(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】自動流体注入のためのインターフェース
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20231006BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20231006BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20231006BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
C12Q1/6869 Z
(21)【出願番号】P 2022518656
(86)(22)【出願日】2020-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2020076372
(87)【国際公開番号】W WO2021058456
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-09
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196243
【氏名又は名称】運 敬太
(72)【発明者】
【氏名】ディピエトロ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルバート,ダミオン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ヴイトヴィッチ,ヤヌシュ・ベ
(72)【発明者】
【氏名】ユアン,ロバート・エイ
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0274082(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0212078(US,A1)
【文献】特開2015-037409(JP,A)
【文献】特開2011-099867(JP,A)
【文献】特開2010-127931(JP,A)
【文献】特開2007-236313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
C12Q 1/00-3/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列決定システムとともに使用するための消耗品デバイスであって、
前記消耗品デバイスが、配列決定チップ、フローセル、及びフローセルカバーを含み、
前記配列決定チップが複数のウェルを含み、各ウェルが作用電極を含むものであり、
前記フローセルが、
少なくとも1つの流路であって、前記少なくとも1つの流路が前記配列決定チップの前記複数のウェルの上に配置されるように、前記フローセルが前記配列決定チップの上に配置されるように構成される、少なくとも1つの流路と、
前記少なくとも1つの流路と流体連通する管腔を有する少なくとも1つの入口ボスと、
前記少なくとも1つの流路の少なくとも一部の上方に配置された少なくとも1つの対向電極と、を備えるものであり、
前記フローセルカバーが、
前記フローセルの前記少なくとも1つの入口ボスを受け入れるための少なくとも1つの入口ボスレセプタクルと、
分注チップを受け入れるように構成された少なくとも1つの分注チップレセプタクルであって、前記少なくとも1つの分注チップレセプタクルが前記少なくとも1つの入口ボスレセプタクルと流体連通している、少なくとも1つの分注チップレセプタクルと、
を備えるものである、
前記消耗品デバイス。
【請求項2】
前記配列決定チップが少なくとも
800万個±10%のウェルを含む、請求項1に記載の消耗品デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの分注チップレセプタクルが漏斗形状である、請求項
1又は2に記載の消耗品デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの分注チップレセプタクルが、前記分注チップを通過するように寸法決めされた孔または管腔を介して前記少なくとも1つの入口ボスレセプタクルに接続される、請求項
1~3のいずれか1項に記載の消耗品デバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの入口ボスの前記管腔が一定直径を有する、請求項
1~4のいずれか1項に記載の消耗品デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの入口ボスの前記管腔がテーパ状である、請求項
1~4のいずれか1項に記載の消耗品デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの入口ボスの前記管腔が、面取りされた入口開口部を含む、請求項
1~6のいずれか1項に記載の消耗品デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの入口ボスが、前記分注チップに適合することができる変形可能な材料から作製されている、請求項
1~7のいずれか1項に記載の消耗品デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの入口ボスレセプタクルが、前記少なくとも1つの入口ボスが前記少なくとも1つの入口ボスレセプタクルに挿入されたときに前記少なくとも1つの入口ボスとのギャップを形成するように構成された湾曲面を有する、請求項
1~8のいずれか1項に記載の消耗品デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの入口ボスレセプタクルが、面取りされた開口部を有する、請求項
1~9のいずれか1項に記載の消耗品デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの入口ボスが、単一の入口ボスに組み合わされた複数の入口管腔を備える、請求項
1~10のいずれか1項に記載の消耗品デバイス。
【請求項12】
各入口管腔が円錐状開口部を有し、前記少なくとも1つの分注チップレセプタクルが、前記単一の入口ボスを受け入れるように構成された単一の入口ボスレセプタクルと流体連通する複数の分注チップレセプタクルを備え、前記単一の入口ボスレセプタクルが、各入口管腔の各円錐状開口部と嵌合するように構成された複数の円錐形シール面を備える、請求項11に記載の消耗品デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの分注チップレセプタクルが、穿刺可能な材料によってシールされている、請求項
1~12のいずれか1項に記載の消耗品デバイス。
【請求項14】
配列決定のために消耗品デバイスに流体を送達する方法であって、
消耗品デバイスの分注チップレセプタクルを覆っているシールを通して穿刺ツールを挿入することであって、前記消耗品デバイスが、
配列決定チップであって、前記配列決定チップが複数のウェルを含み、各ウェルが作用電極を含む、配列決定チップと、
フローセルであって、
少なくとも1つの流路であって、前記少なくとも1つの流路が前記配列決定チップの前記複数のウェルの上に配置されるように、前記フローセルが前記配列決定チップの上に配置されるように構成される、少なくとも1つの流路と、
前記少なくとも1つの流路と流体連通する管腔を有する少なくとも1つの入口ボスと、
前記少なくとも1つの流路の少なくとも一部の上方に配置された少なくとも1つの対向電極と、を備える、フローセルと、
フローセルカバーであって、
前記フローセルの前記少なくとも1つの入口ボスを受け入れるための少なくとも1つの入口ボスレセプタクルと、
分注チップを受け入れるように構成された少なくとも1つの分注チップレセプタクルであって、前記少なくとも1つの分注チップレセプタクルが前記少なくとも1つの入口ボスレセプタクルと流体連通している、少なくとも1つの分注チップレセプタクルと、を備える、フローセルカバーとを備える、穿刺ツールを挿入することと、
前記穿刺ツールを前記分注チップレセプタクルから取り外し、前記分注チップレセプタクル内に延在する1つ以上のシール断片を残すことと、
前記1つ以上のシール断片を過ぎて分注チップの遠位端を挿入することと、
前記分注チップの前記遠位端を前記1つ以上のシール断片を過ぎて
挿入した後に、第1の流体が部分液滴として前記遠位端から遠位に延在するように、前記分注チップの前記遠位端から前記第1の流体を部分的に分注することと、
前記部分液滴が前記分注チップレセプタクル内の第2の流体と液体-液体接続を形成するように前記分注チップを前進させることと、を含む、方法。
【請求項15】
前記分注チップと前記少なくとも1つの入口ボスとの間に液密シールを形成するために、前記分注チップの前記遠位端を前記少なくとも1つの入口ボスレセプタクルの前記管腔内に前進させることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記分注チップを通って前記少なくとも1つの流路に流体を送達することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記穿刺ツールによって試薬リザーバのシールを穿刺することをさらに含み、前記第1の流体が前記試薬リザーバ内に貯蔵される、請求項
14~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記シールが穿刺可能キャップである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記試薬リザーバが、ボトルおよびトラフからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
他出願の相互参照
なし
【0002】
参照による援用
本明細書で述べられる全ての刊行物および特許出願は、それぞれの個々の刊行物または特許出願が参照によって組み込まれることが具体的且つ個別に示されるかのように同程度に参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0003】
本発明の実施形態は、一般に、配列決定のためのシステムおよび方法に関し、より詳細には、配列決定システムおよび方法とともに使用されることができる消耗品デバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
近年の半導体産業における微細化の進歩は、バイオテクノロジー専門家が、伝統的にかさばるセンシングツールを、いわゆるバイオチップ上の、より小型のフォームファクタに詰め込むことを開始することを可能にした。バイオチップをより堅牢、効率的、且つ費用効果的にするバイオチップのための技術を開発することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、一般に、配列決定のためのシステムおよび方法に関し、より詳細には、配列決定システムおよび方法とともに使用されることができる消耗品デバイスに関する。
【0006】
いくつかの実施形態では、配列決定システムとともに使用するための消耗品デバイスが提供される。消耗品デバイスは、配列決定チップであって、配列決定チップが複数のウェルを含むことができ、各ウェルが作用電極を含む、配列決定チップと、少なくとも1つの流路を含むフローセルであって、少なくとも1つの流路が配列決定チップの複数のウェルの上に配置されるように、配列決定チップ上に配置されるように構成されている、フローセルと、少なくとも1つの流路と流体連通する管腔を有する少なくとも1つの入口ボスと、少なくとも1つの流路の少なくとも一部の上に配置された少なくとも1つの対向電極と、フローセルの少なくとも1つの入口ボスを受け入れるための少なくとも1つの入口ボスレセプタクルを含むフローセルカバーと、分注チップを受け入れるように構成された少なくとも1つの分注チップレセプタクルであって、少なくとも1つの分注チップレセプタクルが、少なくとも1つの入口ボスレセプタクルと流体連通している、少なくとも1つの分注チップレセプタクルと、を含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、配列決定チップは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7または800万ウェルを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの分注チップレセプタクルは、漏斗形状である。
【0009】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの分注チップレセプタクルは、分注チップを通過するように寸法決めされた孔または管腔を介して少なくとも1つの入口ボスレセプタクルに接続される。
【0010】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの入口ボスの管腔は、一定の直径を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの入口ボスの管腔は、テーパ状である。
【0012】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの入口ボスの管腔は、面取りされた入口開口部を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの入口ボスは、分注チップに適合することができる変形可能な材料から作製される。
【0014】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの入口ボスレセプタクルは、少なくとも1つの入口ボスが少なくとも1つの入口ボスレセプタクルに挿入されたときに少なくとも1つの入口ボスとのギャップを形成するように構成された湾曲面を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの入口ボスレセプタクルは、面取りされた開口部を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの入口ボスは、単一の入口ボスに組み合わされた複数の入口管腔を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、各入口管腔は、円錐状開口部を有し、少なくとも1つの分注チップレセプタクルは、単一の入口ボスを受け入れるように構成された単一の入口ボスレセプタクルと流体連通する複数の分注チップレセプタクルを含み、単一の入口ボスレセプタクルは、各入口管腔の各円錐状開口部と嵌合するように構成された複数の円錐形シール面を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの分注チップレセプタクルは、穿刺可能な材料によってシールされる。
