(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】LED発光装置及びそれを用いた照明器具
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20231006BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20231006BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20231006BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20231006BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20231006BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231006BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231006BHJP
【FI】
H01L33/62
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V23/00 150
F21V23/00 160
F21V29/503
F21V29/70
F21S2/00 311
F21S2/00 320
F21Y115:10 300
(21)【出願番号】P 2022521931
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(86)【国際出願番号】 JP2021017905
(87)【国際公開番号】W WO2021230242
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2020084485
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】萱沼 安昭
(72)【発明者】
【氏名】山田 達郎
(72)【発明者】
【氏名】堺 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】堀 隆博
(72)【発明者】
【氏名】後藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】草野 賢治
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-87570(JP,A)
【文献】特開2014-72231(JP,A)
【文献】特開2005-136224(JP,A)
【文献】特開2018-181686(JP,A)
【文献】特開2014-110153(JP,A)
【文献】特開2015-225789(JP,A)
【文献】特開2011-150816(JP,A)
【文献】特開2005-12155(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0195479(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/62
F21V 19/00
F21V 29/503
F21V 29/70
F21S 2/00
F21Y 107/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する回路基板と、
開口部に配置されるCOBモジュールと、
COBモジュールと回路基板とを接続する可撓性導電部材と、
を備え、
COBモジュールが可撓性導電部材を介して回路基板に支持されていて、可撓性導電部材をCOBモジュールの動きに柔軟に追従させることで、COBモジュールが回路基板に対して動くことを可能とするLED発光装置。
【請求項2】
前記COBモジュールは、前記回路基板の開口部の内側辺と所定の隙間を設けて対向する外側辺を有するサブマウント基板と、サブマウント基板の上面に設けられる発光部、とを備え、
前記COBモジュールに設けられる電源電極と、前記回路基板に設けられる電源電極とを互いにずらせた位置に設け、両方の電源電極を前記サブマウント基板の外側辺および前記回路基板の開口部の内側辺を斜めに横切って直線状に延びる可撓性導電部材によって接続する請求項1に記載のLED発光装置。
【請求項3】
前記COBモジュールは、前記回路基板の開口部の内側辺と所定の隙間を設けて対向する外側辺を有するサブマウント基板と、サブマウント基板の上面に設けられる発光部、とを備え
前記COBモジュールに設けられる電源電極と、前記回路基板に設けられる電源電極とを、湾曲した状態で配設される可撓性導電部材によって接続する請求項1に記載のLED発光装置。
