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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】フレアチップを有するカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20231006BHJP
   A61M 25/092 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
A61M25/00 540
A61M25/092 500
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020564539
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 US2019032965
(87)【国際公開番号】W WO2019222687
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】62/673,628
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/673,632
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500295612
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100220065
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ,ブランドン・デービッド
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-200361(JP,A)
【文献】特表2013-512735(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0238951(US,A1)
【文献】特表2006-507032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 25/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレアチップマイクロカテーテルであって、前記マイクロカテーテルは、
内部にシャフト内腔が画定された中空シャフトと、
前記シャフト内腔内に配設されたコアであって、前記コアは中空であり、コア内腔を画定する、コアと、
前記コアの遠位端に取り付けられた少なくとも2つのペタルを備えるチップであって、前記少なくとも2つのペタルは少なくとも2つのワイヤを備える、チップと、
スライドであって、前記少なくとも2つのワイヤは前記スライドに取り付けられ、前記スライドは前記少なくとも2つのワイヤを引くように構成されるスライドと、
を備え、
前記少なくとも2つのワイヤは、前記少なくとも2つのペタルを引き、前記チップのフレア構成を形成するように構成され、
前記チップの前記フレア構成は、前記チップから遠位方向の治療薬の層流を可能にする、フレアチップマイクロカテーテル。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロカテーテルであって、
前記少なくとも2つのワイヤは、前記シャフト内腔内の前記コアと前記シャフトとの間に配設される、マイクロカテーテル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマイクロカテーテルであって、
前記少なくとも2つのペタルの各ペタルは1つのワイヤを含む、マイクロカテーテル。
【請求項4】
フレアチップマイクロカテーテルであって、前記マイクロカテーテルは、
内部にシャフト内腔が画定された中空シャフトと、
前記シャフト内腔内に配設されたコアであって、前記コアは中空であり、コア内腔を画定する、コアと、
前記コアの遠位端に取り付けられた少なくとも2つのペタルを備えるチップであって、前記少なくとも2つのペタルは少なくとも2つのワイヤを備える、チップと、
を備え、
前記少なくとも2つのワイヤは、前記少なくとも2つのペタルを引き、前記チップのフレア構成を形成するように構成され、
前記チップの前記フレア構成は、前記チップから遠位方向の治療薬の層流を可能にし、
前記少なくとも2つのペタルは継ぎ目において重なり合う、マイクロカテーテル。
【請求項5】
フレアチップマイクロカテーテルであって、前記マイクロカテーテルは、
内部にシャフト内腔が画定された中空シャフトと、
前記シャフト内腔内に配設されたコアであって、前記コアは中空であり、コア内腔を画定する、コアと、
前記コアの遠位端に取り付けられた少なくとも2つのペタルを備えるチップであって、前記少なくとも2つのペタルは少なくとも2つのワイヤを備える、チップと、
を備え、
前記少なくとも2つのワイヤは、前記少なくとも2つのペタルを引き、前記チップのフレア構成を形成するように構成され、
前記チップの前記フレア構成は、前記チップから遠位方向の治療薬の層流を可能にし、
前記少なくとも2つのワイヤは、前記マイクロカテーテルの長手方向軸に沿って直線状に延びる、マイクロカテーテル。
【請求項6】
フレアチップマイクロカテーテルであって、前記マイクロカテーテルは、
内部にシャフト内腔が画定された中空シャフトと、
前記シャフト内腔内に配設されたコアであって、前記コアは中空であり、コア内腔を画定する、コアと、
前記コアの遠位端に取り付けられた少なくとも2つのペタルを備えるチップであって、前記少なくとも2つのペタルは少なくとも2つのワイヤを備える、チップと、
を備え、
前記少なくとも2つのワイヤは、前記少なくとも2つのペタルを引き、前記チップのフレア構成を形成するように構成され、
前記チップの前記フレア構成は、前記チップから遠位方向の治療薬の層流を可能にし、
前記少なくとも2つのワイヤは、前記マイクロカテーテルの長手方向軸に沿って編組方式で前記コアの周りに絡み合う、マイクロカテーテル。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載のマイクロカテーテルであって、
少なくとも4つのペタルを備える、マイクロカテーテル。
【請求項8】
請求項に記載のマイクロカテーテルであって、
前記スライドは、引っ張られるときに少なくとも前記2つのペタルを広げるように構成される、マイクロカテーテル。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載のマイクロカテーテルであって、前記チップはX線不透過性チップである、マイクロカテーテル。
【請求項10】
フレアチップマイクロカテーテルであって、前記マイクロカテーテルは、
内部にシャフト内腔が画定された中空シャフトと、
前記シャフト内腔内に配設されたコアであって、前記コアは中空であり、コア内腔を画定する、コアと、
前記コアの遠位端に取り付けられた少なくとも2つのペタルを備えるチップであって、前記少なくとも2つのペタルは少なくとも2つのワイヤを備える、チップと、
1つまたは複数の追加のペタル列と、
を備え、
前記少なくとも2つのワイヤは、前記少なくとも2つのペタルを引き、前記チップのフレア構成を形成するように構成され、
前記チップの前記フレア構成は、前記チップから遠位方向の治療薬の層流を可能にする、フレアチップマイクロカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、その開示が参照により本明細書に援用される、2018年5月18日に出願された「RADIOEMBOLIZATION DELIVERY DEVICE」と題する米国特許仮出願第62/673,632号、および、その開示が参照により本明細書に援用される、2018年5月18日に出願された「DUAL-STAGE SYRINGES WITH LOCKING MECHANISM」と題する米国特許仮出願第62/673,628号の利益を主張するものである。
【0002】
[0002]本開示は、全体的にはカテーテルに関し、より詳細には、肝動脈医療処置中等に患者の身体内の領域に治療薬を送達するように構成され、そのように動作可能なマイクロカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]放射線療法を伴うがん治療において、放射性治療薬からの放射に対する不測のまたは過度な曝露は、患者または医療スタッフにとって有害であり、潜在的に致死的であり得る。したがって、放射線療法用の医療機器は、放射性物質の送達を患者の身体の特定の領域に対し局所化する一方で、他のものを放射に対し不要に曝露しないように保護するように構成されなくてはならない。
【0004】
[0004]肝動脈放射塞栓は、インターベンショナルラジオロジー(放射線診断技術を用いた検査・治療)によって行われる経カテーテル動脈内処置であり、悪性腫瘍の治療に一般的に用いられる。この医療処置中、マイクロカテーテルは、患者の肝臓内にナビゲートされ、肝臓内で、イットリウム-90(90Y)等の放射性化合物を充填された放射線塞栓療法ミクロスフェアが標的腫瘍に送達される。ミクロスフェアは、腫瘍に供給する血管を塞栓し、同時に腫瘍細胞を殺す放射線も送達する。
【0005】
[0005]全体的に、放射線塞栓処置を実行するための医療デバイスは、複数のシリンジ、外部チューブと、放射性化合物を含むバイアルと、放射性バイアルを含み、保護するための嵩高シールド組立体とを必要とする。そのようなデバイスは、通常、時間がかかり、手間のかかるセットアップ(設定)手順を伴う。複雑なデバイスは一般的に固定されており、それによって、手術室内での医師の移動がデバイスにある程度近接した範囲内に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]塞栓治療方法中のミクロスフェアの送達に利用される従来のマイクロカテーテルが備えるチップ(先端部とも言う)は、そのような従来のマイクロカテーテルの遠位端から治療薬が吐出される場合の乱流を防ぐかまたは低減することができない。
【0007】
[0007]したがって、治療薬の一定の流量および圧力を患者の身体内の脈管に投与するための単純な設計および一貫した手段を組み込んだ、塞栓を実行するように構成され、そのように動作可能なマイクロカテーテルが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]本開示の実施形態は、フレアチップを有するマイクロカテーテルを提供することによって上述したニーズを満たす。フレアチップは、逆流を防ぐことができ、塞栓処置等の医療処置中に治療薬を均一に分布させることができる。
【0009】
