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特許7361840ヒーター、ヒートシール装置、熱転写プリンター及び容器処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ヒーター、ヒートシール装置、熱転写プリンター及び容器処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/40 20060101AFI20231006BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
H05B3/40 Z
H05B3/00 310C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022087934
(22)【出願日】2022-05-30
【審査請求日】2023-07-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】PACRAFT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】山根 徳幸
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0709095(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1175778(KR,B1)
【文献】中国実用新案第211350135(CN,U)
【文献】特開2012-236615(JP,A)
【文献】特開平11-026141(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0098258(KR,A)
【文献】中国実用新案第211957177(CN,U)
【文献】中国実用新案第210745596(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00-3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により発熱する発熱体と、前記発熱体を覆い且つ外部に露出する部分を含むシースとを有する発熱ユニットと、
前記発熱体に接続され、電流を前記発熱体に供給する電線と、
前記発熱ユニットに取り付けられ且つ接地されるアース線と、
電気伝導体を含み、前記発熱ユニットに取り付けられ且つ接地される導電性被覆部であって、前記シースの外側に位置し、前記電線及び前記アース線が内側において延びる導電性被覆部と、
電気絶縁性を有し、前記導電性被覆部を少なくとも部分的に覆う絶縁性被覆部と、
を備えるヒーター。
【請求項2】
前記導電性被覆部は、前記発熱ユニットの外周面に沿って延在する部分を含み、
前記絶縁性被覆部は、前記発熱ユニットの外周面に沿って延在する部分を含む、
請求項1に記載のヒーター。
【請求項3】
前記導電性被覆部は、金属を含み且つ柔軟性を有し、
前記絶縁性被覆部は、樹脂及びエラストマーのうちの少なくともいずれか一方を含む、
請求項1に記載のヒーター。
【請求項4】
前記導電性被覆部は、少なくとも部分的に網目形状を有する、
請求項1に記載のヒーター。
【請求項5】
漏電を検出する漏電検出部を備える請求項1に記載のヒーター。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のヒーターを備え、
前記発熱ユニットは、通電により発熱する発熱体と、前記発熱体を覆うシースと、を有し、
前記絶縁性被覆部は、
前記導電性被覆部を少なくとも部分的に覆う第1絶縁被覆体と、
前記第1絶縁被覆体を少なくとも部分的に覆い、前記第1絶縁被覆体よりも小さい剛性を有する第2絶縁被覆体と、を有する、
ヒートシール装置。
【請求項7】
インクが塗布されたインクリボンを加熱しつつ対象物に前記インクを熱転写する熱転写プリンターであって、
請求項1~5のいずれか一項に記載のヒーターを備え、
前記発熱ユニットは、通電により発熱する発熱体と、前記発熱体を覆うシースと、を有し、
前記絶縁性被覆部は、
前記導電性被覆部を少なくとも部分的に覆う第1絶縁被覆体と、
前記第1絶縁被覆体を少なくとも部分的に覆い、前記第1絶縁被覆体よりも小さい剛性を有する第2絶縁被覆体と、を有し、
前記インクリボンは、前記発熱体から発せられる熱によって加熱される、
熱転写プリンター。
【請求項8】
容器に対してヒートシール処理を行う請求項6に記載のヒートシール装置を備える容器処理装置。
【請求項9】
容器に対して印字処理を行う請求項7に記載の熱転写プリンターを備える容器処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒーター、ヒートシール装置、熱転写プリンター及び容器処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1が開示するシーズヒータユニットや特許文献2が開示するカートリッジヒーターのように、通電により発熱する発熱ユニットを備えるヒーターが様々な用途で使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-027315号公報
【文献】実開平2-41392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような発熱ユニットを備えるヒーターにおいて、発熱ユニットに供給される電流の漏れ(すなわち漏電)に対処するため、漏電が検知された際に回路を遮断する漏電検出遮断器が設置されることがある。
【0005】
漏電検出遮断器は、例えば、漏電箇所に電気的につながっているヒーター部分(すなわち充電部)に人が接触した際に漏電を検知し、当該検知に応じて回路を遮断することがある。
【0006】
また漏電遮断機が故障等によって適切に作動しない場合にも、人が感電しうる。
【0007】
さらに想定外の状況下でヒーターに浸水が生じると、想定外のヒーター部分で漏電が生じ、想定外のルートを介して漏電箇所とヒーター露出部とが電気的につながることがある。この場合、人がそのようなヒーター露出部に接触すると感電する。
