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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】基地局、端末及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/23 20230101AFI20231006BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20231006BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20231006BHJP
   H04B 7/0456 20170101ALI20231006BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
H04W72/23
H04W72/0446
H04W16/28 150
H04B7/0456 100
H04L27/26 113
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020529993
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 JP2019014926
(87)【国際公開番号】W WO2020012736
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2018130546
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】布目 知也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】岩井 敬
(72)【発明者】
【氏名】堀内 綾子
(72)【発明者】
【氏名】小川 佳彦
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108123778(CN,A)
【文献】Nokia, Nokia Shanghai Bell,Remaining details on PDCCH structure[online],3GPP TSG RAN WG1 Meeting 91 R1-1720506,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_91/Docs/R1-1720506.zip>,2017年11月17日
【文献】Intel Corporation,On NR PDCCH repetitions for URLLC[online],3GPP TSG RAN WG1 Meeting #92bis R1-1804741,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_92b/Docs/R1-1804741.zip>,2018年04月07日
【文献】NTT DOCOMO, INC.,Offline summary for AI 7.1.3.1.1 PDCCH structure[online],3GPP TSG RAN WG1 Meeting #93 R1-1807636,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_93/Docs/R1-1807636.zip>,2018年05月24日,pages 1-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
H04B 7/0456
H04L 27/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して、同一プリコーディングが使用される期間を示すプリコーディング粒度を設定する制御回路と、
前記設定されたプリコーディング粒度に基づいて、前記複数の制御チャネルの信号を端末へ送信する送信回路と、
を具備し、
前記プリコーディング粒度は、前記端末へ通知される、前記制御チャネルのアグリゲーションレベルと一意に対応付けられている
地局。
【請求項2】
異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して、同一プリコーディングが使用される期間を示すプリコーディング粒度を設定する制御回路と、
前記設定されたプリコーディング粒度に基づいて、前記複数の制御チャネルの信号を端末へ送信する送信回路と、
を具備し、
前記プリコーディング粒度は、前記端末へ通知される、周波数領域における前記制御チャネルに対する前記プリコーディング粒度と一意に対応付けられている
地局。
【請求項3】
異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して設定される、同一プリコーディングが適用される期間を示すプリコーディング粒度を特定する制御回路と、
前記特定されたプリコーディング粒度に基づいて、基地局から送信された前記複数の制御チャネルの信号に対する受信処理を行う受信処理回路と、
を具備し、
前記プリコーディング粒度は、前記基地局から通知される、前記制御チャネルのアグリゲーションレベルと一意に対応付けられている、
末。
【請求項4】
異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して設定される、同一プリコーディングが適用される期間を示すプリコーディング粒度を特定する制御回路と、
前記特定されたプリコーディング粒度に基づいて、基地局から送信された前記複数の制御チャネルの信号に対する受信処理を行う受信処理回路と、
を具備し、
前記プリコーディング粒度は、前記基地局から通知される、周波数領域における前記制御チャネルに対する前記プリコーディング粒度と一意に対応付けられている、
端末。
【請求項5】
基地局は、
異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して、同一プリコーディングが使用される期間を示すプリコーディング粒度を設定し、
前記設定されたプリコーディング粒度に基づいて、前記複数の制御チャネルの信号を端末へ送信
前記プリコーディング粒度は、前記端末へ通知される、前記制御チャネルのアグリゲーションレベルと一意に対応付けられている、
通信方法。
【請求項6】
基地局は、
異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して、同一プリコーディングが使用される期間を示すプリコーディング粒度を設定し、
前記設定されたプリコーディング粒度に基づいて、前記複数の制御チャネルの信号を端末へ送信し、
前記プリコーディング粒度は、前記端末へ通知される、周波数領域における前記制御チャネルに対する前記プリコーディング粒度と一意に対応付けられている、
通信方法。
【請求項7】
端末は、
異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して設定される、同一プリコーディングが適用される期間を示すプリコーディング粒度を特定し、
前記特定されたプリコーディング粒度に基づいて、基地局から送信された前記複数の制御チャネルの信号に対する受信処理を行
前記プリコーディング粒度は、前記基地局から通知される、前記制御チャネルのアグリゲーションレベルと一意に対応付けられている、
通信方法。
【請求項8】
端末は、
異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して設定される、同一プリコーディングが適用される期間を示すプリコーディング粒度を特定し、
前記特定されたプリコーディング粒度に基づいて、基地局から送信された前記複数の制御チャネルの信号に対する受信処理を行い、
前記プリコーディング粒度は、前記基地局から通知される、周波数領域における前記制御チャネルに対する前記プリコーディング粒度と一意に対応付けられている、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基地局、端末及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代移動通信システム(5G)と呼ばれる通信システムが検討されている。5Gでは、通信トラフィックの増大、接続する端末数の増大、高信頼性、低遅延が必要とされるそれぞれのユースケース毎に機能を柔軟に提供することが検討されている。代表的なユースケースとして、拡張モバイルブロードバンド(eMBB:enhanced Mobile Broadband)、大規模コミュニケーション/多数接続(mMTC:massive Machine Type Communications)、超信頼性・低遅延 コミュニケーション(URLLC:Ultra Reliable and Low Latency Communications)の3つがある。国際標準化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、LTEシステムの高度化と、NR(New Radio access technology)(例えば、非特許文献1を参照)の両面から、通信システムの高度化を検討している。
