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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】制御基板
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231006BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019161532
(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公開番号】P2021040453
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】六浦 圭太
(72)【発明者】
【氏名】仁田 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】小田島 巨弥
【審査官】町田 舞
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-130967(JP,A)
【文献】実開昭60-000989(JP,U)
【文献】特開2012-120304(JP,A)
【文献】国際公開第2016/189674(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチング素子を備えたインバータを制御する制御基板であって、
複数の前記スイッチング素子のうちの対応する前記スイッチング素子をそれぞれ駆動する複数の駆動回路と、
複数の前記駆動回路のそれぞれに供給される信号及び電力を伝達する伝達回路と、
板状の基板本体部に形成された領域であって、前記駆動回路がそれぞれ設けられた複数の第1回路領域と、前記伝達回路が設けられた第2回路領域と、複数の前記第1回路領域のそれぞれと前記第2回路領域との間を電気的に絶縁する絶縁領域と、を備え、
前記絶縁領域を跨ぐように配置されて前記第1回路領域と前記第2回路領域とを接続する接続部材が、複数の前記第1回路領域のそれぞれに対して設けられ、
前記接続部材は、前記第1回路領域と前記第2回路領域との間を電気的に絶縁しつつ前記第1回路領域と前記第2回路領域との間で前記信号を伝達する絶縁素子と、前記第1回路領域と前記第2回路領域との間を電気的に絶縁しつつ前記第1回路領域と前記第2回路領域との間で前記電力を伝達するトランスと、を備え、
複数の前記接続部材の全てにおいて、前記トランスが、前記絶縁素子よりも前記基板本体部の外縁側に配置され
前記基板本体部の外縁部のみに、支持部材に支持される被支持部が設けられている、制御基板。
【請求項2】
前記基板本体部は、平面視で4つの辺部を備える矩形状に形成され、
複数の前記接続部材の全てにおいて、前記トランスと前記絶縁素子とが、いずれかの前記辺部に沿う方向に並んで配置されている、請求項1に記載の制御基板。
【請求項3】
4つの前記辺部には、互いに平行な2つの長辺部と、互いに平行な2つの短辺部とが含まれ、
2つの前記長辺部に沿う方向を長辺方向とし、2つの前記短辺部に沿う方向を短辺方向として、
前記基板本体部には6つの前記第1回路領域が配置され、
6つの前記第1回路領域のうちの3つを第1対象領域とし、残りの3つを第2対象領域として、
3つの前記第1対象領域が、前記長辺方向に並んで配置されていると共に、3つの前記第2対象領域に対して前記短辺方向の一方側である第1側に配置され、
3つの前記第2対象領域が、前記長辺方向に並んで配置されていると共に、3つの前記第1対象領域に対して前記短辺方向の他方側である第2側に配置され、
3つの前記第1対象領域のそれぞれに対して設けられた前記接続部材においては、前記トランスが前記絶縁素子よりも前記第1側に位置するように、前記トランスと前記絶縁素子とが前記短辺方向に並んで配置され、
3つの前記第2対象領域のそれぞれに対して設けられた前記接続部材においては、前記トランスが前記絶縁素子よりも前記第2側に位置するように、前記トランスと前記絶縁素子とが前記短辺方向に並んで配置されている、請求項に記載の制御基板。
【請求項4】
記被支持部は、前記基板本体部の前記第1側の外縁部において前記長辺方向に並んで配置された4つの第1被支持部と、前記基板本体部の前記第2側の外縁部において前記長辺方向に並んで配置された4つの第2被支持部と、を備え、
前記第1対象領域に対して設けられた前記接続部材が備える前記トランスを第1トランスとし、前記第2対象領域に対して設けられた前記接続部材が備える前記トランスを第2トランスとして、
3つの前記第1トランスが、前記長辺方向において、4つの前記第1被支持部によって区画された3つの領域に分かれて配置され、
3つの前記第2トランスが、前記長辺方向において、4つの前記第2被支持部によって区画された3つの領域に分かれて配置されている、請求項に記載の制御基板。
【請求項5】
1つの前記第1対象領域に対して設けられた前記接続部材と、1つの前記第2対象領域に対して設けられた前記接続部材とが、前記長辺方向の同じ位置に配置されている、請求項又はに記載の制御基板。
【請求項6】
前記第1回路領域のそれぞれに、前記スイッチング素子の接続端子にそれぞれ接続される複数の接続部が、規定の配列方向に沿って一列に並ぶように設けられ、
複数の前記接続部材の全てにおいて、前記トランスと前記絶縁素子とが前記配列方向に並んで配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載の制御基板。
【請求項7】
前記第2回路領域は、複数の前記第1回路領域の全てに対して前記絶縁領域を挟んで隣接するように、前記基板本体部の中央部を含む領域に形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の制御基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータを制御する制御基板に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータを制御する制御基板の一例が、特開2009-130967号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。特許文献1の制御基板(2)には、スイッチング素子(10)を駆動する駆動回路(20)がそれぞれ設けられた複数の第1回路領域(5)と、第2回路領域(7)とが形成されている。第2回路領域(7)は、複数の第1回路領域(5)の全てに対して絶縁領域(6)を挟んで隣接するように設けられている。そして、絶縁領域(6)を跨ぐように配置されて第1回路領域(5)と第2回路領域(7)との間で信号を伝達する絶縁素子(P)と、絶縁領域(6)を跨ぐように配置されて第1回路領域(5)と第2回路領域(7)との間で電力を伝達するトランス(L)とが、複数の第1回路領域(5)のそれぞれに対して設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-130967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の段落0021,0067に記載されているように、特許文献1の制御基板では、制御基板を固定するための固定部材(ボルト等)が貫通する貫通孔を、基板本体部の四隅に加えて中央部にも設けることで、車載用途に要求される高い耐振動性を確保している。そして、特許文献1の段落0021,0068に記載されているように、特許文献1の制御基板では、基板本体部の中央部に配置される貫通孔を、第2回路領域内に設けることで、基板本体部の面積の増大を抑制している。しかしながら、このように基板本体部の中央部に貫通孔を設けた場合、基板本体部の中央部の貫通孔を避けて回路(素子や配線等)を配置する必要があり、基板本体部の中央部に貫通孔が設けられない場合に比べて基板本体部が大型化する場合があり得る。また、基板本体部の中央部に貫通孔が設けられない場合に比べて、コストが増加しやすい。
