(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】車両充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231006BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231006BHJP
B60L 53/53 20190101ALI20231006BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20231006BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20231006BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20231006BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20231006BHJP
【FI】
H02J7/00 303C
H02J7/00 P
H02J7/00 301C
H01M10/44 Q
B60L53/53
B60L53/66
B60L53/68
B60L53/67
B60L53/30
(21)【出願番号】P 2019203403
(22)【出願日】2019-11-08
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】河合 智成
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 弘友希
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-023948(JP,A)
【文献】特開2012-170258(JP,A)
【文献】特開2014-121216(JP,A)
【文献】特開2012-029388(JP,A)
【文献】特開2012-085511(JP,A)
【文献】特表2016-524437(JP,A)
【文献】特開2011-182601(JP,A)
【文献】特開2017-041952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を充電するための充電ガンを具備した充電スタンドを複数備えた車両充電システムであって、
受電設備から供給された交流電力を直流に変換するAC/DC変換部と、
前記AC/DC変換部の直流出力を、電力変換して前記充電ガンを介して車両に供給可能とする電力変換器と、
急速充電を可能とするための蓄電池と、
前記充電ガンと通信する第1通信部と、
個々の前記充電ガンによる充電を制御する主制御部と、を収容する集中蓄電池盤を有し、
前記集中蓄電池盤は、電気錠を備えたメンテナンスするための扉と、
何れかの前記充電ガンが車両充電中であれば前記電気錠の解錠を不可とすると共に、前記電気錠が解錠状態にある間は、前記充電ガンによる充電を禁止するインターロック制御部と、
メンテナンスを可能とするためにメンテナンス予約する予約設定部とを有し、
前記インターロック制御部は、前記予約設定部が操作されてメンテナンス予約されると、未使用の前記充電ガンの使用を禁止すると共に、現在充電中の前記充電ガンは充電が終了したら次の充電を禁止することを特徴とする車両充電システム。
【請求項2】
前記充電スタンドには、車両と前記集中蓄電池盤との間の通信を中継する第2通信部が設けられて成ることを特徴とする請求項1記載の車両充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電スタンドを複数備えた車両充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両を充電するために店舗等に設置された充電スタンドは、短時間に充電を実施できるよう大電流で充電する急速充電器を備えたものが普及している。現状の急速充電器は必要な直流出力を生成するための電力変換器や絶縁トランスが組み込まれているため、充電スタンドに単に充電ガンを配置する構成ではなく、大型な装置となっていた。また、充電器の高出力化に伴い、安定した高出力を可能とするために蓄電池が組み込まれることが予想され、更なる大型化が予想されている。
しかしながら、店舗等の充電スペースは広さが限られているし、できれば複数台の車両充電を可能とするために複数の充電スタンドを設置したい要望があり、小型化が望まれている。