【0019】
いくつかの実施形態では、配列決定のために流体を消耗品デバイスに送達する方法が提供される。本方法は、消耗品デバイスの分注チップレセプタクルを覆っているシールを通して穿刺ツールを挿入することを含むことができる。消耗品デバイスは、配列決定チップであって、配列決定チップが複数のウェルを含み、各ウェルが作用電極を含む、配列決定チップと、少なくとも1つの流路を含むフローセルであって、少なくとも1つの流路が配列決定チップの複数のウェルの上に配置されるように、配列決定チップ上に配置されるように構成されている、フローセルと、少なくとも1つの流路と流体連通する管腔を有する少なくとも1つの入口ボスと、少なくとも1つの流路の少なくとも一部の上に配置された少なくとも1つの対向電極と、フローセルの少なくとも1つの入口ボスを受け入れるための少なくとも1つの入口ボスレセプタクルを含むフローセルカバーと、分注チップを受け入れるように構成された少なくとも1つの分注チップレセプタクルであって、少なくとも1つの分注チップレセプタクルが、少なくとも1つの入口ボスレセプタクルと流体連通している、少なくとも1つの分注チップレセプタクルと、を含むことができる。本方法は、穿刺ツールを分注チップレセプタクルから取り外し、分注チップレセプタクル内に延在する1つ以上のシール断片を残すことと、1つ以上のシール断片を過ぎて分注チップの遠位端を挿入することと、分注チップの遠位端を1つ以上のシール断片を過ぎて挿入するステップの後に、第1の流体が部分液滴として遠位端から遠位に延在するように、分注チップの遠位端から第1の流体を部分的に分注することと、部分液滴が分注チップレセプタクル内の第2の流体と液体-液体接続を形成するように分注チップを前進させることと、をさらに含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、本方法は、分注チップと少なくとも1つの入口ボスとの間に液密シールを形成するために、分注チップの遠位端を少なくとも1つの入口ボスレセプタクルの管腔内に前進させることをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本方法は、分注チップを通して少なくとも1つの流路に流体を送達することをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、本方法は、穿刺ツールによって試薬リザーバのシールを穿刺することをさらに含み、第1の流体は、試薬リザーバ内に貯蔵される。
【0023】
いくつかの実施形態では、シールは、穿刺可能キャップである。
【0024】
いくつかの実施形態では、試薬リザーバは、ボトルおよびトラフからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の新規な特徴は、特に、以下の特許請求の範囲に説明される。本発明の特徴および利点の良好な理解は、本発明の原理が利用されている、実例となる実施形態を説明する、以下の詳細説明と、以下の添付の図面と、を参照して得られる。
【
図1】ナノ細孔ベースの配列決定チップ内のセル100の実施形態を示している。
【
図2】ナノSBS技術を用いてヌクレオチド配列決定を行うセル200の実施形態を示している。
【
図3】プレロードされたタグを用いてヌクレオチド配列決定を実行しようとしているセルの実施形態を示している。
【
図4】プレロードされたタグを用いた核酸配列決定のためのプロセス400の実施形態を示している。
【
図5】チップの動作の異なる段階中にナノ細孔ベースの配列決定チップのセルを通して異なる種類の液体または気体を流すための流体ワークフロープロセス500の実施形態を示している。
【
図6A】ナノ細孔ベースの配列決定チップにわたる液体または気体の例示的な流れを示している。
【
図6B】ナノ細孔ベースの配列決定チップにわたる液体または気体の別の例示的な流れを示している。
【
図7A】ナノ細孔ベースの配列決定チップにわたる第1の種類の流体の例示的な流れを示している。
【
図7B】第1の流体が以前にチップを通って流れた後に、第2の流体がチップを通って流れることを示している。
【
図8】液体および気体がチップ表面上を通過し、チップ表面上のセンサに接触することを可能にするシリコンチップを囲むフローチャンバを有するナノ細孔ベースの配列決定システム800の平面図を示している。
【
図9】
図8に示すナノ細孔ベースの配列決定システム800を形成するために一緒に組み立てられた様々な構成要素を示している。
【
図10】ナノ細孔ベースの配列決定システム800の別の例示的な図を示している。
【
図11A】液体および気体がチップ表面を通過してチップ表面上のセンサに接触することを可能にするシリコンチップを囲む改良されたフローチャンバを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1100の平面図を示している。
【
図11B】平面1114の位置からシステムを通るシステム1100の断面図を示している。
【
図12A】ファンアウトプレナムを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1100の別の例示的な図を示している。
【
図12B】
図11に示すナノ細孔ベースの配列決定システム1100を形成するために一緒に組み立てられた様々な構成要素を示している。
【
図13】ファンアウトプレナムを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1100を流れる際に流体がたどる経路を示している。
【
図14】液体および気体がチップ表面を通過してチップ表面上のセンサに接触することを可能にするシリコンチップを囲む別の改良されたフローチャンバを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1400の平面図を示している。
【
図15】液体および気体がチップ表面を通過してチップ表面上のセンサに接触することを可能にするシリコンチップを囲む別の改良されたフローチャンバを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1500の平面図を示している。
【
図16】液体および気体がチップ表面を通過してチップ表面上のセンサに接触することを可能にするシリコンチップを囲む別の改良されたフローチャンバを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1600の平面図を示している。
【
図17】液体および気体がチップ表面を通過してチップ表面上のセンサに接触することを可能にするシリコンチップを囲む別の改良されたフローチャンバを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1700の平面図を示している。
【
図18】液体および気体がチップ表面を通過してチップ表面上のセンサに接触することを可能にするシリコンチップを囲む別の改良されたフローチャンバを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1800の平面図を示している。
【
図19A】蛇行流路を有するナノ細孔ベースの配列決定システム1900の一実施形態の例示的な図を示している。
【
図19B】ナノ細孔ベースの配列決定システム1900を形成するために一緒に積層される様々な構成要素を示している。
【
図20】
図20Aはバッキングプレートと、バッキングプレートの底面に位置する対向電極(視認できない)に接続されたフレキシブル平面回路との平面図を示している。
図20Bはバッキングプレートが上下逆さまに反転されたときの
図20Aに示されるのと同じユニット2000を示している。
図20Cは互いに積層されたユニット2000の様々な構成要素を示している。
【
図21A】流体をより容易に捕捉することができる鋭い縁部または鋭い隅部を有する流路2100の断面図を示している。
【
図21B】D字形の断面形状を有する流路2102の断面図を示している。
【
図21C】D字形の断面形状を有する別の流路2106の断面図を示している。
【
図22】D字形の断面形状を有する流路を有するナノ細孔ベースの配列決定システムの側面図を示している。
【
図23】成形流路構成要素の実施形態を示す図である。
【
図24】対向電極インサートの実施形態を示す図である。
【
図25】成形流路構成要素用の金型の実施形態を示す図である。
【
図26】金型から取り外された成形流路構成要素の実施形態を示す図である。
【
図27】成形流路構成要素を利用するナノ細孔ベースの配列決定システムの実施形態の一部を示す図である。
【
図28】ナノ細孔ベースの配列決定システム構成要素のクランプの実施形態を示す図である。
【
図29】封入されたワイヤボンドの実施形態を示す図である。
【
図30】単一の製造ステップにおいてワイヤボンドを1つ以上の流路構成要素とともに封入する実施形態を示す図である。
【
図31A】フローセルと分注チップとの間に流体シールを形成するのを助けるアダプタの実施形態を示している。
【
図31B】フローセルと分注チップとの間に流体シールを形成するのを助けるアダプタの実施形態を示している。
【
図32-1】
図32Aは、フローセルに組み込まれることができる流体インターフェースの様々な実施形態を示している。
【
図32-2】
図32B~Dは、フローセルに組み込まれることができる流体インターフェースの様々な実施形態を示している。
【
図32-3】
図32Eは、フローセルに組み込まれることができる流体インターフェースの様々な実施形態を示している。
【
図32-4】
図32Fは、フローセルに組み込まれることができる流体インターフェースの様々な実施形態を示している。
【
図32-5】
図32Gは、フローセルに組み込まれることができる流体インターフェースの様々な実施形態を示している。
【
図32-6】
図32Hは、フローセルに組み込まれることができる流体インターフェースの様々な実施形態を示している。
【
図32-7】
図32Iは、フローセルに組み込まれることができる流体インターフェースの様々な実施形態を示している。
【
図32-8】
図32Jは、フローセルに組み込まれることができる流体インターフェースの様々な実施形態を示している。
【
図32-9】
図32Kは、フローセルに組み込まれることができる流体インターフェースの様々な実施形態を示している。
【
図32-10】
図32Lは、フローセルに組み込まれることができる流体インターフェースの様々な実施形態を示している。
【
図33A】フローセルに組み込まれることができる流体インターフェースの追加の実施形態を示している。
【
図33B】フローセルに組み込まれることができる流体インターフェースの追加の実施形態を示している。
【
図33C】フローセルに組み込まれることができる流体インターフェースの追加の実施形態を示している。
【
図34A】流体シールを形成するためにフローセルの流体インターフェースに挿入されることができる分注チップの実施形態を示している。
【
図34B】流体シールを形成するためにフローセルの流体インターフェースに挿入されることができる分注チップの実施形態を示している。
【
図34C】流体シールを形成するためにフローセルの流体インターフェースに挿入されることができる分注チップの実施形態を示している。
【
図34D】流体シールを形成するためにフローセルの流体インターフェースに挿入されることができる分注チップの実施形態を示している。
【
図34E】流体シールを形成するためにフローセルの流体インターフェースに挿入されることができる分注チップの実施形態を示している。
【
図35A】分注チップの別の実施形態を示している。
【
図35B】分注チップの別の実施形態を示している。
【
図36-1】
図36Aは、流体インターフェースを覆うシールに開口部を形成するために使用されることができる穿刺ツールの実施形態を示している。
【
図36-2】
図36Bは、流体インターフェースを覆うシールに開口部を形成するために使用されることができる穿刺ツールの実施形態を示している。
【
図36-3】
図36C~Fは、流体インターフェースを覆うシールに開口部を形成するために使用されることができる穿刺ツールの実施形態を示している。
【
図37A】フローセルのレセプタクルへの穿刺ツールの挿入を示している。
【
図37B】フローセルのレセプタクルへの穿刺ツールの挿入を示している。
【
図39A】フローセルに気泡を導入しない方法で流体インターフェースに分注チップを挿入する方法を示している。
【
図39B】フローセルに気泡を導入しない方法で流体インターフェースに分注チップを挿入する方法を示している。
【
図39C】フローセルに気泡を導入しない方法で流体インターフェースに分注チップを挿入する方法を示している。
【
図39D】フローセルに気泡を導入しない方法で流体インターフェースに分注チップを挿入する方法を示している。
【
図39E】フローセルに気泡を導入しない方法で流体インターフェースに分注チップを挿入する方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、プロセス、装置、システム、物質の組成、コンピュータ可読記憶媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品、および/またはプロセッサに結合されたメモリに記憶された命令および/またはメモリによって提供された命令を実行するように構成されたプロセッサなどのプロセッサとを含む、多くの方法で実装されることができる。本明細書では、これらの実装、または本発明が取り得る任意の他の形態を、技術と呼ぶことができる。一般に、開示されたプロセスのステップの順序は、本発明の範囲内で変更されることができる。特に明記しない限り、タスクを実行するように構成されるものとして説明されるプロセッサまたはメモリなどの構成要素は、所与の時間にタスクを実行するように一時的に構成される一般的な構成要素、またはタスクを実行するように製造される特定の構成要素として実装されてもよい。本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、コンピュータプログラム命令などのデータを処理するように構成された1つ以上のデバイス、回路、および/または処理コアを指す。
