(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】多相電動機駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02P 25/22 20060101AFI20231006BHJP
H02P 27/06 20060101ALI20231006BHJP
H02K 3/28 20060101ALI20231006BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20231006BHJP
【FI】
H02P25/22
H02P27/06
H02K3/28 Z
H02M7/48 E
(21)【出願番号】P 2020153701
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】織田 健志
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-268277(JP,A)
【文献】特開2003-324990(JP,A)
【文献】国際公開第2016/174730(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K3/00-3/28
H02M7/42-7/98
H02P21/00-25/03
25/04
25/10-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに絶縁された複数の巻線と、前記複数の巻線を2層巻きで収容する複数のスロットを有する固定子と、を備える多相電動機に対して、前記多相電動機の各巻線に対応付けて設けられ、直流リンクに供給される直流電力から変換した交流電力を前記各巻線にそれぞれ供給する複数のインバータを備え、
列をなす前記複数のインバータの
直流電源側が互いに直列に接続され、
前記直列に接続された前記複数のインバータのうちの両端に位置するインバータの電源端子が前記直流リンクの両極にそれぞれ接続され、
前記直列に接続された前記複数のインバータには、特定のスロットに割り付けられた第1巻線に電力を供給する第1インバータと前記特定のスロットに割り付けられた第2巻線に電力を供給する第2インバータと、前記特定のスロットの隣のスロットに割り付けられた第3巻線に電力を供給する第3インバータとが含まれており、
前記第1巻線と前記第3巻線とに掛かる電位差が、前記第1巻線と前記第2巻線とに掛かる電位差に基づいて定められ
た値よりも小さくなるように、前
記列の中で、前記第1インバータと前記第2インバータと前記第3インバータとが配列される位置が決定されている、
多相電動機駆動装置。
【請求項2】
前
記値は、同じスロットに割り付けられる巻線同士に掛かる電位差の最大値、平均値、および中央値の中の何れかの値である、
請求項1に記載の多相電動機駆動装置。
【請求項3】
前
記列の中で互いに隣り合う前記複数のインバータは、前記複数のスロットの中で互いに隣り合わないスロットに割り付けられている、
請求項1又は2に記載の多相電動機駆動装置。
【請求項4】
前記複数のスロットの中で互いに隣り合うスロットに割り付けられている巻線に対応付けられたインバータは、前
記列の中で離間して割り付けられている、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の多相電動機駆動装置。
【請求項5】
前記複数のインバータの夫々は、単相インバータである、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の多相電動機駆動装置。
【請求項6】
前記複数のインバータは、第1群と第2群とに区分され、
前記複数のインバータのうち第1群のインバータを連ねて第1列をなし、前記
第1群のインバータの
直流電源側が互いに直列に接続され、
前記複数のインバータのうち第2群のインバータを連ねて第2列をなし、前記
第2群のインバータの
直流電源側が互いに直列に接続され、
前記直列に接続された前記
第1群のインバータのうちの両端に位置するインバータの電源端子が前記直流リンクの両極にそれぞれ接続され、
前記直列に接続された前記
第1群のインバータには、特定のスロットに割り付けられた第1巻線に電力を供給する第1インバータと前記特定のスロットに割り付けられた第2巻線に電力を供給する第2インバータと、前記特定のスロットの隣のスロットに割り付けられた第3巻線に電力を供給する第3インバータとが含まれており、
前記第1巻線と前記第3巻線とに掛かる電位差が、前記第1巻線と前記第2巻線とに掛かる電位差に基づいて定められ
た値よりも小さくなるように、前記
第1列の中で、前記第1インバータと前記第2インバータと前記第3インバータとが配列される位置が決定されている、
請求項1に記載の多相電動機駆動装置。
【請求項7】
前記
第1列の中で互いに隣り合う前記複数のインバータは、前記複数のスロットの中で互いに隣り合わないスロットに割り付けられている、