【0008】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、ヒーターに対する通電に起因して生じうる漏電の影響を抑えるのに有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、通電により発熱する発熱ユニットと、発熱ユニットに取り付けられ、電流を発熱ユニットに供給する電線と、発熱ユニットに取り付けられ且つ接地されるアース線と、電気伝導体を含み、発熱ユニットに取り付けられ且つ接地される導電性被覆部と、電気絶縁性を有し、導電性被覆部を少なくとも部分的に覆う絶縁性被覆部と、を備えるヒーターに関する。
【0010】
導電性被覆部は、発熱ユニットの外周面に沿って延在する部分を含んでもよく、絶縁性被覆部は、発熱ユニットの外周面に沿って延在する部分を含んでもよい。
【0011】
導電性被覆部は、金属を含み且つ柔軟性を有してもよく、絶縁性被覆部は、樹脂及びエラストマーのうちの少なくともいずれか一方を含んでもよい。
【0012】
導電性被覆部は、少なくとも部分的に網目形状を有してもよい。
【0013】
ヒーターは、漏電を検出する漏電検出部を備えてもよい。
【0014】
本開示の他の態様は、上記のいずれかのヒーターを備え、発熱ユニットは、通電により発熱する発熱体と、発熱体を覆うシースと、を有し、絶縁性被覆部は、導電性被覆部を少なくとも部分的に覆う第1絶縁被覆体と、第1絶縁被覆体を少なくとも部分的に覆い、第1絶縁被覆体よりも小さい剛性を有する第2絶縁被覆体と、を有する、ヒートシール装置に関する。
【0015】
本開示の他の態様は、インクが塗布されたインクリボンを加熱しつつ対象物にインクを熱転写する熱転写プリンターであって、上記のいずれかのヒーターを備え、発熱ユニットは、通電により発熱する発熱体と、発熱体を覆うシースと、を有し、絶縁性被覆部は、導電性被覆部を少なくとも部分的に覆う第1絶縁被覆体と、第1絶縁被覆体を少なくとも部分的に覆い、第1絶縁被覆体よりも小さい剛性を有する第2絶縁被覆体と、を有し、インクリボンは、発熱体から発せられる熱によって加熱される、熱転写プリンターに関する。
【0016】
本開示の他の態様は、容器に対してヒートシール処理を行う上記のヒートシール装置を備える容器処理装置に関する。
【0017】
本開示の他の態様は、容器に対して印字処理を行う上記の熱転写プリンターを備える容器処理装置に関する。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、ヒーターに対する通電に起因して生じうる漏電の影響を抑えるのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、ヒーターの一例の外観を示す図である。
図2図2は、ヒーターのうち図1において符号「II」により示される部分の内側の構造例を示す図である。
図3図3は、ヒーターのうち図2において断面線「III」により示される部分の断面例を示す図である。
図4図4は、ヒーターを具備する加熱処理装置の一例を示すブロック図である。
図5図5は、包装システム(包装設備)の一例を示す図である。
図6図6は、印字装置の一例を示す図である。
図7図7は、第1ヒートシール装置の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[ヒーター]
図1は、ヒーター10の一例の外観を示す図である。図2は、ヒーター10のうち図1において符号「II」により示される部分の内側の構造例を示す図である。図2において、第3被覆部材23及び第4被覆部材24は断面状態が示されているが、他の要素は外観状態が示されている。図3は、ヒーター10のうち図2において断面線「III」により示される部分の断面例を示す図である。
【0021】
ヒーター10は、発熱ユニット11、2つの電線12、アース線13、及び第1被覆部材21~第4被覆部材24を備える。
【0022】
発熱ユニット11は通電により発熱し、発熱ユニット11の発熱部分の少なくとも一部は第1被覆部材21~第4被覆部材24に覆われることなく外部に露出する。本実施形態の発熱ユニット11はいわゆるシースヒータであり、細長い形状を有する発熱体11a(図2参照)と、発熱体11aを覆うシース11bとを有する。
【0023】
発熱体11aは、電線12に接続され、電線12を介して供給される電流が流されることによって発熱する。発熱体11aは任意の組成を有することができる。例えばニクロム線によって発熱体11aが構成される場合、発熱体11aに電圧が印加されることで、ニクロム線の内部で電子/原子の振動及び衝突が誘起され、その結果、発熱体11aで熱が生じる。
【0024】
発熱体11aを外部に露出させないように覆うシース11bは、外部からの発熱体11aに対する物理的な接触を防ぎつつ、発熱体11aから伝えられる熱を外部に向かって放射する。図1に示すシース11bは曲がってL字形状を有しており、発熱体11aもシース11bの内側でシース11bに沿って曲がってL字形状を有する。
【0025】
このようにして発熱ユニット11の外部露出部分を構成するシース11bは、発熱体11aから電気的に絶縁されており、例えばシース11bの内側空洞部において発熱体11aを取り囲むように絶縁体(絶縁性粉体など)が充填される。このように発熱体11aとシース11bとの間に絶縁体が介在することで、基本的にシース11bには発熱体11aから電流が伝わらない。そのためユーザーが誤ってシース11bに触れても、基本的にユーザーは感電しない。
【0026】
ただし、漏電によってシース11bと発熱体11aとの間に電気的経路が確立されることがある。そのような場合であっても、本実施形態のヒーター10によれば、後述のようにアース線13及び第1被覆部材21による2点接地によって、シース11bに触れたユーザーの感電を防ぐことができる。
【0027】
電線12は、発熱ユニット11に取り付けられて発熱体11aに対して電気的に接続されるとともに、電源(図4参照)に対しても電気的に接続され、電源からの電流を発熱体11aに供給する。
【0028】
本例の電線12は、導電性の電線本体部12aと、電線本体部12aの中間部を覆う円筒形状の電線絶縁被覆部12bと、を有する。電線本体部12aの両端部は電線絶縁被覆部12bから突出して露出するが、電線本体部12aの中間部は電線絶縁被覆部12bにより覆われて他の部材(アース線13及び第1被覆部材21~第4被覆部材24)から電気的に絶縁される。電線本体部12aの一方の端部は、電線12の先端側端部12-1を構成し(図2参照)、発熱体11aに接合される。これにより電線本体部12a(電線12)と発熱体11a(発熱ユニット11)との間の電気的接続が確立される。電線本体部12aの他方の端部は、電線12の根本側端部12-2を構成し(図1参照)、電源(図4参照)に対して電気的に接続される。
