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特許7361491後調整機能付きルームユニット支持脚、ルームユニット支持脚の設置高さ調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】後調整機能付きルームユニット支持脚、ルームユニット支持脚の設置高さ調整方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20231006BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
E04H1/02
E04H1/12 301
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019087871
(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公開番号】P2020183651
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517382895
【氏名又は名称】J建築研究所株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】蓮尾 孝一
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】黒田 悠生
(72)【発明者】
【氏名】手塚 慎一
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-048654(JP,A)
【文献】実開昭57-038042(JP,U)
【文献】実開昭57-027026(JP,U)
【文献】実開平07-005490(JP,U)
【文献】特開平04-064323(JP,A)
【文献】特開2018-053513(JP,A)
【文献】特開2016-169471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00 - 1/14
E04G 21/14 - 21/22
A47K 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の床スラブの上にルームユニットを設置する際に、前記床スラブに設置され、前記ルームユニットを受け止める後調整機能付きルームユニット支持脚であって、
前記床スラブに接する底板および該底板から立ち上がる第1側壁を有する基体と、該基体の上面を覆い、前記ルームユニットに接する天板および該天板から垂下し前記第1側壁に摺動可能に接する第2側壁を有する蓋体と、を備え、
前記底板、前記第1側壁、前記第2側壁、前記天板によって内部空間が区画され、
前記第1側壁または前記第2側壁には前記内部空間に連通する管状部が形成され、
前記内部空間には、前記管状部を介して硬化性材料が充填可能にされ、
前記天板の中央部分には凹部が形成され、該凹部の周縁には前記内部空間に連通する貫通孔が形成されていることを特徴とする後調整機能付きルームユニット支持脚。
【請求項2】
建築物の床スラブの上にルームユニットを設置する際に、前記床スラブに設置され、前記ルームユニットを受け止める、高さ調整が可能なルームユニット支持脚の設置高さ調整方法であって、
複数のルームユニット支持脚を所定の間隔で前記床スラブに設置する第1設置工程と、
前記複数のルームユニット支持脚を、任意の配分で前調整ルームユニット支持脚と、後調整ルームユニット支持脚に区分けして、前記前調整ルームユニット支持脚の高さを、前記後調整ルームユニット支持脚の高さよりも高くなるように調整する第1前調整工程と、
前記前調整ルームユニット支持脚に支持させるように前記ルームユニットを載置する第1ルームユニット載置工程と、
前記後調整ルームユニット支持脚の高さを前記ルームユニットに接する位置まで高くなるように調整する第1後調整工程と、を備えたことを特徴とするルームユニット支持脚の設置高さ調整方法。
【請求項3】
前記第1前調整工程または前記第1後調整工程のうち少なくともいずれか一方での前記ルームユニット支持脚の高さ調整は、前記ルームユニット支持脚の内部に硬化性材料を注入することによって行うことを特徴とする請求項2記載のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内設備をユニット化したルームユニットを建築物の床スラブ上に設置する際に、ルームユニットの高さ位置を調節するための後調整機能付きルームユニット支持脚、およびルームユニット支持脚の設置高さ調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばマンションやホテルなどの建築物では、システムキッチン,トイレ,バスユニット,洗面化粧台,クローゼットなどの屋内設備を、それぞれ独立した部材として搬入して建築現場で組み立て、建物躯体に据え付けていた。しかし、このような屋内設備の構成部品を現場で組み立てて据え付ける工法では、人件費の増大による建設コストの上昇、工事期間の長期化、品質のバラツキ等、様々な課題が生じている。