請求項6に記載の多相電動機駆動装置。
【請求項8】
前記複数のスロットの中で互いに隣り合うスロットに割り付けられている巻線に対応付けられたインバータは、前記
第1列の中で離間して割り付けられている、
請求項6又は請求項7に記載の多相電動機駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、多相電動機駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多相電動機には、互いに電気的に絶縁された複数の巻線を備えるものがある。多相電動機駆動装置は、多相電動機の複数の巻線に対応付けて設けられた複数の電力変換ユニット(インバータ)を用いて、その多相電動機を駆動する。このような多相電動機駆動装置において、互いに近くに配置される2つの巻線間に掛かる電圧が比較的高くなる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、複数の電力変換ユニットが多相電動機の各巻線に交流電力をそれぞれ供給するときに、互いに近くに配置される2つの巻線間に掛かる電圧がより低くなるように構成された多相電動機駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の多相電動機駆動装置は、複数のインバータを備える。複数のインバータは、互いに絶縁された複数の巻線と、前記複数の巻線を2層巻きで収容する複数のスロットを有する固定子と、を備える多相電動機に対して、前記多相電動機の各巻線に対応付けて設けられ、直流リンクに供給される直流電力から変換した交流電力を前記各巻線にそれぞれ供給する。列をなす前記複数のインバータの直流電源側が互いに直列に接続され。前記直列に接続された前記複数のインバータのうちの両端に位置するインバータの電源端子が前記直流リンクの両極にそれぞれ接続される。前記直列に接続された前記複数のインバータには、特定のスロットに割り付けられた第1巻線に電力を供給する第1インバータと前記特定のスロットに割り付けられた第2巻線に電力を供給する第2インバータと、前記特定のスロットの隣のスロットに割り付けられた第3巻線に電力を供給する第3インバータとが含まれる。前記第1巻線と前記第3巻線とに掛かる電位差が、前記第1巻線と前記第2巻線とに掛かる電位差に基づいて定められた値よりも小さくなるように、前記列の中で、前記第1インバータと前記第2インバータと前記第3インバータとが配列される位置が決定されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4】実施形態の多相電動機と各単相インバータとの関係を説明するための図。
【
図5】実施形態の多相電動機の巻線配置を概略的に示す断面図。
【
図6】実施形態の単相インバータと巻線との接続を説明するための図。
【
図7A】実施形態の巻線間の電位差を説明するための図。
【
図7B】実施形態の巻線間の電位差を説明するための図。
【
図7C】実施形態の巻線間の電位差を説明するための図。
【
図8】比較例の単相インバータと巻線との接続を説明するための図。
【
図9A】比較例の巻線間の電位差を説明するための図。
【
図9B】比較例の巻線間の電位差を説明するための図。
【
図9C】比較例の巻線間の電位差を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の多相電動機駆動装置を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それらの構成の重複する説明は省略する場合がある。なお、電気的に接続されることを、単に「接続される」ということがある。以下の説明に示す「直交する」とは、略直交する場合を含む。なお、「大きさが等しい」場合には、略等しい場合も含む。
【0008】
図1は、実施形態の多相電動機駆動装置の構成図である。
図1には、多相電動機1と、多相電動機駆動装置2と、速度制御装置4とが示されている。
【0009】
多相電動機駆動装置2は、単相インバータ21、22、・・・、2Mと、単相インバータ31、32、・・・、3Mと、を備える。単相インバータ21、22、・・・、2Mを纏めて単相インバータ群20(第1組のインバータ群)と呼ぶ。単相インバータ31、32、・・・、3Mを纏めて単相インバータ群30(第2組のインバータ群)と呼ぶ。Mは、例えば2以上の自然数である。多相電動機駆動装置2は、単相インバータ群20と単相インバータ群30とを夫々稼働させることにより多相電動機1を駆動する。上記の単相インバータ21等の説明を後述する。
【0010】
多相電動機駆動装置2は、例えば図示されない整流器の直流側に接続される直流リンクLPとLNとを備える。例えば、直流リンクLPが正極であり、直流リンクLNが負極である。直流リンクLPと直流リンクLNは、図示されない直流電源装置、整流装置、電池、電力用コンデンサなどに接続されている。
【0011】
