(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】薬液投与装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20231006BHJP
A61M 5/158 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
A61M5/142 522
A61M5/158 500Z
(21)【出願番号】P 2021504895
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2020007327
(87)【国際公開番号】W WO2020184160
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2019045414
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 城司
(72)【発明者】
【氏名】山崎 剛
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-136271(JP,A)
【文献】国際公開第2016/075976(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0188810(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0163874(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液貯蔵部、前記薬液貯蔵部に接続される送液配管及びこれらを収容する筐体を有するポンプ本体と、
前記ポンプ本体が載置される載置面部を有し、前記ポンプ本体が第1の方向における第1端から第2端方向に沿って着脱可能に装着されるクレードル装置と、
前記送液配管に接続されるポート本体及び生体に挿入可能なカニューレを有し、前記載置面部に装着される接続ポートと、を備え、
前記ポンプ本体は、前記送液配管に接続し、前記接続ポートに穿刺される接続針管を有し、
前記接続ポートは、前記クレードル装置における前記第1の方向の第2端部に装着され、前記接続針管が穿刺される接続部が前記第1の方向の第1端方向を向き、
前記筐体及び前記クレードル装置のいずれか一方には、前記第1の方向と平行に形成された突条のガイドレールが設けられ、
前記筐体及び前記クレードル装置の残りの他方には、前記ガイドレールと摺動可能に係合するガイド溝部が設けられ、
前記筐体に形成された前記ガイドレール又は前記ガイド溝部における前記第1の方向の第2端は、前記接続針管の先端よりも前記第1の方向の第2端側に位置
し、
前記筐体は、
前記載置面部に載置される底面部と、
前記底面部における前記第1の方向と直交する第2の方向の一端部から、前記第1の方向及び前記第2の方向とも直交する第3の方向に立設する側面部と、を有し、
前記クレードル装置は、
前記載置面部における前記第2の方向の一端部から前記第3の方向に立設し、前記側面部と対向する側壁部を有し、
前記ガイドレールは、前記側面部及び前記側壁部のうち一方に形成され、
前記ガイド溝部は、前記側面部及び前記側壁部のうち残りの他方に形成され、
前記筐体の前記底面部には、前記接続ポートが収容される底面収納部が形成され、
前記接続針管は、前記底面収納部の第1端側に形成された壁面から前記第1の方向に向けて突出し、
前記底面収納部は、前記底面部及び前記側面部における前記第1の方向の第2端部に形成され、
前記側面部は、前記底面収納部の前記壁面から前記第1の方向の第2端方向へ突出する延長部を有し、
前記ガイドレール又は前記ガイド溝部の前記第1の方向の第2端部は、前記延長部に形成される
薬液投与装置。
【請求項2】
前記クレードル装置に形成された前記ガイドレール又は前記ガイド溝部における前記第1の方向の第2端は、前記クレードル装置に装着された前記接続ポートの前記接続部よりも前記第1の方向の第2端側に位置している
請求項1に記載の薬液投与装置。
【請求項3】
前記ガイドレールと前記ガイド溝部が係合する長さは、前記接続針管が前記接続部に穿刺される長さよりも長く設定される
請求項1又は2に記載の薬液投与装置。
【請求項4】
前記延長部における前記壁面からの突出長さは、前記接続針管が前記壁面から突出する長さよりも長い
請求項
1に記載の薬液投与装置。
【請求項5】
前記底面収納部の前記壁面には、前記第1の方向に向けて突出する筒状の接続口が形成され、
前記接続針管は、前記接続口の筒孔に配置され、
前記接続ポートの前記接続部は、前記接続口の前記筒孔に挿入される
請求項
1~4のいずれか1項に記載の薬液投与装置。
【請求項6】
前記接続針管は、前記送液配管と一体に形成される
請求項
1~5のいずれか1項に記載の薬液投与装置。
【請求項7】
薬液貯蔵部、前記薬液貯蔵部に接続される送液配管、これらを収容する筐体及び接続口を有するポンプ本体と、
前記ポンプ本体が載置される載置面部を有し、前記ポンプ本体が第1の方向における第1端から第2端方向に沿って着脱可能に装着されるクレードル装置と、
前記ポンプ本体に接続するポート本体及び生体に挿入可能なカニューレを有し、前記載置面部に装着される接続ポートと、を備え、
前記筐体における前記載置面部に載置される底面部には、前記接続ポートが収容される底面収納部が形成され、
前記接続口は、前記底面収納部の第1端側に形成された壁面から前記第1の方向に突出し、
前記筐体及び前記クレードル装置のいずれか一方には、前記第1の方向と平行に形成されたガイドレールが設けられ、
前記筐体及び前記クレードル装置の残りの他方には、前記ガイドレールと摺動可能に係合するガイド溝部が設けられ、
前記筐体に形成された前記ガイドレール又は前記ガイド溝部における前記第1の方向の第2端は、前記接続口の先端よりも前記第1の方向の第2端側に位置
し、
前記筐体は、
前記載置面部に載置される底面部と、
前記底面部における前記第1の方向と直交する第2の方向の一端部から、前記第1の方向及び前記第2の方向とも直交する第3の方向に立設する側面部と、を有し、
前記クレードル装置は、
前記載置面部における前記第2の方向の一端部から前記第3の方向に立設し、前記側面部と対向する側壁部を有し、
