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特許7361770血液と少なくとも1つのガス/ガス混合物との間の物質交換のための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】血液と少なくとも1つのガス/ガス混合物との間の物質交換のための装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/18 20060101AFI20231006BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
A61M1/18 510
A61M1/18 525
B01D63/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021522947
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2019079559
(87)【国際公開番号】W WO2020089244
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】102018008459.1
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519461679
【氏名又は名称】エンモデス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】リッター・イルゼ・フィリーネ
(72)【発明者】
【氏名】ボルヒャルト・ラルフ
【審査官】中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-290020(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016010398(DE,A1)
【文献】特開昭50-020989(JP,A)
【文献】特表2003-518996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/18
B01D 63/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液と少なくとも1つのガス/ガス混合物との間の物質交換のための装置であって、
この装置では、複数の物質透過性中空糸(1b)が軸方向に延在する第1のコア要素(1c)の周りに配置されている血液貫流可能な第1のチャンバ(1)を含み、
その際、ガス/ガス混合物が中空糸(1b)を貫流可能であり、且つ血液が中空糸の周囲を流れることが可能であり、さらに、複数の物質透過性中空糸(2b)が軸方向に延在する第2のコア要素(2c)の周りに配置されている血液貫流可能な第2のチャンバ(2)を含み、
その際、ガス/ガス混合物が中空糸を貫流可能であり、且つ血液が中空糸の周囲を流れることが可能であり、
その際、第2チャンバ(2)は、血液貫流方向で流体工学的に第1チャンバ(1)の後に配置されていて、
a.第1及び第2チャンバ(1,2)は、第1及び第2チャンバのコア要素中心軸線(1a,2a)の間の間隔を伴って相並んで配置され、
b.2つのチャンバ(1,2)は、軸方向端部領域に接続部(5)を有し、この接続部を介して、血液貫流可能チャンバ容積が、離間して半径方向に接続されている、
当該装置において、
c.接続部(5)を有する端部領域において、各チャンバ(1,2)のそれぞれの中空糸(1b,2b)を中心として環状空間(6a,6b)が配置されており、2つの環状空間(6a,6b)は、接続領域(5)で重なり合うこと、
を特徴とする装置。
【請求項2】
第1チャンバ(1)への血液入口(7a)と第2チャンバ(2)からでる血液出口(7b)とが、装置の同じ側に配置されていること、を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つのガス入口(9)と少なくとも1つのガス出口(10)とが、互いに対して反対側に配置されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
2つのチャンバ(1,2)は、共通のガス入口(9)と共通のガス出口(10)を有すること、を特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
2つのチャンバ(1,2)の各々に、各々専用の一対のガス入口(9a,9b)とガス出口(10a,10b)が割り当てられていること、を特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項6】
2つのチャンバ(1,2)の各々に、各々専用のガス入口(9a,9b)が、そして共通のガス出口(10)が割り当てられていること、を特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項7】
血流方向で第1チャンバ(1)内に血液とガス/ガス混合物が並流で案内され、且つ続けて血流方向で第2チャンバ(2)内に血液とガス/ガス混合物が向流で案内されていること、を特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
2つのチャンバ(1,2)の各々では、環状空間壁と中空糸(1b,2b)との間の自由断面が、接続領域(5)に向かって周方向に増加すること、を特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