単相インバータ群20に含まれる単相インバータ21、22、・・・、2Mは、夫々の電源側が、互いに直列に接続されている。直列に接続された単相インバータ21、22、・・・、2Mが直流リンクLPとLNの両極間に接続され、直流リンクLPとLN側から直流電力の供給を受ける。
【0012】
単相インバータ群30についても同様に、単相インバータ群30に含まれる単相インバータ31、32、・・・、3Mは、夫々の電源側が、互いに直列に接続されている。直列に接続された単相インバータ31、32、・・・、3Mが直流リンクLPとLNの両極間に接続され、直流リンクLPとLN側から直流電力の供給を受ける。
【0013】
多相電動機1は、各相に対応する複数個の巻線(
図4参照)を備えており、各巻線の相互間が電気的に絶縁されている。各巻線は、単相インバータ21、22、・・・、2Mの出力と、単相インバータ31、32、・・・、3Mの出力とに夫々接続されている。多相電動機1は、単相インバータ21、22、・・・、2Mと、単相インバータ31、32、・・・、3Mとから交流電力が各巻線に供給されることによって駆動する。以下、多相電動機1の界磁が永久磁石型であるものを例示して説明するが、これに代えて電磁石型であってもよく、その場合には励磁の磁極方向を永久磁石型の磁石方向に置き換えるとよい。多相電動機1の軸には、図示されない回転角度検出器が取り付けられている。回転角度検出器の出力は、速度制御装置4の入力に接続されている。回転角度検出器は、多相電動機1の軸の機械角を検出し、検出結果である機械角を速度制御装置4に供給する。
【0014】
速度制御装置4は、各単相インバータ21、22、・・・、2Mと、単相インバータ31、32、・・・、3Mとに共通に設けられ、図示されない上位制御装置から送信される速度指令を受ける。この速度指令は、時間的に変化するものであってよい。速度制御装置4は、基本波電流指令ICOMを各単相インバータ21、22、・・・、2Mと、単相インバータ31、32、・・・、3Mとに送る。各単相インバータ21、22、・・・、2Mと、単相インバータ31、32、・・・、3Mは、基本波電流指令ICOMに応じた交流電流を多相電動機1の巻線に流す。
【0015】
図2と
図3は、実施形態の単相コンバータセルの構成図である。
図2と
図3に、少なくとも1つの半導体素子を備える単相インバータ21を示す。単相インバータ21は、例えば
図3に示すように複数の半導体素子を組み合わせた単相フルブリッジ型であってもよい。
図3に例示する半導体素子は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。半導体素子は、IGBTに限らず、FETなど他の種類のものでもよい。
図2に示す単相インバータ21の記載は、例えば、
図3に示す単相インバータ21を省略して記載したものであるが、これに制限されることなく、
図3以外のチョッパ型の単相インバータを適用してもよい。
【0016】
図4を参照して、多相電動機1と各単相インバータとの関係について説明する。
図4は、実施形態の多相電動機1と各単相インバータとの関係を説明するための図である。各相の巻線に対応して単相インバータが配置されている。実施形態の場合、M個の単相インバータが直列に接続された単相インバータ群20と単相インバータ群30とが並列に接続されている。それゆえ、単相インバータの総数は、2M個になる。
図4に示す巻線の総数Wは、単相インバータの総数に等しく2M個になる。なお、多相電動機1の各相の巻線は電気的には接続されていないが、異なる相の巻線による磁路がオーバラップするため磁気的に結合されていてもよい。
【0017】
多相電動機1は、各相の巻線に対応して設けられた各単相インバータによって駆動される。
【0018】
多相電動機駆動装置2は、例えば、下記の構成を有するとよい。
【0019】
第1の構成として、単相インバータ21、22、・・・、2Mと、単相インバータ31、32、・・・、3Mとのそれぞれが同じ仕様を有するものとする。この場合、各単相インバータの直流電圧の定格値をVinで表すと、M個の単相インバータを直列にした単相インバータ群20の直流電圧の定格値は、(Vin x M)になる。言い換えれば、単相インバータ単品の直流電圧の定格値のM倍になる。つまり、直流リンクの電圧VDCを、(Vin x M)まで高めることができる。先に直流リンクの電圧VDCで規定した場合には、各単相インバータの直流電圧の定格値Vinは、(VDC/M)になる。各単相インバータの仕様を揃える第1の構成をとることにより、次の第2の構成が可能なる。
【0020】
第2の構成として、単相インバータ21、22、・・・、2Mの直流電源側の接続点と、単相インバータ31、32、・・・、3Mの直流電源側の接続点とについて、互いに等電位になる接続点同士を接続する。例えば、単相インバータ21と単相インバータ22の直流電源側が互いに直列に接続されていることにより、単相インバータ21の直流電源の負極側と単相インバータ22の直流電源の正極側とが接続されている。この接続点を接続点212と呼ぶ。単相インバータ31と単相インバータ32とが互いに直列に接続されていることにより、単相インバータ31の直流電源の負極側と単相インバータ32の直流電源の正極側とが接続されている。この接続点を接続点312と呼ぶ。