【請求項7】
開口部を有する回路基板と、
開口部に配置されるCOBモジュールと、
COBモジュールと回路基板とを接続する可撓性導電部材と、
を備え、
COBモジュールが可撓性導電部材を介して回路基板に支持され、且つ回路基板と、回路基板の開口部に配置されたCOBモジュールとが、両者間をつなぐ柔軟性接着剤によって固定されるLED発光装置。
【請求項8】
前記COBモジュールは、前記回路基板の開口部の内側辺と対向する外側辺を有するサブマウント基板と、サブマウント基板の上面に設けられる発光部とを備え、
前記可撓性導電部材が前記COBモジュールに設けられる電源電極から前記サブマウント基板の外側辺を斜めに横切って前記回路基板に設けられる電源電極まで延びている請求項7に記載のLED発光装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか一項に記載のLED発光装置と、
LED発光装置に含まれる前記COBモジュールの底面に接するヒートシンクとを備える照明器具。
【請求項18】
前記ヒートシンクは、前
記COBモジュールの底面に接する部分に凸部が設けられている請求項17に記載の照明器具。
【請求項19】
前記ヒートシンクは複数の凸部を備え、
複数の凸部のうち、ある1つ又は2つ以上の凸部の上面の法線方向と、他の1つ又は2つ以上の凸部の上面の法線方向とが異なっている請求項18に記載の照明器具。
【請求項20】
前記ヒートシンクは複数の凸部を備え、
複数の凸部のうち、ある1つ又は2つ以上の凸部の上面の高さ位置と、他の1つ又は2つ以上の凸部の上面の高さ位置とが異なっている請求項18に記載の照明器具。
【請求項21】
前記ヒートシンクと前記COBモジュールの間に熱伝導部材が配置されている請求項17乃至20のいずれか一項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板にCOBモジュールが実装されたLED発光装置及びそれを用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一枚の回路基板の上面に複数のCOB(Chip on board)モジュールを実装したLED発光装置が知られている。
【0003】
例えば、特開2018-206708号公報(
図1~
図5)には、回路基板に貫通された複数の開口部ごとにCOBモジュールを実装したLED発光装置が記載されている。このLED発光装置は、回路基板の下方にCOBモジュールを配し、回路基板の下面に設けられた電源電極(電力供給用電極)と、COBモジュールの発光部が実装されるサブマウント基板の上面に設けられた電源電極とを接続し、発光部から発光を回路基板の開口部を通して上方に放射している。
【0004】
なお、特開2018-206708号公報(
図1~
図5)に記載されたLED発光装置は、開口部の上方にレンズを、COBモジュールの下方にヒートシンク(放熱基板)をそれぞれ備えている。また、このLED発光装置は、混色性を高めるため、発光部に発光色の異なる複数の領域を備えたCOBモジュールを採用し、さらに、一のCOBモジュールの方位角を他のCOBモジュールの方位角と異ならせている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2018-206708号公報(
図1~
図5)に記載されたLED発光装置では、それぞれのCOBモジュールが有する光軸は、回路基板に対し垂直な方向に限定されている。さらに、発光面の高さ位置が回路基板の底面近傍に固定されている。そのため、回路基板にCOBモジュールを実装したとき、光軸の角度や発光面の高さ位置を容易に微調整することができない。
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明は、一枚の回路基板にCOBモジュールを実装したとき、光軸の角度や発光面の高さ位置を容易に微調整することができるLED発光装置及びそれを用いた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願に開示のLED発光装置は、少なくとも一つの開口部を有する回路基板と、開口部に配置されるCOBモジュールと、COBモジュールと回路基板とを接続する可撓性導電部材と、を備え、COBモジュールが可撓性導電部材を介して前記回路基板に支持されていて、回路基板に対して動きを可能とする。
【0008】
また、本願に開示の照明器具は、前記LED発光装置と、LED発光装置に含まれるCOBモジュールの底面に接するヒートシンクとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本願に開示のLED発光装置によれば、COBモジュールが回路基板に対して動きを可能とする構造で支持されているので、COBモジュールの光軸角度や発光面の高さ位置を微調整することができる。
