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特許7361951ポリチオール組成物、重合性組成物、樹脂、成形体、光学材料及びレンズ
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  • 特許-ポリチオール組成物、重合性組成物、樹脂、成形体、光学材料及びレンズ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ポリチオール組成物、重合性組成物、樹脂、成形体、光学材料及びレンズ
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/38 20060101AFI20231006BHJP
   C08G 18/72 20060101ALI20231006BHJP
   G02C 7/02 20060101ALI20231006BHJP
【FI】
C08G18/38 076
C08G18/72
G02C7/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022571647
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2021048029
(87)【国際公開番号】W WO2022138865
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】P 2020216939
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】川口 勝
【審査官】今井 督
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-529415(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0094378(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0105075(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0063026(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0092225(KR,A)
【文献】国際公開第2020/179482(WO,A1)
【文献】特開2019-065183(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1922168(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00- 18/87
G02C 7/00- 7/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリチオール化合物(A)と、
下記一般式(1)で表される化合物と、
を含むポリチオール組成物であって、
前記ポリチオール化合物(A)は、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを主成分として含むか、又は、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン及び4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンの混合物を主成分として含み、
高速液体クロマトグラフィー測定において、下記一般式(1)で表される化合物のピーク面積は、前記ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対して、1.0以上10.0以下である、
ポリチオール組成物
【化1】

(一般式(1)中、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を表し、m+n=1である。)
【請求項2】
前記ポリチオール化合物(A)は、原料としてのエピクロロヒドリン、2-メルカプトエタノール及びチオ尿素から得られるポリチオール化合物を含む請求項1に記載のポリチオール組成物。
【請求項3】
前記ポリチオール化合物(A)は、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを主成分として含む請求項1又は請求項2に記載のポリチオール組成物。
【請求項4】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記式(1a)で表される化合物である請求項1~請求項のいずれか1項に記載のポリチオール組成物。
【化2】
【請求項5】
請求項1~請求項のいずれか1項に記載のポリチオール組成物と、
ポリイソ(チオ)シアネート化合物と、
を含む重合性組成物。
【請求項6】
前記ポリイソ(チオ)シアネート化合物は、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びフェニレンジイソシアネートから選択される少なくとも一種を含む請求項に記載の重合性組成物。
【請求項7】
請求項又は請求項に記載の重合性組成物の硬化物を含む樹脂。
【請求項8】
請求項に記載の樹脂を含む成形体。
【請求項9】
請求項に記載の樹脂を含む光学材料。
【請求項10】
請求項に記載の樹脂を含むレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリチオール組成物、重合性組成物、樹脂、成形体、光学材料及びレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックレンズは、無機レンズに比べ軽量で割れ難く、染色が可能なため、近年、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきている。
【0003】
プラスチックレンズ用樹脂には、さらなる高性能化が要求されてきており、高屈折率化、高アッベ数化、低比重化、高耐熱性化等が求められてきた。これまでにも様々なレンズ用樹脂素材が開発され使用されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、特定の構造式で表されるメルカプト化合物が記載されている。
例えば、特許文献2には、2-メルカプトエタノールと、特定の式(1)で表されるエピハロヒドリン化合物と、を10~50℃の温度下で反応させて、特定の式(2)で表されるポリアルコール化合物を得る工程と、得られた式(2)で表されるポリアルコール化合物とチオ尿素とを、塩化水素存在下に反応させてイソチウロニウム塩を得る工程と、得られたイソチウロニウム塩を含む反応液を15~60℃の温度に維持しながら、該反応液に80分以内にアンモニア水を加え、該イソチウロニウム塩を加水分解し、特定の式(5)で表されるポリチオール化合物を得る工程と、得られたポリチオール化合物を含む溶液に、25~36%濃度の塩酸を加え、10~50℃の温度で洗浄し、ポリチオール化合物を精製する工程と、を含む、ポリチオール化合物の製造方法が記載されている。
【0005】
特許文献1:特開平2-270859号公報
