(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】タンパストローク調整
(51)【国際特許分類】
E01C 19/48 20060101AFI20231006BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022000936
(22)【出願日】2022-01-06
【審査請求日】2022-03-18
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596068349
【氏名又は名称】ヨゼフ フェゲーレ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ベルツ
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ヴァイザー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ノル
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン パウリク
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-196175(JP,A)
【文献】実公昭48-010985(JP,Y1)
【文献】特開平02-240306(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0141823(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗設層(3)を形成するためのスクリード(2)を有する路面仕上げ機(1)であって、前記スクリード(2)は、前記スクリード(2)に供給された舗設材料(5)を予備締固めるための少なくとも1つの締固めユニット(4)を備え、
前記締固めユニット(4)は、
前記スクリード(2)に固定されたベアリングサポート(7)と、
当該ベアリングサポート(7)に回転可能に設けられ、前記締固めユニット(4)のタンパバー(6)を駆動する偏心シャフト(8)と、
所望の回転角度で回転可能に前記偏心シャフト(8)に支持されて、当該偏心シャフト(8)における角度位置によって前記締固めユニット(4)の
前記タンパバー(6)の所望のタンパストローク
を連続して変化可能
にし、
当該偏心シャフト(8)に
対する偏心の位相を調整可能に設けられる少なくとも1つの偏心ブッシング(17)
と、を備え、
前記偏心シャフト(8)から離間して設けられ、少なくとも部分的に前記偏心シャフト(8)
によって調整機構(10、35)が
回転駆動される
ことで、前記偏心シャフト(8)において前記偏心ブッシング(17)の前記偏心の位相を調整することを特徴とする、路面仕上げ機(1)。
【請求項2】
前記調整機構(10、35)は、前記偏心ブッシング(17)を回転させるために作動可能
であり、互いに対して位相角度を変化可能な少なくとも1つの調整ドライブ(12)
および少なくとも1つの調整変速機(13)を備え、
前記調整ドライブ(12)は、前記偏心シャフト(8)の前記回転運動によって回転駆動され、前記偏心ブッシング(17)を回転させるために作動可能であり、
前記調整変速機(13)は、前記偏心シャフト(8)の前記回転運動によって回転駆動され、前記偏心ブッシング(17)を回転させるために作動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の路面仕上げ機。
【請求項3】
一緒に回転する前記調整ドライブ(12)
および一緒に回転する前記調整変速機(13)は、作動されて、前記偏心シャフト
(8)と同軸で回転可能に
当該偏心シャフト(8)に設けられた機械要素(16)の回転角度(φ)を調整可能であることを特徴とする、請求項2に記載の路面仕上げ機。
【請求項4】
前記機械要素(16)は、当該機械要素(16)自体が前記偏心ブッシング(17)を形成しているか、または、噛合クラッチ(27)によって前記偏心ブッシング(17)に接続されていることを特徴とする、請求項3に記載の路面仕上げ機。
【請求項5】
前記偏心シャフト(8)の回転運動を前記調整ドライブ(12)
および前記調整変速機(13)に伝達するよう実装された少なくとも1つのさらなる機械要素が設けられていることを特徴とする、請求項3または4に記載の路面仕上げ機。
【請求項6】
前記締固めユニット(4)の運転中、前記調整ドライブ(12)
および前記調整変速機(13)は、前記偏心シャフト(8)と同一の速度で、または、前記偏心シャフト(8)とは異なる速度で回転駆動されることを特徴とする、請求項2~5のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項7】
前記調整ドライブ(12)
および前記調整変速機(13)は、油圧、電気および/または機械式に動作可能であることを特徴とする、請求項2~6のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項8】
前記調整ドライブ(12)は作動性サーボモータ(M)を備え、および/または、サーボモータ(M)が前記調整変速機(13)に設けられていることを特徴とする、請求項2~7のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項9】
前記調整変速機(13)は、カム機構とされるか、および/または、一対の回転する偏向ローラ(36a、36b)を備えることを特徴とする、請求項2~8のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項10】
前記一対の回転する偏向ローラ(36a、36b)は、前記偏心シャフト(8)において前記偏心ブッシング(17)を回転させるために、前記偏心シャフト(8)に交差するよう、移動可能に設けられていることを特徴とする、請求項9に記載の路面仕上げ機。
【請求項11】
