(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】赤色放出蛍光体を有する複合材料
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20231006BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20231006BHJP
C09K 11/57 20060101ALI20231006BHJP
C09K 11/61 20060101ALI20231006BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231006BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20231006BHJP
F21V 29/502 20150101ALI20231006BHJP
H01L 33/64 20100101ALI20231006BHJP
【FI】
H01L33/50
C09K11/08 E
C09K11/57
C09K11/61
F21S2/00 482
F21V9/32
F21V29/502 100
H01L33/64
(21)【出願番号】P 2019506641
(86)(22)【出願日】2017-09-15
(86)【国際出願番号】 US2017051705
(87)【国際公開番号】W WO2018032021
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-09-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【復代理人】
【識別番号】100091568
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ポロブ,ディガンバー・グルダス
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,ジェームス・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア,フローレンシオ
(72)【発明者】
【氏名】ブリュースター,ミーガン・マリエ
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-095568(JP,A)
【文献】特表2016-517464(JP,A)
【文献】特開2014-145012(JP,A)
【文献】特開2015-143318(JP,A)
【文献】特開2014-123738(JP,A)
【文献】特開2009-169204(JP,A)
【文献】特開2015-216139(JP,A)
【文献】国際公開第2017/094618(WO,A1)
【文献】特開2015-023162(JP,A)
【文献】特開2016-092271(JP,A)
【文献】特開2013-247067(JP,A)
【文献】特表2017-524775(JP,A)
【文献】特表2017-521511(JP,A)
【文献】特表2017-520917(JP,A)
【文献】特表2017-520644(JP,A)
【文献】特表2017-520641(JP,A)
【文献】特表2017-503886(JP,A)
【文献】特表2017-501268(JP,A)
【文献】特表2017-500732(JP,A)
【文献】特表2016-534199(JP,A)
【文献】特開2015-212375(JP,A)
【文献】特開2015-212374(JP,A)
【文献】特表2015-521791(JP,A)
【文献】特表2014-514388(JP,A)
【文献】特開2014-041993(JP,A)
【文献】特開2013-203822(JP,A)
【文献】特表2013-533363(JP,A)
【文献】特表2013-525259(JP,A)
【文献】特開2012-243618(JP,A)
【文献】特表2009-528429(JP,A)
【文献】国際公開第2017/114108(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/091303(WO,A1)
【文献】米国特許第09605199(US,B1)
【文献】国際公開第2016/195937(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/186636(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0289553(US,A1)
【文献】国際公開第2016/141049(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/133606(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/081340(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0026159(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0361335(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0028365(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0207148(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
C09K 11/00 - 11/89
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
F21V 1/00 - 99/00