[0009]本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、フレアチップマイクロカテーテルが提供される。フレアチップマイクロカテーテルは、内部にシャフト内腔が画定された中空シャフトと、シャフト内腔内に配設されたコアと、コアの遠位端に取り付けられた少なくとも2つのペタルを備えるチップとを備え、少なくとも2つのペタルは少なくとも2つのワイヤを備え、コアは中空であり、コア内腔を画定する。少なくとも2つのワイヤは、少なくとも2つのペタルを引き、チップのフレア構成を形成するように構成することができる。チップのフレア構成は、脈管内の治療薬の改善された分布を可能にすることができる。チップのフレア構成は、チップから遠位方向の治療薬の層流を可能にすることができる。
【0010】
[0010]本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、フレアチップマイクロカテーテルを展開する方法が提供される。本方法は、近位端および遠位端を有するフレアチップマイクロカテーテルを、脈管を通して前進させることと、少なくとも2つのワイヤを引いて、少なくとも2つのペタルを広げ、チップのフレア構成を形成することとを含むことができる。フレアチップマイクロカテーテルは、内部にシャフト内腔が画定された中空シャフトと、シャフト内腔内に配設されたコアと、コアの遠位端に取り付けられた少なくとも2つのペタルを備えるチップとを備えることができる。コアは中空とすることができ、コア内腔を画定することができる。少なくとも2つのペタルは少なくとも2つのワイヤを備えることができる。チップのフレア構成は、チップから遠位方向の治療薬の層流を可能にする。
【0011】
[0011]本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、塞栓治療方法が提供される。本方法は、近位端および遠位端を有するフレアチップマイクロカテーテルを、患者の身体内の脈管を通して前進させることと、少なくとも2つのワイヤを引いて、少なくとも2つのペタルを広げ、チップのフレア構成を形成し、それによって、チップのフレア構成がチップから遠位方向の治療薬の層流を可能にすることと、患者の身体内の脈管に治療薬を送達することであって、コア内腔を通じてフレアチップマイクロカテーテルの遠位端から治療薬を吐出することを含むことと、を含むことができる。フレアチップマイクロカテーテルは、内部にシャフト内腔が画定された中空シャフトと、シャフト内腔内に配設されたコアであって、コアは中空であり、コア内腔を画定する、コアと、コアの遠位端に取り付けられた少なくとも2つのペタルを備えるチップであって、少なくとも2つのペタルは少なくとも2つのワイヤを備える、チップとを備えることができる。チップのフレア構成は、脈管内の治療薬の改善された分布を可能にすることができる。
【0012】
[0012]本開示のこれらのおよび他の特徴、態様および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照してより良好に理解されよう。
[0013]本明細書に記載の実施形態の追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明において示され、部分的に、その説明から当業者に容易に明らかになるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付の図面を含む、本明細書に記載の実施形態を実施することによって認識されよう。
【0013】
[0014]上記の全体的な説明および以下の詳細な説明の双方が、様々な実施形態を説明し、特許請求される主題の本質および特性を理解するための概観または枠組を提供するように意図されることが理解されよう。様々な実施形態の更なる理解を提供するために添付の図面が含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を成す。図面は、本明細書に記載の様々な実施形態を示し、明細書と共に、特許請求される主題の原理および動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】[0015]実施形態による非フレア構成におけるフレアチップマイクロカテーテルの断面側面図の説明図である。
図2】[0016]フレアチップマイクロカテーテルの断面図の説明図である。
図3】[0017]図3Aは、実施形態による2つの直線状ワイヤを有するフレアチップマイクロカテーテルの部分断面側面図の説明図である。[0018]図3Bは、実施形態による2つの網組されたワイヤを有するフレアチップマイクロカテーテルの部分断面側面図の説明図である。[0019]図3Cは、実施形態による4つの網組されたワイヤを有するフレアチップマイクロカテーテルの部分断面側面図の説明図である。
図4】[0020]実施形態による4つのペタルを有するフレアチップマイクロカテーテルのチップの側面図の説明図である。
図5】[0021]実施形態による4つのペタルおよび追加のペタル列を有するフレアチップマイクロカテーテルのチップの側面図の説明図である。
図6】[0022]実施形態による4つのペタルを有するフレアチップマイクロカテーテルのチップの側面図の説明図である。
図7】[0023]実施形態による4つのペタルを有するフレアチップマイクロカテーテルのチップの側面図の説明図である。
図8】[0024]実施形態による8つのペタルを有するフレアチップマイクロカテーテルのチップの側面図の説明図である。
図9】[0025]図9Aは、実施形態による非フレア構成におけるフレアチップマイクロカテーテルのチップの側面図の説明図である。[0026]図9Bは、実施形態による遷移構成におけるフレアチップマイクロカテーテルのチップの側面図の説明図である。[0027]図9Cは、実施形態によるフレア構成におけるフレアチップマイクロカテーテルのチップの側面図の説明図である。
図10】[0028]図10Aは、実施形態による非フレア構成におけるフレアチップマイクロカテーテルの説明図である。[0029]図10Bは、実施形態によるフレア構成におけるフレアチップマイクロカテーテルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0030]ここで、本出願の特定の実施形態を説明する。これらの実施形態は、本開示が十分および完全であり、当業者に対して発明の範囲を完全に伝えるように提供される。
[0031]ここで、フレアチップマイクロカテーテルの実施形態を詳細に参照する。実施形態において、フレアチップマイクロカテーテルは、シャフトと呼ばれる3つの同軸層と、コアと、ワイヤ層とを備えることができる。他の実施形態において、フレアチップマイクロカテーテルは、1つまたは複数の追加の層を備えることができる。実施形態において、フレアチップマイクロカテーテルはチップを更に備えることができ、そのようなチップは、機械的方法によって、作動させるかまたは「広げる(flared)」ことができ、それにより、フレア型チップを構成するようになっている。フレア型チップは、逆流を阻止することができ、医療処置中に脈管内で送達される粒子を均一に分散させることができる。実施形態において、フレアチップマイクロカテーテルのフレア型チップは、フレアチップマイクロカテーテルの遠位端における乱流量を低減することができる。更なる実施形態において、フレアチップマイクロカテーテルのフレア型チップは、従来のカテーテルの遠位端において観測される乱流量と比較して、フレアチップマイクロカテーテルの遠位端において呈する乱流がより少ない。フレアチップマイクロカテーテルの遠位端における乱流の量を低減することによって、放射性療法ミクロスフェア等の治療薬の送達に対する改善された制御を可能にすることができる。他の実施形態において、フレアチップマイクロカテーテルの遠位端における乱流量を低減することによって、スカウトビーズ(scout beads)、ブランドスフィア(bland sphere)、薬剤溶出性ビーズ、放射線塞栓スフィア、および化学塞栓スフィアを含む塞栓製品の送達に対する改善された制御を可能にすることができる。他の実施形態において、フレアチップマイクロカテーテルのフレア型チップは、脈管内の流れを制御するように脈管を遮蔽(又は、閉塞)するための流れのために用いることができる。更なる実施形態において、フレアチップマイクロカテーテルは、脈管内の流れを遮断または阻止することができる。
【0016】
[0032]図1は、1つの実施形態による、非フレア状態にあるフレアチップマイクロカテーテルの概略断面側面図である。図1を参照すると、フレアチップマイクロカテーテル100は、シャフト10と、コア12と、ワイヤ層14と、スライド20と、ハブ30と、チップ40とを備える。フレアチップマイクロカテーテル100は遠位端1を備える。
【0017】
[0033]フレアチップマイクロカテーテルの実施形態に関して本明細書において用いられる「遠位」という相対的な用語は、フレアチップマイクロカテーテル100の遠位端1を脈管内に挿入することができ、フレアチップマイクロカテーテル100の動作中にチップ40から治療薬が吐出される方向にあることを意味する。同様に、相対的な用語「近位」は、フレアチップマイクロカテーテル100の動作中に治療薬がハブ30内に挿入される反対方向を意味する。全体的に、本明細書において用いられる方向に関する用語、例えば、上、下、右、左、前、後、頂部、底部、遠位および近位は、描かれた図面を参照してのみ用いられ、任意のデバイス、任意のデバイス構成要素、または任意の実施形態の絶対的な向きを全体として暗に意味するように意図されるものではないことが理解されるべきである。
【0018】
[0034]シャフト10は、コア12が通って延びる内腔を画定する中空チューブである。シャフト10は、内部の特徴の視覚化を可能にするように透明であるものとして示される。しかしながら、他の例において、シャフト10に類似したシャフトは不透明である。実施形態において、シャフト10は、金属、金属合金およびポリマー等の任意の生体適合性材料を含む。いくつかの実施形態において、シャフト10は、ナイロン、Arkemaから市販されているPebax(登録商標)、または当業者に既知の任意の他の適切な材料を含む。シャフト10は、押出法によって生成することができる。
【0019】
[0035]再び図1を参照すると、シャフト10は、シャフト10の遠位端からシャフト10の近位端へ延びる距離として定義されるシャフト長10を有することができる。図2に示すように、シャフト10は、シャフト内径10D1と、シャフト外径10D2と、シャフト内径10D1とシャフト外径10D2との間の距離として定義されたシャフト厚10とを有する。
【0020】
[0036]いくつかの実施形態において、シャフト長は、約100センチメートル(cm)~約200cm、約100cm~約180cm、約100cm~約160cm、約100cm~約140cm、約100cm~約120cm、約120cm~約200cm、約120cm~約180cm、約120cm~約160cm、約120cm~約140cm、約140cm~約200cm、約140cm~約180cm、約140cm~約160cm、約160cm~約200cm、約160cm~約180cm、または約180cm~約200cmとすることができる。
【0021】