【0005】
そこで、基板本体部の大型化やコストの増加を抑制しつつ、制御基板の耐振動性の向上を図ることが可能な技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る制御基板は、複数のスイッチング素子を備えたインバータを制御する制御基板であって、複数の前記スイッチング素子のうちの対応する前記スイッチング素子をそれぞれ駆動する複数の駆動回路と、複数の前記駆動回路のそれぞれに供給される信号及び電力を伝達する伝達回路と、板状の基板本体部に形成された領域であって、前記駆動回路がそれぞれ設けられた複数の第1回路領域と、前記伝達回路が設けられた第2回路領域と、複数の前記第1回路領域のそれぞれと前記第2回路領域との間を電気的に絶縁する絶縁領域と、を備え、前記絶縁領域を跨ぐように配置されて前記第1回路領域と前記第2回路領域とを接続する接続部材が、複数の前記第1回路領域のそれぞれに対して設けられ、前記接続部材は、前記第1回路領域と前記第2回路領域との間を電気的に絶縁しつつ前記第1回路領域と前記第2回路領域との間で前記信号を伝達する絶縁素子と、前記第1回路領域と前記第2回路領域との間を電気的に絶縁しつつ前記第1回路領域と前記第2回路領域との間で前記電力を伝達するトランスと、を備え、複数の前記接続部材の全てにおいて、前記トランスが、前記絶縁素子よりも前記基板本体部の外縁側に配置されている。
【0007】
基板本体部の中央部に、支持部材に支持される被支持部が設けられない場合、基板本体部の撓みによる変位は中央部において大きくなりやすい。本構成では、複数の接続部材の全てにおいて、トランスが絶縁素子よりも基板本体部の外縁側に配置されるため、絶縁素子に比べて一般に重い部品とされるトランスの全てを、基板本体部における撓みによる変位が大きくなりやすい中央部から離して配置することが可能となっている。この結果、振動が生じる環境下で制御基板が用いられる場合であっても、変位の大きな撓みを伴う振動(例えば、共振)が基板本体部に発生し難いようにして、制御基板の耐振動性の向上を図ることができる。なお、本構成では、支持部材に支持される被支持部を基板本体部の中央部に設ける必要はないため、基板本体部の大型化やコストの増加を抑制しつつ、制御基板の耐振動性の向上を図ることが可能となっている。
【0008】
制御基板の更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】制御基板の制御対象となるインバータの構成例を示す図
図2】電源回路の構成例を示す図
図3】実施形態に係る制御基板の平面図
図4】実施形態に係る制御基板とインバータと支持部材とを分解して示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
制御基板の実施形態について、図面を参照して説明する。制御基板1は、複数のスイッチング素子3を備えたインバータ100を制御する基板である。インバータ100は、直流と交流との間で電力を変換して交流機16に交流電力を供給する。制御基板1は、インバータ100を介して交流機16を制御する。交流機16は、交流電力の供給を受けて動作する機器である。図1に示すように、本実施形態では、交流機16は回転電機である。具体的には、交流機16は、U相、V相、及びW相からなる3相(複数相の一例)の交流電力で駆動される回転電機であり、インバータ100は、3相の交流電力を交流機16(ここでは、ステータコイル16a)に供給する。交流機16は、例えば、車両の車輪を駆動するための回転電機とされ、或いは、車両に設けられた補機を駆動するための回転電機とされる。補機は、車両に搭載される機器(付属機器、車載機器)であり、例えば、電動オイルポンプや、エアコンディショナ用のコンプレッサ等とされる。本明細書では、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
【0011】
図1に示すように、インバータ100は、第1直流電源11に接続されると共に交流機16に接続されている。第1直流電源11は、インバータ100の直流側に直流電力を供給する。第1直流電源11の電源電圧は、例えば200~400[V]とされる。交流機16がモータとして機能する場合には、インバータ100は、第1直流電源11から供給される直流電力を交流電力に変換して交流機16に供給する。また、交流機16がジェネレータとして機能する場合には、インバータ100は、交流機16から供給される交流電力を直流電力に変換して第1直流電源11に供給する。第1直流電源11とインバータ100との間には、インバータ100の直流側の電圧(直流リンク電圧Vdc)を平滑化する平滑コンデンサCが設けられている。第1直流電源11とインバータ100との間に昇圧回路が設けられ、第1直流電源11の電圧が昇圧されてインバータ100の直流側に供給される構成とすることもできる。
【0012】
インバータ100は、第1スイッチング素子31と第2スイッチング素子32とが直列接続されたアーム33を複数備えている。すなわち、インバータ100は、複数の第1スイッチング素子31と複数の第2スイッチング素子32とを備えている。第1スイッチング素子31は、直流の正極側(ここでは、第1直流電源11の正極側)に接続されるスイッチング素子3(上段側スイッチング素子)であり、第2スイッチング素子32は、直流の負極側(ここでは、第1直流電源11の負極側)に接続されるスイッチング素子3(下段側スイッチング素子)である。
【0013】
インバータ100が備えるスイッチング素子3は、後述するスイッチング制御信号SWにより個別にスイッチング制御される。スイッチング素子3として、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、SiC-MOSFET(Silicon Carbide - Metal Oxide Semiconductor FET)、SiC-SIT(SiC - Static Induction Transistor)、GaN-MOSFET(Gallium Nitride - MOSFET)等のパワー半導体素子を用いると好適である。図1には、スイッチング素子3としてIGBTを用いる場合を例示している。スイッチング素子3は、例えば、矩形平板状のチップ型素子とされる。図示は省略するが、スイッチング素子3のそれぞれにはフリーホイールダイオードが並列接続されている。フリーホイールダイオードは、例えば、スイッチング素子3を構成するチップ型素子に内蔵される。
【0014】
インバータ100は、交流機16に供給する交流電力の相数に対応する数のアーム33を備えている。本実施形態では、インバータ100は、交流機16に供給する交流電力の相数に等しい数のアーム33を備えており、具体的には、U相アーム33U、V相アーム33V、及びW相アーム33Wの、3つのアーム33を備えている。複数のアーム33は、互いに並列接続されてブリッジ回路を構成している。各アーム33の中間点(第1スイッチング素子31と第2スイッチング素子32との接続点)は、交流機16の交流端子(ここでは、対応する相のステータコイル16a)に接続されている。
【0015】
第1スイッチング素子31及び第2スイッチング素子32の制御信号(スイッチング制御信号SW)は、制御回路5により生成される。制御回路5は、第1スイッチング素子31をスイッチング制御する第1スイッチング制御信号SW1、及び、第2スイッチング素子32をスイッチング制御する第2スイッチング制御信号SW2を生成する。すなわち、制御回路5は、スイッチング制御信号SWとして、第1スイッチング制御信号SW1及び第2スイッチング制御信号SW2を生成する。制御回路5は、マイクロコンピュータ等の論理回路を中核として構成される。制御回路5の各機能は、例えば、マイクロコンピュータ等のハードウェアとソフトウェア(プログラム)との協働により実現される。