【0003】
URLLCでは、32バイトのパケットを0.001%以下の誤り率で送信する「高信頼」と、無線区間での遅延を1ms以下とする「低遅延」とを同時に満たすことが求められる(例えば、非特許文献2を参照)。パケットが送信されるデータチャネル(例えば、PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)は、下り制御チャネル(例えば、PDCCH:Physical Downlink Control Channel)を用いて通知される制御情報によってスケジューリングされる。よって、URLLCでは、PDCCHにおいても、データチャネルと同等以上の信頼性が求められる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】RP-161596, "Revision of SI: Study on New Radio Access Technology", NTT DOCOMO, September 2016
【文献】3GPP TR38.913 V14.3.0, "Study on Scenarios and Requirements for Next Generation Access Technologies (Release 14)", 2017-06
【文献】R1-1804741, "On NR PDCCH repetitions for URLLC", Intel Corporation, April 2018
【発明の概要】
【0005】
PDCCHの受信性能の向上には、チャネル推定精度の向上又は空間ダイバーシチ効果による性能向上を図るためのプリコーディングも有効である。しかしながら、PDCCHに対するプリコーディングの適用方法については十分に検討がなされていない。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、PDCCHに対してプリコーディングを適切に適用できる基地局、端末及び通信方法の提供に資する。
【0007】
本開示の一実施例に係る基地局は、異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して、同一プリコーディングが使用される期間を示すプリコーディング粒度を設定する制御回路と、前記設定されたプリコーディング粒度に基づいて、前記複数の制御チャネルの信号を端末へ送信する送信回路と、を具備する。
【0008】
本開示の一実施例に係る端末は、異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して設定される、同一プリコーディングが適用される期間を示すプリコーディング粒度を特定する制御回路と、前記特定されたプリコーディング粒度に基づいて、基地局から送信された前記複数の制御チャネルの信号に対する受信処理を行う受信処理回路と、を具備する。
【0009】
本開示の一実施例に係る通信方法は、異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して、同一プリコーディングが使用される期間を示すプリコーディング粒度を設定し、前記設定されたプリコーディング粒度に基づいて、前記複数の制御チャネルの信号を端末へ送信する。
【0010】
本開示の一実施例に係る通信方法は、異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して設定される、同一プリコーディングが適用される期間を示すプリコーディング粒度を特定し、前記特定されたプリコーディング粒度に基づいて、基地局から送信された前記複数の制御チャネルの信号に対する受信処理を行う。
【0011】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0012】
本開示の一実施例によれば、PDCCHに対してプリコーディングを適切に適用できる。
【0013】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る基地局の一部の構成を示すブロック図
図2】実施の形態1に係る端末の一部の構成を示すブロック図
図3】実施の形態1に係る基地局の構成を示すブロック図
図4】実施の形態1に係る端末の構成を示すブロック図
図5】実施の形態1に係る基地局及び端末の動作例を示すシーケンス図
図6A】実施の形態1に係るプリコーディング粒度の設定例を示す図
図6B】実施の形態1に係るプリコーディング粒度の設定例を示す図
図7】実施の形態1に係るプリコーディング粒度の他の設定例を示す図
図8】実施の形態2に係るALとプリコーディング粒度との対応付けの一例を示す図
図9】REG bundleサイズとREG bundle数との関係の一例を示す図
図10】実施の形態2に係るREG bundleサイズとプリコーディング粒度との対応付けの一例を示す図
図11】CORESETのシンボル数とREG bundle数との関係の一例を示す図
図12】実施の形態2に係るCORESETのシンボル数とプリコーディング粒度との対応付けの一例を示す図
図13】実施の形態2に係る周波数領域のプリコーディング粒度と時間領域のプリコーディング粒度との対応付けの一例を示す図
図14】実施の形態2に係る周波数領域のプリコーディング粒度と時間領域のプリコーディング粒度との対応付けの他の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[PDCCH repetitionの方式]
NRでは、PDCCHの信頼性を高める方法として、プリコーディングの他にも、例えば、同じPDCCHを繰り返し送信することにより受信性能を高める「PDCCH repetition」が検討されている(例えば、非特許文献3を参照)。
【0017】
NRにおけるPDCCH repetitionでは、周波数領域のrepetitionと、時間領域のrepetitionとが想定される。
【0018】
周波数領域のrepetitionは、異なる周波数リソースを用いて同じPDCCHを繰り返し送信する方式である。周波数領域のrepetitionでは、周波数ダイバーシチ効果を得られる利点がある。さらに、周波数領域のrepetitionでは、繰り返し送信されるPDCCHが同時に送信されることから、遅延が増大しないという利点がある。一方で、周波数領域のrepetitionでは、受信性能を上げるために低い符号化率でPDCCHを送信するためには、多くの周波数リソースが必要となる。
【0019】
時間領域のrepetitionは、異なる時間リソースを用いて同じPDCCHを繰り返し送信する方式である。時間領域のrepetitionでは、遅延は増加するものの、時間ダイバーシチ効果を得られる利点がある。
【0020】
時間領域のrepetitionは、周波数領域のrepetitionと比較して、広い帯域幅を必要としないことから、広い帯域幅を確保できないケースなどで有効である。
【0021】
また、NRでは、LTEと比較して広いサブキャリア間隔(SCS:Subcarrier spacing)がサポートされる。帯域幅が同じ場合、サブキャリア間隔が広い方が、サブキャリア数が少なくなるため、周波数リソースを確保しにくい。一方で、サブキャリア間隔が広い方が、シンボル(例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル)長は短くなるため、送信の遅延は減少する。
【0022】
したがって、NRでは、周波数領域のrepetitionよりも、時間領域のrepetitionが有効と考えられる。以下の説明では、特に断りがない場合、「PDCCH repetition」は時間領域のrepetitionを指す。
【0023】
[PDCCHのプリコーディング粒度]
プリコーディング粒度(precoding granularity又はprecoder granularity)は、PDCCHに対して同じプリコーディングが適用(使用)される領域(例えば、時間領域又は周波数領域)を示す。プリコーディング粒度には、周波数領域のプリコーディング粒度、及び、時間領域のプリコーディング粒度がある。
【0024】
repetitionされないPDCCH(例えば、通常のPDCCHと呼ぶ)に対するプリコーディング粒度は、例えば、以下のように定義される。
【0025】
<周波数領域のプリコーディング粒度>
周波数領域のプリコーディング粒度には、以下の2種類の単位の粒度のうち何れかが適用される。