【0029】
図2に示す例では接合ポイントPcにおいて、シース11bから突出する発熱体11aが、電線絶縁被覆部12bから突出する電線本体部12aに接続される。ただし、発熱体11aと電線本体部12aとの間の接続態様は限定されない。発熱体11a及び電線本体部12aは、図2に示すようにポイント(点)でお互いに接続されてもよいし、ある長さ範囲にわたってお互いに接続されてもよい。発熱体11a及び電線本体部12aは、お互いの接続部(接合ポイントPc)を含む範囲において、金属などで作られる耐衝撃性のガード包囲部(図示省略)により覆われて保護されてもよい。
【0030】
図2に示す電線12(特に電線本体部12a)は発熱体11aの根本側端部に接続されるが、発熱体11aにおける電線本体部12aの接続位置は限定されない。また発熱体11aと電線12との間の接続態様も限定されない。発熱体11a及び電線本体部12aは、お互いに直接的に接続されてもよいし、他の導電体(図示省略)を介して間接的に接続されてもよい。したがって発熱体11a及び電線12は、お互いに撚り合わされて直接的に接触してもよいし、導電性接着剤などの導電性接合部材を介してお互いに接続されてもよい。また発熱体11a及び電線本体部12aは、例えば鉛などにより作られる筒状の接続部材(圧着スリーブ)を介して、お互いに接続されてもよい。
【0031】
アース線13は発熱ユニット11に取り付けられ、発熱体11aからは電気的に絶縁された状態で、シース11bに対して電気的に接続される。またアース線13は、アース(図4参照)に対しても電気的に接続されて接地される。
【0032】
本例のアース線13は、導電性のアース線本体部13aと、アース線本体部13aの中間部を覆う円筒形状のアース線絶縁被覆部13bと、を有する。アース線本体部13aの両端部はアース線絶縁被覆部13bから突出して外部に露出するが、アース線本体部13aの中間部はアース線絶縁被覆部13bにより覆われて他の部材(電線12及び第1被覆部材21~第4被覆部材24)から電気的に絶縁される。アース線本体部13aの一方の端部は、アース線13の先端側端部13-1を構成し(図2参照)、シース11bに対して固定的に接合される。これによりアース線本体部13a(アース線13)とシース11b(発熱ユニット11)との間の電気的接続が確立される(図2に示すアース接合部13c参照)。アース線本体部13aの他方の端部は、アース線13の根本側端部13-2を構成し(図1参照)、アース(図4参照)に対して電気的に接続されて接地される。
【0033】
図2に示すアース線13はシース11bの端部に接続されているが、シース11bにおけるアース線13の接続位置は限定されない。アース線13は、図2に示すようにシース11bに対して直接的に接続されてもよいが、シース11bに導電体(図示省略)を介して電気的に接続されてもよい。
【0034】
第1被覆部材21~第4被覆部材24は、少なくとも一部において円筒形状部分を有し、当該円筒形状部分の内側において延在する電線12及びアース線13を外側から取り囲むように覆う。ただしヒーター10の延在方向に関し、第1被覆部材21~第4被覆部材24の延在範囲は、電線12及びアース線13の延在範囲と必ずしも一致しない。
【0035】
本例の第1被覆部材21の両端部は符号「21-1(図2参照)」及び「21-2(図1参照)」によって示される。第2被覆部材22の両端部は符号「22-1(図2参照)」及び「22-2(図1参照)」によって示される。第3被覆部材23の両端部は符号「23-1(図2参照)」及び「23-2(図2参照)」によって示される。第4被覆部材24の両端部は符号「24-1(図2参照)」及び「24-2(図1参照)」によって示される。
【0036】
また電線12の両端部は符号「12-1(図2参照)」及び「12-2(図1参照)」によって示される。アース線13の両端部は符号「13-1(図2参照)」及び「13-2(図1参照)」によって示される。
【0037】
また発熱ユニット11の一方の端部11-1は、シース11bの一方の端部11b-1(図1参照)によって構成され、発熱ユニット11の他方の端部11-2は、発熱体11aの一方の端部(図2参照)によって構成される。シース11bの他方の端部は符号「11b-2(図2参照)」によって示され、発熱体11aの他方の端部の図示は省略されている。図示されてない発熱体11aの他方の端部(すなわち先端側端部)の位置は限定されず、シース11bの先端側端部11b-1の近傍に発熱体11aの先端側端部が位置してもよい。
【0038】
上述のように図1及び図2において、発熱ユニット11、電線12、アース線13及び第1被覆部材21~第4被覆部材24の各々の両端部のうち、先端側端部は、対応の符号に対して「-(ハイフン)」とともに「1」が付加された符号により表され、根本側端部は、対応の符号に対して「-(ハイフン)」とともに「2」が付加された符号により表される。
【0039】
第1被覆部材21は、電気伝導体を含み、電線12を少なくとも部分的に覆い且つ接地される導電性被覆部として設けられる。電線12及びアース線13は、第1管状被覆部材21aの内側空間を通るように延在し、第1管状被覆部材21aによって部分的に覆われる。このように第1被覆部材21は、電線12及びアース線13を保護するシールドとして機能する。
【0040】
本例の第1被覆部材21は、発熱ユニット11(特にシース11bの根本側端部11b-2(図2参照))を覆う位置(先端側端部21-1)から、第2被覆部材22~第4被覆部材24から突出する位置(根本側端部21-2)にわたって延在する。すなわち第1被覆部材21の先端側端部21-1は、発熱ユニット11(特にシース11b)の外周面に沿って延び、シース11bに対して電気的に接続される。一方、第1被覆部材21の根本側端部21-2は、後述のようにアースに対して電気的に接続される。
【0041】
第1被覆部材21は、管状の第1管状被覆部材21aと、第1管状被覆部材21aの根本側端部から延びる非管状の第1延長被覆部材21b(図1参照)と、を有する。第1被覆部材21の先端側端部21-1は第1管状被覆部材21aによって構成され、根本側端部21-2は第1延長被覆部材21bによって構成される。第1管状被覆部材21a及び第1延長被覆部材21bは、屈曲可能な柔軟性を有し、例えば金属によって構成される。
