(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】エレベータのガイドレール油汚染物回収装置及びエレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 7/12 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
B66B7/12 A
(21)【出願番号】P 2022148480
(22)【出願日】2022-09-16
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】横竹 孝浩
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-202567(JP,A)
【文献】特開2011-057327(JP,A)
【文献】特開2017-197301(JP,A)
【文献】特開2011-011137(JP,A)
【文献】特開2012-206068(JP,A)
【文献】特開2007-015782(JP,A)
【文献】特開2001-171944(JP,A)
【文献】特開2001-163552(JP,A)
【文献】特開2000-247561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に位置する2つのガイド面及び2つのガイド面の幅方向先端縁間に位置する先端面を備えるガイドレールの、ガイド面を伝って垂下する油の中から油汚染物を回収する油汚染物回収装置であって、
外側の上端面が内側の上端面よりも上方となるように内側の第1油吸収シート及び外側の第2油吸収シートが重ねられたものであり、第2油吸収シートのうち、第1油吸収シートの上端面から突出する突出部が第1油吸収シートの上端面を囲う囲い部を構成し、第1油吸収シートが2つのガイド面に面接触するように配置される油吸収シートと、
油吸収シート
のうち、第1油吸収シートが2つのガイド面に面接触した箇所を着脱自在に挟持する挟持手段とを備える
エレベータのガイドレール油汚染物回収装置。
【請求項2】
油吸収シートは、
スポンジ、布、フェルト又は不織布のいずれかであるシート本体と、シート本体の外面に積層され
るアルミ箔又はプラスチックフィルムのいずれかである遮蔽膜との積層シートである
請求項1に記載のエレベータのガイドレール油汚染物回収装置。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載のガイドレール油汚染物回収装置を備える
エレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのガイドレールに供給された油(潤滑油等)の中から油汚染物を回収するためのガイドレール油汚染物回収装置及びエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのかごやカウンターウェイトは、昇降路内に上下方向に配置されるガイドレールに沿って摺動し、昇降路内を昇降する。このため、ガイドレールには、かごやカウンターウェイトのガイドシュー又はローラとの間の摺動を円滑化するため、ガイドレール給油装置により潤滑油が常時又は定期的に供給されるようになっている。
【0003】
しかし、余分な潤滑油は、重力を受けてガイドレールのガイド面を伝って垂下し、ガイドレールの下端からピットの底面に滴下し、底面を汚損することになる。この汚損を防ぐため、従来は、ガイドレールの下端とピットの底面との間に油受け(オイルパン)を設置し、滴下した潤滑油を油受け内に貯留するとともに、エレベータの定期保守点検時等のタイミングで油受け内の潤滑油を回収するようにしている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、油がガイドレールに供給されてからある程度時間が経てば、油に粉や塵芥等の異物が混入したり、油自体が劣化することにより、スラッジといった固体状又は高粘性の油汚染物が発生する。この油汚染物は、最終的には、油とともに、ガイドレールの下端から滴下し、油受け内に貯留される。このため、回収作業では、油受けにこびりついた油汚染物を時間を掛けて取り除くという煩雑な清掃作業が必要となる。
【0006】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、ガイドレールに供給された油の回収作業における作業負担を軽減することができるエレベータのガイドレール油汚染物回収装置及びエレベータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエレベータのガイドレール油汚染物回収装置は、