前記調整機構(10、35)は、前記偏心シャフト(8)に沿って回転可能に設けられた複数の偏心ブッシング(17)を同期して調整するよう実装されており、または、前記調整機構(10、35)は、前記偏心シャフト(8)に沿って回転可能に設けられた複数の偏心ブッシング(17)を個別に調整するために複数の調整ドライブ(12)および/または調整変速機(13)を備えていることを特徴とする、請求項2~10のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項12】
前記調整ドライブ(12)
および前記調整変速機(13)は、前記偏心ブッシング(17)の前記所望の回転角度(φ)を制御システム(29)により設定するよう作動可能とされることを特徴とする、請求項2~11のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項13】
前記制御システム(29)は、前記偏心ブッシング(17)の前記回転角度の動的適応のために、前記路面仕上げ機(1)の前記運転中に検出可能である少なくとも1つのプロセスパラメータ(P)に応答する少なくとも1つの制御ループ(RK)を備えることを特徴とする、請求項12に記載の路面仕上げ機。
【請求項14】
前記調整機構(10、35)は、前記偏心ブッシング(17)を支持する前記偏心シャフト(8)における前記偏心ブッシング(17)の設定された回転角度(φ)を検出するため、および/または、前記タンパバー(6)のタンパストローク(11)を検出するために実装された少なくとも1つのセンサユニット(28)を備えることを特徴とする、請求項2~13のいずれかの一つに記載の路面仕上げ機。
【請求項15】
路面仕上げ機(1)の締固めユニット(4)において連続可変タンパストローク調整を行う方法であって、前記タンパストローク(11)を調整するために、少なくとも1つの偏心ブッシング(17)を、偏心ブッシング(17)が設けられた偏心シャフト(8)において回転させ
、前記締固めユニット(4)のタンパバー(6)を駆動する当該偏心シャフト(8)に対する偏心の位相を調整可能にする方法であり、前記偏心シャフト(8)における前記偏心ブッシング(17)を回転させ
、当該偏心ブッシング(17)の前記偏心の位相を調整するために、前記偏心シャフト(8)から離間して設けられ、少なくとも部分的に前記偏心シャフト(8)
によって調整機構(10、35)が
回転駆動されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の路面仕上げ機に関し、および、請求項15に記載の路面仕上げ機における連続タンパストローク調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第3 138 961 B1号明細書には、スクリードにタンパストローク調整手段が備えられている路面仕上げ機が開示されている。タンパストローク調整手段は、回転駆動可能な偏心シャフトと、偏心シャフトに回転可能に設けられた偏心ブッシングとの間に設けられた調整変速機を有する。タンパバーのストロークは、偏心シャフトにおける偏心ブッシングの回転によって設定される。欧州特許出願公開第3 138 961 B1号明細書にはさらに、回転駆動可能な偏心シャフトと、偏心シャフトに相対回転不能に設けられた偏心ブッシングとの間に設けられた調整変速機が開示されており、ここで、タンパバーのタンパストロークを調整するために、偏心ブッシングは、偏心シャフトに交差して調整変速機上を移動するものである。最後に、欧州特許出願公開第3 138 961 B1号明細書には、切り換え機構を備える調整変速機が開示されている。
【0003】
上記における2つの第1の解決法において、路面仕上げ機の運転中における偏心ストロークの調整は技術的に困難である。これは特に、偏心ブッシングと偏心シャフトとの間において、偏心シャフトに直接設けられた調整変速機を作動または動作させることは困難であるためである。切り換え機構は、かなり複雑な構成を有していると共に、スクリードにおける空間の多くを専有する。
【0004】
米国特許第8,371,770 B1号明細書には、ネジ付ロッドと、これに移動可能に設けられたネジ付ブッシングとを備えるタンパストローク調整手段を有するスクリードが開示されている。ネジ付ロッドに沿ったネジ付ブッシングの軸方向における調整ではネジ付ブッシングに設けられたレバーアームが動かされ、路面仕上げ機のスクリードにおけるタンパストロークの設定は前記レバーアームの位置および向きに応じる。
【0005】
欧州特許出願公開第1 905 899 A2号明細書には、タンパストローク調整手段が設けられた路面仕上げ機のスクリードが開示されている。タンパストローク調整手段は、偏心ブッシングが相対回転不能に設けられている案内スライドに沿って移動可能に水平に設けられた偏心シャフト用のベアリングサポートを備える。ベアリングサポートが水平に変位することにより、これに設けられた偏心シャフトと、スクリードに設けられた斜軸との間の距離は、手動で調整可能とされており、これにより、タンパストローク調整が達成される。
【0006】
欧州特許出願公開第2 599 918 A1号明細書には、路面仕上げ機のスタンパバーの上死点を設定するための方法および装置が開示されている。欧州特許出願公開第2 599 919 A1号明細書には、路面仕上げ機のスタンパバーのストローク調整のためのさらなる装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、タンパストローク調整手段を備える路面仕上げ機および路面仕上げ機における連続タンパストローク調整方法を提供することを目的とし、これにより、タンパストロークを、単純な構造技術的手段により、特に少ないモジュール数を用いて、主に路面仕上げ機の舗設作業の最中に正確かつ連続して変化可能に設定可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の路面仕上げ機、または、請求項15に記載の方法により達成される。本発明の有利な進歩が、下位の請求項のそれぞれに記載されている。
【0009】
本発明は、舗設層を形成するためのスクリードを有する路面仕上げ機に関し、ここで、スクリードは、スクリードに供給された舗設材料を予備締固めるための少なくとも1つの締固めユニットを備え、締固めユニットは、所望の回転角度で回転可能に偏心シャフトに支持されて、締固めユニットのタンパバーの所望のタンパストロークが連続して変化可能に設定されるよう偏心シャフトに設けられた少なくとも1つの偏心ブッシングを備える。
