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特許7361820ヨウ素含有光酸発生剤及びそれを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ヨウ素含有光酸発生剤及びそれを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 333/76 20060101AFI20231006BHJP
   C07C 309/12 20060101ALI20231006BHJP
   C07C 65/05 20060101ALI20231006BHJP
   C07C 25/02 20060101ALI20231006BHJP
   C07C 381/12 20060101ALI20231006BHJP
   C07C 309/06 20060101ALI20231006BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
C07D333/76 CSP
C07C309/12
C07C65/05
C07C25/02
C07C381/12
C07C309/06
C09K3/00 K
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022036848
(22)【出願日】2022-03-10
(62)【分割の表示】P 2020120796の分割
【原出願日】2018-10-26
(65)【公開番号】P2022081608
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】15/817,864
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イマッド・アカッド
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス・ダブリュ・サッカレー
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-005224(JP,A)
【文献】特開2018-004812(JP,A)
【文献】特開2019-061217(JP,A)
【文献】特開2019-008279(JP,A)
【文献】特開2017-219836(JP,A)
【文献】特開2015-161823(JP,A)
【文献】特開2003-267968(JP,A)
【文献】特開2002-082431(JP,A)
【文献】特開平04-338585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07C
C09K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を有する光酸発生剤化合物であって、
【化1】
式(I)において、
「I」はヨウ素を表し、
Vは、ORまたはC(=O)ORであり、式中、Rは、独立して、H、または置換または非置換C 1-30 ヒドロカルビル基であり、前記置換または非置換C 1-30 ヒドロカルビル基は任意選択でO、S、N、P、及びFから選択される1~5個のヘテロ原子を含み、かつ前記置換C 1-30 ヒドロカルビル基の置換基は、任意選択で、酸開裂基、重合性基、またはこれらの組み合わせでもよい、
ここで前記酸開裂基は、第三級C 1-30 アルコキシ基、第三級C 3-30 シクロアルコキシ基、第三級C 1-30 フルオロアルコキシ基、第三級C 3-30 アルコキシカルボニルアルキル基、第三級C 5-30 シクロアルコキシカルボニルアルキル基、第三級C 3-30 フルオロアルコキシカルボニルアルキル基、第三級C 3-30 アルコキシカルボニルアルコキシ基、第三級C 5-30 シクロアルコキシカルボニルアルコキシ基、第三級C 3-30 フルオロアルコキシカルボニルアルコキシ基、及び-O-C(R 11 12 )-O-部分を含むC 2-30 アセタール基(式中、R 11 およびR 12 は、それぞれ独立して、水素またはC 1-30 アルキル基である)からなる群から選択され、
前記重合性基は、C 2-12 アルケニル、C 2-12 アルキニル、アクリロイル、2-(C 1-12 -アルキル)アクリロイル、2-(C 1-12 -フルオロアルキル)アクリロイル、2-シアノアクリロイル、及び2-フルオロアクリロイルからなる群から選択される、
Wは、単結合、または-(C=O)O-、-O(C=O)-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-SO-、及び-SO-から選択される基であり、
mは、0以上の整数であり、
nは、0以上の整数であり、
Lは、単結合、非置換C1-20ヘテロアルキレン基、置換または非置換C3-20シクロアルキレン基、置換または非置換C3-20ヘテロシクロアルキレン基、置換または非置換C7-20アラルキレン基、または式-(CHn1-(CRn2-(式中、各-(CR)-中のR及びRのうちの少なくとも1つがフッ素であるという条件で、R及びRは、水素及びフッ素から選択され、n1は、0~10の整数であり、n2は、1~10の整数である)を有する基であり、
WおよびLの少なくとも一方は単結合ではない、
【化2】
は、単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C6-30アリーレン基、または単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C3-30ヘテロアリーレン基を表し、式中、各「*」は隣接する基または原子への結合点を示し、
は、式(II)を有し、
【化3】
式(II)において、
Xは、SまたはIであり、
各Rは、置換されていないかまたは置換され、ハロゲン化されているかまたはハロゲン化されておらず、独立して、C1-30アルキル基、多環式または単環式C3-30シクロアルキル基、または、多環式または単環式C4-30アリール基であり、
式中、XがSの場合は、前記Rのうちの1つは、任意選択で、1つの隣接するRに結合して環を形成してもよいXがSの場合は、式(I)を有する前記光酸発生剤化合物は、少なくとも2個のヨウ素原子を含
式中、XがIの場合は、nは1以上の整数であり、
式中、XがSの場合は、式(I)を有する前記光酸発生剤が少なくとも2個のヨウ素原子を含むという条件で、nは0以上の整数であ
zは2または3であり、式中、XがIの場合は、zは2であり、XがSの場合は、zは3であ
YはCOである、光酸発生剤化合物。
【請求項2】
VがORであり、式中、RはHである、請求項1に記載の光酸発生剤化合物。
【請求項3】
Vが酸開裂基、重合性基、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1または2に記載の光酸発生剤化合物。
【請求項4】
式(I)を有する光酸発生剤化合物であって、
【化4】
式(I)において、
「I」はヨウ素を表し、
Vは、ORまたはC(=O)ORであり、式中、Rは、独立して、H、または置換または非置換C 1-30 ヒドロカルビル基であり、前記置換または非置換C 1-30 ヒドロカルビル基は任意選択でO、S、N、P、及びFから選択される1~5個のヘテロ原子を含み、かつ前記置換C 1-30 ヒドロカルビル基の置換基は、任意選択で、酸開裂基、重合性基、またはこれらの組み合わせでもよい、
ここで前記酸開裂基は、第三級C 1-30 アルコキシ基、第三級C 3-30 シクロアルコキシ基、第三級C 1-30 フルオロアルコキシ基、第三級C 3-30 アルコキシカルボニルアルキル基、第三級C 5-30 シクロアルコキシカルボニルアルキル基、第三級C 3-30 フルオロアルコキシカルボニルアルキル基、第三級C 3-30 アルコキシカルボニルアルコキシ基、第三級C 5-30 シクロアルコキシカルボニルアルコキシ基、第三級C 3-30 フルオロアルコキシカルボニルアルコキシ基、及び-O-C(R 11 12 )-O-部分を含むC 2-30 アセタール基(式中、R 11 およびR 12 は、それぞれ独立して、水素またはC 1-30 アルキル基である)からなる群から選択され、
