(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-05
(45)【発行日】2023-10-16
(54)【発明の名称】アプリケーションプログラム、決済管理装置、および端末装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/22 20120101AFI20231006BHJP
【FI】
G06Q20/22 310
(21)【出願番号】P 2023097875
(22)【出願日】2023-06-14
【審査請求日】2023-06-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼原 啓太
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-074983(JP,A)
【文献】特開2005-352733(JP,A)
【文献】特開2021-086344(JP,A)
【文献】特開2022-157746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の使用する端末装置において動作し、決済管理装置と協働して前記利用者に電子決済サービスを提供するアプリケーションプログラムであって、
前記端末装置に、
電子決済の際に使用する支払い方法として、予めチャージされて前記決済管理装置によって管理されているチャージ残高による第1の支払い方法と、後払いによる第2の支払い方法とを含む複数の支払い方法について優先順位の設定操作を受け付ける第1画面を表示させ、
前記第1画面において、前記複数の支払い方法のうち前記第1の支払い方法の優先順位が変更された場合に、前記チャージ残高への残高のチャージを前記利用者の操作によらずに自動的に実行するオートチャージ機能の設定画面である第2画面を表示させる、
アプリケーションプログラム。
【請求項2】
前記アプリケーションプログラムは、前記第1の支払い方法の優先順位が、変更前よりも高い優先順位に変更された場合に、前記第2画面を表示させる、
請求項1に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項3】
前記アプリケーションプログラムは、前記第1の支払い方法の優先順位が、優先順位第1位に変更された場合に、前記第2画面を表示させる、
請求項1に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項4】
前記アプリケーションプログラムは、前記オートチャージ機能が無効化されている状態で前記第1の支払い方法の優先順位が変更された場合に、前記第2画面を表示させる、
請求項1に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項5】
前記電子決済サービスは、
前記端末装置を用いて電子決済を行う第1決済方法と、
前記端末装置とは別体の、前記利用者に付与されるカードであって、前記利用者が前記電子決済サービスを利用するための情報であるカード情報が記録されたカードから読み取られた前記カード情報に基づいて電子決済を行う第2決済方法と、
を利用者に提供するものであり、
前記オートチャージ機能の設定は、前記第1決済方法と前記第2決済方法とで共通の設定として管理される、
請求項1に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項6】
前記電子決済サービスは、
前記端末装置を用いて電子決済を行う第1決済方法と、
前記端末装置とは別体の、前記利用者に付与されるカードであって、前記利用者が前記電子決済サービスを利用するための情報であるカード情報が記録されたカードから読み取られた前記カード情報に基づいて電子決済を行う第2決済方法と、
を利用者に提供し、
前記支払い方法の優先順位は、前記第1決済方法と前記第2決済方法とで別に設定されるものであり、
前記アプリケーションプログラムは、
前記第2決済方法について前記支払い方法の優先順位が変更された場合に、前記第2画面を表示させ、
前記第1決済方法について前記支払い方法の優先順位が変更された場合に、前記第2画面を表示させない、
請求項1に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項7】
利用者の使用する端末装置において動作するアプリケーションプログラムと協働して前記利用者に電子決済サービスを提供する決済管理装置であって、
電子決済の際に使用する支払い方法として、予めチャージされて前記決済管理装置によって管理されているチャージ残高による第1の支払い方法と、後払いによる第2の支払い方法とを含む複数の支払い方法について優先順位の設定操作を受け付ける第1画面を前記アプリケーションプログラムに表示させ、
前記第1画面により設定された支払い方法の優先順位に基づいて前記電子決済を行うものであり、
前記第1画面において、前記複数の支払い方法のうち前記第1の支払い方法の優先順位が変更された場合に、前記チャージ残高への残高のチャージを前記利用者の操作によらずに自動的に実行するオートチャージ機能の設定画面である第2画面を前記アプリケーションプログラムに表示させる、
決済管理装置。
【請求項8】
利用者の使用する端末装置において動作し、決済管理装置と協働して前記利用者に電子決済サービスを提供するアプリケーションプログラムにより前記端末装置を制御する方法であって、
前記端末装置に、
電子決済の際に使用する支払い方法として、予めチャージされて前記決済管理装置によって管理されているチャージ残高による第1の支払い方法と、後払いによる第2の支払い方法とを含む複数の支払い方法について優先順位の設定操作を受け付ける第1画面を表示させ、
前記第1画面において、前記複数の支払い方法のうち前記第1の支払い方法の優先順位が変更された場合に、前記チャージ残高への残高のチャージを前記利用者の操作によらずに自動的に実行するオートチャージ機能の設定画面である第2画面を表示させる、
