IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーデーペー・ディスカバリー・ファルマ,ソシエダッド・リミターダの特許一覧

<>
  • 特許-抗がんペプチド 図1
  • 特許-抗がんペプチド 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】抗がんペプチド
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/00 20060101AFI20231006BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20231006BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20231006BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231006BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
C07K7/00 ZNA
A61K38/10
A61K38/12
A61P35/00
A61P35/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020526679
(86)(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2018070073
(87)【国際公開番号】W WO2019020649
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】17382494.7
(32)【優先日】2017-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520030017
【氏名又は名称】イーデーペー・ディスカバリー・ファルマ,ソシエダッド・リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】エステバン・マルティン,サンティアゴ
(72)【発明者】
【氏名】ネヴォラ,ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】レカンダ・コルデロ,フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】モレノ・モレノ,アリッツ
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-535514(JP,A)
【文献】特表2016-519059(JP,A)
【文献】国際公開第02/006338(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0048502(US,A1)
【文献】J. Am. Chem. Soc.,1996年,Vol.118, No.40,pp.9606-9614
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチドが、配列番号2から14の配列からなる群から選択される、ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
標識と、薬物と、または、安定化部分とコンジュゲートされた、請求項1に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
ペプチドが、配列番号16の配列のものである、請求項2に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
細胞透過性ペプチドとコンジュゲートされた、請求項1から3のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩である、融合タンパク質。
【請求項5】
配列番号17の配列のものである、請求項に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
治療有効量の、請求項1から3のいずれか一項に記載のペプチドもしくは薬学的に許容されるその塩または請求項4からのいずれか一項に記載の融合タンパク質を、許容される医薬賦形剤および/または担体と一緒に含む、医薬組成物。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか一項に記載のペプチドもしくは薬学的に許容されるその塩または請求項4からのいずれか一項に記載の融合タンパク質を含む医薬。
【請求項8】
がんの治療における使用のためである請求項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
がんが、白血病、乳がん、膠芽腫および肺がんからなる群から選択される、請求項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年7月25日に出願された、欧州特許出願第EP17382494.7号の優先権を主張するものである。
本発明は、抗新生物化合物の分野全体に、より詳細には、抗がん活性が改善されたペプチドの設計および合成に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞内で作用するタンパク質およびペプチドの治療的使用は、がんおよび他の疾患の治療に非常に有望である。
がんは、複数の要因の発生の結果である。突然変異は、細胞増殖を増大させる癌原遺伝子において、発生し得る。突然変異は、その正常機能が細胞増殖を調節することである腫瘍抑制因子においても発生し得る。DNA修復酵素における突然変異は、増殖する前に損傷を修復する細胞の能力を損なう。
【0003】
腫瘍抑制遺伝子は、その非存在(喪失または不活化)ががんにつながり得る正常遺伝子である。腫瘍抑制遺伝子は、細胞成長および分裂を減速させるタンパク質をコードする。腫瘍抑制遺伝子の野生型対立遺伝子は、異常な細胞増殖を抑制するタンパク質を発現する。腫瘍抑制タンパク質のための遺伝子コード化が突然変異するまたは欠失する場合、得られる変異タンパク質または腫瘍抑制タンパク質発現の完全な欠如は、細胞増殖を正しく調節することに失敗する場合があり、異常な細胞増殖は、特に細胞調節機構に対する既存の損傷が既にある場合に起こり得る。若干数のよく研究されたヒト腫瘍および腫瘍細胞株は、欠けているまたは非機能性腫瘍抑制遺伝子を有することが示されている。
【0004】
現在、多くの一般的ながんの種類の治療のための有効な選択肢はほとんどない。所与の個体のための治療過程は、診断、疾患が発症した段階、ならびに患者の年齢、性別および全体的健康等の要因によって決まる。がん治療の最も慣例的な選択肢は、手術、放射線療法および化学療法である。これらの療法は、それぞれ、様々な副作用を伴い、様々な有効性の程度を有する。これらの副作用は、伝統的な化学療法について既に開示された多剤耐性と一緒に、新規抗がん薬または治療的アプローチに対する緊急の必要性を促してきた。
【0005】
抗がんペプチドは、それらの独自の機序およびいくつかの並外れた特性により、新規抗がん剤のための有望な分子となっている。しかしながら、先行技術において既に開示されたペプチドによって示された特異性および感度等の特性は、さらなる改善を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、なされた努力にもかかわらず、適切な抗がんプロファイルを有するさらなるポリペプチドを開発する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、配列番号1の配列が、がん細胞増殖を阻害する際に有効ではないことを見出した。驚くべきことに、前記配列番号1の配列が、側鎖架橋(ステープル化)の包含によってまたは細胞透過性ペプチドとのコンジュゲーションによって修飾された場合、ペプチド配列は、がん細胞増殖を阻害する際に著しく活性になった(以下の表5~6を参照)。本発明のペプチドによって示された効率は、所望の効果を実現するために少量しか必要とされないようにする。
【0008】
技術水準において、肝毒性は、抗がん化合物の投与に関連する副作用であることが公知である。以下の表7に示されるように、本発明のペプチドは、ヒト肝細胞において毒性を生じさせることなく、そのような抗がん効果を示す。
【0009】
したがって、第一の態様において、本発明は、式(I)の抗がんペプチドまたはその薬学的塩:
【0010】
【化1】
【0011】
[式中、
「m」、「n」、「p」および「q」は、整数を表し、0および1から選択され、
「r」は、1から10までで構成され、
ペプチドは、
- 式(I)のペプチドにおける「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子を、式(I)のペプチドにおける「i+4」または「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と連結している、式(II)のリンカービラジカル「L」
-[(R-(R)-(R-(II)、
- -C(O)Rに対応するC末端、および
- -NHRに対応するN末端
を含み、ここで、
「a」および「b」は、同じであるかまたは異なっており、0または1であり、
「c」は、1から10までで構成され、
およびRは、(C~C10)アルキル;ハロゲン、(C~C10)アルキル、-OR、-NR、-SR、-SOR10、-SO11および-CO12からなる群から選択される1個または複数のラジカルによって置換されている(C~C10)アルキル;(C~C10)アルケニル;ハロゲン、(C~C10)アルキル、-OR、-NR、-SR、-SOR10、-SO11および-CO12からなる群から選択される1個または複数のラジカルによって置換されている(C~C10)アルケニル;(C~C10)アルキニル;ならびに、ハロゲン、(C~C10)アルキル、-OR、-NR、-SR、-SOR10、-SO11および-CO12からなる群から選択される1個または複数のラジカルによって置換されている(C~C10)アルキニル(alkinyl)からなる群から独立して選択されるビラジカルであり、
は、-O-、C(=O)、C(=O)NR13、C(=O)O、S(=O)、S(=O)、NR14、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、(C~C10)アルキニル、-NR15-NR16-、-N=N-、-S-S-、および1から3個までの環を含む、3から14員までを含む公知の環系からなる群から選択されるビラジカルであり、ここで、
環の各1個は、飽和、部分不飽和または芳香族であり、
環は、単離されているか、部分的にまたは完全に縮合しており、
公知の環系を形成する員の各1個は、-CH-、-CH-、-NH-、-N-、-SH-、-S-および-O-からなる群から選択され、
環系は、ハロゲン、-OH、-NO、(C~C10)アルキル、(C~C10)ハロアルキルおよび(C~C10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1個または複数のラジカルによって置換されていてもよく、
は、-OHおよび-NR1718からなる群から選択されるラジカルであり、
は、-Hおよび(C~C20)アルキルからなる群から選択されるラジカルであり、
、R、R、R、R10、R11、R1213、R14、R15、R16、R17およびR18は、-Hおよび(C~C10)アルキルからなる群から独立して選択されるラジカルであり、
リンカーによって連結されているアミノ酸は、式(III)
【0012】
【化2】
【0013】
{式中、
19は、-H、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、(C~C10)アルキニル、および1から3個までの環を含む、3から14員までを含む公知の環系からなる群から選択されるモノラジカルであり、ここで、
環の各1個は、飽和、部分不飽和または芳香族であり、
環は、単離されているか、部分的にまたは完全に縮合しており、
公知の環系を形成する員の各1個は、-CH-、-CH-、-NH-、-N-、-SH-、-S-および-O-からなる群から選択される}
のものである]、
または、代替として、配列番号18の配列のペプチドと少なくとも85%の同一性を有するペプチドまたは薬学的な許容される(pharmaceutical acceptable)その塩
【0014】
【化3】
【0015】
[式中、
Lは、上記で定義されている式(II)のリンカービラジカルであり、
Xは、上記で定義されている式(III)のアミノ酸である]
を提供する。
【0016】
そのようながん細胞増殖阻害により、本発明のペプチドは、有望な抗がんペプチドである。
第二の態様において、本発明は、細胞透過性ペプチドとコンジュゲートされた、配列番号1の配列に関して少なくとも85%の同一性を有するペプチドまたはその薬学的塩を提供する。
【0017】
上記に加えて、以下で提供されるように、本発明のペプチドは、血漿中における適切な半減期および安定性を示し、ペプチドの量(および効果)は、ヒト血漿中におけるそのインキュベーション後約24時間にわたって持続される(表8、以下)。
【0018】
これらのデータは、本発明のペプチドが抗がん治療薬として好適であると結論付けることを可能にする。
第三の態様において、本発明は、本発明の第一または第二の態様で定義されているペプチドを含む、融合タンパク質を提供する。
【0019】
第四の態様において、本発明は、治療有効量の、本発明のペプチドもしくはその薬学的塩または本発明の第三の態様で定義されている融合タンパク質を、許容される医薬賦形剤および/または担体と一緒に含む、医薬組成物を提供する。
【0020】
第五の態様において、本発明は、医薬としての使用のための、本発明の第一もしくは第二の態様で定義されているペプチドもしくはその薬学的塩または本発明の第三の態様で定義されている融合タンパク質を提供する。この態様は、代替として、疾患の治療のための医薬の製造における、本発明の第一もしくは第二の態様で定義されているペプチドもしくはその薬学的塩または本発明の第三の態様で定義されている融合タンパク質の使用として案出され得る。この態様は、代替として、疾患の治療のための方法であって、有効治療量の、本発明の第一もしくは第二の態様で定義されているペプチドもしくはその薬学的塩または本発明の第三の態様の融合タンパク質を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法としても案出され得る。
【0021】
第六の態様において、本発明は、がんの治療における使用のための、本発明の第一もしくは第二の態様で定義されているペプチドもしくはその薬学的塩または本発明の第三の態様で定義されている融合タンパク質または本発明の第四の態様で定義されている医薬組成物を提供する。この態様は、代替として、がんの治療のための医薬の製造における、本発明の第一もしくは第二の態様で定義されているペプチドもしくはその薬学的塩または本発明の第三の態様で定義されている融合タンパク質または本発明の第四の態様で定義されている医薬組成物の使用として案出され得る。この態様は、代替として、がんの治療のための方法であって、有効治療量の、本発明の第一もしくは第二の態様で定義されているペプチドもしくはその薬学的塩または本発明の第三の態様で定義されている融合タンパク質または本発明の第四の態様で定義されている医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法としても案出され得る。
【0022】
さらなる態様において、本発明は、(a)本発明の第一もしくは第二の態様で定義されているペプチドもしくはその薬学的塩または本発明の第三の態様で定義されている融合タンパク質または本発明の第四の態様の医薬組成物と、治療剤、特に抗がん剤とを含む、組合せ;(b)医薬としての使用のための、より詳細には、がんの治療における使用のための、本発明の第一もしくは第二の態様で定義されているペプチドもしくはその薬学的塩または本発明の第三の態様の融合ペプチドまたは本発明の第四の態様の医薬組成物と、治療剤、特に抗がん剤とを含む、組合せ;(c)がんの予防または治療のための併用療法であって、抗がん剤と同時に、順次にまたは別個に対象へのその投与を含む療法における使用のための、本発明の第一もしくは第二の態様で定義されているペプチドもしくはその薬学的塩または本発明の第三の態様で定義されている融合タンパク質または本発明の第四の態様で定義されている医薬組成物;ならびに(d)本発明の第一もしくは第二の態様で定義されているペプチドもしくはその薬学的塩または本発明の第三の態様で定義されている融合タンパク質または本発明の第四の態様で定義されている医薬組成物との併用療法における使用であって、がんの予防または治療を含む使用のための、抗がん剤を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のH14ペプチドの投与によって誘導された切断Parpタンパク質の量のウェスタンブロット解析の図である。
図2】本発明のH14ペプチドの投与によって誘導されたカスパーゼ3の量のウェスタンブロット解析の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書において使用される場合、本出願におけるすべての用語は、別段の記載がない限り、当該技術分野において公知であるそれらの普通の意味で理解されるものとする。本出願において使用されるある特定の用語について他のより具体的な定義は、以下に明記される通りであり、別段明確に提示される定義がより広義の定義を提供しない限り、明細書および請求項の全体を通して一様に当てはまることが意図される。
【0025】
本発明の目的のために、記載される任意の範囲は、範囲の下位および上位の終点両方を含む。
本発明は、上記で記載したように、式(I)の、または代替として、配列番号18のペプチドと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むペプチドを提供する。
【0026】
本明細書において使用される場合、用語「薬学的な許容される塩」は、妥当な医学的判断の範囲内で、必要以上の毒性、刺激、アレルギー応答等なしに、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、合理的なベネフィット/リスク比に見合った、塩を指す。薬学的な許容される塩は、当該技術分野において周知である。薬学的に許容される非毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸等の無機酸と、または酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸等の有機酸と、あるいはイオン交換等の当該技術分野において使用される他の方法を使用して、形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的な許容される塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチネート(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等を含む。適切な塩基に由来する塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウムを含む。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を含む。さらなる薬学的な許容される塩は、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート等の対イオンを使用して形成される、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウムおよびアミンカチオンを含む。
【0027】
用語(C~C10)アルキルは、1から10個までの炭素原子を有する飽和直鎖状または分枝鎖状アルキル鎖を指す。例証的な非限定的例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオ-ペンチルおよびn-ヘキシルである。
【0028】
用語(C~C20)アルキルは、1から20個までの炭素原子を有する飽和直鎖状または分枝鎖状アルキル鎖を指す。
用語(C~C10)アルケニルは、2から10個までの炭素原子を含有し、1つまたは複数の二重結合も含有する、飽和直鎖状または分枝鎖状アルキル鎖を指す。例証的な非限定的例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イル等である。
【0029】
用語(C~C10)アルキニルは、2から20個までの炭素原子を含有し、1つまたは複数の三重結合も含有する、飽和直鎖状または分枝鎖状アルキル鎖を指す。例は、数ある中でも、エチニル、1-プロピニル、2-ブチニル、1,3-ブタジニル、4-ペンチニルおよび1-ヘキシニルを含む。
【0030】
用語「ハロゲン」は、周期表における、5つの化学的に関連する元素:フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)およびアスタチン(At)からなる群を指す。
