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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20231006BHJP
【FI】
F24F7/06 101A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019133697
(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公開番号】P2021018022
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山東 伸二
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第203810493(CN,U)
【文献】特開2016-040492(JP,A)
【文献】特開2011-058763(JP,A)
【文献】中国実用新案第208804846(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24C 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気用ファンと、
前記排気用ファンの下に開口を有する化粧板と、
前記開口に配置された油溜まり部を有するオイル受け部材と、を備え、
前記化粧板および前記オイル受け部材のいずれか一方の部材は磁石を有し、前記化粧板および前記オイル受け部材のいずれか他方の部材は前記磁石に吸着される材質よりなり、 前記他方の部材が前記磁石に磁力で吸着されることにより、前記オイル受け部材が前記化粧板に取り付けられ、
前記オイル受け部材は、前記油溜まり部の外周へ延び、かつ前記化粧板の下方に位置して前記化粧板と対向するフランジ部を有し、
前記化粧板は、前記フランジ部と対向する領域に前記フランジ部を受け入れる窪み部と、前記窪み部の周囲に位置する周囲部とを有し、
前記窪み部と前記周囲部との間に段差部を有し、
前記段差部は、前記周囲部から前記窪み部に向かう上り勾配の傾斜を有している、レンジフード。
【請求項2】
前記オイル受け部材は、前記磁石に前記他方の部材が吸着された状態で、前記窪み部により窪んだ空間内に前記フランジ部の全体が位置する収納位置と、前記フランジ部が前記窪み部により窪んだ前記空間内からはみ出したはみ出し位置との間で移動可能であり、
前記はみ出し位置において、前記オイル受け部材の前記フランジ部は、前記窪み部と前記周囲部との間の前記段差部の真下に位置するように構成されている、請求項に記載のレンジフード。
【請求項3】
前記窪み部と前記周囲部とは前記段差部を介在して一体化されている、請求項1または2に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記化粧板が前記磁石を有し、
前記オイル受け部材は、前記フランジ部に切欠き部を有し、
前記はみ出し位置において、前記磁石の真下に前記切欠き部が位置するように構成されている、請求項に記載のレンジフード。
【請求項5】
前記オイル受け部材は、前記フランジ部に取り付けられ、かつ前記切欠き部の真下に位置する把手部を有する、請求項に記載のレンジフード。
【請求項6】
前記油溜まり部は、前記開口の内周に沿う環形状を有し、
前記フランジ部は、前記油溜まり部の外周全周に位置している、請求項から請求項のいずれか1項に記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
オイルトレーを有するレンジフードがたとえば特開2016-176652号公報(特許文献1)に開示されている。オイルトレーは、排気に含まれる油分を捕集して回収する。
【0003】
