(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】容器から液体を分注するためのデバイス、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B05B 9/04 20060101AFI20231006BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20231006BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20231006BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
B05B9/04
B05B11/00
B65D83/00 K
B05D1/02 Z
(21)【出願番号】P 2019559748
(86)(22)【出願日】2018-05-01
(86)【国際出願番号】 EP2018061076
(87)【国際公開番号】W WO2018202645
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-02-03
(32)【優先日】2017-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509103532
【氏名又は名称】ディスペンシング・テクノロジーズ・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Dispensing Technologies B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マース,ウィルヘルムス,ヨハネス,ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】ネルヴォ,パウロ
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0072416(US,A1)
【文献】特表2016-501117(JP,A)
【文献】特開平05-104041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B
B05D
B65D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から液体を分注するためのデバイスであって、
前記容器と流体連通されるように適合される吸引側を有するポンプと、
出口チャネルを通じて前記ポンプの
吐出側と流体連通する噴霧ノズルと、
前記出口チャネルに配置された予圧弁と、
前記ポンプの前記
吐出側及び前記噴霧ノズルと流体連通するガスバッファと
を含み、
前記ガスバッファは、少なくとも1つのガスが充填された弾性変形可能物体が配置されるバッファチャンバーを含み、
前記ガスバッファは、前記ポンプの前記
吐出側から前記出口チャネルと異なる方向に延在し、
前記ガスバッファは、前記容器の方向に延在し、
分注デバイスは、前記デバイスと前記容器の首部との間に機械的接続を確立するための環状コネクタをさらに含み、
前記ガスバッファは、前記環状コネクタを通じて延在する、
分注デバイス。
【請求項2】
前記ガスバッファは、前記ポンプの前記
吐出側から前記出口チャネルの実質的に反対側の方向に延在する、請求項1に記載の分注デバイス。
【請求項3】
容器から液体を分注するためのデバイスであって、
前記容器と流体連通されるように適合される吸引側を有するポンプと、
出口チャネルを通じて前記ポンプの
吐出側と流体連通する噴霧ノズルと、
前記出口チャネルに配置された予圧弁と、
前記ポンプの前記
吐出側及び前記噴霧ノズルと流体連通するガスバッファと
を含み、
前記ガスバッファは、少なくとも1つのガスが充填された弾性変形可能物体が配置されるバッファチャンバーを含み、
前記ガスバッファは、前記ポンプの前記
吐出側から前記出口チャネルと異なる方向に延在し、
前記ガスバッファは、前記ポンプの前記
吐出側及び前記噴霧ノズルとの前記流体連通を確立するための少なくとも1つの開口部を含み、前記少なくとも1つの開口部は、前記ポンプに面する前記ガスバッファの一部に配置され、さらに、前記バッファチャンバーは、結合部品によって前記ポンプ及び前記噴霧ノズルに結合されて前記少なくとも1つの開口部が前記結合部品において形成され
る、請求項1又は2に記載の分注デバイス。
【請求項4】
