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特許7361722KRAS G12C阻害剤及び同一物の使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】KRAS G12C阻害剤及び同一物の使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/6584 20060101AFI20231006BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231006BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231006BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231006BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231006BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20231006BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
C07F9/6584 CSP
A61P35/00
A61P43/00 111
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K39/395 T
A61K39/395 N
A61K31/675
A61P35/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020560752
(86)(22)【出願日】2019-05-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019030606
(87)【国際公開番号】W WO2019213526
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】62/667,314
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルツ,ライアン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】シー,ビクター・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】アメガジエ,アルバート
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ニン
(72)【発明者】
【氏名】ランマン,ブライアン・アラン
(72)【発明者】
【氏名】バートバーガー,マイケル・ディー
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0214798(US,A1)
【文献】特表2002-538161(JP,A)
【文献】国際公開第00/052015(WO,A2)
【文献】特表2017-512183(JP,A)
【文献】国際公開第2016/209996(WO,A1)
【文献】A Convenient Synthesis of 1,3,2-Benzodiazaphosphorine-2-oxide,Phosphorus, Sulfur, and Silicon and the Related Elements,2015年,(2015), 190, 1, p29-35
【文献】Isoquino[2,1-c][1,3,2]benzodiazaphosphorine derivatives: New potential agents for cancer chemotherapy,Phosphorus, Sulfur, and Silicon and the Related Elements,2000年,(2000), 162, p231-243
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
から選択される構造を有する化合物
又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、前記その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくは前記そのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の前記化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項3】
細胞中のKRAS G12Cを阻害するインビトロ方法であって、前記細胞と請求項1に記載の化合物又は請求項に記載の医薬組成物とを接触させるステップを含む方法。
【請求項4】
がんを治療するための請求項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記がんが、非小細胞肺がん、小腸がん、虫垂がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、膵臓がん、皮膚がん、胃がん、鼻腔がん、又は胆管がんである請求項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記がんは、非小細胞肺がんである、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記がんは、結腸直腸がんである、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記がんは、膵臓がんである、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記がんは、KRAS G12C変異によって媒介される請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、KRAS G12Cタンパク質を阻害する化合物、その化合物を使用してがん等の疾患若しくは状態を治療する方法及びその化合物を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
KRAS遺伝子突然変異は、膵臓がん、肺腺がん、結腸直腸がん、胆嚢がん、甲状腺がん及び胆管がんにおいて一般的である。KRAS突然変異は、NSCLC患者の約25%でも観察され、一部の研究は、KRAS突然変異がNSCLC患者の負の予後因子であることを示している。最近、V-Ki-ras2 Kirstenラット肉腫ウイルスの癌遺伝子相同体(KRAS)突然変異は、結腸直腸がんにおける上皮成長因子受容体(EGFR)標的化療法に対する耐性を付与することが見出されており、従って、KRASの突然変異状態は、TKI療法の処方前に重要な情報を提供することができる。総合すると、膵臓がん、肺腺がん又は結腸直腸がんを有する患者、特にKRAS突然変異を特徴とするこのようながんを有すると診断された患者及び化学療法後に進行した患者を含む患者のための新規な医学的治療の必要性が存在する。
【0003】
本明細書に開示した化合物は、薬学的に許容される塩の形態であり得る。提供される化合物は、本明細書に開示した化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬製剤に製剤化することができる。
【0004】
更に、細胞中でKRAS G12Cを阻害する方法であって、細胞と本明細書に開示した化合物又は組成物とを接触させるステップを含む方法も提供される。更に、対象におけるがんを治療する方法であって、治療有効量の本明細書に開示した化合物又は組成物を対象に投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、がんは、肺がん、膵臓がん又は結腸直腸がんである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様では、本発明は、式(I):
【化1】
[式中、
及びEは、それぞれ独立して、N若しくはCRであり;
【化2】
は、全ての原子にその通常の原子価を与える必要に応じて、一重結合若しくは二重結合であり;
は、独立して、H、ヒドロキシ、-C1~6アルキル、ハロ、-C1~4ハロアルキル、-C1~4アルコキシ、-NH-C1~4アルキル、-N(C1~4アルキル)、シアノ、-C2~3アルケニル、-C2~3アルキニル、-C3~14シクロアルキル、-C2~14ヘテロシクロアルキル、アリール若しくはヘテロアリールであり;
は、独立して、H、ヒドロキシ、-C1~6アルキル、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルコキシ、-NH-C1~6アルキル、-N(C1~4アルキル)、シアノ若しくはハロであり;
は、ハロ、-C1~6アルキル、-C1~6ハロアルキル、-OR2a、-N(R2a、-C2~6アルケニル、-C2~6アルキニル、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C6~14アリール若しくは-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリールであり、各R2aは、独立して、H、-C1~6アルキル、-C1~6ハロアルキル、-C3~14シクロアルキル、-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C2~6アルケニル、-C2~6アルキニル、アリール若しくはヘテロアリールであり、又は2つのR2a置換基は、それらが結合している窒素原子と共に3~7員環を形成し;
は、ハロ、-C1~6アルキル、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルコキシ、C3~6シクロアルキル、-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C2~6アルケニル、-C2~6アルキニル、アリール若しくはヘテロアリールであり;
は、
【化3】
であり、
環Aは、単環式の4~7員環、又は二環式の、架橋した、縮合した、若しくはスピロの6~11員環であり;
Lは、結合、-C1~6アルキレン、-O-C0~6アルキレン、-S-C0~6アルキレン若しくは-NH-C0~6アルキレンであり、-C2~6アルキレン、-O-C2~6アルキレン、-S-C2~6アルキレン及びNH-C2~6アルキレンについては、アルキレン基の1個の炭素原子は、任意選択的にO、S若しくはNHで置換することができ;
4aは、H、-C1~6アルキル、C2~6アルキニル、C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、C1~6アルキレン-OH、C1~6ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C0~3アルキレン-C6~14アリールであり、又は
【化4】
から選択され;
及びRは、それぞれ独立して、H、ハロ、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、-C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C0~3アルキレン-C(O)OH、-C0~3アルキレン-C(O)OC1~4アルキル、-C1~6アルキレン-O-アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリール若しくはシアノであり、又はR及びRは、それらが結合している原子と共に4~6員環を形成し;
は、H若しくはC1~6アルキルであり、又はR及びRは、それらが結合している原子と共に4~6員環を形成し;
は、-C1~6アルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C3~14ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C1~6アルコキシ、-O-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-O-C0~3アルキレン-C3~14ヘテロアリール、-O-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-O-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-NH-C1~8アルキル、-N(C1~8アルキル)、-NH-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-NH-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリール、-NH-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-NH-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、ハロ、シアノ若しくはC1~6アルキレン-アミンであり;
ここでR、R、R2a、R、R、R4a、R、R、R及びR置換基の何れかのヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N若しくはSから独立して選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を有し、シクロアルキル、スピロシクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含むことができ、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O若しくはSOを含み得る;
ここでR、R、R、R2a、R、R、R4a、L、R、R、R及びR置換基の何れかの-C1~6アルキル、-C2~6アルケニル、-C2~6アルキニル及び-OC1~6アルキルは、非置換であるか、又はOH、-OC1~6アルキル、-C1~6アルキル-O-C1~6アルキル、ハロ、-O-ハロC1~6アルキル、-CN、-NR、-(NR、-OSO、-SO、-(CHCHO)CH、-(=O)、-C(=O)、-C(=O)R、-OC(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)NR、-O-SiR、-SiR、-O-(3~10員のヘテロシクロアルキル)、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、5~12員のスピロシクロアルキル若しくはスピロヘテロシクロアルキル、3~12員のシクロアルケニル、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基から独立して選択される1、2若しくは3つのR置換基によって置換されており、ヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N若しくはSから独立して選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を有し、シクロアルキル、スピロシクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含むことができ、更にスピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O若しくはSOを含むことができ;
ここでR、R、R、R2a、R、R、R4a、R、R、R、R及びR置換基の何れかのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、又はOH、ハロ、-NR、-C1~6アルキル、-OC1~6アルキル、-C1~6アルキル-OH、-C1~6アルキル-O-C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、-O-ハロC1~6アルキル、-SO、-CN、-C(=O)NR、-C(=O)R、-OC(=O)R、-C(=O)OR、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、5~12員のスピロシクロアルキル若しくはスピロヘテロシクロアルキル、3~12員のシクロアルケニル、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基から独立して選択される1、2、3若しくは4つのR10置換基で置換されてよく、R10のヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N若しくはSから独立して選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を有し、R10のシクロアルキル、スピロシクロアルキル及びスピロヘテロシクロアルキル基又はR10のヘテロシクロアルキル基はC=O基を含むことができ、更にスピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O若しくはSOを含むことができ;
ここで各R、R、R及びRは、独立して水素、OH、-C1~6アルキル、-(CHCHO)CH、-NR1111、-C1~6アルキル-NR1111、フェニル、-C1~6アルキル-C(=O)OH、-C1~6アルキル-C(=O)-O-C1~6アルキル、-C1~6アルキル-3~12員のシクロアルキル、-C1~6アルキル-3~12員のヘテロシクロアルキル、-C1~6アルキル-6~12員のヘテロアリール、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基であり、R、R、R及びRのヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、又はR、R、R及びRのC1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、O、N若しくはSから独立して選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を有し、R、R、R及びRのシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにR、R、R及びRの-C1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、二重結合を含むことができ、更にR、R、R及びRのシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにR、R、R及びRの-C1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含有することができ;及び
、R、R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル基又はR、R、R及びRの-C1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、又は1、2、3若しくは4つのR12置換基で置換することができ、ここで各R12は、H、OH、ハロ、-C1~6アルキル、N(CH、-C1~6ハロアルキル、C(=O)CH、-C(=O)OCH若しくは-C1~6アルキル-O-C1~6アルキルから独立して選択される]の構造を有する化合物;又は
その立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
本発明の別の態様は、式(Ia):
【化5】
の構造を有する化合物;又は
その立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩をもたらす。
【0007】
本発明の一態様は、様々な化合物、立体異性体、アトロプ異性体、薬学的に許容される塩、立体異性体の薬学的に許容される塩及び下記に記載する実施形態において記載するアトロプ異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
【0008】
本発明の別の態様は、何れかの実施形態の化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明の別の態様は、がんを治療する方法を提供する。そのような方法は:それを必要とする患者に、治療有効量の何れかの実施形態の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む。一部のそのような方法では、がんは、血液悪性腫瘍である。一部のそのような方法では、がんは、乳がん、結腸直腸がん、皮膚がん、黒色腫、卵巣がん、腎臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、白血病及び急性骨髄性白血病から成る群から選択される。一部の他のそのような方法では、がんは、多発性骨髄腫である。一部の他のそのような方法では、がんは、急性骨髄性白血病である。一部の他のそのような方法では、がんは、非ホジキンリンパ腫である。別の態様では、本方法は、それを必要とする患者に治療有効量の追加の薬学的に活性な化合物を投与するステップを更に含む。例えば、一部のそのような方法では、追加の薬学的に活性な化合物は、カルフィルゾミブである。他の方法では、追加の薬学的に活性な化合物は、ベネトクラクスである。更に他のそのような方法では、追加の薬学的に活性な化合物は、シタラビンである。更に他のそのような方法では、追加の薬学的に活性な化合物は、ダラツムマブである。更に他のそのような方法では、追加の薬学的に活性な化合物は、MCl-1阻害剤である。更に他のそのような方法では、MCl-1阻害剤は、AMG-176である。更に他のそのような方法では、追加の薬学的に活性な化合物は、IMiDである。
【0010】
他に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。方法及び材料は、本開示で使用するために本明細書に記載されており、当該技術分野で知られている他の適切な方法及び材料も使用することができる。材料、方法及び実施例は、例示に過ぎず、限定を意図するものではない。本明細書で言及した全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベース記入事項及び他の参考文献は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合、定義を含む本明細書が優先される。
【0011】
本開示のその他の特徴及び長所は、下記の詳細な説明及び図面並びに特許請求項から明白であろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
略語:本明細書では、下記の略語を使用することができる。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
本発明の説明に関連して(特に特許請求の範囲に関連して)、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」及び類似の指示対象の使用は、別段の指示がない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書中に別段の指示がない限り、その範囲内に入るそれぞれの個別の値に個別に言及する簡潔な方法としての役割を果たすことを意図しているに過ぎず、それぞれの個別の値は、あたかも個別に本明細書に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書で提供するあらゆる例又は例示的表現(例えば、「等」)の使用は、本発明をよりよく説明することを意図し、別段の主張がない限り、本発明の範囲に対する限定ではない。本明細書の如何なる表現も、クレームされていない要素を本発明の実施に不可欠のものとして示していると解釈されるべきではない。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル及び2-エチルブチルを含むが、これらに限定されない直鎖状及び分枝状のC~C炭化水素基を指す。用語「Cm~n」は、アルキル基が「m」~「n」個の炭素原子を有することを意味する。用語「アルキレン」は、置換基を有するアルキル基を指す。アルキル(例えば、メチル)若しくはアルキレン(例えば、-CH-)基は、独立して選択された、例えば、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アルキルアミノ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-NC、アミノ、-COH、-CO1~アルキル、-OCOC1~アルキル、-C3~10シクロアルキル、C3~10ヘテロシクロアルキル、C5~10アリール及びC5~10ヘテロアリールの内の1つ以上、典型的には1~3つで置換され得る。用語「ハロアルキル」は、特に、アルキル基の水素の少なくとも1個、例えば1~6個又は全てがハロ原子で置換されているアルキル基を指す。
【0017】
用語「アルケニル」及び「アルキニル」は、それぞれ二重結合又は三重結合を更に含むアルキル基を表す。
【0018】
