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特許7361883制御装置、モータユニット、搬送装置、電動シリンダ、記憶媒体及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】制御装置、モータユニット、搬送装置、電動シリンダ、記憶媒体及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/30 20160101AFI20231006BHJP
【FI】
H02P6/30
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022505081
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2021005007
(87)【国際公開番号】W WO2021176981
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/009469
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391032358
【氏名又は名称】平田機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有田 尚人
(72)【発明者】
【氏名】西本 怜史
(72)【発明者】
【氏名】中野 幸一
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-137987(JP,A)
【文献】特開2018-141377(JP,A)
【文献】特開2014-161201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの制御装置であって、
前記モータを駆動するための直流電圧が入力される第一の入力端子及び第二の入力端子と、
前記モータを制御する制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子に対する前記直流電圧の最初の入力を確認する第一入力確認処理と、
前記第一入力確認処理により、前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの一方の入力端子において前記最初の入力が確認されたとき、どちらの入力端子に前記直流電圧が入力されたかに基づいて前記モータの回転方向を設定する回転方向設定処理と、
前記回転方向設定処理により設定された回転方向で、前記モータを第一の回転速度で動作させる動作処理と、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの他方の入力端子に対する前記直流電圧の第二の入力を確認する第二入力確認処理と、
前記第二入力確認処理により、前記他方の入力端子において前記第二の入力が確認されたとき、前記モータの回転速度を前記第一の回転速度から第二の回転速度へ変更する速度変更処理と、を実行
前記制御装置は、
グランド端子を更に備え、
前記直流電圧は、前記グランド端子と、前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子に印加され、
前記第一入力確認処理および前記回転方向設定処理は、正電圧が入力されることで実行され、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子の少なくとも一方に対する前記正電圧の供給中は、前記モータに駆動電圧が供給される、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子に前記直流電圧が入力されることで前記制御ユニットが起動される、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項に記載の制御装置であって、
前記モータを駆動するドライブ回路を更に備え、
前記制御ユニットは、
前記ドライブ回路に前記モータの駆動用の直流電圧を出力する出力部と、
前記ドライブ回路に制御信号を出力する出力部と、を更に備える、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項に記載の制御装置であって、
前記制御装置は、
前記モータと接続され、前記モータを駆動するドライブ回路を更に備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項2に記載の制御装置であって、
前記制御ユニットは、
電磁ブレーキが接続される接続部を更に備える、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項6】
請求項に記載の制御装置であって、
前記第一入力確認処理は、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの一方の端子に前記正電圧の入力が所定時間継続中のとき、前記最初の入力が行われたと確定する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項7】
請求項又はに記載の制御装置であって、
前記第二入力確認処理は、
前記第一の入力端子及び前記第二の入力端子の双方に前記正電圧の入力が所定時間継続中のとき、前記第二の入力が行われたと確定する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項8】
請求項又はに記載の制御装置であって、
前記制御装置は、
前記第一の回転速度を設定する入力ユニットを更に備え、
前記モータはブラシレス直流モータであり、
前記速度変更処理では、前記入力ユニットで設定された前記第一の回転速度よりも低速の前記第二の回転速度に前記モータの回転速度を変更する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項9】
モータの制御装置であって、
前記モータを駆動するための直流電圧が入力される第一の入力端子及び第二の入力端子と、
前記モータを制御する制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子に対する前記直流電圧の最初の入力を確認する第一入力確認処理と、
前記第一入力確認処理により、前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの一方の入力端子において前記最初の入力が確認されたとき、どちらの入力端子に前記直流電圧が入力されたかに基づいて前記モータの回転方向を設定する回転方向設定処理と、
前記回転方向設定処理により設定された回転方向で、前記モータを第一の回転速度で動作させる動作処理と、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの他方の入力端子に対する前記直流電圧の第二の入力を確認する第二入力確認処理と、
前記第二入力確認処理により、前記他方の入力端子において前記第二の入力が確認されたとき、前記モータの回転速度を前記第一の回転速度から第二の回転速度へ変更する速度変更処理と、を実行
前記制御ユニットは、
前記速度変更処理の後、前記第二の入力の確認の有無にかかわらず、前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちのいずれか一方の端子の入力が継続中は、前記モータの回転速度を前記第二の回転速度に維持する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項10】
モータの制御装置であって、
前記モータを駆動するための直流電圧が入力される第一の入力端子及び第二の入力端子と、
前記モータを制御する制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子に対する前記直流電圧の最初の入力を確認する第一入力確認処理と、
前記第一入力確認処理により、前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの一方の入力端子において前記最初の入力が確認されたとき、どちらの入力端子に前記直流電圧が入力されたかに基づいて前記モータの回転方向を設定する回転方向設定処理と、
前記回転方向設定処理により設定された回転方向で、前記モータを第一の回転速度で動作させる動作処理と、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの他方の入力端子に対する前記直流電圧の第二の入力を確認する第二入力確認処理と、