【0026】
(1)REG(Resource Element Group) bundle単位
REG bundle内の信号に対して同一プリコーディングが適用(使用)される。なお、REG bundle単位のプリコーディング粒度について、RS(reference signal)タイプとして「Narrowband RS」と呼ばれたり、パラメータとして「Same as REG bundle」と表されたりすることもある。
【0027】
なお、1REGは、例えば、時間領域における1OFDMシンボル及び周波数領域における1PRB(Physical Resource Block)の無線リソースと定義される。REG bundleは、複数のREGを束ねた無線リソースと定義される。例えば、NRでは、REG bundleサイズ(換言するとREG bundleを構成するREG数)は、2,3,6の何れかである。REG bundleサイズは、例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング等の上位レイヤシグナリング(又は、上位レイヤパラメータと呼ぶ)によって端末に設定される。
【0028】
(2)連続したPRB単位
CORESET(Control resource Set)内の連続したPRB内の信号に対して同一プリコーディングが適用(使用)される。なお、連続したPRB単位のプリコーディング粒度について、RSタイプとして「Wideband RS」と呼ばれたり、パラメータとして「All contiguous RBs」と表されたりすることもある。
【0029】
なお、CORESETは、PDCCHを送信するための無線リソースであり、例えば、時間領域の1~3シンボル、及び、周波数領域の6PRB以上の複数のPRBの無線リソースと定義される。CORESETにおける周波数領域のPRBは、連続してもよく、非連続でもよい。
【0030】
連続したPRB単位のプリコーディング粒度を適用する場合、CORESETは最大で4分割される。CORESETの時間領域の大きさ(例えば、シンボル数)、及び、周波数領域において使用するPRBの位置は、例えば、RRCシグナリング等の上位レイヤシグナリング(上位レイヤパラメータ)によって端末に設定される。
【0031】
<時間領域のプリコーディング粒度>
時間領域では、CORESET内の信号に対して同一プリコーディングが適用される。よって、時間領域のプリコーディング粒度は、CORESETの時間リソースである1~3シンボルの何れかである。
【0032】
以上、PDCCHのプリコーディング粒度について説明した。
【0033】
例えば、時間領域のPDCCH repetitionでは、時間領域においてPDCCHが繰り返し送信されるので、時間領域のプリコーディング粒度を適切に設定する必要がある。以下の説明では、特に断りが無い場合、「プリコーディング粒度」は時間領域のプリコーディング粒度を指す。
【0034】
[LTEとNRとの差異]
例えば、LTEと5G(NR)とには以下のような差異(1)~(3)がある。
【0035】
(1)DM-RS配置及び密度
LTEでは、EPDCCH(Enhanced Physical Downlink Control Channel)、MPDCCH(MTC Physical Downlink Control Channel)、又は、RPDCCH(Relay Physical Downlink Control Channel)において、復調用参照信号であるDM-RS(Demodulation Reference Signal)が用いられている。
【0036】
LTEでは、全シンボルにDM-RSは存在せず、制御チャネルとデータチャネルとの間において、DM-RSの位置及び密度は同じである。一方、NRでは、全シンボルにDM-RSが存在し、制御チャネルとデータチャネルとの間においてDM-RSの位置又は密度は異なる。
【0037】
(2)PDCCHの時間領域のプリコーディング粒度
LTEのプリコーディング粒度は1PRB(例えば、7シンボル、0.5ms)である。一方、NRのプリコーディング粒度は1~3シンボルである。なお、NRにおいて、時間は、サブキャリア間隔により異なる。例えば、サブキャリア間隔=15 kHzでは、1~3シンボルは、およそ71~214μsに相当する。
【0038】
(3)PDCCH repetitionにおける時間領域のプリコーディング粒度
LTEでは、MPDCCHにおいてPDCCH repetitionがサポートされている。LTEでは、制御チャネル(PDCCH)及びデータチャネル(PDSCH)のDM-RSの密度及び配置が同一であることから、MPDCCHのPDCCH repetitionにおけるプリコーディング粒度は、PDSCHの周波数ホッピングの周期と一致している。なお、周波数ホッピングは、例えば、MTC(Machine Type Communications)向けに一定区間毎に送信する周波数リソースをホッピングさせることにより、周波数ダイバーシチ効果を得る機能である。
【0039】
これに対して、NRでは、PDCCH repetitionにおける時間領域のプリコーディング粒度は十分に議論されていない。また、NRでは、周波数ホッピングがサポートされておらず、かつ、制御チャネル及びデータチャネルのDM-RSの密度又は配置が異なる。これらより、NRにおいて、LTEと同様のプリコーディング粒度の決定方法は適用できない。よって、NRの制御チャネルに対するプリコーディング粒度の設定を検討する必要がある。
【0040】
[時間領域のプリコーディング粒度と受信性能との関係]
時間領域のプリコーディング粒度を変更することにより、受信性能に関して、以下のトレードオフの関係が存在する。
【0041】
<プリコーディング粒度を粗くした場合>
プリコーディング粒度を粗くした場合、つまり、同一プリコーディングが使用される時間領域(例えば、シンボル数又は時間)が大きい場合、repetitionされるPDCCH間において同一のプリコーディングが適用されやすくなる。これにより、受信側においてチャネル推定に使用できるDM-RS数が増加するため、IQ合成(IQ combining)等によりチャネル推定精度を上げて受信性能を向上できる。
【0042】
一方で、チャネルの時間変動が激しい場合又はPDCCHのシンボルが離れている場合等には、プリコーディング粒度を粗くした場合に受信側においてIQ合成すると受信性能が劣化する場合がある。
【0043】
<プリコーディング粒度を細かくした場合>
プリコーディング粒度を細かくした場合、つまり、同一プリコーディングが使用される時間領域(例えば、シンボル数又は時間)が小さい場合、repetitionされるPDCCH間において異なるプリコーディングが適用されやすくなる。これにより、空間ダイバーシチ効果により受信性能を向上できる。
【0044】
ただし、1回のPDCCH送信において十分に空間ダイバーシチ効果が得られている場合(例えば、PDCCH送信に使用されるプリコーディングの数が十分に多い場合等)には、プリコーディング粒度を細かくしても、空間ダイバーシチ効果による受信性能の改善効果は小さい。この場合には、プリコーディング粒度によって、空間ダイバーシチ効果を得るよりも、チャネル推定精度を向上した方が受信性能を向上できる可能性がある。
【0045】
このように、PDCCHのプリコーディング粒度の違いによって、チャネル推定精度と、空間ダイバーシチ効果とにはトレードオフの関係がある。よって、端末の受信環境によって、PDCCHのプリコーディング粒度に対する適切な設定は異なる。
【0046】
以下では、NRの制御チャネル用のプリコーディング粒度の設定方法について説明する。
【0047】
(実施の形態1)
[通信システムの概要]
本開示の各実施の形態に係る通信システムは、基地局100(例えば、gNB)及び端末200(例えば、UE)を備える。
【0048】
図1は本開示の一実施例に係る基地局100の一部の構成を示すブロック図である。図1に示す基地局100において、プリコーディング制御部105は、異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネル(例えば、PDCCH)に対して、同一プリコーディングが使用される期間を示すプリコーディング粒度を設定する。送信部108は、設定されたプリコーディング粒度に基づいて、複数の制御チャネルの信号を端末200へ送信する。
【0049】
図2は本開示の一実施例に係る端末200の一部の構成を示すブロック図である。図2に示す端末200において、プリコーディング制御部206は、異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネル(例えば、PDCCH)に対して設定される、同一プリコーディングが適用される時間領域を示すプリコーディング粒度を特定する。受信処理部(例えば、チャネル推定部203及び復調・復号部204に対応)は、特定されたプリコーディング粒度に基づいて、基地局100から送信された複数の制御チャネルの信号に対する受信処理を行う。