【0042】
図1及び図2に示す第1管状被覆部材21aは、網目形状を有するメッシュ構造を有し、シース11b(アース線13が接合される部分を含む)の根本側端部11b-2を超えてシース11bの外周面に沿って部分的に延在する。これにより第1管状被覆部材21aは、優れた耐破断性を確保しつつ、優れた屈曲性及び柔軟性を示すことが可能であり、必要に応じてあらゆる方向に曲げられる。また第1管状被覆部材21aは、シース11b及びアース線13の各々に対し、確実に接触して電気的に接続される。
【0043】
第2被覆部材22~第4被覆部材24は、電気絶縁性を有し、導電性被覆部(第1被覆部材21)を少なくとも部分的に覆う絶縁性被覆部として設けられる。第2被覆部材22~第4被覆部材24は、発熱ユニット11を少なくとも部分的に覆ってもよい。本例では、図2に示すように、発熱ユニット11の根本側端部11-2を構成する発熱体11a及びシース11bが、第3被覆部材23及び第4被覆部材24によって覆われる。
【0044】
第2被覆部材22~第4被覆部材24の各々は、電気的絶縁性を示す任意の材料及び構成を有することが可能であり、例えば樹脂及びエラストマー(ゴムを含む)のうちの少なくともいずれか一方を含んでもよい。エラストマーのように弾性に優れた弾性材料により第2被覆部材22~第4被覆部材24の各々が構成される場合、第2被覆部材22~第4被覆部材24を曲げるのに有利である。
【0045】
第2被覆部材22は、管状形状を有し、第1被覆部材21(ひいては第1被覆部材21の内側空間に延在する電線12及びアース線13)を少なくとも部分的に覆う。本例では、先端側において第1被覆部材21、第3被覆部材23及び第4被覆部材24が第2被覆部材22から突出し(図2参照)、根本側において第1被覆部材21が第2被覆部材22から突出する(図1参照)。そして第2被覆部材22は、根本側で、第3被覆部材23及び第4被覆部材24の各々から突出する。
【0046】
なおヒーター10の長手方向に関し、第2被覆部材22は発熱ユニット11(発熱体11a及びシース11b)から離れており、第2被覆部材22は発熱ユニット11を覆わない。電線12及びアース線13は、第2被覆部材22の両端部において、第2被覆部材22から突出する。
【0047】
第3被覆部材23は、管状形状を有し、第2被覆部材22(ひいては第2被覆部材22の内側空間に延在する第1被覆部材21、電線12及びアース線13)を少なくとも部分的に覆う。本例では、先端側において第3被覆部材23が第1被覆部材21及び第2被覆部材22から突出し(図2参照)、根本側において第1被覆部材21、第2被覆部材22及び第4被覆部材24が第3被覆部材23から突出する(図1及び図2参照)。そして第3被覆部材23は、シース11b(アース線13が接合される部分を含む)の根本側端部11b-2を超えてシース11bの外周面に沿って部分的に延在する。
【0048】
なおヒーター10の延在方向に関し、第3被覆部材23の先端側端部23-1の先端位置は、第4被覆部材24の先端側端部24-1の先端位置とほぼ同じである。第3被覆部材23は先端側において電線12及びアース線13よりも突出するが、根本側では電線12及びアース線13が第3被覆部材23から突出する。
【0049】
第4被覆部材24は、管状形状を有し、第3被覆部材23(ひいては第3被覆部材23の内側空間に延在する第2被覆部材22、第1被覆部材21、電線12及びアース線13)を少なくとも部分的に覆う。本例では、先端側において第4被覆部材24が第1被覆部材21及び第2被覆部材22から突出し(図2参照)、根本側において第1被覆部材21及び第2被覆部材22が第4被覆部材24から突出する(図1及び図2参照)。そして第4被覆部材24は、シース11b(アース線13が接合される部分を含む)の根本側端部11b-2を超えてシース11bの外周面に沿って部分的に延在する
【0050】
なおヒーター10の延在方向に関し、第4被覆部材24の先端側端部24-1の先端位置は、第3被覆部材23の先端側端部23-1の先端位置とほぼ同じである。第4被覆部材24は先端側において電線12及びアース線13よりも突出するが、根本側では電線12及びアース線13が第4被覆部材24から突出する。
【0051】
本実施形態では、第4被覆部材24(第2絶縁被覆体)が第3被覆部材23(第1絶縁被覆体)よりも小さい剛性を有する。すなわち第4被覆部材24は、第3被覆部材23よりも柔らかくて曲げやすく、また第3被覆部材23よりも衝撃吸収性に優れる。
【0052】
第1被覆部材21~第4被覆部材24が上述の範囲にわたって延在することで、ヒーター10のうち図2の断面線「III」によって示される部分において、第1被覆部材21~第4被覆部材24が同心円状に設けられる(図3参照)。
【0053】
[加熱処理装置]
次に、上述のヒーター10を具備する処理装置の一例について説明する。
【0054】
図4は、上述のヒーター10を具備する加熱処理装置50の一例を示すブロック図である。
【0055】
図4に示す加熱処理装置50は、電源51、アース52、ヒーター10、加熱体53、温度センサー54、温調コントローラー55、温調リレー56、漏電検出遮断器(漏電検出部)57、アラーム部58及び接続端子部61を備える。
【0056】
ヒーター10の電線12は、接続端子部(端子台)61を介して電源51に電気的に接続される。すなわち電線12の電線本体部12a(図1参照)は、電源51から延びる電源接続線59と、接続端子部61において接続される。
【0057】
またアース線13及び第1被覆部材21(本例では第1延長被覆部材21b)は、接続端子部61を介してアース52に電気的に接続されて接地される。すなわちアース線13のアース線本体部13a及び第1被覆部材21の第1延長被覆部材21bの各々は、アース52から延びるアース接続線60と、接続端子部61において接続される。
【0058】
したがって機能的観点からは、電源接続線59を、発熱ユニット11を電源51につなぐための電線12としてみなすことができ、またアース接続線60を、アース52に接続されるアース線13及び第1被覆部材21としてみなすことができる。
【0059】
電源接続線59には、温調リレー56及び漏電検出遮断器57が設けられる。
【0060】