前記第二入力確認処理により、前記他方の入力端子において前記第二の入力が確認されたとき、前記モータの回転速度を前記第一の回転速度から第二の回転速度へ変更する速度変更処理と、を実行
前記速度変更処理では、
前記第一の入力端子及び前記第二の入力端子の双方に入力された前記直流電圧の継続時間に基づいて、前記モータの回転速度を変更する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の制御装置であって、
前記速度変更処理では、前記第一の入力端子及び前記第二の入力端子の双方に前記直流電圧が入力された累積時間に基づいて、前記モータの回転速度を変更し、
前記累積時間は、
前記第一の入力端子及び前記第二の入力端子の双方に前記直流電圧が入力されている間は前記累積時間のカウンタ値の加算が継続され、前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子の一方のみに前記直流電圧が入力されている間は前記累積時間のカウンタ値の加算が停止される、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載の制御装置であって、
前記速度変更処理では、
前記累積時間が、予め変更条件として設定された累積時間のカウンタ値以上になると、前記モータの回転速度を変更する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項13】
請求項11に記載の制御装置であって、
前記速度変更処理では、
前記累積時間が、予め定めた第一の時間以上になった場合に前記モータの回転速度を前記第一の回転速度から前記第二の回転速度に変更し、
前記累積時間が、前記第一の時間よりも長い予め定めた第二の時間以上になった場合に前記モータの回転速度を前記第二の回転速度から第三の回転速度に変更する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項14】
モータと、
請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の制御装置と、
前記モータを支持する第一の支持部と、
前記制御装置を支持する第二の支持部と、を備える、
ことを特徴とするモータユニット。
【請求項15】
搬送対象物を搬送方向に搬送させる搬送部と、前記搬送部を駆動する駆動部と、を備える搬送装置であって、
前記駆動部は、請求項14に記載のモータユニットを含む、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項16】
モータと、前記モータの駆動力により進退するロッドと、非通電時に前記モータの回転に抵抗する電磁ブレーキと、前記モータを制御する請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の制御装置と、を含む電動シリンダであって、
前記電動シリンダは、
前記モータと前記電磁ブレーキと前記制御装置とを内部に収容すると共に、前記ロッドを進退可能に支持する筐体を備え、
前記筐体は、前記モータと前記電磁ブレーキとを支持する第一の支持部と、
前記制御装置を支持する第二の支持部と、を備え、
前記制御装置は、
前記電磁ブレーキが接続される接続部を更に備える、
ことを特徴とする電動シリンダ。
【請求項17】
モータを駆動するための直流電圧が入力される第一の入力端子及び第二の入力端子を備えた制御装置のコンピュータに、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子に前記直流電圧が入力されることを契機とする起動処理と、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子に対する前記直流電圧の最初の入力を確認する第一入力確認処理と、
前記第一入力確認処理により、前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの一方の入力端子において前記最初の入力が確認されたとき、どちらの入力端子に前記直流電圧が入力されたかに基づいて前記モータの回転方向を設定する回転方向設定処理と、
前記回転方向設定処理により設定された回転方向で、前記モータを第一の回転速度で動作させる動作処理と、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの他方の入力端子に対する前記直流電圧の第二の入力を確認する第二入力確認処理と、
前記第二入力確認処理により、前記他方の入力端子において前記第二の入力が確認されたとき、前記モータの回転速度を前記第一の回転速度から第二の回転速度へ変更する速度変更処理と、
を実行させるプログラムを記憶した記憶媒体であり、
前記第一入力確認処理は、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの一方の端子に前記直流電圧の入力が所定時間継続中のとき、前記最初の入力が行われたと確定し、
前記第二入力確認処理は、
前記第一の入力端子及び前記第二の入力端子の双方に前記直流電圧の入力が所定時間継続中のとき、前記第二の入力が行われたと確定する、
ことを特徴とする記憶媒体。
【請求項18】
モータを駆動するための直流電圧が入力される第一の入力端子及び第二の入力端子を備えた制御装置のコンピュータに、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子に前記直流電圧が入力されることを契機とする起動処理と、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子に対する前記直流電圧の最初の入力を確認する第一入力確認処理と、
前記第一入力確認処理により、前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの一方の入力端子において前記最初の入力が確認されたとき、どちらの入力端子に前記直流電圧が入力されたかに基づいて前記モータの回転方向を設定する回転方向設定処理と、
前記回転方向設定処理により設定された回転方向で、前記モータを第一の回転速度で動作させる動作処理と、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの他方の入力端子に対する前記直流電圧の第二の入力を確認する第二入力確認処理と、
前記第二入力確認処理により、前記他方の入力端子において前記第二の入力が確認されたとき、前記モータの回転速度を前記第一の回転速度から第二の回転速度へ変更する速度変更処理と、を実行させ、
前記第一入力確認処理は、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの一方の端子に前記直流電圧の入力が所定時間継続中のとき、前記最初の入力が行われたと確定し、
前記第二入力確認処理は、
前記第一の入力端子及び前記第二の入力端子の双方に前記直流電圧の入力が所定時間継続中のとき、前記第二の入力が行われたと確定する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを駆動源とする電動シリンダ等のロボットが提案されている(例えば特許文献1~3)。このようなロボットのうち、モータの制御回路をロボットの一部に組み込んだものも提案されている(例えば特許文献3)。モータの回転方向を制御する場合、一般には、モータの駆動電圧と、モータの回転方向を指示する信号電圧とが必要とされる。モータの駆動電圧と信号電圧とが異なる場合、PLC等の上位の装置が複数種類の電源を必要とし、かつ、電圧毎の配線も必要となり、システム構成が複雑になる場合がある。特許文献4にはモータの駆動電圧が選択的に入力される二つの入力端子を備え、駆動電圧が入力された入力端子かどちらの入力端子であるかを判別してモータの回転方向を設定する制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4531079号公報
【文献】特開2000-60182号公報
【文献】特許第5268096号公報
【文献】特許第6541827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータの制御においては、回転方向に加えて回転速度の変更が求められる場合が多い。モータの回転速度の切り替えを指示する信号電圧が別途必要とされるとシステム構成が複雑になる場合がある。
【0005】
本発明の目的は、比較的シンプルなシステム構成で、モータの回転方向と回転速度を制御可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
