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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】アミドの還元によるアミンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 209/50 20060101AFI20231006BHJP
   C07C 211/27 20060101ALI20231006BHJP
   C07C 211/48 20060101ALI20231006BHJP
   C07C 211/08 20060101ALI20231006BHJP
   C07C 211/07 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
C07C209/50
C07C211/27
C07C211/48
C07C211/08
C07C211/07
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019222042
(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公開番号】P2020100616
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2018236872
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】八木 健司
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-179600(JP,A)
【文献】特表2010-539219(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103435430(CN,A)
【文献】特表2000-511917(JP,A)
【文献】BREMNER, B. J. et al.,Synthesis of functionalised azecine and azonine derivatives via an enolate assisted aza Claisen rear,Tetrahedron,2005年,Vol.61,pp.2659-2665,DOI:10.1016/j.tet.2005.01.061
【文献】HOFFMANN-EMERY, F. et al.,Efficient Synthesis of Novel NK1 Receptor Antagonists: Selective 1,4-Addition of Grignard Reagents to 6-Chloronicotinic Acid Derivatives,J. Org. Chem. ,2006年,Vol.71, No.5,pp.2000-2008,DOI:10.1021/jo0523666
【文献】BAILEY, C. L. et al.,Controlled Reduction of Tertiary Amides to the Corresponding Alcohols, Aldehydes, or Amines Using Dialkylboranes and Aminoborohydride Reagents,J. Org. Chem. ,2016年,Vol.81, No.9,pp.3619-3628,DOI: 10.1021/acs.joc.6b00276
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/CASREACT/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1級アミド又は2級アミドを、グリニャール試薬及び、ボロハイドライド系試薬又は水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムの存在下、還元することを特徴とする、1級アミン及び2級アミンの製造方法。
【請求項2】
グリニャール試薬の使用量がアミドに対し1.0~5.0当量である請求項に記載の製
造方法。
【請求項3】
ボロハイドライド系試薬が、ナトリウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライド、
リチウムジメチルアミノボロハイドライド、リチウムピロリジノボロハイドライド又はリ
チウムモルホリノボロハイドライドである請求項1又は2に記載の製造方法
【請求項4】
ボロハイドライド系試薬又は水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムの使用量が1級アミド又は2級アミドに対し1.0~5.0当量である、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料又は医薬品等の有機合成原料として有用なアミンを、高収率かつ簡便に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
還元剤を用いてアミドから対応するアミンを得る方法として、幾つかの方法が知られている。例えば、(A)リチウムアルミニウムハイドライド(LAH)によって還元する方法、(B)ボラン系試薬で還元する方法、及び(C)遷移金属触媒を用いて還元する方法が挙げられる。
上記方法(A)を採用した場合、LAHの反応性が極めて高いために厳密な水分管理が必要となるという欠点がある。また、方法(B)を採用した場合、有毒ガスであるジボラン生成の懸念があり、実製造スケールでの運用が困難という欠点がある。さらに、方法(C)を採用した場合では、高価な金属触媒を用いるため、製造コストが高くなるという欠点がある。
そこで、これらの欠点を回避する方法として、還元剤としてボロハイドライド系試薬を用いる方法が報告されている(非特許文献1)。この方法は、試薬の取り扱いが容易で、副生成物を生成せず、比較的安価であるという点で、前述の方法に比べて優れた方法である。
しかしながら、本方法は3級アミドからは収率80%以上で対応するアミンもしくはアルコールが得られるものの、1級および2級アミドでは反応の進行が確認されておらず、広範囲な基質に適用し得るものではなかった(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Organic Process Research & Development 2006, 10, 959-970.
【文献】J. Org. Chem. 2016, 81, 3619-3628.