2つのチャンバ(1,2)の各々では、端部領域の環状空間壁と中空糸(1b,2b)との間の間隔及び/又は自由断面が、接続領域(5)の反対側に位置する最小の断面及び/又は間隔の領域(5a)から出発して、時計回り及び反時計回りで、接続領域(5)まで増加すること、を特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
2つのチャンバ(1,2)では、端部領域の環状空間壁と中空糸(1b,2b)との間の間隔及び/又は自由断面が、接続領域から出発して、同一方向に、接続領域(5)に戻るまで増加すること、を特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
2つのチャンバ(1)の一方では、端部領域の環状空間壁と中空糸(1b,2b)との間の間隔及び/又は自由断面が、接続領域(5)から出発して時計回りで増加し、並びに他方のチャンバ(2)では、反時計回りで接続領域(5)に戻るまでそれぞれ増加し、接続領域(5’)は、2つのチャンバの中空糸間の間隔が最小である領域に隣接して、2つのチャンバの間隔方向に対して垂直な方向で横方向にオフセットされて位置すること、を特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
各々の環状空間(6a,6b)は、2つのチャンバ(1,2)の中空糸間の最小距離の領域に、局所的に区切られた追加のテーパ部(6c)を有すること、を特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
各々の環状空間(6a,6b)は、基本的に円形断面を有し、その円形断面の中心は、環状空間(6a,6b)内に位置するコア要素(1b,2b)の中心軸線(1a,2a)に対して接続領域(5)の方向にずらされていること、を特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
2つのチャンバ(1,2)が異なる直径を有すること、を特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
2つのチャンバ(1,2)が異なる軸方向長さを有し、ここでは2つのチャンバ(1,2)が、接続部(5)を有する端部領域に共通の端部を有すること、を特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
2つのチャンバ(1,2)及び/又はコア要素(1c,2c)の中心軸線(1a,2a)は非平行に配置されていること、を特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
中心軸線(1a,2a)は、投影方向で見てガス流入側とガス流出側との間の領域で交差し、又は中心軸線(1a,2a)は、投影方向で見て装置の外側で、接続部(5)を有する端部を超えて交差すること、を特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項18】
第1投影方向で見て2つの中心軸線(1a,2a)が交差し、且つそれに垂直な投影方向では2つの中心軸線(1a,2a)が平行に位置すること、を特徴とする請求項13又は14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液と少なくとも1つのガス/ガス混合物との間の物質交換のための装置に関し、この装置は、複数の物質透過性中空糸が軸方向に延在する第1のコア要素の周りに配置されている血液貫流可能な第1のチャンバを含み、その際、ガス/ガス混合物が中空糸を貫流可能であり、且つ血液が中空糸の周囲を流れることが可能であり、さらに、複数の物質透過性中空糸が軸方向に延在する第2のコア要素の周りに配置されている血液貫流可能な第2のチャンバを含み、その際、ガス/ガス混合物が中空糸を貫流可能であり、且つ血液が中空糸の周囲を流れることが可能であり、その際、第2チャンバは、血液貫流方向で流体工学的に第1チャンバの後に配置されており、特に、装置を通って流れる血液は、初めに第1チャンバを通り、次いで第2チャンバを流れることを意味する。
【背景技術】
【0002】
前述の種類の物質交換のための装置は、従来技術で基本的に知られており、例えば、血液と少なくとも1つのガス/ガス混合物との間で酸素と二酸化炭素(CO)を交換するため、即ち、好ましくは、チャンバ内の血液に酸素を付加し、且つ二酸化炭素を除去するという意味で設けられている。この動作機構の装置は、しばしば、酸素供給器とも呼ばれる。
【0003】
物質交換のためのこのような装置の動作機構は、ガス若しくはガス混合物が貫流する中空糸中と血液中には、交換される物質の様々な分圧が存在するということに基づいている。その結果、不均衡な物質は、分圧の均等化を達成するために、物質透過性の中空糸を通って運ばれる。
【0004】
これは、中空糸の材料透過性設計により可能であり、交換を企図する物質(この好ましい用途では、酸素及び二酸化炭素)が、中空糸壁部を通過できるようにすることができる。一方、血液は、中空糸壁部を通ってチャンバから中空糸の内部へ流入し得ない。その結果、基本的には、血液に関して、中空糸のガスで充填された内側の領域且つ血液で充填されたチャンバが、中空糸壁部を介して互いに分離されているが、特に、血液中のガス成分については、中空糸壁部を介して接続されている。酸素と二酸化炭素は通過することができるが、他の血液成分が通過できない材料透過性の中空糸は、半透過性とも呼ばれる。
【0005】
周知の種類の装置では、且つ好ましくは本発明による実施形態の場合でも、相並んで位置する中空糸が例えば経糸でマットに接続され得る。その結果、このような材料透過性の中空糸を含むマットを、コア要素の周囲に巻き付けることができる可能性がある。ここで好ましくは、コア要素が巻き取り補助具を形成し、且つこのような装置の後で組み立てる状態においても、形成された中空糸の巻き取り体を安定化する要素を形成する。