【0010】
また、本願に開示の照明器具は、COBモジュールの底面に接するヒートシンクを備えているので、COBモジュールの底面に接するヒートシンクの当接面の傾斜角度や高さ位置を変えることで、照明器具の照射範囲を容易に微調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願の第1実施形態に係るLED発光装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示すLED発光装置の要部平面図である。
【
図3】本願のLED発光装置に用いられるCOBモジュールの平面図である。
【
図4】本願の第2実施形態に係るLED発光装置の要部平面図である。
【
図5】本願の第3実施形態に係るLED発光装置の要部平面図である。
【
図6】本願の第3実施形態に係るLED発光装置の変形例を示す要部平面図である。
【
図7】本願の第4実施形態に係るLED発光装置の要部平面図である。
【
図8】弾力性接着剤による固定手段の一態様を示す
図7中VIII-VIII線断面図である。
【
図9】弾力性接着剤による固定手段の他態様を示す
図8と同様の断面図である。
【
図10】弾力性接着剤による固定手段の別態様を示す
図8と同様の断面図である。
【
図13】本願の第5実施形態に係る照明器具の要部断面図である。
【
図14】本願の第6実施形態に係る照明器具の要部断面図である。
【
図15】本願の第7実施形態に係る照明器具の要部断面図である。
【
図16】本願の第8実施形態に係る照明器具の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願において開示されるLED発光装置及び照明器具について、添付の図面を参照しながら実施形態に基づいて説明する。なお、図面はLED発光装置及び照明器具の各構成部材を模式的に表したものであり、実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、特にことわらない限り、本明細書では便宜上、
図2に示すLED発光装置の向きを基準に左右上下、内側外側等の方向を表す。さらに、重複説明は適宜省略し、同一部材には同一符号を付することがある。
【0013】
(第1実施形態:LED発光装置)
図1及び
図2には、本願に開示されるLED発光装置の第1実施形態が示されている。第1実施形態に係るLED発光装置10は、矩形状の開口部11aを複数有する回路基板11と、各開口部11aの内側に配置されるCOBモジュール12と、COBモジュール12と回路基板11とを接続する一対の可撓性導電部材13とを備えている。この実施形態において前記回路基板11は、アルミニウムなどの材料を用いて平面形状が矩形に形成され、絶縁処理が施された基板表面にはCOBモジュール12に通電する電気配線(図示せず)が設けられている。なお、回路基板11は、ガラスエポキシ基板やガラスコンポジット基板などの樹脂基板であってもよい。また、回路基板11には各開口部11aの内側辺4辺のうち、対向する左右2辺の内側辺11dのそれぞれの近傍に、互いに対向して配置される一対の電源電極11cが設けられている。一対の電源電極11cは前記電気配線の一部分であり、一方が+側、他方が-側となる。この実施形態において、一対の電源電極11cは、開口部11aの左右の内側辺11dそれぞれの辺の長さの中間位置辺りに設けられているが、設定箇所は特に限定されない。例えば、内側辺11dの辺の長さの範囲内に設けてあればよく、そのような場合には電源電極11cの占有領域を拡げることなく、後述する可撓性導電部材13を長くとることもできる。また、この実施形態にあっては、同一矩形の4つの開口部11aが回路基板11の四隅にそれぞれ設けられているが、回路基板11に対する開口部11aの開口位置や数などは特に限定されない。例えば、回路基板11の中央部に設けられる少なくとも1つの開口部11aであってもよい。なお、開口部11aにおいて、対角線上で向かい合う2つの角部には半円状のネジ止め孔11bが形成されている。
【0014】
COBモジュール12は、回路基板11に設けられた各開口部11aの内側に収まるように、開口部11aの大きさより小さく、且つ開口部11aの形状に対応して矩形状に形成されている。そのため、
図2に示したように、開口部11aの内側に配置した時に、COBモジュールの12の外側辺12f全体に沿って開口部11aの内側辺11dとの間に隙間14が生じている。この隙間14があることで、開口部11a内におけるCOBモジュール12の動きを可能としている。COBモジュール12の動きを可能とするとは、COBモジュール12が開口部11a内で回路基板11に対して水平方向に回動又は上下左右に動きを持つことであり、あるいは回路基板11に対して垂直方向に動きを持つことである。前記隙間14の幅は、例えば