厚み方向に位置する2つのガイド面及び2つのガイド面の幅方向先端縁間に位置する先端面を備えるガイドレールの、ガイド面を伝って垂下する油の中から油汚染物を回収する油汚染物回収装置であって、
外側の上端面が内側の上端面よりも上方となるように内側の第1油吸収シート及び外側の第2油吸収シートが重ねられたものであり、第2油吸収シートのうち、第1油吸収シートの上端面から突出する突出部が第1油吸収シートの上端面を囲う囲い部を構成し、第1油吸収シートが2つのガイド面に面接触するように配置される油吸収シートと、
油吸収シートのうち、第1油吸収シートが2つのガイド面に面接触した箇所を着脱自在に挟持する挟持手段とを備える
エレベータのガイドレール油汚染物回収装置である。
【0011】
また、本発明に係るエレベータのガイドレール油汚染物回収装置の別の態様として、
油吸収シートは、スポンジ、布、フェルト又は不織布のいずれかであるシート本体と、シート本体の外面に積層されるアルミ箔又はプラスチックフィルムのいずれかである遮蔽膜との積層シートである
との構成を採用することができる。
【0012】
また、本発明に係るエレベータは、
上記のいずれかのガイドレール油汚染物回収装置を備える
エレベータである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、油汚染物は、油の中から回収され、油の中に混ざったままになることはない。このため、本発明によれば、ガイドレールに供給された油の回収作業を楽に行うことができ、作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るエレベータの斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るガイドレール油汚染物回収装置の周辺の斜視図である。
【
図3】
図3は、ガイドレール油汚染物回収装置の斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、
図3のA矢視図である。
図4(b)は、
図3のB線における横断面図である。
図4(c)は、
図4(a)のC線における縦断面図である。
【
図5】
図5(a)~(d)は、油汚染物回収方法の説明図である。
【
図6】
図6(a)は、他実施形態1に係るガイドレール油汚染物回収装置の斜視図である。
図6(b)は、他実施形態2に係るガイドレール油汚染物回収装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る一実施形態として、ガイドレール油回収装置を備えるエレベータについて説明する。
【0016】
図1に示すように、エレベータ1は、昇降路2と、かご3と、かご3の駆動機構4とを備える。昇降路2は、階層を有する建物内において上下方向に延びる。かご3は、駆動機構4の駆動により、昇降路2内を昇降し、駆動機構4の駆動停止により、指定された階床に停止する。
【0017】
昇降路2内には、一対のガイドレール20,20及び一対のガイドレール21,21が設けられる。一対のガイドレール20,20は、かご3の両側方において上下方向に延びるように配置される。一対のガイドレール21,21は、後述するカウンターウェイト41の両側方において上下方向に延びるように配置される。昇降路2は、底部付近にピット2Aを備える。ピット2Aの底面は、最下階の乗場25の床面よりも下に位置する。一対のガイドレール20,20及び一対のガイドレール21,21のそれぞれの下端部は、上下方向においてピット2Aの底面と所定の間隔を有するようにしてピット2Aの底面の近傍に配置される。
【0018】
かご3の上下左右の4箇所には、ガイドシュー30,…が取り付けられる。ガイドシュー30,…が一対のガイドレール20,20を摺動することにより、かご3は、一対のガイドレール20,20に案内されて昇降路2内を昇降可能となる。
【0019】
なお、かご3は、上方にガイドレール給油装置(図示しない、以下、略して「給油装置」という)を備える。給油装置には、潤滑油が貯留され、油供給路の先端(フェルト等の塗油部材)がガイドレール20の両面(後述する2つのガイド面204,204)に常時接触することにより、ガイドレール20の両面に潤滑油が常時供給されるようになっている。
【0020】