[0037]いくつかの実施形態において、シャフト10は、約0.508ミリメートル(m)(0.020インチ(in))~約0.762mm(0.030インチ)、約0.508mm(0.020インチ)~約0.711mm(0.028インチ)、約0.508mm(0.020インチ)~約0.660mm(0.026インチ)、約0.508mm(0.020インチ)~約0.610mm(0.024インチ)、約0.508mm(0.020インチ)~約0.559mm(0.022インチ)、約0.559mm(0.022インチ)~約0.762mm(0.030インチ)、約0.559mm(0.022インチ)~約0.711mm(0.028インチ)、約0.559mm(0.022インチ)~約0.660mm(0.026インチ)、約0.559mm(0.022インチ)~約0.610mm(0.024インチ)、約0.610mm(0.024インチ)~約0.762mm(0.030インチ)、約0.610mm(0.024インチ)~約0.711mm(0.028インチ)、約0.610mm(0.024インチ)~約0.660mm(0.026インチ)、約0.660mm(0.026インチ)~約0.762mm(0.030インチ)、約0.660mm(0.026インチ)~約0.711mm(0.028インチ)、または約0.711mm(0.028インチ)~約0.762mm(0.030インチ)のシャフト内径10D1を有する。
【0022】
[0038]いくつかの実施形態において、シャフト外径は、約0.67mm(2.0フレンチ(Fr))~約1mm(3.0Fr)、約0.67mm(2.0Fr)~約0.93mm(2.8Fr)、約0.67mm(2.0Fr)~約0.87mm(2.6Fr)、約0.67mm(2.0Fr)~約0.8mm(2.4Fr)、約0.67mm(2.0Fr)~約0.73mm(2.2Fr)、約0.73mm(2.2Fr)~約1mm(3.0Fr)、約0.73mm(2.2Fr)~約0.93mm(2.8Fr)、約0.73mm(2.2Fr)~約0.87mm(2.6Fr)、約0.73mm(2.2Fr)~約0.8mm(2.4Fr)、約0.8mm(2.4Fr)~約1mm(3.0Fr)、約0.8mm(2.4Fr)~約0.93mm(2.8Fr)、約0.8mm(2.4Fr)~約0.87mm(2.6Fr)、約0.87mm(2.6Fr)~約1mm(3.0Fr)、約0.87mm(2.6Fr)~約0.93mm(2.8Fr)または約0.93mm(2.8Fr)~約1mm(3.0Fr)とすることができる。
【0023】
[0039]いくつかの実施形態において、シャフト厚は、例えば、0.229mm(0.009インチ)または脈管内の適切な追跡可能性(又は追従性)を可能にすることができる任意の厚みとすることができる。
【0024】
[0040]コア12(図1において実線で示される)は中空のチューブであり、治療薬を充填および吐出することができるコア内腔を画定する。他の実施形態において、1つまたは複数の追加の内腔をフレアチップマイクロカテーテル100のシャフト10内に組み込むことができる。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の追加の内腔を、ワイヤ、治療薬、他の媒体または組み合わせに対応するように特に構成することができる。
【0025】
[0041]図1において実線で示される再びコア12を参照すると、いくつかの実施形態において、コア12の表面に面するコア内腔を、例えば、親水性コーティングを用いてコーティングして、追従性の改善を可能にし、コア内腔を通じた治療薬の改善された送達を可能にすることができる。実施形態において、コア12は、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アセタール、Arnitel、Bionate、Carbothane、Chronosil、EFEP、Elastollan、ETFE、エチルビニルアセテート、EVAL、フッ化エチレンプロピレン、高密度ポリエチレン、Hytrel、Kynar PVDF、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、Medalist、NEOFLONTM EFEP RP-5000、NEOFLONTM PFA AP-210、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、Pebax(登録商標)35D、Pebax 45D、Pebax 55D、Pebax 63D、Pebax 70D、Pebax 72D、Pebax/EverGlide(登録商標)、Pebax/Mobilize、Pebax/PEBASlide、Pebax/ProPell STM PEEK、Pellethane 55D、Pellethane 75D、ポリエチレンテレフタラート、ペルフロオロアルコキシアルカン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスルホン、Primacor、ポリ塩化ビニル、樹脂、Rezilient、Santoprene、SEBS、Tecoplast、Tecothane、Texin、熱可塑性ポリイミド、治療薬の送達に適した任意の材料、およびこれらの組み合わせから作製することができる。いくつかの実施形態において、コア12はポリテトラフルオロエチレンから作製することができる。コア12は押出法によって生成することができる。
【0026】
[0042]再び図1を参照すると、コア12は、コア12の遠位端からコア12の近位端まで延びる距離として定義されたコア長12を有する。図2に示すように、コア12は、コア内径12D1と、コア外径12D2と、コア内径12D1とコア外径12D2との間の距離として定義されるコア厚12とを有する。いくつかの実施形態において、コア長は、約100センチメートル(cm)~約200cm、約100cm~約180cm、約100cm~約160cm、約100cm~約140cm、約100cm~約120cm、約120cm~約200cm、約120cm~約180cm、約120cm~約160cm、約120cm~約140cm、約140cm~約200cm、約140cm~約180cm、約140cm~約160cm、約160cm~約200cm、約160cm~約180cm、または約180cm~約200cmである。いくつかの実施形態において、コア内径12D1、コア外径12D2、およびコア厚は、適切なワイヤ-スレッド並進を可能にするような大きさにされる。いくつかの実施形態において、例えば図2に示すように、コア12は、シャフト10と同心にすることができる。他の実施形態において、コア12はシャフトを通って延びるが、コア12はシャフト10と同心でない場合がある。
【0027】
[0043]実施形態において、フレアチップマイクロカテーテル100は、1つまたは複数のワイヤから作製されたワイヤ層を含む。再び図1を参照すると、実施形態において、ワイヤ層14は、シャフト10とコア12との間に配設することができる。シャフト10とコア12との間で、ワイヤ層14はコア12を通って流れる治療材料と干渉せず、治療材料による損傷を受けないことが可能であり(すなわち、治療材料が放射線療法材料である場合、これはワイヤに用いることができる材料を制限する可能性もある)、ペタル(チップを構成する細長部材)を引くことを改善するかまたは容易にすることを可能にすることができる。ワイヤ層14の近位端は、スライド20に取り付けることができ、ワイヤ層14の遠位端はチップ40に取り付けることができる。すなわち、ワイヤ層14を構成する各ワイヤの近位端をスライド20に取り付けることができ、ワイヤ層14を構成する各ワイヤの遠位端をチップ40に取り付けることができる。実施形態において、ワイヤは、限定ではないが、ナイロン、タングステン、ステンレススチールおよびニチノールを含む任意の適切な材料から作製することができる。いくつかの実施形態において、ワイヤ層14を構成するワイヤは、コーティング、例えば、ポリテトラフルオロエチレンコーティングを有することができる。ワイヤ上のコーティングは、ワイヤがフレアチップマイクロカテーテル100内で引かれる場合があるため、ワイヤの改善された並進を可能にすることができる。実施形態において、ワイヤは固定の直径とすることができるか、ワイヤの長さに沿って直径を増大させることができるか、または直径を減少させることができる。
【0028】
[0044]ここで図3A図3Bおよび図3Cを参照すると、ワイヤ層14は、各図においてそれぞれ1つまたは複数の点線によって表される。図3A図3Bおよび図3Cの各々において、各点線は個々のワイヤを表す。したがって、ワイヤ層14は、1つまたは複数のワイヤから構成される。図3Aにおいて、ワイヤ層14は、ワイヤ14Aおよびワイヤ14Bを含む。図3Aに示す実施形態において、ワイヤ14Aおよびワイヤ14Bは、コア12およびシャフト10と同じ水平(長手方向)軸に沿って直線状に延びる。他の実施形態において、1つのみのワイヤまたは2つよりも多くのワイヤがワイヤ層14を構成し、コア12およびシャフト10と同じ水平軸に沿って直線状に延びてもよい。ここで図3Bを参照すると、ワイヤ層14は、図3Aの実施形態のように2つのワイヤ、ワイヤ14Aおよびワイヤ14Bを含む。図3Bにおいて、ワイヤ14Aおよびワイヤ14Bは、コア12およびシャフト10と同じ水平軸に沿って延びるコア12の周りに編組方式で絡み合う。ここで図3Cを参照すると、ワイヤ層14はここで4つのワイヤ、ワイヤ14A、ワイヤ14B、ワイヤ14Cおよびワイヤ14Dを含み、各々がコア12およびシャフト10と同じ水平軸に沿って延びるコア12の周りに編組方式で絡み合う。他の実施形態において、1つのみのワイヤまたは2つよりも多いあるいは4つのワイヤがワイヤ層14を構成し、コア12およびシャフト10と同じ水平軸に沿って延びるコア12の周りに編組方式で絡み合うことができる。ワイヤがコア12の周りに編組方式で絡み合う実施形態において、ワイヤがどの程度緊密に絡み合うかは変動する場合がある。図3A図3Cには示されない他の実施形態において、ワイヤは、編組ではない方式でコア12の周りに撚り合わせてまたは他の形で巻きつけて絡み合わせることができる。実施形態において、ワイヤ層14を通してワイヤを直線状に延ばすことによってフレアチップマイクロカテーテル100のより単純な設計を可能にすることができ、これは、設計または製造目的で有利である場合がある。例えば、ワイヤ層14を通してワイヤを直線状に延ばすことによって、ワイヤの移動をより容易に促すことを可能にすることができる。他の実施形態において、ワイヤを撚り合わせるかまたは網組することにより、ワイヤ層14を補強および/もしくは強化し、かつ/またはワイヤ層14の改善された可撓性、押し込み性および指向性を提供することができる。
【0029】
