(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20231006BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231006BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
G06F1/16 312F
G06F1/16 312G
H05K5/02 A
G09F9/00 350A
(21)【出願番号】P 2022041269
(22)【出願日】2022-03-16
【審査請求日】2022-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛 文津
(72)【発明者】
【氏名】山内 武仁
(72)【発明者】
【氏名】石川 圭太
(72)【発明者】
【氏名】堀内 茂浩
(72)【発明者】
【氏名】中西 爽
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/067324(WO,A1)
【文献】特表2002-518277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16 - 1/18
H05K 5/00 - 5/06
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルの背面側に第1縁、当該第1縁と直
交する第2縁、当該第2縁と直
交し前記第1縁と対向する第3縁、当該第3縁と直
交し前記第2縁と対向する第4縁を有する矩形の筐体部材を備える電子機器であって、
前記ディスプレイパネルと前記筐体部材とを固定する引張剥離可能な第1粘着テープと、当該第1粘着テープと別体
の引張剥離可能な第2粘着テープと、を備え、
前記第1粘着テープは、前記第1縁に沿って設けられ、前記第2縁まで延長するように引張剥離操作用の第1タブを備え、
前記第2粘着テープは、前記第1粘着テープと直交する向きに設けられ、一方の端部から前記第2縁まで延在する引張剥離操作用の第2タブを備
え、
前記第1タブと前記第2タブとは、前記第2縁の近傍で重なっている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
ディスプレイパネルの背面側に第1縁、当該第1縁と直
交する第2縁、当該第2縁と直
交し前記第1縁と対向する第3縁、当該第3縁と直
交し前記第2縁と対向する第4縁を有する矩形の筐体部材を備える電子機器であって、
前記ディスプレイパネルと前記筐体部材とを固定する引張剥離可能な第1粘着テープと、当該第1粘着テープと別体
の引張剥離可能な第2粘着テープ
および第3粘着テープと、を備え、
前記第1粘着テープは、前記第1縁に沿って設けられ、前記第2縁まで延長するように引張剥離操作用の第1タブを備え、
前記第3粘着テープは、前記第3縁に沿って設けられ、前記第2縁まで延長するように引張剥離操作用の第3タブを備え、
前記第2粘着テープは、前記第1粘着テープと直交する向き
で2本が隙間を形成するように長尺方向に並んで設けられ、一方の端部から前記第2縁まで延在する引張剥離操作用の第2タブを備
え、
2本の前記第2粘着テープのうちの前記第1縁寄りに設けられた方が備える前記第2タブは、前記第1タブと前記第2縁の近傍で重なり、
2本の前記第2粘着テープのうちの前記第3縁寄りに設けられた方が備える前記第2タブは、前記第3タブと前記第2縁の近傍で重なっている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子機器において、
前記筐体部材における前記第2縁には、前記第1タブと前記第2タブとが納められる凹部が形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記第2タブの一部は前記筐体部材に対して剥離可能に固定されている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイパネルを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器は、液晶ディスプレイ等のディスプレイパネルを備えている(例えば特許文献1参照)。ディスプレイパネルは、通常、裏面が筐体部材の内面で支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ディスプレイパネルを筐体部材に固定する手段としては両面粘着テープを用いると、係合構造が不要で低コストとなり、しかもねじ止め作業などが不要で組み立てが容易である。また、両面粘着テープとしては引張剥離可能であるものを用いるとメンテナンス時などにディスプレイパネルの取り外しが容易になる。このような両面粘着テープには引張剥離操作用のタブが設けられている。