【0016】
制御回路5は、スイッチング制御信号SWを生成することで、インバータ100を制御する。制御回路5は、例えば、他の制御装置(例えば、車両の全体を統合して制御する車両制御装置)からの指令に基づき、インバータ100を制御する。制御回路5は、例えばベクトル制御法を用いた電流フィードバック制御を行って、他の制御装置から指令されたトルクを交流機16が出力するようにインバータ100を制御する。図1に示す例では、交流機16の各相のステータコイル16aを流れる電流は電流センサ14により検出され、交流機16のロータの磁極位置は回転センサ15により検出される。制御回路5は、これらの電流センサ14及び回転センサ15の検出結果を用いて、インバータ100を制御する。
【0017】
制御回路5の動作電圧(例えば、5[V],3.3[V],2.5[V]等)は、第2直流電源12から供給される直流電力に基づき生成される。第2直流電源12は、第1直流電源11よりも電源電圧の低い直流電源である。第2直流電源12の電源電圧は、例えば12~24[V]とされる。第1直流電源11と第2直流電源12とは、互いに絶縁されており、互いにフローティングの関係にある。図示は省略するが、制御回路5に電力(動作電力)を供給する電源回路は、例えば、第2直流電源12に接続される電源入力回路と、第2直流電源12から電源入力回路に入力される電圧を調整する電圧調整回路と、を備える。電源入力回路は、例えば、ノイズフィルタ、平滑コンデンサ、及びレギュレータ回路を用いて構成され、電圧調整回路は、例えば、レギュレータ素子を用いて構成される。
【0018】
制御回路5が生成したスイッチング制御信号SWは、駆動回路2を介して、制御対象となるスイッチング素子3の制御端子(図1に示す例では、IGBTのゲート端子)に入力される。すなわち、駆動回路2は、スイッチング制御信号SWに基づきスイッチング素子3を駆動する。図1に示す例では、駆動回路2は、スイッチング素子3(IGBT)のゲート端子とエミッタ端子との2端子間の電位差を制御することで、スイッチング素子3を駆動する。図1に示すように、駆動回路2は、複数のスイッチング素子3のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、複数の駆動回路2は、複数のスイッチング素子3のうちの対応するスイッチング素子3をそれぞれ駆動する。複数の駆動回路2には、第1スイッチング素子31を駆動する第1駆動回路21と、第2スイッチング素子32を駆動する第2駆動回路22とが含まれる。第1駆動回路21は、第1スイッチング制御信号SW1に基づき第1スイッチング素子31を駆動する。また、第2駆動回路22は、第2スイッチング制御信号SW2に基づき第2スイッチング素子32を駆動する。
【0019】
駆動回路2は、制御回路5が生成したスイッチング制御信号SWの駆動能力(例えば電圧振幅又は出力電流等、後段の回路を動作させる能力)を高めて、スイッチング素子3の制御端子に供給する。駆動回路2は、例えば、2つのトランジスタが直列接続されたプッシュプル回路を用いて構成される。ここで、制御基板1に形成される回路には、動作電圧が相対的に高い高圧系回路と、動作電圧が相対的に低い低圧系回路とが含まれる。高圧系回路と低圧系回路とは、互いに絶縁されている。スイッチング制御信号SWを生成する制御回路5に接続される回路(後述する伝達回路20等)は、低圧系回路である。一方、駆動回路2は、高圧系回路である。そのため、制御基板1は、フォトカプラ又は磁気カプラ等の絶縁素子7(信号伝達用の絶縁素子)を備えており、この絶縁素子7が、制御回路5が生成したスイッチング制御信号SWを、駆動回路2に絶縁状態(電気的に絶縁された状態)で伝達する。具体的には、制御基板1は、制御回路5が生成した第1スイッチング制御信号SW1を第1駆動回路21に絶縁状態で伝達するための絶縁素子7である第1絶縁素子71と、制御回路5が生成した第2スイッチング制御信号SW2を第2駆動回路22に絶縁状態で伝達するための絶縁素子7である第2絶縁素子72と、を備えている。
【0020】
駆動回路2のそれぞれには、電源回路4から電力(動作電力)が供給される。図2に電源回路4の一例を示すように、電源回路4は、トランス8を用いて駆動回路2に電力を供給する。具体的には、電源回路4は、第1トランス81を用いて第1駆動回路21に電力を供給すると共に、第2トランス82を用いて第2駆動回路22に電力を供給する。電源回路4は、第1駆動回路21に供給する上段用駆動電圧VHと、第2駆動回路22に供給する下段用駆動電圧VLとを出力する。上段用駆動電圧VH及び下段用駆動電圧VLのそれぞれの電位差は、例えば15~20[V]とされる。
【0021】
本実施形態では、電源回路4は、U相上段用駆動電圧VHU、V相上段用駆動電圧VHV、及びW相上段用駆動電圧VHWの3つの上段用駆動電圧VHを出力し、U相下段用駆動電圧VLU、V相下段用駆動電圧VLV、及びW相下段用駆動電圧VLWの3つの下段用駆動電圧VLを出力する。U相上段用駆動電圧VHUは、U相アーム33Uが備える第1スイッチング素子31(U相の第1スイッチング素子31)を駆動する第1駆動回路21に供給され、U相下段用駆動電圧VLUは、U相アーム33Uが備える第2スイッチング素子32(U相の第2スイッチング素子32)を駆動する第2駆動回路22に供給される。V相上段用駆動電圧VHVは、V相アーム33Vが備える第1スイッチング素子31(V相の第1スイッチング素子31)を駆動する第1駆動回路21に供給され、V相下段用駆動電圧VLVは、V相アーム33Vが備える第2スイッチング素子32(V相の第2スイッチング素子32)を駆動する第2駆動回路22に供給される。W相上段用駆動電圧VHWは、W相アーム33Wが備える第1スイッチング素子31(W相の第1スイッチング素子31)を駆動する第1駆動回路21に供給され、W相下段用駆動電圧VLWは、W相アーム33Wが備える第2スイッチング素子32(W相の第2スイッチング素子32)を駆動する第2駆動回路22に供給される。
【0022】
図2に示すように、トランス8の1次巻線L1(具体的には、第1トランス81の1次巻線L1及び第2トランス82の1次巻線L1)には、1次巻線L1への電力の供給を制御する駆動用スイッチング素子9が接続されている。駆動用スイッチング素子9は、電源制御回路95によってスイッチング制御される。図2に示す例では、電源回路4は、プッシュプル方式のスイッチング電源回路であり、1次巻線L1には、第1駆動用スイッチング素子91及び第2駆動用スイッチング素子92の2つの駆動用スイッチング素子9が接続されている。第1駆動用スイッチング素子91及び第2駆動用スイッチング素子92は、電源制御回路95によって相補的にスイッチング制御される。
【0023】
図2には、6つのトランス8(3つの第1トランス81及び3つの第2トランス82)に対して共通の駆動用スイッチング素子9(ここでは、第1駆動用スイッチング素子91及び第2駆動用スイッチング素子92の組)が設けられる構成を例示しているが、トランス8が複数のグループ(例えば、2つのトランスからなるグループ)に分けられ、複数のグループに対して駆動用スイッチング素子9(例えば、第1駆動用スイッチング素子91及び第2駆動用スイッチング素子92の組)が各別に設けられる構成としてもよい。また、ここでは、一例として、電源回路4を、プッシュプル方式のスイッチング電源回路としているが、電源回路4は、ハーフブリッジ方式、フルブリッジ方式、シングルフォワード方式、フライバック方式等の、プッシュプル方式以外の方式のスイッチング電源回路であってもよい。
【0024】