図2に示したように、回路基板11の開口部11aの左右の内側辺11d間の距離をD、COBモジュール12の左右の外側辺12f間の距離をLとしたときに、L<D<4L/3の計算式によって算出される値が望ましい。
【0015】
COBモジュール12は、一例では
図2及び
図3に示されるように、回路基板11の開口部11aの内側辺11dと対向する外側辺12fを有するサブマウント基板12aと、サブマウント基板12aの中央部に設けられる円形の発光部12dとを備えている。サブマウント基板12aは、アルミナなどのセラミック材からなり、その表面に金属配線(図示せず)が設けられている。サブマウント基板12aは、ガラスエポキシ基板やガラスコンポジット基板などの樹脂基板であってもよく、またアルミニウムなどの熱伝導性に優れた材料からなる基板であってもよい。また、サブマウント基板12aにおいて対角線上で向かい合う2つの角部には、それぞれ三角形状の電源電極12bが設けられ、一対の電源電極12bとなっている。対角線上で向かい合う別の2つの角部には四半円形状の切欠き12eが形成されている。回路基板11の開口部11a内にCOBモジュール12を配置する際、前記切欠き12eが回路基板11のネジ止め部11bと向かい合うように配置される。前記一対の電源電極12bは前記金属配線の一部分であり、一方が+側、他方が-側となる。
【0016】
サブマウント基板12aの中央部には円環状のダム12cに囲まれた発光部12dが設けられている。ダム12cは、例えば、酸化チタンの微粒子を混練した白色シリコーン樹脂によって形成され、例えば、幅が0.7~1.3mm、高さが0.5~0.8mm程度の断面ドーム形の円環からなる。発光部12dは、ダム12cの内側の領域において、複数のLEDチップ15を縦横に配列し、これらのLEDチップ15を金線などで接続することによって、発光密度の高い高出力光を出せるようにしたものである。発光部12dに配列されたLEDチップ15や金線などは、ダム12cの内側に充填された蛍光体粒子を含むシリコーン樹脂などによって封止されている。
【0017】
COBモジュール12と回路基板11とを接続する可撓性導電部材13は、例えば両者間を電気的に接続するリード線である。可撓性導電部材13は、COBモジュール12のサブマウント基板12aに設けられた電源電極12bに一端が半田付けされ(図示せず)、回路基板11の表面に設けられた電気回路の電源電極11cに他端が半田付けされていて(図示せず)、対向する2つの可撓性導電部材13が一対となってCOBモジュール12を支持している。なお、可撓性導電部材13は柔軟性を有しているため、COBモジュール12の動きに追従する。また、可撓性導電部材13は絶縁性被膜によって被覆されている。なお、可撓性導電部材13は、ビニール線、すずめっき線、エナメル線等の一般的なリード線に限定されることなく、金属製のつるまきバネや板バネなど電気伝導性と柔軟性、バネ性などを兼ね備えた部材であっても良い。
【0018】
前記それぞれの可撓性導電部材13は、
図2に示されるように、COBモジュール12、隙間14、回路基板11上に配置され、COBモジュール12の電源電極12bからサブマウント基板12aの外側辺12f及び開口部11aの内側辺11dを斜めに横切って回路基板11の電源電極11cまで直線状に延びた状態で、電源電極11cに端部が接続されている。なお、可撓性導電部材13は多少のゆとりを持った状態で直線状に配線されていてもよい。このように、COBモジュール12の電源電極12bと回路基板11の電源電極11cとを互いにずらせた位置に設け、その間を斜めに延びる可撓性導電部材13により接続しているので、可撓性導電部材13の長さをある程度長く確保することが可能となり、開口部11a内でのCOBモジュール12の動きに応じて可撓性導電部材13を追従させることができる。すなわち、COBモジュール12は前記可撓性導電部材13のみによって回路基板11に接続され且つ支持されることになるため、COBモジュール12の動きが可能となる。例えば、COBモジュール12を回路基板11の開口部11aから垂直方向に押し出すことによって、COBモジュール12の光軸角度や発光面の高さ位置などを容易に微調整することができる。また、第1実施形態では一枚の回路基板11に4個のCOBモジュール12が配置されているので、それぞれのCOBモジュール12の光軸や発光面の高さ位置を個別に微調整することで、よりきめの細かい発光調整が可能となる。
【0019】
(第2実施形態:LED発光装置)