【0006】
例えば、且つ好ましくは本発明の場合でも、コア要素に巻かれている中空糸は、この巻かれている構成で、それぞれのチャンバのうちの一つに、共通して挿入することができる。チャンバの軸方向端部に接着剤を用いたいわゆるポッティングによって、血液を充填可能なチャンバ容積が生じ、軸方向端部において開口し、そしてポッティング接着剤(Vergussklebemittel)を貫通する中空糸が、ガス若しくはガス混合物を流すことができる。ここで、中空糸は、チャンバの軸方向端部において、ポッティング接着剤で取り囲まれている。開放端部を有する中空糸は、ポッティング接着剤を通ってガス入口若しくはガス出口にまで貫通して到達する。
【0007】
前述したこの種類の装置の場合には、血流及びガス流が、少なくとも基本的に、好ましくはつまり、中空糸及び/又はコア要素若しくはチャンバの軸方向延在部に対して少なくともほぼ平行に、並流(Gleichstrom)又は向流(Gegenstrom)で、発生することが基本的に知られている。その際、達成される効果に対してどちらも利点及び欠点がある。
【0008】
例えば、並流動作は、初めに高い濃度勾配、従って初めに非常に効率的な物質交換をももたらすという利点を有するが、完全な交換を達成できない。
【0009】
向流動作では、2つの媒体において交換すべき物質の濃度の完全な均一化が可能であるという利点が生じるが、向流動作は、初めは並流運転と比較して非効率である。
【0010】
更にまた、2つのそれぞれのチャンバが使用されるこの種類の装置も知られており、この装置では、冒頭で述べたように、それぞれの材料透過性中空糸がそれぞれのチャンバ要素を中心として配置されている。その際、第2チャンバは、血液貫流方向で流体工学的に第1チャンバに続けて配置されている。ここでは基本的に、血流及びガス流が、一方のチャンバにおいて並流で、及びもう1つのチャンバにおいては向流で、生じることが可能である。
【0011】
この周知技術では、このような2つのチャンバは、互いの内側に同軸上に配置されており、特に異なるコア要素及びチャンバ壁要素は、同軸上に互いに接続して結合され、次いでポッティングによって密封されなければならないために、このような装置の構造及び特に組み立てを複雑にする。このタイプの装置は、例えば、Xenios社の「Hilite」という名前で知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の課題は、構造的に簡単に設計されており、且つ好ましくは既知の構造に対してより人間工学的な形状を有する、このような2つのチャンバを備えた、冒頭に記載した種類の装置を提供することである。さらに、ガス交換器を通る血液のより均一な流れを達成し、且つ物質のより効率的な交換を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、本発明に従って、第1チャンバと第2チャンバとが相並んで配置されていることによって解決される。特に、これは、2つのコア要素の中心長手方向軸線が完全に重ならないことを意味する。即ち、この2つのコア要素の中心長手方向軸線は同一線上にはなく、好ましくは、これらの軸線は、空間内でも交差せず、特に、本発明による装置内で少なくとも交差しないということである。
【0014】
例えばこれは、好ましくはチャンバ中心軸線と重なるコア要素中心軸線が、特に中心長手軸線が例えば間隔をもって互いに平行に伸びるとき、本発明によるこの相並び配置で、軸方向延在部に沿ったいたるところで、間隔、例えば半径方向の間隔を有することによって得られる。
【0015】
さらに、本発明によれば、2つのチャンバは、それぞれのチャンバ延長部の軸方向端部領域に接続部を有し、この接続部を介して、血液貫流可能チャンバ容積が接続されており、特に離間する方向で接続されており、特に半径方向で接続されていることが企図されている。好ましくは、接続部が、中心軸線に関して、2つのチャンバにおいて、特に軸方向でポッティング接着剤より前に、同じ軸方向の高さ若しくは位置に位置する。
【0016】
この構造を有する装置の形態は、装置の製造のために、基本的には、第1チャンバ要素に巻き付けられた中空糸束を第1チャンバ要素に挿入し、且つ第2のコア要素に巻き付けられた第2の中空糸束を第2チャンバに挿入するだけでよいので、2つのチャンバが互いに同軸的に内部に配置されない、且つこれによってより容易な組立およびより簡単な構造になるという既知の構造に対する利点を有する。その結果、中空糸束の互いに対する相対的な調整を省くことができる。
【0017】
この際、2つのチャンバの軸方向の端部領域におけるチャンバ容積の接続によって、血液が第1チャンバから第2チャンバへ流入し得ることが確実であり、特にこの場合、血液が流入したあとに、その流れ方向が基本的には逆転する。
【0018】
したがって、例えば、直立型装置の共通底部領域によって形成され得る軸方向端部領域での接続部を通って、このような装置の血液が、第1チャンバでは上から下へ流れて、それから、下部軸方向端部領域において、第1チャンバから第2チャンバへ、例えば半径方向で流入し、次いで第2チャンバでは下から上へ流れることが達成され得る。
【0019】
例えば、好ましい実施形態では、2つのチャンバ及びチャンバの中に配置されているコア要素に巻かれた中空糸が、それらの寸法に関して同一であるように形成され得、2つのチャンバの間の正確にミラーリングした血流を実現することができるので、従来技術と比較して、著しく均質な処理、特に酸素富化及び血液の二酸化炭素消耗が達成される。
【0020】