特許文献2:国際公開第2014-027427号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポリチオール化合物を含む重合性組成物を硬化させて得られる樹脂は、染色性が良好であることを求められる場合がある。
【0007】
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、染色性に優れる樹脂を製造可能なポリチオール組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> ポリチオール化合物(A)と、下記一般式(1)で表される化合物と、を含むポリチオール組成物。
【0009】
【化1】

【0010】
(一般式(1)中、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を表し、m+n=1である。)
<2> 前記ポリチオール化合物(A)は、原料としてのエピクロロヒドリン、2-メルカプトエタノール及びチオ尿素から得られるポリチオール化合物を含む<1>に記載のポリチオール組成物。
<3> 前記ポリチオール化合物(A)は、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを含むか、又は、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン及び4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンの混合物を含む<1>又は<2>に記載のポリチオール組成物。
<4> 4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを含むポリチオール化合物(A)と、下記一般式(1)で表される化合物と、を含む<1>~<3>のいずれか1つに記載のポリチオール組成物。
【0011】
【化2】

【0012】
(一般式(1)中、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を表し、m+n=1である。)
<5> 高速液体クロマトグラフィー測定において、前記一般式(1)で表される化合物のピーク面積は、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対して、10.0以下である<1>~<4>のいずれか1つに記載のポリチオール組成物。
<6> 高速液体クロマトグラフィー測定において、前記一般式(1)で表される化合物のピーク面積は、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対して、0超である<1>~<5>のいずれか1つに記載のポリチオール組成物。
<7> 前記一般式(1)で表される化合物が、下記式(1a)で表される化合物である<1>~<6>のいずれか1つに記載のポリチオール組成物。
【0013】
【化3】

【0014】
<8> <1>~<7>のいずれか1つに記載のポリチオール組成物と、ポリイソ(チオ)シアネート化合物と、を含む重合性組成物。
<9> 前記ポリイソ(チオ)シアネート化合物は、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びフェニレンジイソシアネートから選択される少なくとも一種を含む<8>に記載の重合性組成物。
<10> <8>又は<9>に記載の重合性組成物の硬化物を含む樹脂。
<11> <10>に記載の樹脂を含む成形体。
<12> <10>に記載の樹脂を含む光学材料。
<13> <10>に記載の樹脂を含むレンズ。
【発明の効果】
【0015】
本開示の一実施形態によれば、染色性に優れる樹脂を製造可能なポリチオール組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】製造例1~製造例4のプラスチックレンズにおける、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対する一般式(1)で表される化合物のピーク面積の割合(area%)と、耐光性(即ちΔYI)及び染色性(即ち光透過率)と、の関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値または下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値または下限値に置き換えてもよく、また、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、材料中の各成分の量は、材料中の各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、材料中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「イソ(チオ)シアネート」とはイソシアネート又はイソチオシアネートを意味する。
【0018】
≪ポリチオール組成物≫
本開示のポリチオール組成物は、ポリチオール化合物(A)と、下記一般式(1)で表される化合物と、を含む。
【0019】
【化4】

【0020】
(一般式(1)中、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を表し、m+n=1である。)
【0021】
ポリチオール化合物を含む重合性組成物を硬化させて得られる樹脂は、染色性が良好であることを求められる場合がある。
実際には、ポリチオール化合物を含む重合性組成物は、ポリチオール化合物以外の他の化合物を含む場合が多く、上記他の化合物としては多数の化合物が想定され得る。
本発明者らが検討した結果、重合性組成物が、ポリチオール化合物(A)と、一般式(1)で表される化合物と、を含む場合に、得られる樹脂の染色性を向上させることができることを見出した。
【0022】
<一般式(1)で表される化合物>
本開示のポリチオール組成物は、下記一般式(1)で表される化合物を含む。
【0023】
【化5】

【0024】
(一般式(1)中、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を表し、m+n=1である。)
【0025】
本開示のポリチオール組成物は、一般式(1)で表される化合物を含むことで、得られる樹脂の染色性を向上させることができる。
【0026】
一般式(1)で表される化合物としては、例えば、下記式(1a)で表される化合物、下記式(1b)で表される化合物等が挙げられる。
また、本開示のポリチオール組成物は、一般式(1)で表される化合物を複数含んでいてもよい。例えば、本開示のポリチオール組成物は、一般式(1)で表される化合物として、下記式(1a)で表される化合物及び下記式(1b)で表される化合物の混合物であってもよい。
一般式(1)で表される化合物は、下記式(1a)で表される化合物、下記式(1b)で表される化合物、又は、下記式(1a)で表される化合物及び下記式(1b)で表される化合物の混合物であってもよい。
【0027】
一般式(1)で表される化合物が式(1a)で表される化合物及び式(1b)で表される化合物を含む場合、式(1a)で表される化合物の含有量は、式(1a)で表される化合物及び式(1b)で表される化合物の総含有量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