前記ガイドレールは、前記側面部及び前記側壁部のうち一方に形成され、
前記ガイド溝部は、前記側面部及び前記側壁部のうち残りの他方に形成され、
前記底面収納部は、前記底面部及び前記側面部における前記第1の方向の第2端部に形成され、
前記側面部は、前記底面収納部の前記壁面から前記第1の方向の第2端方向へ突出する延長部を有し、
前記ガイドレール又は前記ガイド溝部の前記第1の方向の第2端部は、前記延長部に形成される
薬液投与装置。
【請求項8】
前記接続ポートは、前記クレードル装置における前記第1の方向の第2端部に装着される
請求項
7に記載の薬液投与装置。
【請求項9】
前記接続口は、接続針管を更に備える
請求項
7又は8に記載の薬液投与装置。
【請求項10】
前記接続針管は、前記送液配管と一体に形成される
請求項
9に記載の薬液投与装置。
【請求項11】
前記筐体と前記クレードル装置とは、複数の係合構造部を介して着脱可能に接続し、
前記係合構造部は、ポンプ本体及びクレードル装置における、前記第1の方向の第1端部側に形成されている
請求項
1から10のいずれか1項に記載の薬液投与装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液投与装置に関し、例えばインスリンポンプのように持続的な薬液投与を行うための薬液投与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、皮下注射や静脈内注射などによって、患者の体内に薬液を持続的に投与する治療法が行われている。例えば、糖尿病患者に対する治療法として、患者の体内に微量のインスリンを持続的に注入する治療が実施されている。この治療法では、一日中患者に薬液(インスリン)を投与するために、患者の身体又は衣服に固定して持ち運び可能な携帯型の薬液投与装置(いわゆるインスリンポンプ)が用いられている。
【0003】
このような携帯型の薬液投与装置は、まず、クレードル装置を患者の皮膚に貼り付ける。次に、接続ポートをクレードル装置に装着すると共に、接続ポートに設けられたカニューレを患者に穿刺・留置する。そして、薬液を貯蔵し、送液するポンプ本体をクレードル装置に装着する。このとき、ポンプ本体から薬液を送液する接続針管が接続ポートに接続される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、クレードル装置が変形した場合、ポンプ本体の接続針管が接続ポートに設けられた栓体に対して斜めに穿刺され、接続針管と接続ポートが誤った状態で接続されるおそれがあった。さらに、接続針管が接続ポートに正しく穿刺されたとしても、クレードル装置が撓んでしまった場合に、栓体が接続針管により押し広げられて接続針管と栓体との間に隙間が発生し、この隙間から薬液が漏れ出るおそれがあった。
【0006】
本目的は、上記の問題点を考慮し、ポンプ本体に設けた接続針管を接続ポートの正しい位置に穿刺させることができる薬液投与装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、本目的を達成するため、薬液投与装置は、ポンプ本体と、クレードル装置と、接続ポートと、を備えている。ポンプ本体は、薬液貯蔵部、薬液貯蔵部に接続される送液配管及びこれらを収容する筐体を有する。クレードル装置は、ポンプ本体が載置される載置面部を有し、ポンプ本体が第1の方向における第1端から第2端方向に沿って着脱可能に装着される。接続ポートは、送液配管に接続されるポート本体及び生体に挿入可能なカニューレを有し、載置面部に装着される。ポンプ本体は、送液配管に接続し、接続ポートに穿刺される接続針管を有している。接続ポートは、クレードル装置における第1の方向の第2端部に装着され、接続針管が穿刺される接続部が第1の方向の第1端方向を向く。また、筐体及びクレードル装置のいずれか一方には、第1の方向と平行に形成された突条のガイドレールが設けられる。筐体及びクレードル装置の残りの他方には、ガイドレールと摺動可能に係合するガイド溝部が設けられる。そして、筐体に形成されたガイドレール又はガイド溝部における第1の方向の第2端は、接続針管の先端よりも第1の方向の第2端側に位置している。
【0008】
また、他の薬液投与装置は、薬液投与装置は、ポンプ本体と、クレードル装置と、接続ポートと、を備えている。ポンプ本体は、薬液貯蔵部、薬液貯蔵部に接続される送液配管、これらを収容する筐体及び接続口を有する。クレードル装置は、ポンプ本体が載置される載置面部を有し、ポンプ本体が第1の方向における第1端から第2端方向に沿って着脱可能に装着される。接続ポートは、ポンプ本体に接続するポート本体及び生体に挿入可能なカニューレを有し、載置面部に装着される。また、筐体における載置面部に載置される底面部には、接続ポートが収容される底面収納部が形成される。接続口は、底面収納部の第1端側に形成された壁面から第1の方向に向けて突出する。筐体及びクレードル装置のいずれか一方には、第1の方向と平行に形成されたガイドレールが設けられる。筐体及びクレードル装置の残りの他方には、ガイドレールと摺動可能に係合するガイド溝部が設けられる。そして、筐体に形成されたガイドレール又はガイド溝部における第1の方向の第2端は、接続口の先端よりも第1の方向の第2端側に位置している。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の薬液投与装置によれば、ポンプ本体に設けた接続針管を接続ポートの正しい位置に穿刺させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置におけるクレードル装置にポンプ本体を装着する前の状態を示す斜視図である。
【
図3】第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置のポンプ本体を示す斜視図である。
【
図4】第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置のポンプ本体の内部構成を示す平面図である。
【
図5】第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置の接続針管と接続ポートの接続状態を示す断面図である。
【
図6】第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置のポンプ本体の接続針管とガイド溝部との位置関係を示す平面図である。