温調リレー56は、温調コントローラー55の制御下で、電源接続線59における電流の導通及び非導通を切り替える。
【0061】
漏電検出遮断器57は、電源接続線59を流れる電流値(例えば電源51から発熱ユニット11に向かう電流の電流値と、発熱ユニット11から電源51に向かう電流の電流値との差(絶対値差))を検知し、当該検知結果に基づいて漏電の発生の有無を検出する。そして漏電検出遮断器57は、漏電の検出結果に応じて、電源接続線59における電流の導通及び非導通を切り替える。すなわち漏電検出遮断器57は、漏電の発生を検出しない間は電源接続線59を電流導通状態に維持し、漏電の発生を検出した場合には電源接続線59を電流非導通状態に切り替える。
【0062】
アラーム部58は、漏電検出遮断器57に接続され、漏電検出遮断器57における漏電の発生の検出結果に応じてアラームを発生する。すなわちアラーム部58は、漏電検出遮断器57が漏電の発生を検出した場合にアラームを発し、ユーザーに漏電の発生を報知する。
【0063】
加熱体53には、ヒーター10の発熱ユニット11と、温度センサー54とが取り付けられる。加熱体53は、発熱ユニット11によって加熱され、加熱体53の温度が温度センサー54によって測定される。温度センサー54の測定結果である加熱体53の温度は温調コントローラー55に送られる。
【0064】
温調コントローラー55は、温度センサー54の測定結果(すなわち加熱体53の温度)に基づき、温調リレー56を制御して電源接続線59における電流の導通及び非導通を切り替える。一例として、温度センサー54の測定結果が示す加熱体53の温度が、所望温度範囲に基づいて定められる温度閾値よりも低い場合には、電源接続線59が電流導通状態になるように温調コントローラー55は温調リレー56を制御してもよい。この場合、発熱ユニット11の発熱体11aに電流が供給され、加熱体53は発熱ユニット11によって加熱される。一方、温度センサー54の測定結果が示す加熱体53の温度が当該温度閾値以上の場合には、電源接続線59が電流非導通状態になるように温調コントローラー55は温調リレー56を制御してもよい。この場合、発熱ユニット11の発熱体11aに電流が供給されず、発熱体11aは発熱せず、その結果、加熱体53は温度閾値に向かって自然に温度が下がる。
【0065】
上述の構成を有する加熱処理装置50によれば、加熱体53の温度を所望温度範囲内に調整しつつ、漏電発生時には、電源接続線59が電流非導通状態に切り替えられて、ユーザーの感電を防ぐことができる。
【0066】
[容器処理装置]
上述のヒーター10及び加熱処理装置50は、様々な装置において、様々な用途に適用可能であり、ヒーター10及び加熱処理装置50を適用可能な装置及び用途は限定されない。以下では、一例として、袋を用いる包装システム(容器処理装置)に対してヒーター10及び加熱処理装置50が適用される場合について説明する。ただしヒーター10及び加熱処理装置50は、下述の包装システム以外の容器処理装置(例えば容器として缶を用いる容器処理装置(図示省略))に応用されてもよい。
【0067】
図5は、包装システム(包装設備)70の一例を示す図である。図5に示す包装システム70は、袋Bに対する印字処理、開口処理、内容物導入処理、ガス注入処理、シール処理、及び放出処理を順次行う。
【0068】
すなわち包装システム70は、袋Bを間欠的に搬送するための搬送テーブル71及び複数の袋支持部72を備える。各袋支持部72は、袋Bの両側部のそれぞれを解放可能に支持する2つのグリッパー(すなわちグリッパーペア)を有する。
【0069】
搬送テーブル71は、モーター等の駆動装置(図示省略)によって、中心軸線を中心に間欠的に回転させられる。複数の袋支持部72は、搬送テーブル71の外周部に対して等間隔(等角度間隔)に固定的に取り付けられ、搬送テーブル71の間欠回転に応じて円軌道に沿った間欠的な移動及び停止を繰り返す。
【0070】
複数の袋支持部72の数は、各袋支持部72の移動軌道(円軌道)に沿って設けられる処理ステーションの数と一致する。図5に示す包装システム70では、各袋支持部72の移動軌道に沿って第1処理ステーション~第10処理ステーションが等間隔(等角度間隔)に設けられ、10個の袋支持部72が設けられている。搬送テーブル71の間欠回転停止時には10個の袋支持部72のそれぞれが第1処理ステーション~第10処理ステーションに配置され、各袋支持部72は、第1処理ステーション~第10処理ステーションにおいて順次間欠的に停止する。
【0071】
第1処理ステーションには、コンベアマガジン75、袋送出装置76及び袋取出装置77が設けられる。コンベアマガジン75は、複数の袋B(空袋B0)を貯留する。袋送出装置76は、コンベアマガジン75に貯留されている袋Bを1枚ずつ送り出す。袋取出装置77は、袋送出装置76により送り出された袋Bを取り出して、第1処理ステーションで間欠的に停止している袋支持部72に受け渡す。
【0072】
袋支持部72は、第1処理ステーションで受け渡された袋B(空袋B0)を支持しつつ移動し、印字装置78が設けられている第2処理ステーションで間欠的に停止する。印字装置78は、袋Bに対して印字処理を行うプリンターである。袋支持部72により支持されている袋Bは、第2処理ステーションで間欠的に停止している間に、印字装置78による印字処理を受けて、各種の情報(例えば製造年月日等)がプリントされる。
【0073】
その後、袋支持部72は、袋Bを支持しつつ移動し、開口支持部79及び開口装置80が設けられている第3処理ステーションで間欠的に停止する。袋支持部72により支持されている袋Bの口部(本例では袋Bの上端部)は、第3処理ステーションで間欠的に停止している間に、開口装置80により開口されて、開口支持部79により開口状態が維持される。
【0074】
その後、袋支持部72は、袋Bを支持しつつ移動し、内容物投入装置81が設けられている第4処理ステーションで間欠的に停止する。袋支持部72により支持されている袋Bは、第4処理ステーションで間欠的に停止している間に、内容物投入装置81により固形内容物Cが投入される。例えば、内容物投入装置81は上下動可能なホッパーを有し、当該ホッパーの下端部が袋Bの内側に位置している状態で、当該ホッパーの下端部から袋Bの内側に向けて固形内容物Cが吐出されてもよい。
【0075】
