IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マキタの特許一覧

<>
  • 特許-エアコンプレッサ 図1
  • 特許-エアコンプレッサ 図2
  • 特許-エアコンプレッサ 図3
  • 特許-エアコンプレッサ 図4
  • 特許-エアコンプレッサ 図5
  • 特許-エアコンプレッサ 図6
  • 特許-エアコンプレッサ 図7
  • 特許-エアコンプレッサ 図8
  • 特許-エアコンプレッサ 図9
  • 特許-エアコンプレッサ 図10
  • 特許-エアコンプレッサ 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】エアコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
   F04B 41/02 20060101AFI20231006BHJP
【FI】
F04B41/02 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019199074
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021071098
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】寺本 真輝人
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 智弘
(72)【発明者】
【氏名】西土 典之
(72)【発明者】
【氏名】神田 圭
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】実開平1-139092(JP,U)
【文献】特開昭54-102604(JP,A)
【文献】特開平8-270556(JP,A)
【文献】実開昭59-167976(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎絶縁が施されたモータと、
前記モータにより駆動する空気圧縮部と、
前記空気圧縮部に接続され、前記空気圧縮部により圧縮された空気を貯蔵するタンクと、
前記タンクからの圧縮空気を吐出するための吐出口と、を含み、
前記モータ、前記空気圧縮部、前記タンク、前記吐出口を、外部に対して電気絶縁したことを特徴とするエアコンプレッサ。
【請求項2】
基礎絶縁が施されたモータと、
前記モータにより駆動する空気圧縮部と、
前記空気圧縮部に接続され、前記空気圧縮部により圧縮された空気を貯蔵するタンクと、
前記タンクからの圧縮空気を吐出するための吐出口と、を含み、
前記モータ、前記空気圧縮部、前記タンク、前記吐出口を外部に対して電気絶縁する複数の絶縁部材を有することを特徴とするエアコンプレッサ。
【請求項3】
基礎絶縁が施されたモータと、
前記モータにより駆動する空気圧縮部と、
前記空気圧縮部に接続され、前記空気圧縮部により圧縮された空気を貯蔵するタンクと、
前記タンクからの圧縮空気を吐出するための吐出口と、を含み、
前記モータ、前記空気圧縮部、前記タンクと、前記吐出口との間を電気絶縁したことを特徴とするエアコンプレッサ。
【請求項4】
前記電気絶縁は、前記モータ、前記空気圧縮部、前記タンクを樹脂製の外ハウジングで覆うと共に、前記吐出口と前記タンクとの間に絶縁ブッシュを介在させることで行うことを特徴とする請求項1又は3に記載のエアコンプレッサ。
【請求項5】
前記絶縁部材は、前記モータ、前記空気圧縮部、前記タンクを覆う樹脂製の外ハウジングと、前記吐出口と前記タンクとの間に介在される絶縁ブッシュとを含むことを特徴とする請求項2に記載のエアコンプレッサ。
【請求項6】
前記外ハウジングは、前記タンクが載置される下ハウジングと、前記下ハウジングに上方から組み付けられる上ハウジングとを含んでなることを特徴とする請求項4又は5に記載のエアコンプレッサ。
【請求項7】
前記下ハウジングと前記上ハウジングとは、ネジによって組み付けられると共に、前記外ハウジング内での前記ネジの露出部分は、樹脂製のカバーによって覆われていることを特徴とする請求項6に記載のエアコンプレッサ。
【請求項8】
前記下ハウジングと前記上ハウジングとの組み付けは、前記外ハウジング内に位置決めされた取付金具に、前記下ハウジングを貫通した前記ネジと、前記上ハウジングを貫通した前記ネジとをそれぞれねじ込むことで行われることを特徴とする請求項7に記載のエアコンプレッサ。
【請求項9】
前記取付金具も前記カバーによって覆われていることを特徴とする請求項8に記載のエアコンプレッサ。
【請求項10】