【0005】
ディスプレイパネルを筐体部材に安定的に固定するには、両面粘着テープとして縦方向と横方向とに延在しているものを用いることが望ましい。しかしながら、両面粘着テープを縦横に延在する十字、L字、またはT字などの形状にすると素材のシートから切り出すのに無駄が多くなり、コスト高となる。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、ディスプレイパネルの取り外しが容易であって、しかも低コストの電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の実施態様に係る電子機器は、ディスプレイパネルの背面側に第1縁、当該第1縁と直行する第2縁、当該第2縁と直行し前記第1縁と対向する第3縁、当該第3縁と直行し前記第2縁と対向する第4縁を有する矩形の筐体部材を備える電子機器であって、前記ディスプレイパネルと前記筐体部材とを固定する引張剥離可能な第1粘着テープと、当該第1粘着テープと別体のび引張剥離可能な第2粘着テープと、を備え、前記第1粘着テープは、前記第1縁に沿って設けられ、前記第2縁まで延長するように引張剥離操作用の第1タブを備え、前記第2粘着テープは、前記第1粘着テープと直交する向きに設けられ、一方の端部から前記第2縁まで延在する引張剥離操作用の第2タブを備える。これにより、ディスプレイパネルの取り外しが容易となり、しかも低コストとなる。
【0008】
前記第1タブと前記第2タブとは、前記第2縁の近傍で重なっていてもよい。これにより、各タブの端部の占有幅が短くなり他の構成要素のレイアウトに影響が少なくなる。
【0009】
前記筐体部材における前記第2縁には、前記第1タブと前記第2タブとが納められる凹部が形成されていてもよい。このような凹部があると第1タブ、第2タブの収納に好適である。
【0010】
前記第2タブの一部は前記筐体部材に対して剥離可能に固定されていてもよい。これにより、隣接している第2タブと第1粘着テープとの接触および固着を防止できる。
【0011】
さらに、前記ディスプレイパネルと前記筐体部材とを固定する引張剥離可能な第3粘着テープを備え、前記第3粘着テープは、前記第3縁に沿って設けられ、前記第3粘着テープは、前記第2縁まで延長するように引張剥離操作用の第3タブを備えていてもよい。このような第3粘着テープを設けると、ディスプレイパネルを一層安定的に固定することができる。
【0012】
前記第2粘着テープは、2本が隙間を形成するように長尺方向に並んで設けられ、2本の前記第2粘着テープのうちの前記第1縁寄りに設けられた方が備える前記第2タブは、前記第1タブと前記第2縁の近傍で重なり、2本の前記第2粘着テープのうちの前記第3縁寄りに設けられた方が備える前記第2タブは、前記第3タブと前記第2縁の近傍で重なっていてもよい。この隙間には配線を通すことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の上記態様では、第1タブ50、第2タブ52を引き抜くという簡単な作業によりディスプレイパネルの取り外しを容易に行うことができる。また、第1粘着テープと第2粘着テープとは別体であり、それぞれは細いテープ形状であることから、素材のシートから切り出すのにほとんど無駄がなく低コストである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、ベゼル部材およびディスプレイパネルを取り除いた状態の第1筐体の模式的な正面図である。
【
図3】
図3は、ディスプレイパネルと筐体部材との分解斜視図である。
【
図4】
図4は、第1筐体における端部のカバーを取り外した状態の斜視図である。
【
図5】
図5は、筐体部材、第1タブおよび第2タブの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、変形例にかかる筐体部材、第1タブおよび第2タブの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。
図1に示すように、本実施形態の電子機器10は、クラムシェル型のノート型PCであり、第1筐体12と第2筐体14とをヒンジ16によって相対的に回動可能に連結した構成である。第1筐体12は、ディスプレイパネル18を搭載している。第2筐体14は、上面14aに臨むようにキーボード20等を搭載し、内部にはマザーボード等を搭載している。本発明に係る電子機器は、ノート型PC以外、例えば単体のディスプレイ装置、タブレット型PC、携帯電話、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。