端末装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーションプログラム、決済管理装置、および端末装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子決済サービスにおいて、残高不足の防止や残高不足時の代替支払を容易にするための技術が提案されている(特許文献1)。例えば、特許文献1には、支払者の口座から引き落とされる予定の支払一覧を各支払の優先順位の順に表示し、表示された支払予定のドラッグ&ドロップ操作により各支払の優先順位の変更を可能にすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、優先順位の低い支払の実行によって優先順位の高い支払が実行できなくなることを防止することができるものの、口座残高が不足した場合には、優先順位に関わらず支払を実行することができず、電子決済が失敗する場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、電子決済サービスにおいて、口座残高の不足によって電子決済が失敗する可能性を低減することができるアプリケーションプログラム、決済管理装置、および端末装置の制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、利用者の使用する端末装置において動作し、決済管理装置と協働して前記利用者に電子決済サービスを提供するアプリケーションプログラムであって、前記端末装置に、電子決済の際に使用する支払い方法として、予めチャージされて前記決済管理装置によって管理されているチャージ残高による第1の支払い方法と、後払いによる第2の支払い方法とを含む複数の支払い方法について優先順位の設定操作を受け付ける第1画面を表示させ、前記第1画面において、前記複数の支払い方法のうち前記第1の支払い方法の優先順位が変更された場合に、前記チャージ残高への残高のチャージを前記利用者の操作によらずに自動的に実行するオートチャージ機能の設定画面である第2画面を表示させる、アプリケーションプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、電子決済サービスにおいて、口座残高の不足によって電子決済が失敗する可能性を低減することができるアプリケーションプログラム、決済管理装置、および端末装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。
【
図2】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図(その1)である。
【
図3】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図(その2)である。
【
図4】第1実施形態に係る決済サーバ100の構成図である。
【
図5】利用者情報172の内容の一例を示す図である。
【
図6】加盟店/店舗情報176の内容の一例を示す図である。
【
図7】端末決済とカード決済のそれぞれの処理を概念的に示す図である。
【
図8】カード決済設定情報210の内容の一例を示す図である。
【
図9】決済アプリ20のトップ画面IM1および決済方法切替画面IM2の一例を示す図である。
【
図10】決済アプリ20のオートチャージ設定画面IM3の一例を示す図である。
【
図11】優先順位設定画面IM4の一例を示す図である。
【
図12】優先順位設定画面IM4の操作例を示す第1の図である。
【
図13】優先順位設定画面IM4の操作例を示す第2の図である。
【
図14】第2のオートチャージ設定画面IM5の一例を示す図である。
【
図15】支払い方法の優先順位の設定変更およびそれに伴って実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明のアプリケーションプログラム、決済管理装置、および端末装置の制御方法の実施形態について説明する。アプリケーションプログラムと決済サーバおよび提携クレジットカード会社サーバは、協働して電子決済サービスを提供する。以下の説明ではアプリケーションプログラムを決済アプリと称する。また、決済サーバと提携クレジットカード会社サーバを合わせたものが「決済管理装置」の一例である。電子決済サービスは、店舗における商品やサービスの購買に係る決済をサポートするサービスである。店舗とは、例えば、現実空間に存在する物理的な店舗(実店舗)であるが、電子商取引の仮想店舗を含んでもよい。仮想店舗は、電子決済サービスの運営者とは異なる主体によって提供されるものを含んでもよい。その場合、仮想店舗における買い物の決済の際に、電子決済サービスのインターフェース画面に遷移するように制御される。電子決済サービスにおいて、店舗は、例えば加盟店(ブランド)に属するものとして扱われ、店舗において購買行動が行われた際の決済などの処理は、主として利用者と加盟店の間で行われる。これに代えて、決済などの処理が利用者と店舗との間で行われてもよい。
【0010】
[電子決済サービス]
図1は、電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。電子決済サービスは、決済サーバ100および提携クレジットカード会社サーバ200を中心として実現される。決済サーバ100は、例えば、一以上の利用者端末装置10、一以上の第1店舗端末装置50、一以上のクレジット処理端末55、一以上の第2店舗端末装置70のそれぞれとネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。
【0011】
利用者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置10は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、CPU(Central Processing Unit)等と称する。利用者端末装置10では、CPU等のプロセッサにより決済アプリ20が実行されることで、決済サーバ100と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ20は、例えば、アプリケーションストアから利用者端末装置10にインストールされ、カメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。
【0012】
第1店舗端末装置50は、例えば、店舗に設置される。第1店舗端末装置50は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、通信機能を有するコンピュータ装置である。第1店舗端末装置50は、いわゆるPOS(Point of Sale)装置を含み、POS装置によって商品価格取得機能や光学読取機能を実現してもよい。店舗コード画像60は、店舗に置かれ、QRコード(登録商標)等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像60は、店舗に置かれたディスプレイ(スマートフォンなどの端末装置のディスプレイでもよい)によって表示されてもよい。
【0013】
クレジット処理端末55は、第1店舗端末装置50と同様に、店舗に設置される。クレジット処理端末55は、例えば、クレジット決済端末(クレジットカードリーダー)と、POS装置を含む。レジット決済端末は、挿入され又は翳されたクレジットカード(提携カード57を含む)からPIN(Personal Identification Number)を読み取って利用者により入力されたPINと照合したり、クレジットカードから読み取ったBIN(Bank Identification Number)コード等をPOS装置を介して提携クレジットカード会社サーバ200に送信したりする。POS装置は、クレジット決済端末と協働して決済額等の情報を提携クレジットカード会社サーバ200に送信する。クレジット処理端末55と提携クレジットカード会社サーバ200の間に、立替払取次業者サーバ(acquirer)が介在してもよい。以下では説明を簡略化するために、立替払取次業者サーバについての記述を省略する。提携カード57は、例えば、一般的に普及しているクレジットカードと同様の態様のものであり、通信チップがカード基材に埋め込まれたものである。通信チップはPINを記憶した記憶媒体を内蔵し、コンタクタ(或いは無線アンテナ)を介して外部装置と通信する。これに代えて、提携カード57は磁気カードであってもよい。