【0003】
上述した課題を解決する方法として、予め工場などで屋内設備などを組み込んだルームユニットを製造し、このルームユニットを建築物の床スラブ上に複数設置する工法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。こうしたルームユニットを用いることにより、建築現場では、複数のルームユニットを設置して互いに連結し、必要に応じてルームユニットに電気配線や上下水道の配管を接続するだけで、短期間に屋内設備(内装)を完成させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-312168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したルームユニットを建築物の床スラブ上に複数設置する工法では、建築物の床スラブが必ずしも均一な水平面であるとは限らないため、隣接配置するルームユニットどうしの高さ位置を合致させて、ユニット床面どうしを段差なく接続するための高さ調節に多くの手間が掛かるという課題があった。
【0006】
特に、ルームユニットの設置前に床スラブ上にルームユニットを水平に支持するための支持部材などを複数配置したとしても、ルームユニットの設置後にこれら複数の支持部材のうち、いくつかの支持部材はルームユニットとの間に隙間が生じてしまうこともある。この場合、特定の支持部材にルームユニットの荷重が過剰に加わり、支持部材の破損やルームユニットの歪みなどを生じさせる懸念もある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、ルームユニットを建築物の床スラブ上に複数設置する工法において、ルームユニットの設置高さ位置の調節を容易にして、短時間で効率的にルームユニットの設置を可能にする後調整機能付きルームユニット支持脚、ルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明の後調整機能付きルームユニット支持脚は、建築物の床スラブの上にルームユニットを設置する際に、前記床スラブに設置され、前記ルームユニットを受け止める後調整機能付きルームユニット支持脚であって、前記床スラブに接する底板および該底板から立ち上がる第1側壁を有する基体と、該基体の上面を覆い、前記ルームユニットに接する天板および該天板から垂下し前記第1側壁に摺動可能に接する第2側壁を有する蓋体と、を備え、前記底板、前記第1側壁、前記第2側壁、前記天板によって内部空間が区画され、前記第1側壁または前記第2側壁には前記内部空間に連通する管状部が形成され、前記内部空間には、前記管状部を介して硬化性材料が充填可能にされ、前記天板の中央部分には凹部が形成され、該凹部の周縁には前記内部空間に連通する貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法は、建築物の床スラブの上にルームユニットを設置する際に、前記床スラブに設置され、前記ルームユニットを受け止める、高さ調整が可能なルームユニット支持脚の設置高さ調整方法であって、複数のルームユニット支持脚を所定の間隔で前記床スラブに設置する第1設置工程と、前記複数のルームユニット支持脚を、任意の配分で前調整ルームユニット支持脚と、後調整ルームユニット支持脚に区分けして、前記前調整ルームユニット支持脚の高さを、前記後調整ルームユニット支持脚の高さよりも高くなるように調整する第1前調整工程と、前記前調整ルームユニット支持脚に支持させるように前記ルームユニットを載置する第1ルームユニット載置工程と、前記後調整ルームユニット支持脚の高さを前記ルームユニットに接する位置まで高くなるように調整する第1後調整工程と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明では、前記第1前調整工程または前記第1後調整工程のうち少なくともいずれか一方での前記ルームユニット支持脚の高さ調整は、前記ルームユニット支持脚の内部に硬化性材料を注入することによって行ってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ルームユニットを建築物の床スラブ上に複数設置する工法において、ルームユニットの設置高さ位置の調節を容易にして、短時間で効率的にルームユニットの設置を可能にする後調整機能付きルームユニット支持脚、ルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態の後調整機能付きルームユニット支持脚を示す外観斜視図である。
図2図1に示す後調整機能付きルームユニット支持脚の高さ方向に沿った断面図である。
図3】本発明の第2実施形態の後調整機能付きルームユニット支持脚を示す外観斜視図である。