【0017】
以下、電子機器10について、第1筐体12を第2筐体14から開いて両者の面方向を直交させた状態(筐体12,14の角度を90度とした状態)を基準とし、ディスプレイパネル18を視認するユーザから見て、左右方向をそれぞれX1,X2方向、上下方向をそれぞれY1,Y2方向、奥行方向をそれぞれZ1,Z2方向と呼んで説明する。X1,X2方向をまとめてX方向と呼ぶこともあり、Y1,Y2方向及びZ1,Z2方向についても同様に呼ぶことがある。
【0018】
第2筐体14は、扁平な箱体であり、第1筐体12と隣接している。第2筐体14の内部には、CPU等を搭載したマザーボード、バッテリ装置、メモリ、アンテナ装置等の各種電子部品が収容されている。第2筐体14の上面14aには、キーボード20及びタッチパッド21が臨んでいる。
【0019】
第1筐体12は、第2筐体14よりも薄い扁平な箱体である。ディスプレイパネル18は、表示面18aが第1筐体12のZ1側表面(正面12a)を臨んでいる。第1筐体12は、Z2側表面(背面12b)を形成する筐体部材24と、正面12aの周縁部を形成するベゼル部材26と、を有する。第1筐体12の上下左右の側面12cは、筐体部材24の四周縁部から起立した立壁27によって形成されている。ヒンジ16は、第1筐体12のY2側縁部と第2筐体14のZ2側縁部とを連結している。
【0020】
ディスプレイパネル18は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。ディスプレイパネル18は、例えばガラス、液晶層、及び導光板等を積層してそれぞれの層の外周縁部同士を両面テープや接着剤等で固定した構造である。ディスプレイパネル18は、タッチパネル式でもよい。
【0021】
筐体部材24は正面視でX方向寸法よりY方向寸法の小さい矩形であり、ディスプレイパネル18は筐体部材24よりやや小さい矩形である。本願では、第1筐体12および筐体部材24に関して、左端の縁を第1縁28aとし、ヒンジ16が設けられている側の縁を第2縁28bとし、右端の縁を第3縁28cとし、後述する電気デバイス32が設けられている側の縁を第4縁28dとする。つまり、縦方向(Y方向)の第1縁28aおよび第3縁28cと、横方向(X方向)の第2縁28bおよび第4縁28dとは直交している。第1縁28aと第3縁28cとは対向しており、第2縁28bと第4縁28dとは対向している。
【0022】
第4縁28cに沿うベゼル部材26の中央部には複数の電気デバイス32が正面を指向するように設けられている。電気デバイス32は、例えばカメラ、マイク、赤外線ポートなどである。第1筐体12には、アンテナなど他の電気デバイスを設けてもよい。ベゼル部材26における電気デバイス32が設けられている箇所は、Y方向にやや厚くなっているが、それ以外の箇所は相当に薄く形成されておりデザイン的に好適である。第2縁28bに沿うベゼル部材26の左右端部近傍はカバー34で覆われている。
【0023】
図2は、ベゼル部材26およびディスプレイパネル18を取り除いた状態の第1筐体12の模式的な正面図である。
図3は、ディスプレイパネル18と筐体部材24との分解斜視図である。
図3では、ベゼル部材26、配線42を省略している。
【0024】
図2に示すように、本実施形態の筐体部材24は、中央部を含む大部分を形成する矩形状のプレート部36と、プレート部36の外周縁部に接合された枠状のフレーム部38と、を有する。
【0025】
プレート部36は、例えばプリプレグの積層板、樹脂板、又はアルミニウムやチタン等の金属板で構成される。プリプレグの積層板は、例えば炭素樹脂等の強化繊維にマトリクス樹脂(例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂或いは熱可塑性樹脂)を含浸させたプリプレグを複数層積層し、仕様によってはプリプレグ層間に発泡体等の中間材を挟んだものである。本実施形態のプレート部36は、強化繊維として炭素繊維を用いた炭素繊維強化樹脂板(CFRP板)である。
【0026】
フレーム部38は、プレート部36の外周縁部に樹脂材を射出成形し、接合したものである。フレーム部38を形成する樹脂材としては、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等であり、これらの樹脂にガラス繊維等の強化繊維を含有させた繊維強化樹脂(例えば、GFRP)を用いてもよい。炭素繊維強化樹脂板で形成されたプレート部36は、軽く且つ高強度であるが、機械加工や形状加工の施工性に問題がある。そこで筐体部材24は、プレート部36の周囲に樹脂材で形成されたフレーム部38を設けている。