【0010】
本発明によれば、偏心シャフトから離間して設けられており、少なくとも部分的に偏心シャフトの回転運動と一緒に回転する調整機構が、偏心シャフトに対して偏心ブッシングを回転させるために作動可能とされている。本発明においては、自己回転調整機構が、偏心シャフトから離間して位置されているにも関わらず、タンパストロークの調整のために、偏心シャフトに沿って一緒に回転する偏心ブッシングを作動させるため、以下に説明する通り、全体として複数の利点が得られる。
【0011】
偏心シャフトにおける偏心ブッシングの回転(すなわち、これらの2つの構成要素のそれぞれの偏心度)により、スクリードにおける所望のタンパストロークの設定を可能とする位相調整が実現される。位相調整は、偏心シャフトから離間されており、主に偏心シャフトの速度で一緒に回転する調整機構によって、特に小さい力で、有利に作動可能である。偏心ブッシングおよび偏心シャフト間の位相調整を設定するために、一緒に回転する調整機構は、これを駆動する入力側のトルク、または、偏心ブッシングと連結する出力側で適用される速度が、シフトアップまたはシフトダウンされるように、少なくとも一時的に作動可能とされる。これにより、調整機構と連結されており、偏心シャフトにおいて一緒に回転する偏心ブッシングは、偏心シャフトの回転運動を基準として調整機構によって作動される伝達比に応じて「減速」または「加速」可能とされる。これにより、偏心ブッシングが偏心シャフトに対して新たな角度位置に回転し、すなわち、調整機構により開始される位相調整が実施される。一緒に回転する調整機構を個別に作動させることなく、偏心ブッシングは、偏心シャフトと同じ速度で、すなわち、偏心シャフトと一緒に一定の位相角度で回転する。
【0012】
「一緒に回転する」という用語は、締固めユニットの運転中に、調整機構、または、これに設けられた構成要素の少なくとも一部が、離間して設けられている偏心シャフトと一緒に回転することを意味する。この偏心シャフトと一緒に回転するモジュールは、上記の位相調整(偏心シャフトに位置された偏心ブッシングの角度位置の変化)のため、すなわち、タンパストロークを変更するために小さい力で繊細に作動可能とされている。しかも、偏心シャフトから離間して位置されている調整機構の作動が、より正確に実施可能である。さらに、このような一緒に回転する調整機構により、タンパストローク調整を自動でより良好に実施することが可能である。
【0013】
特に、偏心シャフトに対して相対的に偏心ブッシングを回転させ、偏心シャフトの回転運動に応じて少なくとも部分的に偏心ブッシングを回転させるために、偏心シャフト自体から調整機構に分岐した力の流れが存在していてもよい。これにより回転される調整機構は、入力された力の流れを、その入力と出力との間において、出力にて位相変位がもたらされるよう操作し、これに基づいて、偏心ブッシングが偏心シャフトにおいて回転されるよう、作動可能とされる。調整機構は、例えば油圧式および/または電気機械式位相調整システムとして存在可能である。
【0014】
本発明において、所望のタンパストローク調整は、好ましくは、偏心シャフトと、これに回転可能に設けられた偏心ブッシングとの個別の偏心度の和として達成される。これらの間で調整される位相角度は、電気機械式位相調整器とされた場合には特に、一緒に回転する調整機構により、迅速な応答性および高い正確さをもって変更可能とされている。回転モジュールとして、調整機構は、その入力端と出力端との間における位相調整について、良好に作動されることが可能である。
【0015】
本発明において採用される調整機構は、スクリードに係る既存の構成要素またはモジュールに基づいており、有利には小型化される。そのため、異なる種類のスクリードについても同等の部品を高い比率で用いることが可能である。偏心シャフトから離間したその位置により、偏心シャフト自体は、構造の観点からはより簡素な設計とされることが可能である。
【0016】
本発明に記載されているとおり、調整機構は、好ましくは、偏心シャフトによって少なくとも部分的に回転駆動されることが可能であり、タンパストロークの調整のために設定可能である位相調整に対して、全体として力に係る有利なバランスがもたらされる。これは、次いで、調整機構は容易に自動化が可能であるという事実につながり、これにより、路面仕上げ機によるより良好な舗設結果が可能となる。
【0017】
好ましくは、調整機構は、偏心ブッシングを回転させるために作動可能であり、偏心シャフトの回転運動によって回転駆動される少なくとも1つの調整ドライブと、および/または、偏心ブッシングを回転させるために作動可能であり、偏心シャフトの回転運動によって回転駆動される少なくとも1つの調整変速機を備える。本実施形態における偏心シャフトの回転運動が通常、調整ドライブおよび/または調整変速機の回転の理由となる。本変形例においては、調整ドライブおよび/または調整変速機は、偏心シャフトから分岐したドライブトレインにおいて一体化されており、この力の流れにおいて、調整ドライブおよび/または調整変速機が一緒に回転するよう一体化されている。ここで、偏心ブッシングと偏心シャフトとの間の回転角度の繊細な変化は、調整ドライブおよび/または調整変速機を既に小さい力で動作することによって達成される。特に、力の流れにおいて一緒に回転する調整ドライブおよび/または調整変速機の位相変位角度は、これにより容易に調整可能である。これにより、調整機構は、舗設作業が進行している間においても、偏心シャフトに対して偏心ブッシングを回転させていずれかの所望のタンパストローク調整とすること、すなわち、最小および最大タンパストローク値の間でタンパストロークを調整することがより良好に可能である。
【0018】
小型の構造とするために、調整ドライブおよび調整変速機を一緒に回転する機能ユニットとして形成することが有利である。次いで、この機能ユニットは、偏心シャフトの速度に対して一緒に回転するよう設けられたモジュール位相調整器として存在し、ここで、調整ドライブは、所望位相調整のために調整変速機を作動させることが可能であり、これに応じて、偏心ブッシングが、タンパストロークを変更するために偏心シャフトに対して回転する。