図4には、本願の第2実施形態に係るLED発光装置の要部が示されている。この実施形態に係るLED発光装置20は、回路基板11の開口部11aの内側辺11dとCOBモジュール12のサブマウント基板12aの外側辺12fとの間の隙間14の幅が第1実施形態のものより狭く形成されていること、また回路基板11の開口部11a付近に設けられる電源電極11cの位置及び可撓性導電部材13が湾曲状に配線されていることを除いて、第1実施形態に係るLED発光装置10と同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0020】
第2実施形態では、前記回路基板11の開口部11aの大きさを第1実施形態のものより小さく形成することで、開口部11aの内側辺11dとサブマウント基板12aの外側辺12fとの間の隙間14の幅を狭くしている。これは、COBモジュール12と回路基板11をヒートシンク(
図13参照)にネジ止めする際に生じ易いCOBモジュール12の水平方向の回転を抑制するためである。前記隙間14の幅を狭くすることによって、回転しようとするサブマウント基板12aの外側辺12fを開口部11aの内側辺11dに当てて、その回転を規制することによって、水平方向の回転を抑制することができる。なお、前記隙間14の幅は、例えば、L<D<L+0.5mmの計算式によって算出される値であり、好ましくはL<D<L+0.3mmの計算式によって算出される値である。
【0021】
また、第2実施形態では、回路基板11の開口部11aの上下の内側辺11d近傍それぞれに電源電極11cが設けられ、一対となっている。この電源電極11cとCOBモジュール12側の電源電極12bとの間の距離は、第1実施形態のものより短くなるが、両方の電源電極11c、12bの間に少なくとも平面視において湾曲させた状態の可撓性導電部材13が掛け渡される。可撓性導電部材13を少なくとも平面視において湾曲させることで、可撓性導電部材13の長さを確保しながら柔軟性やバネ性が高められる。
【0022】
(第3実施形態:LED発光装置)
図5には、本願の第3実施形態に係るLED発光装置の要部が示されている。この実施形態に係るLED発光装置30は、COBモジュールの12の外側辺12fと回路基板11の開口部11aの内側辺11dとの間に形成される隙間14に閉塞部材が配置されている点を除いて、第1実施形態に係るLED発光装置と同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0023】
この実施形態において、上記閉塞部材は、開口部11aの上下に位置する2つの内側辺11dそれぞれからCOBモジュール12のサブマウント基板12aの上下に位置する2つの外側辺12fそれぞれに向かって突出する突起11eからなる。突起11eの先端をサブマウント基板12aの外側辺12fに突き当てることで、COBモジュール12の水平方向の回転を抑制することができる。水平方向の回転は、COBモジュール12と回路基板11をヒートシンク(
図13参照)にネジ止めする際に生じやすい。突起11eの配置は、突起11eと対向する内側辺11dにおいて、互いに斜向かいの位置になっている。なお、前記突起11eの位置は特に限定されるものではなく、例えば
図6に示されるように、COBモジュール12の電源電極12bと対向する位置に設けることもできる。
【0024】
(第4実施形態:LED発光装置)
図7及び
図8には、本願の第4実施形態に係るLED発光装置の要部が示されている。この実施形態に係るLED発光装置40は、前記COBモジュール12と前記回路基板11とが、両者間をつなぐ柔軟性接着剤16によって固定されて、COBモジュール12が回路基板11に支持される点と、ネジ止め孔18aとワッシャ孔18b備える点を除いて、第1実施形態に係るLED発光装置10と同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0025】
第4実施形態において、前記柔軟性接着剤16は、COBモジュール12のサブマウント基板12aに設けられた電源電極12b、この電源電極12bに接続する可撓性導電部材13の一端部及び半田17などを被覆している。また、可撓性導電部材13の一部又は全部を柔軟性接着剤16で被覆してもよい。柔軟性接着剤16は弾力性を有するシリコーン接着剤などからなり、電源電極12b及び半田17の上から塗布される。また、可撓性導電部材13にも塗布されることがある。この柔軟性接着剤16は、例えば
図8に示されるように、開口部11aの隙間14上も覆いながら隙間14を跨いでサブマウント基板12aと回路基板11との間に掛け渡される場合を含むだけでなく、
図9に示されるように、開口部11aの隙間14にも充填された場合には両者の固定をより確実にする。また、
図10に示されるように、柔軟性接着剤16が開口部11aの隙間14のみに充填される場合であっても、COBモジュール12は回路基板11に固定される。
