(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】電子部品を有するフレームから電子部品を選択的に分離する方法および装置
(51)【国際特許分類】
B07C 5/38 20060101AFI20231006BHJP
【FI】
B07C5/38
(21)【出願番号】P 2021511664
(86)(22)【出願日】2019-07-19
(86)【国際出願番号】 NL2019050461
(87)【国際公開番号】W WO2020050710
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-05-17
(32)【優先日】2018-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】513099670
【氏名又は名称】ベシ ネーデルランズ ビー.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】BESI NETHERLANDS B.V.
【住所又は居所原語表記】Ratio 6 NL-6921 RW Duiven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【氏名又は名称】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】ベレンドセン,アルヤン ヨアン
(72)【発明者】
【氏名】ズヴェールス,ヨハネス ゲルハルダス アウグスティヌス
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-066701(JP,A)
【文献】特開2014-022445(JP,A)
【文献】特開平07-027822(JP,A)
【文献】国際公開第2011/018847(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を有するフレームから電子部品を選択的に分離する分離装置であって、
-互いに対して変位可能な少なくとも2つのプレス部品と、
-前記プレス部品を互いに対して遠近移動させる駆動手段と、
-前記プレス部品間にフレームを案内するフレームガイドと、
-個別パンチ制御装置に接続されて第1プレス部品に設置された複数のパンチと、
-前記第1プレス部品内の個別に制御されて作動する前記複数のパンチに対向する第2プレス部品内の複数の開口部と、
-前記個別パンチ制御装置に接続するインテリジェント制御システムと
を備える、分離装置。
【請求項2】
前記複数のパンチは作動位置と非作動位置の間を個別に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
前記個別パンチ制御装置はシリンダであることを特徴とする請求項2に記載の分離装置。
【請求項4】
前記分離装置は、前記プレス部品間の前記フレームガイドに沿って前記フレームを動かすフレーム駆動装置を備えており、前記インテリジェント制御システムが前記フレーム駆動装置に接続していることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の分離装置。
【請求項5】
前記第2プレス部品内の前記複数の開口部は、打ち抜かれた電子部品を受容するための少なくとも1つの回収容器に接続していることを特徴とする
請求項4に記載の分離装置。
【請求項6】
前記分離装置は、回収容器駆動装置により移動可能な複数の回収容器を備えており、前記インテリジェント制御システムは前記回収容器駆動装置に接続していることを特徴とする請求項5に記載の分離装置。
【請求項7】
前記インテリジェント制御システムは、前記個別パンチ制御装置および前記フレーム駆動装置を制御して複数の連続するパンチ操作を実施するように構成されており、前記フレーム駆動装置は前記フレームガイドに沿って同じ位置に前記フレームを保持し、前記回収容器駆動装置は前記連続するパンチ操作の間に回収容器を交換することを特徴とする
請求項6に記載の分離装置。
【請求項8】
前記インテリジェント制御システムは、前記電子部品を有するフレームに対して以前に実施された操作から得られた部品品質レベル情報に基づいて前記個別パンチ制御装置および前記フレーム駆動装置を制御するように構成されていることを特徴とする請求項
4~7のいずれかに記載の分離装置。
【請求項9】
前記インテリジェント制御システムは、第1パンチ操作の際の前記個別パンチ制御装置の設定に対して、前記電子部品を有するフレームに対して実施された一つの操作の際に得られた品質レベル情報を用い、連続するパンチ操作の際の前記個別パンチ制御装置の設定に対して、別の操作の際に得られた前記電子部品を有するフレームの品質レベル情報を用いるように構成されていることを特徴とする請求項7および8に記載の分離装置。