F21W 102/00 -131/411
F21Y 101/00 -115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置(10)であって、
以下の化学式Iの蛍光体および結合剤材料の少なくとも一部の中に分散した熱伝導材料を含む複合材料に放射結合される発光ダイオード(LED)光源を備え、
Ax[(M,Mn)Fy]
(I)
前記熱伝導材料が、
フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウムおよびそれらの組合せからなるグループから選択される材料を含み、
上式でAは、Li、Na、K、Rb、Csまたはそれらの組合せであり、Mは、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gdまたはそれらの組合せであり、xは、[(M、Mn)Fy]イオンおよび[MFy]イオン上の電荷の絶対値であり、また、yは5、6または7である照明装置(10)。
【請求項2】
前記熱伝導材料が1ミクロン未満の平均粒度を有する、請求項1記載の照明装置(10)。
【請求項3】
前記熱伝導材料が、約0.01ミクロンから約0.5ミクロンまでの範囲の平均粒度を有する、請求項1記載の照明装置(10)。
【請求項4】
前記熱伝導材料が、前記複合材料の総量に基づいて、約1重量パーセントから約50重量パーセントまでの範囲で存在する、請求項1記載の照明装置(10)。
【請求項5】
前記熱伝導材料が、前記複合材料の量に基づいて、約10重量パーセントから約20重量パーセントまでの範囲で存在する、請求項1記載の照明装置(10)。
【請求項6】
前記熱伝導材料がマンガンを含んでいない、請求項1記載の照明装置(10)。
【請求項7】
AがKであり、MがSiである、請求項1記載の照明装置(10)。
【請求項8】
前記結合剤材料が、シリコーンまたはシリコーン誘導体、エポキシまたは低温ガラスを含む、請求項1記載の照明装置(10)。
【請求項9】
請求項1記載の照明装置(10)を備えるバックライトデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、赤色放出蛍光体を有する複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第7,358,542号、米国特許第7,497,973号および米国特許第7,648,649号に記載されているものなどのマンガンMn4+によって活性化される錯体フッ化物材料系の赤色放出蛍光体を、YAG:Ceなどの黄色/緑色放出蛍光体または他のガーネット複合体と組み合わせて利用して、現在の蛍光灯、白熱電球およびハロゲンランプによって生成されるものと等価の青色LEDから、温白色光(黒体軌跡上でCCT<5000K、演色評価数(CRI>80)を達成することができる。これらの材料は、青色光を強力に吸収し、かつ、約610~約635ナノメートル(nm)の間で効果的に放出し、深赤色/NIR放出はほとんどない。したがって眼の感度が鈍いより深い赤色における有意な放出を有する赤色蛍光体と比較すると発光効力が最大化される。量子効率は、青色(440~460nm)励起の下で85%を超えることが可能である。
【0003】
Mn4+活性化(またはドープされた)フッ化物ホストを使用している照明システムの効力およびCRIは極めて高いことがあり得るが、1つの潜在的な限界は、製造条件および使用条件、例えば高温および高湿度の下での劣化に対するそれらの感受性である。米国特許第8,252,613号に記載されているように、合成処理後のステップを使用して劣化を抑えることが可能である。しかしながら材料の安定性を改善するための他の方法の開発が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡潔には、一態様では、照明装置は、以下の化学式Iの蛍光体を含む複合材料、および結合剤材料の少なくとも一部の中に分散した熱伝導材料に放射結合される発光ダイオード(LED)光源を含み、
Ax[(M,Mn)Fy]
(I)
熱伝導材料は、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸ストロンチウム、ダイヤモンド、グラフェン、ポリエチレンナノファイバ、カーボンナノチューブ、銀金属ナノ粒子、銅金属ナノ粒子、金金属ナノ粒子、アルミニウム金属ナノ粒子、窒化ホウ素、窒化ケイ素、アルカリ金属ハロゲン化物、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、以下の化学式IIの化合物、およびそれらの組合せからなるグループから選択される材料を含み、
Ax[MFy]
(II)
上式でAは、出現するごとに独立してLi、Na、K、Rb、Csまたはそれらの組合せであり、Mは、出現するごとに独立してSi、Ge、Sn、Ti、Zr、Al、Ga、In、Sc、Hf、Y、La、Nb、Ta、Bi、Gdまたはそれらの組合せであり、xは、出現するごとに独立して、[(M、Mn)Fy]イオンおよび[MFy]イオン上の電荷の絶対値であり、また、yは5、6または7である。
【0006】
一態様では、照明装置は、複合材料に放射結合されるLED光源を含む。複合材料は、第1の結合剤材料の少なくとも一部の中に分散した化学式Iの蛍光体を含む蛍光体層、および蛍光体層の上に配置された第2の結合剤材料中に分散した熱伝導材料を含む熱伝導層を含む。熱伝導材料は、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸ストロンチウム、ダイヤモンド、グラフェン、ポリエチレンナノファイバ、カーボンナノチューブ、銀金属ナノ粒子、銅金属ナノ粒子、金金属ナノ粒子、アルミニウム金属ナノ粒子、窒化ホウ素、窒化ケイ素、アルカリ金属ハロゲン化物、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、化学式IIの化合物、およびそれらの組合せからなるグループから選択される材料を含む。