【0028】
【化6】

【0029】
【化7】


【0030】
本開示のポリチオール組成物は、得られる樹脂の染色性を向上させる観点から、一般式(1)で表される化合物が、式(1a)で表される化合物であることが好ましい。
【0031】
前記ポリチオール化合物(A)は、原料としてのエピクロロヒドリン、2-メルカプトエタノール及びチオ尿素から得られるポリチオール化合物を含むことが好ましい。
原料としてのエピクロロヒドリン、2-メルカプトエタノール及びチオ尿素から得られるポリチオール化合物としては、例えば、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン及び4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンの混合物、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン等が挙げられる。
【0032】
前記ポリチオール化合物(A)は、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを含むか、又は、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン及び4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンの混合物を含むことが好ましい。
【0033】
(他の化合物)
本開示のポリチオール組成物は、さらに、以下のメルカプト基を3つ以上含むポリチオール化合物(XA)における3つ以上のメルカプト基のうちの少なくとも1つを下記式(N1)で表される基に置き換えた化合物(XB)を含んでいてもよい。
【0034】
〔化合物(XB)〕
化合物(XB)は、メルカプト基を3つ以上含むポリチオール化合物(XA)における3つ以上のメルカプト基のうちの少なくとも1つを下記式(N1)で表される基に置き換えた化合物である。
【0035】
【化8】
【0036】
式(N1)中、*は、結合位置を表す。
【0037】
以下、化合物(XB)の例を示すが、化合物(XB)は以下の例には限定されない。
【0038】
【化9】
【0039】
後述する第1実施形態のポリチオール組成物がさらに化合物(XB)を含む場合、式(1)で表される化合物と化合物(XB)との比(式(1)で表される化合物/化合物(XB))は、得られる樹脂の黄色度及び失透度を低減させる観点、並びに本開示の重合性組成物のポットライフを良好に保持する観点から、1~30であることが好ましく、3~24であることがより好ましく、5~18であることがさらに好ましい。
後述する第2実施形態のポリチオール組成物がさらに化合物(XB)を含む場合、式(1)で表される化合物と化合物(XB)との比(式(1)で表される化合物/化合物(XB))は、得られる樹脂の黄色度及び失透度を低減させる観点、並びに本開示の重合性組成物のポットライフを良好に保持する観点から、0.1~10であることが好ましく、0.5~8であることがより好ましく、1~6であることがさらに好ましい。
【0040】
本開示のポリチオール組成物は、以下の第1実施形態及び第2実施形態のポリチオール組成物を含む。
【0041】
<第1実施形態のポリチオール組成物>
第1実施形態のポリチオール組成物は、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを含むポリチオール化合物(A)と、下記一般式(1)で表される化合物と、を含む。
【0042】
【化10】

【0043】
(一般式(1)中、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を表し、m+n=1である。)
【0044】
ポリチオール化合物を含む重合性組成物を硬化させて得られる樹脂は、染色性が良好であることを求められる場合がある。
実際には、ポリチオール化合物を含む重合性組成物は、ポリチオール化合物以外の他の化合物を含む場合が多く、上記他の化合物としては多数の化合物が想定され得る。
本発明者らが検討した結果、重合性組成物が、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを含むポリチオール化合物(A)と、一般式(1)で表される化合物と、を含む場合に、得られる樹脂の染色性を向上させることができることを見出した。
【0045】
第1実施形態のポリチオール組成物は、高速液体クロマトグラフィー測定において、一般式(1)で表される化合物のピーク面積が、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対して、10.0以下であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物のピーク面積が10.0以下であることで、得られる樹脂の耐光性により優れる。
上記同様の観点から、高速液体クロマトグラフィー測定において、一般式(1)で表される化合物のピーク面積が、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対して、9.0以下であることがより好ましく、8.0以下であることがさらに好ましく、7.0以下であることが特に好ましく、6.0以下であることがより一層好ましい。
【0046】
「ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対する一般式(1)で表される化合物のピーク面積」とは、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積を100とした場合における、一般式(1)で表される化合物のピーク面積の相対値を意味する。
【0047】
高速液体クロマトグラフィー測定において、前記一般式(1)で表される化合物のピーク面積は、染色性を向上させる観点から、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対して、0超であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましく、0.04以上であることがさらに好ましく、1.0以上であることが特に好ましく、2.0以上であることがより一層好ましく、3.0以上であることがさらに一層好ましく、4.0以上であることが特に一層好ましい。
【0048】
ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対する一般式(1)で表される化合物のピーク面積を調整する方法としては、特に限定はされないが、例えば、カラム精製、洗浄、抽出、晶析等の操作により調整することができる
【0049】
<一般式(1)で表される化合物のピーク面積の測定>
ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対する一般式(1)で表される化合物のピーク面積は、以下の条件に基づいて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定を行うことで求められる。
保持時間8.2分~10.0分に現れるピーク面積を一般式(1)で表される化合物のピーク面積と判断して、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対する割合を算出すればよい。