モータの制御装置であって、
前記モータを駆動するための直流電圧が入力される第一の入力端子及び第二の入力端子と、
前記モータを制御する制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子に対する前記直流電圧の最初の入力を確認する第一入力確認処理と、
前記第一入力確認処理により、前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの一方の入力端子において前記最初の入力が確認されたとき、どちらの入力端子に前記直流電圧が入力されたかに基づいて前記モータの回転方向を設定する回転方向設定処理と、
前記回転方向設定処理により設定された回転方向で、前記モータを第一の回転速度で動作させる動作処理と、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子のうちの他方の入力端子に対する前記直流電圧の第二の入力を確認する第二入力確認処理と、
前記第二入力確認処理により、前記他方の入力端子において前記第二の入力が確認されたとき、前記モータの回転速度を前記第一の回転速度から第二の回転速度へ変更する速度変更処理と、を実行
前記制御装置は、
グランド端子を更に備え、
前記直流電圧は、前記グランド端子と、前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子に印加され、
前記第一入力確認処理および前記回転方向設定処理は、正電圧が入力されることで実行され、
前記第一の入力端子又は前記第二の入力端子の少なくとも一方に対する前記正電圧の供給中は、前記モータに駆動電圧が供給される、
ことを特徴とする制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、比較的シンプルなシステム構成で、モータの回転方向と回転速度を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】システム構成の説明図。
図2】制御装置及びドライブ回路の回路ブロック図。
図3】制御装置の処理例を示すフローチャート。
図4】制御装置の処理例を示すフローチャート。
図5】制御の処理の進行例を示すタイミングチャート。
図6】制御の処理の進行例を示すタイミングチャート。
図7】搬送装置の説明図。
図8図7の搬送装置の説明図。
図9】モータの回転速度の変更に関する情報の例を示す図。
図10】制御装置の処理例を示すフローチャート。
図11】制御の処理の進行例を示すタイミングチャート。
図12】制御の処理の進行例を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第一実施形態>
<システムの構成>
図1は電動シリンダ2の駆動制御を行う制御システム1の説明図である。制御システム1は電動シリンダ2と、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)3と、リモートI/O4とを備える。PLC3はリモートI/O4を介して電動シリンダ2の制御を行う。電動シリンダ2には後述する制御装置5及びドライブ回路6が内蔵されており、PLC3は制御装置5に対する上位の装置である。
【0011】
電動シリンダ2は、シリンダユニットSUとモータユニットMUとを備える。シリンダユニットSUは筐体21Aと、ロッド22と、ボールナット23と、ボールねじ軸24とを備える。モータユニットMUは筐体21Bと、モータMと、電磁ブレーキBkと、ロータリエンコーダECと、制御装置5と、ドライブ回路6とを備える。筐体21Aはd1方向に延びる筒体であり、その一方端部においてモータユニットMUの筐体21Bと連結されている。筐体21Aと筐体21Bとで全体として一つの筐体を構成している。
【0012】
筐体21Bの一方端部は閉鎖されており、ここに配線接続部25が固定されている。配線接続部25は、例えば、電動シリンダ2とリモートI/O4とを接続する配線(例えば多芯ケーブル)が着脱自在に接続されるコネクタである。ロッド22は筐体21Aに対して進退可能に支持され、モータユニットMUのモータMの駆動力により矢印d1方向に進退する動作部である。モータMは筐体21Bに収容される。本実施形態の場合、モータMはブラシレスモータであるがブラシレスモータ以外のモータであってもよい。
【0013】
ロッド22に対するモータMの駆動力の伝達機構は、本実施形態の場合、ボールねじ機構であるがボールねじ機構以外の伝達機構であってもよい。ロッド22の一端部に設けられる後述する穴22a内にボールナット23が固定されている。ボールナット23はd1方向にスライド可能で、かつ、回転不能に筐体21A内に配置されている。筐体21A内にはd1方向に離間して、かつ、ボールナット23を挟んでストッパ21a及び21bが設けられている。ストッパ21a及び21bはボールナット23と当接することにより、ボールナット23の移動を規制する。すなわち、ボールナット23はストッパ21aとストッパ21bとの間においてd1方向にスライド可能である。
【0014】
モータMの出力軸M1にはボールねじ軸24が接続されている。出力軸M1とボールねじ軸24は、平行、かつ、同軸上に配置されており、ボールねじ軸24のねじ溝にボールナット23が噛み合わされている。ロッド22の一端部(筐体21Aから出没する方とは反対側の端部)にはボールねじ軸24との干渉を回避するための穴22aがその軸方向に形成されている。穴22aはボールねじ軸24を挿入可能な有底の穴であり、穴22aを取り囲む円筒部22bがボールねじ軸24を覆うシース部である。ロッド22の一端部とボールナット23は接続され、双方は一体的に移動可能である。
【0015】
モータMを駆動するとボールねじ軸24が回転し、ボールナット23がd1方向に移動するとともにロッド22が移動する。モータMの回転方向に応じてロッド22が筐体21Aから外部へ突出する方向に移動し(前進動作と呼ぶ場合がある)、又は、筐体21A内に収容される方向に移動する(後退動作と呼ぶ場合がある)。このとき、ストッパ21aがロッド22の前進動作限、ストッパ21bがロッド22の後退動作限を規定する。
【0016】
筐体21B内には電磁ブレーキBkが収容されている。電磁ブレーキBkは、出力軸M1の先端近傍に接続して設けられる。電磁ブレーキBkは、通電時には出力軸M1と接触することはなく、出力軸M1の回転を妨げることはなく(非制動状態)、非通電時(電源遮断時)には出力軸M1と接触し、出力軸M1の回転を完全に停止させる(制動状態)。モータMおよび電磁ブレーキBkは筐体21Bの支持部8に支持されている。
【0017】
筐体21B内には、また、制御装置5が収容されている。本実施形態の場合、制御装置5は不図示のハーネスでドライブ回路6と電気的に接続された回路基板である。制御装置5とドライブ回路6とを一つの回路基板で構成することも可能であるが、複数の回路基板で構成することで、配置の自由度が向上する場合がある。制御装置5は筐体21Bの支持部7に支持されている。
【0018】
制御装置5とドライブ回路6は、それらの基板面が互いに平行となるように配置されており、かつ、基板面と直交する方向(本実施形態ではd1方向)に互いに離間して配置されている。本実施形態では、筐体21Bがd1方向に細長い構成となっている。制御装置5とドライブ回路6をd1方向に離間した配置とすることで、必要な電子回路部品を筐体21B内にコンパクトに収容することができる。
【0019】
電動シリンダ2には、また、検知デバイスとなるリミットセンサ26a、26bが設けられている。リミットセンサ26a、26bは例えば機械式スイッチである。リミットセンサ26aは、ボールナット23がストッパ21aに当接する位置に到達したことを検知するセンサである。リミットセンサ26bは、ボールナット23がストッパ21bに当接する位置に到達したことを検知するセンサである。リミットセンサ26a、26bはPLC3に接続されており、PLC3はボールナット23の位置を検知すること、つまり、電動シリンダ2の動作確認を行うことができる。
【0020】
図2を参照して制御装置5及びドライブ回路6の構成について説明する。同図は制御装置5及びドライブ回路6の回路ブロック図である。制御装置5は、配線接続部25に接続される端子5a~5dを備える。したがって、電動シリンダ2とリモートI/O4との間の配線は、これら端子5a~5dの数の配線を含む。リモートI/O4は、PLC3と、不図示の入出力機器との間に配置され、入出力機器とPLC3の入力信号および出力信号の中継を行う。また、リモートI/O4は、入出力機器および制御装置5の制御電源の供給を行う。入出力機器のうち、入力機器としては各種のセンサや、作業者により操作される操作スイッチを挙げることができ、出力機器としては電動シリンダ2を含む各種のアクチュエータや、異常発生時の警報装置(ランプやブザー)を挙げることができる。