【0050】
[基地局の構成]
図3は、本実施の形態に係る基地局100の構成を示すブロック図である。図3において、基地局100は、スケジューリング部101と、データ生成部102と、制御情報生成部103と、制御情報保持部104と、プリコーディング制御部105と、符号化・変調部106と、プリコーディング部107と、送信部108と、受信部109と、抽出部110と、復調・復号部111と、品質推定部112と、を有する。
【0051】
スケジューリング部101は、品質推定部112から入力される下りリンクのチャネル状態(又はチャネル品質)に基づいて、端末200宛ての送信データ又は制御情報の送信のためのスケジューリング(例えば、周波数リソース及び送信タイミングの決定等)を行う。スケジューリング部101は、スケジューリング結果(例えば、リソース割当結果、又は、repetition情報等)を示すスケジューリング情報を制御情報生成部103に出力する。また、スケジューリング部101は、データ生成部102に対してデータ生成を指示する。
【0052】
データ生成部102は、スケジューリング部101からの指示に基づいて送信データを生成し、生成した送信データを符号化・変調部106に出力する。
【0053】
制御情報生成部103は、スケジューリング部101から入力されるスケジューリング情報に基づいて、制御チャネル(例えば、PDCCH)に対するプリコーディング粒度を設定するための制御情報を生成し、生成した制御情報を制御情報保持部104及び符号化・変調部106に出力する。なお、制御情報は、DCI(Downlink Control Information)、MAC(Medium Access Control)又はRRC(Radio Resource Control)によるシグナリングの何れか1つ又はこれらの組み合わせを用いて基地局100から端末200へ通知されてもよい。
【0054】
なお、送信データ(下りデータ)及び制御情報(下り制御情報)には、repetitionが適用されてもよい。下りリンクのデータのrepetition及び下りリンクの制御情報のrepetitionはそれぞれ個別に制御される。
【0055】
制御情報保持部104は、制御情報生成部103から入力される制御情報を保持し、保持した制御情報を必要に応じてプリコーディング制御部105に出力する。
【0056】
プリコーディング制御部105は、制御情報保持部104から入力される制御情報に基づいて、制御チャネル(例えば、PDCCH)に対するプリコーディング粒度を設定する。プリコーディング制御部105は、設定したプリコーディング粒度を示す粒度情報を符号化・変調部106及びプリコーディング部107に出力する。なお、プリコーディング制御部105は、データチャネル及び制御チャネルに対して、プリコーディング粒度をそれぞれ個別に設定する。
【0057】
符号化・変調部106は、データ生成部102から入力される送信データ、又は、制御情報生成部103から入力される制御情報を符号化し、符号化後の信号を変調し、変調後の信号(シンボル系列)をプリコーディング部107に出力する。また、符号化・変調部106は、プリコーディング制御部105から入力される粒度情報を符号化し、符号化後の信号を変調し、変調後の信号をプリコーディング部107に出力する。
【0058】
プリコーディング部107は、プリコーディング制御部105から入力される粒度情報に示されるプリコーディング粒度に基づいて、符号化・変調部106から入力される信号(例えば、データチャネルの信号又は制御チャネルの信号)、又は、復調用参照信号(DM-RS。図示せず)に対してプリコーディングを適用する。プリコーディング部107は、プリコーディング適用後の信号を送信部108に出力する。
【0059】
送信部108は、プリコーディング部107から入力される信号、又は、入力される参照信号(例えば、チャネル状態推定用参照信号(CSI-RS:Channel State Information Reference Signal)。図示せず)に対してD/A変換、アップコンバート又は増幅等の送信処理を施し、送信処理により得られた無線信号をアンテナから端末200へ送信する。
【0060】
受信部109は、端末200から送信された信号をアンテナを介して受信し、受信信号に対してダウンコンバート又はA/D変換等の受信処理を施し、受信処理後の受信信号を抽出部110へ出力する。
【0061】
抽出部110は、受信部109から入力される受信信号から、データ又は制御情報を抽出し、抽出した信号を復調・復号部111に出力する。また、抽出部110は、受信信号から参照信号(例えば、SRS:Sounding Reference Signal)を抽出し、抽出したSRSを品質推定部112に出力する。
【0062】
復調・復号部111は、抽出部110から入力される制御情報に対して復調及び復号を行い、復号後の制御情報に含まれるフィードバック情報を品質推定部112に出力する。また、復調・復号部111は、抽出部110から入力されるデータに対して復調及び復号を行い、復号後のデータを他の構成部(図示せず)に出力する。
【0063】
品質推定部112は、抽出部110から入力されるSRS、及び、復調・復号部111から入力されるフィードバック情報に基づいて、下りリンクのチャネル状態(例えば、受信品質又は端末200の移動速度等)を推定し、推定したチャネル状態を示す情報をスケジューリング部101に出力する。
【0064】
[端末の構成]
図4は、本実施の形態に係る端末200の構成を示すブロック図である。図4において、端末200は、受信部201と、抽出部202と、チャネル推定部203と、復調・復号部204と、制御情報保持部205と、プリコーディング制御部206と、データ生成部207と、参照信号生成部208と、フィードバック情報生成部209と、符号化・変調部210と、送信部211と、を有する。
【0065】
受信部201は、アンテナを介して受信した受信信号に対してダウンコンバート又はA/D変換等の受信処理を施し、受信信号を抽出部202へ出力する。
【0066】
抽出部202は、受信部201から入力される受信信号から、データ、制御情報、又は、参照信号(例えば、DM-RS又はCSI-RS)を抽出する。抽出部202は、抽出したデータ又は制御情報をチャネル推定部203及び復調・復号部204に出力し、抽出した参照信号をチャネル推定部203に出力する。
【0067】
チャネル推定部203は、抽出部202から入力されるデータ又は制御情報、参照信号、及び、プリコーディング制御部206から入力される粒度情報に基づいてチャネル推定を行い、推定したチャネル情報を復調・復号部204及びフィードバック情報生成部209に出力する。例えば、チャネル推定部203は、粒度情報に示されるプリコーディング粒度に従って、同一プリコーディングが適用される期間内では、シンボル間におけるIQ合成等を行い、IQ合成後の信号に対してチャネル推定を行う。これにより、チャネル推定回数を削減できる。なお、チャネル推定部203は、データ及び制御情報に対してそれぞれ個別にチャネル推定を行う。
【0068】
復調・復号部204は、チャネル推定部203から入力されるチャネル情報、及び、プリコーディング制御部206から入力される粒度情報を用いて、抽出部202から入力されるデータ又は制御情報を復調及び復号する。例えば、復調・復号部204は、粒度情報に示されるプリコーディング粒度に従って、同一プリコーディングが適用される期間内では、PDCCHの軟判定値の合成等を行い、合成後のPDCCHの信号に対して復号を行う。これにより、PDCCHの復号回数を削減できる。復調・復号部204は、復号後のデータを他の構成部(図示せず)に出力する。また、復調・復号部204は、復号後の制御情報(例えば、プリコーディング粒度を特定するための制御情報、粒度情報、又は、スケジューリング情報等)を制御情報保持部205に出力する。
【0069】
制御情報保持部205は、復調・復号部204から入力される制御情報を保持し、保持した制御情報を、必要に応じて、プリコーディング制御部206、データ生成部207、参照信号生成部208又はフィードバック情報生成部209に出力する。制御情報保持部205において保持される制御情報には、例えば、準静的な制御情報又は動的な制御情報が含まれる。
【0070】
プリコーディング制御部206は、制御情報保持部205から入力される制御情報に基づいて、データチャネル(例えば、PDSCH)又は制御チャネル(例えば、PDCCH)に対して設定されているプリコーディング粒度を特定(推測)する。プリコーディング制御部206は、特定したプリコーディング粒度を示す粒度情報をチャネル推定部203及び復調・復号部204に出力する。