【0019】
上記のとおり、本発明においては、回転偏心シャフトは、一緒に回転し、および、連結した調整ドライブ、ならびに/または、一緒に回転する調整変速機に係るアクチュエータの機能を有して存在可能であり、ここで、偏心ブッシングと偏心シャフトとの間で位相調整を行うために、一緒に回転する調整ドライブおよび/またはそれ自体一緒に回転する調整変速機が、その回転とは別に、追加的に作動可能である。偏心シャフトに伝わったトルクは、偏心シャフトから分岐したドライブトレインにおいて、所望の位相変位角度を設定するために、回転可能に駆動される調整ドライブおよび/または調整変速機によって少なくとも一時的に変更可能であり、これにより生じる力が減速または加速され、すなわち、偏心シャフトにおいて偏心ブッシングが回転される。
【0020】
本発明において、偏心シャフトが好ましくは、タンパバーを駆動することと、一緒に回転する調整ドライブおよび/または一緒に回転する調整変速機のためのドライブシャフトの機能を果たすために存在可能であることと、の両方を果たし、いわば、二重機能を実現するという事実により、任意選択により外部から調整ドライブおよび/または調整変速機に作用される偏心ブッシングを回転させるための調整力を大きく低減させることが可能である。これにより、タンパストローク調整に採用される構成要素も構成的に減らすことが可能となり、製造コストが削減可能である。
【0021】
舗設作業中に好ましくは偏心シャフトに連続的に伝わるトルクは、力を追加的に大きく導入することなく、駆動速度で回転する偏心シャフトにおいて偏心ブッシングの動きの調整が容易に可能であるよう、一緒に回転し配置された調整ドライブならびに/または一緒に回転する調整変速機によって分岐した力の流れにおいて操作が可能である。タンパストロークを変更するための調整モーメント、すなわち、偏心ブッシングおよび偏心シャフトの個別の偏心度のベクトル和を変えるための調整モーメントが、調整ドライブおよび/または調整変速機によって開始可能である位相調整からもたらされる。位相調整が機能している間、偏心ブッシングは、偏心ブッシングが開始位置に対して調整されて偏心シャフトにおいて所望の角度位置とされるまで、偏心シャフトの回転方向と同じ方向または逆方向に、偏心シャフトの回転運動と相対的に回転される。
【0022】
好ましくは、一緒に回転する調整ドライブおよび/または一緒に回転する調整変速機は、偏心シャフトに回転可能に設けられた機械要素の回転角度を調整するよう作動可能とされている。この機械要素は、調整ドライブおよび/または調整変速機と、偏心シャフトに設けられた偏心ブッシングと、における構造的に容易に達成可能な連結を実現するものである。機械要素は、例えば、同期ベルトのギヤホイールまたはプーリの形態で存在可能である。
【0023】
一実施形態において、機械要素は、それ自体が偏心ブッシングを構成するか、または、例えば噛合クラッチといったかみあいクラッチにより偏心ブッシングに接続されている。既述の第1の代替例によって、部品数が少ない構造がもたらされる。第2の代替例は、整備および/または維持管理対策に有利であることが可能である。
【0024】
標準的な構造では、有利なことに、偏心シャフトの回転運動を調整ドライブおよび/または調整変速機に伝達するよう実装された少なくとも1つのさらなる機械要素が設けられている。さらなる機械要素は、偏心シャフトに相対回転不能に設けられていることが好ましい。これは、同期ベルトのギヤホイールまたはプーリであることが好ましい。さらなる機械要素については、調整ドライブおよび/または調整変速機において(例えば調整変速機の変速ケースまたは調整ドライブの筐体上)、補完的な連結要素(例えば同期ベルトのギヤホイールまたはプーリの形態)が、相対回転不能に設けられていることが可能である。
【0025】
さらなる機械要素によって、偏心シャフトから調整機構への動きまたは力の伝達を行うことが可能である。調整機構の例えば油圧式または電気機械式作動個別の作動が、特に一緒に回転する調整ドライブおよび/または一緒に回転する調整変速機を回転させ、これにより、出力端に連結されており、偏心シャフト(および、それ故、偏心ブッシング)に回転可能に配置された第1の機械要素が位相調整される。第1の機械要素が所望角度位置とされるとすぐに、すなわち、所望のタンパストロークが設定されるとすぐに、回転駆動される調整機構の上記の個別の作動が停止される。次いで、締固めユニットでこれにより調整される偏心ブッシングと偏心シャフトとの間の実際の回転角度は、適切なセンサ機構により容易に検出可能とされている。締固めユニットの運転中連続的に一緒に回転する調整機構は、その後の所望される位相調整のために再度作動可能であり、偏心ブッシングに連結された出力端において、入力端に対する新たなモーメントの切り換えが行われる。
【0026】
偏心シャフトを調整機構と連結するため、および、これを偏心ブッシングと連結するための上記の機械要素は、ギヤホイール、プーリおよび/またはチェーンホイールとして存在可能であり、それ故、標準的で、とりわけ、安価な機械構成要素を構成可能である。
【0027】
必須ではないが、締固めユニットの運転中、調整ドライブおよび/または調整変速機は、偏心シャフトと同一の速度で回転駆動されることとされる。このために、例えば、同等の寸法を有するギア/チェーンホイールまたはプーリが、これにより回転駆動される偏心シャフトと調整機構との間のドライブトレインにおいて採用される。特に、締固めユニットの運転中、調整ドライブおよび/または調整変速機は、偏心シャフトとは異なる速度であることが可能である。所望のタンパストロークは、偏心シャフトと調整変速機との間、および、調整変速機と偏心ブッシングとの間で伝達が同一であるよう達成可能である。換言すると、偏心シャフトと、調整変速機が設けられている調整シャフトは異なる速度とされることが可能であり、偏心シャフトと偏心ブッシングとではそうではない。
【0028】