前記重合性基は、C 2-12 アルケニル、C 2-12 アルキニル、アクリロイル、2-(C 1-12 -アルキル)アクリロイル、2-(C 1-12 -フルオロアルキル)アクリロイル、2-シアノアクリロイル、及び2-フルオロアクリロイルからなる群から選択される、
Wは、単結合、または-(C=O)O-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-SO-、及び-SO-から選択される基であり、
mは、0以上の整数であり、
Lは、単結合、または式-(CHn1-(CRn2-(式中、各-(CR)-中のR及びRのうちの少なくとも1つがフッ素であるという条件で、R及びRは、水素及びフッ素から選択され、n1は、0~10の整数であり、n2は、2~10の整数である)を有する基であり、
【化5】
は、単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C6-30アリーレン基、または単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C3-30ヘテロアリーレン基を表し、式中、各「*」は隣接する基または原子への結合点を示し、
は、式(II)を有し、
【化6】
式(II)において、
Xは、Iであり、
各Rは、置換されていないかまたは置換され、ハロゲン化されているかまたはハロゲン化されておらず、独立して、C1-30アルキル基、多環式または単環式C3-30シクロアルキル基、または、多環式または単環式C4-30アリール基であり、
nは、1以上の整数であり、
zは、2であり、
Yは、SO、CO、NHSO、またはOである、光酸発生剤化合物。
【請求項5】
VがORであり、式中、RはHである、請求項4に記載の光酸発生剤化合物。
【請求項6】
Vが酸開裂基、重合性基、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項4または5に記載の光酸発生剤化合物。
【請求項7】
式(I)を有する光酸発生剤化合物であって、
【化7】
式(I)において、
「I」はヨウ素を表し、
Vは、ORまたはC(=O)ORであり、式中、Rは、独立して、H、または置換または非置換C 1-30 ヒドロカルビル基であり、前記置換または非置換C 1-30 ヒドロカルビル基は任意選択でO、S、N、P、及びFから選択される1~5個のヘテロ原子を含み、かつ前記置換C 1-30 ヒドロカルビル基の置換基は、任意選択で、酸開裂基、重合性基、またはこれらの組み合わせでもよい、
ここで前記酸開裂基は、第三級C 1-30 アルコキシ基、第三級C 3-30 シクロアルコキシ基、第三級C 1-30 フルオロアルコキシ基、第三級C 3-30 アルコキシカルボニルアルキル基、第三級C 5-30 シクロアルコキシカルボニルアルキル基、第三級C 3-30 フルオロアルコキシカルボニルアルキル基、第三級C 3-30 アルコキシカルボニルアルコキシ基、第三級C 5-30 シクロアルコキシカルボニルアルコキシ基、第三級C 3-30 フルオロアルコキシカルボニルアルコキシ基、及び-O-C(R 11 12 )-O-部分を含むC 2-30 アセタール基(式中、R 11 およびR 12 は、それぞれ独立して、水素またはC 1-30 アルキル基である)からなる群から選択され、
前記重合性基は、C 2-12 アルケニル、C 2-12 アルキニル、アクリロイル、2-(C 1-12 -アルキル)アクリロイル、2-(C 1-12 -フルオロアルキル)アクリロイル、2-シアノアクリロイル、及び2-フルオロアクリロイルからなる群から選択される、
Wは、単結合、または-(C=O)O-、-O(C=O)-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-SO-、及び-SO-から選択される基であり、
mは、0以上の整数であり、
nは、0以上の整数であり、
Lは、単結合、置換または非置換C1-20アルキレン基、置換または非置換C1-20ヘテロアルキレン基、置換または非置換C3-20シクロアルキレン基、置換または非置換C3-20ヘテロシクロアルキレン基、置換または非置換C6-20アリーレン基、または置換または非置換C7-20アラルキレン基であり、
【化8】
は、単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C6-30アリーレン基、または単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C3-30ヘテロアリーレン基を表し、式中、各「*」は隣接する基または原子への結合点を示し、
は、式(II)を有し、
【化9】
式(II)において、
Xは、SまたはIであり、
各Rは、置換されていないかまたは置換され、ハロゲン化されているかまたはハロゲン化されておらず、独立して、C1-30アルキル基、多環式または単環式C3-30シクロアルキル基、または、多環式または単環式C4-30アリール基であり、
式中、XがSの場合は、前記Rのうちの1つは、任意選択で、1つの隣接するRに結合して環を形成してもよいXがSの場合は、式(I)を有する前記光酸発生剤化合物は、少なくとも2個のヨウ素原子を含み、nは1以上の整数であり、Gは少なくとも1個のヨウ素を含
zは2または3であり、式中、XがIの場合は、zは2であり、XがSの場合は、zは3であ
YはSO、CO、NHSO、またはOであ
式中、XがIの場合は、Gは正電荷ヨウドニウムカチオンに加えて少なくとも1個のヨウ素を含む、光酸発生剤化合物。
【請求項8】
VがORであり、式中、RはHである、請求項7に記載の光酸発生剤化合物。
【請求項9】
Vが酸開裂基、重合性基、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項7または8に記載の光酸発生剤化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には、光酸発生剤を含むポリマー組成物に関する。具体的には、本開示は、少なくとも2個のヨウ素原子を含むモノマーから誘導されるコポリマーを提供する。
【背景技術】
【0002】
極紫外線リソグラフィ(「EUVL」)は、<20nmのフィーチャサイズで、量産半導体製造のための光学リソグラフィを置き換えるための先端技術選択肢の1つである。極短波長(13.4nm)は、複数の技術世代で要求される高解像度の重要な影響因子である。加えて、走査露光、投影光学系、マスクフォーマット、レジスト技術のシステム全体のコンセプトは、現在の光学技術で使用されているものと非常によく似ている。従来のリソグラフィ世代と同様に、EUVLは、レジスト技術、露光装置技術、及びマスク技術からなる。重要な課題は、EUV電源と生産高である。EUV電源の改善は、現在の厳しいレジスト感度仕様に直接影響する。実際に、EUVLイメージングにおける主要な問題は、レジスト感度である。レジストを完全に露光するためには、感度が低いほど、より大きな電源を必要とするか、またはより長い露光時間を必要とする。出力レベルが低いほど、より多くのノイズが、印刷ラインのラインエッジラフネス(「LER」)に影響する。
【0003】
EUV光吸収断面積及び二次電子生成量は、EUV感度の重要な要素であることが示されている。EUVフォトレジスト感度を高めるための1つの手段は、既知の原子吸収を用いて理論的に計算することができる材料の原子特性である13.5nmでの吸収断面積を増加させることによるものである。炭素、酸素、水素、及び窒素のようなレジスト材料を構成する典型的な原子は、13.5nmで非常に弱い吸収を有する。フッ素原子はわずかに高い吸収を有し、高EUV吸収フォトレジストの探索に使用されている。
【0004】
ヨウ素は、EUV放射で顕著に高い吸収断面積を有する。最近の特許公開JP2015-161823は、ヨウ素含有モノマー及びリソグラフィ処理に有用な対応するポリマーを開示している。しかしながら、公開公報は、ヨウ素含有小分子光酸発生剤を開示していない。良好な溶解性を有し、EUV露光下で改善された感度を付与するヨウ素に富むレジスト成分が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態は、式(I)を有する光酸発生剤化合物を提供する。