図4】本発明の第1調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を段階的に示した模式図および側面図である。
図5】本発明の第1調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を段階的に示した模式図および側面図である。
図6】本発明の第1調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を段階的に示した模式図および側面図である。
図7】本発明の第1調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を段階的に示した模式図および側面図である。
図8】本発明の第2調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を段階的に示した模式図および側面図である。
図9】本発明の第2調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を段階的に示した模式図および側面図である。
図10】本発明の第2調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を段階的に示した模式図および側面図である。
図11】本発明の第3調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を段階的に示した模式図および側面図である。
図12】本発明の第3調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を段階的に示した模式図および側面図である。
図13】本発明の第3調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を段階的に示した模式図および側面図である。
図14】本発明の第3調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を段階的に示した模式図および側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の後調整機能付きルームユニット支持脚、およびルームユニット支持脚の設置高さ調整方法について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0017】
(後調整機能付きルームユニット支持脚:第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の後調整機能付きルームユニット支持脚を示す外観斜視図である。また、図2は、図1に示す後調整機能付きルームユニット支持脚の高さ方向に沿った断面図である。
本発明の第1実施形態の後調整機能付きルームユニット支持脚10は、外形形状が多角形筒形、例えば十角筒形を成し、上面11tが例えば開放面を成す第1基体11と、第1基体11の上面(開放面)11tを覆う第1蓋体21とを有する。第1基体11は、使用時において床スラブSに接する第1底板12と、この第1底板12から立ち上がり、所定の領域、本実施形態では十角筒状の空間を区画する十角筒形の第1側壁13とを備えている。なお、この第1底板12と第1側壁13とは、例えば、同一の材料、例えば硬質樹脂で一体に形成されていればよい。
【0018】
第1基体11の第1側壁13には、後調整機能付きルームユニット支持脚10の外部と、第1基体11の第1底板12および第1側壁13と、第1蓋体21の第1天板22および第2側壁23とで区画される内部空間E1とを連通させる管状部15が形成されている。こうした管状部15を介して内部空間E1内に硬化性材料を充填することができる。
なお、こうした管状部15は、本実施形態のように第1側壁13に形成する以外にも、第2側壁23に形成することもできる。この場合、第1側壁13には管状部15を通すための開口、切欠部などを形成しておけばよい。
【0019】
こうした内部空間E1内に充填する硬化性材料としては、例えば、2液混合によって硬化する硬化剤や、熱や紫外線を加えることによって硬化する硬化剤や水和反応によって硬化する硬化剤など、各種の硬化剤が適用可能であり、限定されるものでは無い。
【0020】
また、第1底板12には、管状部15に連なる底面蓋16が第1底板12に対して脱着自在に形成されている。こうした底面蓋16の内部空間E1に臨む面には、第1底板12の中心に向けて延びる溝16aが形成されている。こうした溝16aによって、内部空間E1の端部にある管状部15から注入された硬化性材料を内部空間E1の中心に流れるように誘導し、内部空間E1内に隙間なく硬化性材料を充填させることができる。
【0021】
第1蓋体21は、第1基体11の開放面である上面11tを覆う第1天板22と、この第1天板22から垂下し、第1基体11の第1側壁13の内周面13aに対して摺動可能に接する十角筒形の第2側壁23とを備えている。なお、この第1天板22と第2側壁23とは、例えば、同一の材料、例えば硬質樹脂で一体に形成されていればよい。