【0031】
用語(C~C10)ハロアルキルは、(C~C10)アルキル基からの1個または複数の水素原子の、同じであっても異なっていてもよい、1個または複数、好ましくは1から6個までのハロゲン原子による置きかえから生じる基を指す。例は、数ある中でも、トリフルオロメチル、フルオロメチル、1-クロロエチル、2-クロロエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2-ブロモエチル、2-ヨードエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3-クロロプロピル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、4-フルオロブチルおよびノナフルオロブチルを含む。
【0032】
用語「公知の」環系は、本明細書において使用される場合、化学的に実現可能であり、当該技術分野において公知である環系を指し、そのため、化学的に可能ではない環系を除外することを意図する。
【0033】
本発明によれば、環系が「単離された」環によって形成される場合、環系が、2、3または4個の環によって形成され、前記環が、1個の環の原子から他の環の原子との結合を介して結合していることを意味する。用語「単離された」は、環系が1個の環のみを有する実施形態も内包する。1個の環からなる公知の環系の例証的な非限定的例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクルヘキシル(cyclhexyl)、シクロヘプチル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、フェニルおよびシクロヘプテニルに由来するものである。
【0034】
本発明によれば、環系が「完全に縮合した」環を有する場合、環系が、2個以上の原子が2個の隣接する環に共通である2、3または4個の環によって形成されることを意味する。例証的な非限定的例は、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、1-ナフチル、2-ナフチル、アントリルまたはフェナントリルである。
【0035】
本発明によれば、環系が「部分的に縮合した」ものである場合、環系が、前記完全に縮合した環の少なくとも2つ(すなわち、2個以上の原子が2個の隣接する環に共通である)であり、残りの環は1個の環の原子から縮合環の1つの原子との結合を介して結合している、3または4個の環によって形成されることを意味する。
【0036】
用語「ビラジカル」は、本出願において使用される場合、互いに独立して作用する2つのフリーラジカル中心を有する偶数電子の化学化合物を意味する(IUPAC Gold Book、ウェブページ:http://goldbook.iupac.org、またはIUPAC book、第2.3.3版、2014-02-24、168頁)。
【0037】
別段の記載がない限り、本発明のペプチドを形成するアミノ酸は、L-またはD-配置を有することができる。
本発明のペプチドの構築において使用されるアミノ酸は、有機合成によって調製されてもよいし、または、例えば、天然源の分解もしくはそこからの単離等の他のルートによって取得されてもよい。
【0038】
以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の一実施形態において、ペプチドが式(I)のものである場合、rは、1から3までである。以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドが式(I)のものである場合、rは、1である。したがって、本発明の第一の態様のペプチドは、式(I)のアミノ酸配列からなる。
【0039】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、a=1である。以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、b=1である。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、c=1である。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、a=b=c=1である。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、a=b=c=r=1である。
【0040】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、RおよびRは、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニルおよび(C~C10)アルキニルからなる群から独立して選択されるビラジカルである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、RおよびRは、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表す。
【0041】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、Rは、-O-、C(=O)、C(=O)NR13、C(=O)O、S(=O)、S(=O)、NR14、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、(C~C10)アルキニル、-NR15-NR16-、-N=N-、-S-S-、および3から6員までの1個の環からなる公知の環系からなる群から選択されるビラジカルであり、環は、
飽和、部分不飽和または芳香族であり、
公知の環系を形成する員の各1個は、-CH-、-CH-、-NH-、-N-、-SH-、-S-および-O-からなる群から選択され、
環系は、ハロゲン、-OH、-NO、(C~C10)アルキル、(C~C10)ハロアルキルおよび(C~C10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1個または複数のラジカルによって場合により置換されている。
【0042】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、Rは、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニルおよび(C~C10)アルキニルからなる群から選択されるビラジカルである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、Rは、(C~C10)アルケニルである。
【0043】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、RおよびRは、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rは、(C~C10)アルケニルである。
【0044】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、RおよびRは、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rは、(C~C10)アルケニルであり;a=b=c=1である。
【0045】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、RおよびRは、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rは、(C~C10)アルケニルであり;r=a=b=c=1である。
【0046】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、R19は、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニルおよび(C~C10)アルキニルからなる群から選択される。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、R19は、(C~C10)アルキルモノラジカルである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、R、RおよびR19は、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rは、(C~C10)アルケニルである。
【0047】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、Rは、-OHである(すなわち、C末端は、-C(O)OHである)。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、Rは、-NR1718であり、R17およびR18は、同じ意味を有する。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、Rは、-NHである(すなわち、C末端は、-C(O)NHである)。
【0048】
以上または以下で提供される実施形態のいずれか(anty)と場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、N末端は、-NHに対応する。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、本発明のペプチドのC末端およびN末端は、それぞれ、-C(O)OHおよび-NHである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、本発明のペプチドのC末端およびN末端は、それぞれ、-C(O)NHおよび-NHである。
【0049】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、「m」および「n」は、同じものを意味する(すなわち、いずれも0または1である)。
【0050】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、「p」および「q」は、同じものを意味する(すなわち、いずれも0または1である)。
【0051】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の一実施形態において、ペプチドまたは薬学的塩は、式(I):
【0052】
【化4】
【0053】
[式中、
「m」、「n」、「p」、「q」および「r」は、上記で定義されている通りである]
のものに対応し、
ペプチドは、以上で提供された実施形態のいずれかにおいて定義されている、式(II)のリンカービラジカル、C末端およびN末端を含む。
【0054】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、式(I)のペプチドまたはその薬学的塩は、式(Ia)または(Ib):
Ia:
【0055】
【化5】
【0056】
Ib:
【0057】
【化6】
【0058】
[式中、「m」、「n」、「p」、「q」、LおよびR19は、上記で定義されている通りである]
のものである。
【0059】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の一実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、式(Ia)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、「m」および「n」が、同じである、式(Ia)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、「m」および「n」が、1である、式(Ia)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、「p」および「q」が、0である、式(Ia)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ia)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、「m」および「n」が、1であり、「p」および「q」が、0であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ia)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、「m」および「n」が、1であり、「p」および「q」が、0であり、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ia)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、「m」および「n」が、1であり、「p」および「q」が、0であり、r=a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ia)のものである。
【0060】
以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、式(Ib)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、「m」および「n」が、同じである、式(Ib)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、「p」および「q」が、同じである、式(Ib)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ib)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、「m」および「n」が、1であり、「p」および「q」が、0であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ia)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、「m」および「n」が、0であり、「p」および「q」が、1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ib)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、「m」および「n」が、1であり、「p」および「q」が、0であり、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ib)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、「m」および「n」が、0であり、「p」および「q」が、1であり、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ib)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、「m」および「n」が、0であり、「p」および「q」が、1であり、r=a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ib)のものである。
【0061】
代替として、以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、配列番号18の配列と少なくとも85%の同一性を有するものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドは、配列番号18の配列に関して、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、配列番号18の配列と少なくとも85%の同一性を有するペプチドまたはその薬学的塩は、(Ibis1)、(Ibis2)、(Ibis3)(Ibis4)、(Ibis5)および(Ibis6):
(Ibis1):
【0062】
【化7】
【0063】
[AAは、Thr以外のアミノ酸であり、「X」および「L」は、上記の実施形態のいずれかで定義されている通りである]、
(Ibis2):
【0064】
【化8】
【0065】
[AAは、Glu以外であり、「X」および「L」は、上記の実施形態のいずれかで定義されている通りである]、
(Ibis3):
【0066】
【化9】
【0067】
[AAは、Pro以外であり、「X」および「L」は、上記の実施形態のいずれかで定義されている通りである]
(Ibis4):
【0068】
【化10】
【0069】
[AAは、Ala以外であり、AAは、Thr以外であり、AAは、Glu以外であり、「X」および「L」は、上記の実施形態のいずれかで定義されている通りである]
(Ibis5):
【0070】
【化11】
【0071】
[AAは、Asn以外であり、「X」および「L」は、上記の実施形態のいずれかで定義されている通りである]
(Ibis6):
【0072】
【化12】
【0073】
[AAは、Ala以外であり、「X」および「L」は、上記の実施形態のいずれかで定義されている通りである]
からなる群から選択される。
【0074】
本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたは薬学的塩は、式(Ibis1)のものに対応する。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ibis1)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1である、式(Ibis1)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ibis1)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、AAが、非極性アミノ酸である、式(Ibis1)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、AAが、Alaである、式(Ibis1)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、非極性アミノ酸である、式(Ibis1)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、非極性アミノ酸である、式(Ibis1)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、Alaである、式(Ibis1)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、「m」および「n」a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、Alaである、式(Ibis1)のものである。
【0075】
本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたは薬学的塩は、式(Ibis2)のものに対応する。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ibis2)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1である、式(Ibis2)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ibis2)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、AAが、非極性アミノ酸または極性アミノ酸である、式(Ibis2)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、AAが、Ala、GlnまたはPheである、式(Ibis2)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、非極性アミノ酸または極性アミノ酸である、式(Ibis2)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、非極性アミノ酸または極性アミノ酸である、式(Ibis2)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、Ala、PheまたはGlnである、式(Ibis2)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、Ala、PheまたはGlnである、式(Ibis2)のものである。
【0076】