なお、ポリチオール組成物が式(1a)で表される化合物及び式(1b)で表される化合物の混合物を含む場合、式(1a)で表される化合物の保持時間と式(1b)で表される化合物の保持時間とは、同一である。
(HPLCの条件)
カラム:YMC-Pack ODS-A A-312 (S5Φ6mm×150mm)
移動相:アセトニトリル/0.01mol/L-リン酸二水素カリウム水溶液=60/40(vol/vol)
カラム温度:40℃
流量:1.0ml/min
検出器:UV検出器、波長230nm
測定溶液の調製:試料160mgをアセトニトリル10mlで溶解混合する。
注入量:2μL
【0050】
(ポリチオール化合物(A))
第1実施形態のポリチオール組成物は、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを含むポリチオール化合物(A)を含む。
4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンは、下記式(2)で表される化合物である。
【0051】
【化11】

【0052】
ポリチオール化合物(A)の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。例えば、ポリチオール化合物(A)は、国際公開第2014/027427号に記載の方法により製造することができる。また、ポリチオール化合物(A)は、例えば2-メルカプトエタノールとエピハロヒドリン化合物とを反応させる際に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、及び炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金属炭酸塩からなる群より選択される少なくとも一種を含む触媒を用いて得られた化合物であることが好ましい。
【0053】
第1実施形態のポリチオール組成物は、ポリチオール化合物(A)及び一般式(1)で表される化合物以外の化合物を含んでいてもよい。
例えば、ポリチオール化合物(A)及び一般式(1)で表される化合物以外のメルカプト基を有するポリチオール化合物(以下、「他のポリチオール化合物」ともいう)等を含んでいてもよい。
【0054】
他のポリチオール化合物としては、例えば、メタンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,2,3-プロパントリチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、2、5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン等が挙げられる。
【0055】
<第2実施形態のポリチオール組成物>
第2実施形態のポリチオール組成物は、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン及び4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンの混合物を含むポリチオール化合物(A)と、下記一般式(1)で表される化合物と、を含む。
【0056】
【化12】

【0057】
(一般式(1)中、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を表し、m+n=1である。)
【0058】
第2実施形態のポリチオール組成物は、上記構成を含むことで、染色性に優れる樹脂を製造可能なポリチオール組成物を提供することができる。
【0059】
第2実施形態のポリチオール組成物は、高速液体クロマトグラフィー測定において、一般式(1)で表される化合物のピーク面積が、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対して、10.0以下であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物のピーク面積が10.0以下であることで、得られる樹脂の耐光性により優れる。
上記同様の観点から、高速液体クロマトグラフィー測定において、一般式(1)で表される化合物のピーク面積が、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対して、9.0以下であることがより好ましく、8.0以下であることがさらに好ましく、7.0以下であることが特に好ましく、6.0以下であることがより一層好ましい。
【0060】
高速液体クロマトグラフィー測定において、前記一般式(1)で表される化合物のピーク面積は、染色性を向上させる観点から、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対して、0超であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましく、0.04以上であることがさらに好ましく、1.0以上であることが特に好ましく、2.0以上であることがより一層好ましく、3.0以上であることがさらに一層好ましく、4.0以上であることが特に一層好ましい。
【0061】
第2実施形態における一般式(1)で表される化合物の具体的態様、好ましい態様、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対する一般式(1)で表される化合物のピーク面積の定義及び測定方法等の詳細は、上述した一般式(1)で表される化合物の具体的態様、好ましい態様、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対する一般式(1)で表される化合物のピーク面積の定義及び測定方法等の詳細と同様である。
【0062】
第2実施形態のポリチオール組成物は、ポリチオール化合物(A)及び一般式(1)で表される化合物以外の化合物を含んでいてもよい。
第2実施形態における他のポリチオール化合物の具体例、好ましい具体例等の詳細は、第1実施形態における他のポリチオール化合物の具体例、好ましい具体例等の詳細と同様である。
【0063】
≪重合性組成物≫
本開示の重合性組成物は、本開示のポリチオール組成物と、ポリイソ(チオ)シアネート化合物と、を含む。
【0064】
(ポリイソ(チオ)シアネート化合物)
ポリイソ(チオ)シアネート化合物としては、本発明の効果を発揮することができれば特に限定されず従来公知の化合物を用いることができる。一分子中に少なくとも2個以上のイソ(チオ)シアネート基を有する化合物であれば、特に限定されず、具体的には、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、リジントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;
イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、3,8-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン等の脂環族ポリイソシアネート化合物;
トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルスルフィド-4,4’-ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;
2,5-ジイソシアナトチオフェン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5-ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4-ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5-ジイソシアナト-1,4-ジチアン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-1,4-ジチアン、4,5-ジイソシアナト-1,3-ジチオラン、4,5-ビス(イソシアナトメチル)-1,3-ジチオラン等の複素環ポリイソシアネート化合物;
ヘキサメチレンジイソチオシアネート、リジンジイソチオシアネートメチルエステル、リジントリイソチオシアネート、キシリレンジイソチオシアネート等の脂肪族ポリイソチオシアネート化合物;
イソホロンジイソチオシアネート、ビス(イソチオシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソチオシアナトシクロヘキシル)メタン、シクロヘキサンジイソチオシアネート、メチルシクロヘキサンジイソチオシアネート、2,5-ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、3,8-ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9-ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8-ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン等の脂環族ポリイソチオシアネート化合物;
トリレンジイソチオシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソチオシアネート、ジフェニルジスルフィド-4,4’-ジイソチオシアネート等の芳香族ポリイソチオシアネート化合物;
2,5-ジイソチオシアナトチオフェン、2,5-ビス(イソチオシアナトメチル)チオフェン、2,5-イソチオシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5-ビス(イソチオシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4-ビス(イソチオシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5-ジイソチオシアナト-1,4-ジチアン、2,5-ビス(イソチオシアナトメチル)-1,4-ジチアン、4,5-ジイソチオシアナト-1,3-ジチオラン、4,5-ビス(イソチオシアナトメチル)-1,3-ジチオラン等の含硫複素環ポリイソチオシアネート化合物等が挙げられる。ポリイソ(チオ)シアネート化合物は、これらから選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0065】
また、ポリイソ(チオ)シアネート化合物としては、これらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等も使用できる。
【0066】
ポリイソ(チオ)シアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物が好ましく、
ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びフェニレンジイソシアネートから選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0067】
ポリチオール組成物と、ポリイソ(チオ)シアネート化合物との混合割合は特に限定されず、例えば、ポリチオール組成物に含まれるポリチオール化合物のメルカプト基とポリイソ(チオ)シアネート化合物のイソ(チオ)シアネート基のモル比(メルカプト基/イソ(チオ)シアネート基)が0.5~3.0であることが好ましく、0.6~2.0であることがより好ましく、0.8~1.3であることがさらに好ましい。混合割合が上記範囲内であると、プラスチックレンズ等として求められる屈折率、耐熱性等の種々の性能をバランスよく満たすことが可能となる傾向にある。
【0068】
本開示の重合性組成物は、樹脂の諸物性、操作性、重合性組成物の重合反応性等を改良する目的で、ポリチオール化合物及びポリイソ(チオ)シアネート化合物以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、重合触媒、内部離型剤、樹脂改質剤、鎖延長剤、架橋剤、ラジカル捕捉剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶染料、充填剤、密着性向上剤、抗菌剤、帯電防止剤、染料、蛍光増白剤、蛍光顔料、無機顔料等のブルーインク剤などが挙げられる。
【0069】
重合触媒としては、3級アミン化合物、その無機酸塩又は有機酸塩、金属化合物、4級アンモニウム塩、有機スルホン酸等を挙げることができる。
【0070】
内部離型剤としては、酸性リン酸エステルを用いることができる。酸性リン酸エステルとしては、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルを挙げることができ、それぞれ単独又は2種類以上混合して使用することできる。
【0071】
樹脂改質剤としては、例えば、エピスルフィド化合物、アルコール化合物、アミン化合物、エポキシ化合物、有機酸及びその無水物、(メタ)アクリレート化合物等を含むオレフィン化合物等が挙げられる。
本開示の重合性組成物は、上記成分を混合して得ることができる。
【0072】
本開示の重合性組成物では、硬化させて成形体としたときのガラス転移温度Tgは、耐熱性の観点から、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは85℃以上である。上記ガラス転移温度Tgは、105℃以下であってもよく、100℃以下であってもよい。
【0073】
≪成形体≫
本開示の成形体は、本開示の樹脂を含む。
本開示の樹脂は、本開示の重合性組成物の硬化物を含む。
本開示の成形体を製造する方法は、特に限定されず、好ましい製造方法として注型重合が挙げられる。はじめに、ガスケット又はテープ等で保持された成型モールド間に重合性組成物を注入する。この時、得られるプラスチックレンズに要求される物性によっては、必要に応じて、減圧下での脱泡処理、加圧、減圧等の濾過処理等を行うことが好ましい場合が多い。
【0074】
重合条件については、重合性組成物の組成、触媒の種類と使用量、モールドの形状等によって大きく条件が異なるため限定されるものではなく、例えば、-50℃~150℃の温度で1時間~50時間かけて行われる。場合によっては、10℃~150℃の温度範囲で保持又は徐々に昇温して、1時間~48時間で硬化させることが好ましい。
【0075】