【0014】
第2店舗端末装置70は、加盟店の運営者によって使用される。第2店舗端末装置70は、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。第2店舗端末装置70では、加盟店向けインターフェース72が動作する。加盟店向けインターフェース72は、加盟店向けアプリであってもよいし、ブラウザであってもよい。加盟店向けインターフェース72は、加盟店の運営者によるクーポンの設定等を受け付け、決済サーバ100に送信する。スマートフォンである第2店舗端末装置70は、加盟店向けアプリを実行することで、店舗コード画像に相当するコード画像を表示したり、利用者端末装置10が表示するコード画像を読み取ったりする機能を有する。
【0015】
決済サーバ100は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から受信した決済情報に基づいて電子決済を実現する。第1店舗端末装置50は、POS装置と加盟店サーバを含む場合があり、その場合、POS装置から加盟店サーバを介して決済情報が決済サーバ100に送信される。以下の説明では、これを特に区別せず、第1店舗端末装置50から決済情報が送信されるものとする。
【0016】
提携クレジットカード会社サーバ200は、電子決済サービスの一部である提携クレジットカード決済を管理する。提携クレジットカード会社サーバ200は、例えば、決済サーバ100のグループ会社(提携クレジットカード会社)によって運営される。提携クレジットカード会社は、チャージ残高にチャージするファンドソース(資金源)としてのクレジットカードを提供する外部クレジットカード会社とは別事業者であってよい。
【0017】
図2および
図3は、電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図である。電子決済には、パターン1とパターン2の二つが存在してよい。
【0018】
図2に示すパターン1(以下、ユーザスキャンと称する)の場合、決済アプリ20が起動した状態の利用者端末装置10が、光学読取機能によって店舗コード画像60をデコードする(S1)。店舗コード画像60には、店舗URL(Uniform Resource Locator)の情報が含まれている。この店舗URLは、電子決済サービスのドメインに対して店舗を識別可能な情報が付加されたものであり、決済サーバ100において加盟店IDや店舗ID等との対応付けがなされている(後述)。決済アプリ20は、店舗URLとアカウントIDを含む第1決済情報を決済サーバ100に送信する(S2)。決済サーバ100は、店舗URLに対応する加盟店ID、店舗IDから、店舗情報(後述)を検索して加盟店名と店舗名の情報を取得し(S3)、決済アプリ20に送信する(S4)。利用者は、加盟店名や店舗名が表示された画面において、決済金額を利用者端末装置10に入力する(S5)。そして、利用者端末装置10は、少なくとも決済金額を含む第2決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S6)。決済サーバ100は、受信した第2決済情報に基づいて電子決済を行う(S7)。このとき、電子マネーのチャージ残高が決済金額に満たない場合であって、利用者がオートジャージ設定を実施済みである場合には、決済サーバ100は、オートチャージを実行してチャージ残高を増加(チャージ)させた上で電子決済を行う。オートチャージ設定の詳細は後述する。そして、決済サーバ100は、決済完了通知(決済完了画面を表示するための情報)を決済アプリ20に送信し(S8)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S9)。なお、店舗コード画像60が店舗に置かれたディスプレイによって表示される場合、店舗コード画像60には、店舗URLだけでなく決済金額の情報が含まれる場合がある。この場合、利用者が決済金額を入力する手順が省略され、第1決済情報に決済金額の情報が含められて決済サーバ100に送信される。加盟店名や店舗名の情報は、決済完了画面に含めて表示されてよい。
【0019】
図3に示すパターン2(以下、ストアスキャンと称する)の場合、決済アプリ20の起動時、決済アプリ20において支払う操作が行われたとき、自動更新のタイミング(例えば1分おき)になったとき、およびその他のタイミングで、決済アプリ20はワンタイムコードの発行要求を決済サーバ100に送信する(S11)。決済サーバ100はワンタイムコードを生成し(S12)、決済アプリ20に送信する(S13)。決済アプリ20は、ワンタイムコードに基づいて生成した、QRコードやバーコード等のコード画像を表示する(S14)。利用者は利用者端末装置10の表示面を第1店舗端末装置50に翳し(提示し)、第1店舗端末装置50は、光学読取機能によってコード画像をデコードし、ワンタイムコード等を取得する(S15)。そして、第1店舗端末装置50は、ワンタイムコード、決済金額、加盟店ID、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S16)。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて、ワンタイムコードに対応する利用者を特定し、電子決済を行う(S17)。そして、決済サーバ100は、決済完了通知を決済アプリ20に送信し(S18)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S19)。
【0020】
なお、上記のいずれか一方のみのパターンで電子決済が行われてもよい。また、
図2で説明した「アカウントID」は、利用者の識別情報として用いられ得る他の情報(例えば電話番号)であってもよい。また、ストアスキャンにおいてワンタイムコードの発行が省略され、決済アプリ20は、利用者のアカウントIDに基づいて生成したコード画像を表示してもよい。その場合、決済サーバ100は、ワンタイムコードに対応する利用者を特定するのに代えて、アカウントIDに対応する利用者を特定する。
【0021】
[決済サーバ]
図4は、第1実施形態に係る決済サーバ100の構成図である。決済サーバ100は、例えば、通信部110と、決済コンテンツ提供部120と、決済処理部130と、情報管理部140と、記憶部170とを備える。通信部110および記憶部170以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0022】