駆動機構4は、巻上機40と、カウンターウェイト41と、主ロープ42とを備える。巻上機40は、ピット2A内に配置される。カウンターウェイト41は、昇降路2の壁面とかご3との間に形成される空間に配置され、一対のガイドレール21,21に案内されて昇降路2内を昇降可能となる。主ロープ42は、一端が昇降路2内の上部に固定され、巻上機40の駆動シーブ(綱車)を含む適宜のシーブに巻き掛けられ、他端が昇降路2内の上部に固定される。巻上機40の駆動シーブが回転駆動することにより、主ロープ42が走行し、これに伴い、かご3及びカウンターウェイト41が互いに逆方向に昇降路2内を昇降する。
【0021】
図2に示すように、ガイドレール20は、平面視でT字状を有し、基部200と、突出部201とを備える。基部200は、上下方向に延びる帯板状であり、上下方向に所定の間隔を有して配置される複数のブラケット又はクリップ(図示しない)により昇降路2の壁面又は昇降路2の壁面に取り付けられるフレーム等の支持部に取り付けられる。突出部201は、上下方向に延びる帯板状であり、一側部にて基部200の中央部に接続され、基部200から直交方向に突出する。
【0022】
突出部201は、接続部202と、ガイド部203とを備える。接続部202は、基部200とガイド部203とを接続する。接続部202は、ガイド部203よりも幅狭であり、突出部201において括れ部となる。ガイド部203は、2つのガイド面204,204と、先端面205とを備える。2つのガイド面204,204は、ガイド部203の厚み方向に位置する面であり、平行又は先端側が幅狭となるテーパ状に対向する。ガイド面204は、幅方向先端縁204aと、幅方向基端縁204bとを備える。ガイド面204は、かご3のガイドシュー30が摺接し、ガイドシュー30をガイドする面である。なお、かご3がガイドシュー30でなく、ローラを備える場合は、ガイド面204は、ローラが摺接し、ローラをガイドする面となる。先端面205は、2つのガイド面204,204の幅方向先端縁204a,204a間に位置する面であり、平面又は円弧面等の曲面である。
【0023】
エレベータ1は、ガイドレール油汚染物回収装置(以下、略して「油汚染物回収装置」という)6を備える。油汚染物回収装置6は、ガイドレール20の下端部に設けられ、ガイド面204,204を伝って垂下する油の中から油汚染物を回収する装置である。なお、カウンターウェイト41用のガイドレール21にも油汚染物回収装置が設けられるが、ガイドレール21もガイドレール20と同じ構成であるため、装置構成及び油汚染物回収方法は同じである。そこで、ガイドレール21の油汚染物回収装置については、以下に説明するガイドレール20の油汚染物回収装置6についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0024】
油汚染物回収装置6は、油吸収シート60と、クリップ63とを備える。油吸収シート60は、ガイドレール20の所定の高さにおいて2つのガイド面204,204に面接触するように配置される。油吸収シート60は、1枚の油吸収シート60を半分に折り曲げて2つのガイド面204,204を覆うように(挟み込むように)配置される。この場合、油吸収シート60は、必要に応じて先端面205にも面接触するように配置される。あるいは、2枚の油吸収シート60,60を用いる場合、2枚の油吸収シート60,60は、2つのガイド面204,204を覆うように(挟み込むように)対向配置される。クリップ63は、油吸収シート60が2つのガイド面204,204に面接触した箇所を着脱自在に挟持し、油吸収シート60が2つのガイド面204,204に面接触した状態を維持する。
【0025】
図3及び
図4に示すように、油吸収シート60は、所定の厚み(たとえば2mm以上、あるいは3mm以上、あるいは4mm以上)を有し、ある程度の油吸収性を有しつつ、吸収容量を超えると油を通過させるが、油汚染物を通過させることはない目の細かさの多孔質シートである。油吸収シート60は、たとえば、スポンジ、布、フェルト、不織布等を用いて構成される。
【0026】
油吸収シート60は、第1油吸収シート61と、第2油吸収シート62とを備える。第1油吸収シート61及び第2油吸収シート62は、同じ大きさであり、第2油吸収シート62は、第1油吸収シート61に対し、上方にずれた状態で第1油吸収シート61に重ねられる。これにより、油吸収シート60は、第1油吸収シート61及び第2油吸収シート62の重なり部60aと、第1油吸収シート61の上端面61cから突出する第2油吸収シート62の突出部62cとを備える。重なり部60aは、クリップ63が挟持する箇所となる。突出部62cは、第1油吸収シート61の上端面61cを囲う囲い部として機能する。突出部62cの突出量は、たとえば10mm以上、あるいは20mm以上、あるいは30mm以上である。