この特許文献1においてオイルトレーは、外周壁に係合凹部を有し、その係合凹部に化粧板の係合金具が係合することにより化粧板に係合支持される。具体的にはオイルトレーが化粧板の開口部に下方から挿入される。これにより、係合金具の係合突起が係合凹部の縦溝に導入される。この後、オイルトレーが化粧板に対して水平回動される。これにより、係合金具の係合突起が係合凹部の横溝に導かれる。これによりオイルトレーが化粧板に落下不能に係合支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-176652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1においてオイルトレー(オイル受け部材)を化粧板に係合支持する際には、オイルトレーを化粧板の下方から挿入し、かつ水平回動させる必要がある。このためオイルトレーを化粧板に係合支持する際の作業工程が多い。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、化粧板へのオイル受け部材の着脱が容易なレンジフードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のレンジフードは、排気用ファンと、化粧板と、オイル受け部材とを備えている。化粧板は、排気用ファンの下に開口を有している。オイル受け部材は、開口に配置された油溜まり部を有している。化粧板およびオイル受け部材のいずれか一方の部材は磁石を有し、化粧板およびオイル受け部材のいずれか他方の部材は磁石に吸着される材質よりなっている。他方の部材が磁石に磁力で吸着されることにより、オイル受け部材が化粧板に取り付けられる。
【0008】
本発明のレンジフードによれば、磁石の吸引力によりオイル受け部材が化粧板に取り付けられる。このため化粧板へのオイル受け部材の着脱が容易となる。
【0009】
上記レンジフードにおいて、オイル受け部材は、油溜まり部の外周へ延び、かつ化粧板の下方に位置して化粧板と対向するフランジ部を有している。化粧板は、フランジ部と対向する領域にフランジ部を受け入れる窪み部と、窪み部の周囲に位置する周囲部とを有している。窪み部は周囲部に対して上方に窪んでいる。
【0010】
これにより化粧板の窪み部にオイル受け部材のフランジ部を位置合わせすることができ、化粧板に対するオイル受け部材の位置合わせが容易となる。
【0011】
上記レンジフードにおいて、オイル受け部材は、磁石に他方の部材が吸着された状態で、窪み部により窪んだ空間内にフランジ部の全体が位置する収納位置と、フランジ部が窪み部により窪んだ空間内からはみ出したはみ出し位置との間で移動可能である。はみ出し位置において、オイル受け部材のフランジ部は、窪み部と周囲部との間の段差部の真下に位置するように構成されている。
【0012】
このようにオイル受け部材がはみ出し位置にある状態でフランジ部が段差の真下に位置することにより、少なくとも段差の分だけフランジ部が磁石から離れることになる。このため、はみ出し位置ではフランジ部が磁石から受ける磁力が弱くなる。よって収納位置からはみ出し位置へオイル受け部材を移動させることで、小さな外力でオイル受け部材を化粧板から取り外すことが可能となる。
【0013】
上記レンジフードにおいて、窪み部と周囲部とは段差部を介在して一体化されている。
これにより窪み部と周囲部と段差部とを1枚の板を折り曲げ加工することにより形成することが可能となる。
【0014】
上記レンジフードにおいて、化粧板は磁石を有している。オイル受け部材は、フランジ部に切欠き部を有している。はみ出し位置において、磁石の真下に切欠き部が位置するように構成されている。
【0015】
このようにはみ出し位置において磁石の真下にフランジ部の切欠き部が位置することにより、フランジ部が磁石から受ける磁力をさらに小さくすることができる。このため、収納位置からはみ出し位置へオイル受け部材を移動させることで、より小さな外力でオイル受け部材を化粧板から取り外すことが可能となる。
【0016】
上記レンジフードにおいて、オイル受け部材は、フランジ部に取り付けられ、かつ切欠き部の真下に位置する把手部を有している。
【0017】
このように把手部が設けられていることにより、作業者は把手部を持ってオイル受け部材の化粧板への着脱作業を行なうことができ、作業性が良好となる。また把手部は切欠き部の真下に位置し、磁石から切欠き部を介在して位置している。これにより把手部が磁石から受ける磁力は小さいため、収納位置からはみ出し位置へオイル受け部材を移動させることで、小さな外力でオイル受け部材を化粧板から取り外すことが可能となる。
【0018】
上記レンジフードにおいて、油溜まり部は、開口の内周に沿う環形状を有している。フランジ部は、油溜まり部の外周全周に位置している。