【0071】
データ生成部207は、制御情報保持部205から入力される制御情報に基づいて、送信データを生成し、生成した送信データを符号化・変調部210に出力する。なお、上りリンクでは、例えば、データのrepetitionが定義されているが、上りリンクのデータに対するrepetitionは、下りリンクのデータのrepetition、及び、下りリンクの制御情報のrepetitionとは別に制御されてもよい。
【0072】
参照信号生成部208は、制御情報保持部205から入力される制御情報に基づいて、参照信号(例えば、SRS)を生成し、参照信号を符号化・変調部210へ出力する。
【0073】
フィードバック情報生成部209は、チャネル推定部203から入力されるチャネル情報、及び、制御情報保持部205から入力される制御情報に基づいて、下りリンクのチャネル情報等を含むフィードバック情報を生成し、符号化・変調部210に出力する。
【0074】
符号化・変調部210は、入力信号に応じた符号化及び変調処理を行う。例えば、符号化・変調部210は、データ生成部207から入力されるデータに対して、データ向けの符号化及び変調を行う。また、符号化・変調部210は、フィードバック情報生成部209から入力されるフィードバック情報に対して、制御情報向けの符号化及び変調を行う。また、符号化・変調部210は、参照信号生成部208から入力される参照信号に対して、時間領域の信号に変換する。符号化・変調部210は、生成した送信信号を送信部211へ出力する。
【0075】
送信部211は、符号化・変調部210から入力される信号に対してD/A変換、アップコンバート又は増幅等の送信処理を施し、送信処理により得られた無線信号をアンテナから端末へ送信する。
【0076】
[基地局100及び端末200の動作]
以上の構成を有する基地局100及び端末200における動作について詳細に説明する。
【0077】
図5は基地局100及び端末200の動作を示すシーケンス図である。
【0078】
基地局100は、例えば、端末200の受信環境(例えば、チャネル状況又は移動速度等)に基づいて、端末200向けのPDCCHに対するプリコーディング粒度を設定する(ST101)。基地局100は、ST101において設定したプリコーディング粒度を示す粒度情報を含む制御情報を端末200へ通知する(ST102)。粒度情報の通知には、例えば、RRC、MAC又はDCIによるシグナリングが使用されてもよい。
【0079】
端末200は、基地局100から通知された制御情報に基づいて、PDCCHに対して設定されたプリコーディング粒度を特定する(ST103)。
【0080】
基地局100は、ST101において設定したプリコーディング粒度に基づいて、PDCCH(例えば、repetitionされた複数のPDCCH)を端末200へ送信する(ST104)。端末200は、ST103において特定したプリコーディング粒度に基づいて、基地局100から送信されるPDCCHを受信(例えば、チャネル推定及び復調・復号)する(ST105)。
【0081】
次に、基地局100(例えば、プリコーディング制御部105)及び端末200(例えば、プリコーディング制御部206)におけるプリコーディング粒度の決定方法の詳細について説明する。
【0082】
本実施の形態では、基地局100は、PDCCHのプリコーディング粒度を設定し、設定したプリコーディング粒度を示す粒度情報を、例えば、DCI、MAC又はRRCの何れかのシグナリング情報として含めて、端末200へ明示的に通知する。端末200は、基地局100から明示的に通知される粒度情報に基づいて、PDCCHのプリコーディング粒度を特定する。
【0083】
基地局100は、例えば、プリコーディング粒度を、端末200毎又はCORESET毎に設定する。プリコーディング粒度は、端末200間又はCORESET間において異なってもよく、同一でもよい。
【0084】
また、プリコーディング粒度(換言すると、同一プリコーディングが使用される期間)は、例えば、シンボル数として表されてもよく、時間(絶対時間。例えば、ms等)として表されてもよい。
【0085】
また、基地局100及び端末200は、所定のスロット又はシンボルを起点として、プリコーディング粒度に設定される期間(例えば、シンボル数又は時間)に含まれるPDCCHに対して、同一プリコーディングを適用する。なお、プリコーディング粒度に設定される期間の起点となる所定のスロット又はシンボルは、例えば、以下の例1又は例2に従って決定されてもよい。
【0086】
<例1>
起点となる所定のスロット又はシンボルは、特定の期間内において、端末200が最初にPDCCHをモニタリングするスロット又はシンボル(例えば、monitoring occasionと呼ぶこともある)である。なお、端末200がモニタリングするスロット・シンボルは、例えば、基地局100によって設定されてもよい。
【0087】
<例2>
起点となる所定のスロット又はシンボルは、固定のスロット又はシンボルである。固定のスロット又はシンボルには、例えば、SFN(System Frame Number)0、スロット番号0、又は、シンボル番号0等でもよい。
【0088】
以上、プリコーディング粒度に設定される期間の起点となる所定のスロット又はシンボルの例について説明した。
【0089】
次に、図6A及び図6Bは、PDCCHのプリコーディング粒度の設定例を示す。
【0090】
図6A及び図6Bでは、一例として、CORESETのシンボル数を2シンボルとし、PDCCHのrepetition数を4とする。換言すると、基地局100は、端末200に対して、合計8シンボルを用いてPDCCHを送信する。
【0091】
また、図6Aはプリコーディング粒度が4シンボルの場合を示し、図6Bはプリコーディング粒度が2シンボルの場合を示す。すなわち、図6A図6Bとを比較した場合、図6Aの方がプリコーディング粒度は粗く、図6Bの方がプリコーディング粒度は細かい。
【0092】
具体的には、図6A(プリコーディング粒度:4シンボル)では、PDCCHが送信される8シンボル(図6Aではシンボル#0~#7)のうち、前半4シンボル(シンボル#0~#3)と、後半4シンボル(シンボル#4~#7)とで異なるプリコーディングが適用される。換言すると、図6Aでは、PDCCHが送信される8シンボルのうち、前半4シンボルにおいて同一プリコーディングが適用され、後半4シンボルにおいて同一プリコーディングが適用される。
【0093】
一方、図6B(プリコーディング粒度:2シンボル)では、PDCCHが送信される8シンボル(図6Bではシンボル#0~#7)において、2シンボル毎に異なるプリコーディングが適用される。換言すると、図6Bでは、PDCCHが送信される8シンボル内の各2シンボルにおいて同一プリコーディングが適用される。
【0094】
上述したように、プリコーディング粒度に応じてチャネル推定精度の改善効果、又は、空間ダイバーシチ効果を得ることができる。基地局100は、例えば、端末200の受信環境に応じて、チャネル推定精度の改善効果、及び、空間ダイバーシチ効果の何れを優先するかを判断してプリコーディング粒度を設定する。
【0095】
基地局100は、例えば、静的又は動的な制御情報、又は、基地局100において推定した情報(例えば、基地局100と端末200との間のチャネル情報又は端末200の移動速度等)に基づいて、PDCCHのプリコーディング粒度を決定する。
【0096】
例えば、端末200に割り当てられた無線リソースにおいて、1回のPDCCH送信に使用されるプリコーディングの数が十分に多い場合(換言すると、十分に空間ダイバーシチ効果が得られている場合)、プリコーディングにより得られる空間ダイバーシチ効果による受信性能の改善効果は小さい。そこで、基地局100は、空間ダイバーシチ効果よりも、チャネル推定精度の改善効果を優先するために、当該端末200に対して、図6Aに示すように粗いプリコーディング粒度を設定する。これにより、端末200では、チャネル推定精度の向上によって、受信性能を向上できる。
【0097】
一方、例えば、移動速度の速い端末200では、チャネルの時間変動が激しくなり、repetitionされるPDCCH間において同一プリコーディングを適用しても、IQ合成によって受信性能が劣化する場合がある。そこで、基地局100は、チャネル推定精度の向上よりも空間ダイバーシチ効果を優先するために、移動速度の速い端末200に対して、図6Bに示すように細かいプリコーディング粒度を設定する。これにより、端末200では、repetitionされるPDCCH間において異なるプリコーディングが適用されやすくなり、空間ダイバーシチ効果によって受信性能を向上できる。
【0098】
以上、本実施の形態に係るプリコーディング粒度の決定方法について説明した。
【0099】