前記予圧弁及び前記ガスバッファは、それぞれ噴霧の分注圧力の下限及び上限を画定するように配置される、及び/又は、前記予圧弁は、2~4.5バールのクラッキング圧力を有し、さらに、前記ガスバッファは、3~6.5バールの前記分注圧力の最大値を画定
する、請求項1~3のいずれか一項に記載の分注デバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つのガスが充填された弾性的に可変形体は、前記バッファチャンバーを実質的に占める、又は、前記バッファチャンバー及び前記少なくとも1つのガスが充填された弾性変形可能物体は、それぞれ実質的に管状であり、さらに、前記少なくとも1つのガスが充填された弾性変形可能物体は両方の端部で溶接閉じされたチューブを含
み、さらにまた、前記バッファチャンバーは、丸い端部を有し且つ前記チューブの前記溶接された端部が丸い形状に折り曲げられてい
る、請求項1~4のいずれか一項に記載の分注デバイス。
【請求項6】
前記ポンプは、呼水及び/又は換気機構を含み、さらに、前記ポンプは、ポンプチャンバーと、その中で可動であるピストンとを含んで前記呼水及び/又は換気機構が前記ピストンの変形可能部分との協働のために前記ポンプチャンバーが突出部を含
む、請求項1~5のいずれか一項に記載の分注デバイス。
【請求項7】
液体を分注するためのシステムであって、少なくとも部分的に前記液体が充填される容器と、前記容器に接続されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の分注デバイスとを含むシステム。
【請求項8】
液体を分注するための方法であって、
- 前記液体を容器から引き出し、且つポンプを作動させることによって前記液体を加圧するステップであって、前記容器及び前記ポンプは、分注システムの一部を形成する、ステップと、
- 前記加圧された液体の少なくとも一部を前記分注システムの噴霧ノズルに案内するステップと、
- 前記液体を前記ノズルから噴霧するステップと、
- 前記加圧された液体の別の一部を一時的な保管のためにガスバッファに案内するステップと、
- 前記ポンプが作動されていないとき、前記保管された液体を前記ノズルから噴霧するステップと
を含み、
前記加圧された液体は、
前記ポンプから前記ガスバッファに容器の方向に案内され、前
記ガスバッファから前記噴霧ノズルに、前記ポンプから前記ガスバッファへとは異なる方向に案内さ
れ、
前記加圧された液体は、前記ポンプと前記容器の首部との間に機械的接続を確立するための環状コネクタを介して前記ポンプからガスバッファに案内される、
方法。
【請求項9】
前記加圧された液体は、前記ポンプから前記噴霧ノズルに
前記ガスバッファを介して、前記加圧された液体が前記ポンプから前記ガスバッファに案内される方向と実質的に反対の方向に案内される、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器から液体を分注するためのデバイス(device for dispensing)であって、前記容器と流体連通されるように適合される吸引側を有するポンプと、出口チャネルを通じて前記ポンプの圧力側と流体連通する噴霧ノズルと、前記出口チャネルに配置された予圧弁と、前記ポンプの圧力側及び噴霧ノズルと流体連通するガスバッファと、を含み、前記ガスバッファは、バッファチャンバーを含み、前記バッファチャンバー中に少なくとも1つのガスが充填された弾性変形可能物体(gas-filled resiliently deformable body)が配置されたデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
このような分注デバイス(dispensing device)は、本出願人による国際公開第2014/074654A1号によって知られている。当該先行技術の分注デバイスにおいて、ガスバッファは、ポンプの可動ピストンに配置されており、ノズルに至る出口チャネルの一部を形成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、改良された分注デバイスを提供することをその目的とする。当該目的は、本発明に従い、ガスバッファがポンプの圧力側から出口チャネルと異なる方向に延在する、上述で検討されたタイプの分注デバイスによって達成される。ガスバッファを出口チャネルから「分離(decoupling)」すると、バッファ及び出口チャネルの構成が、別個に最適化され得る。このような「分離」は、バッファが、ポンプ及び/又は噴霧ノズルから別々に製造され、且つ、さらに後の工程で及び/又は異なる場所での組み立てを可能とする。しかも、このような手段によれば、ポンプの寸法とは独立して、バッファのサイズを多様化することができる。