本明細書で使用する用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。用語「アルコキシ」は、-ORとして定義され、ここでRは、アルキルである。
【0019】
本明細書で使用する用語「アミノ」若しくは「アミン」は、-NR基を互換的に指し、ここで各Rは、例えば、H若しくは置換基である。一部の実施形態では、アミノ基は更に置換されてアンモニウムイオン、例えば、NR を形成する。アンモニウム部分は、特に「アミノ」若しくは「アミン」の定義に含まれる。置換基は、例えば、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミド若しくはカルボキシラートであり得る。R基は、例えば、ハロ、シアノ、アルケニル、アルキニル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、尿素、カルボニル、カルボキシラート、アミン及びアミドから選択される1つ以上、例えば1~4つの基で更に置換され得る。「アミド(amide)」若しくは「アミド(amido)」基は、アミン若しくはアミノ基に類似であるが、C(O)、例えば-C(O)NRを更に含む基を互換的に指す。一部の考えられるアミノ若しくはアミド基(一部は、任意選択的にアルキレン基を備える、例えばアルキレン-アミノ若しくはアルキレン-アミド)には、CHNH、CH(CH)NH、CH(CHNH、CHCHNH、CHCHN(CH、CHNHCH、C(O)NHCH、C(O)N(CH、CHC(O)NHフェニル、CHNHC(O)CH、CHNHCHCHOH、CHNHCHCOH、CHNH(CH)CHCOCH、CHNHCHCHOCH、CHNH(CH)CHCHOCH、CHNH(CH)CHC(O)N(CH、CHNH(CH)CHC(O)NHCH、CHCHCCH、CHNMe、CHNH(CH)CHCHOH、CHNH(CH)CHCHF、CH(CH、CHNHCHCHF、CHNHCHCH
【化6】
が含まれる。
【0020】
本明細書で使用する用語「アリール」は、C6~14の単環式若しくは多環式芳香族基、好ましくはC6~10の単環式若しくは二環式芳香族基又はC10~14多環式芳香族基を指す。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル及びテルフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。アリールは又、1つの環が芳香族であり、他の環が飽和、部分不飽和若しくは芳香族、例えば、ジヒドロナフチル、インデニル、インダニル又はテトラヒドロナフチル(テトラリニル)である、C10~14の二環式及び三環式の炭素環を指す。別段の指示がない限り、アリール基は、非置換であるか、又は、例えば、ハロ、Cアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-CF、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-COH、-CO1~アルキル、-OCOC1~アルキル、C3~10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアルキル、C5~10アリール及びC5~10ヘテロアリールから独立して選択された1つ以上の、特に1~4つの基で置換することができる。
【0021】
本明細書で使用する用語「シクロアルキル」は、多環式環が縮合するか、架橋するか、又はスピロであり得る、単環式若しくは多環式の非芳香族炭素環を指す。炭素環は、3~10個の炭素環原子を有することができる。考えられる炭素環としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル及びシクロノニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書で使用する用語「ヘテロシクロアルキル」は、単環式若しくは多環式の(例えば、二環式の)、飽和若しくは部分不飽和の、合計で3個以上(例えば、3~12個、4~10個、4~8個若しくは5~7個)の原子を含有し、その内の1~5個(例えば、1、2、3、4若しくは5個)の原子が窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される環系を指す。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例としては、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジヒドロピロリル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロピリジニル、オキサシクロヘプチル、ジオキサシクロヘプチル、チアシクロヘプチル及びジアザシクロヘプチルが挙げられる。
【0023】
別段の指示がない限り、シクロアルキル若しくはヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、又は1つ以上、特に1~4つの基で置換され得る。一部の考えられる置換基としては、ハロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-COH、-CO1~アルキル、-OCOC-Cアルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10ヘテロシクロアル、C5~10アリール及びC5~10ヘテロアリールが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用する用語「ヘテロアリール」は、1~3個の芳香環を含有し、芳香環中において、窒素、酸素及び硫黄から選択される1~4個(例えば、1、2、3若しくは4個)のヘテロ原子を含有する単環式若しくは多環式の環系(例えば、二環式)を指す。特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、5~20個、5~15個、5~10個又は5~7個の原子を有する。ヘテロアリールは又、1つの環が芳香族であり、他の環が飽和、部分不飽和、又は芳香族である、C10~14の二環式及び三環式の環を指す。ヘテロアリール基の例としては、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリル、トリアジニル、トリアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フロピリジル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インドジリニル、インドリル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサゾロピリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピリドピリジル、ピロロピリジル、キノリニル、キノキサリニル、キアゾリニル、チアジアゾロピリミジル及びチエノピリジルが挙げられるが、これらに限定されない。別段の指示がない限り、ヘテロアリール基は、非置換であるか、又は1つ以上、特に1~4つの、又は1つ若しくは2つの置換基で置換され得る。考えられる置換基としては、ハロ、Cアルキル、Cアルケニル、Cアルキニル、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-COH、-CO1~アルキル、-OCOC1~アルキル、C-C10シクロアルキル、C-C10ヘテロシクロアルキル、C-C10アリール及びC-C10ヘテロアリールが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用する用語Bocは、構造:
【化7】
を指す。
【0026】
本明細書で使用する用語Cbzは、構造:
【化8】
を指す。
【0027】
本明細書で使用する用語Bnは、構造:
【化9】
を指す。
【0028】
本明細書で使用する用語トリフルオロアセトアミドは、構造:
【化10】
を指す。
【0029】
本明細書で使用する用語トリチルは、構造:
【化11】
を指す。
【0030】
本明細書で使用する用語トシルは、構造:
【化12】
を指す。
【0031】
本明細書で使用する用語Trocは、構造:
【化13】
を指す。
【0032】
本明細書で使用する用語Teocは、構造:
【化14】
を指す。
【0033】
本明細書で使用する用語Allocは、構造:
【化15】
を指す。
【0034】
本明細書で使用する用語Fmocは、構造:
【化16】
を指す。
【0035】
本開示の化合物
本明細書で開示した化合物は、本明細書で開示した化合物の1個以上の原子が、同じ原子番号を有するが、通常、天然に見出される原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換された、全ての薬学的に許容される同位体標識化合物を含む。開示した化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体、例えば、それぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I及び125Iが挙げられる。これらの放射性標識化合物は、例えば、作用部位若しくは作用様式、又は薬理学的に重要な作用部位に対する結合親和性を同定することによって、化合物の有効性の決定若しくは測定を助けるのに有用であろう。本開示の特定の同位体標識化合物、例えば、放射性同位体を組み込んだものは、薬剤及び/又は基質組織分布の研究において有用である。放射性同位体のトリチウム、即ちH、及び炭素14、即ち14Cは、取り込みの容易さ及び検知の容易な手段の観点から、この目的ために特に有効である。
【0036】
重水素、即ち、H等のより重い同位体による置換は、より大きな代謝安定性、例えば、インビボ半減期の増加又は必要用量の減少から生じる特定の治療上の利点をもたらし得、従って、一部の状況で好ましい。
【0037】
11C、18F、15O及び13Nのような陽電子放出同位体との置換は、基質の受容体占有率を調べるための陽電子放出断層撮像法(PET)研究において有用であり得る。構造(I)の同位体標識化合物は、一般に、当業者に知られた従来技術によって、又は以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、下記の調製及び実施例に記載されているものと類似の方法によって調製することができる。
【0038】
本明細書に開示した同位体標識化合物は、一般に、当業者に知られた従来技術によって、又は以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、付帯の実施例及びスキームに記載されているものと類似の方法によって調製することができる。
【0039】
本明細書に開示した特定の化合物は、光学異性体及び配座異性体(又はコンフォーマー)を含む立体異性体(即ち、原子の空間的配置のみが異なる異性体)として存在し得る。本明細書に開示した化合物は、両方が純粋な個々の立体異性体調製物及びそれぞれの濃縮調製物、並びに両方がそのような立体異性体のラセミ混合物、並びに当業者に知られた方法に従って分離され得る個々のジアステレオマー及びエナンチオマーの全ての立体異性体を含む。更に、本明細書に開示した化合物は、それらの化合物の全ての互変異性型を含む。
【0040】
本明細書に開示した特定の化合物は、分子の他の部分との立体相互作用の結果として、分子中の単結合の周りの回転が妨げられるか、又は非常に遅くされる場合に生じる、配座立体異性体であるアトロプ異性体として存在し得る。本明細書に開示した化合物は、両方が純粋な個々のアトロプ異性体調製物、それぞれの濃縮調製物、又はそれぞれの不特定混合物として、全てのアトロプ異性体を含む。単結合の周りの回転障壁が十分に高く、且つ立体配座間の相互変換が十分に遅い場合、異性体種の分離及び単離が可能であり得る。例えば、それらに限定されないが、下記のR
【化17】
等の基は、束縛回転を示し得る。
【0041】
及びEは、それぞれ独立して、N若しくはCRであり;
【化18】
は、全ての原子にその通常の原子価を与える必要に応じて、一重結合若しくは二重結合であり;
は、独立して、H、ヒドロキシ、-C1~6アルキル、ハロ、-C1~4ハロアルキル、-C1~4アルコキシ、-NH-C1~4アルキル、-N(C1~4アルキル)、シアノ、-C2~3アルケニル、-C2~3アルキニル、-C3~14シクロアルキル、-C2~14ヘテロシクロアルキル、アリール若しくはヘテロアリールであり;
は、独立して、H、ヒドロキシ、-C1~6アルキル、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルコキシ、-NH-C1~6アルキル、-N(C1~4アルキル)、シアノ若しくはハロであり;
は、ハロ、-C1~6アルキル、-C1~6ハロアルキル、-OR2a、-N(R2a、-C2~6アルケニル、-C2~6アルキニル、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C6~14アリール若しくは-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリールであり、各R2aは、独立して、H、-C1~6アルキル、-C1~6ハロアルキル、-C3~14シクロアルキル、-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C2~6アルケニル、-C2~6アルキニル、アリール若しくはヘテロアリールであり、又は2つの2a置換基は、それらが結合している窒素原子と共に3~7員環を形成し;
は、ハロ、-C1~6アルキル、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルコキシ、C3~6シクロアルキル、-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C2~6アルケニル、-C2~6アルキニル、アリール若しくはヘテロアリールであり;
は、
【化19】
であり;
環Aは、単環式の4~7員環、又は二環式の、架橋した、縮合した、若しくはスピロの6~11員環であり;
Lは、結合、-C1~6アルキレン、-O-C0~6アルキレン、-S-C0~6アルキレン若しくは-NH-C0~6アルキレンであり、-C2~6アルキレン、-O-C2~6アルキレン、-S-C2~6アルキレン及びNH-C2~6アルキレンについては、アルキレン基の1個の炭素原子は、任意選択的にO、S若しくはNHで置換することができ;
4aは、H、-C1~6アルキル、C2~6アルキニル、C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、C1~6アルキレン-OH、C1~6ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C0~3アルキレン-C6~14アリールであり、又は
【化20】
から選択され;
及びRは、それぞれ独立して、H、ハロ、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、-C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C0~3アルキレン-C(O)OH、-C0~3アルキレン-C(O)OC1~4アルキル、-C1~6アルキレン-O-アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリール若しくはシアノであり、又はR及びRは、それらが結合している原子と共に4~6員環を形成し;
は、H若しくはC1~6アルキルであり、又はR及びRは、それらが結合している原子と共に4~6員環を形成し;
は、-C1~6アルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C3~14ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C1~6アルコキシ、-O-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-O-C0~3アルキレン-C3~14ヘテロアリール、-O-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-O-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-NH-C1~8アルキル、-N(C1~8アルキル)、-NH-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-NH-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリール、-NH-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-NH-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、ハロ、シアノ若しくはC1~6アルキレン-アミンであり;
ここでR、R、R2a、R、R、R4a、R、R、R及びR置換基の何れかのヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N若しくはSから独立して選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を有し、シクロアルキル、スピロシクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含むことができ、更にスピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O若しくはSOを含み得る;
ここでR、R、R、R2a、R、R、R4a、L、R、R、R及びR置換基の何れかの-C1~6アルキル、-C2~6アルケニル、-C2~6アルキニル及び-OC1~6アルキルの何れかは、非置換であるか、又はOH、-OC1~6アルキル、-C1~6アルキル-O-C1~6アルキル、ハロ、-O-ハロC1~6アルキル、-CN、-NR、-(NR、-OSO、-SO、-(CHCHO)CH、-(=O)、-C(=O)、-C(=O)R、-OC(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)NR、-O-SiR、-SiR、-O-(3~10員のヘテロシクロアルキル)、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、5~12員のスピロシクロアルキル若しくはスピロヘテロシクロアルキル、3~12員のシクロアルケニル、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基から独立して選択される1、2若しくは3つのR置換基によって置換されており、ヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N若しくはSから独立して選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を有し、シクロアルキル、スピロシクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含むことができ、更にスピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O若しくはSOを含むことができ;
ここでR、R、R、R2a、R、R、R4a、R、R、R、R及びR置換基の何れかのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、又はOH、ハロ、-NR、-C1~6アルキル、-OC1~6アルキル、-C1~6アルキル-OH、-C1~6アルキル-O-C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、-O-ハロC1~6アルキル、-SO、-CN、-C(=O)NR、-C(=O)R、-OC(=O)R、-C(=O)OR、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、5~12員のスピロシクロアルキル若しくはスピロヘテロシクロアルキル、3~12員のシクロアルケニル、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基から独立して選択される1、2、3若しくは4つのR10置換基で置換されてよく、R10のヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N若しくはSから独立して選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を有し、R10のシクロアルキル、スピロシクロアルキル及びスピロヘテロシクロアルキル基又はR10のヘテロシクロアルキル基はC=O基を含むことができ、更にスピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O若しくはSOを含むことができ;
ここで各R、R、R及びRは、独立して水素、OH、-C1~6アルキル、-(CHCHO)CH、-NR1111、-C1~6アルキル-NR1111、フェニル、-C1~6アルキル-C(=O)OH、-C1~6アルキル-C(=O)-O-C1~6アルキル、-C1~6アルキル-3~12員のシクロアルキル、-C1~6アルキル-3~12員のヘテロシクロアルキル、-C1~6アルキル-6~12員のヘテロアリール、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基であり、R、R、R及びRのヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、又はR、R、R及びRのC1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、O、N若しくはSから独立して選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を有し、R、R、R及びRのシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにR、R、R及びRの-C1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、二重結合を含むことができ、更にR、R、R及びRのシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにR、R、R及びRの-C1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含有することができ;及び
、R、R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル基又はR、R、R及びRの-C1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、又は1、2、3若しくは4つのR12置換基で置換することができ、ここで各R12は、H、OH、ハロ、-C1~6アルキル、N(CH、-C1~6ハロアルキル、C(=O)CH、-C(=O)OCH若しくは-C1~6アルキル-O-C1~6アルキルから独立して選択される]の構造を有する化合物;
その立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
【0042】
実施形態
実施形態1
第一実施形態では、本発明は、式(I):
【化21】
[式中、
及びEは、それぞれ独立して、N若しくはCRであり;
【化22】
は、全ての原子にその通常の原子価を与える必要に応じて、一重結合若しくは二重結合であり;
は、独立して、H、ヒドロキシ、-C1~6アルキル、ハロ、-C1~4ハロアルキル、-C1~4アルコキシ、-NH-C1~4アルキル、-N(C1~4アルキル)、シアノ、-C2~3アルケニル、-C2~3アルキニル、-C3~14シクロアルキル、-C2~14ヘテロシクロアルキル、アリール若しくはヘテロアリールであり;
は、独立して、H、ヒドロキシ、-C1~6アルキル、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルコキシ、-NH-C1~6アルキル、-N(C1~4アルキル)、シアノ若しくはハロであり;
は、ハロ、-C1~6アルキル、-C1~6ハロアルキル、-OR2a、-N(R2a、-C2~6アルケニル、-C2~6アルキニル、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C6~14アリール若しくは-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリールであり、及び各R2aは、独立して、H、-C1~6アルキル、-C1~6ハロアルキル、-C3~14シクロアルキル、-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C2~6アルケニル、-C2~6アルキニル、アリール若しくはヘテロアリールであり、又は2つの2a置換基は、それらが結合している窒素原子と共に3~7員環を形成し;