【0019】
これにより開口の内周に沿って油溜まり部を回転させることができる。その回転によりオイル受け部材を収納位置からはみ出し位置へ移動させることができ、回転によりオイル受け部材を化粧板から容易に取り外すことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、化粧板へのオイル受け部材の着脱が容易なレンジフードを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施の形態におけるレンジフードを下斜め方向から見た斜視図である。
図2図1に示すレンジフードの構成を示す分解斜視図である。
図3図1に示すレンジフードの構成を示す断面図である。
図4図1に示すレンジフードの化粧板、オイル受け部材および磁石を上斜め方向から見た分解斜視図である。
図5図1に示すレンジフードの化粧板、オイル受け部材および磁石の構成を示す断面斜視図である。
図6図1に示すオイル受け部材が収納位置(A)とはみ出し位置(B)とにある状態を下方から見た下面図である。
図7図6(A)のVIIA-VIIA線に沿う断面図(A)、および図6(B)のVIIB-VIIB線に沿う断面図(B)である。
図8】オイル受け部材の変形例の構成を示す上面図である。
図9図8に示すオイル受け部材を上斜め方向から見た斜視図である。
図10】磁石の設置位置が変更されたオイル受け部材の他の変形例の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また各実施の形態と各変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0023】
<レンジフードの構成>
まず本発明の一実施の形態に係るレンジフードの構成について図1図3を用いて説明する。
【0024】
図1に示されるように、本実施の形態におけるレンジフード10は、台所などに設置され、たとえばコンロなどの加熱調理器具の上方に配置される。レンジフード10は排気用ファン6を有している。レンジフード10は、排気用ファン6を回転させることにより、加熱調理器における調理中に発生する煙、湯気などの排気を吸い込み、屋外へ排出する。
【0025】
図2に示されるように、レンジフード10は、複数の磁石1と、化粧板2と、オイル受け部材3と、内側フード4と、整流板5と、外側フード7と、取付アダプタ8と、モータ9(図3)と、ファンケース11と、本体ケース12とをさらに有している。
【0026】
図3に示されるように、本体ケース12は、箱形の形状を有している。本体ケース12の内部には、ファンケース11が配置されている。ファンケース11の内部には、排気用ファン6と、取付アダプタ8と、モータ9とが配置されている。
【0027】
ファンケース11は、下面に吸込口11aを有している。この吸込口11aの真上に排気用ファン6が配置されている。排気用ファン6は、たとえばシロッコファンである。この排気用ファン6は、上部支持板6aと、下部支持板6bと、複数のファンブレード6cとを有している。
【0028】
複数のファンブレード6cは、周方向に一定のピッチで配置されている。上部支持板6aは、複数のファンブレード6cの各々の上端を支持している。下部支持板6bは、複数のファンブレード6cの各々の下端を支持している。上部支持板6aおよび下部支持板6bの各々は、円環形状を有している。
【0029】
モータ9は、たとえばAC(Alternating Current)モータである。モータ9は、排気用ファン6を回転させる回転駆動力を発生する。モータ9は、本体部9aと、回転軸9bとを有している。本体部9aは回転駆動力を発生する。回転軸9bは、本体部9aの回転駆動力により回転する。
【0030】
取付アダプタ8は、排気用ファン6をモータ9に着脱自在に取り付けるための部材である。取付アダプタ8は、回転軸9bに着脱自在に取り付け可能である。排気用ファン6の上部支持板6aに回転軸9bが挿通された状態で、回転軸9bに取付アダプタ8が取り付けられることにより、排気用ファン6はモータ9に取り付けられる。
【0031】