【
図7】第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置におけるクレードル装置及び接続ポートを拡大して示す斜視図である。
【
図8】第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置におけるクレードル装置にポンプ本体を装着する状態を示すもので、
図8Aはガイド溝部とガイドレールのかかり始めを示す側面図、
図8Bは断面図である。
【
図9】第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置におけるクレードル装置にポンプ本体を装着する状態を示すもので、
図9Aは接続針管がキャップに当接した状態を示す側面図、
図9Bは断面図である。
【
図10】第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置におけるクレードル装置にポンプ本体を装着する状態を示すもので、
図10Aは接続針管がキャップに穿刺した状態を示す側面図、
図10Bは断面図である。
【
図11】第2の実施の形態例にかかる薬液投与装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、薬液投与装置の実施の形態例について、
図1~
図11を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
【0012】
1.第1の実施の形態例
1-1.薬液投与装置の構成
まず、
図1~
図5を参照して、第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる薬液投与装置の構成例について説明する。
図1は、薬液投与装置を示す斜視図、
図2は、薬液投与装置のクレードル装置にポンプ本体を装着する前の状態を示す斜視図である。
【0013】
図1に示す装置は、パッチ式や、チューブ式、さらにその他の携帯型の薬液投与装置のように、患者の体内に持続的に薬液投与を行うための携帯型のインスリンポンプである。薬液投与装置1は、生体に貼付して使用する。薬液投与装置1は、ポンプ本体2と、ポンプ本体2が着脱可能に装着されるクレードル装置3と、クレードル装置3に装着される接続ポート6とを有している。ポンプ本体2とクレードル装置3とは、繰り返し脱着可能な係合構造部によって組み立てられる。係合構造部としては、各種構造が適宜適用されるものである。
【0014】
[ポンプ本体]
ポンプ本体2の構成について
図1~
図5を参照して説明する。
図3は、ポンプ本体2を示す斜視図、
図4は、ポンプ本体2の内部構成を示す平面図である。また、
図5は、ポンプ本体2をクレードル装置3に装着した状態を示す部分断面図である。
【0015】
図1~
図3に示すように、ポンプ本体2は、筐体11と、接続針管12とを備えている。
図4に示すように、筐体11内には、送液配管13と、薬液貯蔵部14と、駆動部15と、駆動部15に電力を供給する電源部16と、アクチュエーターとしての押し子機構17及び伝達機構18が収容されている。薬液貯蔵部14には、投与する薬液が充填されている。薬液貯蔵部14には、送液配管13が接続されている。また、薬液貯蔵部14には、薬液を押し出す押し子機構17が装着されている。
【0016】
押し子機構17には、伝達機構18が接続している。伝達機構18は、駆動部15に接続しており、駆動部15の駆動力を、ギヤ等を介して押し子機構17に伝達する。駆動力が伝達されることで押し子機構17は、駆動する。このようにアクチュエーターである押し子機構17及び伝達機構18が駆動されることで、薬液貯蔵部14に充填された薬液を送液配管13に向けて送り出す。
【0017】
また、送液配管13は、薬液貯蔵部14と接続針管12との間に配置された配管である。送液配管13の一端部は薬液貯蔵部14に接続される。送液配管13は、後述する筐体11の底面部22から突出する位置決め部39により支持される。そして、送液配管13における一端部と、反対側の他端部とは接続針管12に接続され、薬液の流路として使用される。そして、送液配管13を通過した薬液は、接続針管12から排出される。なお、送液配管13は、適切な配管部材を折り曲げて形成した屈曲部を少なくとも1ヶ所設ける。本実施形態では、送液配管13は、3ヶ所の屈曲部を有する。
【0018】
図4及び
図5に示すように、接続針管12は、ポンプ本体2をクレードル装置3に装着した際に、後述する接続ポート6の接続部81aに設けられたキャップ82に穿刺される。これにより、送液配管13と接続ポート6が接続針管12を介して流体接続する。
【0019】
送液配管13及び接続針管12としては、ステンレス鋼材が適用され、例えば、ISO9626に規定されているオーステナイトステンレス鋼、やJIS G 4305冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯に規定する材料が適用される。本実施形態では、SUS304を適用することが好ましい。
【0020】
以下、ポンプ本体2が、クレードル装置3の第1端から第2端に向かう方向にスライドすることで、クレードル装置3に装着される方向(装着方向)を第1の方向Xとする。第1の方向Xと直交し、ポンプ本体2とクレードル装置3が重なる方向とも直交する方向を第2の方向Y(幅方向)とする。第2の方向Yは、薬液投与装置1の薬液投与時において生体表面と略平行となる。ポンプ本体2とクレードル装置3が重なる方向、すなわち第1の方向Xと第2の方向Yとも直交する方向を第3の方向Z(上下方向)とする。ここで、第3の方向Zは、薬液投与装置1の薬液投与時において生体表面と直交する方向である。
【0021】
図2及び
図3に示すように、筐体11は、角部が湾曲した扁平状の略直方体状に形成されている。筐体11は、上面部21と、底面部22と、正面部23と、背面部24と、第1側面部25と、第2側面部26と、底面収納部27を有している。上面部21と底面部22は、互いに対向している。上面部21は、ポンプ本体2において、クレードル装置3に装着される(底面部22)側と反対に位置する一面である。上面部21は、上面視において、角部が湾曲した略矩形状に形成されている。また、上面部21は、中央部が第3の方向Zにおいて底面部22とは反対側に向けて膨出している。