このようにして、本実施の形態では、基地局100は、異なる時間リソース(例えば、シンボル)にそれぞれ配置された複数のPDCCH(例えば、repetitionされるPDCCH)に対して、プリコーディング粒度を設定し、設定したプリコーディング粒度に基づいてPDCCHを端末200へ送信する。一方、端末200は、基地局100によって設定されたPDCCHのプリコーディング粒度を特定し、特定したプリコーディング粒度に基づいて、基地局100から送信されるPDCCHを受信する。
【0100】
例えば、基地局100は、端末200の受信環境に応じて、チャネル推定精度及び空間ダイバーシチ効果の何れを優先するかを判断し、PDCCHのプリコーディング粒度を決定する。これにより、PDCCHのプリコーディングによってPDCCHの受信性能を向上できる。
【0101】
よって、本実施の形態によれば、PDCCHに対してプリコーディングを適切に適用できる。
【0102】
なお、本実施の形態において、PDCCHに設定されるプリコーディング粒度の候補値は、図6A及び図6Bに示す2種類の粒度(例えば、4シンボル及び2シンボル)の何れかである場合に限定されず、3種類以上の候補値のうちの何れかが設定されてもよい。
【0103】
また、本実施の形態において、端末200に対して1度に設定されるプリコーディング粒度は、図6A又は図6Bに示すように1種類に限らず、複数のプリコーディング粒度の組み合わせが端末200に設定されてもよい。例えば、図7は、端末200向けのPDCCHに対して2つのプリコーディング粒度が設定される例を示す。なお、端末200向けのPDCCHに対して設定されるプリコーディング粒度の個数は2個に限定されず、3個以上でもよい。図7では、2種類のプリコーディング粒度(8シンボル、及び、6シンボル)の組み合わせが端末200に設定されている。これにより、例えば、図7に示すように、プリコーディングの境界と、スロット境界とを合わせることができ、より柔軟な設定が可能となる。
【0104】
また、複数の端末200において、同一のプリコーディング粒度が共有されてもよい。この場合、例えば、端末200間においてプリコーディング粒度の起点とするスロット又はシンボルの認識を合わせてもよい。これにより、同一プリコーディングが適用されるシンボルを端末200間で合わせることができる。これにより、端末200は、他の端末宛に送信されたDM-RSを、チャネル推定に利用できるため、チャネル推定精度を向上できる。
【0105】
また、プリコーディング粒度には、CORESETのシンボル数よりも細かい粒度が設定されてもよい。すなわち、CORESET内のシンボル間において異なるプリコーディングが適用されてもよい。例えば、チャネルの時間変動が激しく、CORESET内のシンボル間において同一プリコーディングを適用するよりも、空間ダイバーシチ効果を優先した方が良いケース等では、基地局100は、CORESETのシンボル数よりも細かいプリコーディング粒度を決定することにより、端末200では、CORESET内のシンボルにおいてPDCCHの受信性能を向上できる。
【0106】
また、プリコーディング粒度は、PDCCH repetitionの期間と同一になるように設定されてもよい。この場合、端末200は、repetitionして送信された複数のPDCCHに対してそれぞれ1回ずつチャネル推定を行うのではなく、repetitionして送信された複数のPDCCHに対して、IQ合成等により合成された信号に対してチャネル推定を1回で行うことが可能である。同様に、端末200は、復号処理において、軟判定値の合成等により、複数のPDCCHを1回で復号することが可能である。これにより、チャネル推定回数又は復号回数を削減できる。
【0107】
また、基地局100は、PDSCHに対して、PDCCHとは別のrepetition回数、repetitionパターン、又は、プリコーディング粒度を設定してもよい。PDSCHとPDCCHとは、符号化率、ターゲットBLER(Block Error Rate)、使用する周波数又は時間リソースが異なり得る。このため、repetition回数及びrepetitionパターンもPDSCHとPDCCHとで個別に設定されることにより、各チャネルの要求性能を満たしつつ、無線リソースの消費を抑えたrepetitionが実現できる。また、PDSCHとPDCCHとは、DM-RSの密度が異なり、チャネル推定精度を向上するために必要なプリコーディング粒度が異なる。このため、プリコーディング粒度がPDSCHとPDCCHとで個別に設定されることにより、チャネル推定精度を向上しつつ、空間ダイバーシチ効果を得るプリコーディングが実現できる。
【0108】
(実施の形態2)
実施の形態1では、PDCCHのプリコーディング粒度を示す粒度情報を基地局100から端末200へ明示的に通知する場合について説明した。これに対して、本実施の形態では、PDCCHのプリコーディング粒度を示す粒度情報を基地局100から端末200へ暗黙的に通知する場合について説明する。
【0109】
なお、本実施の形態に係る基地局及び端末の構成は、実施の形態1に係る基地局100及び端末200と基本構成が共通するので、図3及び図4を援用して説明する。
【0110】
本実施の形態において、基地局100(例えば、プリコーディング制御部105)及び端末200(例えば、プリコーディング制御部206)は、PDCCHのプリコーディング粒度と、端末200に設定(換言すると通知)される、プリコーディング粒度以外の他のパラメータ(設定情報又は制御情報)とが一意に対応付けられた所定のルールを共有する。
【0111】
基地局100は、例えば、端末200に対して設定したプリコーディング粒度に対応付けられたパラメータを含む制御情報を端末200へ通知する。端末200は、基地局100から通知された制御情報に含まれるパラメータに対応付けられたプリコーディング粒度を特定する。換言すると、基地局100から端末200への制御情報の通知によって、プリコーディング粒度は、端末200へ暗黙的に通知される。本実施の形態では、基地局100は、PDCCHのプリコーディング粒度を示す粒度情報を端末200へ明示的に通知しない。
【0112】
よって、本実施の形態によれば、プリコーディング粒度を示す情報の明示的な通知が不要となるので、基地局100から端末200へ制御情報を通知するためのシグナリング量を削減できる。
【0113】
以下、PDCCHのプリコーディング粒度とパラメータとの対応付けのルールの設定例について説明する。
【0114】
[設定例1-1]
設定例1-1では、PDCCHのAL(Aggregation Level)とプリコーディング粒度とを一意に対応付ける。
【0115】
NRでは、基地局100は、ALを用いて端末200に対する無線リソース量を制御することにより、PDCCHの符号化率を調整する。例えば、Release 15では、AL = 1, 2, 4, 8, 16 CCE(Control Channel Element)を選択可能である。なお、1CCEは6REGと定義される。
【0116】
ALが高い場合、多くの無線リソースが必要となり、基地局100は、多くのREG bundleを用いてPDCCHを送信する。
【0117】
ここで、周波数領域のプリコーディング粒度がREG bundle単位の場合、異なるREG bundleにおいて異なるプリコーディングが適用できる。このことから、REG bundle数が多い場合、周波数領域において異なるプリコーディングが適用され、空間ダイバーシチ効果が高くなる。
【0118】
よって、十分に多くのREG bundleが存在し、周波数領域のプリコーディングによって空間ダイバーシチ効果を十分に得られる場合には、時間領域では、異なるプリコーディングによって空間ダイバーシチ効果を得るよりも、同一プリコーディングによるチャネル推定精度の向上を図る方が受信性能を高めることができる。
【0119】
そこで、設定例1-1では、ALが高い場合には、プリコーディング粒度は粗く設定され、ALが低い場合には、プリコーディング粒度は細かく設定される。
【0120】
例えば、図8に示すように、端末200は、ALが8 CCE未満の場合、PDCCHのプリコーディング粒度を7シンボルに設定し、ALが8 CCE以上の場合、PDCCHのプリコーディング粒度を14シンボルに設定する。
【0121】
このように、設定例1-1では、ALが高い場合に、時間領域において粗いプリコーディング粒度が設定される。これにより、例えば、周波数領域において、空間ダイバーシチ効果が十分に得られる場合には、repetitionされるPDCCH間において同一プリコーディングが適用されやすくなり、プリコーディングによってチャネル推定精度を優先的に向上でき、PDCCHの受信性能を向上できる。
【0122】