図2に示されるように、本体ケース12の下端には外側フード7が取り付けられている。外側フード7は、上板7aと、枠体部7bとを有している。上板7aは本体ケース12の下端に取り付けられている。上板7aは、本体ケース12の外周側へ張り出している。上板7aは、開口7aaを有している。開口7aaは、ファンケース11の一部および排気用ファン6の各々の真下に位置している。
【0032】
枠体部7bは、上板7aの外周端縁の全周から下方に延びている。枠体部7bは、たとえば四角形の枠形状を有している。枠体部7bに囲まれた内周領域には、化粧板2と、オイル受け部材3と、内側フード4と、整流板5とが配置されている。
【0033】
化粧板2は、外側フード7における上板7aの下面にたとえばボルトなどにより取り付けられている。化粧板2は、開口2fを有している。開口2fは、排気用ファン6の下(たとえば真下)に位置している。開口2fは、下面視においてたとえば円形状を有している。開口2fは、下面視において真円形状を有していてもよいが、真円形状以外の形状であってもよい。
【0034】
本明細書において下面視とは、化粧板2における周囲部2aの下面に対して直交する方向であって周囲部2aの下側から見た視点を意味する。
【0035】
化粧板2は、周囲部2aと、窪み部2bと、段差部2c、2eと、取付部2dとを有している。周囲部2aは、開口2fを有している。窪み部2bは、開口2fの外周に配置されている。窪み部2bの周囲に周囲部2aが配置されている。
【0036】
窪み部2bは、周囲部2aに対して上方に窪んでいる。窪み部2bと周囲部2aとの間には段差部2cが配置されている。段差部2cは、周囲部2aから窪み部2bに向かうにしたがって上り勾配の傾斜を有している。
【0037】
窪み部2bは、開口2fの円周の一部に位置している。開口2fの円周の他の部分(窪み部2bが位置していない部分)には周囲部2aおよび段差部2cが位置している。つまり開口2fの一部は窪み部2bにより構成されており、開口2fの他の部分は周囲部2aおよび段差部2cにより構成されている。
【0038】
化粧板2は、複数(たとえば2つ)の窪み部2bを有している。2つの窪み部2bは、開口2fを挟んで互いに対向している。2つの窪み部2bは、下面視において開口2fの中心を通る仮想の直線に対して互いに線対称の形状を有している。また2つの窪み部2bは、下面視において開口2fの中心に対して互いに点対称の形状を有している。
【0039】
取付部2dは、周囲部2aの周囲を取り囲んでいる。取付部2dは、外側フード7の下面にたとえばボルトなどにより取り付けられる部分である。取付部2dは、周囲部2aに対して上方に位置している。取付部2dと周囲部2aとの間には段差部2eが配置されている。段差部2eは、周囲部2aから取付部2dに向かうにしたがって上り勾配の傾斜を有している。
【0040】
窪み部2bと周囲部2aとは段差部2cを介在して一体化されている。つまり1枚の板を折り曲げることにより、窪み部2bと周囲部2aと段差部2cとが構成されている。また取付部2dと周囲部2aとは段差部2eを介在して一体化されている。つまり1枚の板を折り曲げることにより、取付部2dと周囲部2aと段差部2eとが構成されている。
【0041】
オイル受け部材3は、排気用ファン6によって排出される排気中の油分を捕集するためのものである。オイル受け部材3は、油溜まり部3aと、フランジ部3bと、把手部3cとを有している。
【0042】
油溜まり部3aは、排気から分離されて流下する油分を貯留する部分である。油溜まり部3aは、貫通孔3eを有している。油溜まり部3aは、下面視においてたとえば環形状を有し、貫通孔3eを取り囲む形状を有している。油溜まり部3aは、下面視において円環形状を有していてもよいが、円環形状以外の形状であってもよい。
【0043】
図3に示されるように、油溜まり部3aは、底壁部3aaと、内周壁部3abと、外周壁部3acとを有している。底壁部3aa、内周壁部3abおよび外周壁部3acの各々は、下面視において環形状を有し、たとえば円環形状を有している。内周壁部3abおよび外周壁部3acの各々は筒形状(たとえば円筒形状)を有している。
【0044】
内周壁部3abは、底壁部3aaの内周端の全周から上方に立ち上がっている。外周壁部3acは、内周壁部3abの外周側に位置し、かつ底壁部3aaの外周端の全周から上方に立ち上がっている。
【0045】