【0006】
【化1】
【0007】
式(I)において、
「I」はヨウ素を表し、
Vは、ORまたはC(=O)ORであり、式中、Rは、独立して、H、または任意選択で、O、S、N、P、及びFから選択される1~5個のヘテロ原子を含み、かつ任意選択で、酸開裂基、重合性基、またはこれらの組み合わせを含む置換または非置換C1-30ヒドロカルビル基であり、
Wは、単結合、または-(C=O)O-、-O(C=O)-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-SO-、及び-SO-から選択される基であり、
mは、0以上の整数であり、
nは、0以上の整数であり、
Lは、単結合、または置換もしくは非置換C1-20アルキレン基、置換もしくは非置換C1-20ヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換C3-20シクロアルキレン基、及び置換もしくは非置換C3-20ヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは非置換C6-20アリーレン基、及び置換もしくは非置換C7-20アラルキレン基から選択される基であり、
【0008】
【化2】
【0009】
は、単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C6-30アリーレン基、または単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C3-30ヘテロアリーレン基を表し、式中、各「*」は隣接する基または原子への結合点を示し、
は、式(II)を有し、
【0010】
【化3】
【0011】
式(II)において、
Xは、SまたはIであり、
各Rは、置換されていないかまたは置換され、ハロゲン化されているかまたはハロゲン化されておらず、独立して、C1-30アルキル基、多環式または単環式C3-30シクロアルキル基、多環式または単環式C4-30アリール基であり、
式中、XがSである場合、Rのうちの1つは、任意選択で、1つの隣接するRに結合して環を形成し、
式中、XがIである場合、nは、1以上の整数であり、
式中、式(I)を有する光酸発生剤が、少なくとも2個のヨウ素原子を含むという条件で、XがSである場合、nは、0以上の整数であり、
zは2または3であり、式中、XがIである場合、zは2であるか、またはXがSである場合、zは3であり、
Yは、SO、CO、NHSO、またはOである。
【0012】
別の実施形態は、光酸発生剤化合物及びコポリマーを含むフォトレジスト組成物化合物を提供する。
【0013】
さらに別の実施形態は、
(a)請求項7または8に記載のフォトレジスト組成物の層を、基板の表面上に塗布することと、
(b)フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン露光することと、
(c)露光されたフォトレジスト組成物層を現像して、レジストレリーフ画像を形成することと、を含む、電子デバイスの形成方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の上記及び他の態様、利点、及び特徴は、添付の図面を参照して、その例示的な実施形態をさらに詳細に説明することによって、より明らかになるであろう。
【0015】
図1】ECPPDBT TIP-TFBAと称される光酸発生剤の合成を示すスキームである。
図2】IPDPS PFBuSと称される光酸発生剤の合成を示すスキームである。
図3】IPDPS PFBuSと称される光酸発生剤の合成を示すスキームである。
図4】DTBPI 4IP-TFBSと称される光酸発生剤の合成を示すスキームである。
図5】本願の実施例に記載されている光酸発生剤化合物PAG1~PAG4及びポリマーP1の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、例示的な実施形態を詳細に参照する。その実施形態の例は、添付の図面に示されており、同様の参照符号は、全体を通して同様の要素を指す。これに関して、本例示的実施形態は、異なる形態を有してもよく、本明細書に記載された説明に限定されると解釈されるべきではない。したがって、例示的実施形態は、本明細書の態様を説明するために、図面を参照して以下で単に説明されるにすぎない。本明細書で使用される場合、「及び/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及びすべての組み合わせを含む。「のうちの少なくとも1つ」のような表現は、要素のリストの前にあるときに、要素のリスト全体を変更し、リストの個々の要素を変更しない。
【0017】
ある要素が他の要素の「上に」あると言及される場合、それは他の要素と直接接触することができること、またはその間に介在要素が存在し得ることと理解される。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」あると言及される場合、介在要素は存在しない。
【0018】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、成分、領域、層、及び/または区分を説明するために本明細書で使用することができるが、これらの要素、成分、領域、層、及びまたは/区分はこれらの用語によって制限されるべきではないことが理解される。これらの用語は、ある要素、成分、領域、層、または区分を、別の要素、成分、領域、層、または区分から区別するためにのみ使用される。したがって、以下に検討される第1の要素、成分、領域、層、または区分は、本実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、成分、領域、層、または区分と称することができる。
【0019】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、制限することを意図されていない。本明細書で使用される場合、単数形「a]、[an]、及び[the]は、文脈上明確に示されない限り、複数形も含むことが意図されている。
【0020】
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」及び/または「含む(comprising)」または「含む(includes)」及び/または「含む(including)」という用語は、記載された特徴、領域、整数、工程、操作、要素、及び/または成分の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、領域、整数、工程、操作、要素、成分、及び/またはこれらの群の存在または追加を排除するものではないことがさらに理解される。
【0021】
本明細書で使用される場合、「約(About)」または「およそ(approximately)」は、記載された値を含み、当該の測定値及び特定の量の測定に関連する誤差(すなわち、測定システムの限界)を考慮して、当業者によって決定されるような特定の値に対して許容範囲内であることを意味する。例えば、「約(About)」は、1つ以上の標準偏差内、または記載された値の±30%、20%、10%、5%以内を意味することができる。
【0022】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書において明確に定義されていない限り、理想化されたまたは過度に正式な意味で解釈することはできないことがさらに理解される。
【0023】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「アルキル基」という用語は、特定数の炭素原子を有し、少なくとも1の原子価を有する、直鎖または分枝鎖飽和脂肪族炭化水素から誘導される基を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「フルオロアルキル基」という用語は、1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「アルコキシ基」という用語は、「アルキル-O-」を指し、「アルキル」という用語は上記と同じ意味を有する。