前記取付金具の位置決めは、前記下ハウジングに設けられて上面を開口する枠部に前記取付金具を挿入することで行われることを特徴とする請求項8又は9に記載のエアコンプレッサ。
【請求項11】
前記下ハウジングは、底板と、前記底板の外周に立ち上げ形成される側板とを含み、前記枠部は、前記側板の内側に形成されることを特徴とする請求項10に記載のエアコンプレッサ。
【請求項12】
前記取付金具は、前記枠部内の底面に沿って形成される下板と、前記側板に沿って形成される縦板とからなるL字状で、前記下ハウジングを貫通した前記ネジが前記下板に、前記上ハウジングを貫通した前記ネジが前記縦板にそれぞれねじ込まれることを特徴とする請求項11に記載のエアコンプレッサ。
【請求項13】
前記カバーは、前記取付金具の上方から前記枠部に嵌合されることを特徴とする請求項10乃至12の何れかに記載のエアコンプレッサ。
【請求項14】
前記ネジによる前記下ハウジングと前記上ハウジングとの組み付けは、複数箇所で行われることを特徴とする請求項7乃至13の何れかに記載のエアコンプレッサ。
【請求項15】
前記上ハウジングは、複数の分割ハウジングを組み付けてなることを特徴とする請求項6乃至14の何れかに記載のエアコンプレッサ。
【請求項16】
前記吐出口は、前記外ハウジングに設けた透孔を介して外部に露出していることを特徴とする請求項6乃至15の何れかに記載のエアコンプレッサ。
【請求項17】
前記外ハウジングには、持ち運び用のハンドルが設けられていることを特徴とする請求項4乃至16の何れかに記載のエアコンプレッサ。
【請求項18】
前記タンクと前記吐出口との間に、減圧弁と、前記減圧弁の圧力を調整可能な操作部材とが設けられて、前記操作部材は、前記外ハウジングに設けた透孔を介して外部に露出していることを特徴とする請求項4乃至17の何れかに記載のエアコンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータにより空気圧縮部を駆動させて圧縮空気をタンクに貯蔵するエアコンプレッサに関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンプレッサや電動工具等においては、モータ、コントローラ、その他の電材部品等の充電部に対し、基礎絶縁が施されている。例えば特許文献1に開示される刈払機では、ブラシレスモータのステータコアの各ティースとコイルとの間に、インシュレータを介在させて基礎絶縁が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-93132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、エアコンプレッサでは、モータや空気圧縮部を収容する金属製のハウジングや金属製のタンクが露出するため、絶縁性能を高めるのが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、絶縁性能を高めたエアコンプレッサを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基礎絶縁が施されたモータと、
モータにより駆動する空気圧縮部と、
空気圧縮部に接続され、空気圧縮部により圧縮された空気を貯蔵するタンクと、
タンクからの圧縮空気を吐出するための吐出口と、を含み、
モータ、空気圧縮部、タンク、吐出口を、外部に対して電気絶縁したことを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、基礎絶縁が施されたモータと、
モータにより駆動する空気圧縮部と、
空気圧縮部に接続され、空気圧縮部により圧縮された空気を貯蔵するタンクと、
タンクからの圧縮空気を吐出するための吐出口と、を含み、
モータ、空気圧縮部、タンク、吐出口を外部に対して電気絶縁する複数の絶縁部材を有することを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、基礎絶縁が施されたモータと、
モータにより駆動する空気圧縮部と、
空気圧縮部に接続され、空気圧縮部により圧縮された空気を貯蔵するタンクと、
タンクからの圧縮空気を吐出するための吐出口と、を含み、