【0022】
第1天板22は、例えば十角板状の部材であり、後調整機能付きルームユニット支持脚10の使用時において、第1天板22の上面22aがルームユニットUの下側梁UBに接する。
【0023】
後調整機能付きルームユニット支持脚10の第1天板22の中央部分には凹部25が形成されている。この凹部25は、本実施形態では、第1天板22の頂面の一部(中央部)を十角形状に凹ませた部分である。そして、この凹部25の周縁には内部空間E1に連通する第1貫通孔24が形成されている。本実施形態では、第1貫通孔24は、凹部25の周縁に等間隔に3か所形成されている。
【0024】
こうした凹部25は、後調整において管状部15から内部空間E1に注入した硬化性材料が溢れた際に受け止めるバッファの役割を果たす。また、第1貫通孔24は、管状部15から内部空間E1に硬化性材料を注入する際に空気を外部に放出させ、また、内部空間E1を満たした後の硬化性材料を凹部25に向けて流出させる。
【0025】
(後調整機能付きルームユニット支持脚:第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態の後調整機能付きルームユニット支持脚を示す外観斜視図である。
図3に示す後調整機能付きルームユニット支持脚30は、上述した図1図2に示す後調整機能付きルームユニット支持脚10の変形例であり、以下に説明する箇所以外は図1図2の実施形態と同様であり、詳細な説明は省略するとともに、同一の番号を付す。
【0026】
この第2実施形態の後調整機能付きルームユニット支持脚30における第1基体11の第1側壁13には、後調整機能付きルームユニット支持脚30の外部と、第1基体11の第1底板12および第1側壁13と、第1蓋体21の第1天板22および第2側壁23とで区画される内部空間E2とを連通させる管状部35が形成されている。こうした管状部35を介して内部空間E2内に硬化性材料を充填することができる。
【0027】
管状部35の内部空間E2側の端部は、第1側壁13の近傍、即ち内部空間E2の周縁領域にある。そして、この第2実施形態の後調整機能付きルームユニット支持脚30では、図1図2に示す後調整機能付きルームユニット支持脚10のような、管状部から注入された硬化性材料を内部空間E1の中心に向けて流す溝を備えた底面蓋を形成していない。
【0028】
このような第2実施形態の後調整機能付きルームユニット支持脚30であっても、内部空間E2に充填される硬化性材料の流動性が充分であれば、管状部35を介して内部空間E2内に隙間なく硬化性材料を充填することができる。また、底面蓋を形成しないことで、第1実施形態の後調整機能付きルームユニット支持脚10と比べて、第1基体11の一体成型が可能になり、より低コストで後調整機能付きルームユニット支持脚30を製造することができるというメリットがある。
【0029】
(ルームユニット支持脚の設置高さ調整方法:第1調整方法)
次に、上述した第1実施形態の後調整機能付きルームユニット支持脚(以下、単にルームユニット支持脚と称する)10を用いた、本発明の第1調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法について説明する。
図4図7は、本発明の第1調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を段階的に示した模式図および側面図である。このうち、各図の(a)は、上から見た時の後調整機能付きルームユニット支持脚の配置例を示しており、各図の(b)は、(a)の配置例において外方から一側面を見た時の後調整機能付きルームユニット支持脚の状態を図示している。
【0030】
以下の調整方法では、上面視したときに矩形を成すルームユニットUを、例えば、床スラブS上に任意の間隔で配置した9個のルームユニット支持脚10A~10Iによって支持する場合を例示する。
まず、図4に示すように、床スラブS上でルームユニットUの下側梁UBと接する位置に、ルームユニット支持脚10A~10Iを例えば互いに等間隔に設置する(第1設置工程)。この図4の状態では、ルームユニット支持脚10A~10Iの内部空間E1(図2を参照)には硬化性材料などは注入されておらず、高さが未調整の状態である。
【0031】
次に、図5に示すように、ルームユニット支持脚10A~10Iを、任意の配分で前調整ルームユニット支持脚と、後調整ルームユニット支持脚に区分けする。本調整方法では、例えば、ルームユニットUの四隅に当たるルームユニット支持脚10A,10C,10G,10Iを前調整ルームユニット支持脚に設定し、それ以外のルームユニット支持脚10B,10D~10F,10Hを後調整ルームユニット支持脚に設定する。
【0032】