【0027】
図2、
図3中に等高線状の楕円模様で示すように、筐体部材24は、内面24aが滑らかに窪んだ凹状の曲面形状部24bを有する。曲面形状部24bは、プレート部36の領域の一部又は全部を背面12b側に膨出させることで、内面24aを皿状に窪ませたものである。これにより筐体部材24は、背面12b側の一部又は全部が後方へと僅かに膨出したドーム形状を成している。曲面形状部24bは、Y1側よりもヒンジ16側(Y2側)寄りの方が比較的深い偏りのある凹形状となっており、デザイン的にバランスがよい。筐体部材24は平面で形成されてもよい。
【0028】
筐体部材24には、ディスプレイコントローラ40と、該ディスプレイコントローラ40とディスプレイパネル18とを接続する接続部41とが設けられている。ディスプレイコントローラ40は、ディスプレイパネル18に関して少なくともその一部の制御を行う部品である。ディスプレイコントローラ40および接続部41はX方向に細長い部品であり、曲面形状部24bの最も深い箇所で互いに隣接して配置されている。ディスプレイコントローラ40および接続部41は薄いため曲面形状部24bの箇所に配置可能となっている。ディスプレイコントローラ40および接続部41は第2筐体14との接続の電気的接続の距離を短くすることができる。
【0029】
筐体部材24における第4縁28cに沿った箇所には、上記のとおり電気デバイス32が設けられている。ディスプレイコントローラ40および電気デバイス32は配線42によって第2筐体14と電気的に接続されている。配線42は第2筐体14と電気デバイス32との間に亘って配策されており、その途中でディスプレイコントローラ40と接続されている。
【0030】
ディスプレイパネル18と筐体部材24とはそれぞれ縦方向の第1粘着テープ44、第3粘着テープ45、および横方向の一対の第2粘着テープ46によって固定されている。各粘着テープ44,45,46は両面テープであり、かつ引張剥離可能な特性を有しており、ストレッチリリーステープ、ストレッチ両面テープ、或いはストレッチャブルテープと呼ばれる部品である。このような部品は、伸ばさない状態では高い接着力を備えながら、伸ばすと接着力が低下する特性がある。
図3、
図4では各粘着テープ44,45,46を識別しやすいようにドット地で示している。
【0031】
第1粘着テープ44は、筐体部材24における第1縁28aに沿って(つまりY方向に沿って)設けられており、第3粘着テープ45は、第3縁28cに沿って設けられている。第2粘着テープ46は、第1粘着テープ44と第3粘着テープ45との間で第1粘着テープ44および第3粘着テープ45と直交する向き(つまりX方向に沿って)に設けられている。一対の第2粘着テープ46は第4縁28cに沿って2本が隙間54を形成するようにX方向に並んで設けられている。隙間54には配線42が通されている。各粘着テープ44,45,46は曲面形状部24bを囲むように略コ字形状に配置されている。各粘着テープ44,45,46が設けられている箇所は曲面形状部24bを避けて、基本的にはほぼ全てがフレーム部38の平面状の箇所設けられる。
【0032】
上記のとおり、ディスプレイパネル18を筐体部材24に対して安定的に固定するには、両面粘着テープを縦方向と横方向とに設けることが望ましい。このため本実施の形態にかかる電子機器10では、
図2の縦方向については第1粘着テープ44および第3粘着テープ45がディスプレイパネル18の左右両端を固定し、横方向については一対の第2粘着テープ46がほぼ横断して設けられてディスプレイパネル18におけるY1寄りの箇所(つまり、第4縁28dに沿った箇所)を固定している。これにより、第1筐体12に捻じれの外力などが加わった場合においても、ディスプレイパネル18が筐体部材24から剥がれることがない。縦方向の固定に関しては第1粘着テープ44および第3粘着テープ45のいずれか一方だけとしても相応の効果が得られるが、第1粘着テープ44および第3粘着テープ45の両方を設けることにより、ディスプレイパネル18を一層安定的に固定することができる。
【0033】
なお、横方向の固定については第2粘着テープ46をY2側寄りの箇所、つまり第2縁28bに沿った箇所を固定してもよい。ただし、Y2側寄りの箇所には曲面形状部24bが存在しており、しかも該曲面形状部24bにディスプレイコントローラ40や接続部41が配置されているとともに、ディスプレイパネル18の一部に折り返し構造があるために第2粘着テープ46を設けることに困難がある。さらに、ディスプレイパネル18はY2側寄りの箇所で筐体部材24に対して別途の固定手段が設けられる場合があり、第2粘着テープ46による固定がなくても安定する。このような理由から、第2粘着テープ46は、Y1側に寄った位置で第4縁28cに沿って設けることが好ましい。