は、ハロ、-C1~6アルキル、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルコキシ、C3~6シクロアルキル、-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C2~6アルケニル、-C2~6アルキニル、アリール若しくはヘテロアリールであり;
は、
【化23】
であり;
環Aは、単環式の4~7員環、又は二環式の、架橋した、縮合した、若しくはスピロの6~11員環であり;
Lは、結合、-C1~6アルキレン、-O-C0~6アルキレン、-S-C0~6アルキレン若しくは-NH-C0~6アルキレンであり、-C2~6アルキレン、-O-C2~6アルキレン、-S-C2~6アルキレン及びNH-C2~6アルキレンについては、アルキレン基の1個の炭素原子は、任意選択的にO、S若しくはNHで置換することができ;
4aは、H、-C1~6アルキル、C2~6アルキニル、C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、C1~6アルキレン-OH、C1~6ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C0~3アルキレン-C6~14アリールであり、又は
【化24】
から選択され;
及びRは、それぞれ独立して、H、ハロ、-C1~6アルキル、-C2~6アルキニル、-C1~6アルキレン-O-C1~4アルキル、-C1~6アルキレン-OH、-C1~6ハロアルキル、-C1~6アルキレンアミン、-C0~6アルキレン-アミド、-C0~3アルキレン-C(O)OH、-C0~3アルキレン-C(O)OC1~4アルキル、-C1~6アルキレン-O-アリール、-C0~3アルキレン-C(O)C1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリール若しくはシアノであり、又はR及びRは、それらが結合している原子と共に4~6員環を形成し;
は、H若しくはC1~6アルキルであり、又はR及びRは、それらが結合している原子と共に4~6員環を形成し;
は、-C1~6アルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-C0~3アルキレン-C3~14ヘテロアリール、-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-C1~6アルコキシ、-O-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-O-C0~3アルキレン-C3~14ヘテロアリール、-O-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-O-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、-NH-C1~8アルキル、-N(C1~8アルキル)、-NH-C0~3アルキレン-C6~14アリール、-NH-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロアリール、-NH-C0~3アルキレン-C3~14シクロアルキル、-NH-C0~3アルキレン-C2~14ヘテロシクロアルキル、ハロ、シアノ若しくはC1~6アルキレン-アミンであり;
ここでR、R、R2a、R、R、R4a、R、R、R及びR置換基の何れかのヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N若しくはSから独立して選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を有し、シクロアルキル、スピロシクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含むことができ、更にスピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O若しくはSOを含み得る;
ここでR、R、R、R2a、R、R、R4a、L、R、R、R及びR置換基の何れかの-C1~6アルキル、-C2~6アルケニル、-C2~6アルキニル及び-OC1~6アルキルの何れかは、非置換であるか、又はOH、-OC1~6アルキル、-C1~6アルキル-O-C1~6アルキル、ハロ、-O-ハロC1~6アルキル、-CN、-NR、-(NR、-OSO、-SO、-(CHCHO)CH、-(=O)、-C(=O)、-C(=O)R、-OC(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)NR、-O-SiR、-SiR、-O-(3~10員のヘテロシクロアルキル)、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、5~12員のスピロシクロアルキル若しくはスピロヘテロシクロアルキル、3~12員のシクロアルケニル、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基から独立して選択される1、2若しくは3つのR置換基によって置換されており、ヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N若しくはSから独立して選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を有し、シクロアルキル、スピロシクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含むことができ、更にスピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O若しくはSOを含むことができ;
ここでR、R、R、R2a、R、R、R4a、R、R、R、R及びR置換基の何れかのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、又はOH、ハロ、-NR、-C1~6アルキル、-OC1~6アルキル、-C1~6アルキル-OH、-C1~6アルキル-O-C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、-O-ハロC1~6アルキル、-SO、-CN、-C(=O)NR、-C(=O)R、-OC(=O)R、-C(=O)OR、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、5~12員のスピロシクロアルキル若しくはスピロヘテロシクロアルキル、3~12員のシクロアルケニル、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基から独立して選択される1、2、3若しくは4つのR10置換基で置換されてよく、R10のヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N若しくはSから独立して選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を有し、R10のシクロアルキル、スピロシクロアルキル及びスピロヘテロシクロアルキル基又はR10のヘテロシクロアルキル基はC=O基を含むことができ、更にスピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O若しくはSOを含むことができ;
ここで各R、R、R及びRは、独立して水素、OH、-C1~6アルキル、-(CHCHO)CH、-NR1111、-C1~6アルキル-NR1111、フェニル、-C1~6アルキル-C(=O)OH、-C1~6アルキル-C(=O)-O-C1~6アルキル、-C1~6アルキル-3~12員のシクロアルキル、-C1~6アルキル-3~12員のヘテロシクロアルキル、-C1~6アルキル-6~12員のヘテロアリール、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基であり、R、R、R及びRのヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、又はR、R、R及びRのC1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、O、N若しくはSから独立して選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を有し、R、R、R及びRのシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにR、R、R及びRの-C1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、二重結合を含むことができ、更にR、R、R及びRのシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにR、R、R及びRの-C1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含有することができ;及び
、R、R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル基又はR、R、R及びRの-C1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、又は1、2、3若しくは4つのR12置換基で置換することができ、各R12は、H、OH、ハロ、-C1~6アルキル、N(CH、-C1~6ハロアルキル、C(=O)CH、-C(=O)OCH若しくは-C1~6アルキル-O-C1~6アルキルから独立して選択される]の構造を有する化合物;又は
その立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
【0043】
実施形態2
式(Ia):
【化25】
の構造を有する実施形態1の化合物;又は
その立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【0044】
実施形態3
は、-C1~6アルキルである、実施形態1又は2の何れか1つに記載の化合物。
【0045】
実施形態4
は、-CHである、実施形態3に記載の化合物。
【0046】
実施形態5
は、Hである、実施形態1~4の何れか1つに記載の化合物。
【0047】
実施形態6
は、非置換又は置換アリールである、実施形態1~5の何れか1つに記載の化合物。
【0048】
実施形態7
は、置換アリールである、実施形態6に記載の化合物。
【0049】
実施形態8
は、フッ素化フェニルである、実施形態7に記載の化合物。
【0050】
実施形態9
は、ハロである、実施形態1~8の何れか1つに記載の化合物。
【0051】
実施形態10
は、Clである、実施形態9に記載の化合物。
【0052】
実施形態11
は、
【化26】
である、実施形態1~10の何れか1つに記載の化合物。
【0053】
実施形態12
Lは、結合である、請求項11に記載の化合物。
【0054】
実施形態13
環Aは、単環式の4~7員環である、請求項11に記載の化合物。
【0055】
実施形態14
Aは、非置換又は置換複素環である、請求項13に記載の化合物。
【0056】
実施形態15
は、
【化27】
【化28】
から成る群から選択される、実施形態1~14の何れか1つに記載の化合物。
【0057】
実施形態16
は、
【化29】
である、実施形態15に記載の化合物。
【0058】
実施形態17
は、Hである、実施形態10に記載の化合物。
【0059】
実施形態18
は、Hである、実施形態10に記載の化合物。
【0060】
実施形態19
は、-C1~6アルキル、-C0~3アルキレン-C6~14アリール又は-C0~3アルキレン-C3~14ヘテロアリールである、実施形態1~18の何れか1つに記載の化合物。
【0061】
実施形態20
は、-C1~6アルキルである、実施形態19に記載の化合物。
【0062】
実施形態21
は、-C6~14アリールである、実施形態19に記載の化合物。
【0063】
実施形態22
は、-C3~14ヘテロアリールである、実施形態19に記載の化合物。
【0064】
実施形態23
は、i-Pr、t-Bu、フェニル、ベンジル、OCH、Cl、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、
【化30】
【化31】
から成る群から選択される、実施形態1~19の何れか1つに記載の化合物。
【0065】
実施形態24
は、
【化32】
から成る群から選択される、実施形態23に記載の化合物。
【0066】
実施形態25
は、
【化33】
である、実施形態23に記載の化合物
【0067】
実施形態26
は、
【化34】
である、実施形態23に記載の化合物。
【0068】
実施形態27
は、
【化35】
である、実施形態23に記載の化合物。
【0069】
実施形態28
は、
【化36】
である、実施形態23に記載の化合物。
【0070】
実施形態29
は、
【化37】
である、実施形態23に記載の化合物。
【0071】
実施形態30
は、
【化38】
である、実施形態23に記載の化合物。
【0072】
実施形態31

【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
から選択される構造を有する化合物;
又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【0073】
実施形態32
薬学的に許容される塩の形態にある、実施形態1~31の何れか1つに記載の化合物。
【0074】
実施形態33
実施形態1~32の何れか1つに記載の化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬製剤。
【0075】
実施形態34
細胞中のKRAS G12Cを阻害する方法であって、細胞と実施形態1~32の何れか1つに記載の化合物又は実施形態33に記載の組成物とを接触させるステップを含む方法。
【0076】
実施形態35
対象におけるがんを治療する方法であって、治療有効量の実施形態1~32の何れか1つに記載の化合物又は実施形態33に記載の組成物を対象に投与するステップを含む方法。
【0077】
実施形態36
がんは、肺がん、膵臓がん又は結腸直腸がんである、実施形態35に記載の方法。
【0078】
実施形態37
がんは、肺ばんである、実施形態36に記載の方法。
【0079】
実施形態38
がんは、非小細胞肺がんである、実施形態37に記載の方法。
【0080】
実施形態39
がんは、膵臓がんである、実施形態36に記載の方法。
【0081】
実施形態40
がんは、結腸直腸がんである、実施形態36に記載の方法。
【0082】
実施形態41
それを必要とする患者に治療有効量の追加の医薬活性化合物を投与するステップを更に含む、実施形態35に記載の方法。
【0083】
実施形態42
追加の薬学的に活性な化合物は、抗PD-1抗体である、実施形態41に記載の方法。
【0084】
実施形態43
追加の薬学的に活性な化合物は、ニボルマブである、実施形態42に記載の方法。
【0085】
実施形態44
追加の薬学的に活性な化合物は、ペンブロリズマブである、実施形態42に記載の方法。
【0086】
実施形態45
追加の薬学的に活性な化合物は、AMG404である、実施形態42に記載の方法。
【0087】
実施形態46
追加の薬学的に活性な化合物は、AMG-176である、実施形態41に記載の方法。
【0088】
実施形態47
追加の薬学的に活性な化合物は、ダラツムマブである、実施形態41に記載の方法。
【0089】
実施形態48
追加の薬学的に活性な化合物は、IMiDである、実施形態41に記載の方法。
【0090】
実施形態49
対象におけるがんを治療するための、実施形態1~32の何れか1つに記載の化合物の使用。
【0091】
実施形態50
がんを治療するための医薬品の調製における、実施形態1~32の何れか1つに記載の化合物。
【0092】
実施形態51
がんは、固形腫瘍である、実施形態50に記載の化合物。
【0093】
開示した化合物の合成
本明細書に開示した化合物は、多数の特定方法によって合成することができる。特定の合成経路を略述した実施例、及び下記の一般的スキームは、溶媒、濃度、試薬、保護基、合成ステップの順序、時間、温度等が、明確に技術及び通常の当業者の判断の範囲内で必要に応じて容易に修飾できるであろう通常の技術を備える合成化学者への指針を提供することが意図されている。
【0094】
医薬組成物、投与及び投与経路
更に、本明細書では、例えば、希釈剤又は担体等の薬学的に許容される賦形剤と共に、本明細書に開示した化合物を含む医薬組成物も提供する。本発明での使用に好適な化合物及び医薬組成物としては、化合物がその意図された目的を達成するのに有効な量で投与できるものが挙げられる。化合物の投与については、以下でより詳細に記載する。
【0095】
好適な医薬製剤は、投与経路及び所望の投与量に応じて当業者が決定することができる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,1435-712(18th ed.,Mack Publishing Co,Easton,Pennsylvania,1990)を参照されたい。製剤は、投与された薬剤の物理的状態、安定性、インビボ放出速度及びインビボ排出速度に影響を及ぼし得る。投与経路に依存して、好適な用量は、体重、体表面積又は器官サイズに応じて算出され得る。適切な治療用量を決定するために必要である計算の更なる微調整は、特に、本明細書に開示した投与量情報及びアッセイ並びに動物又はヒトの臨床試験で得られた薬物動態データに照らして、必要以上の実験を行わずに当業者によって機械的に行われる。
【0096】
語句「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容される」は、動物又はヒトに投与される場合の有害なアレルギー性の又は他の不利な反応をもたらさない分子実体及び組成物を指す。本明細書で使用する「薬学的に許容される」は、任意の、且つ全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含む。薬学的に活性な物質用のそのような賦形剤の使用は、当技術分野で周知である。任意の従来の媒体又は薬剤が治療組成物と不適合でなければ、治療組成物におけるその使用が意図される。補助的な有効成分も又、本組成物に組み込むことができる。例示的な実施形態では、製剤は、コーンシロップ固体、高オレイン酸ベニバナ油、ココナッツ油、大豆油、L-ロイシン、リン酸三カルシウム、L-チロシン、L-プロリン、L-リシン酢酸塩、DATEM(乳化剤)、L-グルタミン、L-バリン、リン酸二カリウム、L-イソロイシン、L-アルギニン、L-アラニン、グリシン、L-アスパラギン一水和物、L-セリン、クエン酸カリウム、L-トレオニン、クエン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、L-ヒスチジン、L-メチオニン、アスコルビン酸、炭酸カルシウム、L-グルタミン酸、L-シスチン二塩酸塩、L-トリプトファン、L-アスパラギン酸、塩化コリン、タウリン、m-イノシトール、硫酸第一鉄、パルミチン酸アスコルビル、硫酸亜鉛、L-カルニチン、酢酸αトコフェロール、塩化ナトリウム、ナイアシンアミド、トコフェロール混合物、パントテン酸カルシウム、硫酸銅、塩化チアミン塩酸塩、ビタミンAパルミテート、硫酸マンガン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、葉酸、β-カロテン、ヨウ化カリウム、フィロキノンビオチン、セレン酸ナトリウム、塩化クロム、モリブデン酸ナトリウム、ビタミンD3及びシアノコバラミンを含み得る。
【0097】
化合物は、薬学的に許容される塩として医薬組成物中に存在することができる。本明細書で使用する「薬学的に許容される塩」は、例えば、塩基付加塩及び酸付加塩を含む。
【0098】
薬学的に許容される塩基付加塩は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属又は有機アミン等の金属又はアミンと共に形成され得る。化合物の薬学的に許容される塩は又、薬学的に許容される陽イオンと共に調製され得る。好適な薬学的に許容される陽イオンは、当業者には周知であり、アルカリ、アルカリ土類、アンモニウム及び第四級アンモニウム陽イオンを含む。炭酸塩又は炭酸水素塩も可能である。陽イオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、カルシウム又は鉄等である。好適なアミンの例としては、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン及びプロカインが挙げられる。
【0099】
薬学的に許容される酸付加塩としては、無機酸又は有機酸の塩が挙げられる。好適な酸塩の例としては、塩酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、硝酸塩、リン酸塩が挙げられる。他の好適な薬学的に許容される塩は、当業者には周知であり、例えば、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸若しくはマンデル酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸若しくはリン酸;有機カルボン酸、スルホン酸、スルホ酸若しくはホスホ酸又はN-置換スルファミン酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、エンボニン酸、ニコチン酸又はイソニコチン酸との;及び天然のタンパク質の合成に関与する20個のアルファアミノ酸、例えばグルタミン酸若しくはアスパラギン酸等のアミノ酸との、及び又フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン1,2-ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン2-スルホン酸、ナフタレン1,5-ジスルホン酸、2-若しくは3-ホスホグリセリン酸、グルコース6-リン酸、N-シクロヘキシルスルファミン酸(シクラメートの形成を伴う)との又はアスコルビン酸等の他の酸有機化合物との塩が挙げられる。
【0100】
本明細書で開示した化合物を含有する医薬組成物は、従来法において、例えば従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、粉末化、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスによって製造することができる。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。
【0101】
経口投与のために、好適な組成物は、本明細書で開示した化合物と、当技術分野で周知の担体等の薬学的に許容される賦形剤とを組み合わせることによって容易に製剤化することができる。そのような賦形剤及び担体は、治療される患者による経口摂取のために、本発明の化合物が錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等として製剤化されることを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、本明細書で開示した化合物を固体賦形剤と共に添加するステップ、任意選択により、得られた混合物を粉砕するステップ、錠剤又は糖衣錠コアを得るために、必要に応じて好適な補助剤を加えた後、顆粒混合物を処理するステップにより得ることができる。好適な賦形剤としては、例えば、充填剤及びセルロース調製物が挙げられる。必要に応じて崩壊剤を加えることができる。薬学的に許容される成分は、様々なタイプの製剤について周知であり、例えば結合剤(例えば、天然又は合成ポリマー)、潤滑剤、界面活性剤、甘味料及び香味剤、コーティング剤、保存剤、染料、増粘剤、アジュバント、抗菌剤、抗酸化剤及び様々な製剤タイプのための担体であり得る。
【0102】
治療有効量の本明細書で開示した化合物が経口投与される場合、組成物は、典型的には、固体(例えば、錠剤、カプセル、丸剤、粉末若しくはトローチ)又は液体製剤(例えば、水性懸濁液、溶液、エリキシル若しくはシロップ)の形態にある。
【0103】
錠剤形態で投与される場合、組成物は、ゼラチン若しくはアジュバント等の機能性固体及び/又は機能性固体担体を更に含有することができる。錠剤、カプセル及び粉末は、約1~約95%の化合物、好ましくは約15~約90%の化合物を含有することができる。
【0104】
液剤又は懸濁剤の形態で投与される場合、水、石油又は動物若しくは植物起源の油等の機能性液体及び/又は機能性液体担体を加えることができる。組成物の液剤形態は、生理食塩水溶液、糖アルコール溶液、デキストロース若しくは他の糖類溶液又はグリコールを更に含むことができる。液剤又は懸濁剤の形態で投与する場合、組成物は、約0.5~約90重量%の本明細書に開示した化合物、好ましくは約1~約50%の本明細書に開示した化合物を含有することができる。考えられる一実施形態では、液体担体は、非水性又は実質的に非水性である。液体形態での投与では、組成物は、投与の直前に溶解又は懸濁する迅速溶解性固体製剤として供給され得る。