そして、前調整ルームユニット支持脚に設定したルームユニット支持脚10A,10C,10G,10Iの第1蓋体21(図1を参照)の上部に、例えば、第1天板22が所定の高さになるような木材などの基準材を設置してから、管状部15を介して内部空間E1(図2を参照)内に硬化性材料Mを充填する。
【0033】
この時、床スラブSから第1蓋体21の第1天板22(図1を参照)までの高さが、予め設定した所定の高さになるまで、内部空間E1内に硬化性材料Mを充填する。そして、例えば、ルームユニット支持脚10A,10C,10G,10Iのそれぞれの第1天板22が、互いに同一の水平面に位置する(互いに同一の高さになる)ように高さ位置を調節する(第1前調整工程)。
【0034】
この後、ルームユニット支持脚10A,10C,10G,10Iに充填された硬化性材料Mが硬化するまで静置する。
【0035】
次に、図6に示すように、前調整ルームユニット支持脚に設定したルームユニット支持脚10A,10C,10G,10Iによって下側梁UBの四隅が支持されるように、ルームユニットUを設置する(第1ルームユニット載置工程)。
【0036】
次に、図7に示すように、後調整ルームユニット支持脚に設定したルームユニット支持脚10B,10D~10F,10Hの高さを、ルームユニットUの下側梁UBと接する位置まで高くなるように調整する(第1後調整工程)。例えば、ルームユニット支持脚10B,10D~10F,10Hのそれぞれの第1蓋体21の第1天板22(図1を参照)が、ルームユニットUの下側梁UBと接する位置まで、管状部15を介して内部空間E1(図2を参照)内に硬化性材料Mを充填する。
【0037】
こうした後調整ルームユニット支持脚に設定したルームユニット支持脚10B,10D~10F,10Hへの硬化性材料Mの充填方法として、第1ルームユニット載置工程よりも前に、それぞれのルームユニット支持脚10の管状部15にパイプPを接続し、このパイプPをルームユニットUの設置後ルームユニットの外側から硬化性材料Mの充填作業ができる位置まで延出させておく。
【0038】
そして、このパイプPを介して、後調整ルームユニット支持脚に設定したルームユニット支持脚10B,10D~10F,10Hに向けて硬化性材料Mを一斉に充填するといった方法を用いることができる。
【0039】
これによって、一括して短時間で複数のルームユニット支持脚10B,10D~10F,10Hを所定の高さ、即ちルームユニットUの下側梁UBと接する位置まで高くすることができる。なお、硬化性材料Mの注入には手動式の注入器、流体ポンプなどを用いることができる。また、硬化性材料Mの充填後は、弁などによってパイプPを封止しておけばよい。
【0040】
この後、後調整ルームユニット支持脚に設定したルームユニット支持脚10B,10D~10F,10Hに充填した硬化性材料Mが硬化するまで静置する。
こうした各工程を経て、全てのルームユニット支持脚10A~10IによってルームユニットUが均等に支持され、ルームユニットUが床スラブS上に所定の高さで水平に設置される。
【0041】
以上のように、本発明の第1調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法によれば、ルームユニットを支持するための複数のルームユニット支持脚のうち、これより少ない任意の数のルームユニット支持脚の高さだけを予め正確に調整するだけで、残りのルームユニット支持脚は正確な高さ調整をしなくても、ルームユニットを確実に支持可能な高さまで容易に調整することが出来る。
【0042】
これにより、複数のルームユニット支持脚の全てに対して正確な高さ調整を行わなくてもルームユニットを水平に設置することができ、ルームユニット支持脚の設置高さ調整を省力化して低コストにルームユニット支持脚を設置することが可能になる。
【0043】
(ルームユニット支持脚の設置高さ調整方法:第2調整方法)
次に、上述した第1実施形態のルームユニット支持脚10を用いた、本発明の第2調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法について説明する。
図8図10は、本発明の第2調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を段階的に示した模式図および側面図である。このうち、各図の(a)は、上から見た時の後調整機能付きルームユニット支持脚の配置例を示しており、各図の(b)は、(a)の配置例において外方から一側面を見た時の後調整機能付きルームユニット支持脚の状態を図示している。
【0044】
以下の調整方法では、上面視したときに矩形を成すルームユニットUを、例えば、床スラブS上に任意の間隔で配置した9個のルームユニット支持脚10A~10Iによって支持する場合を例示する。
まず、図8に示すように、床スラブS上でルームユニットUの下側梁UBと接する位置に、ルームユニット支持脚10A~10Iを例えば互いに等間隔に設置する(第2設置工程)。この図8の状態では、ルームユニット支持脚10A~10Iの内部空間E1(図2を参照)には硬化性材料などは注入されておらず、高さが未調整の状態である。