調整ドライブおよび/または調整変速機は、油圧、電気および/または機械式に動作されることが有利である。油圧式調整ドライブおよび/または調整変速機により、とりわけ、高い調整力を発生させることが可能である。電気または電気機械式調整機構は、より短い反応時間でのタンパストローク調整が可能であり、油圧温度とは独立していることを意味する。
【0029】
好ましくは、調整変速機は、連続的に可変である機械式、液圧式または電気式変速機である。好ましくは、調整変速機は、スクリードに存在する機械式、油圧式または電気式駆動のいずれかにより、すなわち、スクリードの他の作業構成要素の運転のためにさらに採用される駆動源により、所望の伝達比を設定するために作動可能とされている。これは、採用される構成要素またはモジュールの削減にさらに貢献する。
【0030】
変形例において、調整ドライブは、作動性サーボモータを備え、および/または、サーボモータが調整変速機に設けられている。サーボモータは、調整変速機と一緒に、偏心シャフトと一緒に回転する機能ユニットを形成可能であり、ここで、サーボモータは、一緒に回転する調整機構を介して偏心ブッシングに伝達された力の流れが、接続された調整変速機によって変えられるよう、所望の位相調整のために作動可能とされている。これに応じて、偏心ブッシングは、偏心シャフトにおいて所望の角度位置に回転される。
【0031】
好ましくは、調整変速機は、カム機構とされるか、および/または、一対の回転する偏向ローラを備える。これにより、調整変速機は、特に強固なものとして実装可能である。カム機構は、相互に調整可能に設けられ、相互に直線的および/または回転式に移動可能である2つのカムディスクを備えていることが想定される。これらのカムディスクの相互の動きにより、その上に実装されたカム溝に沿って設けられた偏向ローラを調整することで、位相調整をもたらすことが可能である。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、調整変速機により、これに設けられ、および、力の流れにおい一緒に回転する偏向ローラを変位させるために、少なくとも1つの固定的に設けられたカムディスクがもたらされている。これは、直線変位および/または回転変位のために固定カムディスクに設けられており、これにより、位相調整のために、一緒に回転する偏向ローラの回転軸変位が調整される。
【0033】
一実施形態によれば、偏心シャフトに交差して、すなわち、その回転軸に交差して変位するよう、偏心シャフトにおいて偏心ブッシングを回転させるために、一対の回転する偏向ローラが設けられている。一緒に回転する偏向ローラは、偏心シャフトに回転可能に設けられている機械要素に接続されたスプロケットベルトまたはドライブチェーンに押圧されるように設けられていることが可能である。偏向ローラが変位することで、対向して案内されているベルトまたはチェーン部分の長さ比が同時に変化し、これに応じて、偏心シャフトにおける機械要素が回転し、従って、偏心ブッシングが偏心シャフトに対して位相調整される。
【0034】
一緒に回転する2つの偏向ローラは、相互に平行、かつ、離間して設けられた回転軸に対して、回転可能に設けられていることが可能である。一緒に回転する偏向ローラの位置を変更することにより、特に回転軸間の距離を変更することにより、偏心シャフト上に位置する偏心ブッシングの位相調整角度に作用させることが可能である。
【0035】
好ましくは、偏向ローラまたはドライブチェーンの周りに案内されている同期ベルトの片側における偏心シャフトの回転軸に交差して一緒に回転する偏向ローラが直進変位することで通路が延伸され、これが同時に、同期ベルトまたはドライブチェーンの反対側における通路の短縮によって相殺される。これにより、小さい力で、偏心シャフトにおける偏心ブッシングの回転を実施可能であり、従って、偏心ブッシングは、タンパストロークの設定のために偏心シャフトにおいて所望の回転角度とされる。
【0036】
有利な変形例において、調整ドライブおよび/または調整変速機は、偏心シャフトに沿って回転可能に設けられた複数の偏心ブッシングを同期して調整(全体ストローク調整)するよう実装されており、または、調整機構は、偏心シャフトに沿って回転可能に設けられた複数の偏心ブッシングを個別に調整(個別ストローク調整)するための複数の調整ドライブおよび/もしくは調整変速機を備えている。複数のユニットセクションに沿って搭載された偏心ブッシングは、これらの変形例において、一緒に、すなわち、相互に同期して調整可能であり、または、独立して、すなわち個別に調整可能である。独立して作動可能な偏心ブッシングにより、異なるタンパストロークを、スクリードによって形成可能である舗設幅で舗装運転中に設定可能である。
【0037】
偏心ブッシングの同期調整のために、調整機構をその出力端で調整シャフトに連結することが可能である。調整シャフトは、調整機構により、締固めユニットの複数のユニットセクションに同期して、すなわち、これに設けられた偏心ブッシングに対して、集中的に設定した位相調整を転送することが可能である。代わりに、締固めユニットのユニットセクションの各々のために、一緒に回転する独立して作動可能な調整機構が存在していることが可能である。これらは、共通のシャフトに設けられることが可能であり、これらは各々、偏心シャフトの回転運動をそれぞれ受け取る。その出力端では、しかしながら、異なる位相調整を調整可能である。好ましくは、調整シャフトまたはシャフトは、偏心シャフトと平行して設けられている。
【0038】
一実施形態によれば、調整ドライブおよび/または調整変速機は、制御システムによって偏心ブッシングの所望の回転角度を設定するために作動可能とされている。この制御システムは、全体ストローク調整のために採用されているか、または、個別ストローク調整のために採用されているかに関わらず独立している調整機構の一体的な部品として存在していることが可能である。制御システムは、CANバスシステムを介して路面仕上げ機の車両制御に接続されていることが可能であり、これにより、所望のタンパストローク、または、それぞれの所望のタンパストロークを保存可能である。
【0039】