【0034】
第1粘着テープ44は、Y2側の端部44aから第2縁28bまで延長するように引張剥離操作用の第1タブ50を備えている。第3粘着テープ45は、Y2側の端部45aから第2縁28bまで延長するように引張剥離操作用の第3タブ53を備えている。第1粘着テープ44および第3粘着テープ45は第1縁28a、第2縁28cに沿ってほぼ全長に亘って設けられている。第1タブ50および第3タブ53は短い。
【0035】
一対の第2粘着テープ46は、それぞれ第1縁28aに近い端部46aから第2縁28bまで延在する引張剥離操作用の第2タブ52を備えている。第2粘着テープ46はY1側寄りに設けられていることから第2タブ52は長い。第2タブ52は隣接する第1粘着テープ44の内側で該第1粘着テープ44に対して狭い隙間を介して並行するように延在している。第2タブ52は一部またはほぼ全部が曲面形状部24bの範囲にある。第2タブ52は、基本的には直線形状であるがレイアウト上の理由などから多少曲がった形状になっていてもよい。本実施形態では、左右一対の第2タブ52のうち、左側のものは直線状であるが、右側のものはY1寄りの箇所で緩やかに屈曲している。
【0036】
なお、各タブ50,52,53は第2縁28bまで延在させるのではなく、逆に第4縁28cまで延在させることも構成上は可能である。ただし、その場合には各タブ50,52,53の引き出し部を第4縁28cの近傍に設けることになり、その部分のベゼル部材26を薄くすることが困難になりデザイン的に好ましくない。そのため、電子機器10では各タブ50,52,53を第2縁28bまで延在させている。
【0037】
図4は、第1筐体12における端部のカバー34を取り外した状態の斜視図である。
図5は、筐体部材24、第1タブ50および第2タブ52の分解斜視図である。
図4および
図5は、第1筐体12における左端部分について第1タブ50および第2タブ52を図示しているが、右端部分については第3タブ53および第2タブ52が左右対称に構成されていることから図示および説明を省略する。
【0038】
第1タブ50は、第1粘着テープ44よりやや細い矩形の先端部50aと、これらの間をつなぐテーパ部50bとを有する。先端部50aには孔50aaが形成されている。なお、第3タブ53は第1タブ50と同様の形状となっている。第2タブ52は、先端部50aと同形状の先端部52aと、第1粘着テープ44に並行配置される延在部52bと、先端部52aと延在部52bとをつなぐ屈曲部52cとを有する。先端部52aには孔52aaが形成されている。屈曲部52cはクランク状に折れ曲がる形状である。
【0039】
2本の第2粘着テープ52のうちの第1縁28a寄りに設けられた方が備える第2タブ52は、第1タブ50と第2縁28bの近傍で重なっている。つまり、第2タブ52は延在部52bの箇所では第1粘着テープ44と隣り合っているが、屈曲部52cによってやや左方向にずれて、先端部50aと先端部52aとはX方向位置が一致している。先端部52aは先端部50aよりZ2側にあって重なっている。同様に、2本の第2粘着テープ52のうちの第3縁28c寄りに設けられた方が備える第2タブ52は、第3タブ53と第2縁28bの近傍で重なっている(
図2参照)。つまり、筐体部材24、第2タブ52、第1タブ50(または第3タブ53)およびディスプレイパネル18の順に重なっている。
【0040】
先端部50aと先端部52aとが重なるのは第2縁28bの近傍であり、具体的には、筐体部材24に形成された凹状のポケット(凹部)56の内部である。
図4では、先端部50aおよび先端部52aがポケット56からはみ出ているが、それぞれ丸めてポケット56内に収納可能である。ポケット56はZ1側およびY1側が開口し、その他の方向については筐体部材24で塞がれている。ポケット56はZ1側がカバー34によって覆われており、通常使用時にユーザから視認されない。
【0041】
このように、先端部50aと先端部52aとが重なっているとX方向の占有幅が短くなり、ヒンジ16などに対するレイアウト上の影響が少ない。また、筐体部材24にポケット56を設けることにより、ユーザによる通常の使用時には第1タブ50および第2タブ52を該ポケット56に収納しておくことができ、作業者による引張剥離操作時には適量をはみ出させることができ、作業が容易になる。
【0042】