[0045]実施形態において、フレアチップマイクロカテーテル100はチップ40を備える。いくつかの実施形態において、チップ40は、脈管内のステントの配置および位置決めを支援するための1つまたは複数の被覆および/または視覚化マーカを含むことができる。例えば、チップ40は、間接的に視覚化することができる金、プラチナ、タンタル等のうちの1つまたは複数から作製される放射線不透過性マーカおよび/またはコーティングを含むことができる。チップ40は、1つまたは複数のペタルと、ペタルに取り付けられるワイヤ層14の個々のワイヤの一部分とを含むことができる。チップ40の近位端は、シャフト10の内腔内のコア12の遠位端に取り付けるかまたは装着することができる。より詳細には、実施形態において、チップ40のペタルは、コア12とシャフト10との間に配設することができ、ここで、ペタルはコア12に取り付けられる。更なる実施形態において、ペタルはコア12の周りに巻きつけることができる。実施形態において、ペタルは、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アセタール、Arnitel、Bionate、Carbothane、Chronosil、EFEP、Elastollan、ETFE、エチルビニルアセテート、EVAL、フッ化エチレンプロピレン、高密度ポリエチレン、Hytrel、Kynar PVDF、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、Medalist、NEOFLONTM EFEP RP-5000、NEOFLONTM PFA AP-210、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、Pebax(登録商標)35D、Pebax 45D、Pebax 55D、Pebax 63D、Pebax 70D、Pebax 72D、Pebax/EverGlide(登録商標)、Pebax/Mobilize、Pebax/PEBASlide、Pebax/ProPell STM PEEK、Pellethane 55D、Pellethane 75D、ポリエチレンテレフタラート、ペルフロオロアルコキシアルカン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスルホン、Primacor、ポリ塩化ビニル、樹脂、Rezilient、Santoprene、SEBS、Tecoplast、Tecothane、Texin、熱可塑性ポリイミド、ニチノール、ステンレススチール、ポリマー、任意の適切な可撓性材料または他の弾性材料とすることができる。
【0030】
[0046]実施形態において、チップ40は、集合的にペタル46と呼ばれる複数のペタルを含む。ここで図4図8を共に参照すると、実施形態において、チップ40は、チップ40の遠位端4に形成される遠位開口部48を有することができる。実施形態において、ペタル46は、逆流を阻止し、医療処置中に脈管内で送達される粒子を均一に分散させるのに適した任意の数のペタルおよび任意の数のペタル列を含むことができる。いくつかの実施形態において、ペタル46は、脈管内の流れを制御するように脈管を閉塞するのに適したものとすることができる。更なる実施形態において、ペタル46は脈管内の流れを阻害または阻止することができる。
【0031】
[0047]図4に示す実施形態によれば、チップ40は4つのペタル46A、46B、46C、46Dを含むが、他の実施形態において、チップ40はより多くのまたはより少ないペタルを有してもよい。例示的に、ペタル46A、ペタル46B、ペタル46Cおよびペタル46Dは、方形にされた遠位端を有する細長く平坦な部材である。図4において、チップ40の近位端は、コア12の遠位端およびシャフト10の遠位端に取り付けられる。図4に示される実施形態において、ワイヤ14Aおよびワイヤ14Bはそれぞれペタル46Aおよびペタル46Bに取り付けられる。いくつかの実施形態において、ワイヤはペタルの外面に取り付けることができ、これは、治療薬をチップ40から吐出することができる表面の反対側のペタルの表面である。他の実施形態において、ワイヤは、ペタル内に組み込むことができる。いくつかの実施形態において、ワイヤはペタルの中心に取り付けることができるが、他の実施形態において、ワイヤはペタル内またはペタル上に中心を外して取り付けられてもよく、または複数のワイヤがペタルに取り付けられてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、第1のワイヤは、ペタルの外面の右領域に取り付けることができ、第2のワイヤは、ペタルの外面の左領域に取り付けることができる。再び図4を参照すると、ペタル46Aとペタル46Bとの間に継ぎ目42Aがある。他の実施形態において、継ぎ目42Aにおいてペタル46Aおよびペタル46Bが接触するが重なり合わない。図4において、ワイヤ14Aを含むペタル46Aが、継ぎ目42Aにおいてワイヤ14Bを含むペタル46Bと接触し、ペタル46Bが、継ぎ目42Bにおいてワイヤ14Cを含むペタル46Cと接触し、ペタル46Cが、継ぎ目42Cにおいてワイヤ14Dを含むペタル46Dと接触し、ペタル46Dが、継ぎ目42Dにおいてペタル46Aと接触する。集合的に継ぎ目42と呼ばれる個々の継ぎ目42A、42B、42C、42Dのうちの任意のものにおいて、各継ぎ目において接触する2つのペタルが重なり合う場合がある。他の実施形態において、各継ぎ目において接触する2つのペタルは、重なり合わない場合がある。例えば、継ぎ目42Aにおいて、ペタル46Aおよびペタル46Bは、接触し、重なり合う場合も重なり合わない場合もある。2つ以上のペタルが継ぎ目において重なり合うとき、この重なり合いにより、フレアチップマイクロカテーテルの遠位端における乱流量を低減することができる。
【0032】
[0048]図5におけるチップ40の実施形態は、図4の実施形態と類似し、第2のペタル列146を更に備える。しかし、単純にするために、ペタル146は図5において単一の部材として表され、フレアチップマイクロカテーテル100の実施形態は、1つまたは複数のペタル列を含むことができ、ここで各列は1つまたは複数のペタルを含むことができる。2つ以上のペタル列を含むいくつかの実施形態において、2つよりも多くのペタルが各継ぎ目において接触する場合がある。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の追加のペタル列は、逆流を更に低減するか、または治療薬の分散を増大させることができる。
【0033】
[0049]ここで図6におけるチップ40の実施形態を参照すると、チップ40は、丸められた遠位端を有する細長い平坦な部材である4つのペタル246A、246B、246C、246Dを含む。図6において、ワイヤ214Aを含むペタル246Aが、継ぎ目242Aにおいてワイヤ214Bを含むペタル246Bに接触し、ペタル246Bが、継ぎ目242Bにおいてワイヤ214Cを含むペタル246Cに接触し、ペタル246Cが、継ぎ目242Cにおいてワイヤ214Dを含むペタル246Dに接触し、ペタル246Dが、継ぎ目242Dにおいてペタル246Aに接触する。
【0034】
[0050]図7において、チップ40は、ここでも、中心においてテーパリングされた細長い平坦な部材である4つのペタル346A、346B、346C、346Dを含む。図7において、ワイヤ314Aを含むペタル346Aが、継ぎ目342Aにおいてワイヤ314Bを含むペタル346Bに接触し、ペタル346Bが、継ぎ目342Bにおいてワイヤ314Cを含むペタル346Cに接触し、ペタル346Cが、継ぎ目342Cにおいてワイヤ314Dを含むペタル346Dに接触し、ペタル346Dが、継ぎ目342Dにおいてペタル346Aに接触する。図4図6および図7によって表される実施形態に加えて、ペタル46の遠位端は、逆流を阻止し、医療処置中に脈管内で送達される粒子を均一に分散させるのに適した任意の形状のものであることができる。
【0035】
[0051]ここで図8におけるチップ40の実施形態を参照すると、チップ40は、丸められた遠位端を有する細長い平坦な部材である8つのペタル446A、446B、446C、446D、446E、446F、446G、446Hを含む。いくつかの実施形態において、ペタル数を増大させることにより、逆流を更に低減するか、または治療薬の分散を増大させることができる。上述したように、他の実施形態において、チップ40はより多くのまたはより少ないペタルを有してもよい。図8において、ワイヤ414Aを含むペタル446Aが、継ぎ目442Aにおいてワイヤ414Bを含むペタル446Bに接触し、ペタル446Bが、継ぎ目442Bにおいてワイヤ414Cを含むペタル446Cに接触し、ペタル446Cが、継ぎ目442Cにおいてワイヤ414Dを含むペタル446Dに接触し、ペタル446Dが、継ぎ目442Dにおいてワイヤ414Eを含むペタル446Eに接触し、ペタル446Eが、継ぎ目442Eにおいてワイヤ414Fを含むペタル446Fに接触し、ペタル446Fが、継ぎ目442Fにおいてワイヤ414Gを含むペタル446Gに接触し、ペタル446Gが、継ぎ目442Gにおいてワイヤ414Hを含むペタル446Hに接触し、ペタル446Hが、継ぎ目242Hにおいてペタル246Aに接触する。
【0036】
[0052]図9A図9Cは、チップ40の各ペタルに取り付けられたワイヤがペタル46を引き戻すか、または他の形でペタル46を近位方向に動かし、それによってペタルを互いに外側に径方向に拡張させる、またはチップ40を「広げる」ことができる方法を示す。図9Aは、非フレア構成におけるフレアチップマイクロカテーテル100を示す。並進構成におけるフレアチップマイクロカテーテル100を示す図8Bにおいて、ワイヤ14A、ワイヤ14B、ワイヤ14Cおよびワイヤ14C(図3Bには示されていない)は、それぞれペタル46A、ペタル46B、ペタル46Cおよびペタル46Dを引き戻し始めた。次に図9Cは、フレア構成におけるフレアチップマイクロカテーテル100を示す。ここで、ワイヤ14A、ワイヤ14B、ワイヤ14Cおよびワイヤ14C(図3Cには示されていない)は、それぞれペタル46A、ペタル46B、ペタル46Cおよびペタル46Dを完全に引き戻した。他の実施形態において、ペタル46は、図9Cに示すよりも大きいかまたは小さい程度まで引き戻されてもよい。実施形態において、ワイヤ層14のワイヤは、逆流を阻止し、医療処置中にチップ40から脈管に送達される粒子を均一に分散させる程度まで、チップ40のペタル46を引き戻すか、または他の形でペタル46を近位方向に動かすことができる。いくつかの実施形態において、ペタル46は、脈管内の流れを制御するように脈管を閉塞するのに適したものとすることができる。更なる実施形態において、ペタル46は脈管内の流れを阻害または阻止することができる。
【0037】
[0053]ここで図10Aを参照すると、実施形態による非フレア構成におけるフレアチップマイクロカテーテル100の説明図が提供される。図10Aにおいて、ワイヤを含むペタルは、集合的にチップ40を形成する。チップ40のペタルは、図10Aに示されるその非フレア構成において、直径がフレアチップマイクロカテーテル100の遠位端に向かって徐々に減少する円錐形状を形成する。非フレア構成において、チップ40のペタルは、実質的に、ペタルの長さ全体に沿って互いに接触する。非フレア構成におけるチップ40の形状は、医療処置中の脈管の改善された追従性を提供することができる。上述したように、チップ40は、ガイドワイヤ(図示せず)がチップ40を通過することを可能にする遠位開口部48を内部に含む。