【0027】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細な説明が、本発明の原理を示す添付の図面とともに以下に提供される。本発明は、そのような実施形態に関連して説明されるが、本発明は、いかなる実施形態にも限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定され、本発明は、多数の代替形態、変更形態および均等物を包含する。本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が以下の説明に記載される。これらの詳細は、例示の目的で提供されており、本発明は、これらの具体的な詳細の一部または全部なしで特許請求の範囲にしたがって実施されることができる。明確にするために、本発明に関連する技術分野で知られている技術的材料は、本発明が不必要に不明瞭にならないように詳細には説明されていない。
【0028】
内径が1ナノメートルのオーダーの細孔サイズを有するナノ細孔膜デバイスは、素早いヌクレオチド配列決定において有望であることが示されている。電位が、伝導性流体に浸されたナノ細孔にわたって印加されると、ナノ細孔にわたるイオンの伝導に起因する小イオン電流が観察されることができる。電流のサイズは、細孔サイズに敏感である。
【0029】
ナノ細孔ベースの配列決定チップは、DNA配列決定に使用されることができる。ナノ細孔ベースの配列決定チップは、アレイとして構成された多数のセンサセルを組み込んでいる。例えば、100万個のセルのアレイは、1000行×1000列のセルを含むことができる。
【0030】
図1は、ナノ細孔ベースの配列決定チップ内のセル100の実施形態を示している。膜102が、セルの表面上に形成される。いくつかの実施形態では、膜102は脂質二重層である。タンパク質ナノ細孔膜貫通分子複合体(PNTMC)および目的の分析物を含むことができるバルク電解質114は、セルの表面上に直接配置される。単一のPNTMC104がエレクトロポレーションによって膜102に挿入される。アレイ内の個々の膜は、化学的にも電気的にも互いに接続されていない。したがって、アレイ内の各セルは、独立した配列決定機であり、PNTMCに関連する単一のポリマー分子に固有のデータを生成する。PNTMC104は、分析物に対して作用し、そうでなければ不透過性の二重層を通るイオン電流を調節する。
【0031】
引き続き
図1を参照すると、アナログ測定回路112は、電解質の薄膜108によって覆われた金属電極110に接続されている。電解質の薄膜108は、イオン不透過膜102によってバルク電解質114から絶縁されている。PNTMC104は、膜102を横切り、バルク液体から作用電極110に流れるイオン電流の唯一の経路を提供する。セルはまた、電気化学的電位センサである対向電極(CE)116を含む。セルはまた、参照電極117を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、ナノ細孔アレイは、合成による単一分子ナノ細孔ベースの配列決定(Nano-SBS)技術を使用した並列配列決定を可能にする。
図2は、ナノSBS技術を用いてヌクレオチド配列決定を行うセル200の実施形態を示している。ナノSBS技術では、配列決定する鋳型202とプライマーがセル200に導入される。この鋳型-プライマー複合体に、4つの異なるタグ付けされたヌクレオチド208がバルク水相に添加される。正しくタグ付けされたヌクレオチドがポリメラーゼ204と複合体を形成すると、タグの尾部は、ナノ細孔206のバレル内に配置される。ナノ細孔206のバレル内に保持されたタグは、固有のイオン遮断シグナル210を生成し、それにより、タグの異なる化学構造に起因して付加された塩基を電子的に識別する。
【0033】
図3は、プレロードされたタグを用いてヌクレオチド配列決定を実行しようとしているセルの実施形態を示している。ナノ細孔301は、膜302内に形成される。酵素303(例えば、DNAポリメラーゼなどのポリメラーゼ)がナノ細孔と会合される。場合によっては、ポリメラーゼ303は、ナノ細孔301に共有結合される。ポリメラーゼ303は、配列決定される核酸分子304と会合される。いくつかの実施形態では、核酸分子304は環状である。いくつかの場合、核酸分子304は線状である。いくつかの実施形態では、核酸プライマー305は、核酸分子304の一部にハイブリダイズされる。ポリメラーゼ303は、一本鎖核酸分子304を鋳型として使用して、プライマー305へのヌクレオチド306の取り込みを触媒する。ヌクレオチド306は、タグ種(「タグ」)307を含む。
【0034】
図4は、プレロードされたタグを用いた核酸配列決定のためのプロセス400の実施形態を示している。段階Aでは、タグ付けされたヌクレオチド(A、T、G、またはCの4つの異なるタイプのうちの1つ)は、ポリメラーゼと会合されていない。段階Bでは、タグ付けされたヌクレオチドがポリメラーゼと会合される。段階Cでは、ポリメラーゼは、ナノ細孔に近接している。タグは、膜および/またはナノ細孔を横切って印加される電圧によって生成される電界によってナノ細孔内に引き込まれる。
【0035】
関連するタグ化ヌクレオチドのいくつかは、核酸分子と塩基対を形成していない。これらの対になっていないヌクレオチドは、典型的には、正しく対になっているヌクレオチドが、ポリメラーゼに関連付けられたままとなる時間スケールよりも短い時間スケール内に、ポリメラーゼにより排斥される。対になっていないヌクレオチドは、ポリメラーゼと一時的にのみ会合されるため、
図4に示すプロセス400は、典型的には段階Bを超えて進行しない。
【0036】
ポリメラーゼがナノ細孔にドッキングする前、ナノ細孔のコンダクタンスは、約300ピコシーメンス(300pS)である。段階Cでは、ナノ細孔のコンダクタンスは、4つのタイプのタグ付けされたヌクレオチドのうちの1つに対応する約60pS、80pS、100pSまたは120pSである。ポリメラーゼは、異性化およびトランスリン酸化反応を受けて、ヌクレオチドを成長中の核酸分子に組み込み、タグ分子を放出する。特に、タグがナノ細孔内に保持されると、タグの異なる化学構造に起因して固有のコンダクタンス信号(例えば、
図2の信号210を参照)が生成され、それにより、付加された塩基を電子的に識別する。サイクル(すなわち、段階AからEまたは段階AからF)を繰り返すことにより、核酸分子の配列決定が可能になる。段階Dでは、放出されたタグは、ナノ細孔を通過する。
【0037】
いくつかの場合、
図4の段階Fに見られるように、成長中の核酸分子に組み込まれていないタグ付けされたヌクレオチドもナノ細孔を通過する。組み込まれていないヌクレオチドは、場合によってはナノ細孔によって検出されることができるが、本方法は、ヌクレオチドがナノ細孔において検出される時間に少なくとも部分的に基づいて、組み込まれたヌクレオチドと組み込まれていないヌクレオチドとを区別するための手段を提供する。組み込まれていないヌクレオチドに結合したタグは、ナノ細孔を迅速に通過し、短期間(例えば、10ms未満)だけ検出されるが、組み込まれたヌクレオチドに結合したタグは、ナノ細孔にロードされ、長期間(例えば、少なくとも10ms)だけ検出される。
【0038】
図5は、チップの動作の異なる段階中にナノ細孔ベースの配列決定チップのセルを通して異なる種類の流体(液体または気体)を流すための流体ワークフロープロセス500の実施形態を示している。ナノ細孔ベースの配列決定チップは、初期化および較正段階(段階502)、膜形成段階(段階504)、ナノ細孔形成段階(段階506)、配列決定段階(段階508)、ならびに洗浄およびリセット段階(段階510)を含む異なる段階で動作する。
【0039】
初期化および較正段階502において、塩緩衝液が、512において、ナノ細孔ベースの配列決定チップのセルを通って流される。塩緩衝液は、塩化カリウム(KCl)、酢酸カリウム(KAc)、トリフルオロ酢酸ナトリウム(NaTFA)などとすることができる。
【0040】
膜形成段階504では、脂質二重層などの膜が各セルの上に形成される。514において、脂質とデカンの混合物がセル上に流される。516において、塩緩衝液がセル上に流される。518において、脂質二重層にわたる電圧測定が行われて、脂質二重層が適切に形成されているかどうかを判定する。脂質二重層が適切に形成されていないと判定された場合、ステップ516が繰り返され、そうでない場合、プロセスはステップ520に進む。520において、塩緩衝液が再び導入される。
【0041】
ナノ細孔形成段階506では、ナノ細孔が各セルの上の二重層に形成される。522において、試料および細孔/ポリメラーゼ混合物がセル上に流される。
【0042】
配列決定段階508では、DNA配列決定が行われる。524において、StartMixがセル上に流され、配列決定情報が収集されて記憶される。StartMixは、配列決定プロセスを開始する試薬である。配列決定段階の後、プロセスの一サイクルが526において完了する。
【0043】
洗浄およびリセット段階510では、ナノ細孔ベースの配列決定チップは、チップがさらなる用途のためにリサイクルされることができるように洗浄およびリセットされる。528において、界面活性剤がセル上に流される。530において、エタノールがセル上に流される。この例では、チップを洗浄するために界面活性剤およびエタノールが使用される。しかしながら、代替の流体が使用されてもよい。ステップ528および530はまた、チップが適切に洗浄されることを確実にするために複数回繰り返されてもよい。ステップ530の後、脂質二重層および細孔が除去され、流体ワークフロープロセス500は、初期化および較正段階502において再び繰り返されることができる。
【0044】
上述したプロセス500に示すように、有意に異なる特性(例えば、圧縮性、疎水性、および粘度)を有する複数の流体が、ナノ細孔ベースの配列決定チップの表面上のセンサのアレイ上に流される。効率を向上させるために、アレイ内の各センサは、一貫した方法で流体またはガスに曝されるべきである。例えば、異なる種類の流体のそれぞれは、流体またはガスがチップに送達され、各セルの表面を均一にコーティングおよび接触し、次いでチップから外に送達されることができるように、ナノ細孔ベースの配列決定チップ上に流されるべきである。上述したように、ナノ細孔ベースの配列決定チップは、アレイとして構成された多数のセンサセルを組み込む。ナノ細孔ベースの配列決定チップがますます多くのセルを含むようにスケーリングされるにつれて、チップのセルにわたる異なる種類の流体またはガスの均一な流れを達成することはより困難になる。
【0045】
図6Aは、ナノ細孔ベースの配列決定チップにわたる流体の例示的な流れを示している。
図6Aにおいて、入口(例えば、管)604は、流体をナノ細孔ベースの配列決定チップ602に送達し、出口606は、流体またはガスをチップから送達する。入口とナノ細孔ベースの配列決定チップとの間の幅の差により、流体またはガスがチップ602に入ると、流体またはガスは、チップの中央部分のセルではなく外周に近いセルを覆う経路を通って流れる。
【0046】
図6Bは、ナノ細孔ベースの配列決定チップにわたる流体の別の例示的な流れを示している。
図6Bにおいて、入口610は、流体をナノ細孔ベースの配列決定チップ608に送達し、出口612は、流体またはガスをチップから外に送達する。流体またはガスがチップ608に入ると、流体またはガスは、チップの中央部分に近いセルを覆うが、チップの外周に近いセルを覆わない経路を通って流れる。
【0047】
上記の
図6Aおよび
図6Bに示すように、ナノ細孔ベースの配列決定チップは、フローチャンバ内に1つ以上の「デッド」ゾーンを有する。
図6Aに示す実施形態では、デッドゾーンは、チップの中央付近に分布している。
図6Bに示す実施形態では、デッドゾーンは、チップの外周の近くに分布している。デッドゾーンの下方のチップアレイ内のセンサは、少量の流体またはゆっくりとした流体の流れに曝され、一方、デッドゾーンの外側のセンサは、過剰なまたは速い流体の流れに曝される。
【0048】
さらにまた、第2の流体の導入は、デッドゾーン内の第1の流体を効果的に変位させない可能性がある。
図7Aは、ナノ細孔ベースの配列決定チップにわたる第1の種類の流体の例示的な流れを示している。この例では、デッドゾーンがナノ細孔ベースの配列決定チップの隅部に位置するため、チップの隅部は、チップの他の部分よりも遅く第1の流体に曝されるが、最終的に隅部は第1の流体で満たされる。
図7Bは、第1の流体が以前にチップを通って流れた後に、第2の流体がチップを通って流れることを示している。デッドゾーンがチップの隅部に位置するため、第2の流体は、短期間内に隅部において第1の流体を変位させることができない。結果として、アレイ内のセンサは、一貫して正しい量の流体に曝されない。
【0049】
フローチャンバの設計はまた、適切な厚さを有する脂質二重層の形成に影響を及ぼすことがある。
図5のプロセス500のステップ514を参照すると、脂質とデカンの混合物がセル上に流され、各セルの上に厚い脂質層が作られる。脂質層の厚さを減少させるために、いくつかの実施形態では、プロセス500のステップ516において、センサ上に1つ以上の気泡が流されて、脂質層をより薄い層に掻き取る。フローチャンバの設計は、全てのセンサにわたって均一な拭き取り動作が実行されるように、空気と脂質層との間の掻き取り境界を制御するように最適化されるべきである。さらに、気泡がフローチャンバを横切って途中で崩壊するのを防止するために、フローチャンバの設計が最適化されることができる。そうでなければ、チップ内の脂質層の一部のみが掻き取られるまたは「薄くされる」。
【0050】
引き続き
図6および