そのため、本出願人は特許文献1において、小型化できる充電スタンドを提案した。これは、車両充電のための絶縁トランスを急速充電器からキュービクルに移動することで、充電スタンドの小型化を図ったものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の充電スタンドは、それまでのものに比べて小型化できた。しかしながら、充電スタンドに蓄電池を備えた場合は大幅な小型化は難しく、更なる小型化が望まれていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、急速充電を可能とするために蓄電池を備えても、充電スタンドの小型化を実現できる車両充電システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、車両を充電するための充電ガンを具備した充電スタンドを複数備えた車両充電システムであって、受電設備から供給された交流電力を直流に変換するAC/DC変換部と、前記AC/DC変換部の直流出力を、電力変換して前記充電ガンを介して車両に供給可能とする電力変換器と、急速充電を可能とするための蓄電池と、前記充電ガンと通信する第1通信部と、個々の前記充電ガンによる充電を制御する主制御部と、を収容する集中蓄電池盤を有し、前記集中蓄電池盤は、電気錠を備えたメンテナンスするための扉と、何れかの前記充電ガンが車両充電中であれば前記電気錠の解錠を不可とすると共に、前記電気錠が解錠状態にある間は、前記充電ガンによる充電を禁止するインターロック制御部と、メンテナンスを可能とするためにメンテナンス予約する予約設定部とを有し、前記インターロック制御部は、前記予約設定部が操作されてメンテナンス予約されると、未使用の前記充電ガンの使用を禁止すると共に、現在充電中の前記充電ガンは充電が終了したら次の充電を禁止することを特徴とする。
この構成によれば、集中蓄電池盤に電力変換器及び急速充電を可能とする蓄電池を配置したことで、充電スタンドには充電ガンと第2通信部を配置するだけで良く、充電スタンドを小型にでき省スペースで設置できる。また、電力変換器と蓄電池が1カ所に配置されるため、メンテナンスがし易くなる。
加えて、充電スタンドには電力変換器や蓄電池が収容されていないため、車両が充電スタンドに衝突しても、発火や感電等が発生し難くなる。
更に、集中蓄電池盤をメンテナンスする際に、充電ガンを備えた充電スタンドから集中蓄電池盤が離れていて状況を把握できなくても、集中蓄電池盤を安全にメンテナンスできる。
また、予約設定部を操作すれば、全ての充電ガンは次の充電ができなくなる。よって、一定時間が経過したら集中蓄電池盤のメンテナンスが可能となり、充電ガンが使われ続けることでメンテナンスができない事態を防止できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、充電スタンドには、車両と集中蓄電池盤との間の通信を中継する第2通信部が設けられて成ることを特徴とする。
この構成によれば、充電スタンドが車両と集中蓄電池盤との間の通信を中継するため、充電スタンドにおいて充電状況を把握することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、集中蓄電池盤に電力変換器及び蓄電池を配置したことで、充電スタンドには充電ガンと第2通信部を配置するだけで良く、充電スタンドを小型にでき省スペースで設置できる。また、電力変換器と蓄電池が1カ所に配置されるため、メンテナンスがし易くなる。加えて、充電スタンドには電力変換器や蓄電池が収容されていないため、車両が充電スタンドに衝突しても、発火や感電等が発生し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る車両充電システムの一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る車両充電システムの一例を示す構成図であり、受電設備10から電力供給を受ける1台の集中蓄電池盤1、車両に接続される充電ガン2を備えた複数の充電スタンド3を備えている。集中蓄電池盤1は金属製の箱体に所定の機器が収容されて構成され、充電スタンド3は、充電される車両の駐車スペース毎に立設されている。
集中蓄電池盤1と個々の充電スタンド3とは、電力ケーブルL1と通信線L2とで接続されている。
【0013】
集中蓄電池盤1は、受電設備10から供給される交流電力を直流に変換するAC/DCコンバータ11、蓄電池12、充電スタンド3毎に割り当てられた複数の電力変換器としてのDC/DCコンバータ13、図示しない扉に設けられている電気錠14、メンテナンス予約する予約設定部15、充電スタンド3と通信する第1通信部16、集中蓄電池盤1を制御する主制御部17等を備えている。
【0014】
主制御部17は、充電スタンド3を介して車両(図示せず)と通信して制御情報を入手し、充電を制御する。また、電気錠14の施錠/解錠を制御するし、予約設定部15の操作を受けて充電ガン2を制御する。
【0015】
充電スタンド3は、充電中の車両と充電ガン2を介して通信すると共に集中蓄電池盤1と通信し、車両と集中蓄電池盤1との間の通信を中継する第2通信部31を備えている。