【0105】
治療有効量の本明細書で開示した化合物を静脈、皮膚又は皮下注射によって投与する場合、組成物は、パイロジェンフリーの非経口的に許容される水溶液の形態にある。pH、等張性、安定性等を十分に考慮した、このような非経口的に許容される溶液の調製は、当技術分野の技術の範囲内である。静脈、皮膚又は皮下注射用の好ましい組成物は、典型的には、本明細書で開示した化合物に加えて等張性ビヒクルを含有する。そのような組成物は、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤と適切に混合された水中の遊離塩基又は薬理学的に許容される塩の溶液として投与するために調製され得る。グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物中並びに油中で分散液を調製することもできる。保存及び使用の通常の条件下において、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するために任意選択により保存剤を含有することができる。
【0106】
注射用組成物は、無菌の注射用の液剤、懸濁剤又は分散剤を即時に調製するための無菌の水溶液、懸濁液又は分散液及び無菌の粉末を含むことができる。全ての実施形態において、この形態は、無菌でなければならず、且つ容易な通針性が存在する程度まで流体でなければならない。それは、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、任意選択により保存剤を含めることにより、細菌及び真菌等の微生物の汚染作用に対抗しなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)、それらの好適な混合物及び植物油を含有する溶媒又は分散媒であり得る。考えられる一実施形態では、担体は、非水性又は実質的に非水性である。適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティング剤の使用、分散液の実施形態の場合に必要とされる粒径の維持及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物作用の予防は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によってもたらすことができる。多くの実施形態では、等張化剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延する作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物中での使用によってもたらすことができる。
【0107】
無菌の注射剤は、上で列記した種々の必要な他の成分と共に、必要量の活性化合物を適当な溶媒に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は、基本の分散媒体及び上で列挙した成分からの所望の他の成分を含有する無菌のビヒクルに、滅菌された様々な活性成分を組み込むことによって調製される。無菌の注射剤を調製するための無菌粉末の実施形態では、好ましい調製方法は、予め滅菌濾過したその溶液から活性成分と任意の追加の所望の成分の粉末を生じさせる真空乾燥及びフリーズドライの手法である。
【0108】
徐放性又は持続放出性製剤は、消化管内の体液と接触している活性化合物の制御された放出を行い、且つ血漿中の活性化合物に関して実質的に一定且つ有効なレベルを提供するためにも調製され得る。例えば、放出は、溶解、拡散及びイオン交換の1つ以上によって制御することができる。更に、徐放性アプローチは、消化管内の可飽和経路又は制限経路を介した吸収を増強し得る。例えば、化合物は、この目的のために、生分解性ポリマー、水溶性ポリマー又は両方の混合物と、任意選択により好適な界面活性剤とのポリマーマトリックスに包埋され得る。包埋とは、これに関連して、ポリマーのマトリックス中に微粒子を組み込むことを意味することができる。制御放出製剤は、既知の分散又はエマルジョンコーティング技術を介する分散微粒子又は乳化微小液滴のカプセル化によっても得られる。
【0109】
吸入による投与では、本発明の化合物は、好適な噴射剤を使用して、加圧パック又はネブライザーからのエアロゾルスプレー提供の形態で好都合に送達される。加圧エアロゾルの実施形態では、用量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定することができる。吸入器又は注入器で使用するための例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物と、ラクトース又はデンプン等の好適な粉末基剤との粉末混合物を含有するように製剤化することができる。
【0110】
本明細書で開示した化合物は、注射による(例えば、ボーラス注射又は連続注入による)非経口投与のために製剤化することができる。注射用製剤は、保存剤を添加した単位剤形(例えば、アンプル又は多用量容器)で提供することができる。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤又は乳剤等の形態を取ることができ、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤等の製剤化剤を含有することができる。
【0111】
非経口投与のための医薬製剤には、水溶性形態にある化合物の水溶液が含まれる。更に、化合物の懸濁剤は、適切な油性注射懸濁剤として調製することができる。好適な親油性溶媒又はビヒクルとしては、脂肪油又は合成脂肪酸エステルが挙げられる。水性注射懸濁剤は、懸濁剤の粘度を増加させる物質を含有することができる。任意選択的に、懸濁剤は、化合物の溶解度を増加させ、高度に濃縮された溶液の調製を可能にする好適な安定剤又は薬剤も含有し得る。代わりに、本発明の組成物は、使用前に好適なビヒクル(例えば、無菌のパイロジェンフリー水)で構成するための粉末形態であり得る。
【0112】
本明細書で開示した化合物は、坐薬又は停留浣腸(例えば、従来の坐薬基剤を含有する)等の直腸用組成物中に製剤化することもできる。先述した製剤に加えて、化合物は、デポ剤として製剤化することもできる。このような長時間作用の製剤は、(例えば、皮下又は筋肉内)注入によって又は筋肉内注射によって投与することができる。従って、例えば、化合物は、好適なポリマー若しくは疎水性材料(例えば、許容される油中の乳剤として)又はイオン交換樹脂で製剤化することができ、或いは難溶性誘導体、例えば難溶性の塩として製剤化することができる。
【0113】
特に、本明細書で開示した化合物は、デンプン若しくはラクトース等の賦形剤を含有する錠剤の形態において、単独で若しくは賦形剤との混合物のカプセル若しくはオビュール剤において、又は香味剤若しくは着色剤を含有するエリキシル剤若しくは懸濁液の形態において経口、口腔内又は舌下投与され得る。そのような液体製剤は、懸濁化剤等の薬学的に許容される添加剤を用いて調製することができる。化合物は、非経口的に、例えば静脈内、筋肉内、皮下又は冠動脈内に注射することもできる。非経口投与のために、化合物は、溶液を血液と等張にするために、他の物質、例えば塩又はマンニトール若しくはグルコース等の糖アルコールを含有することができる無菌水溶液の形態で最もよく使用される。
【0114】
獣医学的使用のために、本明細書で開示した化合物は、通常の獣医学的な実践に従い、適切に許容される製剤として投与される。獣医は、特定の動物に最も適切な投与計画及び投与経路を容易に決定することができる。
【0115】
一部の実施形態では、KRAS関連障害の治療において、本明細書で開示した化合物を単独で、又はそのような疾患の治療のために従来使用される別の薬剤若しくは介入と組み合わせて使用する、そのような治療に必要な全ての成分は、キットにパッケージ化することができる。具体的には、本発明は、本明細書で開示した化合物、並びに前記薬剤の送達可能な形態を調製するための緩衝液及び他の成分を含む薬剤並びに/又はそのような薬剤を送達するための器具、並びに/又は本明細書で開示した化合物との併用療法で使用される任意の薬剤、並びに/又は薬剤と共にパッケージ化された疾患の治療のための説明書のパッケージ化されたセットを含む、疾患の治療介入で使用するキットを提供する。説明書は、印刷された紙又はコンピュータ可読の磁気若しくは光学媒体等の任意の有形媒体に固定されるか、又はインターネットを介してアクセス可能なワールドワイドウェブのページ等のリモートコンピュータのデータソースを参照する説明書であり得る。
【0116】
「治療有効量」は、治療される対象の現存する症状を治療するか、進行を防止するか、又は軽減するのに有効な量を意味する。有効量の決定は、特に本明細書で提供する詳細な開示に照らせば、十分に当業者の能力の範囲内である。一般に、「治療有効用量」は、所望の効果をもたらす化合物の量を指す。例えば、好ましい一実施形態では、治療有効量の本明細書で開示した化合物は、対照と比較してKRAS活性を少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%又は少なくとも90%減少させる。
【0117】
投与される化合物の量は、治療される対象、対象の年齢、健康、性別及び体重、同時治療の種類(存在する場合)、疾患の重症度、所望の効果の性質、治療の様式及び頻度並びに処方する医師の判断に依存し得る。投与の頻度は、動脈の酸素圧力に対する薬力学的効果にも依存し得る。しかしながら、最も好ましい投与量は、必要以上の実験を行うことなく、当業者によって理解及び決定できるような量を個々の対象に合わせて調整することができる。これは、通常、標準用量の調節(例えば、患者が軽量体重である場合の用量の低減)を含む。
【0118】
個々の必要性は、変化するが、化合物の有効量の最適範囲の決定は、当技術分野の技術の範囲内である。本明細書で同定される状態及び障害の治癒的又は予防的治療におけるヒトへの投与では、例えば、本発明の化合物の典型的な投与量は、約0.05mg/kg/日~約50mg/kg/日、例えば、少なくとも0.05mg/kg、少なくとも0.08mg/kg、少なくとも0.1mg/kg、少なくとも0.2mg/kg、少なくとも0.3mg/kg、少なくとも0.4mg/kg、又は少なくとも0.5mg/kg、及び好ましくは50mg/kg以下、40mg/kg以下、30mg/kg以下、20mg/kg以下、又は10mg/kg以下とすることができ、これは、例えば、約2.5mg/日(0.5mg/kg×5kg)~約5000mg/日(50mg/kg×100kg)であり得る。例えば、本化合物の投与量は、約0.1mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約5mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.07mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.09mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約0.1mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約1mg/kg/日、約1mg/kg/日~約10mg/kg/日、約1mg/kg/日~約5mg/kg/日、約1mg/kg/日~約3mg/kg/日、約3mg/日~約1000mg/日、約5mg/日~約500mg/日、約10mg/日~約250mg/日、約3mg/日~約100mg/日又は約100mg/日~約250mg/日であり得る。このような用量は、単回用量で投与され得るか又は複数回用量に分割され得る。
【0119】
KRAS G12C阻害剤の使用方法
本開示は、RAS媒介性細胞シグナル伝達を阻害する方法であって、細胞と有効量の本明細書で開示した1種以上の化合物とを接触させるステップを含む方法を提供する。RAS媒介性シグナル伝達の阻害は、当技術分野で知られる広範囲の種々の方法によって評価し、証明することができる。非限定的な例としては、(a)RASのGTPase活性の減少;(b)GTP結合親和性の減少又はGDP結合親和性の増加;(c)GTPのKオフの増加又はGDPのKオフの減少;(d)pMEK、pERK又はpAKTレベルの減少等、RAS経路下流のシグナル伝達分子のレベルの減少;及び/又は(e)Rafを含むが、これに限定されない下流のシグナル伝達分子へのRAS複合体の結合の減少を示すことが挙げられる。上記の1つ以上を決定するために、キット及び市販のアッセイを利用することができる。
【0120】
本開示は、G12C KRAS、HRAS若しくはNRASの突然変異によって引き起こされた状態(例えば、がん)を含むが、これらに限定されない疾患状態を治療するために本開示の化合物若しくは医薬組成物を使用する方法も提供する。
【0121】
一部の実施形態では、がんを治療する方法であって、本明細書で開示した化合物を含む前述の医薬組成物の何れかの有効量をそれを必要とする対象に投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、がんは、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの突然変異によって媒介される。様々な実施形態では、がんは、膵臓がん、結腸直腸がん又は肺がんである。一部の実施形態では、がんは、胆嚢がん、甲状腺がん及び胆管がんである。
【0122】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象における障害を治療する方法であって、対象がKRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの突然変異を有するかどうかを決定するステップ、対象がKRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの突然変異を有すると決定される場合、治療有効量の本明細書で開示した少なくとも1つの化合物又はその薬学的に許容されるその塩を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0123】
開示した化合物は、足場非依存性の細胞増殖を阻害し、従って腫瘍の転移を阻害する可能性を有する。従って、本開示の別の実施形態は、腫瘍転移を阻害するための方法であって、有効量の本明細書で開示した化合物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0124】
KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの突然変異は、血液悪性腫瘍(例えば、血液、骨髄及び/又はリンパ節を冒すがん)でも同定されている。従って、特定の実施形態は、血液悪性腫瘍の治療を必要とする患者への開示した(例えば、医薬組成物の形態にある)化合物の投与に関する。そのような悪性腫瘍としては、白血病及びリンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本開示の化合物は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性単球性白血病(AMoL)及び/又は他の白血病等の疾患の治療に使用することができる。他の実施形態では、化合物は、ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫の全てのサブタイプ等のリンパ腫の治療に有用である。様々な実施形態では、化合物は、多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症等の形質細胞悪性腫瘍の治療に有用である。
【0125】
腫瘍若しくはがんがG12C KRAS、HRAS若しくはNRASの突然変異を含むかどうかの決定は、KRAS、HRAS若しくはNRASタンパク質をコードするヌクレオチド配列を評価することによって、KRAS、HRAS若しくはNRASタンパク質のアミノ酸配列を評価することによって、又は推定KRAS、HRAS若しくはNRAS突然変異体タンパク質の特性を評価することによって行うことができる。野生型ヒトKRAS、HRAS若しくはNRASの配列は当該技術分野で周知である(例えば、アクセッション番号NP203524)。
【0126】
KRAS、HRAS若しくはNRASのヌクレオチド配列の突然変異を検出する方法は、当業者に周知である。これらの方法には、ポリメラーゼ連鎖反応-制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応-一本鎖立体配座多型(PCR-SSCP)アッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、PCRシーケンシング、変異体対立遺伝子特異的PCR増幅(MASA)アッセイ、直接配列決定、プライマー伸長反応、電気泳動、オリゴヌクレオチド連結アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、TaqManアッセイ、SNP遺伝子型決定アッセイ、高分解能融解アッセイ及びマイクロアレイ分析が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、試料が、リアルタイムPCRによって、G12C KRAS、HRAS若しくはNRASの突然変異について評価される。リアルタイムPCRでは、KRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの突然変異に特異的な蛍光プローブが使用される。突然変異が存在すると、プローブは結合し、蛍光が検出される。一部の実施形態では、KRAS、HRAS若しくはNRAS G12Cの突然変異は、KRAS、HRAS若しくはNRASの遺伝子中の特定の領域(例えば、エクソン2及び/又はエクソン3)の直接シーケンシング法を用いて同定される。この手法は、配列決定された領域の全ての可能性がある突然変異を同定する。
【0127】
KRAS、HRAS若しくはNRASタンパク質における突然変異を検出する方法は、当業者には公知である。これらの方法は、変異タンパク質に特異的な結合剤(例えば、抗体)、タンパク質の電気泳動法及びウェスタンブロット法並びにペプチドの直接シーケンシングを使用する、KRAS、HRAS若しくはNRASの突然変異体の検出を含むが、これらに限定されない。
【0128】
腫瘍若しくはがんがG12C KRAS、HRAS若しくはNRASの突然変異を含むかどうかを決定する方法は、様々な試料を使用することができる。一部の実施形態では、試料は、腫瘍又はがんを有する対象から採取される。一部の実施形態では、試料は、新鮮な腫瘍/がん試料である。一部の実施形態では、試料は、冷凍された腫瘍/がん試料である。一部の実施形態では、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋試料である。一部の実施形態では、試料は、循環腫瘍細胞(CTC)試料である。一部の実施形態では、試料は、細胞溶解物へ処理される。一部の実施形態では、試料は、DNA又はRNAへ処理される。
【0129】
本開示は又、哺乳動物における過剰増殖性障害を治療する方法であって、治療有効量の本明細書で開示した化合物又はその薬学的に許容される塩を前記哺乳動物に投与するステップを含む方法に関する。一部の実施形態では、前記方法は、急性骨髄性白血病、青年期のがん、小児副腎皮質がん、AIDS関連がん(例えば、リンパ腫及びカポジ肉腫)、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、非定形奇形腫、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、非定型奇形腫、胚芽腫、胚細胞腫瘍、原発性リンパ腫、子宮頸がん、小児がん、脊索腫、心臓腫瘍、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性疾患、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、肝外非浸潤性乳管癌(DCIS)、胚芽腫、CNSがん、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼のがん、骨線維性組織球腫、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、心臓がん、肝臓がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、島細胞腫、膵神経内分泌腫瘍、腎臓がん、喉頭がん、口唇癌及び口腔がん、肝臓がん、上皮内小葉がん(LCIS)、肺がん、リンパ腫、原発不明転移性扁平上皮性頸部がん、中線管がん、口腔がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、多発性骨髄腫、メルケル細胞がん、悪性中皮腫、骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫、鼻腔及び副鼻腔がん、鼻咽腔がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、口腔がん、口唇及び口腔がん、口腔咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔及び鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、移行細胞がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、皮膚がん、胃がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、T細胞リンパ腫、精巣がん、咽喉がん、胸腺腫及び胸腺がん、甲状腺がん、腎盂及び尿管の移行細胞がん、絨毛性腫瘍、小児の異常がん、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん又はウイルス誘発癌等のがんに罹患した対象の治療に関する。一部の実施形態では、前記方法は、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄、又は前立腺(例えば、良性前立腺肥大(BPH))等の非がん性過剰増殖性障害の治療に関する。
【0130】
一部の実施形態では、治療法は肺がんを治療する方法であって、それを必要とする対象に有効量の上記の化合物(又はそれを含む医薬組成物)の何れかを投与するステップを含む方法に関する。特定の実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、腺がん、扁平上皮細胞肺がん又は大細胞肺がんである。一部の実施形態では、肺がんは、小細胞肺がんである。開示した化合物によって治療可能な他の肺がんには、腺管腫瘍、カルチノイド腫瘍及び未分化がんが含まれるが、これらに限定されない。
【0131】
本開示は、タンパク質を有効量の本開示の化合物と接触させるステップにより、G12C突然変異体であるKRAS、HRAS又はNRASタンパク質の活性を調節する方法を更に提供する。調節は、タンパク質の活性を阻害するか又は活性化させることができる。一部の実施形態では、本開示は、G12C突然変異体であるKRAS、HRAS又はNRASタンパク質を有効量の本開示の化合物と溶液中で接触させるステップにより、タンパク質の活性を阻害する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、対象のタンパク質を発現する細胞、組織又は器官を接触させるステップにより、G12C突然変異体であるKRAS、HRAS又はNRASタンパク質の活性を阻害する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、有効量の本開示の化合物を対象に投与することにより、限定されないが、げっ歯類及び哺乳類(例えば、ヒト)を含む対象のタンパク質の活性を阻害する方法を提供する。一部の実施形態では、調節のパーセンテージは、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%を超える。一部の実施形態では、阻害のパーセンテージは、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%を超える。
【0132】