【請求項10】
前記第1プレス部品内の前記複数のパンチが一列に設置されており、パンチの列は前記フレームガイドに対して垂直に方向付けられていることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の分離装置。
【請求項11】
前記第1プレス部品内の前記複数のパンチが複数列に設置されており、パンチの列は前記フレームガイドに対して垂直に方向付けられていることを特徴とする請求項10に記載の分離装置。
【請求項12】
電子部品を有するフレームから電子部品をインラインで選択的に分離するシステムであって、
請求項1~11のいずれかに記載の少なくとも1つの分離装置、および電子部品を有するフレーム用に少なくともローダーおよび/またはオフローダーを備えるシステム。
【請求項13】
前記システムは、フレーム内の前記電子部品の個別検査用の検査ユニットを少なくとも1つ備えることを特徴とする請求項12に記載の電子部品をインラインで選択的に分離するシステム。
【請求項14】
前記システムはまた、前記電子部品を有するフレーム上で作動する処理ユニットを備えることを特徴とする請求項12または13に記載の電子部品をインラインで選択的に分離するシステム。
【請求項15】
前記処理ユニットは、フレームに接続された電子部品を操作する形成ユニットまたはトリミングユニットであり、前記処理ユニットを前記分離装置から上流に配置することを特徴とする請求項14に記載の電子部品をインラインで選択的に分離するシステム。
【請求項16】
前記処理ユニットは、フレームに接続された電子部品を操作する形成ユニットまたはトリミングユニットであり、前記処理ユニットを前記分離装置から下流に配置することを特徴とする請求項14に記載の電子部品をインラインで選択的に分離するシステム。
【請求項17】
請求項1~8のいずれかに記載の分離装置を用いて電子部品を有するフレームから電子部品を選択的に分離する方法であって、
A)前記プレス部品を互いに対して離間移動させて前記プレス部品を開くステップと、
B)前記離間移動させたプレス部品間に制御された間隔で電子部品を有するフレームを前方に供給するステップと、
C)次の処理ステップの際に前記フレームから分離しなければならない電子部品の第1セットの位置に対応する複数のパンチを選択的に作動させるステップと、
D)前記対応する位置で作動された前記複数のパンチが前記フレームから前記電子部品を分離するように前記プレス部品を互いに対して移動させるステップを含む方法。
【請求項18】
前記分離された電子部品は管理された場所で受容され、前記インテリジェント制御システムは、どの分離された電子部品がどの場所で受容されたかを登録することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
種々の場所で受容された前記分離された電子部品は品質レベルで区別されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ステップD)に続いて前記フレームが前記プレス部品の間の同じ位置に保持されている間に、ステップA)、C)及びD)を再実行し、ステップC)の再実行の際に、複数のパンチのうちの、次の処理ステップで前記フレームから分離しなければならない電子部品の第2セットの位置に対応するパンチを選択的に作動させることを特徴とする請求項17~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
ステップC)の最初の実行の際の前記複数のパンチの選択的な作動は、前記電子部品を有するフレームに対して以前に行われた第1の操作中に得られた品質レベル情報に基づいており、ステップC)の再実行中の前記複数のパンチの選択的な作動は、前記電子部品を有するフレームに対して以前に行われた第2の操作中に得られた品質レベル情報に基づいていることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
処理ステップB)の際の前記フレームの前方移動の長さは、前記複数のパンチの数および前記フレーム内の前記電子部品の数と向きに依存することを特徴とする請求項17~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
ステップD)は、前記電子部品のフレームに対して行われる少なくとも1つの別の操作とインラインで結合されていることを特徴とする請求項17~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