記憶部170は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部170は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。記憶部170には、利用者情報172、決済コンテンツ情報174、加盟店/店舗情報176などの情報が格納される。
【0023】
通信部110は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部110は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0024】
決済コンテンツ提供部120は、例えば、Webサーバの機能を有し、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報(コンテンツ)を利用者端末装置10に提供する。決済コンテンツ提供部120は、決済コンテンツ情報174から適宜、必要なコンテンツを読み出して利用者端末装置10に提供する。利用者端末装置10は、決済アプリ20によってコンテンツが再生された状態で利用者による各種入力を受け付け、前述した決済情報などを決済サーバ100に送信する。
【0025】
決済処理部130は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50により送信された決済情報に基づいて、決済処理を行う。決済処理部130は、利用者情報172を参照しながら決済処理を行う。なお、決済処理部130は、複数の支払い方法について優先順位の設定が有効化されている状態で支払いに失敗した場合は、優先順位に基づいて支払い方法を自動的に切り替えて、支払い処理を行う。支払い方法の優先順位は、利用者が適宜変更できるものであり、詳細については後述する。また、決済処理部130は、電子決済の実行時や、チャージ残高が所定の金額未満となった場合など、チャージ残高が所定の条件を満たしている場合において、利用者のオートチャージ設定に基づいて電子マネーのオートチャージを実施する。
【0026】
図5は、利用者情報172の内容の一例を示す図である。利用者情報172は、利用者の登録情報の一例である。利用者情報172は、例えば、利用者URL、アカウントID、電話番号、パスワードの他、メールアドレス、利用者ID、氏名・住所・生年月日、登録日、チャージ残高、後払い設定、後払い枠、後払い利用額、後払い利用可能額、端末決済方法、カード決済方法、提携カード番号、銀行口座、クレジットカード番号、チャージ履歴情報、決済履歴情報、オートチャージ設定などの情報が対応付けられたものである。利用者URLは、利用者間の送金処理に使用される。電子決済サービスへの新規登録時には、電話番号およびパスワードの登録が必須となる。アカウントIDは、決済サーバ100によって利用者に発行されるものであり、利用者IDは、利用者が任意に設定できる(設定しなくてもよい)IDである。メールアドレス、および氏名・住所・生年月日も同様に、利用者が任意に設定できる(設定しなくてもよい)情報である。登録日とは利用者が電子決済サービスに登録した日(アカウントを作成した日)である。以下、これらの情報が対応付けられた利用者のインスタンス(電子決済口座)のことをアカウントと称する。
【0027】
チャージ残高は、利用者が予めアカウントに送金することで設定された電子マネーの残高を示す情報である。送金の手段としては、指定業者(銀行)のATM(Automatic Teller Machine)からの送金、登録された銀行口座からの送金などがある。後払い設定は、後払いによる電子決済を可能とするための設定が済んでいるか否かを示す情報であり、「済」と「未」のいずれかに設定される。後払いとは、チャージ残高から即時引き落としをするのでは無く、例えば締め日などの所定の時点でまとめて、提携カード57に対応付けられた銀行口座等から決済額を差し引くことをいう。後払い設定は、後述する「端末決済」と「カード決済」に共通するフラグ情報である。端末決済の後払いを利用可能な利用者は、提携カード57が渡されている利用者である。なお、これに代えて、後払い設定は「端末決済」と「カード決済」で別々に設定される設定情報であってもよい。端末決済方法は、「端末決済」において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。カード決済方法は、「カード決済」において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。カード決済方法については提携クレジットカード会社サーバ200との間でリアルタイム同期がなされる。提携カード番号は、提携カード57の番号(例えばPAN(Primary Account Number))である。銀行口座とクレジットカード番号のそれぞれは、電子決済サービスに入金可能な銀行口座またはクレジットカード番号の情報(口座番号、カード番号)である。このクレジットカード番号は、提携カード57とは別のクレジットカードの番号である。チャージ履歴情報は、利用者が予め電子決済サービスに送金してチャージ残高を増加させた履歴である。決済履歴情報は、利用者が行った決済の内訳(日時、購買行動が行われた店舗の店舗ID、決済金額、決済方法など)を、決済ごとに示す情報である。
【0028】
オートチャージ設定は、電子マネーのチャージ残高が所定の条件を満たしている場合に、利用者の操作によらずに、利用者のファンドソースから利用者の電子決済口座に自動的に入金する、いわゆるオートチャージ機能を有効にする設定である。利用者が予めオートチャージ設定を実施済みである場合であって、電子マネーのチャージ残高が所定の条件を満たしている場合に、オートチャージ機能による自動入金処理が実行される。本実施形態において、オートチャージ設定は、「端末決済」におけるチャージ残高払いと「カード決済」におけるチャージ残高払いとで共通の設定とするが、「端末決済」におけるチャージ残高払いと「カード決済」におけるチャージ残高払いとで異なるオートチャージ設定が設けられてもよい。
【0029】
図6は、加盟店/店舗情報176の内容の一例を示す図である。加盟店/店舗情報176は、例えば、店舗URLに対して加盟店IDと店舗IDが対応付けられた第1テーブル176Aと、加盟店IDに対して加盟店名と売上金(前述)が対応付けられた第2テーブル176Bと、店舗IDに対して店舗名が対応付けられた第3テーブル176Cとを含む。加盟店/店舗情報176には、これらの情報の他、加盟店または店舗のカテゴリ、店舗の所在地、決済パターン等の情報が含まれてもよい。
【0030】
情報管理部140は、利用者端末装置10や第2店舗端末装置70から取得した情報に基づいて、利用者情報172および加盟店/店舗情報176を管理する。情報管理部140は、利用者情報172および加盟店/店舗情報176について新規レコードの追加、編集、削除などを行う。
【0031】
ここで、端末決済とカード決済について説明する。