【0026】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「フルオロアルコキシ基」という用語は、1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアルコキシ基を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「シクロアルキル基」という用語は、すべての環員が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価の基を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「アルケニル基」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖の一価の炭化水素基を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「アルケニルアルキル基」という用語は、「アルケニル-アルキル-」を指し、「アルケニル」及び「アルキル」という用語は、上記と同じ意味を有する。
【0030】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「アルキニル基」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖の一価の炭化水素基を指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「アルキニルアルキル基」という用語は、「アルキニル-アルキル-」を指し、「アルキニル」及び「アルキル」という用語は、上記と同じ意味を有する。
【0032】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「アリール」という用語は、単独でまたは組み合わせて使用され、少なくとも1つの環を含み、特定の数の炭素原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族炭化水素を指す。「アリール」という用語は、少なくとも1つのシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香族またはヘテロ芳香族環を有する基を含むと解釈され得る。「アリール」基は、窒素(N)、酸素(O)、P(リン)、及び硫黄(S)から、独立して、選択される1個以上のヘテロ原子を含むことができる。
【0033】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「アリールオキシ基」という用語は、「アリール-O-」を指し、「アリール」という用語は、上記と同じ意味を有する。
【0034】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「アラルキル基」という用語は、化合物に連結されたアルキル基に共有結合した置換または非置換アリール基を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「アルキレン基」という用語は、少なくとも2の原子価を有し、任意選択で、1つ以上の示されている置換基で置換される、直鎖または分枝の飽和脂肪族炭化水素基を指すが、ただし、アルキレン基の原子価を超えないものとする。
【0036】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「シクロアルキレン基」という用語は、少なくとも2の原子価を有し、任意選択で、1つ以上の示されている置換基で置換される、環状炭化水素基を指すが、ただし、シクロアルキレン基の原子価を超えないものとする。
【0037】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「アリーレン基」という用語は、芳香族環中の2個の水素を除去することによって得られた、少なくとも2の原子価を有し、任意選択で、1つ以上の示されている置換基で置換される、官能基を指すが、ただし、アリーレン基の原子価を超えないものとする。
【0038】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「アラルキレン基」という用語は、アルキル置換芳香族化合物から2個の水素を除去することによって得られた、少なくとも2の原子価を有し、任意選択で、1つ以上の示されている置換基で置換される、官能基を指すが、ただし、アラルキレン基の原子価を超えないものとする。
【0039】
本明細書で使用される場合、定義が他に示されていない場合、「ヘテロアリーレン基」という用語は、ヘテロ芳香族環中の2個の水素を除去することによって得られた、少なくとも2の原子価を有し、任意選択で、1つ以上の示されている置換基で置換される、官能基を指すが、ただし、ヘテロアリーレン基の原子価を超えないものとする。
【0040】
上述のように、EUVリソグラフィにおける感度を増加させる1つの手段は、レジスト組成物の13.5nmでの吸収横断面積を増加させることである。EUV波長での化学増幅レジストの吸収を高めるには、高吸収要素を組み込む必要がある。元素のEUVにおける原子吸光断面積は、文献(例えば、Fallica R.ら、SPIE Advanced Lithography、977612、2016及びその中に引用されている参考文献を参照)で知られている。有機化学増幅レジストに使用される分子及びポリマーの元素構成は、主に炭素、水素、酸素、及び窒素に限定される。これらの元素は、13.5nmで例外的に低い吸収を有する。フッ素原子は、酸素原子と比較して13.5nmでわずかに高い吸収を有する。Christiansonらは、ポリマー骨格へのフッ素原子の取り込みを調査している(Christiansonら、SPIE Advanced Lithography 868216、2013参照)。ヨウ素原子は、EUVで顕著により高い吸収断面積を有する。本発明の発明者らは、1個以上のヨウ素原子、好ましくは2個以上のヨウ素原子で置換された少なくとも1つのアリール基を含む小分子光酸発生剤を発見した。ここで、ヨウ素置換アリール基は、光酸発生剤カチオン、光酸発生剤アニオン、またはその両方の一部であってもよい。
【0041】
本開示の一実施形態は、式(I)を有する光酸発生剤化合物を提供する。
【0042】
【化4】
【0043】
式(I)において、
「I」は、ヨウ素を表し、
【0044】
【化5】
【0045】
(以下で「G」)は、単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C6-30アリーレン基、または単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C3-30ヘテロアリーレン基を表し、式中、各「*」は隣接する基または原子への結合点を示し、
【0046】
【化6】
【0047】
におけるいくつかのヨウ素を定義する変数nは、0以上の整数であってもよい。例えば、変数nは、1以上の整数であってもよい。したがって、「G」部分に結合した少なくとも1個のヨウ素原子が存在し得る。一実施形態では、「G」はCアリール基であってもよく、nは、1、2、3、4、または5であってもよい。
【0048】
いくつかの基Vを定義する変数mは、0以上の整数であってもよい。mが0である場合、V基は、存在せず、水素は、「G」部分への接続点に存在する。mが0以上である場合、Vは、ORまたはC(=O)ORであってもよく、式中、Rは、独立して、H、または任意選択で、O、S、N、P、及びFから選択される1~5個のヘテロ原子を含み、かつ任意選択で、酸開裂基、重合性基、またはこれらの組み合わせを含む置換または非置換C1-30ヒドロカルビル基である。本明細書で使用される場合、「酸開裂性基」という用語は、酸の作用により加水分解される基を指す。このような酸開裂性基は、当業者に周知である。一実施形態では、酸開裂基は、(i)第三級C1-30アルコキシ(例えば、tert-ブトキシ基)、第三級C3-30シクロアルコキシ基、第三級C1-30フルオロアルコキシ基、(ii)第三級C3-30アルコキシカルボニルアルキル基、第三級C5-30シクロアルコキシカルボニルアルキル基、第三級C3-30フルオロアルコキシカルボニルアルキル基、(iii)第三級C3-30アルコキシカルボニルアルコキシ基、第三級C5-30シクロアルコキシカルボニルアルコキシ基、第三級C3-30フルオロアルコキシカルボニルアルコキシ基、または(iv)-O-C(R1112)-O-部分を含むC2-30アセタール基(式中、R1112は、それぞれ独立して、水素またはC1-30アルキル基である)であってもよい。