成形体に対して、必要に応じて、アニール等の処理を行ってもよい。アニール等の処理は、通常50℃~150℃の間で行い、90℃~140℃で行うことが好ましく、100℃~130℃で行うことがより好ましい。
【0076】
[用途]
本開示の重合性組成物から得られる樹脂は、注型重合時のモールドの種類を変えることにより、種々の形状の成形体を製造する材料として用いることができる。
【0077】
≪光学材料≫
本開示の光学材料は、本開示の樹脂を含む。
本開示の重合性組成物から得られた成形体は、染色性に優れ、耐光性にも優れる。
そのため、プラスチックレンズ等の各種光学材料に使用することが可能である。
【0078】
≪レンズ≫
本開示のレンズは、本開示の樹脂を含む。
光学材料としては、特に、レンズが好適である。
レンズとしては、例えばプラスチック眼鏡レンズ、プラスチック偏光レンズ等が挙げられる。
【0079】
[プラスチック眼鏡レンズ]
本開示の成形体からなるレンズ基材を用いたプラスチック眼鏡レンズは必要に応じて、片面又は両面にコーティング層が施されていてもよい。
本開示のプラスチック眼鏡レンズは、上述の重合性組成物の硬化物を含むレンズ基材と、コーティング層と、を備える。
【0080】
コーティング層として、具体的には、プライマー層、ハードコート層、反射防止層、防曇コート層、防汚染層、撥水層等が挙げられる。これらのコーティング層はそれぞれ単独で用いることも複数のコーティング層を多層化して使用することもできる。両面にコーティング層を施す場合、それぞれの面に同様なコーティング層を施しても、異なるコーティング層を施してもよい。
【0081】
これらのコーティング層はそれぞれ、赤外線から目を守る目的で赤外線吸収剤、レンズの耐候性を向上する目的で光安定剤、酸化防止剤等、レンズのファッション性を高める目的でフォトクロ化合物、染料、顔料等、その他、レンズの性能を高める目的で帯電防止剤等の公知の添加剤が併用されていてもよい。
塗布によるコーティングを行う層に関しては塗布性の改善を目的とした各種レベリング剤が使用されていてもよい。
また、反射防止層の上には、必要に応じて防曇層、防汚染層、撥水層が形成されていてもよい。
【0082】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
【実施例
【0083】
以下、本開示を、実施例を参照して詳細に説明する。なお、本開示は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
以下、第1実施形態のポリチオール組成物を、実施例を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態のポリチオール組成物は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0084】
<評価方法>
本実施例において、プラスチックレンズの各物性の評価方法は以下の通りである。結果は表1に示すとおりである。
・耐光性
2mm厚樹脂平板を用いてQ-Lab製促進耐候性試験機にてQUV試験(光源:UVA-340、強度:0.50W/m、試験条件:50℃×150時間)を実施し、照射前後の黄色度(YI)を測定し、黄色度変化量(ΔYI)を算出した。
・黄色度(Yellow Index(YIともいう))
樹脂を、厚さ2mmの平板として作製し、コニカミノルタ株式会社製分光測色計CM-5を用いてYI値を求めた。
なお、YI値は小さいほどプラスチックレンズの色相が良く、YI値が大きいほど色相が不良となる相関がある。
そのため、ΔYIが小さいほど、耐光性に優れる。
・染色性(光透過率)
純水1985.5gに、「FSP Red E-A」(双葉産業株式会社製、染料)1.5g、「FSP Yellow P-E」(双葉産業株式会社製、染料)1.0g、「FSP Blue AUL-S」(双葉産業株式会社製、染料)4.0g、「ニッカサンソルト#7000」(日華化学株式会社製、染色分散剤)4.0g、「DK-CN」(大和化学工業株式会社製、染色助剤)4.0gを添加し、染料分散液を調製した。厚さ9mmの樹脂を80℃にて20分間、染料分散液に浸漬して、染色した。染色された樹脂の350nm~800nmにおける光透過率(%)を測定した。
567nmにおける光透過率(%)を表1に示す。
なお、染色されているほど染料により光が吸収される。そのため、光透過率が低いほど、染色性は優れている。
【0085】
<ポリチオール化合物(A)の合成>
反応器内に、2-メルカプトエタノール124.6質量部、及び脱気水18.3質量部を装入した。12℃~35℃にて、32質量%の水酸化ナトリウム水溶液101.5質量部を40分かけて滴下装入した後、エピクロルヒドリン73.6質量部を29℃~36℃にて4.5時間かけて滴下装入し、引き続き40分撹拌を行った。NMRデータから、1,3-ビス(2-ヒドロキシエチルチオ)-2-プロパノールの生成を確認した。
35.5%の塩酸331.5質量部を装入し、次に、純度99.90%のチオ尿素183.8質量部を装入し、110℃還流下にて3時間撹拌して、チウロニウム塩化反応を行った。45℃まで冷却した後、トルエン320.5質量部を加え、31℃まで冷却し、25%のアンモニア水溶液243.1質量部を31℃~41℃で44分掛けて装入し、54℃~62℃で3時間撹拌により加水分解反応を行い、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを主成分とするポリチオールのトルエン溶液を得た。このトルエン溶液に、35.5%塩酸162.8質量部添加し、35℃~43℃で1時間酸洗浄した。脱気水174.1質量部を添加し35℃~45℃で30分洗浄を2回実施した。0.1%アンモニア水162.1質量部を加え、30分洗浄した。脱気水174.2質量部を添加し35℃~45℃で30分洗浄を2回実施した。加熱減圧下でトルエン及び微量の水分を除去後、1.2μmのPTFEタイプメンブランフィルターで減圧濾過してポリチオール化合物(A)である4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを主成分とするポリチオール組成物(A)205.0質量部を得た。
【0086】
<一般式(1)で表される化合物の合成>
反応器内に、2-メルカプトエタノール89.4質量部、及び脱気水44.8質量部を装入した。10℃にて、47質量%の水酸化ナトリウム水溶液0.39質量部を装入した後、2,3-エポキシ-1-プロパノール84.5質量部を10℃~15℃にて4.5時間かけて滴下装入し、10℃にて、引き続き3時間撹拌を行った。
35.0%の塩酸474.9質量部を装入し、次に、純度99.90%のチオ尿素267.17質量部を装入し、110℃還流下にて3時間撹拌して、チウロニウム塩化反応を行った。45℃まで冷却した後、トルエン506.7質量部を加え、31℃まで冷却し、25%のアンモニア水溶液349.5質量部を31℃~41℃で44分掛けて装入し、54℃~62℃で3時間撹拌により加水分解反応を行い、一般式(1)で表される化合物を主成分とするポリチオールのトルエン溶液を得た。このトルエン溶液に、35.0%塩酸200.0質量部添加し、35℃~43℃で2時間酸洗浄した。脱気水200.0質量部を添加し35℃~45℃で15分洗浄した。0.1%アンモニア水200.0質量部を加え、15分洗浄した。脱気水200.0質量部を添加し35℃~45℃で15分洗浄を2回実施した。加熱減圧下でトルエン及び微量の水分を除去後、1.2μmのPTFEタイプメンブランフィルターで減圧濾過して一般式(1)で表される化合物を主成分とするポリチオール組成物を210.4質量部得た。