モータ、空気圧縮部、タンクと、吐出口との間を電気絶縁したことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、上記構成において、電気絶縁は、モータ、空気圧縮部、タンクを樹脂製の外ハウジングで覆うと共に、吐出口とタンクとの間に絶縁ブッシュを介在させることで行うことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、上記構成において、絶縁部材は、モータ、空気圧縮部、タンクを覆う樹脂製の外ハウジングと、吐出口とタンクとの間に介在される絶縁ブッシュとを含むことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、上記構成において、外ハウジングは、タンクが載置される下ハウジングと、下ハウジングに上方から組み付けられる上ハウジングとを含んでなることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、上記構成において、下ハウジングと上ハウジングとは、ネジによって組み付けられると共に、外ハウジング内でのネジの露出部分は、樹脂製のカバーによって覆われていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、上記構成において、下ハウジングと上ハウジングとの組み付けは、外ハウジング内に位置決めされた取付金具に、下ハウジングを貫通したネジと、上ハウジングを貫通したネジとをそれぞれねじ込むことで行われることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、上記構成において、取付金具もカバーによって覆われていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、上記構成において、取付金具の位置決めは、下ハウジングに設けられて上面を開口する枠部に取付金具を挿入することで行われることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、上記構成において、下ハウジングは、底板と、底板の外周に立ち上げ形成される側板とを含み、枠部は、側板の内側に形成されることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、上記構成において、取付金具は、枠部内の底面に沿って形成される下板と、側板に沿って形成される縦板とからなるL字状で、下ハウジングを貫通したネジが下板に、上ハウジングを貫通したネジが縦板にそれぞれねじ込まれることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、上記構成において、カバーは、取付金具の上方から枠部に嵌合されることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、上記構成において、ネジによる下ハウジングと上ハウジングとの組み付けは、複数箇所で行われることを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、上記構成において、上ハウジングは、複数の分割ハウジングを組み付けてなることを特徴とする。
請求項16に記載の発明は、上記構成において、吐出口は、外ハウジングに設けた透孔を介して外部に露出していることを特徴とする。
請求項17に記載の発明は、上記構成において、外ハウジングには、持ち運び用のハンドルが設けられていることを特徴とする。
請求項18に記載の発明は、上記構成において、タンクと吐出口との間に、減圧弁と、減圧弁の圧力を調整可能な操作部材とが設けられて、操作部材は、外ハウジングに設けた透孔を介して外部に露出していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基礎絶縁に加えて、モータや空気圧縮部、タンク等の内部金属が外部に対して電気絶縁された二重絶縁構造となる。よって、絶縁性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】エアコンプレッサの右側からの斜視図である。
図2】エアコンプレッサの左側からの斜視図である。
図3】エアコンプレッサの正面図である。
図4】外ハウジングを分解した斜視図である。
図5図3のA-A線断面図である。
図6図3のB-B線断面図である。
図7】取り出し管の絶縁構造を示す縦断面図である。
図8】外部接続口の絶縁構造を示す縦断面図である。
図9】上ハウジングの合わせ部分の拡大断面図である。
図10】下ハウジングと上ハウジングとのネジ止め部分の拡大断面図である。
図11】取り出し管の絶縁構造の変更例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、エアコンプレッサの一例を示す斜視図、図3は正面図である。図4は、外ハウジングを分解した斜視図である。図5図3のA-A線断面図、図6はB-B線断面図である。
このエアコンプレッサ1では、タンク2B側を前、タンク2A側を後、タンク2A,2Bの長手方向を左右方向として説明する。
エアコンプレッサ1は、一対のタンク2A,2Bと、一対の基台3,3と、本体部4と、外ハウジング5とを備えている。タンク2A,2B、基台3,3、本体部4の内ハウジング6は、金属製である。外ハウジング5は樹脂製である。