【0045】
次に、図9に示すように、ルームユニット支持脚10A~10I上にルームユニットUを設置する(第2ルームユニット載置工程)。この時、例えば、床スラブSの表面が水平でなく、部分的な凹凸や傾斜が存在する場合、床スラブSの凹んだ領域に設置された、ルームユニット支持脚10の第1天板22(図1を参照)は、ルームユニットUと接触せずに隙間が生じた状態になる。矩形のルームユニットUの場合、少なくとも3つのルームユニット支持脚10と接する。
【0046】
以下、本調整方法では、床スラブSの凹凸のために、例えば、ルームユニット支持脚10A~10Iのうち、ルームユニット支持脚10A,10C,10Hの3つがルームユニットUに接し、残りのルームユニット支持脚10B,10D~10G,10IはルームユニットUとの間で隙間が生じた状態になっていると想定する。
【0047】
次に、図10に示すように、全てのルームユニット支持脚10A~10Iに対して、管状部15を介して内部空間E1(図2を参照)内に硬化性材料Mを充填する(第2後調整工程と)。この時、ルームユニットUに対して隙間が生じているルームユニット支持脚10B,10D~10G,10Iは、内部空間E1への硬化性材料Mの充填によって第1蓋体21(図2を参照)が上昇する。硬化性材料Mの充填は、ルームユニット支持脚10B,10D~10G,10Iの全ての第1天板22(図1を参照)がルームユニットUの下側梁UBと接するまで行う。
【0048】
こうしたルームユニット支持脚10A~10Iへの硬化性材料Mの充填方法として、第2ルームユニット載置工程よりも前に、それぞれのルームユニット支持脚10の管状部15にパイプPを接続し、このパイプPをルームユニットUの設置後ルームユニットの外側から硬化性材料Mの充填作業ができる位置まで延出させておく。
【0049】
そして、このパイプPを介して、ルームユニット支持脚10A~10Iに向けて硬化性材料Mを一斉に充填するといった方法を用いることができる。
【0050】
これによって、一括して短時間で複数のルームユニット支持脚10A~10Iに硬化性材料Mが充填され、かつルームユニットUに対して隙間が生じているルームユニット支持脚10B,10D~10G,10Iの高さをルームユニットUに接する位置まで高くすることができる。なお、硬化性材料Mの注入には手動式の注入器、流体ポンプなどを用いることができる。また、硬化性材料Mの充填後は、弁などによってパイプPを封止しておけばよい。
【0051】
この後、全てのルームユニット支持脚10A~10Iに充填した硬化性材料Mが硬化するまで静置する。硬化性材料Mの硬化によって、全てのルームユニット支持脚10A~10Iの高さ位置が固定化される。
【0052】
(ルームユニット支持脚の設置高さ調整方法:第3調整方法)
次に、上述した第1実施形態のルームユニット支持脚10を用いた、本発明の第3調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法について説明する。
図11図14は、本発明の第3調整方法のルームユニット支持脚の設置高さ調整方法を段階的に示した模式図および側面図である。このうち、各図の(a)は、上から見た時の後調整機能付きルームユニット支持脚の配置例を示しており、各図の(b)は、(a)の配置例において外方から一側面を見た時の後調整機能付きルームユニット支持脚の状態を図示している。
【0053】
以下の調整方法では、上面視したときに矩形を成すルームユニットUを、例えば、床スラブS上に任意の間隔で配置した9個のルームユニット支持脚10A~10Iによって支持する場合を例示する。
まず、図11に示すように、床スラブS上でルームユニットUの下側梁UBと接する位置に、ルームユニット支持脚10A~10Iを例えば互いに等間隔に設置する(第2設置工程)。この図11の状態では、ルームユニット支持脚10A~10Iの内部空間E1(図2を参照)には硬化性材料などは注入されておらず、高さが未調整の状態である。
【0054】
次に、図12に示すように、ルームユニット支持脚10A~10Iの上面(第1天板22(図1を参照))に、レベル調整プレート(レベル調整具)Cを載置する(第2前調整工程)。この第2前調整工程では、例えば、1枚のレベル調整プレートCをルームユニット支持脚10A~10Iに載置する。なお、ルームユニット支持脚10A~10Iの高さ位置によっては、レベル調整プレートCを載置しないルームユニット支持脚10A~10Iがあってもよい。
【0055】
さらに、ルームユニット支持脚10A~10Iのそれぞれにレベル調整プレートCを加えた高さが、ルームユニットUの設置高さになるように、レベル調整プレートCを適宜重ねていく。例えば、床スラブSの凹凸のために、床スラブSの凹んだ領域に設置されたルームユニット支持脚10Bは、より多くの枚数(本調整方法では4枚)のレベル調整プレートCが積み重ねられる。
【0056】