本発明は、好ましくは、第1チャンバへの血液入口と、第2チャンバから出る血液出口とが、装置の同じ側に配置されている、特にチャンバ間の接続部を有する軸方向端部領域の反対側にある装置の側に配置されていることを企図する。従って、前述のように、血液のチャンバ間の移送後の流れ反転は達成され、特に前述のミラー対称性でもって達成される。ただし、チャンバが、前述のように、寸法に関して同一であることを条件とする。しかしながら、この実施形態は、直立型設計の場合に、血液接続が上方から生じ得るという点でも好ましい。
【0021】
好ましい構成において、本発明は、少なくとも1つのガス入口と少なくとも1つのガス出口とが互いに対して装置の反対側に配置されていることを更に企図し、特に、即ち、少なくとも1つのガス入口は、装置の血液入口も血液出口も位置する側に配置され、及び少なくとも1つのガス出口は、チャンバ間の接続を有する軸方向端部がある反対側の領域に配置されていることを企図する。それぞれのガス入口とガス出口で画定されているそれぞれの容積内には、中空糸のそれぞれの開放端部が通じている。その結果、ガス入口とガス出口が中空糸延在方向で、特にコア要素の軸方向で離間する。
【0022】
このようにして、第1チャンバと第2チャンバにおいてガス流方向が装置に対して全体的に同一であり、例えば、床置き型の酸素供給器の場合には上から下へと生じることができる。しかしながらその際、上述したように、接続部と反対側の血液入口及び血液出口の配置によって、血流方向で第1チャンバ内に血液とガス/ガス混合物が並流で案内され、且つ続けて血流方向で第2チャンバ内に血液とガス/ガス混合物が向流で案内されている。
【0023】
これにより、血液治療の場合の同時の並流原理と向流原理の適用が、構造的に特に簡単で且つ有利な方法で適用することが可能であり、特にこれは、装置内の両方の流れ原理のそれぞれの利点を解明する。
【0024】
これに関して、本発明は、1つの実施形態において、2つのチャンバが共通のガス入り口及び共通のガス出口を有することを企図し得る。2つのチャンバ、若しくは2つのチャンバの中に配置されている中空糸は、この実施形態の場合には、これらの内部で同じガス組成でさらされ、特に、その際、ガスに関して2つのチャンバにおいて同じ流速が中空糸内でも達成される。
【0025】
しかしながら、本発明のほかの実施形態は、2つのチャンバの各々に、各々専用の一対のガス入口及びガス出口が割り当てられており、特に、それぞれ一対の場合には、ガス入口及びガス出口が、装置の反対側に配置されることも企図することができる。
【0026】
ガスダクトのチャンバごとのこのような分離、又はチャンバ毎のガス継手のペアをそれぞれ設けることは、第2チャンバと比べて、異なるガス組成を第1チャンバ内で使用することができることを可能にする。これにより、ガスの組成が異なるだけでなく、2つのチャンバで流速を異なるように設定することも可能になる。
【0027】
このようなガス流原理の構造的単純化は、例えば、この装置では、2つのチャンバの各々に、各々専用のガス入口が、そして共通のガス出口が割り当てられていることによって生じ得る。従って、別個のガス入口を通って、各チャンバ若しくはチャンバの中空糸に個別にガスを供給することができる。その際、組成や流量が異なる可能性のあるガスは出口側で混合され、且つ共通のガス出口を通って装置の外へと搬出される。
【0028】
発生するガス流は、例えばガス入口をガスボンベに接続することによって、及び/又は出口をポンプに接続することによって、任意の方法で生じることができる。
【0029】
本発明の基本的な利点は、チャンバ、中空糸、及びコア要素が同一の寸法の、特に寸法的に同一の設計の場合には、基本的にミラーリングした血液の処理が本発明による装置でできることが、冒頭で明らかにされた。
【0030】
しかしながら、本発明は、1つのコア要素上に配置されている中空糸を有する第1チャンバ、及び1つのコア要素上に配置されている中空糸を有する第2チャンバが、異なるように形成すること、例えば、チャンバの寸法及び/又は、本発明に従って存在する相並び配置の場合の相対配向に関しても企図し得る。
【0031】
例えば、本発明では、2つのチャンバが異なる直径を有すること、特に、2つのチャンバの中空糸束が異なる直径を有することを企図し得る。
【0032】
特に、異なる直径を有するようにチャンバを設計することは、チャンバ内の流れプロファイルが異なるように設定することができるという利点を有する。人間工学的又は設計的観点側面も、役割を果たし得る。
【0033】
代替的に、又は前述の特徴との組み合わせでは、2つのチャンバが異なる軸方向長さを有し、特に2つのチャンバの中空糸束が異なる軸方向長さを有し、好ましくはここでは2つのチャンバが、接続部を有する端部領域にそれぞれ共通の端部を有する可能性もある。したがって、床置き型装置では、はじめに言及したように、2つのチャンバが、共通の下側端部を有することができるが、長さが異なるため、上側端部を互いに軸方向に離間することができる。
【0034】
特に、異なる長さを有するようにチャンバを設計することは、装置の全交換長さに関して、並流原理から向流原理への変化が、それぞれの長さによって決定される所望の位置で生じ得るという利点を有する。従って、繊維表面を減らし、且つ効率を高めることもできる。さらに、これによって、チャンバ内の流れプロファイルを別々に設計し、利用に応じて適応させることも可能になる。ここでも、人間工学的側面やデザイン的側面が同様に役割を果たし得る。例えば、2つのチャンバのうちの1つの上方に、好ましくは短い方の上方に、さらに別の構成要素を配置することが企図され得る。
【0035】
幾何学的に異なる大きさのチャンバを有する装置の設計により、これが異なる長さ及び/又は異なる直径によって達成されるかどうかに関係なく、装置内部の第1チャンバ及び第2チャンバのチャンバ容積が異なることも基本的に達成される。その結果、血液の体積流量が装置全体で一定であれば、第1チャンバと第2チャンバ内の血液に対して、滞留時間が異なり、したがって物質交換の処理時間が異なる可能性がある。