【0022】
上面部21の第1の方向Xの第2端部には、正面部23が略垂直に連続し、上面部21の第1の方向Xの第1端部には、背面部24が略垂直に連続している。そして、正面部23と背面部24は、互いに対向している。さらに、上面部21の第2の方向Yの一端部には、第1側面部25が略垂直に連続し、上面部21の第2の方向Yの他端部には、第2側面部26が略垂直に連続している。
【0023】
図3に示すように、正面部23には、嵌合突起31が形成されている。正面部23を第1の方向Xにおける第2端から第1端方向から見た場合、嵌合突起31は、正面部23の第2の方向Yの他端部側よりに形成されている。嵌合突起31は、正面部23から第1の方向Xの第2端部に向けて突出している。この嵌合突起31は、後述するクレードル装置3に設けた嵌合孔54と嵌合する。
【0024】
底面収納部27は、筐体11における底面部22、第1側面部25及び正面部23の角部に形成されている。底面収納部27は、底面部22から第3の方向Zに沿って上面部21に向けて所定の長さ(厚み)と所定の面積(広さ)で凹んだ空間である。
【0025】
底面収納部27における第1の方向Xの第1端部側の壁面27aには、筒状の接続口28が形成されている。接続口28は、壁面27aから第1の方向Xの第2端部側へ向かって(すなわち、装着方向へ)突出する筒孔28aを有する。接続口28の筒孔28aには、接続針管12が配置されている。筒孔28aは、壁面27aから、接続針管12の周囲を取り囲むように突出することで、接続針管12を保護する。また、接続針管12は、筒孔28a内において壁面27aから第1の方向Xの第2端部側に向かって(装着方向へ)突出する。すなわち、接続口28が壁面27aから突出する方向は、第1の方向Xと平行である。
【0026】
そして、
図4及び5に示すように、ポンプ本体2をクレードル装置3に装着した際に、底面収納部27には、クレードル装置3に取り付けられた接続ポート6が収容される。さらに、接続口28の筒孔28aには、接続ポート6の接続部81a及びキャップ82が挿入される。また、接続針管12は、筒孔28a内において壁面27aから第1の方向Xの第2端部側に向かって(すなわち、装着方向へ)突出する。すなわち、接続針管12が壁面27aから突出する方向は、第1の方向Xと平行である。
【0027】
また、接続口28における筐体11の内側には、針支持部29が形成されている。針支持部29は、接続針管12を支持する。針支持部29には、凹部29aが形成されている。針支持部29は、接続針管12を、第2の方向Y及び第3の方向Zから支持する。凹部29aには、接続針管12を固定する接着剤P1(
図5参照)が充填される。これにより、接続針管12を、針支持部29に対して確実に固定することができる。これにより、ポンプ本体2をクレードル装置3に接続する動作に起因した接続針管12の位置ずれを、防ぐことができる。
【0028】
図3に示すように、底面部22には、摺動溝部32と、検出用溝部34が形成されている。摺動溝部32及び検出用溝部34は、底面部22から第3の方向Zに沿って上面部21に向けて凹んだ凹部である。摺動溝部32は、底面部22における第2の方向Yの中間部に形成されている。そして、摺動溝部32は、底面部22における第1の方向Xの第2端部から第1端部にかけて連続して形成されている。
【0029】
検出用溝部34は、底面部22における第2の方向Yの一端部側に形成されている。検出用溝部34は、底面収納部27の壁面27aから第1の方向Xの第1端部にかけて延在している。検出用溝部34には、装着検出スイッチ33が設けられている。
【0030】
装着検出スイッチ33は、ポンプ本体2をクレードル装置3に装着した際に、後述するクレードル装置3に設けた検出レール52によって押圧される。そして、装着検出スイッチ33は、押圧されると、不図示の制御部に装着情報を出力する。これにより、ポンプ本体2がクレードル装置3に装着されたことが制御部によって検出される。
【0031】
また、
図4に示すように、底面部22の内部には、位置決め部39が設けられている。位置決め部39は、底面部22における内側の面から略垂直に突出する突起である。位置決め部39は、針支持部29の近傍に配置される。位置決め部39は、送液配管13を支持すると共に送液配管13の位置決めを行う。
【0032】
図3に示すように、本実施形態では、ポンプ本体2とクレードル装置3とが、繰り返し脱着可能な係合構造部を有している。係合構造部は、例えば、フック機構を有する。具体的には、第1側面部25には、第1ガイド溝部35と、係合構造部としての第1係合フック部36が形成されている。第1係合フック部36は、第1側面部25における第1の方向Xの第1端部に形成されている。第1係合フック部36は、第1ガイド溝部35よりも、第1の方向Xの第1端部側に形成される。第1係合フック部36は、後述するクレードル装置3の第1係合受け部61(
図2参照)に着脱可能に係合する。
【0033】
第1ガイド溝部35は、第1側面部25における第3の方向Zの中間部に形成されている。第1ガイド溝部35は、第1側面部25から第2の方向Yに沿って筐体11内に向けて凹んだ溝部である。第1ガイド溝部35は、第1側面部25における第1係合フック部36の近傍から第1の方向Xに沿って第2端部側まで延在している。
【0034】
図6は、接続針管12と第1ガイド溝部35の位置関係を示す平面図である。
図3及び
図6に示すように、第1側面部25の第2端部、すなわち底面収納部27側には、延長部35aが設けられている。
図6に示すように、延長部35aは、第1側面部25の第2端部において、底面収納部27の壁面27aから第1の方向Xの第2端部に向けて突出する板状部である。延長部35aは、壁面27aから突出する接続口28よりも長さh1分、第1の方向Xの第2端部に向けて突出している。すなわち、壁面27aからの延長部35aの突出長さは、壁面27aからの接続口28の突出長さよりも長い。筐体11の壁面から延びるガイド溝部35の長さは、筐体11の壁面から接続口28の開口面までの長さよりも長い。
【0035】