図7を参照すると、フローチャンバがチップの一端から反対側の端部に流体を流すとき、いくつかの実施形態では、異なる圧力および速度を使用して流体および気泡の流れを制御することによって、チップ内のデッドゾーンのサイズおよび気泡の崩壊が低減されることができる。しかしながら、改善は限定的である。
【0051】
図8は、液体および気体がチップ表面上を通過し、チップ表面上のセンサに接触することを可能にするシリコンチップを囲むフローチャンバを有するナノ細孔ベースの配列決定システム800の平面図を示している。この例では、ナノ細孔アレイチップ802は、4×4行-列配置の16個のセンサバンク(804)を含む。しかしながら、センサセルの他の配置も同様に使用されることができる。システム800は、フローチャンバの上方に配置された対向電極812を含む。流体は、入口806からチップ802の上のフローチャンバに導かれ、流体は、出口808を介してフローチャンバの外に導かれる。入口および出口は、管または針とすることができる。入口806および出口808は、それぞれ、ナノ細孔アレイチップ802の互いに対角線上にある2つの隅部のうちの一方に配置される。チャンバは、入口の幅よりもかなり広いため、流体またはガスがチャンバに入ると、流体またはガスは、チップの残りの2つの隅部に近いセルよりもチップの中央部分に近いより多くのセルを覆う異なる経路810を通って流れる。流体またはガスは、1つの隅部から別の対角隅部に移動し、残りの隅部のデッドゾーンに閉じ込められた流体を残す。
【0052】
図9は、
図8に示すナノ細孔ベースの配列決定システム800を形成するために一緒に組み立てられた様々な構成要素を示している。システム800は、プリント回路基板902、ナノ細孔アレイチップ802、ガスケット904、フレキシブル平面回路910によってコネクタ912に接続された対向電極および参照電極906、トップカバー914、入口/出口ガイド916、入口806、および出口808を含む様々な構成要素を含む。
【0053】
図10は、ナノ細孔ベースの配列決定システム800の別の例示的な図を示している。フローチャンバは、トップカバー914とガスケット904とナノ細孔アレイチップ802との間に形成される空間である。チャンバ容積は、
図10において1002として示されている。
【0054】
図11Aは、液体および気体がチップ表面を通過してチップ表面上のセンサに接触することを可能にするシリコンチップを囲む改良されたフローチャンバを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1100の平面図を示している。
図11Bは、平面1114の位置からシステムを通るシステム1100の断面図を示している。
【0055】
流体は、入口1102を通ってシステム1100内に導かれる。入口1102は、管または針とすることができる。例えば、管または針は、1ミリメートルの直径を有することができる。流体またはガスをフローチャンバに直接供給する代わりに、入口1102は、流体またはガスをファンアウトのプレナム空間またはリザーバ1106に供給する。システム1100の平面図(
図11A)に示すように、ファンアウトプレナム1106は、ファンアウトプレナム1106と交差する(
図11Bを参照)入口1102の小さなオリフィス1118である中心点から流体またはガスを外側に導く。ファンアウトプレナム1106は、オリフィス1118から扇形形状に広がる。例えば、
図11Aに示す扇形形状は、略三角形形状である。しかしながら、流体またはガスを小さなオリフィス1118から外側に導く他の同様の形状も同様に使用されることができる。一例では、オリフィス1118の幅は1ミリメートルであり、ファンアウトプレナム1106は、4つのセンサバンク1122の一列の幅である7ミリメートルまで広がっている。
【0056】
システム1100の断面図(
図11B)を参照すると、流体またはガスは、最初にファンアウトプレナム1106を充填し、次いで、滝のように、フローチャンバ1116と交差する狭いスリットまたはスロット1108上にこぼれて排出される。フローチャンバ1116は、流体またはガスがナノ細孔アレイチップ1120の表面上を通過してセンサに接触することを可能にする。スリット1108がセンサバンク1122の列にわたって広がるため、流体またはガスは、センサセルにわたってより均一に流れ、チップ内のデッドゾーンの数および面積を減少させる。流体またはガスがチップを横切って掃引すると、流体またはガスは、チップの反対側の端部にある第2の狭いスリット1112に到達し、流体またはガスはスリット1112を通って逆ファンアウト型プレナム1110まで導かれる。逆ファンアウトプレナム1110は、逆ファンアウトプレナム1110と交差する(
図11Bを参照)出口1104の小さなオリフィス1119である中心点に向かって流体またはガスを導く。次いで、流体またはガスは、出口1104を介してシステム1100の外に導かれる。
【0057】
図12Aは、ファンアウトプレナムを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1100の別の例示的な図を示している。
図12Bは、
図11に示すナノ細孔ベースの配列決定システム1100を形成するために一緒に組み立てられた様々な構成要素を示している。システム1100は、プリント回路基板1201、ナノ細孔アレイチップ1120、ガスケット1202、ガスケットカバー1204、中間プレート1206、中間プレート1208、参照電極1214、中間プレート1210、対向電極1218、参照電極1216、上部プレート1212、入口1102、および出口1104を含む様々な構成要素を含む。
【0058】
ファンアウトプレナムは、上部プレート1212と、中間層1210上のファンアウトボイド1220と、中間層1208との間に形成された空間である。スリット1108は、中間プレート1208に設けられたスリット1108Aと、中間プレート1206に設けられたスリット1108Bと、ガスケットカバー1204に設けられたスリット1108Cとを並べて、中間プレート1208と中間プレート1206とガスケットカバー1204とを重ねた空間である。フローチャンバは、ガスケットカバー1204とガスケット1202とナノ細孔アレイチップ1120との間に形成される空間である。
【0059】
図13は、ファンアウトプレナムを備えたナノ細孔ベースの配列決定システム1100を流れる際に流体がたどる経路を示している。流体は、入口1102を流れ落ち(経路1302Aを参照)、最初にファンアウトプレナム1106を満たし(経路1302Bを参照)、次いで、フローチャンバと交差するスリット1108上にこぼれて排出される(経路1302Cを参照)。フローチャンバは、経路1302Dに示すように、流体またはガスがナノ細孔アレイチップの表面を通過してセンサに接触することを可能にする。スリット1108は、センサバンクの列にわたって広がるため、流体またはガスはセンサセルにわたってより均一に流れ、チップ内のデッドゾーンの数および面積を減少させる。流体またはガスがチップを横切って掃引すると、流体またはガスは、チップの反対側の端部のスリット1112に到達し、流体またはガスは、スリット1112を通って上方へと(経路1302Eを参照)逆ファンアウト型プレナム1110まで導かれる。逆ファンアウトプレナム1110は、逆ファンアウトプレナム1110と交差する出口1104の小さなオリフィスである中心点に向かって(経路1302Fを参照)流体またはガスを収束させる。次いで、流体またはガスは、経路1302Gに示すように、出口1104を介してシステム1100の外に導かれる。
【0060】
図14は、液体および気体がチップ表面を通過してチップ表面上のセンサに接触することを可能にするシリコンチップを囲む別の改良されたフローチャンバを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1400の平面図を示している。フローチャンバは、複数の流路1408に分割され、各流路1408は、センサバンク1406の単一の列(または単一の行)の真上を流れるように流体を導く。
図14に示すように、システム1400は、4つの入口1402および4つの出口1404を含む。
【0061】
図14を参照すると、流体は、4つの入口1402を通って並列にシステム1400内に導かれる。入口1402は、管または針とすることができる。例えば、管または針は、1ミリメートルの直径を有することができる。単一の連続空間を有する広いフローチャンバに流体またはガスを直接供給する代わりに、入口1402のそれぞれは、流体またはガスをセンサバンク1406の単一のカラムの真上を流れるように導く別個の流路1408に流体またはガスを供給する。流路1408は、チャンバを流路に分割する仕切り1410を有する上部プレートおよびガスケットを互いに積み重ね、次いでそれらをチップの上部に取り付けることによって形成されることができる。流体またはガスが流路1408を通ってチップの反対側に流れると、流体またはガスは、4つの出口1404を通って並列に上方に導かれ、システム1400から出る。
【0062】
図15は、液体および気体がチップ表面を通過してチップ表面上のセンサに接触することを可能にするシリコンチップを囲む別の改良されたフローチャンバを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1500の平面図を示している。システム1400と同様に、システム1500のフローチャンバは、複数の流路1502に分割されるが、各流路1502は、流体をセンサバンク1504の2つの列(または2つの行)の真上を流れるように導く。流路の幅は、約3.5ミリメートルである。
図15に示すように、システム1500は、2つの入口1506および2つの出口1508を含む。
【0063】
システム1400およびシステム1500の双方は、流体がチップ表面上の全てのセンサの上でより均一に流れることを可能にする。流路幅は、毛細管現象が効果を有するように十分に狭くなるように構成される。より具体的には、表面張力(流体内の凝集によって引き起こされる)および流体と封入面との間の接着力は、流体を一緒に保持するように作用し、それによって流体または気泡が破壊されてデッドゾーンを形成するのを防止する。したがって、センサバンクの幅が十分に狭い場合、流路のそれぞれは、センサバンクの2つ以上の列(または2つ以上の行)の真上に流体を流すことができる。この場合、システム1500を使用することができる。センサバンクの幅が十分に狭くない場合、各流路は、センサバンクの1つの列(または1つの行)の真上の流体のみを流すことができる。この場合、システム1400を使用することができる。
【0064】
図16は、液体および気体がチップ表面を通過してチップ表面上のセンサに接触することを可能にするシリコンチップを囲む別の改良されたフローチャンバを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1600の平面図を示している。フローチャンバは、2つの馬蹄形の流路1608に分割され、各流路1608は、チップの一端から反対側の端部までセンサバンク1606の単一の列(または単一の行)の真上を流れるように流体を導き、次いで、ループバックしてセンサバンクの第2の隣接する列の真上をチップの元の端部まで流れるように流体を導く。
図16に示すように、システム1600は、2つの入口1602および2つの出口1604を含む。
【0065】
図16を参照すると、流体は、2つの入口1602を通って並列にシステム1600内に導かれる。入口1602は、管または針とすることができる。例えば、管または針は、1ミリメートルの直径を有することができる。単一の連続空間を有する広いフローチャンバに流体またはガスを直接供給する代わりに、入口1602のそれぞれは、流体またはガスをセンサバンク1606の単一のカラムの真上を流れるように導く別個の流路1608に流体またはガスを供給する。流路1608は、チャンバを流路に分割する仕切り1610を有する上部プレートおよびガスケットを互いに積み重ね、次いでそれらをチップの上部に取り付けることによって形成されることができる。流体またはガスが流路1608を通って流れると、流体またはガスは、2つの出口1604を通って並列に上方に導かれ、システム1600から出る。
【0066】
図17は、液体および気体がチップ表面を通過してチップ表面上のセンサに接触することを可能にするシリコンチップを囲む別の改良されたフローチャンバを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1700の平面図を示している。システム1600と同様に、システム1700のフローチャンバは、馬蹄形流路1708を含むが、馬蹄形流路1708は、流体をセンサバンク1706の2列(または2行)の真上を流れるように導く。流路の幅は、約3.5ミリメートルである。
図17に示すように、システム1700は、入口1702および出口1704を含む。
【0067】
システム1700およびシステム1700の双方は、流体がチップ表面上の全てのセンサの上でより均一に流れることを可能にする。流路幅は、毛細管現象が効果を有するように十分に狭くなるように構成される。より具体的には、表面張力(流体内の凝集によって引き起こされる)および流体と封入面との間の接着力は、流体を一緒に保持するように作用し、それによって流体または気泡が破壊されてデッドゾーンを形成するのを防止する。したがって、センサバンクの幅が十分に狭い場合、馬蹄形流路のそれぞれは、センサバンクの2つ以上の列(または2つ以上の行)の真上に流体を流すことができる。この場合、システム1700を使用することができる。センサバンクの幅が十分に狭くない場合、馬蹄形流路のそれぞれは、センサバンクの1つの列(または1つの行)の真上の流体のみを流すことができる。この場合、システム1600を使用できる。
【0068】
いくつかの実施形態では、ナノ細孔ベースの配列決定システムは、流体を流路の長さに沿ってチップの異なるセンサ上を横切るように導く蛇行流体流路を有する改良されたフローチャンバを含む。