図7は、端末決済とカード決済のそれぞれの処理を概念的に示す図である。以下に説明するように、電子決済サービスは、(1)端末決済/チャージ残高による支払い、(2)端末決済/後払いによる支払い、(3)カード決済/チャージ残高による支払い、(4)カード決済/後払いによる支払いの4パターンの電子決済を行うことができる。
【0032】
[端末決済]
(1)決済サーバ100(決済処理部130)が、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から決済情報を取得すると、端末決済が開始される。決済サーバ100は、利用者情報172を参照して当該利用者の「端末決済方法」を取得する。決済サーバ100は、「端末決済方法」が「チャージ残高」に設定されている利用者に関して、自身の処理によって電子決済を行う。この場合、決済処理部130が、利用者IDに対応付けて管理しているチャージ残高を減少させ、加盟店の売上金の項目値を増加させることで、電子決済を行う。加盟店の売上金の項目値は、例えば、それ自体が電子マネーとして使用されるものでは無く、加盟店と電子決済サービスとの取り決めに応じたサイクルで、売上金の項目値に対応する金額が銀行口座に送金される。
【0033】
(2)端末決済において決済サーバ100は、「端末決済方法」が「後払い」に設定されている利用者に関して、利用者情報172を参照して得られる当該利用者の提携カード番号と共に、決済情報を提携クレジットカード会社サーバ200に転送する。提携クレジットカード会社サーバ200は、決済情報の示す決済額の累計が当月の上限を超えていないかどうかを確認し、上限を超えていない場合は取得した決済額を当該利用者の決済額の累計に加算するなどの処理を行う。決済額の累計金額は、例えば、一か月分まとめて翌月の支払日に銀行口座からの引き落とし等によって決済される。
【0034】
[カード決済]
(3)提携クレジットカード会社サーバ200がクレジット処理端末55から決済情報を取得すると、提携カード57を用いた電子決済(カード決済)が開始される。提携クレジットカード会社サーバ200は、記憶部(不図示)に記憶させているカード決済設定情報210を参照する。
図8は、カード決済設定情報210の内容の一例を示す図である。カード決済設定情報210は、利用者に固有の情報(例えばPAN)と、カード決済方法と、当該利用者のアカウントIDとが互いに対応付けられた情報である。カード決済方法およびアカウントIDは、
図5の利用者情報172に含まれるものと同じ情報であり、決済サーバ100との間で同期連携がなされている。提携クレジットカード会社サーバ200は、「カード決済方法」が「チャージ残高」に設定されている利用者に関して、カード決済設定情報210を参照して得られる当該利用者のアカウントIDと共に、決済情報を決済サーバ100に転送する。決済サーバ100は、取得した決済情報に基づいて、端末決済において「端末決済方法」が「チャージ残高」に設定されている場合と同様の処理を行う。
【0035】
(4)カード決済において、提携クレジットカード会社サーバ200は、「カード決済方法」が「後払い」に設定されている利用者に関して、自身の処理によって電子決済を行う。この場合、提携クレジットカード会社サーバ200は、端末決済において「端末決済方法」が「後払い」に設定されている場合と同様の処理を行う。
【0036】
「端末決済」と「カード決済」のそれぞれにおける「チャージ残高」と「後払い」の切り替えは、決済アプリ20に対する利用者の操作に応じて行われる。決済アプリ20は、「端末決済」において「チャージ残高」と「後払い」のいずれかの決済方法(または他の決済方法)を選択するためのインターフェース画面と、「カード決済」において「チャージ残高」と「後払い」のいずれかの決済方法(または他の決済方法)を選択するためのインターフェース画面と、を別々に利用者に提供する。
【0037】
なお、以降の説明においてチャージ残高によって電子決済を行う方法が第1方法の一例であり、後払いによって電子決済を行う方法が第2方法の一例であるものとするが、この関係は逆であってもよい。
【0038】
[決済方法設定のユーザインターフェース]
ここで、第1方法と第2方法の切り替えや、オートチャージ設定の切り替え、複数の支払い方法の優先順位の設定変更は、決済アプリ20に対する利用者の操作に応じて行われる。
図9は、決済アプリ20のトップ画面IM1と、決済方法切替画面IM2の一例を示す図である。
図9の左図に示すように、例えば、決済アプリ20のトップ画面IM1には、スマホ決済に使用されるバーコードやQRコード(登録商標)等のコード画像が含まれる領域A1、チャージ、スキャンなどのスマホ決済における主要な動作を指示するためのアイコンが設定される領域A2、電子決済サービスにおける様々なサービス設定を指示するための各種アイコンが設定される領域A3が含まれる。領域A3には、カード決済における決済方法の切替え指示を受け付けるためのアイコンIC1と、オートチャージ設定の切り替え指示を受け付けるためのアイコンIC2と、複数の支払い方法について優先順位の設定変更指示を受け付けるためのアイコンIC3と、が設定されている。
【0039】
アイコンIC1を利用者が操作すると
図9の右図に示される決済方法切替画面IM2に遷移する。決済方法切替画面IM2には、例えば、「クレジット払い」なる表記と共に、オン、オフのいずれかに操作可能なソフトウェアスイッチSS1が設けられている。利用者がソフトウェアスイッチSS1をオン、オフのいずれかに操作することで、カード決済における決済方法を、チャージ残高によって電子決済を行う方法と、後払いによって電子決済を行う方法とのいずれかに設定することができる。ソフトウェアスイッチSS1の状態が切り替えられると、決済アプリ20と連携する決済サーバ100は、切り替わった後の状態を提携クレジットカード会社サーバ200に伝える。例えば、情報管理部140が主体となってこの処理を行うが、他の機能部が行ってもよい。決済サーバ100は、ソフトウェアスイッチSS1がオフの状態からオンの状態に切り替わった場合、カード決済方法設定を「後払い」に変更するように提携クレジットカード会社サーバ200に指示し、ソフトウェアスイッチSS1がオンの状態からオフの状態に切り替わった場合、カード決済方法設定を「チャージ残高」に変更するように提携クレジットカード会社サーバ200に指示する。このとき、情報管理部140は、利用者情報172におけるカード決済方法設定も変更する。なお、上記では決済方法切替画面IM2において決済方法を、二つの方法のいずれかから選択的に設定させるものとしたが、三つ以上の方法の中から決済方法を選択させるようにしてもよい。例えば、「チャージ残高」、後述する「デビットカード」、「後払い」の中から一つの決済方法を選択させるようにしてよい。その場合、「チャージ残高」、「デビットカード」、「後払い」のうち一つは第1方法にも第2方法にも該当しない第3方法として扱われてもよいし、第1方法または第2方法が複数の方法を含むものであってもよい。