【0038】
[0054]ここで図10Bを参照すると、実施形態によるフレア構成におけるフレアチップマイクロカテーテル100の説明図が提供される。図10Bにおいて、フレアチップマイクロカテーテル100のフレア構成において、スライド20は、フレアチップマイクロカテーテル100の近位端に向かって前進している。ワイヤ層14のワイヤはスライド20に接続され、スライド20がワイヤ層14のワイヤを近位方向に前進させるか、摺動させるか、または引き、それによってチップ40のペタルを開放し、その結果フレア構成になることを可能にするようになっている。実施形態において、フレアチップマイクロカテーテル100は、スライド20をもはやフレアチップマイクロカテーテル100の近位端に向かって前進させることができないときにフレア構成に達することができる。いくつかの実施形態において、スライド20は1つまたは複数の歯(図示せず)を含むことができ、そのような歯は、スライド20がフレアチップマイクロカテーテル100の近位端に向かって前進する際に様々な増分停止点においてスライド20にラチェット係合するようになっている。これらの様々な停止点において、ペタルは径方向に増分的に拡張される。
【0039】
[0055]フレアチップマイクロカテーテル100の実施形態は、ハブ30を含むことができる。ハブ30は、シャフト10の近位端に取り付けることができる。図10Aおよび図10Bを参照すると、ハブ30は、ハブ内腔32を含む。実施形態において、ガイドワイヤ、1つまたは複数の治療薬またはその双方が、ハブ内腔32を通過することができる。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ、1つもしくは複数の治療薬、またはその双方が、近位開口部34においてハブ内腔32に入ることができる。次に、ガイドワイヤ、1つもしくは複数の治療薬、またはその双方が、フレアチップマイクロカテーテル100の遠位端1に向かってハブ内腔32を通過し、コア内腔を通り、チップ40を通り、その後遠位開口部48から吐出されることが可能である。実施形態において、ハブ30は、金属、金属合金およびポリマー等の任意の生体適合性材料を含む。いくつかの実施形態において、ハブ30は、ナイロン、Pebax(登録商標)、または当業者に既知の任意の他の適切な材料を含む。
【0040】
[0056]実施形態において、ハブ30はストレインリリーフ(張力緩和)システムを含むことができる。いくつかの実施形態において、ストレインリリーフシステムは、ワイヤ層14の個々のワイヤをばねまたはコイルに取り付けることができる。更なる実施形態において、ワイヤ層14の個々のワイヤの近位端を、ばねまたはコイルに取り付けることができる。ばねが圧縮状態にあるとき、チップ40のペタルは、フレアチップマイクロカテーテル100が非フレア構成になるように閉じることができる。スライド20を近位方向に前進または摺動させ、ワイヤ層のワイヤを引くことができる際、ばねは伸長し、チップ40のペタルを引く。ストレインリリーフシステムは、フレアチップマイクロカテーテル100に過度の応力をかけることなくワイヤおよび/またはペタルが引かれることを可能にする張力を提供することができる。
【0041】
[0057]いくつかの変形形態において、フレアチップマイクロカテーテル100は、フレアチップマイクロカテーテル100のロケーションおよび/または向きを間接的に視覚化するための視覚検出部分を含むことができる。視覚検出部分は、フレアチップマイクロカテーテル100の展開(又は、配備)中に蛍光透視法等の技法を用いて視覚化することができる。いくつかの例において、エコー輝度、放射線不透過性、表面積、表面積、誘電率、伝導率、浸透性等のフレアチップマイクロカテーテル100の1つまたは複数の特性を選択して、例えば蛍光透視法および/または検出器による検出を向上させることができる。蛍光透視法は、リアルタイムX線撮像のための技法であり、一般的に、身体内の関心領域を通じて蛍光透視法からX線ビームが放出される。視覚化される物体(例えば、ステント)を、画像増強装置を用いて撮像することができる。次に、画像増強装置によって示されるリアルタイム画像を見るユーザは、フレアチップマイクロカテーテル100のロケーションおよび向きを決定し、これを用いてフレアチップマイクロカテーテル100を誘導して配備することができる。
【0042】
[0058]ここで、フレアチップマイクロカテーテルを配備する方法の実施形態を参照する。実施形態において、フレアチップマイクロカテーテルを配備する方法は、本明細書に記載の実施形態によるフレアチップマイクロカテーテルを提供することを含むことができる。次に、いくつかの実施形態において、ガイドワイヤは、身体内の脈管を通じて誘導することができる。いくつかの実施形態において、フレアチップマイクロカテーテル100は、ガイドワイヤを介して前進させ、身体内の脈管を通じて誘導することができる。他の実施形態において、フレアチップマイクロカテーテル100は、ガイドワイヤなしで身体内の脈管を通じて前進させることができる。フレアチップマイクロカテーテル100が脈管内の治療部位に到達すると、本方法は、ワイヤ層14のワイヤを引いて、ペタル46を互いに外方向に径方向に拡張させ、チップ40を「広げ」、それによってフレアチップマイクロカテーテル100のフレア構成を形成することを更に含むことができる。フレアチップマイクロカテーテル100のフレア構成において、治療薬が用意され、チップ40から遠位方向に、遠位開口部48を出て積層方式で流すことができる。
【0043】
[0059]放射線療法薬、化学療法薬またはこれらの組み合わせ等の治療薬の配置後、スライド20を、フレアチップマイクロカテーテル100の遠位端に向かって動かし、それによって、チップ40を非フレア構成に戻すように折りたたむことができ、フレアチップマイクロカテーテル100はその後、患者から取り外すことができる。
【0044】
[0060]ここで、フレアチップマイクロカテーテルを生成する実施形態を参照する。実施形態において、フレアチップマイクロカテーテルを生成するために、コア12を押し出し成形し、或る長さに切断することができる。コア12は、ポリテトラフルオロエチレン等の任意の適切な材料を用いて押し出し成形することができる。更なる実施形態において、シャフト10を押し出し成形し、或る長さに切断することができる。シャフト10は、Arkemaから市販されているPebax(登録商標)等の任意の適切な材料を用いて押し出し成形することができる。コア12のコア外径よりも大きなシャフト内径を有するシャフト10を押し出し成形することができる。
【0045】
[0061]コア12およびシャフト10が生成されると、2つ以上のワイヤを、コア12の長さに沿って直線状に、撚り合わせて、編組して、または他の形で延ばし、ワイヤ層14を形成することができる。次に、シャフト10をワイヤ層14およびコア12の上で摺動させることができる。他の実施形態において、コア12およびシャフト10が生成されると、2つ以上のワイヤをシャフト10とコア12との間に挿入するかまたは通し、コア12の長さに沿ってシャフト内腔を通って直線状に、撚り合わせて、編組して、または他の形で延ばし、ワイヤ層14を形成することができる。ワイヤ層14が形成されると、熱を用いてシャフト10およびコア12を共に融合して、シャフト10とコア12との間にワイヤ層14を取り込むことができる。
【0046】
[0062]実施形態において、ワイヤ層14におけるワイヤの長さは、シャフト10の遠位端およびコア12の遠位端を超えて延びることができる。更なる実施形態において、ワイヤ層14におけるワイヤの長さは、シャフト10の近位端およびコア12の近位端と同一平面にすることができる。
【0047】
[0063]次に、実施形態において、コア12およびシャフト10の遠位端は、当該技術分野において既知の無線周波数(RF)ティッピング法または加熱染料法等の任意の適切な方法によって、未切断チップを形成することができる。未切断チップは、形成され、冷却されると、切断染料を用いて個々のペタルに切断され、それによってチップ40を形成する。
【0048】
[0064]シャフト10の近位端は、ハブ30を形成するように成形することができるか、または接着剤を用いる等の任意の適切な手段によってハブ30に接着することができる。例えば、シャフト10の近位端は、UV硬化型接着剤を用いてハブ30に接着することができる。いくつかの実施形態において、ハブ30はストレインリリーフを含むことができる。
【0049】
[0065]実施形態において、スライド20は、ハブ30上にオーバーモールドすることができる。ワイヤ層14の個々のワイヤの近位端は、緊張して張られ、かつ/またはハブの上に成形されたスライド20に溶接するかもしくは付着させることができる。実施形態において、ストレインリリーフをスライド20上に付着させ、それによって露出したワイヤを収容することができる。
【0050】
[0066]ここで治療薬および治療薬を含むミクロスフェアを参照すると、これらのうちの任意のものを、本明細書に記載の実施形態によるフレアチップマイクロカテーテルを用いて送達することができるか、本明細書に記載の実施形態によるフレアチップマイクロカテーテルを展開する方法における治療薬として用いるか、または本明細書に記載の実施形態によるフレアチップマイクロカテーテルを含む塞栓治療方法における治療薬として用いることができる。
【0051】
[0067]ミクロスフェアまたは「複数のミクロスフェア」は、複数のミクロスフェアを含むことができ、これらは代替的に「マイクロビーズ」と呼ばれる場合がある。実施形態において、複数のミクロスフェアは治療薬を含む。更なる実施形態において、複数のミクロスフェアは、反磁性材料、治療薬、マイクロビーズ材料またはこれらの組み合わせを含むミクロスフェアを含むことができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェアにおける各マイクロビーズは、反磁性材料、治療薬およびマイクロビーズ材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェアにおけるミクロスフェアのうちのいくつかのみが、反磁性材料、治療薬、または反磁性材料および治療薬の組み合わせを含むことができる。
【0052】
[0068]複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、放射線塞栓療法の医療に適したサイズの直径を有することができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、約30マイクロメートル(μm)~約1500μmの直径を有することができる。他の実施形態において、複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、約30μm~約1500μm、約30μm~約1000μm、約30μm~約500μm、約30μm~約100μm、約100μm~約1500μm、約100μm~約1000μm、約100μm~約500μm、約500μm~約1500μm、約500μm~約1000μm、または約1000μm~約1500μmの直径を有することができる。