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、厳密な水分管理による試薬の取り扱いが不要であり、高収率かつ経済的なアミンの製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明者らは前記課題を解決するために検討を行った結果、2族元素の有機金属ハロゲン化物及びボロハイドライド系化合物又は水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムを併用することにより、1級アミド及び2級アミドの還元が進行し、対応するアミンが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は以下の[1]~[7]の内容を含むものである。
[1]1級アミド又は2級アミドを、2族元素の有機金属ハロゲン化物及び還元剤の存在下、還元することを特徴とする、1級アミン及び2級アミンの製造方法。
[2]2族元素の有機金属ハロゲン化物がグリニャール試薬である前記[1]に記載の製造方法。
[3]グリニャール試薬の使用量がアミドに対し1.0~5.0当量である前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]還元剤が、ボロハイドライド系試薬又は水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムである前記[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]ボロハイドライド系試薬が、ナトリウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライド、リチウムジメチルアミノボロハイドライド、リチウムピロリジノボロハイドライド又はリチウムモルホリノボロハイドライドである前記[4]に記載の製造方法
[6]還元剤の使用量が1級アミド又は2級アミドに対し1.0~5.0当量である、前記[4]又は[5]に記載の製造方法。
[7]1級アミド又は2級アミドが下記一般式(1)
【0007】
【化1】
【0008】
(一般式(1)中、R及びRは水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルケニル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヒドロキシル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、又はシクロアルケニルオキシカルボニル基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。また、RとRとで環を形成してもよい。)
で示されるアミドであり、1級アミン及び2級アミンが下記一般式(2)
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
で表されるアミンである前記[1]に記載の製造方法。
【0011】
本発明により、取り扱いが容易な試薬を用いて1級アミド及び2級アミドの還元が進行し、実製造スケールでのアミンの製造が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の一般式(1)及び(2)で表されるアミド及びアミンにおけるR及びRについて説明する。
アルキル基としては、直鎖状、分岐状のいずれでも良く、炭素数1~50、好ましくは炭素数1~20のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては炭素数3~30、好ましくは炭素数3~20、より好ましくは炭素数3~10の単環式、多環式又は縮合環式のシクロアルキル基が挙げられ、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ビシクロ[1.1.0]ブチル基、トリシクロ[2.2.1.0]ヘプチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、ビシクロ[2.2.2.]オクチル基、アダマンチル基(トリシクロ[3.3.1.1]デカニル基)、ビシクロ[4.3.2]ウンデカニル基、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカニル基等が挙げられる。
【0013】
アリール基としては、炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、より好ましくは炭素数6~14の単環式、多環式又は縮合環式のアリール基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、前記したアルキル基の少なくとも1個の水素原子が前記したアリール基で置換された基が挙げられ、例えば炭素数7~37、好ましくは炭素数7~20、より好ましくは炭素数7~15のアラルキル基が挙げられる。具体的には、例えば、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルプロピル基、3-ナフチルプロピル基等が挙げられる。
【0014】
複素環基としては、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基としては、例えば、炭素数2~14で、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1~3個の例えば窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、3~8員、好ましくは4~6員の単環の脂肪族複素環基、多環又は縮合環の脂肪族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の具体例としては、アゼチジル基、アゼチジノ基、ピロリジル基、ピロリジノ基、ピペリジニル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ピペラジノ基、モルホリニル基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオフェニル基等が挙げられる。
【0015】