第1トランス81の1次巻線L1及び第2トランス82の1次巻線L1に入力される入力電圧V1(1次側電圧)は、第2直流電源12の電源電圧から電源回路(電圧レギュレータ等)によって生成される。そのため、入力電圧V1は安定しており、この電源回路4では、フィードバック制御を行うことなく、第1トランス81の変圧比によって第1トランス81の2次巻線L2から出力される出力電圧(2次側電圧)が決定され、第2トランス82の変圧比によって第2トランス82の2次巻線L2から出力される出力電圧(2次側電圧)が決定される。第1トランス81の2次側電圧(上段用駆動電圧VH)は、第1駆動回路21に供給され、第2トランス82の2次側電圧(下段用駆動電圧VL)は、第2駆動回路22に供給される。図2に示す例では、2次巻線L2に生じる交流電圧が、整流用のダイオード94と平滑用のコンデンサ93とを備えた整流回路96によって直流電圧に変換されることで、2次側電圧が生成される。
【0025】
次に、制御基板1の構成について説明する。制御基板1は、複数の駆動回路2と、複数の駆動回路2のそれぞれに供給される信号及び電力を伝達する伝達回路20と、を備えている。上述したように、複数の駆動回路2には、第1駆動回路21及び第2駆動回路22が含まれ、本実施形態では、複数の第1駆動回路21及び複数の第2駆動回路22(具体的には、3つの第1駆動回路21及び3つの第2駆動回路22)が含まれる。
【0026】
図3に示すように、制御基板1は、板状の基板本体部40を備えている。本実施形態では、基板本体部40は、平面視(基板本体部40の厚さ方向Zに沿う方向視)で4つの辺部41を備える矩形状(正方形状や、角部が面取りされた矩形状を含む)に形成されている。具体的には、本実施形態では、基板本体部40は、平面視で長方形状に形成されており、4つの辺部41には、互いに平行な2つの長辺部42と、互いに平行な2つの短辺部43(長辺部42よりも短い辺部41)とが含まれる。ここで、2つの長辺部42に沿う方向を長辺方向Xとし、2つの短辺部43に沿う方向を短辺方向Yとする。長辺方向X及び短辺方向Yは、いずれも基板本体部40の板面に沿う方向(すなわち、厚さ方向Zに直交する方向)である。また、長辺方向X及び短辺方向Yは、互いに直交する方向である。そして、短辺方向Yの一方側を第1側Y1とし、短辺方向Yの他方側(すなわち、短辺方向Yにおける第1側Y1とは反対側)を第2側Y2とする。また、長辺方向Xの一方側を第3側X1とし、長辺方向Xの他方側(すなわち、長辺方向Xにおける第3側X1とは反対側)を第4側X2とする。
【0027】
制御基板1は、基板本体部40に形成された領域であって、複数の第1回路領域A1と、第2回路領域A2と、絶縁領域Bと、を備えている。すなわち、基板本体部40に形成される領域には、複数の第1回路領域A1と、第2回路領域A2と、絶縁領域Bとが含まれる。図3に簡略化して示すように、複数の第1回路領域A1には駆動回路2(第1駆動回路21又は第2駆動回路22)がそれぞれ設けられている。すなわち、第1回路領域A1は、高圧系回路(具体的には、駆動回路2)が配置される高圧領域である。なお、駆動回路2は、2つのトランジスタが直列接続されたプッシュプル回路等の主回路と、主回路と後述する接続部24との間で信号を伝達する信号伝達回路とを備える。例えば、絶縁素子7として、駆動回路2の主回路と絶縁素子7とが1つのパッケージに内蔵された素子を用いる場合には、駆動回路2の信号伝達回路が第1回路領域A1に設けられる。図示は省略するが、第1回路領域A1には、更に、トランス8の2次巻線L2から出力される2次側電圧を駆動回路2に供給するための回路が設けられている。また、図3に簡略化して示すように、第2回路領域A2には伝達回路20が設けられている。すなわち、第2回路領域A2は、低圧系回路(具体的には、伝達回路20)が配置される低圧領域である。また、絶縁領域Bは、複数の第1回路領域A1のそれぞれと第2回路領域A2との間を電気的に絶縁するように設けられている。
【0028】
本実施形態では、制御回路5は、制御基板1とは異なる基板(図示せず)に設けられており、制御基板1と、制御回路5が設けられた基板とは、信号線(ハーネス)を介して接続される。図3に示すように、制御基板1には、当該信号線が接続されるコネクタ23が設けられている。制御回路5が生成したスイッチング制御信号SWは、コネクタ23を介して制御基板1(具体的には、第2回路領域A2)に入力され、伝達回路20は、制御基板1に入力されたスイッチング制御信号SWを絶縁素子7に伝達する。すなわち、伝達回路20は、複数の駆動回路2のそれぞれに供給される信号(具体的には、スイッチング制御信号SW)を、コネクタ23から絶縁素子7に伝達する。本実施形態では、伝達回路20は、更に、スイッチング素子3に設けられた検出回路(電流検出回路や温度検出回路等)の検出結果を表す信号を、絶縁素子7からコネクタ23に伝達する。なお、制御回路5が第2回路領域A2に設けられ、伝達回路20が、制御回路5と絶縁素子7との間で信号を伝達する構成とすることもできる。
【0029】
また、本実施形態では、駆動用スイッチング素子9、電源制御回路95、及び、トランス8の1次側電圧を生成する上述した電源回路は、制御基板1とは異なる基板(例えば、制御回路5が設けられた基板)に設けられている。トランス8の1次側電圧は、コネクタ23を介して制御基板1(具体的には、第2回路領域A2)に入力され、伝達回路20は、制御基板1に入力された当該1次側電圧をトランス8に伝達する(図2参照)。すなわち、伝達回路20は、複数の駆動回路2のそれぞれに供給される電力を、コネクタ23からトランス8に伝達する。なお、駆動用スイッチング素子9、電源制御回路95、及び、トランス8の1次側電圧を生成する電源回路の少なくともいずれかが、第2回路領域A2に設けられる構成とすることもできる。
【0030】
第1回路領域A1のそれぞれには、スイッチング素子3の接続端子10にそれぞれ接続される複数の接続部24が設けられている。図3及び図4に示すように、本実施形態では、接続部24は、基板本体部40を貫通する孔部とされ、接続端子10が当該孔部を貫通するように配置された状態で、接続部24と接続端子10とが電気的に接続される。スイッチング素子3のそれぞれは、複数の接続端子10を備えている。1つのスイッチング素子3が備える複数の接続端子10には、当該スイッチング素子3の制御端子に接続される接続端子10に加えて、例えば、当該スイッチング素子3の他の端子(制御端子以外の端子)に接続される接続端子10や、当該スイッチング素子に設けられた検出回路の検出結果を取り出すための接続端子10が含まれる。
【0031】
図3に示すように、本実施形態では、基板本体部40には6つの第1回路領域A1が配置されている。ここで、6つの第1回路領域A1のうちの3つを第1対象領域A11とし、残りの3つを第2対象領域A12とする。第1対象領域A11は、第1駆動回路21が設けられる第1回路領域A1であり、第2対象領域A12は、第2駆動回路22が設けられる第1回路領域A1である。すなわち、第1対象領域A11には、第1スイッチング素子31の接続端子10にそれぞれ接続される複数の接続部24が設けられ、第2対象領域A12には、第2スイッチング素子32の接続端子10にそれぞれ接続される複数の接続部24が設けられる。
【0032】
そして、本実施形態では、3つの第1対象領域A11が、長辺方向Xに並んで配置されていると共に、3つの第2対象領域A12に対して第1側Y1に配置されている。また、3つの第2対象領域A12が、長辺方向Xに並んで配置されていると共に、3つの第1対象領域A11に対して第2側Y2に配置されている。図3に示す例では、3つの第1対象領域A11は、長辺方向Xに等間隔で並んで配置され、3つの第2対象領域A12は、長辺方向Xに等間隔で並んで配置されている。また、図3に示す例では、第1対象領域A11の長辺方向Xに沿った配置間隔は、第2対象領域A12の長辺方向Xに沿った配置間隔と等しくされている。また、図3に示す例では、3つの第1対象領域A11は、全体として、基板本体部40における長辺方向Xの中心に対して第4側X2にずらして配置され、3つの第2対象領域A12は、全体として、基板本体部40における長辺方向Xの中心に対して第3側X1にずらして配置されている。よって、第4側X2から第3側X1に向かって、第1対象領域A11における長辺方向Xの中心位置から順に、第1対象領域A11における長辺方向Xの中心位置と、第2対象領域A12における長辺方向Xの中心位置とが、1つずつ交互に配置されている。