【0007】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、同様の文字は図面全体を通して同様の部品を表す添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことにより、より良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態による照明装置の略横断面図である。
【
図2】本開示の別の実施形態による照明装置の略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の本明細書および特許請求の範囲では、単数形の表現(「a」、「an」、および「the」)は、文脈が別途明確に規定していない限り複数の指示対象を含む。本明細書において使用されているように、「または」という用語は、文脈が別途明確に規定していない限り排他的であることを意味するものではなく、参照されている構成要素のうちの少なくとも1つが存在していることを意味しており、また、参照されている構成要素の組合せが存在し得る事例を含む。
【0010】
本明細書において、本明細書および特許請求の範囲全体を通して使用されているように、近似言語を適用して、関連する基本機能の変化をもたらすことなく許容可能に変更し得る任意の定量的表現を修飾することができる。したがって「約」および「実質的に」などの1つまたは複数の用語によって修飾された値は、明示された厳密な値に限定されない。いくつかの事例では、近似言語は、値を測定するための計器の精度に対応し得る。
【0011】
本明細書において使用されているように、「蛍光体」、「蛍光体複合体」および「蛍光体材料」という用語は、単一の蛍光体ならびに2つ以上の蛍光体の混ぜ合せの両方を意味するべく使用することができる。本明細書において使用されているように、「ランプ」、「照明装置」および「照明システム」という用語は、エネルギーが供給されると光放出を生成する少なくとも1つの発光素子、例えば蛍光体材料または発光ダイオードによって生成することができる任意の可視光源および紫外光源を意味している。
【0012】
本明細書において使用されているように、「層」という用語は、連続方式または不連続方式で下に横たわっている表面の少なくとも一部に配置された材料を意味している。さらに、「層」という用語は、配置された材料の均一な厚さを必ずしも意味しているわけではなく、配置された材料は、均一な厚さまたは可変厚さを有することができる。本明細書において使用されているように、「の上に配置された」という用語は、別途明確に示されていない限り、互いに直接接触して配置された層または材料、あるいは介在する層または特徴をその間に有することによって互いに間接的に接触して配置された層または材料を意味している。
【0013】
図1を参照すると、一実施形態による照明装置、例えばランプ10の構成の非制限の例が示されている。ランプ10は、発光ダイオード(LED)光源、例えばLEDチップ12、およびLEDチップ12に電気的に取り付けられたリード14を含む。リード14は、より分厚いリードフレーム16によって支持された細いワイヤを含むことができ、あるいはリード14は自己支持型電極を含むことができ、また、リードフレーム16を省略することも可能である。リード14はLEDチップ12に電流を提供し、したがってLEDチップ12に放射を放出させる。
【0014】
光源は、その放出された放射が蛍光体上に導かれると白色光を生成することができる任意の青色光源またはUV光源であってもよい。LEDチップ12は、近UV放出LEDまたは青色放出LEDであってもよい。LEDチップ12は、任意の適切なIII-V族半導体層、II-VI族半導体層またはIV-IV族半導体層に基づく、約250ナノメートル(nm)から550ナノメートル(nm)の放出波長を有する半導体ダイオードを備えることができる。詳細には、LEDチップ12は、GaN、ZnSeまたはSiCを含む少なくとも1つの半導体層を含むことができる。例えばLEDチップ12は、化学式IniGajAlkN(0≦i;0≦j;0≦kおよびi+j+k=1である)によって表される、約250nmより長く、かつ、約550nmより短い放出波長を有する窒化物化合物半導体を備えることができる。一実施形態では、LEDチップ12は、約400nmから約500nmまでのピーク放出波長を有する青色発光LEDチップである。
【0015】
本明細書において考察されている開示の例示的構造についての一般的な考察は、LEDをベースとする光源を対象としており、より詳細には無機LEDをベースとする光源を対象としているが、LEDチップは、特に言及されていない限り、有機LEDをベースとする光源または任意の他の光源に置き換えることができること、また、LEDチップに対するすべての参照は、単に適切な光源を表しているにすぎないことに留意されたい。
【0016】
LEDチップ12は、LEDチップ12およびカプセル封止材料20を密閉するケーシング18内にカプセル封止することができる。ケーシング18は、例えばガラスまたはプラスチックであってもよい。LEDチップ12は、実質的にカプセル封止材料20の中心に配置することができる。カプセル封止材料20は、エポキシ、プラスチック、低温ガラス、ポリマー、または当分野で知られている任意の他の適切なカプセル封止材料であってもよい。ある実施形態では、カプセル封止材料20は、シリコーンなどのエポキシまたはポリマー材料である。ケーシング18およびカプセル封止材料20は、いずれも、LEDチップ12、化学式Iの蛍光体(以下で説明される)、任意の追加発光材料(以下で説明される)またはそれらの組合せから放出される光の波長に対して透明であるか、または実質的に透過性でなければならず、放出された光は、これらの要素を介して伝達される。