一部の実施形態では、本開示は、細胞中でKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記細胞とKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの前記細胞中での活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物とを接触させるステップによる方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、組織内でKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記組織とKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの前記組織内での活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物とを接触させるステップによる方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、器官内でKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記器官とKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの前記器官内での活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物とを接触させるステップによる方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、動物の体内でのKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記動物とKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの前記動物体内での活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物とを接触させるステップによる方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、哺乳動物の体内でKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記哺乳動物とKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの前記哺乳動物体内での活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物とを接触させるステップによる方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、ヒトの体内でKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記ヒトとKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの前記ヒト体内での活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物とを接触させるステップによる方法を提供する。本開示は、そのような治療を必要とする対象の体内において、KRAS、HRAS又はNRAS G12C活性によって媒介される疾患を治療する方法を提供する。
【0133】
併用療法:
本開示は、他の経路若しくは同じ経路の他の成分を調節することが知られている薬剤又は更に標的酵素の重複するセットが本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて使用される、併用療法の方法も提供する。一態様では、そのような治療は、相乗的又は相加的な治療効果を提供するために、本開示の1種以上の化合物と化学療法剤、治療抗体及び放射線治療との組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0134】
現在、多くの化学療法剤が当技術分野で知られており、本開示の化合物と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、化学療法剤は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節剤、抗ホルモン剤、血管形成阻害剤及び抗アンドロゲン剤から成る群から選択される。非限定的な例は、化学療法薬、細胞毒性剤及びGleevec(登録商標)(イマチニブメシラート)、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、Casodex(ビカルタミド)、Iressa(登録商標)(ゲフィチニブ)、Venclexta(商標)(ベネトクラクス)及びAdriamycin(商標)(ドキソルビシン)等の非ペプチド小分子、並びに化学療法薬の宿主である。化学療法薬の非限定的な例としては、チオテパ及びシクロホスファミド(Cytoxan(商標))等のアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン等のアルキルスルホネート;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ及びウレドーパ等のアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチルオロメラミンを含むエチレンイミン及びメチラメラミン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロシクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン等のニトロソ尿素;アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(アンスラマイシン)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、Casodex(商標)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトロフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン等の抗生物質;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)等の代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート等の葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスリジン等のピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン等の抗副腎剤;フロリン酸等の葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル及びドセタキセル;レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;並びに上記の何れかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体が挙げられる。
【0135】
更に、好適な化学療法細胞コンディショナーとして含まれるのは、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するために作用する、例えばタモキシフェン、(Nolvadex(商標))、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン及びトレミフェン(フェアストン)を含む抗エストロゲン;並びにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリン等の抗アンドロゲン;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチン等のプラチナ類似体;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;カンプトテシン-11(CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)等の抗ホルモン剤である。
【0136】
所望であれば、本開示の化合物又は医薬組成物は、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Taxotere(登録商標)、ABVD、AVICINE、アバゴボマブ、アクリジンカルボキサミド、アデカツムマブ、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、アルファラジン、アルボシジブ、3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、アモナフィド、アントラセンジオン、抗CD22免疫毒素、抗腫瘍薬、抗腫瘍性ハーブ、アパジコン、アチプリモド、アザチオプリン、ベロテカン、ベンダムスチン、BIBW2992、ビリコダール、ブロスタリシン、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシミン、CBV(化学療法)、カリクリン、細胞周期非特異的抗腫瘍剤、ジクロロ酢酸、ジスコデルモリド、エルサミトルシン、エノシタビン、エポチロン、エリブリン、エベロリムス、エクサテカン、エクシスリンド、フェルギノール、フォロデシン、ホスフェストロール、ICE化学療法レジメン、IT-101、イメキソン、イミキモド、インドロカルバゾール、イロフルベン、ラニキダール、ラロタキセル、レナリドミド、ルカントーン、ルルトテカン、マホスファミド、ミトゾロミド、ナホキシジン、ネダプラチン、オラパリブ、オルタキセル、PAC-1、ポーポー、ピキサントロン、プロテアソーム阻害剤、レベカマイシン、レシキモド、ルビテカン、SN-38、サリノスポラミドA、サパシタビン、スタンフォードV、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダール、テガフール-ウラシル、テモダール、テセタキセル、四硝酸トリプラチン、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロキサシタビン、ウラムスチン、バジメザン、ビンフルニン、ZD6126又はゾスキダル等の一般に処方されている抗がん剤と併用することができる。
【0137】
本開示は更に、哺乳動物の異常な細胞増殖を阻害するために、又は過剰増殖障害を治療するために、本明細書で提供する化合物若しくは医薬組成物と放射線療法とを併用する方法に関する。放射線療法を施すための手法は、当技術分野で公知であり、それらの手法は、本明細書に記載の併用療法で使用することができる。この併用療法における本開示の化合物の投与は、本明細書に記載のようにして決定することができる。
【0138】
放射線療法は、外部ビーム療法、内部放射線療法、組織内照射、定位放射線手術、全身放射線療法、放射線療法及び永続的若しくは一時的組織内小線源療法を含む、数種の方法のうちの1つ、又はこれらの方法の組み合わせによって施すことができるが、これらに限定されない。本明細書で使用する用語「小線源療法」は、腫瘍若しくは他の増殖性組織疾患部位の、又はその付近で身体に挿入された、空間的に制限された放射性物質によって送達される放射線療法を指す。この用語は、制限なく、放射性同位元素(例えば、At-211、I-131、I-125、Y-90、Re-186、Re-188、Sm-153、Bi-212、P-32及びLuの放射性同位元素)への曝露を含むことが意図されている。本開示の細胞コンディショナーとして使用するために好適な放射線源は、固体及び液体の両方を含む。非限定的な例として、放射線源は、固体源としてのI-125、I-131、Yb-169、Ir-192、固体源としてのI-125等の放射性核種又は光子、β粒子、γ線若しくは他の治療線を放出する他の放射性核種であり得る。放射性物質は、放射性核種の任意の溶液、例えばI-125若しくはI-131の溶液から作製される流体であり得るか、又は放射性流体は、Au-198、Y-90等の固体放射性核種の微小粒子を含む好適な流体のスラリーを使用して製造され得る。更に、放射性核種は、ゲル又は放射性のミクロスフェアとして具体化することができる。
【0139】
本開示の化合物又は医薬組成物は、抗血管形成剤、シグナル伝達阻害剤、抗増殖剤、解糖阻害剤又はオートファジー阻害剤から選択されるある量の1種以上の物質と組み合わせて使用することができる。
【0140】
MMP-2(マトリックス-メタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP-9(マトリックス-メタロプロテイナーゼ9)阻害剤及びCOX-11(シクロオキシゲナーゼ11)阻害剤等の抗血管形成剤は、本開示の化合物及び本明細書に記載の医薬組成物と併用することができる。抗血管形成剤には、例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、ソラフェニブ、スニチニブ及びベバシズマブが含まれる。有用なCOX-II阻害剤の例としては、アレコキシブ、バルデコキシブ及びロフェコキシブが挙げられる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、国際公開第96/33172号パンフレット、同第96/27583号パンフレット、欧州特許出願公開第0818442号明細書、同第1004578号明細書、国際公開第98/07697号パンフレット、同第98/03516号パンフレット、同第98/34918号パンフレット、同第98/34915号パンフレット、同第98/33768号パンフレット、同第98/30566号パンフレット、欧州特許出願公開第606046号明細書、同第931788号明細書、国際公開第90/05719号パンフレット、同第99/52910号パンフレット、同第99/52889号パンフレット、同第99/29667号パンフレット、同第1999007675号パンフレット、欧州特許出願公開第1786785号明細書、同第1181017号明細書、米国特許出願公開第20090012085号明細書、同第5863 949号明細書、同第5861510号明細書及び欧州特許出願公開第0780386号明細書に記載されており、これらの全ては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。好ましいMMP-2及びMMP-9阻害剤は、MMP-1を阻害する活性を殆ど又は全く有していない阻害剤である。より好ましいのは、他のマトリックスメタロプロテイナーゼ(即ち、MAP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12及びMMP-13)に比較して、MMP-2及び/又はAMP-9を選択的に阻害する阻害剤である。本開示で有用なMMP阻害剤の一部の特定の例は、AG-3340、RO32-3555及びRS13-0830である。
【0141】
本化合物は更に又、エースマンナン、アクラルビシン、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、ANCER、アンセスチン、ARGLABIN、三酸化ヒ素、BAM002(Novelos)、ベキサロテン、ビカルタミド、ブロクスウリジン、カペシタビン、セルモロイキン、セトロレリクス、クラドリビン、クロトリマゾール、シタラビンオクホスファート、DA3030(Dong-A)、ダシリツマブ、デニロイキンジフチトクス、デスロレリン、デクスラゾキサン、ジラゼプ、ドセタキセル、ドコサノール、ドキセルカルシフェロール、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ブロモクリプチン、カルムスチン、シタラビン、フルオロウラシル、HITジクロフェナク、インターフェロンα、ダウノルビシン、ドキソルビシン、トレチノイン、エデルフォシン、エドレコロマブ、エフロールニチン、エミテフール、エピルビシン、エポエチンβ、リン酸エトポシド、エキセメスタン、エクシスリンド、ファドロゾール、フィルグラスチム、フィナステリド、リン酸フルダラビン、フォルメスタン、フォテムスチン、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、ゲムツズマブゾガマイシン、ギメラシル/オテラシル/テガフール配合剤、グリコピン(glycopine)、ゴセレリン、ヘプタプラチン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎児性α-フェトプロテイン、イバンドロン酸、イダルビシン、(イミキモド、インターフェロンα、天然型インターフェロンα、インターフェロンα-2、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-N1、インターフェロンα-n3、インターフェロンアルファコン-1、天然型インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ-1b、インターフェロンγ、天然型インターフェロンγ-1a、インターフェロンγ-1b、インターロイキン-1β、イオベングアン、イリノテカン、イルソグラジン、ランレオチド、LC9018(Yakult)、レフルノミド、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レトロゾール、白血球αインターフェロン、リュープロレリン、レバミソール+フルオロウラシル、リアロゾール、ロバプラチン、ロニダミン、ロバスタチン、マソプロコル、メラルソプロール、メトクロプラミド、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミスマッチ二本鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトキサントロン、モルグラモスチム、ナファレリン、ナロキソン+ペンタゾシン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ニルタミド、ノスカピン、新規赤血球産生刺激タンパク質製剤、NSC631570オクトレオチド、オプレルベキン、オサテロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロン酸、ペグアスパラガーゼ、ペグインターフェロンα-2b、ポリ硫酸ペントサンナトリウム、ペントスタチン、ピシバニル、ピラルビシン、ウサギの抗胸腺細胞ポリクローナル抗体、ポリエチレングリコールインターフェロンα-2a、ポルフィマーナトリウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラスブリエンボディメント(rasburiembodiment)、エチドロン酸レニウムRe186、RIIレチンアミド、リツキシマブ、ロムルチド、サマリウム(153Sm)レキシドロナム、サルグラモスチム、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソネルミン、塩化ストロンチウム-89、スラミン、タソネルミン、タザロテン、テガフール、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、サリドマイド、チマルファシン、チロトロピンα、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ-ヨウ素131、トラスツズマブ、トレオサルファン、トレチノイン、トリロスタン、トリメトレキセート、トリプトレリン、天然型腫瘍壊死因子α、ウベニメクス、膀胱がんワクチン、丸山ワクチン、黒色腫溶解液ワクチン、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、VIRULIZIN(登録商標)、ジノスタチンスチマラマー若しくはゾレドロン酸;アバレリクス;AE941(Aeterna)、アンバムスチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、bcl-2(Genta)、APC8015(Dendreon)、セツキシマブ、デシタビン、デクスアミノグルテチミド、ジアジクオン、EL532(Elan)、EM800(Endorecherche)、エニルウラシル、エタニダゾール、フェンレチニド、フィルグラスチムSD01(Amgen)、フルベストラント、ガロシタビン、ガストリン17免疫抗原、HLA-B7遺伝子療法(Vical)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒスタミン二塩酸塩、イブリツモマブチウキセタン、イロマスタット、IM862(Cytran)、インターロイキン-2、イプロキシフェン、LDI200(Milkhaus)、レリジスチム、リンツズマブ、CA125MAb(Biomira)、がん MAb(Japan Pharmaceutical Development)、HER-2及びFcMAb(Medarex)、イディオタイプ105AD7 MAb(CRC Technology)、イディオタイプCEA MAb(Trilex)、LYM-1-ヨウ素131 MAb(Techniclone)、多型性上皮ムチン-イットリウム90 MAb(Antisoma)、マリマスタット、メノガリル、ミツモマブ、モテキサフィンガドリニウム、MX6(Galderma)、ネララビン、ノラトレキセド、P30タンパク質、ペグビソマント、ペメトレキセド、ポルフィロマイシン、プリノマスタット、RL0903(Shire)、ルビテカン、サトラプラチン、フェニル酢酸ナトリウム、スパルホス酸、SRL172(SR Pharma)、SU5416(SUGEN)、TA077(Tanabe)、テトラチオモリブデート、タリブラスチン、トロンボポエチン、スズエチルエチオプルプリン、チラパザミン、がんワクチン(Biomira)、黒色腫ワクチン(New York University)、黒色腫ワクチン(Sloan Kettering Institute)、黒色腫縮退性ワクチン(New York Medical College)、ウイルス性黒色腫細胞溶解物ワクチン(Royal Newcastle Hospital)又はバルスポダール等の、他の抗腫瘍薬との併用療法で使用してもよい。
【0142】
本発明の化合物は更に、VEGFR阻害剤と共に使用し得る。併用療法では、以下の特許及び特許出願に記載されている他の化合物を使用することができる:米国特許第6,258,812号明細書、米国特許出願公開第2003/0105091号明細書、国際公開第01/37820号パンフレット、米国特許第6,235,764号明細書、国際公開第01/32651号パンフレット、米国特許第6,630,500号明細書、同第6,515,004号明細書、同第6,713,485号明細書、同第5,521,184号明細書、同第5,770,599号明細書、同第5,747,498号明細書、国際公開第02/68406号パンフレット、同第02/66470号パンフレット、同第02/55501号パンフレット、同第04/05279号パンフレット、同第04/07481号パンフレット、同第04/07458号パンフレット、同第04/09784号パンフレット、同第02/59110号パンフレット、同第99/45009号パンフレット、同第00/59509号パンフレット、同第99/61422号パンフレット、米国特許第5,990,141号明細書、国際公開第00/12089号パンフレット及び同第00/02871号パンフレット。
【0143】
一部の実施形態では、併用薬は少なくとも1種の抗血管新生薬と組み合わせた本発明の組成物を含む。薬剤は、インビトロで合成により調製された化学組成物、抗体、抗原結合領域、放射性核種並びにそれらの組み合わせ及び抱合体を含むが、これらに限定されない。薬剤は、アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリック調節因子、毒素であり得るか、又はより一般的には、その標的を阻害又は刺激(例えば、受容体若しくは酵素の活性化又は阻害)するように作用し得、それにより細胞死を促進するか又は細胞増殖を停止し得る。
【0144】
例示的な抗血管形成剤には、ERBITUX(商標)(IMC-C225)、KDR(キナーゼドメイン受容体)阻害剤(例えば、キナーゼドメイン受容体に特異的に結合する抗体及び抗原結合領域)、AVASTIN(商標)若しくはVEGF-TRAP(商標)等の抗VEGF剤(例えば、VEGF又は可溶性VEGF受容体若しくはそのリガンド結合領域に特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)及び抗VEGF受容体薬(例えば、それに特異的に結合する、抗体又は抗原結合領域)、Vectibix(パニツムマブ)、IRESSA(商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(商標)(エルロチニブ)等のEGFR阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)、抗Ang1及び抗Ang2剤(例えば、それらに又はそれらの受容体、例えばTie2/Tekに特異的に結合する抗体及び抗原結合領域)及び抗Tie2キナーゼ阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)が含まれる。本発明の医薬組成物は、特異的に結合し、増殖因子の活性を阻害する1種以上の薬剤(例えば、抗体、抗原結合領域又は可溶性受容体)、例えばその受容体「c-met」に特異的に結合する肝細胞増殖因子(HGF、分散因子としても知られる)のアンタゴニスト及び抗体又は抗原結合領域等を含むこともできる。
【0145】
