値の大小関係に基づいて出力信号が決まるため、出力信号がLレベルに遷移する際の閾値が低くなる。
【0021】
本実施形態の入力回路は、上述したように出力信号によってNMOSトランジスタ103の電流駆動力が制御されるため、ヒステリシス特性を有する。
更に、本実施形態の入力回路は、閾値が電流源105の電流値とNMOSトランジスタ103の電流駆動力によって決まるため、電源電圧の影響を受けることは無い。即ち、本実施形態の入力回路は、閾値の電源電圧依存性が無い、という特徴を有する。
【0022】
図2は、本実施形態の入力回路の具体的な回路例を示す回路図である。
【0023】
NMOSトランジスタ103は、NMOSトランジスタ311、312と、スイッチ313を備えている。
NMOSトランジスタ311は、ゲートがNMOSトランジスタ312のゲートと接続され、ドレインがカレントミラー106の出力端子に接続され、ソースが第二の電源端子に接続されている。NMOSトランジスタ312は、ドレインがスイッチ313を介してNMOSトランジスタ311のドレインに接続されている。
【0024】
スイッチ313は、バッファ104の出力、即ち制御信号がLレベルでオフし、制御信号がHレベルでオンする。
NMOSトランジスタ103は、このように構成することで、制御信号がLレベルで電流駆動力が小さくなり、制御信号がHレベルで電流駆動力が大きくなるように制御される。
【0025】
スイッチ107は、PMOSトランジスタ731、732を備えている。
PMOSトランジスタ731とPMOSトランジスタ732は、カレントミラーを構成する。PMOSトランジスタ731は、ドレインがNMOSトランジスタ102のドレインとPMOSトランジスタ101のドレインに接続されている。PMOSトランジスタ732は、ソースがカレントミラー106の入力に接続され、ドレインがデプレショントランジスタ105のドレインに接続されている。
【0026】
スイッチ107は、PMOSトランジスタ101がオンすることによって、PMOSトランジスタ731のドレインが第一の電源端子の電圧VDD(Hレベル)になるとカレントミラーとして動作しない、即ちオフする。また、スイッチ107は、PMOSトランジスタ101がオフし、NMOSトランジスタ102が電流を流す状態(Lレベル)になるとカレントミラーとして動作する、即ちオンする。
スイッチ107は、このように構成することで、制御端子の電圧がLレベルのときにオンし、Hレベルのときにオフするように制御される。
【0027】
図3は、本実施形態の入力回路の他の具体的な回路例を示す回路図である。
【0028】
NMOSトランジスタ103は、NMOSトランジスタ321、322と、スイッチ323を備えている。
NMOSトランジスタ321とNMOSトランジスタ322は、互いのゲートが接続され、且つ直列に接続されている。スイッチ323は、トランジスタ322と並列に接続されている。
【0029】
スイッチ323は、バッファ104の出力、即ち制御信号がLレベルでオフし、制御信号がHレベルでオンする。
NMOSトランジスタ103は、このように構成することで、制御信号がLレベルで電流駆動力が小さくなり、制御信号がHレベルで電流駆動力が大きくなるように制御される。
【0030】
図4は、本実施形態の入力回路の他の具体的な回路例を示す回路図である。
基本的な動作は、上述の入力回路と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0031】
図4の入力回路は、本実施形態の入力回路において、更に低消費電流にした回路構成になっている。具体的には、第一の電源端子とNMOSトランジスタ102、NMOSトランジスタ103および電流源105の電流経路にスイッチであるPMOSトランジスタ403を備えている。
【0032】
入力信号がHレベルのとき、PMOSトランジスタ403がオフするため、NMOSトランジスタ102、NMOSトランジスタ103および電流源105の電流経路に電流が流れない。従って、図4の入力回路は、上述の入力回路より消費電流が低くなる、と言う効果を有する。
【0033】
図4では、VDDの許容下限値は、PMOSトランジスタ403とNMOSトランジスタ102およびNMOSトランジスタ103のゲート・ソース間電圧をいかに獲得できるかが、そのオン状態またはオフ状態に影響するため、大きなポイントとなる。ところで図4では、PMOSトランジスタ403とNMOSトランジスタ102およびNMOSトランジスタ103のゲート・ソース間電圧と、直列の関係となる電圧が発生しない。このため、PMOSトランジスタ403とNMOSトランジスタ102およびNMOSトランジスタ103のゲート・ソース間電圧を効果的に与えられるから、たとえVDDが低い電圧であっても図4の入力回路は動作することが出来る。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の入力回路は、閾値が電流源105の電流値とNMOSトランジスタ103の電流駆動力によって決まるため、電源電圧依存性の無いヒステリシス特性を有することが可能である。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0036】
例えば、NMOSトランジスタ103は、2つのNMOSトランジスタで構成したが、2つ以上のNMOSトランジスタで構成してもよい。また例えば、バッファ104は、NMOSトランジスタ103のドレインの電圧波形を整形する論理回路であり、電圧波形の整形が不要であれば備えなくても良い。
【符号の説明】
【0037】
104 バッファ
105 電流源
106 カレントミラー
110 入力端子
111 出力端子
221 インバータ
図1
図2
図3
図4
図5