【0021】
例えば、直流リンクLPとLN間の電圧を電圧VDCで示し、単相インバータ群20内のインバータの個数(直列数)がMである場合には、接続点212の電位は、(VDCx(1-1/M))になる。同様に接続点312の電位も、(VDCx(1-1/M))になる。上記の計算の結果から、接続点212の電位と、接続点312の電位とが、等電位になるため、接続点212と接続点312を接続するとよい。
【0022】
上記の接続点212と接続点312の接続と同様に、単相インバータ群20内のインバータ同士の接続点と、これに対応する単相インバータ群30内のインバータ同士の接続点とについて、互いに等電位になる接続点同士をそれぞれ接続するとよい。上記のように等電位になる接続点同士を接続することにより、単相インバータ21、22、・・・、2Mと、単相インバータ31、32、・・・、3Mとが稼働したときの直流入力側の電位変動の影響を低減させることが可能になる。
【0023】
第3の構成として、単相インバータ21、22、・・・、2Mと、単相インバータ31、32、・・・、3Mとのそれぞれの電源側には、コンデンサがそれぞれ設けられている。各コンデンサは、それぞれに最寄りの単相インバータの稼働状態によって生じる電圧変動の影響を低減させることに寄与する。
【0024】
例えば、上記の第1の構成から第3の構成までを組み合わせることにより、単相インバータ群20側のコンデンサと、単相インバータ群30側のコンデンサの内で、互いに等電位になるもの同士をそれぞれ並列に接続することができ、より直流電源変動を抑制することに寄与する。
【0025】
より具体的な例を示して多相電動機1の巻線配置について説明する。
図5は、実施形態の多相電動機1の巻線配置を概略的に示す断面図である。
【0026】
図5に示す断面図は、多相電動機1の軸に直交する面に沿った固定子8の断面を示す。多相電動機1の固定子8は、例えば鉄心9によって構成され、鉄心9には回転子Rの回転方向に並ぶ26個のスロット10が設けられている。
【0027】
多相電動機1は、巻線#1から#26の巻線を備える。各巻線は、26組の単相インバータからそれぞれ給電される。各巻線は、それぞれが独立していて、電気的に互いに絶縁されている。巻線#1から#26によってそれぞれ形成されるコイルの辺の部分は、固定子8に設けられた各スロット10内に、スロット深さ方向(径方向)に上層コイル部11a、下層コイル部11bの2層に分けて納められている。上記の通り、各巻線は、2層巻きで構成されている。
【0028】
図5に示すように、固定子8のスロット10内に納められた巻線#1から#26の各巻線は、スロットピッチが一律に8になるように各スロットに割り付けられている。
【0029】
例えば、第1スロットから第26スロットの各スロット10には、
図5中の最左端の第1スロットの上層側(スロット開口側)に巻線#1と、下層側(スロット底部側)に巻線#19が納められている。スロット番号を
図5中のスロット開口部分に示す。例えば、上記の通り第1スロットの上層コイル部11aに巻線#1が配置され、下層コイル部11bに巻線#19が配置されている。また左端から2番目の第2スロットの上層側に巻線#2と、下層側に巻線#20が納められている。
【0030】
同様に、第3スロットの上層側に巻線#3と下層側に巻線#21の組、第4スロットの上層側に巻線#4と下層側に巻線#22の組、第5スロットの上層側に巻線#5と下層側に巻線#23の組、第6スロットの上層側に巻線#6と下層側に巻線#24の組、第7スロットの上層側に巻線#7と下層側に巻線#25の組、第8スロットの上層側に巻線#8と下層側に巻線#26の組、第9スロットの上層側に巻線#9と下層側に巻線#1の組、第10スロットの上層側に巻線#10と下層側に巻線#2の組、第11スロットの上層側に巻線#11と下層側に巻線#3の組がそれぞれ納められている。第12スロットから第25スロットについても同様である。最後の第26スロットの上層側に巻線#26と下層側に巻線#18の組が納められている。上記のように、上層側と下層側の巻線の組の番号には、8のオフセットが設けられている。
【0031】
次に、
図6から
図7Cを参照して、実施形態の多相電動機駆動装置2について説明する。
図6は、実施形態の単相インバータと巻線との接続を説明するための図である。
図7Aから7Cは、実施形態の巻線間の電位差を説明するための図である。
【0032】
図6に示す多相電動機駆動装置2は、26組の単相インバータを備える。26組の単相インバータは、単相インバータ群20と単相インバータ群30とに分けられていて、単相インバータ群20と単相インバータ群30に含まれる各単相インバータは、その電源側が13組ずつ直列に接続されている。第1の列には、単相インバータCe1からCe13が含まれ、番号の順に従って互いに接続されている。同様に、第2の列には、単相インバータCe14からCe26が含まれ、番号の順に従って互いに接続されている。