【0017】
別法としては、ランプ10は、ケーシング18がないカプセル封止材料20のみを備えることも可能である。LEDチップ12は、例えばリードフレーム16、自己支持型電極、ケーシング18の底、またはリードフレーム16の上に取り付けられた架台(図示せず)のうちの1つまたは複数を使用して支持することができる。いくつかの実施形態では、LEDチップ12は、反射カップ(図示せず)の中に取り付けられる。反射カップは、アルミナ、二酸化チタン、または当分野で知られている他の誘電材料などの反射材料から作製することができ、あるいはこのような反射材料を使用してコーティングすることができる。
【0018】
ランプ10内では、LEDチップ12は複合材料に放射結合される。複合材料は、化学式Iの蛍光体、および結合剤材料の少なくとも一部の中に分散した熱伝導材料を含む。放射結合される、とは、1つの要素から放出された放射が他の要素へ伝達されるよう、これらの要素が互いに関連付けられることを意味している。
図1に示されているように、複合材料の層22は、LEDチップ12の表面11の少なくとも一部に配置されている。層22は、適切な方法を使用してLEDチップ12の表面11のその部分に配置することができる。非制限の例では、化学式Iの蛍光体および熱伝導材料の粒子が無作為に、または一様に懸垂されるシリコーンスラリーを形成することができ、また、LEDチップ12の表面11の少なくとも一部にスラリーの層を堆積させることができる。示されている実施形態は、ランプ10内の複合材料およびLEDチップ12の可能位置の一例にすぎない。
【0019】
いくつかの他の実施形態では、複合材料は、LEDチップ12の上に直接配置する代わりに、ランプ10のケーシング18の内部表面17にコーティングすることも可能である。複合材料は、内部表面17全体にコーティングすることも、あるいはケーシング18の内部表面17の1つまたは複数の部分にコーティングすることも可能である。一例として、参照数表示19によって示されている内部表面17の一部に複合材料をコーティングすることができる。内部表面17のこのような部分19は、LEDチップ12からの光のうちの望ましい量の光が選択された部分を通過するように選択することができる。追加または別法として、ケーシング18以外の1つまたは複数の適切な位置に複合材料を配置することも可能である。
【0020】
図2を参照すると、ランプ30は、いくつかの実施形態では、LEDチップ12の表面11の少なくとも一部に配置された蛍光体層24を含む複合材料、および蛍光体層24の上に配置された熱伝導材料を含む熱伝導層26を含む。蛍光体層24は、第1の結合剤材料の少なくとも一部の中に分散した、本明細書において説明されている化学式Iの蛍光体を含む。熱伝導層26は、第2の結合剤材料の少なくとも一部の中に分散した熱伝導材料(本明細書において説明されている)を含む。第1の結合剤材料および第2の結合剤材料は、以下で説明される適切な結合剤材料を含む。いくつかの実施形態では、第1の結合剤材料と第2の結合剤材料は同じである。蛍光体層24および熱伝導層26は、個別のスラリーを使用して配置することができ、第1のスラリーは、第1の結合剤材料中に分散した化学式Iの蛍光体の粒子を有し、また、第2のスラリーは、第2の結合剤材料中に分散した熱伝導材料をそれぞれ有している。
【0021】
第1のおよび/または第2の結合剤材料のために適した材料は、LEDチップ12、化学式Iの蛍光体、追加発光材料(以下で説明される)またはそれらの組合せによって放出される光に対して光学的に透明であり、また、化学式Iの蛍光体と化学的および光学的に両立する材料、熱伝導材料、および照明装置内の任意の周辺材料または層を含むことができる。本明細書において説明されている照明装置に使用するための第1のおよび/または第2の結合剤材料のための材料の例は、エポキシ、シリコーン、およびそれらに限定されないがアミノシリコーン(AMS)、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリフェニルアルキルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、シルセスキオキサン、フッ素化シリコーン、およびビニルおよび水素化物置換シリコーンを含むシリコーン誘導体、低温ガラス、またはそれらの組合せを含むことができる。
【0022】
化学式Iの蛍光体は錯体フッ化物である。一実施形態では、化学式Iの蛍光体は、マンガン(Mn4+)ドープ錯体フッ化物である。錯体フッ化物は、1つの配位中心を含み、リガンドとして作用するフッ化物イオンに囲まれ、必要に応じて対イオン(A)によって電荷補償された母格子を有する。例えば、K2[SiF6]では、配位中心はSiであり、また、対イオンはKである。錯体フッ化物は、簡単な二元系フッ化物の組合せとして一般に表される。錯体フッ化物のための化学式中のカギ括弧(簡略にするために場合によっては省略される)は、その特定の錯体フッ化物中に存在する錯体イオンが新しい化学種であり、単純なフッ化物イオンとは異なることを示している。化学式Iの蛍光体では、Mn4+ドーパントまたは活性剤は、追加配位中心として作用し、発光中心を形成する配位中心、例えばSiの一部を置換する。化学式Iのマンガンドープ蛍光体:A2[(M,Mn)F6]も同じくA2[MF6]:Mn4+として表わすことができる。(対イオンを含む)母格子は、活性化剤イオンの励起特性および放出特性をさらに修正することができる。本明細書において使用されているように、「化学式Iの蛍光体」および「マンガンドープ蛍光体」という用語は、本明細書全体を通して交換可能に使用することができる。
【0023】