【0040】
このように、提携クレジットカード会社サーバ200がインターフェースとなってカード決済の決済方法を振り分けることで、既存のクレジットカードの情報伝達網を利用して二つの決済方法を実現することができる。これによって、新たな情報伝達網を構築すること無く、低コストで利用者の利便性を向上させることができる。
【0041】
[オートチャージ設定のユーザインターフェース]
一方、アイコンIC2を利用者が操作すると
図10に示されるオートチャージ設定画面IM3に遷移する。オートチャージ設定画面IM3には、例えば、「オートチャージを有効にする」なる表記と共に、オン、オフのいずれかに操作可能なソフトウェアスイッチSS2が設けられている。利用者がソフトウェアスイッチSS2をオン、オフのいずれかに操作することで、オートチャージが有効な状態と、オートチャージが無効な状態とのいずれかに設定することができる。決済サーバ100は、ソフトウェアスイッチSS2がオフの状態からオンの状態に切り替わった場合、利用者情報172のオートチャージ設定の値を「済」に変更し、ソフトウェアスイッチSS2がオンの状態からオフの状態に切り替わった場合、利用者情報172のオートチャージ設定の値を「なし」に変更する。また、オートチャージ設定画面IM3には、オートチャージで入金する際の最小の入金額(最小チャージ額)の設定操作を受け付ける第1の設定メニューMN1、チャージ方法の設定操作を受け付ける第2の設定メニューMN2が設けられている。チャージ方法は、指定された銀行口座からの出金であってもよいし、チャージ金額を後払い(クレジットカードを含む)によって支払うものであってもよい。
【0042】
上述のとおり、本実施形態におけるオートチャージ設定は、「端末決済」におけるチャージ残高払いと、「カード決済」におけるチャージ残高払いとで共通である。すなわち、オートチャージ設定画面IM3においてソフトウェアスイッチSS2がON状態に変更された場合、カード決済とチャージ残高払いの両方の決済方法において、オートチャージが有効になり、ソフトウェアスイッチSS2がOFF状態に変更された場合、カード決済とチャージ残高払いの両方の決済方法において、オートチャージが無効となる。
【0043】
また、上述のとおり、オートチャージ設定は、「端末決済」におけるチャージ残高払いと、「カード決済」におけるチャージ残高払いとのそれぞれに設けられてもよい。この場合、例えば、オートチャージ設定画面IM3において、端末決済用のソフトウェアスイッチと、カード決済用のソフトウェアスイッチとが設けられてもよい。また、例えば、「端末決済」におけるチャージ残高払いと、「カード決済」におけるチャージ残高払いとで異なるオートチャージ設定画面が設けられてもよい。また、例えば、「端末決済」におけるチャージ残高払いと、「カード決済」におけるチャージ残高払いとで異なるオートチャージ設定画面に遷移させるためのアイコンがトップ画面に配置されてもよい。なお、端末決済とカード決済とでオートチャージ設定画面を分ける場合、カード決済用のオートチャージ設定画面は、提携クレジットカード会社サーバ200と連携する、いわゆるミニアプリとして構成されてもよい。この場合、決済アプリ20がミニアプリを搭載するスーパーアプリとして構成される。
【0044】
[支払い方法の優先順位の設定のユーザインターフェース]
一方、アイコンIC13を利用者が操作すると
図11に示される優先順位設定画面IM4に遷移する。優先順位設定画面IM4は、例えば、支払い方法について優先順位の設定を有効化または無効化するソフトウェアスイッチSS3と、優先度の高い支払い方法のリストを表示する第1リスト領域R1と、その他の支払い方法のリストを表示する第2リスト領域R2と、設定保存ボタンB1とを含む。第1リスト領域R1および第2リスト領域R2において、各支払い方法には優先順位の変更操作を受け付けるユーザインターフェースとして、操作用アイコンIC11~IC14が対応付けて表示される。
【0045】
なお、優先度の高い支払い方法は任意の基準で定められてよい。また、優先度の高い支払い方法は、予め決済事業者によって定義されていてもよいし、利用者が定義するものであってもよい。ここでは、優先度の高い支払い方法は、予め決済事業者によって定義されているものとする。例えば、以下では、チャージ残高払い(第1方法)および後払い(第2方法)が優先度の高い支払い方法として定義されており、クレジットカード払いはその他の支払い方法として定義されているものとする。
【0046】
図11は、ソフトウェスイッチSS3がオン側(図の例では右側)に切り替えられた状態であって、支払い方法について優先順位の設定が有効化された状態を表している。この状態において、決済アプリ20は、第1リスト領域R1に表示された優先度の高い支払い方法について優先順位の設定操作が可能な状態とする。
図11は、優先度の高い支払い方法として、チャージ残高払いM11および後払いM12が登録され、その他の支払い方法として2つのクレジットカード払いM21およびM22が登録されている場合を表している。この場合、決済アプリ20は、チャージ残高払いM11および後払いM12について優先順位の設定操作を受け付ける。
【0047】
[優先順位変更の基本的操作]
図12および
図13は、優先順位設定画面IM4が支払い方法についての優先順位の変更操作を受け付けた際に発生させる視覚効果の具体例を示す図である。ここでは、チャージ残高払いM11、後払いM12の順で設定されている優先順位(
図11の状況)を、後払いM12、チャージ残高払いM11の順に変更する場合について説明する。まず、決済アプリ20は、チャージ残高払いM11に対応する操作用アイコンIC11の選択操作を受け付けると、選択されたチャージ残高払いM11の表示が利用者のドラッグ操作に応じて他の優先順位に移動するとともに、後払いM12の表示がチャージ残高払いM11の移動に応じて他の優先順位に移動するような視覚効果を発生させる。このような視覚効果は、例えば、いわゆるロングプレスドラッグ操作(1点を長押ししてから移動させて離すジェスチャ)として実装されてもよい。なお、タッチ操作は適宜対応するマウス操作に読み替えることができる。長押しの時間は任意であるが、典型的には0.5~1秒くらいの長さが想定される。
【0048】
図12の状況は、選択されたチャージ残高払いM11(優先順位第1位)が優先順位第2位の方向に移動されたことに応じて、優先順位第2位の後払いM12が優先順位第1位の位置に移動された状況を表している。この状況において、順位変更の視覚効果は継続中であり、チャージ残高払いM11の移動先は未確定である。この状態でチャージ残高払いM11の選択が解除されることにより、チャージ残高払いM11の移動先が優先順位第2位の位置に確定する(
図13参照)。