ステップD)の前に、前記フレームに接続された前記電子部品を操作するための形成またはトリミング操作が行われ、前記形成またはトリミング操作の結果が
ステップD)の際に前記フレームからどの電子部品を分離するかを決定することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ステップD)に続いて、前記フレームに接続された前記電子部品を操作するための形成またはトリミング操作が行われることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を有するフレームから電子部品を選択的に分離する装置、および電子部品を有するフレームから電子部品をインラインで選択的に分離するシステムに関する。本発明は電子部品を有するフレームから電子部品を選択的に分離する方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の製造工程の際には、電子部品は通常、電子部品を結合した大きなユニット(組立品)として製造されて、そのユニットはその後、1または複数の個別の電子部品から構成されるより小さなユニットに分割されて製造される。本発明に関連する電子部品は、半導体(チップ、LEDもこの観点ではまた半導体とみなす)、あるいは他のより小型な受動または能動電子部品を想定している。電子部品を有する大きなユニット(組立品)の例としては、例えばリードフレームのようなキャリア上に、任意に全体または部分封止された複数の電子部品を配置したパッケージがある。
電子部品をより小さなまたは個別のユニットに分割することは、電子部品の分離、単離、または個別化とも呼ばれる。より小さなユニットへの分離、例えば電子部品の個別化は、穴あけ(punching)、ソーイング(sawing)、リキッド切断(liquid cutting)、および/またはレーダー切断などの、種々のタイプの機械加工プロセスによって実現可能である。
完全なキャリアから全ての電子部品を分離した後(従って完全なキャリアを細分化した後)で、電子部品は選択された(例えば不合格)部品と他の(例えば合格した)部品とが区別可能となるように、ソーターによって分類されてもよい。個別化された電子部品は、その後、さらに個別の台座上で加工されてもよく、またはそれらはキャリアプレート上にグループで配置されてもよい。この際、個別化された部品の向きは、分離前のすなわち当初の結合配置された場合の向きと比較して異なってもよい。
電子部品を加工する既存の方法は高精度の加工が可能であるが、加工装置の能力が限られているため、機械能力に対して相対的に高額な投資が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、電子部品加工の品質レベルを維持あるいは向上すらさせながら、処理能力を高めることを可能にする電子部品加工の代替装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、この目的のために電子部品を有するフレームから電子部品を選択的に分離する分離装置を提供する。分離装置は、互いに対して変位可能な少なくとも2つのプレス部品と、プレス部品を互いに対して遠近移動させる駆動手段と、プレス部品間にフレームを案内するフレームガイドと、個別パンチ制御装置に接続されて第1プレス部品に設置された複数のパンチと、第1プレス部品内の個別に制御されて作動する複数のパンチに対向する第2プレス部品内の複数の開口部と、個別パンチ制御装置に接続するインテリジェント制御システムとを備える。
本発明の第1の独特の見識は、電子部品をフレームから選択的に分離することである。先行技術によれば、電子部品の分離は特定の電子部品の選択とは無関係な一般的なプロセスであり、特定の電子部品の選別はその後の専用セクションプロセスで行われていた。
しかしながら、本発明では選択を分離プロセスと組み合わせている。プレス部品に沿ってフレームを移動させることにより、穴あけ(piercing)または打抜加工(stamping)用のツールである「複数のパンチ(punches)」によって、フレームから選択的に除去すべき電子部品を選択的に分離する。各プレスストロークの際に、フレーム(ストリップ)から電子部品を除去するように作用する複数のパンチは、個別パンチ制御装置により、作動(活性または抜去)位置に導かれる。このため、複数のパンチは個別に作動位置と非作動位置との間で移動可能である。