なお、袋支持部72が第3処理ステーションから第4処理ステーションに移動する間、開口支持部79は、当該袋支持部72が支持する袋Bとともに移動して、当該袋Bの開口状態を維持する。その後、例えば内容物投入装置81のホッパー及び/又は固形内容物Cが袋Bの内側に位置している状態で、開口支持部79は第4処理ステーションから第3処理ステーションに戻る。
【0076】
その後、袋支持部72は、袋Bを支持しつつ移動し、内容物注入装置82が設けられている第5処理ステーションで間欠的に停止する。袋支持部72により支持されている袋Bは、第5処理ステーションで間欠的に停止している間に、内容物注入装置82により液状内容物が注入される。
【0077】
その後、袋支持部72は、袋Bを支持しつつ移動し、ガス注入装置83が設けられている第6処理ステーションで間欠的に停止する。袋支持部72により支持されている袋Bは、第6処理ステーションで間欠的に停止している間に、ガス注入装置83によって内側にガスが導入される。ガス注入装置83から袋Bの内部に導入されるガスは限定されず、例えば窒素などの不活性ガスや水蒸気がガス注入装置83によって袋B内に吹き込まれてもよい。
【0078】
その後、袋支持部72は、袋Bを支持しつつ移動し、第1ヒートシール装置84が設けられている第7処理ステーションで間欠的に停止する。第1ヒートシール装置84は、袋Bに対してヒートシール処理を行う。すなわち袋支持部72により支持されている袋Bは、第7処理ステーションにおいて間欠的に停止している間に、第1ヒートシール装置84によって口部がシールされる。
【0079】
その後、袋支持部72は、袋Bを支持しつつ移動し、第2ヒートシール装置85が設けられている第8処理ステーションで間欠的に停止する。第2ヒートシール装置85は、袋Bに対してヒートシール処理を行う。すなわち袋支持部72により支持されている袋Bは、第8処理ステーションで間欠的に停止している間に、第2ヒートシール装置85によって口部がシールされる。
【0080】
その後、袋支持部72は、袋Bを支持しつつ移動し、冷却装置86及び排出シューター87が設けられている第9処理ステーションで間欠的に停止する。袋支持部72により支持されている袋Bは、第9処理ステーションにおいて間欠的に停止している間に、冷却装置86によって口部(特にシール箇所)が冷却される。
【0081】
冷却装置86による冷却処理を受けた袋B(製品袋B1)は、第9処理ステーションにおいて袋支持部72及び冷却装置86から解放されて落下し、排出シューター87により案内されて後段に送られる。
【0082】
その後、袋支持部72は移動して第10処理ステーションで間欠的に停止する。本例の第10処理ステーションは空きステーションであるが、第10処理ステーションにおいて任意の処理が行われてもよい。
【0083】
その後、袋支持部72は移動して第1処理ステーションで再び間欠的に停止し、上述のようにコンベアマガジン75から袋送出装置76及び袋取出装置77を介して新たな袋B(空袋B0)が供給される。
【0084】
包装システム70は、上述の一連の処理を繰り返し行うことで、多数の袋Bに対する内容物の導入及び袋Bの口部のシールを効率的に行うことができる。
【0085】
[熱転写プリンター]
図6は、印字装置78の一例を示す図である。図6には、印字装置78の内側の構成例が透視的に示されている。
【0086】
図6に示す印字装置78は、インクが塗布されたインクリボン63を加熱しつつ対象物である袋Bにインクを熱転写する熱転写プリンターであり、当該熱転写プリンターはホットプリンターとも称される。印字装置78は、ヒーター10を具備する加熱処理装置50と、フィルム状のインクリボン63のうち未使用部分を送り出しつつ使用済み部分を回収するインクリボン供給部64と、を有する。
【0087】
加熱処理装置50は、上述の図4に示す構造と同様の構造を有し、ヒーター10の発熱ユニット11により加熱されて所望温度範囲内の温度に調整される加熱体53を有する。そして当該加熱体53によって加熱されたインクリボン63が、袋Bに押し当てられることで、袋Bに対する印字処理が行われる。
【0088】
すなわち加熱体53は活字部を具備する。加熱体53は移動駆動装置(例えばエアシリンダ)によって往復移動され、活字部がインクリボン63から離れる位置と、活字部がインクリボン63を袋Bの印字面(すなわち側面部)に押し当てる位置とに配置可能である。活字部がインクリボン63に接触することによって、発熱ユニット11(特に発熱体11a)から発せられる熱が活字部を介してインクリボン63に伝えられる。このようにして加熱されたインクリボン63のインク部分は熱転写可能な状態に置かれ、活字部がインクリボン63を袋Bに押し当てることで、活字部の形状に応じた文字等が袋Bに印字される。
【0089】
なお加熱体53の構造は限定されない。加熱体53は、例えば活字部と、活字部を取り外し可能に支持する活字支持部と、を具備してもよい。活字支持部は、単一ブロックによって構成されてもよいし、お互いに取り外し可能な複数のブロックを含んでもよい。例えば、加熱体53は、発熱ユニット11を支持し且つ発熱ユニット11によって直接的に加熱される活字ホルダーと、活字ホルダーによって取り外し可能に支持され活字ホルダーから熱が伝えられる活字ケースと、活字ケースによって取り外し可能に支持され活字ケースから熱が伝えられる活字部と、を含んでもよい。
【0090】
図6に示す例では、複数の案内ピン及び/又は案内ローラによりインクリボン63が支持されつつ案内され、袋Bの印字面(すなわち側面部)に対面し且つ当該印字面と概ね平行に延びるインクリボン63の部分が加熱体53の活字部によって袋Bに押し当てられることで、印字処理が行われる。
【0091】
[ヒートシール装置]
図7は、第1ヒートシール装置84の一例を示す平面図である。なお第1ヒートシール装置84及び第2ヒートシール装置85は同じ構造を有する。
【0092】
図7に示す第1ヒートシール装置84は第1加熱ユニット84a及び第2加熱ユニット84bを有し、第1加熱ユニット84a及び第2加熱ユニット84bの各々が加熱処理装置50(発熱ユニット11及び加熱体53を含む)を具備する。
【0093】
第1加熱ユニット84aは、固定支持部93aを固定的に支持しつつ可動支持部94aを移動可能に支持する移動支持部91aと、固定支持部93aと可動支持部94aとの間に配置される弾性体92aと、を含む。弾性体92aは、固定支持部93a及び可動支持部94aに対してお互いに離れる方向へ弾性力を付与する。加熱体53はブロック形状を有し、可動支持部94aに取り付けられている。