【0026】
このように、第4実施形態に係るLED発光装置40にあっては、COBモジュール12が可撓性導電部材13と共に柔軟性接着剤16によって回路基板11に支持されることになるので、第1実施形態におけるLED発光装置10に比べてCOBモジュール12の動きがやや制限されるものの、その分LED発光装置40の搬送時や取り扱い時に懸念されるCOBモジュール12の位置ずれや可撓性導電部材13の断線などを防ぐことができる。一方、柔軟性接着剤16は弾力性や柔軟性を備えているので、回路基板11に対してCOBモジュール12や可撓性導電部材13が全く動かないように固定されることがなく、回路基板11の開口部11a内でのCOBモジュール12のある程度の動きを可能としている。
【0027】
なお、第4実施形態ではCOBモジュール12の電源電極12bに盛られた半田17の上に柔軟性接着剤16を塗布した場合について説明したが、電源電極12bへの塗布に加えて、さらに
図5及び
図6に示したLED発光装置30のように、開口部11aの隙間14に閉塞部材としての突起11eが配置されているような場合には、この突起11eの少なくとも一部、例えばサブマウント基板12aの外側辺12f近傍の突起11eの先端部分にも柔軟性接着剤16が接するように塗布することで、COBモジュール12と回路基板11とを固定することができる。なお、
図6に示したように、突起11eがCOBモジュール12の電源電極12bと対向する位置に設けられている場合には、柔軟性接着剤16を電源電極12bに塗布する際に突起11eの少なくとも先端部分が一緒に塗布されるので、接着剤の塗布工程を簡略化できる。柔軟性接着剤16が塗布される箇所は、前述のような電源電極12bに限定されない。例えば、電源電極12bとは異なる箇所で、COBモジュール12と回路基板11を固定するために、柔軟性接着剤16を塗布することもできる。COBモジュール12と回路基板11を2箇所で固定する必要はなく、少なくとも1箇所で固定されていればよい。
【0028】
さらに、第4実施形態では、前記回路基板11の開口部11aにおいて、対角線上で向かい合う2つの角部にネジ止め孔18aが設けられているが、このネジ止め孔18aは、前記第1実施形態のネジ止め孔11bとは異なり、サブマウント基板12aの角部の左右両側にそれぞれ1つのワッシャ孔18bを備えている。このように、ネジ止め孔18aは左右にワッシャ孔18bを有していることから、
図11及び
図12に示されるように、COBモジュール12と回路基板11をヒートシンク(
図13参照)にネジ19とワッシャで固定する際に、COBモジュール12と回路基板11との間に多少の高さずれなどがあったとしても、ワッシャ孔18bの内側にワッシャの一部が斜めに配置されることで、両者を確実に固定することができる。なお、
図12に示されるように、ワッシャは、平ワッシャ19aとスプリングワッシャ19bの組み合わせであってもよい。
【0029】
(第5実施形態:照明器具)
図13には、第1実施形態に係るLED発光装置10を用いた照明器具50の要部が示されている。第5実施形態に係る照明器具50は、前述のLED発光装置10と、COBモジュール12のサブマウント基板12aの底面に接するヒートシンク51とを備えている。ヒートシンク51は、回路基板11の開口部11aに対応する部分に凸部を有している。隣接する2つの開口部11a内において、一方の開口部11aには凸部51aが、他方の開口部11aには凸部51bが一対のように形成されている。これらの凸部51a,51bは、開口部11aの形状にほぼ対応した平面矩形状の突起である。凸部51a,51bの上面はサブマウント基板12aの底面に全体で接するように平面となっているが、一方向に傾斜している。この実施形態において、凸部51a,51bは上面の傾斜する方向が互いに異なっており、
図13において左側の凸部51aは、上面が左側(法線A)に傾斜しており、
図13において右側の凸部51bは、上面が右側(法線A’)に傾斜している。このように、一方の凸部51aの上面の法線A方向と、他方の凸部51bの上面の法線A’方向とが異なっている。
【0030】
上述したヒートシンク51をLED発光装置10の裏面側に配置する際、COBモジュール12はそれぞれ、ヒートシンク51の凸部51a,51bによって押される。その際、COBモジュール12と回路基板11とを接続している可撓性導電部材13が撓むことで、COBモジュール12が開口部11aから押し出される。その結果、COBモジュール12は、対応する凸部51a、51bの上面の傾斜に合わせて配置されることになる。具体的には、左側の凸部51aの上面に載置されたCOBモジュール12は、発光部12dの光軸が法線A方向と一致するように配置され、右側の凸部51bの上面に載置されたCOBモジュール12は、発光部12dの光軸が法線A’方向と一致するように配置される。その結果、この実施形態における照明器具50は、隣接するCOBモジュール12から出射する光がやや外側に向けられることで広範囲を照射することが可能となる。