ガイド溝部35が筐体11の壁面から突出する長さは、接続針管12が筐体11の壁面から突出する長さよりも長い。より詳細には、延長部35aは、接続針管12の先端よりも第1の方向Xの第2端部側へ延在する。なお、延長部35aは、第1側面部25と面一に形成されていても構わない。なお、第1側面部25の第2端部を、第1側面部25の表面に対して第2の方向Yに沿って筐体11内に向けて凹ませるのが好ましい。より好ましくは、延長部35aは、第1ガイド溝部35の凹みの底面と同じ面で形成される。これにより、成型時のヒケを防止できるだけでなく、後述するように、接続針管12とキャップ82により近い位置とすることで、穿刺直前から穿刺中に亘って接続針管12が、キャップ82に正しく穿刺されるように姿勢を維持することが可能となる。
【0036】
また、第1ガイド溝部35は、第1係合フック部36の近傍から延長部35aにかけて形成されている。そのため、第1ガイド溝部35における第1の方向Xの第2端部は、接続針管12及び接続ポート6の先端よりも、第1の方向Xの第2端部側に配置される。第1係合フック部36及び第1係合受け部61を、ポンプ本体2及びクレードル装置3における、第1の方向Xの第1端部側に設けることで、ポンプ本体2をクレードル装置3に対して着脱する際に、第1ガイド溝部35がポンプ本体2をガイドする長さを確保できる。これにより、第1ガイド溝部35のガイド機能を強化できる。
【0037】
また、係合構造部は、複数設けることが好ましい。第1側面部25に加えて、対向する第2側面部26にも係合構造部を設けることが好ましい。
図2に示すように、第2側面部26には、第2ガイド溝部37と、係合構造部としての第2係合フック部38が形成されている。第2係合フック部38は、第2側面部26における第1の方向Xの第1端部に形成されている。第2係合フック部38は、後述するクレードル装置3の第2係合受け部62に着脱可能に係合する。複数の係合構造部(第1係合フック部36と第1係合受け部61、第2係合フック部38と第2係合受け部62)は、ポンプ本体2及びクレードル装置3における第1の方向Xの中心軸に対して、対称に配置される。
【0038】
第2ガイド溝部37は、第2側面部26における第3の方向Zの中間部に形成されている。第2ガイド溝部37は、第2側面部26から第2の方向Yに沿って筐体11内に向けて凹んだ溝部である。第2ガイド溝部37は、第2係合フック部38の近傍から第1の方向Xに沿って、第1ガイド溝部35における第1の方向Xの長さと略同一の長さで延在している。第2係合フック部38及び第2係合受け部62を、ポンプ本体2及びクレードル装置3における、第1の方向Xの第1端部側に設けることで、ポンプ本体2をクレードル装置3に対して着脱操作する際に、第2ガイド溝部36がポンプ本体2をガイドする長さを確保できる。これにより、第2ガイド溝部36のガイド機能を強化できる。
【0039】
[クレードル装置]
次に、
図1、
図2及び
図7を参照してクレードル装置3について説明する。
図7は、クレードル装置3及び接続ポート6を拡大して示す斜視図である。
【0040】
図1に示すように、クレードル装置3は、上述した構成を有するポンプ本体2を担持可能に構成されている。
図2に示すように、クレードル装置3は、略平板状の載置面部41と、第1側壁部42と、第2側壁部43と、第3側壁部44とを有している。載置面部41は、上面視で角部が湾曲した略矩形状に形成されている。クレードル装置3にポンプ本体2が装着されると、載置面部41には、ポンプ本体2における筐体11の底面部22が載置される。
【0041】
載置面部41の一面には、検出レール52と、摺動レール53と、装着部55が設けられている。装着部55は、載置面部41における第1の方向Xの第2端部で、かつ第2の方向Yの一端部に形成されている。
図6に示すように、装着部55には、接続ポート6が装着される。さらに、装着部55には、後述する接続ポート6のカニューレ83が挿通する不図示の挿通孔が設けられている。
【0042】
検出レール52は、載置面部41における第2の方向Yの一端部において、装着部55よりも第1の方向Xの第1端部側に形成されている。検出レール52は、載置面部41の一面から突出する突条部である。検出レール52の第1端部は、第1の方向Xの第2端部側に向かうにつれて、載置面部41からの厚みが漸増している。検出レール52は、第1の方向Xに沿って所定の長さ延在している。クレードル装置3にポンプ本体2を装着した際、検出レール52は、ポンプ本体2に設けた検出用溝部34に入り込む。そして、検出レール52は、装着検出スイッチ33を押圧する。
【0043】
摺動レール53は、載置面部41の一面における第2の方向Yの中間部に形成されている。摺動レール53は、載置面部41の一面における第1の方向Xの第2端部から第1端部方向へ延在する。ポンプ本体2をクレードル装置3に装着する際に、摺動レール53には、ポンプ本体2の底面部22に設けた摺動溝部32が、摺動可能に嵌り込む。
【0044】
載置面部41の第2の方向Yの一端部には、第1側壁部42が、載置面部41に対して略垂直に連続する。載置面部41の第2の方向Yの他端部には、第2側壁部43が、載置面部41に対して略垂直に連続している。そして、載置面部41の第1の方向Xの第2端部には、第3側壁部44が、載置面部41に対して略垂直に連続している。第1側壁部42と第2側壁部43は、互いに対向している。載置面部41の四辺のうち三辺は、第1側壁部42、第2側壁部43及び第3側壁部44に接続する。そして、載置面部41の第1の方向Xの第1端は、載置面部41に対して略垂直に連続する側壁部を有しない。すなわち、載置面部41の第1の方向Xの第1端及び第1端部は、開放されている。これにより、ポンプ本体2は、載置面部41に第1の方向Xの第1端側から挿入される。
【0045】
ポンプ本体2をクレードル装置3に装着した状態において、第1側壁部42は、ポンプ本体2における筐体11の第1側面部25と対向し、第2側壁部43は、第2側面部26と対向する。また、第3側壁部44は、筐体11の正面部23と対向する。
【0046】
図2に示すように、第3側壁部44には、嵌合孔54が開口している。ポンプ本体2をクレードル装置3に装着した際、嵌合孔54には、ポンプ本体2の嵌合突起31が嵌り込む。
【0047】
第1側壁部42には、第1ガイドレール51と、第1姿勢矯正部56と、第1係合受け部61が形成されている。第1係合受け部61は、第1側壁部42における第1の方向Xの第1端部に形成されている。第1係合受け部61は、第1側壁部42を略矩形状に切り欠いた開口部である。ポンプ本体2をクレードル装置3に装着した際に、第1係合受け部61には、第1係合フック部36が着脱可能に係合する。