他の抗血管形成剤には、Campath、IL-8、B-FGF、Tekアンタゴニスト(Cerettiら、米国特許出願公開第2003/0162712号明細書;米国特許第6,413,932号明細書)、抗TWEAK剤(例えば、特異的に結合する抗体又は抗原結合領域又は可溶性TWEAK受容体アンタゴニスト;Wiley、米国特許第6,727,225号明細書を参照されたい)、インテグリンのそのリガンドへの結合に拮抗するADAMジスインテグリンドメイン(Fanslowら、米国特許出願公開第2002/0042368号明細書)、特異的に結合する抗eph受容体及び/若しくは抗エフリン抗体又は抗原結合領域(米国特許第5,981,245号明細書;同第5,728,813号明細書;同第5,969,110号明細書;同第6,596,852号明細書;同第6,232,447号明細書;同第6,057,124号明細書及びそれらの特許ファミリーのメンバー)及び抗PDGF-BBアンタゴニスト(例えば、特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)並びにPDGF-BBリガンドに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域及びPDGFRキナーゼ阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)が含まれる。
【0146】
更なる抗血管形成/抗腫瘍剤には、以下のものが含まれる:SD-7784(Pfizer,USA);シレンジタイド(Merck KGaA,Germany,EPO 770622);ペガブタニブ八ナトリウム(Gilead Sciences,USA);アルファスタチン(BioActa,UK);M-PGA(Celgene,USA、米国特許第5712291号明細書);イロマスタット(Arriva,USA、米国特許第5892112号明細書);エマキサニブ(Pfizer,USA、米国特許第5792783号明細書);バタラニブ(Novartis,Switzerland);2-メトキシエストラジオール(EntreMed,USA);TLC ELL-12(Elan,Ireland);アネコルタブ酢酸(Alcon,USA);α-D148Mab(Amgen,USA);CEP-7055(Cephalon,USA);抗Vn Mab(Crucell,Netherlands)DAC:抗血管形成剤(ConjuChem,Canada);アンジオシジン(InKine Pharmaceutical,USA);KM-2550(協和発酵、日本);SU-0879(Pfizer,USA);CGP-79787(Novartis,Switzerland、欧州特許第970070号明細書);ARGENT technology(Ariad,USA);YIGSR-ステルス(Johnson&Johnson,USA);フィブリノーゲン-E断片(BioActa,UK);血管新生阻害剤(Trigen,UK);TBC-1635(Encysive Pharmaceuticals,USA);SC-236(Pfizer,USA);ABT-567(Abbott,USA);メタスタチン(EntreMed,USA);血管新生抑制剤(Tripep,Sweden);マスピン(そーせい、日本);2-メトキシエストラジオール(Oncology Sciences Corporation,USA);ER-68203-00(IVAX,USA);ベネフィン(Lane Labs,USA);Tz-93(ツムラ、日本);TAN-1120(武田薬品、日本);FR-111142(フジサワ、日本、JP02233610);血小板第4因子(RepliGen,USA、欧州特許第407122号明細書);血管内皮成長因子拮抗剤(Borean,Denmark);ベバシズマブ(pINN)(Genentech,USA);血管新生阻害剤(SUGEN,USA);XL 784(Exelixis,USA);XL 647(Exelixis,USA);MAb,α5β3インテグリン,第二世代(Applied Molecular Evolution,USA and MedImmune,USA);遺伝子治療、網膜症(Oxford BioMedica,UK);塩酸エンザスタウリン(USAN)(Lilly,USA);CEP 7055(Cephalon,USA and Sanofi-Synthelabo,France);BC 1(Genoa Institute of Cancer Research,Italy);血管新生阻害剤(Alchemia,Australia);VEGF拮抗剤(Regeneron,USA);rBPI 21及びBPI由来の抗血管新生剤(XOMA,USA);PI 88(Progen,Australia);シレンギチド(pINN)(Merck KGaA,German;Munich Technical University,Germany,Scripps Clinic and Research Foundation,USA);セツキシマブ(INN)(Aventis,France);AVE 8062(味の素、日本);AS 1404(Cancer Research Laboratory,New Zealand);SG 292(Telios,USA);エンドスタチン(Boston Childrens Hospital,USA);ATN 161(Attenuon,USA);アンジオスタチン(Boston Childrens Hospital,USA);2-メトキシエストラジオール(Boston Childrens Hospital,USA);ZD 6474(AstraZeneca,UK);ZD 6126(Angiogene Pharmaceuticals,UK);PPI 2458(Praecis,USA);AZD 9935(AstraZeneca,UK);AZD 2171(AstraZeneca,UK);バタラニブ(pINN)(Novartis,Switzerland and Schering AG,Germany);組織因子経路阻害剤(EntreMed,USA);ペガプタニブ(Pinn)(Gilead Sciences,USA);キサントリゾール(Yonsei University,South Korea);遺伝子ベースのワクチン、VEGF-2(Scripps Clinic and Research Foundation,USA);SPV5.2(Supratek,Canada);SDX 103(University of California at San Diego,USA);PX 478(ProlX,USA);METASTATIN(EntreMed,USA);トロポニンI(Harvard University,USA);SU 6668(SUGEN,USA);OXI 4503(OXiGENE,USA);o-グアニジン(Dimensional Pharmaceuticals,USA);モツポラミンC(British Columbia University,Canada);CDP 791(Celltech Group,UK);アチプリモド(pINN)(GlaxoSmithKline,UK);E7820(エーザイ、日本);CYC381(Harvard University,USA);AE941(Aeterna,Canada);ワクチン,血管新生(EntreMed,USA);ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(Dendreon,USA);オグルファニド(pINN)(Melmotte,USA);HIF-1α阻害剤(Xenova,UK);CEP 5214(Cephalon,USA);BAY RES 2622(Bayer,Germany);アンジオシジン(InKine,USA);A6(Angstrom,USA);KR 31372(Korea Research Institute of Chemical Technology,South Korea);GW 2286(GlaxoSmithKline,UK);EHT 0101(ExonHit,France);CP 868596(Pfizer,USA);CP 564959(OSI,USA);CP 547632(Pfizer,USA);786034(GlaxoSmithKline,UK);KRN 633(キリンブルワリー、日本);薬物送達系、眼内、2-メトキシエストラジオール(EntreMed,USA);アンジネックス(Maastricht University,Netherlands、及びMinnesota University,USA);ABT 510(Abbott,USA);AAL 993(Novartis,Switzerland);VEGI(ProteomTech,USA);腫瘍壊死因子α阻害剤(National Institute on Aging,USA);SU 11248(Pfizer,USA及びSUGEN USA);ABT 518(Abbott,USA);YH 16(Yantai Rongchang,China);S-3APG(Boston Childrens Hospital,USA及びEntreMed,USA);MAb、KDR(ImClone Systems,USA);MAb、α5β1(Protein Design,USA);KDRキナーゼ阻害剤(Celltech Group,UK及びJohnson&Johnson,USA);GFB 116(South Florida University,USA及びYale University,USA);CS 706(三共医薬品、日本);コンブレタスタチンA4プロドラッグ(Arizona State University,USA);コンドロイチン分解酵素AC(IBEX,Canada);BAY RES 2690(Bayer,Germany);AGM 1470(Harvard University,USA、武田薬品、日本及びTAP,USA);AG 13925(Agouron,USA);テトラチオモリブデート(University of Michigan,USA);GCS 100(Wayne State University,USA);CV 247(Ivy Medical,UK);CKD 732(Chong Kun Dang,South Korea);MAb,血管内皮増殖因子(Xenova,UK);イルソグラジン(INN)(日本新薬、日本);RG 13577(Aventis,France);WX 360(Wilex,Germany);スクアラミン(pIN)(Genaera,USA);RPI 4610(Sirma,USA);がんセラピー(Marinova,Australia);ヘパラナーゼ阻害剤(InSight,Israel);KL 3106(Kolon,South Korea);ホオノキオール(Emory University,USA);ZK CDK(Schering AG,Germany);ZK Angio(Schering AG,Germany);ZK 229561(Novartis,Switzerland及びSchering AG,Germany);XMP 300(XOMA,USA);VGA 1102(大正製薬、日本);VEGF受容体調節薬(Pharmacopeia,USA);VE-カドヘリン-2拮抗剤(ImClone Systems,USA);バソスタチン(National Institutes of Health,USA);ワクチン、Flk-1(ImClone Systems,USA);TZ 93(ツムラ、日本);タムスタチン(Beth Israel Hospital,USA);切断型可溶性FLT 1(血管内皮成長因子受容体1)(Merck&Co,USA);Tie-2リガンド(Regeneron,USA);及び、トロンボスポンジン1阻害剤(Allegheny Health,Education and Research Foundation,USA)。
【0147】
オートファジー阻害剤にはクロロキン、3-メチルアデニン、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))、バフィロマイシンA1、5-アミノ-4イミダゾールカルボキサミドリボシド(AICAR)、オカダ酸、2A型又は1型のタンパク質ホスファターゼを阻害するオートファジー抑制藻類毒素、cAMPの類似体並びにアデノシン、LY204002、N6-メルカプトプリンリボシド及びビンブラスチン等のcAMPレベルを上昇させる薬剤が含まれるが、これらに限定されない。更に、ATG5(オートファジーに関与する)(これに限定されない)を含むタンパク質の発現を阻害するアンチセンス又はsiRNAも又使用し得る。
【0148】
がんの治療において使用できる、及び本発明の1種以上の化合物と組み合わせて使用できる追加の薬学的に活性な化合物/薬剤としては:エポエチンα;ダルベポエチンα;パニツヌマブ;ペグフィルブラスチム;パリフェルミン;フィルグラスチム;デノスマブ;アンセスチン;AMG102;AMG176;AMG386;AMG479;AMG655;AMG745;AMG951;及びAMG706又はそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0149】
特定の実施形態では、本明細書で提供する組成物は、化学療法剤と併用して投与される。適切な化学療法剤は、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビンオレルビン)等の天然産物、パクリタキセル、エピジポドフィロトキシン(例えば、エトポシド及びテニポシド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシン、酵素(例えば、L-アスパラギンを全身的に代謝し、自身のアスパラギンを合成する能力を有さない細胞から奪い去るL-アスパラギナーゼ)、抗血小板剤、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド及び類似体、メルファラン並びにクロラムブシル)等の抗増殖性/抗有糸分裂性アルキル化剤、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、CDK阻害剤(例えば、セリシクリブ、UCN-01、P1446A-05、PD-0332991、ジナシクリブ、P27-00、AT-7519、RGB286638及びSCH727965)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン(BCNU)及び類似体、並びにストレプトゾシン)、トラゼン-ダカルバジン(DTIC)、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)等の抗増殖性/抗有糸分裂性代謝拮抗剤、ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン及びシタラビン)、プリン類似体及び関連阻害剤(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2-クロロデオキシアデノシン)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、エキセメスタン及びレトロゾール)、及び白金配位錯体(例えば、シスプラチン及びカルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(例えば、トリコスタチン、酪酸ナトリウム、アピシダン、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、ボリノスタット、LBH589、ロミデプシン、ACY-1215及びパノビノスタット)、mTor阻害剤(例えば、テムシロリムス、エベロリムス、リダホロリムス及びシロリムス)、KSP(Eg5)阻害剤(例えば、Array 520)、DNA結合剤(例えば、ザリプシス)、PI3Kδ阻害剤(例えば、GS-1101及びTGR-1202)、PI3Kδ及びγ阻害剤(例えば、CAL-130)、マルチキナーゼ阻害剤(例えば、TG02及びソラフェニブ)、ホルモン(例えば、エストロゲン)及び黄体ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト(例えば、ゴセレリン、ロイプロリド及びトリプトレリン)等のホルモンアゴニスト、BAFF中和抗体(例えば、LY2127399)、IKK阻害剤、p38MAPK阻害剤、抗IL-6(例えば、CNTO328)、テロメラーゼ阻害剤(例えば、GRN163L)、オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、MLN8237)、細胞表面モノクローナル抗体(例えば、抗CD38(HUMAX-CD38)、抗CS1(例えば、エロツズマブ)、HSP90阻害剤(例えば、17AAG及びKOS953)、P13K/Akt阻害剤(例えば、ペリフォシン)、Akt阻害剤(例えば、GSK-2141795)、PKC阻害剤(例えば、エンザスタウリン)、FTI(例えば、Zarnestra(商標))、抗CD138(例えば、BT062)、Torc1/2特異的キナーゼ阻害剤(例えば、INK128)、キナーゼ阻害剤(例えば、GS-1101)、ER/UPR標的剤(例えば、MKC-3946)、cFMS阻害剤(例えば、ARRY-382)、JAK1/2阻害剤(例えば、CYT387)、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ及びベリパリブ(ABT-888))、BCL-2アンタゴニストを含み得る。他の化学療法剤としては、メクロレタミン、カンプトテシン、イホスファミド、タモキシフェン、ラロキシフェン、ゲムシタビン、ナベルビン、ソラフェニブ、又は上記の任意の類似体若しくは誘導変異体を挙げることができる。
【0150】
本発明の化合物は更に、当業者には周知である放射線療法、ホルモン療法、手術及び免疫療法と組み合わせて使用され得る。
【0151】
特定の実施形態では、本明細書で提供する医薬組成物はステロイドと併用して投与される。適切なステロイドは、21-アセトキシプレグノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニソン、クロベタゾール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、フォルモコルタル、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25-ジエチルアミノアセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトル、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド並びにそれらの塩及び/又は誘導体を含み得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本発明の化合物は又、悪心を治療する追加の薬学的に活性な薬剤と併用して使用することができる。悪心を治療するために使用され得る薬剤の例としては、次の:ドロナビノール;グラニセトロン;メトクロプラミド;オンダンセトロン;及びプロクロルペラジン;又はそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0152】
本発明の化合物は、更にRAS-RAF-ERK若しくはPI3K-AKT-TORシグナル伝達経路を中断させるか又は阻害する追加の薬学的に活性な化合物と組み合わせても使用され得る。他のそのような組み合わせにおいて、追加の薬学的に活性な化合物は、PD-1及びPD-L1アンタゴニストである。本開示の化合物又は医薬組成物は、EGFR阻害剤、MEK阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、TOR阻害剤、Mcl-1阻害剤、BCL-2阻害剤、SHP2阻害剤、プロテアソーム阻害剤並びにモノクローナル抗体、免疫調節イミド(IMiD)、抗PD-1、抗PDL-1、抗CTLA4、抗LAG1及び抗OX40剤を含む免疫療法剤、GITRアゴニスト、CAR-T細胞並びにBiTEから選択されるある量の1種以上の物質と組み合わせても使用され得る。
【0153】
EGFR阻害剤としては、小分子アンタゴニスト、抗体阻害剤又は特異的アンチセンスヌクレオチド若しくはsiRNAが挙げられるが、これらに限定されない。EGFRの有用な抗体阻害剤としては、セツキシマブ(Erbitux)、パニツマブ(Vectibix)、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブが挙げられる。EGFRの小分子アンタゴニストとしては、ゲフィチニブ、エルロチニブ(Tarceva)及び最近ではラパチニブ(TykerB)が挙げられる。例えば、Yan L,et.al.,Pharmacogenetics and Pharmacogenomics In Oncology Therapeutic Antibody Development,BioTechniques 2005;39(4):565-8及びPaez J G,et.al.,EGFR Mutations In Lung Cancer Correlation With Clinical Response To Gefitinib Therapy,Science 2004;304(5676):1497-500を参照されたい。
【0154】
小分子EGFR阻害剤の非限定的な例としては、以下の特許公報に記載されているEGFR阻害剤及び前記EGFR阻害剤の薬学的に許容される全ての塩及び溶媒和物の何れかが挙げられる:1992年12月30日に公開された欧州特許出願公開第520722号明細書;1993年10月20日に公開された欧州特許出願公開第566226号明細書;1996年10月31日に公開された国際公開第96/33980号パンフレット;1998年5月5日に発行された米国特許第5,747,498号明細書;1996年10月3日に公開された国際公開第96/30347号パンフレット;1997年8月6日に公開された欧州特許出願公開第787772号明細書;1997年8月21日に公開された国際公開第97/30034号パンフレット;1997年8月21日に公開された同第97/30044号パンフレット;1997年10月23日に公開された同第97/38994号パンフレット;1997年12月31日に公開された同第97/49688号パンフレット;1998年4月22日に公開された欧州特許出願公開第837063号明細書;1998年1月22日に公開された国際公開第98/02434号パンフレット;1997年10月23日に公開された同第97/38983号パンフレット;1995年7月27日に公開された同第95/19774号パンフレット;1995年7月27日に公開された同第95/19970号パンフレット;1997年4月17日に公開された同第97/13771号パンフレット;1998年1月22日に公開された同第98/02437号パンフレット;1998年1月22日に公開された同第98/02438号パンフレット;1997年9月12日に公開された同第97/32881号パンフレット;1998年1月29日に公開された独国特許出願公開第19629652号明細書;1998年8月6日に公開された国際公開第98/33798号パンフレット;1997年9月12日に公開された同第97/32880号パンフレット;1997年9月12日に公開された同第97/32880号パンフレット;1995年11月15日に公開された欧州特許出願公開第682027号明細書;1997年1月23日に公開された国際公開第97/02266号パンフレット;1997年7月31日に公開された同第97/27199号パンフレット;1998年2月26日に公開された同第98/07726号パンフレット;1997年9月25日に公開された同第97/34895号パンフレット;1996年10月10日に公開された同第96/31510号パンフレット;1998年4月9日に公開された同第98/14449号パンフレット;1998年4月9日に公開された同第98/14450号パンフレット;1998年4月9日に公開された同第98/14451号パンフレット;1995年4月13日に公開された同第95/09847号パンフレット;1997年5月29日に公開された同第97/19065号パンフレット;1998年4月30日に公開された同第98/17662号パンフレット;1998年8月4日に発行された米国特許第5,789,427号明細書;1997年7月22日に発行された同第5,650,415号明細書;1997年8月12日に発行された同第5,656,643号明細書;1999年7月15日に公開された国際公開第99/35146号パンフレット;1999年7月15日に公開された同第99/35132パンフレット;1999年2月18日に公開された同第99/07701パンフレット及び1992年11月26日に公開された同第92/20642パンフレット。小分子EGFR阻害剤のさらなる非限定的な例には、Traxler,P.,1998,Exp.Opin.Ther.Patents 8(12):1599-1625に記載の何れかのEGFR阻害剤が含まれる。
【0155】