【0027】
第1油吸収シート61は、上記多孔質シートのシート本体61aに遮蔽膜61bが積層された積層構造を有する。第2油吸収シート62も、上記多孔質シートのシート本体62aに遮蔽膜62bが積層された積層構造を有する。遮蔽膜61b,62bは、耐火性を有し、油吸収性を有さず、油を透過しない膜である。遮蔽膜61b,62bは、たとえば、アルミ箔、プラスチックフィルム等を用いて構成される。第1油吸収シート61及び第2油吸収シート62は、シート本体61a,62aが内面となり、遮蔽膜61b,62bが外面となるように配置される。
【0028】
ここで、油汚染物回収装置6による油汚染物回収方法について説明する。
図5(a)及び(b)に示すように、2つのガイド面204,204を伝って垂下する油は、第1油吸収シート61の上端面61cに第1接触する。ここで、純粋な油(低粘性の油)は、第1油吸収シート61に吸収されていく(網点部分)が、油の中の油汚染物は、第1油吸収シート61の濾過作用により第1油吸収シート61に浸透せず、上端面61cで捕捉される(黒の塗潰し部分)。
【0029】
さらに時間が経過すると、
図5(c)に示すように、純粋な油は、第1油吸収シート61の大半に吸収される。そして、
図5(d)に示すように、捕捉される油汚染物の量が増えると、純粋な油は、第2油吸収シート62にも吸収されていき、第1油吸収シート61と同様、第2油吸収シート62の大半に吸収される。
【0030】
そして、エレベータ1の定期保守点検時等のタイミングで、第1油吸収シート61及び第2油吸収シート62に油が十分に吸収されていることが確認できた場合、作業者は、クリップ53を外して第1油吸収シート61及び第2油吸収シート62を新しいものと交換し、古い第1油吸収シート61及び第2油吸収シート62を回収する(回収方法1)。
【0031】
あるいは、さらに放置しておくと、純粋な油は、第1油吸収シート61の吸収容量を超えて第1油吸収シート61の下端面から再びガイド面204,204を伝って垂下するとともに、第2油吸収シート62の吸収容量を超えて第2油吸収シート62の下端面から第1油吸収シート61の下端面を経て再びガイド面204,204を伝って垂下し、ガイドレール20の下端部に到達する。そこで、予めガイドレール20の下端とピット2Aの底面との間に油受け(オイルパン)を設置しておき、純粋な油を油受け内に貯留するようにする。
【0032】
そして、エレベータ1の定期保守点検時等のタイミングで、油受け内に油が十分に貯留されていることが確認できた場合、作業者は、油受け内の油を別の運搬容器に移し替え、油を回収する。また、この油の回収作業よりも長いスパンで、かつ、エレベータ1の定期保守点検時等のタイミングで、少なくとも第1油吸収シート61が交換時期であると確認された場合、作業者は、クリップ53を外して油吸収シート60を新しいものと交換し、古い油吸収シート60を回収する(回収方法2)。
【0033】
このように、回収方法1によれば、古い第1油吸収シート61及び第2油吸収シート62をガイドレール20から取り外して回収するだけで、油汚染物と油の両方を回収することができる。この点、回収方法1によれば、油汚染物回収装置6は、ガイドレール油回収装置としても機能する。また、回収方法2によれば、少なくとも第1油吸収シート61をガイドレール20から取り外して回収するだけで、油汚染物を回収することができる。
【0034】
以上のとおり、本実施形態に係る油汚染物回収装置6によれば、油汚染物は、油の中から回収され、油の中に混ざったままになることはない。このため、本実施形態に係る油汚染物回収装置6によれば、ガイドレール20に供給された油の回収作業を楽に行うことができ、作業負担を軽減することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る油汚染物回収装置6によれば、油汚染物の捕捉部(第1油吸収シート61の上端面61c)に囲い部(第2油吸収シート62の突出部62c)が設けられる。このため、本実施形態に係る油汚染物回収装置6によれば、捕捉部から油汚染物が脱落してピット2Aの底面を汚損するのを防止することができる。
【0036】