一方、設定例1-1では、ALが低い場合に、時間領域において細かいプリコーディング粒度が設定される。これにより、例えば、周波数領域において十分な空間ダイバーシチ効果が得られない場合でも、repetitionされるPDCCH間において異なるプリコーディングが適用されやすくなり、空間ダイバーシチ効果が得られるので、PDCCHの受信性能を向上できる。
【0123】
[設定例1-2]
設定例1-2では、CORESETにおけるREG bundleサイズとプリコーディング粒度とを一意に対応付ける。
【0124】
CORESET内のREG数が同じ場合、REG bundleサイズが小さい方がREG bundle数は多くなる。例えば、図9は、REG bundleサイズによるREG bundle数の違いの一例を示す図である。図9では、CORESETは、周波数領域に6 PRB、かつ、時間領域に2シンボルで構成される。よって、CORESET内のREG数は12REGである。図9に示すように、REG bundleサイズが2の場合(図9の左側)にはREG bundle数は6個であり、REG bundleサイズが6の場合(図9の右側)にはREG bundle数は2個である。
【0125】
ここで、設定例1-1において説明したように、REG bundle数が多いほど、周波数領域において異なるプリコーディングが適用されることによる空間ダイバーシチ効果が高くなる。
【0126】
そこで、設定例1-2では、REG bundleサイズが小さい場合には、プリコーディング粒度は粗く設定され、REG bundleサイズが大きい場合には、プリコーディング粒度は細かく設定される。
【0127】
例えば、図10に示すように、端末200は、REG bundleサイズが2又は3REGの場合、PDCCHのプリコーディング粒度を14シンボルに設定し、REG bundleサイズが6REGの場合、PDCCHのプリコーディング粒度を7シンボルに設定する。
【0128】
このように、設定例1-2では、REG bundleサイズが小さい場合に、時間領域において粗いプリコーディング粒度が設定される。これにより、例えば、周波数領域において、空間ダイバーシチ効果が十分に得られる場合には、repetitionされるPDCCH間において同一プリコーディングが適用されやすくなり、プリコーディングによってチャネル推定精度を優先的に向上でき、PDCCHの受信性能を向上できる。
【0129】
一方、設定例1-2では、REG bundleサイズが大きい場合に、時間領域において細かいプリコーディング粒度が設定される。これにより、例えば、周波数領域において十分な空間ダイバーシチ効果が得られない場合でも、repetitionされるPDCCH間において異なるプリコーディングが適用されやすくなり、空間ダイバーシチ効果が得られるので、PDCCHの受信性能を向上できる。
【0130】
[設定例1-3]
設定例1-3では、CORESET内のシンボル数とプリコーディング粒度とを一意に対応付ける。
【0131】
CORESETにおけるREG bundleサイズが同じ場合、CORESETのシンボル数が多い方がREG bundle数が多くなる。例えば、図11は、CORESETのシンボル数によるREG bundle数の違いの一例を示す図である。図11では、CORESETは、周波数領域に6 PRB、かつ、時間領域に1シンボル又は2シンボルで構成される。また、REG bundleサイズは2シンボルである。図11に示すように、CORESETのシンボル数が1シンボルの場合(図11の左側)にはREG bundle数は3個であり、CORESETのシンボル数が2シンボルの場合(図11の右側)にはREG bundle数は6個である。
【0132】
ここで、設定例1-1において説明したように、REG bundle数が多いほど、周波数領域において異なるプリコーディングが適用されることによる空間ダイバーシチ効果が高くなる。
【0133】
そこで、設定例1-3では、CORESETのシンボル数が少ない場合には、プリコーディング粒度は細かく設定され、CORESETのシンボル数が多い場合には、プリコーディング粒度は粗く設定される。
【0134】
例えば、図12に示すように、端末200は、CORESETのシンボル数が1シンボルの場合、PDCCHのプリコーディング粒度を4シンボルに設定し、CORESETのシンボル数が2シンボルの場合、PDCCHのプリコーディング粒度を7シンボルに設定し、CORESETのシンボル数が3シンボルの場合、PDCCHのプリコーディング粒度を14シンボルに設定する。
【0135】
このように、設定例1-3では、CORESETのシンボル数が多い場合に、時間領域において粗いプリコーディング粒度が設定される。これにより、例えば、周波数領域において、空間ダイバーシチ効果が十分に得られる場合には、repetitionされるPDCCH間において同一プリコーディングが適用されやすくなり、プリコーディングによってチャネル推定精度を優先的に向上でき、PDCCHの受信性能を向上できる。
【0136】
一方、設定例1-3では、CORESETのシンボル数が少ない場合に、時間領域において細かいプリコーディング粒度が設定される。これにより、例えば、周波数領域において十分な空間ダイバーシチ効果が得られない場合でも、repetitionされるPDCCH間において異なるプリコーディングが適用されやすくなり、空間ダイバーシチ効果が得られるので、PDCCHの受信性能を向上できる。
【0137】
[設定例2-1]
設定例2-1では、周波数領域のプリコーディング粒度と時間領域のプリコーディング粒度とを一意に対応付ける。
【0138】
例えば、周波数領域のプリコーディング粒度が上述した「連続したPRB単位」(換言すると、「All contiguous RBs」)の場合、1つのCORESETの分割数の最大値は4である。このため、「連続したPRB単位」の粒度の場合、適用可能なプリコーディングは最大で4通りである。
【0139】
このため、周波数領域のプリコーディング粒度が「連続したPRB単位」の場合、空間ダイバーシチ効果を十分に得ることができない可能性がある。一方、周波数領域のプリコーディング粒度が「連続したPRB単位」の場合、周波数領域において同一プリコーディングが適用されやすくなり、十分なチャネル推定精度が得られる。
【0140】
そこで、設定例2-1では、周波数領域のプリコーディング粒度が「連続したPRB単位」の場合、時間領域において細かいプリコーディング粒度が設定される。これにより、時間領域において異なるプリコーディングが適用されやすくなるので、空間ダイバーシチ効果を得ることができ、PDCCHの受信性能を改善できる。
【0141】
例えば、図13に示すように、端末200は、周波数領域のプリコーディング粒度が「REG bundle単位」(「Same as REG bundle」)の場合、時間領域のプリコーディング粒度を14シンボルに設定し、周波数領域のプリコーディング粒度が「連続したPRB単位」(「All contiguous RBs」)の場合、時間領域のプリコーディング粒度を7シンボルに設定する。
【0142】
このように、設定例2-1では、周波数領域において十分な空間ダイバーシチ効果が得られない場合には、時間領域において細かいプリコーディング粒度が設定される。これにより、例えば、repetitionされるPDCCH間において異なるプリコーディングが適用されやすくなり、空間ダイバーシチ効果が得られるので、PDCCHの受信性能を向上できる。換言すると、設定例2-1では、周波数領域において十分なチャネル推定精度が得られる場合には、時間領域において細かいプリコーディング粒度が設定されることにより、チャネル推定精度の改善効果よりも、空間ダイバーシチ効果を優先して得ることができる。
【0143】
一方、設定例2-1では、周波数領域において異なるプリコーディングが多く適用され、十分に空間ダイバーシチ効果が得られる場合には、時間領域において粗いプリコーディング粒度が設定される。これにより、例えば、repetitionされるPDCCH間において同一プリコーディングが適用されやすくなり、チャネル推定精度を優先的に向上でき、PDCCHの受信性能を向上できる。
【0144】
以上、PDCCHのプリコーディング粒度と、パラメータとの対応付けのルールの設定例について説明した。
【0145】
このように、本実施の形態では、PDCCHのプリコーディング粒度は、基地局100から端末200へ通知される他のパラメータと対応付けられ、当該他のパラメータの通知によって、基地局100から端末200へ暗黙的に通知される。
【0146】
これにより、本実施の形態では、PDCCHのプリコーディング粒度のための明示的な通知が不要になるので、シグナリング量を削減できる。
【0147】