【0004】
このような概括的な配置構成を有する分注デバイスは、本出願人による係属中の未公開出願PCT/NL2016/050756号において説明されていることに留意されるべきである。しかし、当該先行出願は、発泡のために特別に設計されたノズルを含む、泡を供給するための装置に関するものである。これに対し、本出願は、液体を噴霧する、すなわち液体の滴又は霧を作り出すためのデバイスに専ら関する。泡を供給するための装置(device for dispensing a form)は、本願発明の範囲から除外されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態において、ガスバッファは、ポンプの圧力側から、出口チャネルの実質的に反対側の方向に延在する。これにより、前記バッファがポンプの反対側に配置され得る一方、出口チャネルはポンプと並んで配置され得る。
【0006】
この場合、ガスバッファは、ポンプの圧力側から、容器の方向に延在し得る。これは、デバイスの様々なコンポーネントの効率的な「梱包(“packaging”)」をもたらし得る。分注デバイスが、デバイスと容器の首部との間に機械的接続を確立するための環状コネクタをさらに含む場合、ガスバッファは環状コネクタを介して延在し得る。これにより、ガスバッファが、容器の首部内に延在することができる。
【0007】
ガスバッファがポンプの圧力側及び噴霧ノズルとの流体連通を確立するための開口部を少なくとも1つ含む場合、当該開口部は、ポンプに面するバッファの一部に配置され得る。ガスバッファは、出口チャネルから分離されているため、先行技術のデバイスのようにバッファチャンバーの両側の端部における開口が不要である。
【0008】
バッファチャンバーが、結合部品によってポンプ及び噴霧ノズルと結合される場合、少なくとも1つの開口部は、結合部品に形成され得る。これにより、ガスバッファの製造及び組立が大きく単純化される。
【0009】
予圧弁及びガスバッファは、それぞれ噴霧の分注圧力の下限及び上限を画定するように配置され得る。この場合、分注圧力の下限は、予圧弁のクラッキング圧力、すなわち弁が開閉する圧力であるのに対し、上限は、バッファにおいてガスによりかけられ得る最大圧力である。
【0010】
一実施形態において、予圧弁は、約2~4.5バール、好ましくは約3~3.5バールのクラッキング圧力を有し得る。クラッキング圧力のこれらの値によれば、液体の滴下が効果的に防がれ得る。
【0011】
別の実施形態において、ガスバッファは、3~6.5バール、好ましくは5~6バールの分注圧力の最大値を画定し得る。これらの圧力において、噴霧を形成する小滴は、依然、望ましくない分散や吸入の可能性などのいかなるリスクを伴うことなく、明確に画定された噴霧を形成するために十分な大きさを有する。
【0012】
分注デバイス内の空間の使用を最適化するために、少なくとも1つのガスが充填された弾性変形可能物体は、バッファチャンバー内を実質的に占め得る。
【0013】
バッファチャンバー及び少なくとも1つのガスが充填された弾性変形可能物体がそれぞれ実質的に管状である場合、射出成形により製造することが容易である、構造上単純な実施形態が得られる。
【0014】
このような実施形態において、少なくとも1つのガスが充填された弾性変形可能物体は、両端部で溶接閉じされたチューブを含み得る。これにより、囲まれた空間が画定され、そしてガスで充填され得る。前記チューブは、例えば、PE、EVOH又はYparexを含む多層チューブであり得る。当該チューブは、例えば、空気、窒素又は他のガスなどのガスを充填することによって加圧される。
【0015】
内部加圧に対する最適な抵抗を得るために、バッファチャンバーは、丸い端部を有することができ、チューブの溶接された端部は、丸い形状に折り曲げられ得る。
【0016】
分注デバイスの一実施形態において、ポンプは、呼水及び/又は換気機構を含み得る。これは、ポンプが初回の使用前に呼水が差されることを可能にし、作動中に空気がシステムから除去されることをさらに可能にする。
【0017】
ポンプが、ポンプチャンバーと、当該チャンバー内で可動なピストンとを含む場合、呼水及び/又は換気機構は、ピストンの変形可能部分との協働のためにポンプチャンバー内に突出部を含み得る。
【0018】
本発明は、さらに、液体を分注するためのシステムであって、少なくとも部分的に液体が充填される容器と、当該容器に接続される上述のタイプの分注デバイスと、を含むシステムに関する。
【0019】
さらに、本発明は、液体を分注するための方法に関する。上述にて特定された先行技術文献国際公開第2014/074654A1号は、
- 液体を容器から引き出し、且つポンプを作動させることによって液体を加圧するステップであって、容器及びポンプは、分注システムの一部を形成する、ステップと、
- 加圧された液体の少なくとも一部を分注システムの噴霧ノズルに案内するステップと、
- 液体をノズルから噴霧するステップと、
- 加圧された液体の別の一部を一時的な保管のためにガスバッファに案内するステップと、
- ポンプが作動されていないとき、保管された液体をノズルから噴霧するステップと
を含む方法を既に開示している。
【0020】
本発明は、加圧された液体がポンプから噴霧ノズルに、ポンプからガスバッファへとは異なる方向に案内される、改良された方法を提供する。
【0021】
前記方法の一実施形態において、加圧された液体は、ポンプから噴霧ノズルに向けて、加圧された液体がポンプからガスバッファに案内される方向と実質的に反対の方向に案内される。
【0022】
ここで、本発明は、同様の部分に同じ参照符号が付された添付図面を参照して2つの例により示される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】ポンプが作動されておらず、容器の一部が破線で概略的に表されている、本発明の分注デバイスの第1の実施形態の長手方向断面図である。
【
図2】線A-Aに沿った
図1のデバイスの断面図である。
【
図3】トリガーが押下されており、ポンプが作動されている状態にある、覆いが除去された
図1のデバイスの長手方向断面図である。
【
図4】線B-Bに沿った
図3のデバイスの断面図である。
【
図5】ポンプが作動されていないときの本発明の分注デバイスの第2の実施形態の長手方向断面図である。
【
図6】線C-Cに沿った
図5のデバイスの断面図である。
【
図7】トリガーが押下されており、ポンプが作動されている状態にある、
図5のデバイスの長手方向断面図である。
【
図8】線B-Bに沿った
図7のデバイスの断面図である。
【
図9】ガスが充填された弾性変形可能物体の製造のステージを、正面図及び線A-Aに沿った断面図の両方で示す。
【
図10】ガスが充填された弾性変形可能物体の製造の別のステージを、正面図及び線A-Aに沿った断面図の両方で示す。
【
図11】ガスが充填された弾性変形可能物体の製造の別のステージを、正面図及び線A-Aに沿った断面図の両方で示す。
【
図12】呼水及び/又は換気機構の要素を示す、
図6の部分XIIの拡大詳細図を示す。
【
図13】呼水及び/又は換気機構の別の要素を示す、
図6の部分XIIの拡大詳細図を示す。
【
図14】加圧空気がどのようにピストンを通して漏出し得るかを示す、
図7の部分XIVの拡大詳細図である。
【
図15】加圧空気がどのようにポンプチャンバーから漏出し得るかを示す、
図8の部分XVの拡大詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
容器C(破線で示されている)から液体(図示せず)を分注するためのデバイス1は、容器Cと流体連通されるように適合される吸引側Sを有するポンプ2を含む。分注デバイス1は、ポンプ2の圧力側Pと出口チャネル4を通して流体連通する噴霧ノズル3をさらに含む。ノズル3は、液体を噴霧するためにのみ好適であり、発泡特性がない。発泡が求められる場合、別部材のスクリーンがノズル3の前に配置され得る。
【0025】
予圧弁5は、出口チャネル4において、ポンプ2の圧力側Pの近くに起点がある垂直部6と、噴霧ノズル3に至る水平部7との間に配置される。本実施形態において、予圧弁5は、弁室8に配置された一体的なスリーブにより担持されたドームバルブである。予圧弁5は、液体が噴霧される圧力の下限を画定するクラッキング圧力を有する。
【0026】
分注デバイス1は、ポンプ2の圧力側P及び噴霧ノズル3の両方と流体連通するガスバッファ9をさらに含む。ガスバッファ9は、内部にガスが充填された弾性変形可能物体11が配置されるバッファチャンバーを形成する下部10と、バッファチャンバー10と以下で述べるフレーム12とを結合する上部52とを含む。