【0033】
各単相インバータの出力には、所定の規則に従い決定された巻線が、単相インバータの出力に並列になるように接続されている。例えば、単相インバータ群20では、単相インバータCe1の出力には巻線#1が接続され、単相インバータCe2の出力には巻線#13が接続され、単相インバータCe3の出力には巻線#2が接続され、単相インバータCe4の出力には巻線#12が接続され、単相インバータCe5の出力には巻線#3が接続され、単相インバータCe6の出力には巻線#11が接続され、単相インバータCe7の出力には巻線#4が接続され、単相インバータCe8の出力には巻線#10が接続され、単相インバータCe9の出力には巻線#5が接続され、単相インバータCe10の出力には巻線#9が接続され、単相インバータCe11の出力には巻線#6が接続され、単相インバータCe12の出力には巻線#8が接続され、単相インバータCe13の出力には巻線#7が接続されている。
【0034】
単相インバータ群30では、単相インバータCe14の出力には巻線#14が接続され、単相インバータCe15の出力には巻線#26が接続され、単相インバータCe16の出力には巻線#15が接続され、単相インバータCe17の出力には巻線#25が接続され、単相インバータCe18の出力には巻線#16が接続され、単相インバータCe19の出力には巻線#24が接続され、単相インバータCe20の出力には巻線#17が接続され、単相インバータCe21の出力には巻線#23が接続され、単相インバータCe22の出力には巻線#18が接続され、単相インバータCe23の出力には巻線#22が接続され、単相インバータCe24の出力には巻線#19が接続され、単相インバータCe25の出力には巻線#21が接続され、単相インバータCe26の出力には巻線#20が接続されている。
【0035】
上記の接続のための所定の規則を整理する。
直列に配列された複数の単相インバータと複数の巻線との対応付けは、直列に配列された単相インバータの列の中で、次に示すような規則性を有する。
【0036】
例えば、ある単相インバータの列の端から奇数番目の単相インバータに接続される巻線は、固定子8の複数のスロットにおいて互いに隣り合うスロットに配置されるように割り当てられている。同様にその列の端から偶数番目の単相インバータに接続される巻線は、固定子8の複数のスロットにおいて互いに隣り合うスロットに配置されるように割り当てられている。
【0037】
上記の割り当ての際に、ある単相インバータの列の端から奇数番目の単相インバータをその番号を昇順に並べるときには、巻線の番号も昇順にする。同様に、偶数番目の単相インバータをその番号を昇順に並べるときには、奇数番目の場合とは逆にして巻線の番号は降順にする。
【0038】
上記のように単相インバータと巻線とを接続することにより、次のような規則性が生じる。例えば、直列に配列された複数の単相インバータに対応付けられる複数の巻線は、直列に配列された複数の単相インバータの組数と同数の連続するスロットの上層側又は下層側の何れかに割り付けられている。この詳細については、後述する。
【0039】
図6の左側に示すスケールは、各単相インバータの直流側の電位を示す。各単相インバータの直流側の電位とは、各インバータの1対の直流電源端子に掛かる電圧の中間の電圧のことであり、これを代表値として説明に利用する。この代表値は、例えば1対の直流電源端子に掛かる電圧の平均値であってもよい。この電圧を示す指標のことを直流レベルという。
【0040】
例えば、直流レベルとして、例えば整数値を用いて、スケール1から13までを割り付ける。スケール1から13の中で、スケール1に対応する第1の直流レベルが最も低く、スケール13に対応する第13の直流レベルが最も高くなるように、上記のスケールを規定する。この場合、単相インバータCe13の直流レベルは、スケール1であり、単相インバータCe12の直流レベルは、スケール2である。単相インバータCe2の直流レベルは、スケール12であり、単相インバータCe1の直流レベルは、スケール13である。単相インバータCe3から単相インバータCe11についても、上記と同様に段階的に直流レベルが規定される。
【0041】
ところで、各単相インバータの電位は、接地電位などの基準電位に対して、上記の直流レベルに対応する電位にオフセットされている。各単相インバータの交流出力側が、フルブリッジ形で構成されているので、ここに接続される巻線の電位も、対応する単相インバータの直流レベルの電位にオフセットされる。
【0042】
このような構成の接続によると、巻線間に所定の電位差が発生する。この関係を、
図7Aから7Cに示す。
【0043】
図7Aの上段側に、