【0048】
図7に示すように、第1ガイドレール51は、第1側壁部42における第2側壁部43と対向する一面から第2の方向Yの他端部に向けて突出している。第1ガイドレール51は、第1側壁部42における第1の方向Xの第2端部から第1の方向Xと平行に形成された突条部である。第1ガイドレール51は、必ずしも突条部が連続して延在してなくともよい。
図2及び
図7に示すように、ガイドレール51の途中に、切欠き58を適宜設けてもよい。本実施形態では、第1ガイドレール51は、第1端部側第1ガイドレール51aと、第2端部側第1ガイドレール51bにより形成される。
【0049】
第1ガイドレール51における第1の方向Xの第2端部は、装着部55に取り付けられた後述する接続ポート6の位置まで延在する。また、第1ガイドレール51における第1の方向Xの第1端部は、後述する接続ポート6の接続部81a及びキャップ82よりも第1の方向Xの第1端部側に位置している。
【0050】
ポンプ本体2をクレードル装置3に装着する際に、第1ガイドレール51は、ポンプ本体2の第1側面部25に設けた第1ガイド溝部35と係合する。これにより、ポンプ本体2の装着方向がガイドされる。
【0051】
図1及び
図2に示すように、第1姿勢矯正部56は、第1側壁部42から伸びる板状の突出部である。第1姿勢矯正部56は、第1側壁部42から、第3の方向Zにおける上方向へさらに伸びる。第1姿勢矯正部56は、第1側壁部42において第1ガイドレール51よりも第1の方向Xの第1端部側に形成されている。
【0052】
第1姿勢矯正部56は、第1側壁部42における第3の方向Zの一端部から第3の方向Zに向けて突出し、第2の方向Yの他端部に向けて湾曲している。すなわち、第1姿勢矯正部56は、筐体11における上面部21と第1側面部25との接続部(角部)の形状に対応した形状に形成されている。そして、第1姿勢矯正部56の先端及び/又は先端部は、クレードル装置3を第1の方向Xから見た側面視において、第3の方向Zにおいて載置面部41の上方に位置している。
【0053】
図1及び
図2に示すように、第2側壁部43には、不図示の第2ガイドレールと、第2姿勢矯正部57と、第2係合受け部62が形成されている。第2係合受け部62は、第2側壁部43における第1の方向Xの第1端部に形成されている。第2係合受け部62は、第2側壁部43を略矩形状に切り欠いた開口部である。ポンプ本体2をクレードル装置3に装着した際に、第2係合受け部62には、第2係合フック部38が着脱可能に係合する。
【0054】
第2ガイドレールは、第2側壁部43における第1側壁部42と対向する一面から第2の方向Yの一端部に向けて突出している。第2ガイドレールは、第2側壁部43における第1の方向Xの第2端部から第1端に向かう方向と平行に形成された突条部である。ポンプ本体2をクレードル装置3に装着する際に、第2ガイドレールは、ポンプ本体2の第2側面部26に設けた第2ガイド溝部37と係合する。これにより、ポンプ本体2の装着方向がガイドされる。
【0055】
第2姿勢矯正部57は、第2側壁部43から伸びる板状の突出部である。第2姿勢矯正部57は、第2側壁部43から、第3の方向Zにおける上方向へさらに伸びる。第2側壁部43において第2ガイドレールよりも第1の方向Xの第1端部側に形成されている。また、第2姿勢矯正部57は、第1側壁部42に形成された第1姿勢矯正部56と対向する位置に形成されている。
【0056】
第2姿勢矯正部57は、第2側壁部43における第3の方向Zの一端部から第3の方向Zに向けて突出し、第2の方向Yの一端部に向けて湾曲している。すなわち、第2姿勢矯正部57は、筐体11における上面部21と第2側面部26との角部の形状に対応した形状に形成されている。そして、第2姿勢矯正部57の先端及び/又は先端部は、クレードル装置3を第1の方向Xから見た側面視において、第3の方向Zにおいて載置面部41の上方に位置している。ポンプ本体2をクレードル装置3に装着する際に、第1姿勢矯正部56及び第2姿勢矯正部57は、ポンプ本体2の装着時の姿勢を矯正する。
【0057】
また、クレードル装置3には、患者の皮膚に貼り付けられる貼付シートが設けられる。貼付シートは、クレードル装置3の載置面部41の一面とは反対側の他面に取り付けられる。貼付シートには、後述する接続ポート6のカニューレ83が貫通する不図示の開口部が形成されている。
【0058】
また、貼付シートは、可撓性を有する部材で形成されており、載置面部41とは反対側の面には、患者の皮膚に貼り付けられる接着層が形成されている。患者の皮膚に貼り付ける前の状態では、貼付シートの接着層は、剥離紙によって覆われている。
【0059】
[接続ポート]
次に、
図5及び
図7を参照して接続ポート6について説明する。
図5及び
図7に示すように、接続ポート6は、ポート本体81と、カニューレ83とを有している。カニューレ83は、ポート本体81内に保持されている。ポート本体81は、筒状の接続部81aを有している。接続部81aの内部(筒孔81b)と、ポート本体81と、カニューレ83とは、連通している。接続部81aの先端部は、キャップ82が装着され、接続部81aの他端部はポート本体81に接続している。キャップ82は、接続部81aの先端開口を封止している。これにより、接続ポート6の内部は、外部環境から分離される。
【0060】
接続ポート6をクレードル装置3の装着部55に装着した際に、カニューレ83は、穿刺針とともに載置面部41を第3の方向Zに沿って貫通し、載置面部41の他面(皮膚に貼付される面)へと突出する。そして、カニューレ83は、穿刺針とともに生体内に穿刺される。その後、穿刺針を抜去することで、カニューレ83が生体内に留置される。
【0061】
また、ポート本体81の接続部81aは、第1の方向Xの第1端部側、すなわち装着方向の上流側を向く。ポンプ本体2の接続針管12は、キャップ82のセプタム面を穿刺することで、筒孔81b内に侵入する。これにより、ポート本体81とポンプ本体2の送液配管13が接続され、送液配管13とカニューレ83が流体接続する。そして、ポンプ本体2の薬液貯蔵部14に貯蔵された薬液は、駆動部15が駆動されることで、送液配管13を介して接続ポート6に送り出されると共にカニューレ83から患者に投与される。