タンク2A,2Bは、左右方向に延び、互いに平行且つ水平に支持される。タンク2A,2Bは、接続管7によって直列に接続されて同じ内圧となる。基台3,3は、タンク2A,2Bの上側でタンク2A,2Bに跨がって前後方向に固定されている。本体部4は、基台3,3上に固定されている。
【0010】
本体部4は、筒状の内ハウジング6内に、モータ10と、2つの空気圧縮部11A,11Bとを有している。内ハウジング6は、基台3,3上で軸線が前後方向となる姿勢で支持される。空気圧縮部11A,11Bは、内ハウジング6からそれぞれ左右方向へ突出している。空気圧縮部11Aと空気圧縮部11Bとの間には、配管12が接続され、空気圧縮部11Bとタンク2Aとの間には、配管13が接続されている。
図5,6に示すように、モータ10は、ステータ15とロータ16とを備える。ステータ15は、内ハウジング6の前側に形成された筒部8に固定される。ロータ16は、ステータ15の外側に配置されて内ハウジング6へ回転可能に支持される。モータ10は、アウタロータ型のブラシレスモータである。
ステータ15は、ステータコア17と、複数のインシュレータ18,18・・と、複数のコイル19,19・・とを備えている。インシュレータ18によりステータコア17とコイル19とが絶縁(基礎絶縁)される。
ステータコア17は、磁性材料で形成されている。ステータコア17は、リング状の基部20と、基部20から放射状に突設される複数のティース21,21・・とを備えている。
【0011】
各インシュレータ18は、樹脂材料で形成されて各ティース21を被覆した状態で固定されている。各インシュレータ18は、基部20の前後面を覆う樹脂製の被覆部22とそれぞれ一体的に繋がっている。被覆部22には、各コイル19の内側で外リング23と内リング24とが同心円上に形成されている。外リング23は、コイル19よりも前後に長く形成されている。
ステータコア17の後側には、円弧状のセンサ回路基板25が設けられている。センサ回路基板25は、インシュレータ18及び外リング23を介して支持されている。センサ回路基板25は、ロータ16に設けた後述するマグネット38の磁界を検出する回転検出素子(図示略)を備えている。
各コイル19は、U相、V相、W相の各相が、それぞれ4つのティース21,21・・にインシュレータ18を介してワイヤを巻回することで形成されている。コイル19は、後述するコントローラ65と三相の電源線を介して接続されている。
【0012】
ロータ16は、回転軸30と、ロータコア31と、連結筒33とを有する。回転軸30は、磁性材料で形成され、内ハウジング6の内部中心で軸受32,32を介して支持される。ロータコア31は、回転軸30の前端に連結される大径のカップ状となっている。
回転軸30は、前後両端を内ハウジング6から突出させている。回転軸30の前端には、連結筒33がボルトによって同軸で一体に連結されている。連結筒33の外周には、フランジ34が周設されている。ロータコア31を貫通する連結筒33の前端には、ファン35が一体に固定されている。内ハウジング6から突出する回転軸30の後端にもファン36が一体に固定されている。
ロータコア31は、連結筒33のフランジ34に前方からボルトにより連結される。ロータコア31は、ステータコア17の外側に半径方向でオーバーラップする周壁部37を有している。各ティース21の外側に位置する周壁部37の内周には、円筒状のマグネット38が配置されている。マグネット38は、N極とS極とが交互に表れるように着磁されている。
【0013】
内ハウジング6内で回転軸30には、前後一対のカム40,40が一体に固定されている。カム40,40は、回転軸30の軸回りで180°の位相をずらして偏心させている。各カム40には、軸受41を介してカムリング42が外装されている。
空気圧縮部11A,11Bは、内ハウジング6から左右に突出するシリンダ43,43を備えている。各シリンダ43は、ピストン44を収容している。カムリング42は、コネクティングロッド45を介してピストン44と結合されている。各シリンダ43には、ピストン44を収容するシリンダ室46が形成されている。
回転軸30が回転すると、各カム40が偏心運動する。よって、コネクティングロッド45を介して、回転軸30の回転運動が、シリンダ43,43におけるピストン44,44の往復運動に変換される。ピストン44,44は、カム40,40によって互いに逆となるタイミングで往復運動する。こうして空気圧縮部11A,11Bは、ピストン44,44の往復運動により、シリンダ室46,46の空気を交互に圧縮してタンク2A,2Bに圧縮空気を供給する。具体的には、まず外気圧が空気圧縮部11A側のシリンダ室46で圧縮される。その圧縮空気が配管12を介して空気圧縮部11B側のシリンダ室46に送られてさらに圧縮される。その圧縮空気が配管13を介してタンク2Aに送られ、接続管7を介してタンク2Bに送られる。