芳香族複素環基としては、例えば、炭素数2~15で、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1~3個の窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子等の異種原子を含んでいる、5又は6員の単環式ヘテロアリール基、多環式又は縮合環式のヘテロアリール基が挙げられる。その具体例としては、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピリダジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フタラジル基、キナゾリル基、ナフチリジル基、シンノリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、アクリジル基、アクリジニル基等が挙げられる。
【0016】
アルケニル基としては、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、例えば炭素数2~20、好ましくは炭素数2~15、より好ましくは炭素数2~10のアルケニル基が挙げられ、その具体例としては、エテニル基、プロペニル基、1-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。
【0017】
アルキニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数2~20、好ましくは炭素数2~15、より好ましくは炭素数2~10のアルキニル基が挙げられ、その具体例としては、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、3-ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。
シクロアルケニル基としては、炭素数4~20、好ましくは炭素数4~15、より好ましくは炭素数4~10のシクロアルケニル基が挙げられ、その具体例としては、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロへプテニル基、又はシクロオクテニル基等が挙げられる。
【0018】
また、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、複素環基、アルケニル基、アルキニル基及びシクロアルケニル基が有していてもよい置換基としては、前記したアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルケニル基及び複素環基、後記するハロゲン原子、後記するシリル基、及び保護されていてもよい水酸基、アミノ基等が挙げられる。
【0019】
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0020】
置換基としてのシリル基としては、シリル基の水素原子の3個が前記したアルキル基、前記したアリール基、前記したアラルキル基等に置き換ったものが挙げられる。具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
【0021】
置換基として、保護されていてもよい水酸基としては、無保護の水酸基、又は文献(Protective Groups in Organic Synthesis Second Edition, JOHN WILEY&SONS, INC.1991)に記載されている一般的な水酸基の保護基で保護されていてもよい水酸基などが挙げられ、保護基としてはトリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基などの三置換シリル基、ベンジル基及びメトキシメチル基などが挙げられる。
【0022】
とRが結合し環を形成する場合ではR、Rは二価基となる。このとき好ましい基としては例えば、炭素数2~20、より好ましくは炭素数4~10の鎖状または分岐状または環状のアルキレン基、炭素数4~20、より好ましくは炭素数4~10の鎖状または分岐状または環状のアルケニレン基、炭素数6~20、より好ましくは炭素数6~10のアリーレン基等が挙げられる。これらの二価の基は前記したような置換基を有していてもよい。
【0023】
続いて、本発明に用いられる2族元素の有機金属ハロゲン化物について説明する。
本発明の製造方法に使用される2族元素の有機金属ハロゲン化物としては、有機マグネシウムハロゲン化物、いわゆるグリニャール(Grignard)試薬が好ましい。
具体的には、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、イソプロピルマグネシウムクロライド、tert-ブチルマグネシウムクロライド、メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムブロマイド、イソプロピルマグネシウムブロマイド、tert-ブチルマグネシウムブロマイド、メチルマグネシウムアイオダイド、エチルマグネシウムアイオダイド、イソプロピルマグネシウムアイオダイド、tert-ブチルマグネシウムアイオダイド、フェニルマグネシウムクロライド等が挙げられ、tert-ブチルマグネシウムクロライドを用いることが好ましい。これらグリニャール試薬は、通常はTHF等のエーテル溶液で使用され、1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明におけるグリニャール試薬の使用量は、原料化合物であるアミドに対し、1.0~5.0当量、特に1.2~1.5当量用いることが好ましい。
【0024】
本発明の製造方法に使用される還元剤としては、ボロハイドライド系試薬あるいは水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムが好ましく、1種又は2種以上の還元剤を適宜組み合わせて用いることができる。
具体的なボロハイドライド系試薬としては、ナトリウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライド、リチウムジメチルアミノボロハイドライド、リチウムピロリジノボロハイドライド、リチウムモルホリノボロハイドライド等が挙げられ、リチウムジメチルアミノボロハイドライドを用いることが好ましい。
本発明における還元剤の使用量は、原料化合物であるアミドに対し、1.0~5.0当量、特に1.2~3.0当量用いることが好ましい。