【0021】
端子5a及び端子5bは、モータMを駆動するための直流の電圧V1が入力される入力端子としての第一の入力端子および第二の入力端子である。電圧V1はリモートI/O4から出力信号として出力される例えばDC24Vの正電圧である。PLC3は、モータMの回転動作をさせる出力信号を出力し、制御の目標とする、モータMの回転方向に応じて、電圧V1を最初に入力する端子を選択する(言い換えると、リモートI/O4の出力部を選択する)。PLC3は、モータMを正転(CW)させる場合は、端子5aに接続されるリモートI/O4の第1の出力部から出力信号を出力することで電圧V1を供給し、モータMを逆転(CCW)させる場合は、端子5bに接続されるリモートI/O4の第2の出力部から出力信号を出力することで電圧V1を供給する。また、PLC3は、モータMの回転速度を途中で変える場合、端子5a及び端子5bにそれぞれ接続されるリモートI/O4の第1の出力部および第2の出力部の双方から出力信号を出力することで端子5a及び端子5bに電圧V1を供給する。
【0022】
具体的には、モータMの回転速度を途中で変える場合、PLC3は、端子5a及び端子5bのいずれか一方の端子(例えば、端子5a)に電圧V1の供給を継続させた状態のまま、他方の入力の端子(例えば、端子5b)に電圧V1の供給を継続して行う。モータMの回転速度の変更を変えるタイミングとしては、例えば、速度変更の入力信号(例えば、不図示の速度変更用センサの入力やエンコーダECのパルス値の設定値)をPLC3が検出したタイミングである。
【0023】
端子5cは電磁ブレーキBkを駆動するための制御信号(通電時の電圧はV1)が入力される入力端子である。端子5dはコモン線(GND)が接続されるグランド端子である。本実施形態においては、端子5cおよび端子5dは、リモートI/O4の制御信号出力部と、グランド端子とに接続される。
【0024】
制御装置5は、直流の電圧V1の他、直流の電圧V2及び電圧V3が混在する回路である。本実施形態の場合、これら電圧の大小関係は、V1>V2>V3であり、電圧V2は例えば5Vであり、電圧V3は例えば3.3Vである。図2において、電圧V1の配線は実線で、電圧V2の配線は一点鎖線で、電圧V3の配線は二点鎖線で、それぞれ図示している。
【0025】
制御装置5は、また、制御回路(制御ユニット)51、電源回路52、レベル変換回路53a及び53b、レベル変換回路54a及び54b、ロジックIC55、フォトカプラ56、及び、入力ユニット57を備える。また、制御装置5は、ドライブ回路6との間でモータMの動作制御用の入出力信号の通信を行う通信端子部(端子5h、端子5i、端子5l)および、モータMの動作電源の電圧供給を行うモータ電圧供給部(端子5e、端子5f、端子5g)を備える。また、制御装置5は、外部入出力機器と接続される外部機器入出力部(端子5c、端子5k、端子5j)を備える。
【0026】
制御回路51は、本実施形態の場合、電圧V3で動作する汎用マイコンであり、CPU51aと、メモリ51bと、I/Oインタフェース51cと、PWM信号発生回路51dとを備える。CPU51はメモリ51bに記憶されたプログラムを実行し、モータMの駆動を制御する。メモリ51bは例えばRAMやROMである。メモリ51bに格納されるプログラムは、CDROM等の記憶媒体によって頒布され、別のコンピュータで記憶媒体からプログラムが読み取られてメモリ51bにダウンロードされてもよい。PWM信号発生回路51dは、モータMを駆動するためのPWM信号を発生する回路であり、例えば、プログラマブルカウンタ・タイマである。
【0027】
制御回路51が備える複数の入力ポートのうちの一つには、レベル変換回路53aを介して端子5aが接続され、別の一つには、レベル変換回路53bを介して端子5bが接続される。これらの入力ポートは、制御回路51の動作用の電源電圧、モータMの動作用の電源電圧、および、モータMの回転方向や速度変更を設定する信号用の電圧が入力されるポートである。
【0028】
端子5a、5bに入力される電圧レベルはV1であり、制御回路51の動作電圧レベルはV3である。レベル変換回路53aは、端子5aと制御回路51との間に設けられ、レベル変換回路53bは、端子5bと制御回路51との間に設けられている。レベル変換回路53a及び53bは電圧V1を制御回路51に入力可能な電圧レベルの信号に変換する。本実施形態の場合、レベル変換回路53a、53bは電圧V1から電圧V3に電圧レベルを変換する。なお、端子5a、5bに入力される電圧レベルと制御回路51の動作電圧レベルとが等しい場合、レベル変換回路53a、53bは不要である。
【0029】
レベル変換回路53aは、本実施形態の場合、トランジスタをスイッチング素子として用いた回路であり、トランジスタのベースに抵抗を介して端子5aが接続され、コレクタに抵抗を介して電圧V3が印加されている。端子5aに0Vが入力されている場合は、トランジスタがOFFであり、制御回路51の対応入力ポートには電圧V3が入力される。端子5aに電圧V1が入力されるとトランジスタがONとなって制御回路51の対応入力ポートには0Vが入力される。
【0030】
レベル変換回路53bも同様の構成であり、端子5bに0Vが入力されている場合は、トランジスタがOFFであり、制御回路51の対応入力ポートには電圧V3が入力される。端子5bに電圧V1が入力されるとトランジスタがONとなって制御回路51の対応入力ポートには0Vが入力される。
【0031】
既に説明したとおり、PLC3は、制御の目標とする、モータMの回転方向に応じて、端子5a又は端子5bに電圧V1を最初に供給する。制御回路51は、電圧V1が端子5aと端子5bのいずれの端子に入力されたかに基づいてモータMの回転方向を設定し、回転方向を示す制御信号を出力ポートP1から出力する。端子5a又は端子5bへの電圧V1の入力は、一定時間継続することで有効化される。
【0032】
ロジックIC55は電圧V2で動作するICであり、複数種類の論理回路を含む。ロジックIC55は出力ポートP1から出力された信号の電圧レベルを電圧V3から電圧V2に変換して端子5iに出力する。これは後述するモータ制御IC61の動作電圧がV2であることに起因しているが、出力電圧の安定化等にも寄与する。
【0033】
電源回路52は、端子5a又は端子5bに入力された電圧V1から制御装置5の電源電圧を生成する回路である。本実施形態の場合、制御装置5の電源電圧はV2及びV3であり、電源回路52は電圧V2を生成する電源回路52aと、電圧V3を生成する電源回路52bとを備える。
【0034】
電源回路52aには、逆流防止用のダイオードD1、D2を介して端子5a、5bが接続されており、電圧V1を降圧して電圧V2を生成する。電源回路52bは、電源回路52aから出力される電圧V2を降圧して電圧V3を生成する。こうして本実施形態では、端子5a又は端子5bのいずれかに電圧V1が連続して供給されれば、制御装置5の電源電圧を確保できる。
【0035】
制御回路51は、また、電圧V1が端子5a又は端子5bのいずれかの端子に入力されると、PWM信号を出力ポートP2から出力する。出力ポートP2から出力されたPWM信号はロジックIC55によって電圧レベルが電圧V3から電圧V2に変換されて端子5hに出力される。既に説明したとおり、PLC3は、モータMの回転速度を途中で変える場合、端子5a及び端子5bの双方に電圧V1を供給する。制御回路51は、PWM信号発生回路51dのPWM信号のデューティ比の設定を変更することで、モータMの回転速度を変更する。
【0036】
制御回路51は、入力ユニット57に対する入力結果に基づいてPWM信号のデューティ比の設定又は変更を行う。入力ユニット57は、モータMの回転速度を調整可能なユニットであり、駆動開始時のモータMの回転速度を調整する設定ユニットとなるスイッチ57aと、回転速度の変更設定時のモータMの回転速度を調整する設定ユニットとなるスイッチ57bとを備える。スイッチ57a、57bによって、ロッド22の最初の移動速度及び後の移動速度を独立して調整可能である。
【0037】
スイッチ57a、57bは、本実施形態の場合、電圧V3が供給されるロータリースイッチであり、接点の切り替えにより、複数種類の速度の中から一の速度を選択可能となっている。図1に示すように、筐体21は入力ユニット57を外部に露出させる開口部21cを備えており、作業者は、開口部21cを通して、スイッチ57a、57bの接点切替えを行うことが可能である。なお、スイッチ57a、57bはロータリースイッチに限られず、ディップスイッチ等、他のスイッチでもよい。