【0033】
図3に示すように、本実施形態では、3つの第1対象領域A11は、基板本体部40における短辺方向Yの中心に対して第1側Y1に配置され、3つの第2対象領域A12は、基板本体部40における短辺方向Yの中心に対して第2側Y2に配置されている。すなわち、第1対象領域A11は、第2側Y2の長辺部42からの離間距離よりも第1側Y1の長辺部42からの離間距離が短くなるように配置され、第2対象領域A12は、第1側Y1の長辺部42からの離間距離よりも第2側Y2の長辺部42からの離間距離が短くなるように配置されている。そして、第2回路領域A2は、複数の第1回路領域A1の全てに対して絶縁領域Bを挟んで隣接するように、基板本体部40の中央部Mを含む領域に形成されている。ここで、基板本体部40の中央部Mは、基板本体部40における各方向(具体的には、長辺方向X及び短辺方向Yの各方向)での中心を含む部分である。
【0034】
具体的には、第2回路領域A2は、図4に示すように、第1部分A21、第2部分A22、第3部分A23、第4部分A24、第5部分A25、第6部分A26、及び第7部分A27を備えている。第1部分A21は、3つの第1対象領域A11と3つの第2対象領域A12との間を、長辺方向Xに沿って延びるように形成されている。すなわち、第1部分A21は、基板本体部40の中央部Mを含む領域に形成されている。また、第2部分A22、第3部分A23、及び第4部分A24は、第1部分A21から第1側Y1に向かって延びるように形成され、第5部分A25、第6部分A26、及び第7部分A27は、第1部分A21から第2側Y2に向かって延びるように形成されている。
【0035】
第2部分A22は、最も第3側X1に配置された第1対象領域A11に対して絶縁領域Bを挟んで第3側X1に隣接するように配置されている。第3部分A23は、最も第3側X1に配置された第1対象領域A11と当該第1対象領域A11に対して第4側X2に隣接する第1対象領域A11との間に、これら2つの第1対象領域A11の双方に対して絶縁領域Bを挟んで隣接するように配置されている。第4部分A24は、最も第4側X2に配置された第1対象領域A11と当該第1対象領域A11に対して第3側X1に隣接する第1対象領域A11との間に、これら2つの第1対象領域A11の双方に対して絶縁領域Bを挟んで隣接するように配置されている。
【0036】
また、第5部分A25は、最も第3側X1に配置された第2対象領域A12と当該第2対象領域A12に対して第4側X2に隣接する第2対象領域A12との間に、これら2つの第2対象領域A12の双方に対して絶縁領域Bを挟んで隣接するように配置されている。第6部分A26は、最も第4側X2に配置された第2対象領域A12と当該第2対象領域A12に対して第3側X1に隣接する第2対象領域A12との間に、これら2つの第2対象領域A12の双方に対して絶縁領域Bを挟んで隣接するように配置されている。第7部分A27は、最も第4側X2に配置された第2対象領域A12に対して絶縁領域Bを挟んで第4側X2に隣接するように配置されている。
【0037】
図3に示すように、本実施形態では、基板本体部40の外縁部Eに、支持部材101(図4参照)に支持される被支持部50が設けられている。すなわち、被支持部50は、基板本体部40における中央部Mを避けた位置に設けられている。ここで、基板本体部40の外縁部Eは、基板本体部40の外縁40aを含む部分である。基板本体部40の外縁部Eには、基板本体部40の第1側Y1の外縁部Eである第1外縁部E1と、基板本体部40の第2側Y2の外縁部Eである第2外縁部E2とが含まれる。基板本体部40(具体的には、被支持部50)は、支持部材101に直接的に支持され、或いは、支持部材101に間接的に(すなわち、他の部材を介して)支持される。
【0038】
本実施形態では、インバータ100が、締結部材26(図4に示す例では、ボルト)によって支持部材101(具体的には、支持部材101に設けられた支持部102)に固定される。そして、基板本体部40は、締結部材25(図4に示す例では、ボルト)によってインバータ100に固定され、被支持部50は、支持部材101に間接的に(具体的には、インバータ100を介して)支持される。図4に示す例では、支持部材101は、制御基板1及びインバータ100を収容するケースとされている。また、図4に示す例では、インバータ100は、複数のスイッチング素子3が一体化(例えば、樹脂モールドにより一体化)された本体部と、本体部から突出する接続端子10と、を備えている。なお、基板本体部40(具体的には、被支持部50)が、支持部材101にブラケットを介して支持される構成や、基板本体部40(具体的には、被支持部50)が、支持部材101に直接的に支持される構成等としてもよい。
【0039】
本実施形態では、被支持部50は、締結部材25が挿通される挿通孔を備えており、締結部材25は、当該挿通孔に挿通された状態で、インバータ100に設けられた締結孔に締結される。具体的には、図3及び図4に示すように、被支持部50は、第1外縁部E1において長辺方向Xに並んで配置された複数の第1被支持部51(本例では、4つの第1被支持部51)と、第2外縁部E2において長辺方向Xに並んで配置された複数の第2被支持部52(本例では、4つの第2被支持部52)と、を備えている。複数の第1被支持部51のそれぞれ、及び、複数の第2被支持部52のそれぞれは、締結部材25が挿通される挿通孔である。本例では、複数の第1被支持部51は、長辺方向Xに沿って等間隔で配置され、複数の第2被支持部52は、長辺方向Xに沿って等間隔で配置されている。また、1つの第1被支持部51と1つの第2被支持部52とが、長辺方向Xの同じ位置に配置されている。ここでは、複数の第1被支持部51のそれぞれが、いずれかの第2被支持部52と長辺方向Xの同じ位置に配置されている。
【0040】
図3に示すように、絶縁領域Bを跨ぐように配置されて第1回路領域A1と第2回路領域A2とを接続する接続部材6が、複数の第1回路領域A1のそれぞれに対して設けられている。本実施形態では、基板本体部40には6つの第1回路領域A1が配置されており、6つの第1回路領域A1のそれぞれに対して接続部材6が設けられている。また、本実施形態では、接続部材6のそれぞれは、絶縁領域Bを長辺方向Xに跨ぐように配置されている。接続部材6は、第1回路領域A1と第2回路領域A2との間を電気的に絶縁しつつ第1回路領域A1と第2回路領域A2との間で信号を伝達する絶縁素子7と、第1回路領域A1と第2回路領域A2との間を電気的に絶縁しつつ第1回路領域A1と第2回路領域A2との間で電力を伝達するトランス8と、を備えている。具体的には、第1対象領域A11に対して設けられた接続部材6を第1接続部材61とし、第2対象領域A12に対して設けられた接続部材6を第2接続部材62として、第1接続部材61は、第1絶縁素子71と第1トランス81とを備え、第2接続部材62は、第2絶縁素子72と第2トランス82とを備えている。本実施形態では、トランス8は、絶縁素子7よりも重い部品とされている。また、本実施形態では、トランス8は、絶縁素子7よりも大型の部品とされている。
【0041】