【0036】
特に、チャンバが少なくとも同じ軸方向長さを有し、且つ好ましくはコア要素の中心軸線と平行に配置されている実施形態の場合には、装置の共通ハウジング要素、特に下部の底部要素と上部のカバー要素とが、2つのそれぞれのチャンバを閉鎖する装置の軸方向端部において使用することができるという、一般に与えられる構造上の利点が明らかになる。
【0037】
本発明は、原理的には、コア要素の中心軸線、特にチャンバの中心軸線も、距離をおいて互いに平行に配置されることを企図し得る。それ故に、本発明によるこの実施形態では、2つのチャンバの相並び配置が、チャンバの互いに正確な半径方向に離間することによって生じる。特に、2つの中心軸線間の半径方向の間隔が、それぞれのチャンバの2つの半径の合計よりも大きい。
【0038】
その結果、チャンバ内壁はそれらが互いに最も接近する位置、即ち互いに対向するチャンバの側面においても、まだ離間している。それ故、チャンバ容積(Kammervolumina)は、この実施形態では重ならず、前述の軸方向端部領域でのみ接続される、即ちここでは好ましくは半径方向の接続方向で接続される。
【0039】
本発明の代替的な1つの構成は、2つのチャンバの中心軸線が平行に配置されないことも企図し得る。ここで、中心軸線は、投影方向で見てガス流入側とガス流出側との間の領域で交差し、又は中心軸線は、投影方向で見て装置の外側、特に接続部を有する端部を超えて交差するように配置され得る。投影方向で交差点があっても、好ましくは空間内で軸線は、実際に交差しない。
【0040】
従って、床置き型の装置を仮定した場合には、中心軸線の交差点が装置の底部領域の下方にあり、従って、装置の外側にあり得る。
【0041】
さらに、この設計は、第1投影方向で見て、2つの中心軸線が交差し、且つそれに垂直な投影方向では、2つの中心軸線が平行に位置するようにすることができる。それ故、特に、この垂直な第2投影方向において、2つの中心軸線は、本願の特許請求の範囲に記載のチャンバの隣接配置につながる間隔を有する。第1投影方向では、2つの中心軸線が互いに平行に配置されていれば、2つの中心軸線が相前後して並んで位置し得る。
【0042】
さらなる好ましい実施形態では、本発明は、考え得るすべての構成の場合、接続部を有する端部領域において各チャンバのそれぞれの中空糸を中心として環状空間が配置されていることを企図する。その際、2つのチャンバの2つの環状空間は、接続領域で重なり合う。したがって、中空糸の周りに環状空間を配置することによって、このような環状空間が、環状空間が設けられていない領域のチャンバの直径/断面よりも大きい直径/断面を有することが明らかになる。したがって、このような環状空間領域では、チャンバ内部の血液が、それぞれのコア要素上に位置する中空糸束の外側の周囲を流れることもでき、それによって、血液が単に中空糸間の領域を通って流れることができる場合よりも低い流動抵抗でチャンバ間に流入することができる。
【0043】
2つのチャンバの各々では、環状空間壁と中空糸との間の自由断面が、接続領域に向かって周方向に増加する場合が特に好ましく、それによって、可能な限り少ない剪断力が接続領域内の血液に作用するので、血液の均一な流れが接続領域自体で達成される。
【0044】
さらに、血液は、第1チャンバ内の中空糸束の全周から第1チャンバの環状空間に流れることができ、及び好ましくは、それぞれの場所で同じ速度を有する。次いで、血液は、好ましくは加速又は減速を伴わずに、第2チャンバの環状空間へ移行することができ、そして、そこから全周にわたって均等に第2の中空糸束へ入ることができる。したがって、血液は、第1の中空糸束からの流出と第2の中空糸束への流入との間で、好ましくは、速度変化しない。よって、滞留領域及び流れ損失を低減することができる。
【0045】
1つの実施形態は、2つのチャンバの各々では、端部領域の環状空間壁と中空糸との間の間隔及び/又は自由断面が、接続領域の特に180度だけ反対側に位置する、最小の断面及び/又は間隔の領域から出発して、時計回り及び反時計回りで、接続領域まで増加することを企図し得る。
【0046】
別の実施形態は、2つのチャンバでは、端部領域の環状空間壁と中空糸との間の間隔及び/又は自由断面が、接続領域から出発して、同一方向に、特に時計回りに又は反時計回りに、接続領域に戻るまで増加すること、又は2つのチャンバの一方では、端部領域の環状空間壁と中空糸との間の間隔及び/又は自由断面が、接続領域から出発して、時計周りで、及び他方のチャンバでは反時計周りで、接続領域に戻るまでそれぞれ増加することを企図し得る。
【0047】
特に後者の実施形態の場合、接続領域は、2つのチャンバの中空糸間の間隔が最小である領域に隣接して、2つのチャンバの間隔方向に対して垂直な方向で横方向にずらすことができる。ここでは、2つのチャンバの中空糸間の間隔が最小である領域内で、それぞれの環状空間が、局所的に区切られたテーパ部を追加的に有するようにも企図され得る。
【0048】
例えば、各々の環状空間は、基本的に円形断面を有し、その円形断面の中心は、環状空間内に位置するコア要素の中心軸線に対して接続領域の方向にずらされており、特に半径方向にずらされていることが、前述の実施形態において企図され得る。環状空間及びチャンバをずらすこと、及びずらすことによる偏心配置は、環状空間の断面の接続領域の方向への増加をもたらす。
【0049】