特に好ましい変形例において、制御システムは、偏心ブッシングの回転角度の動的適応のために、路面仕上げ機の運転中に検出可能である少なくとも1つのプロセスパラメータに応答する少なくとも1つの制御ループを備える。この制御ループにより、例えば、最適な舗設結果をもたらすために偏心ブッシングと偏心シャフトとの間の回転角度の適応によって、例えば路面仕上げ機の材料バンカーからスクリードに移された舗設材料の計測温度といった、敷設される舗設材料に係る計測された材料に固有の値、および/または、例えば舗設層の計測温度といった形成された舗設層の計測温度に対応して応答することが可能である。
【0040】
本発明の好ましい一実施形態において、制御ループは、例えば周囲温度といった外乱的可変要素に反応して、タンパストロークを連続的に適応させるために、偏心ブッシングと偏心シャフトとの間の回転角度の動的調整を制御可能である。
【0041】
タンパストロークの調整中に、スクリードの実施設定角度、路面仕上げ機の舗設移動速度、偏心シャフトの設定された駆動速度、スクリードの締固めプレートの温度、および/または、路面仕上げ機の後ろを移動する締固め車両により検出される、例えば形成された舗設層に関する計測値といった個々の建設車両の計測値が考慮されることが考えられる。
【0042】
好ましくは、調整機構は、偏心ブッシングとこれを支持する偏心シャフトとの間の設定された位相角度を検出するため、および/または、タンパバーのストロークを検出するために実装された少なくとも1つのセンサユニットを備える。調整ドライブは、これに好適な少なくとも1つのセンサユニット、とりわけ、サーボモータとされている場合、例えば1つ以上の角度センサを備えていることが考えられる。これにより、サーボモータのモータシャフトの検出された角度位置に基づいて、偏心ブッシングと偏心シャフトとの間の位相調整が達成可能とされる。検出された位相調整により、制御システムは実際のタンパストロークを算出可能である。制御システムは、例えば位相特徴により検出された位相調整に基づいて対応する実際のタンパストロークを導き出すことが考えられる。検出された位相調整、または、センサユニットによって変更される位相調整はリアルタイムで制御ユニットに伝達可能であり、従って、任意選択により、所望のタンパストロークと実際のタンパストロークとの比較に基づいて、対応する制御信号が特にサーボモータといった調整ドライブに出力されて、迅速な応答によるタンパストロークの適応のために偏心ブッシングの回転が作動される。
【0043】
センサユニットは、一実施形態によれば、タンパバーの設定された実際のタンパストロークを直接計測するために実装された少なくとも1つの距離センサを備えていることが可能である。
【0044】
実際上の一変形例において、調整機構は手動調整が可能とされる。これは、とりわけ、舗設運転の開始時におけるタンパバーの較正に役立つ可能性がある。対照的に、調整機構の自動化運転は、舗設運転の最中に最適に採用可能である。
【0045】
本発明はまた、路面仕上げ機の締固めユニットにおいて連続可変タンパストローク調整を行う方法に関し、タンパストロークを調整するために、少なくとも1つの偏心ブッシングが、これを支持する偏心シャフトにおいて回転される。本発明によれば、偏心シャフトにおいて偏心ブッシングを回転させるために、偏心シャフトから離間して設けられ、少なくとも部分的に偏心シャフトの回転運動と一緒に回転する調整機構が作動される。
【0046】
好ましくは、偏心ブッシングと偏心シャフトとの間における相対的な回転が偏心シャフトから誘導される力の流れによってもたらされ、偏心ブッシングと偏心シャフトとの間の回転角度が変更されるよう、調整機構またはその少なくとも一部の回転運動を、調整機構によって少なくとも一時的にシフトアップまたはシフトダウンさせる。すなわち、トルクは偏心シャフトからもたらされて、駆動トルクとして調整機構に伝達される。特に、これに接続され、一緒に回転する調整変速機は、トルク適応のために調整ドライブによって作動可能である。本実施形態において、偏心ブッシングは、偏心シャフトにおいて、調整ドライブの追加的な作動を伴うことなく一様に、すなわち、同一の速度で回転する。調整ドライブの個別の作動により、これに連結された調整変速機は、偏心ブッシングと、これを有する偏心シャフトとの間で異なるベロシティを形成し、これにより、偏心ブッシングは偏心シャフトにおける新たな角度位置に回転される。これにより、タンパストロークが調整される。これにより、締固めユニットはこれらを、タンパストロークを変化させるための、少ない数の機械式、電気式および/または油圧式構成要素で実施可能である。これにより、路面仕上げ機におけるタンパストロークを変更するための、現実的で、安価に製造可能であると共に、実質的に自立的に操作される調整手段がもたらされる。
【0047】
以下の図を参照して、本発明の有利な実施形態をより詳細に例示する。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る路面仕上げ機のスクリードの締固めユニットを示す。
【
図2C】
図2Cは、全体ストローク調整に係る、
図2に示されている第1の実施形態の変形例を示す。
【
図2D】
図2Dは、個別ストローク調整に係る、
図2に示されている実施形態の変形例を示す。
【
図3】
図3は、第2の実施形態に係る路面仕上げ機のスクリードのための締固めユニットを示す。
【
図3B】
図3Bは、
図3に示されている実施形態の調整機構を分離して示す図である。
【
図3C】
図3Cは、全体ストローク調整に係る、
図3に示されている第2の実施形態の変形例を示す。
【
図3D】
図3Dは、個別ストローク調整に係る
図3の第2の実施形態の概略図を示す。
【0049】
図面中において、等しい構成要素には常に等しい符号が付されている。
【0050】
図1は、舗設移動方向Rに舗設層3を形成するスクリード2を備える路面仕上げ機1を示す。スクリード2は、スクリード2に供給された舗設材料5を予備締固めるための少なくとも1つの締固めユニット4を有する。締固めユニット4は、スクリード2に供給された舗設材料5を予備締固めるために、可変タンパストロークHおよび/または可変頻度Fで駆動可能であるタンパバー6を備える。
【0051】
図2は、個々に、拡大斜視図で締固めユニット4を示す。締固めユニット4は、スクリード本体に固定されたベアリングサポート7と、これに回転可能に設けられた偏心シャフト8を有する。偏心シャフト8は、タンパバー6が固定された接続ロッド9を駆動する。