図3に示す例では、1つの接続部材6が、2つの絶縁素子7と1つのトランス8とを備えている。すなわち、1つの第1接続部材61が、2つの第1絶縁素子71と1つの第1トランス81とを備え、1つの第2接続部材62が、2つの第2絶縁素子72と1つの第2トランス82とを備えている。そして、1つのトランス8は、2つの絶縁素子7の総重量よりも重い部品とされている。例えば、1つの接続部材6が備える2つの絶縁素子7の一方は、第2回路領域A2から第1回路領域A1に信号(具体的には、スイッチング制御信号SW)を伝達する絶縁素子7とされ、他方は、第1回路領域A1から第2回路領域A2に信号(具体的には、スイッチング素子3に設けられた検出回路の検出結果を表す信号)を伝達する絶縁素子7とされる。なお、1つの接続部材6が、1つの絶縁素子7と1つのトランス8とを備える構成としてもよい。
【0042】
図3に示すように、複数の接続部材6の全てにおいて、トランス8(本例では、トランス8の全体)が、絶縁素子7(本例では、2つの絶縁素子7、以下同様)よりも基板本体部40の外縁40a側に配置されている。本実施形態では、複数の接続部材6の全てにおいて、トランス8と絶縁素子7とが、いずれかの辺部41に沿う方向に並んで配置されている。
【0043】
具体的には、3つの第1対象領域A11のそれぞれに対して設けられた接続部材6(第1接続部材61)においては、トランス8が絶縁素子7よりも第1側Y1に位置するように、トランス8と絶縁素子7とが短辺方向Yに並んで配置されている。すなわち、第1接続部材61が備える絶縁素子7を第1絶縁素子71とし、第1接続部材61が備えるトランス8を第1トランス81として、複数の第1接続部材61の全てにおいて、第1トランス81が第1絶縁素子71よりも第1側Y1に位置するように、第1トランス81と第1絶縁素子71とが短辺方向Yに並んで配置されている。図3に示すように(図4も参照)、3つの第1接続部材61には、第2部分A22と第1対象領域A11(具体的には、第2部分A22に対して絶縁領域Bを挟んで第4側X2に隣接する第1対象領域A11)とを接続する第1接続部材61と、第3部分A23と第1対象領域A11(具体的には、第3部分A23に対して絶縁領域Bを挟んで第4側X2に隣接する第1対象領域A11)とを接続する第1接続部材61と、第4部分A24と第1対象領域A11(具体的には、第4部分A24に対して絶縁領域Bを挟んで第4側X2に隣接する第1対象領域A11)とを接続する第1接続部材61と、が含まれる。
【0044】
また、3つの第2対象領域A12のそれぞれに対して設けられた接続部材6(第2接続部材62)においては、トランス8が絶縁素子7よりも第2側Y2に位置するように、トランス8と絶縁素子7とが短辺方向Yに並んで配置されている。すなわち、第2接続部材62が備える絶縁素子7を第2絶縁素子72とし、第2接続部材62が備えるトランス8を第2トランス82として、複数の第2接続部材62の全てにおいて、第2トランス82が第2絶縁素子72よりも第2側Y2に位置するように、第2トランス82と第2絶縁素子72とが短辺方向Yに並んで配置されている。図3に示すように(図4も参照)、3つの第2接続部材62には、第5部分A25と第2対象領域A12(具体的には、第5部分A25に対して絶縁領域Bを挟んで第3側X1に隣接する第2対象領域A12)とを接続する第2接続部材62と、第6部分A26と第2対象領域A12(具体的には、第6部分A26に対して絶縁領域Bを挟んで第3側X1に隣接する第2対象領域A12)とを接続する第2接続部材62と、第7部分A27と第2対象領域A12(具体的には、第7部分A27に対して絶縁領域Bを挟んで第3側X1に隣接する第2対象領域A12)とを接続する第2接続部材62と、が含まれる。
【0045】
図3に示すように、本実施形態では、3つの第1トランス81が、長辺方向Xにおいて、4つの第1被支持部51によって区画された3つの領域(第1領域51a)に分かれて配置され、3つの第2トランス82が、長辺方向Xにおいて、4つの第2被支持部52によって区画された3つの領域(第2領域52a)に分かれて配置されている。図3に示す例では、第1トランス81のそれぞれは、第1領域51aにおける長辺方向Xの中央部(ここでは、長辺方向Xの中心位置)に配置され、第2トランス82のそれぞれは、第2領域52aにおける長辺方向Xの中央部(ここでは、長辺方向Xの中心位置)に配置されている。
【0046】
図3に示すように、本実施形態では、第1対象領域A11のそれぞれは、第1接続部材61を介して第2回路領域A2と接続される部分から第4側X2に延びるように形成されている。そして、第1対象領域A11における第4側X2の端部に、複数の接続部24が設けられている。また、本実施形態では、第2対象領域A12のそれぞれは、第2接続部材62を介して第2回路領域A2と接続される部分から第3側X1に延びるように形成されている。そして、第2対象領域A12における第3側X1の端部に、複数の接続部24が設けられている。すなわち、本実施形態では、第1対象領域A11と第2対象領域A12とは、接続部材6を介して第2回路領域A2と接続される部分から長辺方向Xの互いに反対側に延びるように形成されている。
【0047】
そして、本実施形態では、1つの第1対象領域A11に対して設けられた接続部材6(第1接続部材61)と、1つの第2対象領域A12(例えば、当該第1対象領域A11に接続される第1スイッチング素子31と同じ相の第2スイッチング素子32に接続される第2対象領域A12)に対して設けられた接続部材6(第2接続部材62)とが、長辺方向Xの同じ位置に配置されている。すなわち、1つの第1対象領域A11に対して設けられた第1接続部材61が、1つの第2対象領域A12に対して設けられた第2接続部材62に対して第1側Y1において、当該第2接続部材62と長辺方向Xの同じ位置に配置されている。図3に示す例では、複数の第1接続部材61のそれぞれが、いずれかの第2接続部材62と長辺方向Xの同じ位置に配置されている。
【0048】
また、本実施形態では、第1回路領域A1のそれぞれに、複数の接続部24が短辺方向Yに沿って一列に並ぶように設けられている。そして、上述したように、複数の接続部材6の全てにおいて、トランス8と絶縁素子7とが短辺方向Yに並んで配置されている。すなわち、本実施形態では、第1回路領域A1のそれぞれに、複数の接続部24が、規定の配列方向Dに沿って一列に並ぶように設けられ、複数の接続部材6の全てにおいて、トランス8と絶縁素子7とが配列方向Dに並んで配置されている。これにより、駆動回路2を介して絶縁素子7と接続部24とを接続するように第1回路領域A1に設けられる信号伝達経路を、直線状に近い経路とすることが容易となっている。具体的には、第1駆動回路21を介して第1絶縁素子71と接続部24とを接続するように第1対象領域A11に設けられる信号伝達経路や、第2駆動回路22を介して第2絶縁素子72と接続部24とを接続するように第2対象領域A12に設けられる信号伝達経路を、直線状に近い経路とすることが容易となっている。
【0049】
〔その他の実施形態〕
次に、制御基板のその他の実施形態について説明する。
【0050】
(1)上記の実施形態では、第1対象領域A11と第2対象領域A12とが、接続部材6を介して第2回路領域A2と接続される部分から長辺方向Xの互いに反対側に延びるように形成される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第1対象領域A11と第2対象領域A12とが、接続部材6を介して第2回路領域A2と接続される部分から長辺方向Xの互いに同じ側に延びるように形成される構成とすることもできる。
【0051】
(2)上記の実施形態では、1つの第1対象領域A11に対して設けられた接続部材6と、1つの第2対象領域A12に対して設けられた接続部材6とが、長辺方向Xの同じ位置に配置される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、1つの第1対象領域A11に対して設けられた接続部材6が、いずれの第2対象領域A12に対して設けられた接続部材6に対しても、長辺方向Xの異なる位置に配置される構成とすることもできる。