【0062】
1-2.ポンプ本体の装着動作例
次に、上述した構成を有する薬液投与装置1におけるポンプ本体2をクレードル装置3に装着する装着動作の一例について
図1、
図2及び
図8~
図10を参照して説明する。
図8~
図10は、ポンプ本体2をクレードル装置3に装着する状態を示す図である。
【0063】
まず、クレードル装置3における貼付シートの剥離紙を剥がし、貼付シートを患者の皮膚に貼り付ける。これにより、患者の皮膚にクレードル装置3が貼付シートを介して取り付けられる。そして、
図2に示すように、クレードル装置3の装着部55に接続ポート6を装着し、図示しない穿刺装置を用いて、カニューレ83を患者に穿刺し、留置させる。穿刺後、穿刺装置は、クレードル装置3から取り外され、廃棄される。
【0064】
次に、
図2に示すように、ポンプ本体2を、クレードル装置3の第1の方向Xの第1端部側から挿入する。そして、ポンプ本体2をクレードル装置3の載置面部41に沿って第1の方向Xの第2端に向けてスライドさせる。このとき、ポンプ本体2は、第1姿勢矯正部56及び第2姿勢矯正部57に当接することで、装着開始時の姿勢が矯正される。
【0065】
そして、
図8A及び
図8Bに示すように、接続ポート6のキャップ82が、接続口28の筒孔28a内に挿入される前において、延長部35aに形成された第1ガイド溝部35に第1ガイドレール51が挿入された状態が維持される。これにより、ポンプ本体2がクレードル装置3に接続される前に、ポンプ本体2におけるクレードル装置3に対する装着方向の傾きが矯正される。その結果、接続口28内にキャップ82及び/又は接続部81aを第1の方向Xに沿って真っ直ぐ挿入させることができる。
【0066】
本例では、第1ガイドレール51の途中に、カニューレ83の穿刺前の状態において、図示しない穿刺装置を係合するための切欠き58を有する。これにより、第1ガイドレール51として、切欠き58を挟んで第2端部側第1ガイドレール51bと、第1端部側第1ガイドレール51aが形成されている。延長部35aの第2端部は、キャップ82が筒孔82a内に挿入される前に、この切欠き58を超える。より詳細には、キャップ82が筒孔28a内に挿入される前に、第1ガイド溝部35は、第2端部側第1ガイドレール51bに挿入される。
【0067】
次に、クレードル装置3に対して、ポンプ本体2を第1の方向Xの第2端側に向けてさらに摺動させると、
図9A及び
図9Bに示すように、接続針管12の先端が接続ポート6のキャップ82に当接する。この間、ポンプ本体2における第1ガイド溝部35とクレードル装置3の第1ガイドレール51が係合を維持している。そのため、ポンプ本体2は、第1ガイド溝部35と第1ガイドレール51により正しい方向で装着するようにガイドされる。延長部35aを設けたことで正しい方向で、キャップ82を、接続口28内に挿入するとともに、接続針管12を、キャップ82のセプタム面に対して略垂直に当接させることができる。さらには、接続針管12の先端が、キャップ82のセプタム面を穿刺し、通過している間も、穿刺方向を略一定に保つことができる。
【0068】
さらにポンプ本体2を第1の方向Xの第2端まで摺動させることで、
図10A及び
図10Bに示すように、接続口28の筒孔28a内に、接続ポート6のキャップ82及び接続部81aが挿入される。接続口28は、キャップ82及び接続部81aを、筒孔28a内に保持する。これにより、クレードル装置3に応力が加わっても、キャップ82や接続部81aが変形することを防ぐことができる。
【0069】
そして、接続ポート6のキャップ82にポンプ本体2の接続針管12が穿刺され、接続ポート6と送液配管13が連通する。これにより、ポンプ本体2の薬液貯蔵部14と接続ポート6のカニューレ83が送液配管13、接続針管12及びポート本体81を介して接続される。
【0070】
また、嵌合突起31がクレードル装置3の嵌合孔54と嵌合する。そして、第1係合フック部36が第1係合受け部61と係合し、第2係合フック部38が第2係合受け部62と係合する。これにより、クレードル装置3に装着されたポンプ本体2がクレードル装置3から脱落することを防ぐことができる。
【0071】
また、クレードル装置3の検出レール52がポンプ本体2の検出用溝部34を摺動し、装着検出スイッチ33を押圧する。これにより、ポンプ本体2に設けた不図示の制御部は、ポンプ本体2がクレードル装置3に装着されたことを検出する。その結果、ポンプ本体2のクレードル装置3への装着動作が完了する。
【0072】
本例の薬液投与装置1によれば、第1ガイドレール51と第1ガイド溝部35が係合することで、ポンプ本体2におけるクレードル装置3への装着方向が正しい方向にガイドされる。そのため、ポンプ本体2がクレードル装置3に対して傾いた状態である不適切な装着状態で装着検出スイッチ33が検出レール52によって押圧されることを防ぐことができ、誤検出の発生を防止することができる。その結果、ポンプ本体2のクレードル装置3への装着状態は、装着検出スイッチ33によって正常に検出される。
【0073】
また、
図10A及び
図10Bに示すように、第1ガイドレール51と第1ガイド溝部35が係合している長さt1は、接続針管12が接続ポート6内に侵入する長さt2よりも長く設定されている(t1>t2)。そのため、クレードル装置3における接続ポート6周りの強度を第1ガイドレール51と第1ガイド溝部35の係合により高めることができる。
【0074】
すなわち、ポンプ本体2をクレードル装置3に取付け操作中にクレードル装置3に応力がかかりクレードル装置3が撓んだ場合でも、接続針管12がキャップ82に穿刺される前から穿刺操作中に亘って、接続針管12及びキャップ82の近傍における穿刺ガイド機能を高めることができる。
【0075】
また、第1ガイド溝部35の一端部に延長部35aを設けることで、薬液投与装置1を使用中であっても、クレードル装置3における接続ポート6周りや、接続口28と接続部81a、接続針管12の姿勢保持力を高めることができる。生体表面の動きや外力によって、クレードル装置3とポンプ本体2との間で、生体表面への追従性に、差が生じる場合がある。このとき、クレードル装置3からポンプ本体2の一部が離間することで、接続針管12がキャップ82を押し広げ、薬液が漏れ出てしまうおそれがある。すなわち、クレードル装置3に応力が加わり、載置面部41等に変形が生じた場合でも、第1ガイドレール51及び第1ガイド溝部35により、クレードル装置3の接続ポート6と接続針管12との姿勢を、第1の方向Xと平行になるように矯正することができる。