【0053】
[0069]複数のミクロスフェアのミクロスフェアは、マイクロビーズ材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、マイクロビーズ材料は、ガラスまたはシリカを含むことができる。他の実施形態において、マイクロビーズ材料は、生分解性かつ生体吸収性材料を含むことができ、これらは、分解され、かつ/または体内で安全に再吸収される材料である。生分解性かつ生体吸収性材料の例は、限定ではないが、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリヒドロキシブチレート-コ-βヒドロキシバリレート(PHBV)、ポリカプロラクトン(PCL)、ナイロン-2、ナイロン-6、ポリ乳酸-ポリグリコール酸重合体、PLGA-ポリエチレングリコール(PEG)-PLGA(PLGA-PEG-PLGA)、カルボキシメチルセルロース-キトサン(CMC-CCN)、キトサン、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、鉄ベース合金、マグネシウムベース合金およびこれらの組み合わせを含むことができる。他の実施形態において、マイクロビーズ材料はポリマー材料とすることができる。更なる実施形態において、マイクロビーズ材料は、ヒドロゲルを形成することが可能なポリマー材料等の水膨潤性ポリマー材料とすることができる。複数のミクロスフェアのミクロスフェアは、マイクロビーズ材料、またはより詳細には、ヒドロゲル型水膨潤性ポリマー材料から形成されるマイクロ粒子に共通の任意の形状を有することができる。例えば、複数のミクロスフェアのミクロスフェアは、球体または実質的に球体とすることができ、長手方向軸の周りで長円形状または楕円形の断面を有し、長手方向軸に対し垂直な軸の周りで円形の断面を有するか、またはその組み合わせである卵形形状を有することができる。いくつかの実施形態において、ミクロスフェアは多孔質とすることができる。
【0054】
[0070]様々な実施形態において、マイクロビーズ材料は、例えば、キトサンもしくは多糖類等の天然ヒドロゲルポリマー、またはポリアクリレート、ポリアミド、ポリエステル、多糖類、ポリ(メタクリル酸メチル)もしくはポリ(ビニルアルコール)等の合成ヒドロゲルポリマーを含む水膨潤性ポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態において、水膨潤性ポリマー材料は生分解性とすることができる。水膨潤性ポリマー材料の特定の例は、限定ではないが、ポリ(4-ヒドロキシブチレート)、メタクリル化ヒアルロン酸(D-グルクロン酸およびN-アセチル-D-グルコサミンで構成される二糖のポリマーであるヒアルロン酸)、キトサン-アルジネート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)共重合体、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)-アルジネート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)-ペプチド、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)-α-アクリロイルオキシ-β,β-ジメチル-γ-ブチロラクトン親水性ジェファミン(Jeffamine)、またはポリ(N-イソプロピル-アクリルアミド)-ポリ(エチレングリコール)ジアクリラート-ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプト-プロピオナート)を含む。マイクロビーズ材料は、上記の材料のうちの任意のものの派生物を含む水膨潤性ポリマー材料を含むことができるか、または上記の材料もしくはそれらの派生物のうちの任意のものの組み合わせを含むことができる。例えば、マイクロビーズ材料は、各個々のマイクロビーズが単一のタイプのポリマーから作製される複数の水膨潤性ポリマー材料の組み合わせを含むことができ、複数のミクロスフェアは、複数のポリマータイプのマイクロビーズ材料を含む。いくつかの実施形態において、マイクロビーズ材料は、複数の水膨潤性ポリマー材料の組み合わせを含むことができ、ここで個々のミクロスフェアは複数のタイプのポリマーから構成される。
【0055】
[0071]実施形態において、複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、個々のミクロスフェアの総重量に基づいて、約30重量%~約70重量%、または約35重量%~約65重量%、または約40重量%~約60重量%、または約45重量%~約55重量%、または約50重量%~約70重量%のマイクロビーズ材料を含むことができる。更なる実施形態において、複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、複数のミクロスフェアにおいて個々のミクロスフェアの総重量に基づいて、約30重量%~約70重量%、または約35重量%~約65重量%、または約40重量%~約60重量%、または約45重量%~約55重量%、または約50重量%~約70重量%の水膨潤性ポリマー材料を含むことができる。
【0056】
[0072]実施形態において、複数のミクロスフェアは、1つまたは複数の反磁性材料を含むことができ、反磁性材料は、外部磁場に対し磁気反発を呈し、それによって複数のミクロスフェアがこの磁気反発に従って動くことを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェアの1つまたは複数の反磁性材料は、印加された電流、電場または双方に対する電磁反発を呈することができ、それによって複数のミクロスフェアがこの電磁反発に従って動くことを可能にする。
【0057】
[0073]電流または電場に反応する例示的な材料は、限定ではないが、金属、電解質、超伝導体、半導体、非金属導体、導電性ポリマー、形状記憶ポリマー、および形状記憶合金を含むことができる。実施形態において、例示的な反磁性材料は、限定ではないが、水、木;ガラス;セラミック;グラファイト;石油、プラスチック、生物組織等の有機化合物;ならびに銅、水銀、金およびビスマス等の金属を含むことができる。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のミクロスフェアは、ガラス、セラミック、グラファイト、金属またはこれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの特定の実施形態において、1つまたは複数のミクロスフェアは、グラファイト、ビスマスまたはこれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0058】
[0074]複数のミクロスフェアのミクロスフェアにおいて、1つまたは複数の反磁性材料をマイクロビーズ材料によって全体的に取り囲むことができる。いくつかの実施形態において、水膨潤性ポリマー材料またはそのいくらかの部分は、1つまたは複数の半磁性材料を全体的に取り囲むことができる。他の実施形態において、水溶性ポリマー材料シェル等のマイクロビーズ材料シェルが、1つまたは複数の反磁性材料を保持するコアをカプセル化することができる。他の実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料を、外殻内にコアを有する場合も有しない場合もあるマイクロビーズ材料のマトリクス、網、または孔構造内に物理的に配設することができる。他の実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料をマイクロビーズ材料上にコーティングするかまたは他の形で化学結合し、1つまたは複数の半磁性材料がマイクロビーズ材料と共有結合性の化学結合を有するようにすることができる。
【0059】
[0075]実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料は、マイクロビーズ材料との共有結合性の化学結合が欠如している場合があるが、いくつかの例では、非共有結合的に、イオン的に、またはマイクロビーズ材料との分子間力を通じて相互作用する場合がある。例えば、マイクロビーズ材料がポリマー材料である場合、1つまたは複数の反磁性材料は、ポリマー材料との共有結合性の結合が完全に欠如している場合があるか、またはマイクロビーズ材料は、ポリマー材料のポリマー骨格のみとの共有結合性の結合が欠如している場合がある。更なる実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料は、水膨潤性ポリマー材料との共有結合性の結合が完全に欠如している場合があるか、またはマイクロビーズ材料は、水膨潤性ポリマー材料のポリマー骨格のみとの共有結合性の結合が欠如している場合がある。更なる実施形態において、マイクロビーズ材料は、1つまたは複数の反磁性材料を全体的に取り囲む場合があるが、それでも、1つまたは複数の反磁性材料は、水膨潤性ポリマー材料の官能基に共有結合性の結合を有する場合がある。
【0060】
[0076]いくつかの実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料をミクロスフェアに組み込んで、充填樹脂材料を生成することができる。充填樹脂材料は、ミクロスフェア材料全体にわたるマトリクス、網または孔構造内に物理的に配設された1つまたは複数の反磁性材料を含むマイクロビーズ材料を指すことができる。いくつかの特定の実施形態において、充填樹脂材料は、グラファイト充填材料またはビスマス充填材料とすることができる。
【0061】
[0077]1つまたは複数の反磁性材料をミクロスフェアに組み込む実施形態において、ミクロスフェアは、コア-シェル形態学を有することができ、ここで、シェルはマイクロビーズ材料を含み、シェルによってカプセル化されたコアは、1つまたは複数の反磁性材料または充填樹脂材料を含む。「カプセル化された」という用語は、広義には、シェルまたはそのいくらかの部分がコアを全体的に取り囲む実施形態を含む。ミクロスフェアがコア-シェル形態学を有するいくつかの特定の実施形態において、シェルはポリカーボネートまたはナイロンを含み、コアは充填樹脂材料を含む。他の実施形態において、1つまたは複数の反磁性材料または充填樹脂材料は、生体適合性樹脂シェル内にカプセル化されたコア材料とすることができる。生体適合性樹脂の例は、限定ではないが、エポキシ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、高密度ポリエチレンまたはこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、生体適合性樹脂材料を用いて、マイクロビーズ内の1つまたは複数の他の機能層から1つまたは複数の反磁性材料または充填樹脂材料を分離することができる。コア-シェル形態学を有するミクロスフェアは、マイクロ流体製造プロセスによって生成することができる。他の実施形態において、充填樹脂材料は、外殻内にコアを有する場合も有しない場合もあるマイクロビーズ材料のマトリクス、網、または孔構造内に物理的に配設することができる。