【0094】
第2加熱ユニット84bは、第1加熱ユニット84aと同様に構成される。すなわち第2加熱ユニット84bは移動支持部91b、弾性体92b、固定支持部93b及び可動支持部94bを備え、ブロック形状の加熱体53が可動支持部94bに取付られている。なお図7において、移動支持部91bは二点鎖線により透視的に示されており、移動支持部91bの下方に位置する要素が示されている。
【0095】
第1加熱ユニット84aの加熱体53及び第2加熱ユニット84bの加熱体53は、お互いに向かい合って配置される。第1加熱ユニット84a及び第2加熱ユニット84bは、エアシリンダ等の移動駆動ユニット(図示省略)から移動支持部91a、91bを介して伝えられる動力によって往復移動させられ、加熱体53がお互いに近づけられたり、お互いから離されたりする。
【0096】
袋支持部72が第6ステーションから第7ステーションに移動する間、第1加熱ユニット84aの加熱体53及び第2加熱ユニット84bの加熱体53はお互いから離れて配置され、袋支持部72により支持されている袋Bの口部が第7ステーションにおいて加熱体53間に位置づけられる。
【0097】
その後、袋支持部72及び袋Bが第7ステーションに間欠的に停止している間に、第1加熱ユニット84a及び第2加熱ユニット84bは移動してそれぞれの加熱体53がお互いに近づいて袋Bの口部を加圧しつつ加熱する。その結果、袋Bの口部はヒートシールされる。この際、第1加熱ユニット84a及び第2加熱ユニット84bの加熱体53は袋Bの口部を介して互いに対して力を付与し、可動支持部94a、94bとともに固定支持部93a、93bに近づく。一方、可動支持部94a、94b及び固定支持部93a、93bは、弾性体92a、92bから、互いに離れる方向に作用する弾性力を受ける。これにより袋Bの口部を加熱体53によって適度な大きさの力で加圧することができ、袋Bの口部を安定的にヒートシールすることができる。
【0098】
その後、袋支持部72が第7ステーションに間欠的に停止している間に、第1加熱ユニット84a及び第2加熱ユニット84bは移動してそれぞれの加熱体53がお互いから遠ざかって袋Bから離れる。
【0099】
その後、袋支持部72は、口部がヒートシールされた袋Bとともに、第7ステーションから第8ステーションに間欠的に移動し、次の袋支持部72が、未シール状態の袋Bとともに、第6ステーションから第7ステーションに間欠的に移動する。
【0100】
以上説明したように本実施形態のヒーター10は、通電により発熱する発熱ユニット11と、発熱ユニット11に取り付けられ、電流を発熱ユニット11に供給する電線12と、発熱ユニット11に取り付けられ且つ接地されるアース線13と、電気伝導体を含み、発熱ユニット11に取り付けられ且つ接地される第1被覆部材21と、電気絶縁性を有し、第1被覆部材21を少なくとも部分的に覆う絶縁性被覆部(第2被覆部材22~第4被覆部材24)と、を備える。
【0101】
当該ヒーター10によれば、発熱ユニット11が、アース線13及び第1被覆部材21を介して接地されるため、発熱ユニット11に接触しうるユーザーの感電を有効に防ぐことができる。特に、発熱ユニット11は、アース線13及び第1被覆部材21のそれぞれによって2つの接地経路が与えられるため、何らかの要因で一方の接地経路が機能しなくても、他方の接地経路によってユーザーの感電を回避することができる。
【0102】
また第1被覆部材21は、発熱ユニット11の外周面に沿って延在する部分を含み、絶縁性被覆部(本実施形態では第3被覆部材23及び第4被覆部材24)は、発熱ユニット11の外周面に沿って延在する部分を含む。
【0103】
これにより、第1被覆部材21をより確実に発熱ユニット11に対して電気的に接続することが可能である。また絶縁性被覆部(第3被覆部材23及び第4被覆部材24)によって発熱ユニット11を保護することができる。
【0104】
また第1被覆部材21は、金属を含み且つ柔軟性を有し、絶縁性被覆部(第2被覆部材22~第4被覆部材24)は、樹脂及びエラストマーのうちの少なくともいずれか一方を含んでもよい。
【0105】
この構成によれば、第1被覆部材21を後天的に曲げるのに有利である。また絶縁性被覆部(第2被覆部材22~第4被覆部材24)の軽量化に有利である。特に絶縁性被覆部(第2被覆部材22~第4被覆部材24)がエラストマーを含む場合、絶縁性被覆部(第2被覆部材22~第4被覆部材24)を後天的に曲げるのに有利である。
【0106】
また第1被覆部材21は、少なくとも部分的に網目形状を有する。
【0107】
これにより、第1被覆部材21は高強度且つ高柔軟性を兼ね備えることができ、様々な方向に曲げられうる。
【0108】
またヒーター10は、漏電を検出する漏電検出遮断器57を備える。
【0109】
これによりユーザーは、ヒーター10における漏電の発生を認知することができ、漏電解消のための処置を行うことができる。なお本例では、漏電検出及び回路遮断を行うことができる漏電検出遮断器57が設けられているが、漏電検出を行うが回路遮断は行わない漏電検出部が設けられてもよい。そのような漏電検出部がヒーター10における漏電を検出した場合には、ユーザーが当該検出結果に応じて適切な処置をとることで、漏電に対処してもよい。
【0110】
また第1ヒートシール装置84及び第2ヒートシール装置85の各々は上述のヒーター10を備え、発熱ユニット11は、通電により発熱する発熱体11aと、発熱体11aを覆うシース11bと、を有し、絶縁性被覆部(第2被覆部材22~第4被覆部材24)は、第1被覆部材21を少なくとも部分的に覆う第3被覆部材23と、第3被覆部材23を少なくとも部分的に覆い、第3被覆部材23よりも小さい剛性を有する第4被覆部材24と、を有する。
【0111】
これにより、発熱ユニット11に接触しうるユーザーの感電を有効に防ぐことができる。また上述の剛性関係を有する第3被覆部材23及び第4被覆部材24は、ヒーター10の剛性及び柔軟性のバランスを調整するのに有利である。特に、移動可能に設けられる第1ヒートシール装置84及び第2ヒートシール装置85が具備するヒーター10は、第1ヒートシール装置84及び第2ヒートシール装置85の移動に応じて発熱ユニット11以外の部分が変形しうる。したがってヒーター10のうち発熱ユニット11以外の部分が剛性及び柔軟性をバランス良く兼ね備えることで、第1ヒートシール装置84及び第2ヒートシール装置85はシール処理を精度良く行うことが可能である。