化学式I中の対イオンAは、Li、Na、K、Rb、Csまたはそれらの組合せであり、yは6である。ある実施形態では、Aは、Na、K、Rbまたはそれらの組合せである。化学式I中の配位中心Mは、Si、Ge、Ti、Zr、Hf、Sn、Al、Ga、In、Sc、Y、Bi、La、Gd、Nb、Taおよびそれらの組合せからなるグループから選択される元素である。ある実施形態では、MはSi、Ge、Tiまたはそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、AはKであり、また、MはSiである。化学式Iの蛍光体の例は、K2[SiF6]:Mn4+、K2[TiF6]:Mn4+、K2[SnF6]:Mn4+、Cs2[TiF6]:Mn4+、Rb2[TiF6]:Mn4+、Cs2[SiF6]:Mn4+、Rb2[SiF6]:Mn4+、Na2[TiF6]:Mn4+、Na2[ZrF6]:Mn4+、K3[ZrF7]:Mn4+、K3[BiF6]:Mn4+、K3[YF6]:Mn4+、K3[LaF6]:Mn4+、K3[GdF6]:Mn4+、K2[NbF7]:Mn4+およびK2[TaF7]:Mn4+を含む。ある実施形態では、化学式Iの蛍光体はK2[SiF6]:Mn4+である。
【0024】
本明細書において説明されている照明装置に使用することができる他のマンガンドープ蛍光体は以下を含む。
【0025】
(A)A2[MF5]:Mn4+、上式でAは、Li、Na、K、Rb、Csおよびそれらの組合せから選択され、また、Mは、Al、Ga、Inおよびそれらの組合せから選択される。
【0026】
(B)A3[MF6]:Mn4+、上式でAは、Li、Na、K、Rb、Csおよびそれらの組合せから選択され、また、Mは、Al、Ga、Inおよびそれらの組合せから選択される。
【0027】
(C)Zn2[MF7]:Mn4+、上式でMは、Al、Ga、Inおよびそれらの組合せから選択される。
【0028】
(D)A[In2F7]:Mn4+、上式でAは、Li、Na、K、Rb、Csおよびそれらの組合せから選択される。
【0029】
(E)E[MF6]:Mn4+、上式でEは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znおよびそれらの組合せから選択され、また、Mは、Ge、Si、Sn、Ti、Zrおよびそれらの組合せから選択される。
【0030】
(F)Ba0.65Zr0.35F2.70:Mn4+、および
(G)A3[ZrF7]:Mn4+、上式でAは、Li、Na、K、Rb、Csおよびそれらの組合せから選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、マンガンドープ蛍光体、例えば化学式Iの蛍光体は、米国特許第8,252,613号に記載されているように、性能を改善し、また、色安定性特性を改善して安定した色のマンガンドープ蛍光体を獲得するために事後処理を施すことができる。事後処理プロセスは、マンガンドープ蛍光体(例えば化学式Iの蛍光体)を高められた温度でガス状形態のフッ素含有酸化剤と接触させることを含む。
【0032】
本明細書において説明されている化学式Iの蛍光体中のマンガンの量は、約1.2モルパーセント(mol%)(約0.3重量パーセント(wt%))から約16.5mol%(約4wt%)までの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、マンガンの量は、約2mol%(約0.5wt%)から13.4mol%(約3.3wt%)まで、または約2mol%から12.2mol%(約3wt%)まで、または約2mol%から11.2mol%(約2.76wt%)まで、または約2mol%から約10mol%(約2.5wt%)まで、または約2mol%から5.5mol%(約1.4wt%)まで、または約2mol%から約3.0mol%(約0.75wt%)までの範囲であってもよい。
【0033】
層22(
図1)および/または複合材料の蛍光体層24(
図2)に使用するための化学式Iの蛍光体は、約10ミクロンから約80ミクロンまでの範囲のD50粒度で粒度分布を有することができる。いくつかの実施形態では、より小さい粒度、例えば約30ミクロン未満のD50粒度を有する粒子を使用することが望ましい。いくつかの実施形態では、化学式Iの蛍光体は、約10ミクロンから約20ミクロンまでの範囲のD50粒度を有している。特定の実施形態では、化学式Iの蛍光体は、約12ミクロンから約18ミクロンまでの範囲のD50粒度を有している。
【0034】
本明細書において説明されている照明装置に使用するための熱伝導材料は、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸ストロンチウム、ダイヤモンド、グラフェン、ポリエチレンナノファイバ、カーボンナノチューブ、銀金属ナノ粒子、銅金属ナノ粒子、金金属ナノ粒子、アルミニウム金属ナノ粒子、窒化ホウ素、窒化ケイ素、アルカリ金属ハロゲン化物、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、化学式IIの化合物、およびそれらの組合せからなるグループから選択される材料を含む。
【0035】
Ax[MFy]
(II)
上式で、化学式IIの化合物中のAは、Li、Na、K、Rb、Csまたはそれらの組合せであり、また、化学式IIの化合物中のMは、Si、Ge、Ti、Zr、Hf、Sn、Al、Ga、In、Sc、Y、Bi、La、Gd、Nb、Taおよびそれらの組合せからなるグループから選択される元素である。いくつかの実施形態では、Aは、Na、K、Rbまたはそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、Mは、Si、Ge、Tiまたはそれらの組合せである。
【0036】