【0062】
[0078]実施形態において、複数のミクロスフェアは、1つまたは複数の薬剤充填ミクロスフェアを含むことができる。いくつかの実施形態において、複数のミクロスフェアは、完全に薬剤充填ミクロスフェアから作製することができ、ここで、各マイクロビーズは反磁性材料も含む。他の実施形態において、複数のミクロスフェアは、薬剤充填ミクロスフェアと、反磁性材料を含むミクロスフェアとの混合物を含むことができる。
【0063】
[0079]実施形態において、薬剤充填ミクロスフェアは、治療薬を充填された、または治療薬と担体との複合体を充填されたミクロスフェアとすることができる。複数のミクロスフェアの個々に薬剤充填されたミクロスフェアは、1つの治療薬または複数の治療薬を含むことができる。集合的に、複数のミクロスフェアのミクロスフェアは、1つの特定の治療薬または特定の治療薬の組み合わせを充填された、いくつかの薬剤充填ミクロスフェアと、異なる特定の治療薬または特定の治療薬の組み合わせを充填された他のミクロスフェアとを含むことができる。
【0064】
[0080]いくつかの実施形態において、治療薬は親水性治療薬、水溶性治療薬、または水溶液において少なくともいくらかの溶解性を有する治療薬とすることができる。いくつかの実施形態において、治療薬は、がん等の疾患を治療するための少なくともいくらかの効能を有する化学療法薬とすることができる。いくつかの実施形態において、治療薬は、肝細胞がん、肝臓がん、前立腺がんまたは乳がん等のがんを治療するための少なくともいくらかの効能を有する化学療法薬とすることができる。治療薬は、正または負の電荷または親和性を有する1つまたは複数の化学的部分または原子中心を有することができる。特定の治療薬の例は、限定ではないが、ドキソルビシン、ソラフェニブ、バンデタニブ、ニボルマブ、イピリムマブ、レゴラフェニブ、イリノテカン、エピルビシン、ピラルビシン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、フロクスウリジン、マイトマイシンC、上記のうちの任意のものの派生物、上記のうちの任意のもののプロドラッグ、上記のうちの任意のものの治療的に受容可能な塩または結晶形態、または上記のうちの任意のものの組み合わせを含むことができる。適切な治療薬の更なる例は、限定ではないが、ピラルビシン、ミトキサントロン、トポテカン、パクリタキセル、カルボプラチン、ペメトレキセド、ペニスタチン(penistatin)、ペルツズマブ、トラスツズマブおよびドセタキセルを含む。
【0065】
[0081]いくつかの実施形態において、治療薬は、がん等の疾患を治療するための少なくともいくらかの効能を有する放射線療法薬とすることができる。いくつかの実施形態において、治療薬は、肝細胞がん、肝臓がん、前立腺がんまたは乳がん等のがんを治療するための少なくともいくらかの効能を有する放射線療法薬とすることができる。放射線療法薬は、撮像を可能にするための十分なガンマ放射を放出するベータ-ガンマエミッタ等の放射線同位体を含むことができる。特定の放射線療法薬の例は、限定ではないが、ビスマス-213、ホウ素-10、セシウム-131、セシウム-137、コバルト-60、ジスプロシウム-165、エルビウム-169、ホルミウム-166、ヨウ素-125、ヨウ素-131、イリジウム-192、鉄-59、鉛-212、ルテチウム-177、モリブデン-99、パラジウム-103、リン-32、カリウム-42、ラジウム-223、レニウム-186、レニウム-188、サマリウム-153、セレン-75、ナトリウム-24、ストロンチウム-89、テクネチウム-99m、トリウム-227、キセノン-133、イッテルビウム-169、イッテルビウム-177およびイットリウム-90を含む。いくつかの他の例は、アクチニウム-225、アスタチン-211、ビスマス-213、炭素-11、窒素-13、酸素-15、フッ素-18、コバルト-57、銅-64、銅-67、フッ素-18、ガリウム-67、ガリウム-68、ゲルマニウム-68、インジウム-111、ヨウ素-123、ヨウ素-124、クリプトン-81m、ルビジウム-82、ストロンチウム-82およびタリウム-201を含む。いくつかの特定の実施形態において、複数のミクロスフェアは、イットリウム-90を含む薬剤充填ミクロスフェアを含むことができる。
【0066】
[0082]いくつかの実施形態において、水膨潤性ポリマー材料またはそのいくらかの部分は、治療薬または治療薬を含む複合体を全体的に取り囲む。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマー材料シェルは、治療薬または複合体を保持するコアをカプセル化することができる。他の実施形態では、治療薬または複合体は、外殻内にコアを有する場合も有しない場合もある水膨潤性ポリマー材料のマトリクス、網、または孔構造内に物理的に配設することができる。
【0067】
[0083]いくつかの実施形態において、薬剤充填マイクロビーズの治療薬は、マイクロビーズ材料のミクロスフェアを全体的に取り囲むが、治療薬とマイクロビーズ材料との間の共有結合性の化学結合が欠如している場合がある。共有結合性の化学結合が欠如しているにもかかわらず、治療薬およびマイクロビーズ材料は、イオン的相互作用または分子間力相互作用等の非共有結合性の分子間相互作用を有する場合がある。いくつかの実施形態において、薬剤充填マイクロビーズの治療薬は、マイクロビーズ材料を全体的に取り囲み、水膨潤性ポリマー材料のポリマー骨格に対する共有結合性の化学結合が欠如している場合があるが、それでも治療薬は、水膨潤性ポリマー材料の官能基に化学結合している場合がある。いくつかの実施形態において、治療薬は水膨潤性ポリマー材料に全く化学結合しない。
【0068】
[0084]薬剤充填ミクロスフェアは、複数のミクロスフェア、および個々のミクロスフェア内に存在する特定の治療薬のための意図される使用に基づいて、所望の治療効果または活性を有する治療薬の量を含むことができる。複数のミクロスフェアの個々の薬剤充填ミクロスフェアにおける治療薬の量は、例えば、充填溶液内の治療薬の充填時間、充填温度または濃度等の、薬剤充填中に関与する特定の技法を通じて調整することができる。複数のミクロスフェアの個々の薬剤充填ミクロスフェアにおける治療薬の量は、ポリマー分子量、ヒドロゲル架橋の度合い、ポリマー密度、水膨潤性ポリマー材料のポリマー間隙率を調整すること等を通じてミクロスフェアが自己合成するために関与する合成技法を通じて調整することができる。例えば、ドキソルビシンが治療薬であるとき、薬剤充填ミクロスフェア内の薬剤充填量は、水膨潤性ポリマー材料のポリマー骨格内の負の電荷の数に対して調整することができる。同様に、ソラフェニブが治療薬であるとき、ソラフェニブは、マイクロビーズ構造内に埋め込むことができるポリマーミセルまたはリポソーム内に埋め込むことができる。いくつかの実施形態において、薬剤充填ミクロスフェアの個々のミクロスフェアにおける治療薬の量は、担体の選択を通じて調整することができる。
【0069】
[0085]いくつかの実施形態において、治療薬が放射線療法薬であるとき、放射線療法薬は、沈降法によってミクロスフェア内に充填することができる。例えば、イットリウム-90が治療薬であるとき、そのような沈降法は、イットリウムの少なくとも一部分がイットリウム-90である可溶性イットリウム塩(例えば、YC1)の溶液を準備し、可溶性塩をリン酸イットリウム(YPO)等の不溶性塩の小さな沈殿物に化学的に変換し、沈殿物を含む溶液にミクロスフェアを添加し、リン酸イットリウムをビーズの表面上で核化し、マイクロビーズが多孔性である場合、孔のうちの少なくともいくつかの中に核化することを含むことができる。別の例において、そのような沈降法は、イットリウムの少なくとも一部分がイットリウム-90である可溶性イットリウム(例えば、YCl)の溶液にミクロスフェアを添加し、可溶性イットリウムがミクロスフェアの孔内に貫入することを可能にし、次に、可溶性イットリウムを不溶性イットリウムに変換することを含むことができる。不溶性イットリウムは、リン酸イットリウム(YPO)、硫酸イットリウム(Y(SO)および炭酸イットリウム(Y(CO)を含むことができる。別の例において、イットリウム-90は、マイクロビーズの表面上に結合またはコーティングすることができる。
【0070】
[0086]例示的な実施形態において、複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、複数のミクロスフェアにおける個々のミクロスフェアの総重量に基づいて、約1重量%~約25重量%、または約1重量%~約20重量%、または約1重量%~約15重量%、または約2重量%~約25重量%、または約5重量%~約25重量%、または約10重量%~約25重量%の治療薬を含むことができる。
【0071】
[0087]いくつかの実施形態において、薬剤充填マイクロビーズは、担体および治療薬の複合体を含むことができる。複合体において、治療薬は、担体に化学結合することができるか、またはカプセル化もしくは分子間力相互作用等の非共有結合性の手段によって担体と関連付けることができる。実施形態において、複合体は、マイクロビーズ材料内に埋め込むことができる。更なる実施形態において、複合体は、水膨潤性ポリマー材料内に埋め込むことができる。複合体がマイクロビーズ材料内に埋め込まれるとき、担体は、マイクロビーズ材料に化学結合することができるのに対し、治療薬はマイクロビーズ材料に化学結合されない。理論に束縛されることを意図せず、治療薬が担体と結合または関連付けされるが、マイクロビーズ材料に化学結合されないとき、複数のミクロスフェアの薬剤充填ミクロスフェアは、薬剤充填中の薬剤分子との水分子の交換の結果としてより収縮を受けにくい場合があると考えられる。したがって、薬剤充填ミクロスフェアの最終サイズ分布は、治療薬が充填される前に適切なマイクロビーズサイズを選択することによって、より迅速に制御することができる。
【0072】