図1において明確に示されているとおり、ガスバッファ9は、ポンプ2の圧力側Pから出口チャネル4と異なる方向に延在する。実際には、本実施形態において、出口チャネル4の垂直部6は、ポンプ2と並んで上方に延在する一方、ガスバッファ9は、出口チャネル4の反対側に下向きの方向に実質的に垂直に延在する。
【0027】
本実施形態において、ポンプ2は、フレーム12と一体的に形成されたポンプチャンバー17を含む。フレーム12は、容器Cの首部(図示せず)との機械的接続を確立するための環状コネクタ13を含む。ガスバッファ9は、この環状コネクタ13を通して容器Cの首部内に延在する。この場合、バッファチャンバー10は、ディップチューブ(図示せず)が入口チャネル14に接続されることを可能とする拡大部15を有する入口チャネル14と一体的に形成される。バッファチャンバー10は、フレーム12の底部において、ポンプ2の圧力側Pと実質的に並んでいるように取り付けられる一方、入口チャネル14は、ポンプ2の吸引側Sで入口16と並んでいる。
【0028】
ポンプ2は、ポンプチャンバー17において摺動的に往復するピストン18をさらに含む。ピストン18は、穴22を通じて延在するピン21によってアクチュエータ20に枢動的に接続されたスタンディングピストンロッド19を含む。アクチュエータは、トリガー23と、フレーム12の後部に枢動的に接続されたブラケット24とを含む。トリガー23の押下は、ピストン18及びポンプチャンバー17を互いに対して移動させ、その結果、
図1及び3を比較すると明らかなとおり、ピストンは、ポンプチャンバー17の底部25に接近する。トリガー23は、ここでは図示されないばね機構により、
図1に示されるとおりその静止位置に戻される。
【0029】
ポンプ2を含むフレーム12並びにトリガー23及びブラケット24を含むアクチュエータ20は、2つの部分からなる覆い50、51により覆われている。
【0030】
ポンプ2の吸引側Sは、入口16と入口弁26とを含み、この入口弁26は、入口16の下弁座27とポンプチャンバー17の入口開口29の上弁座28との間で可動である。上弁座28は、鋸歯状であり、入口弁26が上弁座28の上にあるとき、液体が入口弁26を通過し、ポンプチャンバー17に引き込まれることを可能にする。
【0031】
同様に、ポンプ2の圧力側Pは、出口開口部49と出口弁30とを含み、この出口弁30は、バッファ9の結合部品52の入口32の下弁座31とポンプチャンバー17の出口開口部49の上弁座33との間で可動である。ここで、下弁座31は、鋸歯状であり、出口弁30が下弁座31にあるとき、加圧された液体が出口弁30を通過し、バッファチャンバー10に流入することを可能にする。
【0032】
ポンプ2は、呼水機構34を含み得る。呼水機構34は、ポンプチャンバー17の底部25に2つの突出部35を含み、これらの2つの突出部35は、ピストン18の下面において変形可能な内部環状部36に作用する(
図12、13)。これは、空気がピストンの換気穴37を通して漏出してピストン18の上縁38及び下縁39間の空間に入ることを可能にする(
図14)。そこから、空気は、ピストン18が下向きのストロークの終端に位置するとき、上縁38及び下縁39間にある位置でピストン室17の側壁41に形成された換気穴40を通じてエスケープできる。この機構34は、分注デバイス1及び容器Cの組立後にピストン室17において捕捉されている空気がピストン18の第1の下向きのストロークで除去されることを可能とし、これによりポンプ2に将来的に使用される液体を供給する。
【0033】
ポンプは、換気機構53をさらに含み得る。これは、容器Cが通常の単一壁の容器である際に特に重要である。容器CがFlair(登録商標)容器のようなバッグインボトル容器である場合、換気は必須ではない。換気機構53は、ピストン18がその下向きのストロークの終端にあるとき、ピストン18の上縁38より上にある位置でピストン室17の側壁41において形成された第2の換気穴54を含む(
図8)。第2の換気穴54は、呼水機構34の換気穴40より上にある。環境空気が頂部からデバイス1に入り得、且つピストン室17の上部及び第2の換気穴54を通じて、ピストン室17を囲む空間55に流入し得る。そこから、空気は、
図8における矢印V1~V4により示されているとおり、バッファ9と環状コネクタ13との間を流れて容器Cに入る。
【0034】
本実施形態において、バッファチャンバー10は、実質的に管状であり、ガスが充填された本体11も同様である。バッファチャンバー10及びガスが充填された本体11の両者は、それぞれ丸い上端部及び下端部42、43及び44、45を有する。ガスが充填された本体11は、液体が存在しない場合、バッファチャンバー10の実質的に全容積を充填するように、バッファチャンバー10の円筒形の側壁46に密に接している。
【0035】
トリガー23が最初に押下されると、ポンプチャンバー2に存在するいかなる空気も上述の換気機構34により除去される。次いで、トリガー23がその静止位置に戻されると、部分的な真空状態がピストン室におけるピストン18の結果としての上向き移動により確立され、これにより、液体を、容器Cから入口チャネル14及び入口16を通して入口弁26を通過させ、入口開口部29を通してポンプチャンバー17内に引き出す。同時に、この部分的な真空状態は、上弁座33上に出口弁30を吸着させ、これにより出口開口部49を閉鎖し、且つ、バッファチャンバー10及び出口チャネル4をポンプチャンバー17から分離する。これにより、ピストン室17は、液体で完全に充填される。
【0036】
液体は、非圧縮性であるため、トリガー23が再び押下されると、ポンプチャンバー17における圧力が即時に上昇する。この圧力上昇は、入口弁26を下弁座27に押し付け、これにより入口弁16を閉鎖し、且つポンプ2を容器Cから分離する。同時に、出口開口部49を開き、加圧された液体が入口32を通してバッファチャンバー10の頂部に入ることを可能にするために、出口弁30は、その下弁座31に押し付けられる。
【0037】
バッファチャンバー10の頂部は、弁のない出口47を通して出口チャネル4と直接流体連通する。本体11内部のガスの圧力は、予圧弁5のクラッキング圧力より高いため、加圧された液体は、第1に入口32から直接的に出口47に流れ、そこから出口チャネル4の垂直部6を通して予圧弁5を過ぎ、水平部7を通して噴霧ノズル3に向かって流れる。
【0038】
しかしながら、出口チャネル4における圧力がピストン18の下向きのストローク中に上昇し続けるように、ポンプ2の容量は、噴霧ノズル3の最大処理能力より大きくなるように設計されている。最終的に、圧力は、加圧された液体が、側壁46と、ガスが充填された本体11との間を貫通するために、バッファチャンバー10に強制的に入れられる程度に高くなる。
【0039】
分注デバイス1のポンプストローク中にポンプ2からの加圧された液体がバッファチャンバー10に入ると、ガスが充填された本体11が圧縮され、これにより本体11におけるガスの内部圧力が上昇する。この圧縮は、図面における破線により示されているとおり、本体11の変形をもたらす。ポンプストロークの終端に到達し、トリガー23が静止位置に戻されると、バッファ9におけるガス圧力が液体に作用し、且つ、当該液体を噴霧ノズル3に向かってバッファチャンバー10から強制的に排出する。これにより、トリガーが作動していない間でも噴霧が継続される。これは、程度の差はあるが、エアロゾルのように連続的な噴霧動作が達成されることを可能にする。
【0040】
ガスが充填された本体11は、弾性又は可撓性材料でできており、バッファチャンバー10を充填しているその元来の形状をとる。ガスが充填された本体11の丸い頂部44は、その管状の側壁よりも比較的硬いため、この頂部は、程度の差はあるが、静止のままであり、これによりガスが充填された本体11がバッファチャンバー10において潰されることを防ぐ。
【0041】
本発明の実施形態において、ガスが充填された本体11は、弾性又は可撓性材料のチューブ48でできており(
図9)、これは、その端部44、45で溶接閉めされている(
図10)。溶接された端部44、45は、次いで、半球状形状に折り畳まれる(
図11)。本体11は、端部の一方が溶接された後、加圧されたガスが充填され得るが、チューブが、ガスが充填された空間に浸され、そこで溶接されることも考えられる。
【0042】
本発明のバッファ付き噴霧器は、トリガーの後続の作動により、液体が連続的なフローで噴霧されることを可能にする。バッファは、金属ばねよりもむしろガスが充填されたプラスチック本体を含むため、デバイスは、容易に低コストで製造することができ、またリサイクルしやすい。これは、さらに、従来のデバイスより二酸化炭素排出量がはるかに小さい。バッファが出口チャネルの反対側にある配置構成を原因として、部品「梱包」が効率的であり、コンパクトなデザインが可能となると同時に、ノズルへの液体フローも最適化される。
【0043】
本発明は、本明細書においていくつかの例により説明されたが、以下の請求項の範囲内において多くの方法で多様であり得ることが明らかである。