図5に示した巻線(コイル)の配置例を示す。この配置例には、上から順に、スロット番号(スロットと表記)、位相、上層側の巻線(上コイルと表記。)、および下層側の巻線(下コイルと表記。)を示す。位相の値は、多相電動機1を3極で駆動する場合の各スロットに対応する電気角の値である。上コイルの点と下コイルの点の間を繋ぐ右肩下がりの線分は、当該スロットへの巻線の割り付けを示している。
図7Bについても同様であり、多相電動機1を3極で駆動する場合に、第1スロットから第26スロットまで、第27スロットから第52スロットまでに対応させた場合を示す。以降の説明では、第1スロットから第26スロットまでの範囲を説明するが、第27スロットから第52スロットまでの場合は、第1スロットから第26スロットまでの場合に対して電圧の極性が逆になる以外は同様になる。例えば、第1スロットから第8スロットの上段側に割り付けられた巻線に対して電力を供給することで、1極分の磁束を発生させることができる。このような給電状態を、上コイルの点と下コイルの点の間を繋ぐ右肩下がりの線分を実線で示す。ここでは、他の巻線の表記を省略している。
【0044】
図7Aの下段側の表に、各スロット10の上層側の巻線の直流レベル(上レベルと表記。)と、下層側の巻線の直流レベル(下レベルと表記。)との関係を示す。
【0045】
この表の各行は、上から順に、スロット番号(スロットと表記)、上層側の巻線に接続された単相インバータの番号(上INVと表記。)、上レベル、下レベル、下層側の巻線に接続された単相インバータの番号(下INVと表記。)、上レベルと下レベルの組み合わせパターンの番号(組合せと表記。)、上層側同士と下層側同士の隣の巻線とのレベル差、および当該スロットの上層側の巻線と下層側の巻線とのレベル差(上下レベル差と表記。)を示す。
【0046】
例えば、第1スロットについて説明する。
図7Aの上段側にも記載しているが、第1スロットの上層側には巻線#1が、下層側には巻線#19が割り付けられている。上層側の巻線を「#1+」と表記しているのは、そのスロットの巻線に流れる電流の方向を示す。例えば、
図7Aの紙面奥行方向に電流が流れることを示す。これと同様に、下層側の巻線である巻線#19にも、
図7Aの紙面奥行方向に電流が流れるものとする。なお、スロット9からスロット26までの下層側の巻線には、
図7Aの紙面手前方向に電流が流れるものとする。これをスロット9の下層側の巻線#1を「#1-」と表記して、これを示している。
【0047】
前述の
図6に示した通り、第1スロットの上層側の巻線#1に対応する単相インバータは、単相インバータCe1であり、下層側の巻線#19に対応する単相インバータは、単相インバータCe24である。この関係から導かれた単相インバータの番号が、
図7Aの下段側の表に記載されている。
図6と
図7Aの下段側の表によれば、単相インバータCe1(上INVが1)の直流レベルが13(上レベルの値)であり、単相インバータCe24(上INVが24)の直流レベルが3(下レベルの値)である。この組み合わせを1と呼ぶ。上レベルの値の13と下レベルの値の3との差(上下レベル差)が10である。
【0048】
同様に第2スロットについて整理すると、上層側の巻線#2に対応する単相インバータは、単相インバータCe3であり、下層側の巻線#20に対応する単相インバータは、単相インバータCe26である。単相インバータCe3(上INVが3)の直流レベルが11(上レベルの値)であり、単相インバータCe26(上INVが26)の直流レベルが1(下レベルの値)である。この組み合わせを2と呼ぶ。上レベルの値の11と下レベルの値の1との差(上下レベル差)が10である。
【0049】
同様に第3スロットについて整理すると、上層側の巻線#3に対応する単相インバータは、単相インバータCe5であり、下層側の巻線#21に対応する単相インバータは、単相インバータCe25である。単相インバータCe5(上INVが5)の直流レベルが9(上レベルの値)であり、単相インバータCe25(上INVが25)の直流レベルが2(下レベルの値)である。この組み合わせを3と呼ぶ。上レベルの値の9と下レベルの値の2との差(上下レベル差)が7である。
【0050】
上記のように各スロットについて整理すると、上下レベル差が1から10までの間にばらつくことがわかる。
図7Aの下段側の表の中で、上下レベル差が最大値の10になるスロットの欄に網掛けを付けている。
【0051】
上記は、各スロットの上下レベル差についての解析結果であるが、本実施形態の割り付けにより、隣のスロットに割り付けられる巻線間のレベル差を、所望の値よりも小さなレベル差に抑えることができる。この例の場合では、上下レベル差が最大で10であり、任意の組み合わせた場合に起こりうる最大値の12よりも小さくできる。
【0052】
例えば、
図7Aの下段側の表によれば、スロット1とスロット2の上層側に関わる巻線は、巻線#1と#2である。巻線#1と#2の巻線間の直流レベルのレベル差は、2である。
【0053】