本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたは薬学的塩は、式(Ibis3)のものに対応する。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ibis3)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1である、式(Ibis3)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ibis3)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、AAが、極性アミノ酸またはPheである、式(Ibis3)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、AAが、Ser、GlnまたはPheである、式(Ibis3)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、極性アミノ酸またはPheである、式(Ibis3)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、極性アミノ酸またはPheである、式(Ibis3)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、Ser、GlnまたはPheである、式(Ibis3)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、Ser、GlnまたはPheである、式(Ibis3)のものである。
【0077】
本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたは薬学的塩は、式(Ibis4)のものに対応する。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ibis4)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1である、式(Ibis4)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ibis4)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、AAが、極性アミノ酸であり、AAが、非極性アミノ酸であり、AAが、極性アミノ酸である、式(Ibis4)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、AAが、Glnである、式(Ibis4)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、AAが、Alaである、式(Ibis4)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、AAが、Glnである、式(Ibis4)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、極性アミノ酸であり、AAが、非極性アミノ酸であり、AAが、極性アミノ(polar amino)である、式(Ibis4)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、極性アミノ酸であり、AAが、非極性アミノ酸であり、AAが、極性アミノ酸である、式(Ibis4)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、Glnであり;AAが、Alaであり;AAが、Glnである、式(Ibis4)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、Glnであり;AAが、Alaであり;AAが、Glnである、式(Ibis4)のものである。
【0078】
本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたは薬学的塩は、式(Ibis5)のものに対応する。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ibis5)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1である、式(Ibis5)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ibis5)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、AAが、Asn以外の極性アミノ酸である、式(Ibis5)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、AAが、Glnである、式(Ibis5)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、Asn以外の極性アミノ酸である、式(Ibis5)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、Glnである、式(Ibis5)のものである。
【0079】
本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたは薬学的塩は、式(Ibis6)のものに対応する。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ibis6)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1である、式(Ibis6)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルである、式(Ibis6)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、AAが、極性アミノ酸である、式(Ibis6)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、極性アミノ酸である、式(Ibis6)のものである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第一の態様の別の実施形態において、ペプチドまたはその薬学的塩は、a=b=c=1であり、R、RおよびR19が、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルキルを表し;Rが、(C~C10)アルケニルであり;AAが、Glnである、式(Ibis6)のものである。
【0080】
本発明において、「非極性アミノ酸」は、疎水性の性質を有する任意のアミノ酸であると理解される(undertood)。非極性アミノ酸は、炭化水素アルキル基(アルカン分枝)または芳香族(ベンゼン環)またはヘテロ芳香族(例えば、インドール環)である側鎖を有する。一般的な非極性アミノ酸の例証的な非限定的例は、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、Gly、PheおよびMetである。
【0081】
本発明において、「極性アミノ酸」は、側鎖において中性pHの極性であるが非荷電基を有する(ヒドロキシル、アミドまたはチオール基等)、任意の極性中性アミノ酸と理解される。極性中性アミノ酸の例証的な非限定的例は、Ser、Thr、Cys、Tyr、AsnおよびGlnである。
【0082】
本発明の別の実施形態において、ペプチドは、配列番号2から14のペプチド配列のいずれかと、少なくとも85%の配列同一性を有する配列からなる群から選択される。本発明の別の実施形態において、ペプチドは、配列番号2から14のペプチド配列のいずれかと、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列からなる群から選択される。本発明の別の実施形態において、ペプチドは、配列番号2から14の配列からなる群から選択される。本発明の別の実施形態において、ペプチドは、配列番号2から4の配列からなる群から選択される。
配列番号2(以後「H02」とも称される)
【0083】
【化13】
【0084】
配列番号3(以後「H04」とも称される)
【0085】
【化14】
【0086】
配列番号4(以後「H14」とも称される)
【0087】
【化15】
【0088】
配列番号5(以後H14-09とも称される)
【0089】
【化16】
【0090】
配列番号6(以後H14-A12とも称される)
【0091】
【化17】
【0092】
配列番号7(以後H14-F12とも称される)
【0093】
【化18】
【0094】
配列番号8(以後H14-F14とも称される)
【0095】
【化19】
【0096】
配列番号9(以後H14-h2-01とも称される)
【0097】
【化20】
【0098】
配列番号10(以後H14-Q06とも称される)
【0099】
【化21】
【0100】
配列番号11(以後H14-Q09とも称される)
【0101】
【化22】
【0102】
配列番号12(以後H14-Q13とも称される)
【0103】
【化23】
【0104】
配列番号13(以後H14-Q15とも称される)
【0105】
【化24】
【0106】
配列番号14(以後H14-S15とも称される)
【0107】
【化25】
【0108】
第二の態様において、本発明は、細胞透過性ペプチドとコンジュゲートされた、配列番号1の配列に関して少なくとも85%の配列の同一性を少なくとも有するペプチドまたはその薬学的塩を提供する。
【0109】
本発明の第二の態様の一実施形態において、ペプチドは、配列番号1の配列に関して、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する。
【0110】
本発明において、用語「同一性」は、配列が最適にアラインされた場合、2つの配列において同一である残基または塩基のパーセンテージを指す。最適アラインメントにおいて、第一の配列におけるある位置が、第二の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占有される場合、配列は、その位置に関して同一性を呈する。2つの配列間の同一性のレベル(または「配列同一性パーセント」)は、配列のサイズに関して配列によって共有される同一の位置の数の比として測定される(すなわち、配列同一性パーセント=(同一の位置の数/位置の総数)×100)。一実施形態において、配列番号18の配列のペプチドに関して同一性が計算される場合、リンカーによって連結されている2個のアミノ酸残基は、同一の位置を決定するためにアラインメントを実施する場合、考慮されない。
【0111】
最適アラインメントを迅速に取得し、2つ以上の配列間の同一性を計算するための若干数の数学的アルゴリズムは、公知であり、若干数の利用可能なソフトウェアプログラムに組み込まれる。そのようなプログラムの例は、数ある中でも、アミノ酸配列解析のためのMATCH-BOX、MULTAIN、GCG、FASTAおよびROBUSTプログラムを含む。好ましいソフトウェア解析プログラムは、ALIGN、CLUSTAL WおよびBLASTプログラム(例えば、BLAST2.1、BL2SEQ、およびそれ以降のバージョン)を含む。
【0112】
アミノ酸配列解析では、BLOSUM行列(例えば、BLOSUM45、BLOSUM50、BLOSUM62およびBLOSUM80行列)、Gonnet行列またはPAM行列(例えば、PAM30、PAM70、PAM120、PAM160、PAM250およびPAM350行列)等の重み行列が、同一性を決定する際に使用される。
【0113】
BLASTプログラムは、データベース(例えば、GenSeq)中の多重配列に対して選択された配列をアラインすることによって、または、2つの選択された配列間のBL2SEQを用いて、少なくとも2つのアミノ酸配列の解析を提供する。BLASTプログラムは、好ましくは、BLASTプログラム動作に好ましくは統合されるDUSTまたはSEGプログラム等のプログラムを低複雑度フィルタリングすることによって修正される。ギャップ存在コスト(またはギャップスコア)が使用される場合、ギャップ存在コストは、好ましくは、約-5から-15の間に設定される。同様のギャップパラメーターが、適宜、他のプログラムとともに使用され得る。BLASTプログラムおよびそれらの根底にある原理は、例えば、Altschulら、「Basic local alignment search tool」、1990、J.Mol.Biol、第215版、403~410頁においてさらに記載される。
【0114】
多重配列解析には、CLUSTAL Wプログラムが使用され得る。CLUSTAL Wプログラムは、望ましくは、「動的」(「高速」に対して)設定を使用して実行される。アミノ酸配列は、配列間の同一性のレベルに応じて、BLOSUM行列の変数セットを使用して評価される。CLUSTAL Wプログラムおよび根底にある操作原理は、例えば、Higginsら、「CLUSTAL V:improved software for multiple sequence alignment」、1992、CABIOS、8(2)、189~191頁においてさらに記載される。
【0115】
本発明において、用語「細胞透過性ペプチド」(「CPP」)は、種々の分子カーゴ(ナノサイズ粒子から小化学分子およびDNAの大フラグメントまで)の細胞取り込みを容易にする、短ペプチドを指す。「カーゴ」は、C(t)またはN(t)端を介し、共有結合を介する化学結合を経由してまたは非共有相互作用を経由して、ペプチドと会合される。CPPの機能は、カーゴを細胞に送達すること、研究および医学における使用のための送達ベクターに送達されたカーゴによるエンドサイトーシスを介して一般的に発生するプロセスである。現在の使用は、CPP媒介性カーゴ送達における細胞特異性の欠如およびそれらの取り込みのモードの不十分な理解によって限定される。CPPは、典型的には、リジンもしくはアルギニン等の高い比存在度の正に荷電しているアミノ酸を含有するか、または、極性/荷電アミノ酸および非極性疎水性アミノ酸の交互パターンを含有する配列を有するかのいずれかである、アミノ酸組成物を有する。これらの2種類の構造は、それぞれ、ポリカチオン性または両親媒性と称される。CPPの第三のクラスは、無極性残基のみを含有し、低い実効電荷であるか、または細胞取り込みに重大である疎水性アミノ酸基を有する、疎水性ペプチドである。本発明において提供されるペプチドとのCPPのコンジュゲーションは、固相合成または溶液選択性キャッピング等の周知のルーチンプロトコルに準拠して実施され得る(Copolovici D.M.ら、「Cell-Penetrating Peptides:Design,Synthesis,and Applications」、2014、ACS Nano、2014、8(3)、1972~1994頁を参照)。
【0116】
本発明の第二の態様の別の実施形態において、ペプチドは、配列番号1からなる。
以上または以下で提供される本発明の第二の態様の別の実施形態において、細胞透過性ペプチドは、ポリカチオン性CPPである。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の第二の態様の別の実施形態において、細胞透過性ペプチドは、ポリArgである。
【0117】
本発明の第二の態様の別の実施形態において、ペプチドは、配列番号15の配列(以後「LH02」とも称される):
【0118】
【化26】
【0119】
のものである。
別の実施形態において、第一または第二の態様のペプチドは、標識とコンジュゲートされる。一実施形態において、標識は、ペプチドのN末端とコンジュゲートされる。
【0120】
「標識」は、本明細書において使用される場合、蛍光、電気伝導率、放射能、サイズ等を含む様々な方法によって検出され得る、分子または化合物である。標識は、例えば、特定の波長の光を放射する蛍光標識等のシグナルを、別のより低い、特徴的な波長による光の励起後に、本質的に放射することができる場合がある。代替として、標識は、シグナルを本質的に放射することができない場合があるが、シグナルを放射する別の化合物によって結合され得る場合がある。この後者の状況の例は、それ自体はシグナルを放射しないが標識されたアビジンまたはストレプトアビジン分子と結合した場合に検出され得るビオチン等の標識である。この後者の種類の標識の他の例は、特定の受容体と特異的に結合するリガンドである。検出可能に標識された受容体は、そのようなマーカーを視覚化するために、リガンド標識された単位特異的マーカーと結合することが許されている。
【0121】
本発明に従って使用され得る標識は、電子スピン共鳴分子、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、酵素、ビオチン分子、アビジン分子、電荷移動分子、半導体ナノ結晶、半導体ナノ粒子、コロイド金ナノ結晶、リガンド、マイクロビーズ、磁気ビーズ、常磁性分子、量子ドット、発色基質、親和性分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、ハプテン、抗原、抗体、抗体フラグメントおよび脂質を含むがこれらに限定されない。
【0122】
放射性同位体は、フィルムまたは電荷結合素子(CCD)で検出されることができ、リガンドは、蛍光、化学発光または酵素タグを有する受容体の結合によって検出されることができ、マイクロビーズは、電子または原子間力顕微鏡を使用して検出され得る。
【0123】
標識のペプチドとのコンジュゲーションは、当業者に周知のルーチンプロトコルに準拠して実施され得る。
別の実施形態において、第一または第二の態様のペプチドは、薬物とコンジュゲートされる。一実施形態において、薬物は、ペプチドのN末端とコンジュゲートされる。
【0124】
代替として、本発明のペプチドは、ペプチドの生物学的特性を、例えばその安定性、溶解度、バイオアベイリビティ(bioavailibity)および/または親和性を改善することによって増強する、安定化部分とコンジュゲートされ得る。以上で提供された実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、別の実施形態において、安定化部分は、単または二官能性ポリ(エチレングリコール)(「PEG」)、ポリ(ビニルアルコール)(「PVA」);ポリプロピレングリコール)(「PPG」)等の他のポリ(アルキレンオキシド);ならびに、ポリ(オキシエチル化グリセロール)、ポリ(オキシエチル化ソルビトール)およびポリ(オキシエチル化グルコース)等のポリ(オキシエチル化ポリオール)等から選択される。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の別の実施形態において、本発明のペプチドは、ポリ(エチレングリコール)とコンジュゲートされる。以上または以下で提供される実施形態のいずれかと場合により組み合わせた、本発明の別の実施形態において、本発明のペプチドは、-(CH-O)-(以後「PEG4」とも称される)とコンジュゲートされる。
【0125】
別の実施形態において、ペプチドは、配列番号16の配列(以後「H14-PEG4」とも称される):
【0126】
【化27】
【0127】
のものである。
本発明の第一の態様に従うペプチドの調製のためのプロセスは、次のものを含む:
(1.a)ペプチドの対応するアミノ酸の、「i」および「i+4」または「i+7」と称されるアミノ酸に対応する式(IV)の化合物および式(V)の化合物との、縮合によるカップリング。化合物(IV)および(V)は、その後の環化ステップを経て「L」ビラジカル」:
【0128】
【化28】
【0129】
[式中、R19は、上記で定義されている通りであり、ZおよびZは、同じであるかまたは異なっており、(C~C10)アルケニルを表す]
を生成するものとなる;ならびに、
(1.b)グラブス(IまたはII生成)触媒を加えた溶液中で実施される、ZおよびZの閉環メタセシス(Kim Young-Wooら、「Synthesis of all-hydrocarbon stapled a-helical peptides by ring-closing olefin metathesis」、Nature Protocols、2011、6(6)、761~771頁;Scott J.M.ら、「Application of Ring-Closing Metathesis to the Synthesis of Rigidified Amino Acids and Peptides」、J.Am.Chem.Soc.、1996、第118巻(40)、9606~9614頁を参照)を含む環化ステップ;あるいは、代替として、
(2a)「i」および「i+4」または「i+7」と称されるアミノ酸に対応する式(VI)の化合物および式(VII)の化合物を含む、必要とされるアミノ酸の、縮合によるカップリング。化合物(VI)および(VII)は、その後の環化ステップを経て、「L」ビラジカル」:
【0130】
【化29】
【0131】
[式中、R19は、上記で定義されている通りであり、ZおよびZは、同じであるかまたは異なっており、ハロゲン-SH、-NHR20、-OH、(C~C10)アルキル-SH、(C~C10)アルキル-OH、(C~C10)アルキル-NHR21、C(=O)OH、(C~C10)C(=O)OH、C(=O)NHR22、(C~C10)アルキルC(=O)NHR23、OR24、C(=O)-ハロゲン、C(=O)-OR25、S(=O)-ハロゲン、S(=O)-OR26、S(=O)27からなる群から選択され、ここで、R20、R2122、R23、R24、R2526およびR27は、水素、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、および(C~C10)アルキニルからなる群から選択されるモノラジカル;1から3個までの環を含む、3から14個までの炭素原子を含む公知の環系であり、ここで、