【0014】
本体部4の右側でタンク2A,2Bには、空気圧の取り出し管50A,50Bが接続されている。図7は、前側の取り出し管50B部分の縦断面を示す。取り出し管50Aも同じ構造である。取り出し管50A,50Bには、それぞれ減圧弁51,51(図示略)が設けられている。減圧弁51,51の上端には、操作部材である調整ノブ52,52が設けられている。調整ノブ52の回転操作により、取り出せる空気圧を所定範囲内で調整可能となっている。ここでは前側の取り出し管50Bが高圧用、後側の取り出し管50Aが一般圧用となっている。
減圧弁51の下流側(二次側)で取り出し管50A,50Bには、カプラマニホールド53,53が取り付けられている。各カプラマニホールド53には、エアホース接続用のジョイント54,54が上下に一対設けられている。
取り出し管50A,50Bとタンク2A,2Bの接続口56,56との間には、筒状の樹脂ブッシュ55,55が介在されている。ここでは樹脂ブッシュ55,55の下端をタンク2A,2Bの接続口56にねじ込み、樹脂ブッシュ55,55の上端に取り出し管50A,50Bの下端をねじ込んで接続している。樹脂ブッシュ55,55により、金属製のタンク2A,2Bと金属製の取り出し管50A,50Bとが電気絶縁される。
【0015】
タンク2A,2B同士を繋ぐ接続管7には、外部接続口60が設けられている。図8にも示すように、外部接続口60には、止め栓61がねじ込まれて、外部接続口60は閉塞されている。止め栓61を取り外すことで、外部接続口60に、増設タンクや別のエアコンプレッサからのエアホースが接続可能となっている。外部接続口60と止め栓61との間にも、筒状の樹脂ブッシュ62が介在されている。ここでは樹脂ブッシュ62の一端を外部接続口60にねじ込み、樹脂ブッシュ62の他端に止め栓61をねじ込んで接続している。樹脂ブッシュ62により、金属製の外部接続口60と金属製の止め栓61とが電気絶縁される。
タンク2A,2Bの間には、コントローラ65が設けられている。コントローラ65は、図5に示すように、基台3,3の下方に連結された左右方向の取付板66により、左右方向に延びる縦向き姿勢で支持されている。コントローラ65は、インバータ回路等を形成する制御回路基板67を保持している。制御回路基板67は、外ハウジング5の外面に設けられた操作パネル(図示略)の操作に伴い、モータ10を駆動させる。また、操作パネルでの運転モードの選択により、モータ10の回転数を制御し、運転状態を操作パネルに表示させる。コントローラ65の右側には、タンク2A内のドレンを排出するためのドレンコック68(図4,6)が設けられている。
【0016】
図1~4に示すように、外ハウジング5は、下ハウジング70と、上ハウジング71とを有している。下ハウジング70は、タンク2A,2Bの下側に配置されてタンク2A,2Bを下方から覆う。上ハウジング71は、下ハウジング70の上側に組み付けられてタンク2A,2B及び本体部4を上方から覆う。
下ハウジング70は、底板72と、側板73とを有している。底板72は、平面視でタンク2A,2Bが収まる外形を有する平面視矩形状である。側板73は、底板72の外周へ全周に亘って上向きに形成されている。側板73の上側部分は、全周に亘って外側へ広がる拡開部74となっている。底板72の下面で四隅には、平面視円形の脚75,75・・が取り付けられている。
上ハウジング71は、取り出し管50A,50Bの調整ノブ52,52とジョイント54,54、外部接続口60の止め栓61とを露出させる複数の透孔76,76・・を備えている。上ハウジング71の上部左右には、前後に延びる一対のハンドル77,77が設けられている。
【0017】
上ハウジング71は、前後方向の中央を境にして前後に2分割されている。分割ハウジングとなる半割ハウジング71a,71b同士は、左右方向の複数のネジ78,78・・によって互いに結合される。具体的には、図9に示すように、合わせ面同士の内側で、半割ハウジング71bに設けた複数の筒状のボス79,79・・を貫通させたネジ78を、半割ハウジング71aに設けた複数のネジボス80,80・・にねじ込むことで結合される。半割ハウジング71a,71bの合わせ面には、雨水対策のため、全長に亘ってOリング等のパッキン(図示略)が介在される。
上ハウジング71の下部は、下ハウジング70の側板73の外側を囲むように組み付けられる。上ハウジング71の下部には、図10に示すように、側板73の拡開部74の下端に下方から係止する下係止部81と、拡開部74の上端に上方から係止する上係止部82とが全周に亘って形成されている。