電子部品がフレームに固定されていなければならない場所でのパンチは、非作動(不活性または格納)位置に保持される。プレス部品のストロークの際に、作動/活性/抜去パンチは、選択された電子部品をフレームから押し出し、パンチを運ぶプレス部品とは反対側のプレス部品の開口部内に押し込む。換言すれば、作動位置ではパンチは第1プレス部品の接触面から少なくとも部分的に突出しており、非作動位置ではパンチは第1プレス部品の接触面から突出していない。電子部品を分離するための圧力はこのようにプレス部品の駆動装置によって提供されてもよい。パンチの制御は、その後、パンチの位置決めのためにのみ用いられる。しかしながら代替として、パンチは、分離プロセスの際にハウジング(プレス部品)内で移動してもよい。フレームの前進運動の制御、プレス機の制御および個別のパンチの位置決め制御は、フレームから除去すべき電子部品を示す情報が供給されるインテリジェント制御システムによって制御される。
本発明による分離装置の重要な利点は、電子部品のリードタイムを大幅に低減可能であり、特定の(例えば限られた)品質レベルの電子部品のその後の選択ステップが不必要になることである。別の利点は、また、任意の後続処理工程で悪影響を与えるかもしれない電子部品をそれらが悪影響を与える前に除去できることである。一例としては、不完全な成形電子部品があり、これらの限定された品質の電子部品は、フレーム内での(リード曲げ加工のような)部品のフレーム内形成に悪影響を与える可能性がある。本発明による状況では、不完全な成形部品は、それらがそのようなフレーム内形成プロセスで悪影響を与える前にフレームから除去されてもよい。
【0005】
個別パンチ制御装置は、例えば油圧駆動または空気圧駆動のシリンダであってもよい。制御すべきパンチの数に応じて、パンチを保持するプレス部品は、相当数のシリンダを備えなければならない可能性がある。シリンダを保持するために利用できるスペースが問題になる場合には、シリンダをプレス部品内の複数の高さ(level)に配置することが可能である。
【0006】
プレス部品間でフレームガイドに沿ってフレームを動かすために、分離装置は駆動装置を備え、駆動装置は、プレス部品が(任意の)パンチを作動する前に、正確な位置にフレームを移動する必要がある。プレス部品間のフレームの正確な位置決めは、電子部品をフレームから正確に精度よく選択的に分離するための基本である。しかしながら、ガイド駆動装置によるフレームの位置決めに加えて、また、プレス部品は、連携ピン-ホールアセンブリ(例えばプレス部品内のピンとフレーム内の位置決め孔)のような(精巧な)位置決め要素を備えてもよい。インテリジェント制御システムは、各ストロークでフレームを自動的および正確に位置決めするために、好ましくはフレーム駆動装置に接続される。
【0007】
第2プレス部品内の複数の開口部は、打ち抜かれた電子部品を受容するための少なくとも1つの回収容器に接続してもよい。容器内に収集された分離電子部品は、従って、特定の電子部品品質レベルに対応する特定の特性を有することが分かる。どんなタイプの電子部品が分離されたかに応じて、これらの部品は、適切な用途分野に使用してもよい。例えば、低いが限定された機能性を有する電子部品は、要求度の低い用途に使用してもよい。
【0008】
種々の品質を有する電子部品を分離する場合には、分離装置は複数の回収容器を備えてもよく、これが有用である。それらの回収容器は回収容器駆動装置により移動可能であり、インテリジェント制御システムは回収容器駆動装置に接続している。これらの移動可能な回収容器は、様々な品質レベルの分離された電子部品を種々の容器内に集めることを可能にする。
【0009】
インテリジェント制御システムは、個別パンチ制御装置およびフレーム駆動装置を制御して複数の連続するパンチ操作を実施するように構成されてもよく、ここで、フレーム駆動装置はフレームガイドに沿って同じ位置にフレームを保持し、回収容器駆動装置は前記連続するパンチ操作の間に回収容器を交換する。
このような方法でインテリジェント制御システムによって、本発明による装置は、一定の選択基準に基づいて異なる回収容器内の分離された電子部品を効果的に分類することが可能になる。連続するパンチ操作の際にリードフレームが同じ位置に留まるという事実によって分離および分類操作が高速化される。
【0010】
インテリジェント制御システムは、電子部品を有するフレームに対して以前に実施された操作から得られた部品品質レベル情報に基づいて、個別パンチ制御装置およびフレーム駆動装置を制御するように構成されてもよい。
このような以前の操作は、電子部品を品質面で単独に検査する検査操作および、電子部品の品質を引き出すことができる形成、トリミング、分離、成形操作などのような電子部品を扱う/加工するための操作を含んでもよい。
一般に、このような情報は、高レベルのホストコンピュータに格納され、インテリジェント制御システムによって又はインテリジェント制御システムを経て取得可能であり、それが前記インテリジェント制御システムで直接的にまたは処理された形で利用可能になる。結局、インテリジェント制御システムは、パンチ操作によって分離が必要な電子部品の選択にこの情報を使用する。