なお、図13では、周波数領域のプリコーディング粒度が「連続したPRB単位」の場合に時間領域のプリコーディング粒度を細かく設定する場合について説明した。しかし、周波数領域のプリコーディング粒度が「連続したPRB単位」の場合であっても、さらにチャネル推定精度を向上させた方が受信性能の向上に効果的である場合には、例えば、図14に示すように、時間領域のプリコーディング粒度を設定してもよい。
【0148】
具体的には、図14に示すように、周波数領域のプリコーディング粒度が「REG bundle単位」の場合、時間領域のプリコーディング粒度は7シンボルに設定され、周波数領域のプリコーディング粒度が「連続したPRB単位」の場合、時間領域のプリコーディング粒度は14シンボルに設定される。このように、周波数領域のプリコーディング粒度が「連続したPRB単位」の場合、時間領域において粗いプリコーディング粒度が設定されることにより、例えば、周波数領域及び時間領域の両方において同じプリコーディングを適用し、チャネル推定精度を向上させて、PDCCHの受信性能を向上することができる。
【0149】
また、本実施の形態において、プリコーディング粒度と他のパラメータ(設定情報又は制御情報)との対応付けのルールは、上述した設定例の任意の組み合わせでもよい。例えば、REG bundleサイズとCORESETのシンボル数との組み合わせと、プリコーディング粒度とが対応付けられてもよい。
【0150】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0151】
なお、上記実施の形態において、時間領域のプリコーディング粒度(例えば、シンボル数又は時間)は、スロット長を超える値(粗さ)でもよい。
【0152】
また、シンボル長はサブキャリア間隔によって異なるため、上記実施の形態において、時間領域のプリコーディング粒度がシンボル数として設定される場合には、サブキャリア間隔に応じて、時間領域のプリコーディング粒度として適用するシンボル数を変えてもよい。
【0153】
また、例えば、実施の形態1において基地局100から端末200へのプリコーディング粒度の明示的な通知が無い場合、又は、実施の形態2においてプリコーディング粒度を決定するためのパラメータ(プリコーディング粒度に対応付けられたパラメータ)の通知が無い場合又は不足している場合、端末200は、予め定義されたプリコーディング粒度(デフォルト値)を適用してもよい。これにより、例えば、初期アクセス時等のように、シグナリングが不足しているケースでも、基地局100と端末200とでプリコーディング粒度について認識を合わせることができる。
【0154】
また、上記実施の形態において、時間領域のプリコーディング粒度は、PDCCHのブラインド復号回数の制限、又は、チャネル推定を行うCCE数の制限に基づいて決定されてもよい。例えば、repetitionしたPDCCHに同一プリコーディングを適用する場合、端末200は、複数のPDCCHにおいてIQ合成等を行う。これにより、端末200は、複数のPDCCHの個別の受信タイミングにおいてチャネル推定を行うのではなく、複数のPDCCHをまとめて1回でチャネル推定を行うので、チャネル推定回数を低減できる。また、端末200は、複数のPDCCHに対する復号処理を1回で行うことにより復号回数を低減できる。そこで、PDCCHのブラインド復号回数、又は、チャネル推定を行うCCE数を低減するために、時間領域のプリコーディング粒度を粗くしてもよい。例えば、基地局100は、PDCCHのブラインド復号回数の制限又はチャネル推定を行うCCE数の制限(制限数)が多い場合には、時間領域のプリコーディング粒度をより粗くすればよい。これにより、ブラインド復号回数又はCCE数の制限によって、PDCCHがマッピングされないケースの発生を低減できる。
【0155】
また、上記実施の形態において、時間領域のプリコーディング粒度の決定方法は、PDCCH repetitionではないPDCCH(例えば、repetitionされないPDCCH)に適用してもよい。例えば、異なる内容のPDCCH又は異なるユーザへのPDCCHであっても、プリコーディング粒度の期間内に複数のPDCCHが存在する場合には、基地局100は、これらのPDCCHに対して同一プレコーディングを適用する。これにより、端末200は、異なる内容のPDCCH又は異なるユーザへのPDCCHを用いて、チャネル推定に使用できるDM-RS数を増加し、チャネル推定精度を向上できる。
【0156】
また、上記実施の形態において、図6A図6B図7図8図10図12図13及び図14に示すプリコーディング粒度は一例であり、これらの値に限定されない。
【0157】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0158】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0159】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0160】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0161】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0162】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0163】
本開示の一実施例における基地局は、異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して、同一プリコーディングが使用される期間を示すプリコーディング粒度を設定する制御回路と、前記設定されたプリコーディング粒度に基づいて、前記複数の制御チャネルの信号を端末へ送信する送信回路と、を具備する。
【0164】
本開示の一実施例における基地局において、前記プリコーディング粒度を示すパラメータは、前記基地局から前記端末へ通知される。
【0165】
本開示の一実施例における基地局において、前記プリコーディング粒度は、前記端末へ通知される、前記プリコーディング粒度以外の他のパラメータと一意に対応付けられている。
【0166】
本開示の一実施例における基地局において、前記他のパラメータは、前記制御チャネルのアグリゲーションレベルである。
【0167】
本開示の一実施例における基地局において、前記他のパラメータは、前記制御チャネルが配置される制御リソースセットにおけるREG bundleサイズである。
【0168】
本開示の一実施例における基地局において、前記他のパラメータは、前記制御チャネルが配置される制御リソースセット内のシンボル数である。
【0169】
本開示の一実施例における基地局において、前記他のパラメータは、周波数領域における前記制御チャネルに対する前記プリコーディング粒度である。
【0170】
本開示の一実施例における端末は、異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して設定される、同一プリコーディングが適用される期間を示すプリコーディング粒度を特定する制御回路と、前記特定されたプリコーディング粒度に基づいて、基地局から送信された前記複数の制御チャネルの信号に対する受信処理を行う受信処理回路と、を具備する。
【0171】
本開示の一実施例における通信方法は、異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して、同一プリコーディングが使用される期間を示すプリコーディング粒度を設定し、前記設定されたプリコーディング粒度に基づいて、前記複数の制御チャネルの信号を端末へ送信する。
【0172】
本開示の一実施例における通信方法は、異なる時間リソースにそれぞれ配置される複数の制御チャネルに対して設定される、同一プリコーディングが適用される期間を示すプリコーディング粒度を特定し、前記特定されたプリコーディング粒度に基づいて、基地局から送信された前記複数の制御チャネルの信号に対する受信処理を行う。
【0173】
2018年7月10日出願の特願2018-130546の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本開示の一実施例は、移動通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0175】
100 基地局
101 スケジューリング部
102,207 データ生成部
103 制御情報生成部
104,205 制御情報保持部
105,206 プリコーディング制御部
106,210 符号化・変調部
107 プリコーディング部
108,211 送信部
109,201 受信部
110,202 抽出部
111,204 復調・復号部
112 品質推定部
200 端末
203 チャネル推定部
208 参照信号生成部
209 フィードバック情報生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14