また、本実施形態に係る油汚染物回収装置6によれば、油吸収シート60として、第1油吸収シート61及び第2油吸収シート62を上下にずらして2枚重ねしたものが用いられる。このため、本実施形態に係る油汚染物回収装置6によれば、吸収容量を増やすことができるとともに、油汚染物の捕捉部及び捕捉部の囲い部を簡単に構成することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る油汚染物回収装置6によれば、油吸収シート60は、外層に、油不透過性を有する遮蔽膜を備える。このため、本実施形態に係る油汚染物回収装置6によれば、油吸収シート60の外面(特に第2油吸収シート62の外面)及びクリップ63が油で汚れるのを防止することができ、装置6を取り外す際に手に多量の油が付着することによる不快感を取り除くことができる。
【0038】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0039】
上記実施形態においては、油吸収シート60として、同じ大きさの第1油吸収シート61及び第2油吸収シート62を2枚重ねしたものが用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、
図6(a)に示すように、油吸収シート60は、1枚であってもよい。あるいは、油吸収シートは、3枚以上(たとえば、第1油吸収シートが2枚以上、第2油吸収シートが1枚)であってもよい。
【0040】
また、上記実施形態においては、油吸収シート60として、同じ大きさの第1油吸収シート61及び第2油吸収シート62を上下にずらして2枚重ねしたものが用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。要は、第1油吸収シート及び第2油吸収シートは、外側の上端面が内側の上端面よりも上方となるように2枚重ねされていればよく、たとえば、
図6(b)に示すように、第1油吸収シート61及び第2油吸収シート62の大きさが異なるものであってもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、囲い部を構成するために第2油吸収シート62が用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。囲い部を構成するための外側のシートは、油吸収シートでなく、別のシートであってもよい。あるいは、シートではなく、内側の油吸収シートの上端部に取り付けられる帯状部材であってもよい。
【0042】
また、上記実施形態においては、油汚染物回収装置6は、ガイドレール20の下端部に設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。ガイドレールにおけるガイドシュー等の可動体の可動域外であって可動体と干渉しない箇所であれば、任意の箇所に油汚染物回収装置を設けることができる。
【0043】
また、上記実施形態においては、油は潤滑油である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。油は潤滑油以外の油であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…エレベータ、2…昇降路、2A…ピット、20…ガイドレール、200…基部、201…突出部、202…接続部、203…ガイド部、204…ガイド面、204a…幅方向先端縁、204b…幅方向基端縁、205…先端面、21…ガイドレール、25…乗場、3…かご、30…ガイドシュー、4…駆動機構、40…巻上機、41…カウンターウェイト、42…主ロープ、6…ガイドレール油汚染物回収装置、60…油吸収シート、60a…重なり部、61…第1油吸収シート、61a…シート本体、61b…遮蔽膜、61c…上端面(捕捉部)、62…第2油吸収シート、62a…シート本体、62b…遮蔽膜、62c…突出部(囲い部)、63…クリップ(挟持手段)、63a…挟持片、G…ガイドレール20の下端とピット2Aの底面との間隔
【要約】
【課題】ガイドレールに供給された油の回収作業における作業負担を軽減することができるエレベータのガイドレール油汚染物回収装置及びエレベータを提供する。
【解決手段】ガイドレール油汚染物回収装置は、厚み方向に位置する2つのガイド面204,204及び2つのガイド面204,204の幅方向先端縁間に位置する先端面205を備えるガイドレール20の、ガイド面204を伝って垂下する油の中から油汚染物を回収するものであって、2つのガイド面204,204に面接触するように配置される油吸収シート60と、油吸収シート60の上端面に設定される油汚染物の捕捉部61cと、油吸収シート60が2つのガイド面204,204に面接触した箇所を着脱自在に挟持する挟持手段63とを備える。
【選択図】
図5