抗体ベースのEGFR阻害剤には、その天然リガンドにより、EGFR活性化を部分的又は完全に遮断することができる任意の抗EGFR抗体又は抗体断片が含まれる。抗体ベースのEGFR阻害剤の非限定的な例には、Modjtahedi,H.,et al.,1993,Br.J.Cancer 67:247-253;Teramoto,T.,et al.,1996,Cancer 77:639-645;Goldstein et al.,1995,Clin.Cancer Res.1:1311-1318;Huang,S.M.,et al.,1999,Cancer Res.15:59(8):1935-40;及びYang,X.,et al.,1999,Cancer Res.59:1236-1243に記載されているものが挙げられる。従って、EGFR阻害剤は、モノクローナル抗体Mab E7.6.3(Yang、1999、前出)若しくはMab C225(ATCCアクセッション番号HB-8508)又はその結合特異性を有する抗体若しくは抗体断片であり得る。
【0156】
MEK阻害剤には、トレメチニブ(Mekinist(登録商標)、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、ARRY-142886、ARRY-438162及びPD-325901が含まれるがそれらに限定されない。
【0157】
PI3K阻害剤には、国際公開第06/044453号パンフレットに記載されたウォルトマンニン、17-ヒドロキシウォルトマンニン類似体、(GDC 0941としても知られ、国際公開第09/036,082号パンフレット及び同第09/055,730号パンフレットに記載された)4-[2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル]メチル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル]モルホリン、(BEZ235又はNVP-BEZ235としても知られ、国際公開第06/122806号パンフレットに記載された)2-メチル-2-[4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]フェニル]プロピオニトリル、(国際公開第2008/070740号パンフレットに記載された)(S)-1-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパン-1-オン、LY294002(2-(4-モルホリニル)-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-4-オン、Axon Medchemから入手可能)、PI103塩酸塩(3-[4-(4-モルホリニルピリド-[3’,2’:4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル]フェノール塩酸塩、Axon Medchemから入手可能)、PIK 75(N’-[(1E)-(6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル)メチレン]-N,2-ジメチル-5-ニトロベンゼンスルホノ-ヒドラジド塩酸塩、Axon Medchemから入手可能)、PIK90(N-(7,8-ジメトキシ-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[1,2-c]キナゾリン-5-イル)-ニコチンアミド、Axon Medchemから入手可能)、GDC-0941ビスメシラート(2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-(4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-イルメチル)-4-モルホリン-4-イル-チエノ[3,2-d]ピリミジンビスメシラート、Axon Medchemから入手可能)、AS-252424(5-[1-[5-(4-フルオロ-2-ヒドロキシ-フェニル)-フラン-2-イル]-メト-(Z)-イリデン]-チアゾリジン-2,4-ジオン、Axon Medchemから入手可能)、並びにTGX-221(7-メチル-2-(4-モルホリニル)-9-[1-(フェニルアミノ)エチル]-4H-ピリド-[1,2-a]ピリミジン-4-オン、Axon Medchemから入手可能)、XL-765及びXL-147が含まれるが、これらに限定されない。他のPI3K阻害剤には、デメトキシビリジン、ペリフォシン、CAL101、PX-866、BEZ235、SF1126、INK1117、IPI-145、BKM120、XL147、XL765、パロミド529、GSK1059615、ZSTK474、PWT33597、IC87114、TG100-115、CAL263、PI-103、GNE-477、CUDC-907及びAEZS-136が含まれる。
【0158】
AKT阻害剤としては、Akt-1-1(Akt1を阻害する)(Barnett et al.(2005)Biochem.J.,385(Pt.2)、399-408);Akt-1-1,2(Ak1及び2を阻害する)(Barnett et al.(2005)Biochem.J.385(Pt.2),399-408);API-59CJ-Ome(例えば、Jin et al.(2004)Br.J.Cancer91,1808-12);1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジニル化合物(例えば、国際公開第05011700号パンフレット);インドール-3-カルビノール及びその誘導体(例えば、米国特許第6,656,963号明細書;Sarkar and Li(2004)J Nutr.134(12 Suppl)、3493S-3498S);ペリフォシン(例えば、Aktの膜局在を妨げる;Dasmahapatra et al.(2004)Clin.Cancer Res.10(15)、5242-52,2004);ホスファチジルイノシトールエーテル脂質類似体(例えば、Gills and Dennis(2004)Expert.Opin.Investig.Drugs 13,787-97);及びトリシリビン(TCN若しくはAPI-2又はNCI識別子:NSC 154020;Yang et al.(2004)Cancer Res.64:4394-9が含まれるが、これに限定されない。
【0159】
TOR阻害剤には、AP-23573、CCI-779、エベロリムス、RAD-001、ラパマイシン、テムシロリムス、ATP競合TORC1/TORC2阻害剤(PI-103、PP242、PP30及びTorin1を含む)が含まれるが、これらに限定されない。他のTOR阻害剤には、FKBP12エンハンサー;ラパマイシン及びその誘導体(以下を含む:CCI-779(テムシロリムス)、RAD001(エベロリムス;国際公開第9409010号パンフレット)及びAP23573;ラパログ、例えば国際公開第98/02441号パンフレット及び同第01/14387号パンフレットで開示されているもの、例えばAP23573、AP23464又はAP23841;40-(2-ヒドロキシエチル)ラパマイシン、40-[3-ヒドロキシ(ヒドロキシメチル)メチルプロパノエート]-ラパマイシン(CC1779とも呼ばれる)、40-エピ-(テトラゾリト)-ラパマイシン(ABT578とも呼ばれる)、32-デオキソラパマイシン、16-ペンチニルオキシ-32(S)-ジヒドロラパニシン及び国際公開第05005434号パンフレットで開示されている他の誘導体;米国特許第5,258,389号明細書、国際公開第94/090101号パンフレット、同第92/05179号パンフレット、米国特許第5,118,677号明細書、同第5,118,678号明細書、同第5,100,883号明細書、同第5,151,413号明細書、同第5,120,842号明細書、国際公開第93/111130号パンフレット、同第94/02136号パンフレット、同第94/02485号パンフレット、同第95/14023号パンフレット、同第94/02136号パンフレット、同第95/16691号パンフレット、同第96/41807号パンフレット、同第96/41807号パンフレット及び米国特許第5,256,790号明細書に開示されている誘導体;リン含有ラパマイシン誘導体(例えば、国際公開第05016252号パンフレット);4H-1-ベンゾピラン-4-オン誘導体(例えば米国仮特許出願第60/528,340号明細書)が含まれる。
【0160】
MCl-1阻害剤としては、AMG-176、MIK665及びS63845が挙げられるが、これらに限定されない。骨髄細胞白血病-1(MCL-1)タンパク質は、B細胞リンパ腫-2(BCL-2)タンパク質ファミリーの重要な抗アポトーシスメンバーの1つである。MCL-1の過剰発現は、腫瘍進行及び従来の化学療法だけでなく、ABT-263等のBCL-2阻害剤を含む標的化療法に対する耐性と密接に関連している。
【0161】
SHP阻害剤としては、SHP099が挙げられるが、これに限定されない。
【0162】
プロテアソーム阻害剤としては、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)及びオプロゾミブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
免疫療法としては、抗PD-1剤、抗PDL-1剤、抗CTLA-4剤、抗LAG1剤及び抗OX40剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
モノクローナル抗体としては、Darzalex(登録商標)(ダラツムマブ)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)及びEylea(登録商標)(アフリベルセプト)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
免疫調節剤(IMiD)は、イミド基を含有する1クラスの免疫調節性薬物(免疫応答を調整する薬物)である。IMiDクラスは、サリドマイド及びその類似体(レナリドミド、ポマリドミド及びアプレミラスト)を含む。
【0166】
例示的な抗PD-1抗体及びそれらの使用方法は、Goldberg et al.,Blood 110(1):186-192(2007)、Thompson et al.,Clin.Cancer Res.13(6):1757-1761(2007)、及びKorman et al.、国際出願第PCT/JP2006/309606号明細書(国際公開第2006/121168A1号パンフレット)に記載があり、これらのそれぞれは、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、次のものを含む:ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、Yervoy(商標)(イピリムマブ)又はトレメリムマブ(CTLA-4に対する)、ガリキシマブ(B7.1に対する)、BMS-936558(PD-1に対する)、MK-3475(PD-1に対する)、AMP224(B7DCに対する)、BMS-936559(B7-H1に対する)、MPDL3280A(B7-H1に対する)、MEDI-570(ICOSに対する)、AMG404、AMG557(B7H2に対する)、MGA271(B7H3に対する)、IMP321(LAG-3に対する)、BMS-663513(CD137に対する)、PF-05082566(CD137に対する)、CDX-1127(CD27に対する)、抗OX40(Providence Health Services)、huMAbOX40L(OX40Lに対する)、アタシセプト(TACIに対する)、CP-870893(CD40に対する)、ルカツムマブ(CD40に対する)、デカツズマブ(CD40に対する)、ムロモナブ-CD3(CD3に対する)、イピルムマブ(CTLA-4に対する)。免疫療法は、遺伝子操作されたT細胞(例えば、CAR-T細胞)及び二重特異性抗体(例えば、BiTE)も含む。
【0167】
GITRアゴニストには、米国特許第6,111,090box.c号明細書、欧州特許第090505B1号明細書、米国特許第8,586,023号明細書、国際公開第2010/003118号パンフレット及び同第2011/090754号パンフレットに記載されたGITR融合タンパク質、又は、例えば、米国特許第7,025,962号明細書、欧州特許第1947183B1号明細書、米国特許第7,812,135号明細書、同第8,388,967号明細書、同第8,591,886号明細書、欧州特許第1866339号明細書、国際公開第2011/028683号パンフレット、同第2013/039954号パンフレット、同第2005/007190号パンフレット、同第2007/133822号パンフレット、同第2005/055808号パンフレット、同第99/40196号パンフレット、同第2001/03720号パンフレット、同第99/20758号パンフレット、同第2006/083289号パンフレット、同第2005/115451号パンフレット、米国特許第7,618,632号明細書及び国際公開第2011/051726号パンフレットに記載された抗GITR抗体等のGITR融合タンパク質及び抗GITR抗体(例えば、二価の抗GITR抗体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
本明細書に記載した化合物は、治療される状態に応じて、本明細書で開示した薬剤又は他の好適な薬剤と組み合わせて使用され得る。従って、一部の実施形態では、本開示の1種以上の化合物は、上記の他の薬剤と同時投与されることになる。併用療法で使用される場合、本明細書に記載の化合物は、第2の薬剤と同時に又は個別に投与される。この併用投与は、同じ投与形態の2種の薬剤の同時投与、個別の投与形態の同時投与及び個別の投与を含み得る。即ち、本明細書に記載した化合物及び上記薬剤の何れかを同じ投与形態で一緒に製剤化し、同時投与することができる。代わりに、本開示の化合物及び上記の薬剤の何れかを同時に投与することができ、ここで、両方の薬剤は、個別の製剤中に存在している。別の代替では、本開示の化合物に引き続いて、上記の薬剤の何れかを投与し得るか又はそれとは逆の順序で投与し得る。個別の投与プロトコルの一部の実施形態では、本開示の化合物及び上記の任意の薬剤は、数分間の間隔、又は数時間の間隔、又は数日の間隔で投与される。
【0169】
本発明の一態様として、個別に投与され得る薬学的に活性な化合物の組み合わせにより、疾患/状態を治療することが検討されているため、本発明は、個別の医薬組成物をキットの形態に組み合わせることに更に関する。本キットは、2種の個別の医薬組成物:本発明の化合物及び第2の医薬化合物を含む。本キットは、分割されたボトル又は分割された金属箔の袋等、個別の組成物を収容するための容器を含む。容器の別の例としては、注射器、箱及びバッグが挙げられる。一部の実施形態では、キットは、個別の成分の使用のための説明書を含む。キット形態は、個別の成分が好ましくは異なる投与形態(例えば、経口及び非経口)で投与される場合、異なる投与間隔で投与される場合又は組み合わせの個々の成分の用量設定が処方する医療専門家により所望される場合に特に有利である。
【実施例
【0170】
方法1
【化43】
ステップ1:2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ニコチノニトリル(中間体1):1,4-ジオキサン(100mL)中の2,5,6-トリクロロニコチノニトリル(Wuxi、10.0g、48.2mmol)、2-フルオロフェニルボロン酸(7.42g、53.0mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]-ジクロロパラジウム(II)、DCM錯体(0.394g、0.482mmol)、酢酸カリウム(14.2g、145mmol)の懸濁液をアルゴンで5分間に渡りスパージし、次に予め加熱した70℃の砂浴中に配置した。30分後、LC-MS分析は、出発物質のほぼ完全な消費及び生成物形成を示した。反応物を次にEtOAc(300mL)と5%のNaHCO(150mL)との間に分配した。有機層を飽和NaCl(50mL)で洗浄し、MgSOの上方で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗生成物を0~15%のMTBE/ヘプタンの勾配を用いて生成物を溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(220g)により精製して、白色固体として2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ニコチノニトリル(中間体1、6.7g、25.09mmol、収率52.0%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.09(1H,s),7.44-7.56(2H,m),7.30(1H,t,J=14.90Hz),7.19(1H,t,J=18.20Hz).m/z(ESI,+ve ion):267.0(M+H)
【0171】
ステップ2:(S)-tert-ブチル4-((2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(イミノ)メチル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシラート(中間体2):トルエン(10mL)中のアルゴン下の20℃の2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ニコチノニトリル(中間体1、1.00g、3.74mmol)及び(S)-4-Boc-2-メチルピペラジン(1.65g、8.24mmol)の撹拌溶液に内部温度が30℃を超えない速度で、トリメチルアルミニウム溶液(Sigma Aldrich,St.Louis,MO、トルエン中の2.0M、4.12mL、8.24mmol)を添加した。15分後、反応物を2時間に渡り115℃へ加熱した。反応混合物のLC-MS分析は、80%の変換を示唆した。反応物を室温に冷却し、EtOAc(40mL)中のシリカゲル(10g)の懸濁液に滴加した。クエンチが完了したら、この懸濁液を同時にアルゴンスパージングを行いながら20℃で20分間撹拌した。次に溶媒を減圧下で除去し、次に0~100%のEtOAの勾配を用いて溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(80gのカラム)により精製して、橙色の泡として(S)-tert-ブチル4-((2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(イミノ)メチル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシラート(中間体2、0.83g、1.78mmol、収率47.4%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.72(1H,s),7.45-7.52(2H,m),7.27-7.31(1H,m),7.14-7.22(1H,m),3.80-4.25(3H,m),2.75-3.50(4H,m),1.48(9H,s),1.27(3H,d,J=7.05Hz).19F NMR(376MHz,CDCl)δ -112.76(1 F,s).m/z(ESI,+ve ion):467.1(M+H)
【0172】
ステップ3:tert-ブチル(3S)-4-((Z)-(2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)((((2-イソプロピルフェニル)アミノ(メチル)ホスホリル)イミノ)メチル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシラート:THF(3mL)中の二塩化メチルホスホノイル(Sigma-Aldrich、St.Louis,MO、0.12g、0.94mmol)の溶液に室温のTHF(1mL)中のtert-ブチル(S)-4-((2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(イミノ)メチル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシラート(中間体2、0.40g、0.85mmol)を添加した。反応混合物を12時間撹拌し、2-イソプロピルアニリン(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO、0.12mL、0.94mmol)及びDIPEA(0.11g、0.85mmol)を添加した。生じた混合物を12時間に渡り90℃へ加熱し、濃縮し、粗残渣は、ヘプタン中の0~50%のEtOAc/EtOH(3:1)を用いて溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、tert-ブチル(3S)-4-((Z)-(2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)((((2-イソプロピルフェニル)アミノ)(メチル)ホスホリル)イミノ)メチル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシラート(0.07g、0.11mmol、収率12.3%)を得た。19F NMR(376MHz,CDCl)δ -112.35(s,1F).m/z(ESI,+ve ion):662.3(M+H)
【0173】
ステップ4:tert-ブチル(3S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピルフェニル)-2-メチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシラート:DMF(0.5mL)中のtert-ブチル(3S)-4-((Z)-(2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)((((2-イソプロピルフェニル)アミノ)(メチル)ホスホリル)イミノ)メチル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシラート(0.034g、0.05mmol)及び炭酸セシウム(0.084g、0.25mmol)の溶液を2時間に渡り90℃へ加熱した。反応混合物を次にEtOAcで希釈し、塩水で洗浄した。有機層をNaSOの上方で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、粗tert-ブチル(3S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピルフェニル)-2-メチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシラート(0.02g、0.04mmol、収率78.0%)を得たので、これを次のステップでそれ以上精製せずに使用した。m/z(ESI,+ve ion):626.3(M+H)
【0174】
ステップ5:1-((3S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピルフェニル)-2-メチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン(3376047、実施例1):TFA(0.06mL、0.79mmol)をDCM(1mL)中のtert-ブチル(3S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピルフェニル)-2-メチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシラート(0.03g、0.04mmol)の溶液に添加した。生じた混合物を室温で1時間撹拌し、続いて減圧下で濃縮した。残渣をDCM(1mL)中に懸濁させ、0℃に冷却し、DIPEA(0.02mL、0.08mmol)、その後に塩化アクリロイル(0.07mL、0.08mmol)により処理した。反応物を室温に加温し、10分間撹拌した。混合物は、NaHCOの飽和水溶液でクエンチし、DCM(2回)により抽出した。合せた有機物を濃縮し、残渣をヘプタン中の0~60%のEtOAc/EtOH(3:1)を使用するISCOにより精製して、2種の異性体の混合物として1-((3S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピルフェニル)-2-メチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン(実施例1、0.01g、0.02mmol、収率51.8%)を得た。19F NMR(376MHz,CDCl)δ -112.70(s,1F).m/z(ESI,+ve ion):580.3(M+H)
【0175】
方法2
【化44】