[0088]薬剤充填マイクロビーズが担体と治療薬との複合体を含む実施形態では、担体は、治療薬と複合することができるかまたは治療薬をカプセル化することができる任意の薬学的に受容可能な化合物とすることができる。いくつかの実施形態において、担体は、反対の電荷または反対の双極子モーメントを有する治療薬の対応する化学基と相互作用する双極子モーメントで荷電された1つまたは複数の化学基を有することができる。担体がポリマー材料である場合、担体は、水膨潤性ポリマー材料と異なる材料とすることができる。適切な担体の非限定的な例は、多糖類、リポソーム、ポリマーミセル、プルロニック(登録商標)、ポリカプロラクトン-b-メトキシ-PEG、ポリ(アスパラギン酸)-b-PEG、ポリ(ベンジル-L-グルタメート)-b-PEG、ポリ(D,L-ラクチド)-b-メトキシ-PEG、ポリ(β-ベンジル-L-アスパルタート)-b-PEGを含む。多糖類の非限定的な例は、デキストラン、およびデキストランナトリウム硫酸塩等のデキストラン硫酸塩を含む。1つの例示的な実施形態において、担体は、約40kDa(キロダルトン)~約500kDa、または約50kDa~約300kDa、または約100kDa~約300kDa、または約100kDa~約200kDaの加重平均分子量を有するデキストランナトリウム硫酸塩を含むことができる。
【0073】
[0089]例示的な実施形態において、複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、複数のミクロスフェアにおける個々のマイクロビーズの総重量に基づいて、約1重量%~約40重量%、または約1重量%~約30重量%、または約1重量%~約25重量%、または約1重量%~約20重量%、または約5重量%~約40重量%、または約10重量%~約40重量%、または約20重量%~約40重量%の担体を含むことができる。
【0074】
[0090]例示的な実施形態において、複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは水を含む。例示的な実施形態において、実施形態による複数のミクロスフェアの個々のミクロスフェアは、個々のミクロスフェアの総重量に基づいて、1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満、または0.05重量%(500ppm)未満、または0.02重量%(200ppm)未満、または0.01重量%(100ppm)未満、または0.005重量%(50ppm)未満、または0.002重量%(20ppm)未満、または0.001重量%(10ppm)未満等の低い含水量を有することができる。理論によって束縛されることを意図せずに、マイクロビーズの低含水量により、マイクロビーズの貯蔵寿命および長期安定性が増大すると考えられる。更に、マイクロビーズの総重量に基づいた、1重量%(例えば、2%、3%、5%、または10%等)よりも大幅に大きな含水量により、数日または更には数時間以内での治療薬の分解もしくは加水分解、水膨潤性ポリマーの不安定性もしくは分裂、またはこれらの組み合わせにつながる場合があり、それによってマイクロビーズが再水和される場合であってもマイクロビーズを塞栓処置に用いることができないと考えられる。1重量%よりも大幅に大きい含水量を有する場合の貯蔵寿命および長期安定性は、マイクロビーズの製造から、塞栓処置における使用までの期間にわたる治療薬の生存能力を確保するのに十分長くないと考えられる。水膨潤性ポリマー材料の選択は、治療薬の分解を防ぐのに十分な量における、凍結乾燥もしくは他の乾燥技法、または乾燥技法の組み合わせによってミクロスフェアから水が除去される能力と相関付けることができると考えられる。
【0075】
[0091]上述したように、マイクロビーズの低含水量は、乾燥技法によって達成することができる。これに関して、ミクロスフェアは、埋め込まれた治療薬、または治療薬および担体の埋め込まれた複合体を含むミクロスフェアの乾燥したまたはほぼ脱水した組成物とすることができる。ミクロスフェアは、粉末状の粘稠度を有することができる。したがって、ミクロスフェアは、複数のミクロスフェアが塞栓に適することができるようにミクロスフェアを再水和することによって、治療中の対象者への注入に適するように作製することができる。いずれにしても、ミクロスフェアは、医師が塞栓処置において用いるための複数のミクロスフェアを準備するために、医師が水または緩衝生理食塩溶液等の水溶液を複数のミクロスフェアに添加するのみでよい形式で提供することができる。
【0076】
[0092]本開示は、1つまたは複数の非限定的態様を含む。第1の態様は、フレアチップマイクロカテーテルであって、マイクロカテーテルは、内部にシャフト内腔が画定された中空シャフトと、シャフト内腔内に配設されたコアであって、コアは中空であり、コア内腔を画定する、コアと、コアの遠位端に取り付けられた少なくとも2つのペタルを備えるチップであって、少なくとも2つのペタルは少なくとも2つのワイヤを備える、チップとを備え、少なくとも2つのワイヤは、少なくとも2つのペタルを引き、チップのフレア構成を形成するように構成され、チップのフレア構成は、チップから遠位方向の治療薬の層流を可能にする、フレアチップマイクロカテーテルを含むことができる。
【0077】
[0093]第2の態様は第1の態様を含むことができ、少なくとも2つのワイヤは、シャフト内腔内のコアとシャフトとの間に配設される。
[0094]第3の態様は任意の先行する態様を含むことができ、少なくとも2つのペタルの各ペタルは1つのワイヤを含む。
【0078】
[0095]第4の態様は任意の先行する態様を含むことができ、スライドを更に備え、少なくとも2つのワイヤはスライドに取り付けられ、スライドは少なくとも2つのワイヤを引くように構成される。
【0079】
[0096]第5の態様は任意の先行する態様を含むことができ、少なくとも2つのペタルは継ぎ目において重なり合う。
[0097]第6の態様は任意の先行する態様を含むことができ、少なくとも2つのワイヤが、マイクロカテーテルの水平軸に沿って直線状に延びる。
【0080】
[0098]第7の態様は任意の先行する態様を含むことができ、少なくとも2つのワイヤは、マイクロカテーテルの長手方向軸に沿って編組方式でコアの周りに絡み合う。
[0099]第8の態様は任意の先行する態様を含むことができ、少なくとも4つのペタルを更に備える。
【0081】
[0100]第9の態様は任意の先行する態様を含むことができ、スライドは、引っ張られるときに少なくとも2つのペタルを広げるように構成される。
[0101]第10の態様は任意の先行する態様を含むことができ、少なくとも2つのペタルの各ペタルは2つ以上のワイヤを含む。
【0082】
[0102]第11の態様はフレアチップマイクロカテーテルを展開する方法の任意の先行する態様を含むことができ、本方法は、近位端および遠位端を有するフレアチップマイクロカテーテルを、脈管を通して前進させるステップであって、フレアチップマイクロカテーテルは、内部にシャフト内腔が画定された中空シャフトと、シャフト内腔内に配設されたコアであって、コアは中空であり、コア内腔を画定する、コアと、コアの遠位端に取り付けられた少なくとも2つのペタルを備えるチップであって、少なくとも2つのペタルは少なくとも2つのワイヤを備える、チップとを備える、ステップと、少なくとも2つのワイヤを引いて、少なくとも2つのペタルを広げ、チップのフレア構成を形成するステップとを含み、チップのフレア構成は、チップから遠位方向の治療薬の層流を可能にする。
【0083】
[0103]第12の態様は第11の態様を含むことができ、フレアチップマイクロカテーテルは、少なくとも2つのワイヤに取り付けられたスライドを更に備え、スライドは少なくとも2つのワイヤを引くように構成される。
【0084】
[0104]第13の態様は第12の態様を含むことができ、少なくとも2つのワイヤを引くことは、少なくとも2つのワイヤに取り付けられたスライドを引くことを更に含むことができる。
【0085】
[0105]第14の態様は第11~13の態様を含むことができ、ガイドワイヤを、コア内腔を通して前進させ、ガイドワイヤを、身体内の脈管を通して誘導するステップを更に含む。
【0086】
[0106]第15の態様は第14の態様を含むことができ、治療薬は、放射線療法薬、化学療法薬、またはこれらの組み合わせを含む。
[0107]第16の態様は第15の態様を含むことができ、治療薬は、放射線療法ミクロスフェア、化学療法ミクロスフェア、またはこれらの組み合わせを含む。
【0087】
[0108]第17の態様は塞栓治療方法を含むことができ、本方法は、近位端および遠位端を有するフレアチップマイクロカテーテルを、患者の身体内の脈管を通して前進させるステップであって、フレアチップマイクロカテーテルは、内部にシャフト内腔が画定された中空シャフトと、シャフト内腔内に配設されたコアであって、コアは中空であり、コア内腔を画定する、コアと、コアの遠位端に取り付けられた少なくとも2つのペタルを備えるチップであって、少なくとも2つのペタルは少なくとも2つのワイヤを備える、チップとを備える、ステップと、少なくとも2つのワイヤを引いて、少なくとも2つのペタルを広げ、チップのフレア構成を形成し、それによって、チップのフレア構成が、チップから遠位方向の治療薬の層流を可能にする、ステップと、患者の身体内の脈管に治療薬を送達するステップであって、コア内腔を通じてフレアチップマイクロカテーテルの遠位端から治療薬を吐出することを含む、ステップとを含む。
【0088】
[0109]第18の態様は第17の態様を含むことができ、治療薬は、放射線療法薬、化学療法薬、またはこれらの組み合わせを含む。
[0110]第19の態様は第17~18の態様を含むことができ、治療薬は、放射線療法ミクロスフェア、化学療法ミクロスフェア、またはこれらの組み合わせを含む。
【0089】
[0111]第20の態様は第17~19の態様を含むことができ、少なくとも2つのワイヤに取り付けられたスライドを引くステップを更に含み、スライドは少なくとも2つのワイヤを引くように構成される。
【0090】
[0112]本開示を説明および画定する目的で、用語「実質的に」は、本明細書において、任意の量的比較、値、測定または他の表現に帰され得る固有の不確実性の度合いを表すために利用される。用語「実質的に」は、本明細書において、問題となる主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、量的表現が述べられた基準から変動し得る度合いを表すためにも利用される。したがって、用語「実質的に」は、理論上、厳密な一致または挙動を呈することが予期されるが、実際には、厳密とは僅かに異なるものを具現化する場合がある要素または特徴の構成を指す、任意の量的比較、値、測定または他の表現に帰され得る固有の不確実性の度合いを表すために利用される。
【0091】
[0113]特定の実施形態が本明細書に示され、説明されたが、特許請求される主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および修正を行うことができることが理解されるべきである。その上、特許請求される主題の様々な態様が本明細書に記載されたが、そのような態様は組み合わせて利用される必要がない。したがって、添付の特許請求の範囲が、特許請求される主題の範囲内にある全てのそのような変更および修正を網羅することが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B