図13の例では、この確定により、チャージ残高払いM11の優先順位の表示が2位に変更され、後払いM12の優先順位の表示が1位に変更されている。なお、ここでいう確定とは、あくまで表示位置の確定であり、優先順位設定の変更内容を確定するものではない。優先順位設定の変更内容は、設定保存ボタンB1が押下されたことをもって確定される。決済アプリ20は、設定保存ボタンB1が押下されたことに応じて、その時点の設定内容を決済サーバ100に通知する。決済サーバ100は、通知された設定内容を、例えば決済方法設定として利用者情報172に保存する。
【0049】
なお、決済アプリ20は、操作対象の支払い方法が適切に選択され、移動可能な状態となったことを利用者が認識しやすくするために、長押しが完了したタイミングでさらなる視覚効果を発生させるようにしてもよい。例えば、決済アプリ20は、選択された支払い方法の表示領域が浮き上がって見えるような視覚効果を発生させてもよい。また、例えば、決済アプリ20は、選択された支払い方法について、色や大きさ、形状等を変更してもよいし、移動可能状態であることを示す文字や図形等を対象の支払い方法に付随して表示させるようにしてもよい。この視覚効果は、移動操作が終了した(すなわち指が離された)ことをもって解除されてよい。
【0050】
[オートチャージ設定が有効化されている場合の優先順位設定画面の挙動]
図12および
図13において、支払い優先順位の変更操作の基本的な内容について説明したが、本実施形態の決済アプリ20は、優先順位設定画面において第1方法(チャージ残高払い)の優先順位が変更されたことに応じて、オートチャージ設定の変更操作を受け付ける第2のオートチャージ設定画面を、利用者の操作によらず自動的に、表示させる機能をさらに有するものである。
図14は、第2のオートチャージ設定画面の表示例を示す図である。
図14は、
図11~
図13と同様の優先順位設定画面IM4において、チャージ残高払いM11が優先順位の第1位に変更されたことに応じて、第2のオートチャージ設定画面IM5が、いわゆるハーフシートの態様で表示された状況を表している。
【0051】
ハーフシートとは、利用者の操作を一時中断させ、なんらかのアクションを促す、またはエラーなどのお知らせを表示するために使用されるユーザインターフェースの一種である。一般に、ハーフシートは、
図14に示されるように、それまで表示中であった画面(ここでは優先順位設定画面IM4)の一部に重畳して表示されることが多い。また、
図14に示されるように、ハーフシートが表示されているとき、それまで表示中であった画面はローライトされる場合がある。ハーフシートはモーダルで表示されてもよいし、非モーダルで表示されてもよい。また、ハーフシートは、
図14に示されるように、画面下部の画面外からせりあがってくるような視覚的演出とともに表示されるとともに、画面下部の画面外に沈み込んでいくような視覚的演出によって非表示にされる場合がある。ここでは、第2のオートチャージ設定画面がハーフシートとして構成される場合について図示しているが、オートチャージ設定画面は他の態様(例えばポップアップ表示や別画面への遷移)で表示されてもよい。
【0052】
図14における第2のオートチャージ設定画面IM5は、
図10に例示したオートチャージ設定画面IM3と同様の操作インターフェースが配置された例である。より具体的には、
図14の例において、第2のオートチャージ設定画面IM5は、ソフトウェアスイッチSS2と同様のソフトウェアスイッチSS4と、第1の設定メニューMN1と同様の第1の設定メニューMN3と、第2の設定メニューMN2と同様の第1の設定メニューMN4とを有するものである。このような第2のオートチャージ設定画面が、第1方法の優先順位変更に応じて表示されることにより、利用者はオートチャージの設定内容を適切なタイミングで確認できるようになるとともに、必要な設定変更を忘れずに実施することができる。
【0053】
なお、
図14の例において、第2のオートチャージ設定画面IM5は、変更後の優先順位設定が確定された後で表示されてもよいし、優先順位設定変更の確定前であって、支払い方法の移動操作が完了して各支払い方法が変更後の優先順位で表示された状態で表示されてもよい。また、第2のオートチャージ設定画面IM5は、各支払い方法の優先順位を変更する操作(例えば、第1方法の優先順位を上位にスワイプする操作)に連動して画面下部から引き上げられるような(せりあがるような)演出を伴って表示されてもよい。また、第2のオートチャージ設定画面IM5は、支払い方法の移動操作が完了した後、所定の操作によって表示されてもよい。例えば、第2のオートチャージ設定画面IM5は、画面下部の画面端部を上方にスワイプする操作に応じて、当該画面下部端部から画面内にせりあがるような演出を伴って態様で表示されてもよい。
【0054】
[ワンタイムコード]
図15は、端末決済における支払い方法の優先順位の設定変更およびそれに伴って実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。まず、決済アプリ20は、利用者の所定操作により、優先順位設定画面IM4を表示させる(S31)。優先順位設定画面IM4は、利用者が決済アプリ20の操作メニューから特定のコマンドを実行することによって表示されてもよいし、利用者がウェブページやアプリケーション(決済アプリ20を含む)上に表示されたディープリンクにアクセスする操作によって表示されてもよい。なお、決済アプリ20は、優先度の高い支払い方法が複数設定されている場合に優先順位設定画面IM4を表示させる。例えば、優先度の高い支払い方法がチャージ残高払いおよび後払いである場合、決済アプリ20は、その両者の利用設定がなされている場合に優先順位設定画面IM4を表示させる。一般に、電子決済サービスにおいて、チャージ残高払いは既定の支払い方法であり、後払いはオプションの支払い方法として位置づけられる。この場合、決済アプリ20は、後払いが利用可能に設定されている場合に優先順位設定画面IM4を表示させ、後払いの利用設定がなく、チャージ残高払いのみ利用可能な場合には優先順位設定画面IM4を表示させないように構成されてもよい。また、決済アプリ20は、操作メニューに優先順位設定画面IM4を表示させるためのコマンドを含めるか否かを後払いの設定有無によって変更するように構成されてもよい。
【0055】
決済アプリ20は、優先順位変更の操作を受け付けると(S32)、支払い方法の優先順位が変更された旨の通知(変更通知)と、ワンタイムコードの発行要求を決済サーバ100に送信する(S33)。なお、優先順位変更の操作には、支払い方法を選択して現在と異なる順位の位置に移動させる第2操作に加え、支払い方法について優先順位の設定を有効にする第1操作が含まれてよい。なお、決済アプリ20は、支払い方法について優先順位の設定が有効化されている場合に、第2操作を受け付けるように構成されてもよい。
【0056】
決済サーバ100は、変更通知に応じて利用者情報172の「決済方法設定」の項目を変更し(S34)、ワンタイムコードを生成し(S35)、ワンタイムコードを決済アプリ20に送信する(S36)。決済アプリ20は、受信したワンタイムコードを用いてコード画像を更新するとともに(S37)、トップ画面に遷移して更新後のコード画像を表示させる(S38)。