【0025】
本発明の製造方法は溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒は、本発明の製造方法における反応に関与しない限り特に限定されるものではないが、好ましい溶媒の具体例としては例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ウンデカン、シクロヘキサン及びデカリン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、p-シメン及びジイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)及び1,4-ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。溶媒の使用量は、本発明の製造方法における反応が十分に進行する限り特に限定されるものではないが、原料のアミドの重量に対して通常1~100倍容量、好ましくは5~20倍容量の範囲から適宜選択される。
【0026】
本発明の製造方法において、反応温度は特に限定されるものではないが、通常30~180℃、好ましくは100~150℃の範囲から適宜選択される。反応時間は、反応条件の違いにより自ずから異なるが、通常30分~24時間の範囲から適宜選択される。また、本発明の製造方法は不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。不活性ガスとしては、具体的には窒素及びアルゴン等が挙げられる。
本発明の製造方法によって得られたアミンは、蒸留、カラムクロマトグラフィー等により精製することができる。
【実施例
【0027】
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
[測定機器]
実施例において得られた化合物の物性の測定には次の機器を用いた。
【0028】
GC/MS:GCMS-QP2010 SE(島津製作所社製)
カラム:RTX-1(長さ30m×内径0.25mm、液相膜厚0.25μm)
ガスクロマトグラフィー純度:GC-4000 plus(GLサイエンス製)
カラム:Inert Cap1(長さ30m×内径0.25mm、液相膜厚0.25μm)
温度条件:カラム100℃→10℃/min→300℃
注入口250℃、検出器250℃(FID)
【0029】
(実施例1)リチウムジメチルアミノボロハイドライドを用いたアミンの製造
50mLオートクレーブに各アミド200mg、tert-ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液(1.0M、1.25eq.)を加え、室温で30分間攪拌した。その後、リチウムジメチルアミノボロハイドライドのTHF溶液(1.0M、1.25eq.)を加えた後、バス温120℃として5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、メタノールでクエンチを行い、GCにて生成物を確認した。結果を以下の表1に示す。
なお、選択性は以下の式により算出される。(以下、同様)
選択性(%)=(A)/(B)
A:生成物GC面積値
B:生成物GC面積値+生成物以外のGC面積値(ただし、反応基質のGC面積値を除く)
【0030】
【表1】
【0031】
(比較例1)ベンジルベンズアミドの還元
50mLオートクレーブにベンジルベンズアミド200mg、THF1.2mLを加え、室温で30分間攪拌した。その後、リチウムジメチルアミノボロハイドライドのTHF溶液1.2mL(1.0M、1.25eq.)を加えた後、バス温120℃とし、5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、メタノールでクエンチを行い、GCにより分析を行った結果、ベンジルベンズアミドの変換率は3.7%であった。
【0032】
(実施例2)リチウムピロリジノボロハイドライドを用いたアミンの製造
実施例1において、リチウムジメチルアミノボロハイドライドの代わりに、リチウムピロリジノボロハイドライドのTHF溶液(1.0M、1.25eq.)を用いて、実施例1と同様の操作を行った結果を以下の表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
(実施例3)リチウムモルホリノボロハイドライドを用いたアミンの製造
実施例1において、リチウムジメチルアミノボロハイドライドの代わりに、リチウムモルホリノボロハイドライドのTHF溶液(1.0M、1.25eq.)を用いて、実施例1と同様の操作を行った結果を以下の表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
(実施例4)リチウムボロハイドライドを用いたN,N-ジベンジルアミンの製造
50mLオートクレーブにベンジルベンズアミド200mg、tert-ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液1.2mL(1.0M、1.25eq.)を加え、室温で30分間攪拌した。その後、リチウムボロハイドライド61.8mg(3.0eq.)を加えた後、バス温120℃として5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、メタノールでクエンチを行い、GCにて生成物を確認した結果、転化率100%、選択性99%で目的物が得られた。
【0037】
(実施例5)水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムを用いたアミンの製造
実施例1において、リチウムジメチルアミノボロハイドライドの代わりに、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムの70%トルエン溶液(1.25eq.)を用いて、実施例1と同様の操作を行った結果を以下の表4に示す。
【0038】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明により、香料として、又は医薬品等の有機合成原料として有用なアミンを高収率で、かつ、製造経済的見地より極めて有利に得ることができることから、本発明は香粧品、医薬品等の分野での広範囲な利用が期待できる。