いくつかの実施形態では、熱伝導材料は、1メートル当たり5ワットのケルビン(W/m.K)より大きい熱伝導率を有する材料を含む。いくつかの実施形態では、熱伝導材料はマンガンを含んでいない。
【0037】
アルカリ金属ハロゲン化物は、Na、K、Rb、Csまたはそれらの組合せのフッ化物、塩化物または臭化物を含むことができる。アルカリ金属ハロゲン化物の適切な例は、KF、KHF2、KCl、KBr、NaF、NaHF2、RbF、RbHF2、CsF、CsHF2またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、化学式IIの化合物中のAは、K、Naまたはそれらの組合せを含む。ある実施形態では、AはKであり、また、MはSiである。化学式IIの化合物の適切な例は、それらに限定されないが、K2SiF6、K2TiF6、K2ZrF6、K2SnF6、K3ZrF7、K3LnF6、K3YF6、K2NbF7、K2TaF7、Na2SiF6、Na2TiF6、Na2SnF6、Na2ZrF6、LiKSiF6、RbKLiAlF6またはそれらの組合せを含む。
【0038】
化学式Iの蛍光体、熱伝導材料または両方は、第1の結合剤材料、第2の結合剤材料、または本明細書において説明される結合剤材料中に一様に、または非一様に分散させることができる。熱伝導材料は、複合材料の総量に基づいて、1重量パーセントを超える量で存在し得る。いくつかの実施形態では、熱伝導材料は、複合材料の総量に基づいて、約1重量パーセントから約50重量パーセントまでの範囲の量が存在する。いくつかの実施形態では、熱伝導材料は、複合材料の総量に基づいて、約5重量パーセントから約30重量パーセントまでの範囲の量が存在する。いくつかの実施形態では、熱伝導材料は、複合材料の総量に基づいて、約10重量パーセントから約20重量パーセントまでの範囲の量が存在する。
【0039】
熱伝導材料は、微細粒度分布、例えばサブミクロンサイズまたはそれ以下の粒度分布を有することができる。熱伝導材料の微細粒子は、LEDチップ12、化学式Iの蛍光体、任意の追加発光材料またはそれらの組合せによって放出される光の望ましくない散乱を回避することができる。いくつかの実施形態では、熱伝導材料は、1ミクロン未満の平均粒度を有している。いくつかの実施形態では、熱伝導材料は、約0.01ミクロンから約0.5ミクロンまでの範囲の平均粒度を有している。
【0040】
何らかの理論に束縛されることなく、複合材料中における、化学式Iの蛍光体に関連して上で説明した熱伝導材料の存在は、照明装置の製造中また例えば高温下での動作中における化学式Iの蛍光体の劣化の低減または防止を促進することができるとされている。
【0041】
化学式Iの蛍光体に加えて、照明装置10は、1つまたは複数の追加発光材料、例えば無機蛍光体、量子ドット(QD)材料、エレクトロルミネセンス性ポリマーおよびリン光性染料をさらに含むことができる。例えば緑色、青色、黄色、赤色、橙色または他の色の放射を放出する追加発光材料を使用して、結果として得られる、2500~10000Kの範囲の相関色温度(CCT)および50~99の範囲のCRIを有する白色光などの光を個別化することができる。ある実施形態では、追加発光材料は、Ce3+ドープガーネット蛍光体などの緑色放出蛍光体を含む。
【0042】
複合材料が化学式Iの蛍光体、および結合剤材料中に分散した熱伝導材料を含む実施形態では、追加発光材料は、化学式Iの蛍光体および熱伝導材料と共に複合材料の中に加えることができる。例えば化学式Iの蛍光体は、複合材料中で1つまたは複数の追加発光材料、例えば緑色、青色、黄色、橙色または赤色を放出する蛍光体またはQD材料と混ぜ合わせることができ、それにより白色光を得ることができる。いくつかの他の事例では、追加発光材料は、LEDチップ12が追加発光材料に放射結合されるよう、照明装置、例えば本明細書において説明されているランプ10の中に個別に配置することができる。追加発光材料は、本明細書において説明されている任意の結合剤材料中に個別に分散させることができ、また、層は、照明装置内の適切な位置に配置することができる。例えば複合材料を含んだ層22が
図1に示されているようにLEDチップ12の表面11に配置される場合、追加発光材料を含んだ層(
図1には示されていない)を層22の上に配置するか、あるいは層22とLEDチップ12の表面11の間に配置することができる。
【0043】
図2に示されているいくつかの事例では、追加発光材料は、化学式Iの蛍光体と共に蛍光体層24の中に加えるか、あるいは熱伝導材料と共に熱伝導層26の中に加えることができる。いくつかの他の事例では、追加発光材料を含んだ層(
図2には示されていない)を、蛍光体層24と表面11の間、または蛍光体層24と熱伝導層26の間に位置しているLEDチップ12の表面11に配置することができる。
【0044】
照明装置10に使用するための適切な追加蛍光体は、それらに限定されないが、((Sr1-z(Ca,Ba,Mg,Zn)z)1-(x+w)(Li,Na,K,Rb)wCex)3(Al1-ySiy)O4+y+3(x-w)F1-y-3(x-w)、0<x≦0.10、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、0≦w≦x;(Ca,Ce)3Sc2Si3O12(CaSiG);(Sr,Ca,Ba)3Al1-xSixO4+xF1-x;Ce3+(SASOF));(Ba,Sr,Ca)5(PO4)3(Cl,F,Br,OH):Eu2+,Mn2+;(Ba,Sr,Ca)BPO5:Eu2+,Mn2+;(Sr,Ca)10(PO4)6
*νB2O3:Eu2+(0<ν≦1である);Sr2Si3O8
*2SrCl2:Eu2+;(Ca,Sr,Ba)3MgSi2O8:Eu2+,Mn2+;BaAl8O13:Eu2+;2SrO*0.84P2O5