【0038】
なお、本実施形態においては、切り替えスイッチ等の物理的な入力デバイスを採用している。しかし、メモリ51bに速度設定値の記憶エリアとなる速度設定記憶部を設けて、速度設定値を記憶することにより、速度設定を行ってもよい。この速度設定記憶部を複数設け、更に複数の速度設定を可能にし、モータMの速度変更を行ってもよい。この方式の場合、入力ユニット57を省略してもよい。また、入力ユニット57および速度設定記憶部を併用しても良い。併用するときは、例えば、入力ユニット57による設定を基準の速度として設定し、その上で速度設定記憶部の速度に変更してもよい。
【0039】
レベル変換回路54a、54bにはロータリエンコーダECの出力信号(例えば位相差がある信号)がドライブ回路6の端子6l、6m及び制御装置5の端子5l、5mを介して入力される。本実施形態の場合、ロータリエンコーダECの動作電圧はV2であり、制御回路51の動作電圧レベルはV3である。レベル変換回路54aは、端子5lと制御回路51との間に設けられ、レベル変換回路54bは、端子5mと制御回路51との間に設けられている。レベル変換回路54a及び54bは電圧V2を制御回路51に入力可能な電圧レベルの信号に変換する。本実施形態の場合、レベル変換回路54a、54bは電圧V2から電圧V3に電圧レベルを変換する。なお、ロータリエンコーダECの出力信号の電圧レベルと制御回路51の動作電圧レベルとが等しい場合、レベル変換回路54a、54bは不要である。
【0040】
レベル変換回路54aは、本実施形態の場合、トランジスタをスイッチング素子として用いた回路であり、トランジスタのベースに抵抗を介して端子5lが接続され、コレクタに抵抗を介して電圧V3が印加されている。端子5lに0Vが入力されている場合は、トランジスタがOFFであり、制御回路51の対応入力ポートには電圧V3が入力される。端子5lに電圧V2が入力されるとトランジスタがONとなって制御回路51の対応入力ポートには0Vが入力される。
【0041】
レベル変換回路54bも同様の構成であり、端子5mに0Vが入力されている場合は、トランジスタがOFFであり、制御回路51の対応入力ポートには電圧V3が入力される。端子5mに電圧V2が入力されるとトランジスタがONとなって制御回路51の対応入力ポートには0Vが入力される。
【0042】
制御回路51は、ロータリエンコーダECの出力信号から、例えば、モータMが回転しているか否かを判別することができる。
【0043】
制御装置5は、電磁ブレーキBk(外部出力部に接続される機器)が接続される端子5j、5kを備える。電磁ブレーキBkの+側に接続される端子5jは端子5cとダイオードD3を介して接続されている。電磁ブレーキBkの駆動電圧はV1であり、メンテナンスの場合等に、PLC3から端子5cに電圧V1を入力することで電磁ブレーキBkを作動させることができる。電磁ブレーキBkの-側に接続される端子5kは、GNDに接続されると共にダイオードD4を介して端子5jに接続されており、電磁ブレーキBkのON→OFF時における逆起電力を抑制する。
【0044】
端子5jには、また、フォトカプラ56の受光素子56bの出力が入力可能となっている。フォトカプラ56は、発光ダイオード等の発光素子56aと、フォトトランジスタやフォトMOSFET等の受光素子56bとを備える。発光素子56aには、電圧V3が印加されており、制御回路51が備えるポートのHigh、Lowの切り替えにより、消灯、発光を制御可能となっている。受光素子56bには、電圧V1が印加されており、発光素子56aが発光すると、端子5jを介して電磁ブレーキBkに電圧V1が入力される。制御回路51は、モータMを停止させる場合に、発光素子56aを消灯することで電磁ブレーキBkを制動状態とすると共にPWM信号の出力を停止し、ロッド22の移動を瞬時に停止させると共に停止状態を保持することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、ブレーキとして電磁ブレーキBkを採用したが、電磁ブレーキBkに代えて機械式ブレーキ機構を設けてもよい。
【0046】
次に、ドライブ回路6について説明する。ドライブ回路6は、電圧V1及び電圧V2が混在する回路である。ドライブ回路6は、端子6a~6cを備える。端子6a~6cは、制御装置5の端子5e~5gとそれぞれ接続され、電圧V1の供給、電圧V2の供給及びGNDの接続がなされる。端子6bに入力される電圧V2はロータリエンコーダECや、モータ制御IC61に供給され、これらを動作させる。端子6aに入力される電圧V1はFET62に供給され、FET62を動作させる。
【0047】
ドライブ回路6は端子6e、6dを備える。端子6eには端子5iを介してモータMの回転方向を示す制御信号が入力され、この制御信号はモータ制御IC61に入力される。端子6dには端子5hを介してPWM信号が入力され、PWM信号はモータ制御IC61に入力される。
【0048】
ドライブ回路6は端子6i~6kを備える。端子6i~6kはモータMのホール素子h1~h3が接続され、ホール素子からの信号がモータ制御IC61に入力される。なお、各ホール素子h1~h3にはドライブ回路6から電圧V2の駆動電圧が供給される。ドライブ回路6は端子6f~6hを備える。端子6f~6hはモータMのモータ巻線と接続される。
【0049】
モータ制御IC61とFET62とはモータMを駆動する回路である。モータ制御IC61は、制御回路51からの、モータMの回転方向を示す制御信号及びPWM信号と、ホール素子h1~h3からの信号とに基づき、モータMの各相の通電を切り替えるFET62のスイッチング信号を生成してFET62に出力する(電圧V2)。FET62は、スイッチング信号により各相に対する電圧V1の供給を行い、モータMが回転することになる。
【0050】
<システムの動作例>
次に、システム1の動作例について説明する。作業者は事前に、スイッチ57a、57bによって、モータMの駆動開始時、回転速度の変更設定時の各回転速度(換言するとロッド22の移動速度)をセットする。その後、PLC3の動作を開始させる。ここでは、モータMを正転させる場合は電圧V1を端子5aに入力(端子5bは未入力と)し、モータMを逆転させる場合は電圧V1を端子5bに入力(端子5aは未入力と)するようにPLC3がプログラムされている場合を想定する。また、モータMが正転するとロッド22が前進動作を行い、逆転すると逆転動作を行う場合を想定する。
【0051】
まず、モータMを正転させる場合について説明する。PLC3は端子5aに電圧V1を供給する。具体的にはPLC3のプロセッサが、PCL3の記憶デバイスに記憶されるプログラムを実行し、リモートI/O4に対して出力部を指定して、出力信号の出力を指示する。その指示に応答してリモートI/O4が出力信号を継続して出力することで、リモートI/O4の出力部と接続する端子5aに電圧V1が供給される。端子5aに電圧V1が入力されると、電源回路52によって制御装置5に必要な電源電圧V2とV3とが確保され、制御回路51のCPU51aがメモリ51bに記憶されたプログラムを実行する。
【0052】
また、CPU51aは、端子5a、端子5bの各対応入力ポートの状態を取得し、電圧V1が端子5aに継続して入力されていることを認識して、モータMの回転方向を正転に設定する。CPU51aは、スイッチ57aに対応する入力ポートの状態を取得し、PWM信号のデューティ比を設定する。CPU51aは、モータMの回転方向を示す制御信号とPWM信号とを出力させる。また、ロータリエンコーダECの出力信号の監視を開始する。更にCPU51aは、PWM信号の出力開始後の所定時間(例えば100msec)の経過後に、発光素子56aを発光させ、電磁ブレーキBkを非制動状態とする。
【0053】
モータ制御IC61は、制御回路51からの制御信号とPWM信号とに基づいてモータMの駆動を開始する。モータMの駆動によりロッド22が前進動作を開始する。前進動作の途中(電圧V1が端子5aに継続して供給されている状態)でPLC3により端子5bにも電圧V1を供給すると、モータMの回転速度が変更される。CPU51aは、スイッチ57bに対応する入力ポートの状態を取得し、PWM信号のデューティ比を設定する。これにより、モータMの回転速度(ロッド22の前進速度)が変化する。
【0054】