図18は、液体および気体がチップ表面を通過してチップ表面上のセンサに接触することを可能にするシリコンチップを囲む改良されたフローチャンバを有するナノ細孔ベースの配列決定システム1800の平面図を示している。フローチャンバは、流体をチップの一端から反対側の端部までセンサバンク1806の単一の列(または単一の行)の真上を流れるように導き、次いで流体をループバックして、センサバンクの他の隣接する列の真上を流れるように、センサバンクの全てが少なくとも一度横断するまで繰り返し導く蛇行流路または巻線流路1808を含む。
図18に示すように、システム1800は、入口1802および出口1804を含み、蛇行流路または巻線流路1808は、16個全てのセンサバンク1806にわたって流体を入口1802から出口1804に流すように導く。
【0069】
図18を参照すると、流体は、入口1802を通ってシステム1800内に導かれる。入口1802は、管または針とすることができる。例えば、管または針は、1ミリメートルの直径を有することができる。流体またはガスを単一の連続空間を有する広いフローチャンバに直接供給する代わりに、入口1802は、流体またはガスを蛇行流路1808に供給し、蛇行流路1808を介して直列に接続されたセンサバンク1806のカラムの真上を流れるように流体またはガスを導く。蛇行流路1808は、チャンバを蛇行流路に分割する仕切り1810を有する上部プレートおよびガスケットを互いに積み重ね、次いでそれらをチップの上部に取り付けることによって形成されることができる。流体またはガスが蛇行流路1808を通って流れると、流体またはガスは、出口1804を通って上方に導かれ、システム1800から出る。
【0070】
システム1800は、流体がチップ表面上の全てのセンサの上でより均一に流れることを可能にする。流路幅は、毛細管現象が効果を有するように十分に狭くなるように構成される。より具体的には、表面張力(流体内の凝集によって引き起こされる)および流体と封入面との間の接着力は、流体を一緒に保持するように作用し、それによって流体または気泡が破壊されてデッドゾーンを形成するのを防止する。例えば、流路は、1ミリメートル以下の幅を有することができる。狭い流路は、流体の制御された流れを可能にし、流体またはガスの以前の流れからの残留物の量を最小にする。
【0071】
図19Aは、蛇行流路を有するナノ細孔ベースの配列決定システム1900の実施形態の例示的な図を示している。
図19Bは、ナノ細孔ベースの配列決定システム1900を形成するために一緒に積層される様々な構成要素を示している。システム1900は、プリント回路基板1901、ナノ細孔アレイチップ1902、仕切り1903を有するガスケット1904、バッキングプレート1907、バッキングプレート1907の下側の対向電極1906、対向電極1906に接続するフレキシブル平面回路1916、入口1908、出口1910、ばね板1912、および複数の締結ハードウェア1914を含む様々な構成要素を含む。蛇行流路は、バッキングプレート1907とガスケット1904とナノ細孔アレイチップ1902との間に形成される空間である。
【0072】
図20Aは、バッキングプレートと、バッキングプレートの底面に位置する対向電極(視認できない)に接続されたフレキシブル平面回路との平面図を示している。
図20Bは、バッキングプレートが上下逆さまに反転されたときの
図20Aに示されるのと同じユニット2000を示している。この図に示されるように、対向電極または共通電極1906は、蛇行形状、螺旋形状または巻線形状を有する。
図19Bに戻って参照すると、対向電極の蛇行形状は、ガスケット1904の蛇行流路と一致し、対向電極は、ガスケットの仕切り1903によって塞がれることなくセンサバンクの真上に配置される。仕切り1903は、仕切りがセンサバンク上の流体またはガスの流れを妨げないように、センサバンクの間に配置される。
【0073】
図20Cは、互いに積層されたユニット2000の様々な構成要素を示している。ユニット2000は、誘電体層2002と、フィルム2004上の対向電極1906と、参照電極2006と、参照電極2008と、フレキシブル平板回路1916と、バッキングプレート1907とを含む。
【0074】
図19Bおよび
図20Cは、対向電極、ガスケット、およびシリコンチップをともに有するバッキングプレートを積層することによって流路が形成されることを示している。しかしながら、対向電極を有するバッキングプレートおよびガスケットは、電極材料からなる単一のユニットとして一体化されてもよく、ユニットは、蛇行流路を形成するように機械加工される。
【0075】
フローチャンバの幾何学的形状および寸法に加えて、他の特徴はまた、チップ表面上の全てのセンサの上の流体のより均一な流れを容易にすることができる。
図21Aは、流体をより容易に捕捉することができる鋭い縁部または鋭い隅部を有する流路2100の断面図を示している。
図21Bは、湾曲した屋根2103およびD字形の断面形状を有する流路2102の断面図を示している。鋭い縁部または鋭い隅部は、丸い滑らかな表面に置き換えられる。
図21Cは、湾曲した屋根2107を有する別の流路2106の断面図を示している。
図22は、D字形の断面形状を有する流路を有するナノ細孔ベースの配列決定システム2200の側面図を示している。
【0076】
チップ表面上の全てのセンサの上部の流体の流れに影響を及ぼす別の要因は、流路の高さである。例えば、流路の高さは、1ミリメートル以下に制限されるべきである。一実施形態では、流路の高さは、0.25ミリメートルである。チップ表面上の全てのセンサの上の流体の流れに影響を及ぼす他の要因は、流路を画定する表面の表面特性、流体の流量、流体およびガスの圧力などを含む。
【0077】
図23は、成形流路構成要素の実施形態を示す図である。いくつかの実施形態では、
図23に示す構成要素は、
図18に示す流路の少なくとも一部を形成する。
図19Bに示すように、仕切り1903を有するガスケット1904は、流路を正しく組み立てるために、組み立て中にバッキングプレート1907の下側の対向電極1906と慎重に位置合わせされなければならない。さらに、
図20Cに示すように、誘電体層2002、対向電極1906、フィルム2004、およびバッキングプレート1907は、組み立て中に慎重に位置合わせされなければならない。組み立て中にそのような多数の構成要素を一緒に位置合わせさせる必要があると、製造コストおよびエラーのリスクを増加させる可能性がある複雑さが生じる。したがって、ナノ細孔システムの流路/チャンバを形成するための効率的で信頼性の高い方法が必要とされている。
【0078】
成形流路構成要素2302は、成形部2304と、対向電極部2306とを含む。成形流路構成要素2302がナノ細孔アレイチップ(例えば、チップ1902)上に配置されて固定されると、成形流路構成要素2302に示されている蛇行空隙(例えば、対向電極部2306は、成形部2304の蛇行した空隙を通って露出している)は、流体をナノ細孔アレイチップの異なるセンサ上を横切るように導く流体流路のフローチャンバになる。成形部2304は、蛇行流路の長さに沿って流体の流れを案内する図示の隆起した仕切りを含む。成形流路構成要素2302は、入口2312および出口2314を含む。入口2312および出口2314の双方は、流体流チャンバ/流路に出入りする流体/ガス流を提供する管状流路を含む。入口/出口管状流路は、少なくとも部分的に成形部2304によって形成され、対向電極部2306を通過する。
【0079】
成形部2304は、対向電極部2306の上に成形されている。例えば、対向電極部2306は、金型内に配置され、金型内に成形材料が注入されて対向電極部2306の上に成形部2304を形成し、成形流路構成要素2302を作製した。成形部2304の材料の例は、エラストマーである。対向電極部2306の例は、金属(例えば、窒化チタンによってスパッタリング/コーティングされたステンレス鋼)である。
【0080】
図24は、対向電極インサートの実施形態を示す図である。いくつかの実施形態では、対向電極インサート2400は、組み立て後に
図23の対向電極部2306になる。対向電極インサート2400は、金属(例えば、ステンレス鋼、鋼、アルミニウムなど)、半導体材料(例えば、ドープされたシリコン)、または剛性もしくは可撓性とすることができる他の導電性材料(例えば、箔)から作製されることができる。いくつかの実施形態では、対向電極インサート2400は、導電性材料でコーティングおよび/またはスパッタリングされている。例えば、窒化チタン(TiN)が、対向電極インサート2400を被覆するために基材(例えば、ガラス、ステンレス鋼、金属、シリコンなど)上にスパッタリングされている。これは、対向電極インサート2400のうち、成形された流路構成要素2302の流路内に露出している部分(例えば、化学試薬に曝露される部分)が窒化チタンとなることを可能にする。いくつかの実施形態では、TiNは、その特定の有益な電気化学的特性、既存の標準的な半導体製造プロセスにおけるその一般的な利用可能性およびそれとの適合性、生物学的および化学的試薬との適合性、ならびに比較的低コストのために好ましい材料である。
【0081】
対向電極インサート2400は、対向電極インサート2400を射出成形金型内で位置合わせして安定させることを可能にする切り欠き2402および2404を含む。切り欠き2402および2404は、対向電極インサート2400のタブ端部にあり、成形後に除去され(例えば、切断される)、対向電極インサート2400から廃棄されて
図23の対向電極部2306を形成する。切り欠き2406および2408は、タブ端部が切り欠き2406および2408の長さ方向により容易に取り外される(例えば、切断される)ことを可能にする。タブ端部は、金型内でのより容易な位置合わせおよび安定化、ならびに成形中の構成要素のより容易な取り扱いを可能にする。切り欠き2410は、
図23の入口2312に対応し、切り欠き2412は、流体/ガスが管状流路を介して対向電極インサート2400を通過し、流体流チャンバ/流路に出入りすることを可能にする
図23の出口2314に対応する。対向電極インサート2400に示される他の切り欠きは、対向電極インサート2400と成形材料との間の結合を固定するために、成形材料が切り欠きを通って流れ、切り欠き内に成形されたままであることを可能にすることによって、対向電極インサート2400を成形材料と結合する。これらの他の切り欠きは、流体チャンバ/流路の内部に露出される表面部分を避けるために、対向電極インサート2400上の位置に配置される。図示の切り欠きを生成するために、レーザーカッターも利用されることができる。様々な実施形態では、インサート2400は、図示の切り欠きを生成するためにウォータージェットを使用して打ち抜かれ、化学的にエッチングまたは切断されていてもよい。
【0082】
図25は、成形流路構成要素用の金型の実施形態を示す図である。いくつかの実施形態では、金型2500が利用されて、
図23の成形流路構成要素2302を製造する。金型2500の内部構造を示すために、金型2500の透過図が示されている。金型2500は、構成要素を成形する際に互いに接合される複数の断面片を含む。成形後にこれらの片が分離されて成形構成要素を取り出してもよい。対向電極インサート2400は、金型2500の内部に配置されている。金型2500は、対向電極インサート2400の切り欠き2410および2412に挿入されて、成形された流路構成要素2302の入口/出口管状流路を生成する管機構を含む。対向電極インサート2400は、そのタブ端部、対向電極インサート2400の表面に接触する金型2500の1つ以上の切り欠きおよび特徴部を介して金型2500内に固定される。成形材料が金型2500内に射出されて、対向電極インサート2400の周囲および金型2500の形状の成形材料を射出成形する。様々な実施形態では、成形材料は、エラストマー、ゴム、シリコーン、ポリマー、熱可塑性物質、プラスチック、または任意の他の射出成形可能材料とすることができる。対向電極インサート2400上の1つ以上の切り欠き/孔が成形材料によって充填されて、成形材料を対向電極インサート2400と結合することができる。いくつかの実施形態では、金型2500に射出される成形材料は、
図23の成形部2304になる。様々な他の実施形態では、
図23の成形流路構成要素2302を製造するために、液体射出成形(LIM)、トランスファー成形、または圧縮成形などの他の成形技術が利用される。
【0083】
図26は、金型から取り外された成形流路構成要素の実施形態を示す図である。構成要素2600は、射出成形後に金型2500から取り外されている。対向電極インサート2400の図示の端部タブを除去(例えば、曲げ/スナップ外し)した後、構成要素2600は、
図23の成形流路構成要素2302になる。成形部2304の頂部の4×3の開口部/孔のアレイは、対向電極インサート2400の表面を露出させる。いくつかの実施形態では、この開口部/孔のアレイは、成形中に対向電極インサート2400を金型内の所定の位置に保持および安定化するために使用される金型2500の12個の特徴/ピンから生じるアーチファクトである。いくつかの実施形態では、アレイのこれらの開口部/孔の少なくともいくつかは、対向電極部と電気的に接触するために利用される。例えば、ばね接点がアレイの開口部/孔のいくつかに配置され、回路基板(例えば、
図27に示す)の電位源に接続される。
【0084】
図27は、成形流路構成要素を利用するナノ細孔ベースの配列決定システムの実施形態の一部を示す図である。成形流路構成要素2302は、回路基板2702に取り付けられたナノ細孔アレイチップの上に配置されている。ばね接点ワイヤ構成要素2704は、その対向電極部と電気的および物理的に接触するように、成形された流路構成要素2302の上部の開口部/孔のアレイ内に配置される。ばね接点ワイヤ構成要素2704の他端は、回路基板2702に接続されて、その対向電極のための電位源を提供する。いくつかの実施形態では、成形流路構成要素2302および対向電極のばね接点ワイヤ構成要素2704の電気接点は、ばね接点ワイヤ構成要素2704を成形流路構成要素2302にクランプするクランププレートを介して(例えば、接着剤を使用せずに)固定およびクランプされる。いくつかの実施形態では、クランププレートはまた、成形流路構成要素2302とナノ細孔アレイチップとの間に流路/チャンバを形成する際に、成形流路構成要素2302をナノ細孔アレイチップにクランプして、それらを互いにシールおよび結合するのに必要な圧縮を提供する。封止材2706は、ナノ細孔アレイチップの電気端子と回路基板2702との間のワイヤボンドを封止する。