*0.16B2O3:Eu2+;(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu2+,Mn2+;(Ba,Sr,Ca)Al2O4:Eu2+;(Y,Gd,Lu,Sc,La)BO3:Ce3+,Tb3+;ZnS:Cu+,Cl-;ZnS:Cu+,Al3+;ZnS:Ag+;Cl-;ZnS:Ag+,Al3+;(Ba,Sr,Ca)2Si1-ξO4-2ξ:Eu2+(-0.2≦ξ≦0.2である);(Ba,Sr,Ca)2(Mg,Zn)Si2O7:Eu2+;(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In)2S4:Eu2+;(Y,Gd,Tb,La,Sm,Pr,Lu)3(Al,Ga)5-αO12-3/2α:Ce3+(0≦α≦0.5である);(Ca,Sr)8(Mg,Zn)(SiO4)4Cl2:Eu2+,Mn2+;Na2Gd2B2O7:Ce3+,Tb3+;(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn)2P2O7:Eu2+,Mn2+;(Gd,Y,Lu,La)2O3:Eu3+,Bi3+;(Gd,Y,Lu,La)2O2S:Eu3+,Bi3+;(Gd,Y,Lu,La)VO4:Eu3+,Bi3+;(Ca,Sr)S:Eu2+,Ce3+;SrY2S4:Eu2+;CaLa2S4:Ce3+;(Ba,Sr,Ca)MgP2O7:Eu2+,Mn2+;(Y,Lu)2WO6:Eu3+,Mo6+;(Ba,Sr,Ca)βSiγNμ:Eu2+(2β+4γ=3μである);(Ba,Sr,Ca)2Si5-xAlxN8-xOx:Eu2+(0≦x≦2である);Ca3(SiO4)Cl2:Eu2+;(Lu,Sc,Y,Tb)2-u-vCevCa1+uLiwMg2-wPw(Si,Ge)3-wO12-u/2(0.5≦u≦1、0<v≦0.1および0≦w≦0.2である);(Y,Lu,Gd)2-φCaφSi4N6+φC1-φ:Ce3+,(0≦φ≦0.5である);(Lu,Ca,Li,Mg,Y),Eu2+および/またはCe3+でドープされたα-SiAlON;(Ca,Sr,Ba)SiO2N2:Eu2+,Ce3+;β-SiAlON:Eu2+,3.5MgO*0.5MgF2
*GeO2:Mn4+;(Sr,Ca,Ba)AlSiN3:Eu2+;(Sr,Ca,Ba)3SiO5:Eu2+;Ca1-c-fCecEufAl1+cSi1-cN3,(0≦c≦0.2、0≦f≦0.2である);Ca1-h-rCehEurAl1-h(Mg,Zn)hSiN3,(0≦h≦0.2、0≦r≦0.2である);Ca1-2s-tCes(Li,Na)sEufAlSiN3,(0≦s≦0.2、0≦t≦0.2、s+t>0である);およびCa1-σ-χ-φCeσ(Li,Na)χEuφAl1+σ-χSi1-σ+χN3,(0≦σ≦0.2、0≦χ≦0.4、0≦φ≦0.2である)を含むことができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、追加発光材料は緑色発光量子ドット(QD)材料を含む。緑色発光QD材料は、II-VI族化合物、III-V族化合物、IV-IV族化合物、IV族化合物、I-III-VI2族化合物またはそれらの混合物を含むことができる。II-VI族化合物の非制限の例は、CdSe、CdTe、CdS、ZnSe、ZnTe、ZnS、HgTe、HgS、HgSe、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTeまたはそれらの組合せを含む。III-V族化合物は、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GalnNP、GalnNAs、GalnPAs、InAlNP、InAlNAs、InAlPAsおよびそれらの組合せからなるグループから選択することができる。IV族化合物の例は、Si、Ge、SiCおよびSiGeを含む。I-III-VI2族黄銅鉱型化合物の例は、CuInS2、CuInSe2、CuGaS2、CuGaSe2、AgInS2、AgInSe2、AgGaS2、AgGaSe2およびそれらの組合せを含む。
【0046】
追加発光材料として使用するためのQD材料は、コア、コア上にコーティングされた少なくとも1つのシェル、および1つまたは複数のリガンド、好ましくは有機ポリマリガンドを含む外側コーティングを含むコア/シェルQDであってもよい。コア-シェルQDを準備するための例示的材料は、それらに限定されないが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、Co、Au、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、MnS、MnSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si3N4、Ge3N4、Al2O3、(Al,Ga,In)2(S,Se,Te)3、Al2CO、および2つ以上のこのような材料の適切な組合せを含む。例示的コア-シェルQDは、それらに限定されないが、CdSe/ZnS、CdSe/CdS、CdSe/CdS/ZnS、CdSeZn/CdS/ZnS、CdSeZn/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdTe/CdSおよびCdTe/ZnSを含む。
【0047】
QD材料は、典型的には、それらの表面に接合され、それらの表面と協同し、それらの表面と関連付けられ、あるいはそれらの表面に取り付けられたリガンドを含む。詳細には、QDは、リガンドを備えたコーティング層を含むことができ、高められた温度、高強度光、外部ガスおよび湿気を含む環境条件からQDを保護し、凝集を制御し、また、ホスト結合剤材料中におけるQDの分散を可能にすることができる。
【0048】