上記のように隣のスロットに割り付けられる巻線間のレベル差について、全スロットにわたって整理すると、巻線間のレベル差が1と2にばらつくことがわかる。実施形態によれは、このように比較的小さな値に、隣のスロットに割り付けられる巻線間のレベル差を、所望の値よりも小さなレベル差に抑えることができる。この例の場合では、隣のスロットに割り付けられる巻線間のレベル差が最大で2であり、任意の組み合わせた場合に起こりうる最大値の12よりも十分に小さくできている。
【0054】
図7Cは、上記の例を、組み合わせ番号をキーにして、表に纏めたものである。
【0055】
なお、上記の例において、
図6に示す1又は複数の列の中の特定の列の並びの中で、互いに隣り合う複数の単相インバータは、複数のスロット10の中で互いに隣り合わないスロット10に割り付けられていてもよい。
【0056】
また、複数のスロットの中で互いに隣り合うスロット10に割り付けられている巻線に対応付けられた単相インバータは、1又は複数の列の中の特定の列の並びの中で離間して割り付けられているとよい。
【0057】
ここで、
図8から
図9Cに比較例の多相電動機駆動装置を示し、これについて説明する。
図8は、比較例の単相インバータと巻線との接続を説明するための図である。
図9Aから9Cは、比較例の巻線間の電位差を説明するための図である。
図8から
図9Cは、前述の
図6から
図7Cにそれぞれ対応する。実施形態の場合との違いを中心に説明する。
【0058】
図8に示す比較例の26組の単相インバータの第1の列には、単相インバータCe1からCe13が含まれ、各単相インバータが番号の順に従って互いに接続されている。同様に、第2の列には、単相インバータCe14からCe26が含まれ、各単相インバータが番号の順に従って互いに接続されている。
【0059】
各単相インバータの出力には、単相インバータの番号と同じ番号の巻線が、各単相インバータの出力に並列になるように接続されている。例えば、単相インバータCe1の出力には巻線#1が接続され、単相インバータCe2の出力には巻線#2が接続されている。単相インバータCe3からCe26についても同様に、それぞれの出力に巻線#3から#26が接続されている。
【0060】
図8に示すように、単相インバータCe1と巻線#1の組と、単相インバータCe14と巻線#14の組の直流レベルは、最も高い13になる。単相インバータCe13と巻線#13の組と、単相インバータCe26と巻線#26の組の直流レベルは、最も低い1になる。
【0061】
このように接続した場合には、
図9Aから9Cに示すような電位差が巻線間に発生する。例えば、第1スロットの上層側の巻線#1の直流レベルと、下層側の巻線#19の直流レベルのレベル差が5になる。第2スロットから第8スロットまでのレベル差は、第1スロットのレベル差と同様に5になる。これに対して、第9スロットの上層側の巻線#9の直流レベルと、下層側の巻線#1の直流レベルのレベル差が8になる。第10スロットから第13スロットまでのレベル差は、第9スロットのレベル差と同様に8になる。
【0062】
上記は、各スロットの上下レベル差についての解析結果であるが、本実施形態の割り付けにより、隣のスロットに割り付けられる巻線間のレベル差を、所望の値よりも小さなレベル差に抑えることができる。この例の場合では、上下レベル差が最大で8であり、任意の組み合わせた場合に起こりうる最大値の12よりも小さくできる。
【0063】
しかしながら、この比較例の場合、隣のスロットに割り付けられる巻線間のレベル差が最大で12になる箇所が生じる。該当箇所は、例えば、第1スロットと第26スロットの下層側と、第13スロットと第14スロットの上層側である。
図9Aのレベル差の欄の中で、上記に該当する位置の欄に網替えを付けている。
【0064】
ここで、実施形態と比較例を比較すると、実施形態の上下レベル差の最大値(10)は、比較例の場合の最大値の8に比べていくらか大きくなる。この上下レベル差に対しては、各スロット内の巻線間に、所望の絶縁対圧の絶縁物を設けることで、絶縁性を確保するとよい。
【0065】
これに対して、隣のスロットに割り付けられる巻線間のレベル差の最大値は、実施形態の場合が2であるのに対して、比較例の場合には12になる。この隣のスロットに割り付けられる巻線間には、十分な大きさの絶縁対圧の絶縁物を設けることが難しい。そのため、この値をより小さくできるほうが、より構成しやすいものになる。実施形態の多相電動機駆動装置2は、比較例に比べて構成しやすいことがわかる。
【0066】
上記の実施形態によれば、多相電動機駆動装置2が備える単相インバータCe1、Ce2、・・・、Ce26は、複数の巻線を備える多相電動機1の各巻線に、直流リンクに供給される直流電力から変換した交流電力をそれぞれ供給する。単相インバータCe1、Ce2、・・・、Ce26の直流電源側が、互いに直列に接続され、その両端が、直流リンクの両極間に接続されることにより、単相インバータCe1、Ce2、・・・、Ce26が接続されている直流リンクの直流電圧をより高めことができる。
【0067】