続いて、得られたポリチオール組成物30.0質量部にトルエン200.0質量部を加え、次に30.6質量%水酸化ナトリウム水溶液19.6質量部を加えて20℃~25℃で15分攪拌した。続いて80質量部の脱気水を加え、20℃~25℃で15分攪拌して可溶成分を抽出し、生じた水抽出液に50質量部のトルエンを加え、20℃~25℃で5分洗浄した。得られた水抽出液に35.0%塩酸20.3質量部と100.0質量部のトルエンを加え、35℃~45℃で15分洗浄し、トルエン抽出液を得た。このトルエン抽出液に、80.0質量部の脱気水を加え、35℃~45℃で15分洗浄した。次いで0.1%アンモニア水80.0質量部を加え35℃~45℃で15分洗浄した。次いで80.0質量部の脱気水を加え、35℃~45℃で15分洗浄を2回実施した。
加熱減圧下でトルエン及び微量の水分を除去した後、1.2μmのPTFEタイプメンブランフィルターで減圧濾過して、純度80.0area%にて、一般式(1)で表される化合物を得た。
なお、上記で得られた一般式(1)で表される化合物には、式(1a)で表される化合物が含まれていた。
【0087】
[実施例1~実施例4]
前述のようにして得たポリチオール組成物(A)と一般式(1)で表される化合物とを混合してポリチオール組成物を得た。
その際、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対する一般式(1)で表される化合物のピーク面積が、表1に記載の値となるように混合比を変更してそれぞれ混合した。
【0088】
<一般式(1)で表される化合物の比率(area%)の測定>
HPLCによる一般式(1)で表される化合物の比率(area%)は、上述の<一般式(1)で表される化合物のピーク面積の測定>の項に記載の方法により測定した。
結果を表1に示す。
【0089】
<プラスチックレンズの製造>
[製造例1]
m-キシリレンジイソシアネート52質量部、硬化触媒としてジブチル錫ジクロライド0.01質量部、ゼレックUN(商品名Stepan社製品;酸性リン酸エステル)0.10質量部、及びバイオソーブ583(共同薬品社製;紫外線吸収剤)1.5質量部を、20℃にて混合溶解させた。実施例1のポリチオール組成物48質量部を装入混合し、混合均一液とした。この均一液を600Paにて1時間脱泡を行った後、1μmテフロン(登録商標)フィルターにて濾過を行った後、ガラスモールドとテープとからなるモールド型へ注入した。このモールド型をオーブンへ投入し、10℃~120℃まで徐々に昇温し、38時間で重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して樹脂を得た。得られた樹脂を更に120℃で1時間アニールを行い、プラスチックレンズを製造した。前述のプラスチックレンズの各物性の評価方法に基づき、各物性を求めた。
【0090】
[製造例2]
製造例1において、実施例1のポリチオール組成物48量部を実施例2のポリチオール組成物48質量部に変更した以外は、製造例1に記載の方法と同様の方法でプラスチックレンズを製造した。前述のプラスチックレンズの各物性の評価方法に基づき、各物性を求めた。
【0091】
[製造例3]
製造例1において、実施例1のポリチオール組成物48質量部を実施例3のポリチオール組成物48質量部に変更した以外は、製造例1に記載の方法と同様の方法でプラスチックレンズを製造した。前述のプラスチックレンズの各物性の評価方法に基づき、各物性を求めた。
【0092】
[製造例4]
製造例1において、実施例1のポリチオール組成物48量部を実施例4のポリチオール組成物48質量部に変更した以外は、製造例1に記載の方法と同様の方法でプラスチックレンズを製造した。前述のプラスチックレンズの各物性の評価方法に基づき、各物性を求めた。
製造例1~製造例4(つまり実施例1~実施例4)のプラスチックレンズの各物性を表1に示す。
また、図1にて、製造例1~製造例4のプラスチックレンズにおける、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対する一般式(1)で表される化合物のピーク面積の割合(area%)と、耐光性(即ちΔYI)及び染色性(即ち光透過率)と、関係を表すグラフを示す。
【0093】
【表1】

【0094】
表1に示すように、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを含むポリチオール化合物(A)と、一般式(1)で表される化合物と、を含むポリチオール組成物を用いた実施例は、染色性に優れていた。
また、実施例は、耐光性により優れていた。
特に、一般式(1)で表される化合物のピーク面積が、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対して、10.0以下である実施例1~実施例3は、表1及び図1に示す通り、耐光性により優れていた。
【0095】
以下、第2実施形態のポリチオール組成物を、実施例を参照して詳細に説明する。なお、第2実施形態のポリチオール組成物は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0096】
<評価方法>
本実施例において、プラスチック平板の各物性の評価方法は以下の通りである。結果は表1に示すとおりである。
【0097】
・染色性(光透過率)
純水1985.5gに、「FSP Red E-A」(双葉産業株式会社製、染料)1.5g、「FSP Yellow P-E」(双葉産業株式会社製、染料)1.0g、「FSP Blue AUL-S」(双葉産業株式会社製、染料)4.0g、「ニッカサンソルト#7000」(日華化学株式会社製、染色分散剤)4.0g、「DK-CN」(大和化学工業株式会社製、染色助剤)4.0gを添加し、染料分散液を調製した。厚さ9mmの樹脂を90℃にて30分間、染料分散液に浸漬して染色した。染色された樹脂の350nm~800nmにおける光透過率(%)を測定した。
567nmにおける光透過率(%)を表2に示す。
なお、染色されているほど染料により光が吸収される。そのため、光透過率が低いほど、染色性は優れている。
【0098】
<ポリチオール化合物(A)の合成>
反応器内に、2-メルカプトエタノール51.2質量部、脱気水26.5質量部、49質量%の水酸化ナトリウム水溶液0.16質量部を装入した。
エピクロルヒドリン61.99質量部を9~11℃にて6.5時間かけて滴下装入し、引き続き60分撹拌を行った。NMRデータから、1-クロロ-3-(2-ヒドロキシエチルチオ)-2-プロパノールの生成を確認した。
次いで、17.3質量%の硫化ソーダ水溶液150.0質量部を7~37℃にて5.5時間かけて滴下装入し、120分撹拌を行った。NMRデータから、1,5,9,13-テトラヒドロキシ-3,7,11-トリチアトリデカンの生成を確認した。