【0049】
Wは、単結合、または-(C=O)O-、-O(C=O)-、-O(SO)-、-(SO)O-、-NH(SO)-、-(SO)NH-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-SO-、及び-SO-から選択される基である。Wが単結合である場合、L及び「G」基は、単結合で互いに連結され、その間には中間基は存在しない。一実施形態では、Wは、単結合または-(C=O)O-であってもよい。
【0050】
Lは、単結合、または置換もしくは非置換C1-20アルキレン基、置換もしくは非置換C1-20ヘテロアルキレン基、置換もしくは非置換C3-20シクロアルキレン基、及び置換もしくは非置換C3-20ヘテロシクロアルキレン基、置換もしくは非置換C6-20アリーレン基、及び置換もしくは非置換C7-20アラルキレン基から選択される二価の基であってもよい。Lが単結合である場合、Y及びW基は、単結合で互いに連結され、その間には中間基は存在しない。一実施形態では、Lは、単結合、または式-(CHn1-(CRn2-(式中、各-(CR)-中のR及びRのうちの少なくとも1つがフッ素であるという条件で、R及びRは、水素及びフッ素から選択され、n1は、0~10の整数であり、n2は、1~10の整数である)を有する基であってもよい。
【0051】
Yは、アニオン基であり、アニオン基は、SO、CO、NHSO、またはOであってもよい。
【0052】
は、式(I)を有する光酸発生剤化合物のカチオン部分を表わす。一実施形態では、Gは、式(III)、(IV)、または(V)を有してもよい。
【0053】
【化7】
【0054】
式中、
Xは、IまたはSであり、
、R、R、R、及びRは、置換されていないかまたは置換されており、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ニトリル、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選択されるハロゲン、C1-30アルキル基、C1-30フルオロアルキル基、C3-30シクロアルキル基、C1-30フルオロシクロアルキル基、C1-30アルコキシ基、C3-30アルコキシカルボニルアルキル基、C3-30アルコキシカルボニルアルコキシ基、C3-30シクロアルコキシ基、C5-30シクロアルコキシカルボニルアルキル基、C5-30シクロアルコキシカルボニルアルコキシ基、C1-30フルオロアルコキシ基、C3-30フルオロアルコキシカルボニルアルキル基、C3-30フルオロアルコキシカルボニルアルコキシ基、C3-30フルオロシクロアルコキシ基、C5-30フルオロシクロアルコキシカルボニルアルキル基、C5-30フルオロシクロアルコキシカルボニルアルコキシ基、C6-30アリール基、C6-30フルオロアリール基、C6-30アリールオキシ基、C6-30フルオロアリールオキシ基、または-O-C(R1112)-O-(式中、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素またはC1-30アルキル基である)を含むC2-30アセタール基であり、これらはそれぞれ、置換されていないかまたは置換されており、
式中、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、任意選択で、酸感受性基、重合性基、またはこれらの組み合わせで置換されており、
Ar及びArは、独立して、C10-30の縮合または単結合多環式アリール基であり、
式中、Xは、SまたはIであり、
pは、2または3の整数であり、
式中、XがIである場合、pは2であり、式中、XがSである場合、pは3であり、
q及びrは、それぞれ独立して、0~5の整数であり、
uは、0~1の整数であり、式中、uが0である場合、XはIであり、式中、uが1である場合、XはSであり、
s及びtは、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【0055】
式(II)において、XがSである場合、Rのうちの1つは、任意選択で、1つの隣接するRに結合して環を形成する。
【0056】
式(III)、(IV)、または(V)において、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、酸開裂基であってもよい。一実施形態では、酸開裂基は、(i)第三級C1-30アルコキシ(例えば、tert-ブトキシ基)、第三級C3-30シクロアルコキシ基、第三級C1-30フルオロアルコキシ基、(ii)第三級C3-30アルコキシカルボニルアルキル基、第三級C5-30シクロアルコキシカルボニルアルキル基、第三級C3-30フルオロアルコキシカルボニルアルキル基、(iii)第三級C3-30アルコキシカルボニルアルコキシ基、第三級C5-30シクロアルコキシカルボニルアルコキシ基、第三級C3-30フルオロアルコキシカルボニルアルコキシ基、または(iv)-O-C(R1112)-O-部分を含むC2-30アセタール基(式中、R1112は、それぞれ独立して、水素またはC1-30アルキル基である)であってもよい。
【0057】
また、式(III)、(IV)、または(V)において、R、R、R、及びRkのうちの少なくとも1つは、重合性基であってもよい。重合性基は、炭素-炭素二重結合、または炭素-炭素三重結合を含む基であってもよい。一実施形態において、重合性基としては、その構造の一部または全部として、C2-12アルケニル、C2-12アルキニル、アクリロイル、2-(C1-12-アルキル)アクリロイル、2-(C1-12-フルオロアルキル)アクリロイル、2-シアノアクリロイル、または2-フルオロアクリロイルを挙げることができる。
【0058】
式(I)を有する光酸発生剤化合物は、酸開裂基及び重合性基の両方を含んでもよい。
【0059】
式(I)を有する光酸発生剤化合物は、少なくとも2個のヨウ素原子を含むことができ、それらはカチオン、アニオン、またはその両方に位置していてもよい。式(II)において、XがSである場合(すなわちカチオンがスルホニウムカチオンである場合)、光酸発生剤化合物は、少なくとも2個のヨウ素原子を含むことができる。少なくとも2個のヨウ素原子は、スルホニウムカチオン、アニオン、またはその両方に位置していてもよい。式(II)において、XがIである場合(すなわちカチオンがヨードニウムカチオンである場合)、光酸発生剤化合物は、ヨードニウムカチオンの正に荷電したヨウ素原子に加えて、少なくとも1個のヨウ素原子を含むことができる。少なくとも1個のヨウ素原子は、ヨードニウムカチオン、アニオン、またはその両方に位置していてもよい。いくつかの実施形態にでは、光酸発生剤化合物は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のヨウ素原子を含むことができる。他の実施形態では、Gは、1、2、3、4、または5個のヨウ素原子を含むことができる。
【0060】
式(I)を有するモノマーのアニオン部分の具体例は、以下の化学式で表わすことができる。
【0061】
【化8】
【0062】
式(I)を有するモノマーのカチオン部分の具体例は、以下の化学式で表わすことができる。
【0063】
【化9】
【0064】
式(I)を有するモノマーの具体例は、以下の化学式で表わすことができるが、これらに限定されない。
【0065】
【化10】
【0066】
本開示の一実施形態は、上記光酸発生剤化合物、及びコポリマーを含むフォトレジスト組成物を提供する。コポリマーは、示される酸脱保護性モノマー、塩基可溶性モノマー、及びラクトン含有モノマーを含むことができる。