環の各1個は、飽和、部分不飽和または芳香族であり、
環は、単離されているか、部分的にまたは完全に縮合しており、
公知の環系を形成する員の各1個は、-CH-、-CH-、-NH-、-N-、-SH-、-S-および-O-からなる群から選択され、
環系は、ハロゲン、-OH、-NH、-SH、C(=O)-ハロゲン(C~C10)ハロアルキルおよび(C~C10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1個または複数のラジカルによって場合により置換されている]
を生成するものとなる;ならびに、
(2b)ZおよびZラジカルの間のカップリング反応を含む環化ステップ;あるいは、代替として、
(3a)ペプチドの対応するアミノ酸の、「i」および「i+4」または「i+7」と称されるアミノ酸に対応する式(VIII)の化合物および式(IX)の化合物との、縮合によるカップリング。化合物(VIII)および(IX)は、その後の環化ステップを経て、「L」ビラジカル」:
【0132】
【化30】
【0133】
[式中、R19は、上記で定義されている通りであり、ZおよびZの一方は、(C~C10)アルキニルであり、他方は、(C~C10)アルキルNである]
を生成するものとなる;ならびに、
(3.b)Cu(I)媒介性ヒュスゲン1,3-双極子環化付加反応(別名「クリック」反応)等の周知のプロトコルによる、1,4-置換1,2,3-トリアゾール架橋を生成するための、ZおよびZラジカルの縮合を含む、環化ステップ(Kolb H.C.ら、「The growing impact of click chemistry on drug discovery」、2003、Drug Discov Today、8(24):1128~1137を参照)。
【0134】
本発明の第二の態様によるペプチドの調製のためのプロセスは、1個のアミノ酸のカルボン酸基またはC末端の、別のアミノ酸のアミノ基またはN末端との、縮合によるカップリングを含み、このカップリング反応は、所望のペプチドが取得されるまで、必要な回数繰り返される。代替として、配列番号1の配列と同一性を有するペプチドは、必要とされるアミノ酸をカップリングすることによって調製され、第二段階において、ペプチドは、先行技術において公知であるプロトコル(そのうちの一部は先に言及された)のいずれかに準拠して、細胞透過性ペプチドと縮合される。
【0135】
式(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)の化合物は、市販されており、ペプチド配列の既に形成された部分との縮合によってカップリングされる。これらの化合物は、ペプチドの適切な固相合成のためのビーズ、およびカルボキシ、アミノまたは側鎖の保護基を担持することができる。化合物の例証的な非限定的例は、数ある中でも、2-(2’-プロペニル)アラニン、2-(3’-ブテニル)グリシン、2-(4’-ペンテニル)アラニン、2-(6’-ヘプテニル)アラニン、2-(7’-オクテニル)アラニン、およびアリル-グリシン、5-アジド-ノルバリン、アルファ-プロパルギル-アラニンである。
【0136】
「カップリング」ステップは、プロトコル「脱保護-洗浄-カップリング-洗浄」に準拠し、1個のアミノ酸のカルボン酸基の、別のアミノ酸残基のアミノ基との、上記で定義されているアミノ酸および式(IV)から(IX)のアルファ-アルファ二置換アミノ酸を使用する、所望のペプチドを関心の高い順に取得するための縮合によって、固相で実施され得る。
【0137】
固相ペプチド合成の一般的原理は、脱保護-洗浄-カップリング-洗浄のサイクルを繰り返すことである。固相結合ペプチドの遊離N末端アミンは、単一のN-保護アミノ酸単位とカップリングされる。次いで、この単位が脱保護されて、さらなるアミノ酸が結合され得る新たなN末端アミンを明らかにする。アミノ酸は、NおよびC末端に反応性部分を有し、これらは、合成中のアミノ酸カップリングを容易にする。多くのアミノ酸は、反応性側鎖官能基も有し、これは、合成およびペプチド伸長中に遊離端または他の側鎖基と相互作用し、収率および純度に悪影響を及ぼし得る。最小の側鎖反応性で適正なアミノ酸合成を容易にするために、特異的アミノ酸官能基と結合し、官能基を非特異的反応からブロックするまたは保護するための化学基が開発されてきた。これらの保護基は、実際には膨大であるが、次の通りに3つの群に分離され得る:N末端保護基、C末端保護基(大部分は液相合成において使用される)および側鎖保護基。
【0138】
ペプチドをカップリングするために、カルボキシル基は通常、活性化される。これは、反応を加速するために重要である。2種類の主な活性化基:カルボジイミドおよびトリアゾロールがある。しかしながら、ペンタフルオロフェニルエステル(FDPP、PFPOH])およびBOP-Clの使用は、ペプチドを環化するために有用である。
【0139】
精製された個々のアミノ酸を、合成の前にこれらの保護基と反応させ、次いで、ペプチド合成の具体的なステップ中に選択的に除去する。
本発明によって用いられ得る例示的な樹脂は、(1)アルケニル樹脂(例えば、REM樹脂、ビニルスルホンポリマー結合樹脂、ビニル-ポリスチレン樹脂);(2)アミン官能化樹脂(例えば、アミジン樹脂、N-(4-ベンジルオキシベンジル)ヒドロキシルアミンポリマー結合、(アミノメチル)ポリスチレン、ポリマー結合(R)-(+)-a-メチルベンジルアミン、2-クロロトリチルクノール樹脂、2-N-Fmoc-アミノ-ジベンゾシクロヘプタ-1,4-ジエン、ポリマー結合樹脂、4-[4-(1-Fmoc-アミノエチル)-2-メトキシ-5-ニトロフェノキシ]ブチラミドメチル-ポリスチレン樹脂、4-ベンジルオキシベンジルアミン、ポリマー結合、4-カルボキシベンゼンスルホンアミド、ポリマー結合、ビス(tert-ブトキシカルボニル)チオプソイド尿素、ポリマー結合、ジメチルアミノメチル-ポリスチレン、Fmoc-3-アミノ-3-(2-ニトロフェニル)プロピオン酸、ポリマー結合、N-メチルアミノメチル化ポリスチレン、PAL樹脂、シーバーアミド樹脂、tert-ブチルN-(2-メルカプトエチル)カルバメート、ポリマー結合、トリフェニルクロロメタン-4-カルボキサミドポリマー結合);(3)ベンズヒドリルアミン(BHA)樹脂(例えば、2-クロロベンズヒドリルクロリド、ポリマー結合、HMPB-ベンズヒドリルアミンポリマー結合、4-メチルベンズヒドロール、ポリマー結合、ベンズヒドリルクロリド、ポリマー結合、ベンズヒドリルアミンポリマー結合);(4)Br-官能化樹脂(例えば、4-(ベンジルオキシ)ベンジルブロミドポリマー結合、4-ブロモポリスチレン、臭素化PPOA樹脂、臭素化ワング樹脂、ブロモアセタール、ポリマー結合、ブロモポリスチレン、HypoGel(登録商標)200Br、ペプチド合成のためのポリスチレンA-Br、臭化セレン、ポリマー結合、テンタゲルHL-Br、テンタゲルMB-Br、テンタゲルS-Br、テンタゲルS-Br);(5)クロロメチル樹脂(例えば、5-[4-(クロロメチル)フェニル]ペンチル]スチレン、ポリマー結合、4-(ベンジルオキシ)ベンジルクロリドポリマー結合、4-メトキシベンズヒドリルクロリド、ポリマー結合);(6)CHO-官能化樹脂(例えば、(4-ホルミル-3-メトキシフェノキシメチル)ポリスチレン、(4-ホルミル-3-メトキシフェノキシメチル)ポリスチレン、3-ベンジルオキシベンズアルデヒド、ポリマー結合、4-ベンジルオキシ-2,6-ジメトキシベンズアルデヒド、ポリマー結合、ホルミルポリスチレン、HypoGel(登録商標)200CHO、インドール樹脂、ポリスチレンA-CH(OEt)2、テンタゲルHL-CH(OEt)2);(7)Cl-官能化樹脂(例えば、塩化ベンゾイルポリマー結合、(クロロメチル)ポリスチレン、メリフィールド樹脂);N(8)CO2H官能化樹脂(例えば、カルボキシエチルポリスチレン、HypoGel(登録商標)200COOH、ポリスチレンAM-COOH、テンタゲルHL-COOH、テンタゲルMB-COOH、テンタゲルS-COOH);(9)Hypo-Gel樹脂(例えば、HypoGel(登録商標)200FMP、HypoGel(登録商標)200PHB、HypoGel(登録商標)200Trt-OH、HypoGel(登録商標)200HMB);(10)I-官能化樹脂(例えば、4-ヨードフェノール、ポリマー結合、ヨードポリスチレン);Janda-Jels(商標)(JandaJel<a>-リンクアミド、JandaJel-NH2、JandaJel-Cl、JandaJel-4-メルカプトフェノール、JandaJel-OH、JandaJel-1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド、JandaJel-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-2H-ピリミド-[1,2-a]ピリミジン、JandaJel-モルホリン、JandaJel-ポリピリジン、JandaJel-トリフェニルホスフィン、JandaJel-ワング);(11)MBHA樹脂(3[4’-(ヒドロキシメチル)フェノキシ]プロピオン酸-4-メチルベンズヒドリルアミン樹脂、MBHA樹脂との4-(ヒドロキシメチル)フェノキシ酢酸ポリマー結合、HMBA-4-メチルベンズヒドリルアミンポリマー結合、4-メチルベンズヒドリルアミン塩酸塩ポリマー結合能(アミン));(12)NH2官能化樹脂((アミノメチル)ポリスチレン、(アミノメチル)ポリスチレン、HypoGel(登録商標)200NH2、ポリスチレンAM-NH2、ポリスチレンミクロスフェア2-アミノエチル化、ポリスチロールミクロスフェア2-ブロモエチル化、ポリスチロールミクロスフェア2-ヒドロキシエチル化、テンタゲルHL-NH2、テンタゲルM Br、テンタゲルM NH2、テンタゲルM OH、テンタゲルMB-NH2、テンタゲルS-NH2、テンタゲルS-NH2);(13)OH-官能化樹脂(例えば、4-ヒドロキシメチル安息香酸、ポリマー結合、ヒドロキシメチル樹脂、OH-官能化ワング樹脂);(14)オキシム樹脂(例えば、4-クロロベンゾフェノンオキシムポリマー結合、ベンゾフェノンオキシムポリマー結合、4-メトキシベンゾフェノンオキシムポリマー結合);(15)PEG樹脂(例えば、エチレングリコールポリマー結合);(16)Boc-/Blzペプチド合成樹脂(例えば、Boc-Lys(Boc)-Lys[Boc-Lys(Boc)]-Cys(Acm)-b-Ala-O-PAM樹脂、Boc-Lys(Fmoc)-Lys[Boc-Lys(Fmoc)]-b-Ala-O-Pam樹脂、Boc-Lys(Boc)-Lys[Boc-Lys(Boc)]-Lys{Boc-Lys(Boc)-Lys[Boc-Lys(Boc)]}-b-Ala-O-PAM樹脂、Boc-Lys(Fmoc)-Lys[Boc-Lys(Fmoc)]-Lys[Boc-Lys(Fmoc)-Lys{Boc-Lys(Fmoc)]}-b-Ala-O-PAM樹脂、Boc-Lys(Boc)-Lys[Boc-Lys(Boc)]-Lys{Boc-Lys(Boc)-Lys[Boc-Lys(Boc)]}-Cys(Acm)-b-Ala-O-PAM樹脂、予めロードしたPAM樹脂);(17)Fmoc-/t-Buペプチド合成樹脂(例えば、Fmoc-Lys(Fmoc)-Lys[Fmoc-Lys(Fmoc)]-b-Ala-O-ワング樹脂、Fmoc-Lys(Fmoc)-Lys[Fmoc-Lys(Fmoc)]-Lys{Fmoc-Lys(Fmoc)-Lys[Fmoc-Lys(Fmoc)]}-b-Ala-O-ワング樹脂、予めロードしたTentaGel(登録商標)Sトリチル樹脂、予めロードしたTentaGel(登録商標)樹脂、予めロードしたトリチル樹脂、予めロードしたワング樹脂、アミノアルコールを予めロードしたトリチル樹脂);(19)チオール-官能化樹脂(例えば、HypoGel(登録商標)200S-Trt、ポリスチレンAM-S-トリチル、テンタゲルHL-S-トリチル、テンタゲルMB-S-トリチル、テンタゲルS-S-トリチル);および(20)ワング樹脂(例えば、Fmoc-Ala-ワング樹脂、Fmoc-Arg(Pbf)-ワング樹脂、Fmoc-Arg(Pmc)-ワング樹脂、Fmoc-Asn(Trt)-ワング樹脂、Fmoc-Asp(OtBu)-ワング樹脂、Fmoc-Cys(Acm)-ワング樹脂、Fmoc-Cys(StBu)-ワング樹脂、Fmoc-Cys(Trt)ワング樹脂、Fmoc-Gln(Trt)-ワング樹脂、Fmoc-Glu(OtBu)-ワング樹脂、Fmoc-Gly-ワング樹脂、Fmoc-His(Trt)-ワング樹脂、Fmoc-Ile-ワング樹脂、Fmoc-Leu-ワング樹脂、Fmoc-Lys(Boc)-ワング樹脂、Fmoc-Met-ワング樹脂、Fmoc-D-Met-ワング樹脂、Fmoc-Phe-ワング樹脂、Fmoc-Pro-ワング樹脂、Fmoc-Ser(tBu)-ワング樹脂、Fmoc-Ser(Trt)-ワング樹脂、Fmoc-Thr(tBu)-ワング樹脂、Fmoc-Trp(Boc)ワング樹脂、Fmoc-Trp-ワング樹脂、Fmoc-Tyr(tBu)-ワング樹脂、Fmoc-Val-ワング樹脂)を含むがこれらに限定されない。
【0140】
「保護基」(PG)は、分子マスクにおける反応性基と結合した場合に、その反応性を低減させるまたは防止する原子のグルーピングを指す。
好適なアミノ保護基は、メチルカルバメート、エチルカルバマンテ(ethyl carbamante)、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、9-(2-スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9-(2,7-ジブロモ)フルオロエニルメチルカルバメート、2,7-ジ-t-ブチル-[9-(10,10-ジオキソ-10,10,10,10-テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート(DBD-Tmoc)、4-メトキシフェナシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2-トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2-トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2-フェニルエチルカルバメート(hZ)、1-(1-アダマンチル)-1-メチルエチルカルバメート(Adpoc)、1,1-ジメチル-2-ハロエチルカルバメート、1,1-ジメチル-2,2-ジブロモエチルカルバメート(DB-t-BOC)、1,1-ジメチル-2,2,2-トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、1-メチル-1-(4-ビフェニリル)エチルカルバメート(Bpoc)、1-(3,5-ジ-t-ブチルフェニル)-1-メチルエチルカルバメート(t-Bumeoc)、2-(2’-および4’-ピリジル)エチルカルバメート(Pyoc)、2-(N,N-ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチルカルバメート、t-ブチルカルバメート(BOC)、1-アダマンチルカルバメート(Adoc)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、1-イソプロピルアリルカルバメート(Ipaoc)、シンナミルカルバメート(Coc)、4-ニトロシンナミルカルバメート(Noc)、8-キノリルカルバメート、N-ヒドロキシピペリジニルカルバメート、アルキルジチオカルバメート、ベンジルカルバメート(Cbz)、p-メトキシベンジルカルバメート(Moz)、p-ニトベンジル(nitobenzyl)カルバメート、p-ブロモベンジルカルバメート、p-クロロベンジルカルバメート、2,4-ジクロロベンジルカルバメート、4-メチルスルフィニルベンジルカルバメート(Msz)、9-アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、2-メチルチオエチルカルバメート、2-メチルスルホニルエチルカルバメート、2-(p-トルエンスルホニル)エチルカルバメート、[2-(1,3-ジチアニル)]メチルカルバメート(Dmoc)、4-メチルチオフェニルカルバメート(Mtpc)、2,4-ジメチルチオフェニルカルバメート(Bmpc)、2-ホスホニオエチルカルバメート(Peoc)、2-トリフェニルホスホニオイソプロピルカルバメート(Ppoc)、1,1-ジメチル-2-シアノエチルカルバメート、m-クロロ-p-アシルオキシベンジルカルバメート、p-(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバメート、5-ベンズイソオキサゾリルメチルカルバメート、2-(トリフルオロメチル)-6-クロモニルメチルカルバメート(Tcroc)、m-ニトロフェニルカルバメート、3,5-ジメトキシベンジルカルバメート、o-ニトロベンジルカルバメート、3,4-ジメトキシ-6-ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o-ニトロフェニル)メチルカルバメート、フェノチアジニル-(10)-カルボニル誘導体、N’-p-トルエンスルホニルアミノカルボニル誘導体、N’-フェニルアミノチオカルボニル誘導体、t-アミルカルバメート、S-ベンジルチオカルバメート、p-シアノベンジルカルバメート、シクロブチルカルバメート、シクロヘキシルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、p-デシルオキシベンジルカルバメート、2,2-ジメトキシカルボニルビニルカルバメート、o-(N,N-ジメチルカルボキサミド)ベンジルカルバメート、1,1-ジメチル-3-(N,N-ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバメート、1,1-ジメチルプロピニルカルバメート、ジ(2-ピリジル)メチルカルバメート、2-フラニルメチルカルバメート、2-ヨードエチルカルバメート、イソボルニルカルバメート、イソブチルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、p-(p’-メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、1-メチルシクロブチルカルバメート、1-メチルシクロヘキシルカルバメート、1-メチル-1-シクロプロピルメチルカルバメート、1-メチル-1-(3,5-ジメトキシフェニル)エチルカルバメート、1-メチル-1-(p-フェニルアゾフェニル)エチルカルバメート、1-メチル-1-フェニルエチルカルバメート、1-メチル-1-(4-ピリジル)エチルカルバメート、フェニルカルバメート、p-(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6-トリ-t-ブチルフェニルカルバメート、4-(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバメート、2,4,6-トリメチルベンジルカルバメート、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3-フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3-ピリジルカルボキサミド、N-ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p-フェニルベンズアミド、o-ニトロフェニルアセトアミド、o-ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(N’-ジチオベンジルオキシカルボニルアミノ)アセトアミド、3-(p-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3-(o-ニトロフェニル)プロパンアミド、2-メチル-2-(o-ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2-メチル-2-(o-フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4-クロロブタンアミド、3-メチル-3-ニトロブタンアミド、o-ニトロシンナミド、N-アセチルメチオニン誘導体、o-ニトロベンズアミド、o-(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミド、4,5-ジフェニル-3-オキサゾリン-2-オン、N-フタルイミド、N-ジチアスクシンイミド(Dts)、N-2,3-ジフェニルマレイミド、N-2,5-ジメチルピロール、N-1,1,4,4-テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加体(STABASE)、5-置換1,3-ジメチル-1,3,5-トリアザシクロヘキサン-2-オン、5-置換1,3-ジベンジル-1,3,5-トリアザシクロヘキサン-2-オン、1-置換3,5-ジニトロ-4-ピリドン、N-メチルアミン、N-アリルアミン、N-[2-トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N-3-アセトキシプロピルアミン、N-(1-イソプロピル-4-ニトロ-2-オキソ-3-ピローリン(pyroolin)-3-イル)アミン、第四級アンモニウム塩、N-ベンジルアミン、N-ジ(4-メトキシフェニル)メチルアミン、N-5-ジベンゾスベリルアミン、Nトリフェニルメチルアミン(Tr)、N-[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N-9-フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N-2,7-ジクロロ-9-フルオレニルメチレンアミン、N-フェロセニルメチルアミノ(Fcm)、N-2-ピコリルアミノN’-オキシド、N-1,1-ジメチルチオメチレンアミン、N-ベンジリデンアミン、N-p-メトキシベンジリデンアミン、N-ジフェニルメチレンアミン、N-[(2-ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N-(N’,N’-ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N’-イソプロピリデンジアミン、N-p-ニトロベンジリデンアミン、N-サリチリデンアミン、N-5-クロロサリチリデンアミン、N-(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N-シクロヘキシリデンアミン、N-(5,5-ジメチル-3-オキソ-1-シクロヘキセニル)アミン、N-ボラン誘導体、N-ジフェニルボリン酸誘導体、N-[フェニル(ペンタカルボニルクロム-またはタングステン)カルボニル]アミン、N-銅キレート、N-亜鉛キレート、N-ニトロアミン、N-ニトロソアミン、アミンN-オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホルアミデート、ジベンジルホスホルアミデート、ジフェニルホスホルアミデート、ベンゼンスルフェンアミド、o-ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4-ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2-ニトロ-4-メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、3-ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)、p-トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6,-トリメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6-トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6-ジメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6-テトラメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4-メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6-ジメトキシ-4-メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β-トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9-アントラセンスルホンアミド、4-(4’,8’-ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミドおよびフェナシルスルホンアミドを含む。
【0141】
好適に保護されたカルボン酸の例は、シリル-、アルキル-、アルケニル-、アリール-、およびアリールアルキル保護されたカルボン酸をさらに含むがこれらに限定されない。好適なシリル基の例は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリル等を含む。好適なアルキル基の例は、メチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、トリチル、t-ブチル、テトラヒドロピラン-2-イルを含む。好適なアルケニル基の例は、アリルを含む。好適なアリール基の例は、場合により置換されているフェニル、ビフェニルまたはナフチルを含む。好適なアリールアルキル基の例は、場合により置換されているベンジル(例えば、p-メトキシベンジル(MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、O-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル)、ならびに2-および4-ピコリルを含む。
【0142】
第三の態様において、本発明は、本発明の第一の態様または以上で提供された実施形態のいずれかで定義されているペプチドを含む、融合ペプチドを提供する。
本発明の第三の態様の一実施形態において、融合ペプチドは、本発明の第一の態様でまたは本発明の第一の態様の実施形態のいずれかで定義されているペプチドと、細胞透過性ペプチドとを含む。
【0143】
本発明の第三の態様の別の実施形態において、融合ペプチドは、配列番号17の配列:
【0144】
【化31】
【0145】
のものである。
第四の態様において、本発明は、医薬組成物を提供する。
表現「治療有効量」は、本明細書において使用される場合、投与された場合に、対処される疾患の症状の1つまたは複数の発症を予防する、またはそれをある程度まで軽減するために十分である、化合物の量を指す。本発明に従って投与されるペプチドの特定の用量は、当然ながら、投与される化合物、投与ルート、治療されている特定の状態および同様の考慮事項を含む、症例を取り巻く特定の状況によって決定されることになる。
【0146】
表現「薬学的に許容される賦形剤または担体」は、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクルを指す。各構成成分は、医薬組成物の他の成分に適合するという意味で、薬学的に許容されるものでなくてはならない。これは、合理的なベネフィット/リスク比に見合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、免疫原性も他の問題または合併症もなしに、ヒトおよび非ヒト動物の組織または臓器と接触させて使用するのにも好適なものでなくてはならない。好適な薬学的に許容される賦形剤の例は、溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散もしくは懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘または乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤等である。任意の望ましくない生物学的効果を生成することまたは医薬組成物の任意の他の構成成分と有害な様式で別様に相互作用することによって等、任意の従来の賦形剤媒質が物質またはその誘導体と不適合である場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内であることが企図される。
【0147】
本明細書において記載される医薬組成物の製剤は、薬理学分野において公知のまたは以後開発される任意の方法によって調製され得る。概して、そのような調製方法は、活性成分を賦形剤および/または1つもしくは複数の他の副成分と会合させ、次いで、必要および/または望ましいならば、生成物を所望の単回または複数回用量単位に成形するおよび/または包装するステップを含む。
【0148】
本発明の医薬組成物は、バルクで、単回単位用量として、および/または複数の単回単位用量として、調製、包装および/または販売されてよい。本明細書において使用される場合、「単位用量」は、所定量の活性成分を含む医薬組成物の不連続な量である。活性成分の量は、対象に投与されるであろう活性成分の投薬量および/または、例えばそのような投薬量の2分の1もしくは3分の1等、そのような投薬量の便利な割合とほぼ等しい。
【0149】
本発明の医薬組成物における、活性成分(先の態様および実施形態のいずれかで定義されているペプチド)、薬学的に許容される賦形剤および/または任意の追加の成分の相対量は、治療されている対象の同一性、サイズおよび/または状態に応じて、ならびに組成物が投与されるルートにさらに応じて変動することになる。
【0150】
医薬組成物の製造において使用される薬学的に許容される賦形剤は、不活性希釈剤、分散および/もしくは造粒剤、表面活性剤および/もしくは乳化剤、崩壊剤、結合剤、保存剤、緩衝剤、滑沢剤、ならびに/または油を含むがこれらに限定されない。そのような賦形剤は、場合により、本発明の製剤に含まれてよい。ココアバターおよび坐剤ワックス、着色剤、コーティング剤、甘味、香味および着香剤等の賦形剤が、調合者の判断に従って、組成物中に存在し得る。
【0151】
例示的な希釈剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウムラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉砂糖、およびそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
【0152】
例示的な造粒および/または分散剤は、バレイショデンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、柑橘類パルプ、寒天、ベントナイト、セルロースおよび木材製品、天然海綿、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン)(クロスポビドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、アルファ化デンプン(デンプン1500)、微結晶性デンプン、水不溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、ラウリル硫酸ナトリウム、第四級アンモニウム化合物、ならびにそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
【0153】
例示的な表面活性剤および/または乳化剤は、天然乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックスおよびレシチン)、コロイド粘土(例えば、ベントナイト[ケイ酸アルミニウム]およびビーガム[ケイ酸アルミニウムマグネシウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、トリアセチンモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、モノステアリン酸グリセリルおよびモノステアリン酸プロピレングリコール、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマーおよびカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース系誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル{例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン[Tween20]、ポリオキシエチレンソルビタン[Tween60]、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン[Tween80]、ソルビタンモノパルミテート[スパン40]、ソルビタンモノステアレート[スパン60]、ソルビタントリステアレート[スパン65]、モノオレイン酸グリセリル、ソルビタンモノステアレート[スパン80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンモノステアレート[Myrj45]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアレートおよびソルトール)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、クレモフォール)、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[Brij30])、ポリ(ビニル-ピロリドン)、モノラウリン酸ジエチレングリコール、オレイン酸トリエタノールアミン、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、プルロニックF68、ポロキサマー188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドクサートナトリウム等、ならびに/またはそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
【0154】
例示的な結合剤は、デンプン(例えば、コーンスターチおよびデンプン糊);ゼラチン;糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトール);天然および合成ガム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュ・モスの抽出物、パンワールガム、ガッティガム、イサポル殻(isapol husk)の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)およびカラマツアラボガラクタン);アルギン酸塩;ポリエチレンオキシド;ポリエチレングリコール;無機カルシウム塩;ケイ酸;ポリメタクリレート;ワックス;水;アルコールならびにそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
【0155】
例示的な保存剤は、抗酸化剤、キレート化剤、抗菌性保存剤、抗真菌性保存剤、アルコール保存剤、酸性保存剤および他の保存剤を含み得る。例示的な抗酸化剤は、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムを含むがこれらに限定されない。例示的なキレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸およびエデト酸三ナトリウムを含む。例示的な抗菌性保存剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコールおよびチメロサールを含むがこれらに限定されない。例示的な抗真菌性保存剤は、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウムおよびソルビン酸を含むがこれらに限定されない。例示的なアルコール保存剤は、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエートおよびフェニルエチルアルコールを含むがこれらに限定されない。例示的な酸性保存剤は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸およびフィチン酸を含むがこれらに限定されない。他の保存剤は、トコフェロール、酢酸トコフェロール、メシル酸デテロキシム、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン化(hydroxytoluened)(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、グリダントプラス、フェノニップ、メチルパラベン、ジェルマール115、ゲルマベンII、ネオロン、ケーソンおよびユーキシル(Euxyl)を含むがこれらに限定されない。ある特定の実施形態において、保存剤は、抗酸化剤である。他の実施形態において、保存剤は、キレート化剤である。
【0156】
例示的な緩衝剤は、クエン酸緩衝溶液、酢酸緩衝溶液、リン酸緩衝溶液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D-グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、第二リン酸カルシウム、リン酸、第三リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、およびそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
【0157】
例示的な滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、グリセリルベハネート(glyceryl behanate)、水素化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
【0158】
例示的な油は、アーモンド、杏仁、アボカド、ババス、ベルガモット、ブラックカレント(black current)種子、ルリジサ、ビャクシン属の木、カモミール、キャノーラ、キャラウェー、カルナバ、ヒマシ、シナモン、ココアバター、ココナツ、タラ肝、コーヒー、コーン、綿実、エミュー、ユーカリ、月見草、魚、アマニ、ゲラニオール、ヒョウタン、ブドウ種子、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイナッツ、ラバンジン、ラベンダー、レモン、アオモジ、マカデミア(macademia)ナッツ、ゼニアオイ、マンゴー種子、メドウフォーム種子、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、パーム、パーム核、桃仁、ピーナッツ、ポピー種子、カボチャ種子、菜種、米ぬか、ローズマリー、サフラワー、白檀、サザンカ、セイボリー、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、大豆、ヒマワリ、ティーツリー、アザミ、ツバキ、ベチバー、クルミおよび小麦胚芽油を含むがこれらに限定されない。例示的な油は、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、およびそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
【0159】
経口および非経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容されるリポソーム乳剤、マイクロ乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含むがこれらに限定されない。活性成分に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例を挙げると、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、ラッカセイ、コーン、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物等、当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤を含んでよい。不活性希釈剤のほかに、経口組成物は、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味、香味および着香剤等のアジュバントを含むことができる。非経口投与のためのある特定の実施形態において、本発明のコンジュゲートは、ポリエトキシル化ヒマシ油(例えば、CREMOPHOR(商標))、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、およびそれらの組合せ等の可溶化剤と混合される。
【0160】
注射用調製物、例えば、無菌注射用水性または油脂性懸濁液は、公知の技術に従い、好適な分散または湿潤剤および懸濁化剤を使用して製剤化されてよい。無菌注射用調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液、懸濁液または乳剤、例えば、1,3-ブタンジオール中溶液としてのものであってよい。許容されるビヒクルおよび溶媒の中でも、用いられ得るのは、水、リンゲル液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、無菌固定油が、溶媒または懸濁媒として慣例的に用いられる。この目的のために、合成モノ-またはジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油が用いられ得る。加えて、オレイン酸等の脂肪酸が、注射液の調製において使用される。代替として、調製物は、リポソームの形態であることができる。
【0161】