【0085】
図28は、ナノ細孔ベースの配列決定システム構成要素のクランプの実施形態を示す図である。
図28に示す図は、実施形態を明確に示すために簡略化されている。ビュー2800は、ともにクランプされた
図27の構成要素の概要を示している。
【0086】
クランププレート2802は、成形された流路構成要素2302をナノ細孔アレイチップ上に一緒にクランプする。クランププレート2802は、ねじまたは他の結合機構を介して回路基板2702に締結およびクランプされてもよい。クランププレート2802は、入口2312および出口2314を収容し、クランププレート2802を通過させるための孔を含む。クランププレート2802は、成形された流路構成要素をナノ細孔アレイチップにクランプして、成形された流路構成要素をナノ細孔アレイチップに結合するために接着剤および/または永久的/物理的結合を使用せずに流路/チャンバを作成する際にそれらをシールおよび結合するのに必要な圧縮を提供する。ばね接点ワイヤ構成要素2704は、図を簡略化するために示されていないが、実施形態ではクランププレート2802の下方に存在する。クランププレート2802はまた、圧縮によって成形された流路構成要素の対向電極にばね接点ワイヤ構成要素を固定する。
【0087】
ビュー2801は、ビュー2800に示す実施形態の破断図を示している。クランププレート2802は、回路基板2702に固定され、成形された流路構成要素2302の対向電極部2306および成形部2304によってナノ細孔アレイチップ2804を一緒にクランプする。対向電極部2306とナノ細孔アレイチップ2804との間のギャップは、流体を保持してナノ細孔アレイチップ2804の異なるセンサ上を横切るように導くフローチャンバ/流路の一部である。クランプ力/圧力は、成形部2304とナノ細孔アレイチップ2804との間の接触をシールする。いくつかの実施形態では、成形部2304の材料は、クランプ力/圧力下でシールを提供するように適合している。
【0088】
図29は、封入されたワイヤボンドの実施形態を示す図である。ワイヤボンド2906は、ナノ細孔ベースの配列決定チップ2904を回路基板2902に電気的に接続する。ワイヤボンド2906は、封止材2908によって保護されている。図を簡単にするために2つのワイヤボンドのみが示されているが、チップ2904の周囲全体の他のワイヤボンド2906が利用されて、チップ2904を回路基板2902に電気的に接続することができる。ワイヤボンド2906を損傷および濡れから保護するために、封止材2908(例えば、接着剤)が利用されて、チップ2904の周囲の周りに封止材のリングを適用することによってワイヤボンド2906を封止する。いくつかの実施形態では、封止材2908は、他の図ではナノ細孔チップを囲むように示されている封止材である。しかしながら、塗布された封止材は、1つ以上の流路構成要素がチップに結合されるチップの部分に侵入することができない。
【0089】
したがって、1つ以上の流路構成要素をチップ上に結合するためにチップ表面上で利用可能な面積を最大化するように、チップの表面上への封入剤の侵入を最小限に抑えるように注意しなければならない。様々な実施形態では、1つ以上の流路構成要素は、室温接合、接着接合、および/または圧縮接合によってチップ表面に結合されてもよい。製造中に、2つの別個のステップ、すなわち、まず、チップ上への封止材の望ましくない侵入を防止することに慎重に注意してワイヤボンドを封止し、次いで、1つ以上の流路構成要素をチップ上に結合して封止するステップを実行する必要があり得る。
【0090】
図30は、単一の製造ステップにおいてワイヤボンドを1つ以上の流路構成要素とともに封入する実施形態を示す図である。例えば、ナノ細孔チップと回路基板との間のワイヤボンドを、1つ以上の流路構成要素をナノ細孔チップに固定するステップとは別のステップで封入するのではなく、ワイヤボンドを封入し、1つ以上の流路構成要素をチップに結合/固定するために、封止材3004の単一の適用が利用される。いくつかの実施形態では、最初にワイヤボンドを封入することなく、流路構成要素3002がナノ細孔チップ上に配置される。次いで、封入剤(例えば、接着剤)の単一の塗布が適用されて、ワイヤボンドを同時に封入し、流路構成要素3002の周囲をナノ細孔ベースの配列決定チップに封止する。2つの製造ステップを1つの封入ステップに組み合わせることにより、製造がより効率的且つ単純化される。さらに、流路構成要素が既にチップ上に配置されており、チップの望ましくない部分上の封止材の流れを制限するため、封止材の塗布に対するチップの侵入制限は排除される。流路構成要素3002の例は、チップのセンサ上にチャンバ/流路を形成するためにナノ細孔セル上に配置された様々な構成要素を含む。例えば、本明細書の様々な実施形態で説明される様々なガスケット、プレート、および参照電極は、流路構成要素3002に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、流路構成要素3002は、
図23の成形流路構成要素2302を含む。
流体インターフェース
【0091】
図31Aおよび
図31Bは、フローセル3140と分注チップ3120との間に流体シールを形成するのを助けるアダプタ3100の実施形態を示している。アダプタ3100は、分注チップ3120を受け入れ、フローセル3140との流体接続を提供するための管腔3102を有することができる。管腔3102は、管腔3102の他の部分の直径よりも小さい直径を有する狭窄領域3104を有することができる。狭窄領域3104は、分注チップ3120がアダプタ3100の管腔3102に挿入されたときに分注チップ3120とシールを形成するように設計されている。管腔3102は、入口直径が管腔3102の内径よりも大きくなるように円錐形または外側にテーパ状になっている分注チップ3120を受け入れるための入口3106を有することができる。円錐形またはテーパ状の入口3106は、アダプタ3100の管腔3102への分注チップ3120の挿入および位置合わせの双方を容易にする。アダプタ3100の出口3108は、フローセルバッカー3160a内のレセプタクル3162と相補的であるようなサイズおよび形状にすることができる。
【0092】
アダプタ3102は、流体シールを提供するために管腔3102の狭窄領域3104が変形して分注チップ3120に適合することを可能にするデュロメータを有する材料から作製されることができるが、フローセル3140とフローセルバッカー3160a、3160bとの間に組み立てられたときに過度の変形を受けず、漏れをもたらす可能性がある様々な圧力(すなわち、フローセルとフローセルカバーとの間の機械的圧縮から、および使用中の流体加圧から)を受けるのに十分に剛性である。いくつかの実施形態では、ショアデュロメータは、約40から80Aとすることができる。いくつかの実施形態では、デュロメータは、約50から70Aとすることができる。いくつかの実施形態では、デュロメータは、約30から90Aとすることができる。
【0093】
シーケンサとともに使用されることができる使い捨て消耗品デバイスの一実施形態は、アダプタ3100およびフローセルバッカー3160a、3160bを用いて、ナノ細孔チップ上にフローセル3140を組み立てることによって形成される。フローセル3140は、フローセル3140がナノ細孔チップアレイの上に形成する各流体流路のための1つ以上のボス3142を有することができる。ボス3142は、フローセルバッカー3160a内の対応するレセプタクル3164に嵌入することができる。いくつかの実施形態では、カニューレ3144は、ボス3142から、2組のレセプタクル3162、3164を接続するフローセルバッカー3160a内の流路3166を通って延在することができる。カニューレ3144は、アダプタ3100が挿入されるレセプタクル3162内に延在することができる。カニューレ3144がアダプタ3100の管腔3102内に延在するように、アダプタ3100は、レセプタクル3162内に挿入されることができる。使用されるフローセル3140内の各流体流路について、アダプタ3100は、対応するレセプタクル3164に挿入されることができる。次いで、フローセルバッカー3160bの第2の部分がアダプタ3100の上に配置されて、アダプタ3100をフローセル3140の上方の定位置に固定することができる。フローセルバッカー3160bの第2の部分は、アダプタ3100を受け入れるための凹部3167と、アダプタ3100の入口3106へのアクセスを提供する開口部3168とを有することができる。
【0094】
図32A~
図32Iは、フローセルに組み込まれることができ、アダプタの使用を排除する直接注入流体インターフェースの様々な実施形態を示している。例えば、
図32Aおよび
図32Bは、直接注入フローセル3200の一実施形態を示している。フローセル3200は、フローセル内の各流路に対して入口ボス3202を有することができる。入口ボス3202は、ナノ細孔チップアレイ上の流体流路と流体連通する管腔3204を有することができる。いくつかの実施形態では、
図32Bに示すように、管腔3204は、分注チップ3220が管腔3204に挿入されたときに分注チップ3220と入口ボス3202との間に緊密な流体シールを形成することができるように、分注チップ3220の直径よりも僅かに小さい一定の直径を有することができる。
図31Aおよび
図31Bに関連して上述したように、入口ボス3202のデュロメータは、入口ボス3202が変形して分注チップ3220に適合することを可能にするのに十分に柔らかいが、流路が流体によって加圧されたときに流体シールを維持するのに十分に硬くすることができる。
【0095】
図32Cは、入口ボス3202’の別の実施形態を示している。この実施形態では、入口ボス3202’は、分注チップを受け入れる入口においてより広い直径を有し、フローセルの内部に通じる出口においてより狭い直径を有するテーパ状管腔3204’を有することができる。そのような構成は、分注チップの入口ボス内への挿入および分注チップの周りの液密シールの形成を容易にする。
図32Dは、管腔3204’’よりも広い直径を有する面取りされた入口開口部3206’’’を有する管腔3204’’を有する入口ボス3202’’のさらに別の実施形態を示している。上述したテーパ状管腔の実施形態と同様に、入口開口部3206’’におけるより広い直径は、管腔3204’’内への分注チップの挿入を容易にし、管腔3204’’のより狭い部分は、分注チップとの緊密な流体シールを形成する。
【0096】
図32Eは、高パーティングライン3208aを有する入口ボス3202および低パーティングライン3208bを有する入口ボス3202の断面図を示している。
図32Fおよび
図32Gは、高パーティングライン3208aを有する入口ボス3202、低パーティングライン3208bを有する入口ボス3202、面取りされた入口開口部3206’’および一定直径の管腔3204’’を有する入口ボス3202’’、および一定直径の管腔3204を有する入口ボス3202の断面を示している。
図32Gはまた、
図32Fに示すようにフローセル3240の真上に配置されたフローセルバッカー3260を示している。高パーティングライン3202aを有する入口ボス3208において、分注チップ3220は、分注チップ3220が入口ボス3208の管腔に完全に挿入されたときに分注チップ3220の深さが高パーティングライン3208aよりも下方になるように、高パーティングライン3202aを越えて挿入される。低パーティングライン3208bを有する入口ボス3202において、分注チップ3220は、低パーティングライン3208bを越えて挿入されず、代わりに、分注チップ3220が入口ボス3208の管腔に完全に挿入されたとき、分注チップ3220の深さは、低パーティングライン3202bよりも上方にある。高パーティングラインでは、分注チップは、完全に挿入されてパーティングラインと交差し、これは封止のリスクが高くなることがある。しかしながら、流体がパーティングラインを横切る必要がないため、流体の流れがより清浄にされることができるという利点がある。低パーティングラインでは、分注チップは、パーティングラインと交差しないため、シールはより信頼性が高い。しかしながら、流体の流れは、ここでパーティングラインを横切らなければならず、結果として理想的ではない場合がある。
【0097】
図32F~
図32Iに示すように、フローセルバッカー3260は、入口ボス3202を受け入れるためのサイズおよび形状のレセプタクル3264と、分注チップ3220を受け入れるための接続されたレセプタクル3262とを有することができる。分注チップ3220を受け入れるためのレセプタクル3262は、分注チップ3220を入口ボス3202の管腔内に案内するのを助けるために円錐形または漏斗形状とすることができる。分注チップ3220を受け入れるためのレセプタクル3262の入口の直径は、入口ボス3202の入口開口の直径よりも大きく、レセプタクル3262の出口の直径は、入口ボス3202の入口開口部の直径以上である。
図32Hおよび
図32Iでは、分注チップ3220は、異なる深さまで流路の入口ボス3202の管腔に挿入されて示されている。図示のように、入口ボス3202の管腔の直径は、分注チップ3220の直径よりも小さい。入口ボス3202は、変形および/または圧縮して分注チップ3220に対して流体シールを形成する材料から作製されることができる。
【0098】
図32J~
図32Lは、入口ボス3202の過圧縮を低減するように設計された入口ボスレセプタクル3264の追加の実施形態を示している。入口ボス3202の半径方向の過圧縮は、入口ボス3202の壁および管腔の過度の変形を引き起こす可能性があり、その結果、分注チップの周りに不適切なシールが形成され、流体漏れを引き起こす可能性がある。入口ボスに対してレセプタクルをオーバーサイズすることによって、挿入時に入口ボスの変形に対応するレセプタクルと入口ボスとの間の空間が設けられることができ、それによって管腔ボスの管腔を維持する。余分な空間がなければ、入口ボスの変形は、入口ボスの管腔を潰す傾向がある内側への変形をもたらす。例えば、