ボールナット23がストッパ21aに当接する位置まで移動するとモータMが回転することができなくなる。CPU51aは、ロータリエンコーダECの出力信号が一定時間変化しなくなると、ボールナット23がストッパ21aに当接したとみなして、制御信号とPWM信号の出力を停止してモータMの回転を停止する。また、発光素子56aを消灯して電磁ブレーキBkを制動状態としてモータM(出力軸M1)の回転を確実に停止させる。
【0055】
ボールナット23がストッパ21aに当接する位置まで移動したことは、リミットセンサ26aでも検知され、リミットセンサ26aの出力信号によってPLC3がこれを認識する。PLC3は所定時間の経過後(例えば、CPU51aが発光素子56aを消灯して電磁ブレーキBkを制動状態とした後、所定時間経過後(例えば10msec後)にPWM出力信号を停止する処理を実行するのに必要な時間の経過後)、端子5a、5bに対する電圧V1の入力を停止する。
【0056】
次にモータMを逆転させる場合について説明するが、モータMを正転させる場合と基本的に同じである。
【0057】
PLC3は端子5bに電圧V1を供給する。具体的にはPLC3のプロセッサがPCL3の記憶デバイスに記憶されるプログラムを実行し、リモートI/O4に対して出力部を指定して、出力信号の出力を指示する。その指示に応答してリモートI/O4が出力信号を継続して出力することで、リモートI/O4の出力部と接続する端子5aに電圧V1を供給する。端子5bに電圧V1が入力されると、電源回路52によって制御装置5に必要な電源電圧V2とV3とが確保され、制御回路51のCPU51aがメモリ51bに記憶されたプログラムを実行する。
【0058】
また、CPU51aは、端子5a、端子5bの各対応入力ポートの状態を取得し、電圧V1が端子5bに継続して入力されていることを認識して、モータMの回転方向を逆転に設定する。CPU51aは、スイッチ57bに対応する入力ポートの状態を取得し、PWM信号のデューティ比を設定する。CPU51aは、モータMの回転方向を示す制御信号とPWM信号とを出力させる。また、ロータリエンコーダECの出力信号の監視を開始する。更にCPU51aは、PWM信号の出力開始後の所定時間(例えば100msec)の経過後に、発光素子56aを発光させ、電磁ブレーキBkを非制動状態とする。
【0059】
モータ制御IC61は、制御回路51からの制御信号とPWM信号とに基づいてモータMの駆動を開始する。モータMの駆動によりロッド22が後退動作を開始する。後退動作の途中(電圧V1が端子5bに継続して供給されている状態)でPLC3により端子5aにも電圧V1が供給されると、モータMの回転速度が変更される。CPU51aは、スイッチ57bに対応する入力ポートの状態を取得し、PWM信号のデューティ比を設定する。これにより、モータMの回転速度(ロッド22の後退速度)が変化する。
【0060】
ボールナット23がストッパ21bに当接する位置まで移動するとモータMが回転することができなくなる。CPU51aは、ロータリエンコーダECの出力信号が一定時間変化しなくなると、ボールナット23がストッパ21bに当接したとみなして発光素子56aを消灯して電磁ブレーキBkを制動状態とし、更に、制御信号とPWM信号の出力を停止してモータM(出力軸M1)の回転を確実に停止させる。
【0061】
ボールナット23がストッパ21bに当接する位置まで移動したことは、リミットセンサ26bでも検知され、リミットセンサ26bの出力信号によってPLC3がこれを認識する。PLC3は所定時間の経過後、端子5bに対する電圧V1の入力を停止する。以上により、電動シリンダ2の前進動作、後退動作を繰り返し行うことができる。
【0062】
ボールナット23の移動停止については、ボールナット23の移動方向に設けられるストッパ21a、21bに当接することにより停止する以外に、モータの故障などによる停止、または、障害物に干渉することによる停止が挙げられる。これらの停止については、モータMやボールナット23の動作時間の監視、ロータリエンコーダECの出力信号の監視、およびリミットセンサ26a、26bの検出状態の監視の組合せにより検出を行うことができる。
【0063】
<制御装置の処理例>
上述したシステム1の動作例におけるCPU51aの処理例について図3及び図4を参照して説明する。図3及び図4はメモリ51bに記憶されるプログラムのフローチャートでありCPU51aはこれらの図の処理を所定の周期で繰り返し実行する。図3は端子5a及び端子5bの入力確認処理、回転方向設定処理及び回転速度変更処理である。図4はモータMの動作処理である。
【0064】
端子5a又は端子5bの少なくとも一方に電圧V1が供給されると、これを契機として、電源回路52によって制御装置5に必要な電源電圧V2とV3とが確保され、CPU51aが起動する。CPU51aは起動処理ののち、図3の処理を開始する。
【0065】
S1では端子5a、端子5bの各対応入力ポートの状態を取得する。各入力ポートの状態(以下、ポート入力状態という)は、端子5a/端子5bで表すと、ON/OFF、OFF/ON、ON/ONの3パターンのうちのいずれかである。S2ではS1で取得したポート入力状態が、前回の図3の処理時に取得したポート入力状態と同じか否かを判定する。前回の処理時のポート入力状態はメモリ51bに格納され、後述するS3で更新される。同じ場合はS5へ進み、同じでない場合はS3へ進む。初回の処理時にはS3へ進むことになる。
【0066】
S3ではS1で取得したポート入力状態の情報をメモリ51bに格納する。この情報は上記の通り、S2での判定に用いられる。S4ではタイマの値をリセットする。このタイマは、同じポート入力状態が継続した時間を計時するタイマである。
【0067】
S5ではタイマが閾値以上であるか否かを判定する。タイマが閾値以上の場合とは、同じポート入力状態が所定時間継続したことを意味する。本実施形態では同じポート入力状態が所定時間継続中である場合に、端子5a又は端子5bの入力が確定したものとして取り扱う。これにより、入力信号の耐チャタリング性や耐ノイズ性を向上できる。確定内容はメモリ51bに格納されているポート入力状態である。閾値は例えば10msecに相当する値である。タイマが閾値以上であると判定した場合はS7へ進み、閾値未満であると判定した場合はS9へ進む。S9ではタイマを加算して処理を終了する。
【0068】
S6ではモータMの回転方向が設定済みか否かを判定する。回転方向の設定情報はメモリ51bに格納される。未設定の場合はS7へ進み、設定済みの場合はS10へ進む。S7では、S5で確定したポート入力状態が、端子5a/端子5b=ON/ONか否かを判定する。つまり、端子5a、端子5bに同時に電圧V1が入力されているか否かを判定する。端子5a/端子5b=ON/ONであると、モータMの回転方向の設定段階では、PLC3からの回転方向の指示を判別することができないので処理を終了する。端子5a/端子5b=ON/OFF、又は、端子5a/端子5b=OFF/ONであればS8へ進む。
【0069】
S8ではモータMの回転方向を設定する。S5で確定したポート入力状態が、端子5a/端子5b=ON/OFFの場合、モータMの回転方向を正転(CW)に設定する。S5で確定したポート入力状態が、端子5a/端子5b=OFF/ONの場合、モータMの回転方向を逆転(CCW)に設定する。回転方向が設定されるとモータMの駆動が開始される。その後、処理を終了する。
【0070】
S10ではS5で確定したポート入力状態が、端子5a/端子5b=ON/ONか否かを判定する。S7と同様の処理である。端子5a/端子5b=ON/ONであればS11へ進み、端子5a/端子5b=ON/ONでなければ処理を終了する(速度変更を行わない)。S11ではモータMの回転速度を駆動開始時の初期回転速度(スイッチ57aの設定速度)から、変更設定時の回転速度(スイッチ57bの設定速度)に変更する。以上により処理を終了する。
【0071】
図4を参照する。S21では回転方向が未設定の状態から設定されたか否かを判定する。設定された場合はS22へ進み、設定されていない場合及び既に設定されていた場合はS23へ進む。S22ではモータMの駆動を開始する。モータMの回転方向は設定にしたがい、回転速度は駆動開始時の初期回転速度(スイッチ57aの設定速度。通常回転速度。)とする。PWM信号発生回路51dからPWM信号が出力される。電磁ブレーキBkが非制動状態とされる。
【0072】
S23では回転速度の変更が未設定の状態から設定されたか否かを判定する。設定された場合はS24へ進み、設定されていない場合及び既に設定されていた場合はS25へ進む。S24ではモータMの回転速度を初期回転速度から変更設定時の回転速度に変更する。PWM信号発生回路51dから出力されるPWM信号のデューティ比が変更される。