内周壁部3abの上端と外周壁部3acの上端との間は互いに離れており、開口が構成されている。排気から分離されて流下する油分は、内周壁部3abの上端と外周壁部3acの上端との間の開口から底壁部3aa上に貯留される。
【0046】
油溜まり部3aは、化粧板2の開口2f内に配置されている。油溜まり部3aは、化粧板2の開口2f内に配置された状態で、油溜まり部3aの環形状の中心を回転中心として回転可能な形状を有している。油溜まり部3aは、化粧板2の開口2fの内周に沿う環形状を有している。油溜まり部3aの外周壁部3acは、下面視においてたとえば円形状を有し、たとえば真円形状を有している。
【0047】
図2に示されるように、フランジ部3bは、油溜まり部3aの外周に取り付けられている。フランジ部3bは、油溜まり部3aの外周端から外周側へ延びている。フランジ部3bは、化粧板2の下方に位置して化粧板2の下面と対向している。
【0048】
オイル受け部材3は、複数(たとえば2つ)のフランジ部3bを有している。2つのフランジ部3bは、油溜まり部3aを挟んで互いに対向している。2つのフランジ部3bは、油溜まり部3aの円周方向に互いに離れて配置されている。2つのフランジ部3bは、下面視において油溜まり部3aの中心を通る仮想の直線に対して互いに線対称の形状を有している。また2つのフランジ部3bは、下面視において油溜まり部3aの中心に対して互いに点対称の形状を有している。
【0049】
把手部3cは、フランジ部3bに接続されている。把手部3cは、たとえばフランジ部3bの外周端を下方に切り起こすことにより構成されている。把手部3cの下端部は、フランジ部3bよりも下方に位置している。
【0050】
なお把手部3cは、フランジ部3bを切り起こした構成に限定されない。把手部3cは、フランジ部3bと別体で準備された部材をフランジ部3bに取り付けることにより構成されてもよい。
【0051】
把手部3cがフランジ部3bを切り起こすことにより形成されているため、把手部3cが切り起こされたフランジ部3bの部分には切欠き部3dが設けられている。把手部3cは、切欠き部3dの真下に位置している。
【0052】
内側フード4は、外側フード7の上板7aにたとえば爪部、ボルトなどにより取り付けられている。内側フード4は、上板7aの下方に位置している。内側フード4は、貫通孔4dを有している。貫通孔4dには、化粧板2が嵌められている。
【0053】
具体的には化粧板2の周囲部2aが貫通孔4d内に位置している。この状態で化粧板2の取付部2dは、貫通孔4dの外側に延在し、かつ内側フード4の上側に位置している。
【0054】
整流板5は、排気用ファン6により吸い込まれる気流を整流するためのものである。整流板5は、内側フード4と隙間を空けるように内側フード4に取り付けられている。
【0055】
図1に示されるように、整流板5は、排気用ファン6の真下に配置されている。また整流板5は、オイル受け部材3および化粧板2の真下に位置している。
【0056】
図3に示されるように、整流板5と内側フード4との間に排気流路が構成されている。この排気流路は、オイル受け部材3の内周領域および排気用ファン6の内周領域に介在して排気用ファン6の外周領域に通じている。矢印AR2で示すように、排気用ファン6の回転に伴って発生した負圧により、整流板5と内側フード4との間に導かれた排気は、オイル受け部材3の貫通孔3eと排気用ファン6の内周領域とを通じて排気用ファン6の外周領域に抜けて排気される。
【0057】
この排気経路において、排気に含まれる油分が排気から分離されて流下して、オイル受け部材3の油溜まり部3aに貯留される。
【0058】
ここで、ファンケース11の底面11bは、吸込口11aに向けて下り勾配の傾斜を有している。これによりファンケース11の壁面に付着した油分はファンケース11の底面11bの傾斜に沿って油溜まり部3aに流下しやすくなっている。
【0059】
なおファンケース11などの排気が触れる各部材の表面には、オイルガード塗装が施されて撥油性が付与されている。これによりファンケース11に付着した油の流動が円滑に行われると共に、付着した油の拭取りを容易に行うことができるようになっている。また、オイル受け部材3には親水性塗装が施されている。これによりオイル受け部材3を水に浸すことで、オイル受け部材3に付着している油が浮き上がって除去されやすくなっている。