ここでは下係止部81と上係止部82との間に拡開部74を係止させた状態で、上ハウジング71と拡開部74とは、前後左右の各面外側からねじ込まれる複数のネジ83,83・・によって互いに結合される。
【0018】
ネジ83による結合は、図4,5及び図10に示すように、拡開部74の内側に形成される平面視四角形状の複数の枠部84と、各枠部84内に配置される取付金具85とを利用して行われる。
各枠部84は、底板72の上面に形成される複数の上げ底部86,86・・の上面に形成されている。
取付金具85は、上げ底部86の上側に位置する下板87と、拡開部74の内側に位置する縦板88とを有する側面視L字状である。下板87と縦板88とには、それぞれネジ孔89,89が直交状に形成されている。取付金具85は、枠部84に上方から挿入されて上げ底部86上で枠部84内に位置決めされる。
ここでは底板72の下方から、ワッシャー91を介して上げ底部86を貫通させたネジ90を、取付金具85の下板87のネジ孔89にねじ込む。すると、取付金具85は枠部84内で固定される。
次に、上ハウジング71の外側から、ワッシャー91を介して上ハウジング71を貫通させたネジ83を、取付金具85の縦板88のネジ孔89にねじ込む。すると、上ハウジング71は側板73に固定される。このとき上係止部82は、拡開部74を越えて上ハウジング71の内側へ突出し、縦板88の上方を覆う。
【0019】
各枠部84には、カバー95が設けられる。カバー95は、取付金具85の下板87の先端と縦板88の上端との間で側面視円弧状に形成される樹脂製である。カバー95の両側には、枠部84の内面に沿って下方へ折り曲げられる折曲片96,96が一体に形成されている。
カバー95は、取付金具85の上方から枠部84に嵌合させると、一端が、上係止部82の下方で縦板88の上端に当接し、他端が、枠部84の内側で下板87の先端に当接する。この状態で取付金具85及びネジ83,90はカバー95で覆われて外ハウジング5内に露出しない。
【0020】
以上の如く構成されたエアコンプレッサ1においては、下ハウジング70に取付金具85及びカバー95を取り付けた状態で、底板72にタンク2A,2B及び本体部4を載置する。次に、上ハウジング71を被せて上ハウジング71の下部を側板73の拡開部74に係止させて位置決めする。そして、上ハウジング71の外側からネジ83を取付金具85にねじ込む。すると、エアコンプレッサ1は、前述のように、透孔76を介して露出する調整ノブ52,52とジョイント54,54、止め栓61とを除いて全体が外ハウジング5に覆われる。調整ノブ52,52とジョイント54,54、止め栓61とは、前述のように樹脂ブッシュ55,62によって、タンク2A,2Bや内ハウジング6等の内部金属と電気絶縁されて外部金属となっている。
【0021】
エアコンプレッサ1を使用する際は、操作パネルに設けたモード切替ボタンで運転モードを選択した後、電源ボタンを押す。すると、電源がモータ10のステータ15の各コイル19へ供給されてロータ16が回転する。すなわち、コントローラ65の制御回路基板67が、センサ回路基板25の回転検出素子から出力されるロータ16のマグネット38の位置を示す回転検出信号を得てロータ16の回転状態を取得する。そして、取得した回転状態に応じて制御回路基板67が、搭載したFETのON/OFFを制御し、三相のコイル19へ順番に通電させることでロータ16を回転させる。
ロータ16が回転すると、回転軸30も一体に回転する。すると、前述のように空気圧縮部11A,11Bが駆動して、2段階に圧縮された圧縮空気がタンク2A,2Bへ供給される。タンク2A,2Bに貯留された圧縮空気は、ジョイント54,54に接続されたエアホースを介して取り出すことができる。
また、回転軸30の前後のファン35,36が回転し、外ハウジング5に設けた図示しない吸気口から外気を吸い込んで外ハウジング5内を通過させる。よって、モータ10や空気圧縮部11A,11Bを含む本体部4を冷却することができる。
【0022】
モータ10では、インシュレータ18によりステータコア17とコイル19との絶縁(基礎絶縁)が図られている。これに加え、全体が外ハウジング5に覆われて絶縁(付加絶縁)されているので、二重絶縁構造となる。特に、外ハウジング5を組み付けるネジ83,90も、カバー95によって覆われているので、タンク2A,2Bとの絶縁が確保される。また、露出させる必要がある調整ノブ52とジョイント54、止め栓61とは、樹脂ブッシュ55,62によって絶縁が確保されている。
よって、エアコンプレッサ1の絶縁性能を高めることができる。
【0023】