【0073】
S25ではモータMの停止条件が成立したか否かを判定する。本実施形態の場合、ロータリエンコーダECの出力信号が一定時間変化しなくなると、停止条件が成立したと判定される。停止条件が成立したと判定した場合、S26へ進み、成立しないと判定した場合は処理を終了する。
【0074】
S26では制御信号とPWM信号の出力を停止してモータMの回転を停止する。また、発光素子56aを消灯して電磁ブレーキBkを制動状態としてモータM(出力軸M1)の回転を確実に停止させる。以上により処理が終了する。
【0075】
図5は、図3及び図4で説明した制御装置5の処理の進行に伴う、制御回路51の起動状態(CPU51aの起動状態)、入力端子5a(CW)、入力端子5b(CCW)、モータMの回転方向の設定、モータMの回転速度の設定、電磁ブレーキBk、モータMの変化の例を示すタイミングチャートである。
【0076】
時間T1で入力端子5aに直流電圧が供給されることで制御装置5に電源が供給(図の例では、入力端子5aがON)され、CPU51aが起動する。入力端子5aへの電圧が供給され続け(図の例では、入力端子5aのONが継続)、CPU51aの起動処理が完了する(時間T1a)。時間T2で入力端子5aのONが閾値を超えて(所定の設定時間以上)継続したと判定され(S5)、さらに、入力端子5aに電圧供給が継続されることでモータMの回転方向が正転(CW)に設定される(S8)。モータMの回転方向は、一度設定されると、モータMの停止(入力端子5a、5bへの入力がどちらもOFFされる)まで変更されない。
【0077】
モータMの回転速度は初期回転速度がH、設定変更後の回転速度がL(H>L)であり、時間T2の段階では初期回転速度Hに設定される。初期回転速度は通常速度であってもよい。回転速度の変更は、低速から高速への変更も可能である。しかし、高速から低速へ変更する方が、加減速期間が短くなり、回転速度の変更を迅速に行える。スイッチ57aで設定可能な回転速度はいずれも、スイッチ57bで設定可能な回転速度のいずれよりも高速の速度であってもよい。また、初期回転速度、又は、設定変更後の回転速度の双方が固定値であってもよいし、一方のみが設定可能な値であってもよい。例えば、初期回転速度はスイッチ57aで設定可能であり、設定変更後の回転速度はスイッチ57aで設定可能ないずれの回転速度よりも低速な固定値であってもよい。
【0078】
時間T2の段階で、モータMの駆動開始、及び、電磁ブレーキBkの通電が開始される。電磁ブレーキBkは通電開始から非制動状態に至るまでに一定の時間を要する。時間T2から少し遅れた時間T3で電磁ブレーキBkが非制動状態となり、モータMも回転を開始する。
【0079】
時間T4で入力端子5bのONが閾値を超えて継続したと判定され(S5)、モータMの回転速度は初期回転速度Hから設定変更後の回転速度Lに変更される(S10)。モータMの回転速度の変更は一度行われると、モータMの停止まで変更されない。時間T4以降、入力端子5a(CW)、入力端子5b(CCW)のON、OFFが切り替わっている時間帯があるが、これによりモータMの回転方向や回転速度を変更することはない。入力端子5a(CW)、入力端子5b(CCW)のいずれか一方に直流電圧V1が供給されていれば、停止条件が成立しない限り、モータMが駆動される。
【0080】
その後、停止条件が成立し、時間T5でモータMの停止と電磁ブレーキBkの非通電による制動状態への移行が行われる。入力端子5a(CW)、入力端子5b(CCW)の入力がOFFすることで、CPU51aのシャットダウン(制御装置5の電源OFF)が行われる。
【0081】
図6は、別の例を示すタイミングチャートである。時間T11で入力端子5a及び5bの双方がONとなりCPU51aが起動する。入力端子5a及び5bの双方がONの期間は、モータMの回転方向が設定されない(S7)。その後、時間T12で入力端子5aがOFFとなっている。時間T13で入力端子5bのONが閾値を超えて継続したと判定され(S5)、モータMの回転方向が逆転(CCW)に設定される(S8)。既に述べた通り、モータMの回転方向は、一度設定されると、モータMの停止(入力端子5a、5bへの入力がどちらもOFFされる)まで変更されない。
【0082】
時間T13の段階で、モータMの駆動開始、及び、電磁ブレーキBkの通電が開始される。電磁ブレーキBkは通電開始から非制動状態に至るまでに一定の時間を要する。時間T13から少し遅れた時間T14で電磁ブレーキBkが非制動状態となり、モータMの回転が開始される時間T14で入力端子5aのONが閾値を超えて継続したと判定され(S5)、モータMの回転速度は初期回転速度Hから設定変更後の回転速度Lに変更される(S10)。既に述べた通りモータMの回転速度の変更は一度行われると、モータMの停止まで変更されない。時間T14以降、入力端子5a(CW)のON、OFFが切り替わっている時間帯があるが、これによりモータMの回転方向や回転速度を変更することはない。入力端子5a(CW)、入力端子5b(CCW)のいずれか一方に直流電圧V1が供給されていれば、停止条件が成立しない限り、モータMが駆動される。
【0083】
その後、停止条件が成立し、時間T16でモータMの停止と電磁ブレーキBkの非通電による制動状態への移行が行われている。
【0084】
以上に述べたとおり、本実施形態では、制御装置5の端子5a及び5bを、制御装置5の動作電圧の入力端子、モータMの駆動電圧の入力端子、及び、モータMの回転方向の制御信号の入力端子、及び、モータMの速度変更の制御信号の入力端子として兼用した。換言すると、駆動電圧を、モータMの回転方向と回転速度の制御信号としても利用した。これにより、PLC3側には、電圧V1を生成する電源があれば足りる。PLC3と電動シリンダ2との間の駆動電圧及び制御信号の配線は2本で足りる。これは、例えば、駆動電圧用の配線と、正転指示用の配線と、逆転指示用の配線と、回転速度指示用の配線とを備えたシステムよりも2本減らすことができる。
【0085】
したがって、比較的シンプルなシステム構成で、モータの回転方向と回転速度を制御することができる。特に、24V等の単一電圧系のシーケンス制御で動作しているシステムの一部に電動シリンダ2を導入したい場合に、周辺設備の変更を少なくして電動シリンダ2を導入できる。
【0086】
<第二実施形態>
上記のモータユニットMUは、電動シリンダ以外にも種々の駆動装置に適用可能である。図7及び図8はモータユニットMUを搬送装置10の駆動ユニットに適用した例を示している。図7は搬送装置10の平面図、図8図7の矢印D方向に見た搬送装置10の正面図である。搬送装置10は、搬送対象物を搬送する搬送部を構成する二つのローラユニット11と、その間に配置された駆動ユニット18とによって構成されるローラコンベアである。
【0087】
ローラユニット11は、複数のローラ13を備え、各ローラ13の一部(最上部)が筐体12から搬送面側に突出している。複数のローラ13は一列に配置されたローラ列を構成しており、一対の支持板14に回転自在に支持されている。各ローラ13には従動側のスプロケット15および駆動側のスプロケット17が取り付けられており、また、スプロケット15及び17には、チェーン16が巻き回されている。これにより、駆動側のスプロケット17の回転駆動に伴い、チェーン16を介して従動側のスプロケット15が回転駆動され、全てのローラ13が一体的に回転する。
【0088】
二つのローラユニット11は平行に配置され、二列のローラ13の列上に搬送対象物が跨って載置される。ローラ13が回転することで搬送対象物が搬送される。
【0089】
駆動ユニット18は、モータユニットMUを備える。モータユニットMUは、筐体180と、筐体180に収容されたモータM、ロータリエンコーダEC、電磁ブレーキBk、減速機184、制御装置5、ドライブ回路6、駆動軸181、プーリ182及び185、及び、ベルト183を備える。
【0090】
本実施形態のモータM、ロータリエンコーダEC、電磁ブレーキBk、制御装置5及びドライブ回路6は第一実施形態のモータM、ロータリエンコーダEC、電磁ブレーキBk、制御装置5及びドライブ回路6と同様のものである。本実施形態においては、モータMの出力軸M1はボールねじ軸24に代わって減速機184と連結される。モータM、ドライブ回路6、ロータリエンコーダEC、電磁ブレーキBk及び減速機184は一体的に連結されている。
【0091】
筐体180はその底部をなすベースプレート180aと、ベースプレート180aに立設された支持部180b、180cを含む。制御装置5は支持部180bに支持されている。減速機184は支持部180cに支持されており、したがって、モータM、ドライブ回路6、ロータリエンコーダEC、電磁ブレーキBkは減速機184を介して支持部18cに支持されている。