【0052】
図2はさらに、偏心シャフト8により回転駆動される調整機構10を示す。調整機構10を作動させて、可動式の所望のタンパストローク11をタンパバー6に設定することが可能である。この目的のために、一緒に回転する調整機構10は、調整ドライブ12および/または調整変速機13を備える。
図2によれば、調整ドライブ12および調整変速機13は、機能ユニットとされている。この機能ユニットは、同期ベルト14による偏心シャフト8の回転運動と連結している。
【0053】
調整機構10は、追加的に作動されることなく、その入力端で同期ベルト14によって駆動され回転させるトルクを、その出力端にさらに設けられた同期ベルト15によって回転可能に偏心シャフト8に設けられた機械要素16に戻すことが可能である。調整機構10の追加の作動によって、偏心シャフト8に設けられた機械要素16の位相角度を変更可能である。この位相調整により、接続ロッド9内で回転可能に偏心シャフト8に設けられ、機械要素16に連結されている偏心ブッシング17(
図2Cを参照のこと)が調整可能である。
図2によれば、偏心シャフト8における偏心ブッシング17を回転させるために、偏心シャフト8から離間して設けられ、偏心シャフト8の回転運動と一緒に回転する調整機構10を作動可能である。
【0054】
図2Aおよび
図2Bを参照して、タンパストローク11を調整するための調整機構10による位相調整の性能を概略的に示す。
【0055】
図2Aにおいて、偏心シャフト8に相対回転不能に設けられたプーリ18によって案内される同期ベルト14は、偏心シャフト8の回転運動を調整機構10の筐体19に伝達する。筐体19は、プーリ18の直径と同じ直径を有するもので実装可能である。これにより、偏心シャフト8と調整機構10との間には、調整機構10が偏心シャフト8と同じ速度で回転するようベルト駆動が形成されている。
【0056】
図2Aにおいて、一緒に回転する調整機構10は追加的に作動されず、従って、その入力端で筐体19に付与されるトルクは、その出力端に固定されたさらなる同期ベルト15を介して機械要素16に送られる。
図2Aによれば、この結果、接続ロッド9内に設けられた偏心ブッシング17は偏心シャフト8と同じ速度で回転し、これは、偏心シャフト8に対する角度位置が維持されることを意味する。
図2Aは、この状況を、等しく回る2つの記号AおよびBによって概略的に示す。
【0057】
図2Bにおいて、調整機構10は、
図2Aに対する位相調整26を実施している。これは、ここでは相互にずれて示されている2つの記号AおよびBによって示されている。これに応じて、機械要素16は、位相調整26に対応する
図2Aに示されている偏心シャフト8上の位置に対して回転している。これにより、機械要素16に連結された偏心ブッシング17も、位相調整26によって変更された偏心シャフト8における角度位置をとることとなり、その結果、偏心シャフト8の偏心に伴って、新たな所望のタンパストローク11が得られる。
【0058】
図2Cは、締固めユニット4における全体ストローク調整に係る
図2に示されている実施形態の第1の変形例を示す。これは、偏心シャフト8に沿って位置されている複数の偏心ブッシング17が、調整機構10により同期して回転可能であることを意味する。
【0059】
図2Cにおいて、偏心シャフト8はモータ20により駆動される。偏心シャフト8と調整機構10とを連結するため、および、調整機構10と機械要素16とを連結するための
図2に示されているベルト駆動は、
図2Cおよび2D中の駆動ホイール21および22、ならびに、調整ホイール23および24で置き換えられている。駆動ホイール21は、相対回転不能に偏心シャフト8に設けられている。駆動ホイール22は、調整機構10の筐体19に相対回転不能に取り付けられている。調整機構10は、シャフト25に相対回転不能に設けられている。調整機構10は、その筐体19に設けられた駆動ホイール22と、その出力端に設けられた調整ホイール23との間で位相調整26を行うよう構成されている。調整機構10により行われる位相調整26は、調整ホイール23から調整ホイール24および機械要素16に伝達される。
図2Cによれば、調整ホイール24および機械要素16は一体的に形成されている。機械要素16の回転によって、
図2C中の噛合クラッチ27によりこれに接続される偏心ブッシングが偏心シャフト18で回転される。これにより、タンパバー6の(所望の)タンパストローク11が変更される。
【0060】
図2Cにおいて、調整機構10は、位相調整26を検出すると共に、これにより、偏心シャフト8における偏心ブッシング17の角度位置を検出するよう構成されたセンサユニット28を有する。センサユニット28は、接続された制御システム29に計測結果を連続して送る。制御システム29は所望のタンパストローク11を保存可能であり、制御システム29は、計測された位相調整26から実際のタンパストロークを算出し、保存されている所望のタンパストローク11と比較可能に構成されており、これに基づいて、制御システム29は調整機構10の調整ドライブ12に制御信号30を発信する。次いで、調整ドライブ12(例えば一緒に回転する同期モータM)は、制御信号20に基づいて位相調整26を適応させることが可能である。
【0061】
制御システム29は、路面仕上げ機1の運転中に計測されたプロセスパラメータPに応答する制御ループRKを有することが可能であり、これに基づいて、タンパストローク11を変化させる、回転角度の動的適応(すなわち、動的位相調整26)が実現される。制御システム29および/または制御ループRKの機能的原理はまた、以下の実施形態のすべてに関して適用可能である。
【0062】
さらに、
図2Cは、調整機構10が出力端に調整シャフト31を有していることを示す。
図2Cによれば、調整ホイール23が、調整シャフト31に相対回転不能に設けられている。これにより、
図2Cにおける調整機構10により設定された位相調整26を、調整シャフト31を介して、他のユニットセクション32に同期して伝達可能である。さらなる調整ホイール33および34により、ユニットセクション32に図示されてない偏心ブッシングが同様に、偏心ブッシング17と同期して回転される。