【0052】
(3)上記の実施形態では、第1回路領域A1のそれぞれに、複数の接続部24が、規定の配列方向Dに沿って一列に並ぶように設けられ、複数の接続部材6の全てにおいて、トランス8と絶縁素子7とが配列方向Dに並んで配置される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、複数の接続部材6の少なくとも一部において、トランス8と絶縁素子7とが配列方向Dに交差する方向に並んで配置される構成とすることもできる。
【0053】
(4)上記の実施形態では、基板本体部40に6つの第1回路領域A1が配置される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、基板本体部40に配置される第1回路領域A1の数は適宜変更することができる。例えば、基板本体部40に、2つの第1対象領域A11及び2つの第2対象領域A12を含む4つの第1回路領域A1が配置される構成とすることができる。
【0054】
(5)上記の実施形態では、複数の接続部材6の全てにおいて、トランス8と絶縁素子7とが、いずれかの辺部41に沿う方向に並んで配置される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、少なくともいずれかの接続部材6において、トランス8と絶縁素子7とが、いずれの辺部41にも沿わない方向に並んで配置される構成とすることもできる。
【0055】
(6)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0056】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した制御基板の概要について説明する。
【0057】
複数のスイッチング素子(3)を備えたインバータ(100)を制御する制御基板(1)であって、複数の前記スイッチング素子(3)のうちの対応する前記スイッチング素子(3)をそれぞれ駆動する複数の駆動回路(2)と、複数の前記駆動回路(2)のそれぞれに供給される信号及び電力を伝達する伝達回路(20)と、板状の基板本体部(40)に形成された領域であって、前記駆動回路(2)がそれぞれ設けられた複数の第1回路領域(A1)と、前記伝達回路(20)が設けられた第2回路領域(A2)と、複数の前記第1回路領域(A1)のそれぞれと前記第2回路領域(A2)との間を電気的に絶縁する絶縁領域(B)と、を備え、前記絶縁領域(B)を跨ぐように配置されて前記第1回路領域(A1)と前記第2回路領域(A2)とを接続する接続部材(6)が、複数の前記第1回路領域(A1)のそれぞれに対して設けられ、前記接続部材(6)は、前記第1回路領域(A1)と前記第2回路領域(A2)との間を電気的に絶縁しつつ前記第1回路領域(A1)と前記第2回路領域(A2)との間で前記信号を伝達する絶縁素子(7)と、前記第1回路領域(A1)と前記第2回路領域(A2)との間を電気的に絶縁しつつ前記第1回路領域(A1)と前記第2回路領域(A2)との間で前記電力を伝達するトランス(8)と、を備え、複数の前記接続部材(6)の全てにおいて、前記トランス(8)が、前記絶縁素子(7)よりも前記基板本体部(40)の外縁(40a)側に配置されている。
【0058】
基板本体部(40)の中央部(M)に、支持部材(101)に支持される被支持部(50)が設けられない場合、基板本体部(40)の撓みによる変位は中央部(M)において大きくなりやすい。本構成では、複数の接続部材(6)の全てにおいて、トランス(8)が絶縁素子(7)よりも基板本体部(40)の外縁(40a)側に配置されるため、絶縁素子(7)に比べて一般に重い部品とされるトランス(8)の全てを、基板本体部(40)における撓みによる変位が大きくなりやすい中央部(M)から離して配置することが可能となっている。この結果、振動が生じる環境下で制御基板(1)が用いられる場合であっても、変位の大きな撓みを伴う振動(例えば、共振)が基板本体部(40)に発生し難いようにして、制御基板(1)の耐振動性の向上を図ることができる。なお、本構成では、支持部材(101)に支持される被支持部(50)を基板本体部(40)の中央部(M)に設ける必要はないため、基板本体部(40)の大型化やコストの増加を抑制しつつ、制御基板(1)の耐振動性の向上を図ることが可能となっている。
【0059】
ここで、前記基板本体部(40)の外縁部(E)に、支持部材(101)に支持される被支持部(50)が設けられていると好適である。
【0060】
上記のように、本開示の制御基板(1)では、トランス(8)が絶縁素子(7)よりも基板本体部(40)の外縁(40a)側に配置されるため、トランス(8)は、基板本体部(40)における外縁部(E)或いはそれに近い部分に配置される。本構成では、基板本体部(40)の外縁部(E)に被支持部(50)が設けられるため、基板本体部(40)の撓みによる変位は、外縁部(E)やそれに近い部分において小さくなる。従って、本構成では、トランス(8)を、基板本体部(40)における撓みによる変位が小さく抑えられた部分に配置することができ、制御基板(1)の耐振動性の向上を図りやすくなっている。
【0061】
また、前記基板本体部(40)は、平面視で4つの辺部(41)を備える矩形状に形成され、複数の前記接続部材(6)の全てにおいて、前記トランス(8)と前記絶縁素子(7)とが、いずれかの前記辺部(41)に沿う方向に並んで配置されていると好適である。
【0062】
トランス(8)と絶縁素子(7)との並び方向に沿う辺部(41)に交差する辺部(41)を対象辺部として、本構成によれば、接続部材(6)のそれぞれにおいて、トランス(8)を、絶縁素子(7)よりも対象辺部が構成する外縁(40a)側に配置することができる。よって、複数の接続部材(6)の全てにおいて、トランス(8)を、絶縁素子(7)よりも基板本体部(40)の外縁(40a)側に配置しやすくなる。
【0063】
上記のように、前記トランス(8)と前記絶縁素子(7)とが、いずれかの前記辺部(41)に沿う方向に並んで配置されている構成において、4つの前記辺部(41)には、互いに平行な2つの長辺部(42)と、互いに平行な2つの短辺部(43)とが含まれ、2つの前記長辺部(42)に沿う方向を長辺方向(X)とし、2つの前記短辺部(43)に沿う方向を短辺方向(Y)として、前記基板本体部(40)には6つの前記第1回路領域(A1)が配置され、6つの前記第1回路領域(A1)のうちの3つを第1対象領域(A11)とし、残りの3つを第2対象領域(A12)として、3つの前記第1対象領域(A11)が、前記長辺方向(X)に並んで配置されていると共に、3つの前記第2対象領域(A12)に対して前記短辺方向(Y)の一方側である第1側(Y1)に配置され、3つの前記第2対象領域(A12)が、前記長辺方向(X)に並んで配置されていると共に、3つの前記第1対象領域(A11)に対して前記短辺方向(Y)の他方側である第2側(Y2)に配置され、3つの前記第1対象領域(A11)のそれぞれに対して設けられた前記接続部材(6)においては、前記トランス(8)が前記絶縁素子(7)よりも前記第1側(Y1)に位置するように、前記トランス(8)と前記絶縁素子(7)とが前記短辺方向(Y)に並んで配置され、3つの前記第2対象領域(A12)のそれぞれに対して設けられた前記接続部材(6)においては、前記トランス(8)が前記絶縁素子(7)よりも前記第2側(Y2)に位置するように、前記トランス(8)と前記絶縁素子(7)とが前記短辺方向(Y)に並んで配置されていると好適である。
【0064】