図32Jに示すように、入口ボス3202により小さい半径方向の圧縮力を印加するために、例えばレセプタクルの直径を大きくすることによって、フローセルバッカー3260のレセプタクル3264がより大きくされることができる。いくつかの実施形態では、レセプタクルの直径は、入口ボスの直径よりも大きい。例えば、レセプタクルの直径は、入口ボスの直径よりも約25から100μm大きく、または約10から150μm大きく、または約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、または150μm大きく、または少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、または150μm大きく、または最大で10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、または150μm大きくてもよい。いくつかの実施形態では、レセプタクル3264および入口ボス3202の形状および直径は、等しいかまたはほぼ等しい。いくつかの実施形態では、レセプタクル3264の直径は、入口ボス3202の直径よりも約0から1%、0から2%、0から3%、0から4%、0から5%、0から6%、0から7%、0から8%、0から9%、0から10%、0から11%、0から12%、0から13%、0から14%、または0から15%大きい。他の実施形態では、レセプタクル3264の直径は、入口ボス3202の直径よりも約1から2%、1から3%、1から4%、1から5%、1から6%、1から7%、1から8%、1から9%、1から10%、1から11%、1から12%、1から13%、1から14%、または1から15%大きい。いくつかの実施形態では、レセプタクルのオーバーサイズの程度または大きさは、入口ボス材料の硬度/柔軟性(すなわち、デュロメータ)に依存する。より柔らかい材料は、より大きな変形を受ける傾向があり、したがって、レセプタクルは、より大きな程度まで大型化されることができる。逆に、より硬い材料から作製された入口ボスは、変形が少なくなる傾向があり、したがって、レセプタクルのより小さい程度のオーバーサイズは、管腔の崩壊を防止するのに十分である。
【0099】
図32Kは、入口ボス3202と側壁レセプタクル3264’との間にギャップ3270を残す湾曲側壁を有するレセプタクル3264’の別の実施形態を示している。ギャップ3270は、入口ボス3202に過度の圧力が加えられるのを防止する。図示のように、ギャップ3270は、入口ボス3270およびレセプタクル3264’に沿った中間位置で最大幅を有し、入口ボス3202およびレセプタクル3264’の上部および底部で約ゼロまでテーパ状になることができる。この構成は、フローセルカバーをフローセルカバーと正確に位置合わせすることを可能にする一方で、入口ボスへの圧縮を緩和するためのギャップも提供する。いくつかの実施形態では、湾曲壁は湾曲していてもよい。他の実施形態では、湾曲壁は、2つ以上の傾斜面から形成されることができる。他の実施形態では、レセプタクルは、(断面図において)直線状の壁を有することができ、入口ボスの外壁は、ギャップを形成するために湾曲した表面を有することができる。いくつかの実施形態では、レセプタクルおよび/または入口ボスの中間部分の周りの材料を除去することによって、レセプタクルと入口壁との間のギャップが入口ボスおよびレセプタクルの中間部分に沿って設けられることができる。
【0100】
図32Lは、レセプタクル3264’’の開口部の周りに面取り縁部3272を有するレセプタクル3264’’のさらに別の実施形態を示している。面取り縁部3272は、特に入口ボス3202の基部の周りの圧縮を緩和するように機能するギャップを提供する。いくつかの実施形態では、レセプタクルおよび/または入口ボスは、過圧縮を低減するために、本明細書に記載の特徴の任意の組み合わせを使用して変更されることができる。
【0101】
図33A~
図33Cは、フローセル3300に組み込まれることができる流体インターフェースの追加の実施形態を示している。この実施形態では、入口ボス3302は、複数のレセプタクルを有する壁構造などの単一の構造に一緒に組み合わせられることができる。入口ボス3302を単一の構造に組み合わせることは、入口ボスに対する追加の支持を提供し、分注チップ3220が入口ボス3302に挿入されるときの座屈の可能性を低減する。いくつかの実施形態では、入口ボス3302は、各レセプタクル/流体インターフェース間の壁構造の追加の材料を利用するために円錐形シール面がより大きくてもよいことを除いて、上述した面取りされた入口開口部と同様の円錐形シール面3303を有することができる。円錐形シール面の角度は、フローセルバッカー3360がフローセル3300に押し付けられたときに発生する半径方向に向けられたシール力を増減するように調整されることができる。いくつかの実施形態では、円錐形シール面の角度は、フローセル3300の管腔を通って延在する軸に対して約30から60度の間とすることができる。他の実施形態では、円錐形シール面の角度は、比較的浅くてもよく、フローセル3300の管腔を通って延在する軸に対して約60から89度の間、または約70から89度の間、または約80から89度の間、または約85から89度の間、または約86から88度の間とすることができる。円錐形シール面機構は、例えば、
図31Bから
図32Lに示す個々のボスなどの他の実施形態において使用されることができる。フローセルバッカー3360は、入口ボス3302の円錐形シール面3303に当接するように構成された相補的な円錐形シール面3365を含む、入口ボス3302構造と相補的な形状を有するレセプタクル3364を有することができる。
【0102】
フローセルバッカー3360は、フローセルバッカー3360をフローセル3300上およびプリント回路基板(PCB)などの基板にしっかりと均一に締結することを可能にする、1つ以上の位置合わせピン3366およびフローセルバッカー3360の隅部に配置されたねじ孔などの1つ以上の締結機構3368を有することができる。他の締結機構は、スナップまたはクリップを含む。
【0103】
図34A~
図34Eは、流体シールを形成するためにフローセルの流体インターフェースに挿入されることができる分注チップ3400の実施形態を示している。分注チップ3400は、ステンレス鋼または別の金属もしくは金属合金から作製されることができ、フルオロポリマー(すなわち、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはフッ素化エチレンプロピレン(FEP))などの低摩擦疎水性材料によってコーティングされることができる。分注チップ3400の外面および内面の双方がコーティングされることができる。いくつかの実施形態では、コーティングは、少なくとも1、2、3、4、または5μmの厚さである。プラスチックなどの他の材料よりも分注チップに金属を使用すると、分注チップの構造強度が向上し、交換が必要になる前に分注チップを繰り返し使用することが可能になる。金属の使用はまた、分注チップが、容量性感知を使用する液面プローブなどのプローブとして機能することを可能にする。分注チップ3400の長さは、分注チップが使用される試薬リザーバの底部に確実に到達することができるように十分に長くすることができる。例えば、長さは、約20から200mmの間、または約40から100mmの間、または約60から80mmの間、または少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、または100mmの長さとすることができる。いくつかの実施形態では、分注チップ3400の管腔の容積は、試薬および/または試料が配管内に吸引され、貴重な試薬の廃棄を引き起こす可能性を防ぐために、分注される試薬全体および/または試料の容積が分注チップ3400の管腔内に保持されることができることを確実にするのに十分な大きさとすることができる。例えば、分注チップ3400の掃引容積は、10から100μlの間、または少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100μlとすることができる。分注チップ3400の外径は、フローセルの入口ボスの管腔の直径よりも僅かに大きくすることができる。分注チップ3400のチップ3402は、入口ボスの管腔への挿入および流体シールの形成を容易にするために緩やかにテーパ状とすることができる。いくつかの実施形態では、テーパは、約5から30度の間、または約5、10、15、20、25、もしくは30度とすることができる。器具の分注ヘッドに分注チップを取り付けるために使用することができる取り付け機能を提供するために、フェルール3404が分注チップの近位端に配置されることができる。さらに、フェルールは、以下のようにも機能する:(1)器具と分注チップとの間の流体シール面、および分注チップが容量性液面検出回路内のセンサとして機能することができるように器具と分注チップとの間の電気的接続。フェルールは、コーティングされていなくてもよく、直線状または僅かにテーパ状のいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、分注チップ3400はまた、入口ボスを覆うシールを穿刺するために使用されてもよい。
【0104】
図35Aおよび
図35Bは、例えばプラスチック材料から作製されることができる使い捨て分注チップ3500の実施形態を示している。使い捨て分注チップ3500の掃引容積および/または寸法は、再使用可能な分注チップ3400について上述したものと同じまたは同様とすることができる。いくつかの実施形態では、プラスチック材料は、分注チップが容量性液面プローブなどのプローブとして機能するために、導電性ポリマーから作製されるか、または埋め込まれた電極を含むことができる。いくつかの実施形態では、使い捨て分注チップ3500は、金属分注チップについて上述したものと同様の、フルオロポリマーなどの疎水性材料によってコーティングされることができる。
【0105】
図36A~
図36Fは、流体インターフェースを覆うシールに開口部を形成するために使用されることができる穿刺ツール3600の実施形態を示している。いくつかの実施形態では、穿刺ツール3600は、ステンレス鋼などの金属または金属合金から作製されることができる。他の実施形態では、穿刺ツール3600は、ポリマーまたはセラミック材料から作製されることができる。穿刺ツール3600は、シールを穿孔するための鋭い先端を有する遠位端3602と、穿刺ツール3600をアクチュエータに取り付けるための、雌ねじなどの取り付け機構3605または機構を有する近位端3604とを有することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、遠位端3602は、穿刺ツール3600の細長シャフト3612を通って延在する長手方向軸3610から約15度から約75度の間で角度を付けることができる複数の鋭い刃先3606および切断面3608を有することができる。刃先3606および切断面3608の角度は、シール材および厚さとともに、シールを穿刺するのに必要な力が約5から10Nになるように設定されることができる。いくつかの実施形態では、遠位端3602は、2段テーパを有することができ、刃先3606および切断面3608に関して上述したような第1のテーパは、穿刺ツールの最端に位置する。いくつかの実施形態では、第2のテーパ部3614は、刃先3606および切断面3608の角度よりも鋭角で、刃先3606および切断面3608から近位に延在することができる。例えば、第2のテーパ部3614は、刃先3606および切断面3608の角度よりも約5度から45度小さい角度を有することができる。第2のテーパは、穿刺ステップ中に箔の開口部を最大直径まで拡張し、分注チップからの液体の分注を妨げる可能性がある「箔フラップ」を最小限に抑えるように設計される。これらの機能を達成するために、第2のテーパは、レセプタクルの直径よりも大きい最大直径を有することができ、箔の開口部がレセプタクルの外縁部まで完全に形成されることを確実にする。
【0107】
いくつかの実施形態では、穿刺ツール3600は、異なる直径の少なくとも2つの部分、すなわち遠位部3616および近位部3618を有する細長シャフト3612を有することができ、遠位部3616は、近位部3618よりも小さい直径を有する。第3のテーパ部3620は、遠位部3616と近位部3618との間の移行部を提供することができる。いくつかの実施形態では、第3のテーパ部3620は、約10度から60度の角度を有することができる。いくつかの実施形態では、第3のテーパ部3620は、第2のテーパ部3614以下の角度を有する。
【0108】
図37A~
図37Bは、フローセルのシールを穿刺し、フローセルに気泡を導入しない方法で流体インターフェースに分注チップを挿入する方法を示している。いくつかの実施形態では、近位区画3618の直径は、穿刺デバイス3600が挿入される消耗品デバイスバッカー3260のレセプタクル3262の開口部よりも大きくすることができ、その結果、第3のテーパ区画3620に沿った位置は、開口部の直径に等しい直径を有し、穿刺ツール3600の消耗品デバイス内へのさらなる前進を制限するための停止部として機能する。いくつかの実施形態では、穿刺ツールは、可能な限り大きな開口部を形成するために、穿刺ツールの先端部がストッパに対して確実に底を打つように設定された目標の(すなわち、所定の)力まで駆動される。対照的に、シールを越えて設定された深さまで穿刺ツールを駆動または挿入すると、穿刺ツールの先端部の位置決め公差および穿刺ツールの円錐形状の違いにより、箔に異なるサイズの開口部を形成することがある。いくつかの実施形態では、穿刺ツール3600がフローセルインターフェースの入口ボス3202に挿入されるのを防止するために、遠位端3602から第3のテーパ部3620上の停止位置3622までの穿刺ツール3600の長さは、消耗品デバイスバッカー3260の開口部とフローセルインターフェースの入口ボス3202の頂部との間の距離にほぼ等しいかまたはそれよりも短くすることができる。
【0109】
図38A~