【0092】
駆動軸181は、二つのローラユニット11における駆動側の各スプロケット17に連結されている。駆動軸181の途中部位にプーリ(歯付きプーリ)182が取り付けられている。また、減速機184の出力軸にはプーリ(歯付きプーリ)185が取り付けられている。プーリ182とプーリ185には歯付ベルト183が巻き回されている。モータMを駆動すると、その回転力が減速機184から出力され、プーリ185、歯付ベルト183及びプーリ182を介して駆動軸181に伝達される。これにより駆動軸181が回転し、各ローラユニット11の各ローラ13が回転する。
【0093】
本実施形態においても、図3図4に示したフローチャートと同様の処理を制御装置5が実行可能である。この処理により、搬送装置10の搬送方向(モータMの回転方向)や、搬送装置10の搬送速度(モータMの回転速度)を制御することができる。
【0094】
<第三実施形態>
第一実施形態では、モータMの回転速度を2種類の速度で切り替え可能としたが、3種類以上の速度で切り替え可能であってもよい。本実施形態では、ポート入力状態が、端子5a/端子5b=ON/ONの状態の累積時間(の長さ)に応じて、モータMの回転速度を変更する。
【0095】
図9は、モータMの回転速度の変更に関する情報の例を示す。この情報は例えばメモリ51bに設定情報として格納されている。モータMの速度の1回目の変更条件は、端子5a/端子5b=ON/ONの状態(端子5aおよび端子5bの双方に直流電圧が入力された状態)で継続する累積時間が100msecに達することであり、変更後のモータMの速度はMV1である。第一実施形態では、モータMの回転方向が設定されると(S8)、モータMは初期回転速度(通常速度。以下、MV0とする。)で回転を開始する。その後、ポート入力状態が、端子5a/端子5b=ON/ONとなり、この状態で継続する累積時間が100msecに達するとモータMの回転速度がMV1に変更されることになる。
【0096】
同様に、モータMの速度の2回目の変更条件は、端子5a/端子5b=ON/ONの状態で継続する累積時間が200msecに達することである。この条件が成立すると、モータMの回転速度はMV1からMV2に変更される。以下、同様である。本実施形態の場合、変更条件で規定する累積時間は、変更元の回転速度の最小継続の累積時間を規定している。
【0097】
本実施形態の場合、モータMの速度の関係は、初期回転速度>MV1>MV2>MV3...であり、変更毎に減速されていく。しかし、変更毎に増速される設定でもよいし、変更毎に減速又は増速のいずれか一つが行われる設定でもよい。
【0098】
図10はメモリ51bに記憶されるプログラムのフローチャートであり、CPU51aが実行する速度変更処理の例を示す。同図の処理は、第一実施形態の図3のS10及びS11に代わる処理である。
【0099】
S31では、モータMの現在の回転速度の設定が初期回転速度MV0か否かを判定し、初期回転速度MV0である場合はS32へ進み、そうでない場合(MV1等の場合)はS33へ進む。S32では、モータMの回転速度の変更条件となる累積時間と変更後の速度として、1回目の変更条件となる累積時間と速度(図9の例では100msec、MV1)を設定する。
【0100】
S33では、ポート入力状態が、端子5a/端子5b=ON/ONであるか否かを判定し、端子5a/端子5b=ON/ONである場合はS34へ進み、そうでない場合(ON/OFF、OFF/ON、OFF/OFF)は処理を終了する。
【0101】
S34では、累積時間カウンタのカウント値(累積時間)を加算する。累積時間カウンタとは変更条件の成立を判定するためのカウント値(累積時間)をカウントするカウンタである。S35では累積時間カウンタのカウント値が閾値として設定されるカウント値以上となったか否かを判定する。ここでの閾値として設定されるカウント値はS32(又は後述のS37)で設定された変更条件となるカウント値である。カウント値が閾値として設定されるカウント値以上と判定した場合はS36へ進み、そうでない場合は処理を終了する。
【0102】
S36ではモータMの回転速度を、S32(又は後述のS37)で変更後の速度として設定された速度に変更する。S37では、モータMの回転速度の変更条件となるカウント値と変更後の速度を更新する。例えば、S36で1回目の変更が行われた場合は、2回目の変更条件として設定されるカウント値と速度(図9の例では200msec、MV2)を設定する。また、例えば、S36で2回目の変更が行われた場合は、3回目の変更条件として設定されるカウント値と速度(図9の例では300msec、MV3)を設定する。以上により処理が終了する。
【0103】
図11は、図10で説明した制御装置5の処理の進行に伴う、入力端子5a(CW)、入力端子5b(CCW)、及び、モータMの回転速度の設定の変化の例を示すタイミングチャートである。
【0104】
時間T11で入力端子5aに直流電圧が供給されることで制御装置5に電源が供給(図の例では、入力端子5aがON)され、CPU51aが起動する。時間T12で入力端子5aのONが閾値として設定されるカウント値を超えて(所定の設定時間以上)継続したと判定され、モータMの回転方向が正転されて、モータMが初期回転速度MV0で駆動される。
【0105】
時間T13で入力端子5bに直流電圧が供給され、入力端子5a、5bがいずれもONとなる。時間T14で、端子5a/端子5b=ON/ONの状態が所定時間継続し(図9の例では100msec)、モータMの回転速度がMV1に変更される(1回目の変更)。
【0106】
時間T15で、端子5a/端子5b=ON/ONの状態が所定時間継続し(図9の例では200msec)、モータMの回転速度がMV2に変更される(2回目の変更)。時間T16で、端子5a/端子5b=ON/ONの状態が所定時間継続し(図9の例では300msec)、モータMの回転速度がMV3に変更される(3回目の変更)。
【0107】
その後、入力端子5a(CW)、入力端子5b(CCW)の入力がいずれもOFFに変化し、時間T17でモータMの停止が行われる。
【0108】
累積時間カウンタのカウント値(累積時間)は、端子5a/端子5b=ON/ONの場合(端子5aおよび端子5bの双方に直流電圧が入力された場合)に加算が継続され(S33、S34)、端子5a/端子5b=ON/OFFの場合や端子5a/端子5b=OFF/ONの場合(端子5aおよび端子5bのいずれか一方に直流電圧が入力され、端子5aおよび端子5bのいずれか他方に直流電圧が入力されない場合)は加算が停止される。累積時間カウンタのカウント値(累積時間)の加算が停止される間は、現在の回転速度設定が維持されることになる。図12は、図10で説明した制御装置5の処理の進行に伴う、入力端子5a(CW)、入力端子5b(CCW)、及び、モータMの回転速度の設定の変化の別の例を示すタイミングチャートである。
【0109】
時間T21で入力端子5aに直流電圧が供給されることで制御装置5に電源が供給(図の例では、入力端子5aがON)され、CPU51aが起動する。時間T22で入力端子5aのONが閾値として設定されるカウント値を超えて(所定の設定時間以上)継続したと判定され、モータMの回転方向が正転されて、モータMが初期回転速度MV0で駆動される。
【0110】
時間T23で入力端子5bに直流電圧が供給され、入力端子5a、5bがいずれもONとなる。時間T24で、端子5a/端子5b=ON/ONの状態が所定時間継続し(図9の例では100msec)、モータMの回転速度がMV1に変更される(1回目の変更)。
【0111】
時間T25で、端子5a/端子5b=ON/ONの状態が所定時間継続し(図9の例では200msec)、モータMの回転速度がMV2に変更される(2回目の変更)。時間T26で入力端子5b(CCW)の入力がOFFに変化し、累積時間カウンタのカウント値(累積時間)の加算が停止する。時間T27で入力端子5b(CCW)の入力が再びONに変化し、累積時間カウンタのカウント値(累積時間)の加算が再開される。時間T28で、端子5a/端子5b=ON/ONの状態が累積時間で所定時間に達し(図9の例では300msec)、モータMの回転速度がMV3に変更される(3回目の変更)。
【0112】
その後、入力端子5a(CW)、入力端子5b(CCW)の入力がいずれもOFFされ、時間T29でモータMの停止が行われる。
【0113】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12