そして、35.5質量%の塩酸279.0質量部を装入し、次に、純度99.90%のチオ尿素125.8質量部を装入し、110℃還流下にて3時間撹拌して、チウロニウム塩化反応を行った。45℃に冷却した後、トルエン214.0質量部を加え、26℃まで冷却し、25質量%のアンモニア水溶液206.2質量部を26℃~50℃で30分掛けて装入した。その後、50℃~65℃で1時間撹拌により加水分解反応を行い、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、及び5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを主成分とするポリチオールのトルエン溶液を得た。トルエン溶液に、36質量%塩酸59.4質量部を添加し、34℃~39℃で30分の酸洗浄を2回実施した。また、脱気水118.7質量部を添加し、35℃~45℃で30分の洗浄を5回実施した。加熱減圧下でトルエン及び微量の水分を除去後、1.2μmのPTFEタイプメンブランフィルターで減圧濾過して4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、及び5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを主成分とするポリチオール組成物(A)115.9質量部を得た。
【0099】
<一般式(1)で表される化合物の合成>
反応器内に、2-メルカプトエタノール89.4質量部、及び脱気水44.8質量部を装入した。10℃にて、47質量%の水酸化ナトリウム水溶液0.39質量部を装入した後、2,3-エポキシ-1-プロパノール84.5質量部を10℃~15℃にて4.5時間かけて滴下装入し、10℃にて、引き続き3時間撹拌を行った。
35.0質量%の塩酸474.9質量部を装入し、次に、純度99.90質量%のチオ尿素267.17質量部を装入し、110℃還流下にて3時間撹拌して、チウロニウム塩化反応を行った。45℃まで冷却した後、トルエン506.7質量部を加え、31℃まで冷却し、25%のアンモニア水溶液349.5質量部を31℃~41℃で44分掛けて装入した。その後、54℃~62℃で3時間撹拌により加水分解反応を行い、一般式(1)で表される化合物を主成分とするポリチオールのトルエン溶液を得た。このトルエン溶液に、35.0質量%塩酸200.0質量部添加し、35℃~43℃で2時間酸洗浄した。
脱気水200.0質量部を添加し35℃~45℃で15分洗浄した。0.1質量%アンモニア水200.0質量部を加え、15分洗浄した。脱気水200.0質量部を添加し35℃~45℃で15分洗浄を2回実施した。加熱減圧下でトルエン及び微量の水分を除去後、1.2μmのPTFEタイプメンブランフィルターで減圧濾過して一般式(1)で表される化合物を主成分とするポリチオール組成物を210.4質量部得た。
【0100】
続いて、得られたポリチオール組成物30.0質量部にトルエン200.0質量部を加え、次に30.6質量%水酸化ナトリウム水溶液19.6質量部を加えて20℃~25℃で15分攪拌した。続いて80質量部の脱気水を加え、20℃~25℃で15分攪拌して可溶成分を抽出し、生じた水抽出液に50質量部のトルエンを加え、20℃~25℃で5分洗浄した。得られた水抽出液に35.0質量%塩酸20.3質量部と100.0質量部のトルエンを加え、35℃~45℃で15分洗浄し、トルエン抽出液を得た。このトルエン抽出液に、80.0質量部の脱気水を加え、35℃~45℃で15分洗浄した。次いで0.1質量%アンモニア水80.0質量部を加え35℃~45℃で15分洗浄した。次いで80.0質量部の脱気水を加え、35℃~45℃で15分洗浄を2回実施した。
加熱減圧下でトルエン及び微量の水分を除去した後、1.2μmのPTFEタイプメンブランフィルターで減圧濾過して、純度80.0area%にて、一般式(1)で表される化合物を得た。
なお、上記で得られた一般式(1)で表される化合物には、式(1a)で表される化合物が含まれていた。
【0101】
[実施例5~実施例8]
前述のようにして得たポリチオール組成物(A)と一般式(1)で表される化合物とを混合してポリチオール組成物を得た。
その際、ポリチオール組成物に含まれる化合物の合計ピーク面積100に対する一般式(1)で表される化合物のピーク面積が、表2に記載の値となるように混合比を変更してそれぞれ混合した。
【0102】
<一般式(1)で表される化合物の比率(area%)の測定>
HPLCによる一般式(1)で表される化合物の比率(area%)は、上述の<一般式(1)で表される化合物のピーク面積の測定>の項に記載の方法により測定した。
結果を表2に示す。
【0103】
<プラスチック平板の製造>
[製造例5]
m-キシリレンジイソシアネート50.8質量部、硬化触媒としてジメチル錫ジクロライド0.01質量部、ゼレックUN(Stepan社製品;酸性リン酸エステル)0.10質量部、及びバイオソーブ583(共同薬品社製;紫外線吸収剤)0.6質量部、シーソーブ706(シプロ化成社製;紫外線吸収剤)0.6質量部を、20℃にて混合溶解させた。実施例5のポリチオール組成物49.2質量部を装入混合し、混合均一液とした。
この均一液を600Paにて1時間脱泡を行った後、1μmテフロン(登録商標)フィルターにて濾過を行った後、ガラスモールドとテープとからなるモールド型へ注入した。
このモールド型をオーブンへ投入し、20℃~120℃まで徐々に昇温し、30時間で重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して樹脂を得た。得られた樹脂を更に120℃で1時間アニールを行い、プラスチック平板を製造した。上述のプラスチック平板の各物性の評価方法に基づき、各物性を求めた。
【0104】
[製造例6]
製造例5において、実施例5のポリチオール組成物49.2量部を実施例6のポリチオール組成物49.2質量部に変更した以外は、製造例5に記載の方法と同様の方法でプラスチック平板を製造した。前述のプラスチック平板の各物性の評価方法に基づき、各物性を求めた。
【0105】
[製造例7]
製造例5において、実施例5のポリチオール組成物49.2質量部を実施例7のポリチオール組成物49.2質量部に変更した以外は、製造例5に記載の方法と同様の方法でプラスチック平板を製造した。前述のプラスチック平板の各物性の評価方法に基づき、各物性を求めた。
【0106】
[製造例8]
製造例5において、実施例5のポリチオール組成物49.2量部を実施例8のポリチオール組成物49.2質量部に変更した以外は、製造例5に記載の方法と同様の方法でプラスチック平板を製造した。前述のプラスチック平板の各物性の評価方法に基づき、各物性を求めた。
製造例5~製造例8(つまり実施例5~実施例8)のプラスチック平板の各物性を表2に示す。
【0107】
【表2】

【0108】
表2に示すように、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、及び5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを主成分とするポリチオール組成物(A)と、一般式(1)で表される化合物と、を含むポリチオール組成物を用いた実施例は、染色性に優れていた。
【0109】
2020年12月25日に出願された日本国特許出願2020-216939号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。
図1