【0011】
インテリジェント制御システムは、第1パンチ操作の際の個別パンチ制御装置の設定に対して、電子部品を有するフレームに対して実施された一つの操作の際に得られた品質レベル情報を用いるように構成されてもよい。また、インテリジェント制御システムは、連続するパンチ操作の際の個別パンチ制御装置の設定に対して、別の操作の際に得られた電子部品を有するフレームの品質レベル情報を用いるように構成されてもよい。
連続するパンチ操作のそれぞれの操作の際に、どの部品をフレームから分離するのかを決定するために前記以前の異なる操作の際に得られた部品品質レベル情報を用いる。
一例としては、電子部品の成形の際にパッケージの充填不良(non-fills)や空洞(voids)などを検査し、その一方で、電子部品のリード曲げ工程の後で、リードの(形状や位置などの)品質を検査ステーションで検査する。
空洞や充填不良に関するパッケージ品質のデータが選択基準の決定に使用され、それに基づいて、パッケージ品質要求を満足しない電子部品の第1セットを第1パンチ操作の際に分離する。分離された前記第1セットの電子部品を第1回収容器内に収容する。
その後、リードの品質データが選択基準の決定に使用され、それに基づいて、リードに対する品質要求を満足しない電子部品の第2セットを第2パンチ操作の際に分離する。分離された前記第2セットの電子部品を第2回収容器内に収容する。
【0012】
第1プレス部品内の複数のパンチが一列に設置されていてもよく、ここでパンチの列はフレームガイドに対して垂直に方向付けられている。好ましくは、そのようなパンチの列は、フレームの列に存在する電子部品の数と同じ数のパンチを保持する。単一のパンチ列を有する場合、プレス部品の各ストロークで、フレームの1つの列がパンチに沿って移動されてもよい。
フレームガイドに対して垂直方向を向いている第1プレス部品内の複数のパンチが複数列に設置されている場合は、パンチの列が電子部品の複数の列に作用するので、フレームをより大きなステップで前方移動させてもよい。例えば2つの列を有するパンチでは、毎度2列ごとの(ダブル)ステップで行うことができる。パンチの列は隣接可能であるが、機械的な観点からは、パンチの列をより大きな間隔で配置することが好ましい。唯一の条件は、パンチが種々の列(例えば奇数列と偶数列)に作用しなければならないことである。
【0013】
本発明はまた、電子部品を有するフレームから電子部品をインラインで選択的に分離するシステムを提供する。システムは前述した本発明による少なくとも1つの分離装置、および電子部品を有するフレーム用に少なくともローダーおよび/またはオフローダーを備える。
分離装置は、電子部品処理ラインが長くても短くても組み込むのに好適である。そのような電子部品処理ラインは、ホルダー(カセット)から電子部品を有するフレームを個別に取り出すローダー(積載ハンドラ)、および/または、電子部品を有するフレーム(および出来れば電子部品がフレームから分離される1以上の開放位置)をホルダーに個別に配置するオフーローダー(荷下ろしハンドラ)を備えてもよい。
【0014】
電子部品をインラインで選択的に分離するシステムは、また、フレーム内の電子部品の個別検査用の検査ユニットを少なくとも1つ備えてもよい。1例としては、1以上のカメラを有する外観検査ユニットが、成形されたハウジングの品質(の欠如)をチェックしてもよい。別の例としては、各電子部品の電気的特性(の欠如)を電子的接触により測定してもよい。このような検査の結果に基づいて、インラインプロセスの後半で、フレームから特定の部品を除去するために、インテリジェント制御システムから分離装置に信号が提供されてもよい。
【0015】
システムはまた、電子部品を有するフレーム上で作動する処理ユニット、例えば、電子部品の成形(moulding)、形成(例えば曲げ)、トリミング、分離、マーキングおよび/または(部分的な)レーザ照射のための処理ユニットを備えてもよい。電子部品のマーキングは、後で電子部品に対して実施される操作の際に、機能不全の電子部品を簡単に識別する方法として必要になる場合がある。
【0016】
本発明による電子部品をインラインで選択的に分離するシステムの特定の実施形態では、処理ユニットはフレームに接続された電子部品を操作する形成ユニットまたはトリミングユニットであり、処理ユニットを分離装置から上流または下流に配置する。