本発明の実施形態は、以下の図に基づいて、より詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、第1チャンバ1と第2チャンバ2とを有する酸素供給装置の本発明の好ましい実施形態を示す。2つのそれぞれのチャンバは、軸方向の中心軸線1a又は2aを有し、この中心軸線は、この実施形態において、互いに平行に配置され、且つこの平行配置に基づき互いに正確に半径方向の距離を有する。それによって、第1の及び第2チャンバの相並び配置がもたらされる。2つのチャンバ1及び2は、共通の隔壁3を装置の内部に有し得る。この隔壁は、2つのチャンバ容積を、軸方向延在部の大部分にわたって、即ち接続部5を除いて、分離する。
【0051】
2つのそれぞれのチャンバ1及び2は、例えば、内部自由断面、好ましくは円形断面を有し得る。その際、第1チャンバ1では、この内部自由断面が、コア要素1c上に巻き付けられている中空糸束1bで充填されており、及び第2チャンバ内では、内部自由断面が、コア要素2c上に巻き付けられている中空糸束2bで充填されている。内部自由断面は、中空糸が、実際にはチャンバ壁4の半径方向外側領域で接触し、これが同時に、装置全体のハウジングの外壁も形成するように、第1及び第2チャンバの軸方向延在部の大部分にわたって、チャンバ内にあるそれぞれの中空糸束1b及び1cの外側断面と同程度に大きくてもよい。したがって、血液は、以下に記載する接続領域5を除き、中空糸において半径方向外側へ流れ得ない。
【0052】
ここで記載されている装置の軸方向の下に位置する端部領域では、共通の隔壁3の下の端部前に、軸方向側に配置されている接続領域5によってチャンバ1及び2が半径方向に接続されている。
【0053】
この接続領域5を介して、ここでは例えば、チャンバ1内で上から下へ流れる血液が、チャンバ1の軸方向で下に位置する端部で、チャンバ2内へ軸方向で流入し得、次いで第2チャンバ内で、下から上へ流れ得る。
【0054】
ここでは基本的に、接続領域5は、2つのそれぞれの環状空間6a及び6bが重なる領域によって形成されており、これらの環状空間は、チャンバ1、2の軸方向で下に位置する端部領域でそれぞれの中空糸束1b及び2bを取り囲む。
【0055】
これに関して、図1は、例えばホース継手として形成されている血液入口7aを通って、血液がチャンバ1へ流入し得る1つの実施形態を示す。ここで、血液は、コア要素1cの内部を介して中空糸束1bの中空糸間の領域へ半径方向外側に導かれ、且つここで束1bの中空糸間で、軸方向で下へ流れることができる。血液は、接続領域5を通って第2チャンバ2へ流入した後に軸方向で上に戻って流れ、そしてここでは、同様に、チャンバ容積の半径方向内側に位置する接続部を有するホース継手として形成されている血液出口7bを介して、コア要素を介して、チャンバ2の上端領域で装置を出ることができる。
【0056】
中空糸束1b及び1cは、軸方向の反対側にポッティング接着剤8で強固に接続されており、その際、ポッティング接着剤8は、チャンバ1及び2の軸方向の端部でも血液量に関して規定する。
【0057】
中空糸は、ポッティング接着剤8を通って軸方向に貫通して延在し、且つこの装置の場合、この中空糸の開口端部は、軸方向上に位置する領域にガス入口9内に、及び下に位置する領域にガス出口10内に開口する。ここで、2つのチャンバ1、2はそれぞれ共通のガス入口9と共通のガス出口10をそれぞれ有しているので、この装置では同じガスが中空糸を通って軸方向で上から下へ案内される。
【0058】
この実施形態では、チャンバ1の中空糸束内での血流が、軸方向で上から下へ案内され、且つチャンバ2内では下から上へ案内されるので、血液とガスの間の案内は、チャンバ1内では物質交換のための並流原理に対応して達成され、且つチャンバ2内では、血液とガスとの間の物質交換の為の向流原理に相当する。したがって、ここに示されているこの装置では、2つのチャンバの相並び配置により、並流及び向流の両方で構造的に簡単な方法で血液を処理することができる。その際、ここで示されるチャンバ1及びチャンバ2の寸法均一性によって、2つのチャンバ1及び2の間で実質的にミラーリングした血流をもたらし、したがって、物質交換での血液の特に均一な処理をもたらす。
【0059】
図2は、チャンバ1及びチャンバ2の中空糸束1b及び2bを取り囲む環状空間6a及び6bを通る、図1に対して、軸方向の下側の端部における本発明による装置の断面図をそれぞれ示す。ここで分かるように、2つの環状空間6a及び6bは、基本的に環形状の断面、特に円形の断面を有し得、及び2つの環状空間半径の和よりも小さい半径方向に離間することにより、血液がチャンバ1からチャンバ2へ、基本的には半径方向へ流入し得る接続領域5又は5’が生じることにより装置内で重なり合う。
【0060】
図1に関連して軸方向の底部に位置する領域では、血液が、基本的には半径方向に、中空糸束1bから環状空間6aへ流入し得、及びこの環状空間6aでは、中空糸間の流れと比較して抵抗が減少して、環状空間6aの周方向に接続領域5の方へ、且つそこで環状空間6bに流入し得、及び、周方向に、中空糸束2bの周囲に再び分布し得る。
【0061】
ここで、環状空間の(ここでは図示しない)中心点とコア要素中心軸線との偏心配置によって、環状空間6a及び6b内には、接続領域5への方向で断面積が増加し、好ましくは血流が全体の接続領域で均一な速度分布を有するようになることが分かる。
【0062】
図2aの実施形態では、2つのチャンバ1,2の各々では、端部領域の環状空間壁と中空糸1b,2bとの間の間隔及び/又は自由断面が、接続領域5の反対側に位置する最小の断面及び/又は間隔の領域5aから出発して、時計回り及び反時計回りで、接続領域5まで増加する。
【0063】
図2bの実施形態では、2つのチャンバ1,2では、端部領域の環状空間壁と中空糸1b,2bとの間の間隔及び/又は自由断面が、接続領域5から出発して、同一方向に、ここでは時計回りに、接続領域5に戻るまで増加する。ここでは、接続領域5が、2つのチャンバ1,2の間隔方向に2つのチャンバ中心点を接続する仮想線部の周囲に配置されている。