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターに通す濾過によって、または、滅菌剤を、使用前に滅菌水または他の滅菌注射用媒質に溶解または分散され得る滅菌固体組成物の形態で組み込むことによって、滅菌され得る。
【0162】
薬物の効果を持続させるために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を減速させることが、多くの場合、望ましい。これは、水溶性の乏しい結晶性または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって、遂行され得る。次いで、薬物の吸収速度は、その溶解速度によって決まり、これが今度は、結晶サイズおよび結晶形態によって決まり得る。代替として、非経口的に投与される薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクルに溶解するまたは懸濁することによって遂行される。
【0163】
経口投与のための固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤を含む。そのような固体剤形において、活性成分は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム等の少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤、ならびに/または、a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸等の充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン(polyvinylpyrrolidinone)、スクロースおよびアカシア等の結合剤、c)グリセロール等の保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、バレイショもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウム等の崩壊剤、e)パラフィン等の溶液遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物等の吸収加速剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール等の湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土等の吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物等の滑沢剤と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の事例において、剤形は、緩衝剤を含んでよい。
【0164】
同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤における充填剤として用いられてよい。錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティングおよび医薬製剤分野において周知である他のコーティング等のコーティングおよび外殻を用いて調製され得る。それらは、乳白剤を場合により含んでよく、活性成分のみを、または優先的に、消化管のある特定の部分において、場合により、遅延方式で放出する組成のものであることができる。使用され得る包埋組成物の例は、ポリマー性物質およびワックスを含む。同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤における充填剤として用いられてよい。
【0165】
本発明のペプチドは、上記で注記した1つまたは複数の賦形剤を加えた、マイクロカプセル形態であることができる。一実施形態において、本発明のペプチドは、リポソームで製剤化される。錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび医薬製剤分野において周知である他のコーティング等、コーティングおよび外殻を用いて調製され得る。そのような固体剤形において、活性成分は、スクロース、ラクトースまたはデンプン等の少なくとも1つの不活性希釈剤と混和されてよい。そのような剤形は、通常の慣行のように、不活性希釈剤以外の追加物質、例えば、錠剤化滑沢剤ならびにステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロース等の他の錠剤化助剤を含んでよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の事例において、剤形は、緩衝剤を含んでよい。それらは、乳白剤を場合により含んでよく、活性成分のみを、または優先的に、消化管のある特定の部分において、場合により、遅延方式で放出する組成のものであることができる。使用され得る包埋組成物の例は、ポリマー性物質およびワックスを含む。
【0166】
本発明のペプチドおよび医薬組成物は、併用療法において用いられ得ることが分かるであろう。併用レジメンにおいて用いるための療法(治療薬または手順)の特定の組合せは、所望の治療薬および/または手順の適合性ならびに実現されるべき所望の治療効果を考慮に入れるであろう。用いられる療法は、同じ目的のための所望の効果(例えば、腫瘍を検出するために有用な本発明のコンジュゲートは、腫瘍を検出するために有用な別の作用物質と同時発生的に投与されてよい)を実現し得、またはそれらは異なる効果(例えば、あらゆる有害作用の制御)を実現し得ることが分かるであろう。
【0167】
本発明の医薬組成物は、単独で、または1つもしくは複数の他の治療剤と組み合わせて投与されてよい。「と組み合わせて」は、作用物質が同時に投与および/または一緒に送達するために製剤化されなくてはならないことを示唆するように意図されないが、これらの送達方法は本発明の範囲内である。組成物は、1つまたは複数の他の所望の治療薬または医学的手順と同時発生的に、その前に、またはその後に、投与され得る。概して、各作用物質は、その作用物質について決定された用量でおよび/またはタイムスケジュールで投与されることになる。加えて、本発明は、それらのバイオアベイラビリティを改善し、それらの代謝を低減させおよび/もしくは修正し、それらの排出を阻害し、ならびに/または体内でのそれらの分布を修正し得る作用物質と組み合わせた、ペプチドまたは医薬組成物の、送達を包括する。
【0168】
併用レジメンにおいて用いるための療法の特定の組合せは、所望の治療薬および/もしくは手順の適合性ならびに/または実現されるべき所望の治療効果を考慮に入れるであろう。用いられる療法は、同じ障害のための所望の効果(例えば、本発明のポリペプチドは、同じ障害を治療するために使用される別の生物学的活性剤と同時発生的に投与されてよい)を実現し得、かつ/またはそれらは異なる効果(例えば、あらゆる有害作用の制御)を実現し得ることが分かるであろう。この組合せで利用される生物学的活性剤は、単一の組成物で一緒に投与されてもよいし、または異なる組成物で別個に投与されてもよいことがさらに分かるであろう。
【0169】
表現「と組み合わせて」は、本発明のペプチドを、数ある中でも治療剤またはペプチドのプロファイル(バイオアベイラビリティ等)を改善するための作用物質であることができる、以上および以下で言及されるさらなる作用物質のいずれかと(化学物理相互作用によって)コンジュゲートする可能性も包括する。
【0170】
一実施形態において、本発明のペプチドは、1つまたは複数の抗がん剤と組み合わせて投与される。抗がん剤は、例えば、メトトレキサート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、糖を含有しないクロロエチルニトロソ尿素、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダカルバジン、タキソール、フラジリン(fragyline)、メグラミン(Meglamine)GLA、バルルビシン、カルムスタイン(carmustaine)およびポリフェルポサン(poliferposan)、MMI270、BAY12-9566、RASファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、MMP、MTA/LY231514、LY264618/ロメテキソール(Lometexol)、グラモレック、CI-994、TNP-470、ハイカムチン/トポテカン、PKC412、バルスポダール/PSC833、ノバントロン/ミトロキサントロン(Mitroxantrone)、メタレット/スラミン、バチマスタット、E7070、BCH-4556、CS-682、9-AC、AG3340、AG3433、インセル/VX-710、VX-853、ZD0101、ISI641、ODN698、TA2516/マルミスタット(Marmistat)、BB2516/マルミスタット、CDP845、D2163、PD183805、DX895if、レモナールDP2202、FK317、ピシバニール/OK-432、AD32/バルルビシン、メタストロン/ストロンチウム誘導体、テモダール/テモゾロミド、エバセト/リポソーマルドキソルビシン、ヨータキサン(Yewtaxan)/パクリタキセル、タキソール/パクリタキセル、ゼロード(Xeload)/カペシタビン、フルツロン/ドキシフルリジン、シクロパクス(Cyclopax)/経口パクリタキセル、経口タキソイド、SPU-077/シスプラチン、HMR1275/フラボピリドール、CP-358(774)/EGFR、CP-609(754)/RAS発癌遺伝子阻害剤、BMS-182751/経口プラチナ、UFT(テガフール/ウラシル)、エルガミソール/レバミゾール、エニルウラシル/776C85/5FUエンハンサー、カンプト/レバミゾール、カンプトサー/イリノテカン、ツモデックス(Tumodex)/ラリトレキセド(Ralitrexed)、ロイスタチン/クラドリビン、パクセクス(Paxex)/パクリタキセル、ドキシル/リポソーマルドキソルビシン、カエリクス/リポソーマルドキソルビシン、フルダラ/フルダラビン、ファルマルビシン/エピルビシン、DepoCyt、ZD1839、LU79553/ビス-ナフタルイミド(Naphtalimide)、LU103793/ドラスタイン(Dolastain)、カエチクス(Caetyx)/リポソーマルドキソルビシン、ジェムザール/ゲムシタビン、ZD0473/アノルメド(Anormed)、YM116、ヨウ素種、CDK4およびCDK2阻害剤、PARP阻害剤、D4809/デキシフォサミド、イフェス(Ifes)/メスネクス(Mesnex)/イホサミド(Ifosamide)、ブモン/テニポシド、パラプラチン/カルボプラチン、プランチノール(Plantinol)/シスプラチン、ベペシド/エトポシド、ZD9331、タキソテール/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、タキサン類似体、ニトロソ尿素、メルフェラン(melphelan)およびシクロホスファミド等のアルキル化剤、アミノグルテチミド、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロロムブシル(Chlorombucil)、シタラビンHCl、ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エトポシド(VP16-213)、フロクスウリジン、フルオロウラシル(5-FU)、フルタミド、ヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)、イホスファミド、インターフェロンアルファ-2a、アルファ-2b、酢酸ロイプロリド(LHRH放出因子類似体)、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミンHCl(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ、ミトタン(o.p-DDD)、ミトキサントロンHCl、オクトレオチド、プリカマイシン、プロカルバジンHCl、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アムサクリン(m-AMSA)、アザシチジン、エルスロポイエチン(Erthropoietin)、ヘキサメチルメラミン(HMM)、インターロイキン2、ミトグアゾン(メチル-GAG;メチルグリオキサールビス-グアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’-デオキシコホルマイシン)、セムスチン(メチル-CCNU)、テニポシド(VM-26)または硫酸ビンデシン、シグナル伝達阻害剤(MEK、BRAF、AKT、her2、mTORおよびPI3K阻害剤等)であってよいが、そのように限定されない。
【0171】
以下で例証するように、本発明のペプチドは、白血病、乳がん、膠芽腫および肺がんからなる群から選択されるがんの治療において有用である。
明細書および請求項の全体を通して、語「を含む」および該語の変化形は、他の技術的特色、添加物、構成成分またはステップを除外するように意図されない。さらに、語「を含む」は、「からなる」の事例を包括する。本発明の追加の目的、利点および特色は、本明細書の検査時に当業者に明らかとなるであろうし、または、本発明の実践によって学習されてよい。下記の例は、例証として提供され、本発明の限定としては意図されない。さらに、本発明は、本明細書において記載される特定のおよび好ましい実施形態のすべての可能な組合せを網羅する。
【実施例
【0172】
合成一般手順
化合物LH1およびLH2
材料は、次の通りに購入した:Fmoc保護されたα-アミノ酸;リンクアミドMBHA樹脂(Tianjin Nankai HECHENG S&T Co.,Ltd);HBTU((2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、GL Biochem);N-メチルモルホリン(Sinopharm Chemical Reagent Co.,Ltd.);無水コハク酸(Aladdin);アセトニトリル(Xingke Chemical);ニンヒドリン(Sinopharm Chemical Reagent Co.,Ltd.);ピペリジン(Vertellus);ジメチルホルムアミド、DMF(Zhejiang jiangshan chemical co.,Ltd);トリフルオロ酢酸、TFA(トリフルオロ酢酸、Solvay)、TIS(チオアニソール、Solvay)
簡潔に述べると、線状ポリペプチドは、支持体としてのリンクアミドMBHA樹脂上、FmocベースのSPPSを使用して手動で合成した(固相ペプチド合成)。
【0173】
下記のプロトコルを使用した:
1.Fmoc保護基を、DMF中20%ピペリジンで除去した。
2.樹脂をDMFで5回洗浄した。
3.その後のFmoc保護されたアミノ酸を、Fmoc-AA(3当量)、HBTU(3当量)およびN-メチルモルホリン(6当量)を使用して、45分間にわたってカップリングした。
4.樹脂をDMFで5回洗浄した。ニンヒドリン試験によってカップリングを確認した。
5.ステップ1から繰り返す。
6.N末端を、無水コハク酸(10当量)およびN-メチルモルホリン(10当量)と反応させることによって、キャップした。
【0174】
ペプチドを樹脂から切断し、溶液F(95%TFA、2,5%水、2.5%TIS)への曝露によって脱保護し、凍結乾燥した。
凍結乾燥したペプチドを、C18カラムを使用する逆相HPLCによって精製した(詳細については化合物特徴付けを参照)。ペプチドをLC-MS-ESIによって同定した。すべての化合物についてのすべての質量スペクトルデータは、表1において以下で示される。
【0175】
化合物H02、H04、H14、H14-A09、H14-A12、H14-F12、H14-F14、H14-h2-01、H14-Q06、H14-Q09、H14-Q13、H14-Q15、H14-S15、H14-CPP1およびH14-PEG4。
【0176】
材料は、次の通りに購入した:Fmoc保護されたα-アミノ酸、Fmoc保護されたオレフィン系アミノ酸:Fmoc-[(S)-2-(4ペンテニル)アラニン]OH、Fmoc-[(R)-2-(4ペンテニル)アラニン]OH、Fmoc-[(S)-2-(7オクテニル)アラニン]OH、Fmoc-[(R)-2-(4ペンテニル)アラニン]OH、FMoc-PEG4-COOHおよびBoc-PEG4-COOH、2-(6-クロロ-1-H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート(TBTU)、樹脂、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、トリフルオロ酢酸(TFA)、1,2-ジクロロエタン(DCE)、グラブスRu(IV)触媒およびピペリジンは、異なる供給業者から購入した。
【0177】
簡潔に述べると、線状ポリペプチドは、自動合成装置を用い、Fmoc固相ペプチド化学を使用して合成した。N末端FMoc-PEG4またはBoc-PEG4を、通常のアミノ酸として配列に追加した。前項において開示された通り、反応容器から樹脂を除去した後、オレフィン系アミノ酸とのカップリングのみを手動で実施した。
【0178】
閉環メタセシス反応は、Scott J.M.および同僚ら(Scott J.M.ら、「Application of Ring-Closing Metathesis to the Synthesis of Rigidified Amino Acids and Peptides」、1996、J.Am.Chem.Soc.、1996、118(40)、9606~9614頁)によって開示された通り、樹脂から線状ペプチドを切断した後、第一世代グラブス触媒を加えた溶液中で実施した。
【0179】
脱保護されたペプチドを、4℃でメチル-tert-ブチルエーテルとともに沈殿させ、凍結乾燥した。
凍結乾燥したペプチドを、C18カラムを使用する逆相HPLCによって精製した(詳細については化合物特徴付けを参照)。ペプチドをLC-MS-ESIによって同定した。すべての化合物についてのすべての質量スペクトルデータは、表1において以下で示される。
【0180】
HPLC条件:
LH01.化合物を、20分で29%~39%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたHO;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=9,97)。HPLCによる純度等級95,70%;
LH02.化合物を、20分で27%~37%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたHO;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=10,92)。HPLCによる純度等級98,17%;
H02.化合物を、11分で5%~60%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたHO;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=6,72)。HPLCによる純度等級96,98%;
H04.化合物を、15分で5%~60%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたHO;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=7,47)。HPLCによる純度等級90,90%;
H14.化合物を、8分で10%~100%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたHO;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=5,97)。HPLCによる純度等級95,00%。
【0181】
H14-A09:化合物を、20分で52%~62%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたH2O;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=7,26~9,15)。HPLCによる純度等級95,07%;
H14-A12.化合物を、20分で60%~70%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたH2O;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=8,80)。HPLCによる純度等級91,04%;
H14-F12.化合物を、20分で58%~78%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたH2O;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=12,33)。HPLCによる純度等級96,84%;
H14-F14.化合物を、20分で62%~72%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたH2O;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=13,82~15,43)。HPLCによる純度等級98,43%;