【0057】
なお、決済アプリ20において、コード画像の更新後のトップ画面への遷移は、自動的に行われるのではなく、利用者の操作によって行われてもよい。また、コード画像の更新は、コード画像の表示が必要となった際に実行されてもよい。この場合も、上記のように決済アプリ20がワンタイムコードの発行要求を決済サーバ100に送信し、決済サーバ100から決済アプリ20にワンタイムコードが送信され、決済アプリ20がワンタイムコードを用いてコード画像を更新する。
【0058】
ここで、更新後のコード画像には、現在の電子決済の決済方法設定が、優先順位に基づいて支払い方法を選択する設定であり、複数の支払い方法の優先順位を示す情報がエンコードされている。決済処理部130は、コード画像から読み取られ、第1店舗端末装置50から送信されてきた決済方法設定と、利用者情報172に登録された決済方法設定の双方を確認して電子決済を行う。これに代えて、仮にコード画像に、複数の支払い方法の優先順位を示す情報がエンコードされていない場合、決済処理部130は、専ら利用者情報172に登録された決済方法設定を確認して電子決済を行ってもよい。
【0059】
以上説明した実施形態によれば、電子決済サービスにおいて、口座残高の不足によって電子決済が失敗する可能性を低減することができる。
【0060】
<変形例>
なお、第2のオートチャージ設定画面は、優先順位設定画面IM4において、第1方法(チャージ残高払い)の優先順位が変更前の順位から上位の順位に変更された場合に表示されるように構成されてもよい。
【0061】
また、第2のオートチャージ設定画面は、優先順位設定画面IM4において、第1方法(チャージ残高払い)の優先順位が、第2方法(後払い)の優先順位よりも上位に変更された場合に表示されるように構成されてもよい。
【0062】
また、第2のオートチャージ設定画面は、優先順位設定画面IM4において、第1方法(チャージ残高払い)の優先順位が、第1位に変更された場合に表示されるように構成されてもよい。
【0063】
また、第2のオートチャージ設定画面は、オートチャージ設定が無効化されている状態で、優先順位設定画面IM4において、第1方法の優先順位が変更された場合に表示されるように構成されてもよい。例えば、オートチャージ設定が無効化されている状態とは、
図10の例のオートチャージ設定画面IM3において予めソフトウェアスイッチSS2がOFFに設定された状態である。
【0064】
上記の実施形態では、決済方法切替画面IM2によりカード決済で使用する支払い方法を設定する場合について説明したが、カード決済についても端末決済と同様に支払い方法の優先順位が設定されてよい。この場合、決済サーバ100は、端末決済の場合と同様に、カード決済においても、複数の支払い方法について優先順位の設定が有効化されている状態で支払いに失敗した場合は、優先順位に基づいて支払い方法を自動的に切り替えて、支払い処理を行うように構成されてもよい。また、この場合、支払い方法の優先順位の設定は、カード決済と端末決済とで共通の設定とされてもよい。この場合、決済サーバ100が優先順位の設定情報を提携クレジットカード会社サーバ200と同期することにより、共通の設定とすることができる。
【0065】
一方、支払い方法の優先順位の設定は、カード決済と端末決済とで別の設定とされてもよい。この場合、決済アプリ20は、カード決済用に、端末決済用の優先順位設定画面IM4と同様の優先順位設定画面を提供するように構成されてもよい。この場合、カード決済用の優先順位設定画面は、例えばミニアプリとして構成され、設定内容は提携クレジットカード会社サーバ200に登録され、管理される。また、このように、支払い方法の優先順位設定が、カード決済と端末決済とで別々に設けられる場合、カード決済用の優先順位設定画面も、端末決済用の優先順位設定画面IM4と同様に、第1方法の優先順位が変更されたことに応じて第2のオートチャージ設定画面を表示するように構成されてよい。また、端末決済用の優先順位設定画面IM4に代えて、カード決済用の優先順位設定画面が設けられてもよい。
【0066】
また、端末決済用の優先順位設定画面IM4と、カード決済用の優先順位設定画面とが設けられ、且つ、端末決済とカード決済とで別のオートチャージ設定が設けられる場合、決済アプリ20は、カード決済用のオートチャージ設定がOFFに設定されている状態で、カード決済用の優先順位設定画面において第1方法の優先順位が変更された場合に第2のオートチャージ設定画面を表示させるように構成されてもよい。この場合、決済アプリ20は、端末決済用の優先順位設定画面IM4において第1方法の優先順位が変更された場合は、端末決済用のオートチャージ設定の状態によらずに、第2のオートチャージ設定画面を表示させないように構成されてもよい。すなわち、この場合、決済アプリ20は、提携カード57を使用した電子決済について、提携クレジットカード会社サーバ200のミニアプリにより支払い方法の優先順位が変更された場合に、第2のオートチャージ設定画面を表示するように構成されてもよい。
【0067】
上記の実施形態では、各種設定画面の表示を決済アプリ20が制御する場合について説明したが、各種設定画面の表示は、決済サーバ100または提携クレジットカード会社サーバ200によって制御されてもよい。この場合、各種設定画面は、WebViewとして構成され、表示内容の一部または全部が決済サーバ100または提携クレジットカード会社サーバ200から提供されてもよい。
【0068】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0069】
10 利用者端末装置
20 決済アプリ
50 第1店舗端末装置
55 クレジット処理端末
57 提携カード
60 店舗コード画像
70 第2店舗端末装置
72 加盟店向けインターフェース
100 決済サーバ
110 通信部
120 決済コンテンツ提供部
130 決済処理部
140 情報管理部
170 記憶部
172 利用者情報
174 決済コンテンツ情報
176 店舗情報
200 提携クレジットカード会社サーバ
210 カード決済設定情報
【要約】
【課題】電子決済サービスにおいて、口座残高の不足によって電子決済が失敗する可能性を低減すること。
【解決手段】利用者の使用する端末装置において動作し、決済管理装置と協働して前記利用者に電子決済サービスを提供するアプリケーションプログラムであって、前記端末装置に、電子決済の際に使用する支払い方法として、予めチャージされて前記決済管理装置によって管理されているチャージ残高による第1の支払い方法と、後払いによる第2の支払い方法とを含む複数の支払い方法について優先順位の設定操作を受け付ける第1画面を表示させ、前記第1画面において、前記複数の支払い方法のうち前記第1の支払い方法の優先順位が変更された場合に、前記チャージ残高への残高のチャージを前記利用者の操作によらずに自動的に実行するオートチャージ機能の設定画面である第2画面を表示させる、アプリケーションプログラム。
【選択図】
図14