単相インバータCe1、Ce2、・・・、Ce26の出力は、多相電動機1の各巻線にそれぞれ接続されていてよい。これにより、単相インバータCe1、Ce2、・・・、Ce26がそれぞれ変換した交流電力を利用して多相電動機1を駆動させることが可能になる。
【0068】
多相電動機駆動装置2は、単相インバータ群20(第1列を成す第1組のインバータ群)の他に単相インバータ群30(第2列を成す第2組のインバータ群)を更に含めて構成してもよい。この場合、単相インバータ群20と単相インバータ群30が互いに並列に接続されるとよい。これにより、単相インバータ群の並列数を増やすことにより、直流リンクの電圧を過剰に高めることなく、直流リンクの電圧を高めることができる。
【0069】
なお、直列に接続された単相インバータCe1、Ce2、・・・、Ce13又は単相インバータCe14、Ce15、・・・、Ce26には、第1スロットに割り付けられた巻線#1(第1巻線)に電力を供給する単相インバータCe1(第1インバータ)と第1スロットに割り付けられた巻線#19(第2巻線)に電力を供給する単相インバータCe24(第2インバータ)と、第1スロットの隣の第2スロットに割り付けられた巻線#3(第3巻線)に電力を供給する単相インバータCe3(第3インバータ)とが含まれている。
【0070】
複数のスロット10のすべての場合について、例えば、巻線#1と巻線#3とに掛かる電位差が、巻線#1と巻線#19とに掛かる電位差に基づいて定められた代表値よりも小さくなるように、直列に接続された単相インバータCe1、Ce2、・・・、Ce13の列又は単相インバータCe14、Ce15、・・・、Ce26の列の中で、単相インバータCe、単相インバータCe3、単相インバータCe24とが配列される位置が決定されている。これによって、単相インバータCe1、Ce2、・・・、Ce26が多相電動機1の各巻線に交流電力をそれぞれ供給するときに、近くに配置される2つの巻線間に掛かる電圧を低減させることができる。
【0071】
上記の代表値は、同じスロットに割り付けられる巻線同士に掛かる電位差の最大値、平均値、および中央値の中の何れかの値であってもよい。上記の実施形態に例では、電位差の最大値、平均値、および中央値の値が、それぞれ、10、6.2、および7である。このような値を代表値にしてもよい。
【0072】
少なくとも上記の実施形態によれば、多相電動機駆動装置2は、多相電動機1に対して、多相電動機1の各巻線に対応付けて設けられた複数のインバータであって、直流リンクに供給される直流電力から変換した交流電力を各巻線にそれぞれ供給する複数のインバータを備える。多相電動機1は、互いに絶縁された複数の巻線と、複数の巻線を2層巻きで収容する複数のスロット10を有する固定子8と、を備える。複数のインバータの電源側が互いに直列に接続される。直列に接続された複数のインバータのうちの両端に位置するインバータの電源端子が直流リンクの両極にそれぞれ接続される。直列に接続された複数のインバータには、特定のスロットに割り付けられた第1巻線に電力を供給する第1インバータと、特定のスロットに割り付けられた第2巻線に電力を供給する第2インバータと、特定のスロットの隣のスロットに割り付けられた第3巻線に電力を供給する第3インバータとが含まれる。複数のスロットのすべての場合について、第1巻線と第3巻線とに掛かる電位差が、第1巻線と第2巻線とに掛かる電位差に基づいて定められた代表値よりも小さくなるように、直列に接続された複数のインバータの1又は複数の列の中で、第1インバータと第2インバータと第3インバータとが配列される位置が決定されている。これによって、多相電動機駆動装置は、複数の電力変換ユニットが多相電動機の各巻線に交流電力をそれぞれ供給するときに、近くに配置される2つの巻線間に掛かる電圧を低減させることができる。
【0073】
上記の速度制御装置4は、その少なくとも一部を、CPUなどのプロセッサがプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部で実現してもよく、すべてをLSI等のハードウェア機能部で実現してもよい。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0075】
例えば、上記の実施形態の説明では、多相電動機駆動装置2と、速度制御装置4とを分けて構成した事例について説明したが、多相電動機駆動装置2と、速度制御装置4とを一体化することを制限することはなく、多相電動機駆動装置2と、速度制御装置4とを一体化してもよい。
【0076】
また、上記の説明の多相電動機1の相数に合わせて、多相電動機駆動装置2内の単相インバータ群の並列数と、単相インバータ群内の単相インバータの直列数とを、任意に決めることができる。
【符号の説明】
【0077】
1…多相電動機、2…多相電動機駆動装置、4…速度制御装置(制御部)、20、30…単相インバータ群(インバータ群)、21、22、・・・、2M、31、32、・・・、3M…単相インバータ(インバータ)、LP、LN…直流リンク