【0076】
さらに、延長部35aを設けることで、キャップ82に穿刺された状態の接続口28及び接続針管12の位置を正しく保持することができるため、接続針管12がキャップ82のセプタム面における穿刺部を押し広げたり、接続針管12や接続ポート6が変形したりすることを防止することができる。これにより、接続針管12とキャップ82との間に隙間が発生し、薬液が漏れ出ることを防ぐことができる。
【0077】
なお、上述した実施の形態例では、クレードル装置3側に突条の第1ガイドレール51及び第2ガイドレールを設け、ポンプ本体2側に第1ガイドレール51及び第2ガイドレールと係合する第1ガイド溝部35及び第2ガイド溝部37を設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、クレードル装置3側にガイド溝部を設け、ポンプ本体2側にガイド溝部に係合するガイドレールを設けてもよい。
【0078】
2.第2の実施の形態例
次に、
図11を参照して第2の実施の形態例にかかる薬液投与装置について説明する。
図11は、第2の実施の形態例にかかる薬液投与装置を示す断面図である。また、第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置1と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0079】
図11に示すように、第2の実施の形態例にかかる薬液投与装置のポンプ本体2Aは、接続針管と送液配管が一体に形成された送液針管12Aを有している。すなわち、薬液貯蔵部14と接続ポート6とは、一端部に針部を有する送液針管12Aを介して接続する。送液針管12Aは、第1の実施の形態例と同様に、少なくとも1つの屈曲部を有する。送液針管12Aの一端部は、薬液貯蔵部14(
図4参照)に接続される。送液針管12Aは、位置決め部39に支持されて位置決めが行われる。
【0080】
送液針管12Aの他端部は、針支持部29に支持され、その先端部が接続口28から外側に向けて突出する。そして、送液針管12Aの他端部は、針支持部29の凹部29aに充填された接着剤P1により針支持部29に固定される。また、送液針管12Aの先端には、キャップ82に穿刺可能な針先12bが形成されている。これにより、接続針管12Aを、針支持部29に対して確実に固定することができる。このため、ポンプ本体2をクレードル装置3に穿刺する動作による接続針管12Aの位置ずれを、防ぐことができる。また、針ハブ部材等の固定具を省略できるため、軽量化が実現できる。
【0081】
送液針管12Aとしては、ステンレス鋼材が適用され、例えば、ISO9626に規定されているオーステナイトステンレス鋼、やJIS G 4305冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯に規定する材料が適用される。本実施形態では、SUS304が好ましい。
【0082】
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。
図11に示す送液針管12Aを有する薬液投与装置によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0083】
なお、この第2の実施の形態例にかかる薬液投与装置によれば、接続針管と送液配管を一体に形成することで、第1の実施の形態例にかかる薬液投与装置1よりも部品点数を削減することができる。また、薬液投与装置を軽量化できる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態例について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の薬液投与装置は、上述の実施の形態例に限定されるものではなく、請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0085】
上述した実施の形態例では、薬液投与装置としてインスリンを投与するインスリンポンプを適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。投与する薬液としては、鎮痛薬、抗癌治療薬、HIV薬、鉄キレート薬、肺高血圧症治療薬等のその他各種の薬液を用いてもよい。また、患者の皮膚に貼り付ける薬液投与装置に限らず、患者の衣類や持ち物の取り付け可能なクレードル装置と組み合わせて用いる他の装置にも応用が可能である。例えば、血糖値等のモニタリングに使用する体液成分測定装置、心拍数や歩数等の情報を収集する患者情報収集装置などが挙げられ、部材連結機能において多面的に活用が可能であることは言うまでもない。
【0086】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…薬液投与装置、 2…ポンプ本体、 3、130、230…クレードル装置、 6…接続ポート、 11…筐体、 12…接続針管、 12A…送液針管、 13…送液配管、 14…薬液貯蔵部、 15…駆動部、 16…電源部、 17…押し子機構、 18…伝達機構、 21…上面部、 22…底面部、 23…正面部、 24…背面部、 25…第1側面部、 26…第2側面部、 27…底面収納部、 27a…壁面、 28…接続口、 28a…筒孔、 31…嵌合突起、 32…摺動溝部、 33…装着検出スイッチ、 34…検出用溝部、 35…第1ガイド溝部、 35a…延長部、 36…第1係合フック部、 37…第2ガイド溝部、 38…第2係合フック部、 41…載置面部、 42…第1側壁部、 43…第2側壁部、 44…第3側壁部、 51…第1ガイドレール、 52…検出レール、 53…摺動レール、 54…嵌合孔、 55…装着部、 56、57、156、157、256…姿勢矯正部、 81…ポート本体、 81a…接続部、 82…キャップ、82…カニューレ、 256b…挿入口、 X…第1の方向(装着方向)、 Y…第2の方向(幅方向)、 Z…第3の方向(上下方向)