【0031】
なお、第5実施形態の照明器具50では、隣接する2つの開口部11a内において、一方の開口部11aには凸部51aが、他方の開口部11aには凸部51bが一対のように形成され、一方の凸部51aの上面の法線A方向と、他方の凸部51bの上面の法線A’方向とが異なっている場合について説明したが、本願の照明器具では、回路基板11が複数の開口部11aを備え、ヒートシンク51が回路基板11の複数の開口部11aに対応する部分に凸部を有している場合には、複数の凸部のうち、ある1つ又は2つ以上の凸部の上面の法線方向と、他の1つ又は2つ以上の凸部の上面の法線方向が異なるように形成されたヒートシンクを含むことができる。すなわち、ヒートシンクが複数の凸部を有している場合には、複数の凸部の上面の法線方向は、互いに同方向であるものと異方向であるものが存在する。
【0032】
(第6実施形態:照明器具)
図14には、本願の第6実施形態に係る照明器具60の要部が示されている。この実施形態に係る照明器具60は、ヒートシンク61の形状が異なる点、及びCOBモジュール12ごとにレンズ62を備えている点を除いて、第5実施形態に係る照明器具50と同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。なお、レンズ62は、TIR(Total Internal Reflection)レンズを用いることができる。
【0033】
第6実施形態では、
図14において左右に隣接する2つのCOBモジュール12のうち、右側のCOBモジュール12に対してのみヒートシンク61の凸部61aが設けられている。また、凸部61aの上面は水平面となっている。そのため、凸部61aの上面に載置された右側のCOBモジュール12の発光面に対して、凸部を有しないヒートシンク61の上面に載置された左側のCOBモジュール12の発光部12dの上面は、凸部61aの高さ分だけ低くなっている。また、凸部61aの上面に載置されたCOBモジュール12の発光面は真上を向いている。さらに、各COBモジュール12の上方にはレンズ62が配置されている。このレンズ62は一例ではTIRレンズである。TIRレンズは、ヒートシンク61上に載置されたCOBモジュール12に対して、出射面62aが同一高さとなるように配置されている。
【0034】
上述の特徴により、第6実施形態に係る照明器具60では、ヒートシンク61の凸部61aの上面に載置された右側のCOBモジュール12から低い角度で放射される光線B’はレンズ62を通して出射される一方、左側のCOBモジュール12から低い角度で放射された光線Bは、レンズ62を通過することなく出射されることになるので、レンズ62によって集光された光線B’だけの照明器具に比べて、周辺部が暗くなってしまうという不具合を避けられる。
【0035】
なお、第6実施形態の照明器具60では、左右に隣接する2つのCOBモジュール12のうち、右側のCOBモジュール12に対してのみヒートシンク61の凸部61aが設けられている場合について説明したが、本願の照明器具では、回路基板11に複数の開口部11aが設けられ、それぞれの開口部11aにCOBモジュール12が配置されているような場合には、ヒートシンク61の凸部61aを複数のCOBモジュール12に対して設け、残りの複数のCOBモジュール12に対して設けない場合も含まれる。
【0036】
また、第6実施形態の照明器具60において、左右に隣接する2つのCOBモジュール12のうち、左側のCOBモジュール12に対して、ヒートシンク60の凸部61aとは高さの異なる凸部を設けることもできる。さらに本願の照明器具では、回路基板11が複数の開口部11aを備え、ヒートシンク60が回路基板11の複数の開口部11aに対応する部分に凸部を有している場合には、複数の凸部のうち、ある1つ又は2つ以上の凸部の上面の高さ位置と、他の1つ又は2つ以上の凸部の上面の高さ位置とが異なるように形成されたヒートシンクを含むことができる。すなわち、ヒートシンクが複数の凸部を有している場合に、上面の高さ位置が異なる凸部が複数存在する。
【0037】
(第7実施形態:照明器具)
図15には、本願の第7実施形態に係る照明器具70の要部が示されている。この実施形態に係る照明器具70は、ヒートシンク71の形状が異なる点、及びCOBモジュール12とヒートシンク71の間に熱伝導部材71a,71bが配置されている点を除いて、第5実施形態に係る照明器具50と同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0038】