H14-h2-01.化合物を、20分で56%~76%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたH2O;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=9,49y11,69)。HPLCによる純度等級96,40%;
H14-Q6.化合物を、20分で42%~62%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたH2O;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=14,75)。HPLCによる純度等級90,00%;
H14-Q09.化合物を、20分で60%~80%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたH2O;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=6,77~7,99)。HPLCによる純度等級95,35%;
H14-Q13.化合物を、20分で48%~68%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたH2O;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=7,2~9,14)。HPLCによる純度等級95,00%;
H14-Q15.化合物を、20分で58%~78%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたH2O;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=9,86)。HPLCによる純度等級95,00%;および
H14-S15.化合物を、20分で65%~85%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたH2O;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=6,89)。HPLCによる純度等級95,97%。
【0182】
H14-CPP1.化合物を、20分で48%~68%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたH2O;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=12.35)。HPLCによる純度等級95,04%;
H14-PEG4.化合物を、20分で58%~78%のBの線形勾配を使用するHPLC-RP(C-18カラム;ポンプA:0,1%TFAを加えたH2O;ポンプB 0,1%TFAを加えたアセトニトリル)によって精製した(保持時間=9,44~10,91)。HPLCによる純度等級93,07%;
【0183】
【表1-1】
【0184】
【表1-2】
【0185】
Xビラジカルは、
【0186】
【化32】
【0187】
を意味し、Lビラジカルは、-(CH-CH=CH-(CH-(ペプチドH02について)または-(CH-CH=CH-(CH-(ペプチドH04、H14、H14-A12、H14-F12、H14-F14、H14-h2-01、H14-Q06、H14-Q09、H14-Q13、H14-Q15およびH14-S15について)を意味する。
【0188】
細胞株:
H5B、GEMM(p53-/-yRb-/-)マウスのSCLC腫瘍から抽出された上皮小細胞肺がん(スタンフォード大学によって提供されたもの);
HL-60、前骨髄芽球(急性骨髄性白血病、AML)、ECACC:98070106;
MCF-7、上皮(乳がん)、ECACC:86012803;
GMB-18、上皮(膠芽腫、GMB)、患者の手術標本由来;
GMB-27、上皮(膠芽腫、GMB)、患者の手術標本由来;
NCI-H524、肺(小細胞肺がん、SCLC)、ATCC-CRL-5831;
NCI-H526、上皮(小細胞肺がん、SCLC)、ATCC-CRL-5811;
NCI-69、(小細胞肺がん、SCLC)、ATCC-HTB-119;
NCI-H82、上皮(小細胞肺がん、SCLC)、ATCC-CRL-5811;
NCI-H187、上皮(小細胞肺がん、SCLC)、ATCC-CRL-5804;
NCI-510A、上皮(小細胞肺がん、SCLC)、ATCC-HBT-124;および
女性ドナーの肝細胞(正常肝臓)が、Foundation DTI-Donation&Transplantation Instituteによって、手術廃棄物からおよび移植に好適でない臓器から提供された。
【0189】
細胞培養
細胞株MCF-7を、インキュベーター内、不活化された10%ウシ胎児血清(FBS)(Gibco-BRL 10106-169)を加えたDMEM高グルコース(ダルベッコ変法イーグル溶液、Gibco-BRL 31966-21)培地中、CO(6%)下、37℃で培養した。細胞株HL-60、NCI-H524、NCI-H526、NCI-H69、NCI-H82、NCI-H187およびH5Bを、インキュベーター内、不活化された10%のウシ胎児血清(FBS)および2mMグルタミン(Sigma G7513)を加えたRPMI-1640(Sigma R8758)培地中、37℃で培養した。細胞株NCI-H510Aを、インキュベーター内、不活化された10%のウシ胎児血清(FBS)を加えたF12K培地中で培養した。細胞株GBM-18およびGBM-27を、インキュベーター内、完全培地(ニューロベーサル+B27+グルタマックス+成長因子)中、CO(6%)下、37℃で培養した。
【0190】
増幅ステップおよびアッセイ中に、接着細胞をDPBS(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、Sigma D1283)で3回すすぎ、その後で、DPBSの溶液中のトリプシン([0,5g/ml]/EDTA[0,2g/ml])(Gibco-BRL、15400054)により37℃で5分間にわたって処理し、剥離されたら、培養培地に移した。非接着細胞を遠心分離し、培養培地に移した。細胞を、トリパンブルー(Tripan-Blue)で標識した後、ノイバウエルチャンバーにおいてカウントした。各アッセイは、生存率が90%よりも優れていた場合のみ実施した。
【0191】
女性ドナーのヒト肝臓を、2ステップ組織微小灌流技術を使用することにより、肝細胞単離に供し、肝細胞が酸素レベルに対して感度の高い細胞であることから、カニューレ挿入前の無酸素症を回避するために最大限の注意を払った。初期の無酸素状態は、細胞の低い生存率をもたらし得、後に、培養中におけるそれらの代謝能に影響を及ぼすことになる。簡潔に述べると、直径1mmの針付きのアクセス可能な容器を使用することによって、肝臓組織にカニューレを挿入した。18~20ml/分の流速に調整された蠕動ポンプを使用することにより、平衡塩類溶液を注射して臓器を清浄化した。洗浄した後、コラゲナーゼを含有する溶液を肝臓崩壊のために添加した。このプロセスを使用して取得された細胞懸濁液を濾過し、遠心分離し、コラゲナーゼを除去するために数回洗浄後、細胞を、2mMグルタミン、170μg/ml亜セレン酸ナトリウム、2%ウシ新生仔血清、50mU/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン、0.1%ウシ血清アルブミン、1.68mM NAME、26mM重炭酸ナトリウム、25μg/mlトランスフェリン、65.5μMエタノールアミン、7.2μMリノール酸、17.5mMグルコース、6.14mMアスコルビン酸および10nMインスリンを補充した培養培地ハムF12/ウィリアム(1:1)培地に再懸濁した。
【0192】
再懸濁後、細胞アリコートを除去し、トリパンブルー排除法を使用する細胞計数によって生存率を決定した。トリパンブルー取り込みは、細胞膜変化の結果であり、およびその帰結として、細胞死となる。したがって、細胞生存率を定量化するために、生理食塩水中0.4%トリパンブルーを細胞に添加し、これらを直ちにノイバウエルチャンバーにロードした。生存細胞を、5つの異なる領域において、光学顕微鏡下、非青細胞としてカウントした。
【0193】
生存率%=非青細胞の数×100/総細胞数
生存率および肝毒性(hepatoxicity)アッセイ
96ウェルプレート内の100μlの培地中、MCF-7、NCI-H187、NCI-H69、NCI-H526およびH5B細胞を、5000細胞/ウェルの密度で播種し、NCI-H524およびNCI-H82を、2500細胞/ウェルの密度で播種し、HL-60およびNCI-H510Aを、10000細胞/ウェルで播種した。24時間後、試験される化合物を添加して、連続希釈(1:1)した100μMの出発濃度での用量/応答曲線を計算した。対照は未処置細胞であった。各実験を、三連で実施した。
【0194】
細胞を、インキュベーター内、CO雰囲気下、37℃で72時間の間インキュベートした。MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイ、Alamar Blue(登録商標)(Biosource DAL1100)およびヘキソサミニダーゼ活性試験を連続的に、製造業者の説明書に準拠して利用して、細胞生存率を測定した。
【0195】
アッセイ進行は、以下に準拠する:
MTT:1.MTT(475989 Calbiochem)のストック溶液は、PBS1倍中5mg/mlであった。陰性対照(実験ノイズ)として、3ウェルを、20μl/ウェルのHO中SDS10%の溶液で処理した。同じ対照をアラマーブルー/ヘキソサミニダーゼに使用した。10μl/ウェルのMTT溶液を添加し、プレートを3~4時間にわたってインキュベートした。培地を廃棄し、100μlの抽出緩衝液(PBS1倍、15%SDS、50%Na N,N-ジメチルホルムアミド、pH4,7)を各ウェルに添加した。プレートを、軌道振とうしながら、室温で16時間にわたってインキュベートした。570nmにおける吸光度を最後に測定した。
【0196】
アラマーブルー:10μlのアラマーブルー溶液を各ウェルに添加し、プレートを、インキュベーター内、4時間にわたってインキュベートした。535/590(励起/発光)における蛍光比を、サイトフルオル(Millipore)蛍光光度計において測定した。アラマーブルー溶液を添加する直前に、2%濃度のトリトンX100による未処置細胞の溶解によってブランク対照を決定した。
【0197】
ヘキソサミニダーゼ活性試験:アラマーブルーレクチャー後に、培地を廃棄し、プレートをPBSで1回すすいだ。60μlのヘキソサミニダーゼ基質(p-ニトロフェノール-N-アセチル-ベータ-D-グルコサミド7.5mM[Sigma N-9376]、クエン酸ナトリウム0.1M、pH5.0、0.25%トリトンX-100)を各ウェルに添加し、プレートを、細胞型に従い(ヘキソサミニダーゼ活性は細胞型に従って変化する)、37℃で2~5時間にわたってインキュベートした。インキュベーション時間後、90μlの顕示溶液(revealing solution)(グリシン50mM、pH10.4;EDTA5mM)を各ウェルに添加し、410nMにおける吸光度を測定した。ブランク対照は前述したものと同じであった。
【0198】
前述した通りに単離および再懸濁したヒト肝細胞を、化合物の細胞毒性を評価するために、96コラーゲンコーティングプレートに100,000生存細胞/ウェルで播種した。培養液中で1時間後、培地を新しくして、細胞残屑を排除した。培養したヒト肝細胞を培養液中で24時間にわたって静置させた後、実験を実施した。24時間後、試験される化合物を添加して、連続希釈した400μMの出発濃度での用量/応答曲線を計算した。各実験を、三連で実施した。細胞を、インキュベーター内、CO雰囲気下、37℃で24時間の間インキュベートした。
【0199】
トリパンブルー排除法を使用する細胞計数によって生存率を決定した。
生存率%=非青細胞の数×100/総細胞数
統計
データ解析は、正規化した細胞生存率の、100%と等しいとみなされた陰性対照の値に対するパーセンテージを計算して実施した。シグモイド方程式用量応答(可変スロープ)を介して用量/応答曲線を当てはめ、EC50値を次の通りに計算した:
Y=底部+(頂部-底部)/(1+10^{[(LogEC50-X)×斜面]},
[式中、Xは、化合物濃度(対数目盛)であり、Yは、応答である]。
【0200】
計算およびグラフは、GraphPadプリズム(ウィンドウズ(登録商標)用プリズム6)を使用して行った。
作用機序-ウェスタンブロット 活性化カスパーゼ3、Parpおよびc-Parp
細胞を、H14の濃度範囲(1μMおよび10μM)で、インキュベーター内、CO雰囲気下、37℃で6時間および12時間の間インキュベートした。
【0201】
培養された細胞株NCI-H187およびNCI-H510Aの溶解物から抽出された等量のタンパク質を含有する試料(対応する一次抗体の仕様に応じて5~50ug、Santa Cruz Biotechnologies、Santa Cruz、CA)に、SDS-PAGEで電気泳動を受けさせ、二フッ化ポリビニリデン膜に移した。膜を、3%BSA-PBS-0.1%Tween中、室温で1時間にわたってブロックし、ブロットを一次抗体(Santa Cruz Biotechnologies、Santa Cruz、CA)により4℃で終夜プローブして、目的のタンパク質を検出した。インキュベーション後、膜を、洗浄(wreashing)緩衝液(0.1%Tweenを含有するPBS)で5分間にわたって3回洗浄した。次いで、膜を、1:10,000に希釈した二次抗体(Santa Cruz Biotechnologies、Santa Cruz、CA)とともに室温で1時間にわたってインキュベートした。洗浄した後、G-ボックス(Syngene、Cambridge、UK)を使用して、特異的タンパク質を検出した。
【0202】
安定性試験
化学物質
・ 水、ピュアラボウルトラアイオニック(Purelab Ultra Ionic)(Elga Berkefeld GmbH、Celle、Germany)
・ HPLC用メタノール、99.9%以上(Sigma Aldrich GmbH、Buchs、Switzerland)
・ HPLC用アセトニトリル、99.9%以上(Sigma Aldrich GmbH、Buchs、Switzerland)
・ HPLC用2プロパノール、99.9%以上(Sigma Aldrich GmbH、Buchs、Switzerland)
・ HPLC用エタノール、99.8%以上(Sigma Aldrich GmbH、Buchs、Switzerland)
・ ギ酸、分析純度(puriss. p.a.)、98%以上(Sigma Aldrich GmbH、Buchs、Switzerland)
ブランクマトリックス
・ 抗凝固剤としてK3 EDTAを加えたヒト血漿(Blutspendezentrum SRK beider Basel、Basel、Switzerland)
装置
・ 遠心分離、アレグラ(Allegra)64R(Beckman Coulter International SA、Nyon、Switzerland)
・ 遠心分離、バイオフュージストラトス(Biofuge Stratos)(Thermo Fisher Scientific、Osterode、Germany)
・ 冷凍庫、リープヘルコンフォート(Liebherr Comfort) Liebherr、Biberach an der Riss、Germany)
・ 急速冷凍庫、MDF U53V(三洋電機株式会社、東京、日本)
・ 超音波浴、SW6H(Sonoswiss AG、Ramsen、Switzerland)
・ ピペット、参照、研究(Eppendorf AG、Hamburg、Germany)
・ ボルテクサー(Vortexer)、ジーニアス(Genius)3(IKA Labortechnik、Staufen、Germany)
・ ボルテクサー、ジーニー(Genie)2(Scientific Industries Inc.、New York、USA)
・ 微量てんびん、MT5(Mettler Toledo GmbH、Giessen、Germany)
・ 精密てんびん、PB503S/FACT(Mettler Toledo GmbH、Giessen、Germany)
・ サーモミキサーコンフォート(Thermomixer comfort)(Eppendorf AG、Hamburg、Germany)
設備
・ HPLCポンプ、1200シリーズポンプ(Agilent Technologies Inc、Santa Clara、CA、USA)
・ オートサンプラー、HTC xt PAL(CTC Analytics AG、Zwingen、Switzerland)
・ 質量分析計、TSQバンテージ(Thermo Fisher Scientific、San Jose、CA、USA)
分析方法
a.較正試料および品質管理試料の調製
ストック溶液の調製のために、H14を、0.1%ギ酸を含有する水/アセトニトリル(95/5、v/v)に、1.00mg/mLの濃度まで溶解した。さらなる連続希釈を血漿中で行った。濃度を、純度を考慮して計算した。
【0203】
血漿試料の調製のために、ヒトブランク血漿を、ストック溶液により1:100の比を使用して強化して、10.0μg/mLの試料を取得し、これをその後、ヒトブランク血漿中で連続希釈した。
【0204】
血漿中の試料の濃度は、下記であった:
【0205】
【表2】
【0206】
b.内部標準溶液の調製
内部標準ストック溶液の調製のために、内部標準を、0.1%ギ酸を含有する水/アセトニトリル(95/5、v/v)に、1.00mg/mLの濃度まで溶解した。血漿試料の分析のために、最終作業希釈液を、1%ギ酸を含有するアセトニトリル中1000ng/mLの濃度に調製した。
【0207】
c.試料調製
2つのペプチド濃度(100ng/mLおよび1000ng/mL)について、300μLの体積のヒト血漿試料を、空の96ディープウェルプレートに移した。プレートを、サーモミキサー内、37℃で、およそ700rpmにてインキュベートした。0時間、1時間、2時間、4時間、6時間および24時間の選択されたインキュベーション時点において、血漿のアリコートを、内部標準を含有するアセトニトリルで沈殿させた。20μLのヒト血漿試料のアリコートに、1%ギ酸および内部標準を含有する40μLのアセトニトリルを添加した。数秒間にわたってボルテックス混合した後、試料をおよそ50000gで約10分間にわたって遠心分離した。遠心分離の温度は8℃に設定した。30μLの上清のアリコートを、LC MS/MSを使用する分析のためにオートサンプラーバイアルに移した。
【0208】
c.HPLC MS/MS条件
H14の定量化は、逆相クロマトグラフィーによるカラム分離、続いて、選択された反応モニタリングモードでの三段四重極MS/MSによる検出によって実施した。HPLCについて、条件は下記であった:
注入体積 3μL(3μLのループ中に5μL)
移動相:
相A 0.5%ギ酸を含有する水
相B 0.5%ギ酸を含有する2プロパノール
カラム:
ハイパーシルゴールド、2.1×50mm、3μm(Thermo Fisher Scientific Inc.、Waltham、MA、USA)
カラム温度:室温
勾配:
【0209】
【表3】
【0210】
質量分析
イオン源 HESI
極性 正
電圧[V] 3500
スイープガス[au] 0.0
シースガス[au] 60.0
補助ガス[au] 5.0
気化器[℃] 300
衝突ガス圧[mTorr] 1.5
選択された反応モニタリング:
【0211】
【表4】
【0212】
インビボ研究
- 動物:
6~7週齢のFoxn1nu免疫抑制マウスを病原体フリーゾーン(ナバーラ大学CIMA)に収容し、扱った。すべての実験を、ナバーラ大学の施設内で行った。
【0213】
- 研究した群:
対照:培地(PBS)を毎日24時間ごとに腹腔内投与した。
IDP-H14 20mg/kgを毎日24時間ごとに腹腔内投与した。
【0214】
- 研究の方法および追跡:
皮下異種移植モデル:マウスの左右の脇腹を剃毛し、吸入によって麻酔をかけてその可動性を減少させ、50μlのRPMI-1640培地および50μlのCorning(登録商標)Matrigel(登録商標)基底膜マトリックス中のH510A細胞を皮下に接種した。腫瘍が触診可能になったら、マウスを腫瘍体積に従って異なる群(対照群に8匹のマウスおよび処置群に8匹のマウス)に無作為化した。これは、2つの腫瘍直径のキャリパーを用いる測定および下記のスフェロイドの式:
V=(a・b^2・π)/6
[式中、aおよびbは、それぞれ最長および最短直径に対応する]を使用することによって推定した。腫瘍体積を週に3回モニターした。
【0215】
生存評価:マウスを、それらの腫瘍直径が1000mmの体積に到達したら屠殺した。終点基準に到達するまでの時間は、処置開始日から推定された。統計的差異は、ログランク検定によりカプランマイヤー曲線を使用して評価された。統計的分析は、SPSS-17.0プログラムを使用して実施した。
【0216】