ステップ1:tert-ブチル(2R,5S)-4-((2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(イミノ)メチル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシラート(中間体3):オーバーヘッド式スターラー、熱電対及び窒素流入口を装備した三つ口の1Lのフラスコに2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ニコチノニトリル(中間体1、30g、112mmol)、tert-ブチル(2R,5S)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシラート(48.1g、225mmol)及びトルエン(210mL)を装填した。フラスコを窒素により排気及びパージし、次に内部温度を30℃未満に維持しながら添加用漏斗を介して滴加したトリメチルアルミニウム(Sigma-Aldrich、トルエン中で2M、112mL、225mmol)を装填した。反応混合物を30分間撹拌し、1.5時間に渡り110℃へ加温した。室温に冷却した後、反応溶液をカニューラを介して添加用漏斗に移し、次に内部温度を30℃未満に維持しながら酢酸エチル(500mL)及びシリカゲル(300g)のスラリーに緩徐に添加した。スラリーを一晩攪拌し、次に2-プロパノール(150mL)で処理し、濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を蒸発乾固させ、DCM中に再溶解させると、粘性タールが生じた。この混合物にCeliteを添加し、DCMを用いてすすぎ洗いながら中サイズのフリットに通して濾過した。粗混合物は、0~100%のEtOAc/ヘプタンの勾配を使用する340gのシリカゲルカラム上でのクロマトグラフィーによって精製して、淡黄色油としてtert-ブチル(2R,5S)-4-((2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(イミノ)メチル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシラート(中間体3、27.7g、57.6mmol、収率51%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.73-9.01(m,1H),8.24-8.52(m,1H),7.51-7.66(m,2H),7.41(br t,J=7.57Hz,2H),4.30-4.86(m,1H),4.09-4.26(m,1H),3.28-3.87(m,3H),2.91-3.28(m,1H),1.42(br s,9H),1.12-1.32(m,6H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -113.66(s,1F).m/z(ESI,+ve ion):481.2(M+H)
【0176】
ステップ2:tert-ブチル(2R,5S)-4-((5-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-2-(ネオペンチルアミノ)ピリジン-3-イル)(イミノ)メチル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシラート:tert-ブチル(2R,5S)-4-((2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(イミノ)メチル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシラート(中間体3、1.30g、2.70mmol)及びネオペンチルアミン(1.27mL、10.80mmol)の混合物を3日間に渡り110℃で加熱した。反応混合物をDCM(2mL)により希釈し、DCM中の0~5%のMeOHを使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル(2R,5S)-4-((5-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-2-(ネオペンチルアミノ)ピリジン-3-イル)(イミノ)メチル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシラート(1.10g、2.07mmol、収率77.0%)を得た。m/z(ESI,+ve ion):532.3(M+H)
【0177】
ステップ3:tert-ブチル(2R、5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-2-メチル-1-ネオペンチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-メチルピペラジン-1-カルボキシラート:THF(5mL)中のメチルホスホン酸二塩化物(0.37mL、2.78mmol)の溶液をtert-ブチル(2R,5S)-4-((5-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-2-(ネオペンチルアミノ)ピリジン-3-イル)(イミノ)メチル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシラート(0.37g、0.70mmol)及びDIPEA(0.60mL、3.48mmol)に添加した。生じた溶液を90℃へ12時間加熱し、水で希釈し、EtOAc(2回)により抽出した。有機層を合せ、MgSOの上方で乾燥させ、濃縮して粗tert-ブチル(2R、5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-2-メチル-1-ネオペンチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシラート(0.34g、0.57mmol、収率83.0%)を得た。m/z(ESI,+ve ion):592.3(M+H).この物質を、それ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0178】
ステップ4:1-((2R、5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-2-メチル-1-ネオペンチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-メチルピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン(実施例2):TFA(0.85mL、11.5mmol)をDCM(4mL)中のtert-ブチル(2R、5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-2-メチル-1-ネオペンチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシラート(0.34g、0.57mmol)の溶液に添加した。生じた混合物を室温で1時間撹拌し、続いて減圧下で濃縮した。残渣をDCM(4mL)中に懸濁させ、0℃に冷却し、DIPEA(0.30mL、1.72mmol)、その後に塩化アクリロイル(0.05mL、0.057mmol)により処理した。反応物を室温に加温し、10分間撹拌した。混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、DCM(2回)により抽出し、合せた有機層を濃縮し、残渣をヘプタン中の0~50%のEtOAc/EtOH(3:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、2種の立体異性体の混合物として1-((2R、5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-2-メチル-1-ネオペンチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-メチルピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン(実施例2、0.26g、0.24mmol、収率41.5%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 7.96-8.19(m,1H),7.48-7.61(m,2H),7.34-7.41(m,2H),6.76(ddd,J=6.63,10.31,16.64Hz,1H),6.15(br d,J=16.79Hz,1H),5.69-5.75(m,1H),4.25-4.80(m,2H),3.97-4.15(m,1H),3.79-3.95(m,1H),3.76(br s,1H),3.40-3.70(m,2H),3.17-3.25(m,1H),1.19-1.29(m,6H),0.96-1.16(m,3H),0.83-0.86(m,9H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ -113.42(s,1F).31P NMR(162MHz,DMSO-d)δ 25.55(s,1P).m/z(ESI,+ve ion):546.2(M+H)
【0179】
ステップ5:1-((2R、5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-2-メチル-1-ネオペンチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン第1溶出異性体(実施例2-1)及び第2溶出異性体(実施例2-2):異性体の混合物である実施例2(260mg)は、OX-Hカラム21×250mm、5μm、50%のメタノール/CO、7mL/分の移動相を用いる分取的SFCにより精製すると、純度99.0%及び>99.0%のD.E.を備える46mgのピーク1、純度99.0%及び約96.5%のD.E.を備える168mgのピーク2を得た。D.E.の決定は、SFC:Chiralpak IC、15%のメタノールによる。
【0180】
第1溶出異性体(実施例2-1):H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.69(d,J=8.91Hz,1H),7.39-7.47(m,2H),7.19-7.26(m,1H),7.12(t,J=9.18Hz,1H),6.42-6.59(m,1H),6.13-6.23(m,1H),5.60-5.68(m,1H),4.84(br s,1H),4.50(br d,J=15.96Hz,1H),4.14-4.29(m,1H),3.72-4.11(m,2H),3.51-3.66(m,2H),3.47(br d,J=13.68Hz,1H),1.29(br d,J=6.63Hz,9H),0.83(s,9H).19F NMR(376MHz,CDCl)δ -113.16(s,1F).31P NMR(162MHz,CDCl)δ 25.36(s,1P).m/z(ESI,+ve ion):546.2(M+H)
【0181】
第2溶出異性体(実施例2-2):H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.60-7.66(m,1H),7.39-7.46(m,2H),7.22(t,J=7.26Hz,1H),7.12(t,J=9.42Hz,1H),6.42-6.56(m,1H),6.18(br t,J=16.48Hz,1H),5.63(br dd,J=3.42,10.47Hz,1H),5.25-5.28(m,1H),4.71(br s,1H),4.03-4.21(m,2H),3.60-3.79(m,2H),3.49-3.58(m,1H),3.20-3.33(m,1H),1.00-1.28(m,9H),0.82(s,9H).19F NMR(376MHz,CDCl)δ -113.16(s,1F).31P NMR(162MHz,CDCl)δ 26.19(s,1P).m/z(ESI,+ve ion):546.2(M+H)
【0182】
方法3
【化45】
ステップ1-2:tert-ブチル(2R、5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピルフェニル)-2-メチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-メチルピペラジン-1-カルボキシラート:THF(3mL)中のメチルホスホン酸二塩化物(0.20g、1.50mmol)の溶液をTHF(10mL)中のtert-ブチル(2R,5S)-4-((2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)(イミノ)メチル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシラート(中間体3、0.65g、1.35mmol)の溶液に添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、DIPEA(0.70mL、4.05mmol)及び2-イソプロピルアニリン(0.21mL、1.48mmol)を添加した。反応混合物を90℃へ12時間加熱し、次に室温に冷却し、水で希釈し、EtOAcにより抽出した。有機層をMgSOの上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗残渣をDMF(5mL)及び炭酸セシウム(1.32g、4.05mmol)中に再溶解させ、混合物を90℃へ6時間加熱した。反応混合物を水でクエンチし、EtOAc(2回)で抽出した。合せた有機層を濃縮し、残渣をヘプタン中の0~60%のEtOAc/EtOH(3:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル(2R,5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピルフェニル)-2-メチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシラート(0.43g、0.67mmol、収率49.7%)を得た。m/z(ESI,+ve ion):640.2(M+H)
【0183】
ステップ3:1-((2R、5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピルフェニル)-2-メチル-2-オキシド-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン(実施例3):TFA(0.05mL、0.67mmol)をDCM(5mL)中のtert-ブチル(2R、5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピルフェニル)-2-メチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-メチルピペラジン-1-カルボキシラート(0.43g、0.67mmol)の溶液に添加した。生じた混合物を室温で1時間撹拌し、続いて減圧下で濃縮した。残渣をDCM(5mL)中に懸濁させ、0℃に冷却し、DIPEA(0.47mL、2.69mmol)、その後に塩化アクリロイル(0.09mL、1.07mmol)により処理した。反応物を室温に加温し、10分間撹拌した。混合物は水でクエンチし、DCM(2回)により抽出した。合せた有機物を濃縮し、残渣をヘプタン中の0~80%のEtOAc/EtOH(3:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、2種の異性体の混合物として1-((2R、5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピルフェニル)-2-メチル-2-オキシド-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン(実施例3、0.20g、0.34mmol、収率5.6%)を得た。m/z(ESI,+ve ion):594.2(M+H)
【0184】
ステップ4:1-((2R、5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピルフェニル)-2-メチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン第1溶出異性体(実施例3-1)及び第2溶出異性体(実施例3-2):1-((2R,5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピルフェニル)-2-メチル-2-オキシド-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン(実施例3、185mg)の異性体の混合物は、OX-H column 21×250mm、5μm、0.2%のTEA 80mL/分を含む20%のメタノールの移動相を使用する分取的SFCによって精製して、>95.0%の純度及び>95.0%のD.E.を備える25mgの(1-((2R,5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピルフェニル)-2-メチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン(実施例3-1)の第1溶出異性体、及び95.0%の純度及び>95.0%のD.E.を備える19mgの(1-((2R,5S)-4-(6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピルフェニル)-2-メチル-2-オキシド-1H-ピリド[2,3-d][1,3,2]ジアザホスフィニン-4-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン(実施例3-2)の第2溶出異性体を生成した。D.E.の決定は、SFC:Chiralpak IC、15%のメタノールによる。
【0185】
第1溶出異性体(実施例3-1):H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.71-7.93(m,1H),7.49(br d,J=7.67Hz,1H),7.25-7.35(m,3H),6.98-7.22(m,4H),6.44-6.62(m,1H),6.15-6.25(m,1H),5.61-5.69(m,1H),4.58-5.05(m,1H),4.05-4.54(m,2H),3.32-3.92(m,3H),2.69-3.19(m,1H),1.35-1.49(m,6H),1.06(d,J=6.84Hz,6H),0.82-0.91(m,3H).19F NMR(376MHz,CDCl)δ -113.52(s,1F).31P NMR(162MHz,CDCl)δ 19.89(s,1P).m/z(ESI,+ve ion):594.2(M+H)
【0186】
第2溶出異性体(実施例3-2):H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.93(d,J=11.82Hz,1H),7.65(d,J=7.44Hz,1H),7.38-7.47(m,3H),7.11-7.36(m,4H),6.56-6.71(m,1H),6.32(br t,J=14.93Hz,1H),5.76(br d,J=10.57Hz,1H),4.69-5.07(m,2H),4.23-4.37(m,1H),3.52-4.05(m,3H),2.81(qd,J=6.84,13.68Hz,1H),1.49-1.59(m,3H),1.21-1.47(m,6H),1.13-1.16(m,3H),0.95(d,J=6.84Hz,3H).19F NMR(376MHz,CDCl)δ -113.53(s,1F).31P NMR(162MHz,CDCl)δ 20.27(s,1P).m/z(ESI,+ve ion):594.2(M+H)
【0187】
【表3】
【0188】
【表4】
【0189】
【表5】
【0190】
【表6】
【0191】
【表7】
【0192】
【表8】
【0193】
【表9】
【0194】
【表10】
【0195】
【表11】
【0196】
【表12】
【0197】
【表13】
【0198】
【表14】
【0199】
【表15】
【0200】
【表16】
【0201】
生物学的分析
アトロプ異性体とリン異性体の混合物が記載されている表3の化合物に関して、以下のアッセイ条件を利用した:
【0202】
結合ヌクレオチド交換アッセイ:G12C及びC118Aアミノ酸置換並びにN末端Hisタグの両方を含有する精製GDP結合KRASタンパク質(aa 1~169)は、5分間又は2時間の何れかについての化合物用量反応滴定を用いアッセイバッファー(25mMのHEPES(pH7.4)、10mMのMgCl及び0.01%のTriton X-100)中でプレインキュベートした(表15を参照されたい)。化合物のプレインキュベーション後、精製SOSタンパク質(aa 564~1049)及びGTP(Roche 10106399001)をアッセイウェルに添加し、更に30分間(5分間の化合物のプレインキュベーションの間)又は1時間(2時間の化合物のプレインキュベーションの間)インキュベートした。SOS媒介性ヌクレオチド交換の阻害の程度を決定するために、精製GSTタグ付きcRAF(aa 1~149)、ニッケルキレートAlphaLISAアクセプタービーズ(PerkinElmer AL108R)及びAlphaScreenグルタチオンドナービーズ(PerkinElmer 6765302)をアッセイウェルに加え、10分間インキュベートした。次いで、AlphaScreen(登録商標)技術を使用して、アッセイプレートをPerkinElmer EnVision Multilabel Readerで読み取り、4パラメータロジスティックモデルを使用してデータを分析し、IC50値を計算した。
【0203】
ホスホ-ERK1/2 MSDアッセイ:MIA PaCa-2(ATCC(登録商標)CRL-1420(商標))細胞は、10%のウシ胎児血清(ThermoFisher Scientific 16000044)及び1×ペニシリン-ストレプトマイシン-グルタミン(ThermoFisher Scientific 10378016)を含有するRPMI 1640培地(ThermoFisher Scientific 11875093)中で、培養した。化合物処理の16時間前、MIA PaCa-2細胞を25,000細胞/ウェルの密度で96ウェル細胞培養プレートに播種し、37℃、5%のCOでインキュベートした。化合物用量-反応滴定を増殖培地で希釈し、細胞培養プレートの適当なウェルに加え、続いて37℃、5%のCOで2又は4時間インキュベートした。化合物処理後、10ng/mLのEGF(Roche 11376454001)で細胞を10分間刺激し、氷冷ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(Ca2+又はMg2+非含有)(ThermoFisher Scientific 14190144)で洗浄し、続いてプロテアーゼ阻害剤(Roche 4693132001)及びホスファターゼ阻害剤(Roche 4906837001)を含有するRIPA緩衝液(50mMのTris-HCl、pH7.5、1%のIgepal(登録商標)、0.5%のデオキシコール酸ナトリウム、150mMのNaCl及び0.5%のドデシル硫酸ナトリウム)中に溶解させた。化合物処理溶解物中のERK1/2のリン酸化を、ホスホ-ERK1/2全細胞溶解液キット(Meso Scale Discovery K151DWD)を使用し、製造業者の手順書に従ってアッセイした。アッセイプレートをMeso Scale Discovery Sector Imager 6000で読み取り、4パラメータロジスティックモデルを使用してデータを分析し、IC50値を計算した。
【0204】
生存率CTGアッセイ。MIA PaCa-2(ATCC(登録商標)CRL-1420(商標))細胞は、10%のウシ胎児血清(ThermoFisher Scientific 16000044)及び1×ペニシリン-ストレプトマイシン-グルタミン(ThermoFisher Scientific 10378016)を含有するRPMI 1640培地(ThermoFisher Scientific 11875093)中で、培養した。化合物処理の16時間前、MIA PaCa-2細胞を細胞500個/ウェルの密度で384ウェルの細胞培養プレートに播種し、37℃、5%のCOでインキュベートした。化合物用量-反応滴定を増殖培地で希釈し、細胞培養プレートの適当なウェルに加え、続いてアッセイプレートを37℃、5%のCOでインキュベートした。化合物処理の72時間後、細胞生存率は、製造業者のプロトコルに従ってCellTiter-Glo(登録商標)Luminescent細胞生存率アッセイキット(Promega G7571)を使用して測定した。アッセイプレートをPerkin Elmer EnVision(登録商標)Multilabel Readerで読み取り、4パラメータロジスティックモデルを使用してデータを分析し、IC50値を計算した。
【0205】
【表17】
【0206】
本発明は、好ましい実施形態に関連して記載した。しかし、本発明は、開示された実施形態には限定されないことを理解すべきである。本発明の実施形態が本明細書に記載されれば、当業者によって様々な修正が行われ得ることは理解される。そのような修正は、以下の特許請求の範囲に包含される。