こうした第2前調整工程で用いるレベル調整プレートCは、ルームユニットUの荷重に耐えられる強度の板状部材、例えば、樹脂板、金属板、セラミックス板などを用いることができる。レベル調整プレートCの形状は、矩形や、ルームユニット支持脚10に合わせた円形など、各種形状のものを用いることができる。
また、レベル調整プレートCの厚みは、薄くするほど高さ位置の微調整が可能であり、本調整方法では、例えば、5mm厚の金属板を用いている。なお、レベル調整プレートCは、複数の厚みのものを用意して、少ない枚数で高さの微調整が可能な構成にしてもよい。
【0057】
次に、図13に示すように、レベル調整プレートCによって高さ位置を調整したルームユニット支持脚10A~10I上(レベル調整プレートC上)にルームユニットUを設置する(第2ルームユニット載置工程)。
【0058】
この時、第2前調整工程においてルームユニット支持脚10A~10Iの高さ位置は概ね調整されているものの、レベル調整プレートCとルームユニットUの下側梁UBとの間に僅かに隙間が生じているルームユニット支持脚10が存在する場合がある。例えば、本調整方法では、ルームユニット支持脚10Bにこうした隙間が生じているものと想定する。
【0059】
次に、図14に示すように、全てのルームユニット支持脚10A~10Iに対して、管状部15を介して内部空間E1(図2を参照)内に硬化性材料Mを充填する(第2後調整工程)。この時、レベル調整プレートCとルームユニットUに対して隙間が生じているルームユニット支持脚10Bは、内部空間E1への硬化性材料Mの充填によって第1蓋体21(図2を参照)が上昇し、レベル調整プレートCがルームユニットUに接する。
【0060】
こうしたルームユニット支持脚10A~10Iへの硬化性材料Mの充填方法として、第2ルームユニット載置工程よりも前に、それぞれのルームユニット支持脚10の管状部15にパイプPを接続し、このパイプPをルームユニットUの設置後ルームユニットの外側から硬化性材料Mの充填作業ができる位置まで延出させておく。
【0061】
そして、このパイプPを介して、ルームユニット支持脚10A~10Iに向けて硬化性材料Mを一斉に充填するといった方法を用いることができる。
【0062】
これによって、一括して短時間で複数のルームユニット支持脚10A~10Iに硬化性材料Mが充填され、かつレベル調整プレートCとルームユニットUとの間に隙間が生じているルームユニット支持脚10Bの高さをルームユニットUに接する位置まで高くすることができる。なお、硬化性材料Mの注入には手動式の注入器、流体ポンプなどを用いることができる。また、硬化性材料Mの充填後は、弁などによってパイプPを封止しておけばよい。
【0063】
この後、全てのルームユニット支持脚10A~10Iに充填した硬化性材料Mが硬化するまで静置する。硬化性材料Mの硬化によって、全てのルームユニット支持脚10A~10Iの高さ位置が固定化される。
【0064】
以上、本発明のいくつかの調整方法を説明したが、これらの調整方法は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら調整方法は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら調整方法やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0065】
例えば、上述した各調整方法では、ルームユニット支持脚の内部空間内に硬化性材料を充填することによって、ルームユニット支持脚の高さ位置の調整と、調整後の高さ位置の固定化を図っているが、これ以外にも、例えば、周面にネジ山を形成した2つの円筒部材を組み合わせてルームユニット支持脚を構成し、ルームユニットの載置後に、例えば、円筒部材に結びつけられた紐やワイヤーをルームユニットの外側から引くことで、ルームユニットとの間に隙間が生じてしまっているルームユニット支持脚の高さ位置を調整(後調整工程)することもできる。
【0066】
また、例えば、逆止歯を形成した楔状部材を噛合させてルームユニット支持脚を構成し、ルームユニットの載置後に、例えば、楔状部材に結びつけられた紐やワイヤーをルームユニットの外側から引くことで、ルームユニットとの間に隙間が生じてしまっているルームユニット支持脚の高さ位置を調整(後調整工程)することもできる。
【0067】
また、例えば、液密構造の2つの円筒部材を組み合わせてルームユニット支持脚を構成し、ルームユニットの載置後に、例えば、円筒部材の内部空間に油を注入して、ルームユニットとの間に隙間が生じてしまっているルームユニット支持脚の高さ位置を油圧によって調整(後調整工程)することもできる。
【符号の説明】
【0068】
10…後調整機能付きルームユニット支持脚
11…第1基体
12…第1底板
13…第1側壁
15…管状部
21…第1蓋体
22…第1天板
23…第2側壁
24…第1貫通孔
E1…内部空間
図1
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