【0063】
従って、
図2Cは、調整機構10が、調整シャフト31を介して、偏心シャフト8に沿って回転可能に設けられた複数の偏心ブッシング17を同期して調整するために実装されていることを示す。
【0064】
図2Dは、偏心シャフト8に沿って回転可能に設けられた複数の偏心ブッシング17を個別に調整するために実装された装置を示す。この装置によって、個別ストローク調整が可能とされている。
【0065】
図2Dによれば、締固めユニット4は、タンパバー6の所望のタンパストローク11を変更する調整機構10と、さらに、さらなるユニットセクション32に係る追加の調整機構10’とを備える。調整機構10’はシャフト25を介して駆動されると共に、センサユニット28’を有しており、これにより、ユニットセクション32で設定された位相調整26’が計測可能とされており、これに基づいて、ユニットセクション32に設けられた偏心ブッシング17’が偏心シャフト8において回転される。2つの調整ホイール23および33を独立して動作させるために、これらはシャフト25に回転可能に設けられている。それ故、締固めユニット4のそれぞれのユニットセクションで、タンパバー6および6’のそれぞれに係る所望のタンパストローク11および11’を相互に独立して調整することが可能である。
【0066】
図3は、締固めユニット4の第2の実施形態を示す。締固めユニット4は調整機構35をさらに有する。調整機構35は、所望のタンパストローク11がタンパバー6で調整可能となるよう、偏心シャフト8に回転可能に設けられている機械要素16を回転させるように作動できる。
【0067】
図3の調整機構35は、一緒に回転する一対の偏向ローラ36aおよび36bを有する。2つの偏向ローラ36aおよび36bは、両矢印v1およびv2によって示されるように、偏心シャフト8に交差して往復動するよう設けられている。調整機構35は、架け回された同期ベルト40および41によって相対回転不能に設けられたドライブディスク37、38および39により、偏心シャフト8の回転運動に接続されている。
図3において別個に示されているドライブディスク38および39は、1つの構成要素としても実装可能である。偏心シャフト8に交差する2つの偏向ローラ36aおよび36bの変位により、同期ベルト41を介して調整機構35に接続された機械要素16が、偏心シャフト8において回転される。これにより、これに固定されている偏心ブッシング17はまた、偏心シャフト8における角度位置が変化し、従って、(所望の)タンパストローク11が調整される。
【0068】
調整機構35による位相調整の機能的原理が、
図3Aにより詳細に表されている。
図3Aの紙面左側には、ドライブディスク39および機械要素16が共に回転角度φで設けられている。このために、調整機構35は、
図3Aに従う対応する位置とされる。2つの一緒に回転する偏向ローラ36aおよび36bのこの配置により、タンパバー6の最小タンパストローク11がもたらされる。
【0069】
図3Aの紙面右側には、タンパバー6の最大タンパストローク11に係る調整機構35の設定が示されている。2つの偏向ローラ36aおよび36bの変位
【数1】
に応じて、機械要素16が新たな回転角度φ’とされる。駆動のための偏心シャフト8に交差して一緒に回転する2つの偏向ローラ36aおよび36bの変位によって、機械要素16の位相調整26がなされ、これにより、偏心ブッシング17が偏心シャフト8において回転する。
【0070】
図3Bは、調整機構35に係る可能性のある構造を示す。調整機構35は、偏向ローラ36a用の第1のカム溝43と、偏向ローラ36b用の第2のカム溝44とを有する調整可能に設けられたカムディスク42を備える。さらに、調整機構35は、偏向ローラ36aおよび36bのための案内通路46を有する固定的に設けられたカムディスク45を有する。カムディスク42が方向Eに変位することにより、2つの偏向ローラ36aおよび36bが一緒になって、案内通路46において方向Eに変位する。2つの偏向ローラ36aおよび36bが変位することで、機械要素16で位相調整26が行われ、これにより、偏心ブッシング17が偏心シャフト8において回転する。
【0071】
さらに、
図3Bは、図の右側半分に断面A-Aを示す。偏向ローラ36aはボルト47に設けられている。摩擦抵抗を低減させるために、偏向ローラ36aは、回転ベアリング48によってボルト47に固定されている。
【0072】
図3Cおよび3Dは調整機構35の変形例を示し、
図3Cに示されている変形例は偏心シャフト8に沿って設けられた複数の偏心ブッシング17を同期調整(全体ストローク調整)するよう構成されており、また、
図3Dに示されている変形例は締固めユニット4のそれぞれ隣接するユニットセクションにおける個別ストローク調整のために構成されている。
【0073】
図3Cにおいて、調整機構35は、駆動ホイール37と調整ホイール50との間に設けられている。
図3Cにおける調整機構35により設定される位相調整26は、同期ベルト40を介して調整ホイール50に作用し、ここで、調整ホイール50を支持する調整シャフト31’は、トルクを締固めユニット4のさらなるユニットセクションに同期して送って、
図3Cの偏心ブッシング17に対応して設けられている偏心ブッシングを設定することが可能である。
【0074】
図3Cにおいて、調整機構35により設定される位相調整26は、2つの調整ホイール50および51ならびに同期ベルト41を介して機械要素16に伝達され、この機械要素は、偏心シャフト8において対応する回転角度φとされる。機械要素16は噛合クラッチ27を介して偏心ブッシング17に接続される。これにより、機械要素16で設定された位相調整26は偏心ブッシング17に伝達され、これに基づいて、所望のタンパストローク11を設定可能である。
【0075】
図3Dの概略図は
図3に従って配置されている調整機構35を示し、これは、駆動ホイール39と機械要素16との間にて位相調整26を行うことが可能であることを意味する。
図3Dによれば、締固めユニット4のユニットセクションの各々について、個別の調整機構35を配置可能であり、従って、ユニットセクションのタンパストローク11のそれぞれを独立して作動可能である。