【0067】
酸脱保護性モノマーは、式(II)によって表わすことができる。
【0068】
【化11】
【0069】
式(VI)において、Rは、独立して、H、非置換もしくは置換C1-20アルキル、非置換もしくは置換C3-20シクロアルキル、非置換もしくは置換C6-20アリール、または非置換もしくは置換C7-20アラルキルであってもよく、各Rは、別個であっても、または少なくとも1つのRが隣接するRに結合して環状構造を形成していてもよい。一実施形態では、式(VI)のRを含む第三級基は、t-ブチル基であってもよい。別の実施形態では、式(VI)は、1-メチルシクロペンチル、1-エチルシクロペンチル、及び1-メチルシクロヘキシルなどのような2つ以上のR基を組み込んだシクロアルキル構造を含むことができる。
【0070】
式(VI)の例示的な酸脱保護性モノマーとしては、
【0071】
【化12】
【0072】
または、上記のうちの少なくとも1つを含む組み合わせを挙げることができ、式中、Rは、H、F、C1-6アルキル、またはC1-6フルオロアルキルである。
【0073】
塩基可溶性モノマーは、式(VII)によって表わすことができる。
【0074】
【化13】
【0075】
式(VII)において、Qは、非置換または置換C1-20アルキル基、非置換または置換C3-20シクロアルキル基、非置換または置換C6-20アリール基、及び非置換または置換C7-20アラルキル基から選択されるエステル含有基またはエステル非含有基であってもよい。一実施形態では、エステルが含まれる場合、エステルは、Qと二重結合への結合点との間に結合性の連結を形成することができる。この手段では、Qがエステル基である場合、式(VII)は、(メタ)アクリレートモノマーであってもよい。別の実施形態では、エステルが含まれない場合、Qは、芳香族化合物であってもよく、その結果、式(VII)は、例えばスチレン系モノマーまたはビニルナフトエ酸系モノマーであってもよい。Qは、フッ素化されていてもよく、またはフッ素化されていなくてもよい。さらに、式(VII)において、aは、1~3の整数であってもよく、例えばaは、1または2であってもよい。
【0076】
式(VII)においても、Wは、-C(=O)-OH、-C(CFOH、-NH-SO-Y(式中、Yは、FまたはC1-4パーフルオロアルキルであってもよい)、-OH、及び上記のいずれかとビニルエーテルとの付加物から選択される少なくとも1つを含む塩基反応性基であってもよい。一実施形態では、Qが非芳香族化合物である場合(例えば、式(VII)がエステル結合アルキルまたはシクロアルキル基Qを有する(メタ)アクリレート構造を含む場合)、Wは、-C(CFOHであってもよい。別の実施形態では、Qが芳香族化合物である場合(例えば、Qがエステル結合または非エステル結合のいずれかであり、フェニルまたはナフチルなどの芳香族基である場合)、Wは、OHまたは-C(CFOHであってもよい。塩基反応性基のいずれかは、(例えば、一般構造-O-CH(R´)-OR´´(式中、R´はメチル、エチル、または他のアルキル基であってもよい)を有する)酸分解性アセタール脱離基によって、さらに保護され得ると考えられている。このような基は、例えば、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、1-アダマンタンカルボン酸の2-ビニルオキシエチルエステル、2-ナフトイルエチルビニルエーテル、または他のこのようなビニルエーテルなどの、ビニルエーテルの付加物である。
【0077】
式(VII)を有する例示的な塩基可溶性モノマーとしては、
【0078】
【化14】
【0079】
または、上記のうちの少なくとも1つを含む組み合わせを挙げることができ、式中、Rは、H、F、C1-6アルキル、またはC1-6フルオロアルキルであってもよい。
【0080】
ラクトン含有モノマーは、式(VIII)で表わすことができる。
【0081】
【化15】
【0082】
式(VIII)において、Lは、単環式、多環式、または縮合多環式C4-20ラクトン含有基であってもよい。このようなラクトン基は、基板へのポリマーの両接着性を改善し、塩基性現像剤中のポリマーの溶解を緩和するために含むことができる。一実施形態では、Lは、単環式環炭素を介して(メタ)アクリレート部分に結合している単環式C4-6ラクトンであってもよく、またはLは、ノルボルナン型構造に基づくC6-10縮合多環式ラクトンであってもよい。
【0083】
一実施形態では、ラクトン含有モノマーは、式(VIIIa)を有することができる。
【0084】
【化16】
【0085】
式中、
は、H、F、C1-6アルキル、またはC1-6フルオロアルキルであってもよく、Rは、C1-10アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、
wは、0~6の整数であってもよい。
【0086】
式(VIIIa)において、Rは、別個であってもよく、ラクトン環及び/または1つ以上のR基に結合していてもよく、メタクリレート部分は、ラクトン環に直接的に、またはRを介して間接的に結合していてもよいことが理解されるだろう。
【0087】
式(VIII)及び(VIIIa)の例示的なラクトン含有モノマーとしては、
【0088】
【化17】
【0089】
を挙げることができる。
【0090】
一実施形態では、コポリマーは、以下の構造を有することができる。
【0091】
【化18】
【0092】
本明細書に開示されるようなコポリマー及び光酸発生剤を含むフォトレジスト組成物は、フォトレジストを含む層を提供するために使用することができる。コーティングされた基板は、フォトレジスト組成物から形成することができる。このようなコーティングされた基板は、(a)表面上にパターン化される1つ以上の層を有する基板と、(b)パターン化される1つ以上の層上のフォトレジスト組成物の層とを、含む。
【0093】
シリコン、二酸化ケイ素、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、歪みシリコン、ヒ化ガリウムなどの基板、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、酸化ハフニウムなどの極薄ゲート酸化物でコーティングされたものを含むコーティングされた基板、金属またはチタン、タンタル、銅、アルミニウム、タングステン、これらの合金でコーティングされたものを含む金属コーティングされた基板、及びこれらの組み合わせは、任意の寸法及び形状であってもよく、好ましくはフォトリソグラフィに有用なものである。好ましくは、本明細書の基板の表面としては、例えば、半導体製造のための基板上の1つ以上のゲートレベル層または他の臨界寸法層を含む、パターン化される臨界寸法層が挙げられる。このような基板としては、好ましくは、例えば20cm、30cm、またはそれ以上の直径のような寸法を有する円形ウェーハ、またはウェーハ作製生成に有用な他の寸法として形成されたシリコン、SOI、歪シリコン、及び他のこのような基板材料を挙げることができる。
【0094】
さらに、電子デバイスの形成方法は、(a)上記フォトレジスト組成物の層を基板の表面上に塗布(流延)することと、(b)フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン露光することと、(c)露光されたフォトレジスト組成物層を現像して、レジストレリーフ画像を形成することと、を含む。
【0095】
塗布は、スピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、ドクターブレーディングなどを含む任意の好適な方法によって達成することができる。フォトレジストの層を塗布することは、好ましくは、フォトレジストがスピニングウェーハ上に分配されるコーティングトラックを用いて、溶剤中のフォトレジストをスピンコーティングすることによって達成される。分配中に、ウェーハは4,000回転/分(rpm)まで、好ましくは約200~3,000rpm、より好ましくは1,000~2,500rpmの速度で回転することができる。コーティングされたウェーハは、回転して溶媒を除去し、ホットプレート上でベークして膜から残留溶媒及び自由体積を除去し、均一に緻密化する。