第7実施形態に係るヒートシンク71は、上面が平坦である。そして、平坦な上面とCOBモジュール12の底面との間にシート状の熱伝導部材71a,71bが配置されている。この熱伝導部材71a,71bは、例えばアスカーC(ASKER C)が20以下であるゲルタイプのシリコーンからなり、厚さが0.3mm程度のシート状部材である。熱伝導部材71a、71bは、COBモジュール12ごとに、熱伝導部材71a,71bが交互に配置され、各COBモジュール12のサブマウント基板12aの下面全体が載っている。ヒートシンク71と熱伝導部材71a,71b、及びCOBモジュール12と熱伝導部材71a,71bを密着させ、両者の間に空気層を生じさせない構造とすることで、熱伝達効率の低下を防ぐことができる。なお、熱伝導部材71a,71bは、シート状のものに限定されることなく、COBモジュール12ごとに配置されるペースト状のものであっても良い。
【0039】
第7実施形態に係る照明器具70は、COBモジュール12とヒートシンク71との間に熱伝導部材71a,71bを配置しているので、COBモジュール12からの発熱を効率よくヒートシンク71に伝えることができる。また、熱伝導部材71a,71bは、COBモジュール12の下面のみに配置されているので、少ない材料でありながら熱伝導効果が大きい。また、熱伝導部材71a,71bを介してCOBモジュール12とヒートシンク71とを固定する際、熱伝導部材71a,71bの厚みに差があったとしても、COBモジュール12と回路基板11とを接続している可撓性導電部材13が撓むことで、熱伝導部材71a,71bを介してCOBモジュール12とヒートシンク71とを良好に固定することもできる。
【0040】
(第8実施形態:照明器具)
図16には、本願の第8実施形態に係る照明器具の要部が示されている。この実施形態に係る照明器具80は、第4実施形態に係るLED発光装置40を用いている点、及びヒートシンク81に設けられる一対の凸部81a,81bの上面がいずれも平坦面である点を除いて、第5実施形態に係る照明器具50と同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0041】
第8実施形態では、
図16において、ヒートシンク81に設けられる左右の凸部81a,81bは高さが同一であり、また上面がいずれも平坦面である。凸部81a,81bの上面にCOBモジュール12を載置し、回路基板11の上面からCOBモジュール12を浮き上がらせて発光部12dの位置を高くすることで、上方に配置したレンズ(図示せず)への入射効率が良くなる。また、この実施形態のLED発光装置40ではCOBモジュール12のサブマウント基板12aが柔軟性接着剤16によって回路基板11に固定されている。しかし、柔軟性接着剤16が弾力性や柔軟性を備えているので、COBモジュール12をヒートシンク81の凸部81a,81bの上面に載置させる動きや、その動きに可撓性導電部材13を追従させることが可能である。
【0042】
上述したいずれのLED発光装置及び照明器具おいて、回路基板11に設けられた開口部11aの一つひとつに1個のCOBモジュール12を配置しているが、本願に開示のLED発光装置及び照明器具では、1つの開口部に複数のCOBモジュールを配置することも可能である。例えば、回路基板に長方形の開口部を設け、開口部の長辺に沿って複数のCOBモジュールを一列に配置することも可能である。このとき、各COBモジュールの各電源電極と回路基板の開口部の長辺に沿って設けられた各電源電極とが、それぞれ可撓性導電部材によって接続される。
【0043】
また、本願に開示のLED発光装置及びこのLED発光装置を用いた照明器具では、特性の異なる数種類のCOBモジュールを一つの回路基板に実装することもできる。つまり、回路基板に実装するCOBモジュールごとにその特性を変えても良い。例えば、LED発光装置の回路基板に設けられる開口部単位で発光色の異なるCOBモジュールを配置することができる。このようにすると、中間的な発光色を呈する照明器具が得られる。また、COBモジュールの順方向電圧(Vf)を開口部単位で異なるものとすることも可能である。すなわち、直列段数が6段のCOBモジュールと10段のCOBモジュールを利用する場合(順方向電圧をLEDチップの直列段数で表す。)、回路基板上で2つのCOBモジュールを直列接続して、順方向電圧(Vf)が、12段、16段又は20段となるLED発光装置10を簡単に構成できる。また、COBモジュールのサイズを開口部単位で違ったものとしても良い。このようにすると、照射面の配光角度を調整できる。また、回路基板に設けられた複数の開口部の中にはCOBモジュールが配置されないものがあってもよい。