処理ユニットとして使用可能な形成ユニットの例としては、フレームに接続された電子部品のリードを曲げるユニットがある。ここではリードの曲げはフレーム内形成プロセスであり、電子部品は曲げ加工の間、例えば典型的には電子部品のヒートシンクまたはダイパッドとして接続されているフレームからまだ分離されていないタイバーによって、リードフレームに接続されたままであることを理解しなければならない。
代わりに、電子部品は、例えばリードフレームの縁を部分的に覆ってパッケージを成形することなどで、パッケージの一部の間でリードフレームをクランプすることでリードフレームに接続されたままであることも可能である。曲げられるリードは、(少なくとも曲げ操作の時点では)リードフレームから分離されるとはいえ、リードフレームからのリードの分離は曲げ操作の直前または工程の初期に行われてもよい。
リードフレームからリードを分離する前記プロセスは、本発明による電子部品をインラインで選択的に分離するシステム内に設けられた処理ユニットとして使用されてもよいトリミングユニットによって実施されるトリミング操作とすることが可能である。トリミングユニットで行うことが可能な別の操作は、典型的にはリードの曲げの間は相互に接続されているリード端部の切断や、リードの間の空間を介して成形材料が成形キャビティから流出するのを防止するために、成形の際にパッケージに隣接するリードの基部を接続するダムバーの切断などがある。
【0017】
形成ユニットまたはトリミングユニットが本発明による分離装置の上流に配置される場合には、電子部品の操作の結果、どの電子部品が選択的分離の際にフレームから分離されるかが(部分的に)決定されてもよい。この前もっての分離/除去によって、前記プロセスの中断またはツール/プロセスステーションの故障を引き起こすことにつながる特定の品質要求を満たさない電子部品による後続処理ステップの中断を防止できる。
形成ユニットまたはトリミングユニットが本発明による分離装置の下流に配置される場合には、その後の形成またはトリミング操作に悪影響を及ぼす可能性のある電子部品は、それらが悪影響を与え得る前にフレームから除去されてもよい。
【0018】
本発明は、さらに本発明による分離装置を用いて電子部品を有するフレームから電子部品を選択的に分離する方法に関する。方法は以下のプロセスステップ、すなわち、A)プレス部品を互いに対して離間移動させてプレス部品を開くステップと、B)離間移動させたプレス部品間に電子部品を有するフレームを制御された距離で前方に供給するステップと、C)次の処理ステップの際にフレームから分離しなければならない電子部品の第1セットの位置に対応する複数のパンチを選択的に作動させるステップと、D)対応する位置で作動された複数のパンチがフレームから電子部品を分離するように前記プレス部品を互いに対して移動させるステップを含む。
【0019】
本発明による方法では、ステップD)に続いてフレームがプレス部品の間の同じ位置に保持されている間に、ステップA)、C)及びD)を再実行し、ステップC)の再実行の際に、複数のパンチのうちの、次の処理ステップでフレームから分離しなければならない電子部品の第2セットの位置に対応するパンチを選択的に作動させる。
ここで述べる電子部品の第2セットは、典型的にはステップD)の前回の実行の際にフレームから分離された電子部品の第1セットとは異なる。連続するパンチング操作の際にフレームを同じ位置に保持することにより、電子部品の分離を特別に効率的な方法で行うことが可能になる。加えて、第1のパンチング操作の際に分離された電子部品の第1セットを受容するための管理された場所(例えば第1回収容器)は、連続するパンチング操作の間に、連続するパンチング操作の際に分離された電子部品の第2セットを受容するための別の管理された場所(例えば第2回収容器)に変更されてもよい。ここで述べる分離された電子部品は、複数の異なる選択基準に基づいて分類されてもよい。
【0020】
ステップC)の最初の実行の際の複数のパンチの選択的な作動は、電子部品を有するフレームに対して以前に行われた第1の操作中に得られた品質レベル情報に基づいてもよく、ステップC)の再実行中の際の複数のパンチの選択的な作動は、電子部品を有するフレームに対して以前に行われた第2の操作中に得られた品質レベル情報に基づいてもよい。分離のための電子部品の異なるセットのこの連続的な選択は品質レベル情報の複数のソースに基づいて電子部品を分離するための効率的な方法である。
【0021】
フレームからの電子部品の選択的分離の前に、フレームに接続された前記電子部品を操作するための形成またはトリミング操作が行われてもよく、形成またはトリミング操作の結果が前記選択的分離の際にフレームからどの電子部品を分離するかを決定する。
既に述べたように、先行する形成またはトリミング操作の結果に基づいた電子部品の分離は、前記プロセスの中断またはツール/プロセスステーションの故障を導きうる所定の品質要求を満たさない電子部品が後続処理ステップで終わることを保証する。