3つの第1対象領域(A11)及び3つの第2対象領域(A12)を含む6つの第1回路領域(A1)が上記のように配置される場合、通常、第1対象領域(A11)は、第2側(Y2)の長辺部(42)からの離間距離よりも第1側(Y1)の長辺部(42)からの離間距離が短くなるように配置され、第2対象領域(A12)は、第1側(Y1)の長辺部(42)からの離間距離よりも第2側(Y2)の長辺部(42)からの離間距離が短くなるように配置される。本構成では、3つの第1対象領域(A11)のそれぞれに対して設けられた接続部材(6)においては、トランス(8)が絶縁素子(7)よりも第1側(Y1)に位置するように、トランス(8)と絶縁素子(7)とが短辺方向(Y)に並んで配置されるため、3つの第1対象領域(A11)に対して設けられた接続部材(6)の全てにおいて、トランス(8)を、絶縁素子(7)よりも基板本体部(40)の外縁(40a)側に(具体的には、第1側(Y1)の長辺部(42)が構成する外縁(40a)側に)配置することができる。また、本構成では、3つの第2対象領域(A12)のそれぞれに対して設けられた接続部材(6)においては、トランス(8)が絶縁素子(7)よりも第2側(Y2)に位置するように、トランス(8)と絶縁素子(7)とが短辺方向(Y)に並んで配置されるため、3つの第2対象領域(A12)に対して設けられた接続部材(6)の全てにおいて、トランス(8)を、絶縁素子(7)よりも基板本体部(40)の外縁(40a)側に(具体的には、第2側(Y2)の長辺部(42)が構成する外縁(40a)側に)配置することができる。
【0065】
上記のように、3つの前記第1対象領域(A11)のそれぞれに対して設けられた前記接続部材(6)においては、前記トランス(8)が前記絶縁素子(7)よりも前記第1側(Y1)に位置するように、前記トランス(8)と前記絶縁素子(7)とが前記短辺方向(Y)に並んで配置され、3つの前記第2対象領域(A12)のそれぞれに対して設けられた前記接続部材(6)においては、前記トランス(8)が前記絶縁素子(7)よりも前記第2側(Y2)に位置するように、前記トランス(8)と前記絶縁素子(7)とが前記短辺方向(Y)に並んで配置されている構成において、前記基板本体部(40)の外縁部(E)に、支持部材(101)に支持される被支持部(50)が設けられ、前記被支持部(50)は、前記基板本体部(40)の前記第1側(Y1)の外縁部(E)において前記長辺方向(X)に並んで配置された4つの第1被支持部(51)と、前記基板本体部(40)の前記第2側(Y2)の外縁部(E)において前記長辺方向(X)に並んで配置された4つの第2被支持部(52)と、を備え、前記第1対象領域(A11)に対して設けられた前記接続部材(6)が備える前記トランス(8)を第1トランス(81)とし、前記第2対象領域(A12)に対して設けられた前記接続部材(6)が備える前記トランス(8)を第2トランス(82)として、3つの前記第1トランス(81)が、前記長辺方向(X)において、4つの前記第1被支持部(51)によって区画された3つの領域(51a)に分かれて配置され、3つの前記第2トランス(82)が、前記長辺方向(X)において、4つの前記第2被支持部(52)によって区画された3つの領域(52a)に分かれて配置されていると好適である。
【0066】
本構成では、3つの第1トランス(81)が、長辺方向(X)において、4つの第1被支持部(51)によって区画された3つの領域(51a)に分かれて配置されるため、3つの第1トランス(81)の重量を、4つの第1被支持部(51)に適切に分散させて支持部材(101)に支持させることができる。また、本構成では、3つの第2トランス(82)が、長辺方向(X)において、4つの第2被支持部(52)によって区画された3つの領域(52a)に分かれて配置されるため、3つの第2トランス(82)の重量を、4つの第2被支持部(52)に適切に分散させて支持部材(101)に支持させることができる。よって、本構成によれば、振動が生じる環境下で制御基板(1)が用いられる場合であっても、制御基板(1)の耐振動性を適切に確保しやすくなる。
【0067】
また、1つの前記第1対象領域(A11)に対して設けられた前記接続部材(6)と、1つの前記第2対象領域(A12)に対して設けられた前記接続部材(6)とが、前記長辺方向(X)の同じ位置に配置されていると好適である。
【0068】
本構成によれば、基板本体部(40)における3つの第1対象領域(A11)が配置された部分と、基板本体部(40)における3つの第2対象領域(A12)が配置された部分との間で、振動に対する耐性が同程度となるように、第1対象領域(A11)及び第2対象領域(A12)のそれぞれに対して接続部材(6)を配置しやすくなる。
【0069】
上記の各構成の制御基板(1)において、前記第1回路領域(A1)のそれぞれに、前記スイッチング素子(3)の接続端子(10)にそれぞれ接続される複数の接続部(24)が、規定の配列方向(D)に沿って一列に並ぶように設けられ、複数の前記接続部材(6)の全てにおいて、前記トランス(8)と前記絶縁素子(7)とが前記配列方向(D)に並んで配置されていると好適である。
【0070】
本構成によれば、トランス(8)と絶縁素子(7)とが、配列方向(D)に交差する方向(例えば、配列方向(D)に直交する方向)に並べて配置される場合に比べて、駆動回路(2)を介して絶縁素子(7)と接続部(24)とを接続するように第1回路領域(A1)に設けられる信号伝達経路を、直線状に近い経路とすることが容易となる。よって、当該信号伝達経路の長さを短く抑えてインダクタンスの低減を図りやすい。
【0071】
また、前記第2回路領域(A2)は、複数の前記第1回路領域(A1)の全てに対して前記絶縁領域(B)を挟んで隣接するように、前記基板本体部(40)の中央部(M)を含む領域に形成されていると好適である。
【0072】
本構成によれば、複数の第1回路領域(A1)が基板本体部(40)における中央部(M)の周囲に分散配置される場合に、基板本体部(40)の中央部(M)を利用して、複数の第1回路領域(A1)の全てに対して絶縁領域(B)を挟んで隣接するように第2回路領域(A2)を形成することができる。上述したように、本開示の制御基板(1)では、支持部材(101)に支持される被支持部(50)を基板本体部(40)の中央部(M)に設ける必要はないため、基板本体部(40)の大型化を抑制しつつ、基板本体部(40)の中央部(M)を含む領域に第2回路領域(A2)を形成することが可能となっている。
【0073】
上記のように前記第2回路領域(A2)が前記基板本体部(40)の中央部(M)を含む領域に形成されている構成において、前記基板本体部(40)における前記中央部(M)を避けた位置に、支持部材(101)に支持される被支持部(50)が設けられていると好適である。
【0074】
本構成によれば、支持部材(101)に支持される被支持部(50)が基板本体部(40)の中央部(M)に設けられる場合に比べて基板本体部(40)の小型化を図りつつ、基板本体部(40)の中央部(M)を含む領域に第2回路領域(A2)を形成することができる。
【0075】
本開示に係る制御基板は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0076】
1:制御基板
2:駆動回路
3:スイッチング素子
6:接続部材
7:絶縁素子
8:トランス
10:接続端子
20:伝達回路
24:接続部
40:基板本体部
40a:外縁
41:辺部
42:長辺部
43:短辺部
50:被支持部
51:第1被支持部
51a:第1領域(第1被支持部によって区画された領域)
52:第2被支持部
52a:第2領域(第2被支持部によって区画された領域)
81:第1トランス
82:第2トランス
100:インバータ
101:支持部材
A1:第1回路領域
A2:第2回路領域
A11:第1対象領域
A12:第2対象領域
B:絶縁領域
D:配列方向
E:外縁部
M:中央部
X:長辺方向
Y:短辺方向
Y1:第1側
Y2:第2側
図1
図2
図3
図4