【0060】
本実施の形態においては、化粧板2およびオイル受け部材3のいずれか一方の部材は磁石1を有している。また化粧板2およびオイル受け部材3のいずれか他方の部材は磁石1に吸着される材質よりなっている。
【0061】
図4に示されるように、複数(たとえば4つ)の磁石1の各々は、たとえば化粧板2の窪み部2bに取り付けられている。具体的には、複数の磁石1の各々は、窪み部2bの上面であって、窪み部2bの磁石配置部2baに取り付けられている。磁石配置部2baの周囲は、たとえば板材の折り曲げ部により取り囲まれている。これにより磁石配置部2baが目視で確認しやすくなり、磁石1の磁石配置部2baへの位置合わせが容易となる。
【0062】
オイル受け部材3の少なくともフランジ部3bは、磁石1に吸着される材質よりなっている。フランジ部3bは、たとえば強磁性体(鉄、コバルト、ニッケルなど)よりなっている。フランジ部3bが磁石1に磁力で吸着されることによりオイル受け部材3が化粧板2に固定される。なおオイル受け部材3の全体が、磁石1に吸着される材質よりなっていてもよい。
【0063】
図5に示されるように、オイル受け部材3が化粧板2に取り付けられた状態において、オイル受け部材3におけるフランジ部3bの全体は、化粧板2の窪み部2bに対向している。フランジ部3bの全体は、窪み部2b内に受け入れられている。つまりフランジ部3bの全体は、窪み部2bによって周囲部2aに対して上方に窪んだ空間内に配置されている。この状態で、フランジ部3bの上面の全体は窪み部2bの下面に接している。この状態で、磁石1とフランジ部3bの上下方向の間隔は、窪み部2bの厚さに略等しい。
【0064】
<オイル受け部材の化粧板への着脱方法>
次に、本実施の形態における化粧板2に対するオイル受け部材3の着脱方法について図4図6図7を用いて説明する。
【0065】
図4に示されるように、化粧板2にオイル受け部材3を取り付ける際には、オイル受け部材3のフランジ部3bが、化粧板2の窪み部2bに位置合わせされる。つまりフランジ部3bの全体が窪み部2bと対向する状態となるようにオイル受け部材3が化粧板2に対して位置合わせされる.この状態で、オイル受け部材3が化粧板2に近付けられる。オイル受け部材3が化粧板2に近付くと、磁石1の磁力によりオイル受け部材3のフランジ部3bが磁石1に吸着される。これによりオイル受け部材3が化粧板2に取り付けられる。
【0066】
図6(A)に示されるように、オイル受け部材3が化粧板2に取り付けられた状態において、オイル受け部材3のフランジ部3bの全体が、化粧板2の窪み部2bと下面視において重畳している。
【0067】
図7(A)に示されるように、オイル受け部材3が化粧板2に取り付けられた状態において、オイル受け部材3におけるフランジ部3bの全体は、窪み部2bによって周囲部2aに対して上方に窪んだ空間内に配置されている。つまりオイル受け部材3は、フランジ部3bの全体が窪み部2bにより窪んだ空間内に収納された収納位置に位置している。
【0068】
この収納位置で、フランジ部3bの上面の全体は窪み部2bの下面に接している。また収納位置で、磁石1とフランジ部3bの上下方向の間隔は、窪み部2bの厚さに略等しい。このようにフランジ部3bと磁石1との間の距離が小さいため、フランジ部3bは磁石1に強力に吸着される。これによりオイル受け部材3が化粧板2に取り付けられた状態が保持される。
【0069】
図6(A)に示されるように、オイル受け部材3を化粧板2から取り外す際には、上記収納位置からオイル受け部材3が下面視におけるオイル受け部材3の中心Cを回転中心としてたとえば時計回り方向(矢印AR1方向)に回転される。この回転により、フランジ部3bは、段差部2cに乗り上げた後、周囲部2aに乗り上げる。
【0070】
図6(B)に示されるように、上記回転により、窪み部2bに対するフランジ部3bの相対位置が変化する。フランジ部3bは、下面視において窪み部2bと重畳しない部分を有する。つまりオイル受け部材3は、フランジ部3bの一部が下面視において窪み部2bからはみ出し、周囲部2aおよび段差部2cの真下に位置するはみ出し位置となる。
【0071】