【0096】
流延溶媒は、当業者に既知の任意の好適な溶媒であってもよい。例えば、流延溶媒は、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1-クロロヘキサンなど)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノールなど)、水、エーテル(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アニソールなど)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノンなど)、エステル(酢酸エチル、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(「PGMEA」)、乳酸エチル、アセト酢酸エチルなど)、ラクトン(γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンなど)、ニトリル(アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、非プロトン性双極性溶媒(ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなど)、またはこれらの組み合わせであり得る。流延溶媒の選択は、特定のフォトレジスト組成物によって決まり、知識及び経験に基づいて当業者によって容易に行うことができる。
【0097】
次いで、パターンマスクを介して膜を照射することによりパターン露光を行う、ステッパなどの露光装置を用いて、パターン露光を行う。本方法は、好ましくは、EUVまたは電子ビーム放射を含む高分解能が可能な波長で活性化放射線を発生させる高度な露光装置を使用する。活性化放射線を用いた露光は、露光部分のPAGを分解し、酸及び分解副生成物を生成し、次いで、酸または副生成物が、ポリマー及びナノ粒子の化学変化を引き起こすことが理解されるであろう(酸感受性基を脱ブロック化して塩基可溶性基を生成するか、あるいは露光部分で架橋反応の触媒作用をする)。このような露光装置の解像度は、30nm未満であってもよい。
【0098】
次いで、露光層を、膜の露光された部分を選択的に除去する(フォトレジストがポジ型である場合)か、または膜の未露光部分を除去する(フォトレジストが露光された領域で架橋可能である、すなわちネガ型)ことができる、好適な現像剤に処理することによって、露光されたフォトレジスト層の現像を達成することができる。好ましくは、フォトレジストは、ナノ粒子の溶解を阻害する、(照射後に結合PAGまたは遊離PAGから誘導される)ペンダント及び/または遊離酸基または副生成物を有するポリマーに基づくネガ型であり、現像剤は、好ましくは溶媒系である。現像によってパターンが形成される。溶媒現像剤は、当該技術分野において既知の任意の好適な現像剤であり得る。例えば、溶剤現像液は、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1-クロロヘキサンなど)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノールなど)、水、エーテル(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アニソールなど)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノンなど)、エステル(酢酸エチル、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(「PGMEA」)、乳酸エチル、アセト酢酸エチルなど)、ラクトン(γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンなど)、ニトリル(アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、非プロトン性双極性溶媒(ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなど)、またはそれらの組み合わせであり得る。一実施形態では、溶媒現像剤は、溶媒の混和性の混合物、例えばアルコール(イソ-プロパノール)とケトン(アセトン)との混合物であってもよい。現像剤溶媒の選択は、特定のフォトレジスト組成物によって決まり、知識及び経験に基づいて当業者によって容易に行うことができる。
【0099】
フォトレジストは、1つ以上のこのようなパターン形成プロセスで使用される場合、メモリデバイス、プロセッサチップ(CPU)、グラフィックスチップ、及び他のこのようなデバイスなどの電子及び光電子デバイスを作製するために使用することができる。
【0100】
以下、本開示の実施例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、これらの実施例は例示であり、本開示はこれに限定されない。
【実施例
【0101】
これらの実施例で使用されるモノマーの略語及び化学構造を表1に示す。PPMA/aGBLMA/DiHFA/ECPPDPS F2(36/48/11/5)と称されるコポリマーAの合成は、Aqadらの米国特許公開第2017/0248844 A1号に記載されている。ECPPDBT Cl(5)と称される塩の合成は、Cameronらによる米国特許公開第2014/0080058 A1号に記載されているように行われた。3,5-ジヨードサリシレートリチウム塩は、Aldrichから購入し、受け取ったまま使用した。DTBPI Ac塩は、Heraeus Precious Metals North America Daychem LLCから購入し、受け取ったまま使用した。
【0102】
【表1】
【0103】
実施例1:光活性化合物の合成
1a)光酸発生剤ECPPDBT TIP-TFBA
ECPPDBT TIP-TFBAと称される光酸発生剤の合成スキームを図1に要約する。2,3,5-トリヨード安息香酸(1,25g)の50mL塩化チオニル懸濁液を80℃で加熱した。1時間後に透明な溶液を得た。80℃での加熱をさらに1時間続けた。反応混合物を室温に冷却し、塩化チオニルを減圧下で除去した。得られた生成物をトルエンに溶解し、溶媒を減圧下で蒸発させて乾固させた。乾燥2,3,5-トリヨードベンゾイルクロライドを、11.25gの4-ブロモ-3,3,4,4-テトラフルオロブタノールの100mLアセトニトリル溶液に添加した。ピリジン(5.20g)を添加し、混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて乾固させ、残留物を100mLのジクロロメタンに溶解し、100mLの0.1N HCl及び100mLの水で2回洗浄した。ジクロロメタンを減圧下で除去し、粗生成物を100mLのアセトニトリルに溶解した。アセトニトリル溶液を、17.2gのジチオン酸ナトリウムと12.5gの炭酸水素ナトリウムからなる混合物に添加し、混合物を80℃で16時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、有機相を分離し、10gの30%過酸化水素で50℃で5時間処理した。アセトニトリル溶液を濃縮して粗ナトリウム塩TIP-TFBS(3)を生成し、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0104】
粗ナトリウム塩TIP-TFBS(3,8.0g)及び0.95当量のECPPDBT Cl(5)を100mLのジクロロメタン及び100mLの水中で混合し、室温で16時間撹拌した。有機相を分離し、100mLの脱イオン水で2回洗浄した。有機相からの溶媒を減圧下で完全に除去し、体積比が3/1のジクロロメタン/アセトンを用いてフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。生成物を含む画分を組み合わせ、溶媒を減圧下で除去して白色固体を得、これを20mLのジクロロメタンに溶解した。この溶液を200mLの体積比が1/1のメチルt-ブチルエーテル/ヘプタンに注ぎ、5.3gの純粋な光酸発生剤化合物ECPPDBT TIP-TFBS(10)を生成した。