図38Cは、穿刺ツール3600によって穿刺されることもできる試薬ボトルキャップ3800を示している。いくつかの実施形態では、試薬ボトルキャップ3800は、穿刺ツール3600を受け入れるためのレセプタクル3802を有することができる。いくつかの実施形態では、レセプタクル3802は、テーパ状にすることができ、開口部ではより広く、底部3804ではより狭くすることができる。穿刺ツール3600は、穿刺ツール3600の遠位端3602がレセプタクル3802の底部3804を穿刺するのに十分なほど遠くまでレセプタクルに挿入されることを可能にする長さおよび直径を有することができる。いくつかの実施形態では、第3のテーパ部3620などの穿刺ツール3600のテーパ部の一方は、テーパ状レセプタクル3802の中間部の直径に等しい第3のテーパ部3620の一部の直径を有する。テーパ状レセプタクルの中間部として一致する直径を有する第3のテーパ部3620の部分は、停止部として機能し、第3のテーパ部3620の部分から穿刺ツール3600の遠位端3602までの穿刺ツール3600の長さは、テーパ状レセプタクル3802の中間部からテーパ状レセプタクル3802の底部までの長さよりも長く、その結果、穿刺ツール3600は、レセプタクル3802に完全に挿入されたときにテーパ状レセプタクル3802の底部3804を貫通する。
【0110】
図39A~
図39Eは、分注チップ3220内の流体と消耗品デバイスバッカーのレセプタクル3262内の流体との間の信頼性の高い流体接続を行い、それによって流体中への気泡の不注意な導入を防止するシステムおよび方法を示している。
図39Aに示すように、分注チップ3220は、分注される準備ができた流体によって満たされた管腔を有することができる。しかしながら、少量のガス3900(すなわち、空気)が分注チップ3220の管腔の遠位端に閉じ込められることができる。ガスが分注チップ3220内に閉じ込められたときに、分注チップ3220がレセプタクル3262内の流体に挿入され、入口ボス3202に挿入される場合、流体が分注チップ3220から分注されるときにガス3900が流体に導入されることができる。
【0111】
図39Bおよび
図39Cに示すように、少量の流体が分注チップから部分的に分注されることができ、その結果、流体の部分液滴3902が分注チップ3220の遠位端から延在することができる。これは、ガスが分注チップ3220の管腔内に閉じ込められないことを保証し、その結果、分注チップ3220がレセプタクル3262に挿入されたときに液滴3902とレセプタクル3262内の流体との間に流体接続が適切に形成されることができる。
【0112】
図39Dに示すように、箔またはプラスチックシートなどのカバーが使用されて、使用前にレセプタクル3262をシールすることができる。本明細書に記載の穿刺ツールが使用されて、カバーを穿刺することができる。いくつかの実施形態では、カバーが穿刺ツールによって穿刺された後に、フラップ3904(すなわち、箔またはプラスチックフラップ)がカバーから形成されることができる。いくつかの実施形態では、このフラップ3904は、レセプタクル3262の管腔内に延在することができ、分注チップ3220がレセプタクル3262に挿入されたときに分注チップ3220の遠位端と接触することができる。分注チップ3220の遠位端がフラップ3904を通過して挿入される前に、流体が部分液滴3902として分注チップ3902から部分的に分注された場合、液滴3902は、分注チップ3220の遠位端から吸い上げられることがあり、その結果、
図39Aに示すように、分注チップ3220の遠位端に少量のガス3900が生じる可能性がある。その後、分注チップ3220がレセプタクル3202内の流体に挿入されると、分注チップ3220内のガス3900が入口ボス3202内および流体システム内に移送されることができる。いくつかの実施形態では、吸い上げの可能性を低減するために、フラップ3904は、箔カバーに隣接するレセプタクルの上部の幾何学的形状に少なくとも部分的に一致することができる穿刺ツールの近位部によってレセプタクル3262の側壁に押し付けられる。
【0113】
図39Eに示すように、分注チップ3220から液滴3902を吸い取るリスクを低減するために、分注チップ3220の遠位端に部分液滴3902を形成する前に、分注チップ3220の遠位端がフラップ3904を越えて挿入されることができる。例えば、分注チップ3220の遠位端は、フラップ3904を越えてレセプタクル3262に挿入されることができる。次いで、流体が分注チップ3220の遠位端から部分的に分注されて、管腔内に閉じ込められたガスを排出し、分注チップ3220の遠位端に部分液滴3902を形成することができる。次いで、部分液滴3902を有する分注チップ3220が下降されて、流体をレセプタクル内の流体と流体接続させることができる。
【0114】
先の実施形態を、理解を明確にする目的のために、いくらか詳細に説明したが、本発明は、提供された、それらの詳細に限定されない。本発明を実施するための多くの代替的な方法がある。開示された実施形態は、説明のためであり、限定するものではない。
【0115】
本出願で引用される全ての刊行物、特許、特許出願、および/または他の文献は、あたかも各個別の刊行物、特許、特許出願、および/または他の文献が全ての目的のために参照により組み込まれることが個別に示されているのと同程度に、全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
【0116】
ある特徴または要素が、別の特徴または要素の「上にある(on)」、とここで言う場合、これは、その別の特徴または要素上に直接あるものとでき、若しくは、これらの間に介在する特徴および/または要素があってもよい。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素に「直接」あると言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。特徴または要素が別の特徴または要素に「接続され」、「取り付けられ」または「結合され」と言及される場合、それは他の特徴または要素に直接接続され、取り付けられ、または結合されることも可能であり、または介在する特徴または要素が存在し得ることも理解されよう。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素に「直接接続されている」、「直接接続されている」、または「直接結合されている」と言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。一実施形態に関して説明または示されているが、そのように説明または示されている特徴および要素は、他の実施形態に適用することができる。別の特徴に「隣接して」配置された構造または特徴への言及は、隣接する特徴と重複するか、またはその下にある部分を有することができることも当業者には理解されるであろう。
【0117】
本明細書に使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することは意図されていない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」および/または「備える(comprising)」という用語は、記載された特徴、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解される。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連するリストされた項目の1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含み、「/」と省略されることができる。
【0118】
「下(under)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(over)」、「上(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、ある要素または特徴と別の要素または図に示されている特徴との関係を説明するために本明細書において使用されることができる。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中または動作中の装置の異なる方向を包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図の装置が裏返されている場合、他の要素または特徴の「下」または「下方」として記述されている要素は、他の要素または特徴の「上」または「上方」になる。したがって、「下」という例示的な用語は、上と下の双方の方向を包含することができる。装置は、他の方法で方向付けられてもよく(例えば、90度回転または他の方向に)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子がそれに応じて解釈されてもよい。同様に、「上向き」、「下向き」、「垂直」、「水平」などの用語は、特に明記しない限り、説明の目的でのみ本明細書で使用される。
【0119】
「第1」および「第2」という用語は、本明細書では様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明するために使用されることができるが、文脈が別段の指示をしない限り、これらの特徴/要素はこれらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、ある特徴/要素を別の特徴/要素から区別するために使用される場合がある。したがって、以下に記載される第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、以下に記載される第2の特徴/要素は、本発明の教示から逸脱することなく、第1の特徴/要素と呼ぶことができる。
【0120】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通じて、文脈上別段の定めがない限り、「備える(comprise)」という単語、および「備える(comprises)」および「備える(comprising)」などの変異は、方法および物品(例えば、組成物ならびに装置および方法を含む装置)において共同で使用されることができることを意味する。例えば、用語「備える(comprising)」は、ここに記されるいずれの要素またはステップを含むことを暗示するが、いずれの他の要素またはステップを除外することを含まない、と理解される。
【0121】
種々の実例となる実施形態を先に説明したが、種々の実施形態に対して、特許請求の範囲に記載される、本発明の範囲を逸脱することなく、いずれの多数の変更が行われてよい。例えば、記載された様々な方法ステップが実行される順序は、代替の実施形態ではしばしば変更されることがあり、他の代替の実施形態では、1つ以上の方法ステップが完全にスキップされることがある。様々な装置およびシステムの実施形態の任意の特徴は、いくつかの実施形態には含めてもよく、他の実施形態には含めなくてもよい。したがって、前述の説明は、主に例示的な目的で提供されており、特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0122】
本明細書に含まれる例および図は、限定ではなく例示として、主題が実施されることができる特定の実施形態を示している。前述のように、他の実施形態を利用してそこから導き出すことができ、その結果、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更を行うことができる。本発明の主題のそのような実施形態は、複数のものが実際に開示されている場合、単に便宜のために、そして本特許出願の範囲を任意の単一の発明または発明の概念に自発的に限定することを意図することなく、本明細書において個別にまたは集合的に「発明」という用語によって言及されることができる。したがって、特定の実施形態が本明細書で例示および説明されてきたが、同じ目的を達成するために計算された任意の構成を、示された特定の実施形態の代わりに使用することができる。本開示は、様々な実施形態のありとあらゆる適応または変形をカバーすることを意図している。上記の実施形態、および本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態の組み合わせは、上記の説明を検討すると、当業者にとって明らかであろう。
【0123】
各例において使用されるようなことを含み、さもなければ明示的に指定されない限りは、本明細書および特許請求の範囲において、ここで使用されるように、全ての数値は、「約(about)」または「おおよそ(approximately)」という言葉が、それらのそれぞれが明示的になくとも、あたかも前置きされるように読まれてよい。「約」または「およそ」という句は、大きさおよび/または位置を説明するときに使用されて、説明される値および/または位置が値および/または位置の合理的な予想範囲内にあることを示すことができる。例えば、数値は、記載された値(または値の範囲)の+/-0.1%、記載された値(または値の範囲)の+/-1%、記載された値(または値の範囲)の+/-2%の値、記載された値(または値の範囲)の+/-5%、記載された値(または値の範囲)の+/-10%などを有することができる。本明細書で与えられる数値はまた、文脈が別段の指示をしない限り、その値についてまたはほぼその値を含むと理解されるべきである。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書に記載されている任意の数値範囲は、そこに含まれる全てのサブ範囲を含むことを意図している。また、当業者が適切に理解するように、値が「以下」であると開示される場合、「値以上」および値間の可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、値「X」が開示される場合、「X以下」ならびに「X以上」(例えば、Xは数値である)も開示される。また、本特許出願全体で、データは様々な形式で提供され、このデータは、終了点と開始点、およびデータポイントの任意の組み合わせの範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が開示される場合、10および15よりも大きい、それ以上、それよりも小さい、それ以下、およびそれに等しいことが、10から15の間とともに開示されていると見なされることが理解される。2つの特定のユニット間の各ユニットもまた開示されていることも理解される。例えば、10および15が開示される場合、11、12、13、および14もまた開示される。