図7(B)に示されるように、オイル受け部材3がはみ出し位置にある状態では、フランジ部3bの一部は段差部2cおよび周囲部2aの真下に位置している。またはみ出し位置においては、フランジ部3bは、窪み部2bにより窪んだ空間内に位置していない。このためフランジ部3bの上面は、窪み部2bの下面に接していない。
【0072】
またはみ出し位置においては、磁石1の真下にフランジ部3bが位置していない。磁石1の真下には、フランジ部3bの切欠き部3dが位置している。把手部3cは、切欠き部3dを介在して磁石1の真下に位置している。
【0073】
はみ出し位置においては、フランジ部3bは窪み部2bにより窪んだ空間内に位置していない。はみ出し位置においては、フランジ部3bが段差部2cの真下に位置することで、少なくとも段差部2cの高さL1分だけフランジ部3bが磁石1から離れることになる。このためフランジ部3bと磁石1との距離は、図7(A)に示される収納位置よりも大きくなる。このため、はみ出し位置においては収納位置よりも、フランジ部3bが磁石1に吸着される力が小さくなる。これによりオイル受け部材3を化粧板2から容易に取り外すことが可能となる。
【0074】
また図7(B)に示されるはみ出し位置において、把手部3cは切欠き部3dを介在して磁石1の真下に位置している。このため、磁石1と把手部3cとの上下方向の距離L2は、窪み部2bの高さL1よりも大きい。よって磁石1が把手部3cを吸着する力も小さい。よって、この点からもオイル受け部材3を化粧板2から容易に取り外すことが可能となる。
【0075】
なお上記オイル受け部材3の着脱作業の際には、作業者がオイル受け部材3の把手部3cを把持することにより上記着脱作業が容易となる。
【0076】
<変形例>
次に、本実施の形態のレンジフードの変形例について図8図10を用いて説明する。
【0077】
上記実施の形態においては、オイル受け部材3がたとえば2つの互いに分離したフランジ部3bを有する場合について説明した。しかし、図8および図9に示されるようにフランジ部3bは油溜まり部3aの外周全周に設けられていてもよい。この変形例においては、フランジ部3bは環形状(たとえば円環形状)を有している。フランジ部3bの外形は、下面視において真円形状であってもよいが、これに限定されるものではなく真円以外の形状であってもよい。
【0078】
また環形状のフランジ部3bに切欠き部3dが設けられていてもよい。この切欠き部3dの真下領域に把手部3cが配置されていてもよい。この把手部3cにより、切欠き部3dを挟んで円周方向に互いに対向するフランジ部3bの一端と他端とが互いに接続されていてもよい。また複数(たとえば2つ)の把手部3cが設けられていてもよい。把手部3cは、上記と同様、フランジ部3bの一部を下方に切り起こすことにより構成されていてもよい。
【0079】
また図10に示されるように、磁石1は、オイル受け部材3の外周壁部3acを吸着するように配置されていてもよい。具体的には化粧板2が開口2fの周縁において上方に立ち上がる立ち上がり部2gを有し、その立ち上がり部2gの外周面側に磁石1が取り付けられていてもよい。立ち上がり部2gは開口2fの径方向において外周壁部3acと対向し、磁石1が外周壁部3acを吸着することによりオイル受け部材3が化粧板2に取り付けられる。
【0080】
またオイル受け部材3が磁石1を有していてもよく、化粧板2が磁石1に吸着される材質よりなっていてもよい。この場合、磁石1はオイル受け部材3のフランジ部3bに取り付けられ、化粧板2の窪み部2bが磁石1に吸着される材質よりなっていてもよい。
【0081】
また図10において磁石1が外周壁部3acの内周面側に取り付けられており、立ち上がり部2gが磁石1に吸着される材質よりなっていてもよい。
【0082】
また上記実施の形態において磁石1は永久磁石であってもよく、電磁石であってもよい。
【0083】
<本実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、図2に示されるように、磁石1の吸引力によりオイル受け部材3が化粧板2に取り付けられる。このため化粧板2へのオイル受け部材3の着脱が容易となる。
【0084】