【0105】
1b)光活性クエンチャDTBPI DISA
DTBPI DISAと称される光活性クエンチャの合成スキームを図2に要約する。DTBPI Ac(11.4g、25.2mmol)及び3,5-ジヨードサリシレートリチウム塩(10g、25.26mmol)からなる100mLの水及び100mLのジクロロメタン溶液を室温で6時間撹拌した。有機相を分離し、50mLの脱イオン水で5回洗浄した。有機相を分離し、濃縮した。得られた残留物を30mLのアセトンに溶解し、300mLのヘプタンに注いで生成物DTBPI DISAを沈殿させ、これを濾過し、乾燥させた。収量-14.2g。
【0106】
1c)光酸発生剤IPDPS PFBuS
IPDPS PFBuSと称される光酸発生剤の合成スキームを図3に要約する。ジフェニルスルホキシド(10g、49.44mmol)及びヨードベンゼン(10g、49mmol)を100mLのイートン試薬(Eaton´s reagent)に添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を200gの砕氷に注いだ。未反応の有機物をメチルt-ブチルエーテルで抽出して廃棄し、16.7gのパーフルオロブタンスルホネートCSOK)及び200mLのジクロロメタンを水相に添加した。混合物を室温で15分間撹拌し、CHClを分離し、100mLの脱イオン水で5回洗浄した。有機層を回収し、溶媒を減圧下で蒸発させて乾固させた。生成物を減圧下でさらに乾燥させて、生成物IPDPS PFBuSを生成した。収量-25.8g。
【0107】
1d)光酸発生剤DTBPI 4IP-TFBS
DTBPI 4IP-TFBSと称される光酸発生剤の合成スキームを図4に要約する。トリエチルアミン(6g)を、4-ヨードベンゾイルクロライド(13.1g、49.16mmol)及び4-ブロモ-3,3,4,4-テトラフルオロブタノール(11.0g、48.88mmol)の150mLのテトラヒドロフラン溶液に添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。得られた塩を濾過し、減圧下でTHFテトラヒドロフランを完全に除去した。得られた残留物を150mLのジクロロメタンに溶解し、1N塩酸水溶液で2回洗浄し、続いて100mLの脱イオン水で1回洗浄した。有機相を分離し、溶媒を完全に除去して油状残留物として生成物7を生成した(収量19.5g)。
【0108】
ジチオン酸ナトリウム(7.5g、43.10mmol)及び炭酸水素ナトリウム(5.5g、65.5mmol)からなる水溶液を、化合物7(10g、22mmol)の200mLのアセトニトリル溶液に添加し、混合物を75℃で16時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、下層の水層を除去した。上層の有機層をフラスコに移した。過酸化水素(30重量%溶液10g)を有機層に添加し、混合物を室温で52時間撹拌した。溶液を濾過して塩を除去し、溶媒を減圧下で留去してガム状の粗生成物を生成した。前の工程から得られた粗生成物9を100mLの水中に懸濁させ、DTBPI Ac(10、7.9g、17.5mmol)の懸濁液と混合した。得られた混合物を室温で6時間撹拌した。有機相を分離し、100mLの脱イオン水で2回洗浄し、濃縮し、ヘプタンに注ぎ、生成物DTBPI 4IP-TFBS(11)を得、これを濾過により回収し、乾燥させた。収量7.5g。
【0109】
実施例2:フォトレジスト組成物の調製
配合
コポリマー及び比較または本発明の光酸発生剤を含有するフォトレジスト組成物を、それぞれ独立して、表2にまとめたよう配合した。表2中の成分量は、溶媒を除いた全固形分に基づく。2つの実施例では、同モルのPAG使用量を用いた。
【0110】
クエンチャはトリオクチルアミン(TOA)であった。界面活性剤は、POLYFOX
(商標)PF-656として得られたフッ素化界面活性剤であった。
【0111】
【表2】
【0112】
表2に列挙した配合物は、溶媒として乳酸エチルメチル/2-ヒドロキシイソブチレートの70:30(w/w)混合物を含み、レジストを110℃のソフトベークで90秒間、露光後ベースで100℃で60秒間処理した。
【0113】
EUV放射透過率計算
EUV放射(13.5nm)における光酸発生剤へヨウ素原子を組み込むことの膜透過率への影響は、透過率の計算結果によって例示される。フォトレジスト組成物1及び2から生成された膜に対するEUV露光(13.5nm)での透過率を、計算された組成物分子式を入力し、1.20g/cmのポリマー密度及び膜厚60nmを仮定することにより、Lawrence Berkeley National LaboratoryウェブサイトのCenter for X-Ray Opticsから計算した。表2は、2つの組成物の計算された透過率%を示す。本開示の一実施形態による、光酸発生剤ECPPDBT TIP-TFBSを含む組成物2は、より低い透過率を示す。
【0114】
コントラストカーブ
EUV露光源(13.5nm)を用いたコントラストカーブ測定値を、LithoTech Japan EUVES-9000フラッド露光装置を用いて得た。レジストを有機下層またはシリコンウェーハのいずれかの上にスピンコートし、110℃で90秒間ベークして、厚さ40~50nmのフォトレジスト膜を形成した。レジストを13.5nm放射の段階的な増加線量に露光し、100℃で60秒間露光後ベークし、0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間現像して、露光部分及び未露光部分のレリーフ画像パターンを形成した。KLA Thermawave-7エリプソメータを用いて各露光部分で厚さを測定し、線量に対しプロットした。線量-クリア値(E)は、残存膜厚の10%以下で計算した。表3から分かるように、本開示の一実施形態によるフォトレジスト組成物2は、比較例であるフォトレジスト組成物2と比較して、EUV照射下でより小さいEを示す。
【0115】
【表3】
【0116】
実施例3:EUV放射透過率計算
組成物実施例から生成された膜に対するEUV露光(13.5nm)での透過率を、計算された組成物分子式を入力することにより、Lawrence Berkeley National LaboratoryウェブサイトのCenter for X-Ray Opticsから計算した。表4は、膜密度が1g/cmであると仮定して、60nmの膜厚での光活性化合物(図5に示す)からなる膜の計算された透過率%を示す。
【0117】
【表4】
【0118】
これらのパラメータを用いた、スルホニウム含有双性イオン(DPS-PTFBS)からなる膜の透過率は、76.30%であり、テルル含有双性イオンDPTe-PTFBからなる膜の透過率%は、69.20%である。これは、硫黄類似体と比較して、テルル含有双性イオン化合物については、透過率が低いこと、または吸収が高いことを示す。
【0119】
表5は、膜密度が1.2g/cmであると仮定して、60nmの膜厚でのベースポリマー及び光活性化合物(P1(図5に示す))を含む組成物からなる膜の計算された透過率%を示す。比較組成物C1は、ポリマーP1及びヨウ素を含まない光酸発生剤PAG1を含む。本開示の一実施形態による組成物I1~I3は、ポリマーP1及びヨウ素含有光酸発生剤PAG2、PAG3、及びPAG4をそれぞれ含む。表5から分かるように、PAG2、PAG3、及びPAG4を含む配合物については、より低い透過率が得られる。
【0120】
【表5】
【0121】
本開示は現時点で実用的な例示的実施形態であると考えられるものに関連して記載されているが、本発明は開示された実施形態に限定されないが、対照的に、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な変更及び同等の構成を包含すること意図していると理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5