第2タブ52における屈曲部52cは、ポケット56の底面に対して粘着剤58により剥離可能に固定されている。粘着剤58は小さい面積で接着力は比較的弱く、先端部52aを引っ張ることにより剥離可能となっている。このように、第2タブ52は第2縁28bの近傍で筐体部材24に固定され、反対側の第4縁28cの近傍では第2粘着テープ46で固定されていることから、その間の延在部52bは位置がずれてしまうことがない。そのため、電子機器10の組み立て時や通常使用時または携行時で衝撃が加わった時に延在部52bの位置は維持され、隣接する第1粘着テープ44に接触および固着されることがない。
【0043】
図6は、変形例にかかる筐体部材24、第1タブ50および第2タブ52の分解斜視図である。この変形例ではフレーム部38に第1粘着テープ44が貼り付けられる当接面24cがあり、さらに該当接面24cにおける第2縁28bの近傍には段差面24caが形成されている。段差面24caは当接面24cより僅かに低くなっており、ここに粘着剤58が設けられている。このような変形例では屈曲部52cが段差面24caに収まって粘着剤58によって固定され、第1粘着テープ44の貼付面積が一層広く確保される。
【0044】
このように構成される電子機器10では、ディスプレイパネル18を取り外す際には、カバー34を取り外してポケット56を露呈させる。そして、該ポケット56の内部に丸まって収納されている第1タブ50の先端部50aおよび第2タブ52の先端部52aを
図4のように取り出す。
【0045】
この後、まず作業者から見て上側(Z1側)にある先端部50aを工具または手によって手前側(
図4の矢印側)に引き抜く。これにより第1粘着テープ44が第1タブ50とともに引き抜かれる。このとき、隣接する第2タブ52の延在部52bは第1粘着テープ44とは隙間をもった位置に維持されていることから該第1粘着テープ44とともに引き抜かれることがなく、第1粘着テープ44だけを安定的に引き抜くことができる。
【0046】
次いで、残る先端部52aを工具または手によって手前側に引き抜く。上記のとおり、粘着剤58は先端部52aの引き抜きに支障とならない。第2粘着テープ46は延在部52bを介して先端部52aとつながっているころから、該先端部52aとともに引き抜かれる。先端部50a,52aの引き抜き作業には孔50aa,52aaを利用するとよい。右側の第3粘着テープ45および第2粘着テープ46も同様の手順で引き抜かれる。
【0047】
第1粘着テープ44、第3粘着テープ45および一対の第2粘着テープ46が引き抜かれると、ディスプレイパネル18を筐体部材24から取り外すことができる。このように電子機器10では、基本的に先端部50a,52a,53aを引き抜くという簡単な作業によりディスプレイパネル18の取り外しを容易に行うことができる。
【0048】
また、電子機器10では、第1粘着テープ44および第3粘着テープ45と第2粘着テープ46とが直交する向きに設けられていることからディスプレイパネル18を安定的に固定することができる。さらに、第1粘着テープ44と第2粘着テープ46とは別体であり、それぞれは細いテープ形状であることから、素材のシートから切り出すのにほとんど無駄がなく低コストである。
【0049】
引き抜き作業対象となるのは、基本的に上記のとおり作業者から見える順の先端部50a、先端部52aとなっており間違えにくいが、先端部50aと先端部52aとの色、形状、模様、マークなどを変えて識別可能とすると一層間違えにくくなる。また、先端部50aと先端部52aには「先に引く」、「次に引く」などの注意書きや作業順を示す番号を付してもよい。
【0050】
上記の例では、第2粘着テープ46は2本が隙間54を形成するように長尺方向(つまりX方向)に並んで設けられているが、設計条件により配線42および隙間54が不要となるような場合には、第2粘着テープ46を一本としていずれか一方の端部に第2タブ52を設ければよい。
【0051】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
10 電子機器
12 第1筐体
14 第2筐体
16 ヒンジ
18 ディスプレイパネル
24 筐体部材
26 ベゼル部材
28 第1縁
30 第2縁
30a テープ取り出し縁
30b デバイス縁
32 電気デバイス
34 カバー
40 ディスプレイコントローラ
42 配線
44 第1粘着テープ
44a 端部
45 第3粘着テープ
46 第2粘着テープ
46a 端部
50 第1タブ
50a 先端部
52 第2タブ
52a 先端部
52b 延在部
52c 屈曲部
53 第3タブ
54 隙間
56 ポケット(凹部)
58 粘着剤