また本実施の形態においては図2に示されるように、オイル受け部材3は、油溜まり部3aの外周へ延び、かつ化粧板2の下方に位置して化粧板2と対向するフランジ部3bを有している。化粧板2は、フランジ部3bと対向する領域にフランジ部3bを受け入れる窪み部2bと、窪み部2bの周囲に位置する周囲部2aとを有している。窪み部2bは周囲部2aに対して上方に窪んでいる。これにより化粧板2の窪み部2bにオイル受け部材3のフランジ部3bを位置合わせすることができ、化粧板2に対するオイル受け部材3の位置合わせが容易となる。
【0085】
また本実施の形態においては図6(A)、(B)に示されるように、オイル受け部材3は、磁石1にフランジ部3bが吸着された状態で、窪み部2bにより窪んだ空間内にフランジ部3bが位置する収納位置と、フランジ部3bが窪み部2bにより窪んだ空間内からはみ出したはみ出し位置との間で移動可能である。はみ出し位置において、フランジ部3bは、図7(B)に示されるように窪み部2bと周囲部2aとの間の段差部2cの真下に位置するように構成されている。このようにオイル受け部材3がはみ出し位置にある状態では、フランジ部3bが段差部2cの真下に位置することで段差部2cの高さL1分だけフランジ部3bが磁石1から離れることによる。このため、はみ出し位置では、フランジ部3bが磁石1から受ける磁力が弱くなる。よって収納位置からはみ出し位置へオイル受け部材3を移動させることで、小さな外力でオイル受け部材3を化粧板2から取り外すことが可能となる。
【0086】
また本実施の形態においては図3に示されるように、窪み部2bと周囲部2aとは段差部2cを介在して一体化されている。これにより窪み部2bと周囲部2aと段差部2cとを1枚の板を折り曲げ加工することにより形成することができる。
【0087】
また本実施の形態においては図7(B)に示されるように、はみ出し位置において、磁石1の真下に切欠き部3dが位置するように構成されている。これにより、フランジ部3bが磁石1から受ける磁力をさらに小さくすることができる。このため、図7(A)に示される収納位置から図7(B)に示されるはみ出し位置へオイル受け部材3を移動させることで、より小さな外力でオイル受け部材3を化粧板2から取り外すことが可能となる。
【0088】
また本実施の形態においては図7(B)に示されるように、オイル受け部材3は、フランジ部3bに取り付けられ、かつ切欠き部3dの真下に位置する把手部3cを有している。このように把手部3cが設けられていることにより、作業者は把手部3cを持ってオイル受け部材3の化粧板2への着脱作業を行なうことができ、作業性が良好となる。
【0089】
また図7(B)に示されるはみ出し位置において、把手部3cは切欠き部3dの真下に位置し、磁石1から切欠き部3dを介在して位置している。これにより把手部3cが磁石1から受ける磁力は小さいため、図7(A)に示される収納位置から図7(B)に示されるはみ出し位置へオイル受け部材3を移動させることで、小さな外力でオイル受け部材3を化粧板2から取り外すことが可能となる。
【0090】
また本実施の形態においては図8および図9に示されるように、油溜まり部3aは、化粧板2の開口2fの内周に沿う環形状を有している。フランジ部3bは、油溜まり部3aの外周全周に位置している。これにより開口2fの内周に沿って油溜まり部3aを回転させることができる。その回転によりオイル受け部材3を図7(A)に示される収納位置から図7(B)に示されるはみ出し位置へ移動させることができ、回転によりオイル受け部材3を化粧板2から容易に取り外すことが可能となる。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
1 磁石、2 化粧板、2a 周囲部、2b 窪み部、2ba 磁石配置部、2c,2e 段差部、2d 取付部、2f,7aa 開口、2g 立ち上がり部、3 オイル受け部材、3a 油溜まり部、3aa 底壁部、3ab 内周壁部、3ac 外周壁部、3b フランジ部、3c 把手部、3d 切欠き部、3e 貫通孔、4 内側フード、4d 貫通孔、5 整流板、6 排気用ファン、6a 上部支持板、6b 下部支持板、6c ファンブレード、7 外側フード、7a 上板、7b 枠体部、8 取付アダプタ、9 モータ、9a 本体部、9b 回転軸、10 レンジフード、11 ファンケース、11a 吸込口、11b 底面、12 本体ケース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10