エレクトロルミネセンス性ポリマーの例は、ポリフルオレン、好ましくはポリ(9,9’-ジオクチルフルオレン-コ-ビス-N,N’-(4-ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(F8-TFB);ポリ(ビニルカルバゾール);およびポリフェニレンビニレンおよびそれらの誘導体などのポリ(9,9-ジオクチルフルオレン)およびそのコポリマーを含むことができる。リン光性染料として使用するために適した材料は、それらに限定されないが、トリス(1-フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(赤色染料)、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(緑色染料)およびイリジウム(III)ビス(2-(4,6-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2)(青色染料)を含むことができる。ADS(American Dyes Source, Inc.)から商用的に入手することができる蛍光およびリン光性金属錯体を使用することも同じく可能である。ADS緑色染料は、ADS060GE、ADS061GE、ADS063GEおよびADS066GE、ADS078GEおよびADS090GEを含む。ADS青色染料は、ADS064BE、ADS065BEおよびADS070BEを含む。ADS赤色染料は、ADS067RE、ADS068RE、ADS069RE、ADS075RE、ADS076RE、ADS067REおよびADS077REを含む。
【0049】
個々の発光材料、例えば、化学式Iの蛍光体および追加発光材料の各々の比率は、結果として得られる所望の光出力の特性に応じて変化し得る。照明装置内の個々の発光材料の相対比率は、個々の発光材料の放出が混ぜ合わされて照明装置内で使用される際に、所定のxおよびy値の可視光が国際照明委員会(CIE)によって作られた色度図上に生成されるように調整することができる。ある実施形態では、照明装置は白色光を放出する。いくつかの実施形態では、結果として得られる白色光は、約0.20から約0.55までの範囲のx値、および約0.20から約0.55までの範囲のy値を有することができる。本明細書において説明されている照明装置内の個々の発光材料の正確な同一性および量は、エンドユーザの必要性に応じて変化し得る。
【0050】
図には示されていないが、
図1および2のランプ10および30は、カプセル封止材料20中に埋め込むことができる散乱粒子を同じく含むことができる。散乱粒子は、例えばアルミナ(Al
2O
3)、二酸化チタン(TiO
2)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化亜鉛(ZnO)またはそれらの組合せを含むことができる。散乱粒子は、カプセル封止材料20の総量の約0.2重量パーセントに等しいか、あるいはそれ未満の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、散乱粒子は、カプセル封止材料20の総量の約0.1重量パーセントに等しいか、あるいはそれ未満の量で存在し得る。散乱粒子は、LEDチップ、化学式Iの蛍光体、追加発光材料またはそれらの組合せから放出されるコヒーレント光を、無視し得る量の吸収で有効に散乱させるために、例えば1ミクロンを超える平均粒度を有することができる。いくつかの実施形態では、散乱粒子は、約1ミクロンから約10ミクロンまでの範囲の平均粒度を有している。
【0051】
上で説明した複合材料は、LED以外の追加用途に使用することができる。例えば複合材料は、蛍光灯、陰極線管、プラズマディスプレイデバイスまたは液晶ディスプレイ(LCD)に使用することができる。また、複合材料は、電磁熱量計におけるシンチレータ、ガンマ線カメラ、コンピュータ断層撮影スキャナまたはレーザに同じく使用することができる。これらの用法は、単なる例示的なものにすぎず、網羅的ではないことを意味している。
【0052】
照明装置の非制限の例は、蛍光ランプ、陰極線管、プラズマディスプレイデバイス、液晶ディスプレイ(LCD)などの、発光ダイオード(LED)による励起のためのデバイス、色彩ランプ、バックライトデバイス、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマスクリーン、キセノン励起ランプおよびUV励起マーキングシステムなどの紫外線(UV)励起デバイスを含む。これらのデバイスのリストは、単なる例示的なものにすぎず、余す所のないものではないことを意味している。いくつかの実施形態では、バックライトデバイスは、本明細書において説明されている照明装置を含む。バックライトデバイスは、表面実装デバイス(SMD)構造を含むことができる。バックライトデバイスの例は、それらに限定されないが、テレビジョン、コンピュータ、モニタ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、および本明細書において説明されているLED光源を含んだディスプレイを有する他のハンドヘルドデバイスを含む。
【0053】
以上、本明細書において、本発明の特定の特徴についてのみ図に示し、かつ、説明したが、当業者には多くの修正および変更が可能であろう。したがって添付の特許請求の範囲には、本発明の真の精神の範囲内であるものとして、すべてのこのような修正および変更を包含することが意図されていることを理解されたい。
【符号の説明】
【0054】
10 ランプ
11 LEDチップの表面
12 LEDチップ
14 リード
16 リードフレーム
17 ケーシングの内部表面
18 ケーシング
19 ケーシングの内部表面のうちの複合材料がコーティングされる部分
20 カプセル封止材料
22 複合材料の層
24 蛍光体層
26 熱伝導層
30 ランプ