【0064】
図2cの実施形態では、一方のチャンバ1では、端部領域の環状空間壁と中空糸1b,2bとの間の間隔及び/又は自由断面が、接続領域5から出発して時計回りで増加し、並びに他方のチャンバ2では、反時計回りで接続領域5に戻るまでそれぞれ増加し、並びに図2dの変形例では、接続領域5’に戻るまで増加する。好ましくは、2つの環状空間6a,6bの推移は、図2a,c,d,eの実施形態において互いに鏡面対称であり得る。図2dの変形例では、接続領域5’は、2つのチャンバ1,2の中空糸間の間隔が最小である領域に隣接して、2つのチャンバ1,2の間隔方向に対して垂直な方向で横方向にずらして配置されている。
【0065】
図2eは、さらに、図2dの実施形態に基づいて可能な実施形態を示しており、これによれば、各々の環状空間6a,6bは、2つのチャンバ1,2の中空糸間の最小間隔の領域に、局所的に区切られた追加のテーパ部6cを有する。
【0066】
図3aは、図1による図とは対照的に、チャンバ1が、チャンバ2よりも長い軸方向長さを有する本発明のさらなる可能な実施形態を示す。しかし、その際、2つのチャンバ1,2は、接続領域5が、特に図2に記載されている環状空間6a,6bと、実装されている共有軸端部を有する。軸方向で上に位置する端部領域では、装置のハウジングは、チャンバ1とチャンバ2の軸方向の長さが異なるためにそれぞれずらされている。
【0067】
ここでは、例えば、ガス導入口9aがガス導入口9bから分離されていることが企図されている。その結果、2つのチャンバ1,2が、異なるガス組成でも動作することができる。分離されているガス導入口の実施形態は、図1による実施でも企図され得る。ここで軸方向下に位置する端部には、共通のガス出口領域10が設けられており、このガス出口領域中に2つのチャンバ1,2の中空糸が、その開口端部でもってポッティング接着剤8を通って開口する。
【0068】
図3bは、図3aのような同じ装置が、チャンバの長さの比率が逆になってそれぞれ示されている。即ち、ここでは、チャンバ1の軸方向長さが、チャンバ2よりも短い。
【0069】
図3a及び図3bの実施形態では、同じガス組成が2つのチャンバで存在するように、2つのチャンバ1及び2のガス入口領域9a及び9bを流体的に接続することがさらに企図され得る。
【0070】
さらに、2つのチャンバ1,2の軸方向に異なる長さを除いて、図3a/bの実施形態は図1の構成と同一であり得る。
【0071】
図4a/bは、チャンバ1及び2が異なる直径を有する本発明による実施形態を示す。図4aにおいて、チャンバ1は、チャンバ2に対してより小さな直径を有する。図4bでは、これが逆になっている。結果として生じる2つのチャンバ1,2の異なる容積のために、これら2つのチャンバ1,2において異なる血流速度を達成することができる。それ以外では、図4の実施形態は、図1及び図2におけるものと同一である。
【0072】
図5a/bでは、2つのチャンバ1及び2は、互いに平行に延在しない中心軸線1a,2aを有し得ることが示されている。この際、ここに記載されている投影図において、2つのチャンバ中心軸線1a及び2aが、装置内で、特に、それぞれの軸方向チャンバ長さに対して中央領域で交差することが、図5aによって企図され得る。
【0073】
一方、図5bの場合の実施形態は、この投影方向の図でも2つの中心軸線1a及び2aは交差するが、本発明による装置の外側及びここでは下側に交差点がある。したがって、図5aではチャンバが、基本的に、ここで示されている投影方向においてX構成を有しているのに対して、図5bにおける2つのチャンバは、V構成を有する。この場合、この図の断面の断面においてV形状の隔壁3は、2つのチャンバ1及び2の間に設けられ得る。
【0074】
V構成では、ここで示されているように、2つのチャンバに対して装置が共通の平坦な底部領域を有し得る。これにより、装置の直立の位置が簡単になる。
【0075】
ここで示されたこの書面の上面図に対して垂直に位置する図示されていない投影方向では、図5a 5bにおけるそれぞれの中心軸線が離間しており、これにより、2つのチャンバ1,2がこの実施形態でも本発明に従って相並んで配置されている。図5aに示す視点では、これは、チャンバ1及び2が相前後して配置されていることを意味する。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.
血液と少なくとも1つのガス/ガス混合物との間の物質交換のための装置であって、
この装置では、複数の物質透過性中空糸(1b)が軸方向に延在する第1のコア要素(1c)の周りに配置されている血液貫流可能な第1のチャンバ(1)を含み、
その際、ガス/ガス混合物が中空糸(1b)を貫流可能であり、且つ血液が中空糸の周囲を流れることが可能であり、さらに、複数の物質透過性中空糸(2b)が軸方向に延在する第2のコア要素(2c)の周りに配置されている血液貫流可能な第2のチャンバ(2)を含み、
その際、ガス/ガス混合物が中空糸を貫流可能であり、且つ血液が中空糸の周囲を流れることが可能であり、
その際、第2チャンバ(2)は、血液貫流方向で流体工学的に第1チャンバ(1)の後に配置されている当該装置において、
a.第1及び第2チャンバ(1,2)は相並んで配置され、特に第1及び第2チャンバのコア要素中心軸線(1a,2a)の間の間隔を伴って相並んで配置され、
b.2つのチャンバ(1,2)は、軸方向端部領域に接続部(5)を有し、この接続部を介して、血液貫流可能チャンバ容積が接続されており、特に離間する方向に接続されていること、を特徴とする装置。
2.