【0022】
代わりに、フレームからの電子部品の前記選択的分離に続いてフレームに接続された前記電子部品を操作するための形成またはトリミング操作が行われてもよい。この場合には、その後の形成またはトリミング操作に悪影響を及ぼす可能性のある電子部品は、フレームから積極的に除去されてもよい。また、形成またはトリミング操作を電子部品の先行するまたは引き続く選択的分離に組み合わせることも可能であり、形成またはトリミング操作および任意の後続処理ステップの双方に前述した利点のすべてを達成することも可能である。
【0023】
本発明は、以下の図面に示す例示的な実施形態に基づいて更に明瞭にされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明による分離装置の概略的な斜視図である。
【
図2A】本発明の方法により、フレームから電子部品を選択的に分離する前の上面図である。
【
図2B】本発明の方法により、フレームから電子部品を選択的に分離した後の上面図である。
【
図3】本発明による分離装置の代替的実施形態の概略的な斜視図である。
【
図4】本発明による、フレームから電子部品をインラインで選択的に分離するシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、(ここでは図示しない)駆動手段によって互いに対して遠近移動可能な(矢印P
1参照)2個のプレス部品2、3を有する本発明による分離装置1を示す。プレス部品2、3の間に電子部品6を有するフレーム5を処理位置に移動させるように(矢印P
2参照)設けられたガイドがある。上側プレス部品2内には、複数のパンチ7が設置されており、パンチ7は、(ここではシリンダとして示す)個別パンチ制御装置8に接続されている。図中、1つのパンチ7′は下方(作動)位置に配置されている一方で、他のパンチ7は全てが上側プレス部品2の接触面9から突出していない、より高い位置に配置されている。反対側(下側)プレス部品3には、パンチ7が電子部品6をフレーム5から押し出すことを可能にする開口部10が設けられており、分離された電子部品11を、下側プレス部品を通過して回収容器(collecting bin)12内に落下させる。パンチ7の位置決め、プレス部品2、3の動き、およびガイド4に沿ったフレーム5の案内は、全てインテリジェント制御システム13が制御する。
【0026】
図2Aでは、通常は金属製であるフレーム(ストリップ)15が、列17と行18を有してアレイ状に配置された成形電子部品16を含んで示されている(ここでは列は4個の電子部品から構成され、行は8個の電子部品から構成されているが、行および列を構成する電子部品の数は変更可能である)。
図2Bに示すように、成形電子部品16の幾つかを(例えば個々の電子部品16の機能不良および/または成形不良のために)分離するように選択した後で、それら幾つかの電子部品16は、フレーム15から分離される(ここでは2列3行、4列3行、4列4行、6列2行、7列1行の位置にある)。
【0027】
図3は、再び2個のプレス部品21、22を有する本発明の分離装置20の代替実施形態を示す。
図1に示す分離装置1の本質的部分に対応するプレス部品21、22であるが、ここでは上側プレス部品21には、複数のパンチ23、24が2つの平行な列に設置されている。パンチ23、24の位置決めに関しては、また、パンチ23、24が個別の電子部品を分離して、それらの分離された電子部品が下側プレス部品22を通過して2つの回収容器27、28のいずれかに落下することを可能にする孔(開口部)25、26が2つの対応する列に備えられている。
【0028】
図4は、電子部品を有するフレーム31から電子部品をインラインで選択的に分離するシステム30を示す。カセット32内にフレームが到着すると、オフローダー33がカセット32から個々のフレーム31を取り外してガイド34上に配置する。
ここで表されているラインでは、第1位置内で外観検査ユニット35が検査を実施し、
その後の第2位置内で本発明による分離装置36が、例えば不正確な寸法の電子部品として検査ユニット35で検査された電子部品を分離する。引き続く第3作動位置では、形成ユニット37が、例えば分離装置36を通過後もフレーム内にまだ残っている電子部品のリード線を曲げてもよい。第4処理位置では、本発明による第2分離装置38は、例えば前の処理ステップの際に、すなわち形成ユニット37における処理ステップの際に不正確として検出された電子部品を分離してもよい。
その後、インラインシステム30の最終の処理ステップとしてローダー39が処理されたフレーム31’をカセット40内に再び入れてもよい。