【0016】
上記の如く構成された車両充電システムは以下のように動作する。まず主制御部17は、充電中の車両が無く、蓄電池12の蓄電量が満充電状態に無い場合は、受電設備10の電力により蓄電池12を充電する。こうして、複数の車両の同時充電がなされて大きな電力を必要とする場合に、蓄電池12からも電力を出力させることで、受電設備10に負担をかけること無く車両の急速充電を可能としている。
また主制御部17は、充電中は第2通信部31を介して車両と通信し、充電スタンド3毎に車両からの制御信号を受けて充電電力を制御する。
【0017】
次に、集中蓄電池盤1をメンテナンスする場合を説明する。メンテナンスは全ての充電スタンド3が待ち受け状態の時、即ち充電ガン2が車両を充電していない時に実施するのが安全上望ましいし、メンテナンス時に充電が行われないようインターロック機能が設けられている。
具体的に、まず扉を開けよう電気錠14の解錠操作をした際に、何れかの充電スタンド3の充電ガン2が使用中で車両の充電が成されている場合は、主制御部17がそれを認識して解錠を不可とする。結果、解錠できずメンテナンスを行うことができない。
但し、全ての充電スタンド3が使用されていなければ、主制御部17がそれを認識して解錠制御を実施する。結果、電気錠14は解錠動作してメンテナンスが可能となる。
【0018】
主制御部17は、解錠後も電気錠14を監視し、解錠状態にある限り充電スタンド3の機能をロックして、充電しようと操作されても充電を禁止して電流を通電しない。
そして、メンテナンスが終了して扉を閉じて電気錠14が施錠操作されると、主制御部17は施錠し、充電スタンド3のロックを解除する。こうして、車両の充電が可能となる。
【0019】
一方、メンテナンスを必要とする時に充電スタンド3が使用中であり、メンテナンスする機会を得にくい場合は、予約設定部15が操作される。
予約設定部15が操作されてメンテナンス予約されると、主制御部17の制御により、まず未使用の充電スタンド3はロックされて、充電禁止の状態となる。また、車両充電中の充電スタンド3は、充電終了を待ち、充電が終了した時点でロックし、その後の充電を禁止する。
この結果、予約設定部15を操作した時点で充電中の車両の充電が終了したら、集中蓄電池盤1のメンテナンスが可能となる。その後、メンテナンスが終了して閉扉され、電気錠14が施錠されたらロックが解除され、車両の充電が可能となる。
【0020】
このように、集中蓄電池盤1にDC/DCコンバータ13及び急速充電を可能とする蓄電池12を配置したことで、充電スタンド3には充電ガン2と第2通信部31を配置するだけで良く、充電スタンド3を小型にでき省スペースで設置できる。また、DC/DCコンバータ13と蓄電池12が1カ所に配置されるため、メンテナンスがし易くなる。
また、充電スタンド3が車両と集中蓄電池盤1との間の通信を中継するため、充電スタンド3において充電状況を把握することが可能となる。
加えて、充電スタンド3にはDC/DCコンバータ13や蓄電池12が収容されていないため、車両が充電スタンド3に衝突しても、発火や感電等が発生し難くなる。
また、インターロック機能を備えているため、集中蓄電池盤1をメンテナンスする際に、充電ガン2を備えた充電スタンド3から集中蓄電池盤1が離れていて状況を把握できなくても、集中蓄電池盤1を安全にメンテナンスできる。
更に、予約設定部15を操作することで、全ての充電ガン2は次の充電ができなくなるため、一定時間が経過したら集中蓄電池盤1のメンテナンスが可能となり、充電ガン2が使われ続けることでメンテナンスができない事態を防止できる。
【0021】
尚、上記実施形態では、第1通信部16と第2通信部31とが有線接続されているが、通信線L2を無くして無線通信としても良い。
また、充電スタンド3に、車両と集中蓄電池盤1との間の通信を中継する第2通信部31が設けられているが、中継機能を持たずに充電ガン2と集中蓄電池盤1とを直接通信させても良い。
更に、インターロック機能を設けて全ての充電スタンドが使用できない状態でメンテナンスを許可しているが、特定の充電ガン2のみに関わるメンテナンスの場合は、他の充電ガンは充電禁止にせず能動状態にしておいても良いため、インターロックを解除して、特定の充電ガン2への通電を禁止する機能を別途設けても良い。そうすれば、充電スタンド3の利用者に迷惑をかける事態を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0022】
1・・集中蓄電池盤、2・・充電ガン、3・・充電スタンド、11・・AC/DCコンバータ(AC/DC変換部)、12・・蓄電池、13・・DC/DCコンバータ(電力変換器)14・・電気錠、15・・予約設定部、16・・第1通信部、17・・主制御部(インターロック制御部)、31・・第2通信部。