上記形態のエアコンプレッサ1は、インシュレータ18によって基礎絶縁が施されたモータ10と、モータ10により駆動する空気圧縮部11A,11Bとを含む。また、エアコンプレッサ1は、空気圧縮部11A,11Bに接続され、空気圧縮部11A,11Bにより圧縮された空気を貯蔵するタンク2A,2Bと、タンク2A,2Bからの圧縮空気を吐出するためのジョイント54(吐出口)とを含む。そして、エアコンプレッサ1は、モータ10、空気圧縮部11A,11B、タンク2A,2B、ジョイント54を、外部に対して、外ハウジング5及び樹脂ブッシュ55,62(複数の絶縁部材)によって電気絶縁している。
この構成により、エアコンプレッサ1は、インシュレータ18による基礎絶縁に加えて、モータ10、空気圧縮部11A,11B、タンク2A,2B、ジョイント54も外部に対して電気絶縁された二重絶縁構造となる。よって、絶縁性能を高めることができる。
【0024】
特に、電気絶縁を、モータ10、空気圧縮部11A,11B、タンク2A,2Bを樹脂製の外ハウジング5で覆うと共に、ジョイント54とタンク2A,2Bとの間に樹脂ブッシュ55,62(絶縁ブッシュ)を介在させることで行っている。よって、タンク2A,2B等の内部金属をまとめて覆うことができる。また、露出させる必要があるジョイント54の保護絶縁も可能となる。
また、外ハウジング5を、タンク2A,2Bが載置される下ハウジング70と、下ハウジング70に上方から組み付けられる上ハウジング71とを含んでなる構成としている。よって、タンク2A,2Bの全体を完全に覆うことができる。
【0025】
また、下ハウジング70と上ハウジング71とを、ネジ83,90によって組み付けると共に、外ハウジング5内でのネジ83,90の露出部分を、樹脂製のカバー95によって覆っている。よって、分割した下ハウジング70と上ハウジング71とを組み付けるネジ83,90がタンク2A,2B等の内部金属に対して露出しなくなる。
また、下ハウジング70と上ハウジング71との組み付けを、外ハウジング5内に位置決めされた取付金具85に、下ハウジング70を貫通したネジ90と、上ハウジング71を貫通したネジ83とをそれぞれねじ込むことで行っている。よって、取付金具85を利用して下ハウジング70と上ハウジング71との組み付けを容易に行うことができる。
また、取付金具85もカバー95によって覆われるので、取付金具85を用いてもタンク2A,2B等の内部金属に対して露出しなくなる。
【0026】
以下、変更例を説明する。
基礎絶縁は、インシュレータに限らず、絶縁紙等を用いてもよい。電材部品をデッピングしてもよい。
絶縁ブッシュは、樹脂製に限らず、セラミック製等も採用できる。絶縁チューブも採用できる。
ジョイントに係る電気絶縁は、取り出し管とタンクとの間に介在させた樹脂ブッシュに限らない。例えば図11に示すように、カプラマニホールド53とジョイント54,54の間にそれぞれ樹脂ブッシュ55,55を介在させてもよい。ここでは樹脂ブッシュ55の一端がカプラマニホールド53にねじ込まれ、樹脂ブッシュ55の他端にジョイント54がねじ込まれる。
取り出し管の数や配置、ジョイントの数や配置は、上記形態に限定されない。外部接続口はなくてもよい。
タンクは、2つに限らず、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
上ハウジングは、前後に分割せずに左右に分割してもよい。また、上ハウジングは、2分割に限らず3分割以上で形成してもよい。また、上ハウジングは、分割せずに一体の上ハウジングとしてもよい。
下ハウジングは、側板を高く形成したり、側板を省略したりしてもよい。また、下ハウジングも分割構造が採用できる。
モータは、アウタロータ型に限らず、インナロータ型であっても差し支えない。また、モータは、ブラシレスでなくブラシ付であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1・・エアコンプレッサ、2A,2B・・タンク、3・・基台、4・・本体部、5・・外ハウジング、6・・内ハウジング、7・・接続管、10・・モータ、11A,11B・・空気圧縮部、12,13・・配管、15・・ステータ、16・・ロータ、18・・インシュレータ、19・・コイル、30・・回転軸、43・・シリンダ、50A,50B・・取り出し管、52・・調整ノブ、53・・カプラマニホールド、54・・ジョイント、55,62・・樹脂ブッシュ、60・・外部接続口、61・・止め栓、65・・コントローラ、67・・制御回路基板、70・・下ハウジング、71・・上ハウジング、72・・底板、73・・側板、74・・拡開部、76・・透孔、78,83,90・・ネジ、84・・枠部、85・・取付金具、95・・カバー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11