【0112】
またインクが塗布されたインクリボン63を加熱しつつ対象物にインクを熱転写する印字装置78はヒーター10を備え、発熱ユニット11は、通電により発熱する発熱体11aと、発熱体11aを覆うシース11bと、を有し、絶縁性被覆部(第2被覆部材22~第4被覆部材24)は、第1被覆部材21を少なくとも部分的に覆う第3被覆部材23と、第3被覆部材23を少なくとも部分的に覆い、第3被覆部材23よりも小さい剛性を有する第4被覆部材24と、を有し、発熱ユニット11は、インクリボン63を加熱する。
【0113】
これにより、発熱ユニット11に接触しうるユーザーの感電を有効に防ぐことができる。またヒーター10のうち発熱ユニット11以外の部分が剛性及び柔軟性をバランス良く兼ね備えることが可能になり、印字装置78は印字処理を精度良く行うことが可能である。
【0114】
また包装システム70は、袋Bに対してヒートシール処理を行う第1ヒートシール装置84及び第2ヒートシール装置85を備える。また包装システム70は、袋Bに対して印字処理を行う印字装置78を備える。
【0115】
これによりユーザーの感電を有効に防ぐことができる包装システム70を提供することが可能である。
【0116】
本開示は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよいし、上述の実施形態及び変形例間において部分的に又は全体的に構成が組み合わせられてもよい。また、本開示によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本開示の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【0117】
[付記]
本開示は、以下の構成をとることもできる。
【0118】
[項目1]
通電により発熱する発熱ユニットと、
前記発熱ユニットに取り付けられ、電流を前記発熱ユニットに供給する電線と、
前記発熱ユニットに取り付けられ且つ接地されるアース線と、
電気伝導体を含み、前記発熱ユニットに取り付けられ且つ接地される導電性被覆部と、
電気絶縁性を有し、前記導電性被覆部を少なくとも部分的に覆う絶縁性被覆部と、
を備えるヒーター。
【0119】
[項目2]
前記導電性被覆部は、前記発熱ユニットの外周面に沿って延在する部分を含み、
前記絶縁性被覆部は、前記発熱ユニットの外周面に沿って延在する部分を含む、
項目1に記載のヒーター。
【0120】
[項目3]
前記導電性被覆部は、金属を含み且つ柔軟性を有し、
前記絶縁性被覆部は、樹脂及びエラストマーのうちの少なくともいずれか一方を含む、
項目1又は2に記載のヒーター。
【0121】
[項目4]
前記導電性被覆部は、少なくとも部分的に網目形状を有する、
項目1~3のいずれかに記載のヒーター。
【0122】
[項目5]
漏電を検出する漏電検出部を備える項目1~4のいずれかに記載のヒーター。
【0123】
[項目6]
項目1~5のいずれかに記載のヒーターを備え、
前記発熱ユニットは、通電により発熱する発熱体と、前記発熱体を覆うシースと、を有し、
前記絶縁性被覆部は、
前記導電性被覆部を少なくとも部分的に覆う第1絶縁被覆体と、
前記第1絶縁被覆体を少なくとも部分的に覆い、前記第1絶縁被覆体よりも小さい剛性を有する第2絶縁被覆体と、を有する、
ヒートシール装置。
【0124】
[項目7]
インクが塗布されたインクリボンを加熱しつつ対象物に前記インクを熱転写する熱転写プリンターであって、
項目1~5のいずれかに記載のヒーターを備え、
前記発熱ユニットは、通電により発熱する発熱体と、前記発熱体を覆うシースと、を有し、
前記絶縁性被覆部は、
前記導電性被覆部を少なくとも部分的に覆う第1絶縁被覆体と、
前記第1絶縁被覆体を少なくとも部分的に覆い、前記第1絶縁被覆体よりも小さい剛性を有する第2絶縁被覆体と、を有し、
前記インクリボンは、前記発熱体から発せられる熱によって加熱される、
熱転写プリンター。
【0125】
[項目8]
容器に対してヒートシール処理を行う項目6に記載のヒートシール装置を備える容器処理装置。
【0126】
[項目9]
容器に対して印字処理を行う項目7に記載のプリンターを備える容器処理装置。
【符号の説明】
【0127】
10 ヒーター、11 発熱ユニット、11a 発熱体、11b シース、12 電線、12a 電線本体部、12b 電線絶縁被覆部、13 アース線、13a アース線本体部、13b アース線絶縁被覆部、13c アース接合部、21 第1被覆部材、21a 第1管状被覆部材、21b 第1延長被覆部材、22 第2被覆部材、23 第3被覆部材、24 第4被覆部材、50 加熱処理装置、51 電源、52 アース、53 加熱体、54 温度センサー、55 温調コントローラー、56 温調リレー、57 漏電検出遮断器、58 アラーム部、59 電源接続線、60 アース接続線、61 接続端子部、63 インクリボン、64 インクリボン供給部、70 包装システム、71 搬送テーブル、72 袋支持部、75 コンベアマガジン、76 袋送出装置、77 袋取出装置、78 印字装置、79 開口支持部、80 開口装置、81 内容物投入装置、82 内容物注入装置、83 ガス注入装置、84 第1ヒートシール装置、84a 第1加熱ユニット、84b 第2加熱ユニット、85 第2ヒートシール装置、86 冷却装置、87 排出シューター、91a、91b 移動支持部、92a、92b 弾性体、93a、93b 固定支持部、94a、94b 可動支持部、B 袋、B0 空袋、B1 製品袋、C 固形内容物、Pc 接合ポイント
【要約】
【課題】ヒーターに対する通電に起因して生じうる漏電の影響を抑えるのに有利な技術を提供する。
【解決手段】ヒーター10は、通電により発熱する発熱ユニット11と、発熱ユニット11に取り付けられ、電流を発熱ユニット11に供給する電線12と、発熱ユニット11に取り付けられ且つ接地されるアース線13と、電気伝導体を含み、発熱ユニット11に取り付けられ且つ接地される導電性被覆部21と、電気絶縁性を有し、導電性被覆部21を少なくとも部分的に覆う絶縁性被覆部22~24と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7