第1チャンバ(1)への血液入口(7a)と第2チャンバ(2)からでる血液出口(7b)とが、装置の同じ側に配置されていること、を特徴とする上記1に記載の装置。
3.
少なくとも1つのガス入口(9)と少なくとも1つのガス出口(10)とが、互いに対して反対側に配置されていること、を特徴とする上記1又は2に記載の装置。
4.
2つのチャンバ(1,2)は、共通のガス入口(9)と共通のガス出口(10)を有すること、を特徴とする上記3に記載の装置。
5.
2つのチャンバ(1,2)の各々に、各々専用の一対のガス入口(9a,9b)とガス出口(10a,10b)が割り当てられていること、を特徴とする上記3に記載の装置。
6.
2つのチャンバ(1,2)の各々に、各々専用のガス入口(9a,9b)が、そして共通のガス出口(10)が割り当てられていること、を特徴とする上記3に記載の装置。
7.
血流方向で第1チャンバ(1)内に血液とガス/ガス混合物が並流で案内され、且つ続けて血流方向で第2チャンバ(2)内に血液とガス/ガス混合物が向流で案内されていること、を特徴とする上記1から6のいずれか一項に記載の装置。
8.
接続部(5)を有する端部領域において、各チャンバ(1,2)のそれぞれの中空糸(1b,2b)を中心として環状空間(6a,6b)が配置されており、2つの環状空間(6a,6b)は、接続領域(5)で重なり合うこと、を特徴とする上記1から7のいずれか一項に記載の装置。
9.
2つのチャンバ(1,2)の各々では、環状空間壁と中空糸(1b,2b)との間の自由断面が、接続領域(5)に向かって周方向に増加すること、を特徴とする上記8に記載の装置。
10.
2つのチャンバ(1,2)の各々では、端部領域の環状空間壁と中空糸(1b,2b)との間の間隔及び/又は自由断面が、接続領域(5)の反対側に位置する最小の断面及び/又は間隔の領域(5a)から出発して、時計回り及び反時計回りで、接続領域(5)まで増加すること、を特徴とする上記8又は9に記載の装置。
11.
a.2つのチャンバ(1,2)では、端部領域の環状空間壁と中空糸(1b,2b)との間の間隔及び/又は自由断面が、接続領域から出発して、同一方向に、特に時計回りに又は反時計回りに、接続領域(5)に戻るまで増加すること、又は
b.2つのチャンバ(1)一方では、端部領域の環状空間壁と中空糸(1b,2b)との間の間隔及び/又は自由断面が、接続領域(5)から出発して時計回りで増加し、並びに他方のチャンバ(2)では、反時計回りで接続領域(5)に戻るまでそれぞれ増加し、特に、接続領域(5’)は、2つのチャンバの中空糸間の間隔が最小である領域に隣接して、2つのチャンバの間隔方向に対して垂直な方向で横方向にオフセットされて位置すること、を特徴とする上記8又は9に記載の装置。
12.
各々の環状空間(6a,6b)は、2つのチャンバ(1,2)の中空糸間の最小距離の領域に、局所的に区切られた追加のテーパ部(6c)を有すること、を特徴とする上記11bに記載の装置。
13.
各々の環状空間(6a,6b)は、基本的に円形断面を有し、その円形断面の中心は、環状空間(6a,6b)内に位置するコア要素(1b,2b)の中心軸線(1a,2a)に対して接続領域(5)の方向にずらされており、特に半径方向にずらされていること、を特徴とする上記8から11のいずれか一項に記載の装置。
14.
2つのチャンバ(1,2)が異なる直径を有し、特に2つのチャンバ(1,2)の中空糸束(1b,2b)が異なる直径を有すること、を特徴とする上記1から13のいずれか一項に記載の装置。
15.
2つのチャンバ(1,2)が異なる軸方向長さを有し、特に、2つのチャンバ(1,2)の中空糸束(1b,2b)が異なる軸方向長さを有し、好ましくは、ここでは2つのチャンバ(1,2)が、接続部(5)を有する端部領域に共通の端部を有すること、を特徴とする上記1から14に記載の装置。
16.
2つのチャンバ(1,2)及び/又はコア要素(1c,2c)の中心軸線(1a,2a)は非平行に配置されていること、を特徴とする上記1から15のいずれか一項に記載の装置。
17.
中心軸線(1a,2a)は、投影方向で見てガス流入側とガス流出側との間の領域で交差し、又は中心軸線(1a,2a)は、投影方向で見て装置の外側で、特に接続部(5)を有する端部を超えて交差すること、を特徴とする上記13に記載の装置。
18.
第1投影方向で見て2つの中心軸線(1a,2a)が交差し、且つそれに垂直な投影方向では2つの中心軸線(1a,2a)が平行に位置すること、を特徴とする上記13又は14に記載の装置。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b