2.結果
2.1 有効性結果
本発明のペプチドは、異なる肺がん細胞の増殖を阻害する際に非常に効率的であることが分かった。実験データは以下の表5にまとめられる。
【0217】
【表5】
【0218】
本発明のペプチドH14を、乳房、白血病細胞および膠芽腫株等の他のがん細胞株におけるその抗増殖作用を確認するためにも試験した。以下の表6で提供される通り、驚くべきことに、ペプチドは活性であることが分かった。
【0219】
【表6】
【0220】
加えて、H14突然変異体ペプチド(すなわち、ペプチドH14-09、H14-A12、H14-F12、H14-F14、H14-h2-01、H14-Q06、H14-Q09、H14-Q13、H14-Q15およびH14-S15)も、表7および8に示されるように、いくつかのがん細胞株に対して活性であることが分かった。
【0221】
【表7】
【0222】
【表8】
【0223】
驚くべきことに、時間的変異に伴い、得られたペプチドは、H14に対して有効性の改善を示した。
ペプチドH14がCPPとコンジュゲートされた場合も、表9に示されるように、有効性は実質的に改善された。
【0224】
【表9】
【0225】
2.2 肝毒性
実験データは以下の表10にまとめられる。
【0226】
【表10】
【0227】
4および14μMの用量(治療的に有効と確認された用量)において、ペプチドH14は、正常な肝細胞に対して非毒性である。
2.3 ウェスタンブロット結果
NCI-H187細胞を、1μMおよび10μMの濃度のペプチドH14とともにインキュベートした。
【0228】
応答を2つのインキュベーション時間(6時間および12時間)において測定した。H14は、両方のインキュベーション時間において試験された細胞株中でアポトーシスを誘導し、切断されるParpタンパク質の量は、濃度と一致して増大することが分かった(図1参照)。
【0229】
NCI-H510A細胞を、1μMおよび10μMの濃度のペプチド-H14とともにインキュベートした。
応答を6時間のインキュベーション時間後に測定した。H14は、試験された細胞株中でアポトーシスを誘導し、活性化カスパーゼ-3の量をペプチドの濃度と一致して増大させることが分かった(図2参照)。
【0230】
2.4. 安定性試験
実験データは以下の表11にまとめられる。
【0231】
【表11】
上記のデータから、本発明のペプチドは、ヒト血漿中において高い半減期および安定性を有すると結論付けることができる。
【0232】
2.5 インビボでの有効性結果
腫瘍成長
表12に見られるように、H14は、対照と比べて腫瘍成長を有意に低減させた。特に、終了時間(対照が屠殺された際)において、腫瘍低減は70%に相当する。
【0233】
【表12】
これらの結果から導かれるように、H14ペプチドの投与は、がん進行を減速させる。したがって、H14は、単独で、またはさらには化学もしくは放射線療法と組み合わせて、抗がん薬として使用され得ると結論付けることができる。
【0234】
以上で提供された結果を考慮して、インビトロで試験され、活性である他のペプチドは、H14と同じ手法で働くことが期待される。
完全性を理由として、本発明の種々の態様が、下記の番号付けされた条項に提示される。
条項1.式(I)のペプチドまたはその薬学的塩:
【0235】
【化33】
【0236】
[式中、
「m」、「n」、「p」および「q」は、整数を表し、0および1から選択され、
「r」は、1から10までで構成され、
ペプチドは、
- 式(I)のペプチド配列における「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子を、式(I)のペプチド配列における「i+3」または「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と連結している、式(II)のリンカービルラジカル(birradical)
-[(R-(R)-(R-(II)、
- -C(O)Rに対応するC末端、および
- -NHRに対応するN末端
を含み、ここで、
「a」および「b」は、同じであるかまたは異なっており、0または1であり、
「c」は、1から10までで構成され、
およびRは、(C~C10)アルキル;ハロゲン、(C~C10)アルキル、-OR、-NR、-SR、-SOR10、-SO11および-CO12からなる群から選択される1個または複数のラジカルによって置換されている(C~C10)アルキル;(C~C10)アルケニル;ハロゲン、(C~C10)アルキル、-OR、-NR、-SR、-SOR10、-SO11および-CO12からなる群から選択される1個または複数のラジカルによって置換されている(C~C10)アルケニル;(C~C10)アルキニル;ならびに、ハロゲン、(C~C10)アルキル、-OR、-NR、-SR、-SOR10、-SO11および-CO12からなる群から選択される1個または複数のラジカルによって置換されている(C~C10)アルキニルからなる群から独立して選択されるビルラジカルであり、
は、-O-、C(=O)、C(=O)NR13、C(=O)O、S(=O)、S(=O)、NR14、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、(C~C10)アルキニル、-NR15-NR16-、-N=N-、-S-S-、および1から3個までの環を含む、3から14員までを含む公知の環系からなる群から選択されるビルラジカルであり、ここで、
環の各1個は、飽和、部分不飽和または芳香族であり、
環は、単離されているか、部分的にまたは完全に縮合しており、
公知の環系を形成する員の各1個は、-CH-、-CH-、-NH-、-N-、-SH-、-S-および-O-からなる群から選択され、
環系は、ハロゲン、-OH、-NO、(C~C10)アルキル、(C~C10)ハロアルキルおよび(C~C10)アルキル-O-からなる群から独立して選択される1個または複数のラジカルによって置換されていてもよく、
は、-OHおよび-NR1718からなる群から選択されるラジカルであり、
は、-Hおよび(C~C20)アルキルからなる群から選択されるラジカルであり、
、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は、-Hおよび(C~C10)アルキルからなる群から独立して選択されるラジカルであり、
リンカーによって連結されているアミノ酸は、式(III)
【0237】
【化34】
【0238】
{式中、
19は、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニル、(C~C10)アルキニル、および1から3個までの環を含む、3から14員までを含む公知の環系からなる群から選択されるモノラジカルであり、ここで、
環の各1個は、飽和、部分不飽和または芳香族であり、
環は、単離されているか、部分的にまたは完全に縮合しており、
公知の環系を形成する員の各1個は、-CH-、-CH-、-NH-、-N-、-SH-、-S-および-O-からなる群から選択される}
のものである]。
【0239】
条項2.「r」、「a」、「b」および「c」が、1である、条項1に従う式(I)のペプチドまたはその薬学的塩。
条項3.RおよびRが、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニルおよび(C~C10)アルキニルからなる群から独立して選択されるビルラジカルである、条項1または2に従う式(I)のペプチドまたはその薬学的塩。
【0240】
条項4.Rが、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニルおよび(C~C10)アルキニルからなる群から選択されるビルラジカルである、条項1から3のいずれか一項に従う式(I)のペプチドまたはその薬学的塩。
【0241】
条項5.R19が、(C~C10)アルキル、(C~C10)アルケニルおよび(C~C10)アルキニルからなる群から選択されるモノラジカルである、条項1から4のいずれか一項に従う式(I)のペプチドまたはその薬学的塩。
【0242】
条項6.R、RおよびR19が、(C~C10)アルキルであり、Rが、(C~C10)アルケニルであり、「m」および「n」が、同じであり、「p」および「q」が、同じである、条項1から5のいずれか一項に従う式(I)のペプチドまたはその薬学的塩。
【0243】
条項7.C末端が、-C(O)OHまたは-C(O)NHに対応し、N末端が、-NHに対応する、条項1から6のいずれか一項に従う式(I)のペプチドまたはその薬学的塩。
【0244】
条項8.式(Ia)または(Ib):
Ia:
【0245】
【化35】
【0246】
Ib:
【0247】
【化36】
[式中、「m」、「n」、「p」、「q」、LおよびR19は、上記で定義されている通りである]
のものである、条項1から7のいずれか一項に従う式(I)のペプチドまたはその薬学的塩。
【0248】
条項9.配列番号2、3および4からなる群から選択される、条項1から8のいずれか一項に従う式(I)のペプチドまたはその薬学的塩。
条項10.標識または薬物とコンジュゲートされた、条項1から9のいずれか一項に従う式(I)のペプチドまたはその薬学的塩。
【0249】
条項11.条項1から10のいずれか一項で定義されているペプチド、および、場合により、細胞透過性ペプチドを含む、融合タンパク質。
条項12.治療有効量の、条項1~10のいずれか一項で定義されているペプチドもしくはその薬学的塩または条項11で定義されている融合タンパク質を、許容される医薬賦形剤および/または担体と一緒に含む、医薬組成物。
【0250】
条項13.医薬としての使用のための、条項1~10のいずれか一項で定義されているペプチドもしくはその薬学的塩または条項11で定義されている融合タンパク質。
条項14.がんの治療における使用のための、条項1~10のいずれか一項で定義されているペプチドもしくはその薬学的塩または条項11で定義されている融合タンパク質。
【0251】
条項15.がんが、白血病、乳がん、膠芽腫および肺がんからなる群から選択される、条項14に従う使用のための、ペプチドまたはその薬学的塩。
本発明の態様には、下記の態様も含まれる。
態様1
式(I)のペプチドまたはその薬学的塩:
【化37】
[式中、
「m」、「n」、「p」および「q」は、整数を表し、0および1から選択され、
「r」は、1から10までで構成され、
前記ペプチドは、
- 式(I)のペプチド配列における「i」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子を、式(I)のペプチド配列における「i+4」または「i+7」位に位置するアミノ酸のアルファ炭素原子と連結している、式(II)のリンカービラジカル「L」
-[(R -(R )-(R -(II)、
- -C(O)R に対応するC末端、および
- -NHR に対応するN末端
を含み、ここで、
「a」および「b」は、同じであるかまたは異なっており、0または1であり、
「c」は、1から10までで構成され、
およびR は、(C ~C 10 )アルキル;ハロゲン、(C ~C 10 )アルキル、-OR 、-NR 、-SR 、-SOR 10 、-SO 11 および-CO 12 からなる群から選択される1個または複数のラジカルによって置換されている(C ~C 10 )アルキル;(C ~C 10 )アルケニル;ハロゲン、(C ~C 10 )アルキル、-OR 、-NR 、-SR 、-SOR 10 、-SO 11 および-CO 12 からなる群から選択される1個または複数のラジカルによって置換されている(C ~C 10 )アルケニル;(C ~C 10 )アルキニル;ならびに、ハロゲン、(C ~C 10 )アルキル、-OR 、-NR 、-SR 、-SOR 10 、-SO 11 および-CO 12 からなる群から選択される1個または複数のラジカルによって置換されている(C ~C 10 )アルキニルからなる群から独立して選択されるビラジカルであり、
は、-O-、C(=O)、C(=O)NR 13 、C(=O)O、S(=O)、S(=O) 、NR 14 、(C ~C 10 )アルキル、(C ~C 10 )アルケニル、(C ~C 10 )アルキニル、-NR 15 -NR 16 -、-N=N-、-S-S-、および1から3個までの環を含む、3から14員までを含む公知の環系からなる群から選択されるビラジカルであり、ここで、
前記環の各1個は、飽和、部分不飽和または芳香族であり、
前記環は、単離されているか、部分的にまたは完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する員の各1個は、-CH-、-CH -、-NH-、-N-、-SH-、-S-および-O-からなる群から選択され、
前記環系は、ハロゲン、-OH、-NO 、(C ~C 10 )アルキル、(C ~C 10 )ハロアルキルおよび(C ~C 10 )アルキル-O-からなる群から独立して選択される1個または複数のラジカルによって置換されていてもよく、
は、-OHおよび-NR 17 18 からなる群から選択されるラジカルであり、
は、-Hおよび(C ~C 20 )アルキルからなる群から選択されるラジカルであり、
、R 、R 、R 、R 10 、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 16 、R 17 およびR 18 は、-Hおよび(C ~C 10 )アルキルからなる群から独立して選択されるラジカルであり、
前記リンカーによって連結されている前記アミノ酸は、式(III)
【化38】
{式中、
19 は、(C ~C 10 )アルキル、(C ~C 10 )アルケニル、(C ~C 10 )アルキニル、および1から3個までの環を含む、3から14員までを含む公知の環系からなる群から選択されるモノラジカルであり、ここで、
前記環の各1個は、飽和、部分不飽和または芳香族であり、
前記環は、単離されているか、部分的にまたは完全に縮合しており、
前記公知の環系を形成する員の各1個は、-CH-、-CH -、-NH-、-N-、-SH-、-S-および-O-からなる群から選択される}
のものである]、
または、代替として、配列番号18の配列のペプチドと少なくとも85%の同一性を有するペプチドまたは薬学的な許容されるその塩
【化39】
[式中、
Lは、上記で定義されている式(II)のリンカービラジカルであり、
Xは、上記で定義されている式(III)のアミノ酸である]。
態様2
式(I)のものである、態様1に記載のペプチドまたはその薬学的塩:
【化40】
[式中、
「m」、「n」、「p」、「q」および「r」は、態様1で定義されている通りであり、
前記ペプチドは、態様1で定義されている式(II)のリンカービラジカル、C末端およびN末端を含む]。
態様3
「r」、「a」、「b」および「c」が、1である、態様1または2に記載のペプチドまたはその薬学的塩。
態様4
およびR が、(C ~C 10 )アルキル、(C ~C 10 )アルケニルおよび(C ~C 10 )アルキニルからなる群から独立して選択されるビラジカルである、態様1から3のいずれか一項に記載のペプチドまたはその薬学的塩。
態様5
が、(C ~C 10 )アルキル、(C ~C 10 )アルケニルおよび(C ~C 10 )アルキニルからなる群から選択されるビラジカルである、態様1から4のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的塩。
態様6
19 が、(C ~C 10 )アルキル、(C ~C 10 )アルケニルおよび(C ~C 10 )アルキニルからなる群から選択されるモノラジカルである、態様1から5のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的塩。
態様7
、R およびR 19 が、(C ~C 10 )アルキルであり、R が、(C ~C 10 )アルケニルであり、「m」および「n」が、同じであり、「p」および「q」が、同じである、態様1から6のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的塩。
態様8
C末端が、-C(O)OHまたは-C(O)NH に対応し、N末端が、-NH に対応する、態様1から7のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的塩。
態様9
式(Ia)または(Ib):
Ia:
【化41】
Ib:
【化42】
[式中、「m」、「n」、「p」、「q」、LおよびR 19 は、態様1から8のいずれかで定義されている通りである]
のものである、態様1から8のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的塩。
態様10
配列番号18の配列のペプチドと少なくとも85%の同一性を有するペプチドまたは薬学的な許容されるその塩であり、(ibis1)、(ibis2)、(ibis3)、(ibis4)、(ibis5)および(ibis6):
(Ibis1):
【化43】
[式中、AA は、Thr以外のアミノ酸であり、「X」および「L」は、上記で定義されている通りである]、
(Ibis2):
【化44】
[式中、AA は、Glu以外のアミノ酸であり、「X」および「L」は、上記で定義されている通りである]、
(Ibis3):
【化45】
[式中、AA は、Pro以外のアミノ酸であり、「X」および「L」は、上記で定義されている通りである]、
(Ibis4):
【化46】
[式中、AA は、Ala以外のアミノ酸であり、AA は、Thr以外のアミノ酸であり、AA は、Glu以外のアミノ酸であり、「X」および「L」は、上記で定義されている通りである]、
(Ibis5):
【化47】
[式中、AA は、Asn以外のアミノ酸であり、「X」および「L」は、上記で定義されている通りである]、
(Ibis6):
【化48】
[式中、AA は、Ala以外のアミノ酸であり、「X」および「L」は、上記で定義されている通りである]
からなる群から選択される、態様1から9のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的塩。
態様11
配列番号2から14からなる群から選択される、態様1から10のいずれかに記載のペプチド。
態様12
標識と、薬物と、または、代替として、安定化部分とコンジュゲートされた、態様1から11のいずれかに記載のペプチド。
態様13
配列番号16の配列のものである、態様12に記載のペプチド。
態様14
態様1から13のいずれかに記載のペプチドまたは薬学的な許容されるその塩、および、場合により、細胞透過性ペプチドを含む、融合タンパク質。
態様15
配列番号17の配列のものである、態様14に記載の融合タンパク質。
態様16
治療有効量の、態様1から13のいずれかに記載のペプチドもしくはその薬学的塩または態様14から15のいずれかに記載の融合タンパク質を、許容される医薬賦形剤および/または担体と一緒に含む、医薬組成物。
態様17
医薬としての使用のための、態様1から13のいずれかに記載のペプチドもしくはその薬学的塩または態様14から15のいずれかに記載の融合タンパク質。
態様18
がんの治療における使用のための、態様1から13のいずれかに記載のペプチドもしくはその薬学的塩または態様14から15のいずれかに記載の融合タンパク質または態様16に記載の医薬組成物。
態様19
がんが、白血病、乳がん、膠芽腫および肺がんからなる群から選択される、態様18に記載の使用のための、ペプチドまたはその薬学的塩。
引用一覧
Altschul et al., "Basic local alignment search tool", 1990, J. Mol. Biol, v. 215, pages 403-410;

Copolovici D. M. et al., "Cell-Penetrating Peptides: Design, Synthesis, and Applications", 2014, ACS Nano, 2014, 8 (3), pp 1972-1994;

Higgins et al., "CLUSTAL V: improved software for multiple sequence alignment", 1992, CABIOS, 8(2), pages 189-191;

Kim Young-Woo et al., "Synthesis of all-hydrocarbon stapled a-helical peptides by ring-closing olefin metathesis", Nature Protocols, 2011, 6(6), p. 761-771;

Kolb H.C. et al., "The growing impact of click chemistry on drug discovery", 2003, Drug Discov Today, 8(24):1128-1137); and

Scott J.M. et al., "Application of Ring-Closing Metathesis to the Synthesis of Rigidified Amino Acids and Peptides",1996, J. Am. Chem. Soc., 1996, 118 (40), pp 9606-9614;
図1
図2